説明

後処理装置及び画像形成装置

【課題】記録材搬送部材を予め定めた場所に配置する精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明の後処理装置は、記録材を搬送する接触位置と搬送位置よりも記録材の搬送経路から離間した非接触位置との間を移動するサブパドル126と、駆動を受け回転しサブパドル126を移動させるカム161と、カム161の回転中心から偏心した位置でカム161に設けられカム161とともに回転するピン151と、ピン151と接触する領域である接触領域を有し、接触領域が回転するピン151と接触することによりサブパドル126を接触位置と非接触位置との間で移動させるとともに、接触領域の一部でありピン151が接触している状態でピン151が回転してもサブパドル126が移動しない湾曲領域を有する移動部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後処理装置として、イクジットローラから記録用紙を受け入れ積載する用紙積載台と、用紙積載台上の記録用紙を整列させるエンドガイドと、記録用紙の基準面側端部を用紙積載台側へ押さえつける用紙押さえ部材と、用紙押さえ部材が記録用紙の基準面側端部を用紙積載台側へ押さえつけた状態で、記録用紙をエンドガイド側に移動させるメインパドルとを備える。また、可動式のサブパドルと、サブパドルを第1の位置と第2の位置とに移動させる駆動機構とをさらに備え、用紙押さえ部材は、駆動機構に連動して動作するものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
また、用紙後処理装置として、用紙に第1の用紙揃え手段が作用する前に、第2の用紙揃え手段を用紙の排出方向と直交する方向に移動させて用紙の端部に当接させ、前記用紙を排出方向と直交する方向に突き動かす移動手段を備えるものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−249098号公報
【特許文献2】特開2005−314092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録材搬送部材を予め定めた場所に配置する精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、記録材を搬送するとともに、記録材を搬送する搬送位置と当該搬送位置よりも記録材の搬送経路から離間した離間位置との間を移動する記録材搬送部材と、駆動を受け回転し前記記録材搬送部材を移動させる回転部材と、前記回転部材の回転中心から偏心した位置で当該回転部材に設けられ当該回転部材とともに回転する偏心部材と、前記記録材搬送部材を支持し、かつ前記偏心部材と接触する領域である接触領域を有し、当該接触領域が回転する当該偏心部材と接触することにより当該記録材搬送部材を前記搬送位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、当該接触領域の一部であり当該偏心部材が接触している状態で当該偏心部材が回転しても当該記録材搬送部材が移動しない特定領域を有する移動部材とを有することを特徴とする後処理装置である。
請求項2記載の発明は、前記記録材搬送部材は、前記移動部材の前記特定領域が前記偏心部材と接触している際に前記搬送位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の後処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記移動部材の前記特定領域は、前記偏心部材が当該特定領域に接触しながら移動する方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の後処理装置である。
【0007】
請求項4記載の発明は、前記回転部材を回転させる駆動力を供給する駆動源と、前記駆動源から駆動力を受ける場合には前記回転部材を一方向に回転させるとともに、当該駆動源から駆動力を受けない場合には当該回転部材の前記一方向への回転を妨げない駆動伝達機構とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の後処理装置である。
請求項5記載の発明は、前記回転部材と接触して設けられ当該回転部材を減速させる減速部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の後処理装置である。
請求項6記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成機構と、前記画像形成機構により画像が形成された記録材を搬送するとともに、記録材を搬送する搬送位置と当該搬送位置よりも記録材の搬送経路から離間した離間位置との間を移動する記録材搬送部材と、駆動を受け回転し前記記録材搬送部材を移動させる回転部材と、前記回転部材の回転中心から偏心した位置で当該回転部材に設けられ当該回転部材とともに回転する偏心部材と、前記記録材搬送部材を支持し、かつ前記偏心部材と接触する領域である接触領域を有し、当該接触領域が回転する当該偏心部材と接触することにより当該記録材搬送部材を前記搬送位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、当該接触領域の一部であり当該偏心部材が接触している状態で当該偏心部材が回転しても当該記録材搬送部材が移動しない特定領域を有する移動部材とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材搬送部材を予め定めた場所に配置する精度を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材搬送部材を搬送位置に配置する精度を向上させることができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、停止した偏心部材の角度が予め定められた範囲内の角度であれば、記録材搬送部材を予め定められた場所に配置することができる。
【0009】
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、駆動源が停止した際に回転している回転部材が急停止することを回避することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、回転部材へ駆動が伝達されなくなってから回転部材が停止するまでに回転部材が回転する角度を抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材搬送部材を予め定めた場所に配置する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
【図2】画像形成装置について説明した図である。
【図3】本実施の形態が適用される後処理装置について説明した図である。
【図4】後処理部の構成を詳述した図である。
【図5】サブパドルユニットの構成を詳述した図である。
【図6】リンクガイド及びカム周辺の構成を詳述した図である。
【図7】ワンウェイクラッチ及びステッピングモータ周辺の構造を詳述した図である。
【図8】リンクガイド及びピン周辺の構成を詳述した図である。
【図9】リンクガイドとピンとの位置関係について説明した図である。
【図10】リンクガイドの構成を詳述した図である。
【図11】湾曲領域の作用について説明した図である。
【図12】制御部のブロック図である。
【図13】他の構成例1におけるピン周辺の構成を詳述した図である。
【図14】他の構成例2におけるピン周辺の構成を詳述した図である。
【図15】他の構成例2におけるディスクブレーキ周辺の構成を詳述した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成システム1>
図1は本発明の実施の形態が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成システム1は、例えば、電子写真方式によって記録材に画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が記録された記録材(例えば、用紙)に対して後処理を施す後処理装置3とを備えている。
【0012】
<画像形成装置2>
図2は、画像形成装置2について説明した図である。
画像形成機構の一例である画像形成装置2は、所謂「タンデム型」のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置2全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ(PC)等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する主制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部90とを備えている。
【0013】
<画像形成部10>
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、6つの画像形成ユニット11C,11M,11HC,11HM,11Y,11K(以下、「画像形成ユニット11」)と、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。
さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材に一括転写(二次転写)する二次転写ロール22と、二次転写された各色トナー像を記録材上に定着させる定着部(定着装置)の一例としての定着ユニット60とを備えている。
【0014】
加えて、画像形成部10は、定着ユニット60にて記録材上に定着された各色トナー像を冷却し、記録材上への各色トナー像の定着を促進する冷却ユニット80と、記録材の曲がり(カール)を矯正するカール矯正ユニット85とを備えている。なお、二次転写ロール22が配置され、中間転写ベルト20上の各色トナー像が記録材に二次転写される領域を、以下、「二次転写領域Tr」という。
【0015】
<画像形成ユニット11>
各画像形成ユニット11は、機能部材として、例えば、静電潜像が形成され、その後に各色トナー像が形成される感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器13と、帯電器13により帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16とを備えている。
各画像形成ユニット11の現像器15各々は、各色トナーを貯蔵するトナー容器17C,17M,17HC,17HM,17Y,17K(以下、「トナー容器17」)とトナー搬送路(不図示)で連結されている。そして、トナー搬送路中に設けられた補給用スクリュー(不図示)によりトナー容器17から現像器15に各色トナーが補給されるように構成されている。
【0016】
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いてほぼ同様に構成され、それぞれがC(シアン)色、M(マゼンタ)色、HC(高彩度シアン)色、HM(高彩度マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色のトナー像を形成する。ここでのHC色は、シアン色系の色相を有し、C色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いシアン色であり、HM色は、マゼンタ色系の色相を有し、M色よりも色調が明るく彩度が相対的に高いマゼンタ色である。
【0017】
<記録材搬送系>
また、画像形成部10は、記録材搬送系として、記録材を収容する複数(本実施の形態では2個)の記録材収容容器40A,40Bと、この記録材収容容器40A,40Bに収容された記録材を繰り出して搬送する繰出しロール41A,41Bと、記録材収容容器40Aからの記録材を搬送する第1搬送路R1と、記録材収容容器40Bからの記録材を搬送する第2搬送路R2と、を備えている。さらに、画像形成部10は、記録材収容容器40Aおよび記録材収容容器40Bからの記録材を二次転写領域Trに向けて搬送する第3搬送路R3と、を備えている。加えて、画像形成部10は、二次転写領域Trにて各色トナー像が転写された記録材を定着ユニット60、冷却ユニット80、およびカール矯正ユニット85を通過するように搬送する第4搬送路R4と、カール矯正ユニット85からの記録材を画像形成装置2の排出部から後処理装置3に向けて搬送する第5搬送路R5と、を備えている。
第1搬送路R1から第5搬送路R5は、それぞれに沿って搬送ロールや搬送ベルトが配置され、送られてくる記録材を順次搬送する。
【0018】
<両面搬送系>
また、画像形成部10は、両面搬送系として、定着ユニット60で第1面に各色トナー像が定着された記録材を一旦保持する中間記録材収容容器42と、カール矯正ユニット85からの記録材を中間記録材収容容器42に向けて搬送する第6搬送路R6と、中間記録材収容容器42に収容された記録材を上記の第3搬送路R3に向けて搬送する第7搬送路R7と、を備えている。さらに、画像形成部10は、カール矯正ユニット85の記録材搬送方向下流側に配置され、記録材を後処理装置3に向けて搬送する第5搬送路R5と中間記録材収容容器42に搬送する第6搬送路R6とに選択的に振り分ける振分機構部43と、中間記録材収容容器42に収容された記録材を繰り出して第7搬送路R7に向けて搬送する繰出しロール45と、を備えている。
【0019】
<画像形成動作>
次に、図2を用いて、本実施の形態に係る画像形成装置2での基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の画像形成ユニット11各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりC色,M色,HC色,HM色,Y色,K色の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に一次転写され、各色トナーが重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って二次転写ロール22が配置された二次転写領域Trに搬送される。
【0020】
一方、記録材搬送系では、各画像形成ユニット11での画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール41A,41Bが回転動作し、記録材収容容器40Aおよび記録材収容容器40Bの中から例えばUI部90にて指定された方の記録材が繰出しロール41A,41Bにより繰り出される。繰出しロール41A,41Bにより繰り出された記録材は、第1搬送路R1または第2搬送路R2と、第3搬送路R3とに沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された合成トナー像が記録材に一括して二次転写される。
【0021】
その後、合成トナー像が転写された記録材は、中間転写ベルト20から分離され、第5搬送路R5に沿って定着ユニット60に搬送される。定着ユニット60に搬送された記録材上の合成トナー像は、定着ユニット60によって定着処理を受けて記録材上に定着される。そして、定着画像が形成された記録材は、冷却ユニット80にて冷却され、カール矯正ユニット85にて記録材の曲がりが矯正される。その後、カール矯正ユニット85を通過した記録材は、振分機構部43により、片面印刷時には第5搬送路R5に導かれて、後処理装置3に向けて搬送される。
なお、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれクリーナ16、およびベルトクリーナ26によって除去される。
【0022】
一方、両面印刷時には、上述した過程によって記録材の第1面上に定着画像が形成された記録材は、カール矯正ユニット85を通過した後、振分機構部43により第6搬送路R6に導かれ、第6搬送路R6を中間記録材収容容器42に向けて搬送される。そして再び、各画像形成ユニット11による第2面の画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール45が回転し、中間記録材収容容器42から記録材が繰り出される。繰出しロール45により繰り出された記録材は、第7搬送路R7および第3搬送路R3に沿って搬送され、二次転写領域Trに到達する。
二次転写領域Trでは、第1面の場合と同様にして、二次転写ロール22により形成された転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された第2面の各色トナー像が記録材に一括して二次転写される。
【0023】
そして、両面にトナー像が転写された記録材は、第1面の場合と同様に定着ユニット60にて定着され、冷却ユニット80にて冷却され、さらにはカール矯正ユニット85にて記録材の曲がりが矯正される。その後、カール矯正ユニット85を通過した記録材は、振分機構部43により第5搬送路R5に導かれて、後処理装置3に向けて搬送される。
このようにして、画像形成装置2での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
【0024】
<後処理装置3>
図3は本実施の形態が適用される後処理装置3について説明した図である。
図3に示した後処理装置3は、画像形成装置2から出力された記録材を更に下流側に搬送する搬送部110と、例えば綴じ処理用のステープルや記録材を集めて束ねるコンパイル用積載部124などを備えた後処理部120とを備えている。また、後処理装置3は、記録材を、ユーザが取りやすいようにして積み重ねるスタッカ190を備えている。また、後処理装置3は、後処理装置3の全体を制御する制御部200を有し、この制御部200は、例えば後処理部120に設けられている。
【0025】
図3に示すように、後処理装置3の搬送部110は、画像形成装置2(図1参照)から出力される印刷(プリント)済の記録材を受け取る一対のロールである入口ロール111と、記録材を下流側へと搬送する一対のロールである第1搬送ロール112と、後処理部120に向けて記録材を搬送する一対のロールである第2搬送ロール113とを有する。
【0026】
後処理装置3の後処理部120は、筐体構造120aの内部に次の各部材を有している。後処理部120は、搬送部110から記録材を受け取る一対のロールである受け取りロール121と、受け取りロール121の下流側に設けられ記録材を検知するイクジット(exit)センサ122とを備えている。また、後処理部120は、順次搬送される記録材を複数枚集めて積載するコンパイル用積載部124と、コンパイル用積載部124に向けて記録材を排出する一対のロールであるイクジットロール123とを備えている。
【0027】
また、後処理部120は、記録材の後端をコンパイル用積載部124のエンドガイド(後述)に向けて押し込むために回転するメインパドル125およびサブパドル126と、記録材の束の端を綴じるためのステープラ127とを備えている。さらに、コンパイル用積載部124にて集積された記録材の束をスタッカ190へ搬送するイジェクトロール128を備えている。
【0028】
図4は、後処理部120の構成を詳述した図である。
まず、コンパイル用積載部124は、イクジットロール123から記録材を受け入れ積載する記録材積載台124aと、記録材積載台124aの記録材積載面と交差する方向に形成されたエンドガイド124bとを有している。エンドガイド124bは、イクジットロール123から排出された記録材を揃える際に、記録材の端面を揃える基準となる基準面であり、エンドガイド124bに記録材の端面を突き当てることにより記録材の束を生成する。
【0029】
メインパドル125は、図4に示すように3枚の可撓性の記録材接触部125aを有しており、記録材の上面(または記録材の束の最上面)に接触して記録材をエンドガイド124b側に押し込む(搬送する)部材である。メインパドル125は、コンパイル用積載部124のエンドガイド124b側の上方において、回転可能に支持されたパドル支持軸131を有している。このパドル支持軸131には、複数(本実施の形態では3個)のメインパドル125が記録材搬送方向に直交(交差)する方向に間隔を空けて固定支持されている。パドル支持軸131は、装置奥側(図4の紙面奥側)に配置された図示しないモータにより回転駆動される。そして、パドル支持軸131が回転するのに伴い、メインパドル125が図4のR方向に回転することで、図4のZ1方向に向かって搬送された記録材を、記録材積載台124a上にてZ2方向に押し込む。
【0030】
サブパドル126は、図4に示すように3枚の可撓性の記録材接触部126aを有しており、記録材積載台124a上の記録材の上面(または記録材の束の最上面)に接触して記録材をエンドガイド124b側に押し込む(搬送する)部材である。サブパドル126は、回転可能に設けられたサブパドル回転軸126bを有している。図示の例においては、装置手前側(図4の紙面手前側)と装置奥側(図4の紙面奥側)に、2つのサブパドル126が間隔を空けて設けられている。
【0031】
また、詳細は後述するが、サブパドル126はサブパドルユニット140の一部を構成する。このサブパドルユニット140が揺動することにより、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上の記録材に接触しエンドガイド124bに向けて記録材を押し込むための接触位置(搬送位置、図4の破線の位置)と、この接触した位置から待避し記録材積載台124a上の記録材に接触しない非接触位置(離間位置、図4の実線の位置)との間において、サブパドル126を揺動させる。なお、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上を記録材の搬送経路の一部として捉えることができる。
【0032】
また、後処理部120には、コンパイル用積載部124の記録材搬送方向に直交(交差)する方向(図4の紙面の手前側と奥側)に、記録材の両端(記録材搬送方向に直交する方向の両側)について位置合わせを行うためのタンパ(図示せず)が備えられている。
【0033】
次に、ステープラ127について説明する。
ステープラ127は、記録材の束に対してステープル針を用いて綴じ処理を行うステープルヘッド127aと、このステープルヘッド127aを支えるベース127bと、このベース127b上に形成され、ステープルヘッド127aが動く経路を形成するレール127cとを備えている。レール127cは、記録材積載台124aの端部に沿うように形成されており、ステープルヘッド127aは、このレール127c上を動き綴じ処理を行う。また、ステープルヘッド127aを移動させるステッピングモータであるステープルムーブモータ(図示せず)と、ステープルヘッド127aのホーム位置を検知するステープルムーブホームセンサ(図示せず)と、ステープルヘッド127aの中央位置を検知するステープルセンターポジションセンサ(図示せず)とを備えている。
【0034】
そして、コンパイル用積載部124上の記録材の束に対して一箇所綴じを行う場合には、ステープルヘッド127aは、ステープルムーブホームセンサ(図示せず)によって検知される第1のホームポジション位置に留まって、必要なタイミングにて、順次、綴じ処理を実行する。
一方、記録材の束に対して二箇所綴じを行う場合には、まず、ステープルセンターポジションセンサ(図示せず)によって検知される第2のホームポジション位置に待機している。その後、コンパイル用積載部124に一纏まりの記録材が積載された後に、ステープルムーブモータ(図示せず)を駆動させてステープルヘッド127aをステープル位置まで移動させ、二箇所に綴じ処理を施す。
【0035】
次に、イジェクトロール128について説明する。
イジェクトロール128は、図4に示すように駆動側イジェクトロール128aと従動側イジェクトロール128bとを有する。駆動側イジェクトロール128aと従動側イジェクトロール128bとは、互いに離間(乖離)可能に設けられている。
【0036】
駆動側イジェクトロール128aは、図示しないフレームに回転可能に支持され、図示しないイジェクトモータにより回転駆動される回転軸(図示せず)に固定支持されている。そして、このイジェクトモータが回転することで駆動側イジェクトロール128aが回転するとともに、従動側イジェクトロール128bが従動して回転することでコンパイル用積載部124に積載された記録材を排出する(図4におけるZ3参照)。
【0037】
従動側イジェクトロール128bは、従動側イジェクトロール支持部材(図示せず)によって支持されている。従動側イジェクトロール128bは、従動側イジェクトロール支持部材(図示せず)が揺動することにともない、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材に接触する接触位置と、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上に積載された記録材から待避する待避位置との間を揺動する。
【0038】
<サブパドルユニット140>
次に、図4を参照しながら、サブパドルユニット140について説明する。
図4に示すように、記録材搬送部材の一例であるサブパドルユニット140は、コンパイル用積載部124の上方に設けられている。このサブパドルユニット140は、サブパドル126を揺動させる際に回転の中心となる回転軸としてのサブパドル支持軸141を有している。また、サブパドルユニット140は、サブパドル126を支持するサブパドル支持部材142を有している。
【0039】
ここで、図4に示すように、サブパドル支持軸141は、コンパイル用積載部124の上方で回転可能に支持されている。このサブパドル支持軸141は、サブパドル126を接触位置と非接触位置の間で揺動させる際に回転の中心となる。また、サブパドル支持軸141は図示しないサブパドル駆動モータにより回転駆動される。そして、このサブパドル支持軸141とサブパドル回転軸126bとに図示しないサブパドルベルトが装着され、サブパドル駆動モータによる駆動がサブパドル支持軸141を介してサブパドル126へ伝達される。
【0040】
また、サブパドル支持部材142はサブパドル回転軸126bを介してサブパドル126を回転可能に支持する。また、サブパドル支持部材142のサブパドル126を支持する端部と反対側の端部は、サブパドル支持軸141に対してすきまばめで嵌合されている。そして、サブパドル支持部材142は、サブパドル支持軸141を中心として回転可能である。
【0041】
次に、図5を参照しながら、サブパドルユニット140の構成を詳述する。なお、図5は、サブパドルユニット140の構成を詳述した図である。
まず、図5に示すように、サブパドルユニット140のサブパドル支持部材142は、サブパドル支持軸141の周辺から突出するサブパドルアーム142aを有している。このサブパドルアーム142aがサブパドル126を回転可能に支持する。また、図示のサブパドル支持部材142には、2つのサブパドルアーム142aが間隔を空けて設けられており、それぞれのサブパドルアーム142aがサブパドル126を支持する。
【0042】
さて、サブパドルユニット140は、サブパドル支持部材142と一体として設けられるリンクガイド支持部材147と、このリンクガイド支持部材147によって支持されるリンクガイド149とを有している。さらにまた、サブパドルユニット140は、リンクガイド149を介してサブパドル126を接触位置と非接触位置の間で移動させる駆動機構160を有している。
【0043】
図5に示すように、リンクガイド支持部材147は、サブパドル支持部材142と一体として設けられ、図示の例におけるリンクガイド支持部材147は、サブパドル支持軸141の周辺から突出するように設けられる。
リンクガイド149は、リンクガイド支持部材147によって支持される、環状部材である。このリンクガイド149の内部の空間に、後述するピン151が挿入される。なお、このピン151を案内しながら、リンクガイド149はサブパドル支持軸141の周辺を回転(矢印C参照)する。
なお、サブパドル支持部材142、リンクガイド支持部材147、及びリンクガイド149を移動部材として捉えることができる。
【0044】
<駆動機構160>
次に、図6及び図7を参照しながら、駆動機構160について説明する。なお、図6は、リンクガイド149及びカム161周辺の構成を詳述した図である。図7は、ワンウェイクラッチ165及びステッピングモータ169周辺の構造を詳述した図である。さらに説明をすると、図7は図5の矢印VII方向から見た図である。
駆動機構160は、リンクガイド149を揺動させる機構である。この駆動機構160は、リンクガイド149に駆動力を伝達する機構と、リンクガイド149の動きを制御する機構とを有する。
【0045】
まず、リンクガイド149に駆動力を伝達する機構について説明をする。
駆動機構160は、リンクガイド149に駆動力を伝達する機構として、ステッピングモータ169と、カム回転軸163と、カム161と、ピン151と、プーリ168と、モータベルト173と、プーリベルト171とを有する。
【0046】
駆動源の一例であるステッピングモータ169は、リンクガイド149を揺動させる駆動力を供給する。このステッピングモータ169は、入力パルス数に比例した回転角度が得られるように構成されている。カム回転軸163は、ステッピングモータ169の駆動力を受けて回転する。回転部材の一例であるカム161は、カム回転軸163に設けられ、カム回転軸163とともに回転する。
【0047】
偏心部材の一例であるピン151は、カム回転軸163から偏心した位置においてカム161によって支持される。ここで、図6に示すように、ピン151はカム回転軸163に沿って配置されている。このピン151は、ピン軸151aと、ピン軸151aの周囲に回転可能に設けられるコロ151bと、このコロ151bと連続して設けられピン151がリンクガイド149から外れることを抑制する鍔部151cとを有する。
【0048】
また、ピン151はリンクガイド149の内側に配置される。カム161が回転することにともない、ピン151はカム回転軸163を中心としてカム回転軸163の周囲を回転する。そして、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転することにともない、ピン151はリンクガイド149内を摺動する。また、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転することにともない、ピン151はリンクガイド149を押圧する。詳細は後述するが、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転することで、リンクガイド149は揺動する(矢印C参照)。
【0049】
プーリ168は、ステッピングモータ169及びカム回転軸163の間に設けられる。このプーリ168は、ステッピングモータ169の駆動をカム回転軸163へと伝達する。また、モータベルト173は、ステッピングモータ169とプーリ168とに装着される。さらに、プーリベルト171は、プーリ168とワンウェイクラッチ165(後述)とに装着される。
【0050】
なお、ステッピングモータ169の駆動がカム回転軸163へ伝達される構成であれば、プーリ168、モータベルト173、及びプーリベルト171を設けることは必須ではない。例えばステッピングモータ169とカム回転軸163との間で駆動を伝達するギアを設ける構成であってもよいし、あるいはステッピングモータ169がカム回転軸163を直接回転させる構成であってもよい。
【0051】
次に、リンクガイド149の動きを制御する機構について説明をする。
駆動機構160は、リンクガイド149の動きを制御する機構として、ワンウェイクラッチ165と、板ばね162と、偏心部材167とを有する。
駆動伝達機構の一例であるワンウェイクラッチ165は、カム回転軸163に設けられる。図示の例においては、プーリベルト171が装着され、プーリベルト171から駆動を受ける。
ここで、ワンウェイクラッチ165がプーリベルト171から駆動を受け、カム回転軸163を一方向(矢印A方向)に回転させる際には、ワンウェイクラッチ165はカム回転軸163とともに連れ回る。反対に、カム回転軸163を他方向(矢印Aとは反対方向)に回転させる際には、ワンウェイクラッチ165はカム回転軸163の周囲で空回りをする。
【0052】
減速部材の一例である板ばね162は、カム161の外周に接触するように設けられる。この板ばね162は、カム161が回転する際にカム161に抵抗力を付与する。付言すると、図示の例における板ばね162は、カム161の回転を緩やかに停止させるように抵抗力を付与する。
【0053】
偏心部材167は、カム回転軸163に対して偏心した位置に重心を持つ。図示の例においては、偏心部材167は、カム回転軸163に設けられた扇形状の部材である。この偏心部材167は、偏心部材167の重心位置がカム回転軸163の下方となる角度で、カム回転軸163を停止させるように作用する。さらに説明をすると、この偏心部材167は、カム回転軸163を予め定められた角度に向かせるように作用する。
また、この偏心部材167を図示しない検知手段により検知することにより、カム回転軸163の角度を検知することができる。さらに、このカム回転軸163の角度を検知することにより、カム回転軸163の角度に応じて移動するサブパドル126の位置を把握することもできる。
【0054】
<リンクガイド149及びピン151>
次に、図8及び図9を参照しながら、リンクガイド149及びピン151の構成について説明をする。ここで、図8は、リンクガイド149及びピン151周辺の構成を詳述した図である。なお、図8は図6の矢印VIII方向から見た図である。図9は、リンクガイド149とピン151との位置関係について説明した図である。
【0055】
図8に示すように、リンクガイド149は、内側の空間をピン151が移動可能に設けられた環状部材である。リンクガイド149の内側の空間は、ピン151が収まる程度の幅と、このピン151が移動可能な程度の長さである。
このリンクガイド149は耐摩耗性の高い樹脂や金属により形成されている。リンクガイド149は、例えばポリアセタール(POM)により形成される。また、図示の例においては、リンクガイド149が、リンクガイド支持部材147とは別部材として設けられている。そして、リンクガイド149が摩耗した際には、リンクガイド149のみを交換することが可能である。
【0056】
ここで、図9(a)及び図9(b)に示すように、ピン151を支持するカム161が回転することにより、ピン151はカム回転軸163の周囲で位置を変化させる。ここで、サブパドル支持軸141の周囲を回転する方向においてピン151が移動すると、リンクガイド149はピン151の移動に追従する。さらに説明をすると、ピン151が移動することにより、リンクガイド149は揺動する。
一方、サブパドル支持軸141に対して進退する方向においてピン151が移動すると、リンクガイド149はピン151の移動に追従しない。いわば、リンクガイド149は、リンクガイド149の内部にてピン151が移動することを許容する。さらに説明をすると、ピン151はリンクガイド149の長手方向に沿って往復運動を行う。
【0057】
さて、リンクガイド支持部材147は、カム回転軸163の周囲をピン151が回転することにともない揺動(図8の矢印C参照)し、近点と遠点との間を往復運動する。ここで、近点は、往復運動するリンクガイド支持部材147が下方で折り返す際の折り返し点である。一方、遠点は、往復運動するリンクガイド支持部材147が上方で折り返す際の折り返し点である。
【0058】
リンクガイド支持部材147が近点に配置されているとき、リンクガイド支持部材147と一体として設けられているサブパドル126は、コンパイル用積載部124(図4参照)に積載された記録材に対して最も接近する位置となる。また、リンクガイド支持部材147が遠点に配置されているとき、サブパドル126は、コンパイル用積載部124(図4参照)に積載された記録材から最も遠ざかる位置となる。
【0059】
なお、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転することにともない、ピン151はリンクガイド149の内側の空間を移動する。ここで、環状部材であるリンクガイド149の内側の空間にピン151が配置されており、このリンクガイド149の内側の空間は、上述のようにピン151が収まる程度の幅である。したがって、カム161がカム回転軸163の周囲を回転した際に、カム161がいずれの角度においてもピン151とリンクガイド149とが接触する状態は維持され、ピン151がリンクガイド149内でガタつくことがない。
【0060】
<リンクガイド149>
次に、図10を参照しながら、リンクガイド149の詳細な構成について説明をする。ここで、図10は、リンクガイド149の構成を詳述した図である。
図10(a)に示すように、リンクガイド149は、内側の空間においてピン151と接触する接触領域を有する。この接触領域は、ピン151を直線方向(長手方向)に案内する直線領域Sと、ピン151を湾曲した方向に案内する湾曲領域Tとを有する。なお、図8に示すように、湾曲領域Tは、カム回転軸163から遠ざかる向きに凸となるように形成されている。この湾曲領域Tは、特定領域として捉えることができる。
また、図示の例においては、リンクガイド149の長手方向において、2つの直線領域Sが湾曲領域Tを挟むようにして形成されている。また2つの直線領域Sと湾曲領域Tとは連続している。なお、2つの直線領域Sと湾曲領域Tとは滑らかに連続していることにより、ピン151は、直線領域Sと湾曲領域Tとの間を滑らかに移動する。
【0061】
ここで、図10(b)を参照しながら、湾曲領域Tについて説明をする。
まず、リンクガイド149に挿入されているピン151が、リンクガイド149と接触する部分であって、カム回転軸163から最も遠いピン151の部分を外側点151oとする。また、ピン151がリンクガイド149と接触する部分であって、カム回転軸163に最も近いピン151の部分を内側点151iとする。
【0062】
また、カム回転軸163の周囲を回転することにより、外側点151oが描く軌跡を外側円Loとする。また、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転することにより、内側点151iが描く軌跡を内側円Liとする。なお、図10(b)に示すように外側円Loの半径を半径roとし、内側円Liの半径を半径riとする。
そして、この内側円Liと外側円Loとにより挟まれる領域は、環状となる。そして、図10(b)に示すように、この環状の領域の一部が、上述の湾曲領域Tとなる。
【0063】
さらに説明をすると、図10(a)に示すように、湾曲領域Tは、リンクガイド149の内側の領域であり、第1曲面1495と第2曲面1496とに挟まれる領域である。なお、第1曲面1495はカム回転軸163から遠い側の面であり、第2曲面1496はカム回転軸163に近い側の面である。
そして、第1曲面1495は、外側円Loの半径roを曲率半径として形成されている。一方、第2曲面1496は、内側円Liの半径riを曲率半径として形成されている。また、第1曲面1495の曲率半径の中心及び第2曲面1496の曲率半径の中心は同一である(中心点0参照)。
【0064】
なお、図10(a)に示すように、直線領域Sは、リンクガイド149の内側の領域であり、それぞれリンクガイド149の長手方向に沿う平面である第1平面1491及び第2平面1492によりに挟まれる領域である。なお、第1平面1491はカム回転軸163から遠い側の面であり、第2平面1492はカム回転軸163に近い側の面である。
【0065】
<湾曲領域Tの作用>
次に、図11を参照しながら、湾曲領域Tの作用について説明をする。ここで、図11は、湾曲領域Tの作用について説明した図である。
上述のようにピン151がカム回転軸163の周囲を回転することで、リンクガイド149は揺動する。しかしながら、ピン151が湾曲領域Tを通過する際には、ピン151がカム回転軸163の周囲を回転するにもかかわらず、リンクガイド149の位置は変化しない。
【0066】
これは上述のように、ピン151の軌跡に沿って、湾曲領域Tが形成されていることによる。ピン151が湾曲領域Tを通過する際には、ピン151がリンクガイド149を押圧しないためである。さらに説明をすると、ピン151が湾曲領域Tを通過する際には、リンクガイド149の第1曲面1495及び第2曲面1496は、ピン151が移動する方向にピン151を案内する。いわば、リンクガイド149の湾曲領域Tが、ピン151の動きを吸収する。
【0067】
例えば、図11(a)に示す状態と図11(b)に示す状態とでは、ピン151を支持するカム161の角度は、互いに異なる。一方、リンクガイド支持部材147の図11における上下方向の位置は変化していない(図中破線参照)。
ここで、図11(a)及び図11(b)に示されるピン151は、いずれも湾曲領域Tに配置されている。さらに説明すると、図11(a)では、ピン151は直線領域Sと湾曲領域Tとの連続部分に配置されている。また、図11(b)では、ピン151が湾曲領域Tの中央部に配置されている。
なお、図11(a)に示すカム161は、ステッピングモータ169が停止する角度であるモータ停止角度である。図11(b)に示すカム161は、リンクガイド支持部材147が近点に配置される角度である近点配置角度である。
【0068】
<制御部200>
次に、制御部200について説明する。
図12は、制御部200のブロック図である。
制御部200は、図12に示すように、CPU201と、ROM202と、RAM203と、入力インタフェース204と、出力インタフェース205とを有している。ROM202には、例えば綴じ処理プログラム、記録材搬送プログラム、排出プログラム等が予め格納されている。そして、この制御部200は、画像形成装置2(図1参照)に備えられた制御装置からの信号を、入力インタフェース204を介してCPU201に取り込む。そして、CPU201が予め定められた処理プログラムを実行し、制御対象に出力インタフェース205を介して制御信号を送出し、例えば、ステッピングモータ169、サブパドル駆動モータ(図示せず)などの動作を制御する。
【0069】
次に、図4、図7及び図11を参照しながら、制御部200が行う制御について説明する。
制御部200は、サブパドル駆動モータ(図示せず)を駆動させる。図4に示すように、このサブパドル駆動モータの駆動に応じて、サブパドル支持軸141、サブパドルベルト(図示せず)、サブパドル回転軸126bを介して回転が伝達され、サブパドル126が回転する。
【0070】
また、制御部200は、ステッピングモータ169を駆動させる。図7に示すように、ステッピングモータ169の駆動に応じて、モータベルト173、プーリ168、プーリベルト171、ワンウェイクラッチ165、カム回転軸163を介して駆動が伝達され、カム161が回転する(矢印A方向)。そして、カム161が、矢印A方向に回転することで、カム161に設けられたピン151がリンクガイド149の内側で移動しながらリンクガイド149を連れ回し、リンクガイド支持部材147を揺動させる(矢印C参照)。このリンクガイド支持部材147が揺動することにより、サブパドル126をコンパイル用積載部124(図4参照)に積載された記録材に対して進退させる。
【0071】
さて、制御部200は、サブパドル126をコンパイル用積載部124(図4参照)に積載された記録材に対して最も接近させた位置で停止するよう制御する。この記録材に対して最も接近したサブパドル126は、図4のR方向に回転することで、図4のZ1方向に向かって搬送されてきた記録材を、コンパイル用積載部124の記録材積載台124a上にてZ2方向に押し込む。いわば、サブパドル126が図4のZ1方向に向かって搬送されてきた記録材を掻き戻す。
【0072】
ここで、制御部200が、サブパドル126をコンパイル用積載部124に積載された記録材に対して最も接近させた位置で停止させる制御について詳細に説明をする。
本実施の形態においては、制御部200が、ステッピングモータ169への入力パルス数を制御しながら、矢印A方向に回転するカム161がモータ停止角度となる角度(図11(a)参照)でステッピングモータ169を停止させる。なお、このモータ停止角度は、カム161を最終的に停止させたい角度よりも手前の角度である。また、このときピン151は、上述のように直線領域Sと湾曲領域Tとの境界に配置されている。
【0073】
そして、ステッピングモータ169が停止した後、カム161は慣性により回転を続けようとする(所謂オーバーシュート)。なお、このオーバーシュートは、特にカム161が高速で回転している状態において、顕著となる。
ここで、カム161が回転(矢印A参照)を続けようとするのに対して、ステッピングモータ169と接続されているワンウェイクラッチ165は回転を停止しようとする。このことにより、ワンウェイクラッチ165からみると、カム161が設けられるカム回転軸163が、ワンウェイクラッチ165を他方向(矢印Aとは反対方向)に回転させようとする状態となる。このことにより、ワンウェイクラッチ165は空回りを開始する。さらに説明をすると、ワンウェイクラッチ165がカム回転軸163の周りを空回りすることで、カム161が自由に回転できる状態となる。
【0074】
また、カム161が、一方向(矢印A方向)への回転を継続することにともない、カム161に設けられたピン151は、湾曲領域T内を移動する(図11(a)の矢印D参照)。ここで、上述のように湾曲領域T内を移動する際には、ピン151はリンクガイド149を移動させない。
【0075】
そして、カム161の外周に接触して設けられる板ばね162により、抵抗力が付与されているカム161は、抵抗力を受けながら回転を継続した後に、近点配置角度(図11(b)参照)で停止する。さらに説明をすると、カム161は、ピン151が湾曲領域Tの中央部となる位置において停止する。
ここで、カム161の停止位置が、仮に予め定めた位置(湾曲領域Tの中央部)からずれた位置となった場合であっても、ピン151が湾曲領域T内にあれば、リンクガイド支持部材147は近点に配置されている。このことから、ピン151が湾曲領域T内に停止すれば、サブパドル126はコンパイル用積載部124(図4参照)に積載された記録材に対して最も接近させた位置で停止する。したがって、カム161の停止位置がばらつく場合であっても、サブパドル126が停止する位置のばらつきは抑制される。
【0076】
さて、記録材に対するサブパドル126の位置のばらつきが抑制される(位置が安定する)と、例えば図4に示すようにサブパドル126の記録材接触部126aが記録材と接触する角度や面積が、一定となる。このことにより、サブパドル126が記録材を搬送させる搬送力のばらつきが抑制される。よって、例えば、サブパドル126が、コンパイル用積載部124のエンドガイド124bに向けて記録材を押し込むことで揃えられる記録材の端面が不揃いとなることが抑制される。
【0077】
ここで、従来、サブパドル126を記録材と接触する位置と接触しない非接触位置との間で移動させるために、ソレノイドが用いられていた。そして、ソレノイドを用いた場合、サブパドル126の停止位置がばらつくことがあった。そこで、サブパドル126を支持する支持部材を、停止位置周辺に設けられる他の部材に突き当てることによって、サブパドル126の停止位置のばらつきを抑制していた。しかしながら、この場合、部材どうしが衝突する構成であるため、衝突音(接触音)が発生する。さらに、例えば、高速で記録材を処理する場合、この衝突音は大きくなる。
【0078】
一方、本実施の形態においては、リンクガイド149の内部の空間にピン151を配置することにより、ピン151とリンクガイド149とが接触している状態が維持される。したがって、ピン151及びリンクガイド149が一旦離間し再び衝突することがなく、衝突音の発生が抑制される。
【0079】
また、本実施の形態とは異なり、ステッピングモータ169が停止するとともにカム161を急停止させる構成であると、例えば駆動機構160を構成する各部材どうしが衝突することにより音が発生し得る。特にステッピングモータ169が高速で回転している場合、この音は大きくなる。
一方で、本実施の形態においては、上述のようにワンウェイクラッチ165が駆動系から切断されることにより、カム161は急停止することが回避され、緩やかに減速する。このことにより、カム161が停止することに伴い発生する音を抑制することができる。
【0080】
また、本実施の形態におけるカム161の減速は、カム161の外周に接触する板ばね162によって調整可能である。さらに説明すると、板ばね162の調整によって、カム161による駆動力が切断されてから、カム161が停止するまでの時間及び回転角度等を調整可能である。例えば、カム161をより早く停止させたい場合には、板ばね162をより強くカム161の外周に接触させる。あるいは、カム161をより長く回転させ続けたい場合、すなわちカム161の滑走をより長く許容したい場合には、板ばね162をより弱くカム161の外周に接触させる。なお、本実施の形態のワンウェイクラッチ165及び板ばね162を、減速緩衝機構として捉えることができる。
【0081】
<他の構成例1>
次に、図13を参照しながら、他の構成例1について説明をする。ここで、図13は、他の構成例1におけるピン151周辺の構成を詳述した図である。
上述の例においては、リンクガイド149を横長の環状部材として説明した。しかしながら、リンクガイド149とピン151とが接触する状態を維持するとともに、カム回転軸163の周囲をピン151が回転してもピン151がリンクガイド149を移動させない領域を有する構成であれば、これに限定されない。
【0082】
例えば、図13に示すように、略コの字状に形成されたリンクガイド1490として構成してもよい。このリンクガイド1490の内側の面の一部は、2つの第1平面1491と、この第1平面1491に挟まれる第1曲面1495によって形成される。なお、この第1曲面1495は、図10(a)等に示される上述の第1曲面1495と同一の形状である。また、この例においては、このリンクガイド1490を支持するリンクガイド支持部材147をカム161のカム回転軸163側に押圧するスプリング1497が設けられている。
【0083】
この例においては、上述の例とは異なり、第1平面1491及び第1曲面1495と対向する部材が形成されていない。しかしながら、スプリング1497がリンクガイド支持部材147をカム161のカム回転軸163側に押圧することにより、カム161が回転した場合であっても、リンクガイド1490とピン151との接触は維持される。
【0084】
<他の構成例2>
次に、図14及び図15を参照しながら、他の構成例について説明をする。ここで、図14は、他の構成例2におけるピン151周辺の構成を詳述した図である。また、図15は、他の構成例2におけるディスクブレーキ1620周辺の構成を詳述した図である。なお、図15においては装置フレーム181を図示していない。
上述の例においては、カム161が回転する際にカム161に抵抗力を付与する板ばね162を説明した。しかしながら、カム161が回転する際にカム161に抵抗力を付与する構成であれば、これに限定されない。
【0085】
例えば、図14に示すように、カム回転軸163とともに回転する板状カムであるカム161の平面部分と接触するディスクブレーキ1620を配置してもよい。なお、図14においては、装置フレーム181の裏面側に、カム回転軸163を駆動させる機構(図示せず)が形成されている。
ここで、図15に示すように、ディスクブレーキ1620は、カム回転軸163の周囲に配置される円盤部1623を有する。この円盤部1623は、装置フレーム181(図14参照)によって固定支持される。また、ディスクブレーキ1620は、円盤部1623と装置フレーム181(図14参照)との間に設けられ、円盤部1623の平面をカム161の平面に押しつける付勢スプリング1625を有する。図示の例においては、付勢スプリング1625は、カム回転軸163の周囲に配置される。
【0086】
この円盤部1623の平面をカム161の平面との間で摩擦を生じさせることにより、カム161に抵抗力が付与される。なお、例えば、付勢スプリング1625のばね定数を変更させることにより、回転しているカム161が停止するまでの回転角度及び時間等を調整可能である。
【0087】
さて、上述の例においては、記録材を搬送する部材としてサブパドル126を用いて説明をした。しかしながら、記録材と接触する部材であって、記録材と接触する位置と記録材から待避する位置とを移動可能に支持する部材であれば、サブパドル126に限定されない。例えば、イジェクトロール128や、記録材の束を揃えるタンパ、記録材を搬送する搬送ロールであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…後処理装置、126…サブパドル、141…サブパドル支持軸、147…リンクガイド支持部材、149…リンクガイド、151…ピン、161…カム、162…板ばね、165…ワンウェイクラッチ、200…制御部、S…直線領域、T…湾曲領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を搬送するとともに、記録材を搬送する搬送位置と当該搬送位置よりも記録材の搬送経路から離間した離間位置との間を移動する記録材搬送部材と、
駆動を受け回転し前記記録材搬送部材を移動させる回転部材と、
前記回転部材の回転中心から偏心した位置で当該回転部材に設けられ当該回転部材とともに回転する偏心部材と、
前記記録材搬送部材を支持し、かつ前記偏心部材と接触する領域である接触領域を有し、当該接触領域が回転する当該偏心部材と接触することにより当該記録材搬送部材を前記搬送位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、当該接触領域の一部であり当該偏心部材が接触している状態で当該偏心部材が回転しても当該記録材搬送部材が移動しない特定領域を有する移動部材と
を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記記録材搬送部材は、前記移動部材の前記特定領域が前記偏心部材と接触している際に前記搬送位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記移動部材の前記特定領域は、前記偏心部材が当該特定領域に接触しながら移動する方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の後処理装置。
【請求項4】
前記回転部材を回転させる駆動力を供給する駆動源と、
前記駆動源から駆動力を受ける場合には前記回転部材を一方向に回転させるとともに、当該駆動源から駆動力を受けない場合には当該回転部材の前記一方向への回転を妨げない駆動伝達機構とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の後処理装置。
【請求項5】
前記回転部材と接触して設けられ当該回転部材を減速させる減速部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の後処理装置。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成機構と、
前記画像形成機構により画像が形成された記録材を搬送するとともに、記録材を搬送する搬送位置と当該搬送位置よりも記録材の搬送経路から離間した離間位置との間を移動する記録材搬送部材と、
駆動を受け回転し前記記録材搬送部材を移動させる回転部材と、
前記回転部材の回転中心から偏心した位置で当該回転部材に設けられ当該回転部材とともに回転する偏心部材と、
前記記録材搬送部材を支持し、かつ前記偏心部材と接触する領域である接触領域を有し、当該接触領域が回転する当該偏心部材と接触することにより当該記録材搬送部材を前記搬送位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、当該接触領域の一部であり当該偏心部材が接触している状態で当該偏心部材が回転しても当該記録材搬送部材が移動しない特定領域を有する移動部材と
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−95513(P2013−95513A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236431(P2011−236431)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】