説明

彫刻刀のケース

【課題】 本発明は、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、彫刻刀の出し入れがしやすいケースの提供を課題とする。
【解決手段】 収納部と蓋とを含み、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、蓋は上蓋と下蓋とから成り、下蓋は収納部と連結され、上蓋は下蓋と連結され、上蓋が下蓋側の一端を中心に回動し下蓋が収納部側の一端を中心に回動することにより蓋は開放可能であり、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋は収納部底面の下側に回し込まれており、上蓋はその下蓋とケースが置かれている面との間に介在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は彫刻刀のケースに関し、特に蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持されるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
筆記ペンなどの棒状の品物のケースであって、蓋が上蓋と下蓋から成り、蓋を開放してから上蓋と下蓋を重ね、その重ねた蓋を立てて収納部を使用状態の傾斜位置に支持するケースは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
また、一体形成された蓋を開放したときに、その蓋が収納部の底面の下側に折り込まれることによって収納部を使用状態の傾斜位置に支持するケースも存在する(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特許第3517635号公報
【特許文献2】実公平4−2568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、彫刻刀の出し入れがしやすいケースの提供を課題とする。
【0004】
特許文献1のケースは、前述したように蓋が上蓋と下蓋から成り、蓋を開放してから上蓋と下蓋を重ね、その重ねた蓋を立てて収納部を使用状態の傾斜位置に支持する構造であって、上蓋の支持エッジが、ケースの傾斜位置で、挿入された棒状の品物を接触支持するように形成されている。
【0005】
特許文献1のケースは、上蓋の支持エッジが、ケースの傾斜位置で、挿入された棒状の品物を接触支持する構造である。すなわち、ケースの傾斜位置で上下蓋がケースを支持するときに、上蓋の支持エッジが棒状の品物に当たっており、そのために上下蓋が安定した状態で立ってケースを支持しているということである。したがって、品物を収納部に挿入する開口の上下の幅は品物の上下幅と同じである。例えば品物が筆記具であるときは、筆記具はその先端に行くに従って徐々に細くなるように形成されているから、開口の上下幅が筆記具の最大上下幅と同じでも挿入する最初の段階で筆記具の先端が開口に引っ掛かることはない。しかし、彫刻刀の場合は、柄の先端側に太い部分が存在するように形成される。このように形成されている理由は、彫刻刀は押して使用するものであるから、先端に行くに従って細くすると柄を握っている手が滑ってしまうので、太い部分を設けて滑り止めとするのである。彫刻刀の柄はこのように形成されているから、特許文献1のケースを彫刻刀用のものとして使用すると、そのままでは柄の太い部分が支持エッジに引っ掛かって彫刻刀を引き出すことができない。引き出すためにはケースを手に持ちながら彫刻刀を引いて上蓋を強制的に押し下げることにより開口の上下幅を広げなければならない。実際上このような作業は面倒であるから、特許文献1のケースは筆記具には使用できても彫刻刀に使用することはできないのである。そこで、本発明は彫刻刀の出し入れがしやすいケースを提供することを目的とする。
【0006】
また、通常の彫刻刀ケースは刃の種類の異なる複数本の彫刻刀を収納する構成である。そして、異なる刃を有する数種類の彫刻刀を収納部に入れて使用するときに、必要な彫刻刀を収納部から1本取り出して使用し、他の彫刻刀は収納部に入れた状態にしておく。他の彫刻刀を使用するときは、使用していた彫刻刀を収納部に挿入し、他の彫刻刀を収納部から引き出して使用する。しかし、場合によってはすべての彫刻刀を収納部から出して使用するときもある。
【0007】
特許文献1のケースは、上蓋の支持エッジが棒状の品物に当たっており、そのために上下蓋が安定した状態で立ってケースを支持している。したがって、すべての棒状の品物を引き出してしまうと上蓋のエッジを接触支持する品物がないので、上下蓋は収納部の開口を塞ぐように回動してしまうのである。これでは、ケースを置いたままで再度品物を収納部に挿入することが出来ず不便である。そこで本発明は、すべての彫刻刀を収納部から引き出した後でも、ケースを置いたままで再度彫刻刀を収納部に挿入することができるケースを提供することを目的とする。
【0008】
特許文献2は、一体形成された蓋を開放したときに、その蓋が収納部の底面の下側に折り込まれることによって収納部を使用状態の傾斜位置に支持する構造である。蓋が2つの部分に分かれていないから、常に一体に回動する。特許文献2の第4図に示された使用状態図では彫刻刀の柄が収納部から少しだけ突き出ているので、蓋を閉鎖状態から開放状態に回動したときに蓋が柄に当たることがなく、使用するに際し不都合は生じない。しかし、彫刻刀の柄の突き出しが少しであると、彫刻刀を引き出すときに柄がつかみづらい。したがって、柄は収納部からやや大きめに突き出すことが好ましいが、そのようにすると特許文献2のケースでは蓋を回動するときに蓋が柄に当たってしまうので柄の突き出しを大きくすることができない。そこで本発明は、収納されている柄がケースから突き出る突出量を大きくすることができるケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1は、収納部と蓋とを含み、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、蓋は上蓋と下蓋とから成り、下蓋は収納部と連結され、上蓋は下蓋と連結され、上蓋が下蓋側の一端を中心に回動し下蓋が収納部側の一端を中心に回動することにより蓋は開放可能であり、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋は収納部底面の下側に回し込まれており、上蓋はその下蓋とケースが置かれている面との間に介在している構成である。
【0010】
請求項2は、下蓋が収納部底面の下側に回し込まれて収納部底面に当接している要素が請求項1に付加された構成である。
【0011】
請求項3は、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、前記下蓋と上蓋とが重なった状態にあり、且つその状態を維持するための上下蓋係止構造が下蓋と上蓋との間に介在している要素が請求項1又は請求項2に付加された構成である。
【0012】
請求項4は、蓋が収納部を閉鎖した状態のときに、上蓋と収納部とを係止状態とするための上蓋収納部係止構造が上蓋と収納部の間に介在している要素が請求項1乃至請求項3に付加された構成である。
【0013】
請求項5は、上下蓋係止構造により重なっている上下蓋がケースから垂れ下がるように収納部を持ったときに、その垂下した上下蓋は鉛直線方向に延びず下蓋の回動中心を通る鉛直線よりも収納部側に傾斜するように延びる要素が請求項3又は請求項4に付加された構成である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1は、収納部と蓋とを含み、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、蓋は上蓋と下蓋とから成り、下蓋は収納部と連結され、上蓋は下蓋と連結され、上蓋が下蓋側の一端を中心に回動し下蓋が収納部側の一端を中心に回動することにより蓋は開放可能であり、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋は収納部底面の下側に回し込まれており、上蓋はその下蓋とケースが置かれている面との間に介在している構成である。このような構成であるから、蓋を開放するときは、まず上蓋を開き次に下蓋を収納部底面の下側に回し込む。したがって、収納されている彫刻刀の柄の収納部からの突出量が大きくても、上蓋を開くときに収納部から突出している柄にその上蓋が当たらない。これにより、柄の収納部からの突出量を大きくすることが可能となり、彫刻刀を引き出すときに指先で柄を摘みやすいのである。また、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋は収納部底面の下側に回し込まれており、上蓋はその下蓋とケースが置かれている面との間に介在している。したがって、収納されている彫刻刀を全部引き出しても蓋が回動することがなく、蓋が収納部の開口を塞ぐことがない。これにより、全部の彫刻刀を収納部から出して使用するときにも、ケースを置いたままで再度彫刻刀を収納部に挿入することができる。
【0015】
請求項2は、下蓋が収納部底面の下側に回し込まれて収納部底面に当接している。したがって、収納部は蓋に確実に支持されており彫刻刀の出し入れ時においてもケースは安定した状態を保つことができる。
【0016】
請求項3は、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋と上蓋とが重なった状態にあり、且つその状態を維持するための上下蓋係止構造が下蓋と上蓋との間に介在している。彫刻刀の使用後に収納部を蓋で閉鎖するときは、まずケースを手で持ち上げてそれが置かれている面から離す。そのときに、上蓋と下蓋が重なった状態で垂下するので、上蓋と下蓋を一緒に手に持つことができる。そして、その手で上蓋と下蓋を開き上蓋をケースの上側に回して収納部の閉鎖の操作をすることができる。すなわち、ケースを手で持ち上げたときに上蓋と下蓋が重なっていてまとまっているので操作が楽なのである。仮に上下蓋係止構造がないときは垂下した下蓋の下側にさらに上蓋が垂下するので同時に上下蓋を持つことができず閉鎖操作がしづらいのである。
【0017】
請求項4は、蓋が収納部を閉鎖した状態のときに、上蓋と収納部とを係止状態とするための上蓋収納部係止構造が上蓋と収納部の間に介在している。したがって、蓋が収納部を確実に閉鎖することができる。請求項3のように上下蓋係止構造が設けられていれば上蓋収納部係止構造がなくても収納部を閉鎖できる。これは、収納されている彫刻刀の柄によって蓋の回動が規制されるからである。しかし、彫刻刀の柄と蓋の内面との間に隙間があるので、上蓋収納部係止構造がないときはその隙間の分だけ蓋がガタつくのである。上蓋収納部係止構造を設けることにより閉鎖状態の蓋のガタつきを防止して収納部を確実に閉鎖できる。収納部に彫刻刀が収納されていないときも同様に収納部を確実に閉鎖できる。
【0018】
請求項5は、上下蓋係止構造により重なっている上下蓋がケースから垂れ下がるように収納部を持ったときに、その垂下した上下蓋は鉛直線方向に延びず下蓋の回動中心を通る鉛直線よりも収納部側に傾斜するように延びる。したがって、机などの上にケースを置くときに、上下蓋は収納部側に傾斜しているから上下蓋は自動的に収納部底面の下側に回し込まれて、他方の手で上下蓋を回し込む必要がなくすぐに安定した傾斜位置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。図2に示すようにケース1は収納部2と、上蓋3と、下蓋4とから成る。図12に示すように収納部2は5本の彫刻刀5,5,5,5,5が収納できるように4つの仕切り壁6,6,6,6で仕切られている。収納部2の一端に彫刻刀5を挿入するための開口11が設けられている。収納されている5本の彫刻刀の刃はすべて異なっているから、刃の形状が外から目視できるように収納部2、特に上面板7は透明なプラスチックで形成されることが好ましい。収納部2は上面板7を含む上部分と底面板10を含む下部分を合接して形成する。この収納部2の底面板10を含む下部分と下蓋4と上蓋3とは一体に形成されており、その材料はPP樹脂が主に用いられる。これら底面板10を含む収納部の下部分と下蓋4と上蓋3をそれぞれ別体に形成し、ヒンジなどで連結してもよい。収納部2の上面板7を含む上部分の材料はAS樹脂が主に用いられる。収納部2の上面板7の表面は波形に形成されている。図1で示すA−A線付近では、図3に示すように収納部2の上面板7の表面が波形であるのに対して上面板7の内面は平らに形成されているから、個々の波の中央部分が肉厚となり凸レンズの役目を果たす。したがって、この部分で収納されている彫刻刀の刃を拡大して見ることができるので、使用者にとって彫刻刀が選択しやすい。図1に示す閉鎖状態でのケース1の全長は約180mmであり、幅は約105mmであるがこれに限定されるものではない。
【0020】
図6に示すように収納部2の上面板7の内面に凸板8が設けられている。図4又は図5に示すようにこの凸板8は収納部2の幅方向に一連に延びている。彫刻刀5を収納部2に収納したときに、彫刻刀5の柄9の一部が凸板8に当たって、刃が収納部2の先端に衝突することを防止できる。凸板8は上面板7の内面に設けられているから、凸板8の存在によってゴミや埃が溜まることがない。凸板8を底面板10の内面に設けると凸板8よりも奥に溜まったゴミや埃を取り除くことが困難であり、ゴミや埃が溜まってしまうのである。
【0021】
図1に示すように、上面板7の開口11側の端部に半楕円形の凹部12が設けられている。この凹部12の部分に指先を入れることにより、閉鎖している上蓋3の端部に指を引っ掛けやすくなり、上蓋3を容易に開放できる。図2に示すように上蓋3の端部に盛り上がり部27が形成されていて指が掛かりやすいので、さらに上蓋3の開放が容易である。凹部12の形状は半楕円形に限定されることはなく矩形でも半円などでもよい。さらに、図8に示すように収納部2の側面板14の開口11寄り部分には係止孔13が設けられている。これは後述するように、閉鎖した上蓋3が開かないように係止するためのものである。
【0022】
図14に示すように下蓋4はヒンジ15を介して収納部2の底面板10と連結している。図15は図14におけるヒンジ15の周囲を円で囲んで拡大した断面図である。図15に示すようにヒンジ15は収納部2及び下蓋4の下側に突出していないから、蓋を閉鎖して机の上などに置いたときにガタつかない。さらに、ヒンジ15は下蓋4の厚みに対して非常に薄く、例えば0.1mm〜0.6mm程度の厚みにすれば撓みやすい。特に好ましい厚みは約0.2mmである。ヒンジ15が撓みやすいので、下蓋4が収納部2から垂れ下がる状態にしたときに、下蓋4は振り子のように容易に揺動する。図8に示すように、下蓋4の側面板16のヒンジ15寄り部分には係止孔17が設けられている。これは、後述するように、上蓋3との重ねた状態を維持するためのものである。
【0023】
図14に示すように上蓋3はヒンジ18を介して下蓋4と連結している。上蓋3の側面板19にはその側面板19からはみ出す係合板部24が一体に形成されている。その係合板部24の内面には係止突起20,21が設けられている。収納部2の係止孔13の周囲に段差22が設けられており、係止孔13を含むその周囲の表面が前記係合板部24の厚みの分だけ低くなって上蓋係合面25が形成されている。同様に、下蓋4の係止孔17の周囲に段差23が設けられており、係止孔17を含むその周囲の表面が前記係合板部24の厚みの分だけ低くなって上蓋係合面26が形成されている。収納部2の開口11を閉鎖するために上蓋3と下蓋4とを重ねたときに、上蓋3の係合板部24が、収納部2の上蓋係合面25と下蓋4の上蓋係合面26に外接する。そのときに係止突起20が収納部2の係止孔13に係止し、係止突起21が下蓋4の係止孔17に係止して確実に閉鎖することができる。
【0024】
次に、図2に示すように蓋が閉鎖された状態のケース1を図13に示す使用状態にする過程についてその一例をとって説明する。ケース1を使用状態とするためには、まず図8に示すように上蓋3がケース1に対して立ち上がるまで回動する。このときに、図2の状態から上蓋3と下蓋4を重ねたままで回動することはできない。収納されている彫刻刀5の柄9に上蓋3が当たって回動が規制されるからである。したがって、まず上蓋3のみを回動する。次に図9に示すように下蓋4を下方に回動する。下蓋4をさらに回動して図10に示すように下蓋4を収納部2の底面板10の下側に回し込む。次に図7に示すようにさらに下蓋4を回動し、その下蓋4を収納部2の底面板10に当接させることによって収納部2を傾斜位置に支持する。収納部2は上下蓋3,4によって持ち上げられて傾斜位置に支持されるが、下蓋4が収納部2の底面板10に当接しているので、彫刻刀5の柄9後端部の持ち上げ高さは重ねられた上下蓋3,4の合計の高さよりも大きくなる。したがって、収納部2は使用しやすい高さの傾斜位置に支持される。この状態が使用状態となり、柄9の後端部が十分な高さに持ち上げられているので、彫刻刀5の柄9を指先で摘んで引き出すときに、手が机の上に当たることがなく手が邪魔にならず引き出しやすい。
【0025】
なお、使用状態はこの形態に限定されるものではなく、下蓋4が収納部2の底面板10に当接しない状態の使用状態であってもよい。すなわち、下蓋4が収納部2の底面板10に当接するまで回動せず回動をその途中で止める手段を設けて収納部2を支持してもよい。さらに、上蓋3と下蓋4を重ねた状態で係止するための係止孔13,17や係止突起20,21のような係止構造が存在しなくてもよい。すなわち、上蓋3と下蓋4が図7のように閉じて重ならなくてもよい。そのときは、例えば上蓋3と下蓋4は少し開いて上蓋3の盛り上がり部27は机などの上面に接地する。
【0026】
図13に示すように、収納部2から外に突出している彫刻刀5の柄9は下蓋4の中に納まればよいので、柄9の突出量は下蓋4の長さから下蓋4の厚みを引いた分の長さとすることができる。したがって、下蓋4の長さを大きめとすることにより彫刻刀5の柄9の突出量を十分大きくすることができる。これにより、指先で柄9が摘みやすくなり彫刻刀5を容易に引き出すことができる。
【0027】
ケース1を使用状態とする過程で、図11に示すように上蓋3と下蓋4を重ねて係止することによりその重ねた上下蓋3,4が垂れ下がると、上下蓋3,4は鉛直線方向に垂れ下がらず、ヒンジ15を通る鉛直線よりも収納部2側に傾斜して垂れ下がる。この状態で上下蓋3,4の重心がヒンジ15を通る鉛直線に一致するからである。このように、上下蓋3,4が収納部2側に傾斜しているので、机などの上に載せるときに手で上下蓋3,4を収納部2側に傾斜させなくても、ケース1を机の上におけば上下蓋3,4は自然に回動して図7に示す使用状態とすることができて便利である。
【0028】
図16は図14におけるヒンジ18の周囲を円で囲んで拡大した断面図である。ヒンジ18は上蓋3と下蓋4を連結する部分であり、上蓋3と下蓋4を重ねたときに接触する接面28,29を図16のように面一にしたときにその接面28,29よりも下方に設けられている。そして、ヒンジ18の厚みは中央部よりもその両側の方が肉厚になるように形成されている。したがって、上下蓋3,4を重ねるとヒンジ18は図11に示すように外側に突出する。このようにヒンジ18が突出しているので、ケース1を机の上に置こうとするときに何らかの理由で重なった上下蓋3,4がやや鉛直線方向に近い状態となっても、ヒンジ18が上下蓋3,4の反時計回りの回動を阻止して確実に使用状態とすることができる。また、図11に示すように上蓋3の角部30が凸の湾曲面に形成されその半径が比較的大きいので、重なった上下蓋3,4は円滑に時計回りに回動しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】蓋を閉鎖した状態のケースの上面図
【図2】蓋を閉鎖した状態のケースの側面図
【図3】図1におけるA−A断面図
【図4】図1におけるB−B断面図
【図5】図1におけるC−C断面図
【図6】図1におけるD−D断面図
【図7】使用状態を示す側面図
【図8】使用状態にするまでの過程−1
【図9】使用状態にするまでの過程−2
【図10】使用状態にするまでの過程−3
【図11】蓋が垂れ下がった状態を示す側面図
【図12】使用状態の上面図
【図13】使用状態の斜視図
【図14】蓋を展開した状態の側面図
【図15】図14における収納部と下蓋の間のヒンジを示す拡大断面図
【図16】図14における上蓋と下蓋の間のヒンジを示す拡大断面図
【符号の説明】
【0030】
1 ケース
2 収納部
3 上蓋
4 下蓋
5 彫刻刀
6 仕切り壁
7 収納部の上面板
8 凸板
9 彫刻刀の柄
10 収納部の底面板
11 開口
12 凹部
13 係止孔
14 収納部の側面板
15 ヒンジ
16 下蓋の側面板
17 係止孔
18 ヒンジ
19 上蓋の側面板
20 係止突起
21 係止突起
22 段差
23 段差
24 係合板部
25 上蓋係合面
26 上蓋係合面
27 盛り上がり部
28 接面
29 接面
30 上蓋の角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部と蓋とを含み、蓋を開放したときにその蓋によって収納部が使用状態である傾斜位置に支持される彫刻刀のケースであって、蓋は上蓋と下蓋とから成り、下蓋は収納部と連結され、上蓋は下蓋と連結され、上蓋が下蓋側の一端を中心に回動し下蓋が収納部側の一端を中心に回動することにより蓋は開放可能であり、収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、下蓋は収納部底面の下側に回し込まれており、上蓋はその下蓋とケースが置かれている面との間に介在していることを特徴とするケース。
【請求項2】
下蓋は収納部底面の下側に回し込まれて収納部底面に当接している請求項1記載のケース。
【請求項3】
収納部が使用状態の傾斜位置にあるときに、前記下蓋と上蓋とが重なった状態にあり、且つその状態を維持するための上下蓋係止構造が下蓋と上蓋との間に介在している請求項1又は請求項2記載のケース。
【請求項4】
蓋が収納部を閉鎖した状態のときに、上蓋と収納部とを係止状態とするための上蓋収納部係止構造が上蓋と収納部の間に介在している請求項1乃至請求項3記載のケース。
【請求項5】
上下蓋係止構造により重なっている上下蓋がケースから垂れ下がるように収納部を持ったときに、その垂下した上下蓋は鉛直線方向に延びず下蓋の回動中心を通る鉛直線よりも収納部側に傾斜するように延びる請求項3又は請求項4記載のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−307091(P2007−307091A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138398(P2006−138398)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591139138)株式会社新学社 (13)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】