説明

後部車体構造

【課題】自動車の車体のねじり剛性を効率的に向上することができる後部車体構造、ひいては、高張力鋼板を用いた薄肉化による車体軽量化を効率的に向上できる後部車体構造を提供すること。
【解決手段】フロアパネルと、左右のリアピラーと、居室とトランクルームとの間に形成されたシートバックサイドパネル40L、40Rと、リアクロスメンバ16とを備えた後部車体構造であって、前記シートバックサイドパネル40L、40Rの前記居室側に配置される第1の補強部材71と、前記シートバックサイドパネル40L、40Rと前記第1の補強部材71とを連結する連結部材75A、75Bと、前記シートバックサイドパネル40L、40Rの前記トランクルーム側に配置される第2の補強部材72とを備え、前記第2の補強部材72は、下部が前記リアクロスメンバ16に支持されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用車体の剛性を向上するための後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車の燃費や運動性能の向上、安全対策や装備充実にともなう重量増加を吸収するために、自動車の軽量化が求められており、そのために、例えば、高張力鋼板を用いた車体構造の薄肉化による車体の軽量化が進められている。
例えば、590MPa級高張力鋼板を用いて車体を軽量化した場合、車体強度を確保しつつ従来鋼板と比較して約40%程度の軽量化が実現可能とされ、非常に大きな成果を期待することができる。
【0003】
一方、自動車は、走行中に路面の凹凸から受ける力や路肩等に乗り上げた場合の衝撃等、種々の力を受けるため、車体強度に加えてねじり剛性が必要とされるが、高張力鋼板を用いて車体構造を薄肉化すると、車体強度が確保されても、ねじり剛性は、一般的に低下する。
これは、温度履歴や成分等により鋼板の引張強度が向上しても、鉄のヤング率は一定であるため、車体構造が薄肉化されると、断面二次極モーメントが小さくなり、その結果、ねじり剛性が低下するためである。
したがって、車体を薄肉化して軽量化する場合、ねじり剛性を向上することが必要である。
【0004】
車体のねじり剛性の評価は、例えば、図8に示すようなねじり剛性測定方法を用いて、図9に示すようなねじれ角又はねじれ角に対応する荷重を測定して行なう。
図8は、ホワイトボディ(車体)100のねじり剛性測定方法を示す概念図を、図9は、リアアクスルセンタ100Rを基準とするフロントアクスルセンタ100Fのねじれに基づくねじり剛性を説明する図である。
【0005】
ねじり剛性の測定は、例えば、図8(A)に示すように、ホワイトボディ100をリアアクスルセンタ(リアの車軸位置)100RでリアストラットRにより固定し、フロントストラットFを介してフロントアクスルセンタ(フロントの車軸位置)100Fにねじりトルクを負荷して得られる平均的なねじり剛性値GJにより評価される。(G;横弾性係数、J;断面極二次モーメント)
【0006】
フロントアクスルセンタ100Fに対するねじりトルクTは、例えば、図8(B)に、図8(A)におけるY−Y矢視図として示すように、左右のフロントストラットFL、FRにそれぞれダミーバー101の上端を取り付け、ダミーバー101の下端を取付けたシーソ台102を軸芯O周りに回動することにより負荷される。
【0007】
ねじり剛性値GJは、図9に、図8(A)におけるX−X矢視図として示すように、フロントアクスルセンタ100FにねじれトルクTを負荷した際に生じるフロントアクスルセンタ100Fにおける車体の左右の変位δL、δRに基づいて算出される。なお、図9において、二点鎖線及び実線で示した100Dは、それぞれねじりトルクTを負荷する前後のフロントアクスルセンタ100Fにおける車体(外形)を示している。
ここで、ねじりトルクTによるねじれ角θ(rad)は小さいので、
θ≒tanθ=((δL+δR)/B) ;(Bは、フロントアクスルセンタ100FにおけるねじりトルクT負荷に係る車体幅寸法)と近似することができるため、
ねじり剛性値GJ=(T/(θ/ホイールベース長さL))
=(T・B・ホイールベース長さL)/(δL+δR)
となる。(例えば、「自動車の強度」(株式会社 山海堂 1990年10月30日 第2刷発行)参照)
【0008】
上記車体のねじり剛性の向上に関して、後部車体構造に着目した技術として、例えば、特許文献1〜4に示すような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−276865号公報
【特許文献2】特開平2006−256351号公報
【特許文献3】特開2006−193047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、車体構造の薄肉化により軽量化を推進するためには、上記先行技術等だけでは充分とはいえず、高張力鋼板の将来の強度向上を睨んださらに有効な技術に対する強い要請がある。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、自動車の車体のねじり剛性を効率的に向上することができる後部車体構造、ひいては、高張力鋼板を用いた薄肉化により、車体軽量化を効率的に向上できる後部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、フロアパネルと、前記フロアパネルの左右部分に形成されたリアホイールハウスと、前記リアホイールハウスに対応して設けられたストラットタワーと、前記リアホイールハウスのそれぞれに接続された左右のリアピラーと、居室とトランクルームとの間に形成されたシートバックサイドパネルと、前記シートバックサイドパネルの後方において前記左右のリアピラーを連結するリアクロスメンバとを備えた後部車体構造であって、前記シートバックサイドパネルの前記居室側に配置される第1の補強部材と、前記シートバックサイドパネルと前記第1の補強部材とを連結する連結部材と、前記シートバックサイドパネルの前記トランクルーム側に配置される第2の補強部材と、を備え、前記第2の補強部材は、下部が前記リアクロスメンバに支持されるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る後部車体構造によれば、シートバックサイドパネルの居室側に配置される第1の補強部材と、シートバックサイドパネルを挟んでシートバックサイドパネルのトランクルーム側に配置される第2の補強部材とを備え、第2の補強部材がリアクロスメンバに支持されているので、シートバックサイドパネルの面外変形が抑制され、ねじり剛性を向上することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の後部車体構造であって、前記第2の補強部材は、前記シートバックサイドパネルと、前記リアクロスメンバを挟んで支持することを特徴とする。
【0015】
この発明に係る後部車体構造によれば、シートバックサイドパネルが、リアクロスメンバを挟んで第2の補強部材により支持されるので、シートバックサイドパネルに、車体前後方向の荷重が加わるのを抑制することができる。その結果、ねじり剛性を効率的に向上することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の後部車体構造であって、前記第2の補強部材は、前記リアクロスメンバの上部に当接して、前記シートバックサイドパネルを支持することを特徴とする。
【0017】
この発明に係る後部車体構造によれば、シートバックサイドパネルが、リアクロスメンバの上部に支持された第2の補強部材により支持されるので、シートバックサイドパネルに、車体前後方向の荷重が加わるのを抑制することができる。その結果、ねじり剛性を効率的に向上することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の後部車体構造であって、前記第2の補強部材は、前記シートバックサイドパネルの上端部まで延在していることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る後部車体構造によれば、第2の補強部材が、シートバックサイドパネルの上端部まで延在しているので、シートバックサイドパネル全長にわたって剛性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る後部車体構造によれば、自動車の車体のねじり剛性を効率的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車体の全体構造の概略を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る後部車体構造の概略を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る補強構造を示す図であり、(A)は側面視した図を、(B)は横断面を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る補強構造を示す図であり、(A)は側面視した図を、(B)は横断面を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係る補強構造を示す図であり、(A)は側面視した図を、(B)は横断面を示す図である。
【図6】第4の実施形態に係る補強構造を示す図であり、(A)は側面視した図を、(B)は横断面を示す図である。
【図7】この発明に係る後部車体構造の変形例を説明する図である。
【図8】車体のねじり剛性測定方法の一例を示す概略図であり、(A)は車体構造の長手方向における荷重を負荷する位置を、(B)は、(A)におけるY−Y矢視図であり、車体の幅方向におけるトルク発生の概略を説明する図である。
【図9】車体のねじり剛性を説明する図であり、図8(A)におけるX−X矢視図であり、ねじりトルクを負荷する前後の車体の変位及びねじれ角を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車体構造の概略を示す図であり、符号1は、例えば、モノコックボディに係る車体構造を、符号10は後部車体構造を示している。
車体構造1は、構成する部材が、例えば、590MPa級高張力鋼により形成され、特に記載をしない場合、各部材は、スポット溶接により接続されている(なお、スポット溶接に関しては、適宜記載する。)。
【0023】
後部車体構造10は、図2に示すように、例えば、フロアパネル15と、リアホイールハウス20と、リアクロスメンバ16と、リアストラットタワー25と、シートバックパネル40と、リアピラー50と、パーセルパネル60と、補強構造70とを備え、トランクスルー用の開口部41を有した構成とされている。
【0024】
リアクロスメンバ16は、この実施形態において、左右のリアピラー50をフロアパネル50上において連結するように形成されており、例えば、上方が細く形成された略台形形状とされている。なお、リアクロスメンバ16は、フロアパネル50に連結した構成とされてもよいし、フロアパネル50に一体に成形された構成とされてもよい。
また、リアクロスメンバ16によって左右のリアピラー50を連結するのに代えて、左右のリアホイールハウス20同士を連結するように構成してもよい
【0025】
リアホイールハウス20は、左右のリアホイールハウス20L、20Rを備え、後部車体構造10の幅方向内方に膨出するとともに幅方向外方及び下方に開口して形成されている。
また、リアホイールハウス20L、20Rは、フロアパネル15の左右部分に形成されたリアホイールハウス20L、20Rと対応する凹周縁部に、例えば、スポット溶接により接続されている。
【0026】
リアストラットタワー25は、左右のリアホイールハウス20と対応して設けられており、この実施形態では、例えば、後部車体構造10の前後方向におけるリアホイールハウス20の中央位置(リアアクスルセンタ10R)に、幅方向におけるリアホイールハウス20L、20R内側位置に隣接して形成されている。
【0027】
シートバックパネル40は、この実施形態において、左右のシートバックサイドパネル40L、40Rと、上部壁部40Aとを備え、左右のシートバックサイドパネル40L、40Rは、例えば、プレス成形の際に、図3(B)に示すような凹凸の補強リブが、車体幅方向に繰り返し形成されていて、上縁部が上部壁部40Aに接続されている。
左右のシートバックサイドパネル40L、40Rは、それぞれ左右のリアピラー50及びリアホイールハウス20の前部上側(側部も含む)に、上方を後方に向けて立設されて、シートの後側を支持するようになっている。
【0028】
また、シートバックパネル40は、組立てられて車両を構成した際に、トランクルーム30の前部に位置して、居室とトランクルーム30とを区分する隔壁として機能するとともに、左右のシートバックサイドパネル40L、40R、上部壁部40A、及びフロアパネル15で囲まれた開口部41がトランクスルーを構成するようになっている。
【0029】
リアピラー50は、例えば、フロアパネル15の側部及びリアホイールハウス20の周縁部、及びシートバックパネル40に、スポット溶接により取り付けられている。
【0030】
パーセルパネル60は、上述のように左右のリアピラー50を連結する部材であり、前縁部がシートバックパネル40の上部壁部40Aに、例えば、スポット溶接により接続され、後部車体構造10の左右を架け渡す構成とされている。
【0031】
補強構造70は、図3に示すように、シートバックパネル40に設けられ、シートバックサイドパネル40L、40Rのそれぞれに対応する第1の補強部材71と、第2の補強部材72と、連結部材75A、75Bとを備え、シートバックサイドパネル40L、40Rの面外変形を抑制するようになっている。
【0032】
第1の補強部材71は、例えば、矩形形状の高張力鋼板から形成され、左右のシートバックサイドパネル40L、40Rに、連結部材75A、75Bを用いて、シートバックパネル40の居室側から連結されている。
【0033】
連結部材75Aは、例えば、ボルトからなり、第1の補強部材71とシートバックサイドパネル40L、40Rを上部にて連結し、連結部材75Bは、第1の補強部材71とシートバックサイドパネル40L、40Rを下部にて、リアクロスメンバ16に連結している。なお、第1の補強部材71をリアクロスメンバ16に締結、固定するのに代えて、スポット溶接やアーク溶接等により接合してもよい。
【0034】
第2の補強部材72は、例えば、矩形形状の高張力鋼板をプレス成形したものであり、側面視して、図3(A)に示すように、リアクロスメンバ16を挟んで、シートバックサイドパネル40L、40Rの下側部分に連結した状態で立設される湾曲形状を有し、長手方向と直交する横断面には凹凸からなる補強リブが形成されている。
【0035】
第2の補強部材72は、上部がシートバックサイドパネル40L、40Rに、ボルト等の締結部材(不図示)により連結されるとともに、下部がシートバックサイドパネル40L、40Rとともに、リアクロスメンバ16を挟持するようになっている。
なお、締結部材に代えて、例えば、スポット溶接により第2の補強部材72とシートバックサイドパネル40L、40Rとを取付けてもよい。
【0036】
また、第2の補強部材72は、例えば、図示しないボルトにより、リアクロスメンバ16に連結されている。
なお、第2の補強部材72をリアクロスメンバ16に固定するかどうかは、任意に設定可能であるが、例えば、ボルト等の締結部材やスポット溶接等の接合手段を用いて固定することが好適である。
【0037】
第1の実施形態に係る後部車体構造10によれば、補強構造70が、シートバックサイドパネル40L、40Rを第1の補強部材71と、第2の補強部材72により挟持してリアクロスメンバ16により支持するので、シートバックサイドパネル40L、40Rの面外変形が抑制され、ねじり剛性を向上することができる。
【0038】
後部車体構造10によれば、鋼板の厚みを平均的に30%薄肉化して軽量化した車体構造(車体強度は維持、ねじり剛性は50%低下)に、補強構造70を設けた場合に、1.07kgの重量増加により、ねじり剛性を3.72%向上できることを確認した。以上のように、小さな重量増加で、ねじり剛性を大きく向上することができる。
【0039】
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る後部車体構造11が、第1の実施形態と異なるのは、補強構造80を備えている点である。
補強構造80は、第2の補強部材72に代えて、例えば、図4(A)に示すように、シートバックサイドパネル40L、40Rの上部(例えば、パーセルパネル60がある上端部)まで延在する第2の補強部材81を備えている。その他は、第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
第2実施形態に係る後部車体構造11によれば、第2の補強部材81が、シートバックサイドパネル40L、40Rの上端部まで延在しているので、シートバックサイドパネル40L、40Rの全長にわたって面外変形が抑制され、その結果、車体のねじり剛性を向上することができる。
【0041】
後部車体構造11によれば、補強構造80を設けることで、1.26kgの重量増加により、ねじり剛性を4.99%向上できることを確認した。以上のように、ねじり剛性を大きく向上することができる。
【0042】
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る後部車体構造12が、第1の実施形態と異なるのは、補強構造85を備えている点である。
補強構造85は、第2の補強部材71に代えて、例えば、図5(B)に示すような、車体幅方向の両端部に後方に延在する補強リブ87を有する第2の補強部材86を備えている。
【0043】
第3実施形態に係る後部車体構造12によれば、第2の補強部材86に、車体後方に伸びるリブが両側部に形成されているので、第2の補強部材86の断面係数を大きく確保することができ、さらに効率的にねじり剛性を向上することができる。
【0044】
後部車体構造12によれば、補強構造85を設けることで、1.43kgの重量増加により、ねじり剛性を5.98%向上できることを確認した。以上のように、ねじり剛性をさらに向上することができる。
【0045】
次に、図6を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態に係る後部車体構造13が、第1の実施形態と異なるのは、補強構造90を備えている点である。
補強構造90は、第2の補強部材72に代えて、例えば、高張力鋼板を板金プレスにより成形された下側が後方に湾曲するとともに、リアクロスメンバ16の後方で前側に屈曲してリアクロスメンバ16の上部16Tに載置されるように形成された第2の補強部材91を備えている。
第2の補強部材91は、下部が、ボルト等の締結部材(不図示)により、リアクロスメンバ16の上部16Tに連結されるとともに、湾曲する位置の上側が、締結部材92により、第1の補強部材71とシートバックサイドパネル40L、40Rを挟んで連結されている。その他は、第1の実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
第4実施形態に係る後部車体構造13によれば、シートバックサイドパネル40L、40Rが、リアクロスメンバ16の上部16Tに支持された第2の補強部材91により支持されるので、重量増加を軽減しつつ効率的に面外変形を抑制することができる。その結果、ねじり剛性を効率的に向上することができる。
【0047】
後部車体構造13によれば、補強構造90を設けることで、1.27kgの重量増加により、ねじり剛性を4.77%向上できることを確認した。以上のように、ねじり剛性を効率的に向上することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、第1から第4の実施形態において示した、第2の補強部材72、81、86、91に係るシートバックサイドパネル40L、40Rに対する長さ、補強リブの形状、リアクロスメンバ16における支持の位置、方法について、種々に組み合わせて用いることができる。
【0049】
また、上記第1から第4の実施の形態においては、シートバックサイドパネル40L、40Rが、左右のリアホイールハウス20及びリアピラー50に接続して形成される場合について説明したが、例えば、図7に示す補強構造95(95L、95R)のように、左右のリアホイールハウス20及びリアピラー50から分離されたシートバックサイドパネル40L、40Rに適用可能であることはいうまでもない。
なお、シートバックサイドパネル40L、40Rが、左右のリアホイールハウス20とリアピラー50のいずれか一方と連結するかどうか、また、シートバックサイドパネル40L、40Rの上部を上部壁部40Aと連結するかパーセルパネル60と直接的に連結するかは適宜選択可能である。
【0050】
なお、パーセルパネル60に代えて、例えば、パーセルパネル60以外のリアクロスメンバにより左右のリアピラーを連結してもよいし、左右のリアピラー50間を直接連結しない片持針構造の部材を用いてもよい。
また、左右のシートバックサイドパネル40L、40Rが上部壁部40Aにより連結されたシートバックパネル40に代えて、左右のシートバックサイドパネル40L、40Rが上部壁部40Aにより連結されないシートバックパネル40を用いてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、車体が高張力鋼により形成される場合について説明したが、車体構造の一部又は全部が高張力鋼以外の材料により形成されていてもよい。
また、全体の車体構造1がモノコックボディからなる場合について説明したが、例えば、一部にフレーム構造を有するなど他の車体構造に適用してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態においては、リアホイールハウス20の内側にリアストラットタワー25が隣接して設けられる場合について説明したが、リアストラットタワー25が、例えば、リアホイールハウス20の上側、リアホイールハウス20よりも内側又は後方等に形成されていてもよい。
また、本発明に係る後部車体構造10、11、12は、内燃機関を搭載した自動車のほか、ハイブリッド車、各車輪に電動機が設けられた電気自動車等に適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
自動車の車体構造のねじり剛性を効率的に向上することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 車体構造
10、11、12、13 後部車体構造
10R リアアクスルセンタ
15 フロアパネル
16 リアクロスメンバ
16T 上部(リアクロスメンバの)
20 リアホイールハウス
25 リアストラットタワー
30 トランクルーム
40 シートバックパネル
40A 上部壁部
40L、40R シートバックサイドパネル
50 リアピラー
60 パーセルパネル
70、80、85、90 95 補強構造
71 第1の補強部材
75A、75B 連結部材
72、81、86、91 第2の補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、
前記フロアパネルの左右部分に形成されたリアホイールハウスと、
前記リアホイールハウスに対応して設けられたリアストラットタワーと、
前記リアホイールハウスのそれぞれに接続された左右のリアピラーと、
居室とトランクルームとの間に形成されたシートバックサイドパネルと、
前記シートバックサイドパネルの後方において前記左右のリアピラーを連結するリアクロスメンバと、
を備えた後部車体構造であって、
前記シートバックサイドパネルの前記居室側に配置される第1の補強部材と、
前記シートバックサイドパネルと前記第1の補強部材とを連結する連結部材と、
前記シートバックサイドパネルの前記トランクルーム側に配置される第2の補強部材と、を備え、
前記第2の補強部材は、下部が前記リアクロスメンバに支持されるように構成されていることを特徴とする後部車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の後部車体構造であって、
前記第2の補強部材は、
前記シートバックサイドパネルと、前記リアクロスメンバを挟んで支持することを特徴とする後部車体構造。
【請求項3】
請求項1に記載の後部車体構造であって、
前記第2の補強部材は、
前記リアクロスメンバの上部に当接して、前記シートバックサイドパネルを支持することを特徴とする後部車体構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の後部車体構造であって、
前記第2の補強部材は、
前記シートバックサイドパネルの上端部まで延在していることを特徴とする後部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−121412(P2012−121412A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272691(P2010−272691)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】