説明

循環式トイレシステムおよび循環システム

【課題】 少ないスペースで配置できなおかつ連続して運連可能な循環式トイレシステムおよび循環システムを提供する。
【解決手段】 便器11とロータンク12とから構成された水洗トイレシステムは、攪拌槽20と、薬液添加槽30と、第1、第2の固液分離槽40、50と脱水槽60と、水処理槽70と固体処理槽80とから構成される。第1、第2の分離槽40、50で固液分離された水は水処理槽70で処理されてロータンク12に戻される。分離された固体は固体処理槽80で処理されて廃棄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環式トイレシステムおよび循環システムに関する。より詳しく述べると水洗トイレ用便器と前記水洗トイレに水を供給するためのロータンクとから構成された、水洗トイレシステムにおける便器の排出口と、ロータンクの水供給口に接続し、便器からの排出物を固液分離し、固液分離した液体を水処理して前記ロータンクに戻す構成を有している循環式トイレおよび水洗トイレシステムに接続して循環式トイレシステムを構成するための水循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道設備の普及していない地域の住居、公園、河川敷、山小屋等にトイレを設置した場合、通常その排泄物は固形分と液体分とが一緒にし尿収容槽に溜めて、し尿がある程度の量になるとバキュームカー等で回収して浄化設備を有している場所に移送し当該浄化設備を有している場所で処理していた。
【0003】
特許文献1は、このようなし尿の処理方法として、生物処理を行って、排泄物の固形分と液体とに分離し、分離した固形分はコンポスト化し、一方分離した水分は浄化処理を行ってリサイクルする方法が提案されている。
【0004】
し尿収容槽を利用する方法は、悪臭が発生し、これを使用する者に不快感を与える。また、し尿収容槽に溜められたし尿は液体と固体の両者であり、これを運搬する場合の運送費も高価である。また、微生物による浄化設備は、微生物は温度が低くなると働きが鈍くなり、浄化効率が悪くなるという欠点がある。微生物の管理は非常に微妙であり、予期せぬ出来事により微生物が浄化しないことも生じるおそれがある。
【0005】
このような現状を鑑みて、特許文献2では不安定な生物処理でなく安定した凝結剤による排泄物の固液分離を行い、分離した水をリサイクルするシステムが提案されている。特許文献2に記載のリサイクルシステムは、し尿を細かく砕く粉砕機と、細かく砕いたし尿と凝結剤とを攪拌する攪拌装置と、固液を分離する沈殿槽と、分離した液体を洗浄水として回収するポンプとで構成された水循環式のし尿処理装置から構成されている。
【0006】
特許文献2には、水洗とすることで悪臭が発生せず、し尿に含まれている水をリサイクルして洗浄水とすることで、水洗トイレで使用する水の量を少なくすることができる。またトイレを使用する者に不快感を与えないなどの効果が記載されている(特許文献2、段落0007)。
【0007】
【先行技術文献】
【特許文献1】 特開平11−131552号公報
【特許文献2】 特開2008−284502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者等による実験によると、特許文献2に記載の水循環式のトイレシステムは、水洗トイレに流されるし尿と紙と水との混合物から短期間に固形分と水分とを分離することができず、期待される動作が確認できなかった。
【0009】
特に、特許文献2に記載の装置は、脱水槽としてヒータを利用するため、エネルギ的に問題があり、また例えば、イベント会場などの仮設トイレに用いる場合には連続して水を循環できず連続使用には耐えられないものであった。
【0010】
また、ヒータなどの加熱手段による脱水ではスペースも広くなり装置が大型化してしまうという欠点があった。
【0011】
さらに、特許文献2に記載の凝集剤では、固液分離が完全に行うことができず、また、複数台のトイレシステムを一つの循環システムで賄うことができなかった。
【0012】
したがって、本発明の課題は、少ないスペースで配置できなおかつ連続して運連可能な循環式トイレシステムおよび循環式トイレシステム用の水循環システムを提供することである。
【0013】
本発明の他の課題は、複数のトイレシステムを稼働できる循環式トイレシステムにおける水循環システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明は、下記項目に関する。
(1) 便器と前記便器に水を供給するためのロータンクとから構成されたトイレシステムと、前記便器からのし尿と、紙と、水との混合物を固液分離し、固液分離した液体を水処理して、前記ロータンクに戻して循環再利用する循環式トイレシステムであって、前記便器からの混合物を攪拌するための攪拌槽と、前記攪拌槽からの混合物に分離剤を添加するための第1の計量添加手段と、混合物を圧送するためのポンプとを有する薬液添加槽と、前記薬液添加槽からの混合物にさらに分離剤を添加するための第2の計量添加手段と、前記混合物を固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第1の固液分離手段とを有する第1の固液分離槽と、前記第1の固液分離槽からの液体をさらに固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第2の固液分離手段を有する第2の分離槽と、前記第2の固液分離槽からの液体に殺菌剤を添加して水処理するとともに前記処理した水を前記ロータンクに戻す流路を有している水処理槽と、前記第1と第2の固液分離槽とからの固体成分から水分を除去し、前記除去した水分を前記第1の分離槽に戻す脱水槽と、前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽と、から構成されていることを特徴とする循環式トイレシステム。
【0015】
(2) 前記第1および第2の固液分離手段が、各々前記前記第1および第2の固液分離槽を上下に区切るメッシュ状の固液分離手段であって、第2の固液分離手段は、前記第1のメッシュ状固液分離手段よりも細かいメッシュを有することを特徴とする(1)に記載の循環式トイレシステム。
【0016】
(3) さらに、前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽を有していることを特徴とする(1)または(2)に記載の循環式トイレ用の水循環システム。
【0017】
(4) 前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、前記ロータンクからの水洗スイッチと連動して動作することを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【0018】
(5) 前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、複数の水洗トイレシステムと接続されていることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【0019】
(6) 前記脱水槽は、前記第1と前記第2の固液分離槽の間に配置されていることを特徴とする(1)から(5)のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【0020】
(7) 前記循環式トイレシステムは、仮設用トイレとして用いられることを特徴とする(1)から(6)のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【0021】
(8) 前記循環式トイレシステムは、移動手段に搭載されていることを特徴とする(1)から(7)のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【0022】
(9) 便器と前記便器に水を供給するためのロータンクとから構成されたトイレシステムと接続し、前記便器からのし尿と、紙と、水との混合物を固液分離し、固液分離した液体を水処理して、前記ロータンクに戻して循環再利用する循環式トイレシステムを構成するための水循環システムであって、前記便器からの混合物を攪拌するための攪拌槽と、前記攪拌槽からの混合物に分離剤を添加するための第1の計量添加手段と、混合物を圧送するためのポンプとを有する薬液添加槽と、前記薬液添加槽からの混合物にさらに分離剤を添加するための第2の計量添加手段と、前記混合物を固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第1の固液分離手段とを有する第1の固液分離槽と、前記第1の固液分離槽からの液体をさらに固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第2の固液分離手段を有する第2の分離槽と、前記第2の固液分離槽からの液体に殺菌剤を添加して水処理するとともに前記処理した水を前記ロータンクに戻す流路を有している水処理槽と、前記第1と第2の固液分離槽とからの固体成分から水分を除去し、前記除去した水分を前記第1の分離槽に戻す脱水槽と、から構成されていることを特徴とする水循環システム。
【0023】
(10) 前記第1および第2の固液分離手段が、各々前記前記第1および第2の固液分離槽を上下に区切るメッシュ状の固液分離手段であって、第2の固液分離手段は、前記第1のメッシュ状固液分離手段よりも細かいメッシュを有することを特徴とする(9)に記載の水循環システム。
【0024】
(11) さらに、前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽を有していることを特徴とする(9)または(10)に記載の水循環システム。
【0025】
(12) 前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、前記ロータンクからの水洗スイッチと連動して動作することを特徴とする(9)から(11)のいずれか1項に記載の水循環システム。
【0026】
(13) 前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、複数の水洗トイレシステムと接続されていることを特徴とする(9)から(12)のいずれか1項に記載の水循環システム。
【0027】
(14) 前記脱水槽は、前記第1と前記第2の固液分離槽の間に配置されていることを特徴とする(9)から(13)のいずれか1項に記載の水循環式システム。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、省スペースで連続稼働可能な循環式トイレ用の水循環システムが提供される。この循環式トイレ用の水循環システムは、省スペースであり、なおかつ複数台の水洗トイレシステムに対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本発明の循環式トイレシステムの概略を示す図面である。
【図2】 図1に示す循環式トイレシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の循環式トイレ用の水循環システムを複数台の水洗トイレシステムに適用した例を示す図面である。
【符号の説明】
【0030】
11 便器
12 ロータンク
20 撹拌槽
30 薬液添加槽
40、50 固液分離槽
60 脱水槽
70 水処理槽
80 固体処理槽
90 コントロールボックス
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の循環式トイレシステムの概略を示す図面であり、そして図2は、図1に示す循環式トイレシステムの動作を示すフローチャートである。まず、図1および図2に基づいて、本発明の循環式トイレシステムを説明する。
【0032】
図1および図2に示す通り、本発明の循環式トイレシステムは、水洗トイレ用便器11と便器11に水を供給するためのロータンク12とから構成された、水洗トイレシステムと、水洗トイレシステムにおける便器11の排出口とロータンク12と接続された水循環システムとから主として構成される。水循環システムは、便器11から排出された混合物(し尿、紙、水等の混合物)を固体成分と液体成分とに固液分離した後に液体成分である水を処理してロータンク12に戻す構成を有している。そして、水循環システムは、固液分離した固体成分を適正な固体処理を行って貯蔵し、所定量の固体成分が溜まった際に回収処理される。回収された固体成分は、一般に廃棄されるが、コンポスト等へ利用することも可能である。
【0033】
図1に示す通り、水循環システムは、攪拌槽20、薬液添加槽30、第1の分離槽40、第2の分離槽50、脱水槽60、水処理槽70、固体処理槽80とから主として構成され、コントロールボックス90により駆動制御されている。フロートスイッチ12aは、ロータンク12内の水位に基づいて便器11への水の開閉弁(図示せず)や水供給源(本発明の場合には水処理槽70)から供給される水の開閉弁(図示せず)を制御するスイッチである。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、コントロールボックス90は、ロータンク12のフロートスイッチ12aと連動して水循環システムの2の駆動制御を行っている。
【0035】
すなわち、まず使用者は、し尿の種類に応じて水洗スイッチ(大または小)を操作してロータンク12から便器に水を流すと、ロータンク12からの便器11への水の供給が終了後、流した水の量に応じて水処理槽70からロータンクに水が供給される。そして、水位センサの機能を有するフロートスイッチは、所定量の水がロータンク12に供給されると水の供給をストップさせる(図2参照)。そのため、本発明では、フロートスイッチ12aと連動させて各装置の駆動制御を行うのが便利である。
【0036】
水循環システム2を構成する攪拌槽20は、便器11と流路L1を介して接続され、攪拌処理した混合物を薬液添加槽30側へ送る流路を有するタンクであり、便器11からのし尿混合物を十分に攪拌するための攪拌機21を有するステンレス製のタンクである。この攪拌機21は、コントロールボックス90により駆動制御される。
【0037】
攪拌槽20は、し尿混合物を所定時間(例えば、数秒)攪拌処理することにより、固形分(糞や紙)と水分とを均一に混合する槽である。すなわち、攪拌槽20において、便器11からの混合物を流動性のよいスラリとする。本発明において使用する攪拌機21は、本発明の目的・効果を奏するものであれば特に限定されるものではないが、一般にコントロールボックスにより駆動制御されるモータによりシャフトを介して回転する羽根により混合物を回転する構成を有している。
【0038】
攪拌槽20で均一に混合されたす混合物(流動性の高いスラリ)は、次いで薬液添加槽30へと送られる。薬液添加槽30は、攪拌槽20からのスラリに分離剤を添加した後に次の槽である第1の固液分離槽40へ送るための槽であり、一般にはステンレス製である。薬液添加槽30は、攪拌槽20と下側で接続するための流路L2と分離剤を計量添加するための計量添加手段31と分離剤が添加された混合物を流路L3を介して第1の分離槽40へ圧送するためのポンプP1と脱水槽70からの水分を流す流路L4とから主として構成されている。
【0039】
分離剤(一般には粉末状の分離剤)を添加するための計量添加手段31は、コントロールボックス90により駆動制御され、例えば攪拌機21で所定時間攪拌処理を終了し、薬液添加槽30内に混合物が流入した際に、所定量の分離剤を混合物に添加する従来公知の計量添加手段である。
【0040】
本発明では、例えば固形糊成分、硫酸バンド、ケイ酸ソーダ、ゼオライト、硫酸カルシウム、珪藻土、活性白土、消石灰、石炭、骨粉などの粉末混合物を分離剤として使用するが、このような粉末の分離剤をホッパーなどに注入し、ホッパーから所定時間投下することによって所定量の分離剤を薬液添加槽30内に添加する。
【0041】
分離剤が添加された混合物(流動性のあるスラリ)は、次いでポンプP1により第1の分離槽40の上方(固液分離手段42で上下方向に区切られた上側)に圧送される。第1の固液分離槽40は、薬液添加槽30と同一または異なる分離剤を計量添加するための計量添加手段41、薬液添加槽30からの混合物を水分と固形分とに固液分離するための第1の固液分離手段42を有するステンレス製のタンクであり、薬液添加槽30(流路L3、L4)、第2の分離槽50(流路L5)、脱水槽60(流路L6)を介して接続されている。
【0042】
第1の分離槽40では、分離剤を計量添加するための計量添加手段41により薬液添加槽30と同様にして分離剤が添加され、分離剤が添加された混合物を第1の固液分離手段42により固体と液体とに分離する。
【0043】
第1の固液分離手段42は、一般にメッシュ状の固液分離手段(例えば50メッシュ)であり、後述する第2の固液分離手段51よりも粗いメッシュから構成されている。そして、薬液添加槽20から第1の固液分離槽40に圧送され、計量添加手段41により分離剤がさらに添加されたスラリがメッシュ状の第1の分離手段42で区切られた第1の分離槽40の上側の部屋でスラリの自重によりメッシュ状の第1の分離手段42を介して液状成分が有意に下方へと移行する。
【0043】
このように(第2の固液分離槽50における第2のメッシュ状固液分離手段51と比較して)目の粗い第1のメッシュ状の固液分離手段42を用いることにより、スラリ状の混合物を非常に迅速に固体成分と液体成分とに分離できる。
【0044】
第1のメッシュ状の固液分離手段42により分離された液体は流路L5を介して第2の分離槽50へ送られるとともに、固液分離手段42により分離された固体は流路L6を介して脱水槽60に送られる(図2参照)。
【0045】
この際の流路L6は、第1の固液分離槽40を上方として、脱水槽60と傾斜が設けられていることが好ましい。このように傾斜を設けることによって、第1の分離手段42で区切られた第1の分離槽40の上側の部屋に滞留するスラリは、流路L6の傾斜を通って脱水槽60へと移行する。
【0046】
第2の固液分離槽50は、第1の分離槽40からの液体をさらに水分と固形分とに固液分離するための第2のメッシュ状の固液分離手段51を有するステンレス製のタンクであり、第1の分離槽40と流路L5を介して、脱水槽60と流路L7を介して、水処理槽70と流路L8を介して、そしてロータンク12側に流路L9を介して各々接続されている。
【0047】
第1の固液分離槽40からの液体は、流路L5を介して第2の固液分離槽50の上方側(第2の固液分離手段を介して区切られた上側の部屋)へと送られ、そして、ここでさらに第2の固液分離手段により固体成分と液体成分へと分離される。
【0048】
すなわち、第1のメッシュ状の固液分離手段42により分離された液体にはまだ固体成分がかなり残存しており、この固体成分を第1のメッシュ状の固液分離手段42のメッシュより細かいメッシュ(例えば100メッシュ)を有している。
【0049】
このように第1および第2の分離槽40、50により固体成分と液体成分とを分離することにより実質的に完全に固体と液体とを分離することが可能である。しかも、スラリ状の混合物を2つの粗さの異なるメッシュ状の固液分離手段42、51により固液分離するので迅速に固液分離を行うことが可能である。そのため、多数の使用者が頻繁に使用するような例えばエベント会場の仮設トイレに本発明の循環式トイレシステムを使用しても対応可能な程度で固液分離を行うことが可能である。
【0050】
しかしながら、本発明はメッシュ状の固液分離手段を有する固液分離槽の数に限定されるものではなく、第3、第4などより多くの分離槽を有していても本発明の範囲内である。また、一つの固液分離槽40または50に複数のメッシュ状の固液分離手段を設けることも本発明の範囲内である。
【0051】
第1および第2の固液分離槽40、50から分離された固体成分は、第1の固液分離槽40と同様に、傾斜が設けられた流路L7を通り脱水槽60へと移され、脱水槽60により脱水処理された後に、固体処理槽80で最終処理されて廃棄に供せられる。脱水槽60において脱水処理された際に生じた水分は、流路L4を介して再び第1の処理槽40に戻され固液分離処理される。
【0052】
このように、第1および第2の固液分離槽40、50の間に脱水槽60を配置することにより省スペースで効率的な脱水処理を実施することが可能となる。
【0053】
固体処理槽80は、脱水槽60からの固体を処理する槽であり、この固体処理槽80には凝固剤を添加するための計量添加手段81が設けられている。そして、固体処理槽80で凝固処理した固体成分は、所望に応じて設けられた貯蔵槽(図示せず)に貯蔵される。
【0054】
一方、第2の分離槽50で分離された液体成分は、次いで水処理槽70に送られ定法に従い、例えば塩素系の殺菌剤で水処理される。
【0055】
このようにして水処理された水は、ロータンク12の水の供給源として循環利用できる。なお、し尿などにより増加した水分は流路L11オーバーブローさせて放流する。
【0056】
このように、攪拌槽20、薬液添加槽30、第1の分離槽40、第2の分離槽50、脱水槽60、水処理槽70、固体処理槽80から構成されコントロールボックス90により制御された本発明の循環式水洗トイレシステムは、少ないスペースで効率よく固液分離を行い。また、分離した水を定法に従って処理することによって、処理後の水をロータンク用の水の供給源として循環再使用可能である。
【0057】
したがって、このような本発明の循環式水洗トイレシステムは、イベントなどの仮設トイレや災害用の仮設トイレとして有効に適用可能である。
【0058】
しかも、非常にコンパクトに設計可能であり、コントロールボックスにより駆動制御されているので、車両や船舶に搭載しこれらの動力源により稼働する移動式のトイレシステムとして適用可能である。
【0059】
このような本発明の循環式水洗トイレシステムは、既存の便器およびロータンクからなる水洗トイレに取り付けることにより循環式水洗トイレシステムを構築することが可能である。
【0060】
したがって、本発明は、既存の便器およびロータンクからなる水洗トイレに取り付けることにより循環式水洗トイレシステムを構築するための水処理システムに関する。
【0061】
また、本発明の循環式トイレシステムは、図3に示す通り1つの水処理システムで複数の水洗トイレシステムに対応可能である。すなわち、攪拌槽20、薬液添加槽30、第1の分離槽40、第2の分離槽50、脱水槽60、水処理槽70、固体処理槽80とから主として構成された水循環システムを複数のトイレシステムと共用して使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と前記便器に水を供給するためのロータンクとから構成されたトイレシステムと、
前記便器からのし尿と、紙と、水との混合物を固液分離し、固液分離した液体を水処理して、前記ロータンクに戻して循環再利用する循環式トイレシステムであって、
前記便器からの混合物を攪拌するための攪拌槽と、
前記攪拌槽からの混合物に分離剤を添加するための第1の計量添加手段と、混合物を圧送するためのポンプとを有する薬液添加槽と、
前記薬液添加槽からの混合物にさらに分離剤を添加するための第2の計量添加手段と、前記混合物を固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第1の固液分離手段とを有する第1の固液分離槽と、
前記第1の固液分離槽からの液体をさらに固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第2の固液分離手段を有する第2の分離槽と、
前記第2の固液分離槽からの液体に殺菌剤を添加して水処理するとともに前記処理した水を前記ロータンクに戻す流路を有している水処理槽と、
前記第1と第2の固液分離槽とからの固体成分から水分を除去し、前記除去した水分を前記第1の分離槽に戻す脱水槽と、
前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽と、
から構成されていることを特徴とする循環式トイレシステム。
【請求項2】
前記第1および第2の固液分離手段が、各々前記前記第1および第2の固液分離槽を上下に区切るメッシュ状の固液分離手段であって、第2の固液分離手段は、前記第1のメッシュ状固液分離手段よりも細かいメッシュを有することを特徴とする請求項1に記載の循環式トイレシステム。
【請求項3】
さらに、前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の循環式トイレ用の水循環システム。
【請求項4】
前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、前記ロータンクからの水洗スイッチと連動して動作することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【請求項5】
前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、複数の水洗トイレシステムと接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【請求項6】
前記脱水槽は、前記第1と前記第2の固液分離槽の間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【請求項7】
前記循環式トイレシステムは、仮設用トイレとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【請求項8】
前記循環式トイレシステムは、移動手段に搭載されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の循環式トイレシステム。
【請求項9】
便器と前記便器に水を供給するためのロータンクとから構成されたトイレシステムと接続し、
前記便器からのし尿と、紙と、水との混合物を固液分離し、固液分離した液体を水処理して、前記ロータンクに戻して循環再利用する循環式トイレシステムを構成するための水循環システムであって、
前記便器からの混合物を攪拌するための攪拌槽と、
前記攪拌槽からの混合物に分離剤を添加するための第1の計量添加手段と、混合物を圧送するためのポンプとを有する薬液添別槽と、
前記薬液添加槽からの混合物にさらに分離剤を添加するための第2の計量添加手段と、前記混合物を固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第1の固液分離手段とを有する第1の固液分離槽と、
前記第1の固液分離槽からの液体をさらに固体成分と液体成分とに固液分離するメッシュ状の第2の固液分離手段を有する第2の分離槽と、
前記第2の固液分離槽からの液体に殺菌剤を添加して水処理するとともに前記処理した水を前記ロータンクに戻す流路を有している水処理槽と、
前記第1と第2の固液分離槽とからの固体成分から水分を除去し、前記除去した水分を前記第1の分離槽に戻す脱水槽と、
から構成されていることを特徴とする水循環システム。
【請求項10】
前記第1および第2の固液分離手段が、各々前記前記第1および第2の固液分離槽を上下に区切るメッシュ状の固液分離手段であって、第2の固液分離手段は、前記第1のメッシュ状固液分離手段よりも細かいメッシュを有することを特徴とする請求項9に記載の水循環システム。
【請求項11】
さらに、前記脱水槽からの固体を処理するための固体処理槽を有していることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の水循環システム。
【請求項12】
前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、前記ロータンクからの水洗スイッチと連動して動作することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の水循環システム。
【請求項13】
前記循環式トイレ用の固液分離/水処理装置は、複数の水洗トイレシステムと接続されていることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の水循環システム。
【請求項14】
前記脱水槽は、前記第1と前記第2の固液分離槽の間に配置されていることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の水循環式システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−69177(P2011−69177A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239828(P2009−239828)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(503430854)株式会社勝製作所 (1)
【Fターム(参考)】