説明

循環腫瘍細胞(CTC):転移癌患者における増悪までの時間、生存および療法に対する応答の早期評価

CTCの存在および数に基づくMBCを有する患者における疾患増悪までの時間、全体生存および療法に対する応答を予想することに予測有用性を有する癌試験。Cell Spotter(登録商標)Systemを用いて血中のCTCを計数する。該システムは上皮細胞を免疫磁気的に濃縮し、該細胞を蛍光標識し、CTCを同定および定量する。末梢血液腫瘍負荷で検出されたCTCの絶対数は、一部、生存、増悪までの時間および療法までの応答の予測における要素である。患者の生存の平均時間は、7.5mlの血液当たり5のCTCの閾値数に依存する。転移癌におけるCTCの検出は、転移癌を有する患者における新規な診断要素を表し、血液中の腫瘍細胞の存在の生物学的役割を示唆し、CTCの検出が将来的な療法臨床試験の適当な代理マーカーと考えられ得ることを示している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、すべて出典明示して本明細書の一部とみなす、2003年2月27日に出願された米国仮特許出願60/450,519号および2003年11月25日に出願された米国仮特許出願60/524,759号に対して優先権を主張する非仮特許出願である。
【0002】
背景
発明の分野
本発明は、一般的に、血中の形態的に完全な(intact)循環腫瘍細胞(CTC)の存在に基づく、転移癌患者の癌予測および生存に関する。より詳細には、転移性乳癌患者の7.5mlの血液中の循環腫瘍細胞の存在を疾患増悪までの時間および生存性と相関付ける、診断方法、試薬および装置を記載する。循環腫瘍細胞は、約5ないし50mlの末梢血液中の1または2の癌細胞を単離およびイメージングすることができる高感度な方法によって決定し、腫瘍細胞の数のレベルと治療の間の腫瘍細胞の数における増加を、増悪までの時間、死亡までの時間および療法に対する応答と相関付ける。
【0003】
背景技術
癌患者の治療および管理を改善するための努力にもかかわらず、癌患者における生存は多くの癌のタイプについて過去20年間にわたって改善されていない。したがって、大部分の癌患者は原発性癌によって殺されないが、その代わりに転移:元の腫瘍から離脱し、体中を移動し、遠位まで移動する場合もある悪性細胞によって確立された複数の広範に拡がる腫瘍コロニー、に倒れる。癌における最も首尾のよい療法ストラテジーは、早期の検出およびなお組織は制限されるが腫瘍の外科的除去である。癌の早期検出は、癌によっては実行可能であることが証明されており、特に子宮頸癌におけるPAPスメア、乳癌におけるマンモグラフィーおよび前立腺癌における血清前立腺特異的抗原(PSA)のような適当な診断テストが存在する場合には実行可能であることが証明されている。しかしながら、早期ステージに検出される多くの癌は外科的切除の前に微小転移を確立している。したがって、癌の悪性の可能性の早期および正確な決定は、適当な療法の選択に重要である。
【0004】
最適な療法は、診断および予測情報の組合せに基づくであろう。正確および再現性のある診断テストは、生存に関する詳細な情報を提供するであろう予測評価と一緒に、特定の癌の転移性質に関する詳細な情報を提供する必要がある。
【0005】
適当に設計された予測テストは、危険性および生存の確率に関する情報を医師に与え、この情報はかわって、不必要な治療を授かることに利益がないことを患者に与える。選択した療法が予測テストに基づいて有効であるという知識から、患者のモラルも持ち上げられるであろう。そのようなテストに関連する費用の節約は、医師が有効でない療法を置き換える理論的根拠が提供されるため、有意義になり得る。生存に焦点を合わせた転移癌の治療および検出における適当に開発された診断および予測データバンクは、明らかに、医学に対して膨大な恩恵を提供するであろう(米国特許第6,063,586号)。
【0006】
原発性癌が十分に早期に検出されれば、それは外科的手術、放射または化学療法、あるいはこれらの治療の幾つかの組合せによって排除し得る場合がある。
【0007】
残念ながら、転移コロニーは検出および除去するのが困難であり、それらのすべてを首尾良く治療するのは不可能な場合もある。したがって、臨床的見地からは、転移は、癌の本来的な増悪における決定的な事象と考えることができる。さらに、転移する能力は、悪性腫瘍を独特に特徴付ける性質である。
【0008】
可用性腫瘍抗原:
癌および癌転移の複雑性ならびに長年にわたる癌患者を治療することにおける失敗に基づいて、治療を案内するための診断テストを開発し、転移または再発に対するかかる治療の効果をモニターすることに多くの試みがなされている。
【0009】
診断腫瘍学に有用なテストを開発する最初の試みのうちの1は、癌胎児性抗原(CEA)の処方であった。この抗原は、胎児細胞に見られ、ある種の癌における腫瘍細胞において再度見られる。CEAを試験する有用性ならびに前立腺特異的抗原(PSA)、CA15.3、CA125、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA27.29、可溶性細胞残渣として組織試料または血液のいずれかに見出されるp27のごとき他の多くの"腫瘍"抗原の有用性を評価するために膨大な努力がなされている。これらおよび他の残渣抗原は、循環および非−循環の癌細胞の両方の破壊から由来すると考えられ、したがって、それらの存在が常に転移の可能性を、特にアポトティック状態(apoptotic state)にある間に細胞が破裂する場合は、反映しているとは限らない。
【0010】
癌患者における腫瘍増悪を予測するために用いるさらなる試験は、バイオプシー収集した腫瘍試料中のテロメラーゼ活性のような酵素インデックスを、好ましくないまたは好ましい予測の指標と関連付けるのに焦点をあてている(米国特許第5,693,474号;米国特許第5,639,613号)。このタイプの分析において酵素活性を評価することには、ゲル電気泳動およびウェスタンブロッティング分析のような時間のかかる研究室手順が含まれ得る。また、腫瘍の起源に基づく信号対ノイズ比および感度には変動がある。これらの欠点にも関わらず、血中の特異的可溶性腫瘍マーカーは、治療の早期に、治療ストラテジーを開発するための迅速かつ有効なアプローチを提供し得る。例えば、転移乳癌を有する患者における血清HER−2/neuおよび血清CA15−3の検出は、転移乳癌の予測ファクターとなることが示されている(Ali S. M., Leitzel K., Chinchilli V. M., Engle L., Demers L., Harvey H. A., Carney W., Allard J. W.およびLipton A., Relationship of SerumHER-2/neu and Serum CA15-3 in Patients with Metastatic Breast Cancer, Clinical Chemistry, 48(8): 1314-1320(2002)).HER−2/neuの増加は、ホルモン療法に対する応答の低下を生じ、ホルモン受容体−陽性転移乳癌に対する応答を予想するのに重要な予想ファクターである。HER−2/neuオンコジーン産物が関係する悪性腫瘍において、レベルの上昇に基づく療法をモニターし、または危険性を評価する方法が記載されている(米国特許第5,876,712号)。しかしながら、両方の場合において、緩解の間のまたは健全な正常における場合でさえ、基底レベルは比較的高く、患者において見出された濃度と重複する場合があり、したがって多重の試験およびモニターを行って、患者依存性のベースラインおよびカットオフ・レベルを確立する必要がある。
【0011】
前立腺癌においては、血清中のPSAレベルが早期検出に有用であることが証明されている。追跡医師検査(デジタル直腸検査)およびバイオプシーと共に使用する場合、PSAテストはそれが最善に治療される場合、早期ステージでの前立腺癌の改善された検出を有する。
【0012】
しかしながら、PSAまたは関連するPSMA試験は、望まれるものを多くを残す。例えば、PSAの上昇したレベルは、疾患のステージと弱く相関し、腫瘍の転移可能性の信頼し得るインジケーターとなるように思えない。これは、一部はPSAが正常前立腺組織および良性の前立腺過形成(BHP)組織の成分であるという事実に起因する。さらに、申し立てられた局在化された前立腺癌および対応する低血清PSA濃度を有する患者の約30%は、転移疾患を有し得る(Morenoら, Cancer Research, 52: 6110 (1992))。
【0013】
遺伝マーカー:
悪性前立腺癌細胞の存在を判定する1のアプローチは、血中のPSAからのメッセンジャーRNAの発現について試験されている。これは、血液試料から全mRNAを単離し、逆転写PCRを行うという面倒な手順を介して行われている。血中の離脱した細胞の存在といずれの患者がより活発な治療からの恩恵を受けるかを同定する能力との間の有意な相関は全く記載されていない(Gomella LG., J of Urology, 158: 326-337 (1997))。また、この技術を用いて、偽陽性が観察される場合もある。追加された欠点も存在する。それは、試料サイズに基づくこの技術の感度に対して、有限の実際的な限界が存在するということである。典型的には、試験は、シグナルを検出する前に、1腫瘍細胞/血液0.1ml(血液1ml中の約10の腫瘍細胞)の実際的感度下限に対応する、干渉する赤血球から単離した10ないし10細胞に対して行う。より高い感度は、血液から単離された腫瘍細胞中のhK2 RNAを検出することによって示唆されている(米国特許第6,479,263号;米国特許第6,235,486号)。
【0014】
血液ベースのヌクレオチドマーカーを用いる定性的RT−PCRに基づく実験を用いて、操作前血液中の陽性CEA mRNAを有する患者に対しての無疾患生存の可能性はCEA mRNAについて陰性の患者のものよりも悪いことが示されている(Hardingham J. E., Hewett P. J., Sage R. E., Finch J. L., Nuttat J. D., Kotasel D.およびDovrovic A., Molecular detection of blood-borne epithelial cells in colorectal cancer patients and in patients with benign bowel disease, Int. J. Cancer, 89: 8-13(2000): Taniguchi T., Makino M., Suzuki K., Kaibara N., Prognostic significance of reverse transcriptase-polymerase chain reaction measurement of carcinoembryonic antigen mRNA levels in tumor drainage blood and peripheral blood of patients with colorectal carcinoma, Cancer 89: 970-976 (2000))。この終点の予測値はCEA mRNAレベルに依存し、それはG−CSF、サイトカイン、ステロイドまたは環境因子によって、健全な個人においても誘導される。したがって、CEA mRNAマーカーは特異性を欠いており、循環結腸直腸癌細胞に対して明らかにユニークではない。ステージII−IV患者における悪性メラノーマのマーカーとしての末梢血液および骨髄中のチロシナーゼmRNAを含意している報告もある(Ghossein R. A., Coit D., Brennan M., Zhang Z. F., Wang Y., Bhattacharya S., Houghton A.およびRosai J., Prognostic significance of peripheral blood and bone marrow tyrosinase messenger RNA in malignant melanoma, Clin. Cancer Res., 4 (2): 419-428 (1998))。ここでも、可溶性腫瘍マーカーとしてチロシナーゼmRNAを用いることが、転移可能性および患者生存のインジケーターとして可溶性腫瘍抗原の以前に引用した限界にあてられている。
【0015】
実験条件下では外観上は予想的であるが、前記および他の実験は、長期の追跡期間でのまたは満足のいく特異性での一定のデータを提供していない。したがって、これらの努力は、血中の抗原に対するmRNAの外観が一般的に大部分の癌に対して予測的でなく、しかも患者にほとんど希望がない場合に検出される場合があるため、幾分役に立たないことを証明している。
【0016】
これにもかかわらず、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、循環腫瘍細胞の定量的検出と患者予測とを相関付けると報告された唯一の方法となっている。リアルタイムRT−PCRは、大腸結腸癌患者の末梢血液中のCEA mRNAを定量化するために使用されている(Ito S., Nakanishi H., Hirai T., Kato T., Kodera Y., Feng Z., Kasai Y., Ito K., Akiyama S., Nakao A.およびTatematsu M., Quantitative detection of CEA expressing free tumor cells in the peripheral blood of colorectal cancer patients during surgery with real-time RT-PCR on a Light Cycler, Cancer Letters, 183: 195-203 (2002))。カプラン・メイヤー型分析(Kaplan-Meier type analysis)を用いると、操作後血液中に陽性CEA mRNAを有する患者の無増悪生存は、CEA mRNAについて陰性である場合よりも有意に短い。これらの結果は、腫瘍細胞は血流に分離し(おそらくは、外科的手順の間に、または、操作時にすでに存在していた微小転移から)、直腸結腸癌を有する患者における乏しい患者成果を生じたことを示唆している。このアッセイの感度は、感度において従来のRT−PCRと同様の再現性よい検出可能なレンジを提供した。言及したように、これらの検出レンジは、多数の腫瘍細胞への増幅した産物の信じられない変換に基づく。外挿した細胞カウントは、転移増幅することができない損傷したCTCも含み得る。さらに、PCR−ベースのアッセイは、腫瘍細胞を定量化できないということと共に、可能性のある試料コンタミネーションによって制限される。最も重要なことには、PCR、フローサイトメトリー、細胞質酵素および循環腫瘍抗原に基づく方法は、仮定したCTCの転移可能性の基礎をなす構造一体性を確認する本質的形態情報を提供できず、したがって、その一部分を本発明において具体化する高感度イメージング法よりも機能的に信頼性の低い代理アッセイを構成する。
【0017】
癌の検出および予測における完全な腫瘍細胞の評価:
血中における完全な腫瘍細胞の検出は、その原発性腫瘍の切除を受けた癌患者における再発転移疾患への直接的な関連を提供する。残念ながら、悪性細胞の同じ広がりは、従来の腫瘍ステージ検査(tumor staging)手順によって見落とすべく続く。最近の研究は、癌患者の骨髄中の単一のカルシノーマ細胞の存在が転移再発の独立した予測ファクターであることを示している(Diel IJ, Kaufman M, Goerner R, Costa SD, Kaul S, Bastert G. Detection of tumor cells in bone marrow of patients with primary breast cancer: a prognostic factor for distant metastasis. J Clin Oncol, 10: 1534-1539, 1992)。しかし、これらの侵入的技術は、血中のばら播かれた上皮腫瘍細胞の検出と比較して、ルーチンまたは多重の臨床アッセイには望ましくないまたは受け入れられないように考えられる。
【0018】
別のアプローチは免疫磁気分離技術を取込み、完全な循環癌細胞の決定的な検出におけるより大きな感度および特異性を提供する。このシンプルかつ感度の高い診断ツールは、記載されているように(米国特許第6,365,362号;米国特許第6,551,843号;米国特許第6,623,982号;米国特許第6,620,627号;米国特許第6,645,731号;WO 02/077604;W0 03/065042;およびWO 03/019141)本願発明において用いて、7.5ないし30mlの血液中の5以上の腫瘍細胞の閾値レベルに基づく個々の患者の統計学的生存可能性と相関する(1ないし2の腫瘍細胞は所定の個人の循環中の約3000ないし4000の合計腫瘍細胞に相当する)。
【0019】
この診断ツールを用いれば、癌患者からの血液試料(WO 03/018757)を、例えばEpCAMのような上皮細胞抗原に対して向けられた抗体でコートした磁性ビーズと一緒にインキュベートする。抗−EpCAMコート磁性ナノ粒子で標識した後に、磁気的に標識した細胞を磁気分離器を用いて単離する。免疫磁気的に富む画分は、下流の免疫細胞化学分析用またはイメージサイトメトリー、例えばCell Spotter(登録商標) System(Immunicon Corp., PA)用にさらに処理する。磁性画分は、下流の免疫細胞化学分析、RT−PCR、PCR、FISH、フローサイトメトリー、または他の型のイメージサイトメトリー用にも用い得る。
【0020】
Cell Spotter(登録商標) Systemは、免疫磁気的な選択および分離を利用して全血試料中に存在するいずれの上皮細胞をも高度に富化および濃縮する。捕捉された細胞は白血球特異的マーカーでおよび1またはそれを超える腫瘍細胞特異的蛍光モノクローナル抗体で検出可能に標識して、捕捉された CTCの同定および計数を可能とし、ならびに多義的装置またはコンタミネーションしている非標的細胞からの目視識別を可能とする。7.5−30mlの血液当たり1または2の上皮細胞という並はずれた感度では、このアッセイにより低い腫瘍細胞の大きさの早期ステージにおいても腫瘍細胞の検出が許容される。本発明の形態はCell Spotter(登録商標) Systemに限定されるものではなく、匹敵する感度および特異性のいずれの単離およびイメージング・プロトコールをも含む。
【0021】
現在利用し得る予測プロトコールは、転移乳癌(MBC)のごとき癌を有する患者における無増悪生存期間または生存期間を予想するためにCTCを相関付けるための堅実な信頼し得る手段を実証していない。したがって、MBCのみならず一般に転移癌における転移可能性を有する癌細胞の正確な検出に対する明らかな要望が存在する。また、この要望は、所定の患者に対して最も有効な療法を選択する要望によって強調される。
【0022】
発明の概要
本発明は、転移癌を有する患者における循環上皮細胞の絶対数、変化、またはその両方に基づく、疾患増悪までの時間、生存および療法に対する応答を評価することにおける、Cell Spotter(登録商標) Systemのごとき診断ツールを取り込んでいる癌を予想するための方法および手段である。
当該システムは、上皮細胞を免疫磁気的に濃縮し、細胞を蛍光標識し、陽性計数につきCTCを同定および定量化する。細胞カウントの統計解析により、生存を予想する。
【0023】
より詳細には、本発明は、MBCにおける患者生存、疾患増悪までの時間および療法に対する応答を評価するための装置、方法およびキットを提供する。生存の予想は、死亡および疾患増悪までの経時的な血中の循環腫瘍細胞の数の閾値比較に基づく。癌を有すると診断された患者の長期間の追跡研究の統計解析により、血中に見出されたCTCの数の閾値および生存の予想を確立した。CTCの不存在は、5よりも少ない形態学的に完全なCTCと定義する。生存を予想するためのCTCの存在または不存在は、治療を選択するのに有用である。例えば、転移乳癌について以前に未治療の女性におけるCTCの不存在を用いて、より少ない副作用およびより高いクウォリティー・オブ・ライフをもってホルモン療法と、より高い副作用を有するが高危険性集団の中でより有効に生存を延長し得る化学療法とから選択し得るであろう。したがって、本発明は、転移乳癌を有する女性におけるCTCの検出における予後役割を有する。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、患者生存の早期予想インジケーターとしての循環腫瘍細胞の検出を提供する。
本発明の最も広い態様においては、一貫性が維持される限り、試料の収集および操作に制限は存在しない。したがって、細胞は当該技術分野で知られている方法によって得ることができる。
【0025】
血中のCTCを単離し、富化しおよび分析するためのいずれかの有効な機構が適当であるが、循環腫瘍細胞を収集する1の方法は、免疫磁気的富化技術、免疫蛍光標識技術と最初の血液引き出し後の適当な分析プラットフォームとを結合する。関連した試験は、全血試料中のこれら希薄細胞を検出するための、および、上皮起源の悪性腫瘍における疾患の臨床過程におけるそれらの役割を調べるための感度および特異性を有している。全血試料から感度および特異性をもって希薄細胞が検出され、本発明の診断アッセイにおいて、すなわち悪性腫瘍における疾患の臨床過程を予測することにおいてそれらを収集し、使用することが許容される。
【0026】
本技術を用いて、循環腫瘍細胞(CTC)が検出可能な量で血中に存在することが示されている。このことは、癌患者の末梢循環における上皮起源の細胞の意義を調べるためのツールを創製した(Racila E., Euhus D., Weiss A. J., Rao C., McConnell J., Terstappen L. W. M. M.およびUhr J. W., Detection and characterization of carcinoma cells in the blood, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 4589-4594 (1998))。この実験は、これらの血液−骨細胞が癌の病態生理学において極めて重要な役割を有し得ることを実証した。血液5ml当たり1の上皮細胞の検出感度を有すれば、アッセイは、免疫磁気試料富化および蛍光モノクローナル抗体染色につづいて、試料の迅速および高感度分析のためのフローサイトメトリーを取り込む。結果は、乳房の転移カルシノーマについて治療した8の患者の末梢血液中の上皮細胞の数が疾患の増悪および療法に対する応答と相関することを示す。局在化した疾患を有する14の患者のうちの13、リンパ節巻添え(involvement)を有する5の患者のうちの5、および遠位転移を有する11の患者のうちの11で、上皮細胞が末梢血液中に見出された。上皮細胞の数は、広範囲な疾患を有する患者におけるよりも顕著に多かった。
【0027】
免疫磁気的に富化した試料をCell Spotter(登録商標) Systemによって分析するように、アッセイをイメージサイトメトリー分析に形成した(実施例を参照されたい)。これは、蛍光ベースの顕微鏡イメージ分析システムであり、これは、フローサイトメトリー分析と対比して、事象の視覚化および形態的特徴の評価を許容してさらに対象を同定することを許容する。
【0028】
Cell Spotter(登録商標) Systemとは、血液からの単離した細胞を自動的に計数するための自動蛍光顕微鏡システムをいう。このシステムは、一体化されたコンピュータ制御蛍光顕微鏡およびディスポーザブルな試料カートリッジを支持する磁気くびきアセンブリーを有する自動ステージを含む。磁気くびきは、試料チャンバー内の鉄標識した候補腫瘍細胞を顕微鏡観察するために試料カートリッジの上方の観察表面に磁気的に局在し得るように設計されている。ソフトウェアにより、サイトケラチンに対する抗体で標識され、上皮起源を有する疑わしい癌細胞は、最終的な選抜のためにオペレーターに示される。
【0029】
Cell Spotter(登録商標) System用の腫瘍細胞の単離は当該技術分野において知られているいずれの手段によってもなし得るが、1の形態では7.5mlの全血を用いて腫瘍細胞を単離するためにImmunicon CellPrep(商品商標) Systemを用いる。上皮細胞特異的な磁気粒子を添加し、20分間インキュベートする。磁気分離後に、免疫磁気結合した抗体に結合した細胞を試験管の壁に磁気的に保持する。ついで、結合しなかった試料を吸引し、等張溶液を添加して試料を再懸濁する。核酸色素、サイトケラチン(上皮細胞のマーカー)に対するモノクローナル抗体およびCD45(広スペクトル白血球マーカー)を試料とインキュベートする。磁気分離後に、結合しなかった画分を再度吸引し、結合および標識した細胞を0.2mlの等張溶液に再懸濁する。Cell Spotter(登録商標) Systemにおいて蛍光顕微鏡検鏡するために、試料を細胞提示チャンバーに懸濁し、磁場が磁気標識細胞に向いている磁気デバイスに入れる。細胞はCell Spotter(登録商標) Systemで自動的に同定され、チェックリスト計数のためにオペレーターに候補循環腫瘍細胞が示される。
【0030】
計数チェックリストは、完全細胞を構成する所定の形態基準からなる(実施例1を参照されたい)。
【0031】
癌生存における予測因子として完全な循環腫瘍細胞を用いることと一緒に、Cell Spotter(登録商標) Systemの診断可能性は、適当な治療を決定するための迅速かつ高感度な方法を提供し得る。したがって、本発明においては、装置、方法およびキットが、生存可能性の予想評価のための転移および原発性患者の血液に落とされた腫瘍細胞の迅速な計数および特徴付けのために提供される。
【0032】
本発明の方法は、好ましいまたは好ましくない生存を評価し、予想が好ましいものである場合に有害な副作用を生じ得る必要でない療法を防止することにさえ有用である。したがって、本発明は、広範な種々の癌のいずれの予想にも使用し得、かかる癌には限定するものではないが、以下の強調する癌を含む固形癌および白血病が含まれる:Apudo細胞腫、分離腫、鰓腫、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心臓病、癌腫(すなわち、ウォーカー、基底細胞、基底有棘細胞、Brown-Pearce、腺管、エールリッヒ腫瘍、クレブス2、メルケル細胞、粘液性癌腫、非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭状癌、硬性癌、細気管支癌、気管支原生癌、扁平上皮癌および移行上皮癌)、造血障害、白血病(すなわち、B細胞型白血病、混合型白血病、ヌル細胞型白血病、T細胞型白血病、T細胞性慢性、HTLV−II関連白血病、リンパ球性急性白血病、リンパ球性慢性白血病、肥満細胞型白血病および骨髄性白血球)、悪性組織球症、ホジキン病、免疫増殖性小腸疾患、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、細網内皮症、メラノーマ、軟骨芽細胞腫、軟骨腫、軟骨肉腫、線維腫、骨線維肉腫、巨細胞腫、組織球腫、脂肪腫、脂肪肉腫、中皮腫、粘液腫、粘液肉腫、骨腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、滑膜腫、腺線維腫、リンパ腺腫、癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫、間葉腫、中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント質腫、歯牙腫、奇形腫、胸腺腫、絨毛性腫瘍、腺癌、腺腫、胆管腫、真珠腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢胞腺腫、顆粒膜細胞腫、男性胚細胞腫、肝細胞癌、汗腺腫、膵島細胞腫、icydig細胞腫、乳頭腫、Sertoli細胞腫、莢膜細胞腫、平滑筋腫、子宮筋腫、平滑筋肉腫、筋芽細胞腫、筋腫、筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、神経節腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経鞘腫、神経芽細胞腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経細胞腫、傍神経節腫、非クロム親和傍神経筋腫、被角血管腫、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症、硬化性血管腫、血管腫症、グロムス血管腫、血管内皮細胞腫、血管腫、血管周皮腫、血管肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、松果体腫、癌肉腫、軟骨肉腫、嚢胞肉腫、葉状嚢胞肉腫、線維肉腫、血管肉腫、子宮肉腫、白血肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、myoswarcoma、粘液肉腫、卵巣カルシノーマ、横紋筋肉腫、肉腫(すなわち、ユーイング実験、カポシおよびマスト細胞)、新生物(すなわち、骨、胸部、消化器系、結腸直腸、肝臓、膵臓、下垂体、精巣、眼窩、頭部および首部、中枢神経系、聴覚、骨盤、気道および尿生殖器)、神経繊維腫症および子宮頸部形成異常。
【0033】
以下の実施例は、患者からの血液中のCTCの予報および予想値を説明する。以下の実施例は説明のために提供するものであり、いかなる場合においても本発明の範囲を限定するものでないことを注記しておく。
【0034】
実施例1
Cell Prep(商品商標)を用いた循環サイトケラチン陽性細胞の計数
サイトケラチン陽性細胞は、全血の7.5ml試料を用いてCell Prep(商品商標) Systemによって単離する。上皮細胞特異的な免疫磁気流体を添加し、20分間インキュベートする。20分間の磁気分離後に、免疫磁気結合した抗体に結合した細胞を試験管の壁に磁気的に保持する。ついで、結合しなかった試料を吸引し、等張溶液を添加して試料を再懸濁する。核酸色素、サイトケラチン(上皮細胞のマーカー)に対するモノクローナル抗体およびCD45(広スペクトルの白血球マーカー)を試料と一緒に15分間インキュベートする。磁気分離後に、結合しなかった画分を再度吸引し、結合および標識した細胞を0.2mlの等張溶液に再懸濁する。試料を、Cell Spotter(登録商標) Systemにおいて蛍光顕微鏡検鏡するために、細胞提示チャンバーに懸濁し、その磁場が磁気標識した細胞に向いている磁気装置に入れる。細胞はCell Spotter(登録商標) Systemで自動的に同定され;当該システムによって対照細胞が計数され;一方で、示したチェックリストを用いる計数のために操作者に候補循環癌細胞が提示される(図1)。
【0035】
実施例2
腫瘍負荷の評価:ラジオグラフィーイメージ分析とCTCの絶対数との間の比較
転移病変のラジオグラフィー測定が最近使用されて、転移疾患を有する癌患者における腫瘍負荷が評価されている。一般的に、最大の病変を測定し、合算して腫瘍負荷が得られる。乳癌患者における肝臓転移の二次元測定の例を図2Aに図示する。血流中の腫瘍負荷を測定する必要性を図示するモデルを、実際の活性腫瘍負荷の測定として、したがって疾患の全体活性のより良好な測定として図2Bに図示する。CTCの絶対数がイメージングによって測定した腫瘍の寸法と相関するかを決定するために、MBCを有する患者における予想実験を行った。
【0036】
Cell Spotter(登録商標) Systemを用いて、測定可能なMBCを有する69の患者からの7.5mlの血液中のCTCを計数した。腫瘍負荷は、療法を開始する前の8の測定可能な病変にのぼる二次元ラジオグラフィー測定によって評価した。腫瘍負荷は、個々の測定(mm)を付加することによって決定した。CTCは、療法の開始前に引き出した血液中で計数した。
【0037】
図3は69の患者における7.5ml中のCTCの数−対−腫瘍測定の二次元合算を示す。図3から、腫瘍のサイズと血中の腫瘍細胞の絶対数との間に相関は存在しない。イメージングによって測定して大きな腫瘍を有する何人かの患者は、少数のCTCを有するかまたはその反対であった。
【0038】
したがって、ラジオグラフィーによって測定した腫瘍負荷は、血中に存在する腫瘍細胞の絶対数と相関しない。
【0039】
実施例3
腫瘍負荷の評価:ラジオグラフィーイメージにおける変化とCTCの絶対数における変化との間の比較
ラジオグラフィーイメージングは、特定の疾患が治療に応答しているか、安定化しているか、または増悪しているかを評価するための最近の標準である。ラジオグラフィー測定間の間隔は、意味のある結果を得るために少なくとも3ヶ月としなければならない。したがって、治療サイクルの間の早期の療法に対する応答を予想し得る試験は、転移疾患について治療した患者の管理を改善して、クウォリティー・オブ・ライフを潜在的に向上し、かつ、生存を潜在的に改善し得るであろう。この実験においては、MBCについて新たな系統の治療を開始した患者を評価して、CTCの数における変化がイメージングによって測定した患者状態における変化と相関するかを決定した。
【0040】
Cell Spotter(登録商標) Systemを用いて、新たな療法を開始することに関して、および治療サイクルの間の種々の時点で、MBC患者における7.5mlの血液中のCTCを計数した。ラジオグラフィー測定は療法開始前、療法開始10−12週後および治療サイクル完了後(療法開始約6月後)に、または最初になろうがなかろうが、患者が療法で増悪した時点に行った。
【0041】
イメージ分析から、14の患者において部分的な応答が見出され(17のデータセグメント)、CTCはすべての症例において減少したかまたは検出不可能のままであった(図4を参照されたい)。イメージングによって安定な疾患は、30の患者において見出された(37のデータセグメント)。CTCはすべての症例において減少したかまたは検出不可能のままであった(図4を参照されたい)。イメージングによる疾患増悪は、14の患者において見出された(15のデータセグメント)。CTCは15の症例のうちの7において増加した。他の8の症例では、いずれの時点においてもCTCは全く検出されなかった。
【0042】
CTCの増加は、疾患増悪を有する患者においてのみ観察された(100%)。CTCの減少は部分的応答ないし安定な疾患を有する患者においてのみ観察された(100%)。部分的応答または安定疾患を有する患者においては、61の症例のうちの54においてCTCは両方の時点においても全く検出されなかった(89%)。
【0043】
実施例4
治療の案内としての、MBCについて処理した患者におけるCTCの数における傾向
MBCを有する患者における研究を行い、CTCの数の変化における明らかな傾向がMBCについて治療した患者において観察し得るか、および、MBCを有する患者の治療の最適化に治療する医師を案内するために、かかる傾向に単純なルールを適用し得るかを決定した。
【0044】
Cell Spotter(登録商標) Systemを用いて、7.5mlの血液中のCTCを計数した。MBCに対して新たな系統の療法を開始した81の患者を当該研究に登録した。CTCは、療法を開始する前におよびその後はほぼ毎月吸い出した血液中で計数した。
【0045】
81の患者のうちの76(94%)において、CTCの数における明らかな傾向が観察された。療法の過程の間は、50%の患者の血液7.5ml当たりにCTCの数が検出できないか、または5未満のCTCが残存していた。典型的な例を図6Aに示す。CTCの数は22%の患者において療法の過程の間に減少した。典型的な例を図6Bに示す。6%の患者においては、CTCの数における減少につづいて療法の過程の間に増加することが観察された。典型的な例を図6Cに示す。16%の患者においては、療法の過程の間にCTCの数が増加した。典型的な例を図6Dに示す。42の例において、各血液の引き出し時に、2の血液試料を調製し、分析した。最初の時点に引き出した第1の試験管および追跡時点に引き出した第1の試験管を用いた結果を、各時点に引き出した第2の試験管を用いた結果と比較した。これらの例のうちの1のみにおいて、CTCの数における変化が、引き出した第1の試験管と引き出した第2の試験管の間で(あるいは、二重で)異なっていた(98%の合致)。この場合においては、引き出した第1の血液からの両方の試験管ともに0のCTCを有していたが、引き出した第2の血液に関しては、1の試験管が5のCTCを有し(カットオフの下)、第2の試験管が6のCTC(カットオフの上)を有していた。CTC測定の再現性の比較において、同じフィルムを2の異なるエキスパート放射線技師によって判読させた場合のラジオグラフィーイメージングの判読者間変動は、わずか81%の合致しか生じなかった。さらに、146のイメージング・セグメントのセットにおける2の放射線技師間の合致は、増悪−対−無増悪を測定した場合は85%であり、増悪、安定な疾患および部分的応答を測定した場合にはわずか58%まで低下した。それに対して、2の異なる放射線技師によって同じデータセットに対してCTC測定の分析を行うと、100%の合致を生じた。
【0046】
したがって、MBCについて治療した患者におけるCTCの検出およびモニタリングは、ラジオグラフィーイメージングよりも、療法に対する応答を測定する方がより再現性のよい手法である。
【0047】
実施例5
療法の開始前のPFSおよびOSの予測
療法の開始前のCTCレベルを無増悪生存(PFS)および全生存(OS)と関連付ける実験を行い、それによって5 CTC/7.5mlの閾値を用いた。
【0048】
測定し得るMBCを有する117の患者を、新たな系列の治療を開始する前のおよび6ヶ月にのぼるつづく1ヶ月間隔の7.5mlの血液中のCTCについて試験した。いずれかの型の療法およびいずれかの系統の療法に入る患者を当該試行に含めた。疾患の増悪または応答は、各患者の部位において医師によって評価した。
【0049】
図7に示すごとく、中央値PFSはCTCレベルが上昇するに従って減少し、5のCTCで平行になるプラトーに達した(水平線)。中央PFSはすべての患者についてほぼ5.9ヶ月であった(黒点)。陽性患者についての中央PFSにおける変化およびに基づき、Coxハザード比に基づいて、5 CTCのカットオフをすべてのつづく分析に用いた。
【0050】
図8は、ベースライン血液引き抜き中で測定されたCTCの数を用いた無増悪生存(PSF)および全生存(OS)のカプラン・メイヤー分析を示している。177の患者において、中央PFS時間はほぼ5.0ヶ月であった。ベースラインにて>5 CTC/7.5mlの血液を有する患者は、<5 CTCを有する患者よりも有意に短いPSFを有していた(各々、ほぼ2.7ヶ月−対−7.0ヶ月)。全体生存(OS)は、>5 CTC−対−<5 CTCを有する患者について、各々、10.1ヶ月−対−>18ヶ月の中央OSを有して同じ傾向を反映した。
【0051】
新しい系統の療法を開始する前のCTCの数の測定は、患者がその療法において増悪するまでの時間を予想し、生存時間を予想する。この予想能力に基づいて、ベースラインにおけるCTCの検出および測定は適当な治療の選択において有用であろう情報を医師に提供する。また、PFSおよびOSの観点から患者を高危険性および低危険性に階層化する能力は、療法試行に入れる適当な患者を選択するのに非常に有用となり得る。潜在的に高い毒性を有する新規な薬剤に関しては、乏しい予想因子を有する患者はより適当な標的集団となり得る。それに対して、最小限の毒性を有する薬剤および将来有望な療法効力は、好ましい予想因子を有する患者に向けてより適当に標的化し得る。
【0052】
実施例6
療法の開始後のPFSおよびOSの予想
療法の開始後のCTCレベルを無増悪生存(PFS)および全体生存(OS)と関連付けるための実験を、第1の追跡時におけるCTCの数を用いて行い、PFSおよびOSを予想した。
【0053】
測定し得るMBCを有する163の患者を、この分析のために評価した。血液は、新たな系統の療法の開始後平均4週間に引き出した。疾患の増悪または応答は、療法開始後12週間の平均時間に各患者についての部位において医師によって評価した。
【0054】
図9に示すごとく、第1の追跡時に7.5ml当たり5 CTCを有する49の患者は、7.5ml当たり<5 CTCを有する114の患者と比較して、有意により短い中央PSF、各々ほぼ2.1ヶ月−対−7.0ヶ月を有していた。同じ傾向は全生存における中央値においても観察された。>5 CTCについてほぼ8.2ヶ月−対−<5 CTCについて>18ヶ月。
【0055】
別の分析においては、本発明者らは、既知のより短いまたはより長いPFSおよびOSを有する2の群を、減少しているCTCを有する患者と比較した。詳細には、ベースラインおよび第1の追跡におけるCTCが<5である患者は、比較的長いPSFおよびOSを有することが知られている;すなわち、これは、比較的良好な性能を有する集団であった。逆に、第1の追跡において>5のCTCレベルを有してCTCがベースラインから第1の追跡までに上昇した患者は、比較的短いPFSおよびOSを有することが知られている;すなわち、これは、比較的乏しい性能を有する集団であった。ついで、本発明者らは、これらの第1の2の群に対して、2のさらなる患者の群を比較した:最初に、<5のレベルまで、ベースラインから第1の追跡にCTCが減少した患者。第2に、本発明者らは、ベースラインから第1の追跡にCTCが減少したが、第1の追跡におけるCTCの数が5であった患者を評価した。結果を図10に示す。ベースラインおよび第1の追跡において<5 CTCを有する第1の対照群については、PFSおよびOSは予想したように比較的長かった。上昇する細胞を有する第2の対照群については、PFSおよびOSは、再度予想したように、比較的はるかに短かった。第1の追跡において<5までCTCが減少した患者については、PFSおよびOSを両方の時点において<5 CTCを有する患者のものに近似した。逆に、CTCが減少したが、<5まで減少しなかった患者については、その予測は上昇するCTCを有する患者とちょうど同じ位に乏しかった。
【0056】
したがって、CTCは第1の追跡において5未満まで衰えてPFSおよびOSを最高化し、療法と関連する利益を最大限化しなければならない。
【0057】
実施例7
PFSおよびOSの予報値の一変量および多変量解析
CTCレベルをPFSおよびOSと関連する既知のパラメータとを比較するために、一変量および多変量のCox比例ハザード回帰分析を行った。PFSを予測することについては、療法の系統、療法の型およびベースラインおよび第1の追跡におけるCTCレベルのみが、一変量的に有意であった。OSについては、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、またはその両方のいずれかが陽性である場合にER/PRが陽性であると考えられる場合には、ER/PR状態も一変量的に有意であった。ECOGガイドラインを用いて測定した患者状態も、ECOGがEuropean Cooperative Oncology Groupパフォーマンス・ステータスにおいて0ないし5にランクされる場合にはOSについて一変量的に有意であった(表2)。
【0058】
【表1】

【0059】
ステージ=第1の診断時における疾患ステージ、Pos=陽性、Neg=陰性、化学=他の療法を含むまたは含まない化学療法、ホルモン=ホルモン療法および/または免疫療法、HR=Coxハザード比、転移までの時間は連続変数として評価した。
【0060】
パラメータを含むおよび排除する両方に対してp<0.05のストリンジェンシーレベルでの逐次Cox回帰を、ベースラインおよび第1の追跡におけるCTCレベルについて別々に用いてPFSおよびOSを予想した。幾つかの臨床因子は多変量分析においてその適当性を維持したが、ベースラインCTCおよび第1の追跡における持続性の陽性CTCが、PFSおよびOSの最強の予報値として現れた(表3)。
【0061】
【表2】

【0062】
逐次選抜プロセスを用いる多変量Cox回帰分析を用いて、PFSおよびOSとの関連性を評価した。0.05のストリンジェンシーレベル(p−値)を、多変量分析におけるパラメータを含むおよび排除する両方に対して用いた。PFSおよびOSに対して統計上有意な相関を実証する各パラメータについての結果を表に要約する。CTC数はPFSおよびOSの最強の予報値であった。
ステージ=第1の診断時における疾患ステージ、Pos=陽性
Neg=陰性、HR=Coxハザード比、ns=多変量分析において有意性なし
【0063】
実施例8
第1の追跡後のCTCに基づく療法に対する応答の評価
MBCを有する患者における研究を行って、第1の追跡後のCTCの数が療法に対する応答を評価するのに適当な指数を与えるのかを決定した。
【0064】
Cell Spotter(登録商標) Systemを用いて、7.5mlの血液中のCTCを計数した。163の臨床学的に診断された転移乳癌患者を、ベースライン血液引き抜きの時点から平均4.5±2.4週間(中央値4.0週間、1.4ないし16.9週の範囲)である第1の追跡血液引き抜きにおけるCTCについて比較した。CTCは療法の開始の前およびその後ほぼ毎月に引き抜いた血液において計数した。7.5mlの血液当たり5 CTC未満の閾値を用いて、第1の追跡におけるCTCカウントを、安定または応答している疾患を有する患者が増悪なしに分類され、ベースラインおよび第1の追跡からの二次元イメージング決定に基づいて臨床疾患増悪を有する患者が増悪として分類されるように、患者の臨床状況と比較した(表4)。
【0065】
【表3】

【0066】
第1の追跡においてアッセイした場合に5未満のCTCを有する94の患者は疾患増悪なしを示し、CTCカウントと療法に対する応答との間の一致を示した。第1の追跡においてアッセイした場合に5以上のCTCを有する35の患者は疾患増悪を示し、ここでも、第1の追跡におけるCTC数と療法に対する応答の欠如との間の一致を示した。20の患者は疾患増悪と共に5未満のCTCを示し、これは偽陰性結果を表した。これらの患者は彼らがしてきたようにCTC分析を使用することなく療法を受けることを続けるため、これらの結果は臨床的に有害とならないであろう。しかしながら、14の患者が、増悪のラジオグラフィー証拠を有さずに第1の追跡において>5 CTCを示し、これは偽陽性応答を示している。これらの応答はその療法から恩恵を受け得る患者における療法の変更を生じ得るが、新たな療法はこれらの患者において役に立つことが予想され、偽陽性の数は許容できる低さである。したがって、全体的にみて、第1の追跡におけるCTCの計数は、評価した160の患者のうちの129において療法に対する応答の指標を与えた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】腫瘍細胞として捕捉した対象を確認するために用いたCell Spotter(登録商標)蛍光分析プロフィール。チェックマークは、複合イメージに基づく陽性腫瘍細胞を示す。複合イメージは、上皮細胞マーカー(EC−PE)および核染色(NADYE)についての陽性選抜に由来する。陰性選抜も、白血球マーカー(L−APC)および対照(CNTL)に必要である。
【図2】腫瘍状態における変化を測定するための診断方法の比較。ラジオグラフィー・イメージングを用いた分離した病変の物理学的測定の最近の標準を示す(パネルA)。血中のCTCの数をカウントすることによって負った転移癌における変化を評価する能力を図示するモデルを示す(パネルB)。
【図3】69の患者におけるCTCと腫瘍サイズとの間の相関の欠如。
【図4】療法に対して部分的な応答または安定した疾患状態を有する患者におけるCTCの数における変化。すべての症例において減少または検出不可能のままであったかのいずれかのCTC。
【図5】疾患増悪を有する患者におけるCTCの数における変化。疾患増悪に伴い増加したかまたは検出不可能のままであったかのいずれかのCTC。
【図6a】CTCの数における患者の傾向。パネルAは7.5mlの血液当たり5よりも少ないCTCを有する典型的な患者を示す。パネルBは療法の過程の間にCTCの減少を有する典型的な患者を示す。
【図6b】CTCの数における患者の傾向。パネルCはCTCの減少につづいて増加を有する典型的な患者を示す。パネルDはCTCにおける増加を有する典型的な患者を示す。
【図7】迅速な増悪を有するMBC患者を識別するための最適CTCカットオフの決定。解析は、トレーニング・セットに含まれる102の患者からのベースラインで得たCTC数を用いて行った。7.5mlの血液中のCTCの選択した数以上を有する患者の中央PFSは実線によって示し、選択したCTCレベル未満を有する患者の中央PFSは破線によって示す。CTCが増加し、5のCTCで安定になるプラトーに達する(水平線によって示した)にしたがい中央PFSは低下した。黒色の点はすべての102の患者に対する〜5.9ヶ月の中央PFSを示す。CTC/7.5mlの選択したカットオフを、すべての続く解析に用いた。
【図8】PFSおよびOSについてのベースラインCTCの予想値。新たな系列の療法を開始する前に採取したベースライン血液を用いた、7.5mlの血液中に<5(黒線)および5(灰色線)のCTCを有するMBC患者のPFSおよびOSの確率を示す。PFSおよびOSは、ベースライン血液を採取した時点から計算した。パネルA:ベースラインCTCカウントを用いたPFSの確率(n=177、log−rank p=0.0001、CoxHR=1.95、カイ=15.33、p=0.0001)。パネルB:ベースラインCTCカウントを用いたOSの確率(n=102、log−rank p=0.0003、CoxHR=3.98、カイ=12.64、p=0.0004)。
【図9】PFSおよびOSについて最初の追跡時におけるCTCの予想値。新たな系統の療法を開始した後の最初の追跡時の7.5mlの血液中に<5(黒線)および5(灰色線)のCTCを有するMBC患者のPFSおよびOSの確率。PFSおよびOSは採取したベースライン血液の時点から計算した。パネルA:採取した血液の最初の追跡を用いたPFSの確率(n=163、log−rank p<0.0001、CoxHR=2.73、カイ=25.25、p<0.0001)。パネルB:採取した血液の最初の追跡を用いたOSの確率(n=68、log−rank p=0.0001、CoxHR=6.12、カイ=13.24、p=0.0003)。
【図10】療法開始後(〜4−5週間後)に採取した最初の追跡血液における5未満までのCTCカウントにおける減少は、改善された中央PFSおよびOSを予想する。両方のパネルにつき、黒色実線はベースラインおよび採取した最初の追跡血液の両方において<5のCTCを示す。黒色点線はベースラインでは最初に5 CTCを示したが、最初の追跡時に5未満まで減少したCTCLのごときリンパ球異常増殖疾患を診断および追跡を示す。灰色破線はベースライン時および追跡の両方において5 CTCを示し、灰色実線は追跡時の5 CTCを有するベースライン・レベルからのCTCにおける増加を示す。パネルAは患者におけるPFSの確率を図示し、一方でパネルBはOSの確率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象における循環希薄細胞(circulating rare cell)の転移可能性を評価する方法であって:
a)該試験対象から生物標本を得、該標本は該希薄細胞を含有することが疑われる混合した細胞集団を含み;
b)該標本の画分を富化し、該画分は該希薄細胞を含有し;
c)該希薄細胞の構造一体性が完全であることを確認し;ついで
d)該完全な希薄細胞を分析することを含み、ここに該分析が予め決定した統計連関に基づいて該試験対象の完全な希薄細胞の数と該転移可能性とを相関付けることを特徴とする該方法。
【請求項2】
該画分を免疫磁気的富化によって得、該標本を該希薄細胞に特異的に結合する生物特異的リガンドに結合した磁気粒子と混合して他の集団を実質的に排除し、ついで標本−磁気粒子混合物を磁場に付して磁気粒子結合した希薄細胞に富む細胞懸濁液を生成する請求項1記載の方法。
【請求項3】
該構造一体性を、免疫組織化学法、RT−PCR法、PCR法、FISH法、フローサイトメトリー法、イメージサイトメトリー法およびそれらの組合せよりなる群から選択される方法によって決定する請求項1記載の方法。
【請求項4】
該分析が該完全な希薄細胞の数における変化に基づき、該変化が該転移可能性の指標である請求項1記載の方法。
【請求項5】
該標本に存在する該完全な希薄細胞の数における増加が疾患増悪に対応する請求項1記載の方法。
【請求項6】
該転移可能性を、転移乳癌試験対象、転移前立腺癌試験対象、膀胱癌試験対象、転移大腸癌試験対象およびそれらの組合せよりなる群から選択される該試験対象について決定する請求項1記載の方法。
【請求項7】
試験対象における転移可能性を評価する希薄細胞分析システムであって:
a)該試験対象からの生物標本中の細胞を安定化する手段、該手段は該標本中の該希薄細胞の特徴決定基を保護し;
b)該標本の画分を富化する手段、該画分は完全な希薄細胞を含有し;
c)該完全な希薄細胞の構造一体性を確認する手段;および
d)該完全な希薄細胞を分析して巨視的転移を決定する手段を含み、ここに該手段が予め決定した統計連関に基づいて該完全な希薄細胞の数と該転移可能性とを相関付ける該システム。
【請求項8】
該安定化手段が、抗凝固剤、安定化剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項7記載の希薄細胞分析システム。
【請求項9】
該富化手段が、免疫磁気的手段、密度勾配遠心分離およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項7記載の希薄細胞分析システム。
【請求項10】
該確認手段が、免疫組織化学的手段、RT−PCR手段、PCR手段、FISH手段、フローサイトメトリー手段、イメージサイトメトリー手段およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項7記載の希薄細胞分析システム。
【請求項11】
該分析手段が、カプラン・メイヤー型分析、Cox比例ハザード回帰分析およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項7記載の希薄細胞分析システム。
【請求項12】
試験対象からの希薄細胞を含有する生物標本において転移可能性をスクリーニングする試験キットであって:
a)磁気コア材料、タンパク質ベース被覆材料、および該希薄細胞の第1の特徴決定基に特異的に結合する抗体を含む被覆磁気ナノ粒子、該抗体は該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合しており;
b)該希薄細胞の第2の特徴決定基に結合特異性を有する少なくとも1の抗体;
c)該希薄細胞以外の試料成分を分析から排除するための細胞特異的色素を含む該試験キット。
【請求項13】
該抗体が該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合した抗−EpCAMである請求項12記載のキット。
【請求項14】
さらに、非標的細胞に結合アフィニティーを有する抗体、生物学的緩衝液、透過緩衝液、プロトコール、情報シートおよびそれらの組合せよりなる群から選択される成分を含む請求項12記載のキット。
【請求項15】
患者における生存予測の方法であって:
a)該患者から生物標本を得、該標本は希薄細胞を含有することが疑われる混合した細胞集団を含み;
b)該標本の画分を富化し、該画分は該希薄細胞を含有し;
c)該希薄細胞の構造一体性が完全であることを確認し;ついで
d)該完全な希薄細胞を分析して患者生存を決定することを含み、ここに該分析が予め決定した統計連関に基づいて該患者の完全な希薄細胞の数と該生存予測とを相関付けることを特徴とする該方法。
【請求項16】
該循環希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
該画分を免疫磁気的富化によって得、該標本を該希薄細胞に特異的に結合する生物特異的リガンドに結合した磁気粒子と混合して他の集団を実質的に排除し、ついで標本−磁気粒子混合物を磁場に付して磁気粒子結合した希薄細胞に富む細胞懸濁液を生成する請求項15記載の方法。
【請求項18】
該生物特異的リガンドが、上皮細胞表面抗原に対して向けられた抗体である請求項15記載の方法。
【請求項19】
該希薄細胞が、該上皮細胞表面抗原としてEpCAMを有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
該構造一体性を、免疫組織化学法、RT−PCR法、PCR法、FISH法、フローサイトメトリー法、イメージサイトメトリー法およびそれらの組合せよりなる群から選択される方法によって決定する請求項15記載の方法。
【請求項21】
該分析が、該生存予測を示す該完全な希薄細胞の数における変化に基づく請求項15記載の方法。
【請求項22】
該分析が閾値の数に対する循環腫瘍細胞(CTC)数の測定に基づき、該閾値以上の該測定がより低い該生存予測の指標である請求項21記載の方法。
【請求項23】
該閾値が5の循環腫瘍細胞である請求項22記載の方法。
【請求項24】
該生存予測を、転移乳癌患者、転移前立腺患者、膀胱癌患者、転移大腸癌患者およびそれらの組合せよりなる群から選択される患者について決定する請求項15記載の方法。
【請求項25】
患者における生存予測を評価する希薄細胞分析システムであって:
a)該患者からの生物標本中の細胞を安定化する手段、該手段は該標本中の希薄細胞の特徴決定基を保護し;
b)該標本の画分を富化する手段、該画分は完全な希薄細胞を含有し;
c)該完全な希薄細胞の構造一体性を確認する手段;および
d)該完全な希薄細胞を分析する手段を含み、ここに該手段が予め決定した統計連関に基づいて該完全な希薄細胞の数と該生存予測とを相関付ける該システム。
【請求項26】
該安定化手段が、抗凝固剤、安定化剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項25記載の希薄細胞分析システム。
【請求項27】
該富化手段が、免疫磁気的手段、密度勾配遠心分離およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項25記載の希薄細胞分析システム。
【請求項28】
該確認手段が、免疫組織化学的手段、RT−PCT手段、PCR手段、FISH手段、フローサイトメトリー手段、イメージサイトメトリー手段およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項25記載の希薄細胞分析システム。
【請求項29】
該分析手段が、カプラン・メイヤー型分析、Cox比例ハザード回帰分析およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項25記載の希薄細胞分析システム。
【請求項30】
患者における生存予測を評価するキットであって:
(a)磁気コア材料、タンパク質ベース被覆材料、および該患者からの生物標本中の希薄細胞の第1の特徴決定基に特異的に結合する抗体を含む被覆磁気ナノ粒子、該抗体は該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合しており;
(b)該希薄細胞の第2の特徴決定基に結合特異性を有する少なくとも1の抗体;および
(c)分析から該希薄細胞以外の試料成分を排除する細胞特異的色素
を含む該キット。
【請求項31】
該抗体が、該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合した抗−EpCAMである請求項30記載のキット。
【請求項32】
さらに、非標的細胞に結合アフィニティーを有する抗体、生物緩衝液、透過緩衝液、プロトコール、情報シートおよびそれらの組合せよりなる群から選択される成分を含む請求項30記載のキット。
【請求項33】
該希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項30記載のキット。
【請求項34】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が乳癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基がMUC−1、エストロゲン、プロゲステロン受容体、カテプシンD、p53、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター、上皮増殖因子、上皮増殖因子受容体、BRCA1、BRCA2、CA27.29、CA15.5、前立腺特異的抗原、プラスミノーゲンアクチベーター・インヒビターおよびHer2−neuよりなる群から選択される、乳癌を有する患者における生存予測を評価する請求項30記載のキット。
【請求項35】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が前立腺癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が前立腺特異的抗原、前立腺酸性フォスファターゼ、チモシンb−15、p53、HPC1ベーシック前立腺遺伝子、クレアチンキナーゼおよび前立腺特異的膜抗原よりなる群から選択される、前立腺癌を有する患者における生存予測を評価する請求項30記載のキット。
【請求項36】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が大腸癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が癌胚抗原、プロテインC、APC遺伝子、p53およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP−9)よりなる群から選択される、大腸癌を有する患者における生存予測を評価する請求項30記載のキット。
【請求項37】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が膀胱癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が核マトリックスタンパク質(NMP22)、Bard膀胱腫瘍抗原(BTA)、およびフィブリン分解産物(FDP)よりなる群から選択される、膀胱癌を有する患者における生存予測を評価する請求項30記載のキット。
【請求項38】
該少なくとも1の抗体が、各々が異なる癌細胞特徴決定基に結合特異性を有する一連の抗体を含む請求項30記載のキット。
【請求項39】
患者における疾患増悪までの時間を評価する方法であって:
a)該患者から生物標本を得、該標本は希薄細胞を含有することが疑われる混合した細胞集団を含み;
b)該標本の画分を富化し、該画分は該希薄細胞を含有し;
c)該希薄細胞の構造一体性が完全であることを確認し;ついで
d)該完全な希薄細胞を分析して疾患増悪までの時間を決定することを含み、ここに該分析が予め決定した統計連関に基づいて該患者の完全な希薄細胞の数と疾患増悪までの時間とを相関付けることを特徴とする該方法。
【請求項40】
該循環希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項39記載の方法。
【請求項41】
該画分を免疫磁気的富化によって得、該標本を該希薄細胞に特異的に結合する生物特異的リガンドに結合した磁気粒子と混合して他の集団を実質的に排除し、標本−磁気粒子混合物を磁場に付して磁気粒子結合した希薄細胞に富む細胞懸濁液を生成する請求項39記載の方法。
【請求項42】
該生物特異的リガンドが、上皮細胞表面抗原に対して向けられた抗体である請求項39記載の方法。
【請求項43】
該希薄細胞が該上皮細胞表面抗原としてEpCAMを有する請求項42記載の方法。
【請求項44】
該構造一体性を、免疫組織化学法、RT−PCR法、PCR法、FISH法、フローサイトメトリー法、イメージサイトメトリー法およびそれらの組合せよりなる群から選択される方法によって決定する請求項39記載の方法。
【請求項45】
該分析が該完全な希薄細胞の数における変化に基づき、該疾患増悪までの時間を示す請求項39記載の方法。
【請求項46】
該分析が閾値数に対するCTCの数の測定に基づき、該閾値以上の該測定が疾患増悪までのより少ない該時間の指標である請求項39記載の方法。
【請求項47】
該閾値が5の循環腫瘍細胞である請求項39記載の方法。
【請求項48】
該増悪までの時間を、転移乳癌患者、転移前立腺癌患者、転移大腸癌患者、膀胱癌患者およびそれらの組合せよりなる群から選択される該癌患者について決定する請求項39記載の方法。
【請求項49】
患者における疾患増悪までの時間を評価する希薄細胞分析システムであって:
a)該患者からの生物標本中の細胞を安定化する手段、該手段は該標本中の希薄細胞の特徴決定基を保護し;
b)該標本の画分を富化する手段、該画分は完全な希薄細胞を含有し;
c)該完全な希薄細胞の構造一体性を確認する手段;および
d)該完全な希薄細胞を分析する手段を含み、ここに該手段が予め決定した統計連関に基づいて該完全な希薄細胞の数と該疾患進行までの時間とを相関付けることを特徴とする該システム。
【請求項50】
該安定化手段が、抗凝固剤、安定化剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項49記載の希薄細胞分析システム。
【請求項51】
該富化手段が、免疫磁気的手段、密度勾配遠心分離およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項49記載の希薄細胞分析システム。
【請求項52】
該確認手段が、免疫組織化学的手段、RT−PCT手段、PCR手段、FISH手段、フローサイトメトリー手段、イメージサイトメトリー手段およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項49記載の希薄細胞分析システム。
【請求項53】
該分析手段が、カプラン・メイヤー型分析、Cox比例ハザード回帰分析およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項49記載の希薄細胞分析システム。
【請求項54】
患者における疾患増悪までの時間を評価するキットであって:
a)磁気コア材料、タンパク質ベース被覆材料、および該患者からの生物標本中の希薄細胞の第1の特徴決定基に特異的に結合する抗体を含む被覆磁気ナノ粒子、該抗体は該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合しており;
b)該希薄細胞の第2の特徴決定基に結合特異性を有する少なくとも1の抗体;および
c)該希薄細胞以外の試料成分を分析から排除する細胞特異的色素を含む該キット。
【請求項55】
該抗体が該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合した抗−EpCAMである請求項54記載のキット。
【請求項56】
さらに、非標的細胞に結合アフィニティーを有する抗体、生物学的緩衝液、透過緩衝液、プロトコール、情報シートおよびそれらの組合せよりなる群から選択される成分を含む請求項54記載のキット。
【請求項57】
該希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項54記載のキット。
【請求項58】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が乳癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基がMUC−1、エストロゲン、プロゲステロン受容体、カテプシンD、p53、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター、上皮増殖因子、上皮増殖因子受容体、BRCA1、BRCA2、CA27.29、CA15.5、前立腺特異的抗原、プラスミノーゲンアクチベーター・インヒビターおよびHer2−neuよりなる群から選択される請求項54記載のキット。
【請求項59】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が前立腺癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が前立腺特異的抗原、前立腺酸性フォスファターゼ、チモシンb−15、p53、HPC1ベーシック前立腺遺伝子、クレアチンキナーゼおよび前立腺特異的膜抗原よりなる群から選択される、前立腺癌を有する患者における疾患増悪までの時間を評価する請求項54記載のキット。
【請求項60】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が大腸癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が癌胚抗原、プロテインC、APC遺伝子、p53およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP−9)よりなる群から選択される、大腸癌を有する患者における疾患増悪までの時間を評価する請求項54記載のキット。
【請求項61】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が膀胱癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が核マトリックスタンパク質(NMP22)、Bard膀胱腫瘍抗原(BTA)、およびフィブリン分解産物(FDP)よりなる群から選択される、膀胱癌を有する患者における無増悪生存を評価する請求項54記載のキット。
【請求項62】
該少なくとも1の抗体が、各々が異なる癌細胞特徴決定基に結合特異性を有する一連の抗体を含む請求項54記載のキット。
【請求項63】
療法に対する患者の応答を評価する方法であって:
(a)該患者から生物標本を得、該標本は希薄細胞を含有することが疑われる混合した細胞集団を含み;
(b)該標本の画分を富化し、該画分は該希薄細胞を含有し;
(c)該完全な希薄細胞の構造一体性が完全であることを確認し;ついで
(d)該完全な希薄細胞を分析して療法に対する患者の応答を決定することを含み、ここに該分析が予め決定した統計連関に基づいて該癌患者の完全な希薄細胞の数と該療法に対する応答とを相関付けることを特徴とする該方法。
【請求項64】
該循環希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項63記載の方法。
【請求項65】
該画分を免疫磁気的富化によって得、該標本を該完全な希薄細胞に特異的に結合する生物特異的リガンドに結合した磁気粒子と混合して他の集団を実質的に排除し、ついで標本−磁気粒子混合物を磁場に付して磁気粒子結合した完全な希薄細胞に富む細胞懸濁液を生成する請求項63記載の方法。
【請求項66】
該生物特異的リガンドが、上皮細胞表面抗原に対して向けられた抗体である請求項63記載の方法。
【請求項67】
該完全な希薄細胞が、該上皮細胞表面抗原としてEpCAMを有する請求項63記載の方法。
【請求項68】
該構造一体性を、免疫組織化学法、RT−PCR法、PCR法、FISH法、フローサイトメトリー法、イメージサイトメトリー法およびそれらの組合せよりなる群から選択される方法によって決定する請求項63記載の方法。
【請求項69】
該分析が該完全な希薄細胞の数における変化に基づき、療法に対する該患者の応答を示す請求項63記載の方法。
【請求項70】
該分析が閾値数に対するCTCの数の測定に基づき、該閾値以上の該測定が療法に対するより低い該患者の応答の指標である請求項63記載の方法。
【請求項71】
該閾値が5の循環腫瘍細胞である請求項63記載の方法。
【請求項72】
該療法に対する応答を、転移乳癌患者、転移前立腺癌患者、転移大腸癌患者およびそれらの組合せよりなる群から選択される患者について決定する請求項63記載の方法。
【請求項73】
療法に対する患者の応答のための希薄細胞分析システムであって:
a)該患者からの生物標本中の細胞を安定化させる手段、該手段は該標本中の希薄細胞の特徴決定基を保護し;
b)該標本の画分を富化する手段、該画分は完全な希薄細胞を含有し;
c)該完全な希薄細胞の構造一体性を確認する手段;および
d)該完全な希薄細胞を分析する手段を含み、ここに該手段が予め決定した統計連関に基づいて療法に対する該患者の応答の完全な希薄細胞の数を相関付けることを特徴とする該システム。
【請求項74】
該安定化手段が、抗凝固剤、安定化剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項73記載の希薄細胞分析システム。
【請求項75】
該富化手段が、免疫磁気的手段、密度勾配遠心分離およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項73記載の希薄細胞分析システム。
【請求項76】
該確認手段が、免疫組織化学的手段、RT−PCR手段、PCR手段、FISH手段、フローサイトメトリー手段、イメージサイトメトリー手段およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項73記載の希薄細胞分析システム。
【請求項77】
該分析手段が、カプラン・メイヤー型分析、Cox比例ハザード回帰分析およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項73記載の希薄細胞分析システム。
【請求項78】
患者における療法に対する患者の応答を評価するキットであって:
a)磁気コア材料、タンパク質ベース被覆材料、および該患者からの生物標本中の希薄細胞の第1の特徴決定基に特異的に結合する抗体を含む被覆磁気ナノ粒子、該抗体は該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合しており;
b)該希薄細胞の第2の特徴決定基に結合特異性を有する少なくとも1の抗体;および
c)該希薄細胞以外の試料成分を分析から排除する細胞特異的色素を含む該キット。
【請求項79】
該抗体が該ベース被覆材料に直接的または間接的に結合した抗−EpCAMである請求項78記載のキット。
【請求項80】
さらに、非標的細胞に結合アフィニティーを有する抗体、生物学的緩衝液、透過緩衝液、プロトコール、情報シートおよびそれらの組合せよりなる群から選択される成分を含む請求項78記載のキット。
【請求項81】
該希薄細胞が、内皮細胞、母体血中の胎児細胞、細菌細胞、心筋細胞、上皮細胞、ウイルス感染細胞およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項78記載のキット。
【請求項82】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が乳癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基がMUC−1、エストロゲン、プロゲステロン受容体、カテプシンD、p53、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター、上皮増殖因子、上皮増殖因子受容体、BRCA1、BRCA2、CA27.29、CA15.5、前立腺特異的抗原、プラスミノーゲンアクチベーター・インヒビターおよびHer2−neuよりなる群から選択される、乳癌を有する患者における療法に対する患者の応答を評価する請求項78記載のキット。
【請求項83】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が前立腺癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が前立腺特異的抗原、前立腺酸性フォスファターゼ、チモシンb−15、p53、HPC1ベーシック前立腺遺伝子、クレアチンキナーゼおよび前立腺特異的膜抗原よりなる群から選択される、前立腺癌を有する患者における療法に対する患者の応答を評価する請求項78記載のキット。
【請求項84】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が大腸癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が癌胚抗原、プロテインC、APC遺伝子、p53およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP−9)よりなる群から選択される、大腸癌を有する患者における療法に対する患者の応答を評価する請求項78記載のキット。
【請求項85】
癌細胞決定基に結合特異性を有する該少なくとも1の抗体が膀胱癌細胞決定基に特異的に結合し、該決定基が核マトリックスタンパク質(NMP22)、Bard膀胱腫瘍抗原(BTA)およびフィブリン分解産物(FDP)よりなる群から選択される、膀胱癌を有する患者における療法に対する患者の応答を評価する請求項78記載のキット。
【請求項86】
該少なくとも1の抗体が、各々が異なる癌細胞特徴決定基に結合特異性を有する一連の抗体を含む請求項78記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−525642(P2007−525642A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503899(P2006−503899)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/005848
【国際公開番号】WO2004/076643
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(399012963)イムニベスト・コーポレイション (10)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNIVEST CORPORATION
【Fターム(参考)】