復調回路
【課題】ダイオードに由来する不具合がなく、音声周波数信号の復調に好適な復調回路を提供する。
【解決手段】入力トランス2の二次側コイル2outの片側端t1がアナログスイッチ3のCOMに接続され、二次側コイル2outの反対側端t2がアナログスイッチ4のCOMに接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波RECがアナログスイッチ3,4のCNTに入力され、アナログスイッチ3のNCとアナログスイッチ4のNOに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続され、アナログスイッチ3のNOとアナログスイッチ4のNCに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続され、片側端t3に現れる音声周波数信号と反対側端t4に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する。
【解決手段】入力トランス2の二次側コイル2outの片側端t1がアナログスイッチ3のCOMに接続され、二次側コイル2outの反対側端t2がアナログスイッチ4のCOMに接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波RECがアナログスイッチ3,4のCNTに入力され、アナログスイッチ3のNCとアナログスイッチ4のNOに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続され、アナログスイッチ3のNOとアナログスイッチ4のNCに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続され、片側端t3に現れる音声周波数信号と反対側端t4に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイオードに由来する不具合がなく、音声周波数信号の復調に好適な復調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
AM放送では、チャンネルの送信周波数が9kHzごとに規定されているが、隣接チャンネルの送信周波数の帯域との間に若干の隙間(信号がない周波数帯域のこと)ができるように、送信局にて音声周波数(Audio Frequency;AF)信号の帯域を4kHz以下に制限している。これにより、送信波の中心周波数の両側の側波帯を合わせた8kHzの帯域が占有され、隣接チャンネルとの間に隙間が確保される。一方、アマチュア無線で利用されている抑圧搬送波単側波帯(Single Side Band;SSB)通信方式による無線電話では、送信局にて音声周波数信号帯域をAM放送より狭い3kHz以下に制限しているものの、隣接チャンネルとの間に隙間がない連続した送信周波数設定が可能である。AM放送の受信器でさえも、混信を防ぐために帯域を狭く限定して検波しているが、SSB通信の受信器で混信を防ぐには、いっそう狭く帯域を限定して検波できること(選択度の向上)が必要となる。
【0003】
選択度を高める狭帯域濾波素子として、複数の水晶振動子と容量素子で構成されるクリスタルフィルタ(Crystal Filter;CF)が知られている。しかし、クリスタルフィルタは、周波数が固定であるため、異なる複数の送信周波数の中から所望する送信周波数を選択的に受信するのには不便である。
【0004】
この課題を解決するのがスーパーヘテロダイン方式である。ヘテロダイン(Heterodyne)とは、ある周波数の信号に周波数が異なる別の信号を重ねる(混合する)ことによって、うなりに相当する信号、すなわち差あるいは和の周波数を持つ信号を得ることを言う。スーパーヘテロダイン方式とは、ヘテロダインの原理を利用し、アンテナから得た高周波(Radio Frequency;RF)信号と受信器で作る局部発振(Local Oscillator;LO)信号を混合することによって、中心周波数が固定の中間周波(Internal Frequency;IF)信号を得て、中間周波信号から音声周波数信号を検波する受信方式のことである。
【0005】
スーパーヘテロダイン方式は、図4に示す周波数変換回路41により実現される。周波数変換回路41は、混合回路、周波数混合回路とも呼ばれる。周波数変換回路41は、高周波信号RFと局部発振信号LOが入力されると、中間周波信号IFが出力されるようになっている。周波数変換回路41は、中間周波信号IFと局部発振信号LOが入力されると高周波信号RFが出力されるので、送信用にも使用される。
【0006】
図5に示されるように、スーパーヘテロダイン方式の受信器51では、周波数変換回路52のRF端にはアンテナ53からの信号を取り出すフロントエンド回路54が接続され、IF端にはクリスタルフィルタ55の入力端が接続され、クリスタルフィルタ55の出力端に中間周波増幅器(IFAMP)56が接続される。中間周波信号IFの周波数は、例えば、455kHzである。中間周波増幅器56の後段に配置された検波回路(Detector;DET)57にて中間周波信号IFから音声周波数信号が検波され、音声周波数信号増幅器58によりスピーカ59が駆動される。
【0007】
スーパーヘテロダイン方式が採用されたことにより、任意の周波数の高周波信号RFを固定の中間周波信号IFに変換して、選択度が高い周波数固定の狭帯域濾波素子に適用することが可能となる。選択度が向上した結果、後段の増幅器に狭帯域で高性能の増幅器が使用できるようになり、高感度での信号再生が実現される。
【0008】
さらに高い性能を要求される機器では、多段にスーパーヘテロダイン方式が採用される。図6に示されるように、アマチュア無線帯域1.8〜28MHzの電波を受信する受信器601では、アンテナ602から信号を取り出すフロントエンド回路603の後段に、周波数変換回路604〜606を用いた第一中間周波回路607、第二中間周波回路608、第三中間周波回路609が順に設けられる。例えば、第一中間周波回路607の中間周波信号1stIFは69.450MHzであり、第二中間周波回路608の中間周波信号2ndIFは450kHzであり、第三中間周波回路609の中間周波信号3rdIFは30kHzである。中間周波信号3rdIFを30kHzと低くすることで、この段でのデジタル信号処理が可能となり、中心周波数、帯域幅が自由に設定可能となる。
【0009】
第一中間周波回路607の周波数変換回路604の後段には、通過帯域幅が3k、6k,15kHzと狭帯域の3種類のクリスタルフィルタからなるルーフィングフィルタ610と、第一中間周波増幅器611とが設置される。ルーフィングフィルタ610は、近接する不要信号により図示しない利得調整器(AGC)が動作して目的信号が抑制されることの防止に有効である。第二中間周波回路608の周波数変換回路605の後段には、通過帯域幅が2.4kHz、500Hz、300Hzとルーフィングフィルタ610よりさらに狭帯域のクリスタルフィルタ612と第二中間周波増幅器613とが設置される。第三中間周波回路609の周波数変換回路606の後段には、AD変換器、デジタルフィルタ、デジタル検波器、DA変換器を含むハイブリッド処理回路614が設置される。
【0010】
図6の受信器601では、第一中間周波回路607の中間周波信号1stIFは受信する高周波信号RFの周波数より高く、これにより高いイメージ妨害比を得ることができる。第二中間周波回路608の中間周波信号2ndIFは中間周波信号1stIFや受信電波より2桁ほど低く、安価で高性能なフィルタが利用できる。
【0011】
従来、周波数変換回路には、図7に示す二重平衡変調器(Double Balanced Mixer;DBM)71が使用される。二重平衡変調器71には、入力トランス72と出力トランス73の間に4個のダイオードD1,D2,D3,D4が配置される。ダイオードD1,D2,D3,D4が順方向に接続点P1,P2,P3,P4の順でリング状に接続される。入力トランス72の一次側コイルの両端がRF端子とRF側グランドに接続される。入力トランス72の二次側コイルの両端がダイオードリングの対角に接続され、入力トランス72の二次側コイルの中間点がLO端子に接続される。出力トランス73の一次側コイルの両端がダイオードリングの残りの対角に接続され、出力トランス73の中間点がLO側グランドに接続される。出力トランス73の二次側コイルの両端がIF端子とIF側グランドに接続される。
【0012】
図8に示す二重平衡変調器81は、2個のダイオードD1,D2が平行に、2個のダイオードD3,D4が交差して配置されているが、これは図示上の相違であり、電気的には図7に示した二重平衡変調器71と等価である。両図のダイオード番号(D1,D2,D3,D4)と接続点番号(P1,P2,P3,P4)は対応している。図8の図示形態を利用して基本動作を説明する。
【0013】
局部発振信号LOは、直列接続された2個のダイオードを順バイアスできる電圧より十分に大きい振幅を有する正弦波が使用される。
【0014】
図9に示されるように、局部発振信号LOが無いとき、全てのダイオードD1,D2,D3,D4が導通していないため、RF側とIF側が完全に切り離された状態となる。このとき、RF端子の高周波信号RFは伝達されず、IF端子には信号は現れない。
【0015】
図10に示されるように、局部発振信号LOが正の半周期にあるとき、ダイオードD1,D2が順バイアスされて導通する。ダイオードD3,D4は逆バイアスのため非導通となる。このとき、RF端子の高周波信号RFは、入力トランスの二次側に伝達され、接続点P1,P2,P4,P3を順に経由し、出力トランスの二次側に伝達され、中間周波信号IFとなってIF端子に現れる。
【0016】
図11に示されるように、局部発振信号LOが負の半周期にあるとき、ダイオードD1,D2は逆バイアスのため非導通となり、ダイオードD3,D4が順バイアスされて導通する。このとき、RF端子の高周波信号RFは、入力トランスの二次側に伝達され、接続点P1,P4,P2,P3を順に経由し、出力トランスの二次側に伝達され、IF端子に現れる。出力トランスでの伝達方向が正の半周期とは逆となるため、中間周波信号IFは、もとの高周波信号RFとは位相が180度異なる。つまり、位相が反転する。
【0017】
局部発振信号LOが正の半周期に戻ると、中間周波信号IFの位相が再び反転する。このようにして、図12に示されるように、局部発振信号LOが半周期進むごとに、中間周波信号IFの位相が反転を繰り返すことになる。中間周波信号IFは、位相の不連続部分があるので、高周波信号RFとは異なる信号となる。具体的には、高周波信号RFの周波数をf1、局部発振信号LOの周波数をf2としたとき、周波数f1+f2と周波数f1−f2の奇数倍の周波数を有する中間周波信号IFが得られる。後段のフィルタにて1つの周波数の中間周波信号IFを取り出して利用する。
【0018】
二重平衡変調器を用いた周波数変換回路によれば、選局したい高周波信号RFの周波数f1に対して局部発振信号LOの周波数f2を適宜に切り換えることでチャンネルによらず同じ周波数の中間周波信号IFが取り出せることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2010−226191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、図6の受信器601では、第三中間周波回路609の周波数変換回路606から中間周波信号3rdIFが出力される。この中間周波信号3rdIFは、音声周波数信号を復調する直前の抑圧搬送波振幅変調信号(以下、単に振幅変調信号という)である。後段のハイブリッド処理回路614において、中間周波信号3rdIFを高速サンプリングでAD変換し、得られたデータ列を高速デジタル演算による復調処理に適用すると音声周波数信号データ列が得られ、DA変換により音声周波数信号となる。
【0021】
しかし、振幅変調信号の復調処理を高速デジタル演算で行うハイブリッド処理回路614は、非常に高価であるため、受信器601のコスト上昇の要因となる。
【0022】
これに対し、アナログ回路で構成される周波数変換回路は、高価格の部材を使用しないので、ハイブリッド処理回路614に置き換えて振幅変調信号の復調に用いると、受信器601のコストが下げられる。
【0023】
ところが、従来の周波数変換回路を振幅変調信号の復調に用いようとすると、音声周波数信号が出力トランスを通過しにくいという問題及びダイオードに由来する不具合があるという問題が生じる。
【0024】
図7の周波数変換回路は、局部発振信号LOと高周波信号RFを入力とし、中間周波信号IFを出力としていた。これに倣い、RF端子に復調する振幅変調信号を入力し、LO端子に搬送波信号を入力することで、IF端子に音声周波数信号が出力されることを試みたとする。しかし、音声周波数信号は、これまで述べた他の信号と比較して低周波であり、出力トランス73を通過しにくい。したがって、IF端子に音声周波数信号を割り振るのは適切でない。
【0025】
そこで、図7の二重平衡変調器71をそのまま利用し、端子に割り振る信号だけを入れ替えて図13のように復調回路131を構成する。すなわち、入力トランス72の一次側コイルに復調する振幅変調信号IFを入力し、出力トランス73の二次側コイルに搬送波信号CARを入力することで、LO端子に音声周波数信号AFが出力される。なお、図7の二重平衡変調器71は、3つある端子(RF端子、IF端子、LO端子)に3つの信号(高周波信号RF、中間周波信号IF、局部発振信号LOあるいは振幅変調信号IF、搬送波信号CAR、音声周波数信号AF)のいずれを割り振ってもよく、2つの信号を任意の2つの端子に入力すれば残りの端子から残りの1つの信号が出力される。
【0026】
しかしながら、図13の復調回路131は、音声周波数信号が出力トランス73を通さずに得られる点では好ましいものの、図7、図8の二重平衡変調器71、81と同じ回路構成であり、4個のダイオードD1,D2,D3,D4で伝達経路が切り替わる。この回路構成では、ダイオードに由来する不具合は解決されない。ダイオードに由来する不具合を以下に3点述べる。
【0027】
第1点として、一般に、ダイオードは、順方向に電圧が印加されても電圧が閾値(順方向電圧降下)に達するまでは導通しないという特性がある。したがって、正弦波である局部発振信号LOが正の半周期では、図10のように、ダイオードD1,D2が順バイアスされて導通している期間ばかりでなく、印加電圧が閾値より低いため図9のように非導通となる期間が含まれる。負の半周期でも、同様に、図11のように、ダイオードD3,D4が順バイアスされて導通している期間ばかりでなく、非導通となる期間が含まれる。つまり、局部発振信号LOの振幅の絶対値が閾値より小さい期間は、全ダイオードD1,D2,D3,D4が非導通となる。導通の期間と非導通の期間が交互することにより、局部発振信号LOを供給している局部発振器(図示せず)の負荷が不連続に変化するので、取り出される中間周波数信号IFに歪みが生じる原因となる。
【0028】
第2点として、局部発振器を高出力とし局部発振信号LOの振幅を大きくすることで、前述の全ダイオード非導通期間を短縮することができるように思われる。これは、局部発振信号LOの振幅が小さいと、1周期中において振幅の絶対値が閾値より小さい期間が長くなるが、局部発振信号LOの振幅が大きいと、1周期中において振幅の絶対値が閾値より小さい期間が短くなるからである。しかし、局部発振信号LOの振幅を、例えば、10dbm(10mW)以上に大きくしようとすると、局部発振器には高出力増幅器を備える必要が生じ、コスト増大を招くと共に、振幅が大きい局部発振信号LOが配線基板中や信号線間、部品間空間を介して他の回路に漏洩しやすくなり、スプリアス(不要周波数信号)が発生する原因となる。
【0029】
第3点として、ダイオードは、回路図上ではダイオード単体で示され、導通と非導通の2状態のみを有する素子として扱われるが、実際には非線形なインピーダンス成分(抵抗成分など)を含んでおり、電圧電流特性が非直線となる。こうしたダイオードの電圧電流特性の非直線性のため、二重平衡変調器71,81のインピーダンスは不安定であり、インピーダンスの不安定さは中間周波信号IFに歪みが生じる原因となる。
【0030】
以上の3点の不具合は、端子と信号の割り振りを変えた図13の復調回路131においても共通である。
【0031】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ダイオードに由来する不具合がなく、音声周波数信号の復調に好適な復調回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するために本発明の復調回路は、搬送波信号が音声周波数信号で振幅変調された振幅変調信号が一次側コイルに入力され、二次側コイルの両端から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランスと、前記二次側コイルの片側端が入力端子に接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波が切換制御端子に入力された片側用1入力2出力アナログスイッチと、前記二次側コイルの反対側端が入力端子に接続され、前記矩形波が切換制御端子に入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチと、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子に片側端が接続され、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子に反対側端が接続された負荷用抵抗器と、前記負荷用抵抗器の片側端に現れる音声周波数信号と前記負荷用抵抗器の反対側端に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器とを備えたものである。
【0033】
前記二次側コイルの中間点と前記負荷用抵抗器の中間点に所定電圧の直流信号を入力するオフセット回路と、前記負荷用抵抗器の片側端に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサと、前記負荷用抵抗器の反対側端に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサとを備えてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0035】
(1)ダイオードに由来する不具合がない。
【0036】
(2)音声周波数信号の復調に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示す復調回路の回路図である。
【図2】図1の復調回路が正の半周期にあるときの等価回路図である。
【図3】図1の復調回路が負の半周期にあるときの等価回路図である。
【図4】周波数変換回路の入出力を示す回路図である。
【図5】周波数変換回路が使用されたスーパーヘテロダイン方式の受信器の回路図である。
【図6】多段スーパーヘテロダイン方式によるアマチュア無線受信器の回路図である。
【図7】二重平衡変調器で構成される従来の周波数変換回路の回路図である。
【図8】二重平衡変調器で構成される従来の周波数変換回路の回路図である。
【図9】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが無信号時の等価回路図である。
【図10】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが正の半周期時の等価回路図である。
【図11】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが負の半周期時の等価回路図である。
【図12】図8の周波数変換回路の信号波形図である。
【図13】図7の二重平衡変調器を利用した復調回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0039】
図1に示されるように、本発明に係る復調回路1は、搬送波信号が音声周波数信号AFで振幅変調された振幅変調信号IFが一次側コイル2inに入力され、二次側コイル2outの両端t1、t2から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランス2と、二次側コイル2outの片側端t1が入力端子COMに接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波RECが切換制御端子CNTに入力された片側用1入力2出力アナログスイッチ3と、二次側コイル2outの反対側端t2が入力端子COMに接続され、矩形波RECが切換制御端子CNTに入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチ4と、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第一出力端子NCと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第二出力端子NOに片側端t3が接続され、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第二出力端子NOと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第一出力端子NCに反対側端t4が接続された負荷用抵抗器5と、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる音声周波数信号と負荷用抵抗器5の反対側端t4に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器6とを備える。
【0040】
入力トランス2は、交流信号が伝達可能な一次側コイル2inと二次側コイル2outとを有し、二次側コイル2outの片側端t1と反対側端t2と中間点t5に端子を有する。二次側コイル2outは、一次側コイルと巻数が同じ2つのコイルを直列接続して構成する。
【0041】
片側用1入力2出力アナログスイッチ3及び反対側用1入力2出力アナログスイッチ4となる1入力2出力アナログスイッチ(マルチプレクサとも言う)は、切換制御端子CNTと入力端子COMと第一出力端子NCと第二出力端子NOとを有し、切換制御端子CNTの入力信号がHレベルのときは入力端子COMと第一出力端子NCとが導通して第二出力端子NOはどことも非導通となり、切換制御端子CNTの入力信号がLレベルのときは入力端子COMと第二出力端子NOとが導通して第一出力端子NCどことも非導通となる半導体素子である。2つの1入力2出力アナログスイッチは、同一チップに形成されるのが望ましい。1入力2出力アナログスイッチは、数10MHz以上、あるいは100MHz以上の高速切り換え動作が可能で入出力間の導通時抵抗値(ON抵抗)が1Ω以下であることが望ましい。
【0042】
復調回路1は、2つの1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTに搬送波信号と同じ周波数を有しデューティ比50%の矩形波RECが入力されている。片側用1入力2出力アナログスイッチ3では、入力端子COMに入力トランス2の二次側コイル2outの片側端t1が接続され、第一出力端子NCに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続され、第二出力端子NOに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続されている。反対側用1入力2出力アナログスイッチ4では、入力端子COMに入力トランス2の二次側コイル2outの反対側端t2が接続され、第一出力端子NCに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続され、第二出力端子NOに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続されている。
【0043】
負荷用抵抗器5は、抵抗値が同じ2つの抵抗器を直列接続して構成する。
【0044】
差動増幅器6では、負荷用抵抗器5の片側端t3からの音声周波数信号が入力抵抗器を介して差動増幅器6の負入力端子に、負荷用抵抗器5の反対側端t4からの音声周波数信号が入力抵抗器を介して差動増幅器6の正入力端子に入力される。したがって、それぞれの入力抵抗器に入力される信号の差分に比例する増幅信号が出力抵抗器から出力される。
【0045】
復調回路1は、入力トランス2の二次側コイル2outの中間点t5と負荷用抵抗器5の中間点t6に所定電圧の直流信号(以下、オフセット信号という)を入力するオフセット回路7と、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサ8と、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサ9とを備える。
【0046】
オフセット回路7は、直流定電圧源10の陽極陰極間に可変抵抗器11が接続され、可変抵抗器11によってオフセット信号の電圧が調節されるように構成されている。オフセット信号は、1入力2出力アナログスイッチの通過電圧範囲(例えば、0Vから電源電圧の範囲)の中央付近にバイアスをかけることで、振幅変調信号IFが正負全域にわたり1入力2出力アナログスイッチを通過できるようにする信号である。二次側コイル2outの中間点t5と負荷用抵抗器5の中間点t6には、中間点t5,t6を高周波的及び低周波的に接地して動作を安定させるためのコンデンサが接続される。
【0047】
中間周波信号IFは、例えば、図6の周波数変換回路606から出力される中間周波信号3rdIFである。
【0048】
矩形波RECは、図示しない矩形波発振器から得られる。矩形波発振器は、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)とローパスフィルタと二値化用のコンパレータと原発振用の水晶振動子とからなる。DDSは、ROM等の記憶素子に1周期分の正弦波について周期を所定個に刻んだサンプル間隔で振幅値を格納しておき、読み出しクロックに応じて振幅値を順に読み出すことで階段状の正弦波を発生させるものである。サンプル間隔及び振幅値分解能を高くすれば階段状の正弦波が理想的な正弦波に近づき、さらにローパスフィルタを適用することで、理想的な正弦波が得られる。コンパレータでは、ローパスフィルタからの正弦波を直流電圧と比較して二値化することで、読み出しクロックに依存しないタイミングで二値化が達成される。この結果、デューティ比50%の理想的な矩形波RECが得られる。コンパレータを内蔵したDDSの例として、アナログデバイス社製AD9834がある。
【0049】
以下、復調回路1の動作を説明する。
【0050】
中間周波信号IFは、搬送波信号が音声周波数信号AFで振幅変調された抑圧搬送波振幅変調信号であり、搬送波信号の周波数をfCARとし、音声周波数信号AFの周波数をfAFとすると、中間周波信号IFの周波数は、fCAR±fAFとなる。
【0051】
中間周波信号IFが入力トランス2の一次側コイル2inに入力されると、中間周波信号IFは入力トランス2の二次側コイル2outに伝達される。入力トランス2は、位相分配器の働きをするものであり、二次側コイル2outの片側端t1に現れる信号の位相をθとすると、反対側端t2に現れる信号の位相はθ+180°となる。
【0052】
一方、矩形波RECは、搬送波信号の周波数でHレベルとLレベルを交番する。
【0053】
矩形波RECがHレベルの半周期では、1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTがいずれもHレベルとなり、1入力2出力アナログスイッチ3,4は、いずれも入力端子COMと第一出力端子NCとが導通して第二出力端子NOはどことも非導通となる。これにより、二次側コイル2outの片側端t1の信号は、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第一出力端子NCから出て、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる。二次側コイル2outの反対側端t2の信号は、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第一出力端子NCから出て、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる。この結果、図2に示されるように、位相θの信号が負荷用抵抗器5の片側端t3に、位相θ+180°の信号が反対側端t4に現れることになる。
【0054】
矩形波RECがLレベルの半周期では、1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTがいずれもLレベルとなり、1入力2出力アナログスイッチ3,4は、いずれも入力端子COMと第二出力端子NOとが導通して第一出力端子NCはどことも非導通となる。これにより、二次側コイル2outの片側端t1の信号は、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第二出力端子NOから出て、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる。二次側コイル2outの反対側端t2の信号は、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第二出力端子NOから出て、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる。この結果、図3に示されるように、位相θの信号が負荷用抵抗器5の反対側端t4に、位相θ+180°の信号が片側端t3に現れることになる。
【0055】
このようにして、1入力2出力アナログスイッチ3,4を通った信号が矩形波RECの半周期ごとに位相が反転する状態で負荷用抵抗器5の両端に現れる。中間周波信号IFの周波数がfCAR±fAFであり、矩形波RECの周波数がfCARであるため、現れる信号の周波数は、fAFとなる。すなわち、負荷用抵抗器5の両端に、それぞれ音声周波数信号AFが得られることになる。
【0056】
2つの音声周波数信号AFは互いに逆位相であるから、差動増幅器6にて差分を演算することにより、2つの音声周波数信号AFが位相を合わせて合成されることになる。
【0057】
以上説明したように、本発明の復調回路1によれば、従来のようなダイオードの非導通による中間的状態がないので、信号歪みの発生を回避することができる。
【0058】
本発明の復調回路1によれば、ダイオード非道通期間を短縮するための高出力で低歪みの局部発振器は必要なくなり、高出力に起因する信号漏洩がない。
【0059】
本発明の復調回路1によれば、ダイオードの電圧電流特性の非直線性に起因する信号歪みの発生を回避することができる。
【0060】
本発明の復調回路1によれば、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の入力端子COMに入力される振幅変調信号IFが第一出力端子NCか第二出力端子NOのいずれかに必ず伝達され、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の入力端子COMに入力される振幅変調信号IFが第二出力端子NOか第一出力端子NCのいずれかに必ず伝達されるので、振幅変調信号IFが遮断される期間がない。
【0061】
本発明の復調回路1によれば、負荷用抵抗器5の両端に現れる互いに位相が反転した音声周波数信号AFの差を差動増幅器6で増幅するため、2倍の振幅が得られる。
【0062】
本発明の復調回路1によれば、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の切換制御端子CNTと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の切換制御端子CNTに同じ矩形波RECが入力されるので、2つの1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換動作が全く同時になる。
【0063】
本発明の復調回路1によれば、出力トランスを使用せず、負荷用抵抗器5に音声周波数信号AFが検波されるようにしたので、トランス内の巻線間容量に起因する非直線性がない。
【0064】
本発明の復調回路1は、図6に示したアマチュア無線の受信器601に適用すると好ましい。高価なハイブリッド処理回路614に代えて本発明の復調回路1を用いることで、受信器601のコストを低減させることができる。この他にも、復調回路1は、テレビ受像器、携帯電話機など放送受信や無線通信を行う全ての送受信器に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 復調回路
2 入力トランス
3 片側用1入力2出力アナログスイッチ
4 反対側用1入力2出力アナログスイッチ
5 負荷用抵抗器
6 差動増幅器
7 オフセット回路
8 片側用直列コンデンサ
9 反対側用直列コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイオードに由来する不具合がなく、音声周波数信号の復調に好適な復調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
AM放送では、チャンネルの送信周波数が9kHzごとに規定されているが、隣接チャンネルの送信周波数の帯域との間に若干の隙間(信号がない周波数帯域のこと)ができるように、送信局にて音声周波数(Audio Frequency;AF)信号の帯域を4kHz以下に制限している。これにより、送信波の中心周波数の両側の側波帯を合わせた8kHzの帯域が占有され、隣接チャンネルとの間に隙間が確保される。一方、アマチュア無線で利用されている抑圧搬送波単側波帯(Single Side Band;SSB)通信方式による無線電話では、送信局にて音声周波数信号帯域をAM放送より狭い3kHz以下に制限しているものの、隣接チャンネルとの間に隙間がない連続した送信周波数設定が可能である。AM放送の受信器でさえも、混信を防ぐために帯域を狭く限定して検波しているが、SSB通信の受信器で混信を防ぐには、いっそう狭く帯域を限定して検波できること(選択度の向上)が必要となる。
【0003】
選択度を高める狭帯域濾波素子として、複数の水晶振動子と容量素子で構成されるクリスタルフィルタ(Crystal Filter;CF)が知られている。しかし、クリスタルフィルタは、周波数が固定であるため、異なる複数の送信周波数の中から所望する送信周波数を選択的に受信するのには不便である。
【0004】
この課題を解決するのがスーパーヘテロダイン方式である。ヘテロダイン(Heterodyne)とは、ある周波数の信号に周波数が異なる別の信号を重ねる(混合する)ことによって、うなりに相当する信号、すなわち差あるいは和の周波数を持つ信号を得ることを言う。スーパーヘテロダイン方式とは、ヘテロダインの原理を利用し、アンテナから得た高周波(Radio Frequency;RF)信号と受信器で作る局部発振(Local Oscillator;LO)信号を混合することによって、中心周波数が固定の中間周波(Internal Frequency;IF)信号を得て、中間周波信号から音声周波数信号を検波する受信方式のことである。
【0005】
スーパーヘテロダイン方式は、図4に示す周波数変換回路41により実現される。周波数変換回路41は、混合回路、周波数混合回路とも呼ばれる。周波数変換回路41は、高周波信号RFと局部発振信号LOが入力されると、中間周波信号IFが出力されるようになっている。周波数変換回路41は、中間周波信号IFと局部発振信号LOが入力されると高周波信号RFが出力されるので、送信用にも使用される。
【0006】
図5に示されるように、スーパーヘテロダイン方式の受信器51では、周波数変換回路52のRF端にはアンテナ53からの信号を取り出すフロントエンド回路54が接続され、IF端にはクリスタルフィルタ55の入力端が接続され、クリスタルフィルタ55の出力端に中間周波増幅器(IFAMP)56が接続される。中間周波信号IFの周波数は、例えば、455kHzである。中間周波増幅器56の後段に配置された検波回路(Detector;DET)57にて中間周波信号IFから音声周波数信号が検波され、音声周波数信号増幅器58によりスピーカ59が駆動される。
【0007】
スーパーヘテロダイン方式が採用されたことにより、任意の周波数の高周波信号RFを固定の中間周波信号IFに変換して、選択度が高い周波数固定の狭帯域濾波素子に適用することが可能となる。選択度が向上した結果、後段の増幅器に狭帯域で高性能の増幅器が使用できるようになり、高感度での信号再生が実現される。
【0008】
さらに高い性能を要求される機器では、多段にスーパーヘテロダイン方式が採用される。図6に示されるように、アマチュア無線帯域1.8〜28MHzの電波を受信する受信器601では、アンテナ602から信号を取り出すフロントエンド回路603の後段に、周波数変換回路604〜606を用いた第一中間周波回路607、第二中間周波回路608、第三中間周波回路609が順に設けられる。例えば、第一中間周波回路607の中間周波信号1stIFは69.450MHzであり、第二中間周波回路608の中間周波信号2ndIFは450kHzであり、第三中間周波回路609の中間周波信号3rdIFは30kHzである。中間周波信号3rdIFを30kHzと低くすることで、この段でのデジタル信号処理が可能となり、中心周波数、帯域幅が自由に設定可能となる。
【0009】
第一中間周波回路607の周波数変換回路604の後段には、通過帯域幅が3k、6k,15kHzと狭帯域の3種類のクリスタルフィルタからなるルーフィングフィルタ610と、第一中間周波増幅器611とが設置される。ルーフィングフィルタ610は、近接する不要信号により図示しない利得調整器(AGC)が動作して目的信号が抑制されることの防止に有効である。第二中間周波回路608の周波数変換回路605の後段には、通過帯域幅が2.4kHz、500Hz、300Hzとルーフィングフィルタ610よりさらに狭帯域のクリスタルフィルタ612と第二中間周波増幅器613とが設置される。第三中間周波回路609の周波数変換回路606の後段には、AD変換器、デジタルフィルタ、デジタル検波器、DA変換器を含むハイブリッド処理回路614が設置される。
【0010】
図6の受信器601では、第一中間周波回路607の中間周波信号1stIFは受信する高周波信号RFの周波数より高く、これにより高いイメージ妨害比を得ることができる。第二中間周波回路608の中間周波信号2ndIFは中間周波信号1stIFや受信電波より2桁ほど低く、安価で高性能なフィルタが利用できる。
【0011】
従来、周波数変換回路には、図7に示す二重平衡変調器(Double Balanced Mixer;DBM)71が使用される。二重平衡変調器71には、入力トランス72と出力トランス73の間に4個のダイオードD1,D2,D3,D4が配置される。ダイオードD1,D2,D3,D4が順方向に接続点P1,P2,P3,P4の順でリング状に接続される。入力トランス72の一次側コイルの両端がRF端子とRF側グランドに接続される。入力トランス72の二次側コイルの両端がダイオードリングの対角に接続され、入力トランス72の二次側コイルの中間点がLO端子に接続される。出力トランス73の一次側コイルの両端がダイオードリングの残りの対角に接続され、出力トランス73の中間点がLO側グランドに接続される。出力トランス73の二次側コイルの両端がIF端子とIF側グランドに接続される。
【0012】
図8に示す二重平衡変調器81は、2個のダイオードD1,D2が平行に、2個のダイオードD3,D4が交差して配置されているが、これは図示上の相違であり、電気的には図7に示した二重平衡変調器71と等価である。両図のダイオード番号(D1,D2,D3,D4)と接続点番号(P1,P2,P3,P4)は対応している。図8の図示形態を利用して基本動作を説明する。
【0013】
局部発振信号LOは、直列接続された2個のダイオードを順バイアスできる電圧より十分に大きい振幅を有する正弦波が使用される。
【0014】
図9に示されるように、局部発振信号LOが無いとき、全てのダイオードD1,D2,D3,D4が導通していないため、RF側とIF側が完全に切り離された状態となる。このとき、RF端子の高周波信号RFは伝達されず、IF端子には信号は現れない。
【0015】
図10に示されるように、局部発振信号LOが正の半周期にあるとき、ダイオードD1,D2が順バイアスされて導通する。ダイオードD3,D4は逆バイアスのため非導通となる。このとき、RF端子の高周波信号RFは、入力トランスの二次側に伝達され、接続点P1,P2,P4,P3を順に経由し、出力トランスの二次側に伝達され、中間周波信号IFとなってIF端子に現れる。
【0016】
図11に示されるように、局部発振信号LOが負の半周期にあるとき、ダイオードD1,D2は逆バイアスのため非導通となり、ダイオードD3,D4が順バイアスされて導通する。このとき、RF端子の高周波信号RFは、入力トランスの二次側に伝達され、接続点P1,P4,P2,P3を順に経由し、出力トランスの二次側に伝達され、IF端子に現れる。出力トランスでの伝達方向が正の半周期とは逆となるため、中間周波信号IFは、もとの高周波信号RFとは位相が180度異なる。つまり、位相が反転する。
【0017】
局部発振信号LOが正の半周期に戻ると、中間周波信号IFの位相が再び反転する。このようにして、図12に示されるように、局部発振信号LOが半周期進むごとに、中間周波信号IFの位相が反転を繰り返すことになる。中間周波信号IFは、位相の不連続部分があるので、高周波信号RFとは異なる信号となる。具体的には、高周波信号RFの周波数をf1、局部発振信号LOの周波数をf2としたとき、周波数f1+f2と周波数f1−f2の奇数倍の周波数を有する中間周波信号IFが得られる。後段のフィルタにて1つの周波数の中間周波信号IFを取り出して利用する。
【0018】
二重平衡変調器を用いた周波数変換回路によれば、選局したい高周波信号RFの周波数f1に対して局部発振信号LOの周波数f2を適宜に切り換えることでチャンネルによらず同じ周波数の中間周波信号IFが取り出せることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2010−226191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、図6の受信器601では、第三中間周波回路609の周波数変換回路606から中間周波信号3rdIFが出力される。この中間周波信号3rdIFは、音声周波数信号を復調する直前の抑圧搬送波振幅変調信号(以下、単に振幅変調信号という)である。後段のハイブリッド処理回路614において、中間周波信号3rdIFを高速サンプリングでAD変換し、得られたデータ列を高速デジタル演算による復調処理に適用すると音声周波数信号データ列が得られ、DA変換により音声周波数信号となる。
【0021】
しかし、振幅変調信号の復調処理を高速デジタル演算で行うハイブリッド処理回路614は、非常に高価であるため、受信器601のコスト上昇の要因となる。
【0022】
これに対し、アナログ回路で構成される周波数変換回路は、高価格の部材を使用しないので、ハイブリッド処理回路614に置き換えて振幅変調信号の復調に用いると、受信器601のコストが下げられる。
【0023】
ところが、従来の周波数変換回路を振幅変調信号の復調に用いようとすると、音声周波数信号が出力トランスを通過しにくいという問題及びダイオードに由来する不具合があるという問題が生じる。
【0024】
図7の周波数変換回路は、局部発振信号LOと高周波信号RFを入力とし、中間周波信号IFを出力としていた。これに倣い、RF端子に復調する振幅変調信号を入力し、LO端子に搬送波信号を入力することで、IF端子に音声周波数信号が出力されることを試みたとする。しかし、音声周波数信号は、これまで述べた他の信号と比較して低周波であり、出力トランス73を通過しにくい。したがって、IF端子に音声周波数信号を割り振るのは適切でない。
【0025】
そこで、図7の二重平衡変調器71をそのまま利用し、端子に割り振る信号だけを入れ替えて図13のように復調回路131を構成する。すなわち、入力トランス72の一次側コイルに復調する振幅変調信号IFを入力し、出力トランス73の二次側コイルに搬送波信号CARを入力することで、LO端子に音声周波数信号AFが出力される。なお、図7の二重平衡変調器71は、3つある端子(RF端子、IF端子、LO端子)に3つの信号(高周波信号RF、中間周波信号IF、局部発振信号LOあるいは振幅変調信号IF、搬送波信号CAR、音声周波数信号AF)のいずれを割り振ってもよく、2つの信号を任意の2つの端子に入力すれば残りの端子から残りの1つの信号が出力される。
【0026】
しかしながら、図13の復調回路131は、音声周波数信号が出力トランス73を通さずに得られる点では好ましいものの、図7、図8の二重平衡変調器71、81と同じ回路構成であり、4個のダイオードD1,D2,D3,D4で伝達経路が切り替わる。この回路構成では、ダイオードに由来する不具合は解決されない。ダイオードに由来する不具合を以下に3点述べる。
【0027】
第1点として、一般に、ダイオードは、順方向に電圧が印加されても電圧が閾値(順方向電圧降下)に達するまでは導通しないという特性がある。したがって、正弦波である局部発振信号LOが正の半周期では、図10のように、ダイオードD1,D2が順バイアスされて導通している期間ばかりでなく、印加電圧が閾値より低いため図9のように非導通となる期間が含まれる。負の半周期でも、同様に、図11のように、ダイオードD3,D4が順バイアスされて導通している期間ばかりでなく、非導通となる期間が含まれる。つまり、局部発振信号LOの振幅の絶対値が閾値より小さい期間は、全ダイオードD1,D2,D3,D4が非導通となる。導通の期間と非導通の期間が交互することにより、局部発振信号LOを供給している局部発振器(図示せず)の負荷が不連続に変化するので、取り出される中間周波数信号IFに歪みが生じる原因となる。
【0028】
第2点として、局部発振器を高出力とし局部発振信号LOの振幅を大きくすることで、前述の全ダイオード非導通期間を短縮することができるように思われる。これは、局部発振信号LOの振幅が小さいと、1周期中において振幅の絶対値が閾値より小さい期間が長くなるが、局部発振信号LOの振幅が大きいと、1周期中において振幅の絶対値が閾値より小さい期間が短くなるからである。しかし、局部発振信号LOの振幅を、例えば、10dbm(10mW)以上に大きくしようとすると、局部発振器には高出力増幅器を備える必要が生じ、コスト増大を招くと共に、振幅が大きい局部発振信号LOが配線基板中や信号線間、部品間空間を介して他の回路に漏洩しやすくなり、スプリアス(不要周波数信号)が発生する原因となる。
【0029】
第3点として、ダイオードは、回路図上ではダイオード単体で示され、導通と非導通の2状態のみを有する素子として扱われるが、実際には非線形なインピーダンス成分(抵抗成分など)を含んでおり、電圧電流特性が非直線となる。こうしたダイオードの電圧電流特性の非直線性のため、二重平衡変調器71,81のインピーダンスは不安定であり、インピーダンスの不安定さは中間周波信号IFに歪みが生じる原因となる。
【0030】
以上の3点の不具合は、端子と信号の割り振りを変えた図13の復調回路131においても共通である。
【0031】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ダイオードに由来する不具合がなく、音声周波数信号の復調に好適な復調回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するために本発明の復調回路は、搬送波信号が音声周波数信号で振幅変調された振幅変調信号が一次側コイルに入力され、二次側コイルの両端から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランスと、前記二次側コイルの片側端が入力端子に接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波が切換制御端子に入力された片側用1入力2出力アナログスイッチと、前記二次側コイルの反対側端が入力端子に接続され、前記矩形波が切換制御端子に入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチと、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子に片側端が接続され、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子に反対側端が接続された負荷用抵抗器と、前記負荷用抵抗器の片側端に現れる音声周波数信号と前記負荷用抵抗器の反対側端に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器とを備えたものである。
【0033】
前記二次側コイルの中間点と前記負荷用抵抗器の中間点に所定電圧の直流信号を入力するオフセット回路と、前記負荷用抵抗器の片側端に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサと、前記負荷用抵抗器の反対側端に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサとを備えてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0035】
(1)ダイオードに由来する不具合がない。
【0036】
(2)音声周波数信号の復調に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を示す復調回路の回路図である。
【図2】図1の復調回路が正の半周期にあるときの等価回路図である。
【図3】図1の復調回路が負の半周期にあるときの等価回路図である。
【図4】周波数変換回路の入出力を示す回路図である。
【図5】周波数変換回路が使用されたスーパーヘテロダイン方式の受信器の回路図である。
【図6】多段スーパーヘテロダイン方式によるアマチュア無線受信器の回路図である。
【図7】二重平衡変調器で構成される従来の周波数変換回路の回路図である。
【図8】二重平衡変調器で構成される従来の周波数変換回路の回路図である。
【図9】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが無信号時の等価回路図である。
【図10】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが正の半周期時の等価回路図である。
【図11】図8の周波数変換回路において局部発振信号LOが負の半周期時の等価回路図である。
【図12】図8の周波数変換回路の信号波形図である。
【図13】図7の二重平衡変調器を利用した復調回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0039】
図1に示されるように、本発明に係る復調回路1は、搬送波信号が音声周波数信号AFで振幅変調された振幅変調信号IFが一次側コイル2inに入力され、二次側コイル2outの両端t1、t2から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランス2と、二次側コイル2outの片側端t1が入力端子COMに接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波RECが切換制御端子CNTに入力された片側用1入力2出力アナログスイッチ3と、二次側コイル2outの反対側端t2が入力端子COMに接続され、矩形波RECが切換制御端子CNTに入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチ4と、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第一出力端子NCと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第二出力端子NOに片側端t3が接続され、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第二出力端子NOと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第一出力端子NCに反対側端t4が接続された負荷用抵抗器5と、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる音声周波数信号と負荷用抵抗器5の反対側端t4に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器6とを備える。
【0040】
入力トランス2は、交流信号が伝達可能な一次側コイル2inと二次側コイル2outとを有し、二次側コイル2outの片側端t1と反対側端t2と中間点t5に端子を有する。二次側コイル2outは、一次側コイルと巻数が同じ2つのコイルを直列接続して構成する。
【0041】
片側用1入力2出力アナログスイッチ3及び反対側用1入力2出力アナログスイッチ4となる1入力2出力アナログスイッチ(マルチプレクサとも言う)は、切換制御端子CNTと入力端子COMと第一出力端子NCと第二出力端子NOとを有し、切換制御端子CNTの入力信号がHレベルのときは入力端子COMと第一出力端子NCとが導通して第二出力端子NOはどことも非導通となり、切換制御端子CNTの入力信号がLレベルのときは入力端子COMと第二出力端子NOとが導通して第一出力端子NCどことも非導通となる半導体素子である。2つの1入力2出力アナログスイッチは、同一チップに形成されるのが望ましい。1入力2出力アナログスイッチは、数10MHz以上、あるいは100MHz以上の高速切り換え動作が可能で入出力間の導通時抵抗値(ON抵抗)が1Ω以下であることが望ましい。
【0042】
復調回路1は、2つの1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTに搬送波信号と同じ周波数を有しデューティ比50%の矩形波RECが入力されている。片側用1入力2出力アナログスイッチ3では、入力端子COMに入力トランス2の二次側コイル2outの片側端t1が接続され、第一出力端子NCに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続され、第二出力端子NOに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続されている。反対側用1入力2出力アナログスイッチ4では、入力端子COMに入力トランス2の二次側コイル2outの反対側端t2が接続され、第一出力端子NCに負荷用抵抗器5の反対側端t4が接続され、第二出力端子NOに負荷用抵抗器5の片側端t3が接続されている。
【0043】
負荷用抵抗器5は、抵抗値が同じ2つの抵抗器を直列接続して構成する。
【0044】
差動増幅器6では、負荷用抵抗器5の片側端t3からの音声周波数信号が入力抵抗器を介して差動増幅器6の負入力端子に、負荷用抵抗器5の反対側端t4からの音声周波数信号が入力抵抗器を介して差動増幅器6の正入力端子に入力される。したがって、それぞれの入力抵抗器に入力される信号の差分に比例する増幅信号が出力抵抗器から出力される。
【0045】
復調回路1は、入力トランス2の二次側コイル2outの中間点t5と負荷用抵抗器5の中間点t6に所定電圧の直流信号(以下、オフセット信号という)を入力するオフセット回路7と、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサ8と、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサ9とを備える。
【0046】
オフセット回路7は、直流定電圧源10の陽極陰極間に可変抵抗器11が接続され、可変抵抗器11によってオフセット信号の電圧が調節されるように構成されている。オフセット信号は、1入力2出力アナログスイッチの通過電圧範囲(例えば、0Vから電源電圧の範囲)の中央付近にバイアスをかけることで、振幅変調信号IFが正負全域にわたり1入力2出力アナログスイッチを通過できるようにする信号である。二次側コイル2outの中間点t5と負荷用抵抗器5の中間点t6には、中間点t5,t6を高周波的及び低周波的に接地して動作を安定させるためのコンデンサが接続される。
【0047】
中間周波信号IFは、例えば、図6の周波数変換回路606から出力される中間周波信号3rdIFである。
【0048】
矩形波RECは、図示しない矩形波発振器から得られる。矩形波発振器は、例えば、DDS(Direct Digital Synthesizer)とローパスフィルタと二値化用のコンパレータと原発振用の水晶振動子とからなる。DDSは、ROM等の記憶素子に1周期分の正弦波について周期を所定個に刻んだサンプル間隔で振幅値を格納しておき、読み出しクロックに応じて振幅値を順に読み出すことで階段状の正弦波を発生させるものである。サンプル間隔及び振幅値分解能を高くすれば階段状の正弦波が理想的な正弦波に近づき、さらにローパスフィルタを適用することで、理想的な正弦波が得られる。コンパレータでは、ローパスフィルタからの正弦波を直流電圧と比較して二値化することで、読み出しクロックに依存しないタイミングで二値化が達成される。この結果、デューティ比50%の理想的な矩形波RECが得られる。コンパレータを内蔵したDDSの例として、アナログデバイス社製AD9834がある。
【0049】
以下、復調回路1の動作を説明する。
【0050】
中間周波信号IFは、搬送波信号が音声周波数信号AFで振幅変調された抑圧搬送波振幅変調信号であり、搬送波信号の周波数をfCARとし、音声周波数信号AFの周波数をfAFとすると、中間周波信号IFの周波数は、fCAR±fAFとなる。
【0051】
中間周波信号IFが入力トランス2の一次側コイル2inに入力されると、中間周波信号IFは入力トランス2の二次側コイル2outに伝達される。入力トランス2は、位相分配器の働きをするものであり、二次側コイル2outの片側端t1に現れる信号の位相をθとすると、反対側端t2に現れる信号の位相はθ+180°となる。
【0052】
一方、矩形波RECは、搬送波信号の周波数でHレベルとLレベルを交番する。
【0053】
矩形波RECがHレベルの半周期では、1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTがいずれもHレベルとなり、1入力2出力アナログスイッチ3,4は、いずれも入力端子COMと第一出力端子NCとが導通して第二出力端子NOはどことも非導通となる。これにより、二次側コイル2outの片側端t1の信号は、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第一出力端子NCから出て、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる。二次側コイル2outの反対側端t2の信号は、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第一出力端子NCから出て、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる。この結果、図2に示されるように、位相θの信号が負荷用抵抗器5の片側端t3に、位相θ+180°の信号が反対側端t4に現れることになる。
【0054】
矩形波RECがLレベルの半周期では、1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換制御端子CNTがいずれもLレベルとなり、1入力2出力アナログスイッチ3,4は、いずれも入力端子COMと第二出力端子NOとが導通して第一出力端子NCはどことも非導通となる。これにより、二次側コイル2outの片側端t1の信号は、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の第二出力端子NOから出て、負荷用抵抗器5の反対側端t4に現れる。二次側コイル2outの反対側端t2の信号は、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の第二出力端子NOから出て、負荷用抵抗器5の片側端t3に現れる。この結果、図3に示されるように、位相θの信号が負荷用抵抗器5の反対側端t4に、位相θ+180°の信号が片側端t3に現れることになる。
【0055】
このようにして、1入力2出力アナログスイッチ3,4を通った信号が矩形波RECの半周期ごとに位相が反転する状態で負荷用抵抗器5の両端に現れる。中間周波信号IFの周波数がfCAR±fAFであり、矩形波RECの周波数がfCARであるため、現れる信号の周波数は、fAFとなる。すなわち、負荷用抵抗器5の両端に、それぞれ音声周波数信号AFが得られることになる。
【0056】
2つの音声周波数信号AFは互いに逆位相であるから、差動増幅器6にて差分を演算することにより、2つの音声周波数信号AFが位相を合わせて合成されることになる。
【0057】
以上説明したように、本発明の復調回路1によれば、従来のようなダイオードの非導通による中間的状態がないので、信号歪みの発生を回避することができる。
【0058】
本発明の復調回路1によれば、ダイオード非道通期間を短縮するための高出力で低歪みの局部発振器は必要なくなり、高出力に起因する信号漏洩がない。
【0059】
本発明の復調回路1によれば、ダイオードの電圧電流特性の非直線性に起因する信号歪みの発生を回避することができる。
【0060】
本発明の復調回路1によれば、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の入力端子COMに入力される振幅変調信号IFが第一出力端子NCか第二出力端子NOのいずれかに必ず伝達され、反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の入力端子COMに入力される振幅変調信号IFが第二出力端子NOか第一出力端子NCのいずれかに必ず伝達されるので、振幅変調信号IFが遮断される期間がない。
【0061】
本発明の復調回路1によれば、負荷用抵抗器5の両端に現れる互いに位相が反転した音声周波数信号AFの差を差動増幅器6で増幅するため、2倍の振幅が得られる。
【0062】
本発明の復調回路1によれば、片側用1入力2出力アナログスイッチ3の切換制御端子CNTと反対側用1入力2出力アナログスイッチ4の切換制御端子CNTに同じ矩形波RECが入力されるので、2つの1入力2出力アナログスイッチ3,4の切換動作が全く同時になる。
【0063】
本発明の復調回路1によれば、出力トランスを使用せず、負荷用抵抗器5に音声周波数信号AFが検波されるようにしたので、トランス内の巻線間容量に起因する非直線性がない。
【0064】
本発明の復調回路1は、図6に示したアマチュア無線の受信器601に適用すると好ましい。高価なハイブリッド処理回路614に代えて本発明の復調回路1を用いることで、受信器601のコストを低減させることができる。この他にも、復調回路1は、テレビ受像器、携帯電話機など放送受信や無線通信を行う全ての送受信器に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 復調回路
2 入力トランス
3 片側用1入力2出力アナログスイッチ
4 反対側用1入力2出力アナログスイッチ
5 負荷用抵抗器
6 差動増幅器
7 オフセット回路
8 片側用直列コンデンサ
9 反対側用直列コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波信号が音声周波数信号で振幅変調された振幅変調信号が一次側コイルに入力され、二次側コイルの両端から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランスと、
前記二次側コイルの片側端が入力端子に接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波が切換制御端子に入力された片側用1入力2出力アナログスイッチと、
前記二次側コイルの反対側端が入力端子に接続され、前記矩形波が切換制御端子に入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチと、
前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子に片側端が接続され、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子に反対側端が接続された負荷用抵抗器と、
前記負荷用抵抗器の片側端に現れる音声周波数信号と前記負荷用抵抗器の反対側端に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器とを備えたことを特徴とする復調回路。
【請求項2】
前記二次側コイルの中間点と前記負荷用抵抗器の中間点に所定電圧の直流信号を入力するオフセット回路と、
前記負荷用抵抗器の片側端に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサと、
前記負荷用抵抗器の反対側端に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサとを備えたことを特徴とする請求項1記載の復調回路。
【請求項1】
搬送波信号が音声周波数信号で振幅変調された振幅変調信号が一次側コイルに入力され、二次側コイルの両端から互いに逆位相の信号が取り出される入力トランスと、
前記二次側コイルの片側端が入力端子に接続され、搬送波信号と同じ周波数を有するデューティ比50%の矩形波が切換制御端子に入力された片側用1入力2出力アナログスイッチと、
前記二次側コイルの反対側端が入力端子に接続され、前記矩形波が切換制御端子に入力された反対側用1入力2出力アナログスイッチと、
前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子に片側端が接続され、前記片側用1入力2出力アナログスイッチの第二出力端子と前記反対側用1入力2出力アナログスイッチの第一出力端子に反対側端が接続された負荷用抵抗器と、
前記負荷用抵抗器の片側端に現れる音声周波数信号と前記負荷用抵抗器の反対側端に位相反転して現れる音声周波数信号の差を増幅する差動増幅器とを備えたことを特徴とする復調回路。
【請求項2】
前記二次側コイルの中間点と前記負荷用抵抗器の中間点に所定電圧の直流信号を入力するオフセット回路と、
前記負荷用抵抗器の片側端に現れる信号から直流成分を除去する片側用直列コンデンサと、
前記負荷用抵抗器の反対側端に現れる信号から直流成分を除去する反対側用直列コンデンサとを備えたことを特徴とする請求項1記載の復調回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−98828(P2013−98828A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241077(P2011−241077)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
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