説明

徐放性製剤

本発明はメタスチン誘導体及び重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する徐放性製剤に関する。
本発明の徐放性製剤は、長期にわたって化合物(I)またはその塩の安定した徐放性を示し、また長期にわたって化合物(I)またはその塩の薬効を発揮する。また、本発明の徐放性製剤は投与回数の減少により患者の利便性が向上した、臨床上の医薬として優れた製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌などの治療に有効な新規徐放性製剤等に関する。
【0002】
優れたメタスチン様活性を有する安定なメタスチン誘導体としては、例えば特許文献1に記載の化合物が知られている。また、メタスチンもしくはその誘導体を含有する徐放性製剤としては、例えば特許文献2に記載の製剤が知られている。
【0003】
【特許文献1】WO07/72997号
【特許文献2】WO02/85399号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬効を得るために高投与量を必要としないことによる副作用の軽減、投与回数の減少による患者の利便性向上や苦痛解消、長期間にわたる薬効発揮といった効果を得るため、メタスチン誘導体が長期間にわたり徐放され、臨床上の医薬として優れた性質を示す徐放性製剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、メタスチン誘導体又はその塩及び重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する本願徐放性製剤が、例えば医薬効果、安全性、安定性、投与量、投与形態、使用方法等の臨床医薬として求められる性質において、優れた性質を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次のような徐放性製剤、その製造方法などに関する。
〔1〕式:
Ac-D-Tyr-Hyp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2 (I)
で表される化合物(本明細書中、化合物(I)と略記することがある)又はその塩と、重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する徐放性製剤;〔2〕乳酸―グリコール酸共重合体又はその塩の重量平均分子量が約6,000ないし約20,000である上記〔1〕記載の徐放性製剤;

〔3〕乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩におけるグリコール酸含有量が0重量%を超え約60重量%以下である上記〔1〕記載の徐放性製剤;〔4〕乳酸―グリコール酸共重合体におけるグリコール酸含有量が約5重量%以上約50重量%以下である上記〔1〕記載の徐放性製剤;

〔5〕癌の治療又は予防剤である上記〔1〕記載の徐放性製剤;
〔6〕非経口投与剤である上記〔1〕記載の徐放性製剤;
〔7〕式:
Ac-D-Tyr-Hyp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2 (I)
で表される化合物又はその塩を含む内水相と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含む油相とからW/Oエマルションを製造し、該W/Oエマルションをさらに乳化して得られるW/O/Wエマルションを水中乾燥法に付すことを特徴とする上記〔1〕記載の徐放性製剤の製造方法;及び〔8〕W/Oエマルションを31℃以上の温度で製造することを特徴とする上記〔7〕記載の製造方法。
また、本発明は次のような態様の徐放性製剤、治療方法などにも関する。
〔9〕化合物(I)又はその塩と、重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する徐放性製剤であって、 約0.01ないし約4mg/kg体重の量の化合物(I)またはその塩が、3週間以上(好ましくは1ヶ月)に1回の間隔で患者に投与されるように用いられる徐放性製剤;
〔10〕W/O/Wエマルションを用いる方法で製造される上記〔9〕記載の徐放性製剤;
〔11〕化合物(I)又はその塩と、重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する徐放性製剤であって、 約0.09ないし約1.8mg/kg体重の量の化合物(I)またはその塩が、12週間以上(好ましくは3ヶ月)に1回の間隔で患者に投与されるように用いられる徐放性製剤;
〔12〕癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、脳腫瘍)、膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎、膵癌)、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩異常の治療または予防に用いられる上記〔1〕〜〔6〕及び〔9〕〜〔11〕のいずれかに記載の徐放性製剤;
〔13〕マイクロカプセル製剤である上記〔12〕記載の徐放性製剤;及び
〔14〕哺乳動物に対して上記〔12〕または〔13〕記載の徐放性製剤の有効量を投与すること特徴とする、癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、脳腫瘍)、膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎)、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩異常の治療または予防方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の徐放性製剤は、長期にわたって化合物(I)またはその塩の安定した徐放性を示し、また長期にわたって化合物(I)またはその塩の薬効を発揮する。また、本発明の徐放性製剤は投与回数の減少により患者の利便性が向上した、臨床上の医薬として優れた製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる下記式(I):
(Ac-D-Tyr-Hyp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2 (I)
(配列番号:1)で表されるメタスチン誘導体(本明細書中、化合物(I)と略記することがある)またはその塩は公知のペプチド合成法によって製造することができ、より具体的にはWO07/72997号に記載の方法により製造することができる。
【0008】
本発明に用いられる化合物(I)は塩を形成していてもよく、化合物(I)が形成する塩としては、とりわけ薬理学的に許容される塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば塩酸、りん酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、有機酸(例えば酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩、無機塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩)、有機塩基との塩(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン)が用いられる。
本発明に用いられる化合物(I)が形成する塩の好ましい例としては、酢酸との塩が挙げられる。
【0009】
本発明の徐放性製剤は、重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体(本明細書中、乳酸―グリコール酸共重合体と略記することがある)またはその塩を含有する。
【0010】
本発明において乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩とは、乳酸とグリコール酸とから構成される重合体またはその塩を意味する。本発明に用いられる乳酸―グリコール酸共重合体におけるグリコール酸含有量は0重量%を超え約60重量%以下であるが、好ましくは約1重量%以上約55重量%以下、より好ましくは約5重量%以上約50重量%以下であり、さらに好ましくは約15重量%以上約35重量%以下であり、特に好ましくは約25重量%である。
本発明に用いられる乳酸―グリコール酸共重合体の重量平均分子量は約5,000ないし約40,000であるが、好ましくは約5,000ないし約30,000であり、さらに好ましくは約6,000ないし約20,000である。
乳酸―グリコール酸共重合体の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは約1.2ないし約4.0、さらに好ましくは約1.5ないし約3.5である。
本明細書で用いられる重量平均分子量および分散度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値を意味する。重量平均分子量及び各重合体含有量は、例えば、単分散ポリスチレンを基準物質としてGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及びそれらから算出した各重合体含有量である。重量平均分子量及び各重合体含有量の測定は、例えば、高速GPC装置(東ソー(株)製;HLC−8120GPC)で行うことができ、カラムはSuperH4000×2及びSuperH2000(何れも東ソー(株)製)を使用することができる。移動相としては、テトラヒドロフランを用いることができ、流速は0.6 mL/minとすることができる。検出方法では示差屈折率を用いることができる。
なお、乳酸―グリコール酸共重合体としては市販品を用いることができる。
【0011】
本発明において乳酸―グリコール酸共重合体は塩であってもよい。塩としては、例えば、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類)との塩、または遷移金属(例、亜鉛、鉄、銅)との塩および錯塩が挙げられる。
【0012】
本発明の徐放性製剤は、具体的には、化合物(I)またはその塩と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩とを混合し、必要に応じて成形することによって製造される。ここで、化合物(I)またはその塩の使用量が、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩に対して例えば、約0.01ないし約50%(w/w)、 好ましくは約0.1ないし約30%(w/w)である。
【0013】
以下に、本発明の徐放性製剤の製造法を詳述する。
【0014】
(1)棒状成形物等の製造法。
【0015】
(1−a)
乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を有機溶媒(好ましくはジクロロメタン等)に溶解し、化合物(I)またはその塩の水溶液を添加後乳化する。得られたエマルションを真空乾燥し、化合物(I)またはその塩と乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩とが均一に分散された粉末を得る。この粉末を加温し、冷却することにより、円盤状、フィルム状、棒状(ロッド状)等に成形する。加温温度は例えば、約50ないし約100℃、冷却温度は例えば約0ないし約40℃である。化合物(I)またはその塩の使用量は、化合物(I)またはその塩の種類、所望の薬理効果及び効果の持続期間等により異なるが、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩に対して例えば約0.01ないし約50%(w/w)、好ましくは約0.1ないし約30%(w/w) 、特に好ましくは約1ないし約20%(w/w)である。
【0016】
(1−b)
乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を有機溶媒(好ましくはジクロロメタン等)に溶解し、化合物(I)またはその塩を均一に分散させる。得られる分散液を真空乾燥し、化合物(I)またはその塩が均一に分散された乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩との粉末を得る。この粉末を加温し、冷却することにより、円盤状、フィルム状、棒状(ロッド状)等に成形する。加温温度、冷却温度、および化合物(I)またはその塩の使用量は、前記(1−a)と同様である。
【0017】
(2)マイクロカプセル(マイクロスフェアとも称する)の製造法。
(2−a)水中乾燥法
マイクロカプセルは(i)化合物(I)またはその塩を含む内水相と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含む油相とからなるW(内水相)/O(油相)エマルションを乳化して得られるW(内水相)/O(油相)/W(外水相)エマルション、又は(ii)化合物(I)またはその塩と乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩とを含む油相を乳化して得られるO(油相)/W(外水相)エマルションを、水中乾燥法に付することによって製造される。
上記(i)、即ち、化合物(I)またはその塩を含む内水相と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含む油相とからなるW/Oエマルションは、以下のようにして製造される。
まず、化合物(I)またはその塩を水に溶解、分散又は懸濁し、内水相を製造する。化合物(I)またはその塩の水中の濃度は、例えば0.001ないし90%(w/w)、好ましくは0.01ないし80%(w/w)である。
上記化合物(I)またはその塩の使用量は、化合物(I)またはその塩の種類、所望の薬理効果及び効果の持続期間等により異なるが、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩に対して、例えば約0.01ないし約50%(w/w)、好ましくは約0.1ないし約30%(w/w)、さらに好ましくは約1ないし約20%(w/w)である。
必要であれば、化合物(I)またはその塩のマイクロカプセルへの取り込みを上げるために、内水相にゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールあるいは塩基性アミノ酸(例えばアルギニン、ヒスチジン、リジン等)等の薬物保持物質を加えてもよい。該薬物保持物質の添加量は、化合物(I)またはその塩に対し、通常約0.01ないし約10重量倍である。
また、必要であれば、内水相にアミノ酸(例、トリプトファンあるいはアルギニン)を添加してもよい。該アミノ酸を添加することにより、本発明の徐放性製剤投与後における初期(投与から2週間後程度まで)における化合物(I)またはその塩の血中濃度の低下を防ぐことができる場合がある。該アミノ酸の添加量は、化合物(I)またはその塩に対し、通常約0.01ないし約10重量倍、好ましくは約0.05ないし約10重量倍、さらに好ましくは約0.1ないし約5重量倍である。
内水相は、一旦凍結乾燥して粉末状態とした後、適当な濃度となるように水を添加して溶解して用いてもよい。
【0018】
別に、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を有機溶媒に溶解し、油相を製造する。
前記有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素)、脂肪酸エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン)が挙げられ、中でもジクロロメタンが好ましい。
有機溶媒中の乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の濃度は、該乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の種類及び重量平均分子量、有機溶媒の種類により異なるが、[乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の重量/(有機溶媒の重量+乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の重量)](×100%)で表される値は、通常約0.01ないし約90%(w/w)、好ましくは約0.01ないし約70%(w/w)である。前記油相は不溶物を含まないことが望ましい。
このようにして得られる乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の有機溶媒溶液(油相)に、化合物(I)またはその塩の水溶液、分散液又は懸濁液(内水相)を添加し、ホモミキサー等で分散、乳化し、W/Oエマルションを製造する。
W/Oエマルションの製造を室温(約19〜25℃)で行った場合には、製造されたW/Oエマルションは経時的に後述の二次乳化には好ましくない態様(例、ゲル状)に変化し、高い収率でマイクロカプセルを製造することが困難となる場合がある(ここで収率とは、W/Oエマルションのために使用した化合物(I)またはその塩の重量に占める、マイクロカプセルに含まれる化合物(I)またはその塩の重量の割合を指す)。
上記変化を防止するためには、W/Oエマルションを31℃以上(好ましくは31〜33℃)の温度で製造することが好ましい。
一方、上記(ii)、即ち、化合物(I)またはその塩と乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩とを含む油相は、以下のようにして製造される。
まず、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の有機溶媒溶液を製造する。該有機溶媒としては、上記W/Oエマルションを製造する際に用いた有機溶媒と同様のものが用いられる。
有機溶媒溶液中の乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の濃度は、該乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の種類及び重量平均分子量、有機溶媒の種類によって異なるが、[乳酸―グリコール酸共重合体の重量/(有機溶媒の重量+乳酸―グリコール酸共重合体の重量)](×100%)で表される値は、通常約0.01ないし約70%(w/w)、好ましくは約1ないし約60%(w/w)である。
次に、化合物(I)またはその塩を乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の有機溶媒溶液に溶解あるいは懸濁して油相を製造する。油相の製造は、化合物(I)またはその塩をアルコールに溶解した溶液を乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩の有機溶媒溶液に溶解あるいは懸濁することによっても製造できる。化合物(I)またはその塩を溶解するアルコールとしては、例えばメタノールが挙げられる。上記アルコールとして、酢酸を含有した酢酸−アルコール混合溶液(例、酢酸−メタノール混合溶液)を使用することもできる。該酢酸−アルコール混合溶液における酢酸の含有量は通常アルコール重量の約0.1ないし約100倍量である。該酢酸−アルコール混合溶液にアミノ酸(トリプトファンあるいはアルギニン等)を添加してもよい。該アミノ酸を用いることにより、本発明の徐放性製剤投与後における初期(投与から2週間後程度まで)における化合物(I)またはその塩の血中濃度の低下を防ぐことができる場合がある。該アミノ酸の添加量は、通常アルコール重量の通常約0.0002ないし約0.2重量倍、好ましくは約0.001ないし約0.2重量倍、さらに好ましくは約0.001ないし約0.05重量倍である。
化合物(I)またはその塩の使用量は、化合物(I)またはその塩の乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩に対する割合が上記(i)W/Oエマルションを製造する場合と同様になるように選択すればよい。
【0019】
ついで上記の(i)W/Oエマルション又は(ii)油相を、外水相に添加し、ホモミキサー等を用いて分散、乳化(二次乳化)し、それぞれのエマルション(以下では、W/Oエマルションから得られるエマルションをW/O/Wエマルション、(ii)の油相から得られるエマルションをO/Wエマルションと呼ぶことがある)を製造する。
外水相の使用量は、通常上記W/Oエマルション又は油相の約1ないし約10,000容量倍、好ましくは約10ないし約5,000容量倍、特に好ましくは約50ないし約1,000容量倍である。
外水相中には、通常乳化剤を添加する。該乳化剤としては、一般的に安定なW/O/Wエマルション又はO/Wエマルションを形成し得るものであればよく、例えばアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸が挙げられるが、中でもポリビニルアルコールが好ましい。外水相中の乳化剤の濃度は、通常約0.001ないし約20%(w/w)、好ましくは約0.01ないし約10%(w/w)、特に好ましくは約0.05ないし約5%(w/w)である。
【0020】
このようにして得られるW/O/Wエマルション又はO/Wエマルション(以下、これらを単にエマルションと略記する場合がある)を水中乾燥法に付すことにより、これらエマルションに含まれる有機溶媒を除去してマイクロカプセルを製造することができる。
【0021】
また、前記したW/O/Wエマルション又はO/Wエマルションを用いる方法の他に、化合物(I)またはその塩を含む固相と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含む油相とからなるS(固相)/O(油相)エマルションを水中乾燥法に付すことによっても製造することもできる。
【0022】
まず乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を有機溶媒に溶解し、得られる有機溶媒液中に化合物(I)またはその塩を分散させる。この際、化合物(I)またはその塩と乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩との使用量は、化合物(I)またはその塩の乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩に対する割合が上記(i)W/Oエマルションを製造する場合と同様になるように選択すればよい。該有機溶媒としては、前記W/Oエマルションを製造する際に用いた有機溶媒と同様のものが用いられる。また、化合物(I)またはその塩を前記有機溶媒液中に均一に分散させるため、例えば超音波照射、タービン型撹拌器、ホモジナイザー等が用いられる。
次いでこのようにして調製されたS/Oエマルションを、更に外水相に添加し、例えば超音波照射、タービン型撹拌器、あるいはホモジナイザー等を用いて、分散、乳化し、エマルション(以下ではS(固相)/O(油相)/W(水相)エマルションと呼ぶことがある)を製造する。以後、油相溶媒を蒸発させマイクロカプセルを製造する。この際の水相体積は、一般的には油相体積の約1倍ないし約10,000倍から選ばれる。更に好ましくは約10倍ないし約5,000倍、特に好ましくは約50倍ないし約1,000倍から選ばれる。
上記外水相中には、前記乳化剤を加えてもよい。外水相の使用量、外水相に添加される乳化剤の種類および濃度は、前記W/O/Wエマルションを製造する場合と同様である。
このようにして得られるS/O/Wエマルションを水中乾燥法に付すことにより、有機溶媒を除去して、マイクロカプセルを製造することができる。
【0023】
W/O/Wエマルション、O/Wエマルション、S/O/Wエマルションを用いて得られるマイクロカプセルは、遠心分離、篩過あるいは濾過により分取した後、必要に応じて、マイクロカプセルの表面に付着している乳化剤等を蒸留水による洗浄で除去する。その後、マイクロカプセルを蒸留水等に分散して凍結乾燥し、必要に応じて、加温してマイクロカプセル中の水分及び有機溶媒を更に除去する。加温は減圧下に行ってもよい。加温条件としては、用いた乳酸―グリコール酸共重合体のガラス転移温度以上で、マイクロカプセルの各粒子が互いに付着しない程度の温度で加熱乾燥する。好ましくは、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩のガラス転移温度からガラス転移温度より約30℃高い温度の範囲で加熱乾燥する。ここでガラス転移温度とは、示差走査熱量計を用い、加温速度毎分10ないし20℃で昇温した際に得られる中間点を云う。
【0024】
(2−b)相分離法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前記(2−a)の水中乾燥法に記載したW/Oエマルションにコアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えてマイクロカプセルを析出,固化させる。該コアセルベーション剤は油相体積の約0.01〜約1,000倍、好ましくは約0.05〜約500倍、特に好ましくは約0.1〜約200倍から選ばれる。
コアセルベーション剤としては、有機溶媒と混和する高分子系,鉱物油系または植物油系の化合物等で本発明の生体内分解性ポリマーを溶解しないものであれば特に限定はされない。具体的には、例えば、シリコン油,ゴマ油,大豆油,コーン油,綿実油,ココナッツ油,アマニ油,鉱物油,n-ヘキサン,n-ヘプタンが用いられる。これらは2種類以上混合して使用してもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルを分取した後、ヘプタン等で繰り返し洗浄してコアセルベーション剤等を除去し、減圧乾燥する。もしくは、前記(2−a)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥する。
【0025】
(2−c)噴霧乾燥法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前記(2−a)の水中乾燥法に記載したW/Oエマルションをノズルで噴霧することによりスプレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室内に噴霧し、極めて短時間内に微粒化液滴内の有機溶媒を揮発させる。該ノズルとしては、例えば、二流体ノズル型,圧力ノズル型,回転ディスク型がある。この後、必要であれば、前記(2−a)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
上述のマイクロカプセル以外の剤形として前記(2−a)の水中乾燥法に記載したW/Oエマルションを、例えば、ロータリーエヴァポレーターを用いて真空度を調節しながら有機溶媒および水を蒸発させて乾固した後、ジェットミルなどで粉砕して微粒子(マイクロパーティクル)としてもよい。
さらには、粉砕した微粒子を前記(2−a)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
【0026】
前記(2−a)、(2−b)または(2−c)で製造したマイクロカプセルを蒸留水等に分散する際には、粒子同士の凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止剤としては、例えばマンニトール、ラクトース、ブドウ糖、デンプン類(例えばコーンスターチ)、ヒアルロン酸あるいはこのアルカリ金属塩等の水溶性多糖;グリシン、フィブリン、コラーゲン等のタンパク質;塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の無機塩類が挙げられる。なかでも、マンニトールが好ましい。凝集防止剤の使用量は、マイクロカプセル100重量部に対して、好ましくは約2ないし約100重量部、さらに好ましくは約10ないし約25重量部である。
また、マイクロカプセルは、前記(1−a)の場合と同様に、加温後、冷却することにより、円盤状、フィルム状、棒状(ロッド状)等に成形することもできる。
【0027】
マイクロカプセルにおける化合物(I)またはその塩の含量については特に制限はないが、1ヶ月型徐放性製剤については例えば約4重量%以上約10重量%以下であり、好ましくは約6重量%以上約10重量%以下である。
【0028】
前記した各種製造法において、有機溶媒に乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を溶解する際に、該有機溶媒に酸化亜鉛を添加してもよい。
酸化亜鉛の使用量は、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩100重量部に対し、例えば約0.01ないし約100重量部、好ましくは約0.1ないし約20重量部である。
また、酸化亜鉛の粒子径は、通常約0.001ないし約10μm、好ましくは約0.005ないし約1μmである。
このように、酸化亜鉛を使用して得られる徐放性製剤は、「薬物取り込み率が高い」、「長期にわたって持続的に薬物を放出できる」等の優れた性質を有する。
本発明の徐放性製剤を製造する際に、化合物(I)またはその塩を、揮発性の塩類例えば酢酸アンモニウムの水溶液に溶解し、凍結乾燥して用いてもよい。
このように酢酸アンモニウムで処理して得られる化合物(I)またはその塩の凍結乾燥品は、粒子径が小さく、優れた操作性を有するので、徐放性製剤を製造する際に有利である。
【0029】
こうして得られる本発明の徐放性製剤は、所望により製剤学的に許容される添加剤(例えば、安定化剤、保存剤、無痛化剤)を適宜、含有していてもよい。本発明の徐放性製剤の剤型としては、例えば非経口投与剤(例えば注射剤、埋め込み剤、坐剤)、経口投与剤(例えばカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤)が挙げられる。前記安定化剤としては、例えばヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールが;保存剤としては、例えばベンジルアルコール、フェノールが;無痛化剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインがそれぞれ挙げられる。本発明の徐放性製剤における化合物(I)またはその塩の含量は、徐放性製剤全体に対して通常約0.01ないし約33%(w/w)の範囲から適宜選択することができる。
【0030】
化合物(I)またはその塩を含有する、W/O/Wエマルションを用いる方法で製造した1ヶ月型徐放性製剤は、徐放期間における血中薬物濃度をより高く維持することができる点で、O/Wエマルションを用いて製造した1ヶ月型徐放性製剤よりも優れている。
本発明の徐放性製剤は、徐放期間における化合物(I)またはその塩の血中薬物濃度が安定している点で優れている。
【0031】
本発明の徐放性製剤は、好ましくは非経口投与剤であり、さらに好ましくは注射剤である。例えば、徐放性製剤がマイクロカプセルである場合、マイクロカプセルを分散剤(例、Tween80、HCO-60等の界面活性剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の多糖類)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖)等と共に水性懸濁剤とすることにより徐放性注射剤が得られる。また、ゴマ油、コーン油等の植物油あるいはこれにレシチン等のリン脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール812)にマイクロカプセルを分散して油性懸濁剤とすることによっても、徐放性注射剤が得られる。
徐放性製剤が例えばマイクロカプセルである場合、マイクロカプセルの粒子径は、懸濁注射剤として使用するためには、その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば平均粒子径として約0.1ないし約300μmの範囲が挙げられる。平均粒子径は、好ましくは約1ないし約150μm、特に好ましくは約2ないし約100μmの範囲である。
上記のマイクロカプセルを無菌処理するには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0032】
本発明の徐放性製剤は低毒性であるので、哺乳動物(例えばヒト、サル、マントヒヒ、チンパンジー、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、ラット)に対して経口的または非経口的に安全に投与することができる。
【0033】
本発明の徐放性製剤は、メタスチンの生理活性が関与する全ての疾患の治療または予防
に用いることができる。特に、本発明の徐放性製剤は、癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、
膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、脳
腫瘍)、膵臓疾患(例えば、急性または慢性膵炎)、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇胎
、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常または分娩異常の治療または予防に
有効に用いることができる。
本発明の徐放性製剤は、とりわけ、癌(好ましくは前立腺癌、より好ましくは、アンドロゲン非依存性前立腺癌)の治療または予防剤として有用である。
【0034】
本発明の徐放性製剤の投与量は、有効成分である化合物(I)またはその塩の種類と含量、剤形、放出の持続期間、投与対象、投与ルート、投与目的、対象疾患、症状等に応じて適宜選択することができるが、所望の持続期間中に当該有効成分が医薬上有効な濃度で体内に維持される量であればよい。例えば成人の癌患者の治療において、本発明の徐放性製剤を例えば約1ヶ月型徐放性注射剤として投与する場合、1回あたり、化合物(I)またはその塩として例えば約0.01ないし約4mg/kg体重、好ましくは約0.03ないし0.6mg/kg体重の範囲の量を用いる。また、本発明の徐放性製剤を約3ヶ月型徐放性注射剤として投与する場合、1回あたり、化合物(I)またはその塩として例えば約0.03ないし約12mg/kg体重、好ましくは約0.09ないし1.8mg/kg体重の範囲の量を用いる。投与回数は、3週間に1回、1ヵ月に1回、3ヵ月に1回等、化合物(I)またはその塩の含量、剤形、放出の持続期間、対象疾病、投与対象等によって適宜選ぶことができる。本発明の徐放性製剤として、好ましくは3週間ないし4ヵ月型徐放性製剤、さらに好ましくは1ヶ月ないし4ヵ月型徐放性製剤が挙げられる。
【0035】
また、本発明の徐放性製剤は、化合物(I)またはその塩が医薬上有効である種々の疾患のためのその他の医薬、特に癌治療のための化学療法剤、ホルモン療法剤、免疫療法剤等の薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明の徐放性製剤及び併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の徐放性製剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等に応じて適宜選択することができる。
【0036】
化学療法剤としては、例えばアルキル化剤(例えばサイクロフォスファミド、イフォスファミド、ニムスチン、ラニムスチン、カルボコン)、代謝拮抗剤(例えばメソトレキセート、5−フルオロウラシル、テガフール、カルモフール、UFT、ドキシフルリジン、シタラビン、エノシタビン、メルカプトプリン、メルカプトプリンリボシド、チオグアニン)、抗癌性抗生物質(例えばマイトマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、アクチノマイシン)、植物由来抗癌剤(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、カンプトテシン、イリノテカン)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラムスチンが挙げられる。
【0037】
ホルモン療法剤としては、例えば副腎皮質ホルモン薬(例えばプレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、酢酸コルチゾン)、エストロゲン薬(例えばエストラジオール、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、クロロトリアニセン)、抗エストロゲン薬(例えばエピチオスタノール、メピチオスタン、タモキシフェン、クロミフェン)、黄体ホルモン薬(例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ジドロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、ノルエチンドロン)、LHRH誘導体(例えば酢酸リュープロレリン)が挙げられる。
免疫療法剤としては、例えば微生物又は細菌成分(例えばムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性のある多糖類(例えばレンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例えばインターフェロン、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン12(IL-12)、腫瘍壊死因子(TNF))、コロニー刺激因子(例えば顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン)が挙げられる。
【0038】
更に、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、即ち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばインドメタシン)〔キャンサー・リサーチ(Cancer Reseach)、第49巻、5935ないし5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例えばメゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213ないし225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例えばデキサメサゾン)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献は何れも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例えばエイコサペンタエン酸)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314ないし318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体等も本発明の徐放性製剤と併用することができる。
【0039】
その他、胎盤や膵臓の疾患の治療又は予防に用いられる一般的な薬剤も併用薬剤として用いられる。その様な薬剤の例としては、臨床上通常用いられる抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、ホルモン剤が挙げられる。
【0040】
本明細書において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC IUB Commision on BiochemicalNomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
Ac :アセチル
AzaGly :アザグリシン
Hyp :トランス-4-ヒドロキシプロリン
Leu :ロイシン
Thr :スレオニン
Arg(Me) :Nω-メチルアルギニン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Asn :アスパラギン
【実施例】
【0041】
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、実施例として記載された処方において、活性成分以外の成分(添加物)としては、日本薬局方第15改正、日本薬局方外医薬品規格又は医薬品添加物規格2003適合品における収載品などを用いた。
【0042】
実施例1
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;7,900、数平均分子量Mn;3,400、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)6.2469gをジクロロメタン10.9328gで溶解した。この溶液13.2188gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4796gを5.6505gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.8075gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は15.5%であった。
【0043】
実施例2
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,500、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)5.9815g、5.9824g、5.9846g、5.9825gをそれぞれジクロロメタン10.9244g、11.0231g、10.9199g、11.0646gで溶解した。それぞれこの溶液13.4331g、13.3842g、13.0452g、13.0603gを量り取り、それぞれ化合物(I)の酢酸塩0.5744g、0.5739g、0.5752g、0.5707gをそれぞれ0.5333g、0.5318g、0.5597g、0.5479gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた4つの0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中にそれぞれ注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。それぞれこのW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィア全てを少量の蒸留水に再分散し一つにまとめ、マンニトール2.592gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.4%であった。
【0044】
実施例3
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;7,900、数平均分子量Mn;3,400、Mw
/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)5.9852g、5.9858g、5.9857g、5.9819gをそれぞれジクロロメタン11.0099g、10.9211g、10.9389g、10.9393gで溶解した。それぞれこの溶液13.0645g、13.0548g、13.0728g、13.0405gを量り取り、それぞれ化合物(I)の酢酸塩0.5705g、0.5735g、0.5736g、0.5702gをそれぞれ0.5552g、0.6459g、0.5054g、0.5292gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた4つの0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中にそれぞれ注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。それぞれこのW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。
捕集されたマイクロスフィア全てを少量の蒸留水に再分散し一つにまとめ、マンニトール2.596gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.7%であった。
【0045】
実施例4
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=65/35、重量平均分子量Mw;10,000、数平均分子量Mn;4,200、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)5.85gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液12.9gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.573gを0.5gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、5μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.85gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.0%であった。
【0046】
実施例5
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=65/35、重量平均分子量Mw;14,200、数平均分子量Mn;5,700、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)5.85gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液12.9gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.573gを0.5gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.85gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.6%であった。
【0047】
実施例6
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50、重量平均分子量Mw;13,900、数平均分子量Mn;5,000、Mw/Mn比;2.8)(和光純薬工業株式会社製)5.85gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液12.9gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.573gを0.5gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.85gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.0%であった。
【0048】
実施例7
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50、重量平均分子量Mw;15,900、数平均分子量Mn;5,400、Mw/Mn比;2.9)(和光純薬工業株式会社製)5.85gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液12.9gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.573gを0.5gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.85gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.6%であった。
【0049】
実施例8
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50、重量平均分子量Mw;17,800、数平均分子量Mn;4,900、Mw/Mn比;3.6)(和光純薬工業株式会社製)5.85gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液12.9gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.573gを0.5gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.85gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.1%であった。
【0050】
実施例9
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;8,000、数平均分子量Mn;3,500、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)42.11gをジクロロメタン78.81gで溶解した。この溶液15.50gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.710gを0.60gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.001%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.706gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.7%であった。
【0051】
実施例10
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;7,800、数平均分子量Mn;3,400、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)409.80gをジクロロメタン757.76gで溶解した。この溶液795.45gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩35.10gを30.60gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、ロボミックス(特殊機化製)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm、1min)。次いでこのW/Oエマルションを約10℃に冷却後、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液50リットル中に注入し、 HOMOMIC LINE FLOW(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm、循環ポンプ回転数約2000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心機(H−600S, コクサン製)を用いて連続的にマイクロスフェアを遠心分離して捕集した(回転数約2,000rpm、流量約550ml/min)。捕集されたマイクロスフェアは少量の蒸留水に再分散し、90μmの標準篩を用いて篩過した後、マンニトール42.436gを添加し、凍結乾燥機(DFM−05A−S,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.2%であった。
【0052】
実施例11
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;8,200、数平均分子量Mn;3,400、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)1423.4gをジクロロメタン2626.0gで溶解した。この溶液3116gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩136.12gを120.02gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、ミニミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約5,800rpm、12min)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液200リットル中に注入し、 HOMOMIC LINE FLOW(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm、循環ポンプ回転数約2,500rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心機(H−1002特型,コクサン製)を用いて連続的にマイクロスフェアを遠心分離して捕集した(回転数約2,000rpm、流量約600ml/min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフェアは少量の蒸留水に再分散し、90μmの標準篩を用いて篩過した後、マンニトール169.40gを添加し、凍結乾燥機(RL−402BS,共和真空製)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.6%、化合物(I)の収率は63.2%であった。
【0053】
実施例11−2
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;8,000、数平均分子量Mn;3,239、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)1431.8gをジクロロメタン2626.0gで溶解した。この溶液3121gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩137.1gを120.0gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、ミニミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約5,800rpm、12min)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液200リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(HOMOMIC LINE FLOW;特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm、循環ポンプ回転数約2,500rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心機(H−1002特型,コクサン製)を用いて連続的にマイクロスフェアを遠心分離して捕集した(回転数約2,000rpm、流量約600ml/min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフェアは少量の蒸留水に再分散し、90μmの標準篩を用いて篩過した後、15%マンニトール水溶液1300gを添加し、凍結乾燥機(RL−402BS,共和真空製)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.0%、化合物(I)の収率は81.2%であった。
W/Oエマルションを31℃以上(具体的には32℃)に温度調節することにより、高い収率でマイクロカプセルを製造することができることが示された。
【0054】
実施例12
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;16,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.7)(和光純薬工業株式会社製)6.2400gをジクロロメタン10.9393gで溶解した。この溶液13.2986gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4467gを5.6115gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を約10℃に冷却後、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.7430gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は14.4%であった。
【0055】
実施例13
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;17,600、数平均分子量Mn;6,100、Mw/Mn比;2.9)(和光純薬工業株式会社製)6.2402gをジクロロメタン10.9499gで溶解した。この溶液13.2229gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4367gを5.6085gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を約10℃に冷却後、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.7425gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は13.5%であった。
【0056】
実施例14
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;
8,100、数平均分子量Mn;3,500、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株
式会社製)7.03gをジクロロメタン13.14gで溶解した。この溶液15.48g
を量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.68gを2.80gのメタノールに溶解した溶液
と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.847gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.1%であった。
【0057】
実施例15
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;12,100、数平均分子量Mn;5,200、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)7.02gをジクロロメタン13.16gで溶解した。この溶液15.59gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.68gを2.80gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.847gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.6%であった。
【0058】
実施例16
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;14,300、数平均分子量Mn;6,200、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)6.24gをジクロロメタン10.92gで溶解した。この溶液13.19gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.36gを5.59gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.855gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は14.1%であった。
【0059】
実施例17
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;10,200、数平均分子量Mn;4,400、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)7.02302gをジクロロメタン13.07gで溶解した。この溶液15.25gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.68223gを0.60332gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.917gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.4%であった。
【0060】
実施例18
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;14,300、数平均分子量Mn;6,200、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)7.03252gをジクロロメタン13.14gで溶解した。この溶液15.51gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.68946gを0.59202gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.838gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.3%であった。
【0061】
実施例19
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;12,100、数平均分子量Mn;5,200、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)6.25043gをジクロロメタン10.95gで溶解した。この溶液13.25gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.36512gを1.20535gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.852gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は12.4%であった。
【0062】
実施例20
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;14,300、数平均分子量Mn;6,200、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)6.24105gをジクロロメタン10.93gで溶解した。この溶液13.21gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.36150gを1.20335gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.855gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は11.8%であった。
【0063】
実施例21
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;10,100、数平均分子量Mn;4,100,Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)7.0461gをジクロロメタン13.33gで溶解した。この溶液15.55gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.6874gを2.84gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.853gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.0%であった。
【0064】
実施例22
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;12,200、数平均分子量Mn;4,900、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)7.0265gをジクロロメタン13.21gで溶解した。この溶液15.52gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.6837gを2.89gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.857gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.7%であった。
【0065】
実施例23
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)13.25758gをジクロロメタン24.09gで溶解した。この溶液15.57gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.7413gを2.81gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.840gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.3%であった。
【0066】
実施例24
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;16,300、数平均分子量Mn;6,500、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.25830gをジクロロメタン24.07gで溶解した。この溶液15.52gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.7396gを2.81gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.875gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.4%であった。
【0067】
実施例25
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;18,300、数平均分子量Mn;6,900、Mw/Mn比;2.7)(和光純薬工業株式会社製)13.26369gをジクロロメタン24.08gで溶解した。この溶液15.51gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.7407gを2.81gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.851gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.5%であった。
【0068】
実施例26 乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;12,200、数平均分子量Mn;4,900、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.26412gをジクロロメタン24.13gで溶解した。この溶液15.54gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.74057gを0.60272gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.899gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.1%であった。
【0069】
実施例27・BR>@乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)13.28203gをジクロロメタン24.08gで溶解した。この溶液15.49gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.73955gを0.60079gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.896gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.7%であった。
【0070】
実施例28 乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;16,300、数平均分子量Mn;6,500、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.25986gをジクロロメタン24.05gで溶解した。この溶液15.57gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.74347gを0.60239gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.857gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は6.0%であった。
【0071】
実施例29 乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;18,300、数平均分子量Mn;6,900、Mw/Mn比;2.7)(和光純薬工業株式会社製)13.27697gをジクロロメタン24.03gで溶解した。この溶液15.71gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.74460gを0.60206gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いで次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.851gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は5.3%であった。
【0072】
実施例30
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;8,100、数平均分子量Mn;3,500、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)6.2733gをジクロロメタン11.01gで溶解した。この溶液13.23514gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.3694gを5.77gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.852gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は15.6%であった。
【0073】
実施例31
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;10,100、数平均分子量Mn;4,100、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)6.2776gをジクロロメタン11.10gで溶解した。この溶液13.23086gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.3706gを5.67gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.855gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は15.0%であった。
【0074】
実施例32
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;12,200、数平均分子量Mn;4,900、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)6.2711gをジクロロメタン11.01gで溶解した。この溶液13.23944gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.3664gを5.66gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.850gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は14.3%であった。
【0075】
実施例33
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)13.2578gをジクロロメタン24.09gで溶解した。この溶液13.24gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4783を5.62gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.854gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は15.7%であった。
【0076】
実施例34
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;16,300、数平均分子量Mn;6,500、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.2583gをジクロロメタン24.07gで溶解した。この溶液13.21gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4795を5.60gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.864gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は16.6%であった。
【0077】
実施例35
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;18,300、数平均分子量Mn;6,900、Mw/Mn比;2.7)(和光純薬工業株式会社製)13.2370gをジクロロメタン24.08gで溶解した。この溶液13.24gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.4826を5.62gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.852gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は16.5%であった。
【0078】
実施例36
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;12,200、数平均分子量Mn;4,900、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.26412gをジクロロメタン24.13gで溶解した。この溶液13.31gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.48118gを1.20759gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.890gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は11.3%であった。
【0079】
実施例37
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)13.28203gをジクロロメタン24.08gで溶解した。この溶液13.39gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.45645gを1.20538gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.909gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は12.4%であった。
【0080】
実施例38
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;16,300、数平均分子量Mn;6,500、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)13.25986gをジクロロメタン24.05gで溶解した。この溶液13.23gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.48385gを1.20734gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.886gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は10.9%であった。
【0081】
実施例39
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;18,300、数平均分子量Mn;6,900、Mw/Mn比;2.7)(和光純薬工業株式会社製)13.27697gをジクロロメタン24.03gで溶解した。この溶液13.28gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.47734gを1.20452gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホモジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、32℃に温度調節し、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.878gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は10.9%であった。
【0082】
実施例40
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;16,200、数平均分子量Mn;6,800、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)7.020gをジクロロメタン13.132gで溶解した。この溶液15.4976gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.6831gを2.79729gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.842gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.7%であった。
【0083】
実施例41
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;18,100、数平均分子量Mn;7,500、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)7.022gをジクロロメタン13.132gで溶解した。この溶液15.4936gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩0.6831gを2.8081gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.842gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は8.2%であった。
【0084】
実施例42
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;16,200、数平均分子量Mn;6,800、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)6.243gをジクロロメタン10.924gで溶解した。この溶液13.2289gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.3647gを5.6052gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.856gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は14.9%であった。
【0085】
実施例43
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=85/15、重量平均分子量Mw;18,100、数平均分子量Mn;7,500、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)6.243gをジクロロメタン10.921gで溶解した。この溶液113.2253gを量り取り、化合物(I)の酢酸塩1.3668gを5.6024gのメタノールに溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.842gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は14.1%であった。
【0086】
実施例44
酢酸6.92642gとメタノール4.82027gを混合し、この溶液4.76611gでトリプトファン0.26503gを溶解した。このトリプトファンを溶解したメタノール/酢酸溶液で化合物(I)の酢酸塩1.21857gを溶解し、トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液を調製した。
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;10,100、数平均分子量Mn;4,100、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)6.26043gをジクロロメタン11.04gで溶解した。この溶液13.39gを量り取り、上記トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.849gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は13.2%であった。
【0087】
実施例45
酢酸6.91984gとメタノール4.79744gを混合し、この溶液4.63624gでトリプトファン0.13000gを溶解した。このトリプトファンを溶解したメタノール/酢酸溶液で化合物(I)の酢酸塩1.20032gを溶解し、トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液を調製した。
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;10,100、数平均分子量Mn;4,100、Mw/Mn比;2.5)(和光純薬工業株式会社製)6.25830gをジクロロメタン11.06gで溶解した。この溶液13.40gを量り取り、上記トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.217gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。
【0088】
実施例46
酢酸6.91984gとメタノール4.82027gを混合し、この溶液4.63624gでトリプトファン0.26503gを溶解した。このトリプトファンを溶解したメタノール/酢酸溶液で化合物(I)の酢酸塩1.21100gを溶解し、トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液を調製した。
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)6.26571gをジクロロメタン11.01gで溶解した。この溶液13.35gを量り取り、上記トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.849gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。
【0089】
実施例47
酢酸6.91984gとメタノール4.82027gを混合し、この溶液4.63624gでトリプトファン0.13000gを溶解した。このトリプトファンを溶解したメタノール/酢酸溶液で化合物(I)の酢酸塩1.20702gを溶解し、トリプトファンと化合物(I)の酢酸塩を溶解したメタノール/酢酸溶液を調製した。
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=95/5、重量平均分子量Mw;14,000、数平均分子量Mn;5,900、Mw/Mn比;2.4)(和光純薬工業株式会社製)6.27641gをジクロロメタン10.96gで溶解した。この溶液13.32gを量り取り、上記で調製したメタノール/酢酸溶解した溶液と混合し、油相とした。次いでこの油相を、予め約18℃に温度調節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中に注入し、タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しO/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。このO/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMAC CR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィアは少量の蒸留水に再分散し、マンニトール0.847gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。
【0090】
比較例1
乳酸―グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量Mw;4,200、数平均分子量Mn;1,800、Mw/Mn比;2.3)(和光純薬工業株式会社製)5.9212g、5.9255g、5.9255g、5.9229gをそれぞれジクロロメタン10.9736g、10.9566g、11.0430g、10.9739gで溶解した。それぞれこの溶液13.1036g、12.9562g、12.9643g、12.9602gを量り取り、それぞれ化合物(I)の酢酸塩0.5744g、0.5767g、0.5701g、0.5725gをそれぞれ0.5017g、0.5356g、0.5119g、0.5203gの蒸留水に溶解した水溶液と混合し、小型ホ
モジナイザー(KINEMATICA)を用いて乳化しW/Oエマルションを形成した(回転数約10,000rpm,30sec)。次いでこのW/Oエマルションを、予め約18℃に温度調節しておいた4つの0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液1リットル中にそれぞれ注入し、 タービン型ホモミキサー(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/Wエマルションとした(タービン回転数約7,000rpm)。それぞれこのW/O/Wエマルションを約3時間攪拌(水中乾燥工程)し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心分離機(HIMACCR 5DL,日立製)を用いてマイクロスフィアを遠心分離して捕集した(回転数約2,500rpm、5min)。これを再び蒸留水に分散しさらに遠心分離をおこない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロスフィア全てを少量の蒸留水に再分散し一つにまとめ、マンニトール2.591gを添加し、凍結乾燥機(DF−01H,ULVAC)で凍結乾燥してマイクロカプセル粉末を得た。得られたマイクロカプセル粉末の化合物(I)含量は7.2%であった。
【0091】
比較例2
実施例10と同様に、乳酸―グリコール酸共重合体をジクロロメタンで溶解した溶液と、WO06/1499に記載された化合物番号550の化合物(Ac-D-Tyr-D-Trp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2)(配列番号:2)の酢酸塩を蒸留水に溶解した水溶液の混合液をミニミキサーにより懸濁した場合、該混合液がゲル化するためW/Oエマルションを得ることができない。
【0092】
試験例1
実施例1のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約7週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0093】
試験例2
実施例2のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約8週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0094】
試験例3
実施例3のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約6週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0095】
試験例4
実施例4のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0096】
試験例5
実施例5のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0097】
試験例6
実施例6のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約3週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0098】
試験例7
実施例7のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約3週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0099】
試験例8
実施例8のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に
分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0100】
試験例9
実施例9のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約6週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0101】
試験例10
実施10のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0102】
試験例11
実施例11のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0103】
試験例11−2
実施例11−2のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約5週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0104】
試験例12
実施例12のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約12週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0105】
試験例13
実施例13のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約16週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0106】
試験例14
実施例14のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約14週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0107】
試験例15
実施例15のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約12週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0108】
試験例16
実施例16のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約13週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0109】
試験例17
実施例17のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約12週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0110】
試験例18
実施例18のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約13週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0111】
試験例19
実施例19のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約13週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0112】
試験例20
実施例20のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、22.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約14週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0113】
試験例21
比較例1のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として1.6mgを分散媒0.15mL(0.75mgのカルボキシメチルセルロース、0.15mgのポリソルベート80、7.5mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約2週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0114】
試験例22
実施例25のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約15週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0115】
試験例23
実施例27のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約18週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0116】
試験例24
実施例29のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約18週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0117】
試験例25
実施例31のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約18週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0118】
試験例26
実施例32のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約15週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0119】
試験例27
実施例33のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約15週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0120】
試験例28
実施例35のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約15週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0121】
試験例29
実施例37のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約18週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【0122】
試験例30
実施例39のマイクロカプセル粉末を化合物(I)のフリー体として4.8mgを分散媒0.45mL(2.25mgのカルボキシメチルセルロース、0.45mgのポリソルベート80、2.25mgのマンニトールを溶解した溶液)に分散して、ラット皮下背部に22G注射針で投与した。投与して所定時間後に尾静脈より採血し、血漿中化合物(I)濃度を測定した結果、約18週間にわたり、化合物(I)の持続放出性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の徐放性製剤は、長期にわたってメタスチン誘導体を安定して徐放し、また長期にわたってメタスチン誘導体の薬効を発揮する。また、本発明の徐放性製剤は投与回数の減少により患者の利便性を向上させることが可能であり、臨床上の医薬として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
Ac-D-Tyr-Hyp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2 (I)
で表される化合物又はその塩と、重量平均分子量が約5,000ないし約40,000である乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含有する徐放性製剤。
【請求項2】
乳酸―グリコール酸共重合体又はその塩の重量平均分子量が約6,000ないし約20,000である請求項1記載の徐放性製剤。
【請求項3】
乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩におけるグリコール酸含有量が0重量%を超え約60重量%以下である請求項1記載の徐放性製剤。
【請求項4】
乳酸―グリコール酸共重合体におけるグリコール酸含有量が約5重量%以上約50重量%以下である請求項1記載の徐放性製剤。
【請求項5】
癌の治療又は予防剤である請求項1記載の徐放性製剤。
【請求項6】
非経口投与剤である請求項1記載の徐放性製剤。
【請求項7】
式:
Ac-D-Tyr-Hyp-Asn-Thr-Phe-AzaGly-Leu-Arg(Me)-Trp-NH2 (I)
で表される化合物又はその塩を含む内水相と、乳酸―グリコール酸共重合体またはその塩を含む油相とからなるW/Oエマルションを製造し、該W/Oエマルションをさらに乳化して得られるW/O/Wエマルションを水中乾燥法に付すことを特徴とする請求項1記載の徐放性製剤の製造方法。
【請求項8】
W/Oエマルションを31℃以上の温度で製造することを特徴とする請求項7記載の製造方法。

【公表番号】特表2013−514968(P2013−514968A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528582(P2012−528582)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/JP2010/073665
【国際公開番号】WO2011/078394
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】