説明

徐放性組成物およびその製造法

【課題】ゼラチンを含有しなくても生理活性物質を高含量で含有し、かつその初期過剰放出を抑制して約1ヶ月にわたる安定な放出速度を実現できる徐放性組成物の提供。
【解決手段】重量平均分子量と数平均分子量の比が1.90以下であり、乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60で重量平均分子量が3,000〜100,000である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩と、生理活性物質とを含有する徐放性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性物質の徐放性組成物およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、重量平均分子量が約5000〜200000、乳酸約100〜50重量%及びグリコール酸約0〜50重量%からなる乳酸−グリコール酸の共重合物からなる平均直径2〜200μmのマトリックス中に分散された水溶性薬物を含む粒子からなり、水中乾燥法により製造される水溶性薬物の徐放性マイクロカプセルが開示されている。
特開昭62−201816号公報には、W/O/W型乳化物をつくる際のW/O型乳化物の粘度を約150〜10000cpに調整することを特徴とする徐放性マイクロカプセル及びその製法が開示されている。
特許文献2には、水可溶のオキシカルボン酸の含有量が1塩基酸換算して0.01モル/100g未満であり、重量平均分子量が約2000〜50000の共重合物または重合物である生体内分解型ポリオキシカルボン酸エステル、および該ポリマーを有する注射用徐放性マイクロカプセルが開示されている。
特許文献3には、重量平均分子量が約5000〜30000、触媒を含まず、分散度(ゲル浸透クロマトグラフィー法による)が約1.5〜2であり、乳酸約50〜95重量%及びグリコール酸約50〜5重量%からなる乳酸−グリコール酸共重合体、および該重合体を基剤として含む医薬が開示されている。
特許文献4には、マイクロカプセルをポリマーのガラス転移温度以上でマイクロカプセルの各粒子が互いに付着しない程度の温度に加熱することを特徴とする徐放性マイクロカプセルの製造方法が開示されている。
特許文献5には、分子量1,000以下の低分子重合物を含有する生体内分解性脂肪族ポリエステルを有機溶媒に溶解し、これに水を加え高分子物質を析出させて、分子量1,000以下の低分子重合物を除去することを特徴とする生体内分解型脂肪族ポリエステルの精製法が開示されており、有機溶媒100に対して水を50〜150(容量比)加えることが記載されている。
【特許文献1】特開昭60−100516号公報
【特許文献2】特開昭62−54760号公報
【特許文献3】特開昭61−28521号公報
【特許文献4】特開平6−192068号公報
【特許文献5】特開平4−218528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ゼラチンを含有しないで生理活性物質を高含量で含有し、かつその初期過剰放出を抑制して約1ヶ月にわたる安定な放出速度を実現できる徐放性製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、基剤であるPLGAの重量平均分子量と数平均分子量の比を約1.90以下とすること、または重量平均分子量約11,600〜約14,000の乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を使用することで、予想外にもゼラチンを含有しなくても生理活性物質を高含量で含有し、かつその初期過剰放出を抑制して約1ヶ月にわたる安定な放出速度を実現できる徐放性製剤を見出し、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩と、生理活性物質とを含有する徐放性組成物、
(2)生理活性物質が生理活性ペプチドである上記(1)記載の徐放性組成物、
(3)生理活性物質がLH-RH誘導体である上記(2)記載の徐放性組成物、
(4)乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が約3,000〜約100,000である上記(1)記載の徐放性組成物、
(5)乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が約8,000〜約15,000である上記(4)記載の徐放性組成物、
(6)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約9%以下である上記(1)記載の徐放性組成物、
(7)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約3%〜約9%である上記(6)記載の徐放性組成物、
(8)乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60である上記(1)記載の徐放性組成物、
(9)乳酸とグリコール酸の組成モル比が70/30〜80/20である上記(1)記載の徐放性組成物、
(10)LH-RH誘導体が式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z [式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalまたはDHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示す。]で表されるペプチドまたはその塩である上記(3)記載の徐放性組成物、
(11)LH-RH誘導体が式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチドまたはその酢酸塩である上記(3)記載の徐放性組成物、
(12)徐放性組成物中、LH-RH誘導体またはその塩が約5%(w/w)〜約24%(w/w)含有される上記(3)記載の徐放性組成物、
(13)生理活性物質またはその塩が微水溶性または水溶性である上記(1)記載の徐放性組成物、
(14)注射用である上記(1)記載の徐放性組成物、
(15)少なくとも約2週間以上にわたって生理活性物質またはその塩を放出する上記(1)記載の徐放性組成物、
(16)薬物保持物質を含有しない上記(1)記載の徐放性組成物、
(17)ゼラチンを含有しない上記(1)記載の徐放性組成物、
(18)生理活性物質またはその塩と重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含む混合液から溶媒を除去することを特徴とする上記(1)記載の徐放性組成物の製造法、
(19)重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含有する有機溶媒溶液に生理活性物質またはその塩を混合、分散し、次いで有機溶媒を除去することを特徴とする上記(18)記載の製造法、
(20)生理活性物質またはその塩を生理活性物質またはその塩を含有する水溶液として用いる上記(19)記載の製造法、
(21)上記(1)記載の徐放性組成物を含有してなる医薬、
(22)上記(3)記載の徐放性組成物を含有してなる前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線維腫、思春期早発症、月経困難症もしくは乳癌の予防、治療剤または避妊剤、
(23)上記(3)記載の徐放性組成物を含有してなる閉経前乳癌術後再発予防剤、および
(24)重量平均分子量約8,000〜約15,000で、重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の徐放性製剤は、基剤であるPLGAの重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下であり、または重量平均分子量約11,600〜約14,000の乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を基剤として使用することであり、ゼラチンを含有しなくても生理活性物質を高含量で含有し、かつその初期過剰放出を抑制して約1ヶ月にわたる安定な放出速度を実現できる。
つまり本発明製剤は、ゼラチンなどの薬物保持物質や増粘剤を使用する必要がなく添加物を減らすことができ、製造工程・コストを減じることができる、薬物保持物質や増粘剤を使用することなく高濃度に薬物を含むことができる、少なくとも約2週間以上にわたって薬物を放出する徐放製組成物を製造することができる、ガラス転移温度が上昇することにより安定性が高い製剤を製造することができるなどの有用な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いられる生理活性物質は、薬理学的に有用なものであれば特に限定を受けないが、非ペプチド化合物でもペプチド化合物でもよい。非ペプチド化合物としては、アゴニスト、アンタゴニスト、酵素阻害作用を有する化合物などがあげられる。また、ペプチド化合物としては、例えば、生理活性ペプチドが好ましく、分子量約300〜約40,000、好ましくは約400〜約30,000、さらに好ましくは約500〜約20,000の生理活性ペプチドなどが好適である
該生理活性ペプチドとしては、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、インスリン、ソマトスタチン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GH−RH)、プロラクチン、エリスロポイエチン、副腎皮質ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、カルシトニン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケファリン、エンドルフィン、キョウトルフィン、タフトシン、サイモポイエチン、サイモシン、サイモチムリン、胸腺液性因子、血中胸腺因子、腫瘍壊死因子、コロニー誘導因子、モチリン、デイノルフィン、ボンベシン、ニューロテンシン、セルレイン、ブラジキニン、心房性ナトリウム排泄増加因子、神経成長因子、細胞増殖因子、神経栄養因子、エンドセリン拮抗作用を有するペプチド類などおよびその誘導体、さらにはこれらのフラグメントまたはフラグメントの誘導体などが挙げられる。
本発明で用いられる生理活性物質はそれ自身であっても、薬理学的に許容される塩であってもよい。
このような塩としては、該生理活性物質がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸(無機の遊離酸とも称する)(例、炭酸、重炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等)、有機酸(有機の遊離酸とも称する)(例、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などとの塩が挙げられる。
生理活性物質がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(無機の遊離塩基とも称する)(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(有機の遊離塩基とも称する)(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩が挙げられる。また、生理活性ペプチドは金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していてもよい。
【0008】
該生理活性ペプチドの好ましい例としては、LH−RH誘導体であって、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症)、閉経前乳癌術後再発の予防に有効なLH−RH誘導体またはその塩が挙げられる。さらに性ホルモン非依存性であるがLH−RH感受性である良性または悪性腫瘍などに有効なLH−RH誘導体またはその塩も挙げられる。
LH−RH誘導体またはその塩の具体例としては、例えば、トリートメント ウイズ GnRH アナログ:コントラバーシス アンド パースペクテイブ(Treatment with GnRH analogs: Controversies and perspectives)[パルテノン バブリッシング グループ(株)(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1996年]、特表平3−503165号公報、特開平3−101695号、同7−97334号および同8−259460号公報などに記載されているペプチド類が挙げられる。
【0009】
LH−RH誘導体としては、LH−RHアゴニストまたはLH−RHアンタゴニストが挙げられるが、LH−RHアンタゴニストとしては、例えば、一般式〔I〕
X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2
〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTyr、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyFur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩などが用いられる。
LH−RHアゴニストとしては、例えば、一般式〔II〕
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z
〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalおよびDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5またはGly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩などが用いられる。特に、YがDLeuで、ZがNH-C2H5であるペプチド(即ち、5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチドA;リュープロレリン)またはその塩(例えば、酢酸塩)が好適である。
これらのペプチドは、上記文献あるいは公報記載の方法あるいはこれに準じる方法で製造することができる。
【0010】
本明細書中で使用される略号の意味は次のとおりである。
略号 名称
N(4H2-furoyl)Gly: N-テトラヒドロフロイルグリシン残基
NAc : N-アセチル基
D2Nal : D-3-(2-ナフチル)アラニン残基
D4ClPhe : D-3-(4-クロロ)フェニルアラニン残基
D3Pal : D-3-(3-ピリジル)アラニン残基
NMeTyr : N-メチルチロシン残基
Aph(Atz) : N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニ
ルアラニン残基
NMeAph(Atz) : N-メチル-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]
フェニルアラニン残基
DLys(Nic) : D-(e-N-ニコチノイル)リシン残基
Dcit : D-シトルリン残基
DLys(AzaglyNic) : D-(アザグリシルニコチノイル)リシン残基
DLys(AzaglyFur) : D-(アザグリシルフラニル)リシン残基
DhArg(Et2) : D-(N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基
DAph(Atz) : D-N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]
フェニルアラニン残基
DhCi : D-ホモシトルリン残基
Lys(Nisp) : (e-N-イソプロピル)リシン残基
hArg(Et2) : (N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基
その他アミノ酸に関し、略号で表示する場合、IUPAC-IUBコミッション・オブ・バイオケミカル・ノーメンクレーチュアー(Commission on Biochemical Nomenclature) (ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(European Journal of Biochemistry)第138巻、9〜37頁(1984年))による略号または該当分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関して光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0011】
本発明に用いられる乳酸−グリコール酸重合体は、該乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と該乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体が好ましく用いられる。
乳酸−グリコール酸重合体は塩であってもよい。塩としては、例えば、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩、または遷移金属(例,亜鉛,鉄,銅など)との塩および錯塩などが挙げられる。
また、該乳酸−グリコール酸重合体の組成モル比は約100/0〜約40/60が好ましく、約70/30〜約80/20がより好ましい。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の最小繰り返し単位の一つである乳酸の光学異性体比は、D−体/L−体(モル/モル%)が約75/25〜約25/75の範囲のものが好ましい。このD−体/L−体(モル/モル%)は、特に約60/40〜約30/70の範囲のものが汎用される。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の重量平均分子量は、通常、約3,000〜約100,000、好ましくは約3,000〜約50,000、特に好ましくは約8,000〜約15,000のものが用いられる。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合は、約9%以下のものが好ましく、さらに好ましくは約3%〜約9%以下のものが用いられる。
また、本発明の乳酸−グリコール酸重合体は、該乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と該乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.90以下であるが、好ましくは、約1.40〜約1.90以下、さらに好ましくは約1.45〜約1.80のものなどがあげられる。
【0012】
さらに、
(1)重量平均分子量が約3,000〜約100,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体、
(2)重量平均分子量が約3,000〜約50,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体、
(3)重量平均分子量が約8,000〜約15,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体、
(4)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約9%以下である上記(1)〜(3)記載の乳酸−グリコール酸重合体、
(5)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約3%〜約9%である上記(1)〜(3)記載の乳酸−グリコール酸重合体、などが好ましい例としてあげられる。
さらに好ましい例としては、
(6)重量平均分子量が約3,000〜約100,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.40〜約1.90である乳酸−グリコール酸重合体、
(7)重量平均分子量が約3,000〜約50,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.40〜約1.90である乳酸−グリコール酸重合体、
(8)重量平均分子量が約8,000〜約15,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.40〜約1.90である乳酸−グリコール酸重合体、
(9)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約9%以下である上記(6)〜(8)記載の乳酸−グリコール酸重合体、
(10)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約3%〜約9%である上記(6)〜(8)記載の乳酸−グリコール酸重合体、などがあげられる。
最も好ましい例としては、
(11)重量平均分子量が約3,000〜約100,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.45〜約1.80である乳酸−グリコール酸重合体、
(12)重量平均分子量が約3,000〜約50,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.45〜約1.80である乳酸−グリコール酸重合体、
(13)重量平均分子量が約8,000〜約15,000であり、乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量と乳酸−グリコール酸重合体の数平均分子量の比が約1.45〜約1.80である乳酸−グリコール酸重合体、
(14)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約9%以下である上記(11)〜(13)記載の乳酸−グリコール酸重合体、
(15)乳酸−グリコール酸重合体の分子量約3,000以下の低分子量画分の割合が約3%〜約9%である上記(11)〜(13)記載の乳酸−グリコール酸重合体、などがあげられる。
また、重量平均分子量約11,600〜約14,000の乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を使用してもよい。
【0013】
本明細書における重量平均分子量、数平均分子量とは、(GPC1)重量平均分子量が397,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,490、5,870、2,500、1,050、495の10種類の単分散ポリスチレンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量をいう。
さらに、分子量約3,000以下の低分子量画分の割合とは、上記GPC測定において得られた重量平均分子量分布パターンのうち、分子量が約3,000以下の画分の割合を指す。具体的には算出された重量平均分子量分布パターンの曲線下面積のうち、分子量が約3,000以下に相当する部分の曲線下面積の割合を算出する。測定は、高速GPC装置(東ソー製、HLC−8120GPC、検出方式は示差屈折率による)、TSKguardcolumn Super H-L(4.6mmi.d.x35mm)、TSKgel SuperH4000(6mmi.d.x150mm) x2 、 TSKgel SuperH2000(6mmi.d.x150mm)(カラムはすべて東ソー製)を直列に接続して使用し、移動相としてTHFを用いる。流速は0.6ml/minでおこなう。
【0014】
乳酸−グリコール酸重合体と生理活性物質との反応がイオン相互作用である場合、該生理活性物質は乳酸−グリコール酸重合体の末端カルボン酸との相互作用が主となる。低分子量画分が多く含有されている場合、生理活性物質は反応性の高い低分子量の乳酸−グリコール酸重合体と相互作用しやすくなる。徐放性注射剤において製造時のリークおよび初期放出にかかわる生理活性物質は主にこの低分子量画分の乳酸−グリコール酸重合体と相互作用したものである。生理活性物質の高含量化および初期放出量抑制にはこの低分子量画分の乳酸−グリコール酸重合体の割合を一定以下に削減し、重量平均分子量と数平均分子量の比も一定以下にすることが必要である。この故に、例えば、1カ月型徐放性製剤用の乳酸−グリコール酸重合体とするには、乳酸−グリコール酸重合体の場合、上記の重量平均分子量が約8,000〜約15,000で、かつ重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下、好ましくは約1.40〜約1.90、さらに好ましくは約1.45〜約1.80であり、重量平均分子量3,000以下の低分子量画分の割合が約9%以下、好ましくは約3%〜約9%である乳酸−グリコール酸重合体が好ましい。
【0015】
該「乳酸−グリコール酸重合体」は、例えば、乳酸とグリコール酸からの無触媒脱水重縮合(特開昭61−28521号)あるいはラクチドとグリコリド等の環状ジエステル化合物からの触媒を用いた開環重合(Encyclopedic Handbook of Biomaterials and Bioengineering Part A: Materials, Volume 2, Marcel Dekker, Inc. 1995年)で製造できる。
乳酸とグリコール酸の無色媒脱水重縮合により得られた乳酸−グリコール酸重合体は、一般に低分子量画分を多く含有し、重量平均分子量と数平均分子量の比は約2以上となる。本明細書に使用する乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量は約5,000〜約15,000である。分子量約3,000以下の低分子量画分の割合は重量平均分子量により異なるが、重量平均分子量が約10,000の場合、分子量約3,000以下の低分子量画分の割合は約10%以上である。
得られた乳酸−グリコール酸重合体は、有機溶媒を用いて、精製することにより目的のポリマーを得ることができる。
【0016】
本発明で用いられる有機溶媒としては、親水性または水易溶性有機溶媒が好ましく、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシドなどが挙げられ、とりわけアセトンが好ましく使用される。
本発明で用いられる水および有機溶媒の添加比率は、特に制限はないが、水の量が多すぎる場合には低分子量画分の削減が不十分となり、目的のポリマーを得ることが困難である。また一方水の量が少なすぎる場合にはポリマーが析出しにくくなるため、回収率が悪くなり、さらには目的の分子量よりも高分子量のポリマーしか回収できなくなる。通常有機溶媒100に対する水の量は用量比として約5〜50未満、好ましくは約10〜約45、さらに好ましくは約24〜約40、特に好ましくは約40を用いる。例えば、乳酸−グリコール酸重合体10gを有機溶媒であるアセトン100mLに溶解し、適当な方法で攪拌しながら精製水40mLを徐々に加えると目的のポリマーは析出し、それを適当な方法にて乾燥することによって得ることができる。一回の溶解、析出工程で目的のポリマーを得ることができなかった場合はこの操作を繰り返せばよい。
本発明徐放製剤において、基剤としては重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩、または重量平均分子量約11,600〜約14,000の乳酸−グリコール酸重合体またはその塩が好ましい。また、乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60であるものが好ましい。生理活性物質としてはLH-RH誘導体が好ましく、特に好ましくはLH-RH誘導体が式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチドまたはその酢酸塩である。LH-RH誘導体またはその塩の含有量としては約5%(w/w)〜約24%(w/w)が好ましい。さらにゼラチンを含有せずに少なくとも約2週間以上にわたって生理活性物質またはその塩を放出するものが好ましい。
【0017】
マイクロカプセルの製造方法
上記のようにして得られた乳酸−グリコール酸重合体は、徐放性製剤を製造するための基剤として用いることができる。本発明の生理活性物質またはその塩、および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含有する徐放性組成物、例えば、マイクロカプセルの製造法を例示する。
(I)水中乾燥法
(i)O/W法
本方法においては、まず乳酸−グリコール酸重合体またはその塩の有機溶媒溶液を作製する。本発明の徐放性製剤の製造の際に使用する有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好ましい。
該有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、エーテル類(例、エチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、脂肪酸エステル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール等)、アセトニトリルなどが用いられ、それらの混合溶媒なども用いられる。乳酸−グリコール酸重合体またはその塩の有機溶媒としては、なかでもジクロロメタンが好ましい。
乳酸−グリコール酸重合体の有機溶媒溶液中の濃度は、乳酸−グリコール酸重合体の分子量、有機溶媒の種類によって異なるが、例えば、ジクロロメタンを有機溶媒として用いた場合、一般的には約0.5〜約70重量% 、より好ましくは約1〜約60重量% 、特に好ましくは約2〜約50重量%から選ばれる。
このようにして得られた乳酸−グリコール酸重合体の有機溶媒溶液中に、生理活性物質またはその塩を添加し、溶解あるいは分散させる。次いで、得られた生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩から成る組成物を含む有機溶媒溶液を水相中に加え、O(油相)/W(水相)エマルションを形成させた後、油相中の溶媒を揮散ないしは水相中に拡散させ、マイクロカプセルを調製する。この際の水相体積は、一般的には油相体積の約1倍〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜約50,000倍、特に好ましくは約10倍〜約2,000倍から選ばれる。
【0018】
上記の外水相中には乳化剤を加えてもよい。該乳化剤は、一般に安定なO/Wエマルションを形成できるものであればいずれでもよい。具体的には、例えば、アニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、ツイーン(Tween)60、アトラスパウダー社〕、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体〔HCO−60、HCO−50、日光ケミカルズ〕など)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ヒアルロン酸などが用いられる。これらの中の1種類か、いくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は、好ましくは約0.0001〜10重量%の範囲で、さらに好ましくは約0.001〜約5重量%の範囲で用いられる。
【0019】
上記の外水相中には浸透圧調節剤を加えてもよい。該浸透圧調節剤としては、水溶液とした場合に浸透圧を示すものであればよい。
該浸透圧調節剤としては、例えば、多価アルコール類、一価アルコール類、単糖類、二糖類、オリゴ糖およびアミノ酸類またはそれらの誘導体などが挙げられる。
上記の多価アルコール類としては、例えば、グリセリン等の三価アルコール類、アラビトール,キシリトール,アドニトール等の五価アルコール類、マンニトール,ソルビトール,ズルシトール等の六価アルコール類などが用いられる。なかでも、六価アルコール類が好ましく、特にマンニトールが好適である。
上記の一価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、このうちエタノールが好ましい。
上記の単糖類としては、例えば、アラビノース,キシロース,リボース,2ーデオキシリボース等の五炭糖類、ブドウ糖,果糖,ガラクトース,マンオース,ソルボース,ラムノース,フコース等の六炭糖類が用いられ、このうち六炭糖類が好ましい。
上記のオリゴ糖としては、例えば、マルトトリオース,ラフィノース糖等の三糖類、スタキオース等の四糖類などが用いられ、このうち三糖類が好ましい。
上記の単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが用いられる。
上記のアミノ酸類としては、L−体のものであればいずれも用いることができ、例えば、グリシン、ロイシン、アルギニンなどが挙げられる。このうちL−アルギニンが好ましい。
これらの浸透圧調節剤は単独で使用しても、混合して使用してもよい。
これらの浸透圧調節剤は、外水相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍、好ましくは約1/25〜約3倍となる濃度で用いられる。浸透圧調節剤としてマンニトールを用いた場合、0.5%〜1.5%の濃度が好ましい。
【0020】
有機溶媒を除去する方法としては、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法が用いられる。例えば、プロペラ型撹拌機またはマグネチックスターラーや超音波発生装置などで撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法、透析膜を用いて徐々に有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
このようにして得られたマイクロカプセルは遠心分離または濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着している遊離の生理活性物質またはその塩、薬物保持物質、乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水などに分散して凍結乾燥する。
なお、本発明のマイクロカプセルは、重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩、または重量平均分子量約11,600〜約14,000の乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を基剤として用いているため、薬物を高含量で含有することができるので、ゼラチンなどの薬物保持物質や増粘剤を含んでいる必要はない。
これらのポリマーは少なくとも約2週間以上にわたって薬物を放出する徐放製組成物の製造に好ましい。
製造工程中、粒子同士の凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止剤としては、例えば、マンニトール,ラクトース,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)などの水溶性多糖、グリシンなどのアミノ酸、フィブリン,コラーゲンなどのタンパク質などが用いられる。なかでも、マンニトールが好適である。
【0021】
また、凍結乾燥後、必要であれば、減圧下マイクロカプセル同士が融着しない条件内で加温してマイクロカプセル中の水分および有機溶媒の除去を行ってもよい。好ましくは、毎分10〜20℃の昇温速度の条件下で示差走査熱量計で求めたマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近あるいは若干高い温度で加温する。より好ましくはマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近あるいはこれより約30℃高い温度範囲内で加温する。好ましくはマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近から中間点ガラス転移温度より10℃高い温度範囲,さらに好ましくは、中間点ガラス転移温度付近から中間点ガラス転移温度より5℃高い温度範囲で加温する。
加温時間はマイクロカプセルの量などによって異なるものの、一般的にはマイクロカプセル自体が所定の温度に達した後、約12時間〜約168時間、好ましくは約24時間〜約120時間、特に好ましくは約48時間〜約96時間である。
加温方法は、マイクロカプセルの集合が均一に加温できる方法であれば特に限定されない。
該加温乾燥方法としては、例えば、恒温槽、流動槽、移動槽またはキルン中で加温乾燥する方法、マイクロ波で加温乾燥する方法などが用いられる。このなかで恒温槽中で加温乾燥する方法が好ましい。
【0022】
(ii)W/O/W法
まず、乳酸−グリコール酸重合体またはその塩の有機溶媒溶液を作成し、そうして得られた有機溶媒溶液を油相と称する。該作成法は、前記(I)(i)項に記載と同様である。乳酸−グリコール酸重合体の有機溶媒溶液中の濃度は、乳酸−グリコール酸重合体の分子量、有機溶媒の種類によって異なるが、例えば、ジクロロメタンを有機溶媒として用いた場合、一般的には約0.5〜約70重量% 、より好ましくは約1〜約60重量% 、特に好ましくは約2〜約50重量%から選ばれる。
次に生理活性物質またはその塩の溶液または分散液〔該溶媒としては、水、水とアルコール類(例、メタノール、エタノール等)などとの混液〕を作成する。
生理活性物質またはその塩の添加濃度は一般的には0.001mg/ml〜10g/ml、より好ましくは0.1mg/ml〜5g/mlで更に好ましくは10mg/ml〜3g/mlである。
生理活性物質の塩としては上記該生理活性物質がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸(無機の遊離酸とも称する)(例、炭酸、重炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等)、有機酸(有機の遊離酸とも称する)(例、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などとの塩が挙げられる。
生理活性物質がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(無機の遊離塩基とも称する)(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(有機の遊離塩基とも称する)(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩が挙げられる。また、生理活性ペプチドは金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していてもよい。生理活性物質がLHRH誘導体の場合、特に酢酸を添加することが好ましい。
溶解補助剤、安定化剤として公知のものを用いてもよい。生理活性物質や添加剤の溶解あるいは分散には活性が失われない程度に加熱、振とう、撹拌などを行ってもよく、そうして得られた水溶液を内水相と称する。
上記により得られた内水相と油相とをホモジナイザーまたは超音波等の公知の方法で乳化し、W/Oエマルションを形成させる。
混合する油相の体積は内水相の体積に対し、約1〜約1000倍、好ましくは約2〜100倍、より好ましくは約3〜10倍である。
得られたW/Oエマルションの粘度範囲は一般的には約12〜25℃で、約10〜10,000cpで、好ましくは約100〜5,000cpである。特に好ましくは約500〜2,000cpである。
次いで、得られた生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩から成るW/Oエマルションを水相中に加え、W(内水相)/O(油相)/ W(外水相)エマルションを形成させた後、油相中の溶媒を揮散ないしは外水相中に拡散させ、マイクロカプセルを調製する。この際の外水相体積は一般的には油相体積の約1倍〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜約50,000倍、特に好ましくは約10倍〜約2,000倍から選ばれる。
上記の外水相中に加えてもよい乳化剤や浸透圧調節剤、およびその後の調製法は上記(I)(i)項に記載と同様である。
【0023】
(II)相分離法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,上記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩から成る組成物を含む有機溶媒溶液にコアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えてマイクロカプセルを析出,固化させる。該コアセルベーション剤は油相体積の約0.01〜1,000倍、好ましくは約0.05〜500倍、特に好ましくは約0.1〜200倍から選ばれる。
コアセルベーション剤としては、有機溶媒と混和する高分子系,鉱物油系または植物油系の化合物等で生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩の複合体を溶解しないものであれば特に限定はされない。具体的には、例えば、シリコン油,ゴマ油,大豆油,コーン油,綿実油,ココナッツ油,アマニ油,鉱物油,n−ヘキサン,n−ヘプタンなどが用いられる。これらは2種類以上混合して使用してもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルを分取した後、ヘプタン等で繰り返し洗浄して生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩からなる組成物以外のコアセルベーション剤等を除去し、減圧乾燥する。もしくは、上記(I)(i)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥する。
【0024】
(III)噴霧乾燥法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には、上記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含有する有機溶媒溶液をノズルを用いてスプレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室内に噴霧し、極めて短時間内に微粒化液滴内の有機溶媒を揮発させ、マイクロカプセルを調製する。該ノズルとしては、例えば、二流体ノズル型,圧力ノズル型,回転ディスク型等がある。この後、必要であれば、上記(I)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
上記のマイクロカプセル以外の剤形としてマイクロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質またはその塩および乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含む有機溶媒溶液を例えばロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶媒および水を蒸発させて乾固した後、ジェットミルなどで粉砕して微粉末(マイクロパーティクルとも称する)としてもよい。
さらには、粉砕した微粉末をマイクロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
ここで得られるマイクロカプセルまたは微粉末は使用する乳酸−グリコール酸重合体の分解速度に対応した薬物放出が達成できる。
【0025】
本発明の徐放性組成物は、マイクロスフェア、マイクロカプセル、微粉末(マイクロパーティクル)など何れの形態であってもよいが、マイクロカプセルが好適である。
本発明の徐放性組成物は、そのまままたはこれらを原料物質として種々の剤形に製剤化し、筋肉内、皮下、臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮などへの経粘膜剤、経口剤(例、カプセル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤等)などとして投与することができる。
例えば、本発明の徐放性組成物を注射剤とするには、これらを分散剤(例、ツイーン(Tween)80,HCO−60等の界面活性剤、ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,マンニトール,ソルビトール,ブドウ糖,プロリンなど)等と共に水性懸濁剤とするか、ゴマ油、コーン油などの植物油と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用できる徐放性注射剤とすることができる。
本発明の徐放性組成物の粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には、その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば、平均粒子径として約0.1〜300μm、好ましくは約0.5〜150μmの範囲、さらに好ましくは約1から100μmの範囲である。
本発明の徐放性組成物を無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0026】
本発明の徐放性組成物は、低毒性であるので、哺乳動物(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサギ等)に対して安全な医薬などとして用いることができる。
本発明の徐放性組成物の投与量は、主薬である生理活性物質の種類と含量、剤形、生理活性物質放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって種々異なるが、生理活性物質の有効量であればよい。主薬である生理活性物質の1回当たりの投与量としては、例えば、徐放性製剤が6カ月製剤である場合、好ましくは、成人1人当たり約0.01mg〜10mg/kg体重の範囲,さらに好ましくは約0.05mg〜5mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
1回当たりの徐放性組成物の投与量は、成人1人当たり好ましくは、約0.05mg〜50mg/kg体重の範囲、さらに好ましくは約0.1mg〜30mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、または数か月(例、3ヵ月、4ヵ月、6ヵ月など)に1回等、主薬である生理活性物質の種類と含量、剤形、生理活性物質放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって適宜選ぶことができる。
本発明の徐放性組成物は、含有する生理活性物質の種類に応じて、種々の疾患などの予防・治療剤として用いることができるが、例えば、生理活性物質が、LH−RH誘導体である場合には、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患の予防・治療剤、閉経前乳癌術後再発予防剤、アルツハイマー病や免疫不全等の疾患の予防・治療剤、および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症の予防・治療)剤などとして用いることができる。さらに、性ホルモン非依存性であるがLH−RH感受性である良性または悪性腫瘍などの予防・治療剤としても用いることができる。
したがって、哺乳動物に本発明の治療・予防剤を有効量投与することにより、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患の予防・治療または避妊をすることができ、さらに閉経前乳癌術後再発予防することができる。
以下に実施例、比較例および実験例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0027】
[実施例A1]
乳酸とグリコール酸の脱水重縮合により合成された重量平均分子量9700、数平均分子量5030、の乳酸−グリコール酸共重合体10gをアセトン100mLに溶解し、攪拌条件下にて精製水40mLを滴下してポリマーを析出させる。水飴状の析出ポリマー以外の溶液をデカンとにより除去し、得られたポリマーを真空乾燥する。乾燥後のポリマーの収量は8.37gで、重量平均分子量10500、数平均分子量6700であった。
【0028】
[実施例A2]
実施例A1で得られたポリマー4.87gをジクロロメタン8.03gに溶解し油相とする。ペプチドAの酢酸塩0.597gを精製水0.6mLに溶解した水相に上記油相を混合しポリトロンを用いて25000rpmで1次乳化し、W/Oエマルションを得る。このW/Oエマルションを15℃の0.1%ポリビニルアルコール水溶液1000mL中に添加してホモミキサーを用いて7000rpmでW/O/Wエマルションとする。プロペラ攪拌機にて3時間かけて脱溶媒することにより、マイクロカプセルを固化させ、200メッシュの篩を用いて通過したマイクロカプセルを遠心操作により回収し、マンニトール0.48gを添加した後凍結乾燥する。凍結乾燥後得られたマイクロカプセルの収量は3.92gで、ペプチドAの含量は10.18%であった。
【0029】
[比較例A1]
実施例A1で用いた乳酸−グリコール酸共重合体を用いて実施例A2と同様に操作して得られたマイクロカプセルの収量は3.97g、ペプチドAの含量は9.50%であった。
【0030】
[実験例A1]
実施例A2および比較例A1で得られたマイクロカプセルをペプチドAとして2.25mgとなる量を0.3mlの分散媒(0.25mgのカルボキシメチルセルロース,0.5mgのポリソルベート80,25mgのマンニトールを溶解した蒸留水)に分散して7週齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与から所定時間後にラットを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、この中のペプチドAを定量してそれぞれの初期含量で除して求めた残存率を表1に示す。さらに表中に実施例A2および比較例A1にて用いたポリマーのMw/Mnを記載した。
【表1】

表1から明らかなように、アセトン処理によりMw/Mnを1.90以下にした実施例A2で用いたポリマーを使ってマイクロカプセルを製造した場合、マイクロカプセルからのペプチドAの放出は初期放出量を抑制し、4週間の長期にわたる持続放出を確実なものとした。
[実施例A3]
【0031】
重量平均分子量10600、数平均分子量6600の乳酸−グリコール酸共重合体185.7gをジクロロメタン300.1gに溶解し約29.5℃に調節した。この有機溶媒溶液から330.2gを量り取り、ペプチドAの酢酸塩15.62gを15.31gの蒸留水に溶解して54.3℃に加温した水溶液と混合して1分間撹拌して粗乳化した後ホモジナイザーを用い、10,000rpm、2分間の条件にて乳化しW/Oエマルションを形成した。次いでこのW/Oエマルションを17.8℃に冷却後に、予め17.9℃に調節しておいた0.1% (w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶液25リットル中に1分16秒間で注入し、 HOMOMIC LINE FLOW(特殊機化製)を用いて7,005rpmで攪拌しW/O/Wエマルションとした。このW/O/Wエマルションを3時間撹拌してジクロロメタンを揮散ないしは外水相中に拡散させ、油相を固化させた後、75μmの目開きの篩いを用いて篩過し、次いで遠心機(H-600S, 国産遠心器製)を用いて2,000rpmで連続的にマイクロカプセルを沈降させて捕集した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水に再分散し、90μmの目開きの篩いを用いて篩過した後マンニトール17.2gを添加して溶解した後凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセルの回収率は76.46%、マイクロカプセル中のペプチドA含量は8.79%であった。
【0032】
[実験例A2]
実施例A3に記載のマイクロカプセル約26mgを0.3mlの分散媒(0.15 mgのカルボキシメチルセルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニトールを溶解した蒸留水)に分散して7週齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与から所定時間後にラットを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、この中のペプチドAを定量してそれぞれの初期含量で除して求めた残存率を表2に示す。
【表2】

表2から明らかなように、製造スケールを上げた場合でも、実施例A3に記載のマイクロカプセルは生理活性物質を高含量に含んでいるのにも関わらず、投与後一日おける生理活性物質の残存率は90%以上と飛躍的に高い。従って、ポリマーのMw/Mn比が約1.6と低値である場合、生理活性物質の初期の過剰放出を非常によく抑止する効果を持つ。そして、このマイクロカプセルは長期にわたって生理活性物質を一定速度で放出させることを実現している。
[実施例B1]
【0033】
重量平均分子量12600、数平均分子量6400の乳酸−グリコール酸共重合体197.7gをジクロロメタン320.1gに溶解し0.2μmフィルター(EMFLOW,DFA4201FRP)を用いて加圧ろ過後約30.0℃に調節した。この有機溶媒溶液から330.1gを量り取り、ペプチドAの酢酸塩15.68gを15.31gの蒸留水に溶解して56.0℃に加温した水溶液と混合して1分間撹拌して粗乳化した後ミニミキサーを用い、10,000rpm、2分間の条件にて乳化しW/Oエマルションを形成した。次いでこのW/Oエマルションを18.2℃に冷却後に、予め18.4℃に調節しておいた0.1% (w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶液25リットル中に1分46秒間で注入し、 HOMOMIC LINE FLOW(特殊機化製)を用いて7,007rpmで攪拌しW/O/Wエマルションとした。このW/O/Wエマルションを3時間撹拌してジクロロメタンを揮散ないしは外水相中に拡散させ、油相を固化させた後、75μmの目開きの篩いを用いて篩過し、次いで遠心機(H-600S, 国産遠心器製)を用いて2,000rpmで連続的にマイクロカプセルを沈降させて捕集した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水に再分散し、90μmの目開きの篩いを用いて篩過した後マンニトール17.2gを添加して溶解した後凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセルの回収率は73.47%、マイクロカプセル中のペプチドA含量は8.43%であった。
【0034】
[実験例B1]
実施例B1に記載のマイクロカプセル約26.7mgを0.3mlの分散媒(0.15 mgのカルボキシメチルセルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニトールを溶解した蒸留水)に分散して7週齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与から所定時間後にラットを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、この中のペプチドAを定量してそれぞれの初期含量で除して求めた残存率を表3に示す。
【表3】

表3から明らかなように、実施例B1に記載のマイクロカプセルはゼラチンを含有しなくても生理活性物質を高含量に含むことができ、生理活性物質の初期放出を非常によく抑止した。そして、このマイクロカプセルは生理活性物質を長期にわたって一定速度で放出した。
【0035】
[実験例B2]
実施例B1に記載のマイクロカプセル約44.6mgを1.0mlの分散媒(0.15 mgのカルボキシメチルセルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニトールを溶解した蒸留水)に分散して7〜12kgのビーグル犬の背部皮下に23G注射針で投与した。投与から所定時間後に前肢静脈より採血し、ペプチドAおよびテストステロン濃度を定量した結果を表4に示す。
【表4】

表4から明らかなように、実施例B1に記載のマイクロカプセルは生理活性物質を長期にわたり放出し、血中濃度を維持した。また血中に放出した生理活性物質の活性は失われることなく薬効を持続した。
【0036】
[参考例C1]
酢酸リュープロレリン(薬物含量97.4%、酢酸含量6.0%)0.2gを酢酸濃度の異なる酢酸水溶液0.2116gに溶解し、乳酸グリコール酸共重合体(重量平均分子量10500)1.82gをジクロロメタン3.15gで溶解した溶液を添加後、ボルテックスミキサーで約30秒間攪拌することによりW/Oエマルションを作製した。W/Oエマルションの様子を比較したところ、酢酸量が薬物に対して約1.8倍モルの場合均一なエマルション粒子が形成されているようであった。1.3、1.4倍モルでは薬物のゲル化が認められた。
酢酸の添加により良好にW/Oエマルションを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上記載したごとく、本発明によれば、ゼラチンを含有しないでも生理活性物質を高含量で含有し、かつその初期過剰放出を抑制して約1ヶ月にわたる安定な放出速度を実現できる徐放性組成物が提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量と数平均分子量の比が1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩と、生理活性物質とを含有し、ゼラチンを含有しない徐放性組成物。
【請求項2】
生理活性物質が生理活性ペプチドである請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項3】
生理活性物質がLH-RH誘導体である請求項2記載の徐放性組成物。
【請求項4】
乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が3,000〜100,000である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項5】
乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が8,000〜15,000である請求項4記載の徐放性組成物。
【請求項6】
乳酸−グリコール酸重合体の分子量3,000以下の低分子量画分の割合が9%以下である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項7】
乳酸−グリコール酸重合体の分子量3,000以下の低分子量画分の割合が3%〜9%である請求項6記載の徐放性組成物。
【請求項8】
乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項9】
乳酸とグリコール酸の組成モル比が70/30〜80/20である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項10】
LH-RH誘導体が式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z [式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalまたはDHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示す。]で表されるペプチドまたはその塩である請求項3記載の徐放性組成物。
【請求項11】
LH-RH誘導体が式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチドまたはその酢酸塩である請求項3記載の徐放性組成物。
【請求項12】
徐放性組成物中、LH-RH誘導体が5%(w/w)〜24%(w/w)含有される請求項3記載の徐放性組成物。
【請求項13】
生理活性物質が微水溶性または水溶性である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項14】
注射用である請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項15】
少なくとも2週間以上にわたって生理活性物質を放出する請求項1記載の徐放性組成物。
【請求項16】
生理活性物質と重量平均分子量と数平均分子量の比が1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含む混合液から溶媒を除去することを特徴とする請求項1記載の徐放性組成物の製造法。
【請求項17】
重量平均分子量と数平均分子量の比が1.90以下である乳酸−グリコール酸重合体またはその塩を含有する有機溶媒溶液に生理活性物質を混合、分散し、次いで有機溶媒を除去することを特徴とする請求項16記載の製造法。
【請求項18】
生理活性物質を生理活性物質を含有する水溶液として用いる請求項17記載の製造法。
【請求項19】
請求項1記載の徐放性組成物を含有してなる医薬。
【請求項20】
請求項3記載の徐放性組成物を含有してなる前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線維腫、思春期早発症、月経困難症もしくは乳癌の予防、治療剤または避妊剤。
【請求項21】
請求項3記載の徐放性組成物を含有してなる閉経前乳癌術後再発予防剤。

【公開番号】特開2012−136530(P2012−136530A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30788(P2012−30788)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2010−180145(P2010−180145)の分割
【原出願日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】