説明

徐放性ヨウ素含有抗菌性樹脂組成物

【課題】 徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物を提案する。
【解決手段】 ヨウ素の融点未満および水溶性熱可塑性樹脂の融点未満の融点を有する非水溶性熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、ヨウ素の融点未満および水溶性熱可塑性樹脂の融点未満でかつ非水溶性熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱し、溶融混練して、マトリックス樹脂中にヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子を分散させたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物とする。これにより、用途目的に適合した任意形状に容易に成形加工することができるうえ、さらにヨウ素の徐放通路が確保でき、優れた徐放性を有する抗菌性樹脂組成物となる。また、ヨウ素粒子、水溶性熱可塑性樹脂粒子の含有量をそれぞれ変化させた複数の樹脂組成物層を有する構造体とすることにより徐放速度、徐放量を所望の徐放パターンに任意にコントロールできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌作用に優れたヨウ素を含有するヨウ素含有抗菌性樹脂組成物に係り、とくに抗菌作用を長期間にわたり持続可能なように、徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、抗菌剤としては、例えば、塩素系薬剤、ヨウ素系薬剤、クレゾール等のフェノール系薬剤、アルコール系薬剤、銅、銀等の金属およびその化合物等が周知であるが、近年、人体にかかわる医療関連部品や生活関連用品を中心として様々な分野で、これら抗菌剤がそれぞれの特徴を生かして利用されている。
なかでも、ヨウ素は、強い抗菌性と広範囲な抗菌スペクトルを有し、従来から消毒剤として広範囲に利用されている。身近なところでは、うがい薬に利用されている。一方、ヨウ素は、きわめて特殊な例として、軍事目的もしくはそれらに類するような状況で使用される場合がある。例えば、飲料水の確保が困難な戦地等において河川、湖、池、溜まり水など、あらゆる細菌が含まれる可能性がある水を、非常用の飲料水として利用可能にする薬剤としてヨウ素が使われることがある。これらの事例のように、ヨウ素は各種抗菌剤の中でも人体に対して比較的安全であると考えられている。
【0003】
しかし、ヨウ素は特有の臭いと色を有し、融点が低いため取り扱いが難しいという難点がある。このような問題に対し、ヨウ素と同様な抗菌性および抗菌スペクトルを有しながら、ヨードに特有な臭いが抑制され、取り扱いも容易となる種々のヨードホールが提案されている。しかしながら、いずれも比較的短時間のうちに効果が失われる傾向があり、抗菌性の持続性に問題を残していた。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1には、ポピドンヨード等のヨードホールを、有機バインダーと無機系賦形剤とともにタブレット等の成形体とした環境殺菌剤が提案されている。この技術により製造された環境殺菌剤は、抗菌作用や脱臭作用に優れ、しかもその持続性に優れるとされる。なお、特許文献1には、有機バインダーとしては金属石鹸が、無機系賦形剤としてはケイ酸カルシウム粉体が好ましい例として示されている。
【0005】
また、特許文献2には、所定範囲の表面積と細孔容積を有する無機担体と、該担体に担持されたヨードホールとからなる有効ヨウ素の徐放性を有する徐放性ヨウ素複合体が提案されている。特許文献2に記載された徐放性ヨウ素複合体は、長期に亘って安定に有効ヨウ素を保持でき、しかも有効ヨウ素を徐々に放出させることができるとしている。なお、特許文献2には、ヨードホールとしてはポピドンヨードが、また、無機担体としては多孔質の非晶質シリカ、多孔質の活性アルミナや活性シリカアルミナ、フィロケイ酸塩やフィロアルミナケイ酸塩、スメクタイト族粘土鉱物、ベントナイト硫酸アルミニウム、フライポンタイト及びホルマイト系粘土鉱物などの粉粒体が例示されている。そして、特許文献2には、これらのヨウ素複合体を、熱可塑性樹脂やエラストマーに配合した熱可塑性重合体組成物が提案されている。この技術により製造された重合体は、ヨウ素複合体の分散性に優れているとしている。
【0006】
また、特許文献3には、シクロデキストリンをホスト分子としてヨードホールをゲスト分子として含んでなる包接体を、抗菌剤であるヨードホールとしてポピドンヨードを選択して、熱可塑性樹脂に混練配合してなる抗菌性樹脂組成物が提案されている。特許文献3に記載された技術で製造された樹脂組成物は、抗菌活性が長期にわたって持続するとされる。
【0007】
また、特許文献4には、シクロデキストリンをホスト分子としてヨードホールをゲスト分子として含む包接乳化液を、微粉末の多孔質無機化合物に担持させたヨウ素複合体とし、該ヨウ素複合体を熱可塑性樹脂に混練配合してなる抗菌性熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
【特許文献1】特開平9−227317号公報
【特許文献2】特開平9−151106号公報
【特許文献3】特開平10-45609号公報
【特許文献4】特開平10-245403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された環境殺菌剤は、ヨウ素の徐放性が確保でき抗菌性を長期に維持できるが、有機バインダが非水溶性のため表面層に存在するもののみしか有効に作用しないうえ、熱可塑性がないため用途に適合した任意の製品形状への加工性に問題を残していた。
また、特許文献2に記載された技術で製造されたヨウ素複合体を熱可塑性樹脂に配合すれば、ヨウ素複合体の分散性に優れた重合体が得られる。しかし、有効ヨウ素の放出は表面付近に存在するヨウ素複合体からのみに限定され、しかも無機担体の細孔を介して行うという複雑な経路を通す必要がある。さらにそれより深い位置に分散するヨウ素複合体は有効ヨウ素の放出経路が確保できず、抗菌性の長期に亘る維持ができないという問題があった。さらに、特許文献2に記載された技術では、ヨウ素を一時的に細孔を有する無機担体あるいは類似の無機素材等で担持し、さらにそれらを二次的に熱可塑性樹脂に練り込む複雑な工程を必要とする。このため、製造工程が複雑となり製造コストが高騰するという問題もある。
【0009】
また、特許文献3、特許文献4に記載された技術では、有効ヨウ素の放出は表面付近に存在するヨードホールからのみに限定され、それより深い位置に分散するヨードホールでは有効ヨウ素の放出経路が確保できず、抗菌性の長期に亘る維持ができないという問題があった。
さらに、特許文献1〜4に記載された技術では、ヨウ素の残留を示す赤褐色がいつまでも消えず、ヨウ素の徐放の進捗すら不明のまま使用していることになり、問題を残していた。
【0010】
本発明は、上記したような従来技術の問題に鑑みて成されたものであり、複雑な工程を必要とせずに製造でき、しかも用途に応じ任意な形状に加工可能で安価な、ヨウ素を徐放し抗菌性を長期に亘り維持できる徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物およびその成形体を提案することを目的とする。また、本発明は、用途に応じ任意な形状に加工可能で安価な、徐放性に優れ、かつ徐放速度および徐放量を任意に調整可能なヨウ素含有抗菌性樹脂構造体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、ヨウ素を長期にわたり徐放でき、かつ用途に応じ任意な形状に加工可能な、ヨウ素含有抗菌剤の安価な製造方法について鋭意考究した。その結果、本発明者らは、溶融成形加工が自在にできる熱可塑性樹脂を利用し、該熱可塑性樹脂中にヨウ素粒子を直接練り込み、分散させることに思い至った。しかし、従来、熱可塑性樹脂にヨウ素粒子自体を直接練り込む技術や、ヨウ素粒子自体を直接練り込んだ製品は紹介されていない。というのは、つぎのような問題が未解決であったためであると考えられる。
【0012】
殆どの熱可塑性樹脂の軟化点が概ね150℃以上であり、溶融成形加工はそれ以上の温度領域で行うこととなる。しかし、ヨウ素の融点は113.5℃、沸点は184.35℃である。このため、溶融成形加工によりヨウ素を熱可塑性樹脂中に分散させようとすると、溶融加工時にヨウ素が溶融、あるいは蒸気となるため、マトリックスである熱可塑性樹脂が発泡状態になるなど、安定した成形加工が困難となる。さらにヨウ素は、それ自体がきわめて強い酸化作用を持ち、とくに融点以上の温度領域においては強い活性状態となる。このため、ヨウ素を分散させる熱可塑性樹脂が溶融加工時に酸化分解を起こし、本来の樹脂特性を著しく低下させるとともに、溶融成形加工そのものができなくなるという問題がある。
【0013】
このような問題に対し、本発明者らはさらに鋭意考究した結果、ヨウ素の融点未満の温度領域(低温)において溶融加工が可能な非水溶性熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として選択し、該マトリックス中にヨウ素粒子を未溶融の固体粒子のまま分散させることに思い至った。こうすることにより、マトリックス樹脂の酸化分解や発泡という加工上のトラブルもなく、マトリックス中にヨウ素粒子を分散させた樹脂組成物を、きわめて安定的に製造できることを見出した。
【0014】
またさらに、ヨウ素粒子を単に熱可塑性樹脂へ練り込み分散させた成形体とすることができても、成形体表面に露出しているヨウ素粒子は比較的早く水中又は空中へ飛散・分散するが、熱可塑性樹脂で被覆された部分もしくは内部に包含されたヨウ素粒子は熱可塑性樹脂に何らかの分解エネルギーが作用しない限り半永久的に閉じ込められ、ヨウ素の放出が不可能になるという問題がある。
【0015】
水中等の環境へ飛散・拡散したヨウ素は、Iから比較的短時間で2I(イオン化)となり、ヨウ素の特徴である真紅色から透明へ変化する。すなわち、この変化は抗菌作用或いは殺菌作用が消失することを意味しており、ヨウ素の抗菌・殺菌効果の持続時間が短いものであることを示している。ヨウ素が継続的に飛散・拡散しないと、すなわち一定量のヨウ素を徐放していないと、抗菌・殺菌効果は一時的もしくは断片的なものになる。
【0016】
このような問題に対し、本発明者らは、マトリックス中にヨウ素粒子とともに水溶性熱可塑性粒子を分散させることを想到した。これにより、表面に露出したヨウ素粒子が飛散・分散するとともに、表面に露出した水溶性熱可塑性粒子が水や空気中の湿分により浸食され、さらに内部の水溶性熱可塑性粒子も次第に浸食されて内部へ連続した空洞(通路)が形成されて、この通路を通して内部のヨウ素を周辺環境へ継続的にかつ徐放的に飛散・分散させることができ、ヨウ素の抗菌効果が長期にわたり維持できることを知見した。
【0017】
また、本発明者らは、マトリックス中に分散するヨウ素粒子の配合量、及び/又は水溶性熱可塑性樹脂の種類や配合量を調整すれば、用途、目的に合致してヨウ素の徐放速度や徐放量を任意にコントロールでき、ヨウ素の抗菌効果が継続的に維持できることを見出した。とくに、水溶性熱可塑性樹脂粒子の配合量や分子構造の選択により、ヨウ素徐放のための通路形成を設計できることを見出し、それに応じて徐放速度ならびに徐放量が任意に選択できることを知見した。
【0018】
本発明は上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)ヨウ素含有抗菌性樹脂組成物であって、ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とを非水溶性熱可塑性樹脂中に分散させてなることを特徴とする徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
(2)(1)において、前記ヨウ素粒子が、水溶性材料で表面被覆又はコンプレックス化されたヨウ素粒子であることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)において、前記水溶性熱可塑性樹脂粒子が、ヨウ素の融点以上の融点を有する樹脂であることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記非水溶性熱可塑性樹脂が、ヨウ素の融点未満の融点を有する樹脂であることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
(5)(4)において、前記非水溶性熱可塑性樹脂及び/又は前記水溶性熱可塑性樹脂が、生分解性樹脂であることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物を、所定形状の成形体に成形してなるヨウ素含有抗菌性樹脂成形体。
(7)ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とを非水溶性熱可塑性樹脂中に分散させてなるヨウ素含有抗菌性樹脂組成物を複数層有するヨウ素含有抗菌性樹脂構造体であって、所定のヨウ素徐放パターンとなるように、前記複数層が、それぞれ異なる含有量のヨウ素粒子及び/又は異なる種類、含有量の水溶性熱可塑性粒子を含むことを特徴とする徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂構造体。
(8)(7)において、前記ヨウ素粒子が、水溶性材料で表面被覆又はコンプレックス化されたヨウ素粒子であることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂構造体。
(9)マトリックス樹脂となる非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉に、ヨウ素粒子粉と、水溶性熱可塑性樹脂粒子粉とを所定量それぞれ配合し、さらに前記ヨウ素粒子の融点未満及び前記水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ前記非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させて、マトリックス樹脂中にヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とが分散した樹脂組成物を得ることを特徴とするヨウ素含有抗菌性樹脂組成物の製造方法。
(10)マトリックスとなる非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉に、ヨウ素粒子粉と、水溶性熱可塑性樹脂粒子粉とを所定量それぞれ配合し、さらに前記ヨウ素粒子の融点未満および前記水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ前記非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させて、第一の樹脂組成物層を形成する第一の工程と、さらにマトリックスとなる非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉に、前記第一の樹脂組成物層と異なる配合量及び/又は種類の、ヨウ素粒子粉および水溶性熱可塑性樹脂粒子粉を配合し、該ヨウ素粒子の融点未満および該水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ該非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させて第二の樹脂組成物層を形成し前記第一の樹脂組成物層に重ねる第二の工程と、あるいはさらに前記各樹脂組成物層とそれぞれ異なる配合量及び/又は種類の、ヨウ素粒子粉および水溶性熱可塑性樹脂粒子粉を配合して加熱混練したのち、冷却、凝固させる前記第二の工程と同様の工程を順次複数回行い、ヨウ素粒子の配合量、及び/又は、水溶性熱可塑性樹脂粒子の種類及び/又は配合量がそれぞれ異なる複数層の樹脂組成物層を形成し、前の工程で形成された樹脂組成層に重ねることを特徴とするヨウ素の徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長期にわたりヨウ素を徐放でき、抗菌作用を長期間継続させることが可能となり、また、用途に合致した種々の形状に成形加工が可能となりヨウ素系抗菌剤の用途が拡大でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、用途、目的に合致させて、ヨウ素の徐放パターンをコントロールできるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物は、ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とをマトリックス樹脂である非水溶性熱可塑性樹脂中に分散させてなる樹脂組成物である。
マトリックス中に分散するヨウ素粒子は、ヨウ素を放散・拡散させて、抗菌性を発現させるための重要な素材である。ヨウ素粒子は、ヨウ素単体粒子又は形状保持性等を考慮してヨウ素粒子に表面被覆を施したもの(以下、「表面被覆されたヨウ素粒子」という)、あるいはヨウ素粒子とポリマー等のバインダとを混合し固形化したもの(以下、これを「コンプレックス化されたヨウ素粒子」という)などいずれでも良い。なお、表面被覆あるいはコンプレックス化する場合は、被覆材又はバインダは水溶性材料を用いる必要がある。水溶性材料としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の易水溶性樹脂が好適である。因みに、ポリビニルピロリドンで表面被覆されたヨウ素はポピドンヨード(PVPI)として一般的に市販されている。なお、被覆用又はコンプレックス化用水溶性材料は、上記した材料に限定されるものではなく、他の水溶性材料でも何ら問題はない。なお、本発明で使用するヨウ素粒子は、フィルム等の薄肉成形体とする観点から、粒径:20〜100μmとすることが好ましく、より好ましくは50μm程度である。また、マトリックス樹脂中に分散させるヨウ素粒子の含有量(分散量)は、特に限定する必要はなく、用途や目的に応じた抗菌性が得られるように、樹脂組成物全量に対し、1〜20mass%の範囲内で適宜選定して含有することが好ましい。含有量が、1maas%未満では、抗菌性効果の発現が少なく、一方、20mass%を超えると、加工性に悪影響を及ぼす。
【0021】
また、マトリックス中に分散する水溶性熱可塑性樹脂粒子は、ヨウ素の徐放性を確保するために重要であり、本発明における主要素材である。本発明で使用する水溶性熱可塑性樹脂粒子は、100℃超え、好ましくはヨウ素の融点以上の融点を有し、概ね100℃以下で固体粒子の形態を維持でき、さらに広範囲の温度領域で水溶性であることを必要とする。これらの条件を満足する水溶性熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアルコールの構造に熱可塑性を有する基を一部導入した変性品がある。例えば、ポリ酢酸ビニルの一部をケン化し、且つ特殊基を導入した構造体である変性ポリビニルアルコールが例示できる。
【0022】
この変性ポリビニルアルコールは、通常の熱可塑性樹脂と同様に溶融成形加工が可能であり、水溶性でマトリックス中に分散させる固体粒子として用いることができ、また、変性ポリビニルアルコールは有害物質等を含まず、且つ生分解性を有しており、汚泥等により自然へ回帰する素材であり、産業廃棄物とはならない。なお、変性ポリビニルアルコールはその重合度及びケン化度により諸特性が変化し、水溶性も、重合度、ケン化度によりその大きさが左右される。
【0023】
またこの他に、水溶性熱可塑性樹脂粒子として利用できる樹脂としては、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体等が例示できる。なお、本発明で使用する水溶性熱可塑性樹脂粒子は、フィルム等の薄肉成形体とすることや徐放通路形成機能の発現という観点から、粒径:50〜300μmとすることが好ましく、より好ましくは150μm程度である。また、マトリックス樹脂中に分散させる水溶性熱可塑性樹脂粒子は、用途や目的に応じたヨウ素の徐放性(徐放速度および徐放量)が得られるように、種類(分子量、分子構造等)および配合量を適宜選定することが好ましいが、樹脂組成物全量に対し、20〜30mass%の範囲内で含有することがより好ましい。含有量が、20maas%未満では、ヨウ素の徐放通路の構築が難しく、一方、30mass%を超えると、長期的徐放性が劣化する。
【0024】
また、本発明でマトリックス樹脂として使用する非水溶性熱可塑性樹脂は、ヨウ素の強酸化作用による酸化分解反応を起こさせないためにヨウ素自体が不活性な温度領域、或いはヨウ素を被覆する素材を含めて溶融もしくは分解しない温度領域で溶融混練加工が可能なように、ヨウ素の融点(113.5℃)未満、好ましくは100℃以下の融点を有する熱可塑性樹脂とする必要がある。このような特性を持つ熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂でしかも低分子量体の品種、例えば軟化点が100℃以下の低密度ポリエチレンである粉末ポリエチレンが例示できる。
【0025】
なお、非水溶性熱可塑性樹脂及び又は水溶性熱可塑性樹脂は、環境的負荷とならない組成の樹脂、総称「グリーンプラ」と呼ばれる生分解性樹脂を用いることがより好ましい。なお、生分解性樹脂は、コンポスト化されることができ、姿形を変えた再資源化が可能であり、バイオリサイクル資材と位置付けることができる素材である。本発明でマトリックス樹脂として使用できる非水溶性熱可塑性樹脂のうち、生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル系樹脂等が例示できる。
【0026】
本発明の徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物の構造を模式的に図1に示す。
本発明の樹脂組成物1は、マトリックスである非水溶性熱可塑性樹脂粒子2のなかに、ヨウ素粒子3と、水溶性熱可塑性粒子4が均一に分散した構造を有している。例えば、この樹脂組成物をペレット状に成形し、水もしくは湿分を含む空気媒体中に放置すると、一部の表面に露出したヨウ素粒子はヨウ素を放出し始め、さらに表面に露出した水溶性熱可塑性樹脂粒子が水溶化し、次第に粒子の体積分だけ空洞化してゆく。そして、この水溶性熱可塑性樹脂粒子の水溶化による空洞化は、徐々にさらに内部へと進行してゆき、長期間でこの空洞化による通路が多数形成される。そして、これら多数の通路に接点をもつ内部のヨウ素粒子がこれら通路を介してヨウ素を外部(空気媒体)へ放出することとなり、ヨウ素が長期にわたり継続的に放出されることになる。このため、本発明になる樹脂組成物はヨウ素の徐放性に優れたものとなる。
【0027】
本発明樹脂組成物を水媒体中に放置した場合には、このヨウ素粒子および水溶性熱可塑性樹脂粒子はともに、通常の溶解速度から判断するとこれら粒子の水溶化はそれほど長期にわたるものではないと考えられる。しかし実際には、水溶性熱可塑性樹脂の溶解過程で高粘度溶液が形成されるため、ヨウ素の放出は大きく遅延されることになり、長期にわたり継続的にヨウ素を徐放することができるようになる。なお、大きな分子量を有する水溶性熱可塑性樹脂微粒子を用いれば、これら粒子の水溶化を大きく遅らせることもできる。
【0028】
一方、本発明樹脂組成物を空気媒体中に放置した場合には、空気中の相対湿度に大きく影響されるが、通常環境であれば水媒体中の場合よりさらに両粒子の水溶化が遅延しヨウ素の放出は微量となる。なお、空気媒体中の場合には、高湿度状態に保持する装置或いは周辺の気流速度を高める装置など、放出速度を加速させるための補助装置を組み合わせて、ヨウ素の徐放速度や徐放量をコントロールすることができる。本発明の抗菌性樹脂組成物の成形体を例えば、空調機のフィルターなどに利用し、湿度コントロール機能と組み合わせることにより、ヨウ素の徐放性がコントロールでき、しかも長期に亘り継続的に所望の徐放パターンで抗菌性を発現させることができる。
【0029】
つぎに、本発明のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物の好ましい製造方法について説明する。
本発明では、上記した非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉に、上記したヨウ素粒子粉と水溶性熱可塑性樹脂粒子粉とをそれぞれ所定量配合し、さらにヨウ素粒子の融点未満および水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度、好ましくは概ね100℃以下の温度、に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させて、マトリックス樹脂中にヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とが固体状態で分散した樹脂組成物とすることが好ましい。本発明では、ヨウ素自体が不活性な温度域で加工するため、マトリックス樹脂の酸化分解反応は起きず、ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性樹脂粒子とがマトリックス中に均一に分散した抗菌性樹脂組成物を安定して得ることができる。このヨウ素含有抗菌性樹脂組成物は、ヨウ素の徐放性に優れている。なお、本発明における溶融混練には、通常公知の混練押出し機、ニーダ型混練機等の混練加工機がいずれも好適に利用できる。
【0030】
また、本発明のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物は、マトリックス樹脂に好適な各種溶融成形加工法により、用途・目的に合わせた各種成形体、例えば、シート、フィルム、パイプ、容器、板、丸棒等の各種形状へ賦型できる。なお、これら溶融成形加工の場合でも、概ね100℃以下の温度領域で成形加工することが必要となる。また、さらにこれら成形体を機械加工等の二次加工により複雑な物品とすることも可能である。なお、ヨウ素粒子粉、水溶性熱可塑性樹脂粒子粉、非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉を配合し混合したままの粉状混合物の状態から直接成形により成形体としてもよい。しかし、この場合には、原料となる各粒状素材が、比重の違いによる偏析現象を起こしやすく、必ずしも均一な混合物が得られない場合がある。
【0031】
なお、本発明の樹脂組成物に各種成形加工或いはさらに二次加工を施して得られた成形体は、本発明の樹脂組成物と同様にヨウ素の徐放性に富む構造を有していることは言うまでもない。
また、本発明では、非水溶性熱可塑性樹脂からなるマトリックス中に分散するヨウ素粒子の含有量及び/又は該マトリックス中に分散する水溶性熱可塑性粒子の種類、含有量がそれぞれ異なる樹脂組成物からなる複数層を有するヨウ素含有抗菌性樹脂構造体としてもよい。各層のヨウ素粒子の含有量、水溶性熱可塑性樹脂粒子の種類および/または含有量をそれぞれ変化させることにより、ヨウ素の徐放量、徐放速度を多段に変化でき、徐放パターンを所望のパターンとすることができる。
【0032】
このような複数層を有するヨウ素含有抗菌性樹脂構造体は、例えば、つぎのようにして製造することができる。
まず、マトリックスとなる非水溶性熱可塑性樹脂粒子に、ヨウ素粒子粉と、水溶性熱可塑性樹脂粒子粉とを所定量それぞれ配合し、さらに前記ヨウ素粒子の融点未満および前記水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ前記非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させる第一の工程を施し、第一の樹脂組成物層を形成する。
【0033】
ついで、さらにマトリックスとなる非水溶性熱可塑性樹脂粒子粉に、前記第一の樹脂組成物層と異なる配合量及び/又は種類の、ヨウ素粒子粉および水溶性熱可塑性樹脂粒子粉を配合し、ヨウ素粒子の融点未満および水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満でかつ該非水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点以上の温度に加熱し、溶融混練したのち、冷却、凝固させる第二の工程を施し、第二の樹脂組成物層を形成し第一の樹脂組成物層に重ねる。
【0034】
三層以上の複数層を形成する場合には、前記した工程を繰り返すことが好ましい。すなわち、前記各樹脂組成物層とそれぞれ異なる配合量及び/又は種類の、ヨウ素粒子粉および水溶性熱可塑性樹脂粒子粉を配合して加熱混練したのち、冷却、凝固させる同様の工程を順次複数回行い、順次積層等により組み合わせて、三層以上の複数層を形成する。これにより、ヨウ素粒子の含有量、及び/又は、水溶性熱可塑性樹脂粒子の種類及び/又は含有量がそれぞれ異なる樹脂組成物層が形成でき、ヨウ素の徐放性に優れさらに所望の多段の徐放パターンを有する構造体とすることができる。なお、本発明では、この方法に限定されるものではない。
【0035】
例えば、第一層から第三層までの3層構造とした例を図2に示す。図2は、粒状の場合を示すが、これに限定されず、板状としても、あるいは所望の特定形状としてもよいことは言うまでもない。図2に示す三層樹脂構造体では、各層は、それぞれが独立して図1に示すような組成物構造を有している。三層樹脂構造体は環境中に含まれる水または湿分による水溶性樹脂粒子への浸食作用により形成された通路からヨウ素を徐放し、所望の徐放パターンに合致するように、第一から第三組成物までの各層の徐放速度及び徐放量を変化させながら継続的に徐放できる。この構造体では、ヨウ素の徐放速度及び徐放量が所望の徐放パターンに合致するように、各層のヨウ素粒子の含有量、及び/又は、水溶性熱可塑性樹脂粒子の種類や含有量を調整することができる。ヨウ素の徐放量はヨウ素粒子の含有量により、また、ヨウ素の徐放速度は、水溶性熱可塑性樹脂微粒子の種類、含有量により決定されるため、用途・目的によりそれらを調整することが好ましい。
【0036】
このような、徐放速度ならびに徐放量を所望のパターンにコントロールできる多層の抗菌性樹脂構造体を、例えば、あらゆる産業で使用されている循環型の冷却設備や濾過装置などの配管内の一部に設置することにより、微生物や藻の繁殖を抑制し、配管内の詰まりなどを防止できる。また、このような多層を有する抗菌性樹脂構造体を設置することにより、ヨウ素の徐放濃度を自由に切り換えることができ、装置や設備の保守が、メンテナンスフリーもしくは最小限のメンテナンスで対処できるようになる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
表1に示す種類のヨウ素粒子、水溶性熱可塑性樹脂粒子および非水溶性熱可塑性樹脂粒子を表1に示す含有量となるように配合して、図3に示す混練押出機10のホッパ11に装入した。そして、表1に示す加熱温度に加熱し、溶融混練したのち、ダイ(吐出口)12から押出し、糸状の樹脂組成物13とした。なお、本発明例の加熱温度は、非水溶性熱可塑性樹脂の融点以上でかつヨウ素粒子の融点未満、水溶性熱可塑性樹脂粒子の融点未満とした。ついで、糸状の樹脂組成物13を図3に示すペレタイザー20に導入し、回転刃21で切断して吐出口22から粒状の樹脂組成物23を得た。なお、ヨウ素粒子としては、a1:ポピドンヨード(PVPI)、a2:ヨウ素果粒状粉とし、水溶性熱可塑性樹脂粒子としては、b1:変性ポリビニルアルコール樹脂微粒子(変性PVA),b2:ポリエチレンオキサイドとし、マトリックスとなる非水溶性熱可塑性樹脂粒子としては、c1:低密度ポリエチレン樹脂微粒子(LDPE)(日本ユニカー(株)製、粉末ポリエチレン〔NUC Polyethylene〕)とした。
【0038】
得られた粒状の樹脂組成物について、表面および断面を観察し、ヨウ素粒子および水溶性熱可塑性粒子の分散度、発泡の有無、樹脂酸化の有無、を調査した。分散度は、断面を観察して、これら粒子が均一に分散している場合を○、非均一分散が見られる場合または分散が確認できない場合を×とした。また、マトリックス樹脂の発泡及び/又は樹脂酸化がある場合を×とし、その他の場合を○として評価した。なお、各粒子の平均粒径はレーザ回折・散乱法で測定した値を用いるものとした。
【0039】
得られた結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
本発明例はいずれも、ヨウ素粒子および水溶性熱可塑性樹脂粒子が均一に分散し、マトリックス樹脂の発泡、酸化は認められなかった。
ついで、予備試験として、得られた本発明例の粒状の樹脂組成物A:1gを100mlの水に投入し、1週間ごとに新しい水に取り替えた。その際、取り替え前の水に澱粉を添加して水の色変化を観察する方法で、水中のヨウ素の存在の有無を定性的に測定した。その結果、2ヶ月経過した後でも、ヨウ素の存在が確認された。その後も粒状の樹脂組成物にヨウ素特有の赤褐色が残存している状況が認められ、本発明例の樹脂組成物は、ヨウ素の徐放性に優れていることが確認できた。
【0042】
さらに、得られた粒状の樹脂組成物1gまたは10gを、すり合わせ栓を有するガラス製容器(容量:2l)に純水1lと共に装入し、マグネティックスターラーで粒状の樹脂組成物が軽く舞う程度に攪拌し続ける。ついで、所定の時間間隔で、この水溶液から各50mlを抜き取る。この抜き取った水溶液中のヨウ素濃度をICP発光分光分析法を用いて定量し、樹脂組成物から溶出したヨウ素の総量を求め、ヨウ素の徐放性について評価した。溶出操作は常温(15〜25℃)の室内で実施し、また溶出中は容器に覆いをして遮光した。ヨウ素が継続的に飛散・放散されない場合を徐放性なし(×)とした。
【0043】
得られた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
本発明例はいずれも、ヨウ素の徐放性に優れており、長期的且つ継続的にヨウ素を放散できることが確認できた。なお、400h経過後は、水に澱粉を添加して水の色変化を観察する方法でヨウ素の放散度合を測定したが、3000h(約4ヶ月)経過まではヨウ素特有の深紅色が観察された。本発明例では少なくとも約4ヶ月間、ヨウ素が徐放され、抗菌性が長期にわたり継続できることが明らかとなった。なお、本発明の範囲を外れる比較例では、ヨウ素の飛散・放散は初期のみで、ヨウ素の徐放性に劣るものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明のヨウ素含有抗菌性樹脂構造体の一例を模式的に示す説明図である。
【図3】実施例で使用した溶融混練押出機の概要を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 樹脂組成物
2 水溶性熱可塑性樹脂粒子
3 ヨウ素粒子
4 非水溶性熱可塑性樹脂(マトリックス)
10 混練押出し機
11 ホッパ
12 ダイ(吐出口)
13 糸状樹脂組成物
20 ペレタイザー
21 回転刃
22 吐出口
23 粒状の樹脂組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素含有抗菌性樹脂組成物であって、ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性粒子とを非水溶性熱可塑性樹脂中に分散させてなることを特徴とする徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ヨウ素粒子が、水溶性材料で表面被覆又はコンプレックス化されたヨウ素粒子であることを特徴とする請求項1に記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
【請求項3】
前記水溶性熱可塑性樹脂が、ヨウ素の融点以上の融点を有する樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
【請求項4】
前記非水溶性熱可塑性樹脂が、ヨウ素の融点未満の融点を有する樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
【請求項5】
前記非水溶性熱可塑性樹脂及び/又は前記水溶性熱可塑性樹脂が、生分解性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のヨウ素含有抗菌性樹脂組成物を、所定形状の成形体に成形してなる徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂成形体。
【請求項7】
ヨウ素粒子と水溶性熱可塑性粒子とを非水溶性熱可塑性樹脂中に分散させてなるヨウ素含有抗菌性樹脂組成物を複数層有するヨウ素含有抗菌性樹脂構造体であって、所定のヨウ素徐放パターンとなるように、該複数層が、それぞれ異なる含有量のヨウ素粒子及び/又は異なる種類、含有量の水溶性熱可塑性粒子を含むことを特徴とする徐放性に優れたヨウ素含有抗菌性樹脂構造体。
【請求項8】
前記ヨウ素粒子が、水溶性材料で表面被覆又はコンプレックス化されたヨウ素粒子であることを特徴とする請求項7に記載のヨウ素含有抗菌性樹脂構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−176730(P2006−176730A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374099(P2004−374099)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(591006298)JFEテクノリサーチ株式会社 (52)
【出願人】(504143304)
【出願人】(304032000)
【出願人】(593063448)株式会社全研 (3)
【Fターム(参考)】