説明

従来の方式のチャンネルと高精細度方式のチャンネルとを関連づけるビデオ処理装置

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明は、テレビジョン受像機の分野に関し、特に、NTSC(従来の)信号とHDTV(ディジタル式高精細度ワイドスクリーン)信号の両方に同調するテレビジョン受像機に関する。
発明の背景
HDTV(ディジタル式高精細度ワイドスクリーン・テレビジョン)方式は、米国で使用するために提案されたもので、現在使用されているNTSC放送標準とは全く両立性がない。この2つの方式の主要な相違点をいくつかあげると、HDTVはディジタル方式であり、NTSCはアナログ方式であり、HDTV方式はアスペクト比が16:9であり、NTSC方式はアスペクト比が4:3であり、HDTV方式は走査線が1125本あるが、NTSC方式は525本しかない。従って、もし放送業界がディジタル方式のHDTVを直ちに採用し、NTSC方式を見捨てるならば、最近の数年のうちに購入したまだ完全に使えるNTSC方式のテレビジョン受像機が旧式となり、使えなくなってしまう。このようなことを避けるために、現在考えられているのは、従来のアナログ式NTSC標準の放送からディジタル式HDTVテレビジョン放送への移行は、15年ほどの期間にわたって行われ従来のNTSCテレビジョン受像機の正常な漸減が生じるようにすることである。この期間中、テレビ放送局は、FCC(連邦通信委員会)により割り当てられる2つのテレビジョン・チャンネルで番組を“同時放送”する。この2つのチャンネルの各々は6MHzの帯域幅を包含し、互いに隣接する必要はない。この2つのチャンネルのうち1つは、現在割り当てられているアナログ式のNTSCチャンネルとなり、もう1つはHDTV番組の伝送用に割り当てられる。
すべてのテレビ放送局が同じ日にHDTV信号を放送し始めるとは考えられない。ある一定の地域に在るいくつかのテレビ放送局は、多分、それぞれの許される財政状態に応じて、数週間、数ケ月または数年にもわたってHDTVの送信を開始するであろう。この移行期間中に生産されるテレビジョン受像機の中には、HDTVチューナと信号処理部、およびNTSCチューナと信号処理部が含まれるものと予想される。このようにして、テレビジョン受像機は両方式の信号を受信し表示することができるであろう。
上述のように、一定の地域における各テレビ放送局には2つのチャンネルが割り当てられるであろう。これらのチャンネルは、多分、互いに隣接しておらず、またスペクトルが実際に混雑するため全国的なチャンネル・ペアリング(channel pairing)のパターンすら持たないだろう。つまり、NTSCのチャンネル番号とHDTVのチャンネル番号との間に一定の関係は存在しないだろう。
これらの信号は2つの別個の周波数で搬送され、実際に両立性がないにもかかわらず、同じテレビジョン番組が2つのチャンネルで同時に搬送されるので、視聴者はこの放送が1つのテレビジョン・チャンネルで行われていると見なすであろう。すなわち、NTSC形式で作られたテレビジョン番組は、それに対応するHDTV形式の番組が同じテレビ放送局のHDTVチャンネルで放送されるのと同時に、NTSCチャンネルでも放送されるであろう。この方式の相違を十分に理解していない一般の視聴者は、当然のことながら、今までと同じように、一度選択するだけで見たいテレビジョン番組にチャンネルを合わせられることを期待するであろう。
視聴者が、NTSCの第4チャンネル(例えば)はHDTVの第41チャンネル(例えば)と一対になっていることを記憶しなくてもすむようにするために、同調・セットアップ手順が与えられ、視聴者は自分の地域でどのチャンネルどうしがペアになっているかを特定できるようになる。
二重方式(すなわち、高精細度TVとNTSC)のテレビジョン受像機は、1990年にソニー社により日本で生産され市販された、Sony KW−3600HD型テレビジョン受像機から知られている。KW−3600HD型は、NTSCと高精細度アナログ信号(すなわち、MUSE方式)を受信し表示する回路を含んでいる。日本にはMUSEチャンネルは2つしかなく、従って、対応するNTSCチャンネルとペアにされることはない。
ラベル(例えば、WNBC)とチャンネル番号を関連づけ、そのラベルを入力することにより希望のチャンネルに同調させることは、米国特許第4,600,918号(Bellisomi氏外)および米国特許第4,959,720号(Duffield氏外)より知られている。しかしながら、上述のように、視聴者は、多分、同じ局から送信されるHDTVとNTSCの放送を1つのチャンネルと見なすであろうし、従って、視聴者は、各放送局が1つのラベル(すなわち、WTTV)だけを持っていると思うであろう。従って、少なくともいくつかのテレビ放送局にNTSCチャンネルとHDTVチャンネルの両方が割り当てられているとき、HDTVとNTSCに両立性を有する兼用型のテレビジョン受像機において“ラベルによる同調”機能をいかにして遂行するかという問題がある。
本発明によるテレビジョン受像機のシステムは、HDTV形式のテレビジョン信号を受信し処理する第1のチューナ/信号処理装置、およびNTSC形式のテレビジョン信号を受信し処理する第2のチューナ/信号処理装置を含んでいる。このテレビジョン受像機は、ユーザーの入力に応答して一対のテレビジョン・チャンネル(1つはNTSC信号を搬送するチャンネル、もう1つはHDTV信号を搬送するチャンネル)を関連づける制御装置を含んでいる。チャンネルの選択に応答して制御装置はテーブル(table)を検索(search)して、その特定のチャンネル番号と関連するチャンネルを捜す。もしあるHDTVのチャンネルがその番号と関連していれば、HDTVのチューナがそのHDTVのチャンネルを選択するように制御される。もしこの番号と関連するHDTVのチャンネルがなければ、該当するNTSCのチャンネルを選択するようにNTSCのチューナーが制御される。
本発明の第2の実施例で、テレビジョン受像機は、ユーザーの入力に応答して1つのラベルと、一対のテレビジョン・チャンネル(1つはNTSC信号を搬送するチャンネル、もう1つはHDTV信号を搬送するチャンネル)とを関連づける制御装置を含んでいる。ラベルによるチャンネルの選択に応答して制御装置はテーブルを検索して、その特定のラベルと関連するチャンネルを捜す。もしあるHDTVチャンネルがそのラベルと関連していれば、HDTVチューナはそのHDTVチャンネルを選択するように制御される。もしそのラベルと関連するHDTVチャンネルがなければ、NTSCチューナは該当するNTSCチャンネルを選択するように制御される。
本発明のさらに別の実施例では、チャンネル選択用に入力されたラベルとHDTVチャンネルとが関連している場合、制御装置は、HDTV信号が実際に受信されているかどうか確かめる。受信されていれば、制御装置はHDTVチューナにHDTVチャンネルを選択させ、HDTV信号が受信されていなければ制御装置は該当するNTSCチャンネルをNTSCチューナに選択させる。
本発明のさらに別の実施例では、ペアを成す(paired)NTSCとHDTVチャンネルに関連するデータは、垂直期間中に放送局より伝送されかつ受像機内のRAMの適当な領域に書き込まれる拡張データ・サービス(EDE:Extended Data Services)信号を介して伝達される。
請求の範囲と実施例との対応関係を図面で使われている参照符号で示すと次の通りである。
1.従来の方式で第1のテレビジョン・チャンネルで放送される第1のテレビジョン信号を受信でき且つ高精細度方式で第2のテレビジョン・チャンネルで放送される第2のテレビジョン信号を受信できるビデオ処理装置であって、
前記従来の方式(410)で放送される前記第1のテレビジョン・チャンネルと前記高精細度方式(420)で放送される前記第2のテレビジョン・チャンネルとの関連を示すデータを貯えるメモリ回路(162)であって、同じテレビジョン番組が前記第1と第2のテレビジョン・チャンネルで放送されていると、前記第1と第2のテレビジョン・チャンネルが関連づけられる前記メモリ回路(162)と、
前記メモリ回路(162)に結合される制御装置(160)と、
前記制御装置(160)の制御の下に、第1の入力において従来のビデオ信号または第2の入力において高精細度ビデオ信号を選択するスイッチ(SW4)と、から成り、
前記制御装置(160)は、有効な前記精細度ビデオ信号が存在しないことが確認されると、前記スイッチ(SW4)に前記従来のビデオ信号を選択させる、前記ビデオ信号処理装置。
2.前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項1記載のビデオ処理装置。
3.前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項1記載のビデオ処理装置。
4.前記従来のビデオ信号が、SECAM信号でる、請求項1記載のビデオ処理装置。
5.前記制御装置(160)は、チャンネル変更コマンドが入力されると(310)、前記メモリ回路を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号(421−426)および前記従来の方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号(411−416)を取り出し、前記制御装置(160)は、対応する前記取り出されたチャンネル番号に前記高精細度信号と前記従来の信号を同調させ、且つ
前記制御装置(160)は、有効な前記高精細度ビデオ信号が存在することが確認されると(320)、前記スイッチ(SW4)に前記高精細度ビデオ信号を選択させる(330、340)、請求項1記載のビデオ処理装置。
6.前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
7.前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
8.前記従来のビデオ信号が、SECAM信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
9.前記メモリ回路(162)は更に、前記高精細度方式で放送しているテレビジョン・チャンネルおよび前記従来の方式で放送しているテレビジョン・チャンネルと関連するラベル(430)を示すデータを貯え、
前記制御装置(160)は、前記ラベルが入力されると、前記メモリ回路を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号(421−426)および前記従来の方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号(411−416)を取り出し、前記制御装置(160)は、対応する前記取り出されたチャンネル番号に前記高精細度信号と前記従来の信号を同調させる、請求項5記載のビデオ処理装置。
10.前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
11.前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
12.前記従来のビデオ信号が、SECAM信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
13.前記ビデオ処理装置が、更に
前記従来のテレビジョン信号の同期部分の間に伝送され、関連する前記高精細度チャンネルが利用できることを示す補助データを受け取り処理する回路(685)を含み、
前記制御装置(660)は、チャンネル変更コマンドの入力に応答し、また関連する前記高精細度チャンネルが利用できることを示す前記補助データに応答して、前記メモリ回路(662)を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号を取り出し、前記制御装置(660)は前記スイッチ(SW4)に前記高精細度ビデオ信号を選択させ、
前記制御装置は、前記チャンネル変更コマンドの入力に応答し、また関連する高精細度チャンネルが利用できないことを示す前記補助データに応答して、前記スイッチに前記従来のビデオ信号を選択させる、請求項1記載のビデオ処理装置。
発明の効果
視聴者は、見たい番組が高精細度方式の放送であるか従来の方式の放送であるかを意識せずに、見たい番組が高精細度方式で放送されていれば高精細度方式で視聴し、見たい番組が高精細度方式で放送されていなければ従来の方式の放送で視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明と共に使用するのに適するテレビジョン受像機の簡略化されたブロック図を示す。
第2a図および第2b図は、本発明を理解するのに役立つ、16:9の表示画面を示す。
第3図は、図1の制御装置に関する制御プログラムの関連する部分を示す流れ図である。
第4図は、第1図の制御装置のメモリ装置の一部分を簡略化して示す。
第5a図および第5b図は、チャンネル・ペアリング情報を入力するためのリストを示す、16:9の表示画面の実例である。
第6図は、本発明の別の実施例と共に使用するのに適するテレビジョン受像機の簡略化されたブロック図である。
発明の詳細な説明
第1図は、HDTV形式と従来の形式(例えばNTSC)の両方の形式で伝送されるテレビジョン信号を受信し処理する、二重方式(dual system)テレビジョンの回路をブロック図で示す。このような受像機は、ワイドスクリーン受像管を備え、16:9のアスペクト比でHDTVテレビジョン画像を表示する。また第1図の受像機は、従来のアスペクト比4:3のみで信号を処理することのできるNTSC信号路を含んでいる。この構成の利点は、HDTV信号がないとき、NTSCチューナが使用されることである。このような受像機で発生される画像は、第2a図と第2b図に示されている。第2a図の画像200aは第2b図の画像205bと異なっていることに注目されたい。第2a図の画像は16:9ワイドスクリーンHDTV画像であり、第2b図の画像は、“ペアを成す"NTSCチャンネルから得られる従来の4:3(すなわち、NTSC,PALまたはSECAM)画像である。画面の側部200bは画像情報を含んでおらず、受像管の不均整な劣化を減少させるために、30%の輝度信号で照明される。
上述の事項を心に留めて、本発明を実施するための第1図の装置について以下に説明する。RF信号は信号分配器110の入力に供給される。信号分配器110の第1の出力からのRF信号はHDTVチューナ122に供給される。また分配器110はRF信号を4:3(例えばNTSC)チューナ124に供給する。上述のチューナは何れも制御装置160により制御される。制御装置160は、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)162、CPU(中央処理装置)164、およびROM(読取り専用メモリ)166を含んでいる。制御装置160は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、または専用の注文製の集積回路制御装置である。RAM162およびROM166は制御装置160の内部または外部の何れにあってもよい。また制御装置160は、本発明に特に関係のない、テレビジョン受像機の他の部分(例えば、電源170、偏向装置172、コンバーゼンス装置174)をも制御する。
HDTVチューナ122は1993年8月10日に発行された米国特許第5,235,424号(Wagner氏外)により知られる形式のものである。HDTVチューナ122および4:3(例えばNTSC)チューナ124は、それぞれ、受信したRF信号を中間周波数(IF)に変換し、このIF信号をそれぞれのIF増幅器132または134に供給する。HDTVのIF増幅器132は、供給された信号を増幅し、増幅されたIF信号をA/D(アナログ・ディジタル)変換器136に供給する。A/D変換器136はIF信号をアナログ領域からディジタル領域に変換し、その結果生じるディジタル信号をオーディオ/ビデオ復調装置138に供給する。当業者は、オーディオ/ビデオ復調器138の中には、等化器やトランスポート装置のような既に知られているサブ・ブロックが含まれていることを認めるであろうが、これらのサブ・ブロックは本発明に特に関係がないので図示されておらず詳しく述べられてもいない。オーディオ/ビデオ復調装置138は、ビデオ信号と音声信号を分離し、ビデオ信号をビデオ・スイッチSW4の第1の入力に供給し、音声信号を音声増幅装置146の1つの入力に供給し、音声増幅装置146は、ステレオ音声信号を復調し、これらの信号を増幅して、1対のスピーカ147に供給する。
4:3画像IF増幅装置134は、4:3画像復調器140の入力に接続され、復調器140はIF信号を4:3ベースバンド・ビデオ信号に変換し、それをA/D変換装置142に供給し、ディジタル変換する。その結果生じるディジタル信号はワイドスクリーン処理装置(WSP)144に供給され、処理装置144は受信した4:3NTSC信号を16:9形式に変換する。WSP144の出力は走査変換装置146に供給され、HDTVの走査速度に変換される。
走査変換装置146の出力はビデオ・スイッチSW4の1つの入力に供給される。スイッチSW4は、制御装置160の制御を受けて動作し、その入力において2つの信号のうち1つが選択され、ビデオ制御装置148に供給され、増幅される。ビデオ制御装置148は増幅された信号を表示装置150の入力端子に供給する。勿論、表示装置150は、受像管、一組の投写管、またはLCD(液晶表示)装置のようなものでよい。
音声装置146は、制御装置160の制御を受けて動作し、音声選択回路を含み、主画像に伴う適正な音声信号を選択する。これに関して、音声装置146は第2の入力を備え、NTSC信号と関連する音声信号をA/D装置142から受け取る。
電源装置170は予備電源と動作電源を含んでいる。偏向装置172は水平(H)および垂直(V)偏向信号を発生し、コンバーゼンス装置174は、表示装置150におけるR,G,B信号の適正なレジストレーション(regisration:整合)を制御する。
本発明の特徴である“関連するチャンネルに同調する”動作は、第2a図と第2b図、第3図のフローチャート、および第4図のメモリ装置に関して説明する。第2a図に、16:9HDTVのヨットレースの画像200aが受信され表示されており、第2b図に、同じヨットレースの4:3NTSC画像205bが、ペアを成すNTSCチャンネルから受信され表示されている。
“関連するチャンネルに同調する”機能は、第3図に示す制御装置160の制御プログラムの部分を使用することにより遂行され、これについては以下に詳しく述べる。
第4図について述べると、3つの部分410,420,430から成るメモリ・アレイ400が示されている。部分410の位置411〜416に、ユーザーにより直接入力されまたは自動プログラミング・モードにより入力されるNTSCのチャンネル番号が貯えられる。部分420の位置421〜426に、ユーザーが入力するHDTVのチャンネル番号が貯えられる。更に別の部分430の位置431〜436に、ユーザーにより直接入力されるか、またはメニューから選択される、ラベルが貯えられ、本発明の実施例の“共通ラベルによる同調”に使用される。例えば、位置431に貯えられるラベルは、位置421に貯えられるHDTVチャンネル番号と、位置411に貯えられるNTSCチャンネル番号の両方に関連している。位置426に入っている符号00は実在しないチャンネル番号であり、現在、NTSCのチャンネル22とペアを成すHDTVのチャンネルがないことを示している。上述のメモリ・アレイは、ラベルをNTSCチャンネルとHDTVチャンネルに関連させるのに使用される多数のプログラミング技法のうちの1つにすぎず、その他のものは、木構造(tree structure)の変形であるか、またはデータが見い出される特定の領域を示す単なるポインタである。本発明は、使用されるデータ構造のタイプに制限されるものではない。
第3図のフローチャートについて、リモコン制御装置(図示せず)からチャンネル変更コマンドまたはラベルによる同調コマンドを受け取ると、ステップ30に入る。説明のために、ユーザーが入力するチャンネル番号はNTSCのチャンネル8とすると、このチャンネル番号はメモリの位置413に見い出され、それに対応するHDTVのチャンネル番号を見つめるためにメモリの検索が行われる(ステップ310)。この場合、NTSCのチャンネル番号8(位置413)はHDTVのチャンネル45(位置423)に対応することが分る。また、ユーザーはチャンネル・ラベルを入力することもできる。説明のために、ユーザーが入力するラベルがWISHであるとすると、このラベルはメモリ位置433に見い出され、これに対応するHDTVとNTSCのチャンネル番号を見つけるためにメモリの検索が行われる(ステップ310)。この場合、対応するチャンネル番号は、上述のように、HDTVのチャンネル45(位置423)とNTSCのチャンネル8(位置413)であることが分る。これらのチャンネル番号を使用して、NTSCのチューナとHDTVのチューナは適正なチャンネルに同調される。ステップ320で、HDTVチューナ122からの信号を調べて、有効なHDTV信号が存在するかどうかを確かめる。もし、ステップ320で、HDTV信号が有効でなければ、NO路を通り、ステップ350に至り、ここで、NTSCの映像が現在画面に表示されているかどうかが調べられる。もし表示されていれば、それ以上なにも行う必要はなく、このルーチンはステップ370で出される。しかしながら、もしHDTV信号が得られず、NTSCの映像も表示されていなければ、スイッチSW4は、NTSCの映像を、表示するために選択するように制御される(ステップ360)。もし、ステップ320で、HDTV信号が有効であれば、YES路を通り、ステップ330に至る。ステップ330で、制御装置160は、HDTVの映像が現在画面に表示されているかどうかを確かめる。もし表示されていれば、それ以上なにもする必要はなく、このルーチンはステップ370で出される。しかしながら、もしHDTVの映像が視聴用に得られ、且つHDTVの信号が現在選択されていなければ、スイッチSW4は、HDTVの映像を視聴するために選択するように制御される(ステップ340)。ペアを成すHDTVのチャンネルがなければ、ステップ320で、HDTV信号は有効とならず、スイッチSW4はNTSC信号を選択するように切り替えられる。あるいは、HDTVチャンネルのデータがなければ、このルーチンは直接ステップ360に進む。
重要なのは、上述のシステムでは、HDTV信号が優先することである。すなわち、テレビジョン受像機は、最初、入力されたチャンネル番号またはチャンネル変更コマンドと関連するHDTVチャンネルに同調しようとする。ラベルが入力されると、受像機は、最初、そのラベルに関連する、NTSCチャンネルよりもむしろ、HDTVチャンネルに同調しようとする。受像機がNTSCチャンネルにデフォールト(default)するのは2つの場合に限られる。第一は、特定のラベルに関連するHDTVチャンネルがない場合であり、第二に、希望するHDTVチャンネルに、有効なHDTV信号がない場合である。
また、テレビジョン受像機は以下のように動作することが考えられる。NTSCのチャンネル番号を入力すると、そのNTSCチャンネルが選択される。HDTVのチャンネル番号を入力すると、そのHDTVチャンネルが、もし利用できれば、選択され、もしその希望するHDTVチャンネルが利用できなければ、それに対応するNTSCチャンネルが選択される。CHANNEL UPまたはCHANNEL DUWNコマンドを入力すると、NTSCチャンネル・リスト(channel list)にある次のチャンネルに対応するHDTVチャンネルが、もし利用できれば、選択され、もしそのHDTVチャンネルが利用できなければ、NTSCチャンネル・リストから、そのNTSCチャンネルが選択される。
更に受像機は、以下のように、拡張データサービス(EDS)信号を利用することが考えられる。NTSCチャンネルが有効な“ペアを成す"HDTVチャンネルを有する時はいつもEDS信号に“フラグ・ビット”が付加されると、チャンネル変更コマンド(チャンネル番号を直接入力するか、あるいはCHANNEL UPまたはCHANNEL DOWNコマンドを入力する)により、NTSCチャンネル・リストで次のNTSCチャンネルに対応するHDTVチャンネルが選択される。もしEDSの“HDTV有効”フラグが、対応するHDTVチャンネルがないことを知らせると、NTSCチャンネルが選択される。それ故、HDTVとNTSCのどちらが選択されるかは、EDSの“HDTV有効”フラグ・ビットの状態により決められる。
ラベルまたはチャンネル変更コマンドが受信されないとき、第3図のフローチャートのステップ320に周期的に入ると、現在同調しているHDTVチャンネルがHDTV信号の送信を停止した場合、テレビジョン受像機は対応している“ペアを成す"NTSCチャンネルの受信に自動的に切り替わる。この動作モードは有利である。なぜなら、上述のように、HDTVの放送が始まると、HDTVの信号の送信を絶えず持続するのに十分なだけのHDTVの番組がないからである。
第5a図と第5b図は、NTSCチャンネルをそれに対応するHDTVチャンネルと関連させるデータを入力するためのリスト(list)を示す。第5a図で、表示画面500aはNTSCのチャンネル・リスト510aおよびHDTVのチャンネル・リスト520aを示す。NTSCのチャンネル・リスト510aに含まれるチャンネル・データは、自動プログラミング機能により、自動的に入力されたものかもしれない。HDTVのチャンネル・リストには役に立つチャンネル情報が入っておらず、各位置には符号00だけが入っている。カーソル530aは、画面下のメッセージと共に、ユーザーが、NTSCチャンネル4に対応する、自分の地域の視聴区域におけるHDTVチャンネルの番号を入れようとしているところを示している。従って,第5a図はユーザーが最初のセット・アップ手順を開始するときのチャンネル・リストの状態を示しており、第5b図はユーザーが対応するHDTVチャンネルのデータを入力し終ったときのチャンネル・リストの状態を示している。NTSCチャンネル22に対応するHDTVのリストの位置にはまだ符号00が入っており、これは本例におけるチャンネル22に対応して“ペアを成す"HDTVチャンネルがないことを示している。第5b図で、第5a図の参照番号と類似した参照番号のものは同じ目的に使用されるので、改めて説明しない。
あるいは、“ペアを成すチャンネル”のデータは、現在いくつかのテレビジョン番組の垂直期間中に伝送されており拡張データ・サービス(EDS)信号として知られている補助信号により送ることができ、またメモリの中に自動的にロードすることができる。これを行う装置は第6図に示されている。第6図の要素で第1図の要素を類似した参照番号の要素は同じ働きをするので、改めて説明しない。第6図について説明すると、データ・スライサ装置685は、クローズド・キャプションまたはEDSデータを含む複合ビデオ信号を復調器640から受け取る。データ・スライサ685は、ビデオ信号からEDSデータを分離し、それを、導体アレイ(全体として687で表す)を介して、制御装置660およびクローズド・キャプションOSD処理装置680に供給する。クローズド・キャプションOSD処理装置680の出力信号は、A/D変換器684を介して、ワイドスクリーン処理装置(WSP)644に供給され、受像機の画面に表示される。ペアを成すHDTVチャンネルとNTSCチャンネルに関するEDSデータは、制御装置660により識別され、RAM400内の適切なテーブルの中に書き込まれる。このようにしてユーザーは、セット・アップ手順の間、対応するHDTVチャンネルを入力する作業から解放される。
ここで使用される“制御装置”には、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、専用の制御用の集積回路などが含まれる。“テレビジョン受像機”には、表示装置を備えているテレビジョン受像機(普通、テレビジョン・セットと呼ばれる)、および表示装置を備えていないテレビジョン受像機(例えばビデオカセットレコーダなど)が含まれる。
この明細書の実施例では、NTSC方式の信号について明白に述べられているが、本発明は、PAL方式あるいはSECAM方式のテレビジョン信号にも同じように使用でき、またこの明細書における“従来のテレビジョン信号”には、アスペクト比4:3の画像を発生するために現在使用されている方式のすべてのテレビジョン信号が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来の方式で第1のテレビジョン・チャンネルで放送される第1のテレビジョン信号を受信でき且つ高精細度方式で第2のテレビジョン・チャンネルで放送される第2のテレビジョン信号を受信できるビデオ処理装置であって、
前記従来の方式で放送される前記第1のテレビジョン・チャンネルと前記高精細度方式で放送される前記第2のテレビジョン・チャンネルとの関連を示すデータを貯えるメモリ回路であって、同じテレビジョン番組が前記第1と第2のテレビジョン・チャンネルで放送されていると、前記第1と第2のテレビジョン・チャンネルが関連づけられる前記メモリ回路と、
前記メモリ回路に結合される制御装置と、
前記制御装置の制御の下に、第1の入力において従来のビデオ信号または第2の入力において高精細度ビデオ信号を選択するスイッチと、から成り、
前記制御装置は、有効な前記高精細度ビデオ信号が存在しないことが確認されると、前記スイッチに前記従来のビデオ信号を選択させる、前記ビデオ信号処理装置。
【請求項2】
前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項1記載のビデオ処理装置。
【請求項3】
前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項1記載のビデオ処理装置。
【請求項4】
前記従来のビデオ信号が、SECAM信号である、請求項1記載のビデオ処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、チャンネル変更コマンドが入力されると、前記メモリ回路を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号および前記従来の方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号を取り出し、前記制御装置は、対応する前記取り出されたチャンネル番号に前記高精細度信号と前記従来の信号を同調させ、且つ
前記制御装置は、有効な前記高精細度ビデオ信号が存在することが確認されると、前記スイッチに前記高精細度ビデオ信号を選択させる、請求項1記載のビデオ処理装置。
【請求項6】
前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
【請求項7】
前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
【請求項8】
前記従来のビデオ信号が、SECAM信号である、請求項5記載のビデオ処理装置。
【請求項9】
前記メモリ回路は更に、前記高精細度方式で放送しているテレビジョン・チャンネルおよび前記従来の方式で放送しているテレビジョン・チャンネルと関連するラベルを示すデータを貯え、
前記制御装置は、前記ラベルが入力されると、前記メモリ回路を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号および前記従来の方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号を取り出し、前記制御装置は、対応する前記取り出されたチャンネル番号に前記高精細度信号と前記従来の信号を同調させる、請求項5記載のビデオ処理装置。
【請求項10】
前記従来のビデオ信号が、NTSC信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
【請求項11】
前記従来のビデオ信号が、PAL信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
【請求項12】
前記従来のビデオ信号が、SECAM信号である、請求項9記載のビデオ処理装置。
【請求項13】
前記ビデオ処理装置が、更に
前記従来のテレビジョン信号の同期部分の間に伝送され、関連する前記高精細度チャンネルが利用できることを示す補助データを受け取り処理する回路を含み、
前記制御装置は、チャンネル変更コマンドの入力に応答し、また関連する前記高精細度チャンネルが利用できることを示す前記補助データに応答して、前記メモリ回路を検索し、前記高精細度方式で放送している前記テレビジョン・チャンネルのチャンネル番号を取り出し、前記制御装置は前記スイッチに前記高精細度ビデオ信号を選択させ、
前記制御装置は、前記チャンネル変更コマンドの入力に応答し、また関連する高精細度チャンネルが利用できないことを示す前記補助データに応答して、前記スイッチに前記従来のビデオ信号を選択させる、請求項1記載のビデオ処理装置。

【図2a】
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【図1】
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【図2B】
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【図5a】
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【図3】
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【図4】
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【図5b】
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【図6】
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【特許番号】特許第3545413号(P3545413)
【登録日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【発行日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−503160
【出願日】平成7年5月30日(1995.5.30)
【公表番号】特表平10−502235
【公表日】平成10年2月24日(1998.2.24)
【国際出願番号】PCT/US1995/006844
【国際公開番号】WO1996/001021
【国際公開日】平成8年1月11日(1996.1.11)
【審査請求日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【特許権者】
【識別番号】         
【氏名又は名称】トムソン コンシユーマ エレクトロニクス インコーポレイテツド
【参考文献】
【文献】特開平05−344511(JP,A)
【文献】特開平02−143780(JP,A)
【文献】特開平05−014830(JP,A)