説明

形成布

【課題】成形布として使用される抄紙布であって、端部カールを除去し、継ぎ目の強さ、シート形成、平滑性、寸法安定性を改善し、3重層布を含む全てのタイプの布中の布低品位を減少する。
【解決手段】複数のMD糸16,20及びCD糸18,22を有する第1層12;複数のMD糸とCD糸を有する第2層14;第1層と第2層中のMD糸とCD糸は単繊維糸であり;第1層並びに第2層のCD糸の少なくともいくつかを含むある群は、第1の融点温度を有し、そしてその他の糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は第1の融点温度より高く;また布は、その他の糸の1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱され;及び第1層のCD糸並びに第2層のCD糸は、加熱される以前に互いに接触あるいは互いに近接しており、前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合する、ことを含む形成布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製紙技術に関係する。より明確に、本発明は製紙機械に備えて使用する形成布のような布に関係がある。
【背景技術】
【0002】
抄紙工程中、繊維スラリー、すなわち、セルロース繊維の水性分散体を、抄紙機の形成部において移動形成布上に沈着させることによって、セルロース繊維ウェブが形成される。スラリーから形成布を介して大量の水が抜き取られ、形成布の表面上にセルロース繊維ウェブが残る。
【0003】
新しく形成されたセルロース繊維ウェブは、形成部から、一連の圧搾ニップを含む圧搾部へ進行する。セルロース繊維ウェブは、圧搾布によって支持された圧搾ニップを通過するか、又は、多くの場合、2枚の圧搾布の間を通過する。圧搾ニップにおいて、セルロール繊維ウェブには圧縮力がかけられて、この力によりそこから水が絞り出され、ウェブにおいてセルロース繊維が付着し合い、これによりセルロース繊維ウェブは紙シートになる。水は、圧搾布又は布群によって受け取られ、理想的には、紙シートに戻ることはない。
【0004】
紙シートは、最終的に、蒸気で内部加熱される少なくとも一連の回転可能な乾燥ドラム又はシリンダを含む乾燥部へ進行する。新しく形成された紙シートは、ドラムの表面に対して近接して紙シートを保持する乾燥布によって一連の個々のドラムの周りを順次蛇行しつつ誘導される。加熱されたドラムは、蒸発によって所望のレベルまで紙シートの含水量を減少させる。
【0005】
形成布、圧搾布及び乾燥布が、抄紙機上で全てエンドレスループの形態をとり、コンベヤのように機能することを認識されたい。更に、紙の製造は、かなりの速度で進行する連続工程であることを認識されたい。すなわち、繊維スラリーは、形成部において形成布上へ連続して沈着する一方で、新たに製造された紙シートは、乾燥部から出てから、ロール上へ連続して巻き付けられる。
【0006】
特に、それらの意図した目的のために使用された時、表面平滑性、吸収力、強さ、柔軟性及び審美的な外観の特性は、複数の製品にとって重要である。
【0007】
織ってある布は様々な形状をとる。例えば、それらはエンドレス織り又は平織りされ、その後継ぎ目を備えたエンドレス形状にされてもよい。
【0008】
本発明は、特に成形セクション中で使用される、形成布に関係がある。形成布は、製紙工程中に重大な役割を果たす。それらの機能のうちの1つは、上述されたように、圧搾セクション又は次の製紙操作を通り製造されている紙製品を保持し運ぶことである。
【0009】
セルロース繊維ウェブに適用される、成形布の上部表面は、滑らかなで、無痕跡のシートの形成を保証するためにできるだけ滑らかであるべきである。成形の品質要求事項は、不快な排水跡を防止する均等性の高レベルを要求する。
【0010】
しかしながら、同じく重要な形成布は更に水除去及びシート形成問題を扱う必要がある。すなわち、形成布は、水が通り過ぎる(つまり、排水の割合をコントロールする)のを許可する一方、同時に繊維及び他の固体が水と共に通り過ぎるのを防止することを目指している。排水が急速にあるいはまたゆっくり生じすぎる場合、シート品質及び機械効率は悪くなる。排水をコントロールするために、一般に空隙容量と呼ばれる水が流出するべき成形布内のスペースを適切に設計しなければならない。
【0011】
現在の形成布は、製造される紙の等級に応じて据え付けられる抄紙機の要件を満たすべく各種のものが設計され生産されている。一般的に、それらは単繊維、及び単層や多層から織られてもよい基布を含む。糸は、典型的に、抄紙機布業界の当業者に公知でこの目的に適した金属又は他の材料、ポリアミド及びポリエステル樹脂等の合成高分子樹脂の任意のものから押し出し成形される。
【0012】
当業者は、縦糸又は機械方角(MD)、及び横糸又はクロス機械方向(CD)の両方へ繰り返す織りパターンを有している水平織りにより、ほとんどの形成布が作製されることを認識しているであろう。
【0013】
形成布の設計は、典型的には所望の繊維保持と布安定性との間での妥協を含んでいる。目の細かい布は、MD方向とCD方向の両方で小さな直径糸及び高い番手の糸を有し、所望の紙表面及び繊維保持特性を提供するかもしれず、しかし、そのような設計は、所望の安定性及びより短い実質的な布寿命に帰着する耐摩耗性を欠くかもしれない。対照的に、目の粗い布はそれらのより大きな直径糸及び少数の糸を有し、安定性、繊維保持を犠牲にしての長期稼働寿命のための耐摩耗性及び痕跡の可能性をもたらすかもしれない。設計トレードオフを最小限にし、かつ保持と安定性の両方を最適化するために、多重層布は開発された。例えば、2重布及び3重層布では、摩耗側が、強さ、安定性、排水及び耐摩耗性のために設計されている一方、成形側は繊維保持のために設計されている。
【0014】
今日の複数の布、特に3重層布が、織り工程の一部としてMDあるいはCDのバインダー糸のいずれかによって一緒に保持される、2つの別々の布(2つの完全な織りパターン)を含む。したがって、それらは「薄層状からなる」布のクラスに分類される。
【0015】
しかしながら、薄層状からなる布の欠点は、布の層間の相対的な滑りである。この滑り及び相対的な布の動きは、結局布の不薄層化に結びつくかもしれない。特に、3重層布は、バインダー糸によって一緒に保持されてもよい表面と基底の層を持っているかもしれない。表面の布層は平織り構造物でもよく、それは最適の紙シート形成及び布保持のために設計されている。基底の布層は耐摩耗性のために設計されてもよく、横糸単繊維が3つ以上の縦糸単繊維下で移動する、長いフロートで織っていてもよい。これらの長いフロートは、耐摩耗性の摩耗表面として使用してもよい。バインダー糸単繊維は、表面の布層において単繊維の少なくとも1つの縦糸、及び基底の布層において単繊維の少なくとも1つの縦糸に関して移動することにより、表面と基底の布層を共に機械的に一緒にしておく横糸単繊維でもよい。抄紙機の稼働条件下では、基底及び表面の布層は互いに相対的に移動する。この相対的移動は、構造物内部の前後に繰り返された歪曲によりバインダー単繊維の疲労及び摩耗を至らしめるかもしれない。結局、バインダー単繊維は機能しなくなるかもしれず、表面布と基底布が互いに分離する(不薄層化)ことが可能になる。
【0016】
更に、布の薄層化は、構造物上で形成された紙のシートが不快な痕跡を持っているよう構造物の排水を妨げるべきではない。
【0017】
更に、形成布、特に薄い布は、しわが寄る又は折り重なる傾向にあるかもしれない。しわが寄る又は折り重なることは布構造物の高い「低品位」によるかもしれない。高い低品位は、布が必要な寸法安定性又は操作中に水平なままであるためのCD堅さを持っていないことを意味する。
【0018】
更に、非常に目の細かいMD糸を備えた薄い布は、大きな直径糸を備えた布より低い継ぎ目強さを持っていてもよい。低い継ぎ目強さは、操作中に布を尚早に裂けさせることができる。
【0019】
本発明は、溶融可能な糸で布を提供する。そのような糸は、布中のその他の糸より低い融点を有している。その結果、布が加熱される場合、溶融可能な糸はその他の糸が達成できない溶融をし、そして接触又は近接する糸に接合あるいは融合してもよい。例えば、溶融可能な糸はMXD6から形成されてもよい。MXD6から形成された単繊維糸は、糸の外部表面が溶ける場合さえ、完全に自身を維持することができる。接合した糸又は溶融可能な糸は継ぎ目の強さを改善し、端部カールを除去し、シート形成を改善し、平滑性を改善し、寸法安定性を改善し、3重層布を含む全てのタイプの布中の布低品位を減少するかもしれない。更に、そのような3重層布は、表面平滑性及び低水搬送能力を改善するかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第6,227,255号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本発明は、成形加工、同様に、製紙機械の圧搾及び/又は乾燥のセクションにおいて使用可能かもしれない布である。
【0022】
その最も広い形状では、布は、他の糸で接合又は融合してもよい溶融可能な単繊維糸を含むかもしれない。溶融可能な単繊維糸は、本質的な強さ、引張り、及び熱処理後の他の基本特性を保持する材料から形成されてもよい。更に、成形布中のその他の糸は、溶融可能な単繊維材料より高融点温度を有する材料から形成されてもよい。
【0023】
本発明の実施例によれば、複数の機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有する第1層、並びに複数のMD糸とCD糸を有する第2層を含む布がもたらされる。第1層及び第2層の中のMD糸及びCD糸は、単繊維糸である。第1層のCD糸の少なくともいくつか、並びに第2層のCD糸の少なくともいくつかを含む糸の群は、第1の融点温度を有しており、そしてその他の糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は第1の融点温度より高い。布は、その他の糸の1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される。群の第1層CD糸、及び群の第2層のCD糸は、加熱される以前に、第1の融点温度を有し互いに接触あるいは互いに近接しており、前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合する。更に、第1層及び第2層の中のCD糸の直径及び番手は、接合の可能性を増加させる第1層及び第2層の中のMD糸の直径及び番手より大きくてよい。
【0024】
本発明の別の実施例に従って、複数のMD糸とCD糸を有する第1層;複数のMD糸とCD糸を有する第2層、及び第1層のMD糸と第2層のMD糸、又は第1層のCD糸と第2層のCD糸を結合させる複数のバインダー糸を含む布がもたらされる。第1層及び第2層の中のMD糸とCD糸及びバインダー糸は、単繊維糸である。ある糸の群は第1の融点温度を有し、そしてその他の糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高い。布は、その他の糸の1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される。群の隣接する糸は、加熱されるに以前に、第1の融点温度を有し互いに接触あるいは互いに近接しており、前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合する。
【0025】
本発明の別の実施例に従って、CD糸の第1層、CD糸の第2層、及び第1層及び第2層のCD糸を拘束する複数のMD糸を含む布がもたらされる。第1層の中のCD糸は、第2層の中のCD糸との垂直に積み重ねられた関係でもよく、そのために積み重ねられたペアを形成する。本発明は、更にCD糸の第1層と第2層との間のCD単繊維糸の第3層を含み、かつ複数のMD糸と織り交ぜられてもよい。更に、CD糸の第3層は、3重の積み重ねシュート(Shute)(TSS)の2重布を形成する第1層及び第2層の中のCD糸との垂直に積み重ねられた関係にあってもよい。MD糸及び第1、第2及び第3層のCD糸は、単繊維糸である。第1、第2及び第3層のCD糸の少なくともいくつかは、互いに垂直に積み重ねられた関係にあり、そして第1の融点温度を有し、また、MD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高い。布は、CD糸が熱処理後に共に接合するように、MD糸の1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される。
【0026】
本発明の別の実施例に従って、複数のMD糸、m≧2のmシード(shed)繰り返しパターンで織り込まれたCD糸、各々、n≧2のnシード繰り返しパターンで複数のMD強化した糸(MDR)を有し、また、MDR糸は、1つのCD糸ごとに繰り返す折れ角を形成する含む布がもたらされる。MD糸とCD糸及びMDR糸は単繊維糸である。MDR糸の少なくともいくつか及びCD糸の少なくともいくつかは、第1の融点温度を有しており、そしてMD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は第1の融点温度より高い。布は、MD糸の1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される。MDR糸は、加熱されるに以前に、第1の融点温度を有するCD糸と接触あるいは近接しており、前もって決めた温度に加熱された後にCD糸に接合する。
【0027】
本発明の別の実施例に従って、複数のMD糸とCD糸がある第1層、複数のMD糸とCD糸がある第2層、及び第1層のMD糸と第2層のMD糸あるいは第1層のCD糸と第2層のCD糸を結合する複数のバインダー糸を含む布がもたらされる。第1層と第2層の中のMD糸及びCD糸、並びにバインダー糸は単繊維糸であり;そして、バインダー糸はMXD6から形成される。
【0028】
布を加熱する又は布が加熱されることが言及される一方、例えばレーザー、超音波あるいはその目的に適した他の手段によって全布、布の一部、その一部を複数あるいは選択された個所の局部を加熱することを含むという意味であることは注目されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例による薄層状からなる布の断面図である。
【図2】本発明の実施例による3重層布の断面図である。
【図3】本発明の実施例による3重積み重ねシュート布の断面図である。
【図4】本発明の実施例による修正形の薄い3重層布の紙側及び摩耗側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、下記に識別される部材及び部分のように参照数字で示すような図面での参照により完全に詳細され、今記述される。
【0031】
本発明は、抄紙機の成形セクションにおいて使用してもよい布に関する。本発明の実施例は、薄層状からなる成形布という状況を記述する。しかしながら、発明がそれに制限されておらず、単一層、単一層支持シュート(Shute)、2重層、2重層支持シュート、3重層積み重ねシュート、ペアになった横糸又は縦糸のバインダーを備えた3重層、縦糸が結合した3重層、シュート結合した3重層あるいは結合して一体化した縦糸/シュート結合した3重層を有する形成布のような他の布に適用可能かもしれないことは注目されるべきである。
【0032】
そのような薄層状の布は、第1層と第2層の各々がシステムあるいは複数の織り込まれた機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有している第1(上部)層及び第2(下部)層を含んでいてもよい。第1層は、セルロースの紙/繊維スラリーが製紙工程間に沈着される紙側又は表面層でもよく、また第2層は機械側又は摩耗側層でもよい。これらの一方又は両方の層は、単層織りあるいは多層織りとして織ることができる。
【0033】
現在の最先端技術、すなわち工業知識は、1つの縦糸、すなわち機械方向、システム及び1つの横糸、すなわちクロス機械方向、システムを備えている単層の布を注目している。2層布は、1つの縦糸システム及び独立した成形側及び摩耗側をただ含むのみの2つ以上の横糸システムから成る。3層布は、少なくとも2つの異なる縦糸システム、並びに独立した成形側及び摩耗側を備えた少なくとも2つの異なる横糸システムを有しているとして一般に認められている。語句「横糸」、「CD糸」及びシュートは、この状況において交換可能であることに注意すべきである。同様に、語句「縦糸」及び「MD糸」は交換可能である。
【0034】
図1は、本発明の実施例に従って薄層状からなる布10の断面図である。より明確に、図1は第1(紙側)層12及び第2(機械側)層14を含むクロス機械方向に沿って得られた布10の部分断面図である。第1層12は、交差点で折り角19を形成する複数の織り込まれたCD糸16及びMD糸18を有し、そして第2層14は交差点21で折り角を形成する複数の織り込まれたCD糸20及びMD糸22を有する。
【0035】
CD糸16及び20の少なくともいくつかは、第1の融点温度を有する同じポリマーから形成される結合可能又は溶融可能な単繊維糸でもよい。布中のその他の糸は、単繊維材料より高い融点温度を持っている材料から形成されてもよい。その後、CD糸16及び20が部分的に溶けて、互いに接合するように、布は第1の融点温度に加熱されてもよい。結合可能な単繊維糸は、溶融後に本質的な強さ及び弾性を保持する材料から形成されてもよい。構造物中の接合した糸は、強くてもよく、また第1層12及び第2層を互いに不薄層化を防ぐであろう。
【0036】
糸が同じポリマーから形成された単繊維を熱処理することは、糸が結合後に本質的な強さ及び粘着力を保持するために、温度、時間及び引張りの特定の組み合せを要求するかもしれない。温度範囲、時間の超過、あるいは個々の単繊維ポリマーのために適切な引張りを維持しないことは、完全な溶融又は単繊維糸の機械的特性の本質的な損失のどちらかに帰着するかもしれない。図1は、本発明の熱結合糸又は部分溶融糸のために使用されてもよい、一般的な時間及び温度範囲を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
材料のための融点温度は、前もって決められた走査速度で走査測定される示差走査熱量計(DSC)によって決定されてもよく、その溶融吸熱の十分な温度範囲内の値かもしれない。DSC走査は、プログラムされた温度変化を受ける試料の発熱又は吸収の比率の程度をもたらすかもしれない。典型的には、DSC走査では、データは温度に対し熱流量又は熱流率としてプロットされるかもしれない。昇温速度は例えば毎分20℃でよい。したがって、PETのための融点温度は240℃〜256℃の値を有しているかもしれない。更に、上で記述されたように、温度、時間及び引張りの特定の組み合せは受理可能な結合を形成するために必要かもしれない。
【0039】
CD単繊維糸16及び20は、MXD6から形成されてもよい。MXD6は、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されてもよい。MXD6ポリマーは三菱ガス化学株式会社及びソルベイアドバンストポリマー、L.L.C.のを利用可能かもしれない。
【0040】
他の適した単繊維糸は、ポリアミド6,12、ポリアミド6,10のように製紙技術の当業者に知られているポリエステル、ポリアミド(PA)又は他の高分子材料のうちの1つから形成されてもよい。理解されるように、他のポリマーとして、PA又はこの目的に適したポリエチレンテレフタレート(PET)とPAとの組み合せを第1層12及び第2層14中のCD単繊維糸のために使用してもよい。
【0041】
成形布中のその他の糸は、結合温度で熱接合又は溶融しない材料から形成されてもよく、つまり、熱接合、融合、又は溶融するような単繊維材料の融点温度より高い融点温度を有している材料から作られている。例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)単繊維は、275℃の融点温度を持っているかもしれない。更に、PETは256℃の融点温度を有しているかもしれない。したがって、PEN及びPETのようなポリマーの融点温度は、布10中のその他のMD単繊維糸に適しているかもしれない。
【0042】
図1に示されるように、熱処理温度はMXD6単繊維のための230℃と234℃の間でよい。この温度は、PEN又はPETの単繊維糸のための溶融温度よりかなり下にある。その結果、PEN又はPETから形成された縦糸単繊維糸は、熱処理中に影響されないかもしれない。これらの材料が高い弾性係数を有するので、PEN又はPETは縦糸に適しているかもしれず、それは高い寸法安定性を備えた布10をもたらすかもしれない。更に、熱処理中に、PEN単繊維中の機械方向折れ曲りの部分は縮小又は除去されるかもしれない。MXD6から形成された単繊維が部分的に溶融する時、PENの単繊維は延び、また、より高い布係数及び寸法安定性に帰着する、縦糸単繊維中の折れ曲り角は縮小されるかもしれない。
【0043】
図1中で示されるように、CD単繊維糸16及び20は、接合位置23で熱処理後に互いに接合されてもよい。布10では、CD単繊維糸16及び20の全ては、熱処理後に互いに接合されてもよい。あるいはまた、これらのCD糸の全て未満で(すべての第2、第3あるいはn番目の糸のような)、互いに接合されてもよい。
【0044】
これらの糸の結合は、折り角、オーバラップ、あるいは第1層12及び第2層14を整列させ内部に形成されたCD糸とMD糸の間の交差点、の確率次第である。この確率は第1層及び第2層14の中の織りパターンによって増加又は減少するかもしれない。ここに、第1層14は平織りパターンであるかもしれない。この織りパターンは、結合の可能性を増加させるかもしれない複数の接点をもたらす。更に、第2層16は、上で言及されるような耐摩耗性を増加させるための5シード(shed)織りパターンであるかもしれない。他の4シード設計のような織りパターンを最下層に可能である。理解されるように、他に可能な織りパターンは、当業者のものに明白であろう。本発明は、バインダー糸が第1層と第2層をしっかり固定する必要を省いた。
【0045】
更に、CD糸16の直径はMD糸18の直径より大きくてよく、更に熱結合が生じる確率及び到達率を向上する。同様に、CD糸20もMD糸22より大きな直径を持っているかもしれない。特に、より大きなサイズ直径は、摩耗に対する増加した抵抗に帰着する第2層又は摩耗層で平面の違いを作成するかもしれない。
【0046】
本発明の薄層状からなる形成布は、2つの独立したループ上の第1層及び第2層を織ることにより形成されるかもしれない。織った後に、各層は、布中の最低温の溶融糸の融点温度以下の温度で別々に加熱設置されるかもしれない。加熱設置後に、各層は、当業者に公知の任意の方法によって別々に継ぎ合わせられるかもしれない。例えば、両方の層のためのループ長は、第2層のループが第1層のループ内部に容易に適合するようにセットされるかもしれない。この適合は、第1層が第2層の内部にあるように第1層又は第2層のどちらか一方を引き伸ばす必要を避けるのに居心地がよいかもしれない。
【0047】
2つの層が共に適合された後、2層構造物は、第1層と第2層との間で整列するかもしれない結合可能な単繊維を部分的に溶融するのに十分な熱処理にさらされるかもしれない。結合は、更に有効な熱結合を達成している間、単繊維の強さの本質的な部分が保持されるように遂行されるかもしれない。過度の溶融又は横糸単繊維の構造の全損失が生じた場合、単繊維糸の少なくともいくつかあるいは単繊維材料の一部分は、PETのような高溶融単繊維材料と取り替えられるかもしれない。高溶融単繊維材料は、この目的のために位置する残る溶融可能な単繊維を備えた熱結合をも達成する間に、織り構造物の完全さを維持するかもしれない。結合後に、製品は仕上げ端部を備えたサイズに切り取られるかもしれない。理解されるように、布を形成する他の方法は当業者に明白かもしれない。
【0048】
図2は、本発明の別の実施例に従って3重層布30の断面図である。より明確に、図2はクロス機械方向に沿って得られた布30の部分断面図であり、それは第1(紙側)層32及び第2(機械側)層34を含んでいる。第1層32は複数の織り込まれたCD糸36及びMD糸38、並びに第2層34は複数の織り込まれたCD糸40及びMD糸42を有している。更に、布30は、クロス機械方向中に第1層32と第2層34とで織り交ぜられたバインダー糸44を含んでいる。あるいはまた、バインダー糸44は機械方角かもしれず及び/又はペアのバインダー糸から作製されるかもしれない。理解されるように、形成布30中の糸は、当業者に明白なように、異なる直径、サイズあるいは形状を有しているかもしれない。布30は、更に結合可能又は溶融可能な単繊維糸の群を含み、その単繊維糸の群れは、その他の糸の融点温度又は温度群より低い融点温度を有する。
【0049】
例えば、第1層32のCD単繊維糸36及びMD糸単繊維糸38のうちのいくつかは、第1の融点温度を有する結合可能な糸かもしれない。これらの結合可能な糸は、MXD6から形成されるかもしれない。成形布中のその他の糸の全ては、第1の融点温度で溶融しないが、PEN及びPETのような、より高融点温度を有していてもよい材料から形成されるかもしれない。PENは、MD糸40を形成する材料として使用されるかもしれず、そしてPET又はポリアミドは、CD糸42及びバインダー糸44を形成する材料として使用されるかもしれない。従って、熱処理の間、第1層32のCD単繊維糸36及びMD糸単繊維糸38は、部分的に溶融し、かつ互いに接合する。結合可能な単繊維糸は、溶融後に本質的な強さ及び弾性を保持する材料から形成されるかもしれない。
【0050】
あるいはまた、第1層32中のCD単繊維糸36だけが溶融可能な糸、例えば、MXD6から形成されるかもしれない。その他の糸は、PEN、PETあるいは高溶融ポリアミドから形成されるかもしれない。
【0051】
したがって、第1層中のCD糸又はMD糸とCD糸との少なくともいくつかは、溶融可能及び/又は結合可能な糸かもしれない。更に、第2層中のCD糸及び/又はMD糸の少なくともいくらかは、溶融可能及び/又は結合可能な糸かもしれない。
【0052】
更に、布30のバインダー糸44は、第1の融点温度を有する材料から形成されるかもしれない。バインダー糸44は、自身の形状を曲げるために第1の融点温度に加熱されるかもしれない。その後、バインダー糸44は布30の紙側においてそれほど突起していないかもしれなくて、それによりシート痕跡を減少させる。
【0053】
図3は、CD糸54の第1(上部)層52、CD糸58の第2(中間)層56、CD糸62の第3(底部)層60、並びに上部、中間及び底部と織り交ぜられたMD糸64のシステムを含む布50の部分断面図である。CD糸54、58及び62は、垂直に積み重ねられた関係にあり、そしてその他の糸が第1の融点温度より高い融点温度を備えた材料から選ばれるかぎりは、第1の融点温度を有する材料から形成されるかもしれない。CD糸54、58及び62の少なくともいくつかを部分的に溶融する第1の融点温度へ布50を熱処理又は加熱することにより、クロス機械方向堅さ及び端部カールに対する抵抗の増加を引き起こすかもしれない。更に、結合は、糸が交差点で平らに又は部分的に溶けるかもしれないので縮小された布厚さに結びつくかもしれないし、またそれによって構造物中の空隙容量を縮小してより「平面」になるかもしれない。
【0054】
本発明の結合可能又は溶融可能な糸は、参照によって本発明に組込まれた特許文献1で提供されるような修正形の薄い3重層布(修正形の縦糸強化した織り布)の中で使用されてもよい。図4a及び4bは、本発明の別の実施例による布70の紙側及び摩耗側の側面図である。薄い3重層布70は、MD糸単繊維糸72及びm≧2のmシード繰り返しパターンでのCD単繊維糸74、及びMD強化した糸76(MDR)を提供する。MDR糸76は、n≧2、好ましくはn≧5のnシード繰り返しパターンでのCD単繊維糸74と、1つのCD糸ごとに繰り返す折れ角を形成するMDR糸72と、の間を織り込む(mとnが同じ値を有するかもしれない又は示すかもしれないことに注目すべきである)。CD糸単繊維糸74が、MXD6のような、接合可能糸又は溶融可能糸から形成されているかもしれない一方、MD糸単繊維糸72はPENから形成されるかもしれない。MDR糸76は、CD単繊維糸74、この場合MXD6と同じポリマーから形成されるかもしれない。結合が、図4a中で示されるように、MDR糸76とCD単繊維74との間の交差点78で折り角形成が生じるかもしれない。図4aは交差点78を例証しているが、図4b中で示されるように交差点80でMD強化糸76がCD単繊維糸の下方を通過するところで、更に結合が生じるかもしれない。
【0055】
ポリマーのような結合は、強い結合をもたらすかもしれないし、薄層状からなる成形布中の不薄層化を防止するかもしれない。更に、類似の材料の熱接合する糸は、それらが曲げに抵抗するかもしれないような構造物を堅くする手段をもたらすかもしれない。したがって、寸法安定性は向上するかもしれないし、また端部カールが減少するかもしれない。
【0056】
更に、結合可能又は溶融可能なポリマーは、熱結合後に単繊維の本来の強さの本質的な部分を保持し、それにより、高い弾性係数及び寸法安定性を維持する。
【0057】
更に、本発明の布は、継ぎ目の強さを改善するかもしれない。上部の縦糸及び上部のシュートとの間の熱結合は、布継ぎ目を保持する糸に関連した摩擦力より強い。例えば、シュートと縦糸は、共に熱結合するこれらのシュートと縦糸が同じ材料から形成されるかもしれない。別の例において、シュートの表面だけが、熱処理中に溶融かつ変形する材料から形成されるかもしれない。これらの熱処理された単繊維中の表面の変形は、従来の成形布継ぎ目に生じる機械的ロック(折れ角のみの結果の際)に対して縦糸が機械的ロックの増加を受けるような、縦糸とのより親密に接触するシュートに帰着する。
【0058】
従って、本発明の布は、継ぎ目の強さを改善し、端部カールを除去し、シート形成を改善し、寸法安定性を改善し、布低品位を減少するかもしれない。
【0059】
糸は結合可能又は溶融可能であると説明されるMXD6から形成されるが、本発明はそのように制限されない。MXD6から形成された糸は、接合又は溶融以外に本発明中で使用されてもよい。特に、MXD6単繊維糸は、薄層状からなる布、例えば3重層布中のバインダー糸を形成するために使用されてもよい。より明確には、MXD6単繊維が、ポリエステルのように良好な湿潤から乾燥での寸法安定性、ポリアミドのような良好な耐摩耗性、を有していてもよいことは知られている。
【0060】
更に、単繊維糸の構成要素としてのMXD6の使用は、良好な収縮率、収縮力、良好な耐摩耗性並びに布摩耗及びカール特性を改善した結果の弾性係数を有する。
【0061】
従って、本発明の目的及び長所が実現され、そして好ましい実施例はここに詳細に開示され、かつ記述されたが、その範囲と目的はそれによって制限されるべきでなく;より正確に言えば、その範囲は添付した特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
10、30、50、70 布
12、32、52 第1層
14、34、56 第2層
16、20、36、40、54、58、62、74 CD糸
18、22、38、42、72 MD糸
23 結合位置
44 バインダー糸
60 第3層
76 MDR糸
78、80 交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有する第1層;
複数のMD糸とCD糸を有する第2層;
前記第1層と前記第2層中の前記MD糸とCD糸は単繊維糸であり;
前記第1層の前記CD糸の少なくともいくつか、並びに前記第2層の前記CD糸の少なくともいくつかを含むある群は、第1の融点温度を有し、そしてその他の糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;また
前記布は、その他の糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱され;及び
前記群の前記第1層のCD糸並びに前記群の前記第2層のCD糸は、加熱される以前に互いに接触あるいは互いに近接しており、前記前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合する、
ことを含む形成布として使用される抄紙布。
【請求項2】
前記第1層のMD糸及び前記第2層のMD糸が、第1の直径を持っており、かつ
前記第1層のCD糸及び前記第2層のCD糸が、前記第1の直径と同等あるいはより大きい直径を有する請求項1の抄紙布。
【請求項3】
前記群の前記糸が、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されるMXD6から形成される請求項1の抄紙布。
【請求項4】
前記第1層の前記MD糸と前記第2層の前記MD糸が、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリエチレン・テレフタレート(PET)から形成される請求項3の抄紙布。
【請求項5】
前記第1の融点温度がおよそ230℃〜234℃の範囲値を有しており、かつ前記布が、そこでおよそ60〜180秒の範囲にある前もって決められた時間加熱される請求項3の抄紙布。
【請求項6】
前記糸が、前記布が加熱される場合、およそ0.07〜0.25cN/dtexの範囲値の引張り下に置かれる請求項5の抄紙布。
【請求項7】
前記布が、バインダー糸を含んでいない請求項1の抄紙布。
【請求項8】
クロス機械方向(CD)糸の第1層;
CD糸の第2層;
CD糸の第3層;及び
第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸で結合される複数の機械方向(MD)糸;
前記機械方向(MD)糸及び前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸が、単繊維であり;
前記第1層、第2層及び第3層の前記CD糸の少なくともいくつかは、互いに垂直に積み重ねられた関係にあり、そして第1の融点温度を有し、また、MD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;及び
前記布は、MD糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される、
ことを含む形成布として使用される抄紙布。
【請求項9】
前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸のものが、加熱される以前に互いに接触あるいは互いに近接しており、前記前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合する請求項8の抄紙布。
【請求項10】
前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸が、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されるMXD6から形成される請求項9の抄紙布。
【請求項11】
前記第1の融点温度がおよそ230℃〜234℃の範囲値を有しており、かつ前記布が、そこでおよそ60〜180秒の範囲にある前もって決められた時間加熱される請求項10の抄紙布。
【請求項12】
前記糸が、前記布が加熱される場合、およそ0.07〜0.25cN/dtexの範囲値の引張り下に置かれる請求項11の抄紙布。
【請求項13】
前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸が、前もって決めた温度に加熱後の前記MD糸に熱融合する以前に、前記MD糸に接触あるいは近接している請求項9の抄紙布。
【請求項14】
複数の機械方向(MD)糸、並びに、
m≧2のmシード繰り返しパターンで織り込まれたクロス機械方向(CD)糸、並びに、
各々n≧2のnシード繰り返しパターンを有する複数のMD強化糸(MDR)、及び
前記MDR糸が、1つのCD糸ごとに繰り返す折れ角を形成し;
前記MD糸とCD糸及び前記MDR糸は単繊維糸であり;
前記MDR糸の少なくともいくつか及び前記CD糸の少なくともいくつかは、第1の融点温度を有しており、そしてMD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;
前記布は、MD糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱され;
前記MDR糸は、加熱される以前にCD糸と接触あるいは近接し、前記前もって決めた温度に加熱された後に前記CD糸に接合する、
ことを含む形成布として使用される抄紙布。
【請求項15】
前記MDR糸の少なくともいくつか及び前記CD糸の少なくともいくつかは、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されるMXD6から形成される請求項14の抄紙布。
【請求項16】
前記MD糸が、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される請求項15の抄紙布。
【請求項17】
前記第1の融点温度がおよそ230℃〜234℃の範囲値を有しており、かつ前記布が、そこでおよそ60〜180秒の範囲にある前もって決められた時間加熱される請求項15の抄紙布。
【請求項18】
前記糸が、前記布が加熱される場合、およそ0.07〜0.25cN/dtexの範囲値の引張り下に置かれる請求項17の抄紙布。
【請求項19】
複数の機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有する第1層;
複数のMD糸とCD糸を有する第2層;
前記第1層の前記MD糸及び前記第2層の前記MD糸、又は前記第1層の前記CD糸及び前記第2層の前記CD糸を結合させる複数のバインダー糸;
前記第1層と前記第2層中の前記MD糸とCD糸、及び前記バインダー糸は単繊維糸であり;及び
前記バインダー糸が、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されるMXD6から形成される
ことを含む形成布として使用される抄紙布。
【請求項20】
複数の機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有する第1層を織る工程;
複数のMD糸とCD糸を有する第2層を織る工程;
前記第1層と前記第2層中の前記MD糸とCD糸は単繊維糸であり;
前記第1層の前記CD糸の少なくともいくつか、並びに前記第1層の前記CD糸の少なくともいくつかを含むある群は、前記第1の融点温度を有し、そしてその他の糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;
前記布が、その他の糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される工程;及び
前記群の前記第1層のCD糸並びに前記群の前記第2層のCD糸が、加熱される以前に互いに接触あるいは互いに近接し、前記前もって決めた温度に加熱された後に互いに接合すること、
を有する成形布として使用される抄紙布の製造方法。
【請求項21】
クロス機械方向(CD)糸の第1層を織る工程;
CD糸の第2層を織る工程;
CD糸の第3層を織る工程;及び
前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸で結合される複数の機械方向(MD)糸を織る工程;
前記機械方向(MD)糸及び前記第1層、第2層並びに第3層の前記CD糸が、単繊維であり;
前記第1層、第2層及び第3層の前記CD糸の少なくともいくつかは、互いに垂直に積み重ねられた関係にあり、そして第1の融点温度を有し、また、MD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;及び
前記布が、MD糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される工程、
を有する成形布として使用される抄紙布の製造方法。
【請求項22】
複数の機械方向(MD)糸、並びに、
m≧2のmシード繰り返しパターンで織り込まれたクロス機械方向(CD)糸、並びに、
各々n≧2のnシード繰り返しパターンで複数のMD強化糸(MDR)、及び
前記MDR糸が、1つのCD糸ごとに繰り返す折れ角を形成するように織る工程;
前記MD糸とCD糸及び前記MDR糸は単繊維糸であり;
前記MDR糸の少なくともいくつか及び前記CD糸の少なくともいくつかは、第1の融点温度を有しており、そしてMD糸は1つ以上の融点温度を有し、各融点温度は前記第1の融点温度より高く;
前記布が、MD糸の前記1つ以上の融点温度の各々よりなおいっそう低い前記第1の融点温度と少なくとも等しい前もって決められた温度に加熱される工程;
前記MDR糸は、加熱される以前にCD糸と接触あるいは近接し、前記前もって決めた温度に加熱された後に前記CD糸に接合すること、
を有する成形布として使用される抄紙布の製造方法。
【請求項23】
複数の機械方向(MD)糸及びクロス機械方向(CD)糸を有する第1層を織る工程;
複数のMD糸とCD糸を有する第2層を織る工程;
前記第1層の前記MD糸及び前記第2層の前記MD糸、又は前記第1層の前記CD糸及び前記第2層の前記CD糸を結合させる複数のバインダー糸を織る工程;
前記第1層と前記第2層中の前記MD糸とCD糸、及び前記バインダー糸は単繊維糸であり;及び
前記バインダー糸が、メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の重縮合によって形成されるMXD6から形成すること
を有する成形布として使用される抄紙布の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−184848(P2011−184848A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100062(P2011−100062)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【分割の表示】特願2007−541246(P2007−541246)の分割
【原出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】