説明

待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラム

【課題】サービス利用者の個人情報の登録が不要で、かつ、簡易・低コストの待ち合せ呼出システムを提供する。
【解決手段】サービス利用者が所有するサービス利用者携帯電話機5からサービス提供者側に設置したPBX1にサービス専用の着信用として備えているトランク回路12に対して公衆網の携帯電話網2およびISDN網3を介して電話着信があった際に、PBX1は、サービス要求を受け付けた順番を示す受付番号を発行して、該受付番号をサービス利用者携帯電話機5の発信者番号と関連付けてメモリ10に記憶し、該受付番号に該当するサービス利用者に対してサービスを提供する順番に達した際に、サービス専用の発信用として備えているトランク回路13から、当該サービス利用者携帯電話機5に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することにより、当該サービス利用者に対してサービスを提供する順番になった旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムに関し、特に、役所、銀行、病院等における待ち合せ時において電話による呼出を行う待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
役所、銀行、病院等において、利用者がサービスを受ける状態になるまでの待ち合せ呼出システムの一例として、総合病院、開業医院、診療所において患者が待ち時間を解消するためのシステムが特許文献1の特開2003−203040号公報「携帯電話機・携帯情報機器・一般家庭用電話機(以上メール機能付き)インターネット接続による病院待ち時間呼出のシステムおよび方法」に記載されている。
【0003】
該特許文献1の待ち時間呼出システムは、図4に示すように、パソコン104、基幹システム105、データベースサーバ106の各機器を相互接続したシステムとして病院・診療所内に設置した構成からなっており、患者が所有する携帯電話機101a、一般家庭用電話機101b、携帯情報端末101c(それぞれメール機能付き)との間を、インターネット103を介して、無線回線102a、有線回線102b、無線回線102cを通じてメール送受信を行うことによって、呼出時間に達する順番に順次メールにより呼出を行うように構成されている。図4は、前記特許文献1に記載の従来の待ち時間呼出システムの構成例を示すシステム構成図である。
【0004】
また、待ち合せ呼出システムの他の例として、特許文献2の特開2006−121491号公報「順番待ち呼出装置」に記載されているシステムにおいては、順番待ちシステムとページングシステムとを統合するためにPBX(Private Branch Exchange:構内電話交換機)を使用して、ボタン電話機から該PBXに対して登録されている順番待ち行列の先頭を呼び出す操作を行うと、該PBXのページングスピーカをボタン電話機に接続して、ページング放送を行う仕組みを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−203040号公報(第2頁)
【特許文献2】特開2006−121491号公報(第5−6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の待ち時間呼出システムは、病院や診療所等に、パソコンのみならず、基幹システム、データベースサーバ等の機器を導入することが必要であり、かくのごとき機器の導入コストや運用コストに多大なコストを必要とし、個人経営等の小規模なサービス提供業を営むサービス提供者にとっては導入が困難になるという問題がある。さらには、患者(サービス利用者)は、所有する端末のメールアドレス等を登録することが必要であり、個人情報の保護という観点からも問題がある。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の待ち合せ呼出システムにおいては、PBXにページングスピーカを接続することが必要であるとともに、PBXのページングスピーカによって一斉呼出を行うため、サービス利用者は、常時、該ページングスピーカからの音声情報が聞こえる範囲内に留まっていなければならないのみならず、他のサービス利用者に対して余計な音声情報をばらまくという観点からも問題がある。さらには、サービス提供者は、その都度、該当するサービス利用者の携帯電話機の電話番号をダイヤルする手間や呼び出した携帯電話機の電話番号とサービスを受けようとするサービス利用者との間を照合する手間が必要になるのみならず、電話料金がかかるという問題もある。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、サービス利用者がサービス提供者に対して個人情報の登録が不要で、かつ、サービス利用者が構内のみに限ることなく任意の場所への移動も可能な仕組みを有するとともに、簡易かつ低コストで実現可能な待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)本発明による待ち合せ呼出システムは、サービス利用者が所有する携帯端末からサービス提供者側に設置した構内電話交換装置に対して公衆網を介して電話着信によるサービスの提供要求があった際に、前記構内電話交換装置から前記携帯端末に対して待ち合せ呼出動作を行う待ち合せ呼出システムであって、前記構内電話交換装置にサービス専用の着信用として備えられたトランク回路に前記携帯端末からの着信があった際に、サービス提供要求を受け付けた順番を示す受付番号を発行するとともに、該受付番号を当該携帯端末の発信者番号と関連付けてメモリに記憶し、前記受付番号に該当するサービス利用者に対してサービスを提供する順番に達した際に、前記構内電話交換装置にサービス専用の発信用として備えられたトランク回路から、当該サービス利用者が所有する前記携帯端末に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することにより、当該サービス利用者に対してサービスを提供する順番になった旨を通知することを特徴とする。
【0011】
(2)本発明による待ち合せ呼出方法は、サービス利用者が所有する携帯端末からサービス提供者側に設置した構内電話交換装置に対して公衆網を介して電話着信によるサービスの提供要求があった際に、前記構内電話交換装置から前記携帯端末に対して待ち合せ呼出動作を行う待ち合せ呼出方法であって、前記構内電話交換装置にサービス専用の着信用として備えられたトランク回路に前記携帯端末からの着信があった際に、サービス提供要求を受け付けた順番を示す受付番号を発行するとともに、該受付番号を当該携帯端末の発信者番号と関連付けてメモリに記憶し、前記受付番号に該当するサービス利用者に対してサービスを提供する順番に達した際に、前記構内電話交換装置にサービス専用の発信用として備えられたトランク回路から、当該サービス利用者が所有する前記携帯端末に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することにより、当該サービス利用者に対してサービスを提供する順番になった旨を通知することを特徴とする。
【0012】
(3)本発明による待ち合せ呼出プログラムは、少なくとも前記(2)に記載の待ち合せ呼出方法を、構内電話交換装置に搭載したコンピュータによって実行することが可能なプログラムとして実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0014】
第1に、サービス提供者は、構内電話交換装置として専用のページャー等の機器を用意することなく、サービス待ち状態のサービス利用者に対する呼出を行うための待ち合せ呼出システムを簡易に構築することができ、さらには、呼出時に、サービス利用者の携帯端末の電話番号をダイヤル操作して呼び出す手間や呼び出した携帯端末の電話番号とサービスを受けようとするサービス利用者との照合を行う手間を省くことも可能である。
【0015】
第2に、待ち合せ呼出システムの構築コストが安く、かつ、運用費用も十分に低く抑えることができるので、特に、個人経営の病院や飲食店等の比較的小規模なサービス提供業を営むサービス提供者にとっても、容易に導入することが可能である。
【0016】
第3に、サービス利用者は、サービス提供者に対して携帯端末の電話番号やメールアドレス等を公開する必要がないので、サービス利用者に関する個人情報保護という観点からも抵抗はなく、サービス待ち状態における呼出用として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による待ち合せ呼出システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1の待ち合せ呼出システムの動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【図3】図1の待ち合せ呼出システムの動作の図2とは異なる例を説明するためのシーケンスチャートである。
【図4】従来の待ち時間呼出システムの構成例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による待ち合せ呼出システム、待ち合せ呼出方法および待ち合せ呼出プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による待ち合せ呼出システムおよび待ち合せ呼出方法について説明するが、かかる待ち合せ呼出方法をコンピュータにより実行可能な待ち合せ呼出プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、待ち合せ呼出プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0019】
また、本発明による待ち合せ呼出システムは、サービス提供者側に設置する構内電話交換装置とサービス利用者が所有する携帯端末とを公衆網を介して接続する構成からなっているが、サービス提供者側に設置する構内電話交換装置としては、PBX(Private Branch Exchange:構内交換機)、ボタン電話装置等、構内に設置した電話交換機能を有する装置であれば、如何なる装置であっても良い。また、サービス利用者が所有する携帯端末は、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、ノートPC(Personal Computer)等、電話機能を有する端末装置であれば、如何なる端末装置であっても良い。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明は、構内電話交換装置(PBX、ボタン電話装置等)と携帯端末(携帯電話機、PHS端末、スマートフォン、携帯情報端末、ノートPC等)とを利用した、役所、銀行、病院等の、待ち合せ受付・呼出システムに関するものであり、サービス利用者が所有する携帯端末からの電話にてサービス利用を受け付けた際に、該携帯端末の発信者番号のサブアドレスに、受け付けた順番を示す受付番号を付して、電話信号としてサービス提供者側に(さらに場合によってはサービス利用者側にも)通知し、サービス提供の順番が来た際に、当該サービス利用者の携帯端末に対して、受付番号を示すサブアドレス付きで呼出を行うことを特徴としている。
【0021】
具体的には、本発明は、サービス提供者側に設置する構内電話交換装置(PBXやボタン電話装置等)が、サービス利用者が所有している携帯端末(携帯電話機、PHS端末、スマートフォン、携帯情報端末、ノートPC等)からのサービス要求用の電話着信を受け付けた際に、受け付けた順番を示す受付番号を発行して、当該携帯端末の発信者番号(電話番号)と関連付けを行ってメモリ上に保存する手段と、該受付番号を、サービス提供者に対して(さらに、場合によってはサービス利用者に対しても)通知する手段と、を備え、さらに、サービス提供者が、順番が来た受付番号を指定した際に、構内電話交換装置は、該構内電話交換装置の発信者番号に当該受付番号をサブアドレスとして付して、当該受付番号に関連付けされた発信者番号(電話番号)の携帯端末を呼び出す手段と、呼び出された携帯端末でサービス利用者が応答操作を行った際に、構内電話交換装置は、音声蓄積回路を駆動して、順番が来たことを示す音声情報を当該携帯端末に通知する手段と、サービス利用者の携帯端末から応答を受け取った際に、または、当該携帯端末に対する呼出を行った後あらかじめ定めた一定時間が経過した際に、構内電話交換装置のメモリ上からサービス利用者携帯端末の発信者番号(電話番号)と受付番号との情報を削除する手段と、を備えていることを主要な特徴としている。
【0022】
つまり、本発明は、サービス利用者が所有している携帯端末とサービス提供者側に設置する構内電話交換装置とを公衆網を介して接続するシステム構成とし、かつ、ページャー等の機器を必要としない簡易な待ち合せ呼出機能を実現することを特徴としている。また、個人情報保護の観点から、サービス利用者がサービス提供者に対し携帯端末の電話番号等の個人情報を告知することなく利用することができる機能を実現することを特徴としている。
【0023】
(実施形態の構成例)
次に、本発明による待ち合せ呼出システムの構成例について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明による待ち合せ呼出システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、サービス提供者側に設置する構内電話交換装置としてPBX(Private Branch Exchange:構内交換機)を利用し、かつ、サービス利用者が所有する携帯端末として携帯電話機を利用している場合を例にとって示している。
【0024】
図1に示す待ち合せ呼出システムは、サービス提供者側に設置されるPBX1と、PBX1に内線接続されて、該サービス提供者が使用する内線電話機4と、サービス利用者が所有しているサービス利用者携帯電話機5と、から構成されており、PBX1は公衆網つまりISDN網2および携帯電話網3を介して外線接続され、サービス利用者携帯電話機5は、PBX1が設置された構内のみならず、公衆網との接続が可能な任意の場所に移動しても、PBX1との外線接続が可能な構成とされている。
【0025】
PBX1は、メモリ10、スイッチ11、トランク回路12、トランク回路13、音声蓄積回路14、ライン回路15、CPU16を少なくとも含んで構成されている。トランク回路12、トランク回路13は、いずれも、ISDN網2に外線接続するためのインタフェース回路であり、トランク回路12は、サービス利用者がサービスを要求しようとする際に着信するサービス専用の着信用トランク回路であり、例えば'03−1234−5555'の電話番号を有している。また、トランク回路13は、サービスの提供が可能になった時点において、該当するサービス利用者に対して呼出を行うために発信するサービス専用の発信用トランク回路であり、例えば'03−1234−6666'の電話番号を有している。また、ライン回路15は、内線電話機4と内線接続するためのインタフェース回路である。スイッチ11は、CPU16による制御に基づいて、トランク回路12、トランク回路13、音声蓄積回路14、ライン回路15との間の接続・切断を行うスイッチである。
【0026】
また、内線電話機4は、ライン回路15を介して、CPU16により動作が制御され、サービス提供者(または、場合によっては、サービス利用者)によって利用される内線用の電話機である。また、PBX1とサービス利用者携帯電話機5との間は、前述のように、ISDN網2および携帯電話網3を介して、相互に接続され、電話呼の発着信動作を行うことができる。音声蓄積回路14は、サービスを提供する順番が来た旨をサービス利用者に通知するためのアナウンス用の音声情報等、各種のアナウンス用の音声情報を録音・再生・消去する機能を備えている。
【0027】
なお、サービス提供者は、当該サービス提供者側のPBXの着信用/発信用それぞれの公衆電話番号(ISDN網2の電話番号)を契約しており、前述のように、例えば'03−1234−5555'の電話番号を有する着信用のサービス専用のトランク回路としてトランク回路12を、また、例えば'03−1234−6666'の電話番号を有する発信用のサービス専用のトランク回路としてトランク回路13をそれぞれ割り当て、ISDN網2を介したPBX1の外線発着信動作を行うことを可能としている。
【0028】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示した待ち合せ呼出システムの動作について、その一例を図2に示すシーケンスチャートを用いて詳細に説明する。図2は、図1の待ち合せ呼出システムの動作の一例を説明するためのシーケンスチャートであり、サービス利用者がサービスを要求してからサービスを待ち合せる状態に移行した後サービスを受ける状態に至るまでの間に、当該サービス利用者が所有するサービス利用者携帯電話機5とサービス提供者側に設置したPBX1とサービス提供者が使用する内線電話機4との間で信号のやり取りを行う動作の一例を示している。
【0029】
まず、サービスを要求しようとするサービス利用者は、サービス利用者携帯電話機5より、サービス提供者側に設置したPBX1の着信用の電話番号(例えば、図1に示す例の場合、'03−1234−5555')に対して発信すると(シーケンスA1)、携帯電話網3とISDN網2とを介して、PBX1のサービス専用のトランク回路12に着信する(シーケンスA2)。トランク回路12に対する着信呼をCPU16が検知すると、CPU16は、サービスを受け付けた順番を示す受付番号を発行するとともに(シーケンスA3)、ライン回路15に接続されている内線電話機4の機能ボタンをフラッシュさせる制御を行うことによって、サービス利用者からの着信呼を受け付けた旨をサービス提供者(または、場合によっては、サービス利用者)に対して通知する(シーケンスA4)。
【0030】
サービス提供者(または、場合によっては、サービス利用者)が、フラッシュしている当該内線電話機4の機能ボタンの押下操作を行うと、内線電話機4のLCD(Liquid Crystal Display)画面(液晶画面)に、PBX1から通知があった受付番号が表示される(シーケンスA5)。
【0031】
なお、図2のシーケンスチャートには示していないが、PBX1のCPU16が発行した受付番号は、場合によっては、内線電話機4側だけでなく、着信したサービス利用者携帯電話機5に対しても通知するようにしても構わない。
【0032】
内線電話機4の機能ボタンの押下操作が通知されてくると、PBX1のCPU16は、サービス利用者携帯電話機5からの着信呼に対応して発行した受付番号と当該サービス利用者携帯電話機5のサービス利用者携帯電話機番号とを関連付けてメモリ10に格納する(シーケンスA6)。以上の動作によって、サービス利用者携帯電話機5を所有しているサービス利用者からの受付処理を終了し、サービス利用者がサービス利用者携帯電話機5にて切断操作を行うと(シーケンスA7)、携帯電話網3とISDN網2とを介して、PBX1のトランク回路12に切断信号が受信される。該切断信号を受け取ったCPU16は、トランク回路12を開放する。
【0033】
しかる後、サービス提供者がサービスの提供が可能な順番が来た受付番号のサービス利用者に対してサービスを提供するために、サービス提供が可能になった時点において、サービス提供者が、内線電話機4を操作して、待ち合せ中の当該サービス利用者を呼び出すための電話番号としてあらかじめ定めた特番と順番が来た受付番号とをダイヤルすると(シーケンスA8)、PBX1のライン回路15を介して該特番と該受付番号とに関する情報がPBX1のCPU16に通知されてくる。
【0034】
CPU16は、該特番と該受付番号との情報を受け取ると、受け取った受付番号に対応するサービス利用者携帯電話機番号をメモリ10より取得して(シーケンスA9)、取得したサービス利用者携帯電話機番号のサービス利用者携帯電話機5を呼び出すための呼出信号を、受け取った受付番号をサブアドレスとして付した形式に編集し、発信用のトランク回路13から、ISDN網2および携帯電話網3を経由して、サービス利用者携帯電話機5に対して発信して、サービス利用者携帯電話機5を呼び出す(シーケンスA11)。
【0035】
サービス利用者携帯電話機5は、PBX1からの着信があると、リンガを鳴動してまたはバイブレータを振動して、サービス利用者に対して電話着信がある旨を通知するとともに、発信元のPBX1のトランク回路13の電話番号(例えば、図1に示す例の場合、'03−1234−6666')およびサブアドレスをLCD画面に表示する(シーケンスA12)。さらに、サービス利用者携帯電話機5の着信履歴には、サービス提供者側の発信者情報として、発信元のPBX1のトランク回路13の電話番号およびサブアドレス(受付番号)が保存される(シーケンスA13)。
【0036】
サービス利用者携帯電話機5のLCD画面や着信履歴に基づいて、PBX1からの着信を認識したサービス利用者が、サービス利用者携帯電話機5の応答操作を行うと、携帯電話網3とISDN網2とを介して、PBX1のトランク回路13に対して応答信号が送信される(シーケンスA14)。トランク回路13に対する応答信号をCPU16が検知すると、CPU16は、当該トランク回路13と音声蓄積回路14とを、スイッチ11を介して接続するとともに、音声蓄積回路14を駆動して、順番が来た旨を通知するためのアナウンス情報として音声蓄積回路14にあらかじめ蓄積されている音声情報を出力させる(シーケンスA15)。
【0037】
応答操作を行ったサービス利用者は、サービス利用者携帯電話機5のスピーカから出力されてくる音声情報を聴取することによって、サービス提供者がサービスを提供する順番が来た旨を認識する(シーケンスA16)。また、サービス利用者が切断操作を行うと、携帯電話網3とISDN網2とを介して、PBX1のトランク回路13に切断信号が受信される(シーケンスA17)。該切断信号を受け取ったCPU16は、トランク回路13を開放するとともに、今回処理した受付番号の後処理として、該受付番号と該受付番号に対応するサービス利用者携帯電話機番号とに関する情報をメモリ10から削除する(シーケンスA18)。
【0038】
しかる後、順番が来たことを認識したサービス利用者は、内線電話機4の呼出操作を行ったサービス提供者のところに出向いて、サービス提供者に対して、当該サービス利用者のサービス利用者携帯電話機5に保存されている着信履歴(PBX1のトランク回路13の電話番号およびサブアドレス)を提示することにより、サブアドレスが示す受付番号に対応するサービスを受けることが可能になる(シーケンスA19)。
【0039】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0040】
第1に、サービス提供者は、構内電話交換装置として専用のページャー等の機器を用意することなく、サービス待ち状態のサービス利用者に対する呼出を行うための待ち合せ呼出システムを簡易に構築することができ、さらには、呼出時に、サービス利用者の携帯電話機番号をダイヤル操作して呼び出す手間や呼び出した携帯電話機番号とサービス利用者との照合を行う手間を省くことも可能である。
【0041】
第2に、待ち合せ呼出システムの構築コストが安く、かつ、運用費用も十分に低く抑えることができるので、特に、個人経営の病院や飲食店等の比較的小規模なサービス提供業を営むサービス提供者にとっても、容易に導入することが可能である。
【0042】
第3に、サービス利用者は、サービス提供者に対して携帯電話機番号やメールアドレス等を公開する必要がないので、サービス利用者に関する個人情報保護という観点からも抵抗はなく、サービス待ち状態における呼出用として利用することができる。
【0043】
(本発明の他の実施形態)
次に、図1に示した待ち合せ呼出システムの動作として、図2のシーケンスチャートとは異なる動作について、図3のシーケンスチャートを用いてさらに説明する。図3は、図1の待ち合せ呼出システムの動作の図2とは異なる例を説明するためのシーケンスチャートであり、サービス利用者がサービスを要求してからサービスを待ち合せる状態に移行した後サービスを受ける状態に至るまでの間に、当該サービス利用者が所有するサービス利用者携帯電話機5とサービス提供者側に設置したPBX1とサービス提供者が使用する内線電話機4との間で信号のやり取りを行う動作について図2とは異なる例を示している。
【0044】
図3のシーケンスチャートにおいては、シーケンスB1からシーケンスB11に至るまでは、図2のシーケンスA1からシーケンスA11に至るまでの動作と全く同様であるが、シーケンスB12以降の動作が、図2のシーケンスA14以降の場合とは異なっている。つまり、シーケンスB11においてPBX1からサービス利用者携帯電話機5に対する呼出を行った後、PBX1側にて計時する発信タイマがあらかじめ定めた一定時間を経過しても、サービス利用者が応答操作を行わなかった場合の動作を示している。
【0045】
呼出信号を送信した後前記一定時間を経過した場合、PBX1は、呼び出したサービス利用者携帯電話機5の応答前タイムアウトが発生したものと判断して、呼出動作を停止させることになる。しかし、シーケンスB13に示すように、図2のシーケンスA13の場合と同様、サービス利用者携帯電話機5の着信履歴に、サービス提供者側の発信者情報として、発信元のPBX1のトランク回路13の電話番号およびサブアドレス(受付番号)が保存された状態に設定した後に、呼出を停止するように動作する。したがって、ISDN網2や携帯電話網3における通話料が課金されない状態で、サービス利用者に対して、待ち合せ中の呼出を行った旨の通知を残すことが可能である。
【0046】
以下に、図3のシーケンスチャートについて詳細に説明する。なお、前述のように、シーケンスB1からシーケンスB11に至るまでは、図2のシーケンスA1からシーケンスA11に至るまでの動作と全く同様であるので、ここでの重複する説明は割愛する。
【0047】
図3のシーケンスB11においては、図2のシーケンスA11の場合と同様、CPU16は、内線電話機4からの特番(待ち合せ中のサービス利用者を呼び出すための電話番号)と順番が来た受付番号との情報を受け取った際に、該受付番号に対応するサービス利用者携帯電話機番号のサービス利用者携帯電話機5を呼び出すための呼出信号を、受け取った受付番号をサブアドレスとして付した形式に編集し、発信用のトランク回路13から、ISDN網2および携帯電話網3を経由して、サービス利用者携帯電話機5に対して発信して、サービス利用者携帯電話機5を呼び出す(シーケンスB11)。しかる後、CPU16は、さらに、呼出を行った時点からあらかじめ定めた一定時間を経過したか否かを監視するための発信タイマを起動する(シーケンスB14)。
【0048】
サービス利用者携帯電話機5側においては、図2のシーケンスA12、A13の場合と同様に、PBX1からの着信があると、リンガを鳴動してまたはバイブレータを振動して、サービス利用者に対して電話着信がある旨を通知するとともに、発信元のPBX1のトランク回路13の電話番号(例えば、図1に示す例の場合、'03−1234−6666')およびサブアドレスをLCD画面に表示する(シーケンスB12)。さらに、サービス利用者携帯電話機5の着信履歴には、サービス提供者側の発信者情報として、発信元のPBX1のトランク回路13の電話番号およびサブアドレス(受付番号)が保存される(シーケンスB13)。
【0049】
しかし、図3のシーケンスチャートにおいては、図2のシーケンスA14の場合とは異なり、サービス利用者携帯電話機5を所有しているサービス利用者は、サービス利用者携帯電話機5の応答操作を行わない。つまり、図3のシーケンスチャートにおいては、サービス利用者は、リンガ鳴動やバイブレータ振動に気付いて、サービス利用者携帯電話機5のLCD画面や着信履歴を参照することによって、PBX1からの着信であってサービスの順番が来たことを認識したとしても、PBX1からの着信を認識したサービス利用者は、サービス利用者携帯電話機5の応答操作を行わない。
【0050】
この結果、PBX1側のCPU16は、シーケンスB14において起動されていた発信タイマが、呼出を行った時点からあらかじめ定めた一定時間を経過しても、呼出先のサービス利用者携帯電話機5からの応答信号を受信することができないので、CPU16は、発信タイマが該一定時間の経過を検知して、発信タイマの計時動作を停止させるとともに、呼出先のサービス利用者携帯電話機5に対する呼出動作(発信動作)を停止させる(シーケンスB15)。
【0051】
しかる後、CPU16は、呼出を行ったトランク回路13を開放するとともに、今回処理した受付番号の後処理として、該受付番号と該受付番号に対応するサービス利用者携帯電話機番号とをメモリ10から削除する(シーケンスB16)。
【0052】
一方、サービス利用者携帯電話機5のLCD画面や着信履歴を参照して、順番が来たことを認識したサービス利用者は、内線電話機4の呼出操作を行ったサービス提供者のところに出向いて、サービス提供者に対して、当該サービス利用者のサービス利用者携帯電話機5に保存されている着信履歴(PBX1のトランク回路13の電話番号およびサブアドレス)を提示することにより、サブアドレスが示す受付番号に対応するサービスを受けることが可能になる(シーケンスB17)。
【0053】
かくのごとく、図3に示すシーケンスチャートにおいては、例えばステップB14、B15において発信タイマが計時する一定時間を適切な値に調整することによって、サービス利用者がサービス利用者携帯電話機5から応答操作を行う前に、PBX1からの呼出動作(発信動作)を停止することができる。したがって、図2のシーケンスチャートの場合とは異なり、音声情報によってサービス利用者に案内する動作を実施しないが、PBX1のサービス専用のトランク回路13の電話番号および受付番号の記録をサービス利用者携帯電話機5に着信履歴として残したり、LCD画面に表示したりすることによって、サービスの順番が来た旨をサービス利用者に通知することができるとともに、サービス利用者の呼出のために、ISDN網2や携帯電話網3の通話料が発生することを避けることもできる。
【0054】
なお、前述の実施形態において、サービス利用者携帯電話機5からの電話着信により待合せ呼出を行う場合、通常の既存の構内電話交換装置に備えているキャンプオン機能を応用して、つまり、電話着信の相手が通話中の場合に待合せを登録しておき、当該相手が通話を終えた時点で呼出を行うという機能を応用して、サービス利用の受付順に呼出を行うようにしても良い。また、通常の既存の構内電話交換装置に備えているACD機能(Automatic Call Distribution:自動着信呼分配機能)を応用して、つまり、電話着信をオペレータの稼働状況に応じて適切に分配するという機能を応用して、サービス利用の受付順にサービス利用者携帯電話機5を内線電話機4に順次接続して呼び返しを行うようにしても良い。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0056】
1 PBX
2 ISDN網
3 携帯電話網
4 内線電話機
5 サービス利用者携帯電話機
10 メモリ
11 スイッチ
12 トランク回路
13 トランク回路
14 音声蓄積回路
15 ライン回路
16 CPU
101a 携帯電話機
101b 一般家庭用電話機
101c 携帯情報端末
102a 無線回線
102b 有線回線
102c 無線回線
103 インターネット
104 パソコン
105 基幹システム
106 データベースサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス利用者が所有する携帯端末からサービス提供者側に設置した構内電話交換装置に対して公衆網を介して電話着信によるサービスの提供要求があった際に、前記構内電話交換装置から前記携帯端末に対して待ち合せ呼出動作を行う待ち合せ呼出システムであって、前記構内電話交換装置にサービス専用の着信用として備えられたトランク回路に前記携帯端末からの着信があった際に、サービス提供要求を受け付けた順番を示す受付番号を発行するとともに、該受付番号を当該携帯端末の発信者番号と関連付けてメモリに記憶し、前記受付番号に該当するサービス利用者に対してサービスを提供する順番に達した際に、前記構内電話交換装置にサービス専用の発信用として備えられたトランク回路から、当該サービス利用者が所有する前記携帯端末に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することにより、当該サービス利用者に対してサービスを提供する順番になった旨を通知することを特徴とする待ち合せ呼出システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記構内電話交換装置の前記トランク回路からの呼出信号を受け取った際に、当該呼出信号にサブアドレスとして付されている前記受付番号を前記構内電話交換装置の発信者番号とともに、着信履歴として保存することを特徴とする請求項1に記載の待ち合せ呼出システム。
【請求項3】
前記構内電話交換装置は、発信用の前記トランク回路から前記携帯端末に対して呼出信号を送信した時点からあらかじめ定めた一定時間経過した際に、または、前記呼出信号に対する前記携帯端末からの応答を受信した際に、前記メモリに記憶していた当該携帯端末の発信者番号と該発信者番号に関連付けされた前記受付番号との情報を削除することを特徴とする請求項1または2に記載の待ち合せ呼出システム。
【請求項4】
前記構内電話交換装置は、前記受付番号を発行して、該受付番号を前記携帯端末の発信者番号と関連付けてメモリに記憶する動作に先立って、サービス提供者が使用する電話機として当該構内電話交換装置に接続されている内線電話機に対して、前記受付番号を送信し、前記内線電話機から当該受付番号を確認した旨を示す操作結果を受け取った際に、当該受付番号を前記携帯端末の発信者番号と関連付けて前記メモリに記憶することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の待ち合せ呼出システム。
【請求項5】
前記構内電話交換装置は、サービスの順番が来た待ち合せ中のサービス利用者を呼び出すための電話番号としてあらかじめ定めた特番を、前記受付番号とともにダイヤル情報として前記内線電話機から受け取った際に、当該受付番号に該当するサービス利用者に対するサービスを提供する順番が来たものとして、発信用の前記トランク回路から、当該サービス利用者が所有する前記携帯端末に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することを特徴とする請求項4に記載の待ち合せ呼出システム。
【請求項6】
前記構内電話交換装置は、発信用の前記トランク回路から送信した呼出信号に対する前記携帯端末からの応答を受信した場合、音声蓄積回路を駆動して、サービスを提供する順番が来た旨のアナウンス情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の待ち合せ呼出システム。
【請求項7】
サービス利用者が所有する携帯端末からサービス提供者側に設置した構内電話交換装置に対して公衆網を介して電話着信によるサービスの提供要求があった際に、前記構内電話交換装置から前記携帯端末に対して待ち合せ呼出動作を行う待ち合せ呼出方法であって、前記構内電話交換装置にサービス専用の着信用として備えられたトランク回路に前記携帯端末からの着信があった際に、サービス提供要求を受け付けた順番を示す受付番号を発行するとともに、該受付番号を当該携帯端末の発信者番号と関連付けてメモリに記憶し、前記受付番号に該当するサービス利用者に対してサービスを提供する順番に達した際に、前記構内電話交換装置にサービス専用の発信用として備えられたトランク回路から、当該サービス利用者が所有する前記携帯端末に対して、前記受付番号をサブアドレスとして付した呼出信号を送信することにより、当該サービス利用者に対してサービスを提供する順番になった旨を通知することを特徴とする待ち合せ呼出方法。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記構内電話交換装置の前記トランク回路からの呼出信号を受け取った際に、当該呼出信号にサブアドレスとして付されている前記受付番号を前記構内電話交換装置の発信者番号とともに、着信履歴として保存することを特徴とする請求項7に記載の待ち合せ呼出方法。
【請求項9】
前記構内電話交換装置は、発信用の前記トランク回路から前記携帯端末に対して呼出信号を送信した時点からあらかじめ定めた一定時間経過した際に、または、前記呼出信号に対する前記携帯端末からの応答を受信した際に、前記メモリに記憶していた当該携帯端末の発信者番号と該発信者番号に関連付けされた前記受付番号との情報を削除することを特徴とする請求項7または8に記載の待ち合せ呼出方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の待ち合せ呼出方法を、構内電話交換装置に搭載したコンピュータによって実行することが可能なプログラムとして実施することを特徴とする待ち合せ呼出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−26956(P2013−26956A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161927(P2011−161927)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】