説明

後方装填型IOL挿入カートリッジ

ハプティックスロットを設けた近位開口部を有する眼内レンズ(IOL)のための後方装填型挿入カートリッジ。ハプティックスロットは、IOLの光学部品がカートリッジの保持領域内に挿入されたとき、装填されたIOLの先端ハプティックを受容し、一時的に先端ハプティックを保持する。光学部品が進むにつれ、先端ハプティックは光学部品の上方の前面の上で折り畳まれる。IOLが保持領域で保持される間、通常、カートリッジがインジェクタのハンドピースに合体させる間、ハプティック保持スロットの長さは、先端ハプティックを前面上で折り畳まれた状態で維持するのには十分なものである。またカートリッジは、ハンドピース上の同様の寸法を有するレールと好適にも係合する後方すなわち近位側の切り欠き部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズ(IOL)を眼球内に装填するための装置、システム、および方法に関する。とりわけ本発明は、注入カートリッジ(インジェクタカートリッジ)に対するIOLの挿入を制御する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
52歳〜64歳の米国人の少なくとも約42%、そして65歳〜74歳の米国人の少なくとも約73%の人が白内障を患っている。白内障とは、眼球レンズに曇りが生じるもので、視界が悪くなり、放置すると目が見えなくなってしまう。そのため米国では毎年、約140万人の患者が、曇ったレンズを除去し、眼内レンズ・インプラントと置換する白内障手術を受けている。
【0003】
一般的なIOLは、眼球内の網膜に焦点を合わせるための光学部品またはレンズ本体部を有する。さらにIOLは、IOLを眼球の嚢内の所定位置に固定して中央配置するための、光学部品から延びる1つまたはそれ以上の固定部材またはハプティクス(haptics)を有する。IOLは、外傷を小さくして、術後の回復を促すために、微小な切開口を介して眼球内に移植される。この微小切開口に適合させるべく、最新式のIOLは、眼球内で元の形状に復元されるように、変形し、回転し、折り畳むことができるように設計されている。
【0004】
IOLを眼球内に移植するための有用な技術において、IOLインジェクタまたはIOLカートリッジが用いられる。IOLを眼球内に移植するためのインジェクタは、通常、ハンドピースと、中空の挿入チューブまたはカニューラを有するカートリッジとを有し、プッシュロッドを用いて、畳み込まれたIOLを中空の挿入チューブを通って移送させる。カートリッジは、プラスティックなどの簡単に処分可能な材料で構成され、ハンドピースに連結する準備が整うまでは滅菌状態にあるパッケージ内で保管される。インジェクタによってはカートリッジを用いないこともあり、再利用できるものもある。
【0005】
従来式のIOLカートリッジは、注入チューブ(インジェクションチューブ)に連結される装填チャンバを有する。たとえばバーテル(Bartell)に付与された米国特許第4,681,102号、およびブラディ(Brady)に付与された米国特許第5,702,402号に記載の数多くの汎用品において、装填チャンバは、ヒンジで係合された一対の片割れ部分からなり、IOLを収容し、互いに接近することにより、IOLを折り畳むものである。オルチョウスキ(Orchowski)に付与された米国特許第5,474,562号で開示された折り畳み式でないカートリッジにおいて、IOLは鉗子を用いてカートリッジの近位開口部内に挿入される。注入チューブは、眼球に設けた切開口内に挿入するための微小径を含む遠位先端部を有する。(分離型カートリッジを用いた場合)カートリッジをハンドピースに接続した後、プッシュロッドを用いてIOLを押し込み、装填チャンバおよび注入チューブを通してIOLを眼球内に移植する。
【0006】
通常IOLは、バイアル(小瓶)、プラスティック・ブリスタ、またはIOLを滅菌状態で保管するその他の容器などの包装された状態で執刀医に手渡される。IOLが包装から取り出され、患者の眼球内に移植する前に装填チャンバの上または中に配設される。
一対の鉗子または同等のデバイスを用いて、IOLを包装から取り出し、装填チャンバに配設する。鉗子は、IOLをカートリッジの装填チャンバの上または中に、単に配設するか、IOLを眼球内に移植できるよう小さく折り畳むものである。
【0007】
IOLをカートリッジから患者の眼球内に移植する際、いくつかの問題点に直面することがある。たとえばIOLが注入チューブ内で回転するため、光学部品およびハプティクス部分の制御が困難となる場合がある。さらにIOLにブッシュロッドの先端を係合させる際に問題があり、光学部品、ハプティクスおよび両方に損傷を与える場合がある。たとえばIOLを注入チューブに押し込むために必要な力は、IOLを注入チューブ内に押し込むのに必要な力により、IOLは先細った壁部と接触するように折り畳まれるが、プッシュロッドIOLの上方または下方に滑り込んで、光学部品に損傷を与える場合がある。
【0008】
上記問題点に鑑み、IOLをより効率的に受け入れ、カートリッジ内の移動を効率的に制御できるカートリッジに対する要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,681,102号明細書
【特許文献2】米国特許第5,702,402号明細書
【特許文献3】米国特許第5,474,562号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、眼内レンズのカートリッジ内の移動を制御する構成を設け、ハンドピースを一方向にのみ位置合わせできるような構造物を備えることにより、これまでの眼内レンズ用カートリッジが有する数多くの問題点を解決するものである。
【0011】
1つの態様によれば、本発明は、眼内レンズのインジェクタカートリッジ内の移動を制御する方法を提供するものである。例示的なインジェクタカートリッジは、眼内レンズを受容するような寸法を有する近位開口部と、近位開口部から遠位挿入先端部まで延びる中空内部と、近位開口部から離間した中空内部内に設けた保持領域とを有する。近位開口部が周辺スロットにより中断され、周辺スロットが近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結する。好適には、周辺スロットは、近位開口部から遠位方向に向かって3.5mm〜9.3mmの距離だけ延びる。また、この方法は、光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズを提供するステップと、先端ハプティックを周辺スロットに位置合わせし、周辺スロットを越えて保持領域まで眼内レンズの光学部品を移動させることにより、近位開口部からカートリッジ内に眼内レンズを挿入するステップとを有する。こうすることにより、先端ハプティックが周辺スロットにより案内され、光学部品の一方の面の上に配置されて変形する。そして眼内レンズは、保持領域から中空内部を介して遠位挿入先端部から押し出される。中空内部は、眼内レンズが遠位挿入先端部から送出されるまで、先端ハプティックが光学部品の一方の面の上に維持されるような寸法を有する。
【0012】
上述の方法によれば、眼内レンズを挿入するステップは、鉗子を用いて実現される。また眼内レンズを含むカートリッジは、望ましくは、プッシュロッドを含むハンドピース内に配置され、カートリッジの中空内部を介して眼内レンズを押し出すステップは、カートリッジを介してプッシュロッドを延ばし、眼内レンズを保持領域から残りの中空内部を介して押し出すステップを有する。カートリッジは、非対称的に配置された切り欠き部を有していてもよく、この方法は、切り欠き部と、ハンドピースの対応する構造物とを位置合わせするステップをさらに有する。1つの実施形態において、眼内レンズの光学部品は、光学部品が近位開口部から保持領域に挿入されるときに変形するように、眼内レンズは、近位開口部の幅より小さく、保持領域の幅より大きい直径を有する。カートリッジの中空内部は、遠位方向に向かって徐々に狭くなり、眼内レンズが中空内部を移動するに従い、ほぼ管状形状に変形し、保持領域は、眼内レンズが保持領域に到達するまでに折り畳み変形の大部分がなされるように寸法設計される。1つの実施形態において、保持領域は、2.5mm〜4.5mmの水平方向の幅を有し、眼内レンズの光学部品は、少なくとも5.0mmの直径を有する。
【0013】
本発明に係る別の態様は、光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズの移動を制御するための眼内レンズ用インジェクタカートリッジである。このカートリッジは、眼内レンズを受容するような寸法を有し、中央鉛直面に垂直な水平方向の幅が鉛直平面内の高さより大きい近位開口部を有するインジェクタカートリッジ本体部を備える。カートリッジの中空内部は、近位開口部から遠位挿入先端部まで延び、中空内部内に設けた保持領域は、近位開口部から離間する。周辺スロットは、近位開口部を中断し、近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結する。周辺スロットが水平方向に位置ずれし、近位開口部が中央鉛直面に対して非対称的となっている。好適には、周辺スロットは、近位開口部から遠位方向に向かって3.5mm〜9.3mmの距離だけ延びる。
【0014】
望ましくは、カートリッジ本体部は、周辺スロット上に外側に隆起した上方円蓋部を有する。好適な実施形態において、眼内レンズの光学部品は、直径を有し、近位開口部の水平方向の幅が光学部品の直径より大きく、保持領域の水平方向の幅が光学部品の直径より小さく、光学部品が近位開口部から保持領域に挿入されるときに変形する。好適な実施形態において、保持領域は、2.5mm〜4.5mmの水平方向の幅を有し、眼内レンズの光学部品は、少なくとも5.0mmの直径を有する。カートリッジは、非対称的に配置された切り欠き部を有し、この切り欠き部は、一方のフィンガグリップとカートリッジ本体部との間に配置してもよい。
【0015】
本発明に係るさらに別の態様は、
光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズの送出を制御するための眼内レンズ用インジェクタシステムであって、インジェクタカートリッジ本体部と、プッシュロッドを有するハンドピースとを備えたものである。カートリッジ本体部は、眼内レンズを受容するような寸法を有し、中央鉛直面に垂直な水平方向の幅が鉛直平面内の高さより大きい近位開口部を有する。中空内部は、近位開口部から遠位挿入先端部まで延びる。中空内部内に設けた保持領域は、近位開口部から離間している。周辺スロットは、近位開口部を中断し、近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結する。周辺スロットは、近位開口部が中央鉛直面に対して非対称的となるように位置ずれしている。ハンドピースはカートリッジを受容するクレードルを有し、プッシュロッドは、カートリッジの中空内部を介して長手方向に移動するように位置合わせされ、中空内部を介して眼内レンズを押し出すものである。
【0016】
好適な実施形態において、カートリッジは、非対称的に配置された切り欠き部を有し、ハンドピースクレードルは、カートリッジがクレードル内で1つの配向においてのみ受容されるように、切り欠き部と係合する構造物を有する。好適には、カートリッジは、カートリッジ本体部から水平方向に延びる一対のフィンガグリップを有し、非対称的に配置された切り欠き部は、一方のフィンガグリップとカートリッジ本体部との間に配置されている。1つの態様によれば、カートリッジの中空内部は、中央鉛直面に沿って上側壁部および下側壁部を有し、上側壁部はほぼ水平であり、下側壁部は傾斜しており、遠位方向に向かって徐々に上側壁部の方へ収束する。とりわけ、プッシュロッドは、カートリッジの中空内部を通ってほぼ長手方向に並進移動し、傾斜した下側壁部の中央部と当接する。たとえば下側壁部は、水平方向に対して0度以上約30度以下の角度、好適約20度をなすものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る例示的な眼内レンズ(IOL)用カートリッジを上方から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る例示的な眼内レンズ(IOL)用カートリッジを下方から見た斜視図である。
【図3】IOL用カートリッジを図1とは異なる角度の上方から見た斜視図であり、カートリッジを装着する直前に鉗子を用いて保持されたIOLを概略的に示す。
【図4】本発明に係る例示的なIOL用カートリッジの平面図である。
【図5】本発明に係る例示的なIOL用カートリッジの側面図である。
【図6】本発明に係る例示的なIOL用カートリッジの正面図である。
【図7】本発明に係る例示的なIOL用カートリッジの背面図である。
【図8A】例示的なIOL用カートリッジを図4の8A−8A線から見たときの長手方向断面図である。
【図8B】例示的なIOL用カートリッジを図4の8B−8B線から見たときの長手方向断面図である。
【図9】例示的なIOL用カートリッジの平面図である。
【図10】例示的なIOL用カートリッジの底面図である。
【図11A】例示的なIOL用カートリッジを図9の11A−11A線から見たときの横断面図である。
【図11B】例示的なIOL用カートリッジを図9の11B−11B線から見たときの横断面図である。
【図11C】例示的なIOL用カートリッジを図9の11C−11C線から見たときの横断面図である。
【図11D】例示的なIOL用カートリッジを図9の11D−11D線から見たときの横断面図である。
【図11E】例示的なIOL用カートリッジを図9の11E−11E線から見たときの横断面図である。
【図12】例示的なIOL用カートリッジの背面図であって、最初の装填状態にあるIOLを示す。
【図13】図8Aと同様の長手方向断面図であって、上方スロット内に捕獲された先端ハプティックとともに、さまざまな位置にあるIOLを示す。
【図14A】例示的なIOL用カートリッジを図11Aと同様の位置から見たときの横断面図であって、さまざまな位置における移動中のIOLを示す。
【図14B】例示的なIOL用カートリッジを図11Bと同様の位置から見たときの横断面図であって、さまざまな位置における移動中のIOLを示す。
【図14C】例示的なIOL用カートリッジを図11Cと同様の位置から見たときの横断面図であって、さまざまな位置における移動中のIOLを示す。
【図14D】例示的なIOL用カートリッジを図11Dと同様の位置から見たときの横断面図であって、さまざまな位置における移動中のIOLを示す。
【図14E】例示的なIOL用カートリッジを図11Eと同様の位置から見たときの横断面図であって、さまざまな位置における移動中のIOLを示す。
【図15】別の例示的なIOL用カートリッジの平面図である。
【図16】別の例示的なIOL用カートリッジの底面図である。
【図17A】別のIOL用カートリッジを図15の17A−17A線から見たときの長手方向断面図である。
【図17B】別のIOL用カートリッジを図15の17B−17B線から見たときの長手方向断面図である。
【図18】図15に示す別のIOL用カートリッジの側面図である。
【図19】別のIOL用カートリッジを図18の19−19線から見たときの横断面図である。
【図20】図18に示す別のIOL用カートリッジの遠位端部を示す背面図である。
【図21】図18に示す別のIOL用カートリッジの近位端部を示す、若干角度をもたせて見たときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明を読めば、本発明に係る実施形態をより十分に理解される。以下の実施形態は、説明するためだけのものであるが、新規で自明でない本発明の態様を示すものである。添付図面において、同様の構成部品には同様の参照番号を付されている。
【0019】
本発明の実施形態は、IOLインジェクタに用いられる前方装填型または後方装填型の眼内レンズカートリッジを提供するものである。上記説明したように、カートリッジの構成部品とハンドピースを1つのデバイスとして組み合わせたインジェクタもあるが、以下説明する本発明は、分離型および内蔵型のカートリッジの両方に適用できる点に留意されたい。
【0020】
図1〜図3は、本発明に係る実施形態によるIOLカートリッジ20をさまざまな方向から見た斜視図であるが、これを参照すると、カートリッジ20は、近位開口部24から遠位先端部26まで長手方向に延びる主本体部22を有する。一対のウェブ28a,28bが、主本体部22の対向する側部から水平方向外側に突出し、その端部でほぼ垂直方向に延びるフィンガグリップ30a,30bを有する。フィンガグリップ30は実質的に同一のものであるが、左側ウェブ28bは右側ウェブ28aより短く、とりわけ近位開口部24まで延びていない。そのため図3で最もよく図示されているように、後方に開口した切り欠き部32が、カートリッジ20の左側であって、左側のフィンガグリップ30bと主本体部22との間に形成されている。以下の説明でより明確となるが、切り欠き部32は、カートリッジ20の鉛直中央線に対して非対称に配置され、これと関連するハンドピース上に設けられた同様の形状を有する凸部材と係合させて、カートリッジを確実に適正な向きで装着するように構成してもよい。ウェブ28a,28b、およびフィンガグリップ30a,30bの形状は、特定のデザインにおける要請または要望に適合するように、図示した実施形態のものから修正してもよい。たとえばウェブ28a,28bは、同一の面積を有するように実質的に同一のものとしてもよい。
【0021】
カートリッジ20の主本体部22は、近位開口部24から遠位先端部26の遠位開口部34まで長手方向に延びるルーメン(管腔)または中空内部を形成する。主本体部22は、近位開口部24において、多少押し潰したような(平坦化された)楕円形状を有し、近位開口部24に隣接して配置された上方円蓋部(canopy)40および下方円蓋部42を有する。とりわけ近位開口部24の周辺部は、鉛直高さより水平幅がより大きい変形楕円形状を有するものであってもよい。たとえば図7に示す特定の実施形態において、近位開口部24は、凸状の下側壁部、およびこれより小さい曲率を有する若干凸状に形成された上側壁部を有する、ボウル(椀)のような形状を有する。近位開口部24の周辺部は、IOLを受容するのに適した他の形状を有していてもよく、これらに限定されるものではないが、矩形、円形、楕円形等の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、近位開口部24の周辺部は、角部および/または屈曲のない(たとえば凸から凹、または凹から凸への曲率変化のない)滑らかな曲面からなる形状により構成される。
【0022】
外側に隆起した上方円蓋部40は、近位開口部24から遠位方向に延びるスロットまたは溝部44を形成し、外側に隆起した下方円蓋部42は、同様に近位開口部24から遠位方向に延びる下側溝部46を形成する。このように近位開口部24の周辺部は、2箇所で中断され、一方でスロット44により、他方で下側溝部46により中断され、これらは近位開口部24に隣接して周辺開口部を形成する。近位開口部24の直近の内側において、主本体部22の中空内部は装填チャンバ48が形成され、IOLはまず装填チャンバからカートリッジ内に装填される。図3および図7を参照すると、装填チャンバ48、上方円蓋部40、および下方円蓋部42が協働して複合的な開口部を形成し、この複合開口部は、近位開口部24と、これに隣接し、これとは位置ずれした上方円蓋部40および下方円蓋部42の開口部とにより画定される。複合開口部は、単純な平面上に配置してもよいし、あるいは湾曲表面またはより複合的な表面に沿って配置してもよい。
【0023】
図3は、鉗子の先端部で保持されたIOLを示す。このタイプのIOLは、中央にあるディスク状の光学部品52と、先端ハプティック54と、後端ハプティック56とを有する。通常、光学部品52は、対向する凸面を有するが、本発明は特定のタイプのIOLの取り扱いに限定するものではない。ハプティック54,56は、図示のように、光学部品52の対向する側部から外側に延びる細く円弧状の部材であり、光学部品52とほぼ同じ平面内に形成される。ハプティック54,56は、同じ方向に湾曲し、この事例ではIOLを上から見たとき反時計回りの方向に湾曲している。
【0024】
IOLの光学部品の周りに配置されるハプティックの他の構成が知られており、本発明は、図示されたハプティック以外のハプティックに対しても適用されるカートリッジを提供しようとするものである。とりわけ、先端ハプティック54および後端ハプティック56を有するIOLは、カートリッジ内を通過させる際、ハプティックを適正に配向し、または配置する上で問題に直面することが多い。ハプティックの一方または両方がカートリッジ内で適正に位置合わせされず、適正に配置されなかった場合、IOLは、眼球内でさらなる位置合わせが必要となるような状態で、カートリッジの遠位先端部から送出される場合がある。執刀医がIOLの移植を制御することにより、IOLが適正な方向で送出され、さらなる位置合わせの必要性をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0025】
さらに図1〜図3、ならびに図4〜図8の詳細図面を参照して、例示的なカートリッジ20の追加的な構成要素を説明する。図4は、カートリッジ20を上から見た図であり、明らかに、上方円蓋部40が水平方向の位置がずれている。断面ライン8A−8Aは、カートリッジ20の長手方向の中央線に沿って延びている。カートリッジ20は、上方円蓋部40および上述の切り欠き部32の位置に関する例外を除き、原則的には、この中央線を通る鉛直平面に関し対称的に構成される。
【0026】
図8Aは、主本体部22の壁部、とりわけ中空内部の鉛直中央線に沿った外形に係る例示的な構成を示すものである。例示的な実施形態において、主本体部22の中空内部は装填チャンバ48を有する。装填チャンバ48の上方および下方には、溝部44,46により形成されるチャンバが設けられている。これに隣接して保持領域60が形成され、保持領域は、徐々に先細った折り畳みチャンネル62に繋がる。いくつかの実施形態では、溝部44,46のうちの少なくとも一方が、保持領域60または折り畳みチャンネル62の少なくとも一部と隣接していてもよい。遠位開口部34まで延びる送出チャンネル64が折り畳みチャンネル62に隣接している。カートリッジ主本体部22の中空内部の上側壁部は、水平方向とほぼ平行に延び、下側壁部および側部壁部は、遠位方向に向かって徐々に内側に先細っている。下方円蓋部42内の下側溝部46は、水平方向と多少の角度を形成し、遠位方向に向かって徐々に狭くなる傾斜面66を形成してもよい。傾斜面66は、折り畳みチャンネル62内に延び、これに隣接している。カートリッジ主本体部22の中空内部の他の形状は、実施形態に係るIOLカートリッジ20の形状と一致する。
【0027】
いくつかの実施形態では、傾斜面66を含むカートリッジ中空内部の下側壁部が、全体的に傾斜し、遠位方向に向かって徐々に収束する。図示された実施形態において、下側壁部が水平方向と小さい角度をなすが、この角度は水平方向に対して0度〜約30度であり、一般的には約5度〜約20度である。他の実施形態では、中空内部の上側壁部が、追加的または択一的に全体的に傾斜し、遠位方向に向かって徐々に収束する。
【0028】
カートリッジは、概略、プッシュロッドを有するハンドピース(図示せず)と合体するように構成されており、プッシュロッドはカートリッジ中空内部を長手方向に並進移動して、傾斜した下側壁部の中央部で当接する。いくつかの実施形態では、プッシュロッドは、光学部品52の近位端を補足しやすくするための分岐した遠位端を有する。追加的または択一的に、プッシュロッドをカートリッジ20内に配置するとき、プッシュロッドの先端部が光学部品52の上方または下方に乗り上げることを防止しやすくするために、プッシュロッドの遠位端は、下側溝部46内に入り込むように構成された下側先端部を有していてもよい。
【0029】
近位開口部24を中断するスロット44は、概略、近位開口部24から遠位方向に延び、通常約1mm〜約10mm、好適には約2mm〜約6mmの長さを有する。図示された実施形態において、スロット44は、好適には、保持領域60に到達する前に途切れていてもよい。このように構成することにより、IOLがカートリッジ内を移動する際、以下説明するように、先端ハプティックの適正な制御を支援することができる。
【0030】
先行技術によるカートリッジに対する別の有意義な相違点は、眼内レンズが遠位方向に移動するに従い、眼内レンズがほぼ管状形状を有するように折り畳まれることであり、そして保持領域に到達するまでに、少なくとも一部の折り畳み変形がなされ、ほとんどの実施形態では、折り畳み変形の大部分がなされるように、保持領域60が寸法設計されることである。たとえば保持領域60の水平方向の幅が2.5mm〜4.5mmであり、眼内レンズの光学部品の直径が少なくとも5.0mmである。この特徴を定義するために、IOLの光学部品は、通常、ほぼ管状形状を有するように折り畳まれ、または丸め込まれ、折り畳み変形の大部分がなされたか否かは、折り畳まれた光学部品の外形を調べることにより評価することができる。換言すると、光学部品は、ほぼ平坦な状態から始まり、丸め込まれた円形形状に変形し、その側部端部が折り畳まれて当接して、弛緩した配向状態から180度、折り畳まれる。この単純な具体例において、側部端部が90度以上折り畳まれたとき、折り畳み変形の大部分がなされる。光学部品の最終的な形態は、カートリッジのルーメンの寸法に対する光学部品の寸法に依存するが、多かれ少なかれほぼ円形形状となるものと理解されたい。
【0031】
フィンガグリップ30a,30bのそれぞれは、カートリッジを操作しやすくするために長手方向に延びる複数のリブを有する。一対の近位フランジ70が、フィンガグリップ30から外側に突出し、フィンガグリップ30を用いてカートリッジを把持する際、カートリッジの近位端部24を触って認知できるような構造物を形成する。
【0032】
本発明の例示的なカートリッジの使用方法について以下説明する。
【0033】
この使用方法は、図3に概略的に図示したように、眼内レンズ(IOL)をカートリッジの近位開口部24内に挿入することが始まる。まず、IOLのカートリッジ内の移動を支援するために、カートリッジの中空内部に近位開口部24を介して流体または粘弾性媒体を導入する場合が多い。一般的な眼内レンズは、少なくとも5.0mmの光学的径を有し、近位開口部24は眼内レンズを用意に受容できるような寸法を有する。たとえばIOLが水平方向にした状態で近位開口部24内に接触することなく挿入できるように、近位開口部は少なくとも6mmの水平方向幅を有する。
【0034】
IOLが近位開口部24内に入ると、オペレータは、鉗子50等を用いて、先端ハプティック54を上側スロット44に位置合わせする。IOLを装填チャンバ48内においてさらに移動させると、図12、図13、図14Aで示すように、先端ハプティック54が周辺スロットで規制され、光学部品の一方の面の上、通常は前側の面の上において変形する。上方円蓋部40の内側壁部が傾斜した構造を有するので、上記のように先端ハプティック54を徐々に折り畳むことが支援される。追加的には、図7および図11A2示すように、スロット44は、上底がより大きい寸法を有するほぼ台形の断面形状を有する。この形状より、フィラメント状(糸状)のハプティック54を補足しやすくし、光学部品52がその下方を移動する際、スロット44内に確実に保持することができる。
【0035】
オペレータは、図13および図14Bに示すように、IOLを装填チャンバ48から保持領域60へ移動させる。上述のように、保持領域60の水平方向幅は、光学部品52の直径より小さい。そのため光学部品52の側部端部が、保持領域60の側部と接触する。導入装填チャンバ48および保持領域60が椀状形状を有するため、光学部品52の水平方向端部が、中心に対して上方向に折り畳まれ、あるいは丸め込まれる。下側溝部46は、光学部品の中央領域が変形したときの逃げ(レリーフ,relief)を設けることにより、この折り畳み方法を支援するものである。望ましくは、保持領域60は、少なくとも4mm、好適には4mm〜8mm、最も好適には特定の光学部品52の直径とほぼ同じ長さにわたって実質的に一定の水平方向幅を有する。たとえば一般的な光学部品の直径は6mmで、保持領域60は実質的に一定の6mmの水平方向幅を有する。光学部品52がカートリッジ20内を進むにつれて、中空内部は、近位開口部24から保持領域60まで狭くなっていき、光学部品を丸め込み、光学部品を保持領域において定常状態に維持し、遠位先端部26に向かって遠位方向に向かって狭くなる。より一般的には、下側溝部46を除いて、保持領域60はその長さに沿って一定の断面を有する。
【0036】
保持チャンバの大きさを小さくしたことによる利点は、IOLの折り畳み変形の大部分がその内部でなされる点と、折り畳み変形させるためにプッシュロッドからレンズに加わる押圧力をより小さくできる点にある。保持領域60の水平方向幅が光学部品の直径の50%〜75%である実施例においては、光学部品は、保持領域に到達する時までに、移植形状に効率よく丸め込まれている。これにより、光学部品に対する損傷が低減され、プッシュロッドが滑ってIOLを乗り越えることが抑制される。保持領域60がほぼ円筒の形状を有し、保持領域60が一定の断面を有することにより、カートリッジ内の近位側および遠位側の漏斗部分の間における安定した位置にレンズが保持される一種の退避場所を提供するという機能を実現するものである。
【0037】
さらにスロット44は保持領域60に至る前に終結しており、光学部品52の上方の垂直スペースが小さくなっている。このとき、上方垂直スペースが狭くなっているため、先端ハプティック54は光学部品52の上方において捕獲され、その状態で保持される。
後端ハプティック56は、カートリッジ内では弾性的にまっすぐに伸び、IOLが遠位先端部26から送出されると、元の形状に復元するので、オペレータにとってあまり問題とはならない。
【0038】
この時点で、オペレータは、保持領域60内にIOLを保持したカートリッジ20を、インジェクタのハンドピースに合体させる。上述のように、非対称的に位置ずれした切り欠き部32は、ハンドピースに設けた同様の凸状部材と位置合わせして、確実にカートリッジを適正な配置配向する。
【0039】
図13、図14C〜図14Eに示すように、オペレータは、IOLを保持領域60からカートリッジ20の中空内部を通して遠位挿入開口部26から押し出す。中空内部は徐々に狭くなり、IOLを眼球に設けた切開孔を介して挿入できるように、IOLの外形形状をさらに小さくする。先細った折り畳みチャンネル62は、装填チャンバ48および保持領域60の椀状形状から、送出チャンネル64および遠位開口部34の円形断面形状に移行させるものである。さらに中空内部は、IOLが遠位挿入先端部から送り出されるまで、先端ハプティック54を光学部品52の一方の面上に配置した状態を維持するような寸法を有する。こうしてオペレータは、IOLおよび先端ハプティック54に対する最大限の制御を維持することができる。
【0040】
ここで図15〜図21を参照すると、最初に説明したカートリッジと同様の別の例示的なIOLを示す。上述と同様、カートリッジ120は、近位開口部124から遠位先端部126まで長手方向に延びる主本体部122を有する。一対のウェブ128a,128bのそれぞれは、主本体部122の対向する側部から横断方向外側に突出し、ほぼ鉛直方向に延びるフィンガグリップ130a,130bを有する。後方に開口した長手方向の切り欠き部132が左側のフィンガグリップ130bと主本体部122との間に形成されている。
【0041】
カートリッジ120の主本体部122は、近位開口部124から遠位先端部126の遠位開口部134まで長手方向に延びるルーメン(管腔)または中空内部を形成する。
主本体部122は、近位開口部124において、多少押し潰したような(平坦化された)楕円形状を有し、その楕円形状は上方円蓋部140および下方円蓋部142により中断されている。とりわけ近位開口部124は、鉛直高さより水平幅がより大きい変形楕円形状を有するものであってもよい。択一的には、近位開口部124は、近位開口部24について説明した任意の形状を有していてもよい。外側に隆起した上方円蓋部140は、近位開口部124から遠位方向に延びるスロット144を形成し、外側に隆起した下方円蓋部142は、同様に近位開口部124から遠位方向に延びる下側溝部146を形成する。このように近位開口部124の周辺部は、2箇所で中断され、一方でスロット144により、他方で下側溝部146により中断され、これらは周辺スロットを形成する。
【0042】
図17Aおよび図17Bは、主本体部122の壁部の長手方向の鉛直断面形状を示し、図19は、水平中央平面形状を示す。中空内部は、IOLが最初にカートリッジ内に装填される近位開口部124のちょうど内側にある装填チャンバ148から始まる。これに隣接して保持領域160が配置され、保持領域は、徐々に先細った折り畳みチャンネル162、および最終的には遠位開口部134まで延びる送出チャンネル164に繋がる。保持領域160の境界が図19に最もよく図示されている。カートリッジ主本体部122の中空内部の上側壁部は、水平方向とほぼ平行に延び、下側壁部および側部壁部は、遠位方向に向かって徐々に内側に先細っている。装填チャンバ148、上方円蓋部140、および下方円蓋部142が協働して複合的な開口部を形成し、この複合開口部は、近位開口部124と、これに隣接し、これとは位置ずれした上方円蓋部140および下方円蓋部142の開口部とにより画定される。複合開口部は、単純な平面上に配置してもよいし、あるいは湾曲表面またはより複合的な表面に沿って配置してもよい。
【0043】
下方円蓋部142内の下側溝部146は、装填チャンバ140の一部を構成するものであってもよい。下側溝部146は、傾斜面166に至るまで実質的に水平方向に延び、傾斜面は遠位方向に向かって内側に傾斜し、その傾斜角は約15度〜約30度であり、好適には20度である。傾斜面166は、折り畳みチャンネル162内に延び、折り畳みチャンネルの一部を構成するものであってもよい。
【0044】
第1の実施形態とは異なり、カートリッジ中空内部の下側壁部は、傾斜面166に至るまで実質的に水平方向に延び、傾斜面において比較的に急速に上側壁部に向かって収束する。最終的には、カートリッジは、プッシュロッドを有するハンドピース(図示せず)と合体し、プッシュロッドは、カートリッジ中空内部を長手方向に並進移動して、傾斜面の中央部で当接する。同様に、プッシュロッドは、光学部品の近位端を補足しやすくするための分岐した遠位端を有していてもよい。
【0045】
近位開口部124を中断するスロット144は、望ましくは、遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結している。たとえば図示されたスロット144は、近位開口部124から遠位方向に約4mmの距離だけ延び、保持領域160は、近位開口部124から約9mmの位置から始まる。この構成により、IOLがカートリッジ内を移動する際、上述のように、先端ハプティックの適正な制御を支援することができる。
【0046】
上述のように、眼内レンズは、遠位方向に移動する際、ほぼ円筒状に折り畳まれ、保持領域160は、眼内レンズが保持領域に到達する時までには少なくとも部分的に折り畳み変形されるように寸法設計される。たとえば保持領域160の水平方向の幅が2.5mm〜4.5mmであり、眼内レンズの光学部品の直径が少なくとも5.0mmである。
【0047】
好都合にも、保持領域160は、少なくとも4mm、好適には4mm〜8mm、最も好適には特定の光学部品の直径とほぼ同じ長さにおいて、水平方向の幅が実質的に一定である。たとえば一般的な光学部品の直径は6mmで、保持領域160は実質的に少なくとも6mmの一定の水平方向幅を有する。より一般的には、(たとえば下側溝部146を除いて)保持領域160はその長さに沿って一定の断面を有する。
【0048】
本発明は、装填チャンバ148の近位開口部の水平方向幅が光学部品の直径と同じか、より大きいカートリッジを提供するものであるが、保持領域160の幅はレンズ直径より小さく、少なくとも多少なりともレンズを圧迫するものである。光学部品がカートリッジ120内を進むにつれて、中空内部は、近位開口部124から保持領域160まで狭くなっていき、光学部品を丸め込み、光学部品を保持領域において定常状態に維持し、遠位先端部126に向かって遠位方向に向かって狭くなる。
【0049】
これは図20に最もよく図示されている。眼球に移植される時まで、レンズはカートリッジ120の保持領域160内で圧迫された状態で維持される。この形態の1つの利点は、レンズを挿入する直前まで、安定して、再現性のよいレンズ構成を維持できる点と、その後、移植手術に際してレンズの変形を円滑に行うことができる点にある。
【0050】
本発明を実現するための最良の態様について、当業者が本発明を実施および利用できるように十分で、明確で、簡潔で、かつ正確な用語を用いて上記説明した。ただし、本発明は、上述のものと完全に均等のものである変形例および変更例を含むものである。したがって、本発明を開示された特定の実施形態に限定されない。むしろ本発明は、本発明の主題を明確に、かつ明瞭に記載した添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範疇を逸脱することなく、変形例および変更例をカバーすることを意図したものである。
【符号の説明】
【0051】
20,120…IOLカートリッジ、22,122…主本体部、24,124…近位開口部、26,126…遠位先端部、28,128…ウェブ、30,130…フィンガグリップ、32,132…切り欠き部、34,134…遠位開口部、40,140…上方円蓋部、42,142…下方円蓋部、44,144…スロットまたは上側溝部、46,146…下側溝部、48,148…装填チャンバ、50…鉗子、52…光学部品、54…先端ハプティック、56…後端ハプティック、60,160…保持領域、62,162…折り畳みチャンネル、64,164…送出チャンネル、66,166…傾斜面、70…近位フランジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタカートリッジ内の眼内レンズの移動を制御する方法であって、
眼内レンズを受容するような寸法を有する近位開口部、該近位開口部から遠位挿入先端部まで延びる中空内部、および該近位開口部から離間した該中空内部内に設けた保持領域を有するインジェクタカートリッジであって、該近位開口部が周辺スロットにより中断され、該周辺スロットが該近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結するインジェクタカートリッジを提供するステップと、
光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズを提供するステップと、
先端ハプティックを周辺スロットに位置合わせし、周辺スロットを越えて保持領域まで眼内レンズの光学部品を移動させることにより、先端ハプティックが周辺スロットにより案内され、光学部品の一方の面の上に配置されて変形するように、近位開口部からカートリッジ内に眼内レンズを挿入するステップと、
保持領域から中空内部を介して遠位挿入先端部から眼内レンズを押し出すステップとを有し、
中空内部は、眼内レンズが遠位挿入先端部から送出されるまで、先端ハプティックが光学部品の一方の面の上に維持されるような寸法を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
周辺スロットは、近位開口部から遠位方向に向かって2mm〜6mmの距離だけ延びることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
近位開口部からカートリッジ内に眼内レンズを挿入する際、光学部品を変形させるステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
眼内レンズを保持領域に有するカートリッジを、プッシュロッドを含むハンドピース内に配設するステップをさらに有し、
カートリッジの中空内部を介して眼内レンズを押し出すステップは、カートリッジを介してプッシュロッドを延ばし、眼内レンズを保持領域から残りの中空内部を介して押し出すステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カートリッジは、非対称的に配置された切り欠き部を有し、
切り欠き部と、ハンドピースの対応する構造物とを位置合わせするステップをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
光学部品が近位開口部から保持領域に挿入されるときに変形するように、眼内レンズは、近位開口部の幅より小さく、保持領域の幅より大きい直径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
カートリッジの中空内部は、遠位方向に向かって徐々に狭くなり、眼内レンズが中空内部を移動するに従い、ほぼ管状形状に変形し、
保持領域は、眼内レンズが保持領域に到達するまでに変形するように寸法設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
保持領域は、2.5mm〜4.5mmの水平方向の幅を有し、
眼内レンズの光学部品は、少なくとも5.0mmの直径を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
保持領域は、少なくとも2mmの長さに沿って一定の水平方向の幅を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズの移動を制御するための眼内レンズ用インジェクタカートリッジであって、
眼内レンズを受容するような寸法を有し、中央鉛直面に垂直な水平方向の幅が鉛直平面内の高さより大きい近位開口部と、
該近位開口部から遠位挿入先端部まで延びる中空内部と、
該近位開口部から離間した該中空内部内に設けた保持領域とを有するインジェクタカートリッジ本体部を備え、
該近位開口部が周辺スロットにより中断され、
該周辺スロットが該近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結し、
該近位開口部が中央鉛直面に対して非対称的となるように該周辺スロットが水平方向に位置ずれしたことを特徴とするインジェクタカートリッジ。
【請求項11】
周辺スロットは、近位開口部から遠位方向に向かって3.5mm〜9.3mmの距離だけ延びることを特徴とする請求項10に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項12】
カートリッジ本体部は、周辺スロット上に外側に隆起した上方円蓋部を有することを特徴とする請求項10に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項13】
眼内レンズの光学部品は、直径を有し、
近位開口部の水平方向の幅が光学部品の直径より大きく、
保持領域の水平方向の幅が光学部品の直径より小さく、
光学部品が近位開口部から保持領域に挿入されるときに変形することを特徴とする請求項10に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項14】
保持領域は、2.5mm〜4.5mmの水平方向の幅を有し、
眼内レンズの光学部品は、少なくとも5.0mmの直径を有することを特徴とする請求項13に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項15】
保持領域は、少なくとも2mmの長さに沿って一定の水平方向の幅を有することを特徴とする請求項13に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項16】
非対称的に配置された切り欠き部を有することを特徴とする請求項10に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項17】
カートリッジ本体部から水平方向に延びる一対のフィンガグリップを有し、
非対称的に配置された切り欠き部は、一方のフィンガグリップとカートリッジ本体部との間に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のインジェクタカートリッジ。
【請求項18】
光学部品、先端ハプティック、および後端ハプティックを有する眼内レンズの送出を制御するための眼内レンズ用インジェクタシステムであって、
眼内レンズを受容するような寸法を有し、中央鉛直面に垂直な水平方向の幅が鉛直平面内の高さより大きい近位開口部と、
該近位開口部から遠位挿入先端部まで延びる中空内部と、
該近位開口部から離間した該中空内部内に設けた保持領域とを有するインジェクタカートリッジ本体部を備え、
該近位開口部が周辺スロットにより中断され、
該周辺スロットが該近位開口部から遠位方向に延び、保持領域に至る前に終結し、
該近位開口部が中央鉛直面に対して非対称的となるように該周辺スロットが水平方向に位置ずれし、
プッシュロッドを有するハンドピースをさらに備え、
ハンドピースはカートリッジを受容するクレードルを有し、
プッシュロッドは、カートリッジの中空内部を介して長手方向に移動するように位置合わせされ、中空内部を介して眼内レンズを押し出すことを特徴とするシステム。
【請求項19】
周辺スロットは、近位開口部から遠位方向に向かって3.5mm〜9.3mmの距離だけ延びることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
カートリッジは、非対称的に配置された切り欠き部を有し、
ハンドピースクレードルは、カートリッジがクレードル内で1つの配向においてのみ受容されるように、切り欠き部と係合する構造物を有することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
カートリッジは、カートリッジ本体部から水平方向に延びる一対のフィンガグリップを有し、
非対称的に配置された切り欠き部は、一方のフィンガグリップとカートリッジ本体部との間に配置されていることを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
カートリッジの中空内部は、中央鉛直面に沿って上側壁部および下側壁部を有し、
上側壁部はほぼ水平であり、
下側壁部は傾斜しており、遠位方向に向かって徐々に上側壁部の方へ収束することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
プッシュロッドは、カートリッジの中空内部を通ってほぼ長手方向に並進移動し、傾斜した下側壁部の中央部と当接することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
下側壁部は、水平方向に対して0度以上約30度以下の角度をなすことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
眼内レンズの光学部品は、直径を有し、
近位開口部の水平方向の幅が光学部品の直径より大きく、
保持領域の水平方向の幅が光学部品の直径より小さく、
光学部品が近位開口部から保持領域に挿入されるときに変形することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
保持領域は、2.5mm〜4.5mmの水平方向の幅を有し、
眼内レンズの光学部品は、少なくとも5.0mmの直径を有することを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
保持領域は、少なくとも2mmの長さに沿って一定の水平方向の幅を有することを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
眼内レンズをさらに有し、
眼内レンズは光学部品を有し、光学部品の直径が近位開口部の中央鉛直面に垂直な水平方向の幅より大きく、保持領域の水平方向の幅より小さく、
保持領域の水平方向の幅が少なくとも2mmの長さに沿って一定であることを特徴とする請求項25に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−518644(P2011−518644A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507528(P2011−507528)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040562
【国際公開番号】WO2009/134615
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(502049837)アボット・メディカル・オプティクス・インコーポレイテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT MEDICAL OPTICS INC.
【Fターム(参考)】