説明

形状記憶材料、およびこれを製造する方法

この発明は概して、ニッケルチタン合金などの形状記憶および/または超弾性材料に関する。加えて、または代替的には、この発明は、体温よりも高い初期転移温度Afを有する超弾性または擬似弾性材料に関する。形状記憶材料は、材料の初期転移温度Afよりも低い温度で超弾性または擬似弾性特性を有し得る。たとえば、形状記憶材料は、初期転移温度Afよりも約0℃〜15℃低い超弾性または擬似弾性をもたらすためにその加工可能な温度を有し得る。形状記憶材料は、室温で展性があり得、体温で超弾性または擬似弾性となり得る。加えて、この発明は、形状記憶または超弾性材料を製造する方法に関する。処理プロトコルは、熱機械的処理、放射線処理および三元合金処理を含み得るがこれらに限定されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
この特許出願は、2003年4月18日に出願された米国仮特許出願第60/464,083号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
この発明は概して形状記憶材料に関する。より特定的には、この発明は、体温よりも高い初期転移温度Afを有する超弾性または擬似弾性材料に関する。加えて、この発明は、形状記憶材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ニッケルチタン(NiTi)合金は、形状記憶効果および超弾性の特性を有する。形状記憶現象とは、ほぼ半世紀前に初めて発見されたものであるが、材料が低温で1つの形状を呈し、より高い温度に加熱された後に別の形状を呈し得ることである。この材料は、より高い温度ではその元の形状となる。この材料は、より低い温度に冷却されると、その元の形状を保持するが、その構造をマルテンサイトに変化させる。この場合、当該材料がより低い温度で別々の形状に容易に変形され得る。当該材料は、加熱されるとオーステナイトに戻るが、この場合、変形が戻され、形状が元に戻される(一方向形状記憶)。合金はまた、可逆性の影響を呈する2つの記憶(二方向形状記憶)を有し得るが、この場合、形状の変化は熱によってもたらされ、冷却によって逆にすることができる。より低い温度で安定する相はマルテンサイト(B19′)と呼ばれ、より高い温度で安定する相はオーステナイト(B2)と呼ばれる。
【0004】
形状記憶効果(SME)は熱可塑性マルテンサイト転移に起因する。マルテンサイトは、マトリクス中のオーステナイト結晶がマルテンサイト相転移開始温度(Ms)よりも低く冷却されると作り出される。この段階では大規模な形状の変化は起こらない。というのも、自己調節構造においてマルテンサイト双晶が形成されるからである。マルテンサイトがマルテンサイト相転移終了温度(Mf)よりも低い温度で高い応力を受けると双晶境界が移動し消失して、大規模な変形がもたらされる可能性がある。変形したマルテンサイトは、オーステナイト相転移開始温度(As)よりも高い温度に加熱されると(マルテンサイトからオーステナイトへの)逆変態によって元の母相の形状に戻される可能性がある。しばしば、マトリックスにおけるマルテンサイト相が高い応力を受ける場合、マルテンサイトの再配向が起る可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超弾性(SE)または擬似弾性(PE)が生じるのは、形状記憶合金がオーステナイト相転移終了温度Afよりも高い温度で良好な性能を示し、Msよりも高い温度で変形する場合である。たとえば、PEに対する最適な加工可能な温度はAfよりも10℃〜15℃高い。この効果は、Msよりも高い温度で形成された応力誘起マルテンサイト(SIM)によってもたらされる。マルテンサイトは、応力が加えられた状態で形成されるので、応力が取除かれると、直ちに、変形しないオーステナイトに戻る。このプロセスは、これらの合金において「ゴムのような」挙動をもたらす。この材料は引張または圧縮試験における応力−ひずみ曲線上の2つの平坦部を示すが、一方は上方の(荷重)部分であり、もう一方は下方の(非荷重)部分であり、これらは超弾性の領域である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
この発明は、超弾性についての加工可能な温度範囲が材料の初期転移温度Afよりも約0℃〜15℃低い形状記憶材料を提供し得る。たとえば、形状記憶材料は熱処理されたNiTi合金であり得る。形状記憶材料の物理的特性は、当該材料が室温で展性があるが体温では超弾性または擬似弾性となるようなものである。形状記憶材料は、整形外科のインプラントを含むがこれに限定されないさまざまな応用例において用いることができる。
【0007】
この発明はまた、形状記憶材料を製造する方法を提供し得る。当該方法は、約0.5〜2時間の期間にわたって約700℃〜900℃の温度で原材料を処理するステップを含み得る。熱処理された原材料は、さまざまな手段によって、たとえば空気または水によって、または炉内で冷却され得る。処理された原材料は、約0.25〜2時間の期間にわたって約200℃〜約520℃の温度で熟成処理にさらされて、形状記憶材料をもたらし得る。形状記憶材料は、さまざまな手段によって、たとえば空気または水によって、または炉内で冷却され得る。
【0008】
随意には、当該方法は、約0.5〜2時間にわたる約200℃〜約500℃の温度での材料の第2の熟成処理を含み得るが、この後に、たとえば空気または水によるか、または炉内での冷却プロセスが続き得る。
【0009】
この発明の詳細な説明は、単に例示だけを目的とした添付の図面に関連してより良く理解されるだろう。この発明は、このような図面に示される具体的な実施例には限定されない。
【発明の効果】
【0010】
発明の詳細な説明
この発明の原理の理解を図るために、さまざまな具体的な実施例が、添付の図面に関連してより詳細に例示および説明される。特に、さまざまな熱処理プロトコルが述べられるが、これにより、ヒトの体温でニッケルチタン合金などの形状記憶材料の超弾性または擬似弾性を利用するかまたは最大限に活用することが容易になる。
【0011】
この発明は、形状記憶効果を有し得る新しい材料を提供し得る。形状記憶効果は、材料が相変態により加熱または冷却されると所定の形状に戻ることを可能にする。たとえば、当該材料は、ヒトの体温などの体温で形状記憶効果を有し得る。加えて、または代替的には、この発明は、超弾性または擬似弾性特性を有し得る新しい材料を提供し得る。材料のもつ超弾性または擬似弾性特性は、当該材料がその弾性限界を超えて、但しその塑性限界内で機械的または物理的に変形される場合に一定の力またはほぼ同じ力が得られ得ることを意味する。このような力は、変形プロセス中に一定または実質的に一定に維持され得る。たとえば、当該材料は、ヒトの体温などの体温で超弾性または擬似弾性を有し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
具体的な一実施例においては、形状記憶材料は、ヒトの体温などの体温よりも高い初期転移温度Afを有し得る。たとえば、通常のヒトの体温の範囲は、約36.1℃〜約37.8℃である。具体的な実施例においては、当該材料は、約36℃〜約72℃の範囲の初期転移温度Afを有し得る。具体的な実施例においては、当該材料は、如何なる応力もかけられずに、体温よりも約0℃〜約15℃高い初期転移温度Afを有し得る。たとえば、当該材料は、約36℃〜約53℃の範囲の初期転移温度Afを有し得る。別の具体的な実施例においては、当該材料は、体温よりも約10℃〜約15℃高い初期転移温度Afを有し得る。たとえば、当該材料は、約46℃〜約53℃の範囲の初期転移温度Afを有し得る。
【0013】
別の実施例においては、この発明は、超弾性または擬似弾性特性を備えた材料を提供し得る。具体的な実施例においては、当該材料は、体温で超弾性または擬似弾性を有し得る。別の具体的な実施例においては、当該材料は、室温では展性があり得るが、ヒトの体温では超弾性または擬似弾性相に変化し得る。
【0014】
当該材料はさまざまな形状および/または組成を有し得る。たとえば、当該材料は合金の形であってもよい。具体的な実施例においては、当該材料はニッケルチタン合金を含み得る。別の具体的な実施例においては、当該材料は、ニッケルとチタンとの比率が約50%対50%であるような等原子のニッケルチタン合金を含み得る。当該材料の他の形状および/または組成もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0015】
この発明の別の局面に従うと、さまざまな物品が、形状記憶および/または超弾性材料から形成され得る。たとえば、物品は、さまざまな形状、たとえばロッド、円筒形、正方形、六角形もしくは他の形状または上述の形状の組合せをもつ構造部材であってもよい。加えて、または代替的には、形状記憶および/または超弾性材料は、整形外科のインプラントなどのさまざまな医学的用途を含むがこれに限定されないさまざまな応用例を有し得る。たとえば、形状記憶材料および/またはニッケルチタン合金は、患者の骨または他の組織もしくは器官に適用されるべきインプラントとして、さまざまなプレート、ロッド、ワイヤ、ねじまたはその組合せに加工されてもよい。形状記憶および/または超弾性材料の他の応用例もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0016】
一実施例においては、形状記憶および/または超弾性材料で形成される物品または構造部材は、形状記憶特性および/または超弾性を有し得る。たとえば、物品または構造部材は超弾性であり得、実質的に一定な力またはほぼ同じ力をもたらすことができる。具体的な実施例においては、物品は医療用インプラントの形であってもよく、骨を固定するよう一定の力を与え得る。具体的な一実施例においては、このような一定の力は、材料によって生じる力を強化するかまたは減ずるためにさまざまな方法で決定または制御され得る。たとえば、一定の力は、使用される物品の大きさまたは数、材料の組成、熱処理、熱機械的処理、三元合金、材料の放射線処理、およびこれらの組合せによって決定され得る。一定の力を決定または制御するための他の処理もまたこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0017】
この発明のさらなる局面に従うと、形状記憶および/または超弾性材料を製造するための方法が提供され得る。たとえば、熱処理、熱機械的処理、放射線、三元合金などのうちの1つ以上が用いられてもよい。具体的な実施例においては、熱処理を用いて、形状記憶および/または超弾性材料を形成し得る。他のさまざまな処理および/または処理の組合せもこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。随意には、1つ以上の付加的な機械的処理、たとえば圧縮、引張、曲げ、捻り、冷間加工、熱間加工などが、形状記憶および/または超弾性材料を製造するのに用いられてもよい。
【0018】
一実施例においては、当該方法は、原材料の固溶体処理と熟成処理とを含み得る。具体的な実施例においては、原材料は、ニッケルチタン合金などの如何なる合金であってもよい。固溶体処理では、原材料は、当該原材料の結晶化温度付近の温度にまで加熱され得る。高温のために、原子拡散、再結晶化および/または沈殿が引起される可能性がある。処理された材料が従来のさまざまな方法および/または熟成処理によって冷却されると、体温よりも高い初期転移温度Afを有する形状記憶材料が形成され得る。
【0019】
具体的な一実施例においては、原材料の固溶体処理は、約700℃〜約900℃の温度で実行され得る。具体的な実施例においては、原材料は、約800℃〜約900℃の温度
で処理される。別の具体的な実施例においては、原材料は約800℃で処理される。加えて、または代替的には、固溶体処理は、約0.5〜2時間の期間にわたって続き得る。固溶体処理の他のさまざまな実施例もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0020】
別の具体的な実施例においては、処理された原材料は、従来のさまざまな方法によって、たとえば空気または水によって、または炉内で冷却され得る。たとえば、処理された原材料は水によって急冷されてもよい。冷却処理についての他のさまざまな実施例もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0021】
さらなる具体的な実施例においては、処理された原材料の熟成処理を約200℃〜約520℃の温度で実行して、形状記憶または超弾性材料を得ることができる。具体的な実施例においては、熟成処理は、約250℃〜約500℃の温度で実行され得る。加えて、または代替的には、熟成処理は約0.25〜2時間の期間にわたって実行される。具体的な実施例においては、熟成処理は約0.5〜2時間の期間にわたって実行される。熟成処理についての他のさまざまな実施例もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0022】
随意には、形状記憶材料の超弾性または擬似弾性を強化するために第2の熟成処理が施されてもよい。具体的な実施例においては、第2の熟成処理は、約200℃〜約500℃の温度で実行され得る。別の具体的な実施例においては、第2の熟成処理は、約250℃〜約500℃の温度で実行され得る。加えて、または代替的には、第2の熟成処理は約0.5〜2時間にわたって実行され得る。具体的な実施例においては、第2の熟成処理は、約0.5〜1時間にわたって実行され得る。第2の熟成処理についての他のさまざまな実施例もこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0023】
この発明はさらに、上述の方法に従って形成された材料を提供し得る。具体的な実施例においては、当該材料は、体温よりも高い初期転移温度Afを有し得る。たとえば、当該材料は、体温よりも約0℃〜15℃高い初期オーステナイト相終了温度を有し得る。具体的な一実施例においては、当該材料はニッケルチタン合金を含み得る。たとえば、NiTi合金は、ニッケルとチタンとの比率が約50%対50%であり得る。
【0024】
図1は、固溶体温度、熟成温度、処理および冷却方法のための時間を示したさまざまな例示的な熱処理プロトコルを図示する。加えて、各試料のオーステナイト相開始温度、ピーク温度および終了温度も示される。具体的な一実施例においては、試料番号5は、約1時間にわたって約800℃の温度で処理され得る。このように処理された固溶体は炉内で冷却され得る。処理された固溶体は、約30分にわたって約450℃の温度で熟成処理にさらされ、次いで水によって急冷され得る。このように形成された材料は、約26℃の初期オーステナイト相開始温度と、約33.5℃の初期オーステナイト相ピーク温度と、約47℃の初期オーステナイト相終了温度とを有し得る。
【0025】
別の具体的な実施例においては、試料番号7は、約1時間にわたって約800℃の温度で処理され、炉内で冷却され得る。処理された固溶体は、約0.75時間にわたって約450℃で熟成処理にさらされ、水によって冷却され得る。結果として得られる材料は、約16℃の初期オーステナイト相開始温度と、約22.5℃の初期オーステナイト相ピーク温度と、約44℃の初期オーステナイト相終了温度とを有し得る。
【0026】
さらなる具体的な実施例においては、試料番号14は、約1時間にわたって約800℃の温度で処理され、炉内で冷却され得る。処理された固溶体は、約30分にわたって約500℃の温度で熟成処理にさらされ、次いで、炉内で冷却され得る。このように形成された材料は、約12℃の初期オーステナイト相開始温度と、約32℃の初期オーステナイト相ピーク温度と、約43℃の初期オーステナイト相終了温度とを有し得る。
【0027】
図2および図3は、さまざまな代替的な熱処理プロトコルを示す。たとえば、さまざまな試料番号20〜40は最初に、図1に示されるような熱処理プロトコルにさらされ得る。図2に示されるさまざまな具体的な実施例においては、試料番号20〜30は、最初に、上述の試料番号7の熱処理プロトコルにさらされてもよい。試料番号20〜30は、次いで、図2に示されるようなさまざまな種類の第2の熟成処理にさらされ得る。たとえば、試料番号21は、約30分にわたって約300℃の温度で第2の熟成処理にさらされ、次いで、水によって急冷され得る。結果として得られる材料は、約25℃の初期オーステナイト相開始温度と、約33.5℃の初期オーステナイト相ピーク温度と、約50℃の初期オーステナイト相終了温度とを有し得る。
【0028】
図3に示される別の具体的な実施例においては、試料番号31〜42は、まず、上述のように試料番号14の熱処理プロトコルにさらされ得る。次いで、試料番号31〜42が、図3に示されるようなさまざまな種類の第2の熟成処理にさらされ得る。たとえば、試料番号38は、約1時間にわたって約300℃の温度で第2の熟成処理にさらされ、次いで、水によって急冷され得る。結果として得られる材料は、約26℃の初期オーステナイト相開始温度と、約36.5℃の初期オーステナイト相ピーク温度と、約44℃の初期オーステナイト相終了温度とを有し得る。
【0029】
図4は、試料番号5の機械的試験の結果を示す。この試料の初期転移温度Afはヒトの体温よりも10℃高いが、超弾性または擬似弾性はヒトの体温で見られる。
【0030】
形状記憶および/または超弾性材料を製造し、かつ/または形状記憶および/もしくは超弾性材料の初期転移温度Afを体温よりも高くなるよう調整するためのさまざまな熱処理プロトコルが説明されてきたが、初期転移温度Afを調整するための他のさまざまなプロトコルもこの発明の範囲内であることが認識されるだろう。
【0031】
この明細書中に記載されるさまざまな特徴を単独で、または組合せて用い得ることが理解されるだろう。したがって、この発明は、この明細書中に具体的に記載される実施例だけに限定されるわけではない。上述の説明および図面はこの発明の好ましい実施例を表わしているが、この発明の精神から逸脱することなくこの明細書中でさまざまな追加例、変形例および代替例が実施され得ることが理解されるだろう。特に、この発明が、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形状、構造、構成、比率で他の要素、材料および構成要素を備えて実現され得ることが当業者に明らかとなるだろう。当業者は、この発明が、この発明を実施する際に用いられ、この発明の原理から逸脱することなく特に特定の環境および動作要件に適合される構造、構成、比率、材料および構成要素などについての多くの変形例とともに使用可能であることを認識するだろう。したがって、現在開示されている実施例は、あらゆる点で例示的なものと見なされ、限定的なものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】固溶体の初期転移温度Afを体温よりも高くなるよう調整するためのさまざまな熱処理プロトコルを示す図である。
【図2】固溶体の第2の熟成処理のさまざまなプロトコルを示す図である。
【図3】固溶体の第2の熟成処理のさまざまな代替的なプロトコルを示す図である。
【図4】ヒトの体温(たとえば、96°F〜99°F)で超弾性を有する試料番号5の機械的試験の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温よりも高い初期転移温度Afを有する形状記憶材料。
【請求項2】
前記初期転移温度Afは、体温よりも約0℃〜約15℃高い、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項3】
前記初期転移温度Afは、体温よりも約10℃〜約15℃高い、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項4】
室温で展性がある、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項5】
体温で超弾性または擬似弾性である、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項6】
ニッケルチタン合金を含み、ニッケルとチタンとの比率が約50%対50%である、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項7】
請求項1の形状記憶材料から形成される物品。
【請求項8】
プレート、ロッド、ワイヤ、ねじ、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択されるインプラントである、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
形状記憶材料を製造する方法であって、
固溶体の形をした原材料を設けるステップと、
体温よりも高い初期転移温度Afを有する形状記憶材料をもたらすよう原材料を処理するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記処理は、熱処理、熱機械的処理、放射線処理、三元合金、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
圧縮、引張、曲げ、捻り、冷間加工、熱間加工、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される機械的処理をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項11に従って形成される形状記憶材料。
【請求項13】
請求項12の形状記憶材料から形成される物品。
【請求項14】
超弾性であり、実質的に一定の力をもたらし、前記力が、物品の大きさ、物品の数、形状記憶材料の組成、熱処理、熱機械的処理、放射線処理、三元合金、または上述のいずれかの組合せからなる群から選択される1つ以上の要因によって決定される、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
形状記憶および/または超弾性材料を製造する方法であって、
原材料を加熱するステップと、
熱処理された原材料を熟成処理にさらして、形状記憶および/または超弾性材料を形成するステップとを含む、方法。
【請求項16】
前記原材料は、約0.5〜2時間の期間にわたって約700℃〜約900℃の温度で加熱される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記原材料は、約800℃〜約900℃の温度で加熱される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記処理された原材料は、約0.25〜2時間の期間にわたって約200℃〜約520℃の温度で熟成処理にさらされる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記熟成処理は、約250℃〜約500℃の温度で実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記熟成処理は、約0.5〜2時間の期間にわたって実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記形状記憶および/または超弾性材料は、体温よりも約0℃〜約15℃高い初期オーステナイト相終了温度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
約0.5〜2時間の期間にわたって約200℃〜約500℃の温度で実行される第2の熟成処理をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の熟成処理は、約250℃〜約500℃の温度で実行される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の熟成処理は、約0.5〜1時間の期間にわたって実行される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項15に従って形成される材料。
【請求項26】
請求項25の材料から形成される物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
期転移温度Af45.5℃〜62℃を有する形状記憶材料。
【請求項2】
前記初期転移温度Af45.5℃〜55℃である、請求項1に記載の形状
記憶材料。
【請求項3】
室温で展性がある、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項4】
36℃〜40℃の間で一定の力を示す、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項5】
ニッケルチタン合金を含み、ニッケルとチタンとの比率が50.6%対49.4%であり、原子%では50.8%対49.2%である、請求項1に記載の形状記憶材料。
【請求項6】
請求項1の形状記憶材料から形成される物品。
【請求項7】
プレート、円筒形、正方形、六角形もしくは他の形状または上述の形状のいずれかの組合せに製造されるバー、ワイヤ、ねじ、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択されるインプラントである、請求項に記載の物品。
【請求項8】
形状記憶材料を製造する方法であって、
固溶体の形をした原材料を設けるステップと、
36℃〜40℃よりも高い初期転移温度Afを有する形状記憶材料をもたらすよう原材料を処理するステップとを含む、方法。
【請求項9】
前記処理は、熱処理、熱機械的処理、放射線処理、三元合金、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
圧縮、引張、曲げ、捻り、冷間加工、熱間加工、およびそのいずれかの組合せからなる群から選択される機械的処理をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項10に従って形成される形状記憶材料。
【請求項12】
請求項11の形状記憶材料から形成される物品。
【請求項13】
超弾性であり、実質的に一定の力をもたらし、前記力が、物品の大きさ、物品の数、形状記憶材料の組成、熱処理、熱機械的処理、放射線処理、三元合金、または上述のいずれかの組合せからなる群から選択される1つ以上の要因によって決定される、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
形状記憶および/または超弾性材料を製造する方法であって、
原材料を加熱するステップと、
少なくとも2つの熱処理を有する熱処理された原材料を熟成処理にさらして、人体内の移植のための形状記憶および/または超弾性材料を形成するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記原材料は、酸素および圧力が制御された環境下で約0.5〜2時間の期間にわたって約70℃〜約900℃の温度で加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記原材料は、酸素および圧力が制御された環境下で約0.5〜2時間の期間にわたって約800℃〜約900℃の温度で加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記処理された原材料は、酸素および圧力が制御された環境下で35分〜2時間の期間にわたって約200℃〜約50℃の温度で熟成処理にさらされる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記形状記憶および/または超弾性材料は、36℃〜40℃よりも約0℃〜約15℃高い初期オーステナイト相終了温度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
酸素および圧力が制御された環境下で約0.5〜2時間の期間にわたって約200℃〜約500℃の温度で実行される第2の熟成処理をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の熟成処理は、酸素および圧力が制御された環境下で約250℃〜約500℃の温度で実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の熟成処理は、酸素および圧力が制御された環境下で約0.5〜1時間の期間にわたって実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
請求項14に従って形成される材料。
【請求項23】
請求項22の材料から形成される物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−523770(P2006−523770A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504210(P2006−504210)
【出願日】平成16年4月19日(2004.4.19)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000371
【国際公開番号】WO2004/092431
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504404227)ザ ユニバーシティ オブ ホンコン (5)
【出願人】(505384405)シティ・ユニバーシティ・オブ・ホンコン (1)
【氏名又は名称原語表記】CITY UNIVERSITY OF HONG KONG