説明

循環口装置

【課題】給湯によるエネルギの消費量を精度よく算出することを可能にできる循環口装置を提供すること。
【解決手段】循環口装置30に、浴槽10内の水を吸入する吸入口35と、給湯器15から供給される水を浴槽10内へ吐水する吐水口36と、吸入口35から吸入した水の流量を検出する吸入口用流量計40と、吐水口36から吐水する水の流量を検出する吐水口用流量計60と、吸入口35から吸入した水の温度を検出する吸入口用温度センサ70と、吐水口36から吐水する水の温度を検出する吐水口用温度センサ75と、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とで検出した水の流量情報と、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とで検出した水の温度情報と、を遠隔へ送信する無線送信装置80と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、省エネルギ化の要請により、電気を効率的に使用して従来よりも電気の消費量を低減させることができる様々な機器やシステム等が、多く用いられている。しかし、通常の生活で消費されるエネルギは電気のみでなく、給湯によっても消費されている。このため、さらなる省エネルギ化を図る際には、給湯によって消費されるエネルギを低減することが有効になっている。
【0003】
給湯で消費されるエネルギを低減する場合は、給湯で用いられるエネルギを検出する必要があり、その手法としては、給湯時の湯の温度や流量を検出する手法が挙げられる。例えば、特許文献1に記載された浴槽の循環口ユニットでは、浴槽の循環口に温度センサや流量センサを設け、循環口を流れる湯の温度や流量に応じてLEDを点灯させることにより、湯の温度や流量を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−215994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、湯の温度や流量に応じて単にLEDを点灯させるのみでは、所定以上の温度や流量であるか否かの検出に留まるため、給湯で用いられるエネルギを正確に検出することは不可能になっている。このため、例えば、浴槽内の湯の追焚きをした場合でも、追焚きに使用されるエネルギを正確に検出することはできない。このように、従来の循環口装置では、給湯によって消費されるエネルギの精度の高い検出は困難なものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱交換によって水の温度を変化させる際におけるエネルギの消費量を精度よく算出することを目的とし、特に、給湯によるエネルギの消費量を精度よく算出することを可能にできる循環口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る循環口装置は、水槽内の水を吸入する吸入口と、熱交換器から供給される水を前記水槽内へ吐水する吐水口と、前記吸入口から吸入した水の流量を検出する吸入口用流量検出手段と、前記吐水口から吐水する水の流量を検出する吐水口用流量検出手段と、前記吸入口から吸入した水の温度を検出する吸入口用温度検出手段と、前記吐水口から吐水する水の温度を検出する吐水口用温度検出手段と、前記吸入口用流量検出手段と前記吐水口用流量検出手段とで検出した水の流量情報と、前記吸入口用温度検出手段と前記吐水口用温度検出手段とで検出した水の温度情報と、を遠隔へ送信する無線送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記循環口装置において、前記吸入口用流量検出手段と前記吐水口用流量検出手段とのうち少なくともいずれか一方は、流量を検出する水の流れを受ける水車を有すると共に前記水車の回転により発電する発電手段として設けられており、前記無線送信手段は、前記発電手段で発電した電気を用いて無線送信することが好ましい。
【0009】
また、上記循環口装置において、さらに、前記発電手段で発電した電気を蓄電する蓄電手段を備えており、前記無線送信手段は、前記蓄電手段で蓄電した電気も用いて無線送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る循環口装置は、熱交換器によって水の熱交換を行う場合における水の温度変化の情報と、温度が変化する水の流量の情報とを遠隔へ送信するため、これらの情報に基づいて、熱交換時におけるエネルギの消費量を算出することができる。これにより、給湯によるエネルギの消費量を精度よく算出することを可能にできる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に係る循環口装置を備える浴槽ユニットの構成例を示す摸式図である。
【図2】図2は、図1のA部詳細図である。
【図3】図3は、図2に示す吸入口用流量計の詳細図である。
【図4】図4は、実施形態に係る循環口装置の変形例であり、蓄電池を設ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る循環口装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る循環口装置を備える浴槽ユニットの構成例を示す摸式図である。同図に示す浴槽ユニット1は、内部に湯水を溜める水槽である浴槽10と、浴槽10内に吐水する湯水の温度を上昇させる熱交換器である給湯器15と、を有しており、浴槽10と給湯器15とは、当該浴槽10と給湯器15との間で湯水を循環させる循環配管20によって接続されている。なお、以降の説明では、浴槽ユニット1で扱う湯水は、温度に関わらず全て「水」として表現する。また、給湯器15は、水の温度を上昇させる際の熱源として、電気を用いるものやガスを用いるものなど、いずれの形態のものでも適用することができる。
【0014】
循環配管20は、浴槽10内の水を給湯器15側に流す吸入側配管21と、給湯器15側から浴槽10内に水を流す吐水側配管22と、を有している。本実施形態に係る循環口装置30は、浴槽10に取り付けられており、吸入側配管21と吐水側配管22とは、共に循環口装置30に接続されている。また、給湯器15には、浴槽10内の水を増量させる場合、つまり、いわゆる足し湯をする場合に、浴槽ユニット1の外部の給水管(図示省略)等から浴槽ユニット1に水を取り込む配管である足し湯配管25が接続されている。このように設けられる足し湯配管25には、当該足し湯配管25内を流れる水の温度を検出する増量水温度検出手段である足し湯温度センサ26が設けられている。この給湯器15は、浴槽10が設置される浴室内に設置される操作部(図示省略)を操作することにより、所望の給湯の運転を行わせることが可能になっている。
【0015】
図2は、図1のA部詳細図である。循環口装置30が取り付けられる部分の浴槽10の側壁11には、浴槽10の内側と外側とを連通する孔である開口部12が形成されており、循環口装置30は、開口部12に通された状態で浴槽10に取り付けられている。即ち、循環口装置30は、浴槽10の内側から側壁11の開口部12に通され、開口部12を含む側壁11との間にパッキン91を介在させた状態で、浴槽10の外側から固定ナット90を循環口装置30に螺合することにより取り付けられている。
【0016】
浴槽10の側壁11に取り付けられる循環口装置30は、浴槽10内の水を吸入する吸入口35と、給湯器15から供給される水を浴槽10内へ吐水する吐水口36とを有しており、吸入口35と吐水口36とは、共に浴槽10の内側に開口している。
【0017】
詳しくは、循環口装置30は、外ケース31と内ケース32とを有しており、外ケース31の内側に内ケース32が配設されている。この外ケース31と内ケース32とは、共に円筒の一端に、当該円筒の径よりも大きい径で形成される有底の円筒が、中心軸同士が一致すると共に底部側が他方の円筒側に位置する向きになり、径が小さい方の円筒の端部が、有底の円筒の底部に開口した状態で接続される形状で形成されている。
【0018】
外ケース31と内ケース32とは、共にこのような形状で形成されており、円筒の径の大きさが、内ケース32の径の大きさよりも、外ケース31の径の大きさの方が大きくなっている。このため、外ケース31の内側に配設される内ケース32の外周面と外ケース31との間には空間が形成されており、この空間は、給湯器15から供給される水が浴槽10内の方向へ流れる際における通路である吐水側通路34になっている。この吐水側通路34は、浴槽10内に対して開口しており、この開口部分が吐水口36になっている。
【0019】
また、内ケース32の有底の円筒における底部が位置する側の反対側の部分は、中央付近に孔が開いた円板状の蓋部37によって閉塞されており、この孔は、浴槽10内に対して開口する吸入口35になっている。さらに、内ケース32の径が小さい方の円筒の内側部分と、後述する吸入口用流量計40における水が流れる部分は、浴槽10内から吸入した水の通路である吸入側通路33になっている。
【0020】
循環口装置30には、吸入側配管21と吐水側配管22とが接続されているが、この吸入側配管21と吐水側配管22とのうち、吸入側配管21は吸入側通路33に連通しており、吐水側配管22は吐水側通路34に連通している。
【0021】
また、吸入側通路33と吐水側通路34とには、それぞれの通路を流れる水の温度を検出する温度センサが配設されている。つまり、吸入側通路33には、吸入口35から吸入した水の温度を検出する吸入口用温度検出手段である吸入口用温度センサ70が配設されている。同様に、吐水側通路34には、吐水口36から吐水する水の温度を検出する吐水口用温度検出手段である吐水口用温度センサ75が配設されている。
【0022】
さらに、循環口装置30は、吸入側通路33や吐水側通路34を流れる水の流量を検出する流量検出手段を有している。つまり、循環口装置30は、吸入口35から吸入した水の流量を検出する吸入口用流量検出手段である吸入口用流量計40と、吐水口36から吐水する水の流量を検出する吐水口用流量検出手段である吐水口用流量計60とを有している。これらの吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とは、共に吸入側通路33または吐水側通路34を流れる水の流れによって発電する発電手段として設けられている。
【0023】
図3は、図2に示す吸入口用流量計の詳細図である。吸入口用流量計40は、当該吸入口用流量計40で流量を検出する水、即ち、吸入側通路33を流れる水の流れを受ける水車41を有しており、この水車41の回転により発電をすることが可能になっている。詳しくは、吸入口用流量計40は、水車41を収容する水車ケース42を有しており、水車41は、回転軸43の軸方向が内ケース32の中心軸と一致する向きで水車ケース42内に回転軸43を中心として回転可能に内設されている。この水車ケース42は、水車41を内設すると共に、その内側は、浴槽10内から吸入した水の通路である吸入側通路33としても設けられている。
【0024】
また、回転軸43にはマグネット45が、水車41や回転軸43と一体回転可能に接続されており、マグネット45は、水車41よりも吸入口35から離れた位置に配設されている。換言すると、水車41は、マグネット45よりも、吸入側通路33を流れる水の流れ方向における上流側に配設されている。さらに、回転軸43を中心とする径方向におけるマグネット45の外方側には、コイル46とヨーク47とが回転不可の状態で配設されている。
【0025】
このように構成される吸入口用流量計40は、シール材を介して内ケース32に水密に取り付けられており、この吸入口用流量計40の外周面と、内ケース32の内面とで画成される空間は、収容部38になっている。吸入口用流量計40は、水密に内ケース32に取り付けられているため、吸入側通路33内を水が流れる場合でも、収容部38にはこの水が流れないようになっている。
【0026】
吐水口用流量計60も吸入口用流量計40と略同様に構成される発電手段になっている。即ち、吐水口用流量計60は、当該吐水口用流量計60で流量を検出する水である吐水側通路34を流れる水の流れを受ける水車61を有しており、この水車61の回転により発電をすることが可能になっている。その際に、吐水側通路34は、外ケース31と内ケース32との間の空間によって形成されているため、水車61は、内ケース32の中心軸を中心として内ケース32の外周面の周囲を回転可能に配設されている。また、この水車61は、吐水口用流量計60のマグネット65よりも、吐水側通路34を流れる水の流れ方向における上流側に配設されており、即ち、マグネット65よりも、吐水口36から離れた位置に配設されている。
【0027】
また、循環口装置30は、外部の通信機器(図示省略)に対して所定の情報を無線送信する無線送信手段である無線送信装置80が設けられている。この無線送信装置80は、収容部38内に配設されており、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60、及び吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とに電気的に接続されている。これにより、無線送信装置80は、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とで検出した水の流量情報と、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とで検出した水の温度情報とを、遠隔へ送信することが可能になっている。
【0028】
無線送信装置80との無線通信を行う通信機器は、浴槽ユニット1が設置される建物で使用する他の電気機器等の使用状態の検出も可能な装置として構成されている。無線送信装置80は、浴槽ユニット1の使用状態として、給湯器15の使用時における水の温度や流量の情報を通信機器に無線送信する。
【0029】
また、足し湯配管25に設けられる足し湯温度センサ26は、循環口装置30の吸入口用流量計40等と同様に、足し湯配管25内の水の流れを受けて発電をする発電機能と、無線送信の機能を有している。これにより、足し湯温度センサ26は、足し湯配管25内を流れる水の温度を、発電した電気を用いて検出し、この検出した温度情報を、通信機器に無線送信する。
【0030】
本実施形態に係る循環口装置30及び循環口装置30を備える浴槽ユニット1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。浴槽10内に溜められている水の温度を上昇させる場合や、溜められている水の量を増加させる場合には、使用者が浴室内に設けられる操作部に対して、所望の状態になるように入力操作をする。これにより、給湯器15は、操作部に対する入力操作の内容に応じて運転する。
【0031】
例えば、浴槽10内の水の温度を上昇させる操作を行った場合、即ち、追焚きの操作を行った場合には、給湯器15は、浴槽10と給湯器15との間で水を循環させながら温度を上昇させる。具体的に、給湯器15は、循環口装置30に接続されている吸入側配管21内の水を吸引する。この吸入側配管21は、循環口装置30の吸入側通路33に連通しているため、給湯器15で吸入側配管21内の水を吸引した場合には、循環口装置30の吸入口35から吸入側通路33に吸入された浴槽10内の水が、吸入側通路33から吸入側配管21に流入する。
【0032】
給湯器15は、この吸入側配管21に流入した水を吸入し、この水の温度を給湯器15内で上昇させた後、吐水側配管22に吐水する。吐水側配管22は、循環口装置30の吐水側通路34に連通しているため、吐水側配管22に吐水した水は、吐水側通路34に流れ、さらに、吐水口36から浴槽10内に吐水される。
【0033】
吐水口36から吐水された水の温度は、吸入口35から吸入された水の温度より高くなっているため、給湯器15で水の温度を上昇させながら、浴槽10と給湯器15との間で水を循環させることにより、浴槽10内の水の温度は上昇する。このように、上昇する浴槽10内の水の温度が操作部で設定した温度に達したら、給湯器15は停止する。
【0034】
また、浴槽ユニット1を使用する際に浴槽10内の水の量が少ない場合には、足し湯を行う入力操作を操作部に対して行うことにより、給湯器15は、足し湯の給湯運転を行う。足し湯の給湯運転を行う場合には、給湯器15は、浴槽ユニット1の外部の給水管から足し湯配管25を介して給湯器15内に水を取り込み、この取り込んだ水の温度を必要に応じて上昇させた後、吐水側配管22に流す。これにより、この水は循環口装置30の吐水口36から浴槽10内に吐水されるため、浴槽10内には、所望の温度まで上昇した後の水が吐水され、いわゆる足し湯が行われる。
【0035】
浴槽ユニット1では、給湯器15を運転させることにより、浴槽10内の水の温度や量を所望の温度や量にするが、給湯器15の運転時には、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60、吸入口用温度センサ70、吐水口用温度センサ75が作動する。例えば、給湯器15を用いて追焚きを行う場合、循環口装置30が有する吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電を行う。即ち、浴槽10と給湯器15との間で水を循環させる場合、吸入口用流量計40は、吸入側通路33に配設される水車41が、吸入側通路33を流れる水を受けて回転する。この水車41の回転により、当該水車41と一体に回転可能なマグネット45も回転し、コイル46の周囲の磁界が変化することにより、吸入口用流量計40は発電をする。
【0036】
吸入口用流量計40での発電時に変化する磁界の変化の周波数は、吸入側通路33を流れる水の量で変化し、水の流量が多くなるに従って周波数が高くなるため、この周波数の値は、吸入側通路33を流れる水の量を示している。即ち、吸入口用流量計40は、検出した水の流量を、周波数の形で出力する。このように吸入口用流量計40で発電した電気の大部分は、無線送信装置80に送られる。吸入口用流量計40で発電した電気が伝達された無線送信装置80は、伝達された電気の周波数に基づいて、吸入側通路33を流れる水の量を検知する。
【0037】
同様に、吐水口用流量計60は、吐水側通路34に配設される水車61が、吐水側通路34を流れる水を受けてマグネット65と一体となって回転するように構成されているため、吐水口用流量計60は、吐水側通路34を流れる水によって発電をする。吐水口用流量計60での発電時に変化する磁界の変化の周波数は、吐水側通路34を流れる水の量で変化するため、吐水口用流量計60は、検出した水の流量を、周波数の形で出力する。このように吐水口用流量計60で発電した電気の大部分は、無線送信装置80に送られ、無線送信装置80は、この送られた周波数に基づいて、吐水側通路34を流れる水の量を検知する。
【0038】
また、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気の一部は、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とに供給され、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とは、この電気を用いて水の温度を検出する。具体的には、吸入口用温度センサ70は、吸入側通路33を流れる水の温度を検出することにより、吸入口35から吸入した水の温度を検出する。また、吐水口用温度センサ75は、吐水側通路34の温度を検出することにより、吐水口36から吐水する水の温度を検出する。吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75は、検出した水の温度を無線送信装置80に伝達する。
【0039】
これらの情報が伝達された無線送信装置80は、この情報を、浴槽ユニット1から離れた位置に設置される通信機器に送信する。即ち、無線送信装置80は、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とで検出した水の流量情報や、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とで検出した水の温度情報を、通信機器に対して無線送信する。この場合、無線送信装置80は、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気を用いて無線送信する。
【0040】
さらに、足し湯を行った場合には、足し湯配管25を水が流れる際の力によって、足し湯温度センサ26で発電をしつつ、この足し湯配管25内の水の温度を検出し、検出した温度情報を、通信機器に対して無線送信する。
【0041】
通信機器では、追焚きや足し湯によって消費されたエネルギを、無線送信装置80や足し湯温度センサ26から送信された情報に基づいて算出する。つまり、追焚きや足し湯を行う際に、給湯器15で吸入したり吐水したりする水の量と、この水の温度とを用いて、追焚きや足し湯によって消費されたエネルギを算出する。
【0042】
例えば、追焚きによって消費されたエネルギの算出について説明すると、追焚きを行う場合は、浴槽10内の水は浴槽10と給湯器15との間で循環する。このため、追焚きによって消費されるエネルギ、即ち、給湯器15から水に伝達されるエネルギは、外部から出入りするエネルギを考慮する必要がなく、給湯器15で浴槽10内から吸入する水が有するエネルギに対する、給湯器15から浴槽10内に吐水する水が有するエネルギの増加分になる。これらの水が有するエネルギは、水の量と温度の積によって示すことができるため、浴槽10内から吸入する水と浴槽10内に吐水する水との量の差、及び温度の差をそれぞれ算出し、これらを積算することにより算出することができる。
【0043】
まず、水の量の差の算出について説明すると、追焚き時は水は循環するため、浴槽10内から吸入する水の量と、浴槽10内に吐水する水の量、及び給湯器15から熱エネルギを伝達する水の量は、全て同じ量になる。このため、吸入口用流量計40で検出する水の量をLとし、吐水口用流量計60で検出する水の量をLとし、給湯器15から熱エネルギを伝達する水の量をLとした場合、下記の式(1)が成立する。
=L=L・・・(1)
【0044】
また、追焚き時は、吸入口35から吸入した水の温度を給湯器15で上昇させた後、吐水口36から吐水するため、給湯器15から水に熱エネルギを伝達することによる水の温度の上昇分は、浴槽10内から吸入する水の温度と浴槽10内に吐水する水の温度との差分になる。このため、この水の温度の差分と、給湯器15から熱エネルギを伝達する水の量との積算値が、追焚き時に消費する熱エネルギの大きさになる。従って、吸入口用温度センサ70で検出する水の温度をTとし、吐水口用温度センサ75で検出する水の温度をTとし、追焚き時に消費する熱エネルギをEcとした場合、下記の式(2)が成立する。
Ec=L×(T−T)・・・(2)
【0045】
追焚き時に消費されたエネルギを、無線送信装置80から無線送信によって伝達された水の流量情報や水の温度情報より通信機器で算出する場合には、通信機器は、上記の式(1)と式(2)とを用いて算出する。
【0046】
次に、足し湯によって消費されたエネルギの算出について説明すると、足し湯を行う場合は、足し湯配管25から給湯器15に流入した水を循環口装置30の吐水口36から吐水するが、この水の吐水量は、吸入口35から吸入する水の量と吐水口36から吐水する水の量との差より算出することができる。即ち、浴槽ユニット1内で水の量の変化がない場合には、吸入口35から吸入する水の量と吐水口36から吐水する水の量とは差が生じないが、浴槽10内の水の量を、給湯器15を介して増量させる場合は、吐水口36から吐水する水の量は、吸入口35から吸入する水の量より多くなる。
【0047】
このため、足し湯を行う場合に増加する水の量をLとした場合、この増加する水の量Lは、吸入口用流量計40で検出する水の量Lと吐水口用流量計60で検出する水の量Lとより、下記の式(3)で算出することができる。
L=L−L・・・(3)
【0048】
また、足し湯時は、足し湯配管25から給湯器15に流入した水の温度を給湯器15で上昇させた後、吐水口36から吐水するため、給湯器15から水に熱エネルギを伝達することによる水の温度の上昇分は、足し湯配管25から給湯器15に流入する水の温度と浴槽10内に吐水する水の温度との差分になる。このため、この水の温度の差分と、給湯器15から熱エネルギを伝達する水の量との積算値が、足し湯時に消費する熱エネルギの大きさになる。従って、吐水口用温度センサ75で検出する水の温度をTとし、足し湯温度センサ26で検出する水の温度をTとし、足し湯時に消費する熱エネルギをEaとした場合、下記の式(4)が成立する。
Ea=L×(T−T)・・・(4)
【0049】
足し湯時に消費されたエネルギを、無線送信装置80や足し湯温度センサ26から無線送信によって伝達された水の流量情報や水の温度情報より通信機器で算出する場合には、通信機器は、上記の式(3)と式(4)とを用いて算出する。
【0050】
以上の循環口装置30は、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とを有しているため、追焚き時や足し湯時に、吸入口35から吸入した水の流量や吐水口36から吐水する水の流量を検出することができる。また、吸入口用温度センサ70と吐水口用温度センサ75とを有しているため、追焚き時や足し湯時に、吸入口35から吸入した水の流量や吐水口36から吐水する水の温度を検出することができる。さらに、無線送信装置80を有しているため、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で検出した水の流量や、吸入口用温度センサ70や吐水口用温度センサ75で検出した水の温度を、循環口装置30から離れた位置に設置される通信機器に無線送信することができる。これにより、給湯器15を運転させて給湯する場合における水の温度変化の情報と、このように温度が変化する水の流量の情報とを通信機器で受信し、これらの情報に基づいて、エネルギの消費量を算出することができる。この結果、本実施形態に係る循環口装置30は、給湯によるエネルギの消費量を精度よく算出することを可能にすることができる。
【0051】
また、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60は発電手段としても設けられており、無線送信装置80は、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気を用いて無線送信するため、追焚き時や足し湯時の水の温度や流量の情報を、外部からの電力を用いることなく遠隔に送信することができる。この結果、給湯によるエネルギの消費量を、外部の電力エネルギを消費することなく継続的に、遠隔で算出することができる。
【0052】
また、循環口装置30は、吸入口用流量計40、吐水口用流量計60、吸入口用温度センサ70、吐水口用温度センサ75、無線送信装置80が、全て一体となって構成されているため、浴槽ユニット1に容易に組み込むことができる。この結果、給湯によるエネルギの消費量を、容易に精度よく算出することができる。
【0053】
なお、上述した循環口装置30では、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気を、直接無線送信装置80や、吸入口用温度センサ70、吐水口用温度センサ75で使用しているが、発電した電気は、蓄電してもよい。
【0054】
図4は、実施形態に係る循環口装置の変形例であり、蓄電池を設ける場合の説明図である。蓄電をする場合には、例えば、図4に示すように、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気を蓄電する蓄電手段である蓄電池100を循環口装置30に備えてもよい。この場合、蓄電池100は、例えば、収容部38に配設し、吸入口用流量計40、吐水口用流量計60、吸入口用温度センサ70、吐水口用温度センサ75、無線送信装置80に対して電気的に接続する。これにより、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60で発電した電気の一部を、蓄電池100で蓄電することができ、蓄電池100で蓄電した電気は、吸入口用温度センサ70、吐水口用温度センサ75や、無線送信装置80で使用することができる。
【0055】
このため、吸入口用温度センサ70や吐水口用温度センサ75は、蓄電池100で蓄電した電気も用いて水の温度を検出することができ、無線送信装置80は、蓄電池100で蓄電した電気も用いて無線送信することができる。従って、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60の発電状態に関わらず、水の温度を検出したり、水の温度情報や流量の情報を遠隔に送信したりすることができる。例えば、追焚きや足し湯の開始直後や終了直前で、吸入側通路33や吐水側通路34を流れる水の量が少なく、吸入口用流量計40や吐水口用流量計60による発電量が少ない場合でも、蓄電池100で蓄電した電気によって無線送信等を行うことができる。この結果、給湯によるエネルギの消費量を、より確実に精度よく算出することができる。なお、蓄電手段を設ける場合は、蓄電池100以外のものを用いてもよく、例えばキャパシタを用いてもよい。
【0056】
また、上述した循環口装置30では、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60との双方が発電手段を兼ねているが、発電手段を兼ねる流量検出手段は、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60との双方でなくてもよい。即ち、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とのうち少なくともいずれか一方が、水車41、61を有すると共に水車41、61の回転により発電する発電手段として設けられていればよい。このように、いずれか一方の流量検出手段が発電手段を兼ねることにより、外部の電気を用いることなく、給湯によるエネルギの消費量の算出を可能にすることができる。
【0057】
また、吸入口用流量計40と吐水口用流量計60とのうち、一方の流量検出手段のみを発電手段も兼ねさせる場合には、吐水口用流量計60を、発電手段も兼ねさせるのが好ましい。吐水口36からは、追焚き時も足し湯時も給湯器15側からの水を吐水するため、吐水口用流量計60を、発電手段も兼ねさせる構成にすることにより、給湯によるエネルギの消費量を、より確実に外部の電気を用いることなく算出することができる。
【0058】
また、上述した循環口装置30では、吸入側通路33と吐水側通路34、即ち、吸入口35と吐水口36とが一体に構成され、吸入側通路33や吸入口35を有する部材と、吐水側通路34や吐水口36を有する部材とは、別体となって構成されていてもよい。循環口装置30は、給湯器15からの水の吐水側の部分と、給湯器15への水の吸入部分とが分離して構成されている場合でも、吸入する水の量と温度、及び吐水する水の量と温度とを検出することができ、検出した情報を遠隔に送信することが可能になっていれば、給湯によるエネルギの消費量の精度よい算出が可能になる。
【0059】
また、上述した循環口装置30は、熱交換器として、水の温度を上昇させる給湯器15が用いられる浴槽ユニット1に備えられているが、循環口装置30は、浴槽ユニット1以外に備えられていてもよい。循環口装置30は、例えば、熱交換器として、吸入した水の温度を低下させて吐水するように熱交換を行うものが用いられるユニットに備えられていてもよい。このように、熱交換器によって水の温度を低下させる場合でも、水槽から吸入する水の流量と温度、及び熱交換器側から水槽内に吐水する水の流量と温度を検出し、この検出した情報を遠隔に送信することにより、熱交換を行う際におけるエネルギの消費量を、精度よく算出することが可能になる。
【符号の説明】
【0060】
1 浴槽ユニット
10 浴槽
15 給湯器
20 循環配管
21 吸入側配管
22 吐水側配管
25 足し湯配管
26 足し湯温度センサ
30 循環口装置
33 吸入側通路
34 吐水側通路
35 吸入口
36 吐水口
40 吸入口用流量計
41、61 水車
45、65 マグネット
46 コイル
47 ヨーク
60 吐水口用流量計
70 吸入口用温度センサ
75 吐水口用温度センサ
80 無線送信装置
100 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内の水を吸入する吸入口と、
熱交換器から供給される水を前記水槽内へ吐水する吐水口と、
前記吸入口から吸入した水の流量を検出する吸入口用流量検出手段と、
前記吐水口から吐水する水の流量を検出する吐水口用流量検出手段と、
前記吸入口から吸入した水の温度を検出する吸入口用温度検出手段と、
前記吐水口から吐水する水の温度を検出する吐水口用温度検出手段と、
前記吸入口用流量検出手段と前記吐水口用流量検出手段とで検出した水の流量情報と、前記吸入口用温度検出手段と前記吐水口用温度検出手段とで検出した水の温度情報と、を遠隔へ送信する無線送信手段と、
を備えることを特徴とする循環口装置。
【請求項2】
前記吸入口用流量検出手段と前記吐水口用流量検出手段とのうち少なくともいずれか一方は、流量を検出する水の流れを受ける水車を有すると共に前記水車の回転により発電する発電手段として設けられており、
前記無線送信手段は、前記発電手段で発電した電気を用いて無線送信することを特徴とする請求項1に記載の循環口装置。
【請求項3】
さらに、前記発電手段で発電した電気を蓄電する蓄電手段を備えており、
前記無線送信手段は、前記蓄電手段で蓄電した電気も用いて無線送信することを特徴とする請求項2に記載の循環口装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−34757(P2013−34757A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174897(P2011−174897)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】