説明

徐放性骨格筋弛緩薬剤形の調製

本発明は、シクロベンザプリンを含む長時間放出性の医薬組成物の調製方法に関し、不活性粒子を、シクロベンザプリンを含有する薬物層形成組成物で被覆してIRビーズを形成し、次にそのIRビーズを長時間放出性コーティングで被覆してERビーズを形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年6月20日に出願された米国仮特許出願第61/074,464号明細書に対する優先権を主張し、その開示は、あらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0002】
心血管疾患、慢性疼痛などの適応症、特に高齢者における筋痙攣及び関連症状の軽減に対する徐放性剤形を開発及び商品化する主な目的は、薬物が長期間にわたり治療上有効な濃度に維持されるよう薬物を送達し、それにより患者コンプライアンス及び治療効果を高め、それにより治療費及び副作用の双方を低減することである。
【0003】
多くの治療剤は、吸収部位又はその近傍において一定の速度で利用可能になるとき、最も有効となる。治療剤がこのように利用可能となって吸収されると、概して、効力が最大で、且つ中毒性の副作用が最小限となる望ましい血漿濃度がもたらされる。経口適用向けのマトリックス錠剤ベース及び多粒子カプセルベースの薬物送達システムの開発には、多大な注力がなされてきた。
【0004】
Jagotec AGに譲渡された、Colomboらに対する米国特許第4,839,177号明細書は、薬剤を含む活性物質及び制御された速度で水性流体中に放出される任意の種類の物質の徐放について広範に記載している。この特許は、活性物質を制御された速度で放出するシステムに関し、システムは、堆積コアであって、活性物質と、(a)水との接触時に高度な膨潤性を有するポリマー材料及びゲル化可能なポリマー材料、又は(b)膨潤及びゲル化の双方の特性を有する単一のポリマー材料のうちの少なくとも一方とを含む堆積コアと、堆積コアに塗布される担体プラットフォームであって、水不溶性ポリマー材料からなる担体プラットフォームとからなる。
【0005】
Merck & Companyに譲渡された、双方ともZentnerらに対する米国特許第4,851,228号明細書及び米国特許第4,968,507号明細書は、薬学的に活性な薬剤を徐放するための多粒子浸透圧ポンプについて記載しており、各浸透圧ポンプ要素は、本質的に、活性薬剤を含むコアと、水不溶性の速度制御壁であって、半透性ポリマーと、壁全体に分散した少なくとも1つのpH非感受性細孔形成添加剤とを含む水不溶性の速度制御壁とからなる。Tech Trade Corporationに譲渡された、Jangに対する米国特許第4,590,062号明細書及びJangに対する米国特許第4,882,167号明細書は、疎水性ポリマー(例えば、エチルセルロース)と、ワックス、脂肪酸、中性脂質又はそれらの組み合わせとのマトリックス複合体と乾式混合することにより生成される、活性分を含む圧縮生成物に関する。
【0006】
Richardson−Vicksに譲渡された、Kelleherに対する米国特許第4,996,047号明細書は、薬理学的に活性な薬物が結合しているイオン交換樹脂粒子の単位剤形の経口医薬組成物に関し、ここで薬物−樹脂複合粒子は、活性薬物の徐放をもたらすため、不透水性の拡散遮断層で被覆されている。Merck & Companyに譲渡された、McClellandらに対する米国特許第5,120,548号明細書は、組成物であって、水性環境に曝露されると膨潤するポリマーと、複数の徐放性の膨潤調節物質と、少なくとも1つの活性薬剤と、組成物を取り囲む水不溶性ポリマーコーティング又は組成物を取り囲む細孔壁のいずれかとの組成物を含む徐放性薬物送達デバイスに関する。Merck & Companyに譲渡された、McClellandらに対する米国特許第5,350,584号明細書は、薬剤と荷電樹脂とを含む微結晶性セルロースフリーの多粒子の生成方法に関する。結果として得られる球形化ビーズは、特定の徐放性剤形に用いることができる。
【0007】
Merck & Companyに譲渡された、Rorkらに対する米国特許第5,366,738号明細書は、活性薬剤を徐放するための薬物送達デバイスに関する。この薬物送達デバイスは、圧縮されたコアであって、活性薬剤と、水和させるとゼラチン状の微細粒子を形成するポリマーとを含むコアと、ポリマーと可塑剤とを含む水不溶性の不透水性ポリマーコーティングであって、コアを取り囲み、それに付着するポリマーコーティングとを含む。
【0008】
Merck & Companyに譲渡された、Rorkらに対する米国特許第5,582,838号明細書は、有益な薬剤を徐放するための薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、少なくとも2つの層を有する圧縮されたコアを含む:少なくとも1つの層は、有益な薬剤と、水和されると微細ポリマーゲルビーズを形成するポリマーとの混合物であり、少なくとも1つの外層は、水和されると微細ポリマーゲルビーズを形成するポリマーを含む。コアに水不溶性の不透水性コーティングが塗布され、コーティングは、コア表面の約5〜75%を露出させる孔を有する。
【0009】
Cydexに譲渡された、Stellaらに対する米国特許第5,874,418号明細書は、担体と、混合物であって、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと治療剤との混合物とを含む医薬組成物に関し、ここで治療剤の大部分は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体と複合体を形成しない。遅延放出製剤、持続放出製剤又は徐放性製剤についても記載され、ここでは医薬コアが、皮膜形成剤(file forming agent)と細孔形成剤とを含むフィルムコーティングで被覆される。Merck & Companyに譲渡された、Rorkらに対する米国特許第5,882,682号明細書は、水和されるとゼラチン状の微細粒子を形成するポリマーと、有益な薬剤と、コアの調製に用いられる他の賦形剤との均質な混合物を調製するステップと;混合物を圧縮してコアにするステップと;コア全体を、ポリマーと可塑剤とを含む水不溶性の不透水性ポリマーコーティングで被覆するステップと;コーティングを通じる孔を形成するステップとを含む薬物送達方法に関する。
【0010】
Guilford Pharmaceuticalsに譲渡された、Zhaoに対する米国特許第5,952,451号明細書は、生物学的に活性な物質とポリ(リン酸エステル)とを含む高分子量ポリ(リン酸エステル)組成物の調製方法、及びそれにより生成される高分子量組成物に関する。このように生成されたポリマーは、長期放出性の薬物送達システムにおいて有用である。Laboratorios Phoenix U.S.A.に譲渡された、Faourらに対する米国特許第6,004,582号明細書は、圧縮されたコアであって、第1の活性薬剤と浸透圧性薬剤とを含むコアと、コアを取り囲み、且つ内部に予め形成された通路を有する半透膜とを含む多層状の浸透圧デバイスに関し、膜は、使用環境中の流体に対して透過性であり、且つ第1の活性薬剤に対して実質的に不透過性である。半透膜は好ましくは、本質的に、酢酸セルロースとポリ(エチレングリコール)とからなる。外側のコートは、ポリ(ビニルピロリドン)とポリ(エチレングリコール)とを含むことができ、さらに、HPMC、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、CMC、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メタクリル酸エステル共重合体、エチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、及びそれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。
【0011】
Kleinbartらに対する国際公開第99/18937号パンフレット(Merck & Company)は、薬学的に有効量のシクロベンザプリンと二塩基性リン酸カルシウム水和物とを含む組成物に関し、錠剤は、活性成分のほとんどを1時間以内に放出する。Ron E.S.に対する国際公開第99/30671号パンフレットは、薬学的に活性な成分と賦形剤とを含む高アスペクト比の粒子を含む経口送達媒体に関し、ここで媒体は、薬学的に活性な成分の制御された送達をもたらすように配合される。媒体は、粒子に対して持続性の薬物送達を付与するコーティングをさらに含み得る。Faourらに対する国際公開第98/53802号パンフレット(Laboratorios Phoenix USA)は、外側の薄膜中の第1の活性薬剤をある使用環境に送達し、コア中の第2の活性薬剤を別の使用環境に送達することが可能な多層状の浸透圧デバイスに関する。内側の半透膜と第2の活性薬剤を含有する外側コートとの間の受食性ポリマーコートは、ポリ(ビニルピロリドン)−酢酸ビニル)共重合体を含む。コア中の活性薬剤は、受食性プラグを含む孔を通じて送達される。
【0012】
Van Lengerichに対する国際公開第98/18610号パンフレットは、活性薬剤を含む粒子に関し、この粒子は、マトリックス材料を実質的に破壊することなく活性成分の徐放をもたらす。放出速度を制御する成分をマトリックスに組み込むことで、粒子からの封入剤の放出速度を制御する。放出時間を延ばすため、疎水性成分又は水との結合能が高い成分が用いられ得る。皮膜形成成分によって封入剤にプレコートを施すか、及び/又は粒子を被覆することにより、放出特性もまた制御され得る。Oedemoedに対する国際公開第98/06439号パンフレット(Osteotech)は、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート共重合体などのポリエーテルエステル共重合体を含むマトリックス中に封入された生物学的に活性な薬剤を含む組成物に関する。ポリエーテルエステル共重合体は活性薬剤を分解から保護し、それにより薬物送達を促進する。
【0013】
骨格筋弛緩薬の塩酸シクロベンザプリンは、相動過度(hyperphasic)に対比されるものとしての緊張過度の障害における過緊張状態の筋活動を低減し、又は消失させる中枢作用性薬物である。Flexeril(登録商標)は、コーティング錠の形態の即時放出性シクロベンザプリン組成物である。Flexeril(登録商標)錠は、シクロベンザプリンと賦形剤(ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、及び着色剤)とを混合して圧縮し、次に得られた錠剤を水溶性の薬学的に許容可能なポリマー溶液(ヒドロキシプロピルセルロース/ヒドロキシプロピルメチルセルロース)で被覆することにより調製される。Flexeril(登録商標)錠は、5mg用量又は10mg用量で入手可能であり、典型的には1日3回投与により所望の治療効果が生じる。10mgのシクロベンザプリンHClを含有するFlexeril(登録商標)IR(即時放出)錠は、1日3回投与されることで、発生源が局所的な骨格筋痙攣を、筋機能を妨げることなく軽減する。1日3回の経口投与は、特に高齢者において、患者コンプライアンスが問題となる。従って、特に高齢者集団において、患者間変動を実質的に最小限に抑え、且つクオリティ・オブ・ライフを向上させるため、1日1回投与に好適な、特に15mg剤形及び30mg剤形の調節放出性骨格筋弛緩薬が必要とされている。
【0014】
加えて、特定の薬物動態特性をもたらし、現実世界の輸送及び保管条件下で機能する医薬剤形を、再現性のある形で一貫して生産する製造方法を有することが重要である。承認規格を満たす製品を一貫して供給することのできない方法は、商業目的としては実際的でない。規格外製品は、規制当局によって承認された薬物動態及び安定性に関するパフォーマンスをもたらすことが保証されないため、廃棄しなければならない。製造方法には、典型的には多数の工程が関わり、そのいずれによっても、結果として得られる製品の薬物動態学的なパフォーマンス特性は影響を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルを含む即時放出(IR)ビーズを調製するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。別の実施形態において、この方法は、前記ERコーティングステップb)の前に、ステップa)のIRビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップをさらに含む。
【0016】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。別の実施形態において、この方法は、前記ERコーティングステップb)の前に、ステップa)のIRビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップをさらに含む。
【0017】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。
【0018】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップと;c)ERビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において約60℃で約4〜12時間硬化させるステップとを含む。
【0019】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、約20〜25メッシュの不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒、例えば水性有機溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップと;被覆された不活性粒子を乾燥させるステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーと水とを含むシールコート組成物で被覆するステップと;被覆された薬物層を有するビーズを乾燥させるステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。別の実施形態において、本方法は医薬組成物の調製方法に関し、これは、約20〜25メッシュの不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、水性有機溶媒とを含む約25wt.%固形分の薬物層形成組成物で被覆するステップと;被覆された不活性粒子を乾燥させるステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーと水とを含む約8〜10wt.%固形分のシールコート組成物で被覆するステップと;被覆された薬物層を有するビーズを乾燥させるステップであって、それによりIRビーズ(例えば、薬物負荷:25%w/w)を形成するステップと;IRビーズを、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーと任意の可塑剤とを含む約6wt.%固形分のERコーティング組成物で被覆するステップと;被覆されたIRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下で乾燥させるステップであって、それによりERビーズを形成するステップと;場合により、篩別したERビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、約60℃で最大約4時間まで硬化させるステップとを含む。
【0020】
添付の図を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】塩酸シクロベンザプリンMR(調節放出)カプセルについて提案される目標放出プロファイルを示す。
【図2】1×10mgFlexeril(登録商標)1日3回投与及び1×30mgシクロベンザプリンHCl MRカプセル1日1回投与の投薬後1日目の血漿濃度のシミュレーションを示す。
【図3】シクロベンザプリンHCl MRカプセルの生産方法のフロー図を示す。
【図4】ピボタルPK臨床試験で試験した、シクロベンザプリンHCl調節放出(MR)カプセル、30mgと、それに対するFexeril(シクロベンザプリンHCl即時放出(IR)錠剤、10mg)1日3回投与との血漿濃度−時間プロファイルを示す。
【図5】CMR 30mgについてのインビトロ放出プロファイルの実測とシミュレーションとを示す(プロファイルのシミュレーションは、臨床試験から導かれたPKパラメータを用いて得た)。
【図6】40℃/75%RHにおいてインダクションシールで密封したHDPEボトル中に保管したシクロベンザプリンHCl調節放出(MR)カプセル、30mgの薬物放出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に引用される全ての文献は、あらゆる目的から全体として参照により援用される。いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを認めるものと解釈されてはならない。
【0023】
用語「薬物」、「活性分」、「活性医薬成分」等は、同義的に用いられる。
【0024】
本明細書において特定の薬物又は活性分を参照するとき、それらは全て、特に明示的に指示されない限り、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、エステル、異性体等を含む。
【0025】
その様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるとおりの医薬組成物の調製方法、すなわち、骨格筋弛緩薬、例えばシクロベンザプリンの経口剤形の調製方法に関する。
【0026】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルを含む即時放出(IR)ビーズを調製するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。別の実施形態において、この方法は、前記ERコーティングステップb)の前に、ステップa)のIRビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップをさらに含む。
【0027】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。別の実施形態において、この方法は、前記ERコーティングステップb)の前に、ステップa)のIRビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップをさらに含む。
【0028】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。一実施形態において、不活性粒子は約20〜25メッシュの粒度を有する。別の実施形態において薬物層形成組成物中の薬学的に許容可能な溶媒は、水性有機溶媒を含む。別の実施形態において、シールコート組成物は、溶媒として水をさらに含む。
【0029】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップと;c)ERビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において約60℃で約4〜12時間硬化させるステップとを含む。
【0030】
一実施形態において、本発明は医薬組成物の調製方法に関し、これは、a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。さらに別の実施形態において、本発明は、ステップc)によるERビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において約60℃超で硬化させるステップをさらに含む。硬化プロセスは、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、又は約2時間にわたり実施されてもよい。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、薬物層を有するビーズの形成後に乾燥ステップをさらに含む。例えば、この方法は、(a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;(a1)薬物層を有するビーズを乾燥させるステップと;(b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;(c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む、医薬組成物の調製を含む。別の実施形態において、乾燥ステップ(a1)は、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、IRビーズの形成後に乾燥ステップをさらに含む。例えば、この方法は、(a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;(b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;(b1)IRビーズを乾燥させるステップと;(c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む、医薬組成物の調製を含む。別の実施形態において、乾燥ステップ(b1)は、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、ERビーズの形成後に乾燥ステップをさらに含む。例えば、この方法は、(a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;(b)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;(c)IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップと;(c1)被覆された即時放出ビーズを乾燥させるステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む、医薬組成物の調製を含む。
【0034】
一実施形態において、本発明は、医薬組成物の調製方法に関し、これは、(a)約20〜25メッシュの不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、水性有機溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップと;b)被覆された不活性粒子を乾燥させるステップであって、それにより薬物層を有するビーズを形成するステップと;c)薬物層を有するビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーと水とを含むシールコート組成物で被覆するステップと;d)被覆された薬物層を有するビーズを乾燥させるステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと;e)IRビーズを、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップと;f)被覆された即時放出ビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下で乾燥させるステップであって、それによりERビーズを形成するステップとを含む。
【0035】
一実施形態では、薬学的に許容可能な不活性粒子が、初めに薬物層形成組成物で被覆される。好適な薬学的に許容可能な粒子の非限定的な例としては、好適な粒度又は粒度分布を有する、例えば約20〜25メッシュの、球状糖若しくは糖ビーズ(例えば、Celphere(登録商標))、球状セルロース、球状二酸化ケイ素、酸性緩衝剤粒子、又はアルカリ性緩衝剤粒子などが挙げられる。一実施形態において、不活性粒子は、約20〜25メッシュの粒度を有する糖ビーズ(ノンパレイルシード(non−pareil seed))である。別の実施形態では、薬物含有粒子を造粒して粉砕することによるか、Granurex 40で制御して球形化(spheroinization)することによるか、又は造粒して押出し/球形化(spheroinization)することにより調製して、IRペレットを形成してもよい。
【0036】
薬物層形成組成物は、水性有機溶媒中に溶解又は分散した薬物(例えば、シクロベンザプリン及びその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステル)を含む。非限定的な水性有機溶媒としては、含水ケトン又は含水アルコール、例えば含水アセトンが挙げられる。一実施形態において、水性有機溶媒は1:1の水/アセトンであり、薬物は、例えば約25wt.%の固形分となるよう溶解した、塩酸シクロベンザプリンである。
【0037】
他の実施形態において、薬物層形成組成物は、任意の結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、例えば、デキストラン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体などの、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーをさらに含む。一実施形態において、薬物層形成組成物は、本明細書に記載されるとおりの結合剤を含有する。別の実施形態において、薬物層形成組成物は結合剤を含有しない。
【0038】
薬物層形成組成物のコーティング重量(すなわち、不活性粒子に堆積させる水性有機溶媒中に溶解している固形物の重量、コーティング及び乾燥後のビーズの重量増加率として表される)は、薬物の所望の用量に応じて異なってもよく、約5wt.%〜約30wt.%の範囲、例えば、約5wt.%、約10wt.%、約15wt.%、約20wt.%、約25wt.%、又は約30wt.%であってもよい。一実施形態において、薬物層形成組成物のコーティング重量は約25wt.%である。
【0039】
薬物層形成組成物は、Glattにより製造されるものなどの連続式又はバッチ式流動層コーティング装置を含め、任意の好適な方法により塗布することができる。例えば、薬物層の形成は、18インチボトムスプレーWursterインサート(例えば、中心に1.5mm径穴及び外周に2.0mm径穴を有するタイプ「C」空気分配プレート、又は中心に2.0mm径穴及び外周に3.5mm径穴を有するタイプ「D」空気分配プレートを使用)を装着したGlatt GPCC 120で実施することができる。流動層コーティング装置は、コーティング中における薬物層を有するビーズの凝集を最小限に抑え、且つ本明細書に記載されるコーティング重量を提供する、任意の好適な条件下で動作させることができる。例えば、分配プレートからの仕切り壁高さは、約45mm〜約55mmの範囲において、約53mmであってもよい。一実施形態において、分配プレートからの仕切り壁高さは約53±2mmである。同様に、薬物層形成組成物を不活性粒子上に噴霧する速度及び処理空気量(及び他の動作パラメータ)は、例えば所望のコーティング重量を達成するため、変更することができる。例えば、一実施形態において噴霧速度は100g/分〜約400g/分の範囲であり、処理空気量は約800〜1500CFMの範囲である。
【0040】
一実施形態において、次に、乾燥させた薬物層を有するビーズをシールコート組成物で被覆して、それにより、例えば薬物層を有するビーズの機械的強度を向上させることができる。後続のステップにおいて付加される長時間放出性コーティングの特性を妨げない任意の好適なシールコート組成物を用いることができる。好適なシールコート組成物は、水中に溶解又は分散した薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Opadry(登録商標)Clear)である。シールコート組成物の固形分は、約2wt.%〜約10wt.%の範囲、例えば、約2wt.%、約3wt.%、約4wt.%、約5wt.%、約6wt.%、約7wt.%、約8wt.%、約9wt.%、又は約10wt.%であってもよい。一実施形態において、シールコート組成物の固形分は約8〜10wt.%である。別の実施形態において、シールコート組成物の固形分は約8wt.%である。
【0041】
一実施形態において、シールコート被覆ステップは、例えば、本明細書に記載されるとおりの流動層コーティング装置を使用して実施することができ、好適な条件下、例えば本明細書に記載されるとおりの温度条件下にある流動層コーティング装置において、乾燥させることができる。例えば、シールコート組成物を約200g/分の噴霧速度で塗布し、約35℃〜約60℃の範囲の生成物温度で乾燥させることができる。一実施形態において、生成物温度は約42℃である。従って、結果として得られる、シールコートを施された薬物層を有するビーズは、薬物が本質的に溶出又は投与後直ちに放出されるため、「即時放出」(IR)ビーズと称される。
【0042】
薬物層形成組成物の層を形成した後、得られた薬物層を有するビーズを乾燥させて水性有機溶媒を除去する。薬物(例えば、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステル)を分解しない任意の好適な乾燥条件を用いることができる。例えば、薬物層を有するビーズは、コーティング装置(例えば、Wursterインサートを装着したGlatt流動層コーターなどの流動層コーティング装置)において乾燥させることができる。好適な乾燥温度は約50℃、例えば約45℃〜約55℃の範囲である。
【0043】
必要であれば、乾燥後、IRビーズを場合により「サイジング」して微粉(すなわち、極めて細かい粒子)又は凝集粒を除去することができる。例えばIRビーズを14メッシュ及び24メッシュスクリーンで「篩別」して、過小及び過大なサイズの粒子を除去することができる。
【0044】
次に、IRビーズは、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含む「長時間放出性」(ER)コーティング組成物で被覆される。好適な薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーの非限定的な例としては、ワックス、水不溶性セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースのエーテル、セルロースのエステル、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエステルと混合されたエチルセルロース等)、2wt.%水溶液の粘度が3000〜5600cps以上の高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アシル化多糖、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル(例えば、BASFからのKollicoat SR30D)、ポリアクリレート及びポリメタクリレートポリマー及び誘導体、エチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートの繰り返し単位を含む中性の共重合体(Eudragit NEなど)、pH非感受性アンモニオメタクリル酸共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの第4級アンモニウム基との水不溶性共重合体、例えば、Eudragit RS、RS30D、RL又はRL30Dなど、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。ERコーティング組成物中の水不溶性ポリマーは、可塑化されていても、又は可塑化されていなくともよい。
【0045】
本発明の別の実施形態において、ERコーティング組成物は、水不溶性ポリマーと可塑剤とを含む。好適な可塑剤の非限定的な例としては、グリセロール及びそのエステル(例えば、市販のMyvacet(登録商標)9−45を含めた、アセチル化モノグリセリド又はジグリセリド)、モノステアリン酸グリセリル、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、アセチルクエン酸トリブチルエステル、アセチルクエン酸トリエチルエステル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、グリセロールトリブチレート;セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジブチル、アゼライン酸ジブチル、安息香酸ジブチル、クロロブタノール、ポリエチレングリコール、植物油、フマル酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジブチル、酪酸ジブチル、セチルアルコールエステル、マロン酸ジエチル、ヒマシ油、ポリソルベート、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−メチルピロリドン、並びにそれらの混合物が挙げられる。可塑剤は、約3〜30wt.%(例えば、約3wt.%、約5wt.%、約10wt.%、約15wt.%、約20wt.%、約25wt.%、又は約30wt.%)、より典型的には約10〜25wt.%のERコーティング(対水不溶性ポリマー量)を含み得る。
【0046】
ERコーティング組成物は、溶液(例えば、好適な薬学的に許容可能な溶媒中の水不溶性ポリマーと任意の可塑剤との溶液)の形態であっても、又は分散液(例えば、好適な薬学的に許容可能な液体中の水不溶性ポリマー及び/又は任意の可塑剤の分散液)の形態であってもよい。一実施形態において、ERコーティング組成物は、エチルセルロースと可塑剤(例えば、セバシン酸ジブチル)との水性分散液を含む。別の実施形態において、ERコーティング組成物は、アセトン/水中のエチルセルロース(例えば、Ethocel Premium Standard 10cps)と可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル)との溶液を含む。さらなる実施形態において、ERコーティングは、98:2のアセトン:水中のエチルセルロースとフタル酸ジエチルとの溶液を含む。さらに別の実施形態において、ERコーティングは、約90%のエチルセルロースと約10wt.%のフタル酸ジエチルとを含有する。さらになお別の実施形態において、ERコーティング組成物は、約88/12、約90/10、約92/8、及び約95/5〜約98/2のアセトン/水の重量比を含めた、約85wt%〜98wt.%のアセトンと15wt.%〜2wt.%の水とを含むアセトン:水混合物中のエチルセルロースとフタル酸ジエチルとの溶液を含む。さらに別の実施形態において、ERコーティング組成物は、約98:2のアセトン:水中のエチルセルロースとフタル酸ジエチルとの溶液を含む。別の実施形態において、ERコーティング組成物は、約98:2のアセトン中のエチルセルロースの溶液を含む。
【0047】
ERコーティング組成物の固形分は約5wt.%〜約10wt.%まで異なり得る。一実施形態において、ERコーティング組成物の固形分は約6〜7wt.%である。さらに別の実施形態において、ERコーティング組成物の固形分は約6.5wt.%である。さらに別の実施形態において、ERコーティング組成物はアセトン/水中のエチルセルロースとフタル酸ジエチルとの溶液を含み、約6wt.%の固形分を有する。
【0048】
ERコーティング組成物は、本明細書に記載されるとおりの薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー(例えばエチルセルロース)と、場合により本明細書に記載されるとおりの可塑剤と、薬学的に許容可能な溶媒(本明細書に記載されるとおりのもの、例えば水性有機溶媒)との混合物を撹拌することにより調製される。一実施形態において、ERコーティング組成物は、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー(例えばエチルセルロース)と、可塑剤(例えばフタル酸ジエチル)と、薬学的に許容可能な溶媒(例えばアセトン/水)との混合物を撹拌することにより調製され、得られる溶液は、適切な均質化を確保するため、可塑剤の添加後に最大8時間まで、但し1時間以上(例えば、約1〜2時間、約2〜6時間、約3〜4時間、又は約1時間)撹拌される。
【0049】
ER組成物の被覆ステップは、例えば流動層コーティング装置を使用して約75〜700g/分の噴霧速度で、700〜1500CFMの処理空気量を用いて実施することができる。ERコートを有するビーズは、好適な条件下、例えば流動層コーティング装置において本明細書に記載されるとおりの温度及び湿度条件下、例えば、27〜40℃(典型的には定常状態で33〜34℃)の生成物温度、及び約5〜20℃(例えば、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、又は約20℃(全ての値、それらの間の範囲、及び部分的な範囲を含む);典型的には定常状態で10℃)の露点で、乾燥させることができる。
【0050】
必要であれば、乾燥後、ERビーズを場合により「サイジング」して微粉(すなわち、極めて細かい粒子)又は凝集粒を除去することができる。例えばERビーズを14メッシュ及び24メッシュスクリーンで「篩別」して、過小及び過大なサイズの粒子を除去することができる。
【0051】
場合により、ERビーズの硬化又はさらなる乾燥は、例えば、従来のオーブン、より詳細にはトレイ式乾燥オーブンにおいて実施されてもよい。当該技術分野において公知の他の乾燥又は硬化方法もまた、用いることができる(例えば、ガス流下に乾燥させる)。一実施形態において、ERビーズは、所望の薬物放出プロファイル(例えば、2時間後に全活性分の約40%以下しか放出されず;4時間後に全活性分の約40〜65%が放出され;8時間後に全活性分の約60〜85%が放出され;及び場合により12時間後に全活性分の約75〜85%が放出される)を付与するように決定された露点で乾燥させる。別の実施形態において、ERビーズは、約5〜20℃(例えば、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、又は約20℃(全ての値、それらの間の範囲、及び部分的な範囲を含む))、例えば約6〜17℃又は約8〜10℃の露点で乾燥させる。露点を制御した条件下での乾燥には、任意の適切な装備を有する乾燥装置を使用することができる。例えば、乾燥装置に対し、露点を監視して調節する調整ユニットを追加してもよい。別の好適な方法は、任意の乾燥/除湿装置を使用して乾燥させた乾燥ガスの使用を伴い、その場合、乾燥ガスを所望の露点まで乾燥させる。
【0052】
露点が低いほど、より乾燥した空気につながる。従って、或いは所望の相対湿度を維持するように乾燥プロセスを監視し、調節してもよい。別の実施形態では、ERビーズを、所望の薬物放出プロファイル(例えば、2時間後に全活性分の約40%以下しか放出されず;4時間後に全活性分の約40〜65%が放出され;8時間後に全活性分の約60〜85%が放出され;及び場合により12時間後に全活性分の約75〜85%が放出される)を付与するように決定された相対湿度で乾燥させる。別の実施形態において、ERビーズは、大気圧下で約0〜20%、例えば約2〜10%及び約4〜8%の相対湿度で乾燥させる。
【0053】
加えて、乾燥又は硬化の時間及び温度は、その条件が所望の薬物放出プロファイルを有するERビーズを生成する限り、様々であってよい。一実施形態において、硬化温度は約60℃±5℃である。他の硬化温度、例えば約50±5℃もまた用いられ得る。同様に、硬化時間も、例えば最大24時間まで、約2〜24時間、約2〜12時間、約2〜6時間、及び約4時間を含め、様々であってよい。一実施形態において、ERビーズは約60℃で約4時間硬化させる。別の実施形態において、ERビーズは、流動層ユニットそれ自体において約60℃の流入空気温度で約15分間流動化させながら硬化させる。
【0054】
上記のとおり調製されたERビーズは、900mLの0.1N HCl(又は好適な溶出溶媒)において37℃で米国Pharmacopoeia装置2(パドル、50rpm)を使用して試験したとき、実質的に以下のパターンに相当する薬物放出プロファイルを有する:
2時間後に全活性分の約40%以下しか放出されず;
4時間後に全活性分の約40〜65%が放出され;
8時間後に全活性分の約60〜85%が放出され;及び
場合により12時間後に全活性分の約75〜85%が放出される。
【0055】
IRビーズが、温度及び湿度が約5〜20℃の露点をもたらすように維持される(例えば、流動層コーティング装置における)コーティング条件下においてERコーティング組成物で被覆され、且つ場合により約5〜20℃(例えば、7〜16℃)の露点で硬化されると、得られるERビーズは安定特性の向上を示す。例えば、この方法で調製して、長期安定性試験条件(例えば、保管後最大48ヶ月まで25%RH)に供されたボトルに詰められた、市販のカプセルからのERビーズは、インビトロ条件下で試験したとき、一貫して実質的に一定の溶出プロファイルを提供する。一実施形態において、このように調製されたERビーズは、最初の溶出プロファイルと比較して、保管後約3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、又は48ヶ月に測定したどの時点においても薬物濃度が10%以下の偏差しか有しない溶出プロファイルを提供する。他の処理条件を用いて調製した長時間放出性ビーズは、同程度の安定特性を一貫して呈するとは限らない。例えば、IRビーズをERコーティング組成物で被覆し、場合により、露点が制御されない条件下又は露点範囲が約5〜20℃(例えば、7〜16℃)から外れる雰囲気下で硬化させることにより調整されるERビーズは、予想される有効期間(例えば、倉庫又は薬局における保管後12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、又は最高48ヶ月)の全体を通じて安定している溶出プロファイルを一貫して提供するとは限らない。
【0056】
加えて、ERコーティングが可塑剤を含んだERビーズについての放出プロファイルの均一性もまた、ERコーティング溶液をどのように調製したかに依存することが分かった。一実施形態において、ERコーティングの調製は、水不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロース)を好適な溶媒(例えば、含水アセトンなどの水性有機溶媒)中に溶解し、次にその溶液に可塑剤を添加して水不溶性ポリマーと可塑剤との溶液を、可塑剤の添加後少なくとも1時間撹拌することにより行われる。いくつかの実施形態において、水不溶性ポリマーと可塑剤との溶液は、可塑剤の添加後少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間撹拌される。水不溶性ポリマーと可塑剤との溶液が、可塑剤の添加後1時間未満しか撹拌されない場合、得られるERビーズは、時間が経過しても(例えば、保管条件下で)安定している溶出プロファイルを一貫して提供するとは限らない。
【0057】
本発明の方法により調製されたシクロベンザプリン組成物は、筋痙攣及び筋痙攣に伴う疼痛、並びに線維筋痛症(びまん性又は特異性の筋肉、関節、又は骨の疼痛、疲労、及び他の症状を特徴とする慢性症候群)の治療及び腰痛の治療に有用である。
【0058】
本発明の剤形の活性コアは、不活性粒子又は酸性若しくはアルカリ性緩衝剤結晶からなってもよく、これは薬物を含有する皮膜形成配合物、好ましくは水溶性の皮膜形成組成物で被覆されて水溶性/分散性粒子を形成する。或いは、活性分は、薬物物質を含有するポリマー組成物を造粒及び粉砕し、及び/又は押出し及び球形化することにより調製されてもよい。コア中の薬物の量は求められる用量に依存し、典型的には約5〜60重量%まで異なる。一般に、活性コア上のポリマーコーティングは、求められる放出プロファイル及び/又は選択されるポリマー及びコーティング溶媒のタイプに応じて、被覆された粒子の重量を基準として約4〜20%であり得る。当業者は、所望の用量が実現されるようコアを被覆する、又はコアに組み込むのに適切な薬物量を選択することができる。一実施形態において、不活性コアは、球状糖か、又は緩衝剤結晶若しくは封入された緩衝剤結晶、例えば、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸等の、薬物のミクロ環境を変質させてその放出を促進するものであってよい。
【0059】
薬物含有粒子は、水不溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーとの組み合わせを含む長時間放出性(ER)コーティングで被覆することによりERビーズを提供してもよい。特定の実施形態に従えば、水不溶性ポリマー及び水溶性ポリマーは、100/0〜65/35、より詳細には約95/5〜70/30の重量比、さらにより詳細には約85/15〜75/25の比で存在してもよい。長時間放出性コーティングは、所望の放出プロファイルを提供するために必要な量で塗布される。長時間放出性コーティングは、典型的には、被覆されたビーズの重量で、約1%〜15%、より詳細には約7%〜12%を含む。
【0060】
本発明はまた、2つのビーズ集合の混合物を含む調節放出剤形の作製方法も提供する。一実施形態に従えば、この方法は、
ノンパレイルシード、酸性緩衝剤結晶又はアルカリ性緩衝剤結晶などの不活性粒子を、薬物及びポリマー結合剤で被覆することによるか、又は造粒及び粉砕することによるか、又は押出し/球形化することにより薬物含有コアを調製し、即時放出性(IR)ビーズを形成するステップと、
IRビーズを、水不溶性ポリマー(場合により可塑化されている)単独で(エチルセルロースなど)、又は水溶性ポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)との組み合わせで被覆し、長時間放出性(ER)ビーズを形成するステップと、
硬ゼラチンカプセルに、ERビーズを単独で、又はIRビーズと適切な比で組み合わせて充填し、所望の放出プロファイルを提供するMR(調節放出)カプセルを得るステップと、
を含む。
【0061】
IRビーズは、以下の手順に従い試験したとき、活性分の少なくとも約70%、より具体的には少なくとも約90%を30分以内に放出する。
【0062】
溶出手順:
【0063】
溶出装置:USP装置2(パドル、50rpm)、溶出溶媒:900mLの0.1N HCl(又は好適な溶出溶媒)、37℃、及びHPLCによる薬物放出測定。
【0064】
薬物含有コア粒子の調製には、水性溶媒又は薬学的に許容可能な溶媒を使用することができる。薬物を不活性な球状糖と結合させるために使用される皮膜形成結合剤のタイプは重要ではないが、通常は、水溶性、アルコール可溶性又はアセトン/水溶性の結合剤が用いられる。ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリサッカライド、例えば、デキストラン、コーンスターチなどの結合剤を、約0.5〜5重量%の濃度で使用することができるが、他の濃度も有用であり得る。薬物物質は、このコーティング配合物中に溶液の形態で存在してもよく、又はコーティング配合物の粘度に応じて最高約35重量%までの固形分で分散していてもよい。
【0065】
コーティングの塗布に適したポリマーの例としては、ワックス、水不溶性セルロース誘導体(例えばエチルセルロース、セルロースのエーテル、セルロースのエステル、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、混合セルロースエステル等)、アシル化多糖、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル(例えば、BASFからのKollicoat SR30D)、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのポリマー及び誘導体、エチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートの繰り返し単位を含む中性の共重合体(Eudragit NEなど)、pH非感受性アンモニオメタクリル酸共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの第4級アンモニウム基との水不溶性共重合体、例えば、Eudragit RS、RS30D、RL又はRL30Dなど、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。好ましいコーティング厚さは、約1〜約1000ミクロンの範囲、最も好ましくは約20〜約500ミクロンである。
【0066】
特定の実施形態に従えば、薬物物質と、場合によりPVPなどの結合剤と、溶出速度制御ポリマー(用いられる場合)と、場合により他の薬学的に許容可能な賦形剤とが、プラネタリーミキサー又はFielderなどの高剪断造粒機において共に混和され、水又はアルコールなどの造粒用流体を添加/噴霧することにより造粒される。押出成形機/マルメライザを使用して湿塊を押出し及び球形化すると、球状の粒子(ビーズ)を得ることができる。これらの実施形態において、薬物負荷は、押出し/球形化されたコアの総重量を基準として90重量%ほどの高さであってもよい。
【0067】
代表的な筋弛緩剤としては、シクロベンザプリン、ダントロレンナトリウム、メトカルバモール、メタキサロン、カリソプロドール、ジアゼパム及びその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルが挙げられる。塩酸シクロベンザプリンは、特に有用な筋弛緩剤である。本明細書で使用されるとき、有用な筋弛緩剤とは、基剤、塩酸塩などのその薬学的に許容可能な塩、その立体異性体及びその混合物を含む。
【0068】
ERコーティングに有用な水不溶性ポリマーの代表例としては、ワックス、(例えば、ベヘン酸グリセリルなどの脂肪酸エステル又はカルナバロウ(caurnuba wax))、エチルセルロース粉末又は水性分散液(AQUACOAT(登録商標)ECD−30など)、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル(BASFからのKollicoat SR#30D)、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートをベースとする中性の共重合体(Eudragit NEなど)、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの第4級アンモニウム基との水不溶性共重合体、例えば、Eudragit RS及びRS30D、RL又はRL30Dが挙げられる。本明細書で有用な水溶性ポリマーの代表例としては、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(分子量>3000のPEG)及びその混合物が挙げられる。長時間放出性コーティングは、典型的には、使用されるコーティング配合物を基準として水及び溶媒又はラテックス懸濁液中の溶解度に応じて約1重量%から最高15重量%までの範囲の厚さで塗布される。
【0069】
膜の形成に使用されるコーティング組成物は、場合により可塑化される。膜の可塑化に使用され得る可塑剤の代表例としては、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、フタル酸ジエチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリドなど、又はそれらの混合物が挙げられる。可塑剤は、ポリマーを基準として約3〜30wt.%以上、典型的には約10〜25wt.%を含み得る。可塑剤のタイプ及びその含量は、1つ又は複数のポリマー、コーティング系の性質(例えば、水性又は溶媒ベース、溶液又は分散液ベース及び全固形分)に依存する。
【0070】
一般に、長時間放出性膜コーティングを塗布する前に粒子の表面をプライム処理するか、又は薄いヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(OPADRY(登録商標)Clear)の皮膜を塗布して異なる膜を分離することが望ましい。典型的にはHPMCが用いられるが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などの他のプライマーを用いることもできる。
【0071】
膜コーティングは、製薬業界において一般に用いられている任意のコーティング手法を用いてコアに塗布することができるが、流動層コーティングが特に有用である。
【0072】
本発明は、複数投与形態、すなわち、多粒子剤形(ペレット、ビーズ、顆粒又はミニ錠剤)の形態又は経口投与に好適な他の形態の薬物製品に適用される。本明細書で使用されるとき、これらの用語は多粒子剤形を指して同義的に用いられる。
【0073】
本発明はまた、2つ以上のビーズ集団の混合物を含む長時間放出性剤形の作製方法も提供する。本発明の一態様に従えば、この方法は、以下のステップを含む:
【0074】
ノンパレイルシード、酸性緩衝剤結晶又はアルカリ性緩衝剤結晶などの不活性粒子を、薬物及びポリマー結合剤で被覆し、活性薬物粒子(IRビーズ)を形成するステップであって、IRビーズが、ボーラス用量として働く単位剤形中に存在し得る、ステップ;
【0075】
活性薬物粒子を、水不溶性ポリマーの溶液若しくは懸濁液又は水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとの混合物で被覆し、長時間放出性コートを有する薬物粒子(ERビーズ)を形成するステップ;
【0076】
硬ゼラチンカプセルに、ERビーズを単独で、及び場合により、IRビーズと95/5〜70/30(ERビーズ/IRビーズ)の範囲の適切な比で組み合わせて充填し、目標薬物放出プロファイルを呈するMR(調節放出)カプセルを得るステップ。
【0077】
本発明の方法は、インビトロ条件下で、薬物動態モデリングからシミュレートされるプロファイルと密接に類似した活性分の長時間放出プロファイルを提供する1つ又は複数のビーズ集団を含む骨格筋弛緩薬の調節放出性多粒子剤形を提供する。ビーズ集団の少なくとも1つは、典型的には、活性分を含有するコア上に塗布された、水不溶性ポリマーの単独での、又は水溶性ポリマーとの組み合わせでのコーティングを含むER(長時間放出)ビーズ集団である。本発明の剤形の活性コアは、球状糖などの不活性粒子、又は酸性若しくはアルカリ性緩衝剤結晶を含んでもよく、これは、骨格筋弛緩薬、例えば塩酸シクロベンザプリンを含有する皮膜形成配合物、好ましくは水溶性の皮膜形成組成物で被覆されている。第1のコーティング配合物は、活性分に加え、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤を含有してもよい。薬物層を有するビーズをOPADRY(登録商標)Clearの保護シールコーティングで被覆して、IRビーズを得てもよい。或いは、コア粒子は、活性分を含有する医薬組成物を造粒及び乾式粉砕し、及び/又は押出し及び球形化することにより形成されてもよい。コア中の薬物量は求められる用量に依存し、典型的には約5〜約60重量%まで様々である。
【0078】
本発明の方法により調製されたERビーズは、水不溶性ポリマーを単独で、又は水溶性ポリマーと組み合わせて含む機能性の膜(例えば、長時間放出性の膜)をIRビーズ上に含む。本発明に従い調製された骨格筋弛緩薬の1日1回経口投与用のカプセル製剤は、活性物質を含むERビーズと、場合によりIRビーズとを含む。IR(即時放出)ビーズによって活性分の即時放出が可能となり、一方、ERビーズによって数時間にわたる活性分の長時間放出プロファイルが可能となる。経口投与時、かかるカプセル製剤は治療上有効な血漿プロファイルを長期間にわたり提供し、それにより患者コンプライアンスの向上をもたらす。
【0079】
本発明の方法により調製される剤形は1つ又は複数のビーズ集団を含み、調節放出プロファイルを提供する。ビーズ集団の少なくとも1つは長時間放出(ER)ビーズを含み、ここでERビーズは、骨格筋弛緩薬を含有するコア粒子(IR(即時放出)ビーズ)と、コアを取り囲む水不溶性ポリマーを含むER(長時間放出性)コーティングとを含む。剤形は、特定の実施形態に従えば、900mLの0.1N HCl(又は好適な溶出溶媒)、37℃において米国Pharmacopoeia装置2(パドル、50rpm)を使用して溶出試験を行ったとき、実質的に以下のパターンに相当する薬物放出プロファイルを示す:
2時間後に全活性分の約40%以下しか放出せず;
4時間後に全活性分の約40〜65%が放出され;
8時間後に全活性分の約60〜85%が放出され;及び
場合により12時間後に全活性分の約75〜85%が放出される。
【0080】
それにより剤形は、治療上有効な血漿濃度を長期間、典型的には24時間を上回る期間にわたり提供し、ヒトにおける有痛性の筋骨格病態に伴う筋痙攣を治療する。或いは、本発明の方法により調製される剤形は、線維筋痛症又は不眠症の治療に用いることもできる。
【0081】
以下の非限定的な例は、テストケースとして塩酸シクロベンザプリンを用いて本発明に従い製造したカプセル剤形について説明し、これは、モデリング課題の実行により予想されるものと同様のインビトロ薬物放出プロファイルを呈する。かかる剤形は、経口投与時、薬物血漿濃度を長期間にわたり治療上有効なレベルに維持することが可能なため、患者コンプライアンスが大幅に向上し得る。
【実施例】
【0082】
実施例1
シクロベンザプリンは経口投与後良好に吸収されるが、血漿濃度の被験者間変動が大きい。シクロベンザプリンは非常に緩徐に排出され、半減期が1〜3日間ほどの長さである。10mg1日3回の現行の治療レジメンは、特に高齢者において患者コンプライアンスが問題となる。従って、図1に示す放出プロファイルを有する調節放出剤形(カプセル)を設計した。これが適切な放出プロファイルであるかどうかを判断するため、10mgFlexeril(登録商標)錠1日3回投与の単独投与後のシクロベンザプリンの薬物動態データを文献から収集した。そのデータから、WinNonlin(商標)バージョン1.5を使用して薬物動態モデルを作成した。
得られたモデルパラメータを以下に掲載する:
【0083】
【表1】

【0084】
理論的な血漿濃度を、上記に示す薬物動態モデルと図1に示す目標インビトロ放出速度とを用いてシミュレートした。図2は、1×10mgFlexeril(登録商標)錠1日3回投与と、提案されるシクロベンザプリンHCl MRカプセル、30mg1日1回投与との投薬後1日目についてシミュレートした血漿濃度を示す。
【0085】
実施例2A
シクロベンザプリンHCl MRカプセルの調製に用いた製造プロセスフロー図を、図3に示す(あらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用される米国特許第7,387,793号明細書を参照のこと)。様々な臨床試験(例えば、ピボタル試験及びフェーズ治験)に使用されるカプセル及び登録用安定性バッチもまた、実施例2Aのプロセスに従い調製した。
【0086】
塩酸シクロベンザプリン(20.0kg)を含む薬物溶液(25wt.%固形分)を50/50のアセトン/精製水(各30.0kg)中に調製し、18インチボトムスプレーWursterインサート、空気分配プレートD(100メッシュスクリーン)を装着した、分配プレートからの仕切り壁高さ約53mmのGlatt流動層コーターGPCG 120において、以下の条件下、すなわち、ノズル径:3.0mm;露点約8℃;噴霧空気圧力:2bar;初期噴霧速度:100g/分、約400g/分まで上昇させる;生成物温度:49℃、43℃に低下させる;処理空気量:950〜1100CFMにおいて、20〜25メッシュの球状糖(58.4kg)上にコーティングした。得られた薬物層を有するビーズにOPADRY(登録商標)Clearの保護シールコートを、Glatt流動層コーターにおいて水溶液(8wt.%固形分)を約200g/分の噴霧速度、42℃の生成物温度、8℃の露点で噴霧することにより、2wt.%の被覆レベルで施し、次にそれを約50℃で5分間、8℃の露点で乾燥させて「即時放出」(IR)ビーズを得た。
【0087】
98/2のアセトン/水溶液中のエチルセルロース(6.9kg、Ethocel Premium Std、10cps)とフタル酸ジエチル(0.75kg)とを含むERコーティング組成物(6.0wt.%固形分)を、850±25rpmで1時間以上混合することにより調製した。これはすなわち、製造環境において操作者の判断で混合時間が変わり得ることを意味する。次に、このコーティング組成物を、18インチボトムスプレーWursterインサート、空気分配プレートC(100メッシュスクリーン)を装着した、分配プレートからの仕切り壁高さ約50mm、ノズル口径3mmのGlatt GPCG 120において、10℃の露点下、約250g/分の初期噴霧速度(500g/分まで上昇させる)、1000CFMの処理空気量、処理空気温度46℃、噴霧空気圧力2.5barで、IRビーズ(77.4kg)上に塗布した。ERコーティングを、9%のコーティング重量が得られるように10℃の露点で塗布した。得られたERビーズを、ユニットにおいて50℃で約5分間、10℃の露点で乾燥させて、残留溶媒を除去した。
【0088】
次に、ERビーズを14メッシュ及び24メッシュスクリーンに通過させ、14メッシュスクリーン上に残った一切のビーズを廃棄し、次にオーブンにおいて60℃で4時間硬化させた。次に、生産規模のカプセル充填機器MG Futuraを使用して、所要量の長時間放出性ビーズ(30mgのシクロベンザプリンHClに対して131.9mg当量)を4号サイズのカプセル(空のカプセル重量:37mg)に充填することにより、ピボタル治験材料(CTM)としてシクロベンザプリンHCl MRカプセル、30mgを得た。同じカプセル充填機を使用して、所要量の長時間放出性ビーズ(15mgのシクロベンザプリンHClに対して65.9mg当量)及び当量の20〜25メッシュ球状糖もまた4号サイズの白色不透明カプセルに充填し、ピボタルCTMとしてシクロベンザプリンHCl MRカプセル、15mgを得た。シクロベンザプリンHCl MRカプセル、15mg及び30mgとして市販用の製剤を生産するため、ボディとキャップの色が異なり、識別ロゴの付いた4号サイズ硬ゼラチンカプセルを用いた。
【0089】
実施例2B
実施例2Aに基づき改良方法を開発し、ERコーティングステップ及びオーブン硬化ステップを改良した。この改良方法では、IRビーズは実施例2Aのとおり調製した。ERコーティングステップにおいて、アセトン/水溶液中にエチルセルロースとフタル酸ジエチルとを含むERコーティング組成物(実施例2Aのとおり調製)は、850±25rpmでフタル酸ジエチルの添加後1時間以上混合することにより調製した。次にこのコーティング組成物を、IRビーズ上に9%のコーティング重量が得られるように10℃の露点でコーティングした。得られたERビーズを、ユニットにおいて50℃で約5分間、10℃の露点で乾燥させて、残留溶媒を除去した。スクリーニング後(14メッシュ及び24メッシュスクリーン)、ERビーズをオーブンにおいて60℃で4時間、8〜10℃(目標10℃)の露点で硬化させた。
【0090】
実施例3
薬物動態(PK)臨床試験及び第3相臨床試験(CMR 30mg用量を使用した絶食状態と満腹状態との比較試験)、健常ボランティアにおけるシクロベンザプリンHCl MR 30mg及びシクロベンザプリンHCl 10mg1日3回の複数回投与の安全性及びバイオアベイラビリティ試験、発生源が局所的な筋痙攣に起因する疼痛を有する被験者におけるシクロベンザプリンHCl MR 15mg及び30mgとプラセボとの効力及び安全性試験、並びに健常ボランティアにおける無作為化二重盲検2期クロスオーバー試験(各7日間の評価期間)において、実施例2Aの手順に従い調製した組成物を試験した。最後のクロスオーバー試験は、18人の健常ボランティアの2つのサブ群−年齢18歳〜45歳及び年齢65歳〜75歳−において、シクロベンザプリンHCl調節放出(CMR)30mg1日1回とFlexeril(シクロベンザプリンHCl 10mg1日3回)との安全性及び薬物動態について比較した。各7日間の評価期間は、投与前、投与後0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、36、48、72、96、120、144、及び168時間における血液採取及び安全性の評価と、バリデートされたLC−MS/MSによるバイオ分析試験とから構成された。図4は、一晩絶食した健常成人ボランティアに投与したシクロベンザプリンHCl MR(CMR 30mg)及びFlexeril(登録商標)(10mg×3回)の血漿濃度−時間プロファイルを示す。
【0091】
【表2】

【0092】
従って、本発明の一態様は、上記の臨床試験において得られた、表1Aに掲載される薬物動態(PK)パラメータを提供するためのシクロベンザプリンHCl剤形、及び別の態様では、表1Aに掲載される薬物動態パラメータの平均値のうちの1つ又は複数(例えば、Cmax及びAUC)の80%〜125%を提供する生物学的に同等な剤形の調製方法に関する。規制当局の承認が下りた後、商品として流通させるために製造される、塩酸シクロベンザプリンを含むMR剤形の各々は、健常ボランティアにおいて試験した場合に、単一の30mgシクロベンザプリンHCl MRカプセルの経口投与後、シクロベンザプリンHClの19.851±5.8765ng/mLの約80%〜125%の範囲内の最大血漿濃度(Cmax)と、736.60±259.414ng・時間/mLの約80%〜125%の範囲内のAUC0−168とをもたらさなければならない。同様に、シクロベンザプリンMR剤形は、単一の15mgシクロベンザプリンHCl MRカプセルの経口投与後、シクロベンザプリンHClの8.315±2.1635ng/mLの約80%〜125%の範囲内の最大血漿濃度(Cmax)と、318.30±114.657ng・時間/mLの約80%〜125%の範囲内のAUC0−168とをもたらさなければならない。
【0093】
絶食条件下におかれた年齢18〜45歳の健常成人被験者において、表1Bに示すとおりの、及び絶食条件下におかれた年齢65〜75歳の健常成人被験者において、表1Cに示すとおりの平均薬物動態値の80%〜125%の範囲内をもたらす30mgのシクロベンザプリンHCl MRカプセルを、実施例2Aに従い調製した。AUC0−168は、線形台形法により計算した計測可能な最後の時点(168時間)までの血漿濃度−時間曲線下面積を指し、AUC0−∞は、無限大までの濃度−時間曲線下面積を指し、Cmaxは最大血漿濃度を指し、Tmaxは、シクロベンザプリンが最大血漿濃度に達するまでの時間を指す。シクロベンザプリン 10mg TIDについては、初回投与後及び2回目の投与前の血漿濃度を使用してCmax(first)及びTmax(first)の値を推定し、一方CMR 30mgについては、全試験期間を使用し、値を10mg用量に用量調節した。Tmaxは、双方の試験薬剤とも、全試験期間にわたる血漿濃度を使用して推定した。
【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
図5は、実際のインビトロ薬物放出プロファイルを、Gastro−Plusソフトウェア及び上記の試験から得られたPKパラメータを用いて計算したシミュレートによるインビトロ薬物放出プロファイルと比較して示す。2つのプロファイルは、著しく近接している。図6は、促進安定性条件下(40℃/75%RH(相対湿度))においてインダクションシールで密封された60錠用HDPEボトルに保管されたピボタルバイオバッチ(30mg、実施例2Aに従い調製)の薬物放出プロファイルを示す。15mg(PF307EA001)及び全ての登録用安定性バッチ(PF312(15mg)及びPF313(30mg)、同様に実施例2Aに従い調製)もまた、ICH安定性条件下(例えば、25℃/60%RHで36ヶ月間、30℃/65%RHで12ヶ月間、及び40℃/75%RHで6ヶ月間)においてインダクションシールで密封された60錠用HDPEボトルに保管したとき、同様の密接した薬物放出プロファイルを示した。
【0097】
実施例4
表2は、シクロベンザプリン(cylcobenzaprine)HCl MRカプセル、15mg及び30mgの一連のプロセスバリデーションバッチ(例えば、PF312EA001V〜PF312EA003V(15mg)及びPF313EA001V〜PF313EA003V、実施例2Aに従い調製)に関する安定性についての結果をまとめている。第1のバリデーションバッチ(PF313EA001)及び別のバッチ(PF313EA006)は、放出時点で(すなわち、時刻ゼロにおいて)それぞれ比較的高い、及び低い溶出を示した(表3を参照)。ロット番号PF3130001Vは、40℃/75%RH(相対湿度)の1ヶ月、3ヶ月、及び6ヶ月、25℃/60%RHの3ヶ月、6ヶ月、並びに30℃/65%RHでの3ヶ月の時点において、溶出しなかった。溶出が規格外となる点は、4時間及び/又は8時間の時点であった。放出時点の(すなわち、時刻ゼロにおける)他の5つのバリデーションバッチは、溶出、アッセイ、分解に関する規格を満たした(表2を参照)。さらに、これらのバリデーションバッチの安定性データもまた、製品規格を満たした。調査したところ、PF3130001Vについて観察された規格外(OOS)の溶出結果の原因は、製品の安定性の問題ではなく、この特定のロットについての放出時点の(すなわち、時刻ゼロにおける)典型的なものより高い溶出プロファイルであることが示された。時刻ゼロ及び後続の時間溶出データは、溶出値の上昇傾向は示さず、典型的な分析上の変動及び/又はバッチ間変動を示した。
【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
【表7】

【0101】
実施例2Aのプロセスに2つの変更を加えた。第一に、ERコーティング溶液に可塑剤を添加した後の撹拌時間は、例えば2時間を上限として少なくとも1時間とするように一貫して制御した。第二に、乾燥剤ホイールを導入することにより、乾燥/硬化中の露点を厳密に制御した。薬物層形成、ERビーズコーティング、及びERビーズ硬化の目標露点は、8〜10℃に設定した。
【0102】
表3は、新しい制御(すなわち、実施例2Bの撹拌時間及び硬化露点の制御)を一貫して導入した後の、平均値と標準偏差、アッセイの最大値及び最小値、溶出、湿度、全分解、及び市販用バッチについての用量単位の均一性についてまとめている:シクロベンザプリンHCl MRカプセル、30mg(PF313)の7個のバッチ及びシクロベンザプリンHCl MRカプセル、15mg(PF312)の32個のバッチ。上記で言及した先のプロセスバリデーションバッチPF3130001V及び最初の3個の市販用バッチのうちの1つ(PF3130006)(実施例2Aに従い製造した)は、異常な(すなわち、高い、又は低い)溶出値を示したため、表3では別に示している。アッセイ値及び溶出値が密接であることは明らかで、製造プロセスが十分にロバストであることを示している。
【表8】

【0103】
本発明を詳細に、その具体例を参照して説明したが、当業者には、その趣旨及び精神から逸脱することなく様々な変更及び修正を加え得ることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)不活性粒子を、シクロベンザプリン又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はエステルと、薬学的に許容可能な溶媒とを含む薬物層形成組成物で被覆するステップであって、それによりIRビーズを形成するステップと、
b)前記IRビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において、薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含むERコーティング組成物で被覆するステップであって、それによりERビーズを形成するステップと、
を含む、医薬組成物の調製方法。
【請求項2】
c)前記ERビーズを、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下において約60℃で約4〜12時間硬化させるステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ERコーティングステップb)の前に、前記ステップa)のIRビーズを、薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含むシールコート組成物で被覆するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性粒子が約20〜25メッシュの粒度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シールコート組成物が水をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティングステップa)及びb)が、約5〜20℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ERコーティング組成物が可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ERコーティング組成物が、前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーと、可塑剤と、薬学的に許容可能な溶媒とを、前記可塑剤を前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー及び前記薬学的に許容可能な溶媒に添加した後、少なくとも約1時間撹拌することにより調製される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーと、前記可塑剤と、前記薬学的に許容可能な溶媒とが、前記可塑剤を前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマー及び前記薬学的に許容可能な溶媒に添加した後、少なくとも約3時間撹拌される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記薬物層形成組成物が塩酸シクロベンザプリンと約50:50のアセトン:水とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記薬学的に許容可能な水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーが、エチルセルロース、セルロースのエーテル、セルロースのエステル、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、エチルアクリレートとメチルメタクリレートとをベースとする中性の共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの第4級アンモニウム基との共重合体、pH非感受性アンモニオメタクリル酸共重合体、ワックス、アセチル化多糖、ポリウレタン、高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリレート及びポリメタクリレートポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーがエチルセルロースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記可塑剤が、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド及びジグリセリド、モノステアリン酸グリセリル、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、フタル酸塩、クエン酸塩、グリセロールトリブチレート;セバシン酸塩、アジピン酸塩、アゼライン酸塩、安息香酸塩、クロロブタノール、ポリエチレングリコール、植物油、オリーブ油、ヒマシ油、鉱油、フマル酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、セチルアルコールエステル、マロン酸塩、ポリソルベート、グリセリン、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−メチルピロリドン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記可塑剤がフタル酸ジエチルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記ERコーティング組成物が、アセトン及び水を約85/15〜約98/2の範囲のアセトン/水の重量比で含む溶媒中に溶解したエチルセルロースとフタル酸ジエチルとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
水不溶性ポリマーの可塑剤に対する比が約9:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記薬物層形成組成物が塩酸シクロベンザプリンを含み、乾燥後、前記薬物層を有するビーズが約20wt.%〜約30wt.%の塩酸シクロベンザプリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記薬物層形成組成物が塩酸シクロベンザプリンを含み、乾燥後、前記薬物層を有するビーズが約25wt.%の塩酸シクロベンザプリンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記IRビーズが約2%の前記薬学的に許容可能な水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ERビーズが約7%〜約12%の前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ERビーズが約9%の前記薬学的に許容可能な水不溶性ポリマーと前記可塑剤とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項23】
前記ERビーズが、900mLの0.1N HCl中37℃で米国Pharmacopoeia装置2(パドル、50rpm)を使用して試験したとき、以下の溶出パターン:
2時間後に全活性分の約40%以下しか放出されず;
4時間後に全活性分の約40〜65%が放出され;
8時間後に全活性分の約60〜85%が放出され;及び
場合により12時間後に全活性分の約75〜85%が放出される、
におけるどの時点においても約10%以下の偏差しか有しない薬物放出プロファイルを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ERビーズが、900mLの0.1N HCl中37℃で米国Pharmacopoeia装置2(パドル、50rpm)を使用して試験したとき、2時間後に約20%〜約50%の薬物放出を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティングステップb)が、約6〜17℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化ステップc)が、約6〜17℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記コーティングステップa)が、約6〜17℃の範囲の露点を有する雰囲気下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記医薬組成物が30mgのシクロベンザプリンHClを含み、その単一経口投与後、シクロベンザプリンHClの約19.9ng/mLの約80%〜125%の範囲内の最大血漿濃度(Cmax)と、約736.6ng・時間/mLの約80%〜125%の範囲内のAUC0−168とをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が15mgのシクロベンザプリンHClを含み、その単一経口投与後、シクロベンザプリンHClの約8.3ng/mLの約80%〜125%の範囲内の最大血漿濃度(Cmax)と、約318.3ng・時間/mLの約80%〜125%の範囲内のAUC0−168とをもたらす、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−525188(P2011−525188A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514809(P2011−514809)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047807
【国際公開番号】WO2009/155426
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(507362111)ユーランド,インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】