説明

循環ポンプ制御システムおよび循環ポンプ制御方法

【課題】 循環ポンプを適切に制御する。
【解決手段】 ユニットの起動時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの起動タイミングに基づいて、循環ポンプを起動するタイミングを判定して、循環ポンプを起動し、ユニットの停止時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの停止タイミングに基づいて、循環ポンプを停止するタイミングを判定して、循環ポンプを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御する循環ポンプ制御システムおよび循環ポンプ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所の発電ユニット(以下、単にユニットという。)は、ボイラの燃焼などによって生じた熱を下げるために循環ポンプによって、冷却水を循環させている。この循環ポンプの運転台数は、ユニットの運転状態に合わせて適宜増減させている。つまり、ボイラで発生する熱が多い(復水器に熱の流入がある)場合は、循環ポンプの運転台数を増やして運転し、ボイラで発生する熱が少ない(復水器に熱の流入がない)場合は、循環ポンプの運転台数を減らして運転する。ところが、従来はユニット起動時には、復水器に熱の流入がない状態から、循環ポンプを2台運転していた。すなわち、図2に示す低圧バイパス弁21、中圧バイパス弁31、高圧バイパス弁41のいずれもが「閉」状態で、復水器50に熱の流入がない状態であっても、循環ポンプを2台運転していた。また、ユニット停止時には、復水器に熱の流入がない状態であっても、循環ポンプの2台運転を継続していた。すなわち、図2に示す低圧バイパス弁21、中圧バイパス弁31、高圧バイパス弁41のいずれもが「閉」状態で、復水器50に熱の流入がない状態であっても、循環ポンプの2台運転を継続していた。
【0003】
また、効率的にプラントを運転することによりコストを下げるために、起動時間を短縮したり、停止時間を短縮したりする技術が開発されている。例えば、ガスタービンなどから構成される複合プラントにおいて、貫流式排熱回収ボイラのさらなる起動時間の短縮を可能とするために、貫流式排熱回収ボイラの蒸発器循環系統に加熱系統を設置することにより、高速での起動を可能とする貫流式排熱回収ボイラに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−075966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来はユニット起動時には、復水器に熱の流入がない状態から、循環ポンプを2台運転したり、ユニット停止時には、復水器に熱の流入がない状態であっても、循環ポンプの2台運転を継続していたりしていたため、循環ポンプが必要でない状態でも起動され、無駄が生じていた。また、特許文献1に記載の技術は、貫流式排熱回収ボイラのさらなる起動時間の短縮を目的とするものであって、循環ポンプの起動や停止のタイミングを適切にするものではない。
【0006】
そこで、この発明は、循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、循環ポンプを適切に制御することが可能な循環ポンプ制御システムおよび循環ポンプ制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御する循環ポンプ制御システムであって、前記ユニットの運転時におけるタービンバイパス弁開度や圧力、温度などの運転データを測定する運転データ測定手段と、前記運転データとともに、前記循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングを記憶する運転データ記憶手段と、前記運転データ測定手段によって測定された現在の運転データに、前記運転データ記憶手段に記憶された運転データから類似する前記運転データを選定する運転データ選定手段と、前記ユニットの起動時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの起動タイミングに基づいて、前記循環ポンプを起動するタイミングを判定して、前記循環ポンプを起動し、前記ユニットの停止時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの停止タイミングに基づいて、前記循環ポンプを停止するタイミングを判定して、前記循環ポンプを停止する循環ポンプ制御手段と、を備えることを特徴とする循環ポンプ制御システムである。
【0008】
この発明によれば、ユニットの起動時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの起動タイミングに基づいて、循環ポンプを起動するタイミングを判定して、循環ポンプを起動し、ユニットの停止時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの停止タイミングに基づいて、循環ポンプを停止するタイミングを判定して、循環ポンプを停止する
【0009】
請求項2の発明は、循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御する循環ポンプ制御方法であって、前記ユニットの運転時におけるタービンバイパス弁開度や圧力、温度などの運転データを測定し、前記運転データとともに、前記循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングを記憶し、測定された現在の運転データに、前記記憶された運転データから類似する前記運転データを選定し、前記ユニットの起動時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの起動タイミングに基づいて、前記循環ポンプを起動するタイミングを判定して、前記循環ポンプを起動し、前記ユニットの停止時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの停止タイミングに基づいて、前記循環ポンプを停止するタイミングを判定して、前記循環ポンプを停止する、ことを特徴とする循環ポンプ制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、類似する過去の運転データの循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングに基づいて、適切なタイミングで循環ポンプを起動したり停止したりすることができる。つまり、複数台の循環ポンプを起動している必要がない場合に、起動することをなくすことができる。このように、適切なタイミングで(より早いタイミングで)循環ポンプを起動したり停止したりすることによって、循環ポンプの運転時間が短縮された分、循環ポンプの運転に要していたコストや、運転員の負担を軽減することができる。
【0011】
また、循環ポンプの起動や停止のタイミングの判定を、運転員の経験にもとづいて行う必要がないので、運転員の熟練度によらず適切かつ安全に真空を破壊することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態に係る循環ポンプ制御システムの概略構成ブロック図である。
【図2】蒸気タービンの全体系統を示す概略構成図である。
【図3】排熱回収ボイラの全体系統を示す概略構成図である。
【図4】ユニット起動時のタービンバイパス弁開度と圧力を示すトレンドグラフである。
【図5】ユニット起動時の運転データを示すトレンドグラフである。
【図6】ユニット停止時のタービンバイパス弁開度と圧力を示すトレンドグラフである。
【図7】ユニット停止時の運転データを示すトレンドグラフである。
【図8】図1の循環ポンプ制御システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0014】
図1ないし図8は、この発明の実施の形態を示している。循環ポンプ制御システム1は、循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御するシステムであり、図1に示すように、主として、運転データ測定手段としての運転データ測定部11と、運転データ記憶手段としての運転データ記憶部12と、運転データ選定手段としての運転データ選定タスク13と、循環ポンプ制御手段としての循環ポンプ制御タスク14と、記憶部15およびこれらの制御を行う制御部10とを備えている。この循環ポンプ制御システム1は、火力発電所のユニット監視制御サーバ(図示略)に備えられている。
【0015】
ここで、火力発電所のユニットは、石炭やガスなどの燃料をボイラで燃焼させて、発生した高温・高圧ガスによってガスタービンを回転させるとともに、ボイラで発生した蒸気によって蒸気タービンを回転させることにより発電するものである。ここでは、一般的な構成のユニットと同等の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
このユニットは、図2に示すように、主として低圧タービン20と、中圧タービン30と、高圧タービン40と、復水器50を有している。このユニットにおいては、ボイラ本体(図示略)によって、過熱された蒸気は、過熱器によって加熱されて、それぞれ低温・低圧、中温・中圧、高温・高圧になる。そして、調温・調圧された蒸気は、各タービン(低圧タービン20、中圧タービン30、高圧タービン40)に送出される。また、各タービンから復水器50への流路上には、低圧タービンバイパス弁(低圧バイパス弁)21、中圧タービンバイパス弁(中圧バイパス弁)31、高圧タービンバイパス弁(高圧バイパス弁)41が配設され、復水器50への蒸気の流量を調節可能となっている。
【0017】
各タービンは、ガスタービンで構成され、過熱器の下流側に配設され、ボイラ本体、過熱器で生成、調温・調圧された蒸気を羽根車で受けることにより、回転運動としての動力を得るものである。
【0018】
復水器50は、フラッシュタンク(図示略)から送出された低圧蒸気と低圧凝縮水とを水に戻すものである。ユニットの運転時には、復水器50は、真空が保持されており、ユニットに生じた蒸気などを吸引するようになっている。
【0019】
排熱回収ボイラ60は、図3に示すように、主として、低圧給水ポンプ64と、低圧ドラム(蒸気ドラム)と、低圧過熱器61aと、低圧蒸発器61bと、低圧節炭器61cとを有している。低圧系統においては、供給された水は低圧節炭器61cで加熱されて、高圧ドラム(蒸気ドラム)に供給され、蒸気ドラムは所定の圧力の飽和蒸気を発生させるためにドラム内の熱水を蒸発器降水管と低圧蒸発器61bとの間で循環させる。蒸気ドラムから発生した蒸気は低圧過熱器61aに供給され所定の温度まで過熱されて、低圧タービン20へ供給される。また、中圧系統、高圧系統についても、低圧系統と略同様に構成されている。
【0020】
運転データ測定手段としての運転データ測定部11は、ユニットの運転時における各タービンバイパス弁開度や圧力、温度などの運転データを測定するものである。測定された運転データは、制御部10を介して、運転データ記憶部12に記憶されるようになっている。ここで、運転データは時系列で測定されるものであり、例えば、図4および図6のトレンドグラフに示されている低圧バイパス弁21、中圧バイパス弁31、高圧バイパス弁41の弁開度、主塞止弁前蒸気圧力、高圧タービン出口蒸気圧力、低圧主蒸気止弁前蒸気圧力、中圧蒸気圧力調整弁開度、蒸気タービン出力や、図5および図7に示されている蒸気タービン回転数、ガスタービン回転数、高圧主蒸気温度、高圧主蒸気圧力、蒸気タービン負荷、ガスタービン負荷、プラント負荷などのことである。この運転データ測定部11は、ユニットの運転時は常時、運転データを測定するように制御部10によって制御されている。
【0021】
運転データ記憶手段としての運転データ記憶部12は、運転データ測定部11で測定した運転データとともに、ユニット運転時の循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングを図4ないし図7などに示すようなトレンドグラフとあわせて、データベースとして格納するようになっている。
【0022】
運転データ選定手段としての運転データ選定タスク13は、運転データ測定部11によって測定された現在の運転データに、運転データ記憶部12に記憶された運転データから類似する運転データを選定する機能を有するプログラム、タスクである。この運転データ選定タスク13は、ユニットの起動時、停止時に図8に示すフローチャートに示される処理によって起動されるように、制御部10にプログラミングされている。ここで、類似する運転データの選定は、例えばユニット運転時の諸条件(変動要因)である海水温度、配水温度、気温、蒸気タービン出力などに基づいて、これらの変動要因が類似する運電テータを選定する。また、これらの変動要因は、少なくとも1つ以上であれば、2つ以上の組み合わせであってもよいし、各変動要因に重み付けをしたり、優先度を付けたりして選定するようにしてもよい。
【0023】
循環ポンプ制御手段としての循環ポンプ制御タスク14は、ユニットの起動時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの起動タイミングに基づいて、循環ポンプを起動するタイミングを判定して、循環ポンプを起動し、ユニットの停止時は、選定した過去の運転データの循環ポンプの停止タイミングに基づいて、循環ポンプを停止するタイミングを判定して、循環ポンプを停止する機能を有するプログラム、タスクである。この循環ポンプ制御タスク14は、図8に示すように運転データ選定タスク13の後に起動されるように、制御部10によってプログラミングされている。
【0024】
例えば図4に示す運転データ(ユニット起動データA1)には、過去のユニット起動時に、2:11にガスタービンが点火され、16分後の2:27にガスタービンが並列になったことが記憶されている。このユニット起動データA1においては、ガスタービンが並列となった後、すなわち、低圧バイパス弁21、中圧バイパス弁31、高圧バイパス弁41のいずれもが「開」状態となった後に、2台目の循環ポンプが起動されたことが記憶されている。ここで、ガスタービンが並列になると、低圧バイパス弁21、中圧バイパス弁31、高圧バイパス弁41のいずれもが開かれて、復水器50に熱が流入するようになる。つまり、ガスタービンが並列になるまでは、復水器50には熱が流入していないため、循環ポンプを2台起動する必要はない。このため、ユニット起動データA1の循環ポンプの起動タイミングは適切である。
【0025】
ユニット起動データA2の循環ポンプの起動タイミングが不適切な場合は、循環ポンプ制御タスク14は、2台目の循環ポンプの起動を適切なタイミングで行うようになっている。すなわち、例えば、ガスタービンが並列になる前、すなわち、復水器50に熱が流入する前に、2台目の循環ポンプが起動されたことが記憶されている場合は、2台目の循環ポンプの起動を遅くするようにプログラミングされている。
【0026】
また、例えば図5に示す運転テータ(ユニット起動データA3)には、他の過去のユニット起動時に、ガスタービンを起動後、14分後頃にガスタービンが着火され、その後、ガスタービンの回転数が3600rpmまで急激に上昇したことが記憶されている。そして、37分後頃からガスタービンが並列になり、負荷が急激に上昇するとともに、ガスタービン負荷、プラント負荷も急激に上昇している。また、それと同時に高圧主蒸気温度が急激に上昇している。このユニット起動データA3においては、ガスタービン点火の37分後に2台目の循環ポンプが起動されたことが記憶されている。
【0027】
さらに、運転データ選定タスク13によって選定した運転データに比べて、例えば現在の海水温度が低い場合は、当該運転データよりも、循環ポンプの起動後の復水器50内の温度を下げる効果が高いので、2台目の循環ポンプの起動タイミングをわずかに遅くすることができる。また、運転データ選定タスク13によって選定した運転データに比べて、例えば現在の海水温度が高い場合は、当該運転データよりも、循環ポンプの起動後の復水器50内の温度を下げる効果が低いので、2台目の循環ポンプの起動タイミングをわずかに早くする必要がある。後述するユニット停止時においても同様に、停止タイミングを算出することができる。
【0028】
さらに、例えば図6に示す(ユニット停止データB1)には、過去のユニット停止時に、21:40に蒸気タービンが解列され、16分後の21:56に排熱回収ボイラ60が停止開始されたことが記憶されている。このユニット停止データB1においては、解列から16分後(21:56)の排熱回収ボイラ60の停止開始で、復水器50への熱の流入が止まるため、循環ポンプを1台残して1台は停止したことが記憶されている。また、他のユニット停止データB2には、解列から12分後(21:52頃)の高圧タービンバイパス弁開度が20%程度になったタイミングで、復水器50への熱の流入が止まるため、循環ポンプを1台残して1台は停止したことが記憶されている。このため、ユニット停止データB1、B2の循環ポンプの停止タイミングは適切である。
【0029】
ユニット停止データB3の循環ポンプの停止タイミングが不適切な場合は、循環ポンプ制御タスク14は、循環ポンプを1台残して1台は停止するのを適切なタイミングで行うようになっている。すなわち、例えば、排熱回収ボイラ60の停止開始からしばらく経過した後や、高圧タービンバイパス弁開度が20%より低くなってから、循環ポンプを1台残して1台は停止したことが記憶されている場合は、循環ポンプを1台残して1台を停止するのを早くするようにプログラミングされている。
【0030】
また、例えば図7に示す(ユニット停止データB4)には、過去のユニット停止時に、負荷降下開始から蒸気タービン、ガスタービン、プラントのいずれの負荷も急激に降下し、高圧主蒸気圧力も急激に降下したことが記憶されている。そして、高圧主蒸気温度も緩やかに降下を開始している。30分後頃には、蒸気タービンの負荷が0となり、34分後頃には、ガスタービン負荷とプラント負荷も0となっている。
記憶部11は、運転データ測定部11が測定して、制御部10に伝送された運転データを記憶したり、運転データ選定タスク13、循環ポンプ制御タスク14を記憶したりしている。
【0031】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、図8に示すタスクを起動したりするものである。
【0032】
次に、このような構成の循環ポンプ制御システム1における循環ポンプの制御方法および作用について説明する。ここで、ユニットの運転時は、運転データ測定部11によって運転データが、常時、制御部10に伝送されている。
【0033】
ユニット起動時は、図8に示すフローチャートで示される処理が開始される。
【0034】
そして、ステップS1において、運転データ選定タスク13が起動されて、現在の運転データと、例えば海水温度や、諸条件が類似する過去の運転データが運転データ記憶部12から取得される。そして、ステップS2において、循環ポンプ制御タスク14が起動されて、2台目の循環ポンプを起動するタイミングが判定されて、2台目の循環ポンプが起動される。
【0035】
具体的には、運転データ選定タスク13によってユニット起動データA1が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、ガスタービン点火の16分後に、2台目の循環ポンプが起動される。
【0036】
また、運転データ選定タスク13によってユニット起動データA3が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、ガスタービン点火の37分後に、2台目の循環ポンプが起動される。
【0037】
さらに、運転データ選定タスク13によってユニット起動データA2が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、ユニット起動データA2の循環ポンプの起動タイミングよりも遅くなるように、2台目の循環ポンプが起動される。
【0038】
火力発電所のユニット停止時は、ユニット起動時と同様に、図8に示すフローチャートに示される処理が開始され、循環ポンプを1台のみ残して、1台を停止するタイミングが判定されて、循環ポンプが停止される。
【0039】
具体的には、運転データ選定タスク13によってユニット停止データB1が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、蒸気タービンの解列の16分後に、循環ポンプを1台残して1台が停止される。
【0040】
また、運転データ選定タスク13によってユニット停止データB2が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、蒸気タービンの解列の12分後に、循環ポンプを1台残して1台が停止される。
【0041】
さらに、運転データ選定タスク13によってユニット停止データB3が選択された場合は、循環ポンプ制御タスク14によって、ユニット停止データB3の循環ポンプの停止タイミングよりも早くなるように、循環ポンプを1台残して1台が停止される。
【0042】
このように、ユニット起動時、停止時は、現在の運転データと類似する運転データが取得され、当該運転データに記憶された循環ポンプの起動タイミング、停止タイミングに基づいて循環ポンプが制御される。
【0043】
以上のように、この循環ポンプ制御システム1および循環ポンプ制御方法によれば、類似する過去の運転データの循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングに基づいて、適切なタイミングで循環ポンプを起動したり停止したりすることができる。つまり、複数台の循環ポンプを起動している必要がない場合に、起動することがなくすことができる。このように、適切なタイミングで(より早いタイミングで)循環ポンプを起動したり停止したりすることによって、循環ポンプの運転時間が短縮された分、循環ポンプの運転に要していたコストや、運転員の負担を軽減することができる。
また、選択した運転データと、例えば現在の海水温度などに違いがある場合であって、循環ポンプの制御タイミングを適切に制御することができる。つまり、より適切に循環ポンプを制御することが可能である。
【0044】
さらに、仮に記憶されている過去の運転データが不適切な場合であっても、循環ポンプ制御タスク14は、適切なタイミングで循環ポンプを制御することができる。そして、循環ポンプ制御システム1によって、適切なタイミングで循環ポンプを制御した場合の適切な運転データが蓄積されることによって、より適切に循環ポンプを制御できるようになる。
【0045】
さらにまた、循環ポンプの起動や停止のタイミングの判定を、運転員の経験にもとづいて行う必要がないので、運転員の熟練度によらず適切かつ安全に真空を破壊することができる。
【0046】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ユニットに循環ポンプが2台配設されている場合について説明したが、循環ポンプが3台以上配設せれている場合であっても、同様に制御することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 循環ポンプ制御システム
11 運転データ測定部(運転データ測定手段)
12 運転データ記憶部(運転データ記憶手段)
13 運転データ選定タスク(運転データ選定手段)
14 循環ポンプ制御タスク(循環ポンプ制御手段)
20 低圧タービン
21 低圧タービン弁
30 中圧タービン
31 中圧タービン弁
40 高圧タービン
41 高圧タービン弁
50 復水器
60 排熱回収ボイラ
64 低圧給水ポンプ
65 高中圧給水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御する循環ポンプ制御システムであって、
前記ユニットの運転時におけるタービンバイパス弁開度や圧力、温度などの運転データを測定する運転データ測定手段と、
前記運転データとともに、前記循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングを記憶する運転データ記憶手段と、
前記運転データ測定手段によって測定された現在の運転データに、前記運転データ記憶手段に記憶された運転データから類似する前記運転データを選定する運転データ選定手段と、
前記ユニットの起動時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの起動タイミングに基づいて、前記循環ポンプを起動するタイミングを判定して、前記循環ポンプを起動し、前記ユニットの停止時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの停止タイミングに基づいて、前記循環ポンプを停止するタイミングを判定して、前記循環ポンプを停止する循環ポンプ制御手段と、
を備えることを特徴とする循環ポンプ制御システム。
【請求項2】
循環ポンプを複数台備える火力発電所のユニット運転時において、前記循環ポンプを制御する循環ポンプ制御方法であって、
前記ユニットの運転時におけるタービンバイパス弁開度や圧力、温度などの運転データを測定し、
前記運転データとともに、前記循環ポンプの起動タイミングや停止タイミングを記憶し、
測定された現在の運転データに、前記記憶された運転データから類似する前記運転データを選定し、
前記ユニットの起動時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの起動タイミングに基づいて、前記循環ポンプを起動するタイミングを判定して、前記循環ポンプを起動し、前記ユニットの停止時は、選定した前記過去の運転データの前記循環ポンプの停止タイミングに基づいて、前記循環ポンプを停止するタイミングを判定して、前記循環ポンプを停止する、
ことを特徴とする循環ポンプ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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