説明

復元機構付容器

【課題】弱い力でも十分に胴部を押し縮められ、吐出部の圧力弁を作動させることが可能な復元機構付容器を提供する。
【解決手段】液体を収容する可撓性の容器本体2と、前記容器本体2が正圧になるときに、前記容器本体2に収容されている液体を吐出させるための吐出部3と、前記容器本体2外部と連通し、前記容器本体2が負圧になるときに、前記容器本体2内部に外部空気を流入させ、前記容器本体2の内圧が正圧になるときに、前記容器本体2内部の液体の漏出を防止するための逆止弁部4と、前記容器本体2における外部気体の流入方向において前記逆止弁部4より上流側に設けられ、前記逆止弁部4に流入する外部空気を浄化するためのフィルタ部5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点眼薬など液体の収容に用いられる、復元機構付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体を収容する可撓性の容器本体、及び、該容器本体に設けられ、容器本体に収容されている液体を吐出させるための吐出口を備えた容器が、点眼剤、液体洗剤及び、液状食品などの液体容器として用いられている。
このような液体容器では、容器本体を押圧して変形させ、容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、吐出口より液体を吐出させ、次いで、容器本体を押圧から解除して、容器本体の内圧が大気圧より低くなるときに、その吐出口から外部気体を流入させて、その容器本体の形を押圧前の形に復元させている。
【0003】
しかし、このような液体容器では、通常、液体容器内に流入する外部気体に、真菌やウィルスなどの病原微生物が存在しているため、そのような外部気体によって、液体容器に収容されている液体が汚染されるという不具合がある。
そこで、このような不具合を解消する容器として、デラミボトルの口部に、柔軟な材質で成形されたノズル部材と、そのノズル部材の吐出口の先端部を閉鎖する弁軸とを配置した二重ボトル分与容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この分与容器では、内容液の使用時に、ボトル胴部をスクイズさせて内圧を上昇させると、ノズル部材が変形膨張して、そのノズル部材の吐出口が容器外方に移動して、吐出口が開き、内容液の吐出が開始される。そして、内容液の使用終了(未使用)時に、ボトル胴部をスクイズから解除させて内圧を下降させると、通気口から二重ボトルの間に空気が入って、容器が復元するとともに再び吐出口が閉じる。
【特許文献1】特開2003―63576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような分与容器は、二重ボトル構造のため、外側にPET等の硬い材料が必要となる。従って、ボトルをスクイズさせ内圧を十分に上げるためには、強い力で容器を押し込まなければならない。軽い力で押すだけでは、吐出口の圧力動作弁が作動しないおそれがある。
本発明の目的は、弱い力でも十分に胴部を押し縮められ、吐出部の圧力弁を作動させることが可能な復元機構付容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、復元機構付容器において、液体を収容する可撓性の容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体が押圧を受けて変形して、前記容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、前記容器本体に収容されている液体を吐出させるための吐出部と、前記容器本体外部と連通し、前記容器本体が押圧から解除されて復元して、前記容器本体の内圧が負圧になるときに、前記容器本体内部に外部気体を流入させ、前記容器本体の内圧が正圧になるときに、前記容器本体内部の液体の漏出を防止するための逆止弁部と、前記容器本体における外部気体の流入方向において前記逆止弁部より上流側に設けられ、前記逆止弁部に流入する外部気体を浄化するためのフィルタ部とを備えている。
【0007】
このような構成によると、容器本体が押圧を受けて変形して、容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、容器本体に収容されている液体が、吐出部から吐出され、次いで、容器本体が押圧から解除されて復元して、容器本体の内圧が大気圧より低くなるときには、外部気体が、フィルタ部を通過して、次いで、逆止弁を介して容器本体内に流入される。
【0008】
二重容器の構造でないため、比較的軽い力で容器本体を押圧するだけで液体を吐出させることができる。また、押圧解除後に容器本体に流入する外部気体が、フィルタ部によって浄化されるので、容器本体に収容されている液体が汚染されることを有効に防止することができる。
また、請求項2に係る発明は、前記フィルタ部が、前記逆止弁部と所定間隔を隔てて設けられているものである。
【0009】
例えば、フィルタ部が逆止弁部と近接している状態である場合には、逆止弁部より液体がわずかに逆流し漏出した場合において、液体がフィルタ部に至り、フィルタ部がブロッキング(液がフィルタに付着すると空気の流通が阻止されること)されてしまうおそれがある。しかし、発明の構成によると、フィルタ部が、逆止弁部と所定間隔を隔てて設けられているので、復元機構付容器の使用を始めた後に、逆止弁部とフィルタ部との間に形成された空間に液体が溜まるのみで、フィルタ部に至らない。そのため、前記ブロッキングを防止することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記フィルタ部と前記逆止弁部との間に形成され、復元機構付容器の初めての使用前に、前記フィルタ部から前記逆止弁部に気体を流入させるための気体通路を閉鎖させるとともに、復元機構付容器の液体の使用開始時及びその後に、前記気体通路を開放させるための開閉機構を備え、前記開閉機構が、前記気体通路に形成された気体流入口、及び、前記気体流入口を開閉するための栓を備えているものである。
【0011】
このような構成によると、初めて復元機構付容器の使用を始める前に、容器内の液体がフィルタ部に漏れだしてくる可能性がきわめて少なくなる。その結果、復元機構付容器を使用するときに、前記ブロッキング現象の発生を有効に防止することができる。
請求項4に係る発明は、前記容器本体に設けられ、復元機構付容器の初めての使用前に、容器本体の内部と逆止弁部とを仕切る膜と、前記容器本体における外部気体の流入方向において前記膜より上流側に設けられ、復元機構付容器の使用開始時及びその後に、前記膜に貫通をし、前記容器本体の内部と前記逆止弁部とを連通させるニードルとをさらに備えているものである。
【0012】
このような構成によると、復元機構付容器を初めて使用する前は、逆止弁部近傍にある気体が膜により遮断されるので、前記ブロッキング現象の発生を有効に防止することができる。また、復元機構付容器を初めて使用するときに、膜を貫通可能なニードルを備えているので、フィルタ部により浄化された外部気体が、逆止弁部から容器本体に流入する。そのため、復元機構付容器の使用後に、浄化された外部気体が容器本体内部に流入される。その結果、容器本体に流入する外部気体により、液体が汚染されることを有効に防止することができる。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、復元機構付容器において、液体を収容する可撓性の容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体が押圧を受けて変形して、前記容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、前記容器本体に収容されている液体を吐出させるための吐出部と、前記容器本体内部に設けられ、前記容器外部と連通し、外部から流入する外部気体と液体とを仕切るための伸縮又は変形自在な袋と、前記袋と連通し、前記容器本体が押圧から解除されて復元して、前記容器本体の内圧が負圧になるときに、前記袋の内部に外部気体を流入させ、前記容器本体の内圧が正圧になるときに、前記袋の中の気体の漏出を防止するための逆止弁部とを備えている。
【0014】
このような構成によると、外部から流入する外部気体と液体とを仕切るための伸縮又は変形自在な袋と、逆止弁部とを備えているので、容器本体が押圧を受けて変形して、容器本体の内圧が大気圧より高くなるときには、容器本体に収容されている液体が、吐出部から吐出され、次いで、容器本体が押圧から解除されて復元して、容器本体の内圧が大気圧より低くなるときに、外部気体が、逆止弁から袋の中に流入される。その結果、吐出部近傍の溶液が、吐出部から容器本体内に逆戻りすることを防止することができるので、容器本体に収容されている液体が汚染されることを有効に防止することができる。また、外部気体は袋に収容されるため、容器本体に収容されている液体が、外部気体と接触しない。その結果、容器本体に収容されている液体が汚染されることをより一層有効に防止することができる。
【0015】
また、請求項6に係る発明によれば、前記逆止弁部は、互いに対向配置されて、互いに溶着されて貼り付けられ、外部気体を流入させる弁内連通路が形成された、2枚の可撓性フィルム、前記フィルムにおける外部気体の流入方向において最下流側に設けられ、前記容器本体内部に臨み、前記フィルムが互いに溶着される部分により開口されることにより形成され、前記弁内連通路から前記容器本体に外部気体を流入させるための弁出口、及び、前記フィルムにおける外部気体の流入方向において前記弁出口より上流側に設けられ、前記フィルムが互いに溶着される部分により開口されることにより形成され、前記容器本体外部から前記弁内連通路に外部気体を流入させるための弁入口を備えている。この構成によれば、2枚の可撓性フィルムを合わせて所定部分を接着するのみの簡単な構造で逆止弁を構成することができる。
【0016】
前記弁出口における外部気体の流入方向が、前記弁入口における外部気体の流入方向に対して所定の角度を有していることが好適である。このような構成によると、逆止弁において、内部液体の動きにより逆止弁全体のねじれ(ゆがみ)が起こっても弁出口が開くことはなく、逆止弁における液体の逆流を有効に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の復元機構付容器の第1実施形態を示す側断面図である。
図2は、2枚のフィルムで構成される逆止弁部の正面図、図3はそのA−A線に沿った側断面図を示す。また、図4は、逆止弁部に取り付ける前のフィルムの正面図である。また、図5及び図6は、それぞれ、図2に示す逆止弁の他の形態を示す正面図である。
復元機構付容器は、図1に示すように、容器本体2、吐出部3、逆止弁部4、底蓋部34及びフィルタ部5を備えている。
【0018】
容器本体2は、目薬などの液体を収容する可撓性の材料からなる。容器本体2の上側、中央、下側を、それぞれ上側本体6、中央本体7及び下側本体8という。
容器本体2は、中央本体7が押圧を受けると変形して、その内部の容積が小さくなり、押圧から解除されると、復元して元の容積に戻るように、可撓性を有している。可撓性の材料としては、例えば、ポリオレフィン(LDPE,PP等)を用いることができる。
【0019】
上側本体6は、断面が上方に向かうに従って、内側に湾曲する形状に形成されている。
中央本体7は、上下方向に長く延びる円筒形状に形成されている。
下側本体8は、容器本体2の下側に配置され、前記中央本体7よりも小さな直径の円筒状部分72を備えている。
円筒状部分72は、肉厚が中央本体7より1.2〜3倍の厚さで、上下方向に延びて形成されている。円筒状部分72の下方は、成形後カットにより開口している。
【0020】
円筒状部分72の外面には、上下方向に所定間隔を隔てて対向して設けられ、外側に向かって突出する円環状の上側凸部9及び下側凸部10が形成されている。また、上側凸部9と下側凸部10とにより、内側に凹む底蓋係止溝11が形成されている。
吐出部3は、液体及び空気の逆流を防止する、逆流防止機構付きの圧力動作弁となっている。その上端部は、上方に向かって開口され、復元機構付容器を使用するときなどに、容器本体2が押圧を受けて変形して、その内部の容積が小さくなり、容器本体2の内圧が大気圧より高くなり、この容器本体2に収容されている液体を、容器本体2の外部に吐出させる。
【0021】
底蓋部34は、中央本体7と同じ直径の、有底円筒からなる。その内部には、前記円筒状部分72の外面に設けられた底蓋係止溝11に係合する突起を持つ円筒状の底栓ストッパ19が形成されている。
底栓ストッパ19には、基部底壁23を介して、逆止弁部4を支持するための円筒状の底栓基部18が一体につながっている。
【0022】
底栓基部18は、基部上壁21、基部縦壁22及び基部底壁23を一体的に備えている。
基部上壁21には、その上面の上方にパイプ状の底栓部20が立設されている。
基部縦壁22は、前記円筒状部分72の内面に密着するように当接している。基部底壁23は、基部縦壁22の下端部から外側に延び下側本体8の前記円筒状部分72の下端部に接近している。
【0023】
また、フィルタ部5は、フィルタ網35からなる。フィルタ網35は、基部底壁23に隙間なく取り付けられている。
フィルタ網35と、前記底栓基部18との間には、空間Sが形成されている。
逆止弁部4は、容器本体2の液体が収納される内部に設けられ、前記底栓部20及び逆止弁17を備えている。
【0024】
底栓部20は、底栓基部18の基部上壁21の上面において上方に向かって立設され、細長丸筒状に形成されている。底栓部20には、次に述べる逆止弁17が取り付けられている。
逆止弁17は、図2、図3に示すように、2枚の可撓性のフィルム28を備えている。各フィルム28の材質は、ポリオレフィン(PE,PP等)、ポリエステル(PET等)又はそれらの多層フィルムである。各フィルム28は、上下方向に細長く延びる長方形状で、両サイド部分16が互いに接着されている。そして、各フィルム28は、その内部に、弁内連通路29を形成している。
【0025】
各フィルム28は、側断面図である図3に示すように、その下半分において、底栓部20を挟む状態で、底栓部20に密着して、互いに対向して配置されている。
また、図3に示すように、各フィルム28は、底栓部20から上に離れるに従って斜め接近し、その上側がほぼ重なって配置されている。この重なった部分の間が、前記弁内連通路29となる。
【0026】
逆止弁17を作成するには、図4に示すように、まず、細長い形状の可撓性の各フィルム28を用意し、両サイド部分16を互いに熱密着させ、その各フィルム28の下側を、底栓部20に巻き付くように密着して配置させ、各フィルム28の下半分を底栓部20に熱溶着させることにより、内部に弁内連通路29を形成する。
弁内連通路29は、容器本体2外部と容器本体2内部とを連通する機能を果たす通路である。弁内連通路29は、図2に示すように、各フィルム28の上部に配置され、各フィルム28の非溶着部分により形成される弁出口31と、各フィルム28の下部に配置され、底栓部20の上端部の開口により形成される弁入口30とを備えている。
【0027】
液体が弁入口30から弁出口31の方向に流れるときは、弁出口31が開いて液体の流れは阻止されないが、液体が弁出口31から入ってくるときは、各フィルム28が撓んで密着し、弁出口31からの液体の侵入を阻止することができる。
また、本実施形態の別の形態として、各フィルム28が互いに接着される両サイド部分16aの形状を、図5、図6に示すように、変形しても良い。
【0028】
図5によれば、各フィルム28同士が接着される両サイド部分16aは、各フィルム28の上部になるに従って、その面積が増大している。このため、各フィルム28の弁内連通路29は狭くなってくる。この結果、弁内連通路29は、弁内連通路29の上方に配置される断面の狭い第1連通路32と、第1連通路32の下方に、第1連通路32と連続して形成される、断面の大きな第2連通路33とを備えることになる。
【0029】
さらに、本実施形態の別の形態として、図6に示すように、第1連通路32aを横方向に屈曲した形状に形成してもよい。この第1連通路32aによれば、第1連通路32の断面が狭いうえ、鍵型に曲がっている。
以上の逆止弁部4では、各フィルム28の弁内連通路29は、容器本体2に収容されている液体の圧力がかかっても、閉じられたままとなり、液漏れを防止することができる。より具体的にいえば、容器本体2が、押圧を受けて変形して、容器本体2の内圧が大気圧より高くなるときに、容器本体2に収容されている液体は、逆止弁部4から逆流して漏出することなく、正規の吐出口である吐出部3から吐出される。
【0030】
次いで、容器本体2が押圧から解除されると、可撓性の容器本体2の復元力により、容器本体2が復元して、容器本体2の内圧が大気圧よりも低く(負圧に)なる。このため、外部気体である空気は、フィルタ網35を通過して、底栓部20の内管、弁入口30、弁出口31を通り、容器本体2の中に入っていく。なおこのとき、吐出部3の近傍にある空気は、吐出部3の逆流防止機構により、容器本体2の中に入っていくのを阻止される。したがって、空気は、吐出部3から逆流することなく、もっぱらフィルタ網35から流入されることになり、液体がフィルタ網35を通らない空気で汚染されるのを防ぐことができる。
【0031】
また、図5に示す別の形態において、弁内連通路29が、第2連通路33及びこれより狭い第1連通路32を備えているため、復元機構付容器の使用時に、容器本体2が負圧になったときに、容器本体2に収容されている液体が逆止弁部4から逆流して漏出することを、さらに有効に防止することができる。
さらに、図6に示す、別の形態においては、第1連通路32が屈曲した形状に形成されているため、内部液体の動きにより逆止弁全体のねじれ(ゆがみ)が起こっても弁出口が開くことはなく、上記した逆流漏出をより一層有効に防止することができる。
【0032】
図7、図8は、本発明の復元機構付容器の第2の実施形態を示す側断面図を示す。
この実施形態と、第1の実施形態と異なるところは、底蓋部34の構造である。
図7では、下側本体8は、中央本体7よりも小さな直径の円筒状部分72を備えている。円筒状部分72の外面には、底蓋係止溝11に係合する円筒状の底栓ストッパ19を備えている。
【0033】
円筒状部分72には、基部底壁23を介して、逆止弁部4を支持するための円筒状の底栓基部18が一体につながっている。
底栓基部18は、基部上壁21、基部縦壁22及び基部底壁23を一体的に備えている。基部底壁23は、底栓ストッパ19の底壁と一体につながっている。
この図7の構造では、図1と違い、中央本体7と同じ直径の有底円筒からなる底蓋部34は、底栓ストッパ19に固定されておらず、底蓋部34が底栓ストッパ19に対して上下動可能にされている。
【0034】
すなわち、底蓋部34の内底面には、開口36が設けられる。底蓋部34の内底面には、底部にフィルタ網35が隙間なく取り付けられた円筒部材41が当接している。そして、円筒部材41の内側とフィルタ網35との間には空間S1が形成される。
また、円筒部材41と、前記底栓基部18の基部上壁21及び基部縦壁22との間にある空間をS2と表記する。
【0035】
円筒部材41の上部には、空気流入口42が形成されている。さらに、円筒部材41の外壁と底栓基部18の基部縦壁22との間には、ゴムなどの弾性体からなる詰め栓43が装着されている。
この詰め栓43と、円筒部材41の外壁とが、底蓋部34の上下動に伴って摺動する構造になっている。
【0036】
また、底蓋部34の内面上部には、底栓ストッパ19に係合する爪37が形成されている。復元機構付容器の使用開始前(開封前)では、図7に示すように、底蓋部34の爪37が底栓ストッパ19に係合しており、底蓋部34は、容器本体2と離れた下端位置に置かれている。この爪37の係合は、底蓋部34を上方向に、容器本体2の中央本体7の底部に当接するまで押し込んだときに、図8に示すように、はずれるようになっている。一度、底蓋部34を押し込めば、爪37は、底栓ストッパ19の上端面に食い込んで、底蓋部34は下方に戻りにくくなる。
【0037】
そして、前記詰め栓43は、底蓋部34が下端位置に置かれているときは、円筒部材41の空気流入口42を塞いでおり、空間S1と空間S2とは、詰め栓43によって空間的に分離されている。したがって、外部からの空気がフィルタ網35を通して空間S2に入ってくることが防止される。
復元機構付容器の使用開始時及び開始後は、底蓋部34を上方向に、容器本体2の中央本体7の底部に当接し押し込む。すると、図8に示したように、空気流入口42と詰め栓43との密着がはずれて、空気流入口42は、空間S2に臨むようになる。
【0038】
これにより、空間S1と空間S2とが、空気流入口42を介して連通し、外部からの空気が、フィルタ網35を通して空間S2に入ってくる。
したがって、前述したように、外部の空気が、逆止弁17まで到達可能になり、容器本体2が、負圧になったときに、フィルタ網35を通過した外部の空気は、逆止弁17を通り、容器本体2の中に入っていくことができる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
図9、図10は、本発明の復元機構付容器の第3の実施形態を示す側断面図である。
この実施形態と、今までの実施形態と違うところは、容器本体内部と外部とを仕切るための膜44が設けられており、逆止弁部4が、容器本体内部に外部気体が流入する方向において膜44より上流側(図9の下方向)に設けられ、かつ、復元機構付容器の使用を始める時に、前記膜44を貫通可能なニードル45が設けられていることである。
【0040】
図9に示すように、容器本体2の中央本体7は、上下方向に長く延びる円筒形状に形成され、容器本体2の下側に配置される下側本体8には、前記中央本体7よりも小さな直径の円筒状部分72aが備えられている。
円筒状部分72aの外面には、外側に向かって突出する円環状の凸部46が形成されている。
【0041】
さらに、円筒状部分72に嵌合する、有底円筒からなる底蓋部34aが設けられている。この底蓋部34aには、前記凸部46と係合するための、内側に凹む底蓋係止溝47が形成されている。
円筒状部分72aの内側には、円筒状部分72aの内面に密着した外面を有する円筒体48が設けられている。
【0042】
この円筒体48の上部には、開口を有する蓋部48aが形成されており、蓋部48aには後述するニードル4545が貫通可能な膜44が貼り付けられている。
円筒体48の内部空間をS3と表記する。
底蓋部34aは、円筒状部分72aの外側面に摺動可能な有底円筒からなる。底蓋部34aの内底面には、開口36が設けられ、そこに、フィルタ網35が取り付けられる。底蓋部34aの内底面には、逆止弁部4を支持するための底栓基部18aが、フィルタ網35を覆う状態で一体に取り付けられている。底栓基部18aの上面には、パイプ状の底栓部20が設けられている。
【0043】
底栓部20は、底栓基部18aの上面において上方に向かって延びて、断面矩形状の細長丸筒状に形成されている。底栓部20には、図2から図6を参照して説明したとおりの逆止弁17が取り付けられている。
ニードル45は、円筒体48の内側面に沿って上下動可能に配置されており、底栓基部18aの上面に形成された、図示しない支持棒によって支えられている。
【0044】
図11は、ニードル45の詳細な構造を示す断面図である。
ニードル45は、樹脂などで形成されており、その先端部は、膜44を突き破るのに十分な程度に鋭利な針状となっている。その基部には流通孔45aが設けられている。
この図9の構造では、逆止弁17は、底栓部20を通してフィルタ網35と連通している。したがって、円筒体48の内部空間S3は、逆止弁17を介して外部と常時連通していることになる。
【0045】
復元機構付容器の使用開始前(開封前)では、図9に示すように、底蓋部34aが下方位置にあり、ニードル45は膜44を突き破っていない状態である。
この状態では、膜44の存在のために、容器本体2の内部と円筒体48の内部空間S3とは分離されている。したがって、外部からの空気がフィルタ網35を通して容器本体2の内部に入ってくることはなく、容器本体2の内部の液体は、外部空気に汚染されることはない。
【0046】
次に、図10に示すように、底蓋部34aを上方向に、容器本体2の中央本体7の底部に当接するまで押し込んだとき、ニードル45が膜44を突き破り、容器本体2の内部と逆止弁17、フィルタ網35とは連通する。
これにより、容器本体2が負圧になったときに、外部の空気は、フィルタ網35を通過して、逆止弁17を通り、容器本体2の中に入っていくことができる。容器本体2が正圧のときは、逆止弁17の働きにより、容器内部の液体が容器本体2の外に漏出することはない。
【0047】
図12は、本発明の復元機構付容器の第4の実施形態を示す側断面図を示す。
この実施形態では、図1の逆止弁部17と容器本体2の内部との間に、袋51を設けている。この袋51の材質には、柔軟性のあるポリオレフィン(PE,PP等)製多層フィルム、ポリエステル(PET等)製多層フィルム、又はそれらの複合多層フィルムが使用される。
【0048】
図12の構造を説明すると、底蓋部34は、中央本体7と同じ直径の、有底円筒からなり、その内部には、円筒状部分72に係合する円筒状の底栓ストッパ19が形成されている。
以下の説明では、特に断りのない限り、底蓋部34にはフィルタ網は設けられていないことを前提とする。
【0049】
底栓ストッパ19には、基部底壁23を介して、逆止弁部4を支持するための円筒状の底栓基部18が一体につながっている。
底栓基部18は、基部上壁21、基部縦壁22及び基部底壁23を一体的に備えている。基部上壁21には、その上面に、袋51を装着するための円筒体52が設けられている。
【0050】
そしてこの円筒体52の壁の上壁53から、パイプ状の底栓部20が立設されている。底栓部20に逆止弁17が装着されている構造は、図1で説明したのと同様である。
この袋51は、容器本体2の内部と、前記底栓基部18の内部空間Sとを仕切っている。フィルタ網がないので、内部空間Sは、直接外部空気に常時触れているが、この袋51の存在のため、容器本体2の内部に存在する液体が外部空気に汚染されることはない。
【0051】
この復元機構付容器を使用し続けるに従って、初め容器本体2の内部に満たされていた液体は、徐々に減っていくが、この減少とともに袋51が膨らんでいく。この袋51の膨らみとともに、底蓋部34の開口36から、逆止弁17を通して空気が入ってくるので、容器本体2の内部は常に適正な圧力に保たれ、吐出部3から空気が逆流することはない。
なお、図12の本構造において、底蓋部34の開口部36にフィルタ網を設けてもよく、フィルタ網35がある場合は、容器本体2の内部液体は、外部空気から、袋51、及びフィルタ網を通して二重にガードされることとなる。
【0052】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の復元機構付容器の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】逆止弁部を示す正面図である。
【図3】逆止弁部の側断面図である。
【図4】逆止弁部に取り付ける前の2枚のフィルムを示す正面図である。
【図5】逆止弁の他の形態を示す、正面図である。
【図6】逆止弁のさらに他の形態を示す、正面図である。
【図7】本発明の復元機構付容器の第2実施形態を示す断面図である。
【図8】図7の復元機構付容器の使用後の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の復元機構付容器の第3実施形態を示す断面図である。
【図10】図9の復元機構付容器の使用後の状態を示す断面図である。
【図11】図9及び図10に示す復元機構付容器におけるニードル45の断面図である。
【図12】本発明の復元機構付容器の第4実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 復元機構付容器
2 容器本体
3 吐出部
4 逆止弁部
34 底蓋部
5 フィルタ部
S 空間
28 可撓性フィルム
30 弁入口
31 弁出口
42 空気流入口
43 詰め栓
44 膜
45 ニードル
51 袋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する可撓性の容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記容器本体が押圧を受けて変形して、前記容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、前記容器本体に収容されている液体を吐出させるための吐出部と、
前記容器本体外部と連通し、前記容器本体が押圧から解除されて復元して、前記容器本体の内圧が負圧になるときに、前記容器本体内部に外部気体を流入させ、前記容器本体の内圧が正圧になるときに、前記容器本体内部の液体の漏出を防止するための逆止弁部と、
前記容器本体における外部気体の流入方向において前記逆止弁部より上流側に設けられ、前記逆止弁部に流入する外部気体を浄化するためのフィルタ部とを備えている、復元機構付容器。
【請求項2】
前記フィルタ部が、前記逆止弁部と所定間隔を隔てて設けられている、請求項1に記載の復元機構付容器。
【請求項3】
前記フィルタ部と前記逆止弁部との間に形成され、復元機構付容器の初めての使用前に、前記フィルタ部から前記逆止弁部に気体を流入させるための気体通路を閉鎖させ、復元機構付容器の液体の使用開始時及びその後に、前記気体通路を開放させるための開閉機構を備え、
前記開閉機構が、前記気体通路に形成された気体流入口、及び、前記気体流入口を開閉するための栓を備えている、請求項1又は請求項2に記載の復元機構付容器。
【請求項4】
前記容器本体に設けられ、復元機構付容器の初めての使用前に、容器本体の内部と逆止弁部とを仕切る膜と、
前記容器本体における外部気体の流入方向において前記膜より上流側に設けられ、復元機構付容器の使用開始時及びその後に、前記膜に貫通をし、前記容器本体の内部と前記逆止弁部とを連通させるニードルとをさらに備えている、請求項1に記載の復元機構付容器。
【請求項5】
液体を収容する可撓性の容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記容器本体が押圧を受けて変形して、前記容器本体の内圧が大気圧より高くなるときに、前記容器本体に収容されている液体を吐出させるための吐出部と、
前記容器本体内部に設けられ、前記容器外部と連通し、外部から流入する外部気体と液体とを仕切るための伸縮又は変形自在な袋と、
前記袋と連通し、前記容器本体が押圧から解除されて復元して、前記容器本体の内圧が負圧になるときに、前記袋の内部に外部気体を流入させ、前記容器本体の内圧が正圧になるときに、前記袋の中の気体の漏出を防止するための逆止弁部とを備えている、復元機構付容器。
【請求項6】
前記逆止弁部は、互いに対向配置されて、互いに溶着されて貼り付けられ、外部気体を流入させる弁内連通路が形成された、2枚の可撓性フィルムと、
前記フィルムにおける外部気体の流入方向において最下流側に設けられ、前記容器本体内部に臨み、前記フィルムが互いに溶着される部分により開口されることにより形成され、前記弁内連通路から前記容器本体に外部気体を流入させるための弁出口と、
前記フィルムにおける外部気体の流入方向において前記弁出口より上流側に設けられ、前記フィルムが互いに溶着される部分により開口されることにより形成され、前記容器本体外部から前記弁内連通路に外部気体を流入させるための弁入口とを備えている、請求項1〜請求項5のいずれかのいずれかに記載の復元機構付容器。
【請求項7】
前記弁出口における外部気体の流入方向が、前記弁入口における外部気体の流入方向に対して所定の角度を有している、請求項6に記載の復元機構付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−15739(P2007−15739A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200499(P2005−200499)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】