説明

当日券発券システム

【課題】
各種のイベントのチケットについて、当日券を発券・販売する当日券発券システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
前売券情報記憶手段と、キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、その前売券について入場がされたことを記憶する入場管理手段と、イベント開催当日の所定時刻に於いて入場した情報が記憶されていない購入者の携帯端末の識別情報を抽出して携帯端末の現在位置情報を取得する位置取得手段と、イベント会場までの経路探索を行う経路探索手段と、予め定められた時刻までに前売券購入者が間に合わないと判定した場合には前売券についてキャンセル扱いとする入場判定手段と、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を当日券として発券する発券手段と、を有する当日券発券システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンサート、スポーツ興行、映画などの各種のイベントの当日券を発券する当日券発券システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンサート、スポーツ興行、映画などのイベントで販売されるチケットには、開催日以前から販売する前売券とその開催日当日に販売する当日券とがある。前売券は事前に購入することから、価格は当日券よりも若干、低めに設定されていることが多い。前売券のチケット販売方法としては、下記特許文献1に記載の方法がある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−197225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当日券の購入客は、イベント会場でイベント開催当日に直接購入することが多く、その購入客は殆ど全員がイベントに訪れる。しかし前売券の購入客の場合、前売券の購入からイベント開催日までに間があるので、別の予定が入ってしまう、イベントの予定を忘れてしまう、当日に何らかのアクシデントにあう、等の様々な理由により、前売券の購入者全員がイベントに訪れるとは限らない。この場合、訪れなかった購入者の前売券分に対してイベント会場に席の余裕が生じる。しかし従来は、前売券の購入者が実際にイベントに訪れるか否かは全く不明であるので、その余裕が生じた分を当日券として第三者に販売することが出来ない。
【0005】
その為、実際にはイベント会場では空席が生じており、当日券の購入希望者がいるにもかかわらず、その分を当日券として発券・販売することが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者はかかる課題を解決できる当日券発券システムを発明した。
【0007】
請求項1の発明は、イベントの当日券を発券する当日券発券システムであって、前記当日券発券システムは、前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者が利用する携帯端末の識別情報と、入場の有無の情報とを記憶する前売券情報記憶手段と、キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、前記前売券の購入者が前記イベントに入場する際に、所定の読取装置で読み取った前記前売券の識別情報に基づいて、前記前売券情報記憶手段に、その前売券について入場がされたことを記憶する入場管理手段と、前記イベント開催当日の所定時刻に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者であって、入場した情報が記憶されていない購入者の携帯端末の識別情報を抽出し、前記携帯端末の識別情報に基づいて、その携帯端末の現在位置情報を取得する位置取得手段と、前記取得した現在位置情報と予め設定された前記イベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索を行う経路探索手段と、前記経路探索の結果に基づいて、予め定められた時刻までに前記前売券購入者が間に合わないと判定した場合には前記前売券についてキャンセル扱いとする入場判定手段と、前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記入場判定手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を当日券として発券する発券手段と、を有する当日券発券システムである。
【0008】
本発明によって、前売券購入者がイベントに来られるかどうかを客観的に判定できるので、来られないと判定した場合にはその前売券をキャンセル扱いとして、代わりに当日券として発券・販売することが出来る。これにより、一層の売上向上が見込める。
【0009】
請求項2の発明は、前記経路探索手段は、前記イベント会場への最短の到着所要時間又は最短の到着予想時刻を経路探索する、当日券発券システムである。
【0010】
経路探索を行う際には、最短時間又は最短時刻とすると良い。これによって、どんなに努力してもこれ以上には早く着けないことを客観的に判定することが出来るからである。
【0011】
請求項3の発明は、前記入場判定手段は、前記最短到着所要時間又は最短到着予想時刻が、予め定められた時刻を過ぎている場合には、前記前売券購入者が前記イベントに間に合わないと判定する、当日券発券システムである。
【0012】
本発明に規定する場合を、前売券購入者がイベントに間に合わないと判定する条件とすると良い。
【0013】
請求項4の発明は、前記前売券情報記憶手段は、更に、イベント開催当日の所定時刻に於ける、前記前売券購入者の現在位置情報の取得についての許諾の有無の情報を記憶しており、前記位置取得手段は、前記抽出した入場した情報を記憶していない購入者のうち、前記現在位置の取得について許諾の情報が記憶されている購入者に限定して、前記携帯端末の識別情報に基づいて、その携帯端末の現在位置情報を取得する、当日券発券システムである。
【0014】
現在位置情報の取得は、プライバシーとの兼ね合いもあり、慎重さが要求される。そこで事前に許諾の情報を取得した前売券購入者のみについて、本発明を適用すると、そのような問題を防止することが出来る。
【0015】
請求項5の発明は、イベントの当日券を発券する当日券発券システムであって、前記当日券発券システムは、前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者の電子メールアドレスと、入場の有無の情報とを記憶する前売券情報記憶手段と、キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、前記前売券の購入者が前記イベントに入場する際に、所定の読取装置で読み取った前記前売券の識別情報に基づいて、前記前売券情報記憶手段に、その前売券について入場がされたことを記憶する入場管理手段と、前記イベント開催当日の所定時刻に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者であって、入場した情報が記憶されていない購入者の電子メールアドレスを抽出し、その電子メールアドレスに対して前記イベントへの入場の意思確認通知を送信する意思確認通知手段と、前記前売券購入者の携帯端末からキャンセルの情報を受け付け、前記前売券についてキャンセル扱いとするキャンセル受付手段と、前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記キャンセル受付手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を当日券として発券する発券手段と、を有する当日券発券システムである。
【0016】
イベント開催当日の所定時刻に於ける位置情報の取得を行うと、上述のようにプライバシーの問題も生じかねない。そこで位置情報を取得するのではなく、イベントに来場するかどうかの意思確認を購入者に行い、キャンセルとした場合にその分を当日券として発券することで、プライバシーの問題も生じないし、更には、キャンセル扱いとした前売券の代わりに当日券を発券・販売することが出来る。これにより、一層の売上向上も見込める。
【0017】
請求項6の発明は、前記入場判定手段又は前記キャンセル受付手段は、前記前売券購入者の前売券についてキャンセル扱いとすることを判定すると、前記前売券情報記憶手段にキャンセルの情報を記憶し、前記当日券発券システムは、予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券購入者が指定する預金口座番号へ、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、更に有する当日券発券システムである。
【0018】
キャンセル扱いとした場合に、更に前売券の金額の一部を払い戻すことによって、本発明の利用促進を図ることが出来る。その場合、振込先は前売券購入者に指定させると良い。
【0019】
請求項7の発明は、前記入場判定手段又は前記キャンセル受付手段は、前記前売券購入者の前売券についてキャンセル扱いとすることを判定すると、前記前売券情報記憶手段にキャンセルの情報を記憶し、前記前売券情報記憶手段は、更に前記前売券購入者の預金口座番号を記憶しており、前記当日券発券システムは、予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券情報記憶手段に記憶する預金口座番号へ、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、更に有する当日券発券システムである。
【0020】
上述の発明と同様に、前売券の金額の一部を払い戻す際に、予め払戻金の振込先を登録させておくことによって、速やかに支払が可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、前記発券手段は、前記当日券を発券した前売券について、当日券として発券済みの情報を前記前売券情報記憶手段に記憶し、前記当日券発券システムは、予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶された当日券として発券済みの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券購入者が指定する預金口座番号へ、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、更に有する当日券発券システムである。
【0022】
単にキャンセル扱いとしただけではなく、それによって当日券が発券できた場合に、前売券の金額の一部を払い戻すこととしても良い。この場合には、確実に当日券として販売できているので、キャンセルによるリスクがないので、払戻金を高く設定することが出来る。それによって、本発明の一層の利用促進を図ることが出来る。その場合、振込先は前売券購入者に指定させると良い。
【0023】
請求項9の発明は、前記発券手段は、前記当日券を発券した前売券について、当日券として発券済みの情報を前記前売券情報記憶手段に記憶し、前記前売券情報記憶手段は、更に前記前売券購入者の預金口座番号を記憶しており、前記当日券発券システムは、予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券情報記憶手段に記憶する預金口座番号へ、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、更に有する当日券発券システムである。
【0024】
上述の発明と同様に、前売券の金額の一部を払い戻す際に、予め払戻金の振込先を登録させておくことによって、速やかに支払が可能となる。
【0025】
請求項10の発明は、イベントのチケットを発券するチケット発券システムであって、前記チケット発券システムは、前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者の電子メールアドレスとを記憶する前売券情報記憶手段と、キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、前記イベントの開始時刻より前であって、予め定められた所定日時に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者の電子メールアドレスを抽出し、その電子メールアドレスに対して前記イベントへの入場の意思確認通知を送信する意思確認通知手段と、前記前売券購入者の携帯端末からキャンセルの情報を受け付け、前記前売券についてキャンセル扱いとするキャンセル受付手段と、前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記キャンセル受付手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を前売券又は当日券として発券する発券手段と、を有するチケット発券システムである。
【0026】
本発明のように、イベント開催当日より前の所定日時に意思確認通知を送信することによって、新たな前売券又は当日券を発券することが出来る。これによって、前売券が一度売り切れとなった場合でも、キャンセル分について速やかに発券・販売することが出来るので、他の購入希望者が当日券のみならず、前売券を購入することも出来、購入機会を増やすことが出来る。またイベントに遠隔地から訪れる場合には、前日から移動を行う場合もあるが、遠隔地に居住する前売券購入者がキャンセルをしようとする場合であっても、早めにキャンセル扱いとして新たなチケットの発券・販売を行うことも出来る。
【0027】
請求項11の発明は、前記チケット発券システムは、更に、前記携帯端末の現在位置から前記イベント会場までの経路探索を行う為の画面を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末の現在位置情報を取得して、その現在位置情報と前記イベント会場までの経路探索を行う経路探索手段を有しており、前記意思確認通知には前記経路探索を行う画面へのリンクを含む、チケット発券システムである。
【0028】
このように経路探索へのリンクを設けることによって、前売券購入者が簡単に経路探索を行うことが出来、その利便性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によって、イベントに訪れることがないと考えられる前売券をキャンセル扱いとし、それにより生じた席の余裕を当日券として第三者に発券・販売することで、一層、チケットの売上を向上させることが出来る。また訪れることのない前売券の購入者分を当日券として発券・販売できるので、イベントへの参加者を増やすことが出来る。これによりイベントを、より盛況にすることができる。
【0030】
また従来は、従来は天変地異やイベント自体の中止などのやむを得ない事情を除き、前売券購入者の自らの事情で前売券をキャンセルした場合には一切の払い戻しがなかったが、本発明では、前売券を比較的容易にキャンセル扱いとすることが出来るので、前売券購入者の自己の事情で前売券をキャンセルした場合でも、前売券の購入額の所定割合を払い戻すことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の当日券発券システム1について説明する。本発明の当日券発券システム1では、イベント開催当日の所定時刻に於いて、前売券の購入者の現在位置情報を取得し、その購入者が間に合わないと判定することで当該前売券をキャンセル扱いとする場合(実施例1)と、イベント開催当日の所定時刻に於いて、未入場者に対して入場するか否かの意思確認の通知を行い、キャンセルの意思表示を受信することで当該前売券をキャンセル扱いとする場合(実施例2)、を説明する。
【実施例1】
【0032】
まず、イベント開催当日の所定時刻に於いて、前売券の購入者の現在位置情報を取得し、その購入者が間に合わないと判定することで当該前売券をキャンセル扱いとする場合の当日券発券システム1のシステム構成の一例を図1のシステム構成図に示す。
【0033】
本実施例に於ける当日券発券システム1は、前売券情報記憶手段2と入場管理手段3と位置取得手段4と経路探索手段5と経路探索情報記憶手段6と入場判定手段7とキャンセル待ち管理手段8と発券手段9と返金処理手段10とを有している。尚、前売券購入者は、携帯端末(携帯電話、PHS、PDAなど)を利用しており、その携帯端末はGPS機能を備えていると良い。PHSの位置情報サービスを利用する場合にはGPS機能は備えていなくても良い。
【0034】
前売券情報記憶手段2は、イベントの前売券を販売した際に登録した、前売券に関する情報を記憶する手段である。前売券に関する情報としては、前売券を識別する識別情報、販売日、購入者の氏名、電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先、イベント開催当日の所定時刻に当該購入者の現在位置情報を取得することへの許諾の有無の情報、当該購入者が利用する携帯端末(携帯電話、PHS、PDA等に限定されず、位置情報を取得可能なものであれば良い)の識別情報(端末ID)の情報がある。尚、上述に加え、入場の有無の情報、キャンセルの情報、当日券発行の情報も記憶する。
【0035】
入場管理手段3は、前売券の購入者がイベントに入場した場合に、その購入者が利用した前売券の識別情報を読み取ることにより、当該購入者が入場したことを前売券情報記憶手段2に記憶する手段である。例えば前売券に付されているバーコードを所定の読取装置で読み取ったり、前売券が電子チケットとなっている場合にはその電子チケットの情報を記憶した携帯端末から所定の読取装置でデータを受信することによって読み取ることが出来る(例えばRFIDなどによるデータの受信など)。読み取った前売券の識別情報に基づいて、当該識別情報の入場の情報を「済」に変更する。これによって、当該前売券の購入者は入場したことが把握できる。
【0036】
位置取得手段4は、イベント開催当日の所定時刻に於いて、前売券情報記憶手段2に記憶する当該イベントの前売券の購入者であって、まだ入場の情報が「済」になっていない購入者に関する情報(特に携帯端末の識別情報と、現在位置情報を取得することへの許諾の有無の情報)を抽出し、現在位置情報を取得することへの許諾が「許可」になっている購入者の場合には、当該携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末の現在位置の情報を取得する手段である。現在位置情報の取得は、GPSによるものや携帯端末がPHSの場合にはその基地局に基づく方法など、様々な方法を用いることが出来るが、これに限定されるものではない。例えば特開2002−209245号を用いることが出来る。
【0037】
より具体的には、前売券購入者は、イベント開催当日に所定の操作をすることにより、自らの位置情報を送信するような操作をすることによって、携帯端末の識別情報と所定の位置情報とを、取得する所定のサーバ(図示せず)に送信する。そして位置取得手段4は、位置情報を取得するサーバから、抽出した携帯端末の識別情報に基づいてその位置情報を取得することが出来る。この位置情報を取得するサーバと、位置取得手段4とは同一であっても良いし、別であっても良い。
【0038】
尚、イベント開催当日に所定の操作をすることは、予め前売券の購入の際に伝えておくと良い。これは仮にイベントに未入場となった場合でもそのキャンセル料が通常よりも高く払い戻される、というインセンティブがあることを併せて伝えることによって、その実効性が高まる。
【0039】
また前売券購入者が直接操作しなくても、携帯端末のスケジューラには、所定日時に所定のアプリケーションを起動させる機能が備えられていることが多いので、これを利用して、イベント開催当日になったら自らの位置情報を送信するアプリケーションを起動するように予め設定しておけば、前売券購入者は特に操作しなくても、自動的に、位置情報を取得するサーバにその位置情報が送信されることとなる。
【0040】
経路探索手段5は、位置取得手段4で取得した前売券の購入者の携帯端末の現在位置情報と、予め設定されたイベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索情報記憶手段6に記憶した情報を用いて、現在位置からイベント会場までの経路探索を行う手段である。この経路探索では、現在位置情報を出発地、イベント会場の位置情報を目的地とし、現在時刻を出発時刻として経路探索を行う(到着時刻をイベントの開始時刻や当日券販売終了時刻として経路探索を行っても良い)。経路探索には様々な方法を用いることが出来るが、例えば特開2000−258184号に記載されているように、徒歩と交通機関とを組み合わせた経路探索を行えるようなシステムを経路探索手段5として用いると良い。
【0041】
経路探索情報記憶手段6は、経路探索手段5に於ける、現在位置からイベント会場までの経路探索に必要な地図情報、交通機関の時刻表の情報等を記憶する手段である。
【0042】
入場判定手段7は、経路探索手段5から経路探索の結果を受け取り、最も所要時間の短い経路であってもイベント開始時刻(これに限らず、当日券販売終了時刻など、入場が許容される所定の時刻)に間に合わないと判定できる場合には、当該前売券をキャンセル扱いとする手段である。例えば経路探索手段5から受け取った最短の到着予想時刻がイベント開始時刻を過ぎている場合には間に合わないと判定し、前売券情報記憶手段2に記憶する当該前売券について、キャンセルの情報を追加記憶させる。
【0043】
キャンセル待ち管理手段8は、キャンセル待ちの情報の登録を受け付ける手段であり、例えばキャンセル待ちによる当日券の販売担当者が所定の端末からその人数を入力することにより行っても良いし、キャンセル待ちをする者の携帯端末からキャンセル待ち希望の情報の入力を受け付けることにより、その数をカウントすることで人数を判定しても良い。
【0044】
発券手段9は、キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、入場判定手段7で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を、当日券として発券する手段である。
【0045】
例えばキャンセル待ちの人数が10人であり、入場判定手段7で前売券をキャンセル扱いとした枚数が5枚である場合、キャンセル扱いとした5枚を当日券として発券手段9が発券する。またキャンセル待ちの人数が5人であり、入場判定手段7で前売券をキャンセル扱いとした枚数が10枚である場合、キャンセル待ちの人数に相当する5枚を当日券として発券手段9が発券する。このようにキャンセル待ちの人数がキャンセル扱いとした枚数よりも少ない場合には、最初にキャンセル待ちの人数分だけ当日券として発券し、キャンセル待ち管理手段8に新たにキャンセル待ちの情報が登録されると、随時、キャンセル扱いとした枚数を超えない範囲で当日券を発券する。
【0046】
尚、キャンセル扱いとした前売券について当日券として販売・発券した場合には、発券手段9は、前売券情報記憶手段2の当該前売券に「当日券として発券済み」を示す情報を更に記憶させると良い。これによりキャンセルによる当日券の二重発券を防止することが出来る。
【0047】
返金処理手段10は、所定時期が到来したら(当日券販売終了時刻を過ぎていれば、イベント終了前でもイベント中でもイベント終了後のいずれであっても良い)、前売券情報記憶手段2に記憶したキャンセルの情報が追加された前売券の購入者に対する返金処理を行う手段である。この返金処理は、前売券の購入時に購入者の預金口座番号の情報を受け付けており、それを前売券情報記憶手段2に記憶している場合には所定金額(例えば前売券の販売金額の半額など)を、当該預金口座に振り込む指示を、イベントのチケットのキャンセル扱いの代金支払義務者が利用する金融機関のシステムに送信する。預金口座の情報を前売券情報記憶手段2に記憶していない場合には、購入者の連絡先(例えば電子メールアドレス)に対して支払先を登録するように促す連絡を行い(例えば電子メールの送信)、前売券情報記憶手段2に登録後、上述のように預金口座への振り込み指示を送信する。
【0048】
上述では、前売券情報記憶手段2にキャンセルの情報が追加された前売券購入者に対して返金処理を行う場合を説明したが、当日券として発券済みの情報が登録された前売券購入者に対して返金処理を行うこととしても良い。この場合、キャンセル扱いとなった前売券が確実に当日券として販売できているので、キャンセルの際の払戻金額を、単なるキャンセルよりも高く設定することができる。
【0049】
次に本発明の処理プロセスの一例を図2のフローチャート及び図1のシステム構成図を用いて説明する。
【0050】
イベントの開催が決定すると、所定の方法により前売券が販売される(S100)。前売券の販売時には、前売券に関する情報の登録を前売券情報記憶手段2に行っておくと良い。即ち、前売券の識別情報、販売日、購入者の氏名、電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先、イベント開催当日の所定時刻に当該購入者の現在位置情報を取得することへの許諾の有無の情報、当該購入者が利用する携帯端末の識別情報を購入者又は前売券の販売者が登録すると良い。更に返金を速やかに行うために、返金用の預金口座番号の情報も登録があると好適である。
【0051】
このようにして前売券を販売した後、イベント開催当日となると、前売券の購入者はイベント会場に訪れる。また前売券を購入しなかった/出来なかったが、イベントへの入場を希望する者は当日券の販売終了時刻になるまでに所定の方法で、キャンセル待ちをする。このキャンセル待ちは、携帯端末からキャンセル待ちの情報を登録し、それをキャンセル待ち管理手段8で受け付けても良いし、イベント会場の所定箇所に設けられたキャンセル待ちの箇所に並び、当日券の販売担当者がその人数を所定の方法で入力することにより、それをキャンセル待ち管理手段8で受け付けても良い。
【0052】
前売券の購入者は、イベント会場に入場を行う(S120)。入場の際には、入場管理手段3で、その購入者が利用した前売券の識別情報を読み取ることにより、当該購入者が入場した情報、即ち、当該前売券識別情報に於ける入場の情報を「済」に変更して前売券情報記憶手段2に記憶する(S130)。この入場の情報を前売券情報記憶手段2に記憶する処理によって、当該前売券がキャンセル扱いとなり当日券として販売されることはなくなる。
【0053】
予め定められた時刻が到来すると(例えばイベント開始時刻の30分前)(S140)、位置取得手段4は、まだイベントに入場していない前売券の購入者の現在位置情報を取得する(S150)。これは、前売券情報記憶手段2に記憶するイベントの前売券の購入者であって、まだ入場の情報が「済」になっていない購入者に関する情報(特に携帯端末の識別情報と、現在位置情報を取得することへの許諾の有無の情報)を抽出し、現在位置情報を取得することへの許諾が「許可」になっている購入者の場合には、当該携帯端末の識別情報に基づいて、当該携帯端末の現在位置の情報を取得する。現在位置情報を取得することの許諾を判定しているのは、現在位置情報はプライバシーに属するとも考えられるので、許諾なく取得することは好ましくないからである。
【0054】
このようにして位置取得手段4で、所定時刻に於ける未入場の前売券購入者の現在位置情報を算出すると、経路探索手段5でその情報を受け取る。そしてその現在位置情報と、予め設定されたイベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索情報記憶手段6に記憶した情報を用いて、現在位置からイベント会場までの経路探索を行う(S160)。これにより、前売券購入者がその現在位置からイベント会場まで最短でどの程度の時間を要するか、最短の到着予想時刻は何時かを算出することが出来る。
【0055】
経路探索手段5で未入場の前売券購入者の経路探索を行うと、入場判定手段7でその結果を受け取り、その前売券購入者が予め定められた時刻(例えばイベント開始時刻)に間に合うかを判定する(S170)。例えば経路探索手段5から受け取った最短の到着予想時刻がイベント開始時刻を過ぎている場合には間に合わないと判定する。
【0056】
この判定の結果、間に合わないと判定した場合には、その前売券購入者が購入した前売券についてキャンセル扱いとする(S180)。具体的には当該前売券購入者が購入した前売券情報記憶手段2に記憶する当該前売券について、キャンセルの情報を追加記憶させる。
【0057】
キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であり、入場判定手段7で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を、当日券として販売・発券する(S190)。尚、キャンセル扱いとした前売券について当日券として販売・発券した場合には、前売券情報記憶手段2の当該前売券に「当日券として発券済み」を示す情報を更に記憶させると良い。これによりキャンセルによる当日券の二重発券を防止することが出来る。
【0058】
S140に於ける所定時刻は一つであっても良いし、複数であっても良い。複数の時刻が設定されている場合には、当日券販売終了時刻が到来するまで(S110)、その時刻が来る度にS140以降の処理を行うこととなる。このようにS140以降の処理を複数回行うことによって、最初の時刻で間に合わない人が発見できない場合でも、間に合うエリアが時間の経過と共に狭くなっていくので、間に合わないと判定される前売券購入者が増えてくる。従ってイベントの開始時刻直前までには、間に合いそうにない人が抽出されて、当日券をその分、発券・販売することが出来るようになる。
【0059】
また所定時期が到来したら、返金処理手段10は、前売券情報記憶手段2に記憶したキャンセルの情報が追加された前売券の購入者に対する返金処理を行う(S200)。例えば、前売券の購入時に購入者の預金口座番号の情報を受け付けており、それを前売券情報記憶手段2に記憶している場合には、所定金額を当該預金口座に振り込む指示を、イベントのチケットのキャンセル扱いの代金支払義務者が利用する金融機関のシステムに送信する。
【0060】
預金口座の情報を前売券情報記憶手段2に記憶していない場合には、購入者の連絡先(例えば電子メールアドレス)に対して支払先を登録するように促す連絡を行い(例えば電子メールの送信)、前売券情報記憶手段2に登録後、上述のように預金口座への振り込み指示を送信する。
【0061】
上述の実施例では当日券の販売終了時刻をイベント開始時刻とした場合を説明しているが、映画やクラシックコンサートなどの場合には途中入場が好ましくないので、開演時刻の10分ぐらい前を販売終了時刻とすると良いし、スポーツ観戦などでは途中入場が比較的容易なので、試合開始後の時刻とすることも出来る。
【0062】
以上のような処理を行うことにより、チケットの売り上げを向上させることが出来るし、またイベントの入場者が増えるのでイベントも盛況となる。更に、キャンセル扱いとなった前売券については、当日券が発券されることから、従来よりも高い金額で払い戻しを前売券の購入者に行うことも出来る。
【実施例2】
【0063】
次に、イベント開催当日の所定時刻に於いて、未入場者に対して入場するか否かの意思確認の通知を行い、キャンセルの意思表示を受信することで当該前売券をキャンセル扱いとする場合の当日券発券システム1を説明する。
【0064】
本実施例のシステム構成の一例を図3に示す。本実施例に於ける当日券発券システム1は、前売券情報記憶手段2と入場管理手段3と意思確認通知手段11とキャンセル受付手段12と経路探索手段5と経路探索情報記憶手段6とキャンセル待ち管理手段8と発券手段9と返金処理手段10とを有している。
【0065】
本実施例の前売券情報記憶手段2では、実施例1と同様に前売券に関する情報を記憶する手段であるが、実施例1と異なり本実施例では、前売券購入者の現在位置情報を取得しないので、前売券に関する情報としては、前売券を識別する識別情報(端末ID)、販売日、購入者の氏名、電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先の情報でよい。尚、入場の有無の情報、キャンセルの情報、当日券発券済みの情報も記憶する。
【0066】
入場管理手段3とキャンセル待ち管理手段8と経路探索情報記憶手段6と返金処理手段10は、実施例1と同様である。
【0067】
意思確認通知手段11は、イベント開催当日の所定時刻に於いて、前売券情報記憶手段2に記憶する当該イベントの前売券の購入者であって、まだ入場の情報が「済」になっていない購入者の電子メールアドレスなどの連絡先の情報を抽出し、その電子メールアドレスに対して、イベントに来るかどうかの意思確認通知を送信する手段である。意思確認通知の一例を図5に示す。意思確認通知を送信する購入者数は、キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数に所定倍率を乗じた人数分を送信すると良い。
【0068】
意思確認通知には、キャンセルを受け付ける入力画面へのリンクと、経路探索を行う画面へのリンクとが設けられていると良い。
【0069】
キャンセル受付手段12は、前売券購入者の携帯端末に対して送信された意思確認通知を閲覧した前売券購入者が、当該電子メールから「キャンセル希望はこちら」を選択した場合、その携帯端末に対してキャンセルを受け付ける入力画面を送信し、キャンセルを受け付ける手段である。例えば「キャンセル希望はこちら」を選択した場合、キャンセル受付手段12は、前売券購入者の携帯端末に対して、図6に示すようにキャンセル受付の入力画面を送信し、そこで購入者が「キャンセルする」を選択したことを受信すると、当該前売券購入者の前売券をキャンセル扱いにして、前売券情報記憶手段2にキャンセルの情報を追加記憶させる。また「キャンセルしない」を選択したことを受信すると、携帯端末に対して早めに来場するように勧める画面を送信する。
【0070】
本実施例に於ける経路探索手段5は、前売券購入者に対して送信された意思確認通知から「現在地からの経路はこちら」を選択した場合に、図7に示すような経路探索を行うか否かの確認画面を送信し、そこで「経路探索する」を選択したことを受信した場合に、携帯端末から、携帯端末の現在位置情報を取得して、その現在位置情報と予め設定された当該イベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索情報記憶手段6に記憶した情報を用いて、現在位置からイベント会場までの経路探索を行い、その結果を前売券購入者の携帯端末に送信する手段である。携帯端末に表示される結果の画面の一例を図8に示す。
【0071】
この結果の画面では、現在位置から会場までの所要時間(又は到着予想時刻)を表示して、イベント開始時刻(又は当日券販売終了時刻)を過ぎる場合には、その画面にキャンセル受付の入力画面へのリンク(「キャンセルする」)を設けると良い。これによって最短時間でも間に合わない購入者に対してキャンセルを促し、当日券への販売に繋げることが出来る。
【0072】
本実施例の発券手段9は、キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であり、キャンセル受付手段12で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を、当日券として発券する手段である。
【0073】
例えばキャンセル待ちの人数が10人であり、キャンセル受付手段12で前売券をキャンセル扱いとした枚数が5枚である場合、キャンセル扱いとした5枚を当日券として発券手段9が発券する。またキャンセル待ちの人数が5人であり、キャンセル受付手段12で前売券をキャンセル扱いとした枚数が10枚である場合、キャンセル待ちの人数に相当する5枚を当日券として発券手段9が発券する。このようにキャンセル待ちの人数がキャンセル扱いとした枚数よりも少ない場合には、最初にキャンセル待ちの人数分だけ当日券として発券し、キャンセル待ち管理手段8に新たにキャンセル待ちの情報が登録されると、随時、キャンセル扱いとした枚数を超えない範囲で当日券を発券する。
【0074】
実施例1と同様に、キャンセル扱いとした前売券について当日券として販売・発券した場合には、発券手段9は、前売券情報記憶手段2の当該前売券に「当日券として発券済み」を示す情報を更に記憶させると良い。これによりキャンセルによる当日券の二重発券を防止することが出来る。
【0075】
次に本実施例の処理プロセスの一例を図4のフローチャート及び図2のシステム構成図を用いて説明する。
【0076】
イベントの開催が決定すると、所定の方法により前売券が販売される(S300)。前売券の販売時には、前売券に関する情報の登録を前売券情報記憶手段2に行っておくと良い。即ち、前売券の識別情報、販売日、購入者の氏名、電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先を購入者又は前売券の販売者が登録すると良い。更に返金を速やかに行うために、返金用の預金口座番号の情報も登録があると好適である。
【0077】
このようにして前売券を販売した後、イベント開催当日となると、前売券の購入者はイベント会場に訪れる。また前売券を購入しなかった/出来なかったが、イベントへの入場を希望する者は当日券の販売終了時刻になるまでに所定の方法で、キャンセル待ちをする。このキャンセル待ちは、携帯端末からキャンセル待ちの情報を登録し、それをキャンセル待ち管理手段8で受け付けても良いし、イベント会場の所定箇所に設けられたキャンセル待ちの箇所に並び、当日券の販売担当者がその人数を所定の方法で入力することにより、それをキャンセル待ち管理手段8で受け付けても良い。
【0078】
前売券の購入者は、イベント会場に入場を行う(S320)。入場の際には、入場管理手段3で、その購入者が利用した前売券の識別情報を読み取ることにより、当該購入者が入場した情報、即ち、当該前売券識別情報に於ける入場の情報を「済」に変更して前売券情報記憶手段2に記憶する(S330)。この入場の情報を前売券情報記憶手段2に記憶する処理によって、当該前売券がキャンセル扱いとなり当日券として販売されることはなくなる。
【0079】
予め定められた時刻が到来すると(例えばイベント開始時刻の30分前)(S340)、キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数を確認する(S350)。そして意思確認通知手段11は、キャンセル待ちの人数に所定倍率を乗じた人数分について、前売券情報記憶手段2に記憶する当該イベントの前売券の購入者であって、まだ入場の情報が「済」になっていない購入者の電子メールアドレスを抽出する。そしてその電子メールアドレスに対して、図5に示すような意思確認通知を電子メールで送信する(S360)。
【0080】
携帯端末で意思確認通知を受信した前売券購入者は、既にキャンセルの意思がある場合には、意思確認通知の電子メールに於ける「キャンセル希望はこちら」を選択すると、キャンセル受付手段12がその携帯端末に対してキャンセルを受け付ける入力画面を送信する。そして、前売券購入者が「キャンセルする」を選択したことを携帯端末から受信すると、当該前売券購入者の前売券をキャンセル扱いにして、前売券情報記憶手段2にキャンセルの情報を追加記憶させる(S370)。これによって前売券購入者が購入した前売券がキャンセルとなる。
【0081】
また前売券購入者が「キャンセルしない」を選択したことを受信すると、携帯端末に対して早めに来場するように勧める画面を送信する。
【0082】
更に、キャンセルするかどうかすぐには判断が付かず、経路探索してみて、間に合うならば参加したいと考えた前売券購入者は、意思確認通知の「現在地からの経路はこちら」を選択することで、経路探索手段5は、図7に示すような経路探索を行うか否かの確認画面を送信する。そして「経路探索する」を選択したことを受信した場合に、携帯端末から携帯端末の現在位置情報を取得して、その現在位置情報と予め設定された当該イベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索情報記憶手段6に記憶した情報を用いて、現在位置からイベント会場までの経路探索を行い、図8に示すような結果の画面を前売券購入者の携帯端末に送信する。
【0083】
この経路探索の結果、間に合わないことが明らかなのでキャンセルすることを選択した前売券購入者は、結果の画面に設けられたキャンセルを受け付ける入力画面へのリンクを選択することで、上述と同様にキャンセルを行うことが出来る。
【0084】
そして発券手段9は、キャンセル待ち管理手段8で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、キャンセル受付手段12で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を、当日券として販売・発券する(S380)。
【0085】
実施例1と同様に、キャンセル扱いとした前売券について当日券として発券・販売した場合には、発券手段9は、前売券情報記憶手段2の当該前売券に「当日券として発券済み」を示す情報を更に記憶させると良い。これによりキャンセルによる当日券の二重発券を防止することが出来る。
【0086】
S340に於ける所定時刻は一つであっても良いし、複数であっても良い。複数の時刻が設定されている場合には、当日券の販売終了時刻を過ぎるまで(S310)、その時刻が来る度にS340以降の処理を行うこととなる。このようにS340以降の処理を複数回行うことによって、最初の時刻に於いて間に合わない人が発見できない場合でも、参加することをあきらめる前売券購入者が増えてくると考えられるので、当日券をその分、発券・販売することが出来るようになる。
【0087】
また所定時期が到来したら、返金処理手段10は、前売券情報記憶手段2に記憶したキャンセルの情報が追加された前売券の購入者に対する返金処理を行う(S390)。例えば、前売券の購入時に購入者の預金口座番号の情報を受け付けており、それを前売券情報記憶手段2に記憶している場合には、所定金額を当該預金口座に振り込む指示を、イベントのチケットのキャンセル扱いの代金支払義務者が利用する金融機関のシステムに送信する。
【0088】
預金口座の情報を前売券情報記憶手段2に記憶していない場合には、購入者の連絡先(例えば電子メールアドレス)に対して支払先を登録するように促す連絡を行い(例えば電子メールの送信)、前売券情報記憶手段2に登録後、上述のように預金口座への振り込み指示を送信する。
【実施例3】
【0089】
実施例2では、意思確認通知手段11が携帯端末に意思確認通知を送信するタイミングとして、イベント開催当日の所定時刻としているが、イベント開催当日でなくても良い。つまり、イベント開催当日より前の所定日時に於いて、意思確認通知手段11が携帯端末に対して意思確認通知を送信することにしても良い。当日より前の所定日時に送信することで、前売券購入者から早めにキャンセルを受け付けることが出来るので、他の購入希望者に対して、発券手段9が新たな前売券(イベント開催当日に発券する場合には当日券)としてチケットを発券することも可能となる。また、イベントが居住地の周辺で開催される場合には当日に移動すればイベントにも十分に間に合うが、遠隔地で行われる場合には前日から移動を行わなければ間に合わない場合もある。従って本実施例のように構成することで、このような場合にも対処することが出来る。
【0090】
本実施例に於いても、実施例2の当日券発券システムと同様なシステム構成を設けることにより、チケットの発券システム(チケット発券システム)を構成することができる。この場合、意思確認通知手段11は、イベント開催当日より前に意思確認通知を送信するので、入場管理手段3は設けずに、キャンセル待ち管理手段9で受け付けたキャンセル待ちの人数に所定の倍率を乗算した数の前売券購入者に対して、或いは前売券購入者全員に対して、意思確認通知を送信する。
【0091】
この場合のチケット発券システムは、前売券情報記憶手段2と意思確認通知手段11とキャンセル待ち管理手段9とキャンセル受付手段12と経路探索手段5と経路探索情報記憶手段6と発券手段8と返金処理手段10とを有していればよい。
【0092】
実施例1乃至実施例3に於ける本発明の前売券の購入者は、前売券が自動的にキャンセル扱いとなることと引き替えに、キャンセル扱いとなった場合に高い払戻金額を得られることを承諾して購入することとなる。
【0093】
本発明に於ける各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。記憶手段は様々な方式でデータを記憶しており、例えばデータベース、データファイルなどの形式がある。
【0094】
また本発明の各手段は、当日券発券システムを実現するコンピュータ端末(サーバも含む)のCPU等の演算処理装置に適宜読み込まれることによりその機能を実現する。また各記憶手段は、当該コンピュータ端末のRAMやハードディスクなどの記憶装置上にデータを適宜記憶しており、CPUで実行される各手段が、記憶装置に記憶したデータを適宜読み出すことで処理を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
上述したように、本発明を用いることによって、イベントに訪れることがないと考えられる前売券をキャンセル扱いとし、それにより生じた席の余裕を当日券として第三者に発券・販売することで、一層、チケットの売上を向上させることが出来る。また訪れることのない前売券の購入者分を当日券として発券・販売できるので、イベントへの参加者を増やすことが出来る。これによりイベントを、より盛況にすることができる。
【0096】
また従来は、従来は天変地異やイベント自体の中止などのやむを得ない事情を除き、自らの事情で前売券をキャンセルした場合には一切の払い戻しがなかったが、本発明では、前売券を比較的容易にキャンセル扱いとすることが出来るので、自己の事情で前売券をキャンセルした場合でも、前売券の購入額の所定割合を払い戻すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例2のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図4】実施例2の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図5】意思確認通知の一例である。
【図6】キャンセル受付の入力画面の一例である。
【図7】経路探索を行うか否かの確認画面の一例である。
【図8】携帯端末に表示される経路探索の結果の画面の一例である。
【符号の説明】
【0098】
1:当日券発券システム
2:前売券情報記憶手段
3:入場管理手段
4:位置取得手段
5:経路探索手段
6:経路探索情報記憶手段
7:入場判定手段
8:キャンセル待ち管理手段
9:発券手段
10:返金処理手段
11:意思確認通知手段
12:キャンセル受付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの当日券を発券する当日券発券システムであって、
前記当日券発券システムは、
前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者が利用する携帯端末の識別情報と、入場の有無の情報とを記憶する前売券情報記憶手段と、
キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、
前記前売券の購入者が前記イベントに入場する際に、所定の読取装置で読み取った前記前売券の識別情報に基づいて、前記前売券情報記憶手段に、その前売券について入場がされたことを記憶する入場管理手段と、
前記イベント開催当日の所定時刻に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者であって、入場した情報が記憶されていない購入者の携帯端末の識別情報を抽出し、前記携帯端末の識別情報に基づいて、その携帯端末の現在位置情報を取得する位置取得手段と、
前記取得した現在位置情報と予め設定された前記イベント会場の位置情報とに基づいて、経路探索を行う経路探索手段と、
前記経路探索の結果に基づいて、予め定められた時刻までに前記前売券購入者が間に合わないと判定した場合には前記前売券についてキャンセル扱いとする入場判定手段と、
前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記入場判定手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を当日券として発券する発券手段と、
を有することを特徴とする当日券発券システム。
【請求項2】
前記経路探索手段は、
前記イベント会場への最短の到着所要時間又は最短の到着予想時刻を経路探索する、
ことを特徴とする請求項1に記載の当日券発券システム。
【請求項3】
前記入場判定手段は、
前記最短到着所要時間又は最短到着予想時刻が、予め定められた時刻を過ぎている場合には、前記前売券購入者が前記イベントに間に合わないと判定する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の当日券発券システム。
【請求項4】
前記前売券情報記憶手段は、更に、
イベント開催当日の所定時刻に於ける、前記前売券購入者の現在位置情報の取得についての許諾の有無の情報を記憶しており、
前記位置取得手段は、
前記抽出した入場した情報を記憶していない購入者のうち、前記現在位置の取得について許諾の情報が記憶されている購入者に限定して、前記携帯端末の識別情報に基づいて、その携帯端末の現在位置情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の当日券発券システム。
【請求項5】
イベントの当日券を発券する当日券発券システムであって、
前記当日券発券システムは、
前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者の電子メールアドレスと、入場の有無の情報とを記憶する前売券情報記憶手段と、
キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、
前記前売券の購入者が前記イベントに入場する際に、所定の読取装置で読み取った前記前売券の識別情報に基づいて、前記前売券情報記憶手段に、その前売券について入場がされたことを記憶する入場管理手段と、
前記イベント開催当日の所定時刻に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者であって、入場した情報が記憶されていない購入者の電子メールアドレスを抽出し、その電子メールアドレスに対して前記イベントへの入場の意思確認通知を送信する意思確認通知手段と、
前記前売券購入者の携帯端末からキャンセルの情報を受け付け、前記前売券についてキャンセル扱いとするキャンセル受付手段と、
前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記キャンセル受付手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を当日券として発券する発券手段と、
を有することを特徴とする当日券発券システム。
【請求項6】
前記入場判定手段又は前記キャンセル受付手段は、
前記前売券購入者の前売券についてキャンセル扱いとすることを判定すると、前記前売券情報記憶手段にキャンセルの情報を記憶し、
前記当日券発券システムは、
予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券購入者が指定する預金口座番号へ、前記前売券の払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、
更に有することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の当日券発券システム。
【請求項7】
前記入場判定手段又は前記キャンセル受付手段は、
前記前売券購入者の前売券についてキャンセル扱いとすることを判定すると、前記前売券情報記憶手段にキャンセルの情報を記憶し、
前記前売券情報記憶手段は、更に前記前売券購入者の預金口座番号を記憶しており、
前記当日券発券システムは、
予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券情報記憶手段に記憶する預金口座番号へ、前記前売券の払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、
更に有することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の当日券発券システム。
【請求項8】
前記発券手段は、
前記当日券を発券した前売券について、当日券として発券済みの情報を前記前売券情報記憶手段に記憶し、
前記当日券発券システムは、
予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶された当日券として発券済みの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券購入者が指定する預金口座番号へ、前記前売券の払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、
更に有することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の当日券発券システム。
【請求項9】
前記発券手段は、
前記当日券を発券した前売券について、当日券として発券済みの情報を前記前売券情報記憶手段に記憶し、
前記前売券情報記憶手段は、更に前記前売券購入者の預金口座番号を記憶しており、
前記当日券発券システムは、
予め定められた時に、前記前売券情報記憶手段に記憶されたキャンセルの情報が登録された前売券購入者を抽出し、前記前売券の金額の一部である払戻金の支払義務者が利用する金融機関のシステムに対して、前記前売券情報記憶手段に記憶する預金口座番号へ、前記前売券の払戻金の支払指示を送信する返金処理手段を、
更に有することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の当日券発券システム。
【請求項10】
イベントのチケットを発券するチケット発券システムであって、
前記チケット発券システムは、
前記イベントに関する前売券の識別情報と、前記前売券の購入者の電子メールアドレスとを記憶する前売券情報記憶手段と、
キャンセル待ちの登録を受け付けるキャンセル待ち管理手段と、
前記イベントの開始時刻より前であって、予め定められた所定日時に於いて、前記前売券情報記憶手段に記憶する前売券購入者の電子メールアドレスを抽出し、その電子メールアドレスに対して前記イベントへの入場の意思確認通知を送信する意思確認通知手段と、
前記前売券購入者の携帯端末からキャンセルの情報を受け付け、前記前売券についてキャンセル扱いとするキャンセル受付手段と、
前記キャンセル待ち管理手段で受け付けたキャンセル待ちの人数が1以上であって、前記キャンセル受付手段で前売券をキャンセル扱いとした場合に、キャンセル扱いとした前売券に相当する枚数とキャンセル待ちの人数とのうち少ない方の枚数分を前売券又は当日券として発券する発券手段と、
を有することを特徴とするチケット発券システム。
【請求項11】
前記チケット発券システムは、更に、
前記携帯端末の現在位置から前記イベント会場までの経路探索を行う為の画面を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末の現在位置情報を取得して、その現在位置情報と前記イベント会場までの経路探索を行う経路探索手段を有しており、
前記意思確認通知には前記経路探索を行う画面へのリンクを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載のチケット発券システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−293655(P2006−293655A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112959(P2005−112959)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)