説明

循環系診断システム

【課題】血管合併症等の生活習慣病の予防と早期発見の為に、眼球結膜から、血管、血液関連情報を得る。
【解決手段】眼を近接して撮影可能とする撮影手段、前記撮影手段で撮影した白目を拡大する拡大手段、前記拡大手段で拡大された画像から血管を抽出する血管抽出手段、前記血管抽出手段で抽出された血管と、予め記録された血管パターンとを比較する比較手段、又は、画像間での血球等の動いた距離を算出して血流速度をもとめる比較演算手段、前記比較手段等で比較され、異常血管パターン、異常血流状態を判定する判定手段よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環器系疾患の診断のための情報を提供する循環系診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧は、脳卒中、腎硬化症、心筋梗塞等様々な疾患を惹起させる心血管合併症の原因となることが知られている。
血管合併症は、生活習慣病の一部に含まれ、身体に重大な後遺症等を残す場合が多いことから、その予防や早期発見が求められている。
非特許文献1(栃久保 修:高血圧症における末梢循環(6)動脈弾性および微小循環の異常と血管合併症,横浜医学,31,1,P17-28)には、眼球結膜の血管を顕微鏡を用いて観察し、血管合併症と血流を含む血管情報との関係が示されている。
特開2008−104628号公報には、眼球面の一部に照明を当てて、その一部を撮影する手法が開示されているが、固視微動を補償した動画撮影と、レーザを用いた各種生態情報の取得可能性について記載されている。
【0003】
これらの先行技術は、眼球結膜(強膜)の血管を動画によるデジタルカメラで撮影したり、顕微鏡による動画の撮影について記載されており、血管の状態と合併症との関係は示されるものの、これを実際の診断に用いるような構成までには、至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−104628号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】栃久保 修:高血圧症における末梢循環(6)動脈弾性および微小循環の異常と血管合併症,横浜医学,31,1,P17-28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生活習慣病の一つでもある血管合併症は、医師の診察を受ける必要や、血液検査等の専門機関での検査が必要であることから、在宅でも使用可能な程度に手軽な検査機器や検査システムが希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑み本発明は、眼を中心とした範囲を撮影する撮影手段、前記撮影手段で撮影した白目部分を拡大する拡大手段、前記拡大手段で拡大された画像から血管を抽出する血管抽出手段、前記血管抽出手段で抽出された血管と、予め記録された血管パターンとを比較する比較手段、前記比較手段で比較され、異常血管パターンを判定する判定手段及び、複数の撮影画像データ間での血球等の移動間隔から血流速度を求める差分演算手段の組み合わせ構成により、非接触で、血管画像が撮影できると共に、血管パターン、血流状態、血管の破損状況等から、血管合併症の診断を可能とした。
【0008】
本発明における撮影手段は、撮影用カメラであって、高分解能なCCDカメラを、接写仕様で撮影することを可能とするものが好ましく、接写は、眼以外をなるべく排除して、眼に高解像度の撮影を行う点で好ましく、より近い部位での撮影が好ましい。
又、撮影手段は、携帯電話、スマートフォンのような汎用性の高い携帯端末におけるカメラをもって、眼球を接写的に撮影できるものが好ましい。
汎用性のある携帯端末を用いる場合の撮影は、患者が、携帯を目に近づけることで、表示されている動画状態の眼球と、撮影タイミングに相当する画像の大きさが一致した時点で、自動的な画像取得を実現する。
又、撮影手段として動画による画像を用いて血管関連データを取得しても良い。
動画は、静止画を毎秒数十枚の割合で表示しており、実際の血流が観察できることから、
観察対象の血球を画像認識し、追尾するような状況で、単位時間あたりの移動量を少なくとも目視で得ることも可能である。画像認識をソフトウエアで行い、変形能を考慮に入れた範囲で血球を追尾して、自動で単位時間あたりの移動量を得ても良い場合もある。
又、複数個の血球を追尾して速度を求めた後、平均をとって、血流速度としてもよい。
血流速度から、血流量等を公知の手法で算出しても良い。
【0009】
尚、汎用の携帯電話で、分解能が高いカメラは、携帯電話の裏側に一般的に配置されていることから、自らが自分の目を撮影する際は、連写を行って、その中からピントの合った画像を検出する手法など、その他、撮影安定手段を設けても良い。
連写により毎秒2〜数十枚の複数の画像を取得して、この中から、数枚を抽出して、眼球結膜データ検出用としてもよい。
又、本発明は、眼を撮影した後、虹彩の部分(黒目)の大きさを基に絶対座標を作成して、結膜中の血管の太さを計測しても良い。
黒目の直径(図2(b))は、日本人で平均11mm前後と一定している。又、円形に近い為、一部の黒目を撮影した際も、全体の大きさがわかることから、画像の絶対座標を形成することが可能となる。 又、予め黒目の面積を測定しておいても良い。
黒目の大きさから、絶対座標を求める場合、
撮影画像から、黒目を検出し、画像上の直径を求める。画像処理による輪郭抽出から、直径を求めてもよい。
【0010】
当該直径と、実際の直径から、画像上の単位距離と実際の距離を求める。
画像を拡大するごとに、単位座標値を修正して、表示する。
このように、絶対座標に近い座標を得ることで、血管合併症の診断に用いられる血管の太さを計測することを可能とする。
血管抽出手段における血管の抽出は、画像処理による輪郭抽出手法等が用いられても良い。
尚、照明手段等の利用により血管内の血流や赤血球の状況が観察できるが、その際、連写による赤血球の移動距離を計測することで、血流速度、血流量等の血流情報が取得可能となる場合がある。
本発明における異常血管パターンは、例えば、非特許文献1で示されるパターン、その他、異常変形量に基づくパターンを示すことが出来る。これらの異常血管パターンに基づくテンプレートマッチング手法等を利用して、異常血管パターンを具えた血管を検出し、さらに異常血管等の発生分布、発生頻度等の統計的手法を取り得るものが例示される。
本発明における判定手段は、この異常血管パターンの種類、その濃度等から、血管合併症の可能性を判定する場合がある。
【0011】
異常判定基準は、例えば、非特許文献1に記載されている異常判定基準の項目を参考にしてもよい。
得られる判定情報は、そのまま画像に表示されたり、データセンター等、検査機関、診療機関等に送信され、そのまま診察に用いられても良い。
本発明で示す眼球結膜の範囲は、特に限定されないが、眼球結膜上の血管は、大小入り組んで多数配置されているため、血管の太さの弁別や、ある一定の太さ以上を利用することで、計測対象とする血管を限定してもよい。
また、計測する範囲を決めても良い場合もある。
本発明は、血管形状、血流状態、及びその変化を予め設定された異常状態を示す画像、及びその他のクライテリアにより検出する。
例えば、血管形状は、蛇行状態で、合併症によく見られる蛇行パターンを予め画像化して、これをテンプレートとして比較する手段、蛇行状態で、その蛇行具合であって、合併症によく見られる湾曲度、その回数などを数値化してこれを記憶し、計測された血管の輪郭から湾曲度とその回数を検出した検出値と、予め設定された値とを比較して異常かそうでないかを判定する手段、を具える場合もある。
【0012】
血流の異常は、血流よる数倍以上早いタイミングで連写して得られる画像から、血管中の血球を選び、この血球の形状を抽出して、次の画面の中で、同じ血管を輪郭抽出した後、先の血球を、次の画像の血管であって、先に血球を抽出した部位の位置から、進行方法に所定の範囲内でテンプレートマッチング検索を行い、距離を求め、これと連写時間間隔から血流速度を求める。この血流速度を求める手法は、例えば特開2003−84006号に記載された手法が利用されてもよい。又、血流による血管の変化を考慮する為、連写速度を血流速度より、数倍から数十倍に早くして血球の移動距離を最小限にした状態で行うことが好ましい。
【0013】
この血流速度が、一般的な血流速度又は、予め測定した患者の血流速度と比較して、早いか遅いかを判定し、それぞれ数段階の閾値を形成して、閾値を超えるか下回った時に異常血流と判断する手法が例示される。
血管を抽出した後、その所定の範囲を設定し、その濃淡から血流の不連続を判断する。
例えば、抽出された所定範囲の血管内の血流の輝度値を検出し、一端から他端までの輝度値の変化が所定値を越えたり、これが繰り返し生じたり、全体に輝度値が小さく、血液濃度が低い状態を示している場合、異常と判断して、画像に出力したり、保存したりする。
尚、測定対象とする血管は、撮影画像から、より絶対に近い座標を形成し、この座標に基づいて血管の幅を検出して、例えば10μm以上で20μm以下の血管を抽出選択した状態で行われることが好ましい。尚、本発明で示す絶対座標は、絶対に近い座標であって、常に同じ座標であれば良い場合もある。これは、例えば、患者の黒目の平均直径を用いて座標値を求め、この数値を常時使用するものであれば、この患者に取っての正常異常の判断には足りる数値が得られるからである。より精度の高い、距離を求める場合は、撮影時に、メジャーを画面上に形成したり、黒目の直径を計測する等すれば良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、眼球結膜(強膜)上の毛細血管を高分解能撮影する撮影手段により、眼を撮影して、異常血管パターン等の異常血管情報を得ることで、血管合併症の可能性を検出することができることから、血管合併症、即ち生活習慣病の発見、予防を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す図である。
【図2】図1(a)で示した実施例の動作を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、表面に高分解能の撮影手段を具えた携帯端末的で手持ち型のカメラにより眼を中心に撮影する。撮影は、接写的であることが好ましい。
撮影手段による撮影時に生ずる手ぶれやピンぼけの画像は、コンピュータソフトウェアによる補正や、例えばカメラ用フード形状の様な支持部材を介して、眼と撮影カメラ間を手持ち状態又は据え置き状態で固定したりしても良い。
得られる画像は、眼を中心とするものであって、高解像度で撮影された画像は、これを、拡大しても、鮮明な画像が表示でき、血管のサイズを計測したり、血管の分布、テンプレートマッチングを行うことが出来る。
この眼球結膜画像から、血管を例えば画像処理による輪郭抽出法により抽出して、予め蓄積されたその要部、全部の異常血管データ、画像として、数値パラメータとの比較により血管の蛇行や変形を検出し、好ましくは、その統計的分布図、発生頻度等を画面上に表示する構成を在宅、医療現場等で行えるようにする。
在宅の場合は、健常人が利用することで、生活習慣病の予防としての利用も可能である。 異常血管の検出は、蛇行状態や、出血分布、血管変形等のパラメータにより判定され検出されることが例示される。
【0017】
又、血管内の血流状態を検出する。例えば、所定範囲での濃度の分布等を検出し、一様でないものを検出する。連写による、血液の移動量から血流速度を算出し、血流速度の遅延を生じている血管の分布を検出する。
このような、異常判定の項目を整理して、異常の頻度が高い場合は、血管合併症の可能性があると判断する胸の信号を出力する。
本発明は、例えば1メガピクセル以上で毛細血管の直径が測定できる程度に拡大表示可能な高分解能のデジタルカメラとデジタルカメラで得られた画像データを処理するコンピュータプログラムを具えたコンピュータよりなることから、クラウドコンピューテイング手法を具えた構成を用いることも可能である。
【0018】
即ち、患者は、撮影用カメラを備えた携帯端末を所持し、コンピュータ上のブラウザソフトから、クラウドを介したデータセンター側の撮影用カメラで撮影した画像を処理して異常血管等を算出するソフトウエアを操作して、血管合併症の可能性等の処理結果を患者側に表示させる。
クラウドは、社内LANのようなプライベートクラウド、インターネットのようなパブリッククラウドのいずれも用いることができる。このような構成は、新しい情報を提供する場合、データセンター側にだけ提供すれば良く、患者側のコンピュータの負担が軽減でき、しかも常に新しい、合併症との関係で、異常血管等の検出を可能とする。
又、いわゆるクラウドコンピューテイングに限らず、端末毎にプログラムをインストールして異常血管、異常血流情報を各端末で判別し、データセンター又は、医療機関へ送信する構成であっても良い場合もある。携帯電話、スマートフォン、その他の無線端末の利用も往診時には有効である。
【実施例1】
【0019】
次に本発明の一実施例を図1を参照して詳細に説明する。
101は、撮影手段であり、高分解能デジタルカメラで形成され、例えば携帯電話、スマートフォンに付属されたカメラであっても良い。
高分解能の範囲は、1メガピクセル(画素)以上が好適であるが、300万画素レベルでも被写体である、眼球結膜の血管が撮影できる様であれば、含まれるものである。
撮影手段101は、手持ち型、据え置き型のいずれでも良いが、自ら自分の目を撮影する場合は、シャッター駆動とフォーカス機能を自動化して、例えば、手で持った状態で、眼を撮影する際、眼を写しながらシャッターを押した状態で連写が始まり、カメラを前後に移動させることで、最適な状態で、自動的に撮影する構成を取っても良い。
102は、拡大手段であり、撮影手段101で撮影された画像データを拡大するための手段である。拡大量は、少なくとも結膜上の毛細血管の口径が計測できる程度が類似される。拡大手段102は、撮影手段で既に顕微鏡用のレンズを装着しており、拡大不要な写真画像が得られるのであれば、不要な場合もある。
【0020】
103は、血管情報測定手段であり、血管の口径、長さ等を測定する手段である。
これは、例えば、撮影手段101で撮影された黒目(虹彩)部(図2(20d))の大きさが11mm程度と一定であることから、これを基準に絶対座標を設定して、スケール変換を行う手法を用いる。絶対座標系ができた時点で、拡大画面上から、毛細血管の口径を算出することを可能とする。
104は、測定部位抽出手段であり、白目の部分のどの部分の毛細血管を計測するか決定するものである。画像中の全ての白目部分を測定部位としたり、演算処理時間を短縮するため、その一部の領域としても良い。
105は、血管抽出手段であり、測定範囲画像から、血管部分を抽出してデータ化する。
輪郭抽出手法を用いて、2値化した状態で形成されてもよい。
又、測定対象となる血管の太さが予め設定されている場合は、事前に絶対座標を設定することが好ましい場合がある。
絶対座標は、眼の近傍にスケール、又はそれと同等なものを置いて、撮影する手段、や、後述するように、おおよそ一定の大きさの黒目のサイズを基準とする手段、等を用いて形成される。絶対座標に基づいて、例えば特定の口径の血管が選択されてもよい。
106は、比較手段であり、血管抽出手段105で得られた血管抽出データと、比較用データ蓄積手段107に蓄積された異常血管パターン、出血した状態を示すパラメータ
等とを比較して、一致又は類似するか、或いは、出血パラメータで示される出血範囲に含まれる面積の出血があるかどうか比較される。
【0021】
107は、比較用データ蓄積手段であり、ハードデイスク、CD、DVDその他のメデイア等で構成され、予め蛇行した血管パターン、異常な血管変形パターン等の2次元データや出血とされる面積値等の数値データが記録されている。
108は、判定手段であり、異常血管形状、濃度パターン、異常血流速度値等のパラメータ等との比較により、一致又は所定の範囲での一致により、異常血管であるとして、判定され、さらにこのような異常が測定範囲の中でどれだけあるか判定する。この判定の結果で、異常血管の頻度が高い場合は、合併症の可能性が大であるとの表示をする。
109は、出力手段であり、パソコンモニター、携帯電話、スマートフォンの
モニター等に判定データを出力表示したり、外部医療機関に診断情報としてインターネットを介して出力してもよい。
【0022】
次に図1でしめす実施例を図2を参照して説明する。
撮影手段101で眼を撮影すると、高解像度の眼を含む顔面データ(図2(a))が出力される。撮影手段101で得られた画像データは、拡大手段102で、毛細血管群が見える程度まで拡大される。血管情報測定手段103は、絶対座標を形成して、毛細血管の口径、等を算出する。絶対座標の算出は、例えば一定の大きさをもつ黒目20aのサイズに基づく算出が例示される(図2(b))。
測定部位抽出手段104は、拡大手段102で得られた画像データ図2(c)又はさらに拡大した図2(d))の内どの部位の白目を使うか決定し、その範囲を抽出して血管抽出手段105へ出力する。
【0023】
血管抽出手段105で、測定範囲の血管を抽出して比較手段106で、あらかじめ記録された異常血管パターンと比較される。
例えば、蛇行血管20bが所定の範囲で抽出されたり、さらに拡大画像図2(d)から点状出血20cが抽出されて、さらに比較用データ蓄積手段107から呼び出された異常血管パターンと比較され、一致、又は類似する場合は、判定手段108へ出力される。
判定手段108は、このような異常血管パターンの発現頻度、種類、等の解析を行い、
これを越える場合は、出力手段109に表示出力する。異常血管が少ない場合や、ない場合は、正常である旨の表示を行う。
【0024】
次に血流速度を算出する為の他の実施例を図1(b)を参照して詳細に説明する。
111は、連続撮影手段であり、静止画像を所定間隔で連続的に撮影する。いわゆる連写的構成であっても良い。
112は、拡大手段であり、赤血球が確認できる程度に拡大するか、少なくとも血管内が認識できる程度までに拡大する。
113は、血管情報測定手段であり、画像に対して、上述した様に絶対座標を形成するための手段である。
114は、測定部位抽出手段であり、赤血球の移動、血管内の移動がわかりやすい範囲を選択して、抽出する。
115は、血管抽出手段であり、血管の部位を決定してその範囲の画像を抽出する。
この部位は、連続的撮影がされた画像間で、共通の部位が設定されることが好ましい。例えば、基準取る血管を基準にして、連続的に撮影された画像毎にその範囲を抽出する。
【0025】
116は、特徴部位検出手段であり、血管内の赤血球の形状、血液の流れの中断部、血液の濃さ等の特徴部位を検出する。
この特徴部位は、血流によって、変形しにくいものが好ましいが、変形しても、例えば、
連写間隔を血流速度より高く設定すれば画像抽出後のテンプレートにおいて、近似的な判断で、同じ特徴部位であることが示される場合がある。近似的な判断は、例えば70%以上程度の近似度で足りる場合もある。
117は、差分手段であり、最初の検出であれば、そのまま一時記憶手段118へ、その内容を移動させて一時記憶させ、次に特徴部位検出手段116から出力されてきた
血管内の赤血球、血液の中断部、濃さ等の特徴部位と、一時的に記憶された特徴部位とを比較してその差から血球の移動距離を求める。
118は、一時記憶手段であり、ROM、RAM等の記録素子で構成され、一時的な記録を行う。
【0026】
119は、演算手段であり、前記差分手段117で比較差分化された値を入力し、その差分化された値と連続した撮影の間隔時間から、血流の速度を求め、出力手段120へその値を出力する。さらにこれを、複数回繰り返して、画像間毎の速度を検出する。
120は、出力手段であり、当該血流速度を表示したり、この血流速度に基づいた血流量等を出力する。画像間毎の速度の違いが一定でない場合は、その旨の情報を出力する。
【0027】
次に図1(b)で示す実施例の動作を説明する。
連続撮影手段111で連続的に撮影された静止画像を順に、拡大手段112へ出力する。
拡大手段112は、この画像を血管が画像処理可能な迄に拡大していく。血管情報測定手段113は、例えば、黒目を基準に、絶対座標を算出する。測定部位抽出手段114は、白目の部分である測定する部位を抽出する。
血管抽出手段115は、この測定部位の範囲での血管を抽出し、さらに血液又は血球を検出する。血球は、画像から、捉えることができるものであって、共通するものを検出対象とする。
【0028】
特徴部位検出手段116において、
一般的に血液の流れに急激な変化はないことから、血液中を変形しながら流れる血球についても、連続して得られた画像間であって、流れの速度に対してより速い速度での連写における画像間での形状の変化は、手ぶれ等を除いて少ない場合が多いことから、最初に血管中の特定の赤血球を例えば大きさで特定して、この大きさの範囲で、画像上から赤血球を画像処理手段により検索して一つを特定して選び出し、この赤血球の形状の輪郭を記憶する。次に撮影した画像に対し、この輪郭を抽出した赤血球の形状を、進行方向に対して、所定の範囲(おおよその血流速度と、形状マッチングを所定の近似範囲)で、例えば±10%の範囲で、検索追尾して特定する。
差分手段117では、最初に入力される画像を、一時記憶手段118へ記憶させ、次に来た画像と比較し、例えば最初の画像で特定された血球の位置と、次の画像で追尾的に特定した血球の位置の距離を検出して演算手段119へ出力する。この距離データと、撮影時間間隔から、血球の速度が得られ、出力手段120に表示され、記憶される。一時記憶手段118は、2回目に来た画像を一時的に記憶し、次に来た画像と同様に血球間隔を計算して、出力手段120に表示される。出力手段120は、見やすい状態で、表示がされるようグラフ化がされたりすると共に、血流の不連続の度合いを基準に応じて、決定する。又、各速度の平均を取り、少ない場合は、血流遅延量を算出し、出力手段120で表示する。
ここで示す画像処理は、コンピュータプログラムの実行に基づくものであり、OPEN−CVを利用した画像処理ソフトウェアプログラム等により実行されてもよい。
図1(a)と(b)で示す実施例は、一回の測定で両方が行われることが好ましく、それぞれから得られる血流速度の不連続性、変化量、出血の度合い、蛇行の頻度等から、異常な血管情報が得られることで、血管合併症の状態が診断可能である。
本実施例では、予め設定し記憶した血管の異常な形状、濃度、等のデータと検出した血管情報と比較してその差を求め、差がほとんど無いか、ある一定の差以内であれば、異常と判断するものであり、装置としても、そのような表示をするものであるがこの異常を示すデータは、正常データと併せて、医師が血管合併症であるかどうかの判断用のデータとして出力され、表示されても良い場合もある。
【0029】
次に他の実施例として図3を示し詳細に説明する。
図3において、301は、撮影手段であり、図1と同様に高解像度を具えたカメラ構成を具えており説明は省略する。
302は、送受信手段であり、無線LAN、赤外線、有線LAN、無線等で形成され、ネットワーク3Aと接続する為の構成を有するものである。
303は、出力手段であり、コンピュータモニター等で形成されている。撮影手段301、送受信手段302、出力手段303は、一つのコンピュータ端末30Bを形成することが好ましい。コンピュータ端末30Bは、携帯電話、スマートフォン等で構成されても良い。
【0030】
30Aは、ネットワークであり、インターネット、社内LAN等で形成されている。
304は、送受信手段であり、302と同様無線LAN、赤外線、有線LANで形成され、ネットワークと接続する為の構成を有するものである。
血管情報測定手段103から、比較用データ蓄積手段107までの構成は、図1(a)と同様の構成を示すことから説明は省略する。
305は、判定手段であり、図1(a)と同様の構成をとるものであるが、判定結果は、送受信手段304に送信され、コンピュータ端末30Bへ送信される構成を具えている。
判定データは、異常データか、そうでないかの判定や、より詳細なデータを示す場合がある。
送受信手段304以降の構成は、例えばデータセンター側の構成であり、30Cとして示した。データセンター30Cは、診療機関、病院等であってもよい。
306は、処理手段であり、本実施例では、データセンター30C側のプログラムで示される機能構成の実行操作を行うためのものであり、CPU、メモリー等のコンピュータ仕様を備えたものである。
307は、診療機関であり、病院、診療所、検査センター等、直接診断を行う機関である。診療機関307は、データセンターを兼ねる場合もあり、図3で示す構成が、プライベートクラウドとして、施設内に形成されている場合もある。
【0031】
次に図3でしめす実施例の動作を説明する。図3で示す実施例は、データセンター30C側にデータ処理を行う構成を具え、コンピュータ端末30Bは、データセンター30C内のこれらのデータ処理を利用するものである。これは、クラウドコンピューテイングの手法により、コンピュータ端末30Bは、例えばブラウザソフトウェアのみをインストールしており、このブラウザソフトウェアを介して、データセンター側のソフトウエアを使用している状態である。
従ってコンピュータ端末30B側には、ソフトウェアはインストールされておらず、ネットワーク30Aを介して、データセンター30C側のソフトウェアを利用する形をとるものである。
データセンター側は、単に診断データをコンピュータ端末30Bへ送信するものではなく、さらに医師のコンピュータ端末へ接続して、データを共有的に処理するものであっても良く、合併症の専門によっては、さらに異なる医師の端末に接続している場合もある。
図3で示す実施例は、利用者側の負担と、データセンター側の負担を軽減させるものであり、ネットワークが形成されている範囲で適当である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、眼球結膜において、簡単な機器で血流情報、血管情報が得られることから、生活習慣病の一部である血管合併症の検査を可能とすると共に、ネットワークを用いて、在宅における診断など幅広い診断システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
101 撮影手段
102 拡大手段
103 血管情報測定手段
104 測定部位検出手段
105 血管抽出手段
106 比較手段
107 比較用データ蓄積手段
108 判定手段
109 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼を近接して撮影可能とする撮影手段、前記撮影手段で撮影した白目を拡大する拡大手段、前記拡大手段で拡大された画像から血管を抽出する血管抽出手段、前記血管抽出手段で抽出された血管情報と、予め記録された血管情報パターンとを比較する比較手段、前記比較手段で比較され、異常血管情報を判定する判定手段よりなる循環系診断システム。
【請求項2】
前記拡大手段、前記血管手段、前記比較手段及び前記判定手段が、コンピュータ用プログラムにより実現され、前記プログラムは、ネットワーク上のセンタサーバで実現される請求項1に記載の循環系診断システム。
【請求項3】
前記撮影手段で得られた目の画像から、絶対距離に基づくスケールを求めるスケール取得手段をさらに設けた請求項1に記載の循環系診断システム。
【請求項4】
前記撮影手段は、接写仕様のカメラで形成されている請求項1に記載の循環系診断システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、携帯電話、スマートフォン、PDAのような携帯端末で形成されている請求項1に記載の循環系診断システム。
【請求項6】
前記撮影手段は、連写を行う手段をさらに付加して、血流情報を取得する血流情報取得手段を具えた請求項1に記載の循環系診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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