説明

形材並びにこれを用いた照明器具及び建材

【課題】 発光手段に関する上記各課題の放熱、防水及び漏電等の問題を解決することができる形材と、これに発光手段を組込んだ照明器具と、さらにこの照明器具を建材に組み込んで一体化させた新規な建材を提供することを目的とする。
【解決手段】 形材1は、形材本体10とこれに止着される形材押縁11、11から構成されている。これらはアルミニウム押出形材であって、断面が略C字状に構成されるもので、発光手段としてのLEDプレート2が押圧手段としての前記形材押縁11により形材本体10に押し付けられ、そのLEDプレート2の上からコーティング材3が充填されて照明器具4が構成されている。前記形材1の自由端112の端部114は、この形材10に充填されるコーティング材3の充填の基準になると共に、前記形材1全体に均一な厚さのコーティング層を形成する場合の基準線となり、コーティング層の均一な厚さによる防水性の向上に資する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形材と、これに発光手段を組込んだ照明器具に関し、さらにその照明器具を建材に組み込んで一体化させた新規な建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LEDパッケージ(砲弾型LED)を基板上に複数個、連続的に配置したLEDモジュール等の発光手段を形材に取付ける技術は公知である(特許文献1)。
即ち、この特許文献1において、発光パネルを構成する発光体取付部材は、発光体(本書では発光手段と称する)を収納するもので、アルミニウム合金の押出形材から構成されている。その本体部の上面に、複数の放熱フィンが突出した放熱部を備えると共に、本体部に固定される発光手段は、後にエポキシ樹脂を充填して防水してある旨が記載されている(同文献段落0007、0008)。
【0003】
発光手段については、その放熱の効率を上げることが、従来から解決すべき技術的課題として挙げられている。
この特許文献1の発光体取付部材においては、前記放熱フィンからなる放熱部を備えることにより、放熱対策が施されている。
この放熱対策を徹底するには、発光手段を形材に固定する場合にも配慮されるべきである。
しかし、この特許文献1では、発光手段を発光体取付部材にどのように固定するのか、その具体的な構成、方法は明確ではない。
発光手段を固定する場合に、両面テープ或いは接着剤を用いるとすれば、放熱の効率が落ちることとなる。
【0004】
また、発光手段を構成する発光ダイオードのベアチップ(以下、LEDチップとも称する)、封止樹脂等の劣化の防止のためには、発光手段の防水を図ることが、重要な技術的課題とされている。
この特許文献1においては、発光手段の防水については、エポキシ樹脂を充填して防水してある旨の記載が見られる。
しかし、ここでも、防水の具体的な構成、方法は明確ではなく、発光手段に対する防水が不完全であれば、発光手段の劣化につながり、封止樹脂のクラックが進めば漏電の問題にもつながり易くなる。特に屋外で使用される照明器具においては、防水が不完全な発光手段は漏電の問題に直結し易いこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−271734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、発光手段に関する上記各課題の放熱、防水及び漏電等の問題を解決することができる形材と、これに発光手段を組込んだ照明器具と、さらにこの照明器具を建材に組み込んで一体化させた新規な建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、次のような構成の形材とする。
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、この形材に充填されるコーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備えることを特徴とする形材である(請求項1の発明)。
【0008】
熱伝導性が良好な形材は、アルミニウム、銅、鉄等の金属製の形材であって、典型的なものはアルミニウムの押出形材である。
かかる形材では、発光手段(詳細は後述)からの放熱を直接的に形材で受けて、これを、その全表面から空気中等に放熱することで、放熱の効率が高まる。
【0009】
断面が略C字状の形材であるから、その開口がC字の自由端によって形成され、その開口の内側にスペース部が形成される。
このスペース部に発光手段を配置して、コーティング材(充填材)を充填する。
【0010】
発光手段の構成は、次の2つの形態が提案される。
その1は、予め発光手段を製作して前記スペース部に収納する形態と、その2は、形材自体を基板として、発光手段を作成する形態である。
【0011】
予め製造される発光手段は、LEDチップを封止したLEDパッケージ(砲弾型LED)、このLEDパッケージを基板上に複数個、連続的に配置したLEDモジュール、LEDチップを電極パターンが描かれた基板に直接配置したモジュール(以下、LEDプレートと称する)から構成される。
【0012】
具体的には、LEDプレートは、例えば配線パターン及びアンカー部が形成される基板と、前記配線パターン上に施される補助メッキ及び金メッキを介して電極が接続されるLEDチップからなる。
ここにLEDチップは、単一の発光色のもの、赤色、緑色及び青色に発光する各チップを並べたマルチタイプのもの等がある。
前記電極の接続個所を除いて形成される印刷層を備えているLEDプレートでもよい。
【0013】
前記LEDプレートにおいて、予めコーティング層を形成したものでもよいし、このコーティング層に撹拌され、且つ、脱泡されて混入され、前記LEDチップの発光を波長変換させる蛍光体を備えたもので、例えば白色発光させるものでもよい。
前記コーティング層は基板全体又はLEDチップの周囲にレンズ状(凸状)に形成されるようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記凸状のコーティング層を第1のコーティング層とし、さらに第1のコーティング層の上から基板全体に第2コーティング層を形成したものでもよい。
【0015】
形材自体を基板として発光手段を作成する形態としては、形材のスペース部の底部に、絶縁層を介して電極パターンを形成し、そこに前記各種のLEDチップを直接配置し、その上から前記各種のコーティング層を形成することで構成される。
【0016】
形材に充填されるコーティング材は、自由端の端部が、その充填の基準となるので、形材全体に均一な充填が可能になる。
【0017】
上記課題を解決するため、次のような構成の形材でもよい。
発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部を備え、且つ、熱伝導性が良好な形材であり、前記スペース部に収納される発光手段を形材に押圧する押圧手段によって前記発光手段が接する受熱部を備えたことを特徴とする形材である。
【0018】
前記発光手段としては、前記LEDプレート等の予め発光手段を作成するものであって、前記スペース部に収納する形態のものを用いる。
かかる発光手段は、前記押圧手段により形材に直接接することで、放熱性能を向上させることができる。
【0019】
上記課題を解決するため、次のような構成の形材とする。
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部と、前記スペース部に収納される発光手段を形材に押付ける押圧手段によって前記発光手段が接する受熱部を備えたことを特徴とする(請求項2の発明)。
【0020】
かかる形材は、上記各形材の各構成を合わせたもので、上記作用効果と同様な作用効果を奏することができる。
【0021】
上記課題を解決するため、次のような構成の照明器具とする。
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備える形材に対し、前記スペース部に収納され、且つ、その両端部が前記自由端を介して押付けられた前記発光手段と、前記自由端の端部まで充填されるコーティング材によるコーティング層を備えた照明器具とする(請求項3の発明)。
【0022】
前記照明器具の製造方法は、次の通りである。
前記形材の前記スペース部に、前記発光手段を収納し、この発光手段の両端部を前記自由端を介して押付け、前記自由端の端部までコーティング材を充填して製造する(請求項4の発明)。
【0023】
上記課題を解決するため、次のような構成の照明器具とする。
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備える形材に対し、前記スペース部に収納され、且つ、その両端部が前記自由端と前記発光手段間に配置された弾性体に押付けられた前記発光手段と、前記自由端の端部まで充填されるコーティング材によるコーティング層を備えた照明器具とする(請求項5の発明)。
【0024】
前記照明器具の製造方法は、次の通りである。
前記形材に対し、前記スペース部に、前記発光手段を収納し、この発光手段の両端部と前記自由端間に弾性体を配置して前記発光手段を形材に押付け、前記自由端の端部までコーティング材を充填することで製造される(請求項6の発明)。
【0025】
上記課題を解決するため、次のような建材とする。
上記各照明器具を内ケースとし、この内ケースを収納する外ケースからなる建材とした(請求項7発明)。
上記各照明器具を構成する形材の側部の外側に、その側面に対して垂直なヒレ片又は窪み部を備えた内ケースと、この内ケースをそのヒレ片又は窪み部を介して所定範囲で角度自在に取付ける外ケースからなる建材とした(請求項8発明)。
【発明の効果】
【0026】
以上の形材によれば、形材の自由端の端部がコーティング材の充填の基準となるので、形材全体に均一な厚さのコーティング層が形成される。
また、押圧手段により、発光手段が直接的に形材に押しつけられて、放熱効率を上げることができる。
かかる形材から構成される照明器具は、防水性能及び放熱性能が向上し、耐候性、耐久性を向上させることができる。
また、このように照明器具から構成される建材は、建物の外壁、室内の壁面等に取付られ、建物の出入り口、通路等での足元の照明として安全、安心感を与え、また建物のライトアップにも資する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】形材に発光手段を組み込んだ照明器具の平面図、
【図2】(A)は図1に示したA−A´線断面図、(B)は同B−B´線断面図、
【図3】(A)同照明器具を組み込んだ建物の正面外観図、(B)(A)に示したA−A´矢視断面図、
【図4】形材に発光手段を組み込んだ照明器具の平面図、
【図5】同A−A´線矢視断面図、
【図6】照明器具を内ケースとした場合の外ケースの断面図、
【図7A】図6の外ケースと照明器具からなる建材を取付けた建物出入口の正面外観図、
【図7B】同要部縦断面図、
【図8A】図6の外ケースと照明器具からなる建材を取付けた建物出入口及びその周囲外壁の正面外観図、
【図8B】同要部縦断面図、
【図9】別例の外ケースの側面図、
【図10】別例の収納材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
図1及び図2に基づいて、本発明に係る形材及びこれを用いた照明器具の実施例1を説明する。
実施例1の形材1は、形材本体10とこれに止着される形材押縁11、11から構成されている。
これらはアルミニウム押出形材であって、断面が略C字状に構成されるもので、発光手段としてのLEDプレート2が押圧手段としての前記形材押縁11により形材本体10に押し付けられ、そのLEDプレート2の上からコーティング材3が充填されて照明器具4が構成されている。
【0029】
前記形材本体10は長尺状のもので、その断面形状が、図2のように略コ字状に形成されて両側部100と底部101を備えており、形材の全表面が放熱部102になっている。
底部101には、前記LEDプレート2が配置される領域に前記LEDプレート2の接触面と同一形状(実施例1では平面状)の受熱部107と、その左右に前記形材押縁11に係合される係合片103、103とが設けられている。
前記受熱部107は、形材本体10の他の各部に比べて、約2倍程度の肉厚に成形されており、放熱の効率を高めるようにしている。
【0030】
前記形材押縁11は、前記形材本体10と同様に長尺状のもので、略L字状に形成され、その横辺110が前記本体10の側部100、100でネジ等で止着され、その縦辺111が自由端112となっていて、形材10の開口104を構成すると共に、それぞれ下方に傾斜する第1の傾斜面113と、この形材10に充填されるコーティング材3の充填の基準となる第1の傾斜面の端部114と、その端部114から内側に折り返される第2の傾斜面115と、その傾斜面115の端部に形成される押縁片116と、前記係合片103に係合される係合溝117が形成されている。
【0031】
第1の傾斜面113は、前記端部114まで充填されているコーティング材3によって形成されるコーティング層で拡散される光の放射が自由端112によって規制されないように形成されている。よって、充填後においては、第1の傾斜面113が光の放射範囲を拡大させることができる。
第1の傾斜面113の端部114は、長尺な前記形材本体10に沿って、コーティング材3の充填ラインを形成することから、前記形材10全体に、均一な厚さのコーティング層が形成される。
なお、実施例1では自由端112に第1の傾斜面113を設けているが、傾斜面113を設けなくとも、自由端112の端部をコーティング材3の充填ラインにすることができる。
第2の傾斜面115と前記端部114を通る鉛直線とからなす角度は、コーティング層の剥落を防ぐために必要な大きさであり、一方、その角度が大きすぎると、コーティング材3を紫外線照射によって硬化させる際に、その近辺のコーティング材3が硬化しない恐れがあると共に、発光手段が形材10から抜け出し易くなってしまう。
よって前記角度はコーティング層の剥落防止と発光手段の抜け防止の両立が図られる値(前記鉛直線に対して0°以上に内側に傾斜させる値)となっている。
【0032】
前記押縁片116は、LEDプレート2の長尺方向に沿った両端部20、20を押え込み、プレート全体を受熱部107に強く押し付けるために、LEDプレート2との接触面積を小さくするように形成されている。
前記係合溝117は、前記係合片103の先端の突起を係合することで、LEDプレート2を押え込む前記押縁片116の位置を保持できるようにしている。
【0033】
このように形成される前記形材1は、前記形材押縁11と前記係合片103と受熱部107によって囲まれる空間によって、LEDプレート2を収納すると共にコーティング材3を充填するスペース部105が形成されることとなる。
【0034】
前記LEDプレート2は、図2(A)のように、前記コーティング層がLEDチップの周囲にレンズ状(凸状)に形成されているもので、図1で図示するように、かかるLEDプレート2をその長尺方向に4枚連続させて、各LEDプレート2の継目にも、均一なコーティング層(図2(B)参照)が形成されるようになっている。
【0035】
この実施例1では、一枚の基板に100個のLEDチップが配置されたLEDプレート2のものであったが、これに限定されるものではなく、例えばLEDチップ数は48チップ、24チップでもよい。
また、このタイプのLEDプレートに限定されることなく、上記各タイプのLEDプレートでもよい。
その他、交流を整流するブリッジ整流回路の配線パターンが形成される基板と、前記配線パターンに、交流電源の極性に対応して点灯可能な範囲の数量で直列に、且つ、交流電源の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして、それぞれ接続されるベアチップを備えたLEDプレートでもよい。
【0036】
また、実施例1の照明器具4のLEDプレート2は、4基のLEDプレート2がシームレス状に連続するものであったが、その設置環境に応じて各LEDプレート2間に間隔をあけて、その基数を調整するようにしてもよい。
【0037】
図面中、符号「5」は電源側に接続されるコネクタ、同「6」は充填されるコーティング材が形材から漏れ出すことを防ぐ端部塞ぎ、同「7」は連結銅線である。
【0038】
以上のように構成される形材1とLEDプレート2によって構成される照明器具4を組み立てる方法は、次のようである。
前記形材本体10に、4枚のLEDプレート2を収納し、前記受熱部107に載せると共に、各LEDプレート2を連結銅線7を介して電気的に接続する。
次に、LEDプレート2の長手方向に沿って両端部20、20に前記形材押縁11の押縁片116を押当てて、前記係合溝117と前記係合片103を係合させて、前記形材押縁11を形材本体10にネジ止めする。
次に、形材1の両端部を端部塞ぎ6で塞いで、前記端部114までコーティング材3としてのアクリル系樹脂を充填する。
その結果、前記端部114が基準となる、均一なコーティング層が形材1の全体に形成される。
なお、組み立て手順は、生産設備等に合わせて適宜変更することができる。
【0039】
以上のよう構成された照明器具4は、そのまま、建物の外壁、或いは室内の壁面、幅木、手摺等に固定される。
また、図3(A)及び同(B)のように、前記照明器具4を内ケース40として、これを外ケース80に組み込んで建材8として、建物の無目Mに固定するようにしてもよい。
なお、図3(B)の内ケース40には、外ケース80に組み込みための嵌合部41が設けてある。
【0040】
なお、これらの照明器具4に対する電源は大規模な建物へ設置する場合には、電源BOXからワイヤハーネスを介して各照明器具に接続され、電力が供給される。
一方、照明器具4を単位とする電源の供給は、電源コンセントからコネクタケーブルを介して行われる。
【0041】
上記実施例1の作用効果は、次の通りである。
(1) LEDプレート2が形材1の形材押縁11により形材本体10に押し付けられ、しかもLEDプレート2は肉厚の受熱部107に接しているので、放熱の効率が高められる。
(2) 自由端112の第1の傾斜面113は、コーティング材3によって形成されるコーティング層からの光の放射方向を妨げることがない。
(3) 第1の傾斜面113の端部114は、前記形材1全体に均一な厚さのコーティング層を形成する場合の基準線となり、コーティング層の均一な厚さによる防水性の向上のみならず、コーティング層から放射する光の強度の均一性等にも資する。
(4) 前記形材1全体に均一な厚さのコーティング層が形成されるので、LEDプレート2を複数枚に連続させる場合であっても、各LEDプレート2間の接続箇所の防水性を向上させることができる。
(5) 第2の傾斜面115の存在により、コーティング層の剥落が防げ、コーティング層を安定化することができる。
(6) 前記建材8は、建物の外壁の方立、無目、幅木又は/及び下枠に取付けられ、室内においては壁面の幅木等に取付けられ、建物の出入り口、通路等での足元灯、誘導灯の照明として、通行者等に安全、安心感を与え、また建物のライトアップを図ることができる。
【実施例2】
【0042】
図4及び図5に基づいて、本発明に係る実施例2の形材及び照明器具の構成例を説明する。
この実施例2に係る形材1A及び照明器具4Aが、実施例1に係る形材1及び照明器具4と異なる主な点は次の通りである。
まず、形材1Aの構成において、実施例1のように形材本体10と形材押縁11に分離させることなしに、断面が略C字状の形材本体10Aを成形している。そして形材本体10Aの対向する自由端112Aに、それぞれ下方に傾斜する第1の傾斜面113Aと、この形材1Aに充填されるコーティング材3Aの充填の基準となる第1の傾斜面113Aの端部114Aと、その端部114Aから内側に折り返される第2の傾斜面115Aを備えると共に、さらに内側に第3の傾斜面118が形成されている。
【0043】
第2に、この形材本体10Aの左右の側部100aに、その側面100b、100bに略垂直なヒレ片106を設けたことである。
第3に、押圧手段として、前記形材押縁11に代えて、弾性材としてのナイロンテグス9を用いることである。
【0044】
前記形材本体10Aのスペース部105Aは、前記LEDプレート2Aと接する前記LEDプレート2Aの接触面と同一形状(実施例2では平面状)の受熱部107Aと両側面108、108により形成されており、形材の全表面が放熱部102Aとなる(形材全体が放熱体となる)ことで放熱効率を高めている。
なお、受熱部107Aの厚さが実施例1に比べて薄くなっているのは、実施例2のLEDプレート2Aのチップ数が少ないことによる発熱量に違いによるものであり、放熱効率は同等である。
【0045】
前記ヒレ片106は、この照明器具4Aを内ケース40Aとして、外ケース80A(図6、図7(B)参照)に取付る場合に、その外ケース80Aに設けられた角度調整用の凹凸部81(後述)の凹部82に、照明器具4Aをスライド可能に取り付けるものである。
なお、前記ヒレ片106を窪み部(図示なし)として、前記凹凸部81の凸部にスライド可能に取り付けることもできる。
【0046】
前記ナイロンテグス9は、前記スペース部105Aを形成する受熱部107Aと両側面108、108にはめ込まれたLEDプレート2Aの両端部面20a,20aを、さらにその受熱部107A側に押付けるもので、形材本体10Aに対する絶縁性を図りつつ、放熱性を高めることができるようになっている。
【0047】
図4の図面中、符号「5A」は防水コネクタ(オス)と防水コネクタ(メス)、同「6A」は端部塞ぎ、同「7A」は連結プレートである。
その他の構成は、実施例1に係る形材1と照明器具4と共通にしており、詳細な説明は省略する。
【0048】
以上のように照明器具4Aの製造方法は、次のようである。
形材本体10Aのスペース部105Aを形成する受熱部107Aと両側面108、108に照明器具4Aをはめ込みつつ、その照明器具4Aを収納する。
次に、この照明器具4Aの両端20a、20aと、前記第3の傾斜面118、118の間に、それぞれ前記テグス9を押し込む。
次に、形材1Aの両端部を端部塞ぎ6Aで塞いで、前記端部114Aまでコーティング材3Aを充填する。
【0049】
上述の構成の照明器具4Aを内ケース40Aとして、これを角度自在に取り付ける外ケース80Aは、照明器具4Aと同様に長尺状のもので、図6のようにその断面形状が、略椅子型に成形され、その脚部に相当する壁面内側に、前後20度の範囲で前記照明器具4Aのヒレ片106をスライドさせつつ、取り付けることができる凹凸部81が形成されている。
かかる照明器具4Aが外ケース80Aに取り付けられることで、照明器具4Aの照射方向を設置環境に応じて、任意に、且つ、簡単に設定することができ
る。また、外ケース80Aの開口部である自由端84、84の間に保護・装飾プレート85を設けることでさらに防水性が高まる、新規な斬新な建材8Aが構成される。
なお、保護・装飾プレート85はポリカーボネート板等から成り、内ケース40Aの外側をカバーするものであり、任意の色を選択したり、表面に模様を施す等で、光の照射部を装飾することもできる。
【0050】
かかる建材8Aは、例えば図7(A)及び同(B)並びに図8(A)及び同(B)のように建物の外壁(サッシやカーテンウォール等も含む)の無目Mに固定するようにしてもよい。
また、かかる建材8Aを図7(A)及び同(B)並びに図8(A)及び同(B)のような収納材83を介して、幅木Hとしてもよい。
かかる収納材83は、前記建材8Aを固定する本体部830と、この本体部830の下方であって、前方に傾斜する傾斜面831を備え、照明器具4Aからの光を反射させる反射面を形成することができ、多様な光の演出が可能である。
【0051】
その他、図9のような外ケース80Bに前記照明器具4Aを取り付けて、前記照明器具4Aの外側に保護・装飾プレート85を設けることで建物の外壁に配置してもよいし、同様に構成された建材80Cを図10のような収納材83Aに取り付けて、室内の幅木として使用してもよい。
【0052】
実施例2の形材1A及び照明器具4Aのその他の構成は、実施例1と共通しており、同一の作用効果を奏する他、次のように作用効果を奏する。
(7) 前記ナイロンテグス9は、形材本体10Aに対する絶縁性を図りつつ、
LEDプレート2Aを形材1Aの受熱部107Aに押し付けることができるので、受熱部107AがLEDプレート2Aからの放熱を直接受けて、形材の全表面から放熱して、放熱性を高めることができる。
(8) 照明器具4Aを内ケース40Aとし外ケース80Aに組み込むことで、照明器具4Aの照射方向を設置環境に応じて、任意に、且つ、簡単に設定することができる、新規な斬新な建材8Aにすることができる。
(9) 照明器具4Aを内ケース40Aとし外ケース80Aに組み込み、外ケース80Aの開口部である自由端84、84の間に保護・装飾プレート85を設けることで、防水性がさらに向上し、耐候性、耐久性も高まる。
(10) この建材8Aと収納材83を組み合わせることで、照明器具4Aからの光を反射させる反射面により、多様な光の演出が可能である。
【0053】
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 1A 形材
10 10A 形材本体
100 100a 側部 101 底部
102 102A 放熱部 103 係合片
104 開口 105 105A スペース部
106 ヒレ片 107 107A 受熱部
108 108 側面

11 形材押縁
110 横辺 111 縦辺
112 112A 自由端 113 113A 第1の傾斜面
114 114A 第1の傾斜面の端部
115 115A 第2の傾斜面
116 押縁片 117 係合溝
118 第3の斜面
2 2A LEDプレート
20 20a LEDプレートの両端部

3 3A コーティング材

4 4A 照明器具 40 40A 内ケース
41 嵌合部

5 5A コネクタ

6 6A 端部塞ぎ

7 連結銅線
7A 連結プレート

8 8A 建材
80 80A 80B 80C 外ケース
81 角度調整用の凹凸部
82 凹部
83 83A 収納材
830 本体部 831 傾斜面
84 自由端
85 保護・装飾プレート

9 ナイロンテグス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、この形材に充填されるコーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備えることを特徴とする形材。
【請求項2】
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部と、前記スペース部に収納される発光手段を形材に押付ける押圧手段によって前記発光手段が接する受熱部を備えたことを特徴とする形材。
【請求項3】
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備える形材に対し、前記スペース部に収納され、且つ、その両端部が前記自由端を介して押付けられた前記発光手段と、前記自由端の端部まで充填されるコーティング材によるコーティング層を備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項4】
前記形材の前記スペース部に、前記発光手段を収納し、この発光手段の両端部を前記自由端を介して押付け、前記自由端の端部までコーティング材を充填することを特徴とする請求項3に記載の照明器具の製造方法。
【請求項5】
断面が略C字状の熱伝導性が良好な形材であって、発光手段とその上に充填されるコーティング材を収納するスペース部と、この形材の開口を構成し、且つ、対向する自由端と、前記コーティング材の充填の基準となる前記自由端の端部を備える形材に対し、前記スペース部に収納され、且つ、その両端部が前記自由端と前記発光手段間に配置された弾性体に押付けられた前記発光手段と、前記自由端の端部まで充填されるコーティング材によるコーティング層を備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項6】
前記形材に対し、前記スペース部に、前記発光手段を収納し、この発光手段の両端部と前記自由端間に弾性体を配置して、前記発光手段を形材に押付け、前記自由端の端部までコーティング材を充填することを特徴とする請求項5に記載の照明器具の製造方法。
【請求項7】
請求項3又は5に記載の照明器具を内ケースとし、この内ケースを収納する外ケースからなることを特徴とする建材。
【請求項8】
請求項3又は5に記載の各照明器具を構成する形材の側部の外側に、その側面に対して垂直なヒレ片又は窪み部を備えた内ケースと、この内ケースをそのヒレ片又は窪み部を介して所定範囲で角度自在に取付ける外ケースからなることを特徴とする建材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105611(P2013−105611A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248219(P2011−248219)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】