説明

役物装置及び遊技機

【課題】役物領域内に受け入れた遊技球が、それぞれ到達時期が異なる複数の目的位置に到達したことを検出する手段に対し、それぞれに最適な検出無効期間を設ける。
【解決手段】第1の特定領域に対応する移動時間t1に対して無効期間t3を設定すると共に、第2の特定領域に対する移動時間t2に対して無効期間t4を設定することで、第1の特定領域及び第2の特定領域のそれぞれに最適な無効時間となる。例えば、羽根部材112の開放から最も早く特定領域に到達する時間に併せて、一律で無効期間を設定した場合において、これよりも遅い時間に到達する特定領域への不正入賞等を見逃すことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、役物中央部に羽根部材を設け、通常遊技状態において、所定の条件が成立して羽根部材が開放することで、パチンコ球を受け入れて遊技を進行させる役物装置及び遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、特にパチンコ機の遊技仕様として、役物中央部に羽根部材を設け、通常遊技状態において、所定の条件が成立して羽根部材が開放することで、パチンコ球を役物内に受け入れ、当該受け入れたパチンコ球を、役物内に設けた入賞口(「特定領域」、「V入賞口」等という場合がある)に向けて案内し、入賞時には、特別遊技状態とすることがなされている。特別遊技状態とは、通常遊技状態での羽部材の開放状態に対して、開放時間を長くしたり、開放回数を増やすことで、多くの入賞を可能として、入賞に伴う賞球払い出しを受ける遊技状態である。なお、羽根部材とは別に遊技盤上に入賞口(「大入賞口」、「アタッカー」等という場合がある)を設け、特別遊技状態となったときだけ開放させるようにしてもよい。
【0003】
上記遊技仕様を基礎として、様々なバリエーションを持った遊技機が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1には、羽根部材の開放による受け入れから特定領域までのパチンコ球の通路として、入口が1つに対し、出口を2つ設け、それぞれの出口までの通路長を異ならせること構造が開示されている。
【0005】
特許文献2には、特定領域(V入賞口)が異なる位置に2つある構成が開示されている。
【0006】
特許文献3には、羽根部材の開放によるパチンコ球を受け入れから、役物内に設けられた回転体(振分部材)に到達するまでの樋部流動時間を計算してV入賞率を高めることが開示されている。
【0007】
上記遊技仕様では、遊技盤(主として役物内)での遊技球の動向がV入賞遊技に至るまでの重要な要素となっている。このため、上記遊技仕様で遊技が進行する場合の不正の対策として、特定領域への入賞検出を無効とする無効期間を設けたり(以下、「不正回避1」という)、役物内に受け入れたパチンコ球数と、V入賞如何に関わらず役物から排出されるパチンコ球数とを照合する(以下、「不正回避2」という)ことがなされている(特許文献4、5参照)。
【0008】
特許文献4には、羽根部材の1回の開放パターンと2回の開放パターンを設定し、V入賞有効時間を1回開放パターンよりも2回開放パターンの場合に長くし、始動有効時間の無効時間も1回開放パターンよりも2回開放パターンの場合に長くすることで無駄な無効時間をなくすことが開示されている。
【0009】
特許文献5には、パチンコ球の入出の数を検知し、数が合わない場合は羽根部材の開放を禁止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】2003−38817号公報
【特許文献2】2007−222315号公報
【特許文献3】2009−268776号公報
【特許文献4】2001−161917号公報
【特許文献5】2006−218092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、不正な特定領域への入賞を回避(不正回避1)するために、羽根部材の開放から所定時間の特定領域の入賞検出を禁止する無効期間を設ける場合、例えば、特定領域であるV入賞口が2つあり、2つの特定領域が所謂直列に配置されているような構造では、明らかにそれぞれの特定領域までの流路長が異なることになるにも関わらず、従来の不正回避1の手段を適用した場合、最も流路長が長い特定領域に合わせて、無効期間を設けていた。
【0012】
このため、相対的に流路長の短い方の特定領域に関して、無駄な無効期間を設けることになり、その分、不正回避1の機能を損なうことになる。
【0013】
本発明は上記事実を考慮し、役物領域内に受け入れた遊技球が、それぞれ到達時期が異なる複数の目的位置に到達したことを検出する手段に対し、それぞれに最適な検出無効期間を設けることができる役物装置及び遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、遊技盤上に設けられ、特定の遊技状態となったときに開放され、遊技球を役物領域内へ入賞可能とする役物入賞口と、前記役物領域内において前記遊技球を目的位置へ案内する案内流路の途中に設けられ、前記遊技球を分岐して、複数の目的位置の何れかへ案内する振分手段と、前記振分手段よりも下流側における前記案内流路の所定位置に設けられ、前記役物入賞口が開放される条件が揃った場合に、前記所定位置よりも下流側に前記遊技球を送り出す送出手段と、前記複数の目的位置毎に設けられ、前記遊技球の目的位置への到達を検出する複数の到達検出手段と、前記複数の到達検出手段のそれぞれに対応して、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間を設定する無効期間設定手段と、を有している。
【0015】
本発明によれば、特定の遊技状態になると、役物入賞口が、例えば所定時間、所定回数開放する。この開放中に遊技球が入賞可能となる。
【0016】
役物入賞口から役物領域内に入賞した遊技球は、案内流路により目的位置へ案内されるが、この案内流路で遊技球は、複数の目的位置の何れかへ案内されるように振り分けられる。
【0017】
それぞれの目的位置には、当該目的位置への到達を検出する到達検出手段が設けられており、例えば、この到達検出手段による遊技球の検出によってそれぞれの目的位置に応じた遊技状態で遊技が進行する。
【0018】
ところで、この到達検出手段には、役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間が設定されている。
【0019】
このため、例えば、開店前(電源投入前)に予め遊技球を案内流路途中の所定位置よりも上流側に保持しておき、開店後に最初に役物入賞口が開放される条件が揃って、前記送出手段が作動し、前記保持された遊技球が目的位置に到達したとしても、例えば、この保持された遊技球の到達時間よりも、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間を長くしておけば、前記保持された遊技球のような、正規に役物入賞口から入賞した遊技球ではない遊技球の目的位置到達を無効とすることができる。
【0020】
本発明において、前記役物入賞口から役物領域内へ入賞した遊技球を検出する入賞検出手段と、前記入賞検出手段で検出した遊技球数と、前記到達検出手段で検出した遊技球数との差分に基づいて、前記遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する監視手段と、をさらに有することを特徴としている。
【0021】
監視手段では、遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する。すなわち、入賞検出手段で遊技球数と同数の遊技球が、到達検出手段で検出されない場合、役物領域内に、遊技の進行上、不適正な遊技球が滞留していると判断することができる。
【0022】
無効期間をそれぞれの到達検出手段に対して最適値に設定することで、監視手段による監視体制を損なうリスク(監視できない期間の増加)を減らすことができる。
【0023】
また、本発明において、前記無効期間設定手段が、前記役物入賞口からそれぞれの目的位置までの案内流路の長さと、当該案内流路を流動する遊技球の移動速度とに基づいて演算される、前記役物入賞口の開放を起点とする各目的位置に到達するまでにかかる物理的な到達時間に基づいて、前記到達検出手段に対する無効期間を個別に設定することを特徴としている。
【0024】
役物入賞口からそれぞれの目的位置までの案内流路の長さをLとし、案内流路を流動する遊技球の移動速度をvとすると、役物入賞口の開放を起点とする各目的位置に到達するまでにかかる物理的な到達時間tは、L/vである。各到達検出手段に対する無効期間を個別に設定する場合、到達時間tに基づいて設定することで、それぞれの到達検出手段に最適な無効期間を設定することができる。
【0025】
なお、前記物理的な到達時間は、例えば、最短到達時間である。
【0026】
さらに、本発明において、前記案内流路の一部に、前記遊技球の流動を制限又は促進する部材又は機構が設けられている場合、前記到達時間が当該制限又は促進された時間だけ補正されることを特徴としている。
【0027】
前記到達時間は、遊技球の自然落下等により計算できるが、案内流路の一部に、前記遊技球の流動を制限又は促進する部材又は機構が設けられている場合は、到達時間に対して、当該制限又は促進された時間だけ補正することで、無効期間の設定に不具合が生じることがない。
【0028】
また、本発明において、前記振分手段が、前記役物領域内に入賞した遊技球を、外れ或いは前記目的位置である当たりの何れかに振り分ける第1の振分手段と、前記第1の振分手段によって当たりに振り分けられた遊技球を、さらに相対的にその後の遊技状態での遊技球の獲得数が異なる複数種の当たりに振り分ける第2の振分手段とを備えることを特徴としている。
【0029】
役物領域内に入賞した遊技球は、案内流路に案内されて、まず第1の振分手段で外れ又は当たりの何れかに振り分けられる。この場合、当たりとして複数の目的位置が存在している。
【0030】
このため、第2の振分手段は、当たりとなる目的位置の何れかに遊技球を振り分け、結果、相対的にその後の遊技状態での遊技球の獲得数が異なる複数種の当たりの何れかが確定する。
【0031】
例えば、第2の振分手段において2種類の目的位置に振り分けられる場合、一方に振り分けられた遊技球の目的位置までの案内流路長と、他方に振り分けられた遊技球の目的位置までの案内流路長とが異なり、遊技球の流動速度が同一である場合、それぞれの最適な無効期間が異なるが、本発明では、目的位置に対応する到達検出手段毎に無効期間を設定することができるため、それぞれの到達検出手段に最適な無効期間を設定することができる。
【0032】
さらに、本発明において、前記到達検出手段に対して無効期間設定手段で設定される無効期間toutが、前記役物入賞口の開放から到達検出手段で遊技球を検出するまでの時間tin以下に設定される(tout≦tin)ことを特徴としている。
【0033】
無効期間は、例えば、到達時間以下であることが好ましい。すなわち、到達検出手段に対して無効期間設定手段で設定される無効期間toutを、役物入賞口の開放から到達検出手段で遊技球を検出するまでの到達時間tin以下とする。この場合、無効期間toutと到達時間tinとの差分Δt(=|tin−tou|)は、各到達検出手段に対して一律でもよいし、一定の割合でもよい。また、案内流路が長ければ長いほど誤差が累積されるため、到達時間の長さに応じて、差分を決定してもよい。
【0034】
本発明は、特定の遊技状態になると、遊技盤面における通常遊技領域に設けられた役物入賞口に入賞することを条件として、前記遊技盤における前記通常遊技領域とは仕切られた役物装置内への入賞を可能とし、当該役物装置内での遊技球の動向によって当たりとなった場合に、短期間に多くの賞球払い出しを受けることが可能な特別遊技状態に所定期間移行する遊技仕様に基づいて遊技を進行させる遊技制御手段を備えた遊技機であって、前記役物装置が、前記役物入賞口から役物領域内へ入賞した遊技球を検出する入賞検出手段と、前記役物領域内に設けられ、前記役物領域内に入賞した遊技球を、外れ或いは前記目的位置である当たりの何れかに振り分ける第1の振分手段と、前記第1の振分手段によって当たりに振り分けられた遊技球を、さらに相対的にその後の遊技状態での遊技球の賞球払い出し数が異なる複数種の当たりに振り分ける第2の振分手段と、前記第1の振分手段と第2の振り分け手段との間の前記案内流路の所定位置に設けられ、前記役物入賞口が開放される条件が揃った場合に、前記所定位置よりも下流側に前記遊技球を送り出す送出手段と、前記当たり/外れを含む複数の目的位置毎に設けられ、前記遊技球の目的位置への到達を検出する複数の到達検出手段と、前記当たりとなる目的位置に設けられた複数の到達検出手段のそれぞれに対応して、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間を設定する無効期間設定手段と、前記入賞検出手段と前記到達検出手段とのそれぞれで検出した遊技球数の差分に基づいて、前記遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する監視手段と、
を有することを特徴としている。
【0035】
本発明によれば、特定の遊技状態になると、役物入賞口が、例えば所定時間、所定回数開放する。この開放中に遊技球が入賞可能となる。
【0036】
役物入賞口から役物領域内に入賞した遊技球は、案内流路により目的位置へ案内されるが、この案内流路で遊技球は、複数の目的位置の何れかへ案内されるように振り分けられる。
【0037】
すなわち、役物領域内に入賞した遊技球は、案内流路に案内されて、まず第1の振分手段で外れ又は当たりの何れかに振り分けられる。この場合、当たりとして複数の目的位置が存在している。
【0038】
このため、第2の振分手段は、当たりとなる目的位置の何れかに遊技球を振り分け、結果、相対的にその後の遊技状態での遊技球の獲得数が異なる複数種の当たりの何れかが確定する。
【0039】
例えば、第2の振分手段において2種類の目的位置に振り分けられる場合、一方に振り分けられた遊技球の目的位置までの案内流路長と、他方に振り分けられた遊技球の目的位置までの案内流路長とが異なり、遊技球の流動速度が同一である場合、それぞれの最適な無効期間が異なるが、本発明では、目的位置に対応する到達検出手段毎に無効期間を設定することができるため、それぞれの到達検出手段に最適な無効期間を設定することができる。
【0040】
それぞれの目的位置には、当該目的位置への到達を検出する到達検出手段が設けられており、例えば、この到達検出手段による遊技球の検出によってそれぞれの目的位置に応じた遊技状態で遊技が進行する。
【0041】
ところで、この到達検出手段には、役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間が設定されている。
【0042】
このため、例えば、開店前(電源投入前)に予め遊技球を案内流路途中の所定位置よりも上流側に保持しておき、開店後に最初に役物入賞口が開放される条件が揃って、前記送出手段が作動し、前記保持された遊技球が目的位置に到達したとしても、例えば、この保持された遊技球の到達時間よりも、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間を長くしておけば、前記保持された遊技球のような、正規に役物入賞口から入賞した遊技球ではない遊技球の目的位置到達を無効とすることができる。
【0043】
一方、監視手段では、遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する。すなわち、入賞検出手段で遊技球数と同数の遊技球が、到達検出手段で検出されない場合、役物領域内に、遊技の進行上、不適正な遊技球が滞留していると判断することができる。
【0044】
このように、無効期間をそれぞれの到達検出手段に対して最適値に設定することで、監視手段による監視体制を損なうリスク(監視できない期間の増加)を減らすことができる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明した如く本発明では、役物領域内に受け入れた遊技球が、それぞれ到達時期が異なる複数の目的位置に到達したことを検出する手段に対し、それぞれに最適な検出無効期間を設けることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係るセンター役物の正面図である。
【図4】本実施の形態に係る遊技の進行を制御する制御ブロック図である。
【図5】図3に示すセンター役物内の機能を模式的に示した概略図である。
【図6】無効期間設定制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】無効期間を設定したときのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0048】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0049】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0050】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0051】
上皿部28の周縁壁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0052】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0053】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0054】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0055】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0056】
この結果、上部演出部52と下部演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0057】
この演出部56は、上部演出部52及び下部演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0058】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示部62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0059】
また、前記上部演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0060】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という場合がある。
【0061】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっている。なお、遊技盤18の最前面(釘が打ち込まれる面)となる部材として透明のアクリル板を適用し、当該アクリル板の裏面側に、セルの代替であるレンズ面が設けられた電飾装置(セット板)が配置される場合もある。
【0062】
遊技盤18は、その盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図4参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0063】
遊技盤18の遊技領域には、釘19(符号は、数カ所の釘に対して指標した)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105(役物装置)が配置されている。ここで、遊技盤18において、センター役物105の周囲の遊技盤面が通常遊技領域18Aとされ、センター役物105の内側の領域は、この通常遊技領域とは区画された役物領域105Aとなる。センター役物105には一部に入賞流入口110が形成され、開閉部材としての羽根部材112が取り付けられ、この羽根部材112が開放しているときにかぎり、通常遊技領域18Aにある遊技球PBを役物領域105Aへ入賞させることが可能となっている。なお、センター役物105の構造については、後述する。
【0064】
センター役物105の左右には、それぞれ一般入賞口114が設けられている。センター役物105よりも下部には、入賞役物装置116が設けられている。
【0065】
入賞役物装置116には、その中央にセンター特定入賞口118Cが設けられ、その左右に一対のサイド特定入賞口118L、118Rが設けられている。なお、センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rを総称する場合、単に、特定入賞口118という場合がある。また、入賞役物装置116の左右には、一般入賞口114が設けられている。
【0066】
ここで、4個の一般入賞口114はそれぞれ入賞すると、所定数(例えば、10〜15球)の賞球払い出しが実行されるようになっている。
【0067】
一方、特定入賞口118は、それぞれ入賞すると、所定数(例えば1〜5球)の賞球払い出しが実行されると共に(賞球払い出しがない場合もある)、前記羽根部材112を所定期間開放する契機となる。
【0068】
また、遊技盤18の通常遊技領域18Aの最下位置には、何れの入賞口にも入賞しない外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口120が設けられている。
【0069】
(センター役物105)
図3に示される如く、本実施の形態に係るセンター役物105は、左右対称形状とされ、その左右には、それぞれ縦壁部122が形成され、前記遊技盤18の通常遊技領域18Aとは区画された役物領域105Aが形成されている。また、センター役物105の天井部は、遊技機18のテーマに即した形状の飾り部材124が取り付けられている。
【0070】
一対の縦壁部122の上端部と、前記飾り部材124との間は開口しており、センター役物105内の役物領域105Aへの一対の入賞流入口110とされている。
【0071】
羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLへの励磁制御によって、回転軸を中心に回転される。例えば、羽根部材ソレノイド112SLが非励磁の場合は縦位置となり、励磁の場合は横位置となる。なお、一対の羽根部材112は、リンク機構によって単一の羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、同期して開閉動作がなされるが、それぞれ独立した駆動源を持ち、左右を非同期に開閉してもよい。
【0072】
一対の羽根部材112は、前記特定入賞口118(図2参照)に遊技球PBが入賞すると開放するようになっている。一例として、遊技球PBが、一対のサイド特定入賞口118L、118Rの何れかに入賞すると、これをサイド特定入賞検出センサ118LS、118RSで検出して羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。また、遊技球PBがセンター特定入賞口118Cに入賞すると、これをセンター特定入賞検出センサ118CSで検出して羽根部材112が2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。
【0073】
図5は、前記図3に示すセンター役物105内の機能を模式的に示した概略図である。
【0074】
図3及び図5に示される如く、羽根部材112の開放により、左右の何れから入賞した遊技球PBは、球検出センサ112Sを通過して、案内流路125を介して、センター役物105の最下部に設けられた第1の振分手段としての回転体振分部126へ落下するようになっている。
【0075】
回転体振分部126は、パチンコ機10に電源が投入された時点で、回転振分部モータ126Mの駆動によって、常時回転するようになっている。なお、本実施の形態では、常時回転するようにしたが、例えば、羽根部材112の開放から所定時間だけ回転させてもよい。また、回転速度や回転方向を適宜変更してもよい。
【0076】
回転振分部126には、複数の収容溝が形成されており、所定の比率で当たり溝と外れ溝とに分類されている。例えば、当たり溝:外れ溝=1:3とすれば、前記案内流路125から受けた遊技球PBは、1/4の確率で当たり溝に収容されることになる。なお、当たり溝に収容されたことを、「V入賞」という場合がある。
【0077】
ここで、本実施の形態では、前記回転振分部126の各収容溝に当たり溝か外れ溝かを区別する指標がなされておらず、当たり溝に収容された遊技球PBと、外れ溝に収容された遊技球PBとが、それぞれ異なる方向(外れ流路128、当たり流路130)へ案内されるようになっている。
【0078】
回転振分部126において、外れ溝に収容された遊技球PBは、外れ流路128に案内されて、センター役物105及び遊技盤18から排出される。外れ流路128の途中には外れ検出センサ128Sが設けられている。
【0079】
一方、回転振分部126において、当たり溝に収容された遊技球PBは、センター役物105の図3に向かって右側の縦壁部112に沿って設けられたスクリューコンベア機構132へ案内されるようになっている。
【0080】
スクリューコンベア機構132は、円筒部132Aの中に、回転軸132Bの周囲に渦巻き状に案内ペラ132Cが取り付けられたスクリュー部132Dが収容されており、スクリュー部132Dは、スクリューモータ132Mによって一方向に回転するようになっている。
【0081】
また、円筒部材132Aの内周面にはスクリュー部の回転軸に向けて、スクリュー部の回転をさまたげないストッパ部132Eが形成されている。このため、スクリューコンベア機構132に案内された遊技球PBは、スクリュー部132Dの回転によって、徐々に上昇されるようになっている。
【0082】
なお、円筒部材132Aには、その中間位置に遊技球排出口133A及び遊技球受入口133Bが設けられると共に、上端位置に遊技球排出口133Cが設けられている。ここで、スクリューコンベア機構132では、前記センター役物105の下端部から上昇していく遊技球PBを、一旦中間位置の遊技球排出口133Aから排出し、所定の確率で戻ってくる遊技球PBを遊技球受入口133Bから受け入れて再度上昇させ、上端位置の遊技球排出口133Cから排出する。
【0083】
図3に示される如く、前記回転振分部126の周囲には、センター役物105のメイン部材134の脚部134Aが固定されている。メイン部材134は、前記脚部134Aからセンター役物105の上部へ延びる塔形状であり、上部に行くに従い所謂「先細り」とされた円錐(或いは角錐)の立体構造とされている。例えば、メイン部材134は、市街地にそびえる電波塔をモチーフにする場合がある。
【0084】
前記スクリューコンベア機構132の中間位置と、メイン部材134の高さ方向の中間位置との間には、第1の連絡流路135が設けられている。この第1の連絡流路135は、メイン部材134の前記中間位置を周回する輪状の周回路が設けられている。このため、スクリューコンベア機構132の中間位置の遊技球排出口133Aから排出された遊技球PBは、メイン部材134の回りをほぼ1周して、スクリューコンベア機構132の遊技球受入口133Bに戻る場合がある。
【0085】
前記周回路は、第2の振分手段としての機能を有しており、周回している遊技球PBの一部を第1の特定領域(V入賞口)へ入賞させることができるようになっている。
【0086】
また、前記スクリューコンベア機構132の上端位置と、メイン部材134の高さ方向の上端位置との間には、第2の連絡流路136が設けられている。この第2の連絡流路136は、メイン部材134の前記上端位置の設けられた第2の特定領域(V入賞口)へ案内する役目を有している。
【0087】
なお、前記第1の特定領域と第2の特定領域は、V入賞した遊技球PBの最終の目的位置であり、第1の特定領域と第2の特定領域を通過してセンター役物105及び遊技盤18から排出される案内流路138、140には、それぞれ別々に到達検出センサ(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S)が設けられている。
【0088】
(不正監視)
第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140Sは、それぞれ遊技球PBの第1の特定領域通過、第2の特定領域通過を独立して検出する役目を有しており、例えば、両者の間には、その後の特別遊技状態における遊技者に対する有利度の差が設定される場合がある。
【0089】
また、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140Sは、前記役目以外に、前記外れ検出センサ128Sと共に、羽根部材112の開放時に受け入れた遊技球PBの球検出センサ112Sによる検出数と、外れ又は当たりとなってセンター役物105から排出される遊技数PBの検出数(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、外れ検出センサ128Sで検出した遊技球の合計)とを比較することで、不正(不要)にセンター役物105内に滞留している遊技球の有無を監視する役目(第1の監視)を有している。
【0090】
なお、本実施の形態では、第1の監視を実現するための制御プログラムが、後述する主制御部150(図4参照)に予め記憶されるようになっている。なお、この監視制御に関して、別途制御部を設けてもよく、この監視制御はソフトウェア、ハードウェアと問わない。
【0091】
(制御系の構成)
次に、図4を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0092】
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、図4に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0093】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0094】
主制御部150には、通常遊技領域18Aにおける入力系として、一般入賞口114(本実施の形態では4箇所)に入賞する遊技球PBを検出する一般入賞用の球検出センサ114S、センター特定入賞口118Cに入賞する遊技球を検出するセンター特定入賞用のセンター球検出センサ118CS、サイド特定入賞口118L、118Rに入賞する遊技球PBを検出するサイド特定入賞用のサイド球検出センサ118LS、118RSが接続されている。
【0095】
なお、一般入賞用の球検出センサ114Sは、各入賞口毎でもよいし、2以上の入賞口を合流させて兼用してもよい。
【0096】
また、サイド特定入賞用の球検出センサ118LS、118RSは、各特定入賞口毎でもよいし、2つのサイド特定入賞口118L、118Rを合流させて兼用してもよい。
【0097】
また、主制御部150には、センター役物105の役物領域105Aにおける入力系として、羽根部材112が開放したときに役物領域105A内に入賞する遊技球PBを検出する特定遊技部入賞用の球検出センサ112S、第1の特定領域を通過する(V入賞する)遊技球PBを検出する第1の到達検出センサ138S、第2の特定領域を通過する(V入賞する)遊技球PBを検出する第2の到達検出センサ140S、回転振分部126の外れ溝に収容され、その後センター役物105及び遊技盤18から排出される遊技球PBを検出する外れ検出センサ128Sが接続されている。
【0098】
また、主制御部150には、通常遊技領域18における出力系として、ガイドランプユニット109が接続されている。ガイドラインユニット109は、遊技の進行を複数のランプ(LED)点灯、消灯、点滅、点灯時の色等によって識別するものである。
【0099】
また、主制御部150には、センター役物105の役物領域105Aにおける出力系として、羽根部材112を開閉するための羽根部材ソレノイド112SL、回転振分部126を回転させる回転振分部モータ126M、スクリューコンベア機構部132のスクリュー部132Dを回転させるスクリューモータ132Mが接続されている。
【0100】
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。なお、遊技盤18面にLCD表示部やLED表示部等の表示部材を設ける場合には、演出制御部152に接続すればよい。
【0101】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0102】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0103】
(無効期間の個別設定)
ここで、本実施の形態のセンター役物105では、前記スクリューコンベア機構132のスクリュー部132Dを回転させるスクリューモータ132Mは、前記羽根部材112が開放してから所定時間だけ回転するようになっている。言い換えれば、例えば、遊技を開始する前に、円筒部材132Aの中間位置の遊技球排出口133Aから出ない状態でスクリュー部132Dの案内ペラ132Cに遊技球PBが滞留していると(図5の鎖線位置参照)、遊技が開始し羽根部材112が開放することで、スクリュー部132Dが回転し、100%の確率でV入賞(第1の特定領域通過又は第2の特定領域通過)することになる。
【0104】
前記滞留する要因として、遊技球PBの自然落下や流動以外に、前述したスクリューコンベア機構132に代表されるように、駆動源によって動作することで遊技球PBを下流へ送り出す(強制上昇する)送り出し機構(送出手段)が存在する場合に、比較的容易に起こり得る。
【0105】
このような、滞留している遊技球PBによるV入賞を回避するため、羽根部材112の開放から所定時間、第1の到達検出センサ138S及び第2の到達検出センサ140Sによる球検出を無効とする無効期間を設ける必要がある。これは、第1の到達検出センサ138S及び第2の到達検出センサ140Sの第2の監視ということができる。この第2の監視を実行する制御プログラムも、主制御部150に予め記憶してもよいし、別途、監視制御部(ハードウェア、ソフトウェアを問わず)を設けてもよい
ところで、本実施の形態では、第1の特定領域と、第2の特定領域とでは、遊技球PBが案内される案内流路長が異なっている。
【0106】
すなわち、メイン部材134の中間位置の第1の特定領域までは同一の径路であるが、第2の特定領域に到達する遊技球PBは、この中間位置から上端位置までの道のりが加算される。
【0107】
より詳細に言えば、羽根部材から第1の特定領域までの遊技球PBの道のりをL1、羽根部材112から第2の特定領域までの遊技球PBの道のりをL2とすると、L1<L2の関係となり、L1は両者に共通の道のりであるため、L1を移動する時間t1と、L2を移動する時間t2との関係は、t1<t2となる。
【0108】
この場合、従来は、前記無効期間を設定するにあたり、最も最短時間の道のりを対象として設定しているため、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140Sの区別なく、前記L1を移動する時間t1を基準に単一の無効期間を設定していた。しかしながら、これでは、第2の特定領域に対する監視体制が不十分となる。
【0109】
そこで、本実施の形態では、前記羽根部材112から第1の特定領域までの遊技球PBの道のりL1を移動する遊技球PBの移動時間t1に対して無効期間t3、並びに羽根部材112から第2の特定領域までの遊技球PBの道のりL2を移動する遊技球PBの移動時間t2に対して無効期間t4をそれぞれ独立に設定した。
【0110】
なお、無効期間t3は移動時間t1以下、無効期間t4は移動時間t2以下であり(t1≧t3、t2≧t4)、好ましくは、移動時間よりも無効時間を1秒程度短くする。
【0111】
例えば、羽根部材112の開放から第1の特定領域通過までに最短で10秒かかり、第2の特定領域通過までに最短で15秒かかる場合に、第1の特定領域に対して無効期間を9秒、第2の特定領域に対して無効期間を14秒等、それぞれ1秒程度の差を設ける。
【0112】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0113】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口120からパチンコ機10内に回収される。
【0114】
また、遊技球PBが通常遊技領域18A内に設けたセンター特定入賞口118C又はサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、センター役物105の羽根部材112が開閉動作され(約0.5秒〜1.0秒間の開放を1回又は2回実行)、遊技球PBがセンター役物105内の役物領域105Aへ入賞することを許可する。
【0115】
センター役物105内の役物領域105Aでは、遊技球PBの動向(流動状態)に応じて、V通路に流入するか否かが確定され、V通路に流入した場合には、遊技を継続する上で、遊技者に有利となり得る特典が付与される。また、一般入賞口114に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0116】
(センター役物105における遊技仕様の概要)
以下に、羽根部材112の開放によって遊技球PBがセンター役物105の役物領域105Aに入賞した場合の遊技球PBの動向について詳細に説明する。
【0117】
通常遊技領域18Aに設けられたサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を1回だけ実行する。また、センター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を2回だけ実行する。何れにしても、羽根部材112の開放中は、通常遊技領域18Aを落下している遊技球PBが、センター役物105の役物領域105Aへ入賞することが可能となる。
【0118】
役物領域105Aに入賞したか否かは、球検出センサ112Sによって検出される。
【0119】
この検出は、センター役物105内への、IN(流入)/OUT(流出)を監視することが目的(第1の監視)であり、例えば、特定遊技部入賞用の球検出センサ112Sによって遊技球PBが検出されると、その都度タイマが起動して、所定時間経過しても流出がない(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、外れ検出センサ128Sで検出しない)場合に、球噛み、球詰まりや、不正行為の発生を予測して、エラー報知を行う。
【0120】
前記役物領域105Aに入賞した遊技球PBは、まず、回転振分部126において、外れ溝又は当たり溝の何れかに収容され、第1の振り分けが実施される。外れ溝に収容された遊技球PBは、遊技の進行としての前途はなく、センター役物105及び遊技盤18から排出され、以後の遊技の進行に変化はない。
【0121】
一方、当たり溝に遊技球PBが収容されると、この時点で特別遊技状態が確定する。なお、本実施の形態の遊技仕様では、この時点での特別遊技状態の確定を報知していておらず、外れ溝/当たり溝を区別する指標もしないようにしたが、報知したり指標するようにしてもよい。
【0122】
当たり溝に収容された遊技球PBは、スクリューコンベア機構132へと案内され、スクリュー部134Dの案内ペラ132Cの回転によって円筒部内を上昇する。
【0123】
この上昇中、遊技球PBは、必ず、中間位置の遊技球排出口133Aから排出され、メイン部材134の中間位置の周り流動する。この流動中に、遊技球PBは、第1の特定領域を通過する(V入賞する)場合と、当該メイン部材134の中間部を周回して、遊技球受入口133Bから、再びスクリューコンベア部132の円筒部132A内に入り、さらに上昇する。
【0124】
スクリューコンベア機構132の上端部には、遊技球排出口133Cが設けられ、遊技球PBは遊技球排出口133Cから排出され、メイン部材134の上端部へ案内される。このメイン部材134の上端部には第2の特定領域が設けられ、遊技球PBは必ず第2の特定領域を通過する(V入賞する)。
【0125】
本実施の形態では、第1の特定領域を通過、或いは第2の特定領域を通過するとV入賞となり、羽根部材112を、通常遊技状態に比べて、その開放回数、開放時間が長い動作(1ラウンド)を複数ラウンド繰り返す、特別遊技状態となる。
【0126】
特別遊技状態では、球検出センサ112Sで検出した遊技球の数に応じて賞球払い出しがなされるため、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態ということができる。
【0127】
ここで、第1の特定領域を通過した場合と、第2の特定領域を通過した場合とで、前記羽根部材112のラウンド数を異ならせている。例えば、第1の特定領域を通過してV入賞となった場合は最大8ラウンド、第2の特定領域を通過したV入賞となった場合は最大16ラウンドとしている。なお、ラウンドの更新は、再度V入賞したときであり、多くの入賞が期待できる特別遊技状態では、振分回転部126の当たり溝にはほぼ100%に近い確率で、遊技球PBを収容可能である。
【0128】
ここで、遊技球PBの自然落下や流動以外に、前述したスクリューコンベア機構132に代表される、駆動源によって動作することで遊技球PBを下流へ送り出す送り出し機構(送出手段)が存在する場合に、遊技球PBが滞留され易くなる。また、意図的に開店前に滞留させておくことも可能である。
【0129】
このような、滞留している遊技球PBによるV入賞を回避するため、第1の到達検出センサ138S及び第2の到達検出センサ140Sの第2の監視として、羽根部材112の開放から所定時間、第1の到達検出センサ138S及び第2の到達検出センサ140Sによる球検出を無効とする無効期間を設けている。無効期間は、羽根部材112が開放してから、遊技球PBが最短で第1の特定領域又は第2の特定領域に到達する直前の時間まで設定することが好ましい。
【0130】
ここで、本実施の形態では、羽根部材から第1の特定領域までの遊技球PBの道のりをL1を移動するには、時間t1が必要である。
【0131】
一方、羽根部材112から第2の特定領域までの遊技球PBの道のりをL2を移動するには、時間t2が必要である。これらの時間には、t1<t2の関係があるにも関わらず、従来は、無効期間を設定するにあたり、最も最短時間の道のりを対象として設定している。しかし、これでは、第2の特定領域に対する監視体制が不十分となる。
【0132】
そこで、本実施の形態では、第1の特定領域に対応する移動時間t1に対して無効期間t3を設定すると共に、第2の特定領域に対する移動時間t2に対して無効期間t4を設定した。すなわち、それぞれの特定領域に適性な無効時間を、それぞれ独立に設定した。
【0133】
図6は、無効期間設定制御ルーチンを示すフローチャート、図7は無効期間を設定したときのタイミングチャートである。
【0134】
図6に示される如く、ステップ200では、羽根部材112が開放されたか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。また、ステップ200で肯定判定されると(羽根部材112が開放されると)、ステップ202へ移行して、タイマ1とタイマ2とをリセットスタートさせる。タイマ1は前記時間t3をタイムアップ時間とされ、タイマ2は前記時間t4をタイムアップ時間とされ、それぞれ起動する。
【0135】
次のステップ204では、第1の到達検出センサ138S及び第2の到達検出センサ140Sの検出信号の無効を開始する(図7のA線矢視参照)。この無効の開始によって、例えば、第1の到達検出センサ138Sで、当該無効期間中に遊技球PBが第1の特定領域を通過したとしても、この通過は認められない(図7のB線矢視参照)。すなわち、V入賞の契機とはならない。
【0136】
次のステップ206では、タイマ1が時間t3を経過したか否かが判断され、肯定判定されるとステップ208へ移行して第1の到達検出センサ138Sの検出無効を解除する(図7のC線矢視参照)。これにより、その後に第1の特定領域を通過した遊技球PBは、確実に第1の到達検出センサ138Sで検出されるため、V入賞の契機となる(図7のD線矢視参照)。なお、このとき、第2の到達検出センサ140Sの検出無効は継続されるので(図7のE線矢視参照)、この期間中(第1の到達検出センサ138Sの無効解除以後)に第2の特定領域を遊技球PBが通過したとしても、この通過は認められない(図7のF線矢視参照)。すなわち、V入賞の契機とはならない。
【0137】
次のステップ210では、タイマ1が時間t3を経過したか否かが判断され、肯定判定されるとステップ212へ移行して第1の到達検出センサ138Sの検出無効を解除し(図7のG線矢視参照)、このルーチンは終了する。これにより、その後に第2の特定領域を通過した遊技球PBは、確実に第2の到達検出センサ140Sで検出されるため、V入賞の契機となる(図7のH線矢視参照)。
【0138】
以上説明したように、本実施の形態では、第1の特定領域に対応する移動時間t1に対して無効期間t3を設定すると共に、第2の特定領域に対する移動時間t2に対して無効期間t4を設定することで、第1の特定領域及び第2の特定領域のそれぞれに最適な無効時間となる。例えば、羽根部材112の開放から最も早く特定領域に到達する時間に併せて、一律で無効期間を設定した場合において、これよりも遅い時間に到達する特定領域への不正入賞等を見逃すことを防止することができる。
【0139】
この場合、単純に複数の特定領域への道のりが二股に分かれて構成した場合、構造によっては、それぞれの到達時間差が遊技球PBの動向によって変化し、最短と予測した方が遅く到達するような場合がある。
【0140】
しかし、本実施の形態の役物装置105内の遊技球PBが第1の特定領域又は第2の特定領域に到達するまでの道のりは、必ず第1の特定領域に到達し、第1の特定領域を通過しなかった場合に、第2の特定領域に案内されるようになっている。すなわち、直列的な案内流路となっているため、確実に両者の到達時間の差を認識することができ、それぞれに最適な無効期間を設けることができる。
【符号の説明】
【0141】
PB 遊技球
10 パチンコ機(遊技機)
18 遊技盤
18A 通常遊技領域
19 釘
21 風車
102 外レール
104 内レール
105 センター役物(役物装置)
105A 特定遊技部
110 入賞流入口(役物入賞口)
112 羽根部材(役物入賞口)
112SL 羽根部材ソレノイド
112S 球検出センサ
114 一般入賞口
114S 球検出センサ
116 入賞役物装置
118 特定入賞口
118C センター特定入賞口
118CS 球検出センサ
118L、118R サイド特定入賞口
118LS、118RS 球検出センサ
120 アウト口
122 縦壁部
124 飾り部材
125 案内流路
126 回転体振分部
126M 回転振分部モータ
128 外れ流路
128S 外れ検出センサ
130 当たり流路
132 スクリューコンベア機構(送出手段)
132A 円筒部
132B 回転軸
132C 案内ペラ
132D スクリュー部
132E ストッパ部
132M スクリューモータ
133A 遊技球排出口(振分手段)
133B 遊技球受入口(振分手段)
133C 遊技球排出口
134 メイン部材
134A 脚部
135 第1の連絡流路(振分手段)
136 第2の連絡流路
138 案内流路
138S 第1の到達検出センサ(到達検出手段)
140 案内流路
140S 第2の到達検出センサ(到達検出手段)
150 主制御部(無効期間設定手段)
151 案内傾斜部
152 演出制御部
154 払出制御部
160 払出装置
164 発射制御部
165 発射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上に設けられ、特定の遊技状態となったときに開放され、遊技球を役物領域内へ入賞可能とする役物入賞口と、
前記役物領域内において前記遊技球を目的位置へ案内する案内流路の途中に設けられ、前記遊技球を分岐して、複数の目的位置の何れかへ案内する振分手段と、
前記振分手段よりも下流側における前記案内流路の所定位置に設けられ、前記役物入賞口が開放される条件が揃った場合に、前記所定位置よりも下流側に前記遊技球を送り出す送出手段と、
前記複数の目的位置毎に設けられ、前記遊技球の目的位置への到達を検出する複数の到達検出手段と、
前記複数の到達検出手段のそれぞれに対応して、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間を設定する無効期間設定手段と、
を有する役物装置。
【請求項2】
前記役物入賞口から役物領域内へ入賞した遊技球を検出する入賞検出手段と、
前記入賞検出手段で検出した遊技球数と、前記到達検出手段で検出した遊技球数との差分に基づいて、前記遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する監視手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の役物装置。
【請求項3】
前記無効期間設定手段が、前記役物入賞口からそれぞれの目的位置までの案内流路の長さと、当該案内流路を流動する遊技球の移動速度とに基づいて演算される、前記役物入賞口の開放を起点とする各目的位置に到達するまでにかかる物理的な到達時間に基づいて、前記到達検出手段に対する無効期間を個別に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の役物装置。
【請求項4】
前記案内流路の一部に、前記遊技球の流動を制限又は促進する部材又は機構が設けられている場合、前記到達時間が当該制限又は促進された時間だけ補正されることを特徴とする請求項3記載の役物装置。
【請求項5】
前記振分手段が、
前記役物領域内に入賞した遊技球を、外れ或いは前記目的位置である当たりの何れかに振り分ける第1の振分手段と、
前記第1の振分手段によって当たりに振り分けられた遊技球を、さらに相対的にその後の遊技状態での遊技球の獲得数が異なる複数種の当たりに振り分ける第2の振分手段とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の役物装置。
【請求項6】
前記到達検出手段に対して無効期間設定手段で設定される無効期間toutが、前記役物入賞口の開放から到達検出手段で遊技球を検出するまでの時間tin以下に設定される(tout≦tin)ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項記載の役物装置。
【請求項7】
特定の遊技状態になると、遊技盤面における通常遊技領域に設けられた役物入賞口に入賞することを条件として、前記遊技盤における前記通常遊技領域とは仕切られた役物装置内への入賞を可能とし、当該役物装置内での遊技球の動向によって当たりとなった場合に、短期間に多くの賞球払い出しを受けることが可能な特別遊技状態に所定期間移行する遊技仕様に基づいて遊技を進行させる遊技制御手段を備えた遊技機であって、
前記役物装置が、
前記役物入賞口から役物領域内へ入賞した遊技球を検出する入賞検出手段と、
前記役物領域内に設けられ、前記役物領域内に入賞した遊技球を、外れ或いは前記目的位置である当たりの何れかに振り分ける第1の振分手段と、
前記第1の振分手段によって当たりに振り分けられた遊技球を、さらに相対的にその後の遊技状態での遊技球の賞球払い出し数が異なる複数種の当たりに振り分ける第2の振分手段と、
前記第1の振分手段と第2の振り分け手段との間の前記案内流路の所定位置に設けられ、前記役物入賞口が開放される条件が揃った場合に、前記所定位置よりも下流側に前記遊技球を送り出す送出手段と、
前記当たり/外れを含む複数の目的位置毎に設けられ、前記遊技球の目的位置への到達を検出する複数の到達検出手段と、
前記当たりとなる目的位置に設けられた複数の到達検出手段のそれぞれに対応して、前記役物入賞口が開放されたことを基準とした所定期間、当該到達検出手段による検出を無効とする無効期間を設定する無効期間設定手段と、
前記入賞検出手段と前記到達検出手段とのそれぞれで検出した遊技球数の差分に基づいて、前記遊技球が不適正に前記役物領域内に滞留しているか否かを監視する監視手段と、
を有することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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