説明

後部スカットルを組み込んだ自動車のエンジンフード

【課題】エンジンフードにスカットル領域を組み込むことによって、車両の前方領域を軽量化することができる自動車のフードを提供する。
【解決手段】本発明は、外皮2とフードの裏板部材3とを含む自動車のフード1に関し、フードの裏板部材3に結合される後部ケーソン4を含み、前記後部ケーソンは、フードが前記車両に組み付けられると車両のフロントガラス5の基部にくるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後部スカットル(auvent arriere)を組み込んだ自動車のエンジンフード(capot)に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフードは、一般に、外皮(peau exterieure)、補強用の裏板部材(doublure)、ヒンジ領域用の局部的な補強部材、ロック(serrure)、セーフティフック、およびステー(bequille)からなることが知られている。使用材料は、大量生産に適した鋼もしくはアルミニウムである。
【0003】
フード後部で、フロントガラスの下部に配置されるスカットル領域は、様々な鋼板パネルから構成される。こうしたスカットル領域は、排水可能であって、車室への空気の案内の役割を果たす。さらに、この領域は、ワイパ機構、ブレーキオイルタンク、花粉(pollen)フィルタを支持する。
【0004】
しかしながら、スカットル領域は、構造的な領域ではなく、ボディの剛性にほとんど貢献しないので、鋼板の使用は、車両メーカーがむしろ軽量化を求める領域である車両前部に、不必要な質量を付加するだけである。
【0005】
しかも、スカットル領域は、歩行者の頭部を負傷させることが多い領域である。
【0006】
その上、スカットル領域の構成部品は、車体(ferrage)に組み付けられて溶接されるので、電気泳動時から既に存在し、たとえば車室からエンジンルームに及ぶハーネスやケーブル外装全体を通す際のアクセスが容易ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、エンジンフードにスカットル領域を組み込むことによって、上記の不都合を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明が目的とする自動車のフードは、外皮とフードの裏板部材とを含んでおり、フードの裏板部材に結合される後部ケーソン(caisson arriere)を含み、前記後部ケーソンは、フードが前記車両に組み付けられると、車両のフロントガラスの基部にくるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
このようにして、フードの裏板部材と一体にする溶接、あるいはこの裏板部材への組立による、フードへのスカットル領域の組込により、車両の前方領域を軽量化することができる。
【0010】
さらに、本発明によるフードにより、スカットル領域の部品は、もはや取付時に車両に組み付けられるのではなく、フード組付段階で車両に付加される。従って、これらの部品は、ケーブル等の他の部材の位置決めの際にもはや問題化することはない。
【0011】
フードにこれらの部品を組み込むことにより、歩行者の頭部保護のために、垂直方向にスカットル領域を柔軟にすることが同様に可能になる。
【0012】
しかも、本発明によるフードでは、腐食問題が全く発生しない。
【0013】
特定の実施形態では、ケーソンは、雨水を回収できるように、また、ワイパのモータと、場合によっては破断(rompre)に適したワイパ軸支持体とを支持できるように寸法決定される。
【0014】
そのため、フードは、多数の機能を果たすことができるケーソンを後部に含む。
【0015】
有利には、ケーソンは、また、ブレーキオイルタンクおよび/または花粉フィルタを収容できるように寸法決定される。
【0016】
このように装備されたケーソンは、車両の主要組立ラインの外側で準備可能であるので、製造コストを節約できる。
【0017】
本発明は、単一図面である本発明によるフードの長手方向断面図を参照しながら、例としてのみ挙げられた以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図では、固定フード、すなわちメンテナンス時しか開かないフード1を示した。
【0019】
フード1は、外皮2とフードの裏板部材3とを含み、外皮2は、アルミニウム製である。
【0020】
フードは、また、フードの裏板部材3に結合されて後部ケーソンをなすスカットル4を含み、スカットルは、車両にフードが取り付けられると、前記車両のフロントガラス5の基部にくるように構成されている。
【0021】
フードの裏板部材3とスカットル4とは、鋳造により一体に製造される。
【0022】
スカットル4は、フードの外皮2と同高のスカットルカバー6で被覆される。
【0023】
フードの外皮2は、また、車両前方に配置されるバンパー外皮7とも同高に配置される。
【0024】
スカットル4は、雨水を回収できるように、また、可溶性(fusible)の、すなわち場合によっては破断に適した、ワイパモータ軸の支持体8を支持できるように寸法決定される。
【0025】
スカットル4は、また、ブレーキオイルタンク9と花粉フィルタ10とを収容できるように寸法決定される。
【0026】
スカットルはまた、ワイパのモータ11を支持するように寸法決定される。
【0027】
本発明は、上記の実施形態に制限されるものではないことに留意されたい。図示されていない変形実施形態では、スカットル4は、たとえば、貼り合わせにより裏板部材に組み付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるフードの長手方向断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 フード
2 外皮
3 裏板部材
4 スカットル
5 フロントガラス
6 スカットルカバー
7 バンパー部材
8 支持体
9 ブレーキオイルタンク
10 花粉フィルタ
11 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮(2)とフードの裏板部材(3)とを含む自動車のフード(1)であって、フードの裏板部材(3)に結合される後部ケーソン(4)を含み、前記後部ケーソンは、フードが前記車両に組み付けられると、車両のフロントガラス(5)の基部にくるように構成されていることを特徴とする、フード。
【請求項2】
後部ケーソン(4)が、雨水を回収できるように、また、ワイパのモータ(11)と、場合によっては破断に適したワイパ軸支持体(10)とを支持できるように寸法決定された、請求項1に記載のフード。
【請求項3】
後部ケーソン(4)が、ブレーキオイルタンク(9)および/または花粉フィルタ(10)を収容できるように寸法決定された、請求項1または2に記載のフード。

【図1】
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