説明

後処理装置及び画像形成システム

【課題】記録材に予め定められた処理が施されることにともない発生する音が、記録材を排出する開口から装置外へ漏れることを抑制する。
【解決手段】本発明の後処理装置は、開口部129を有する筐体構造120aと、綴じ処理を施すステープラ127と、駆動側イジェクトロール128aと記録材に接触する接触位置と接触しない非接触位置との間を移動する従動側イジェクトロール128bとを有しステープラ127により綴じ処理が施された記録材を開口部129から排出するイジェクトロール128と、開口部129を覆う覆い位置と開口部129を開放する開放位置との間を移動する開閉部材130とを有し、ステープラ127が綴じ処理を施す際には開閉部材130が覆い位置に配置され、綴じ処理を施した後に開閉部材130が開放位置に移動するとともに従動側イジェクトロール128bが接触位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
後処理装置として、イクジットローラから記録用紙を受け入れ積載する用紙積載台と、用紙積載台上の記録用紙を整列させるエンドガイドと、記録用紙の基準面側端部を用紙積載台側へ押さえつける用紙押さえ部材と、用紙押さえ部材が記録用紙の基準面側端部を用紙積載台側へ押さえつけた状態で、記録用紙をエンドガイド側に移動させるメインパドルとを備える。また、可動式のサブパドルと、サブパドルを第1の位置と第2の位置とに移動させる駆動機構とをさらに備え、用紙押さえ部材は、駆動機構に連動して動作するものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
また、シート後処理装置として、画像形成装置から搬出されたシートを中間スタッカに積載して整合し、ステープラにより綴じ合わせ処理したのち、シート束を排紙トレイ上に排出するシート後処理装置において、綴じ合わせ処理されたシート束の次のシート束を形成するために、中間スタッカに導入する前のシート搬送通路内で、画像形成装置から送られてきた1枚目のシートと2枚目のシートとを重ね合わせたのち中間スタッカに搬送する搬送手段と、駆動手段と、タイミング制御手段とを有するものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−249098号公報
【特許文献2】特許第3680404号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録材に予め定められた処理が施されることにともない発生する音が、記録材を排出する開口から装置外へ漏れることを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、開口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられ記録材に予め定められた処理を施す処理機構と、記録材に接触する接触部材と、記録材に接触する接触位置と記録材に接触しない非接触位置との間を移動する移動部材とを有し、前記処理機構により処理が施された記録材を当該接触部材及び当該接触位置に配置された当該移動部材により前記筐体の前記開口を通過させて排出する排出部材と、前記筐体の前記開口を覆う部材であり、当該筐体の当該開口を覆う覆い位置と当該開口から待避して当該開口を記録材が通過できるよう当該開口を開放する開放位置との間を移動する覆い部材とを有し、前記処理機構が記録材に処理を施す際には前記覆い部材が前記覆い位置に配置されており、当該処理機構が記録材に処理を施した後に当該覆い部材が前記開放位置に移動するとともに前記排出部材の前記移動部材が前記接触位置に移動することを特徴とする後処理装置である。
請求項2記載の発明は、前記排出部材の前記移動部材を前記接触位置と前記非接触位置との間で移動させるとともに、前記覆い部材を前記覆い位置と前記開放位置との間で移動させる駆動手段を有することを特徴とする請求項1記載の後処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記駆動手段は、駆動を受け回転する回転軸と、前記回転軸に設けられ、当該回転軸の回転に伴い前記排出部材の前記移動部材を前記接触位置と前記非接触位置との間で移動させるよう押圧する排出部材押圧部と、前記回転軸に設けられ、当該回転軸の回転に伴い前記覆い部材を前記覆い位置と前記開放位置との間で移動させるよう押圧する覆い部材押圧部とを有することを特徴とする請求項2記載の後処理装置である。
請求項4記載の発明は、前記排出部材の前記移動部材は、前記処理機構が記録材に処理を施す際に記録材に接触していないことを特徴とする請求項1記載の後処理装置である。
【0007】
請求項5記載の発明は、前記排出部材の前記移動部材は、前記処理機構が記録材に処理を施す際に前記非接触位置よりも記録材に近接した位置に配置されることを特徴とする請求項1または4記載の後処理装置である。
請求項6記載の発明は、前記処理機構は、ステープル針を用いて記録材に綴じ処理を行う綴じ処理機構であることを特徴とする請求項1記載の後処理装置である。
請求項7記載の発明は、開口を有する筐体と、記録材に画像を形成する画像形成機構と、前記筐体の内部に設けられ前記画像形成機構によって画像が形成された記録材に予め定められた処理を施す処理機構と、記録材に接触する接触部材と、記録材に接触する接触位置と記録材に接触しない非接触位置との間を移動する移動部材とを有し、前記処理機構により処理が施された記録材を当該接触部材と当該接触位置に配置された当該移動部材とにより前記筐体の前記開口を通過させて排出する排出部材と、前記筐体の前記開口を覆うとともに、当該筐体の当該開口を覆う覆い位置と当該開口から待避して当該開口を記録材が通過できるよう当該開口を開放する開放位置との間を移動する覆い部材とを有し、前記処理機構が記録材に処理を施す際には前記覆い部材が前記覆い位置に配置されており、当該処理機構が記録材に処理を施した後に当該覆い部材が前記開放位置に移動するとともに前記排出部材の前記移動部材が前記接触位置に移動することを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材に予め定められた処理が施されることにともない発生する音が、記録材を排出する開口から装置外へ漏れることを抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、排出部材及び覆い部材の駆動系を共通化することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、排出部材及び覆い部材を移動させる時期の制御を簡易な構成により実現することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材が変形した状態で予め定められた処理が施されることが抑制できる。
【0009】
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材が処理を施されてから排出されるまでの期間を短縮することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、ステープル針を用いて綴じ処理が施されることにともない発生する音が、記録材を排出する開口から装置外へ漏れることを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材に予め定められた処理が施されることにともない発生する音が、記録材を排出する開口から装置外へ漏れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
【図2】画像形成装置について説明した図である。
【図3】本実施の形態が適用される後処理装置について説明した図である。
【図4】本実施の形態が適用される後処理部の構成を詳述した図である。
【図5】後処理部の記録材搬送方向に交差する方向の構成を説明した図である。
【図6】従動側イジェクトロール及び開閉部材の配置について説明した図である。
【図7】開閉部材の開放位置及び閉鎖位置について説明した図である。
【図8】制御部のブロック図である。
【図9】制御部による駆動モータ及びステープラの制御の手順について説明したフローチャートである。
【図10−1】駆動モータの動作により移動する後処理装置内の各部材の動作を説明した図である。
【図10−2】駆動モータの動作により移動する後処理装置内の各部材の動作を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成システム1>
図1は本発明の実施の形態が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成システム1は、例えば、電子写真方式によって記録材に画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が記録された記録材(例えば、用紙)に対して後処理を施す後処理装置3とを備えている。
【0012】
<画像形成装置2>
図2は、画像形成装置2について説明した図である。
画像形成装置2は、所謂「タンデム型」のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部(画像形成機構)10と、画像形成装置2全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ(PC)等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する主制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェイス(UI)部90とを備えている。
【0013】
<画像形成部10>
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、6つの画像形成ユニット11C,11M,11HC,11HM,11Y,11K(以下、「画像形成ユニット11」)と、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。
さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材に一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を記録材上に定着させる定着部(定着装置)の一例としての定着ユニット60とを備えている。
【0014】
加えて、画像形成部10は、定着ユニット60にて記録材上に定着された各色トナー像を冷却し、記録材上への各色トナー像の定着を促進する冷却ユニット80と、記録材の曲がり(カール)を矯正するカール矯正ユニット85とを備えている。なお、二次転写ロール22が配置され、中間転写ベルト20上の各色トナー像が記録材に二次転写される領域を、以下、「二次転写領域Tr」という。
【0015】
<画像形成ユニット11>
各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、静電潜像が形成され、その後に各色トナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16とを備えている。
各画像形成ユニット11の現像器15各々は、各色トナーを貯蔵するトナー容器17C,17M,17HC,17HM,17Y,17K(以下、「トナー容器17」)とトナー搬送路(不図示)で連結されている。そして、トナー搬送路中に設けられた補給用スクリュー(不図示)によりトナー容器17から現像器15に各色トナーが補給されるように構成されている。
【0016】
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いてほぼ同様に構成され、それぞれがC(シアン)色、M(マゼンタ)色、HC(高彩度シアン)色、HM(高彩度マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色のトナー像を形成する。ここでのHC色は、シアン色系の色相を有し、C色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いシアン色であり、HM色は、マゼンタ色系の色相を有し、M色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いマゼンタ色である。
【0017】
<記録材搬送系>
また、画像形成部10は、記録材搬送系として、記録材を収容する複数(本実施の形態では2個)の記録材収容容器40A,40Bと、この記録材収容容器40A,40Bに収容された記録材を繰り出して搬送する繰出しロール41A,41Bと、記録材収容容器40Aからの記録材を搬送する第1搬送路R1と、記録材収容容器40Bからの記録材を搬送する第2搬送路R2と、を備えている。さらに、画像形成部10は、記録材収容容器40Aおよび記録材収容容器40Bからの記録材を二次転写領域Trに向けて搬送する第3搬送路R3と、を備えている。加えて、画像形成部10は、二次転写領域Trにて各色トナー像が転写された記録材を定着ユニット60、冷却ユニット80、およびカール矯正ユニット85を通過するように搬送する第4搬送路R4と、カール矯正ユニット85からの記録材を画像形成装置2の排出部から後処理装置3に向けて搬送する第5搬送路R5と、を備えている。
第1搬送路R1から第5搬送路R5は、それぞれに沿って搬送ロールや搬送ベルトが配置され、送られてくる記録材を順次搬送する。
【0018】
<両面搬送系>
また、画像形成部10は、両面搬送系として、定着ユニット60で第1面に各色トナー像が定着された記録材を一旦保持する中間記録材収容容器42と、カール矯正ユニット85からの記録材を中間記録材収容容器42に向けて搬送する第6搬送路R6と、中間記録材収容容器42に収容された記録材を上記の第3搬送路R3に向けて搬送する第7搬送路R7と、を備えている。さらに、画像形成部10は、カール矯正ユニット85の記録材搬送方向下流側に配置され、記録材を後処理装置3に向けて搬送する第5搬送路R5と中間記録材収容容器42に搬送する第6搬送路R6とに選択的に振り分ける振分機構部43と、中間記録材収容容器42に収容された記録材を繰り出して第7搬送路R7に向けて搬送する繰出しロール45と、を備えている。
【0019】
<画像形成動作>
次に、図2を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置2での基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりC色,M色,HC色,HM色,Y色,K色の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に一次転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送される。
【0020】
一方、記録材搬送系では、各画像形成ユニット11での画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール41A,41Bが回転動作し、記録材収容容器40Aおよび記録材収容容器40Bの中から例えばUI部90にて指定された方の記録材が繰出しロール41A,41Bにより繰り出される。繰出しロール41A,41Bにより繰り出された記録材は、第1搬送路R1または第2搬送路R2と、第3搬送路R3とに沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された合成トナー像が記録材に一括して二次転写される。
【0021】
その後、合成トナー像が転写された記録材は、中間転写ベルト20から分離され、第4搬送路R4に沿って定着ユニット60に搬送される。定着ユニット60に搬送された記録材上の合成トナー像は、定着ユニット60によって定着処理を受けて記録材上に定着される。そして、定着画像が形成された記録材は、冷却ユニット80にて冷却され、カール矯正ユニット85にて記録材の曲がりが矯正される。その後、カール矯正ユニット85を通過した記録材は、振分機構部43により、片面印刷時には第5搬送路R5に導かれて、後処理装置3に向けて搬送される。
なお、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれクリーナ16、およびベルトクリーナ26によって除去される。
【0022】
一方、両面印刷時には、上述した過程によって記録材の第1面上に定着画像が形成された記録材は、カール矯正ユニット85を通過した後、振分機構部43により第6搬送路R6に導かれ、第6搬送路R6を中間記録材収容容器42に向けて搬送される。そして再び、各画像形成ユニット11による第2面の画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール45が回転し、中間記録材収容容器42から記録材が繰り出される。繰出しロール45により繰り出された記録材は、第7搬送路R7および第3搬送路R3に沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、第1面の場合と同様にして、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された第2面の各色トナー像が記録材に一括して二次転写される。
【0023】
そして、両面にトナー像が転写された記録材は、第1面の場合と同様に定着ユニット60にて定着され、冷却ユニット80にて冷却され、さらにはカール矯正ユニット85にて記録材の曲がりが矯正される。その後、カール矯正ユニット85を通過した記録材は、振分機構部43により第5搬送路R5に導かれて、後処理装置3に向けて搬送される。
このようにして、画像形成装置2での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0024】
<後処理装置3>
図3は本実施の形態が適用される後処理装置3について説明した図である。
図3に示した後処理装置3は、画像形成装置2から出力された記録材を更に下流側に搬送する搬送部110と、例えば綴じ処理用のステープルや記録材を集めて束ねるコンパイル用積載部124などを備えた後処理部120とを備えている。また、後処理装置3は、記録材を、ユーザが取りやすいようにして積み重ねるスタッカ190を備えている。また、後処理装置3は、後処理装置3の全体を制御する制御部200を有し、この制御部200は、例えば後処理部120に設けられている。
【0025】
図3に示すように、後処理装置3の搬送部110は、画像形成装置2(図1参照)から出力される印刷(プリント)済の記録材を受け取る一対のロールである入口ロール111と、記録材を下流側へと搬送する一対のロールである第1搬送ロール112と、後処理部120に向けて記録材を搬送する一対のロールである第2搬送ロール113とを有する。
【0026】
後処理装置3の後処理部120は、筐体構造(筐体)120aの内部に次の各部材を有している。後処理部120は、搬送部110から記録材を受け取る一対のロールである受け取りロール121と、受け取りロール121の下流側に設けられ記録材を検知するイクジット(exit)センサ122とを備えている。また、後処理部120は、順次搬送される記録材を複数枚集めて積載するコンパイル用積載部124と、コンパイル用積載部124に向けて記録材を排出する一対のロールであるイクジットロール123とを備えている。
【0027】
また、後処理部120は、記録材の後端をコンパイル用積載部124のエンドガイド124b(後述)に向けて押し込むために回転するパドル125と、記録材の束の端を綴じるためのステープラ127とを備えている。さらに、コンパイル用積載部124にて集積された記録材の束をスタッカ190へ搬送するイジェクトロール128を備えている。
ここで、後処理部120の筐体構造120aは、記録材の束をイジェクトロール128によってスタッカ190に向けて排出する際に記録材の束が通過する開口部129が形成されている。後処理部120は、この開口部129を覆う開閉部材130を備えている。
さらに、後処理部120は、ステープラ127の綴じ処理に応じてイジェクトロール128及び開閉部材130の配置を変更する駆動力を供給する駆動機構171(図5参照、後述)を備えている。
【0028】
図4は、本実施の形態が適用される後処理部120の構成を詳述した図である。図5は、後処理部120の記録材搬送方向に交差する方向の構成を説明した図である。なお、図5は、図4の矢印V方向から見た図である。
まず、コンパイル用積載部124は、イクジットロール123から記録材を受け入れ積載する記録材積載台124aと、記録材積載台124aの記録材積載面に交差する方向に形成されたエンドガイド124bとを有している。エンドガイド124bは、イクジットロール123から排出された記録材を揃える際に、記録材の端面を揃える基準となる基準面であり、エンドガイド124bに記録材の端面を突き当てることにより記録材の束を生成する。
【0029】
パドル125は、図4に示すように3枚の可撓性の記録材接触部125aを有しており、記録材の上面(または記録材の束の最上面)に接触して記録材をエンドガイド124b側に搬送する部材である。パドル125は、コンパイル用積載部124のエンドガイド124b側の上方において、後処理装置3の装置フレーム181a,181bに回転可能に支持されたパドル支持軸131を有している(図5参照)。このパドル支持軸131には、複数(本実施の形態では3個)のパドル125が記録材搬送方向に直交(交差)する方向に間隔を空けて固定支持されている。パドル支持軸131は、装置奥側(図4の紙面奥側、図5の紙面上側)に配置された図示しないモータにより回転駆動される。そして、パドル支持軸131が回転するのに伴い、パドル125は回転し、パドル125が図4のR方向に回転することで、図4のZ1方向に向かって搬送された記録材を、記録材積載台124a上にてZ2方向に押し込む。
【0030】
また、後処理部120には、図示してはいないが、コンパイル用積載部124の記録材搬送方向に直交(交差)する方向(図4の紙面の手前側と奥側)に、記録材の両端(記録材搬送方向に直交する方向の両側)について位置合わせを行うためのタンパが備えられている。
【0031】
次に、ステープラ127について説明する。
ステープラ127は、記録材の束に対してステープル針を用いて綴じ処理を行うステープルヘッド127aと、このステープルヘッド127aを支えるベース127bと、このベース127b上に形成され、ステープルヘッド127aが動く経路を形成するレール127cとを備えている。レール127cは、記録材積載台124aの端部に沿うように形成されており、ステープルヘッド127aは、このレール127c上を動き綴じ処理を行う。また、ステープルヘッド127aを移動させるステッピングモータであるステープルムーブモータ(図示せず)と、ステープルヘッド127aのホーム位置を検知するステープルムーブホームセンサ(図示せず)と、ステープルヘッド127aの中央位置を検知するステープルセンターポジションセンサ(図示せず)とを備えている。
【0032】
そして、コンパイル用積載部124上の記録材の束に対して一箇所綴じを行う場合には、ステープルヘッド127aは、ステープルムーブホームセンサ(図示せず)によって検知される第1のホームポジション位置に留まって、必要なタイミングにて、順次、綴じ処理を実行する。
一方、記録材の束に対して二箇所綴じを行う場合には、まず、ステープルセンターポジションセンサ(図示せず)によって検知される第2のホームポジション位置に待機している。その後、コンパイル用積載部124に一纏まりの記録材が積載された後に、ステープルムーブモータ(図示せず)を駆動させてステープルヘッド127aをステープル位置まで移動させ、二箇所に綴じ処理を施す。
【0033】
なお、ここでは処理機構の一例としてステープラ127を用いて説明をしたが、記録材処理機構として、例えば、ステープル針を用いることなく記録材に対する綴じ処理を行う綴じ処理装置や、記録材にパンチ穴をあけるパンチャ、記録材に折り筋を付ける折り筋装置等を用いてもよい。
【0034】
<イジェクトロール128>
次に、イジェクトロール128について説明する。
排出部材の一例であるイジェクトロール128は、図4に示すように駆動側イジェクトロール128aと従動側イジェクトロール128bとを有する。駆動側イジェクトロール128aと従動側イジェクトロール128bとは、互いに離間(乖離)可能に設けられている。
【0035】
接触部材の一例である駆動側イジェクトロール128aは、装置フレーム181a,181b(図5参照)に回転可能に支持され、図示しないイジェクトモータにより回転駆動される回転軸(図示せず)に固定支持されている。そして、このイジェクトモータが回転することで駆動側イジェクトロール128aが回転するとともに、従動側イジェクトロール128bが従動して回転することでコンパイル用積載部124に積載された記録材を排出する(図4におけるZ3参照)。
【0036】
移動部材の一例である従動側イジェクトロール128bは、従動側イジェクトロール支持部材161によって支持されている。詳細は後述するが、従動側イジェクトロール128bは、従動側イジェクトロール支持部材161が揺動(回転)することにともない、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材に接触する接触位置と、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材から待避する待避位置(非接触位置)との間を揺動する。
【0037】
図5に示す例においては、従動側イジェクトロール支持部材161のスタッカ190(図4参照)側端部に、従動側イジェクトロール128bが回転可能に支持されている。また、従動側イジェクトロール支持部材161は、他方の端部において、支持軸162に対してすきまばめで嵌合されている。なお、図5に示すように、支持軸162は、装置フレーム181a,181bに固定支持されている。
【0038】
また、従動側イジェクトロール支持部材161には、支持軸162との嵌合部位と、従動側イジェクトロール128bの支持部位との間に孔161aが形成されている。この孔161aにコイルバネ165の一端が取り付けられている。コイルバネ165の他端は、装置フレーム(図示せず)に取り付けられている。それゆえ、従動側イジェクトロール支持部材161は、コイルバネ165により従動側イジェクトロール128bがコンパイル用積載部124から離間する方向(接触位置から待避位置の方向)へ向かう方向に移動する力が付与される。なお、従動側イジェクトロール支持部材161は、後述するイジェクトロールカム166と接触することにより、従動側イジェクトロール128bがコンパイル用積載部124に接近する方向(待避位置から接触位置に向かう方向)に移動する力を受ける位置に配置されている。
【0039】
<開口部129>
次に、開口部129について説明をする。
まず、上述のように、開口部129は、筐体構造120aに形成される開口であって、イジェクトロール128によりスタッカ190に向けて排出される記録材の束が通過する領域である。
ここで、上記では説明を省略したが、図4に示すように、後処理部120は、筐体構造120aの一部を構成する板状部材であり、開口部129の上方に後述するカバー部材130aの動きに沿うよう傾斜して配置される傾斜部120bを有する。この傾斜部120bは、閉鎖位置に配置されている開閉部材130のカバー部材130a(後述)を覆うように配置されている。なお、図示の例においては、傾斜部120bのスタッカ190側の端部(図4の下側端部)120b1が、傾斜部120bの他方の端部よりも後処理部120の外側に突き出て配置されている。
【0040】
図示の例における開口部129は、図4に示すように、傾斜部120bのスタッカ190側の端部120b1から、筐体構造120aに沿って配置される駆動側イジェクトロール128aまでの範囲にわたって形成されている。また、図5に示すように、開口部129は、装置フレーム181a,181bの間の範囲にわたって形成されている。
【0041】
<開閉部材130>
次に、開閉部材130について説明する。
覆い部材の一例である開閉部材130は、筐体構造120aに形成された開口部129を覆うカバー部材(シャッター)130aと、カバー部材130aを揺動(回転)可能に支持する支持部材130bとを備える。また、開閉部材130は、カバー部材130aにおけるコンパイル用積載部124と対向する部分に設けられる吸音部材130cと、支持部材130bにおけるコンパイル用積載部124と対向する部分に設けられ図4のZ1方向に向かって搬送された記録材をコンパイル用積載部124へ案内する用紙案内部材(用紙搬送路)130dとを備える。
詳細は後述するが、開閉部材130は、カバー部材130aが開口部129を覆う閉鎖位置(覆い位置)と、開口部129を記録材の束が通過できるようカバー部材130aが開口部129から待避して開口部129を開放する開放位置との間を揺動する。
【0042】
カバー部材130aは、板状部材であり開口部129を覆う寸法で形成されている。また、図4に示すように、カバー部材130aは従動側イジェクトロール128bよりもZ3方向下流側に設けられている。付言すると、開閉部材130が閉鎖位置にあるとき、カバー部材130aは開口部129とともに従動側イジェクトロール128bを覆う状態となる。
図5に示すように、支持部材130bは、スタッカ190側端部においてカバー部材130aを支持している。ここで、支持部材130bは、図中上下方向において、従動側イジェクトロール128b及び従動側イジェクトロール支持部材161を挟んで2つ形成されている。
【0043】
また、支持部材130bは、スタッカ190側端部とは反対側の端部において、支持軸162に対してすきまばめで嵌合されている。さらに、支持部材130bには、支持軸162との嵌合部位と、カバー部材130a支持部位との間に孔161cが形成されている。この孔161cにコイルバネ175の一端が取り付けられている。コイルバネ175の他端は、装置フレーム(図示せず)に取り付けられている。それゆえ、支持部材130bは、コイルバネ175によりカバー部材130aがコンパイル用積載部124から離間する方向(閉鎖位置から開放位置へ向かう方向)へ移動する力が付与される。なお、支持部材130bは、後述する開閉部材カム176と接触することにより、コンパイル用積載部124に接近する方向(開放位置から閉鎖位置に向かう方向)に移動する力を受ける位置に配置されている。
【0044】
吸音部材130cは、例えばウレタン等のスポンジ状の部材から形成される。この吸音部材130cは、カバー部材130aが閉鎖位置に配置されることにともないコンパイル用積載部124に積載される記録材に押圧される。さらに説明すると、吸音部材130cは、コンパイル用積載部124に積載される記録材と、閉鎖位置に配置されたカバー部材130aとの間隙を充填する。この吸音部材130cは、コンパイル用積載部124に積載される記録材とカバー部材130aとの間から後処理部120(図3参照)内で発生した音が外部に漏れることを抑制する。
【0045】
また、吸音部材130cは、コンパイル用積載部124に積載される記録材に押圧されることにともない弾性変形する。このことにより、コンパイル用積載部124に積載される記録材の束の厚みが変化する場合であっても、記録材の束の厚みに応じて上述の閉鎖位置を変化させることが不要となる。
なお、図示の例においては、閉鎖位置にある開閉部材130の吸音部材130cは、記録材におけるコンパイル用積載部124の記録材積載台124aから突出した部分、すなわち記録材における記録材積載台124aに支持されていない部分と接触する。
【0046】
用紙案内部材130dは、例えば板状部材によって形成されている。図4に示すように、用紙案内部材130dは、開閉部材130が開放位置に配置されている際に、イクジットロール123からZ1方向に向かって搬送された記録材をコンパイル用積載部124へ案内するように配置されている。
【0047】
さて、上述のように開閉部材130と従動側イジェクトロール支持部材161とは共通の回転軸である支持軸162を中心に揺動するように設けられている。ここで、図5に示すように、開閉部材130と従動側イジェクトロール支持部材161とは互いに干渉することがないよう間隙を形成して配置されている。付言すると、カバー部材130a及び従動側イジェクトロール128bも、互いに干渉することがないよう間隙を形成して配置されている。
【0048】
<駆動機構171>
次に、駆動機構171について説明する。
図5に示すように、駆動手段の一例である駆動機構171は、従動側イジェクトロール支持部材161と接触して配置され従動側イジェクトロール支持部材161を押圧するイジェクトロールカム(排出部材押圧部)166を備える。また、駆動機構171は、支持部材130bと接触して配置され支持部材130bを押圧する開閉部材カム(覆い部材押圧部)176を備える。ここで、開閉部材カム176は、図中上下方向において、イジェクトロールカム166を挟んで2つ形成されている。
また、駆動機構171は、これらイジェクトロールカム166及び開閉部材カム176を支持する回転軸であるカム軸167と、カム軸167の一方の端部に設けられたギア168と、このギア168と噛み合うピニオン169aと、このピニオン169aに回転力を付与する駆動モータ169とを備える。
【0049】
図4に示すように、イジェクトロールカム166は、回転して従動側イジェクトロール支持部材161を押圧することにより従動側イジェクトロール128bが待避位置から接触位置へ向かう方向へ移動(図4中時計周り方向の移動)する移動力を付与する。
開閉部材カム176は、回転して支持部材130bを押圧することによりカバー部材130aが開放位置から閉鎖位置へ向かう方向へ移動(図4中時計周り方向の移動)する移動力を付与する。
なお、イジェクトロールカム166と、開閉部材カム176とは、互いに異なる位相でカム軸167に設けられている。したがって、詳細は後述するが、イジェクトロールカム166が従動側イジェクトロール支持部材161を移動させる時期と、開閉部材カム176が支持部材130bを移動させる時期とは異なる。
【0050】
図5に示すように、カム軸167は、装置フレーム181a,181bに回転可能に支持されている。このカム軸167には、上述のようにイジェクトロールカム166及び開閉部材カム176が設けられている。そして、このカム軸167は、駆動モータ169から駆動を受けて回転する。したがって、本実施の形態においては、従動側イジェクトロール128bと開閉部材130とが、共通の駆動源により駆動を受けながらそれぞれの配置が変更される。さらに説明をすると、本実施の形態は、従動側イジェクトロール128bと開閉部材130とは互いに連動して動作する構成である。
【0051】
駆動モータ169は印加する電圧(電流)と発生トルクとが比例するDCモータであり、駆動モータ169に印加する電圧を高くすると回転速度が大きくなり、印加電圧を低くすると回転速度が小さくなる。そして、駆動モータ169の回転速度が大きくなるとそれぞれイジェクトロールカム166及び開閉部材カム176の回転速度が大きくなり、駆動モータ169の回転速度が小さくなるとそれぞれイジェクトロールカム166及び開閉部材カム176の回転速度が小さくなる。
【0052】
<従動側イジェクトロール128b及び開閉部材130の配置>
ここで、図4、図5及び図6を参照しながら、カム軸167が回転することにともない変化する従動側イジェクトロール128b及び開閉部材130の配置について説明をする。なお、図6は、従動側イジェクトロール128b及び開閉部材130の配置について説明した図である。
【0053】
まず、カム軸167が一回転する(図4中時計周り方向の回転)ことにともない、カム軸167は、順に、待機角度、閉鎖角度、及び排出角度となる。以下では、カム軸167が待機角度、閉鎖角度、及び排出角度となった際における、従動側イジェクトロール128b及び開閉部材130の配置について説明をする。
【0054】
図6(a)では、カム軸167は待機角度に配置されている。
このカム軸167が待機角度に配置されている状態において、イジェクトロールカム166の回転中心から最も近い部位が従動側イジェクトロール支持部材161と接触し、かつ開閉部材カム176の回転中心から最も近い部位が支持部材130bと接触している。
【0055】
図6(a)に示すように、カム軸167が待機角度のときに、従動側イジェクトロール128bは、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材から待避する待避位置に配置される。この待避位置は、イクジットロール123(図4参照)にて搬送される記録材の搬送を従動側イジェクトロール128bが妨げない位置である。
また、カム軸167が待機角度のときに、開閉部材130は、開口部129(図5参照)を記録材の束が通過できるよう開閉部材130のカバー部材130aが開口部129から待避して開口部129を開放する開放位置に配置される。この開放位置は、イクジットロール123にて搬送される記録材の搬送を開閉部材130が妨げない位置である。なお、本実施の形態においては、カム軸167が待機角度のときには、開閉部材130に設けられた用紙案内部材130dがイクジットロール123からコンパイル用積載部124へ向かう方向に沿って配置される。
【0056】
図6(b)では、カム軸167は閉鎖角度に配置されている。
このカム軸167が閉鎖角度に配置されている状態において、イジェクトロールカム166の回転中心から最も近い部位と回転中心から最も遠い部位との中間に位置する部位が従動側イジェクトロール支持部材161と接触している。また、開閉部材カム176の回転中心から最も遠い部位が支持部材130bと接触している。
【0057】
図6(b)に示すように、カム軸167が閉鎖角度のときに、従動側イジェクトロール128bは、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材から離間した位置であり、かつ待避位置より記録材との距離が近い位置である近接位置に配置される。例えば、従動側イジェクトロール128bと記録材との距離を5mm以下になるようにする。
また、カム軸167が閉鎖角度のときには、開閉部材130は、開閉部材130のカバー部材130aが開口部129を覆う閉鎖位置に配置される。より詳細には、閉鎖位置は、カバー部材130aに設けられた吸音部材130cがコンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材と接触する位置である。
【0058】
図6(c)では、カム軸167は排出角度に配置されている。
このカム軸167が排出角度に配置されている状態において、イジェクトロールカム166の回転中心から最も遠い部位が従動側イジェクトロール支持部材161と接触し、開閉部材カム176の回転中心から最も近い部位が支持部材130bと接触している。
図6(c)に示すように、カム軸167が排出角度のときに、従動側イジェクトロール128bは、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材に接触する接触位置に配置される。図6(c)の状態において、記録材は、従動側イジェクトロール128bと駆動側イジェクトロール128aとにより予め定められた押圧力(ニップ圧)で挟持されている。なお、この状態で駆動側イジェクトロール128aが回転すると、これに従って従動側イジェクトロール128bも回転し、記録材積載台124a上に積載された記録材はまとめてスタッカ190(図4参照)側に排出される。
また、カム軸167が排出角度のときに、開閉部材130は、開閉部材130のカバー部材130aが開口部129を開放する開放位置に配置される。
【0059】
<開閉部材130の開放位置及び閉鎖位置>
ここで、図7を参照しながら、開閉部材130の開放位置及び閉鎖位置について説明をする。図7は、開閉部材130の開放位置及び閉鎖位置について説明した図である。
図7(a)は、開放位置にある開閉部材130を示す。図示のように、開放位置にある開閉部材130のカバー部材130aは開口部129を開放している状態であり、記録材の束が開口部129を通過できる状態である。なお、図示の例においては、開放位置にある開閉部材130のカバー部材130aは、記録材の束の排出を妨げない位置であり、かつコンパイル用積載部124に接近して配置されている。このことにより、カバー部材130aを開放位置から閉鎖位置まで移動する際に要する時間を短縮し得る。
【0060】
また、図7(b)は、閉鎖位置にある開閉部材130を示す。図示のように、閉鎖位置にある開閉部材130のカバー部材130aは、開口部129を覆い閉鎖している状態である。このようにカバー部材130aが開口部129を覆うことにより、後処理部120装置内で発生した音が、開口部129から後処理部120装置外へと漏れることが抑制される。
【0061】
<制御部200>
次に、制御部200について説明する。
図8は、制御部200のブロック図である。
制御部200は、図8に示すように、CPU201と、ROM202と、RAM203と、入力インターフェイス204と、出力インターフェイス205とを有している。ROM202には、例えば綴じ処理プログラム、記録材搬送プログラム、排出プログラム等が予め格納されている。そして、この制御部200は、画像形成装置2(図1参照)に備えられた制御装置からの信号を、入力インターフェイス204を介してCPU201に取り込む。そして、CPU201が予め定められた処理プログラムを実行し、制御対象に出力インターフェイス205を介して制御信号を送出し、例えば、上述したステープラ127、駆動モータ169、イジェクトモータ(図示せず)などの動作を制御する。
【0062】
次に、具体的に制御部200が行う駆動モータ169及びステープラ127の制御について説明する。
図9は、制御部200による駆動モータ169及びステープラ127の制御の手順について説明したフローチャートである。また図10−1及び図10−2は、駆動モータ169の動作により移動する後処理装置3内の各部材の動作を説明した図である。
【0063】
制御部200は、図10−1(a)に示すように、カム軸167を回転させ待機角度で回転を停止する(ステップ101)。このとき、従動側イジェクトロール128bは待避位置に配置され、カバー部材130aは開放位置に配置される。そして、イクジットロール123によって記録材を順次コンパイル用積載部124に向けて搬送し、パドル125及びタンパ(図示せず)によってコンパイル用積載部124に積載された記録材が揃えられる。なお、上述のように従動側イジェクトロール128bは待避位置に配置され、カバー部材130aは開放位置に配置されることから、従動側イジェクトロール128b及びカバー部材130aは、記録材が搬送され揃えられることを妨げない。
【0064】
制御部200は、図10−1(b)に示すように、コンパイル用積載部124での揃え処理が終了した後に、駆動モータ169を駆動させ、図10−1(b)で見た場合の時計回転方向にカム軸167を回転させる(ステップ102)。回転するカム軸167に設けられたイジェクトロールカム166により押圧されることで、従動側イジェクトロール支持部材161は、図10−1(b)で見た場合の支持軸162を中心とする時計回転方向に移動する力を付与される。そのため従動側イジェクトロール128bは、支持軸162を中心とする時計方向に移動を開始する。また、回転するカム軸167に設けられた開閉部材カム176により押されることにより、支持部材130bは、図10−1(b)で見た場合の支持軸162を中心とする時計回転方向に移動する力を付与される。そのためカバー部材130aは、支持軸162を中心とする時計方向に移動を開始する。
【0065】
制御部200によるカム軸167の回転は、図10−1(c)に示すように、カム軸167が閉鎖角度となる角度で停止する(ステップ103)。この状態において、従動側イジェクトロール128bは近接位置に配置され、カバー部材130aは閉鎖位置に配置される。
【0066】
従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置され、かつカバー部材130aが閉鎖位置に配置されている状態で、ステープラ127によって、コンパイル用積載部124に積載された記録材に綴じ処理が施される(ステップ104)。
ここで、カバー部材130aが閉鎖位置に配置されている状態は、上述のようにカバー部材130aが開口部129を覆う(塞ぐ)状態である。この状態においてステープラ127により綴じ処理が施されることで、綴じ処理にともないステープラ127から発生する音(ステープル動作音)が、開口部129を通じて後処理部120(図4参照)の外部へと漏れることが抑制される。付言すると、後処理部120(図4参照)の周囲においてステープル動作音が聞こえにくくなる。
【0067】
また、上述のように従動側イジェクトロール128bがコンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材から離間した近接位置に配置されている状態において、ステープラ127により綴じ処理が施される。従動側イジェクトロール128bが記録材から離間していることにより、記録材積載台124a上に積載された記録材と従動側イジェクトロール128bとが記録材積載台124a上に積載された記録材を挟み込むことで記録材の束が撓んだ(変形した)状態で綴じ処理が施されることが回避される。
【0068】
そして、ステープラ127により記録材に綴じ処理が施された後に、制御部200は、駆動モータ169を駆動させ、図10−1(c)で見た場合の時計回転方向にカム軸167を再び回転させる(ステップ105)。この回転するカム軸167に設けられたイジェクトロールカム166により再び押されることにより、従動側イジェクトロール支持部材161は、図10−1(c)で見た場合の支持軸162を中心とする時計回転方向の移動する力を付与される。そのため従動側イジェクトロール128bは、支持軸162を中心とする時計方向に再び移動を開始する。一方、支持部材130bは、コイルバネ175(図4参照)に引っ張られながら支持軸162を中心とする図10−1(c)で見た場合の反時計回転方向に移動する力を付与される。そのためカバー部材130aは、支持軸162を中心とする反時計方向に移動を開始する。
【0069】
制御部200によるカム軸167の回転は、図10−2(d)に示すように、カム軸167が排出角度となる角度で停止する(ステップ106)。この状態において、従動側イジェクトロール128bは接触位置に配置され、カバー部材130aは再び開放位置に配置される。
なお、このカム軸167の回転にともない、従動側イジェクトロール128bは近接位置から接触位置へと移動する。このとき、本実施の形態とは異なり従動側イジェクトロール128bが待避位置から接触位置へと移動する場合と比較して、従動側イジェクトロール128bは近接位置から接触位置へと移動する方が、移動に要する時間が短く生産性が高い。
【0070】
そして制御部200は、イジェクトモータ(図示せず)を駆動することで、駆動側イジェクトロール128aを回転させる。これにより、図10−2(e)に示すように、記録材はスタッカ190に排出される(ステップ107)。
なお、記録材がスタッカ190に排出される際に、カバー部材130aは開放位置に配置されていることから、カバー部材130aは、記録材と接触せず記録材の搬送を妨げない。
【0071】
そして、制御部200は、記録材がスタッカ190に排出された後に、駆動モータ169を駆動させ、図10−2(e)で見た場合の時計回転方向にカム軸167を回転させ、カム軸167が待機角度となる角度で停止させる(ステップ108)。なお、カム軸167は、ステップ101からステップ108までで一回転し、再び待機角度となる。
カム軸167が再び待機角度となることにより従動側イジェクトロール128bは、コイルバネ165に引っ張られながら支持軸162を中心とする図10−2(e)で見た場合の反時計方向に移動し待避位置に配置される。一方、カバー部材130aは、開放位置に配置されている状態が維持される。
【0072】
<他の構成例>
さて、上述の構成においては、制御部200が、カム軸167を回転させるとともに、待機角度、閉鎖角度、及び排出角度のそれぞれの角度においてカム軸167を停止させる動作を説明した。ここで、本実施の形態においては、ステープラ127により綴じ処理が施される際に従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置されかつ開閉部材130が閉鎖位置に配置され、イジェクトロール128が記録材の束を排出する際に従動側イジェクトロール128bが接触位置に配置されかつ開閉部材130が開放位置に配置される構成であれば、カム軸167の回転は停止させなくともよい。
【0073】
例えば、ステープラ127が綴じ処理を行う時間が記録材の束の状態(記録材の種類、枚数等)によって変化しない場合においては、カム軸167が待機角度で停止している状態から回転を開始し、一回転した後に再び待機角度に戻るまでの間、カム軸167の回転を停止させない構成であってもよい。この場合、イジェクトロールカム166と開閉部材カム176とは次のように構成される。
【0074】
まず、イジェクトロールカム166は、ステープラ127が綴じ処理を行う期間に従動側イジェクトロール支持部材161と接触する領域が、イジェクトロールカム166の回転中心から最も近い部位と回転中心から最も遠い部位との中間に位置する部位となるように形成される。また、イジェクトロールカム166は、イジェクトロール128が記録材の束を排出する期間に従動側イジェクトロール支持部材161と接触する領域が、イジェクトロールカム166の回転中心から最も遠い部位となるように形成される。
【0075】
一方、開閉部材カム176は、ステープラ127が綴じ処理を行う期間に支持部材130bと接触する領域が、開閉部材カム176の回転中心から最も遠い部位となるように形成される。また、開閉部材カム176は、イジェクトロール128が記録材の束を排出する期間に支持部材130bと接触する領域が、開閉部材カム176の回転中心から最も近い部位となるように形成される。
【0076】
上記のようにイジェクトロールカム166を構成することにより、イジェクトロールカム166が回転を停止しない場合であっても、綴じ処理を行う期間において従動側イジェクトロール128bが近接位置を維持するとともに、記録材の束を排出する期間において従動側イジェクトロール128bが接触位置を維持する。
一方、上記のように、開閉部材カム176を構成することにより、開閉部材カム176が回転を停止しない場合であっても、綴じ処理を行う期間において開閉部材130が閉鎖位置を維持するとともに、記録材の束を排出する期間において開閉部材130が開放位置を維持する。
【0077】
さて、上述の構成においては、イジェクトロール128と開閉部材130とが共通の駆動源により駆動されることを説明したが、イジェクトロール128と開閉部材130とがそれぞれ独立した駆動源を有する構成であってもよい。例えば、イジェクトロールカム166と開閉部材カム176とがそれぞれ別のカム軸に設けられる構成である。この場合、イジェクトロールカム166が設けられる第1のカム軸を回転させる第1の駆動モータと、開閉部材カム176が設けられる第2のカム軸を回転させる第2の駆動モータとを有する構成となる。これら2つの駆動モータは、制御部200によって動作が制御される。
この制御部200による制御により、ステープラ127が綴じ処理を行う期間においては、従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置され、かつ開閉部材130が閉鎖位置に配置される。また、制御部200による制御により、記録材の束を排出する期間においては、従動側イジェクトロール128bが接触位置に配置され、かつ開閉部材130が開放位置に配置される。
【0078】
さて、上述の構成においては、カム軸167が待機角度から閉鎖角度に回転することに伴い、従動側イジェクトロール128bが待避位置から近接位置に移動し、カバー部材130aが開放位置から閉鎖位置に移動することを説明した。ここで、本実施の形態においては、ステープラ127により綴じ処理が施される際に、従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置されかつ開閉部材130が閉鎖位置に配置されれば、従動側イジェクトロール128bの移動及びカバー部材130aの移動の時期は制限されない。具体的には、従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置された後に開閉部材130が閉鎖位置に配置される態様や、開閉部材130が閉鎖位置に配置された後に従動側イジェクトロール128bが近接位置に配置される態様であってもよい。
【0079】
また、カム軸167が閉鎖角度から排出角度に回転することに伴い、従動側イジェクトロール128bが近接位置から接触位置に移動し、カバー部材130aが閉鎖位置から開放位置に移動することを説明した。ここで、本実施の形態においては、イジェクトロール128が記録材の束を排出する際に、従動側イジェクトロール128bが接触位置に配置されかつ開閉部材130が開放位置に配置されれば、従動側イジェクトロール128bの移動及びカバー部材130aの移動の時期は制限されない。具体的には、従動側イジェクトロール128bが接触位置に配置された後に開閉部材130が開放位置に配置される態様や、開閉部材130が開放位置に配置された後に従動側イジェクトロール128bが接触位置に配置される態様であってもよい。
【0080】
さて、上述の構成においては、コンパイル用積載部124上において記録材の後端をエンドガイド124bに向けて押し込む構成として、後処理装置3の後処理部120がパドル125を備えることを説明したが、これに限定されない。例えば、パドル125に加えて、コンパイル用積載部124の上方であって、記録材積載台124aの記録材積載面を基準にしてこの積載面に直交(交差)する方向においてイクジットロール123よりも遠い位置に回転可能に支持されるサブパドルをさらに有する構成であってもよい。さらに、このサブパドルは、カム軸167を中心に揺動可能に設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…後処理装置、123…イクジットロール、124…コンパイル用積載部、125…パドル、128…イジェクトロール、129…開口部、130…開閉部材、166…イジェクトロールカム、176…開閉部材カム、190…スタッカ、200…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ記録材に予め定められた処理を施す処理機構と、
記録材に接触する接触部材と、記録材に接触する接触位置と記録材に接触しない非接触位置との間を移動する移動部材とを有し、前記処理機構により処理が施された記録材を当該接触部材及び当該接触位置に配置された当該移動部材により前記筐体の前記開口を通過させて排出する排出部材と、
前記筐体の前記開口を覆う部材であり、当該筐体の当該開口を覆う覆い位置と当該開口から待避して当該開口を記録材が通過できるよう当該開口を開放する開放位置との間を移動する覆い部材と
を有し、
前記処理機構が記録材に処理を施す際には前記覆い部材が前記覆い位置に配置されており、当該処理機構が記録材に処理を施した後に当該覆い部材が前記開放位置に移動するとともに前記排出部材の前記移動部材が前記接触位置に移動することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記排出部材の前記移動部材を前記接触位置と前記非接触位置との間で移動させるとともに、前記覆い部材を前記覆い位置と前記開放位置との間で移動させる駆動手段を有することを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
駆動を受け回転する回転軸と、
前記回転軸に設けられ、当該回転軸の回転に伴い前記排出部材の前記移動部材を前記接触位置と前記非接触位置との間で移動させるよう押圧する排出部材押圧部と、
前記回転軸に設けられ、当該回転軸の回転に伴い前記覆い部材を前記覆い位置と前記開放位置との間で移動させるよう押圧する覆い部材押圧部と
を有することを特徴とする請求項2記載の後処理装置。
【請求項4】
前記排出部材の前記移動部材は、前記処理機構が記録材に処理を施す際に記録材に接触していないことを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項5】
前記排出部材の前記移動部材は、前記処理機構が記録材に処理を施す際に前記非接触位置よりも記録材に近接した位置に配置されることを特徴とする請求項1または4記載の後処理装置。
【請求項6】
前記処理機構は、ステープル針を用いて記録材に綴じ処理を行う綴じ処理機構であることを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項7】
開口を有する筐体と、
記録材に画像を形成する画像形成機構と、
前記筐体の内部に設けられ前記画像形成機構によって画像が形成された記録材に予め定められた処理を施す処理機構と、
記録材に接触する接触部材と、記録材に接触する接触位置と記録材に接触しない非接触位置との間を移動する移動部材とを有し、前記処理機構により処理が施された記録材を当該接触部材と当該接触位置に配置された当該移動部材とにより前記筐体の前記開口を通過させて排出する排出部材と、
前記筐体の前記開口を覆うとともに、当該筐体の当該開口を覆う覆い位置と当該開口から待避して当該開口を記録材が通過できるよう当該開口を開放する開放位置との間を移動する覆い部材と
を有し、
前記処理機構が記録材に処理を施す際には前記覆い部材が前記覆い位置に配置されており、当該処理機構が記録材に処理を施した後に当該覆い部材が前記開放位置に移動するとともに前記排出部材の前記移動部材が前記接触位置に移動することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2013−95514(P2013−95514A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236433(P2011−236433)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】