形状維持部材付コルゲートチューブおよびワイヤーハーネス

【課題】簡易な構成で、プロテクタの引き出し口からのコルゲートチューブの脱落を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】形状維持部材付コルゲートチューブ2は、コルゲートチューブ3と、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う一方の端部側に取り付けられる、形状維持部材4とを備える。形状維持部材4は、コルゲートチューブ3のスリットに配設した状態でコルゲートチューブ3に取り付けられるスリット配設部40と、スリット配設部40の一方の端部からさらに先に向かって延設され、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う端部においてスリットの両側の端縁部の内側部分を覆う、端側突起部44とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートチューブおよびプロテクタで、電線を覆う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤーハーネスにおいて、電線は、周囲の部材との接触による損傷防止等の目的で、屈曲性良好なコルゲートチューブにて覆われることがある。また、ワイヤーハーネスにおける、特定の部分(例えば、コルゲートチューブを突き破るおそれがある鋭利な突起物の付近に配索される部分等)では、樹脂等から形成された筒状のプロテクタが、電線に装着されることがある。
【0003】
ここで、コルゲートチューブの装着部分とプロテクタの装着部分との間に隙間ができると、そこから電線が露出してしまう。したがって、このような隙間ができないように、電線におけるコルゲートチューブが装着された領域の端部部分が、プロテクタ内に収容されることがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−88131号公報
【特許文献2】特開平8−168136号公報
【特許文献3】特開平8−182146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電線におけるコルゲートチューブが装着された領域の端部部分が、プロテクタ内に収容される場合、プロテクタの引き出し口からは、電線が内挿されたコルゲートチューブが引き出されることになる。このとき、プロテクタの引き出し口の寸法に対して、コルゲートチューブの外径寸法が小さすぎると、プロテクタの引き出し口からコルゲートチューブが脱落してしまうおそれがある。このような事態を回避するためには、プロテクタの引き出し口の寸法と略同じかそれよりも僅かに大きい外径寸法のコルゲートチューブを用いればよい。ところがこの場合であっても、コルゲートチューブ内に挿通される電線の外径寸法がコルゲートチューブの内径寸法に対して小さいと、コルゲートチューブの端部が潰れる等して、プロテクタの引き出し口からコルゲートチューブが脱落してしまうおそれがある。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、プロテクタの引き出し口からのコルゲートチューブの脱落を抑制できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、形状維持部材付コルゲートチューブであって、長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成され、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブの長手方向に沿う一方の端部側に取り付けられる、形状維持部材と、を備え、前記形状維持部材が、前記スリットに配設した状態で前記コルゲートチューブに取り付けられるスリット配設部と、前記スリット配設部の一方の端部からさらに先に向かって延設され、前記コルゲートチューブの長手方向に沿う端部において前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う、端側突起部と、を備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る形状維持部材付コルゲートチューブであって、前記スリット配設部が、前記スリット内に配設される連結部と、前記連結部の一方の縁部に配設され、前記スリットの両側の端縁部の外側部分を覆う外側突起部と、前記連結部の他方の縁部に配設され、前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う内側突起部と、を備える。
【0009】
第3の態様は、第2の態様に係る形状維持部材付コルゲートチューブであって、前記端側突起部が、前記内側突起部の一方の端部からさらに先に向かって延設され、前記内側突起部よりも幅広に形成される。
【0010】
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る形状維持部材付コルゲートチューブであって、前記端側突起部における、前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う面が、前記コルゲートチューブの内周面に沿う弧状曲面部分を備える。
【0011】
第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様に係る形状維持部材付コルゲートチューブであって、前記スリット配設部が、長手方向に沿って形状を維持するように形成された長尺状の部材である。
【0012】
第6の態様は、ワイヤーハーネスであって、第1から第5のいずれかの態様に係る形状維持部材付コルゲートチューブと、少なくとも1本の電線を有し、前記経路維持部材付コルゲートチューブ内に挿通されたワイヤーハーネス本体部と、前記形状維持部材付コルゲートチューブの延在方向に沿う一方の端部であって、前記コルゲートチューブの前記内側部分が前記端側突起部により覆われている部分と、前記端部から引き出されて延在する前記ワイヤーハーネス本体部とを、収容するプロテクタと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様によると、コルゲートチューブの長手方向に沿う端部においてスリットの両側の端縁部の内側部分が、端側突起部に覆われる。このため、コルゲートチューブに挿通される電線の外径寸法が、コルゲートチューブの内径寸法に比べて小さい場合であっても、コルゲートチューブの端部部分の変形(潰れ、巻き込み等)が生じにくい。その結果、プロテクタに収容されたコルゲートチューブの端部部分が、プロテクタの引き出し口から脱落しにくくなる。したがって、簡易な構成で、プロテクタの引き出し口からのコルゲートチューブの脱落を抑制できる。
【0014】
第2の態様によると、スリット配設部が、スリット内に配設される連結部と、スリットの両側の端縁部の外側部分を覆う外側突起部と、スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う内側突起部とを備えるので、経路維持部材がコルゲートチューブから外れにくい。
【0015】
第3の態様によると、端側突起部が、内側突起部よりも幅広に形成される。したがって、コルゲートチューブの端部の断面形状の変形を効果的に抑制できる。
【0016】
第4の態様によると、端側突起部における、スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う面が、コルゲートチューブの内周面に沿う弧状曲面部分を備える。したがって、コルゲートチューブの端部の断面形状が、円形状に維持されやすくなる。
【0017】
第5の態様によると、スリット配設部が、長手方向に沿って形状を維持するように形成された長尺状の部材である。この構成によると、コルゲートチューブによって電線を覆い、また、そのコルゲートチューブに取り付けられた形状維持部材によってコルゲートチューブの経路を一定に維持することができる。したがって、電線を覆いつつその経路を一定に維持することができる。
【0018】
第6の態様によると、コルゲートチューブの長手方向に沿う端部においてスリットの両側の端縁部の内側部分が、端側突起部に覆われており、この部分がプロテクタ内に収容される。このため、コルゲートチューブに挿通されるワイヤーハーネス本体部の外径寸法が、コルゲートチューブの内径寸法に比べて小さい場合であっても、プロテクタ内に収容されているコルゲートチューブの端部部分に、変形(潰れ、巻き込み等)が生じにくい。その結果、プロテクタに収容されたコルゲートチューブの端部部分が、プロテクタの引き出し口から脱落しにくくなる。したがって、簡易な構成で、プロテクタの引き出し口からのコルゲートチューブの脱落を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ワイヤーハーネスの構成を示す概略側面図である。
【図2】ワイヤーハーネスのうち経路維持部材付コルゲートチューブの装着部分を示す概略斜視図である。
【図3】図2のI−I線概略断面図である。
【図4】図2のII−II線概略断面図である。
【図5】コルゲートチューブに形状維持部材を取り付ける工程を示す説明図である。
【図6】プロテクタの引き出し口付近の様子を模式的に示す斜視図である。
【図7】図6のIII−III線概略断面図である。
【図8】変形例に係るワイヤーハーネスの構成を示す概略側面図である。
【図9】コルゲートチューブの巻き込み状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0021】
<1.ワイヤーハーネス>
実施形態に係るワイヤーハーネス100について、図1を参照しながら説明する。図1は、ワイヤーハーネス100の構成を示す概略側面図である。
【0022】
ワイヤーハーネス100は、ワイヤーハーネス本体部1と、形状維持部材付コルゲートチューブ2と、プロテクタ5とを備える。
【0023】
<1−1.ワイヤーハーネス本体部1>
ワイヤーハーネス本体部1は、複数の電線が結束された構成とされている。より具体的には、ワイヤーハーネス本体部1は、例えば、複数の電線が配設対象となる車両への配線形態に応じて分岐しつつ結束された構成とされている。なお、ワイヤーハーネス本体部1は、必ずしも分岐していなくともよい。また、ワイヤーハーネス本体部1は、単一の電線によって構成されていてもよい。また、ワイヤーハーネス本体部1には、他の光ケーブル等が結束されていてもよい。
【0024】
ワイヤーハーネス本体部1を車両等に配設する際、ワイヤーハーネス本体部1は定められた配設形態に沿って曲げられる。この際、ワイヤーハーネス本体部1は、これが周辺部分に干渉すること等を抑制するため、定められた配設形態に沿うような形状に維持されることがある。この実施の形態においては、ワイヤーハーネス本体部1に、形状維持部材付コルゲートチューブ2およびプロテクタ5が装着されることによって、ワイヤーハーネス本体部1が一定の形状に維持されるとともに、周囲に存在する物体との接触により破損等しないように保護される。なお、ワイヤーハーネス本体部1のうち、どの部分に形状維持部材付コルゲートチューブ2を装着し、どの部分にプロテクタ5を装着するかは、例えば、ワイヤーハーネス本体部1の配索形態、ワイヤーハーネス本体部1が配索される場所の環境等に応じて、規定される。例えば、ワイヤーハーネス本体部1のうち、コルゲートチューブを突き破るおそれがある鋭利な部品の付近に配索される部分には、プロテクタ5を装着し、それ以外の部分には、形状維持部材付コルゲートチューブ2を装着するとしてもよい。
【0025】
ここでは、形状維持部材付コルゲートチューブ2の装着部分とプロテクタ5の装着部分との間に隙間ができないように、プロテクタ5は、ワイヤーハーネス本体部1に装着されている形状維持部材付コルゲートチューブ2の端部部分を覆うように、装着される。すなわち、プロテクタ5には、ワイヤーハーネス本体部1に装着されている形状維持部材付コルゲートチューブ2の一方の端部部分と、当該端部から引き出されて延在するワイヤーハーネス本体部1(すなわち、ワイヤーハーネス本体部1における、形状維持部材付コルゲートチューブ2に覆われていない部分領域)とが、収容される。このため、プロテクタ5の引き出し口50からは、ワイヤーハーネス本体部1に装着されている形状維持部材付コルゲートチューブ2が、引き出された状態となる。
【0026】
<1−2.形状維持部材付コルゲートチューブ2>
形状維持部材付コルゲートチューブ2について、図1に加え、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、ワイヤーハーネス100のうち形状維持部材付コルゲートチューブ2の装着部分を示す概略斜視図(コルゲートチューブ3のスリット33の形成方向側からみた概略斜視図)である。ただし、図2においては、説明をわかりやすくするため、プロテクタ5の図示を省略している。図3は、図2のI−I線概略断面図である。図4は、図2のII−II線概略断面図である。図5は、コルゲートチューブ3に形状維持部材4を取り付ける工程を示す説明図である。
【0027】
形状維持部材付コルゲートチューブ2は、コルゲートチューブ3と、形状維持部材4とを備える。
【0028】
<a.コルゲートチューブ3>
コルゲートチューブ3は、長手方向に沿って環状凸部31と環状凹部32とが交互に形成された筒状部材であり、樹脂等で形成されている。コルゲートチューブ3は、環状凸部31と環状凹部32との間の段部等で、容易に弾性変形するため、それ自体では、全体として、曲げ変形容易な性質を有している。
【0029】
コルゲートチューブ3の一側部には、コルゲートチューブ3の長手方向に沿って、スリット33が形成されている。コルゲートチューブ3を、このスリット33で割開くようにして、ワイヤーハーネス本体部1をコルゲートチューブ3内に容易に配設できるようになっている。
【0030】
コルゲートチューブ3としては、その外径寸法が、プロテクタ5の引き出し口50の内径寸法と略同じかそれよりも大きい(僅かに大きい)程度の寸法のものが、用いられる。
【0031】
<b.形状維持部材4>
形状維持部材4は、例えば、P.P.(ポリプロピレン)等の樹脂を、例えば、金型成形することによって形成される部材であり、スリット33に配設した状態でコルゲートチューブ3に取り付けられるスリット配設部40と、スリット配設部40の一方の端部からさらに先に向かって延設された端側突起部44とを備える。
【0032】
<スリット配設部40>
スリット配設部40は、長手方向に沿って形状を維持するように形成された長尺状の部材であり、その長手方向に沿う形状は、例えば、金型成型の時点で、定められた形状に形成されている。スリット配設部40の長手方向に沿う形状は、ワイヤーハーネス本体部1のうち装着対象となる部分が配設される配設経路に応じた形状に、設定されている。図1に示す例では、スリット配設部40は曲げ形状とされており、スリット配設部40の長手方向の中間部が、なだらかなS字を描くように曲っており、スリット配設部40の両端部が、直線状に形成されている。なお、スリット配設部40のうち曲げた形状に形成される部分は、その全体であっても一部であってもよい。また、曲げた形状に形成される部分は、平面上で曲る形状に形成されていてもよいし、立体的(3次元的)に曲る形状に形成されていてもよい。また、スリット配設部40は、曲げた形状に形成される部分がない形状(すなわち、直線形状)に形成されていてもよい。
【0033】
スリット配設部40は、その長尺方向に沿う一対の凹溝部401,401が形成された部分を有している。一対の凹溝部401,401は、コルゲートチューブ3のうちスリット33の両側の端縁部を収容する機能部であり、後に詳述するように、一対の凹溝部401,401にコルゲートチューブ3のスリット33の両側の端縁部が収容された状態とされることによって、形状維持部材4がコルゲートチューブ3の長手方向に沿って取り付けられる。
【0034】
スリット配設部40は、具体的には、長尺状の連結部41の一方側(外周側)の縁部に外側突起部42が配設されるとともに、連結部41の他方側(内周側)の縁部に内側突起部43が配設された構成とされており、これによって、スリット配設部40は、その長手方向に対して直交する面における断面形状が略H字状を呈している。この構成において、連結部41の側面は凹溝部401の底面を形成する。また、外側突起部42の連結部41側の面(下方側の面)420および、内側突起部43の連結部41側の面(上方側の面)430は、凹溝部401の一対の側壁面を形成する。
【0035】
なお、各凹溝部401の幅寸法は、コルゲートチューブ3の厚み寸法(より具体的には、コルゲートチューブ3の径方向において環状凸部31の最外周部分と環状凹部32の最内周部分との差)と略同じかそれよりも大きい(僅かに大きい)程度の寸法に、設定されている。凹溝部401の深さ寸法は、コルゲートチューブ3の端縁部をその径方向に位置決めした状態で収容できる程度であればよく、特に限定はない。また、外側突起部42の外側面(連結部41と逆側の面)は、スリット配設部40がコルゲートチューブ3に取り付けられた状態において、コルゲートチューブ3の外周面に沿うような弧状曲面を呈している。
【0036】
<端側突起部44>
端側突起部44は、スリット配設部40の延在方向に沿う一方の端部(具体的には、内側突起部43の延在方向に沿う一方の端部)からさらに先に向かって延設される。つまり、端側突起部44は、凹溝部401の延在方向に沿う端部からさらに先に向かって延設される。ここで、端側突起部44の幅d44(図4参照)は、内側突起部43の幅d43(図3参照)よりも大きい寸法に形成される。また、端側突起部44は、平面視(端側突起部44の上面(連結部41側の面)440の法線方向から見た平面視)にて、矩形状(特に好ましくは、正方形状)に形成される。ただし、ここで「幅」とは、形状維持部材4がコルゲートチューブ3に装着された状態において、コルゲートチューブ3の周方向に沿う長さを指す。端側突起部44の幅d44は、例えば、コルゲートチューブ3の内円周の1/4以上の長さに設定することが好ましい。
【0037】
また、端側突起部44の上面440は、コルゲートチューブ3の内周面に沿う弧形状の曲面部分(弧状曲面部分)441,441を備える。具体的には、上面440のうち、端側突起部44の幅方向に沿って、幅d43の中央領域(すなわち、内側突起部43と連なる部分)は、平坦に形成され、当該中央領域を除く両端部が、コルゲートチューブ3の内周面に沿う弧状に曲げられることによって、弧状曲面部分441,441を形成している。なお、ここでは、上面440のうち、端側突起部44の幅方向に沿う中央領域は平坦領域であるとしたが、端側突起部の上面は、その幅方向に沿う全体が、コルゲートチューブ3の内周面に沿う弧状曲面に形成されてもよい。
【0038】
<c.取り付け態様>
形状維持部材4をコルゲートチューブ3に取り付ける態様について説明する。形状維持部材4をコルゲートチューブ3に取り付ける場合、先に、コルゲートチューブ3をスリット33で開いて、コルゲートチューブ3内にワイヤーハーネス本体部1が収容された状態とする。そして、ワイヤーハーネス本体部1が内挿されたコルゲートチューブ3に、形状維持部材4を取り付ける。この工程は、コルゲートチューブ3をスリット33で開いて、コルゲートチューブ3のうちスリット33の両側の端縁部を一対の凹溝部401,401内に収容することによって行われる。具体的には、例えば、図5に模式的に示されるように、形状維持部材4の長手方向に沿う一方の端部(好ましくは、端側突起部44が形成されていない側の端部)における、一対の凹溝部401,401の開口端のそれぞれから、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う一方の端部(対象端部)における、スリット33の両側の端縁部のそれぞれを差し込み、形状維持部材4を、スリット33の延在方向に沿って、相対的にスライド移動させていくことによって行われる。コルゲートチューブ3の対象端部が、形状維持部材4の、端側突起部44が形成されている側の端部に到達すると、形状維持部材4が、コルゲートチューブ3の対象端部側から、その長手方向に沿って、取り付けられた状態となる。ワイヤーハーネス本体部1が挿通されたコルゲートチューブ3に形状維持部材4が取り付けられることによって、ワイヤーハーネス本体部1に形状維持部材付コルゲートチューブ2が装着されることになる。
【0039】
形状維持部材4がコルゲートチューブ3に取り付けられた状態においては、一対の凹溝部401,401にスリット33の両側の端縁部(ただし、端縁部のうち、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う端部部分を除く延在部分であり、以下「収容端縁部分」ともいう)が収容された状態にとなり、スリット33の両側の端縁部のうち一対の凹溝部401,401に収容されなかった端縁部分(以下「露出端縁部分」ともいう)は、端側突起部44の上面440に配設された状態となる(図2に示される状態)。
【0040】
より具体的には、形状維持部材4がコルゲートチューブ3に取り付けられた状態においては、連結部41がスリット33内に配設され、外側突起部42がコルゲートチューブ3の外周面に沿って配設されて収容端縁部分の外側部分を覆い(より具体的には、外側突起部42の連結部41側の面が収容端縁部分の外側部分に当接あるいは近接してこれを覆い)、さらに、内側突起部43がコルゲートチューブ3の内周面に沿って配設されて収容端縁部分の内側部分を覆う(より具体的には、内側突起部43の連結部41側の面が収容端縁部分の内側部分に当接あるいは近接してこれを覆う)。また、端側突起部44がコルゲートチューブ3の内周面に沿って配設されて露出端縁部分の内側部分を覆う(より具体的には、端側突起部44の上面440が、露出端縁部分の内側部分に当接あるいは近接してこれを覆う)。以下において、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う一方の端部部分であって、その内側部分の周方向に沿う一部領域が端側突起部44によって覆われている部分を、「露出端部部分」ともいう。
【0041】
形状維持部材4が取り付けられると、コルゲートチューブ3は、スリット配設部40によって、その長尺方向に沿う経路が、形状維持部材4の形状に沿う形状となるように規制された状態で、当該形状維持部材4と一体化される。また、コルゲートチューブ3の露出端部部分は、内周面に沿って端側突起部44が配設されることにより、周方向に沿う断面形状が変形しないように規制される。
【0042】
<1−3.プロテクタ5>
プロテクタ5について、図1および図6を参照しながら説明する。図6は、プロテクタ5の引き出し口50付近の様子を模式的に示す図である。
【0043】
プロテクタ5は、上述したとおり、ワイヤーハーネス本体部1に装着されている形状維持部材付コルゲートチューブ2の一方の端部部分(具体的には、コルゲートチューブ3の露出端部部分が配置されている側の端部部分)と、当該端部から引き出されて延在するワイヤーハーネス本体部1とを、収容する長尺筒状の部材である。プロテクタ5は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの樹脂から成形される。
【0044】
プロテクタ5は、具体的には、例えば、内側に溝を形成する半筒状の本体部材501に、当該溝の開口を覆う蓋部材502がかぶせられることによって、筒状に形成される。本体部材501および蓋部材502それぞれの、長尺方向に沿う端部を塞ぐ壁部には、半円形状の切り欠きが形成されており、本体部材501に蓋部材502がかぶせられることによって、プロテクタ5の長尺方向に沿う端部を塞ぐ壁部51に、円形の貫通孔50が形成される。この貫通孔50は、プロテクタ5の内部から外部へ、ワイヤーハーネス本体部1およびこれに装着された形状維持部材付コルゲートチューブ2を挿通させるための引き出し口50として機能する。
【0045】
ここで、プロテクタ5を、形状維持部材付コルゲートチューブ2の端部部分および当該端部から引き出されるワイヤーハーネス本体部1に装着する態様について説明する。まず、ワイヤーハーネス本体部1に装着されている形状維持部材付コルゲートチューブ2における、コルゲートチューブ3の露出端部部分(すなわち、内側部分が端側突起部44に覆われている部分)を、本体部材501の壁部の切り欠きを介して本体部材501の溝内部に挿通された状態とし、さらに、当該端部から引き出されて延在するワイヤーハーネス本体部1を本体部材501の溝内部に挿通された状態とする。ただし、このとき、外側突起部42の延在方向に沿う端面(端側突起部44が配置されている側の端面)が、本体部材501の壁部の外側面に当接した状態とする。そして、本体部材501の開口に蓋部材502をかぶせて、ロック構造(図示省略)によって本体部材501に対して蓋部材502を固定する。これによって、プロテクタ5が装着される。
【0046】
プロテクタ5が装着された状態において、外側突起部42の延在方向に沿う一方の端面が、壁部51の外側面に当接した状態となるとともに、コルゲートチューブ3の露出端部部分が、引き出し口50において挟み込まれた状態となる。ここで、上述したとおり、コルゲートチューブ3の外径寸法は、プロテクタ5の引き出し口50の内径寸法と略同じかそれよりも大きい(僅かに大きい)程度の寸法である。したがって、引き出し口50を介してプロテクタ5の内部に収容された形状維持部材付コルゲートチューブ2は、引き出し口50において挟み込まれ、これによって、形状維持部材付コルゲートチューブ2が引き出し口50から脱落しないように挟持固定される。
【0047】
<2.効果>
上記の実施の形態においては、コルゲートチューブ3の外径寸法は、プロテクタ5の引き出し口50の内径寸法に応じて規定されるので、コルゲートチューブ3の内径寸法に対して、ワイヤーハーネス本体部1の外径寸法が、比較的小さくなる状況が発生する可能性がある。
【0048】
ここで、形状維持部材4を設けない場合、上記の状況においては、プロテクタ5からコルゲートチューブを引き抜く方向、あるいは、コルゲートチューブを曲げる方向に力がかかった場合に、コルゲートチューブの端部が潰れる、あるいは、図9に示されるように、コルゲートチューブの端部が、スリットの両側の端縁部の一方が他方の下側に潜り込んだ巻き込み状態となり、その結果、プロテクタ5の引き出し口50からコルゲートチューブが脱落する可能性がある。
【0049】
上記の実施の形態においては、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う端部(プロテクタ5に収容される側の端部)において、スリット33の両側の端縁部の内側部分が、端側突起部44に覆われており、この部分(すなわち、露出端部部分)がプロテクタ5内に収容される。したがって、図7(図7は、図6のIII−III線概略断面図である。)に示されるように、引き出し口50の付近において、コルゲートチューブ3は、内側から端側突起部44に支えられた格好となるため、上記の状況において、プロテクタ5からコルゲートチューブ3を引き抜く方向、あるいは、コルゲートチューブ3を曲げる方向に力がかかった場合であっても、プロテクタ5に収容されたコルゲートチューブ3の端部部分が潰れにくい。また、当該端部部分に巻き込み状態が形成されにくい。その結果、プロテクタ5に収容されたコルゲートチューブ3の端部部分が、プロテクタ5の引き出し口50から脱落しにくくなる。したがって、簡易に(例えば、ワイヤーハーネス本体部1の外径寸法に応じたコルゲートチューブやプロテクタ等をそれぞれ準備して使い分けなくとも)、プロテクタ5の引き出し口50からのコルゲートチューブ3の脱落を抑制できる。
【0050】
特に、上記の実施の形態においては、端側突起部44が、内側突起部43よりも幅広に形成される。したがって、コルゲートチューブ3の端部の断面形状の変形を効果的に抑制できる。その結果、プロテクタ5の引き出し口50からのコルゲートチューブ3の脱落が、確実に抑制される。
【0051】
また、上記の実施の形態においては、端側突起部44の上面440が、コルゲートチューブ3の内周面に沿う弧状曲面部分441,441を備える。したがって、コルゲートチューブ3の露出端部部分の断面形状が、円形状に維持されやすくなる。その結果、プロテクタ5の引き出し口50からのコルゲートチューブ3の脱落が、より確実に抑制される。
【0052】
また、上記の実施の形態においては、形状維持部材4は、コルゲートチューブ3の端部の変形を抑制する部材としての機能の他に、コルゲートチューブ3の経路を規制する部材としての機能を併せ持つ。すなわち、上記の実施の形態において、ワイヤーハーネス本体部1のうち、形状維持部材付コルゲートチューブ2が装着された部分は、コルゲートチューブ3によってワイヤーハーネス本体部1が覆われるとともに、そのコルゲートチューブ3に取り付けられた形状維持部材4によってその経路が一定に維持される。したがって、スリット配設部40を、ワイヤーハーネス本体部1の敷設箇所に合わせた形状に形成しておけば、ワイヤーハーネス本体部1が当該敷設箇所に合わせた一定の経路に維持されることになる。この構成においては、形状維持部材4自体でワイヤーハーネス本体部1を覆わなくてもよいため、形状維持部材4自体を小型かつ単純な形状にすることができる。このため、長手方向に沿って形状を維持するように形成された形状維持部材4を、比較的低コストで形成することができる。したがって、より低コストで、ワイヤーハーネス本体部1を覆いつつその経路を一定に維持できる。
【0053】
また、ワイヤーハーネス本体部1を曲げた状態に維持できる結果、当該ワイヤーハーネス本体部1を車両等に組付ける際に、車両に対する取り付け箇所を少なくすることができる。換言すれば、形状維持部材付コルゲートチューブ2の取り付け箇所が少なくても、ワイヤーハーネス本体部1を一定の曲げ形状に維持できる。このため、ワイヤーハーネス本体部1を取り付け固定するためのクランプ部材等の使用個数、取り付け作業を少なくすることができ、この観点からも、形状維持部材付コルゲートチューブ2の製造コスト、取り付け作業コストの低減を図ることができる。
【0054】
特に、形状維持部材4は、その長尺方向に沿って形成された一対の凹溝部401,401にコルゲートチューブ3のスリット33の両側の端縁部が収容された状態とされることによって、コルゲートチューブ3の長手方向に沿って取り付けられる。この構成によると、コルゲートチューブ3と形状維持部材4との取り付け位置関係が安定化するため、コルゲートチューブ3を、形状維持部材4の形状に沿った所期の形状に維持し易い。また、形状維持部材4がコルゲートチューブ3から外れにくい。さらに、スリット33が形状維持部材4の一部によって閉塞されることになるため、コルゲートチューブ3内のワイヤーハーネス本体部1がスリット33から外部に脱してしまうといった事態が発生しにくい。
【0055】
<3.変形例>
上記の実施の形態においては、形状維持部材4は、コルゲートチューブ3の端部の変形を抑制する部材としての機能と、コルゲートチューブ3の経路を規制する部材としての機能を併せ持つ構成であったが、形状維持部材は必ずしも後者の機能を有する必要はない。この変形例に係る形状維持部材4aについて、図8を参照しながら説明する。図8は、形状維持部材4aを備える形状維持部材付コルゲートチューブ2aが装着されたワイヤーハーネス100aの構成を示す概略側面図である。なお、以下においては、上記の実施の形態と同様の構成要素については、上記の実施の形態で用いた符号と同じ符号で示すとともに、その説明を省略する。
【0056】
形状維持部材4aは、上記の実施の形態に係る形状維持部材4とほぼ同様の構成を備えているが、スリット33に配設した状態でコルゲートチューブ3に取り付けられるスリット配設部40aの長さ(凹溝部の延在方向に沿う長さ)d40aが、形状維持部材4が備えるスリット配設部40の長さよりも短く形成されている。具体的には、スリット配設部40aは、その長さd40aが、端側突起部44をコルゲートチューブ3の内周面に沿って配設された状態に支持できる程度のものであればよく、例えば、端側突起部44の長さと略同一とされる。
【0057】
この変形例においても、コルゲートチューブ3の長手方向に沿う端部においてスリット33の両側の端縁部の内側部分が、幅広の端側突起部44に覆われる。したがって、コルゲートチューブ3の内径寸法に比べてワイヤーハーネス本体部1の外径寸法が小さくても、コルゲートチューブ3の端部が変形しにくく、コルゲートチューブ3が脱落しにくくなる。また、形状維持部材4aのサイズは、上記の実施の形態に係る形状維持部材4よりも小さくなるので、特に簡易な構成で、プロテクタ5に対してコルゲートチューブ3を固定できる。
【0058】
また、上記の実施の形態においては、端側突起部44の上面440に、弧状曲面部分441,441が形成される構成としたが、弧状曲面部分は必ずしも形成される必要はなく、端側突起部の上面は、その全域が平坦な形状であってもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態において、形状維持部材4がコルゲートチューブ3に取り付けられた後、必要に応じて、タイバンド、粘着テープ等がコルゲートチューブ3の外周に巻付けられ、コルゲートチューブ3の閉状態が維持されると共に、コルゲートチューブ3と形状維持部材4との一体化状態が維持されてもよい。また、コルゲートチューブ3自体に設けられたロック構造等によってコルゲートチューブ3の閉状態が維持されてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態においては、スリット配設部40は、連結部41と、外側突起部42と、内側突起部43とを備える構成としたが、スリット配設部40の延在方向に沿う一部、あるいは、全部において、内側突起部43が設けられない構成としてもよい。また、スリット配設部40の延在方向に沿う一部、あるいは、全部において、外側突起部42が設けられない構成としてもよい。
【0061】
また、スリット配設部40に、その長手方向に沿う形状を維持させる態様は、上記のものに限らない。例えば、スリット配設部は、ゴム、エラストマー等から形成された弾性を有する長尺部材と、当該長尺部材の延在方向に沿って埋設された、塑性変形可能で、かつ、塑性変形後に形状を維持できる形状維持線とから構成されてもよい。この場合、形状維持線は、金属線(鉄線、導線、ステンレス線、あるいは、これらの合金線等)、あるいは、塑性変形後にある程度の合成を有する樹脂等を用いて形成することができる。この構成の場合、形状維持線を、塑性変形させることによって、形状維持部材の長手方向に沿う形状を維持することが可能となる。
【0062】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0063】
100,100a ワイヤーハーネス
1 ワイヤーハーネス本体部
2,2a 形状維持部材付コルゲートチューブ
3 コルゲートチューブ
31 環状凸部
32 環状凹部
33 スリット
4,4a 形状維持部材
40 スリット配設部
41 連結部
42 外側突起部
43 内側突起部
44,44a 端側突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成され、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブの長手方向に沿う一方の端部側に取り付けられる、形状維持部材と、
を備え、
前記形状維持部材が、
前記スリットに配設した状態で前記コルゲートチューブに取り付けられるスリット配設部と、
前記スリット配設部の一方の端部からさらに先に向かって延設され、前記コルゲートチューブの長手方向に沿う端部において前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う、端側突起部と、
を備える、形状維持部材付コルゲートチューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の形状維持部材付コルゲートチューブであって、
前記スリット配設部が、
前記スリット内に配設される連結部と、
前記連結部の一方の縁部に配設され、前記スリットの両側の端縁部の外側部分を覆う外側突起部と、
前記連結部の他方の縁部に配設され、前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う内側突起部と、
を備える、形状維持部材付コルゲートチューブ。
【請求項3】
請求項2に記載の形状維持部材付コルゲートチューブであって、
前記端側突起部が、
前記内側突起部の一方の端部からさらに先に向かって延設され、前記内側突起部よりも幅広に形成される、
形状維持部材付コルゲートチューブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の形状維持部材付コルゲートチューブであって、
前記端側突起部における、前記スリットの両側の端縁部の内側部分を覆う面が、前記コルゲートチューブの内周面に沿う弧状曲面部分を備える、
形状維持部材付コルゲートチューブ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の形状維持部材付コルゲートチューブであって、
前記スリット配設部が、
長手方向に沿って形状を維持するように形成された長尺状の部材である、
形状維持部材付コルゲートチューブ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の形状維持部材付コルゲートチューブと、
少なくとも1本の電線を有し、前記経路維持部材付コルゲートチューブ内に挿通されたワイヤーハーネス本体部と、
前記形状維持部材付コルゲートチューブの延在方向に沿う一方の端部であって、前記コルゲートチューブの前記内側部分が前記端側突起部により覆われている部分と、前記端部から引き出されて延在する前記ワイヤーハーネス本体部とを、収容するプロテクタと、
を備える、ワイヤーハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115839(P2013−115839A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256911(P2011−256911)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】