説明

後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒により製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体の架橋物とその製造方法

【課題】ハンドリング性、およびポリオレフィンへの耐擦傷性付与効果により優れたシリコーン系マクロモノマーとオレフィン系モノマーグラフト共重合体を提供すること。
【解決手段】本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体において、乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーラテックス中でのオレフィン系モノマーの後周期遷移金属錯体系触媒によるグラフト共重合後に、さらに架橋反応を行うことを行うことによって、架橋を行わない場合に比べて、ハンドリング性が向上すること、及びその組成物の耐擦傷性の改良効果が大きくなることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒を用いて得られるポリオレフィン系グラフト共重合体とそれを含有する組成物、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの配位重合触媒としては、チーグラーナッタ触媒、近年はメタロセン触媒が有名であるが、このような前周期遷移金属系を用いる場合、特に極性化合物に対する耐性が低いために、そのような化合物が存在する系では活性を失ってしまう。ここで、耐性とは、極性化合物が錯体や触媒活性種に配位しにくい、あるいは、配位しても活性を失いにくい、あるいは、極性化合物と反応をおこしにくい、あるいは、分解しにくいという意味である。
【0003】
それに対し、各種総説中(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)に例示されるように、極性モノマー(例えば(メタ)アクリレート等の極性ビニル系モノマー)や極性溶媒(例えばテトラヒドロフラン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、水)といった、極性化合物に対する耐性が高いものとして後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒が注目されている。また、乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーラテックス中でオレフィン系モノマーの重合を行うことを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体とその組成物並びに製造方法により耐油性や摺動性が改善されている(特許文献1)。
【0004】
本願は、乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーラテックス中でのオレフィン系モノマーの後周期遷移金属錯体系触媒によるグラフト共重合後に、さらに架橋反応を行うことを特徴とする該ポリオレフィン系グラフト共重合体は、架橋反応を行わない場合に比べて、ハンドリング性が向上すること、及びその組成物の耐擦傷性の改良効果が大きくなることを見出した。
【非特許文献1】Chem.Rev.2000,100,1169
【非特許文献2】Chem.Rev.2003,103,283
【非特許文献3】Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,544
【特許文献1】国際公開WO04/096877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、シリコーン系マクロモノマーのラテックス中での後周期遷移金属触媒によるオレフィン系モノマーのグラフト共重合後に、さらに架橋反応を行うことにより、ハンドリング性と耐擦傷性改善効果に優れたポリオレフィン系グラフト共重合体を提供することである。
【0006】
さらには該共重合体を含有する組成物、並びにそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するにいたった。即ち本発明は、以下の構成を有するものである。
【0008】
1). 後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0009】
2). 後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(1)、(2)、または(3):
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Mはニッケル、パラジウム又は白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砥素またはアンチモンである。 R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩またげ炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。)であることを特徴とする1)記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0014】
3). 一般式(1)における後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(4):
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1、Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のふっ素化炭化水素基である。)
で表されることを特徴とする2)に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0017】
4). 一般式(1)〜(4)で表されるオレフィン重合用触媒のEが酸素、Xがリンであることを特徴とする2)または3)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0018】
5). 一般式(2)、(3)で表されるオレフィン重合用触媒のYがフッ素であることを特徴とする2)に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0019】
6). 一般式(1)〜(4)で表される後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒のMがニッケルであることを特徴とする2)〜5)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0020】
7). オレフィン系モノマーが炭素数10以下のα‐オレフィンであることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0021】
8). 乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーが、オルガノシロキサンと、分子内に該オルガノシロキサンと共重合可能な官能基、および配位またはラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有する化合物とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることを特徴とする、1)〜7)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0022】
9). オレフィン系モノマーおよび触媒を溶解する有機溶媒をシリコーン系マクロモノマーに含浸してから、オレフィン系モノマーの配位重合を行うことを特徴とする1)〜8)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【0023】
10). 後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とする1)〜9)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する組成物。
【0024】
11). ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする10)に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する組成物。
【0025】
12). 後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とする1)〜9)のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体の製造方法。
【0026】
13). 10)または11)に記載の組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体において、シリコーン系マクロモノマーのラテックス中での後周期遷移金属触媒によるオレフィン系モノマーのグラフト共重合後に、さらに架橋反応を行うことにより、ハンドリング性と耐擦傷性改良効果により優れたポリオレフィン系グラフト共重合体を製造することが出来る。
また、得られるグラフト共重合体を添加した組成物は、表面潤滑性、耐磨耗性、離型性、ブロッキング性等にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーラテックス中でのオレフィン系モノマーの後周期遷移金属錯体系触媒によるグラフト共重合後に、さらに架橋反応を行うことを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
【0029】
本発明に使用される配位重合触媒としては、水および極性化合物の共存下でオレフィン重合活性を有する後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒であれば特に制限はなく、好ましい例として(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)に記載されているものを挙げる事ができる。
【0030】
但し、これに限定されるものではない。合成が簡便であり高活性が得られるという点から、一般式(1)〜(3)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒が好ましい。
【0031】
【化5】

【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩または炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。)
一般式(1)、(2)または(3)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒は、SHOP(Shell Higher Olefin Process)触媒として知られている。
【0035】
一般式(1)の中でも下記一般式(4):
【0036】
【化8】

【0037】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1,Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。)で表されるオレフィン系重合用触媒が好ましい。特に、Rf1がフッ素化炭化水素基である場合、乳化系でも高いエチレン重合活性を示すので好ましい。Rf2を電子吸引性のフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基にすることでより高活性およびまたはより高分子量のポリオレフィンを得ることができる。
【0038】
一般式(1)は、以下の反応により調製するのが好ましい。
【0039】
【化9】

【0040】
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩または炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。MLはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である)。
【0041】
これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
【0042】
f1、Rは各々独立して炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基が好ましい。具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。特に、Rf1はトリフルオロメチル基が好ましく、Rf2はペンタフルオロフェニル基が好ましい。
【0043】
また、R、R、Rは各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。
【0044】
一般式(2)あるいは一般式(3)は、以下の化合物によりその場で調製される配位子を用いてその場の反応で調製するのが好ましい。
【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。MLはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である。)
これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
【0048】
ゼロ価のニッケル化合物としては、例えば、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロオクタテトラエン)ニッケル、ビス(1、3、7-オクタトリエン)ニッケル、ビス(シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(アリル)ニッケル、ビス(メタリル)ニッケル、トリエチレンニッケル、ビス(ブタジエン)ニッケル、ビス(イソプレン)ニッケルが好ましく、ビス(シクロオクタジエン)ニッケルが特に好ましい。
【0049】
これらビス(シクロオクタジエン)ニッケルは公知の方法に従って合成することもできるし、固体を取り出すことなく溶液のまま用いてもよい(例えば、実験化学講座第4版、371頁に準じて2価のニッケル化合物とシクロオクタジエン等とトリアルキルアルミニウムとから合成できる)。
【0050】
また、Yは塩素またはフッ素、特にフッ素であることが好ましい。
【0051】
また、R、R、Rは各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。
【0052】
反応の促進のために、ホスフィン、ホスフィン酸化物、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、ニトリル、アミン、ピリジン、オレフィン等を共存させるのが好ましい。特にオレフィンを共存させるのが好ましい。
【0053】
反応温度は0〜100℃、10〜70℃が好ましい。反応時間に特に制限はないが、1分〜24時間、さらには2分〜4時間が好ましい。反応は不活性雰囲気下で行うのが好ましく、アルゴン、窒素等が挙げられる。場合により微量の酸素、水分が存在していてもよい。
【0054】
反応溶液中のMの濃度は、1〜20000μmol/L、さらには10〜10000μmol/Lの範囲が好ましい。反応において、ML/配位子のモル比は、反応収率を高めるため少なくともMLを等量以上使用するのがよく、4/1〜1/1が好ましく、3/1〜2/1がより好ましい。
【0055】
本発明のオレフィン系重合用触媒として一般式(1)、(2)、(3)の具体例としては、ニッケルが入手性の点から優れており、特に下記一般式で示される化合物を好適に例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
【化12】

【0057】
【化13】

【0058】
【化14】

【0059】
(式中、Phはフェニル基、R’は炭素数1〜6の炭化水素基、nは1〜3を示す)。
【0060】
本発明に用いられる、オレフィン系モノマーは、配位重合可能な炭素−炭素二重結合を有する化合物である。オレフィン系モノマーの好ましい例としては炭素数2〜20のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0061】
この中でも炭素数10以下のα−オレフィンが重合活性の高さから好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
これらのオレフィン系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上使用してもよい。
【0062】
また、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジメタノオクタヒドロナフタリン、ジシクロペンタジエン等のジエンを少量併用してもよい。ジエンの使用量はオレフィン系モノマー100重量部に対して好ましくは0〜20重量部である。
【0063】
オレフィン系モノマーの使用量としては、制限はないが、分子量の大きい重合体を収率良く得られるという点から、オレフィン系モノマー/触媒活性種がモル比で10〜10、さらには100〜10、とくには1000〜10とするのが好ましい。
【0064】
本発明で用いられるシリコーン系マクロモノマーは、オレフィン系モノマーとグラフト共重合しうる炭素−炭素二重結合を1分子内に少なくとも1個以上持つことが好ましい。この炭素−炭素二重結合は配位重合しやすいものがよいが、特にアリル末端(α−オレフィン構造)、環状オレフィン末端、スチリル末端、(メタ)アクリル末端のものが好ましく、特に、(メタ)アクリル末端およびアリル末端のものが、配位重合しやすく、すなわち、オレフィンとグラフト共重合しやすいという点で好ましい。さらにラジカル架橋の点からは(メタ)アクリル末端のものが好ましい。
【0065】
本発明で用いられるシリコーン系マクロモノマーは、オルガノシロキサンを主成分とするマクロモノマーである。オルガノシロキサンを主成分とするとは、構成成分中最も多い成分のことを指すが、50重量%以上であることが好ましい。オルガノシロキサンとしては、公知のものが多数存在するが、制限はなく、必要な機能に応じて、オルガノシロキサンの1種あるいは2種以上を選択すればよい。さらに、本発明のシリコーン系マクロモノマーは、他の単量体を含んでいてもよい。主鎖骨格は直鎖状でも環状でも分岐状でも良く、架橋により三次元的な網目構造を取っていても良い。本発明のシリコーン系マクロモノマーは微粒子であってもよい。複合粒子であってもよく、コアシェル構造を取っていてもよい。
【0066】
本発明で用いられるシリコーン系マクロモノマーは、オルガノシロキサン(以下、オルガノシロキサン(A−1)ともいう)と、分子内に該オルガノシロキサン(A−1)と反応可能な官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、化合物(A−2)ともいう)とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることが好ましく、必要に応じて該オルガノシロキサン(A−1)および/または化合物(A−2)と反応可能な官能基を有する化合物(以下、化合物(A−3)ともいう)を含有していても良い。
【0067】
各成分の使用量には特に制限は無く任意の量で用いて良いが、好ましい使用量は、シリコーン系ラテックスの固形分中、オルガノシロキサン(A−1)成分100重量部に対して、化合物(A−2)は好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。少なすぎるとオレフィン系モノマーとのグラフトが不十分になり、多すぎるとポリオレフィン系グラフト共重合体の物性が低下しうる。化合物(A−3)を使用する場合は、オルガノシロキサン(A−1)成分100重量部に対して、好ましくは0〜99重量部、さらに好ましくは0〜40重量部である。多すぎると得られるポリオレフィン系グラフト重合体の物性が低下しうる。
【0068】
前記オルガノシロキサン(A−1)は、シリコーン系マクロモノマーの主骨格を構成するための成分である。オルガノシロキサン(A−1)は、任意の分子量のものを使用しうるが、得られるシリコーン系ラッテクスの物性が設計しやすいという点から、好ましくは重量平均分子量1000以下、特に好ましくは500以下である。オルガノシロキサン(A−1)としては、直鎖状、環状または分岐状のものを使用することが可能である。乳化重合系の適用可能性および経済性の点から、環状シロキサンが好ましい。
【0069】
かかる環状シロキサンの具体例としては、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,2,3,4−テトラハイドロ−1,2,3,4−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどがあげられる。
【0070】
また、2官能性のアルコキシシランもかかるオルガノシロキサン(A−1)として用いることができ、その具体例としては、たとえばジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどがあげられる。さらには、環状シロキサンと2官能性のアルコキシシランとを併用することもできる。これらオルガノシロキサン(A−1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
前記化合物(A−2)は、それ自身が有する官能基により前記オルガノシロキサン(A−1)と反応し、その結果、得られるシリコーン系ラテックスの側鎖または末端に炭素−炭素二重結合を導入させることができる。この配位またはラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合は、該シリコーン系マクロモノマーとオレフィン系モノマーとのグラフト共重合を可能にするための成分であるとともに、グラフト重合に利用されなかった成分はその後の架橋反応の架橋点となる。
【0072】
この炭素−炭素二重結合は、ビニル末端、アリル末端(α−オレフィン構造)、環状オレフィン末端、スチリル末端、(メタ)アクリル末端の炭素−炭素二重結合が好ましく、特に(メタ)アクリル末端およびアリル末端のものが、配位重合しやすく、すなわち、オレフィンとグラフト共重合しやすいという点で好ましい。さらに、ラジカル架橋の点からは(メタ)アクリル末端のものが好ましい。化合物(A−1)と反応するための基としては、珪素原子に結合した加水分解性アルコキシ基またはシラノール基、あるいは化合物(A−1)と開環共重合しうる環状シロキサン構造を持つ基を用いることが好ましい。また、珪素1原子に加水分解性アルコキシ基またはシラノール基が2つ結合した化合物が好ましい。
【0073】
化合物(A−2)の具体例としては、たとえば3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン化合物、および1,3,5,7−テトラキス((メタ)アクリロキシプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロキシプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンなどのオルガノシロキサンがあげられ、中でも3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが反応性が良好であるという点で特に好ましい。これら化合物(A−2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前期化合物(A−3)は、前記オルガノシロキサン(A−1)および/または化合物(A−2)と反応することでシリコーン系マクロモノマーの物性を調整するための成分であり、シリコーン系ラテックスへの炭素−炭素二重結合の導入を目的としていない点で、化合物(A−2)とは異なる成分である。シリコーン系ラテックス中に架橋構造を導入してTgや弾性率を調整しやすいということから、珪素原子に結合した加水分解性基を分子中に少なくとも3個有する多官能シラン化合物またはその部分加水分解縮合物が好ましい。
【0075】
化合物(A−3)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリ(メトキシエトキシ)シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、などのアルコキシシラン、およびその部分加水分解縮合物、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシランなどのアセトキシシラン、およびその部分加水分解縮合物があげられる。
【0076】
また、化合物(A−3)としては、オルガノシロキサン(A−1)および/または化合物(A−2)と反応しうる官能基を有する非シリコーン系マクロモノマーを用いることもできる。そのようにしてシリコーンとアクリルとの複合粒子を得ることも可能である。これら化合物(A−3)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
本発明に用いられるシリコーン系マクロモノマーのラテックスは、シリコーン系マクロモノマーを乳化させて得てもよいが、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合により製造することができる。たとえば前記オルガノシロキサン(A−1)、化合物(A−2)ならびに必要に応じて用いられる化合物(A−3)を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHをアルキルベンゼンスルホン酸や硫酸などで2〜4に調整し、加熱して重合させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分を加えて中和するなどの方法で製造することができる。
【0078】
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを小さくしてもよく、また原料の一部を仕込んでpHを小さくしたエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。逐次追加するばあい、そのままの状態または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度の面から、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。また、事前に用意したシード粒子((メタ)アクリルポリマー等)のラテックス中に原料を一括、または逐次追加してもよい。反応温度は50〜95℃が好ましい。50℃未満では重合速度が遅くなり、95℃を超えると重合安定性が乏しくなる。反応時間は好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは5〜50時間である。反応時間が短すぎると重合が不充分であり、長すぎると生産性が低くなる。
【0079】
酸性条件下で重合を行う場合、通常、ポリオルガノシロキサンの骨格を形成しているSi−O−Si結合は切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量のポリオルガノシロキサンが生成しやすくなる。したがって、高分子量のポリオルガノシロキサンを得るためには、加熱によりオルガノシロキサン(A−1)を重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中のオルガノシロキサンの低揮発分への転化率を意味する。
【0080】
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、モノマーを乳化分散させるために必要な量であれば良く、通常前記オルガノシロキサン(A−1)および、化合物(A−2)、化合物(A−3)を用いた場合はそれらの合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。使用する水の量が少なすぎると、疎水性であるモノマーの割合が相対的に多くなるため、エマルジョンがW/OからO/Wへ転相せず、水が連続層となりにくい。使用する水の量が多すぎると安定性に乏しくなる上、釜効率が低くなる。
【0081】
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使うことができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0082】
また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とするシリコーン系マクロモノマーの粒子径などに応じて適宜調整すればよい。充分な乳化能が得られ、かつ得られるシリコーン系マクロモノマーとそれから得られるポリオレフィン系グラフト共重合体の組成物の物性に悪影響を与えないという点から、前記エマルジョン中に水100重量部あたり0.05〜20重量部用いるのが好ましく、特には0.1〜10重量部用いるのが好ましい。
【0083】
シリコーン系マクロモノマーの平均粒子径は、前記乳化剤の使用量の増減などの通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。熱可塑性樹脂と配合したときに良好な分散性を発現する点から、好ましくは20〜1000nm、さらに好ましくは30〜500nmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径の測定方法は特に限定はないが、例えば動的光散乱法によって測定することができる。
【0084】
本発明に用いることができるシリコーン系マクロモノマーは、上述のように単一のシリコーン系マクロモノマーのみからなるものであっても良いし、1種あるいは2種以上のマクロモノマーからなる複合粒子、さらにはラテックスブレンドであっても良い。
【0085】
本発明に用いることができるシリコーン系マクロモノマーラテックスは、そのままオレフィン系モノマーとの反応に用いても良いし、必要に応じて希釈、濃縮、熱処理、熟成処理などの操作を加えた後用いても良いし、乳化剤、凍結防止剤、安定剤、pH調整剤などの添加物を加えて成分を調整した後用いても良い。該シリコーン系マクロモノマーは、固形分含量が1〜50重量%のラテックスとして用いることが好ましく、さらに好ましくは固形分含量が5〜30重量%のラテックスとして用いることが好ましい。固形分含量が多すぎるとラテックス粒子の凝集が起って反応が不均一になりやすく、固形分含量が少なすぎると反応液全体の量が増えるので釜効率が悪くなる。
【0086】
本発明のグラフト共重合体の重合は、乳化あるいはそれに近い系で行う。例えば、シリコーン系マクロモノマーのラテックスに配位重合触媒およびオレフィン系モノマーを均一に分散させて反応させることが出来る。用いるオレフィン系モノマーが反応温度において気体である場合は、低温にして液体もしくは固体として仕込んだ後に系を反応温度まで加熱しても良いし、圧力をかけて液体あるいは気体として仕込んでも良い。シリコーン系マクロモノマー、オレフィン系モノマーおよび触媒は、反応容器内に一括して全量を仕込んでも一部を仕込んだ後に残りを連続的にまたは間欠的に追加しても良い。また、そのままの状態または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで仕込んでも良い。
【0087】
シリコーン系マクロモノマーとオレフィン系モノマーの使用割合は任意に設定しうるが、用いるシリコーン系マクロモノマー100重量部に対してオレフィン系モノマーを好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは2〜33重量部用いることが好ましい。オレフィン系モノマーが沸点100℃以下の揮発性液体もしくは気体である場合は、オレフィン系モノマーを大過剰に用い、上記の好ましい量が重合した時点で反応を停止して未反応モノマーを除去することも可能である。
【0088】
重合の際、オレフィン系マクロモノマーおよび触媒を溶解する有機溶媒をシリコーン系マクロモノマーに攪拌、またはホモジナイザーによる強制乳化の操作により、含浸しておくと、グラフト共重合を促進するため好ましい。その溶媒としては、脂肪族または芳香族溶媒が好ましく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられる。
【0089】
また、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の極性溶媒であってもよい。ただし、共役ジエン化合物、ビニルエーテル化合物、ニトリル化合物、アミン化合物、アミド化合物は大量に存在すると反応を阻害しうるため好ましくない。水溶性が低く、かつ使用するシリコーン系マクロモノマーに含浸しやすく、かつ触媒が溶解しやすい溶媒であることが特に好ましく、このような特に好ましい例としては塩化メチレン、クロロホルムおよびトルエンが挙げられる。
【0090】
これらの溶媒は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。溶媒の合計使用量は、反応液全体の体積に対して好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。使用量が多すぎるとラテックス粒子の凝集が起り、反応が不均一になりやすい。
【0091】
本発明のグラフト共重合体の重合は、−30〜200℃で行われることが好ましく、さらに好ましくは0〜100℃で行われることが好ましい。重合時間は通常、10分間〜10時間、好ましくは1時間〜6時間、反応圧力は通常、常圧〜10MPa、好ましくは2〜6MPaである。温度および圧力は、反応開始から終了まで常時一定に保っても良いし、反応途中で連続的もしくは段階的に変化させても良い。用いるオレフィン系モノマーがエチレン、プロピレンなどの気体である場合は、重合反応によるモノマー消費に伴って徐々に圧力が低下しうるが、そのまま圧力を変化させて反応を行っても良く、モノマーを供給したり加熱するなどにより常時一定の圧力を保って反応を行っても良い。
【0092】
なお、該グラフト共重合体は、全重量に対して、フリーのポリオレフィンを含有する場合があるが、フリーのポリオレフィンを実質的に含まないのが好ましく、各種の重合条件の調整により達成しうる。例えば、前記シリコーン系マクロモノマー中における化合物(A−2)の使用量を増やして該マクロモノマー中の配位重合可能な炭素−炭素二重結合の含量を増やしたり、マクロモノマー粒子をコアシェル構造にして表面部分に配位重合可能な炭素−炭素二重結合を偏在させたり、オレフィン系モノマーの重合時にマクロモノマーに前記のような適当な溶媒を含浸させることにより、フリーのポリオレフィンを低減しうる。
【0093】
本発明のグラフト共重合により得られるグラフト共重合体は通常ラテックスとして得られる。ラテックスの粒径は使用した原料マクロモノマーの粒径、含浸させた溶媒の量、および反応させたオレフィン系モノマーの量に応じて、通常30nm〜1000nmのものが得られる。反応条件によってはラテックス粒子の一部が凝集して析出したり、フリーのポリオレフィンが副生成して析出する場合があるが、このような析出物がなるべく少ない、好ましくは析出物の無い条件で反応を行うことが好ましい。
【0094】
本発明の架橋反応は、グラフト共重合後のラテックスに過硫酸カリウム等のラジカル開始剤を加えて加熱し、系中に残っている炭素―炭素2重結合を架橋することができる。反応温度は60℃〜100℃、好ましくは80℃から100℃で行い、反応時間は10分〜10時間、好ましくは1時間〜5時間でおこなうことができる。用いる開始剤は水溶性のものでも油溶性のものでもよく、ラテックス中の固形分100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましく0.05〜1重量部を用いることができる。この操作により、グラフト共重合体のハンドリング性が向上し、また、各種熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に配合した時の耐擦傷性の改良効果を大きくすることが可能となる。
【0095】
本願発明のグラフト共重合体はシリコーン系マクロモノマー中の2重結合の量や架橋反応時の条件などを調整することでゲル分率を調整することができる。これにより得られた共重合体のハンドリング性が向上し、グラフト共重合体、あるいは当該共重合体に各種熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を配合して成型した成型体の表面の耐擦傷性が良好になる。グラフト共重合体の好ましいゲル分率は架橋させた後6〜80%、さらには15〜65%、特には25〜55%であることが好ましい。
【0096】
グラフト共重合体に用いるシリコーン系マクロモノマーとしてあらかじめ架橋されたマクロモノマーを用いても最終的に得られるグラフト共重合体のゲル分率を上記範囲に調整することも可能であるが、オレフィン特にエチレンとのグラフト共重合や成型体の耐擦傷性の面で本願発明に係る共重合体を用いることが有効である。
【0097】
なお、前記のごとくえられるグラフト共重合体粒子を含むラテックスは、たとえばラテックスを噴霧乾燥したり、あるいは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ギ酸カルシウムなどの電解質により凝集させたのち加熱・脱水・乾燥などの処理を経て、グラフト共重合体粒子からなる粉末、樹脂塊あるいはゴム塊として回収することができる。本発明のグラフト共重合体粒子の乾燥物を押出機またはバンバリーミキサーなどを用いてペレット状に加工したり、凝集・脱水を経て得られた含水状態の樹脂を圧搾脱水機を経由させることによりペレット状に加工し回収することもできる。
【0098】
本発明のグラフト共重合体は、各種の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に配合することにより樹脂組成物を製造するための原料として用いることができる。
【0099】
前記熱可塑性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、プロピレンエチレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンオクテンゴム、ポリメチルペンテン、エチレン環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体などのビニルポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン複合体、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンなどのエンジニアリングプラスチックが好ましく例示される。
【0100】
前記熱硬化性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく例示される。これら熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちポリオレフィンが本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体の分散性が良好であるという点で好ましく、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンなどがあげられ好ましい。
【0101】
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と本発明のグラフト系共重合体あるいは共重合体組成物との配合割合は、成形品の物性がバランスよく得られるように適宜決定すればよいが、充分な物性を得るためには本発明のグラフト系共重合体あるいは共重合体組成物の量が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部、更には0.5〜10重量部、特には0.5〜5重量部が好ましい。
【0102】
本発明のグラフト共重合体およびその組成物は、特にポリオレフィン用の耐擦傷性付与剤、摺動性付与剤、低温脆性改良剤、可塑剤、難燃助剤、耐衝撃性改良剤、耐薬品性改良剤、ガス透過性付与剤、相溶化剤などに用いることが出来る。
【0103】
さらに、本発明のグラフト共重合体とその組成物は、プラスチック、ゴム工業において知られている通常の添加剤、たとえば可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃助剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤などの配合剤を含有することができる。
【0104】
本発明の樹脂組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の配合に用いられる方法を用いることができ、たとえば、熱可塑性樹脂と本発明のグラフト共重合体粒子および所望により添加剤成分とを、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また、例えば、熱硬化性樹脂と本発明のポリオレフィン系組成物および所望により添加剤成分とを混合することで製造することができる。また、各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
【0105】
また、その樹脂が乳化重合法で製造されるばあいには、該樹脂とグラフト共重合体粒子とを、いずれもエマルジョンの状態でブレンドしたのち、共凝集することで本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることも可能である。
【0106】
かくして得られる樹脂組成物の成形法としては、通常のこれら樹脂組成物の成形に用いられる方法をあげることができる。熱可塑性樹脂組成物の場合は、たとえば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法があげられる。熱硬化性樹脂組成物の場合は、たとえばキャスト法、プレス法、注型法、コーティング法などの成形方法があげられる。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0108】
[耐擦傷性試験]
後述の手順でサンプル板を作成した。HEIDON TYPE 14DR(新東科学社製)に金巾3号で覆った直径2.5cm、高さ1.0cmの半円柱のアルミを取り付け、そこにサンプル板をセットし、一定荷重(1kg)をかけてサンプルシートを所定回数(200回)摩擦して操作後の傷付き具合を目視で観察した。なお、試験毎に金巾3号の交換を行った。
【0109】
[平均粒子径]
粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製)にて測定した。なお、本発明の平均粒子径とは体積平均値のことを言う。
【0110】
[ゲル分率]
架橋後のグラフト共重合体のゲル分率について以下の手法で測定した。すなわち、円筒濾紙(ADVANTEC)内に架橋後の生成物およそ1gを仕込み、これを100mLナスフラスコに入れ、トルエン(和光純薬)80mL加え、reflux下で3時間加熱攪拌した。操作後の、((円筒濾紙内に残った質量)/(円筒濾紙内に仕込んだ質量))×100、をゲル分率とした。
【0111】
(合成例1)シリコーン系マクロモノマー合成
セパラブルフラスコに蒸留水(和光純薬)3890gを仕込んだ後、系を窒素雰囲気下にしてから、80℃まで昇温させた。これとは別に、蒸留水1000g、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸(花王)70g、オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング)1000g、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(東レ・ダウコーニング)30gからなる混合物を超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機UH−600)で5分間強制乳化した。得られた乳化液を上述のセパラブルフラスコに3時間かけて連続滴下した。さらに6時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーン系マクロモノマー(平均粒子径300nm)のラテックス(固形分量14.5%)を得た。
【0112】
(合成例2)配位子の合成
窒素雰囲気下、Helvetica Chimica Acta.1928頁,76巻,1993年を参考にして合成したペンタフルオロベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド2.6g、乾燥THF(和光純薬)11mlを仕込み、氷浴を用いて0℃に冷却した。モレキュラーシーブで乾燥したトリエチルアミン(和光純薬)1.5mlを加え、15分攪拌した。さらにトリフルオロ酢酸無水物(東京化成)0.78mlを滴下し、0℃で1時間、室温(15℃)で1時間反応させた。
【0113】
濾液を濃縮し、蒸留水15mlで洗浄、乾燥した。得られた生成物を60℃のメタノールに溶解させ0℃まで徐々に冷却し、再結晶を行った。乾燥後の収量は、1.5gであった。1H−NMR(CDCl3)により、ベンジルプロトンが消失していることから、下記化学式で示される化合物が生成していることを確認した。
【0114】
【化15】

【0115】
(合成例3)シリコーン系マクロモノマーとエチレンのグラフト共重合
(合成例1)のシリコーン系マクロモノマーのラテックス440gを1L4口フラスコに入れ、トルエン80gを加えたのち、この溶液を超音波ホモジナイザーにより5分間強制乳化させた。得られた溶液を耐圧オートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ)に導入した後、溶液の脱気とオートクレーブ内のアルゴン置換を行った。その後、溶液を攪拌しながら50度まで昇温した。
【0116】
一方、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(cod)、関東化学)27.5mgをアルゴン雰囲気下でシュレンク管に秤量した。また、別のシュレンク管に、(合成例2)の配位子を13.5mg秤量してアルゴン雰囲気下にした。Ni(cod)、及び配位子のシュレンク管に1.0mLずつ脱水トルエン(和光純薬)を加えて、これらを溶解させた後、Ni(cod)のトルエン溶液を配位子のトルエン溶液に加えた。続いて、この溶液に1−ヘキセン(蒸留済み、和光純薬)0.4mLを加えた。
【0117】
1−ヘキセンを加えると、触媒溶液は黄色からオレンジ色へと変化した。色調の変化を確認した後、この溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬)2g、蒸留水20mL、ヘキサデカン200mg(和光純薬)の入った100mLシュレンク管に入れた。この混合液を超音波ホモジナイザーにより1分間強制乳化させた。この触媒乳化溶液を、上述のシリコーンラテックス溶液を仕込んでおいたオートクレーブ内に加えた後、ただちに撹拌を開始し、エチレンガス(住友精化)でオートクレーブ内を3.2MPaとした。以後、内圧が3.0MPaまで下がる度に3.2MPaまでエチレンガスを追加する操作を繰り返し、温度は50度を維持するようにした。
【0118】
2時間反応させた後、未反応のエチレンガスを除去し、白いラテックス溶液を得た。得られたラテックスの固形分量が16.2%であったことから、この反応でのポリエチレンの生成量は22.8gであり、Turn Over Number(以下、TONと略す)は32,600であった。また、仕込んだシリコーンの量から、生成物内のシリコーンとポリエチレンの比は、シリコーン:ポリエチレン=2.8:1.0であることがわかる。
【0119】
(合成例1)のシリコーン系マクロモノマーのラテックスに直接、塩化カルシウム(和光純薬)水溶液を加え、塩析させて得られるものは粘性の高い油状であるのに対し、合成例3で得られたグラフト共重合体のラテックスを同様に塩析させて得られるものはすこし粘り気のある白色固体として得られたことから、ポリエチレンをグラフトさせることによるハンドリング性の向上がみられた。
【0120】
得られたグラフト共重合体中に含まれるシリコーンについて、ポリエチレンがグラフトしていないシリコーンを、トルエンへの溶解度の差を利用して分離した。すなわち、エチレン重合後の生成物をおよそ1g円筒濾紙内に仕込み、これを100mLナス型フラスコに入れ、トルエン80mL、室温で3時間攪拌した。ポリエチレンは室温ではトルエンにほとんど溶解しないのに対し、シリコーンはトルエンに可溶であるため円筒濾紙内から溶出する。IR測定より、円筒濾紙から溶出したものからはシリコーンのみのピークを、円筒濾紙内に残ったものからはシリコーンとポリエチレン両方のピークを確認した。この操作より、生成したグラフト共重合体中に含まれるシリコーンの内、ポリエチレンがグラフトした割合は66.5%と見積もられた。
【0121】
(実施例1)グラフト共重合体の架橋
(合成例3)で得られたグラフト共重合体のラテックス370g(SC:16.2%)と蒸留水230gを1L4口フラスコに入れ、攪拌しながら窒素雰囲気下にした後、系中に残存している炭素―炭素2重結合を架橋させるため過硫酸カリウム300mgを加え、80度で加熱攪拌した。2時間攪拌後、95度まで過熱してさらに2時間攪拌を行った。固形分の析出はほとんどみられなかった。
【0122】
架橋反応終了後、ラテックスに塩化カルシウム水溶液を加えて塩析させたところ、さらさらした触感で少し弾性のある白色固体が得られた。架橋前のグラフト共重合体は指に付く性状であったことから、架橋させることによってさらにハンドリング性が向上したとみなせる。また、架橋反応前は7.9%であったグラフト共重合体のゲル分率は、架橋後のグラフト共重合体では61.9%であった。
【0123】
ランダムPP(サンアロマー、PC540R)100重量部と得られた架橋体1.0重量部を200℃に設定した2軸押出機を用いて溶融混練することにより樹脂組成物を得、さらにその樹脂組成物から200℃に設定した射出成形機を用いて、サンプル板(120mm角、厚さ2mm)を作成し、耐擦傷性試験を行い評価した。
【0124】
(比較例1)ランダムPPサンプル板(ニート)作成
ランダムPP(サンアロマー、PC540R)のみから、200℃に設定した射出成形機を用いて、サンプル板(120mm角、厚さ2mm)を作成し、耐擦傷性試験を行い評価した。
【0125】
(比較例2)(合成例1)のシリコーン系マクロモノマーのランダムPPへの配合
(合成例1)のシリコーン系マクロモノマーのラテックスに塩化カルシウム水溶液を加えて塩析させ、濾過・洗浄を行って、油状のシリコーン系マクロモノマーを得た。ランダムPP(サンアロマー、PC540R)5重量部と得られたシリコーン系マクロモノマー1重量部をラボプラストミル(東洋精機製、LABOPLASTOMILL)を用いて200℃で溶融混練することにより、シリコーン系マクロモノマーのマスターバッチを得た。さらに、得られたマスターバッチとランダムPP(サンアロマー、PC540R)95重量部を200℃に設定した2軸押出機を用いて溶融混練することにより樹脂組成物を得、さらにその樹脂組成物から200℃に設定した射出成形機を用いて、サンプル板(120mm角、厚さ2mm)を作成し、耐擦傷性試験を行い評価した。
【0126】
(比較例3)(合成例3)の未架橋共重合体のランダムPPへの配合
ランダムPP(サンアロマー、PC540R)100重量部と(合成例3)の未架橋のグラフト共重合体1.0重量部を200℃に設定した2軸押出機を用いて溶融混練することにより樹脂組成物を得、さらにその樹脂組成物から200℃に設定した射出成形機を用いて、サンプル板(120mm角、厚さ2mm)を作成し、耐擦傷性試験を行い評価した。
【0127】
(耐擦傷性試験結果)
下記表1に、各サンプル平板についての上記耐擦傷性試験の結果を示す。
【0128】
【表1】

【0129】
なお、表1の評価は次の基準により判断した。
【0130】
・ハンドリング性
○:固体、弾力性はあるがさらさらして手には付着しない。
△:固体、弾性はなく少し湿ったような感じがして、手に付着しやすい。
×:油状、粘調な油状体である。
【0131】
・傷の程度(ランダムPPに配合後、耐擦傷性試験)
1:傷が明確に観察でき、試験面がほぼ全面白化している。
2:傷が明確に観察でき、試験面に白化している箇所が見られる。
3:傷が明確に観察できる。
4:傷が少し観察できる。
5:傷がほとんど観察できない。
【0132】
表1に示すように、本発明のグラフト共重合体は、架橋させることによりハンドリング性の向上がみられ、しかもそれを添加した組成物は、未架橋のグラフト共重合体やシリコーン系マクロモノマーを添加したポリオレフィンよりもさらに耐擦傷性に優れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項2】
後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(1)、(2)、または(3):
【化1】

【化2】

【化3】

(式中、Mはニッケル、パラジウム又は白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砥素またはアンチモンである。 R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩またげ炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。)であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項3】
一般式(1)における後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(4):
【化4】

(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1、Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のふっ素化炭化水素基である。)
で表されることを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項4】
一般式(1)〜(4)で表されるオレフィン重合用触媒のEが酸素、Xがリンであることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項5】
一般式(2)、(3)で表されるオレフィン重合用触媒のYがフッ素であることを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項6】
一般式(1)〜(4)で表される後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒のMがニッケルであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項7】
オレフィン系モノマーが炭素数10以下のα‐オレフィンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項8】
乳化により製造されたシリコーン系マクロモノマーが、オルガノシロキサンと、分子内に該オルガノシロキサンと共重合可能な官能基、および配位またはラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有する化合物とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項9】
オレフィン系モノマーおよび触媒を溶解する有機溶媒をシリコーン系マクロモノマーに含浸してから、オレフィン系モノマーの配位重合を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
【請求項10】
後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する組成物。
【請求項11】
ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項10に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する組成物。
【請求項12】
後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、シリコーン系マクロモノマーラテックスを乳化重合によりグラフト共重合させた後、架橋させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリオレフィン系グラフト共重合体の製造方法。
【請求項13】
請求項10または11に記載の組成物の製造方法。

【公開番号】特開2009−67832(P2009−67832A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234899(P2007−234899)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】