説明

待ち時間情報提供システム

【課題】
各種の施設、例えば飲食店の着席可能時までの待ち時間の情報を、施設の従業員に負担をかけることなく、当該施設から離れた場所にいる施設利用希望者に対してネットワークを介して提供出来る、待ち時間情報提供システムを目的とする。
【解決手段】
飲食店の所定位置に設けられた標識の識別情報に含まれる待ち時間の情報と、読取時刻とを、第1の端末から受信する標識情報受付手段と、待ち時間の情報と読取時刻とに基づいて、利用者の入店予想時刻を算出して入店時刻情報記憶手段に記憶する入店予想時刻算出手段と、入店時刻情報記憶手段に記憶した、施設の入店予想時刻のうち最も遅い入店予想時刻を入店時刻情報記憶手段から取得し、最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、を有する待ち時間情報提供システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の施設、例えば飲食店の着席可能時までの待ち時間の情報を、施設の従業員に負担をかけることなく、当該施設から離れた場所にいる施設利用希望者に対してネットワークを介して提供する待ち時間情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの発達に伴い、飲食店等の各種施設が、その施設を利用出来る時点までの待ち時間の情報をインターネットを介して提供するシステムが存在する。待ち時間の情報の提供は、それら施設を利用しようと考えている者にとって、無駄な時間をなくすという意味で非常に有益なものである。
【0003】
下記特許文献1には、顧客の待ち時間を計測するシステムが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−279154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
待ち時間の情報の提供は非常に有益であるが、待ち時間の情報の提供が求められる施設は、常時混雑していることが多く、例えば行列が出来るような施設である。そうすると当然、施設の従業員は常に忙しい状態であることが想定される。従って、施設の従業員が、待ち時間の情報を適宜なタイミングで直接入力することは非常に困難である。
【0006】
一方、施設の従業員が直接入力するのではなく、上記特許文献1に記載のようなシステムを導入することも考えられるが、この為だけに新たなシステムを導入することは、施設にとって費用負担が重いし、また従業員にも何らかの入力操作を要求しており、従業員の作業負担も必ずしも解消することが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者等は、このような問題点に鑑み、施設の従業員による操作を殆ど必要とせず、飲食店等の施設の待ち時間の情報をネットワークを介して提供できる、待ち時間情報提供システムを発明した。
【0008】
請求項1の発明は、施設の待ち時間の情報を提供する待ち時間情報提供システムであって、前記施設の行列に並ぶ第1の利用者が利用する第1の端末との間でネットワークを介して情報の送受信が可能であり、前記待ち時間情報提供システムは、前記施設の所定位置に設けられた標識の識別情報に含まれる待ち時間の情報と、読取時刻とを、前記第1の端末から受信する標識情報受付手段と、前記待ち時間の情報と読取時刻とに基づいて、前記第1の利用者の入店予想時刻を算出して入店時刻情報記憶手段に記憶する入店予想時刻算出手段と、前記入店時刻情報記憶手段に記憶した、前記施設の入店予想時刻のうち最も遅い入店予想時刻を前記入店時刻情報記憶手段から取得し、前記最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、を有する待ち時間情報提供システムである。
【0009】
本発明では、施設の従業員が直接、その待ち時間を入力しなくても、施設入場の待ち行列に並ぶ利用者に、施設の所定位置に設けられた標識の識別情報をその端末で読み込ませることにより、従業員の負担がなく、その施設の待ち時間の情報の提供が行える。
【0010】
請求項2の発明は、施設の待ち時間の情報を提供する待ち時間情報提供システムであって、前記施設に入場した第1の利用者が利用する第1の端末との間でネットワークを介して情報の送受信が可能であり、前記待ち時間情報提供システムは、前記施設の従業員が前記第1の利用者に対して渡す所定の物に付された識別情報に含まれる、前記施設の行列の最後尾の人の予想される待ち時間の情報と、読取時刻とを、前記第1の端末から受信する標識情報受付手段と、前記待ち時間の情報と読取時刻とに基づいて、前記施設の行列の最後尾の人の入店予想時刻を算出して入店時刻情報記憶手段に記憶する入店予想時刻算出手段と、前記入店時刻情報記憶手段に記憶した、前記施設の入店予想時刻のうち最も遅い入店予想時刻を前記入店時刻情報記憶手段から取得し、前記最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、を有する待ち時間情報提供システムである。
【0011】
飲食店の所定の位置に標識を付す場合、その立地条件等の制約から、待ち時間に対応する位置に設けることが出来ない場合もある。そのような場合には、従業員が経験に基づいて判断した、現時点での待ち時間の情報を含む識別情報が付された所定のメニューやランチョンマットなどの所定の物を、新たに入場(入店)して着席した利用者に対して渡すことにより、上述の発明と同様の効果を得られる。
【0012】
請求項3の発明は、前記待ち時間算出手段は、前記算出した現在の予想待ち時間を、前記施設に関する情報を記憶している施設情報記憶手段に記憶し、前記待ち時間情報提供システムは、前記施設に関する情報の検索を行う第2の利用者が利用する第2の端末との間でネットワークを介して更に情報の送受信が可能であって、前記第2の端末から前記施設の検索条件を受信し、前記検索条件に該当する施設を前記施設情報記憶手段から検索し、その施設に関する情報と前記現在の予想待ち時間とを前記第2の端末に送信する施設情報検索手段を、更に有する待ち時間情報提供システムである。
【0013】
算出した現在の待ち時間は、第三者が行った飲食店情報の検索に含めて送信すると良い。
【0014】
請求項4の発明は、前記待ち時間情報提供システムは、更に、前記待ち時間情報提供システムを利用する会員の属性情報とIDコードとを記憶する会員情報記憶手段と、前記会員の属性情報と前記IDコードとを前記第1の端末から受信し、前記会員情報記憶手段に記憶することで新規会員の登録処理を行う会員情報登録手段と、を有しており、前記標識情報受付手段は、前記第1の端末から前記IDコードを更に受信し、そのIDコードが前記会員情報記憶手段に存在しているかを検索し、前記会員情報登録手段は、前記IDコードが存在しない場合には前記第1の端末から前記会員となる為の属性情報の登録を受け付ける、待ち時間情報提供システムである。
【0015】
本発明を利用するには、このように会員制とすることも出来る。
【0016】
請求項5の発明は、前記標識情報受付手段は、前記第1の端末からアクセスを受け付けた後に、前記IDコードを有する利用者に対して所定のポイントを付与し、前記会員情報記憶手段に記憶させる、待ち時間情報提供システムである。
【0017】
会員制にした場合、本発明のようにアクセスに対して所定のポイントを付与することが出来る。このポイントによって、飲食店の料金割引など、何らかのインセンティブが受けられるようにすれば、利用者による識別情報の自発的な読み取りを、一層促すことが出来る。
【0018】
請求項6の発明は、前記入店予想時刻算出手段は、前記待ち時間の情報と前記読取時刻とを加算することにより、前記利用者の入店予想時刻を算出する、待ち時間情報提供システムである。
【0019】
入店予想時刻は、本発明のように算出することも出来る。
【0020】
請求項7の発明は、前記待ち時間算出手段は、前記最も遅い入店予想時刻と前記現在時刻とを加算することにより、前記現在の予想待ち時間を算出する、待ち時間情報提供システムである。
【0021】
現在の予想待ち時間は、本発明のように算出することも出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、従来のように飲食店等の施設の従業員による操作を殆ど必要とせず、飲食店等の施設の待ち時間の情報をネットワークを介して提供することが出来る。また利用者による協力がなされることによって実現されるシステムなので、大がかりなシステムも不要であり、施設にとって費用負担も重くなく、現実的に運用できるシステムとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の待ち時間情報提供システム1のシステム構成の一例を図1のシステム構成図を用いて説明する。尚、本明細書では、施設として飲食店の場合を説明するが、その待ち時間を提供することが出来る施設であれば何であっても良く、例えばアミューズメント施設、美術館、博物館、博覧会等がある。
【0024】
待ち時間情報提供システム1は、インターネット等のネットワーク4を介して、当該飲食店等の施設の利用者Aが利用する端末A2(コンピュータ端末の他、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末も含む)との間、利用者Bが利用する端末B3(コンピュータ端末の他、携帯電話、PHS、PDA等の携帯端末も含む)との間で、情報の送受信が各々可能である。
【0025】
本発明の待ち時間情報提供システム1は、CPUなどの演算処理装置、RAMやハードディスクなどの記憶装置を有するコンピュータ端末(サーバも含む)上でその処理が実現される。待ち時間情報提供システム1を実現するプログラムは、当該コンピュータ端末のハードディスクに記録されており、それが所定の操作がされることによってRAMなどに読み込まれ、その機能(手段)を演算処理装置で実行することで処理が行われる。そしてその処理に用いる記憶手段として記憶する情報は、データベースやデータファイルなどの各種のファイル保存形式でRAMやハードディスクなどの記憶装置に記憶されており、その処理の際に適宜読み出されることで処理が行われる。また処理結果もRAMやハードディスクなどの記憶装置に書き出され、適宜記憶される。本発明に於ける各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【実施例1】
【0026】
まず、飲食店の行列の出来る方向の所定位置に標識を設けることにより本発明を実現する場合を説明する。
【0027】
この場合の概念図を図3に示す。飲食店などの行列は、飲食店の指示によりいつも同じ方向に出来るので、その行列沿いの塀などに図4に示すような標識を設ける。この標識は塀などに設けるほか、立て看板などの任意の位置に設けることが出来る。
【0028】
標識には挨拶文と共に、バーコードや2次元バーコードなどの所定の識別情報が記載されている。この識別情報に記載されている情報は、これを利用者Aが端末A2で読み取ることによって、所定のアドレスにアクセスすることが出来る。従って、識別情報には、所定のサイトにアクセスするためのアドレスが含まれている。また識別情報には、アドレスの他に、飲食店を識別する店舗コード、待ち時間の情報が含まれている。尚、識別情報は、バーコードや2次元コードで記載されている他、ICタグ等の記憶装置に記憶されていても良い。
【0029】
この標識は識別情報に含まれる待ち時間に対応した位置に設けられている。行列の長さによって待ち時間は経験的にほぼ決まっているので、図3に示すように、10分待ちの位置にはアドレスと店舗コードと10分待ちの待ち時間の情報が識別情報に含まれている標識を設け、20分待ちの位置にはアドレスと店舗コードと20分待ちの待ち時間の情報が識別情報に含まれている標識を設け、30分待ちの位置にはアドレスと店舗コードと30分待ちの待ち時間の情報が識別情報に含まれている標識を設ける。
【0030】
待ち時間情報提供システム1は、標識情報受付手段5と会員情報登録手段6と会員情報記憶手段7と入店予想時刻算出手段8と入店時刻情報記憶手段9と待ち時間算出手段10と施設情報記憶手段11と施設情報検索手段12とを有している。
【0031】
標識情報受付手段5は、利用者Aが飲食店の所定位置に設けられた標識に記載された識別情報をその端末A2で読み取り、読み取ったアドレスへの端末A2からのアクセスを受け付け、その店舗コード、待ち時間の情報とを受信し、またその端末A2のIDコード(サブスクライブIDなど)と読取時刻(当該識別情報を読み取った時刻)(尚、本明細書の読取時刻には、端末A2で当該識別情報を読み取った時刻の他、待ち時間情報提供システム1が利用者Aの端末A2からアクセスを受け付けた時刻などの所定の時刻も含まれる)とを受け取る手段である。そしてそのIDコードが既に会員登録されているか否かを会員情報記憶手段7(後述)を用いて検索し、存在している場合には予想時刻の算出処理を行い、存在しない場合には新規会員として会員情報の登録処理を行う。
【0032】
また標識情報受付手段5は、端末A2からアクセスを受け付けたことにより、その端末A2の利用者Aに対してポイントを付与する処理を行う。つまり会員情報記憶手段7(後述)に記憶する当該端末A2のIDコードの利用者Aに対して、所定のポイントを加算して更新する処理を行う。IDコードが未登録の場合には、会員情報の登録後、行えば良い。
【0033】
会員情報登録手段6は、標識情報受付手段5でアクセスを受け付けた利用者Aを新規会員として登録をする手段である。この登録処理は利用者Aの端末A2に対して、利用者Aの属性情報(氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、年齢、性別など)の入力を行う画面を送信し、そこに入力された情報を端末A2から受信することで、新規会員として会員情報記憶手段7に記憶させる。
【0034】
会員情報記憶手段7は、利用者の属性情報とその利用者に対して付与されたポイントとを記憶する手段である。図5に会員情報記憶手段7の概念図の一例を示す。
【0035】
入店予想時刻算出手段8は、標識情報受付手段5で受け取った読取時刻と待ち時間の情報に基づいて入店予想時刻を算出し、それを入店時刻情報記憶手段9に記憶させる手段である。これは、
(数1)
入店予想時刻=読取時刻+待ち時間
を演算することとなる。
【0036】
つまり、標識が設けられた位置まで少なくとも行列は存在しているのだから、そこで読み取られた識別情報に含まれる待ち時間に読取時刻を加算した時刻が利用者Aの入店予想時刻と考えられる。例えば10分待ちの待ち時間の情報が読み取られたのであれば、端末A2での読取時刻にはその位置まで行列があるものと考えられる。
【0037】
入店時刻情報記憶手段9は、店舗コードとIDコードと入店予想時刻とを記憶する手段である。図6に入店時刻情報記憶手段9の概念図の一例を示す。
【0038】
待ち時間算出手段10は、入店時刻情報記憶手段9に記憶する、当該店舗コードの入店予想時刻の情報から最も遅い入店予想時刻を検索し、取得する手段である。この入店予想時刻の対応するIDコードの利用者が行列の最後尾に位置する人であると考えられるからである。また取得した最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出し施設情報記憶手段11に記憶する処理を行うことで、第三者(利用者B)に対する当該店舗の現在の予想待ち時間の情報として提供する。即ち、
(数2)
現在の予想待ち時間=最も遅い入店予想時刻−現在時刻
を算出し、それを施設情報記憶手段11に記憶する。
【0039】
施設情報記憶手段11は、飲食店の属性情報(飲食店の店舗コード、店舗名、住所、電話番号、業態、価格帯、営業時間、メニューなど)と、待ち時間算出手段10で算出した現在の予想待ち時間の情報とを記憶する手段である。図7に施設情報記憶手段11の概念図の一例を示す。
【0040】
施設情報検索手段12は、第三者である利用者Bの端末B3から所定の検索条件を受信することで、その検索条件に該当する飲食店に関する情報と、現在の予想待ち時間の情報とを施設情報記憶手段11から取得し、その結果を端末B3に送信する手段である。
【0041】
次に本実施例に於ける処理プロセスの一例を図2のフローチャート及び図1のシステム構成図とを用いて説明する。
【0042】
図3に示すように、飲食店の行列に並んだ利用者Aは、自分が例えば10分待ちの位置に並んだ場合には、その位置に設けられた標識(図4)の識別情報を、端末A2で読み取る(S100)。
【0043】
そして読み取った識別情報に含まれるアドレスに端末A2からアクセスする。また識別情報で読み取った店舗コード、待ち時間の情報を端末A2から待ち時間情報提供システム1に送信する(S110)。
【0044】
これらの情報を標識情報受付手段5で受信するのに併せて、端末A2のIDコードと読取時刻(例えば11時30分)とを標識情報受付手段5は受け取る。そしてそのIDコードが既に会員登録されているか否かを会員情報記憶手段7を参照して検索する(S120)。
【0045】
端末A2のIDコードが、会員情報記憶手段7にない場合には、会員情報登録手段6は、利用者Aの端末A2に対して、利用者Aの属性情報の入力を行う画面を送信する。そしてその画面に入力された属性情報を端末A2から受信し、新規会員として会員情報記憶手段7に記憶させることで会員の登録処理を行う(S130)。
【0046】
IDコードが既に会員登録されている場合、或いは会員として登録を行った後、標識情報受付手段5は、端末A2からアクセスを受け付けたことにより、その端末A2の利用者Aに対して所定のポイントを付与する(S140)。このポイントは、飲食店でそれを見せることにより、割引サービスを受けられたり、商品と交換できたりするなど、所定のインセンティブが付与される。このようなインセンティブを与えることによって、利用者が積極的に標識の識別情報を読み取り、待ち時間の情報の更新に自発的に協力することが期待できる。
【0047】
次に、標識情報受付手段5で受け取った読取時刻(11時30分)と待ち時間の情報(10分待ち)に基づいて、入店予想時刻算出手段8は、
入店予想時刻=読取時刻+待ち時間
を演算することにより、利用者Aの入店予想時刻を算出し、それを入店時刻情報記憶手段9に記憶させる(S150)。上述の例では、入店予想時刻は11時40分となる。
【0048】
そして所定のタイミング(例えば、利用者Bが検索条件を送信したタイミング、所定時間毎など)で、待ち時間算出手段10は、入店時刻情報記憶手段9に記憶する、当該店舗コード(例えば「店舗A」)の入店予想時刻の情報から、最も遅い入店予想時刻を検索して取得する(S160)。この取得した入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、待ち時間算出手段10は、当該店舗の現在の予想待ち時間を算出する(S170)。即ち、
現在の予想待ち時間=最も遅い入店予想時刻−現在時刻
を演算することによって、当該店舗の現在の予想待ち時間を算出する。算出した現在の予想待ち時間を、施設情報記憶手段11の当該店舗の予想待ち時間として記憶する。
【0049】
例えば最も遅い入店予想時刻が上述の11時40分で、現在時刻が11時35分の場合、現在の予想待ち時間は「5分」となる。
【0050】
尚、行列が出来ていない場合には、予想待ち時間はマイナスとなる。そこで予想待ち時間がマイナスとなった場合には、0分として扱うこととしても良い。
【0051】
このように当該店舗の予想待ち時間を算出することで、第三者である利用者Bの端末B3から飲食店の検索条件を受信し、その検索結果を端末B3に送信する際に、図8に示す検索結果の画面にその店舗の待ち時間の情報を含めることが可能となる。現在の予想待ち時間は5分であるので、それが記載された画面が図8のように送信される。
【実施例2】
【0052】
実施例1では、飲食店の行列の所定位置に標識を設ける必要がある。しかし場所などの制限から、そのような標識を設けることが出来ない立地条件の飲食店もある。そのような場合には、行列の所定位置に設けるのではなく、飲食店が利用者に見せるメニューやコースター、ナプキン、ランチョンマット等の所定の物に、標識に記載していた識別情報を付しておく(ICタグの場合には識別情報を記憶したICタグを付しておく)。そして飲食店の従業員が、入店して着席した利用者にこれらの物を渡す際に、現時点の店外の行列状況を確認し、行列の最後尾の人の待ち時間がどれくらいかを予想した上で、行列の最後尾の人の予想される待ち時間の情報を含む識別情報が付されたメニューなどの所定の物を渡すことで同様の効果を得ることが出来る。つまり、入店予想時刻算出手段8が、行列の最後の人の入店予想時刻を算出することとなるので、所定のタイミングで待ち時間算出手段10が実施例1と同様に、最も遅い入店予想時刻から現在時刻を減算する演算を行い、現在の予想待ち時間を算出し、それを施設情報記憶手段11に記憶することで、同様の効果を得ることが出来る。
【0053】
尚、待ち時間が0分の場合には行列はないので、入店予想時刻算出手段8が算出する行列の最後尾は当該利用者となる。
【0054】
例えば10分待ち程度の行列が出来ている場合には、10分待ちの待ち時間の情報を含む識別情報が付されたメニューを従業員が、入店して着席した利用者に渡し、利用者はその識別情報を読み取ることで、実施例1と同様の処理が待ち時間情報提供システム1で行われ、利用者Bに対して当該飲食店の待ち時間の情報が提供される。また待ち時間がない場合には、待ち時間0分の待ち時間の情報を含む識別情報が付されたメニューを、従業員が入店して着席した利用者に渡せば良い。
【0055】
メニューなどは注文を聞いたら回収するのが一般的なので、比較的すぐに読み取りが行われるので、待ち時間の実体を把握しやすい。
【0056】
更に、メニューなどに付された識別情報には、その人の待ち時間に基づいて付与される追加のポイントの情報を記憶しておいても良い。つまり、長く待ってくれた(例えば30分)利用者に対して、追加のポイントを付与することも出来る。これは、追加ポイントの情報が更に含まれた識別情報が付されたメニューから、端末A2でその識別情報を読み取り、待ち時間情報提供システム1にアクセスすることで、標識情報受付手段5が会員情報記憶手段7の当該利用者のポイントに、アクセスにより付与されるポイントに更に追加ポイントを加算して更新することで出来る。
【0057】
利用者にどれだけの追加ポイントを付与するかは、入店して着席した利用者にメニューを渡す従業員がその人がどれだけ待っていたかを判断し、例えば30分待っていたならば、30分待った場合に付与される追加ポイントの情報を更に含む識別情報が付されたメニューを当該利用者に渡すことで行える。
【0058】
この追加ポイントは、例えば、その人の待ち時間が0分ならば通常のポイント(アクセスにより付与されるポイント)のみ(追加ポイントなし)、その人の待ち時間が10分ならば通常のポイント+10の追加ポイント、その人の待ち時間が30分ならば通常のポイント+20の追加ポイントのように分けることが出来る。
【0059】
尚、実施例1及び実施例2に於いて、待ち時間そのものを提供するほか、「非常に混んでいる」、「多少混んでいる」、「混んでいる」、「混んでいない」等の混雑状況の情報を提供することとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
上述した待ち時間情報提供システム1を用いることで、従来のように飲食店等の施設の従業員による操作を殆ど必要とせず、飲食店等の施設の待ち時間の情報をネットワーク4を介して提供することが出来る。また利用者による協力がなされることによって実現されるシステムなので、大がかりなシステムも不要であり、施設にとって費用負担も重くなく、現実的に運用できるシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の概念図である。
【図4】標識の一例である。
【図5】会員情報記憶手段の概念を示す一例である。
【図6】入店時刻情報記憶手段の概念を示す一例である。
【図7】施設情報記憶手段の概念を示す一例である。
【図8】検索結果に待ち時間の情報が記載された画面の一例である。
【符号の説明】
【0062】
1:待ち時間情報提供システム
2:利用者Aの端末A
3:利用者Bの端末B
4:ネットワーク
5:標識情報受付手段
6:会員情報登録手段
7:会員情報記憶手段
8:入店予想時刻算出手段
9:入店時刻情報記憶手段
10:待ち時間算出手段
11:施設情報記憶手段
12:施設情報検索手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の待ち時間の情報を提供する待ち時間情報提供システムであって、前記施設の行列に並ぶ第1の利用者が利用する第1の端末との間でネットワークを介して情報の送受信が可能であり、
前記待ち時間情報提供システムは、
前記施設の所定位置に設けられた標識の識別情報に含まれる待ち時間の情報と、読取時刻とを、前記第1の端末から受信する標識情報受付手段と、
前記待ち時間の情報と読取時刻とに基づいて、前記第1の利用者の入店予想時刻を算出して入店時刻情報記憶手段に記憶する入店予想時刻算出手段と、
前記入店時刻情報記憶手段に記憶した、前記施設の入店予想時刻のうち最も遅い入店予想時刻を前記入店時刻情報記憶手段から取得し、前記最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、
を有することを特徴とする待ち時間情報提供システム。
【請求項2】
施設の待ち時間の情報を提供する待ち時間情報提供システムであって、前記施設に入場した第1の利用者が利用する第1の端末との間でネットワークを介して情報の送受信が可能であり、
前記待ち時間情報提供システムは、
前記施設の従業員が前記第1の利用者に対して渡す所定の物に付された識別情報に含まれる、前記施設の行列の最後尾の人の予想される待ち時間の情報と、読取時刻とを、前記第1の端末から受信する標識情報受付手段と、
前記待ち時間の情報と読取時刻とに基づいて、前記施設の行列の最後尾の人の入店予想時刻を算出して入店時刻情報記憶手段に記憶する入店予想時刻算出手段と、
前記入店時刻情報記憶手段に記憶した、前記施設の入店予想時刻のうち最も遅い入店予想時刻を前記入店時刻情報記憶手段から取得し、前記最も遅い入店予想時刻と現在時刻とに基づいて、現在の予想待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、
を有することを特徴とする待ち時間情報提供システム。
【請求項3】
前記待ち時間算出手段は、
前記算出した現在の予想待ち時間を、前記施設に関する情報を記憶している施設情報記憶手段に記憶し、
前記待ち時間情報提供システムは、前記施設に関する情報の検索を行う第2の利用者が利用する第2の端末との間でネットワークを介して更に情報の送受信が可能であって、
前記第2の端末から前記施設の検索条件を受信し、前記検索条件に該当する施設を前記施設情報記憶手段から検索し、その施設に関する情報と前記現在の予想待ち時間とを前記第2の端末に送信する施設情報検索手段を、
更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の待ち時間情報提供システム。
【請求項4】
前記待ち時間情報提供システムは、更に、
前記待ち時間情報提供システムを利用する会員の属性情報とIDコードとを記憶する会員情報記憶手段と、
前記会員の属性情報と前記IDコードとを前記第1の端末から受信し、前記会員情報記憶手段に記憶することで新規会員の登録処理を行う会員情報登録手段と、
を有しており、
前記標識情報受付手段は、
前記第1の端末から前記IDコードを更に受信し、そのIDコードが前記会員情報記憶手段に存在しているかを検索し、
前記会員情報登録手段は、
前記IDコードが存在しない場合には前記第1の端末から前記会員となる為の属性情報の登録を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の待ち時間情報提供システム。
【請求項5】
前記標識情報受付手段は、
前記第1の端末からアクセスを受け付けた後に、前記IDコードを有する利用者に対して所定のポイントを付与し、前記会員情報記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の待ち時間情報提供システム。
【請求項6】
前記入店予想時刻算出手段は、
前記待ち時間の情報と前記読取時刻とを加算することにより、前記利用者の入店予想時刻を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の待ち時間情報提供システム。
【請求項7】
前記待ち時間算出手段は、
前記最も遅い入店予想時刻と前記現在時刻とを加算することにより、前記現在の予想待ち時間を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の待ち時間情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−318330(P2006−318330A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142131(P2005−142131)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)