説明

後発泡性エアゾール組成物および該後発泡性エアゾール組成物を用いるエアゾール製品

【課題】 流動しにくく、しかも優れた噴射性能を有する後発泡性エアゾール組成物を提供することなどを課題とする。
【解決手段】 平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子と、非イオン界面活性剤と、噴射剤とを含有する後発泡性エアゾール組成物であって、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されている後発泡性エアゾール組成物などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後発泡性エアゾール組成物および該後発泡性エアゾール組成物を用いるエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
後発泡性エアゾール組成物は、噴射された直後に急激に発泡せず、噴射された後に徐々に発泡するものであり、様々な分野で用いられている。例えば、化粧品分野、外用医薬品分野、防虫剤分野などでエアゾール製品の内容物として用いられている。
【0003】
従来、この種の後発泡性エアゾール組成物としては、様々な種類のものが知られ、例えば、石ケンと水溶性ゲル化剤が配合されたもの(特許文献1)、カルボキシビニルポリマーなどの高分子が配合されたもの(特許文献2)、比較的多量のオイルと特定の沸点を有するアルカンとが配合されたもの(特許文献3)などが知られている。
【0004】
しかしながら、このような従来の後発泡性エアゾール組成物は、良好な噴霧性、後発泡性、良好な泡もち性といった優れた噴射性能を有し得るものの、エアゾール容器のなかで流動性を有するものであり、エアゾール容器を上下反対にして噴射する場合、良好に噴射されないという問題がある。具体的には、容器内に装着されたディップチューブを通ってエアゾール組成物が外部に噴射される通常のエアゾール容器を上下反対にする場合、内容物であるエアゾール組成物がエアゾール容器の噴射口付近に移動するため、エアゾール容器の底部付近にあるディップチューブの開口部からエアゾール組成物が供給されず、エアゾール組成物が良好に噴射されないという問題がある。
【0005】
これに対して、後発泡性エアゾール組成物は、粘性を高めることによって流動しにくくなり得るが、粘性が高められた後発泡性エアゾール組成物は、ディップチューブを通りにくくなるため、噴射自体が不可能になり得るという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特公昭49−34912号公報
【特許文献2】特開平3−31389号公報
【特許文献3】特開平6−93126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、エアゾール容器を上下反対にする場合であっても流動せず、しかも噴射可能であり、且つ良好な噴霧性、後発泡性、良好な泡もち性といった優れた噴射性能を有する後発泡性エアゾール組成物が要望されている。
【0008】
本発明は、上記の問題点、要望点等に鑑み、流動しにくく、しかも優れた噴射性能を有する後発泡性エアゾール組成物を提供することを課題とする。また、斯かる後発泡性エアゾール組成物を用いたエアゾール製品を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係る後発泡性エアゾール組成物は、平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子と、非イオン界面活性剤と、噴射剤とを含有する後発泡性エアゾール組成物であって、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成からなる後発泡性エアゾール組成物によれば、平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子が含有されているため、前記後発泡性エアゾール組成物は、比較的低いずり応力では粘度が低下しにくい一方で、噴射剤の圧力と外気の圧力との圧力差に起因する比較的高いずり応力によって粘度が急激に低下するチクソトロピー性を有し得る。従って、流動しにくいにもかかわらず良好に噴出され、しかも噴出された後は再び粘度が上昇し被噴射物の表面に保持され得る。また、前記セルロースの微粒子が含有されているため、前記後発泡性エアゾール組成物が噴射された直後における噴射剤の急激な膨張が抑制され、噴射された後に噴射剤が比較的低速度で膨張し始めることができる。さらに、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されているため、前記後発泡性エアゾール組成物が噴射された後に泡が生じ、さらには、前記セルロースの微粒子により生じた泡が破泡しにくくなる。
【0011】
本発明に係る後発泡性エアゾール組成物は、前記セルロースの微粒子が0.35〜1.25重量%含有されていることが好ましい。
前記セルロースの微粒子が0.35〜1.25重量%含有されていることにより、上述したチクソトロピー性がより顕著になるという利点がある。
【0012】
本発明に係るエアゾール製品は、平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子と、非イオン界面活性剤と噴射剤とを含有し、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されている後発泡性エアゾール組成物がエアゾール容器に充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の後発泡性エアゾール組成物は、チクソトロピー性を有するため、流動性しにくいにもかかわらず良好に噴出され、しかも噴出された後は再び粘度が上昇し被噴射物の表面に保持され得る。また、前記後発泡性エアゾール組成物が噴射された直後の噴射剤の急激な膨張が抑制され、噴射された後に噴射剤が比較的低速度で膨張し始め、これに伴って泡が生じる。しかも、生じた泡が破泡しにくい。従って、本発明の後発泡性エアゾール組成物は、流動しにくく、しかも優れた噴射性能を有するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の後発泡性エアゾール組成物の一実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子と、非イオン界面活性剤と、噴射剤とを含有する後発泡性エアゾール組成物であって、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されているものである。
【0016】
前記セルロースは、平均重合度(DP)が100以下である。好ましくは、平均重合度(DP)が10以上100以下であり、より好ましくは20以上50以下である。
前記セルロースの平均重合度(DP)が100を超える場合には、前記セルロースの微粒子が前記後発泡性エアゾール組成物中で均一に分散しにくく、前記後発泡性エアゾール組成物が流動しやすくなり、安定性に乏しいものとなるおそれがある。
【0017】
前記セルロースの平均重合度(DP)が50以下であることにより、前記セルロースの微粒子が前記後発泡性エアゾール組成物中でより均一に分散し会合性に優れた分散体が得られるため、前記後発泡性エアゾール組成物がより流動しにくくなり、分散安定性がより高まり得るという利点がある。
また、前記セルロースの平均重合度(DP)が10以上であることにより、前記セルロース微粒子の水溶性が低下し、流動性を抑制し得る微粒子として機能しやすくなるため、前記後発泡性エアゾール組成物の流動性がより低下し、前記後発泡性エアゾール組成物のチクソトロピー性がより向上するという利点がある。
【0018】
前記セルロースの平均重合度(DP)の調整は、原料となる天然セルロース又は再生セルロースの加水分解処理の程度を調整することによりなし得る。
【0019】
尚、前記セルロースの平均重合度(DP)は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。
【0020】
前記セルロースは、結晶化率が50%以下である。好ましくは、結晶化率が30%以下であり、より好ましくは1〜30%である。
前記セルロースの結晶化率が50%を超える場合には、前記セルロースの微粒子が前記後発泡性エアゾール組成物中で均一に分散しにくくなるおそれがある。
【0021】
前記セルロースの結晶化率が30%以下であることにより、前記セルロースの微粒子が前記後発泡性エアゾール組成物中でより均一に分散しやすくなるという利点がある。また、前記セルロースの結晶化率が1%以上であることにより、前記セルロース微粒子の水溶性が低下し、流動性を抑制し得る微粒子として機能しやすくなるため、前記後発泡性エアゾール組成物の流動性がより低下し、前記後発泡性エアゾール組成物のチクソトロピー性がより向上するという利点がある。
【0022】
また、前記セルロースの結晶化率におけるI型結晶成分及びII型結晶成分の割合は、特に限定されるものではないが、I型結晶成分の量が好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下であり、II型結晶成分の量が好ましくは40%以下、好ましくは30%以下である。
【0023】
前記セルロースの結晶化率を調整するため、原料セルロースの結晶化率を調整する方法としては、例えば、セルロースを溶解させうる溶媒(硫酸、ジメチルアセトアミド、銅エチレンジアミン錯体)等を適宜選択する方法、セルロースを溶解させうる溶媒の量を調整する方法、セルロースを溶解させうる溶媒にセルロースを一旦溶解させてその溶解時間を調整する方法、その後セルロースを再沈殿によって再生させるときの溶媒の種類や量を適宜選択する方法などが挙げられる。具体的には、例えば、セルロースを溶解させうる溶媒にセルロースを溶解させる時間を長くすると前記セルロースの結晶化率が低下し、セルロースを再沈殿によって再生させるときの溶媒の量を多くすると前記セルロースの結晶化率が低下し得る。
【0024】
尚、前記セルロースの結晶化率は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。
【0025】
前記セルロースの微粒子としては、前記セルロースのみで構成されたセルロース微粒子が挙げられる。また、前記セルロースを少なくとも一部に有して構成されたセルロース微粒子も挙げられる。
【0026】
前記セルロースの微粒子は、平均粒子径が5μm以下である。好ましくは、平均粒子径が5〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
前記セルロースの微粒子の平均粒子径が5μmを超える場合、分散媒体中で直ちに沈殿し、流動性が高まり、チクソトロピー性が低下する。従って、前記後発泡性エアゾール組成物が充填されたエアゾール容器を上下反対にして噴射しようとしても前記後発泡性エアゾール組成物が流動し、噴射できなくなるおそれがある。
前記セルロースの微粒子の平均粒子径が5nm以上であることにより、前記セルロースの微粒子を製造時における微粒子の捕集効率が低下しにくいという利点がある。また、流動性を抑制し得る微粒子として機能しやすくなるため、前記後発泡性エアゾール組成物の流動性がより低下し、前記後発泡性エアゾール組成物のチクソトロピー性がより向上するという利点がある。また、前記セルロースの微粒子の平均粒子径が500nm以下であることにより、前記後発泡性エアゾール組成物の噴霧状態がより良好になり、噴射された後の泡もちがより良好になるという利点がある。
【0027】
前記セルロースの微粒子の平均粒子径は、例えば、前記セルロースの微粒子を超高圧ホモジナイザーなどによって水中で分散させるときのせん断力、せん断力を与える回数等を変えることにより調整できる。具体的には、せん断力を大きくし、せん断力を与える回数を増やすことにより、前記セルロースの微粒子の平均粒子径を小さくすることができ、せん断力を小さくし、せん断力を与える回数を少なくすることにより、前記セルロースの微粒子の平均粒子径を大きくすることができる。
【0028】
尚、前記セルロースの微粒子の平均粒子径は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。
【0029】
前記セルロースの微粒子は、前記後発泡性エアゾール組成物に0.35重量%以上含有されていることが好ましく、0.40重量%以上含有されていることがより好ましく、0.60重量%以上含有されていることがさらに好ましい。また、1.25重量%以下含有されていることが好ましく、1.0重量%以下含有されていることがより好ましい。
前記セルロースの微粒子が0.35重量%以上含有されていることにより、前記後発泡性エアゾール組成物がより流動しにくくなり、上述したチクソトロピー性がより顕著になるという利点があり、1.25重量%以下含有されていることにより、前記後発泡性エアゾール組成物がより噴射されやすくなり、上述したチクソトロピー性がより顕著になるという利点がある。
【0030】

本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、前記セルロースの微粒子が含有されているため、比較的低いずり応力では粘度が低下しにくい一方で、噴射剤の圧力と外気の圧力との圧力差に起因する比較的高いずり応力によって粘度が急激に低下するチクソトロピー性を有し得る。従って、流動しにくいにもかかわらず良好に噴出され、しかも噴出された後は再び粘度が上昇し被噴射物の表面に保持され得る。即ち、噴射時には低粘度化して良好に噴射され、噴出後に応力が低下すると再び粘度が上昇し、被噴射物表面での組成物の液だれが起こり難い。
【0031】
なお、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物において“流動しにくい”とは、詳しくは、容器に入れられた後発泡性エアゾール組成物が上下反対にされた時のように、比較的低いずり応力を受けるときに流動しにくいことを意味している。
【0032】
前記非イオン界面活性剤は、前記後発泡性エアゾール組成物に0.15〜1.5重量%含有されている。
【0033】
本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されているため、前記後発泡性エアゾール組成物が噴射された後の噴射剤の膨張に伴って泡が生じ得る。
しかも、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、前記セルロースの微粒子をも含有されているため、噴射された直後における噴射剤の急激な膨張が抑制され、噴射された後に噴射剤が比較的低速度で膨張し始め得ることに伴い、前記非イオン界面活性剤によって泡を生じ、後発泡性を示す。さらには、生じた泡の破泡が前記セルロースの微粒子により抑制され、泡もちも良好となる。
また、前記非イオン界面活性剤の配合量が1.5重量%以下であるため、前記セルロースの微粒子によるチクソトロピー性の発現が阻害されにくく、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物が流動しにくい。
【0034】
前記非イオン性界面活性剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。
なかでも、起泡性が良好で、前記セルロース微粒子によるチクソトロピー性の発現が阻害されにくいという点、前記セルロース微粒子と液化ガスなどの噴射剤とを安定的に分散させ得るという点で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてのイソステアリン酸デカグリセリルが好ましい。
【0035】
前記噴射剤としては、通常、プロパン及びブタンを含む液化ガス(LPG)が挙げられる。他にも、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素(N2)、アルゴン、酸素(O2)、フロン等の単独物、又は2種以上の混合物(例えば空気)が挙げられる。前記噴射剤としては、汎用性が高いという点で液化ガスが好ましい。
【0036】
前記噴射剤の配合量は、特に限定されないが、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物に40〜60重量%含有されていることが好ましい。
【0037】
なお、前記噴射剤は、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物においては、前記非イオン性界面活性剤によって均一に分散され得る。従って、前記非イオン性界面活性剤、前記噴射剤、及び前記セルロースの微粒子が均一に分散され得るため、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、上述したように、噴射された後の前記噴射剤の膨張に伴って、前記非イオン性界面活性剤及び前記セルロースの微粒子が密接に関わりながら作用し、後発泡性を示し、泡もちが良好となる。
【0038】
本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、前記セルロースの微粒子を分散させる液状分散媒体を含み得る。前記液状分散媒としては、通常、水が挙げられる。また、水溶性有機溶媒を含んだものが挙げられる。
前記水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1−4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、カルビトール類等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、本発明の効果を損わない範囲内において、添加物として、金属酸化物、金属、無機塩、シリカ系化合物などの無機化合物を含み得る。また、添加物として、オイル類、ガム類、ラテックス類、水溶性高分子類などの有機化合物を含み得る。その他、具体的な用途で分類される化粧品用途における有効成分、保湿剤、紫外線遮蔽剤、抗菌防腐剤など、又は医薬品用途における医薬、又は殺虫防虫用途における殺虫防虫剤、又は家庭用品用途における脱臭剤、その他、香料、染料、顔料等を含み得る。
【0040】
以下に、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物に配合可能な添加物を具体的に記載する。
【0041】
前記金属酸化物としては、二酸化チタン、アルミナ、二酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等が挙げられるがこれらに限定されない。前記金属酸化物としては、噴射性能を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。
【0042】
前記無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸アンモニウム、リン酸カルシウム等が挙げられ、前記後発泡性エアゾール組成物の分散媒体に可溶なものを任意に採用することができるが、これらは配合量によっては前記セルロースの微粒子を強く凝集させる性質をもっているため、その配合量は、噴射性能に悪影響を及ぼさない程度に調節され得る。
【0043】
前記金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等の金属から自由に選ぶことができ、その形状としては、噴射性能を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつ微粒子状であることが望ましい。
【0044】
前記シリカ系化合物としては、ゼオライト、モンモリロナイト、アスベスト、スメクタイト、マイカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられるが、これらに限定はされない。その形状としては、噴射性能を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化された微粒子状であるものが望ましい。
【0045】
前記オイル類としては、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、月見草油、ミンク油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、カカオ油、ヤシ油、コメヌカ油、オリーブ油、アーモンド油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、パーム油、パーム核油、卵黄油、ラノリン、スクワレン等の天然動植物油脂類;合成トリグリセライド、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン 等の炭化水素類;カルナバウロウ、パラフィンワック ス、鯨ロウ、ミツロウ、キヤンデリラワックス、ラノリン等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸類;コレステリル−オクチルドデシル−ベヘニル等のコレステロールおよびその誘導体;イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルステアリン酸、2−エチルヘキサン酸グリセロール、ブチルステアリン酸等のエステル類;ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、リノール酸エチル等の極性オイル;その他アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、片末端反応性シリコーン、異種官能基変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、フッ素変性シリコーン等、より具体的にはシリコン樹脂、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルション、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等の各種誘導体を含むシリコーン類等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
前記ガム類としては、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエン共重合系ラテックス、アクリル系ラテックス等を挙げることができるが、乳化重合によって得られる高分子ラテックスであればこれらに限定されるものではない。
【0048】
前記水溶性高分子類としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アルギン酸、ポリデキストロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
化粧品用途における前記有効成分としては、アルブチン、コウジ酸、リン酸アスコルビン酸マグネシウムなどのアスコルビン酸およびその誘導体、グルタチオン、甘草エキス、チョウジエキス、茶抽出物、アスタキサンチン、牛胎盤エキス、トコフェロールおよびその誘導体、トラネキサム酸およびその塩、アズレン、γ−ヒドロキシ酪酸等の美白成分、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸等の有機酸、ビタミンB6塩酸塩、ビタミン6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステル等のビタミンC類、αトコフェロール、βトコフェロール、γトコフェロール等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイノシトール、サポニン類(キラヤサポニン、アズキサポニン、ヘチマサポニン等)トラネキサム酸、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラ ジオール、セファランジン、プラセンタエキス、センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノールなどの血行促進剤、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどの局所刺激剤;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘 導体、塩化カルプロニウム、ノニル酸ワニリルアミド、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸などの収斂剤、メントール、カンフルなどの清涼剤、抗ヒスタミン剤、高分子シ リコーン、環状シリコーン等のシリコン系物質、トコフェロール類、没食子酸などの酸化防止剤等の各種薬剤;サッカロマイセスなどの酵母、糸状菌、バクテリア、牛胎盤、人胎盤、人臍帯、小麦、大豆、牛血液、ブタ血液、鶏冠、カミツレ、キュウリ、コメ、シアバター、シラカバ、茶、トマト、ニンニク、ハマメリス、バラ、ヘチマ、ホップ、モモ、アンズ、レモン、キウイ、ドクダミ、トウガラシ、クララ、ギシギシ、コウホネ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、アロエベラ、オウゴン、オウバク、コウカ、ベニバナ、サンシン、シコン、タイソウ、チンピ、ニンジン、ヨクイニン、ハトムギ、クチナシ、サワラ等の動植物・微生物およびその一部から有機溶媒、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコール等で抽出または加水分解して得た天然エキス等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
化粧品用途における前記保湿剤としては、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ、クエン酸ソーダなど有機酸およびその塩、ヒアルロン酸ソーダなどヒアルロン酸およびその塩、酵母および酵母抽出液の加水分解物、酵母培養液、乳酸菌培養液など醗酵代謝産物、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性蛋白、コラーゲン加水分解物、カゼイン加水分解物、シルク加水分解物、ポリアスパラギン酸ナトリウム等のぺプチド類およびその塩、トレハロース、キシロビオース、マルトース、蔗糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖等の糖類・多糖類およびその誘導体、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩等のグリコサミノグリカンおよびその塩、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸、アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、トリメチルグリシン、尿素、尿酸、アンモニア、レシチン、ラノリン、スクワラン、スクワレン、グルコサミン、クレアチニン、DNA、RNA等の核酸関連物質等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、リジンなどの公知のアミノ酸が採用され得る。
【0051】
化粧品用途における前記紫外線遮蔽剤としては、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、ホモメチル−7N−アセチルアラントイラニレート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート等のパラメトキシケイ皮酸誘導体、アミルサリシレート等のサリチル酸誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル、酢酸液状ラノリン、コガネバナ根抽出エキス、トリアニリノ−p−カルボエチルヘキシルオキシートリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
化粧品用途における前記抗菌防腐剤としては、安息香酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩類、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、レゾルシン、トリブロムサラン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、チラム、感光素201号、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニド、酢酸トコフェロール、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシフェノール、ヘキサクロロフェン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、医薬品用途でも用いられ得る。
【0053】
医薬品用途における前記医薬としては、漢方医薬品を含むすべての薬効のある薬剤を挙げることができるが、薬剤の薬効は共存する化合物によって大きく変動し得るため、組成物の配合においては、通常、適宜適切な処方を組む。
【0054】
殺虫防虫用途における前記殺虫防虫剤としては、代表的なものとして、ショウノウ、ナフタリン、パラジクロルベンゼン、パラフォーム、クロルピクリン、除虫菊、スルホンベンズアルデヒド類、フェニルメタン系化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
家庭用品用途における前記脱臭剤としては、活性炭をはじめとする固体および溶解性の脱臭効果を有する化合物を挙げることができるが、固体成分を配合する場合には、噴射特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。
【0056】
前記香料としては、公知のすべての香料原料が挙げられ得るが、組成物の配合成分の中で匂いを打ち消す効果が少ないような処方を選定することが望ましい。
【0057】
前記染料、前記顔料としては、繊維染色、各種印刷、コピー、筆記具等の分野で一般的に使用される染料や顔料の任意のものが用いられ得る。なお、着色能を有する色材であればこれらに限定されるものではない。
【0058】
次に、本実施形態の後発泡性エアゾール組成物の製造方法について説明する。本実施形態の後発泡性エアゾール組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0059】
前記セルロースの微粒子は、例えば、セルロースを溶解させ得る溶媒にセルロースを主成分とする原料を一旦溶解させ、セルロースが溶解しているこの溶液を、セルロースが溶解しない溶媒に投入してセルロース凝集させ、続いて凝集したこのセルロースを粉砕処理することにより調製できる。
【0060】
前記セルロースを溶解させ得る溶媒としては、例えば、硫酸、ジメチルアセトアミド、銅エチレンジアミン等が挙げられる。中でも、後の除去作業の簡便さ、残留分の人体への影響の少なさの観点から、硫酸が好ましい。
【0061】
前記セルロースを凝集させる方法としては、水等の溶媒中にセルロース溶液を投入してセルロースを得る再沈殿が挙げられる。セルロースを再沈殿させる溶媒としては、水や50重量%以下の濃度の水溶性アルコール水溶液等が挙げられる。中でも、後の除去作業の簡便さ、残留分の皮膚への悪影響の観点から、水が好ましい。なお、再沈殿されたセルロースは、通常、複数回洗浄される。
【0062】
再沈殿されたセルロースの粉砕処理としては、ビーズミル、ニーダー、ディスパー、ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等による粉砕処理が挙げられる。この粉砕処理は、粉砕効率の観点から、ホモジナイザー等で予備分散後、さらに超高圧ホモジナイザーによる粉砕処理が好ましい。
【0063】
続いて、本実施形態のエアゾール製品について説明する。本実施形態のエアゾール製品は、上述した後発泡性エアゾール組成物がエアゾール容器に充填されているものである。
【0064】
前記エアゾール製品は、通常、ボタンを押すことでバルブが開き、容器内で圧力をかけられている前記後発泡性エアゾール組成物がディップチューブを通ってボタンの孔から噴射されるものである。噴射された前記後発泡性エアゾール組成物は、上述したように、噴射された直後は発泡せず、噴射されてしばらく経ってから噴射剤の膨張によって発泡する。
詳しくは、前記後発泡性エアゾール組成物がチクソトロピー性を有するため、前記エアゾール容器を傾ける等による比較的低いずり応力では前記後発泡性エアゾール組成物が流動しないものの、噴射時におけるエアゾール容器内の圧力と外気圧との差圧に起因する比較的高いずり応力で前記後発泡性エアゾール組成物が低粘度化し、ディップチューブを通って前記後発泡性エアゾール組成物が噴射されることとなる。
【0065】
なお、前記エアゾール容器は、通常、キャップ、ボタン、バルブ、ディップチューブ、耐圧容器(エアゾール缶等)などで構成されている。
【0066】
前記エアゾール製品は、上記の実施形態の後発泡性エアゾール組成物を従来公知の一般的な方法によって、前記エアゾール容器に充填することにより製造することができる。
【0067】
本発明は、上記例示の後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品に限定されるものではない。
また、一般の後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明する。
【0069】
<セルロースの微粒子の調製>
(1)セルロースの微粒子の分散体の調製
シート状の精製パルプを5mm×5mmのチップに切断した重合度760の原料パルプ(以下、単に精製パルプという)を、−5℃でセルロース濃度が5重量%になるように65重量% 硫酸水溶液に溶解して、透明かつ粘調なセルロースドープを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量の水中(5℃)に撹拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に凝集させ、フロック状固体の分散液を得た。この懸濁液を、85℃で20分間の条件で加水分解処理し、ガラスフィルターを用いた減圧ろ過により分散媒である硫酸水溶液を除去し、ついで洗液のpHが3程度になるまで十分に水洗と脱水とを繰り返した後、pHが約11のアンモニア水溶液で洗浄(中和)した後、さらにイオン交換水で水洗し、セルロース濃度が6.0重量%の半透明白色のゲル状物を得た。
得られたゲル状物に、セルロース濃度が4重量%となるようにイオン交換水を添加し、ホモミキサー(特殊機化社製、機種名:TKロボミックス)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、引き続いて、超高圧ホモジナイザー(みづほ工業社製、機種名:マイクロフルイダイザーM−110−E/H)を用いて1.72×108Paの圧力下で5回処理し、透明性の高いセルロース微粒子の水分散体(pH=6.7)を得た。このセルロース微粒子の水分散体を試料A(セルロース固形分4重量%)とする。
【0070】
(2)セルロースの平均重合度の測定
前記(1)で得られたゲル状のセルロース微粒子の分散体を、70℃で乾燥させた。乾燥させたセルロース微粒子 200mg、400mg、600mg、800mgまたは1000mgを、カドキセン 50mlに溶解して得られた希薄セルロース溶液の25℃における比粘度をウベローデ型粘度計を用いて測定し、極限粘度数ηを、濃度0に外挿したときの比粘度として算出した。ついで、得られた極限粘度数ηに基づき、式(I):
η=3.85×10-2×Mw0.76 (I)
(式中、Mwは、重量平均分子量を示す)
と、式(II):
平均重合度=Mw/162 (II)
(式中、Mwは、重量平均分子量を示す)
とにより、平均重合度を算出した。
その結果、試料Aのセルロースの平均重合度は、40であった。
【0071】
(3)セルロースの結晶化率の測定
前記(1)で得られたゲル状のセルロース微粒子の分散体を、70℃で乾燥させた後、粉砕し、錠剤に成形して、線源CuKα、反射法での広角X線回折法(リガク社製、RINT−ULtimaIII)により得られた回折図において、セルロースI型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=15.0°における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1から下記(III)式よりセルロースI型結晶成分の分率(χI)を求めた。同様に、前記回折図において、セルロースII型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=12.6°における絶対ピーク強度h0*と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*から下記(IV)式よりセルロースII型結晶成分の分率(χII)を求めた。
χI=h1/h0 (III)
χII=h1*/h0* (IV)
そして、セルロースI型結晶成分の分率(χI)とセルロースII型結晶成分の分率(χII)とを用い、下記(V)式よりセルロースの結晶化率を求めた。
結晶化率(%)=(χI+χII)×100 (V)
その結果、試料Aのセルロースの結晶化率は、20(%)であった。
【0072】
(4)セルロース微粒子の平均粒子径の測定
前記(1)で得られたセルロース微粒子の分散体を、1.5重量%濃度となるように、水で希釈し、続いて超高圧ホモジナイザー(マイクロフルタイザーM−110−E/H、圧力:100MPa)により超高圧分散処理した。得られた分散液を、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA(日機装社製)で平均粒子径を測定した。なお、平均粒子径としては、体積基準径における50%径である累積中位径(メジアン径)を採用した。
その結果、試料Aのセルロースの微粒子の平均粒子径は、20nmであった。
【0073】
上記のセルロース微粒子の水分散体(試料A)を用いて、実施例1〜12、及び比較例1〜9の後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品を製造した。各実施例、比較例における配合組成を表1に示す。
【0074】
(実施例1)
表1の配合組成に従い、試料Aと、非イオン界面活性剤としてのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(平均付加E.O. 60モル 第一工業製薬社製 商品名「ノイゲンHC−600」と、精製水とをホモミキサー(特殊機化社製、機種名:TKロボミックス)を用いて10,000rpmの回転速度で10分間撹拌したものをエアゾール容器(東京高分子社製 100mLエアゾール缶)に充填し、エアゾールバルブ装着の直前にLPGを充填し、エアゾール製品を製造した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
(実施例2〜8,13〜14)
表1に示す配合組成とした点以外は、実施例1と同様にして後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品を製造した。
【0079】
(実施例9〜12)
非イオン界面活性剤としてイソステアリン酸デカグリセリルを用いた点、その他、表1に示す配合組成とした点以外は、実施例1と同様にして後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品を製造した。
【0080】
(比較例1〜9)
表1に示す配合組成とした点以外は、実施例1と同様にして後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品を製造した。なお、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、下記のものを用いた。
・キサンタンガム 商品名「エコーガム」 大日本住友製薬社製
・ヒドロキシプロピルセルロース 試薬 東京化成工業社製
【0081】
<噴射性能の評価>
製造したエアゾール製品を用いて、内容物を噴射させ、噴霧状態、液だれ性、起泡性、泡もち、上下反対向きでの噴射の可否について目視にて評価した。各評価項目は、最良(◎)、良(○)、やや悪(△)、悪(×)の4段階で評価した。
噴霧状態は、噴射時に細かい霧状となるものを最良(◎)、噴射できないものを悪(×)として評価した。
液だれ性は、次のようにして評価した。即ち、18cm×18cmの曇りガラス板を垂直に立て、水平距離で20cm離れた位置からガラス板に向けて1回噴射し、さらに噴射を数回行い、ガラス面において隙間のないようになるまで噴射を続け、ガラス面上での液だれ性を噴射ごとに観察し、複数回の噴射によっても全く液だれが起こらないものを最良(◎)、1回の噴射でも液だれが起こるものを悪(×)として評価した。
起泡性は、噴射1秒後の泡の量が多いものを最良(◎)、泡がたたないものを悪(×)として評価した。
泡もちは、噴射1秒後の泡の量と30秒後の泡の量とが変わらないものを最良(◎)、
30秒後の泡が消滅したものを悪(×)として評価した。
【0082】
<流動性の評価>
流動性の評価を上下反対向きでの噴射の可否で実施した。エアゾール容器を上下反対にして噴射したときに連続噴射できるものを最良(◎)、噴射自体はできるものを良(○)、噴射できずに流れるものを悪(×)として評価した。
【0083】
各実施例と比較例6,7との比較から、非イオン界面活性剤を0.15〜1.5重量%含有する後発泡性エアゾール組成物を用いたエアゾール製品は、後発泡性及び良好な噴射性能を有することが認識できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の後発泡性エアゾール組成物及びエアゾール製品は、化粧品用途、医薬品用途、防虫殺虫剤用途、一般家庭用品用途などで好適に用いられ得る。具体的には、ヘアスプレー、シェービングフォーム、ゴキブリ用殺虫剤などとして好適に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が5μm以下で、平均重合度(DP)が100以下で、結晶化率が50%以下であるセルロースの微粒子と、非イオン界面活性剤と、噴射剤とを含有する後発泡性エアゾール組成物であって、
前記非イオン界面活性剤が0.15〜1.5重量%含有されていることを特徴とする後発泡性エアゾール組成物。
【請求項2】
前記セルロースの微粒子が0.35〜1.25重量%含有されている請求項1記載の後発泡性エアゾール組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の後発泡性エアゾール組成物がエアゾール容器に充填されていることを特徴とするエアゾール製品。

【公開番号】特開2010−18645(P2010−18645A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177745(P2008−177745)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】