説明

微小球におけるウィスパリングギャラリーモードを使用するバイオセンサー

【課題】標的分析物の存在を検出するためのバイオセンサーの提供。
【解決手段】微小回転楕円状粒子から形成され、その表面上に固定される標的分析物に対する結合パートナーを有し、結合パートナーは、ヌクレオチド;ペプチド、タンパク質、酵素、抗体などで、分析物がそのパートナーに結合する場合、微小回転楕円状粒子のウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルは、プロファイルピークが赤または青シフトするように変化し、固定化結合パートナーは、それらが蛍光、リン光、白熱光などを放出するように、フルオロフォアなどを含み、これらのフルオロフォアは、ナノ結晶または量子ドットの形態を取り得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、分析物検出の分野に関する。より詳しくは、本発明は、粒子上の固定化結合パートナーに結合する分析物によって誘導される、微小回転楕円状粒子のウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルにおける変化の使用に関し、それによって分析物の存在を検出する。本発明は、多重化プロトコールおよびWGMプロファイル変化によって検出される分析物にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
先行技術の説明
本明細書において提供される参照の文献的詳細は、明細書の最後に掲載される。
【0003】
この明細書における任意の先行技術への参照は、この先行技術が、任意の国における共通の一般知識の一部を形成するという認識または提案の任意の型ではなく、かつそのように受け取られるべきではない。
【0004】
ゲノミクスおよびプロテオミクスにおける急速な進歩は、2つの分子間の相互作用を調査および検出するための伝統的な労働集約的な方法の欠点を浮き彫りにした。異なる分子間の相互作用の分析およびサンプルにおける分析物の検出のための極めて感度の良い方法を考案する必要がある。一つまたはもう一方または両方の分析物および/またはその結合パートナーをラベルする必要なく、そのような分析を可能にする方法の開発は、特に望ましいと考えられる。
【0005】
現在、遺伝子チップは、スライドに固定されるオリゴヌクレオチドアレイを使用するハイスループット核酸分析のための手法を提供する。しかしながら、このテクノロジーは、分子の少なくとも一つのラベリングに依存している。
【0006】
分子の一つまたは複数のラベリングに依存しない、分子の相互作用を調査するための方法およびデバイスを開発する試みは、光学的方法に基づいてDNAおよび/またはタンパク質を調査するために最も頻繁に使用される、バイオセンサーを含む。例えば、干渉デバイスを含む光学的方法を記載する、Baird and Myszka, J Mol Recognit 14:261-268, 2001(非特許文献1), Rich and Myszka, J Mol Recognit 15:352-376, 2002(非特許文献2), Li et al. Science 299:840-843, 2003(非特許文献3)、およびLin et al. Science 278:840-843, 1997(非特許文献4)を参照されたい。Malmqvist, Nature 361:186-187, 1993(非特許文献5)は、表面プラズモン共鳴センサー(SPR)を開示する。SPRは、<10 pg.mm-2質量負荷の限界を検出し(Karlsson and Stahlberg, Anal Biochem 228:274-280, 1995(非特許文献6))、生体分子相互作用のリアルタイム検出を可能にする。しかしながら、SPRは、特異的でかつ高価な計装を必要とし、多重化測定に対する能力が限定される。
【0007】
本発明は、とりわけ、いずれの分子のラベリングも必要としない、分析物とそれらの結合パートナーとの間の相互作用の検出のための試薬および方法を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Baird and Myszka, J Mol Recognit 14:261-268, 2001
【非特許文献2】Rich and Myszka, J Mol Recognit 15:352-376, 2002
【非特許文献3】Li et al. Science 299:840-843, 2003
【非特許文献4】Lin et al. Science 278:840-843, 1997
【非特許文献5】Malmqvist, Nature 361:186-187, 1993
【非特許文献6】Karlsson and Stahlberg, Anal Biochem 228:274-280, 1995
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、とりわけ、サンプルにおける分子を検出するための方法および試薬を提供する。これらの分子は、本明細書において分析物と呼ばれる。分析物の存在または構造は、公知である必要はなく、故に本方法は、オーファン受容体の現在公知でない結合パートナー、および核酸発現の潜在的モジュレーター、または酵素活性、折り畳み、抗原性、もしくは機能を含むタンパク質を検出するのに理想的である。本発明の方法は、微小回転楕円状粒子の内または上に埋め込まれる光学的検出可能ラベルが、特殊なウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを表示すると思われる現象を、部分的に前提とする。「光学的検出可能」への言及は、分光手法による検出への言及を含む。標的分析物が微小回転楕円状粒子に固定される結合パートナーと相互作用する場合、WGMプロファイルが変化し、稀な結合事象の非常に感度の良い検出でさえ可能にする。
【0010】
WGMは、光の特定の波長のみが粒子から放出されるのを可能にする。この現象の結果は、例えばフルオロフォアからの通常の広範の発光(10〜100nm幅)バンドが、抑制されるようになり、粒子内の光のスタンディング(standing)モードパターンに有効に相当する鋭いピークの連続として現れる、というものである。本発明に従って、WGMプロファイルが、微小回転楕円状粒子の表面における変化に対して極めて感度が良いということ、および微小回転楕円状粒子がその環境内の分析物または分子と相互作用する場合に、WGMプロファイルが変化するということが決定されている。
【0011】
従って、本発明の一つの局面は、分析物を検出する方法を検討し、該方法は、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、光学的検出可能ラベルおよび該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが、定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す。
【0012】
本発明の方法は、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルにおける変調を検出するために適用され得、該変調は、微小回転楕円状粒子の表面に固定される潜在的結合粒子へのサンプルにおける分子の結合またはその他の連結の検出に起因する。WGMプロファイルにおける感度の良い変化に基づく、分析物とその結合パートナーとの間の結合反応の検出は、分析物の同定および単離を可能にする。
【0013】
本発明の特徴は、微小回転楕円状粒子が広領域の光源で励起され得、多くの異なるWGMプロファイルにおける測定を容易にすることである。
【0014】
「光学的検出可能ラベル」は、蛍光、リン光、および/または白熱光を放出する任意の分子、原子、またはイオンであり得る。本発明の一つの好ましい態様において、光学的検出可能ラベルは、化学的フルオロフォアおよび色素ならびに量子ドットなどの光学的検出可能ラベルの範囲を包含し得るフルオロフォアである。
【0015】
本発明は、固体支持体に固定される本明細書において記載されるような微小回転楕円状粒子も提供し、例えば、固体支持体は顕微鏡スライドを含み得る。
【0016】
一つの特定の態様において、本発明は、フルオロフォアまたは量子ドットなどの、直径が1μm〜100μmであり光学的検出可能ラベルでラベルされる、ラテックスまたはシリカ粒子を含む微小回転楕円状粒子を提供し、粒子は、検出される分析物の推定結合パートナーをさらに含む。光学的検出可能ラベルは、可視光波長において検出可能であり、微小回転楕円状粒子は、一つまたは複数のWGMプロファイルを示す。微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルの一つまたは複数は、分析物が粒子上の固定化結合パートナーと相互作用する場合に、検出可能なように変調する。WGMプロファイルにおける任意のそのような変化は、結合パートナーに結合した分析物の存在を示す。
【0017】
分析物および結合パートナーの例は、化学的分子、核酸分子、タンパク質、脂質、脂肪酸、および炭水化物を含む。
【0018】
本発明の本方法は、分析物の実在、存在、または構造の任意の知識を必要としない。例えば、酵素と、または酵素の触媒部位と、または酵素もしくはタンパク質の抗原性エピトープでもしくはその近くで、相互作用する分子(すなわち分析物)を見出すことが望ましい場合、次いで、本方法は、そのような分析物が実在するかどうかに関する知識を必要としない。その場合、微小回転楕円状粒子は、その表面でまたは近くで、標的結合パートナーを持つと思われ、標的結合パートナーと相互作用する組み合わせライブラリー、化学的ライブラリー、または天然産物資源(例えば、環境サンプル、血清、血漿、または生物学的抽出物)などのサンプルにおける分析物を検出するために使用されるWGMプロファイルにおいて変化する。
【0019】
本発明は、微小回転楕円状粒子の複数セットを組み入れることによって多重化を可能にし、各々のセットは、異なるサイズの、ならびに/または異なるフルオロクロムおよび/もしくは異なる標的結合パートナーでラベルされる粒子を含む。
【0020】
本発明は、本方法によって同定される分析物および本方法を実行するのに有用なキットをさらに提供する。
【0021】
この明細書全体にわたって、文脈が別途必要としない限り、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などのバリエーションは、述べられる要素または整数または要素もしくは整数の群の包含を暗示するが、任意のその他の要素または整数または要素もしくは整数の群の除外は暗示しないことが理解されるだろう。
【0022】
本明細書において使用される略語のリストは、表1において提供される。
【0023】
(表1)略語

【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】量子ドットラベル化微小回転楕円状粒子を生産するために使用される手順の概略を示すグラフ図である。
【図2】シリカ微小回転楕円状粒子の半径へのどれだけ小さな変化が、微小回転楕円状粒子の計算WGMプロファイルにおける明らかな変化をもたらすのかを示す計算曲線を示すグラフ図である。
【図3】明らかに特殊な蛍光および定義されるWGMプロファイルを示す、量子ドット(QD)光学的検出可能ラベルを含む微小回転楕円状粒子を示すグラフ図である。
【図4】生体ポリマーの単層が微小回転楕円状粒子に吸着される場合に、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルにおいて観測されたシフトを示す実験スペクトルを示すグラフ図である。QD=量子ドット対照非コーティング微小回転楕円状粒子;PSS=ポリスチレンスルホン酸(PSS)の吸着単層をともなう微小回転楕円状粒子;PVP=ポリビニルピロリドン(PVP)の吸着単層をともなう微小回転楕円状粒子。
【図5】以下に対するWGMプロファイルのグラフ図である:(a)DNAが48-merとしてQ-Sand粒子に結合された;(b)Q-Sandビーズが、a-トランスプローブDNA、トランスプローブの逆相補体にハイブリダイズした;および(c)Q-SandビーズがPCR産物にハイブリダイズした。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、とりわけ、粒子上に定義されるWGMプロファイルを与える光学的検出可能ラベルでラベルされる微小回転楕円状粒子の表面に固定される結合パートナーと呼ばれる別の分子との結合相互作用に参入することが可能な、本明細書において分析物と呼ばれる分子を検出するための方法を提供する。「光学的検出可能」への言及は、分光手法による検出への言及を含む。分析物と結合パートナーとの間の相互作用は、WGMプロファイルによる変化を誘導する。本明細書において記載される方法は、サンプルにおける分析物および分析物間の相互作用を検出するために使用され得る。重要なこととして、分析物もその結合パートナーも、ラベルを必要としない。相互作用は、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルにおける変化を誘導する。本発明の方法は、微小回転楕円状粒子内または上に埋め込まれる蛍光放出体が、定義されるWGMプロファイルを確立するという現象を、部分的に前提とする。微小回転楕円状粒子は、広領域の光源によって励起され得る。これは、多くの異なる構成における測定を容易にし、かつ多重化を容易にする。
【0026】
WGMは、光の特定の波長のみが粒子から放出されるのを可能にする。この現象の結果は、フルオロフォアからの通常の広範の発光(10〜100nm幅)バンドが、抑制されるようになり、粒子内の光のスタンディングモードパターンに有効に相当する鋭いピークの連続として現れる、というものである。
【0027】
WGMプロファイルは、微小回転楕円状粒子の表面との相互作用または連結に対して非常に感度が良い。故に、WGMプロファイルにおける変化により、稀な結合事象でさえ検出され得る。
【0028】
別途示されない限り、本発明は、特定の微小回転楕円状粒子剤形、製造方法、診断的もしくはアッセイプロトコール、または同様のものに限定されず、そのようなものとして変化し得る、ということが理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、特定の態様のみを記載するという目的のためであり、限定的であることを意図されてはいない、ということも理解されるべきである。「分析物」および「結合パートナー」への言及は、分析物の構造に関する任意の知識が公知である、または公知であることが必要とされる、と推測されるべきではない。
【0029】
本明細書において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途前もって(already)指示しない限り、複数の局面を含むということが留意されなければならない。したがって、例えば、「ピーク」または「プロファイル」への言及は、単一のピークまたはプロファイルならびに二つ以上のピークまたはプロファイルを含む;「微小回転楕円状粒子」は、単一の粒子ならびに二つ以上の粒子を含む;その他。
【0030】
一つの局面において、本発明は、分析物を検出する方法を検討し、該方法は、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、光学的検出可能ラベルおよび該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが、定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す。
【0031】
本発明によって検討される「微小回転楕円状粒子」は、光学的検出可能ラベルに基づいて一つまたは複数のWGMプロファイルを産生し得る、均質またはそれ以外の任意の物質を含む粒子を含む。当業者にとって明白であると思われるように、均質またはそれ以外のほとんどの任意の物質は、微小回転楕円状粒子に対して使用され得る。本明細書において検討される微小回転楕円状粒子は、複数の物質も含んでもよく、そのようなものとして、殻、合金、または有機および/もしくは無機物質の混合物を含み得る。微小回転楕円状粒子が、等方性屈折率を有しかつ非吸収性(以下にさらに記載される光学的検出可能ラベル以外)でもある実質的に均質な物質を含む場合、本発明の方法によって生成されるデータの定量化に対して有利である。
【0032】
本発明に従って使用され得、かつ本発明の特定の態様を示す特に有用な物質は、以下からなるリストより選択される物質を含む:シリカ(例えば:石英またはガラス)、ラテックス、チタニア、二酸化スズ、イットリア、アルミナ、およびその他の二元酸化金属(ZnOなど)、ペロブスカイト、およびその他の圧電酸化金属(BaTiO3など)、ZnS、スクロース、アガロース、およびその他のポリマービーズ。特に好ましい態様において、「粒子」および/または「微小回転楕円状粒子」は、シリカを含む。
【0033】
加えて、本発明によって検討される粒子は、任意の都合の良い規則的または不規則的な3次元形状において生産され得る。しかしながら、物質の多くの形状がWGMプロファイルを維持し得るが、概して、小さな球または回転楕円状粒子を合成することが実用的である。そのような球または回転楕円状粒子は、本明細書において「微小回転楕円状粒子」または「微小球」とも呼ばれる。従って、本発明の好ましい態様において、本発明の「粒子」および「微小回転楕円状粒子」は、実質的には球状もしくは回転楕円状であり、または「微小球」を含む。
【0034】
本発明の粒子は、「微小回転楕円体」と呼ばれ得るが、微小回転楕円状粒子の実際のサイズは、様々な因子に依存し、粒子は、マイクロメートル範囲における大きさを実際に含み得るまたは含み得ない。一つの好ましい態様において、本発明の微小回転楕円状粒子は、以下の直径(または非回転楕円状粒子における相当する大きさ)を含む:

微小球のこれらのサイズへの言及は、自然数の分数を含む。例えば、1と2μmとの間の分数は、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、または2.0を含む。
【0035】
特定の態様において、微小回転楕円状粒子は微小球である。
【0036】
微小球のセットを含む微小回転楕円状粒子のセットは、共通のラベルまたはサイズまたは固定化結合パートナーを有する多様性(すなわち2つ以上の)粒子または微小球を含む。
【0037】
本明細書において使用されるように、「光学的検出可能ラベル」という語は、蛍光、リン光、および/または白熱光を放出する任意の分子、原子、またはイオンを指す。光学的検出可能ラベルは、WGMプロファイルが簡単に分解され得る任意の波長において放出するために選ばれ得る。これは、粒子半径に対する発光の波長の比に依存する。球半径が任意ならば、発光は、紫外線(約350nm〜約3nmの波長領域)、可視(約350nm〜約800nmの波長領域)、近赤外線(NIR)(約800nm〜約1500nmの波長領域)、および/または赤外線(IR)(約1500nm〜約10μmの波長領域)領域から適切に選ばれ得る。しかしながら、検出の簡単さのため、一つの特に好ましい態様において、光学的検出可能ラベルは、可視光波長領域において検出可能である。
【0038】
一つの特定の態様において、光学的検出可能ラベルは、赤外線励起に反応して可視放射線を放出する光学的検出可能ラベルであり得る。そのような光学的検出可能ラベルは、本明細書において「アップコンバーター」とも呼ばれる。
【0039】
従って、本発明の別の局面は、分析物を検出する方法を提供し、該方法は、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、赤外線励起に反応して可視放射線を放出するラベルおよび該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが、定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す。
【0040】
光学的検出可能ラベルの唯一の制約は、選ばれるラベルにおける発光が、キャビティモード発光を引き起こすべきであるということである。
【0041】
本発明のさらなる態様において、光学的検出可能ラベルは、フルオロフォア、半導体粒子、リン光体粒子、ドープ粒子、またはナノ結晶および量子ドットからなるリストより選択される一つまたは複数のラベルを含む。さらに、小さな金属粒子からの散乱光(表面プラズモン発光)が、光学的検出可能ラベルとして使用され得る。
【0042】
従って、本発明のさらなる局面は、分析物を検出する方法に向けられ、該方法は、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、フルオロフォア、半導体粒子、リン光体粒子、ドープ粒子、またはナノ結晶および量子ドットからなるリストより選択される光学的検出可能ラベルならびに該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが、定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す。
【0043】
本発明の別の態様において、光学的検出可能ラベルは、フルオロフォアである。本明細書において使用されるように、「フルオロフォア」という語は、蛍光の特性を示す任意の分子を指す。本明細書における目的のために、「蛍光」という語は、特定の波長の光を吸収し、より長い波長の光を再放出する分子の特性として定義され得る。波長変化は、プロセスにおいて起こるエネルギー損失に関する。「フルオロフォア」という語は、化学的フルオロフォアおよび色素ならびに量子ドットなどの、光学的検出可能ラベルの範囲を包含し得る。
【0044】
特定の態様において、本発明は、分析物を検出する方法を提供し、該方法は、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、量子ドットの形態のフルオロフォアおよび該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが、定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す。
【0045】
本発明に従って使用され得る一つの特に都合の良い光学的検出可能ラベルは、微小回転楕円状粒子上または内に、蛍光粒子を埋め込むことである。これらの光学的検出可能ラベル粒子は、とても小さくあり得るので、それらの特性および発光はサイズ依存的になる。そのような小さな光学的検出可能ラベル粒子は、当技術分野において、半導体ナノ粒子、量子ドット、量子細線、量子ロッド、またはナノ結晶、またはQ-粒子と呼ばれる。しかしながら、本明細書において使用されるように、「量子ドット」または「QD」という語は、すべてのそのような粒子を包含すると理解されるべきである。さらに、QDを含む光学的検出可能ラベルは、およそ球状もしくは回転楕円状粒子、またはコーティングされた球状もしくは回転楕円状粒子を含み得る。しかしながら、QDという語は、球状、回転楕円状、円状、円筒状、または「ドット」の任意のその他の形態に限定されるような任意の様式で考えられるべきではない。例えば、本明細書において使用されるように、QDは、とりわけ、ロッド状、楕円体状、またはコーティングされたロッド状もしくは楕円体状粒子を含む、その他の形態を含んでもよい。
【0046】
QDは、半導体物質のナノメータースケールの結晶性核からなる;生物学的に活性のあるバージョンは、典型的には、保護殻および外部コーティングによって包囲されている。例えば、QDは、直径が約2 nm〜約30 nm(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30 nm)である半導体結晶子を含み得、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、HgS、HgSe、HgTe、Si、ZnOなどの物質を含む発光性結晶を含む結晶内におよそ50〜500,000原子を含み得る。
【0047】
QDは、広範の吸収スペクトルおよび狭い発光スペクトルをともなって蛍光する。特殊な吸収スペクトルを有するいくつかのその他のフルオロフォアと異なり、QDは、広スペクトル領域にわたる光を吸収し、量子ドットが、レーザー、アークランプ、またはLEDなどの光源の領域によって励起されることを可能にする。さらに、異なるQDの収集は、単一の励起源のみを使用する多重応用において使用され得る。しかしながら、各々のドットに対する発光スペクトルは、典型的には、非常に狭く、約30 nmのオーダーで、正確な色は、粒子の直径および組成物に依存している。さらに、QDの狭い発光スペクトルは、隣接するドットのスペクトル分解を可能にする。上の恩典に加えて、QDは、強烈な励起の間であっても比較的光安定的でもあり、フルオロフォアよりも明るい。
【0048】
前述に照らして、本発明は、WGMプロファイルが微小回転楕円状粒子において生成され得る波長を最適化するために、異なるサイズのQDの使用を包含することも理解されるべきである。
【0049】
さらに、本発明は、QDが高量子収率をともなって放出することを可能にするために、および時間の長い期間の間の光安定性を改善するために、熱処理、表面改変、合金化、表面コーティングによる表面安定化またはキャップングなどの手順により処理されるQDを検討する。
【0050】
QDは、605 nmで放出するセレン化カドミウム核を含む、Qdot[商標]605ストレプトアビジン複合体などのQDを生産する、Quantum Dot Corp.(QDC)などの会社から市販されてもいる。525、565、585、および655 nmで放出するQdot複合体も利用できる。しかしながら、本発明は、QD(または任意のその他の光学的検出可能ラベル)の特定の組成物による任意の様式において限定されず、任意のQD(市販またはそれ以外)が本発明と互換性があり得るということが理解されるべきである。
【0051】
本発明に従ってフルオロフォアとして使用され得る、当技術分野において利用できる多くの蛍光色素もある。使用に対する潜在性を決定する蛍光色素またはその他のフルオロフォアの重要な特性は、フルオロフォアの励起波長である;それは光源の利用できる波長と一致しなければならない。しかしながら、多くの異なる蛍光色素およびその他のフルオロフォアが、当業者によく知られていると思われ、蛍光マーカーの選択は、本発明を決して限定しない。
【0052】
微小回転楕円状粒子のラベリングに対して使用され得る都合の良い「フルオロフォア」は、以下の群より選択される光源を使用して励起可能な任意の蛍光マーカーを含む:
(i)アルゴンイオンレーザー-青い488 nm線を含み、緑〜赤の領域において蛍光する多くの色素およびフルオロクロムの励起に適している。波長の領域(その他の中でも458 nm、488 nm、496 nm、515 nm)で放出する波長可変アルゴンレーザーも利用できる。
(ii)ダイオードレーザー-635 nmの発光波長を有する。現在利用できるその他のダイオードレーザーは、532 nmにおいて作動する。この波長は、ヨウ化プロピジウム(PI)を最適に励起する。476 nmあたりの光を放出する青色ダイオードレーザーも利用できる。そのようなダイオードレーザーは、微小回転楕円状粒子内のWGMを励起するために都合良く採用され得る。
(iii)HeNeガスレーザー-赤い633 nm線で作動する。そのようなレーザーは、微小回転楕円状粒子内のWGMを励起するために都合良く採用され得る。
(iv)HeCdレーザー-325 nmで作動する。そのようなレーザーは、微小回転楕円状粒子内のWGMを励起するために都合良く採用され得る。
(v)100 W水銀アークランプ-HoechstおよびDAPIなどのUV色素の励起に対する最も効率的な光源。
(vi)Xeアークランプおよび石英ハロゲンランプは、WGMを励起し、故にセンサーとして粒子を利用する手法として、同様に使用され得る。
【0053】
本発明の特定の態様において、蛍光マーカーは、以下より選択される:Alexa Fluor色素;BoDipy 630/650およびBoDipy 650/665を含むBoDipy色素;Cy色素、特にCy3、Cy5、およびCy5.5;6-FAM(フルオレセイン);フルオレセインdT;ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);6-カルボキシ-4'、5'-ジクロロ-2'、7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE);488-Xおよび514を含むオレゴングリーン色素;ローダミングリーン、ローダミンレッド、およびROXを含むローダミン色素;カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA);テトラクロロフルオレセイン(TET);およびテキサスレッド。
【0054】
二つの染色技術、内部染色および外部染色(表面ラベリング)が、微小回転楕円状粒子を蛍光ラベルするために一般的に使用される。二つの技術は、ユニークな特性をともなう粒子を生産し、異なる応用に対して各々有益である。内部染色は、典型的には狭い蛍光発光をともなう、極めて安定な粒子を生産する。これらの粒子は、光退色へのより大きな耐性をしばしば表示する。フルオロフォアはビーズの内部にあるので、表面群は、リガンド(タンパク質、抗体、核酸など)を結合することにおける使用に対して利用できる。この理由のため、内部ラベル化ビーズは、典型的には分析物検出および免疫学的検査の応用において使用される。表面ラベリングは、微小回転楕円状粒子表面へのフルオロフォアの結合を伴う。フルオロフォアは粒子の表面上にあるので、それらは、ちょうど染色細胞上のフルオロフォアとして、それらの環境と相互作用することが可能である。結果は、汚染物質の存在またはpHにおける変化などの様々な異なる条件下で、染色細胞サンプルと同じ励起および発光特性を示す粒子基準である。表面ラベル化粒子の「環境的に応答性の」性質は、それらが生物学的サンプルを模倣するのに理想的に適するようにする。外部ラベル化粒子は、蛍光検出を利用する多くの応用において、対照および基準として頻繁に使用される。しかしながら、本発明は、任意の手法によって、蛍光ラベルとの粒子の連結を検討する。
【0055】
「リン光粒子」「リン光体粒子」および「リン光体」という語は、本明細書においてほとんど同じ意味で使用される。リン光光学的検出可能ラベルを構成するものは、当業者によってたやすく理解されると考えられる。しかしながら、本発明を決して限定しない一例として、適したリン光体は、ZnS、ZnS:Cu、酸化Euの小さな粒子、およびディスプレイデバイスにおいて使用されるその他のリン光体を含む。
【0056】
「ドープ粒子」を含む光学的検出可能ラベルは、Eu、Y、Yb、Smなどなどの、一つまたは複数の希土類イオンの閉塞量を含む粒子を含み得る。
【0057】
本明細書において使用されるように、「光学的検出可能ラベル」という語は、複数の光学的検出可能ラベル、光学的検出可能ラベルの混合物、コーティングされたナノ結晶、合金、および当業者にとって明白であると考えられるその他の複合体混合物も包含すると理解されるべきである。微小回転楕円状粒子上のすべてのそのような光学的検出可能ラベルの使用は、本明細書において記載される方法および試薬の範囲内であると考えられるべきである。
【0058】
本発明に従って、任意の特定のラベルの発光が、微小回転楕円状粒子におけるラベルの分布、ラベルのタイプ、およびラベルの濃度に依存するということが示されている。しかしながら、本発明の方法は、光学的検出可能ラベルが微小回転楕円状粒子の表面にあるのか、微小回転楕円状粒子内の殻として存在するのか、微小回転楕円状粒子の核に位置するのか、または列挙される位置の複数に存在するのかに関わらず、それでも実行可能である。
【0059】
本発明の方法が、光学的検出可能ラベルからの発光の消光を前提としないということが留意されるべきである。しかしながら、本発明の方法は、分析物と微小回転楕円状粒子の表面に固定される結合パートナーとの相互作用または連結の結果としての、光学的検出可能ラベルのWGMプロファイルにおける変調(すなわち変化)を、部分的に前提とする。
【0060】
電磁放射線を扱う場合、WGMは、入射光が周囲の媒質よりも高い屈折率の粒子と相互作用する場合に確立され得る電磁共鳴である。WGMは、与えられる粒子サイズに対する光の特定の共鳴波長において生じ、WGMの性質は、とりわけ、WGMを含む粒子のサイズならびに粒子および周囲の媒質の両方の屈折率とともに変化し得る。さらに、粒子のサイズは、そこで確立されるWGMに影響を与える可能性もある。WGMは、入射光が粒子表面において全内部反射をする場合に、確立される。
【0061】
全内部反射(TIR)は、2つの非吸収媒質の間の接触面において生じ得る。より高い屈折率の媒質中を伝播する光のビームが、臨界角より上の入射の角度で、より低い屈折率の媒質における接触面に触れる場合、光は、接触面においてすべて反射され、高い屈折率の媒質中を戻りながら伝播する。当業者にとって明白であると思われるように、3次元の媒質において、光は、より高い屈折率の粒子内を何回も反射され得る。WGMにおいて、光は粒子の周辺近くに濃縮され、モード数およびモードオーダーを割り当てられ得る。モード数nは、粒子の周辺の波長の数を提供し、モードオーダーlは、粒子内の電磁界の径方向依存性における最大の数を提供する。
【0062】
本明細書において定義されるように、粒子上または内に埋め込まれる蛍光放出体は、定義されるWGMプロファイルを表示する。これらのモードは、光の特定の波長のみが粒子から放出されるのを可能にする。この現象の結果は、光学的検出可能ラベルの通常の比較的広範の発光スペクトルが(例えば、フルオロフォアは典型的には10〜100nm幅バンドにおいて放出する)、抑制されるようになり、粒子内の光のスタンディングモードパターンに有効に相当する鋭い「ピーク」の連続として現れる。本発明の微小回転楕円状粒子におけるWGMの確立の結果として生成されるピークの連続は、本明細書において「ウィスパリングギャラリーモードプロファイル」または「WGMプロファイル」と呼ばれる。
【0063】
WGMプロファイルは、埋め込まれる光学的検出可能ラベルの場所ならびに互いに対するそれらの濃度および空間的構成の両方に対して極めて感度が良い。さらに、粒子サイズおよび屈折率も、WGMプロファイルにおいて見られる発光波長を決定することにおいて重要である。
【0064】
WGMプロファイルにおける一つまたは複数のピークの場所および振幅が、サンプルまたは外部環境における分子との微小回転楕円状粒子の相互作用または連結によって強く影響され得るということが提案される。
【0065】
一つの例において、微小回転楕円状粒子への分子の連結または結合は、微小回転楕円状粒子の有効屈折率を変更し、微小回転楕円状粒子によって生成されるWGMプロファイルを変更する。
【0066】
「屈折率」という語は、当業者によってたやすく理解されると考えられる。手短に、媒質の屈折率は、より高い密度の第二の媒質における光の速度に対する真空における光の速度の比から計算される値である。微小回転楕円状粒子の場合、「有効屈折率」における変化は、完全な微小回転楕円状粒子の屈折率における変化であり得、または有効屈折率における変化は、微小回転楕円状粒子の領域もしくは部分の屈折率における変化であり得る。たとえば、微小回転楕円状粒子の有効屈折率における変化は、微小回転楕円状粒子の表面および/または周囲の屈折率における変化を含み得る。
【0067】
一つの特定の態様において、本発明は、微小回転楕円状粒子の表面またはサブ(sub)表面へまたはその近位への分子の結合または連結を検出するための方法を検討し、分子の固定化結合パートナーへの分子の結合または連結は、微小回転楕円状粒子の表面における有効屈折率における変化をもたらす。
【0068】
「サブ表面」は、粒子を包囲するポケットまたは孔を含み、または粒子の内部環境と外部環境との間の連続的な接触面を形成する。
【0069】
さらに別の局面において、本発明は、微小回転楕円状粒子の形態、形状、またはサイズの変化の検出に対する本発明の方法の応用に関し、微小回転楕円状粒子は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含み、かつ粒子の表面またはサブ表面に固定される分子を持ち、該微小回転楕円状粒子が、一つまたは複数のWGMプロファイルを示し、該微小回転楕円状粒子のラベルに基づく一つまたは複数のWGMプロファイルが、分析物が固定化分子と相互作用する場合に、微小回転楕円状粒子の形態、形状、またはサイズにおける変化をともなって検出可能なように変更する;方法は以下の段階を含む:
(i)微小回転楕円状粒子の最初のWGMプロファイルを決定する段階;
(ii)分析物と固定化分子との間の潜在的相互作用の後に、微小回転楕円状粒子に、微小回転楕円状粒子の形態、形状、またはサイズにおける推定上の変化を受けさせる段階;
(iii)微小回転楕円状粒子の一つまたは複数のその後のWGMプロファイルを決定する段階;
最初のWGMプロファイルに対する微小回転楕円状粒子の一つまたは複数のその後のWGMにおける変調が、微小回転楕円状粒子の形態、形状、またはサイズの変化および固定化分子に連結された分析物の存在を示す。
【0070】
本明細書において述べられるように、微小回転楕円状粒子の「形態、形状、またはサイズ」は、微小回転楕円状粒子の空間的寸法を指す。従って、微小回転楕円状粒子の形態、形状、またはサイズへの変化は、高さ、幅、深さ、半径、直径、外周などにおける変化を含むがそれらに限定されない、微小回転楕円状粒子の任意の空間的寸法における変化を含む。
【0071】
さらに別の局面において、本発明は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含む微小回転楕円状粒子に向けられ、微小回転楕円状粒子がWGMを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、分析物が該微小回転楕円状粒子に固定される分子と相互作用する場合に、検出可能なように変調する。
【0072】
本明細書において使用されるように、微小回転楕円状粒子に固定される分子もしくは結合パートナーまたはサンプルにおける分析物は、任意の化学物質を指す。そのような化学物質は、以下の小さな化学的分子を含むがそれらに限定されない;ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質またはその類似体、核酸分子またはその類似体、金属原子またはイオンまたはそのような原子もしくはイオンを含む化合物。核酸分子の中で、低分子干渉RNA(一本鎖または二本鎖)[siRNA]、干渉RNA複合体(RNAi)、ならびにDNAおよびRNAオリゴヌクレオチドが、特に検討される。化学的化合物は、組み合わせライブラリーまたは化学的ライブラリーにおいて生産される物質を含む。加えて、天然産物スクリーニングが、生物学的資源から検討される。生物学的資源への言及は、その他の資源の中でも、環境的サンプル、生命体抽出物、植物または動物抽出物、血清、尿、浸出、精液、血漿、土壌サンプル、川または密封サンプル、地球外サンプルを含む。
【0073】
本明細書において使用されるように、「に結合またはそうでなければ連結される」という語句は、分子が微小回転楕円状粒子に連結され得る任意のプロセスを指す。そのような連結が媒介され得る例示的なモードは、以下を含むが、それらに限定されない:共有結合、水素結合、ファンデルワールス力、イオン結合、金属結合、極性結合、および配位(共有)結合など。
【0074】
結合パートナーを含む分子は、微小回転楕円状粒子の表面への分子の吸着または結合を促進するまたは増加する作用物質によって、微小回転楕円状粒子に結合されてもよく、そのような作用物質は、本明細書において「リンカー」と呼ばれる。例えば、ポリヌクレオチドは、チオール、アミン、またはカルボキシル基を含むリンカーによって、微小回転楕円状粒子に連結され得る。適したリンカーの例は、アミノプロピルトリメトキシシランまたはアミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ末端シランを含む。シランに加えて、ガラスなどの表面に非共有的に結合し、ポリヌクレオチドのリン酸基を静電的に吸着するポリ-L-リジンなどの化合物も、本発明の範囲内である。それ故に、微小回転楕円状粒子の表面へのポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはその他の化合物の結合または連結を促進するのに適した、その他のシランを含むその他の分子が、当業者によってたやすく同定されると考えられ、本発明はリンカーの選択によって限定されない。
【0075】
一つの態様において、本発明は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含む微小回転楕円状粒子を検討し、該微小回転楕円状粒子が、WGMプロファイルを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される核酸分子を含む分子によってなど、分子が微小回転楕円状粒子に結合または連結する場合に、検出可能なように変調する。
【0076】
「核酸」、「ヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」という語は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型および混合ポリマー、センスおよびアンチセンス鎖の両方を含み、当業者によってたやすく高く評価されると思われるように、化学的にもしくは生化学的に改変され得る、または非天然もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含み得る。そのような改変は、例えば、ラベル、メチル化、類似体(モルホリン環など)による天然に生じるヌクレオチドの一つまたは複数の置換、非荷電リンケージ(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミド化物、カルバメートなど)、荷電リンケージ(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、など)、懸垂部分(例えば、ポリペプチド)、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤、および改変リンケージ(例えば、α-アノマー核酸など)などのインターヌクレオチド改変を含む。水素結合およびその他の化学的相互作用によって、指定配列に結合する能力においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。そのような分子は、当技術分野において公知であり、例えば、分子の骨格においてペプチドリンケージがリン酸リンケージと置換するものを含む。
【0077】
本発明の別の態様は、本明細書において前述されるような微小回転楕円状粒子を検討し、微小回転楕円状粒子は、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結されるDNAをさらに含む。
【0078】
さらに本発明のさらに好ましい態様は、本明細書において前述されるような微小回転楕円状粒子を検討し、微小回転楕円状粒子は、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結されるRNAまたはRNAの複合体(例えば、RNA-RNA分解酵素複合体)をさらに含む。
【0079】
代わりの態様において、本発明は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含む微小回転楕円状粒子を検討し、微小回転楕円状粒子が、WGMプロファイルを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、またはその類似体が、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される場合、検出可能なように変調する。
【0080】
一つの態様において、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、酵素である。
【0081】
別の態様において、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、抗体である。
【0082】
「抗体」という語は、抗原と結合する、相互作用する、またはそうでなければ連結することが可能な免疫グロブリンファミリーのタンパク質を指す。それ故に、抗体は、抗原結合分子である。「抗原」という語は、抗体の抗原結合部位に反応するまたは結合することが可能な物質を指すために、最も広い意味において、本明細書において使用される。本発明に関して、抗原は、抗体のイディオタイプも含む。
【0083】
「免疫グロブリン」という語は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる、一つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質を指すために、本明細書において使用される。認識される免疫グロブリン分子は、κ、λ、α、γ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、δ、ε、およびμ定常領域、軽鎖(κおよびl)、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域を含む。免疫グロブリンの一つの型は、抗体の基本構造ユニットを構成する。この型は、四量体であり、免疫グロブリン鎖の2つの同一ペアからなり、各々のペアは、一つの軽鎖および一つの重鎖を有する。各々のペアにおいて、軽鎖および重鎖可変領域は、共に抗原への結合に関与し、定常領域は、抗体エフェクター機能に関与する。抗体に加えて、免疫グロブリンは、例えば、Fv、Fab、Fab'、および(Fab')2、およびキメラ抗体などを含む様々なその他の形態で存在し得、これらの変異体のすべてが、本明細書において使用されるように「抗体」という語によって包含される。加えて、その他の動物(例えば、鳥、哺乳類、魚、両生類、および爬虫類)に由来する免疫グロブリンは、同様の機能を有するが、異なる命名法を有し、これらは同様に「抗体」と考えられる。
【0084】
本発明は、微小回転楕円状粒子に結合またはそうでなければ連結される抗イディオタイプ抗体を含む微小回転楕円状粒子も検討する。本明細書において使用されるように、「抗イディオタイプ抗体」という語は、例えば、VHおよび/またはVLドメインなどの、標的抗体の可変領域内の抗原決定基を認識し結合する抗体を指す。抗体の可変領域内のこれらの抗原決定基は、抗体の「イディオタイプ」と呼ばれる。従って、これらの領域に特異的な抗体は、「抗イディオタイプ抗体」と呼ばれる。
【0085】
本明細書において検討されるペプチド、ポリペプチド、および/またはタンパク質の「類似体」は、側鎖への改変、合成の間に非天然アミノ酸および/またはそれらの誘導体を取り込む合成ペプチド、ならびに対象ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に構造制約を与える架橋剤およびその他の方法の使用を含むペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を含むが、それらに限定されない。
【0086】
側鎖改変の例は、NaBH4による還元が後に続く、アルデヒドとの反応による還元的アルキル化;メチルアセチミデート(methylacetimidate)によるアミジン化;無水酢酸によるアシル化;シアン酸塩によるアミノ基のカルバモイル化;2、4、6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸によるアミノ基のアシル化;およびNaBH4による還元が後に続く、ピリドキサル-5-リン酸によるリジンのピリドキシル化などによる、アミノ基の改変を含む。
【0087】
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサル、およびグリオキサルなどの試薬による複素環縮合産物の形成によって改変され得る。
【0088】
カルボキシル基は、例えば対応するアミドへの続いて起こる誘導体化が後に続く、O-アシルイソウレア(acylisourea)形成によるカルボジイミド活性化によって改変され得る。
【0089】
スルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化;システイン酸への過ギ酸酸化;その他のチオール化合物による混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸、またはその他の置換マレイミドによる反応;4-クロロ水銀安息香酸、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、およびその他の水銀剤を使用する水銀誘導体の形成;アルカリ性pHにおけるシアン酸塩によるカルバモイル化などの方法によって改変され得る。
【0090】
トリプトファン残基は、例えば、N-ブロモコハク酸イミドによる酸化または2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロマイドもしくはハロゲン化スルホニルによるインドール環のアルキル化によって改変され得る。一方、チロシン残基は、3-ニトロチロシン誘導体を形成するために、テトラニトロメタンによるニトロ化によって変更され得る。
【0091】
ヒスチジン残基のイミダゾール環の改変は、ヨード酢酸誘導体によるアルキル化またはピロ炭酸ジエチルによるN-カルベトキシル化(carbethoxylation)によって達成され得る。
【0092】
ペプチド合成の間に非天然アミノ酸および誘導体を取り込む例は、ノルロイシン、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、t-ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD-異性体を含むがそれらに限定されない。本明細書において検討される非天然アミノ酸のリストは、表2に示される。
【0093】
(表2)非従来的アミノ酸に対するコード




【0094】
架橋剤は、n=1〜n=6の(CH2)nスペーサー基を有する二官能性イミドエステルなどのホモ二官能性架橋剤、グルタールアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ならびにN-ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ反応性部分およびマレイミドまたはジチオ部分(SH)またはカルボジイミド(COOH)などの別の基特異的反応性部分を通常は含むヘテロ二官能性試薬を使用して、例えば、3D構造を安定化させるために、使用され得る。加えて、ペプチドは、例えば、CαおよびNα-メチルアミノ酸の取り込み、アミノ酸のCαとCβ原子との間の二重結合の導入、ならびにNとC末端との間、2つの側鎖の間、または側鎖とNもしくはC末端との間にアミド結合を形成することなどの共有結合を導入することによる環状ペプチドまたは類似体の形成によって、構造的に制約され得る。
【0095】
さらに別の代わりの好ましい態様において、本発明は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含む微小回転楕円状粒子を検討し、微小回転楕円状粒子が、WGMプロファイルを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、炭水化物分子またはその類似体が、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結する場合に、検出可能なように変調する。
【0096】
一つの特に好ましい態様において、炭水化物分子はグリコサミノグリカン(GAG)分子またはGAG様分子である。
【0097】
GAGは、ユビキタスで、ヒトの体内の炎症性プロセスの多くにおいて極めて重要な役割を果たす。これらの大きな分子量の多糖類は、癌転移、関節炎、移植拒絶反応、および喘息などのプロセスに貢献し、したがって、これらのプロセスのより大きな理解が、そのような状態の最終的な治療に対する改善された薬物をもたらし得る。現在、最も周知のGAGの1つは、硫酸化多糖類のヘパリンファミリーであり、これらの分子の抗凝固活性はよく理解されている。
【0098】
ヘパリン様GAG(HLGAG)は、分子の不均質群である(Conrad, Heparin binding proteins. Academic Press, San Diego, 1998; Lander and Selleck, J Cell Biol 148(2):227-232, 2000)。すべてのHLGAGのように、ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、長い直線状の多糖類である(Sasisekharan and Venkataraman, Curr Opin Chem Biol 4(6):626-631, 2000; Casu, Ann NY Acad Sci 556:1-17, 1989; Casu, Adv Carbohydr Chem Biochem 43:51-134, 1985)。それらは、グルクロン酸(GlcA)およびグルコサミン(GlcN)を含む、繰り返し二糖類ユニットの非硫酸化鎖として合成され、ゴルジにおいて、それらの長さに沿って様々な部位で改変される。ヘパリンは、ヘパラン硫酸よりも広範囲に改変され、GlcNユニットのほとんどは、硫酸基によってN-硫酸化GlcNになるように改変され、ほとんどのGlcAユニットは、エピメラーゼの作用を介してイズロン酸(IdoA)へと変換される。HLGAGは、硫酸鎖への改変がしばしば不完全なので、不均質である。結果は、中間改変の広範囲領域である。
【0099】
したがって、例えば、ヘパラン硫酸鎖は、2-O-硫酸化IdoAが豊富な、高度に硫酸化された構造的に柔軟性のあるドメインからなり、剛構造であるN-アセチルGlcNおよびGlcAから主になる低硫酸化の領域と交互に起こる。HLGAGの硫酸化パターンは、特に6-O-硫酸塩の位置決めに関して複雑である。結果として、すべてのHLGAG分子が同一であるとは限らない。特定のHLGAGのタンパク質結合の特徴を主として決定するのは、硫酸化パターンである。
【0100】
いくつかのタンパク質は、HLGAG鎖内の特定の構造的モチーフにのみ結合し、反対にいくつかのGAGは、タンパク質上の特定の部位または領域にのみ結合する。例えば、抗トロンビンIIIは、硫酸基の特定の配置を表示するユニークな五糖類配列に結合し、ヘパリン五糖類は、抗トロンビンIIIタンパク質上の特定の部位に結合する(Whisstock et al. J Mol Biol 301:1287-1305, 2000)。塩基性線維芽細胞由来成長因子(FGF-2)および肝細胞成長因子(HGF)の両方は、ヘパリンに結合するが、結合のために必須であるヘパリン構造は、各々に対して全く異なり、かつ抗トロンビンIIIによって必要とされるものと異なる(Maccarana et al. J Biol Chem 268(32):23898-23905, 1993; Lyon et al. J Biol Chem 269:11216-11223, 1994)。さらに、ヘパリンは、FGF-2上の特定の領域に結合することが示されている(Faham et al. Science 271:1116-1120, 1996)。
【0101】
FGF-2は、定義される場所に単一のIdoA 2-O-硫酸塩を含むモチーフを認識するが、HGFに対しては、GlcN 6-O硫酸基の位置決めは、重大である。調製内のいくつかのヘパリン分子は、抗トロンビンIII結合五糖類およびFGF-2結合モチーフの両方を持つと思われるが、その他は、HGF結合モチーフおよびFGF-2モチーフを持つが、抗トロンビンIII結合五糖類は持たないと思われる。実に、ヘパリンの調製内の分子の平均して3分の1のみが、抗トロンビンIII結合五糖類を持つ(Conrad, 1998, 前記)。
【0102】
GAG様分子は、非哺乳類資源に由来してもよい。例えば、大腸菌(E. coli)K5に由来する莢膜多糖類は、交互のα-N-アセチルグルコサミン(α-GlcNAc)およびβ-グルクロン酸(β-GlcA)ユニットからできており、硫酸塩またはその他の荷電基を含まない。ヘパリン骨格は、さまざまな硫酸化の程度をともなう以下のモチーフ、α-GlcNAc、β-GlcA、α-GlcNAc、β-イズロン酸(β-IdoA)からなる。GlcAとIdoAとの間の唯一の差は、C-5におけるカルボン酸基の構成であり、したがってヘパリン骨格および大腸菌K5骨格は、構造において極めて類似している。
【0103】
さらに別の局面において、本発明は、本明細書において上に記載されるような光学的検出可能ラベル含む微小回転楕円状粒子に固定またはそうでなければ連結される分子とサンプルにおける該分子の推定分析物結合パートナーとの間の結合相互作用に参入することが可能な分子を検出する方法を提供し、該方法は以下の段階を含む:
(i)微小回転楕円状粒子に固定またはそうでなければ連結される分子を含む微小回転楕円状粒子の最初のWGMプロファイルを決定する段階;および
(ii)該固定化微小回転楕円状分子またはそうでなければ微小回転楕円状粒子に連結される該固定化微小回転楕円状分子を含む微小回転楕円状粒子を、該分子の推定分析物結合パートナーを含むサンプルに接触させる段階;
最初のWGMプロファイルに対する微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルにおける検出可能な変化が、分子と分子の分析物結合パートナーとの間の結合または相互作用を示す。
【0104】
本明細書において使用されるように、「WGMプロファイルにおける検出可能な変化」は、任意の2つのWGMプロファイルの間で観測され得る任意の差を含み得る。
【0105】
一つの好ましい態様において、検出可能な変化は、別のWGMプロファイルに対する一つのWGMプロファイルにおける一つまたは複数のピークの赤シフトまたは青シフトを含み得る。
【0106】
本明細書において使用されるように、「赤シフト」という語は、WGMプロファイルにおける一つまたは複数のピークの最大振幅のポイントの、より長い波長へのシフトを指す。「赤」という名前にもかかわらず、赤シフトは、電磁スペクトルの任意の部分において生じ得、可視光に限定されない。本明細書において使用されるように、「赤シフト」という語は、より長い波長へのピークの任意のシフトを含む。反対に、「青シフト」という語は、より短い波長へのピークの任意の動きを指す。
【0107】
特定の好ましい態様において、WGMプロファイルにおけるピークの赤シフトまたは青シフトは、典型的には、およそ1〜100 nmのピークの最大振幅の波長における変化を含む。1〜100nmへの言及は、以下の波長を含む:

特定の態様において、WGMプロファイルにおけるピークの赤シフトまたは青シフトは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20 nmの波長を含む、およそ1〜20 nmのピークの最大振幅の波長における変化を含む。可視光ピークにおける波長シフトに関して具体的に例示されるが、本発明は、電磁スペクトルのその他の領域における等価のおよび/または比例する赤シフトおよび青シフトも検討する。
【0108】
本発明のさらなる態様において、微小回転楕円状粒子上の固定化分子の分析物との相互作用によって引き起こされる、微小回転楕円状粒子の一つまたは複数のWGMプロファイルにおける変化は、WGMプロファイルの一つもしくは複数における一つもしくは複数のピークの出現、またはWGMプロファイルの一つもしくは複数における一つもしくは複数のピークの消滅を含み得る。
【0109】
本明細書において記載されるような微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルは、当業者にとって明白であると考えられる任意の都合の良い方法を使用して確認され得る。本質的には、電磁放射線の一つまたは複数の波長を検出し得る任意の検出方法が、WGMプロファイルを検出するために使用され得る。好ましくは、検出手法は、それがWGMプロファイルにおけるピークを識別し得るように、十分に感度が良く、より好ましくは、検出手法は、少なくとも以下の距離離れた2つのピークを識別し得る:

微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルを決定するために使用され得る特に都合の良い手法は、フローサイトメーター、アレイリーダー、および共焦点顕微鏡を含む。
【0110】
本明細書において使用されるように、「共焦点顕微鏡」という語は、レーザー走査共焦点顕微鏡(LSCM)および多光子共焦点顕微鏡をその範囲内に含む。
【0111】
本発明は、固体支持体に固定される微小回転楕円状粒子も提供する。
【0112】
従って、別の局面において、本発明は、光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子を含む微小回転楕円状粒子を提供し、微小回転楕円状粒子が、WGMプロファイルを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、該微小回転楕円状粒子が固体支持体上に固定され、および/または分析物が固定化粒子上に捕獲される結合パートナーと相互作用する場合に、検出可能なように変調する。
【0113】
本明細書において使用されるように、「固体支持体」という語は、微小回転楕円状粒子が固定され得る任意の固体マトリクスを指す。本発明の好ましい態様において、固体支持体は、そこに固定される微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが検出されるのを可能にする固体支持体を含む。従って、好ましい固体支持体は、共焦点顕微鏡を使用する分析のために微小回転楕円状粒子を固定するために使用され得るものである。特に好ましい態様において、固体支持体は、顕微鏡スライドである。
【0114】
さらに別の局面において、本発明は、そこに一つまたは複数のくぼみを含む顕微鏡スライドを検討し、各々のくぼみは、本明細書において記載されるような微小回転楕円状粒子を固定するために適合される。好ましくは、微小回転楕円状粒子は、該粒子を該スライドのくぼみへ定着させる、または埋め込むことによって、該スライド上に固定される。
【0115】
さらに別の局面において、本発明は、推定上サンプルにおける分析物を検出する方法を提供し、該方法は以下の段階を含む:
(i)光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子およびそこに固定または連結される分子を含む微小回転楕円状粒子の最初のWGMプロファイルを決定する段階であって、微小回転楕円状粒子が、WGMプロファイルを示し、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルが、該微小回転楕円状が推定上該サンプルにおける分析物と結合またはそうでなければ相互作用する場合、検出可能なように変調する段階;
(ii)一時的に、微小回転楕円状粒子に固定またはそうでなければ連結される分子との分析物の相互作用を可能にする条件下で、該サンプルを該微小回転楕円状粒子に適用する段階;
(iii)続いて、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルを決定する段階;
最初のWGMプロファイルに対するWGMプロファイルにおける検出可能な変化が、該サンプルにおける該分析物の存在を示し、最初のWGMプロファイルに対するWGMプロファイルにおける検出可能な変化の非存在が、該サンプルにおける該分析物の非存在を示す。
【0116】
一つの態様において、該微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、核酸分子を含む。さらにより好ましくは、核酸分子は、DNAまたはRNAである。
【0117】
本発明のこの局面の別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、本明細書において定義されるような、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、またはその類似体を含む。
【0118】
本発明のこの局面のさらに別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、炭水化物分子を含む。さらにより好ましい態様において、炭水化物分子は、GAG分子である。
【0119】
本発明のこの局面のさらに別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および/または炭水化物分子と結合またはそうでなければ相互作用する分子を含む。
【0120】
本発明のさらに別の局面において、対象となる分子の結合パートナーを同定する方法が提供され、該方法は以下の段階を含む:
(i)光学的検出可能ラベルでラベルされる粒子およびそこに固定または連結される分子を含む微小回転楕円状粒子の最初のWGMプロファイルを決定する段階;
(ii)該対象となる分子の潜在的結合パートナーを含む一つまたは複数のサンプルを、一時的に、潜在的結合パートナーとの対象となる分子の相互作用を可能にする条件下で、微小回転楕円状粒子に適用する段階;
(iii)続いて、微小回転楕円状粒子のWGMプロファイルを決定する段階;
最初のWGMプロファイルに対する該WGMプロファイルの変調が、該サンプルにおける一つまたは複数の結合パートナーの存在を示し、最初のWGMプロファイルに対するWGMプロファイルにおける検出可能な変化の非存在が、該サンプルにおける一つまたは複数の結合パートナーの非存在を示す。
【0121】
一つの好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、核酸分子を含む。さらにより好ましくは、核酸分子は、DNAまたはRNAである。
【0122】
本発明のこの局面の別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、本明細書において定義されるような、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、またはその類似体を含む。
【0123】
本発明のこの局面のさらに別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、炭水化物分子を含む。さらにより好ましい態様において、炭水化物分子は、GAG分子である。
【0124】
本発明のこの局面のさらに別の好ましい態様において、微小回転楕円状粒子の表面に結合またはそうでなければ連結される分子および/または該分析物は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および/または炭水化物分子と結合またはそうでなければ相互作用する分子を含む。
【0125】
本発明の微小回転楕円状粒子は、以下の応用に使用され得る:水質(レジオネラ菌、ジアルジア属、クリプトスポリジウム属、源泉において(at the source))、ならびにケア診断のポイント、空中病原菌および毒素などの環境的モニタリング、タンパク質:タンパク質相互作用スクリーニング、タンパク質:炭水化物相互作用スクリーニングおよび薬物スクリーニング、ならびに小さな分子のライブラリーのスクリーニング。
【0126】
本発明は、微小回転楕円状粒子の二つ以上のセットを有する能力により、多重化を可能にする。任意の一つのセットにおける粒子は、共通の光学的検出可能ラベルおよび/または共通のサイズおよび/または共通の固定化結合粒子を有し得る。故に、複数の分析物が、微小回転楕円状粒子のセットの多様性を使用して検出され得る。
【0127】
本発明は、本発明の方法によって検出される分析物をさらに提供する。
【0128】
本発明は、ラベル化またはラベル化前微小回転楕円状粒子を含むキットもさらに提供する。粒子は、粒子を包囲する環境における変化を検出するためのアッセイの生成において使用され得る。
【0129】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、さらに記載される。
【実施例】
【0130】
実施例1
量子ドットラベル化微小回転楕円状粒子の生産およびラベリング
典型的には、微小回転楕円状粒子は、任意の望ましい組成物またはサイズの市販のビーズを、量子ドットでオーバーレイすることによって調製され得る。より頑丈な物質に対して、それらは、媒質または吸着物質との相互作用を最小にするために、別のシリカ層で上塗りされるべきである。
【0131】
ガラス/シリカビーズを使用する微小回転楕円状粒子を調製するために使用される典型的なプロセスが、多くの可能性を限定せずに、本明細書において記載される。
【0132】
0.1gの5ミクロン直径の市販のシリカビーズが、20 mlの2-プロパノール中に置かれ、20マイクロリットルのメルカプトプロピルシラン(MPS)またはアミノプロピルシラン(APS)のどちらかが添加された。溶液は、MPSまたはAPSの化学吸着を可能にするために80℃で還流され、ビーズ表面上にメルカプタンまたはアミノ基の造成をもたらした。過剰なMPSまたはAPSは、遠心によって除去された。
【0133】
シラン官能化ビーズの代わりに、ビーズは、カチオン性ポリマーを吸着することによって活性化されてもよい。例えば、制限なしにかつ方法を例証するために、0.1gのシリカビーズが、20mLの水溶性PEI(ポリエチレンイミン)溶液(1g/L、0.5M NaCl)と混合された。1時間の反応の後、溶液は、過剰なポリマーを除去するために遠心され、純水に再懸濁された。この手順は3回繰り返された。
【0134】
QDは、クロロホルム中のQDの懸濁液を乾燥2-プロパノール中のビーズの懸濁液に添加することによって、APSまたはPEIコーティングビーズ上に吸着された。添加された量は、約10単層でビーズをコーティングするようなものであった。ビーズおよびQDは、回転タンブラーにおいて10分間平衡を保った。次いで、コーティングされたビーズは、遠心によって分離された。
【0135】
QDラベル化ビーズは、より多くのシリカによるコーティングによって、さらに安定化され得る。これは2つの様式でなされた:
第一に、アルカリ水またはクロロホルム(1mL)中の5μLのAPSが、QDコーティングシリカ微小回転楕円状粒子に添加され、0.2Hzで回転タンブラーを使用する攪拌によって1時間反応することを可能にされた。アルカリ水またはクロロホルムにおける繰り返し遠心/再懸濁サイクルによって過剰なAPSを除去した後、5mLの「活性シリカ」(pH 8.7の5 mLの水における5μLの2 w/w %ケイ酸ナトリウム)が、粒子に添加され、オーバーナイトで反応することを可能にされた。これは、約3〜5nmのシリカが、粒子上に溶着されることを引き起こした。過剰な有核遊離型シリカは、遠心によって分離され、粒子は2-プロパノール:水(4:1)に再分散された。最後に、シリカ層は、望ましい厚さを獲得するために必要とされる、TEOSおよびアンモニアを使用して増加された。
【0136】
第二の手順は、水における予備沈着段階をともなわずに、エタノール中での直接のシリカ成長を伴う。これは、PVPの吸着、次いで、シリカの成長からなる。十分なPVP(MW 30,000)が、クロロホルム:2-プロパノール(9:1)にそれを溶解することによって、表面のnm2あたりの60PVP分子を提供するために、添加された。これは、微小球に即座に添加され、混合物は超音波処理され、攪拌下でオーバーナイトで反応することを可能にされた。
【0137】
微小球は、遠心され(5ミクロンシリカに対して3800rpmで5秒)、2-プロパノール中に再分散された(一回目)。NH3(4.2%)、その後のTEOS(2-プロパノール中の10vol%)が、攪拌しながら添加され、12時間にわたって溶着するために放置された。
【0138】
QDラベル化微小回転楕円状粒子を生産するための手順を示す概略が、図1に示される。このジェネリックなプロトコールは、異なる発光特性をともなう一つまたは複数の異なるナノ粒子でラベルされる、1ミクロン〜100ミクロンの任意の実用的サイズの光安定的シリカ微小球の調製を可能にする。
【0139】
共焦点顕微下で見られるようなQDラベル化微小回転楕円状粒子の例は、図2に示される。
【0140】
実施例2
DNA検出
Q-Sandビーズが、DNAに結合され、Q-Sandビーズと固定化48-mer DNAとの複合体を形成した。48-merの5番目の塩基の場所は、取り込まれたアミンをともなうチミジン塩基であった。このアミンは、標準的な縮合反応を使用してBODIPY・630/650 NHSエステルでDNAをラベルするために使用された。48mer DNAに結合されたQ-Sandビーズに対するWGMプロファイルは、図5、パネルaに示される。
【0141】
図5のパネルbは、Q-Sandビーズに結合されたDNAの塩基6〜24にハイブリダイズするα-トランスプローブDNAに結合された、パネルaのQ-SandビーズのWGMプロファイルを示す。図5のパネルbにおいて見られるように、結果として生じるWGMプロファイルは、すべてのピークに対して、およそ2.4nmのシフトであった。加えて、Q-因子(微小共振器の質の尺度)軽減は、およそ5倍であった。
【0142】
最後に、図5、パネルaに示されるQ-Sandビーズは、DNA 48-merのDNA塩基25〜48に相補的な領域を含むPCR産物にハイブリダイズされた。PCR産物は、HeLa細胞DNAから生成され、ExolによるハイブリダイゼーションおよびLambda Exo分解に対して調製された。結果として起こるWGMプロファイルは、すべてのピークに対して2.4nmシフトされた。Q-因子は、Q-Sandのみの対照からおよそ10倍低下であった。
【0143】
実施例3
シリカ微小回転楕円状粒子の表面官能化
シリカ微小回転楕円状粒子の表面官能化は、表面を活性化し標的生体吸着物質(bioadsorbate)と反応する官能基を付加するために、MPSまたはAPSまたはその他のシランを含む2-プロパノールにおいてQD-シリカ微小回転楕円状粒子を還流することによって、最初のシリカ微小回転楕円状粒子に対して使用されるのと同じ様式でなされ得る。
【0144】
複合体の調製
560 nmで放出するオレンジQDでラベルされ、10 nmシリカで上塗りされた5ミクロン微小回転楕円状粒子が、MPSで処理され、遠心され、洗浄された。微小球は、核酸、ポリペプチド、抗体、炭水化物、または同様のものなどの複合体と、水において約1時間反応することを可能にされた。次いで、それらは遠心され、洗浄され、生体活性QD微小球(BQDM)を得た。
【0145】
結合アッセイ:
いくつかのBQDMは、共焦点顕微鏡下の顕微鏡スライド上に置かれる。参照溶液の1滴が、微小球上に置かれ、488nmレーザー励起を使用して、スペクトルが収集された。次いで、1マイクロリットルの推定上BQDM上の複合体と相互作用する作用物質を含む溶液が、1滴に添加され、30分にわたる反応を可能にされる。スペクトルが収集され、一つまたは複数のピークの赤シフトまたは青シフトなどの、WGMプロファイルにおける任意の変化が検出され、観測される変化は、微小回転楕円状粒子上の複合体と外から添加された作用物質との間の相互作用を示す。
【0146】
実施例4
WGMプロファイルを使用する微小回転楕円状粒子の識別
サイズによる識別
異なるサイズの微小回転楕円状粒子は、本明細書において記載される方法を使用して生産された。異なる粒子サイズの各々のWGMプロファイルは、共焦点顕微鏡を使用して決定された。
【0147】
図3に示されるように、異なるサイズの粒子の各々によって示されるWGMプロファイルは、微小回転楕円状粒子の半径にともなって変化する。
【0148】
化合物表面化合物による識別
表面に結合される異なる分子を含むQDラベル化微小回転楕円状粒子は、本明細書において記載される方法を使用して生産された。異なる微小回転楕円状粒子の各々のWGMプロファイルは、共焦点顕微鏡を使用して決定された。
【0149】
図4に示されるように、QDは、表面に化合物が結合されていないQDラベル化微小回転楕円状粒子を指し、PSSは、結合ポリスチレンスルホン酸(PSS)を含む微小回転楕円状粒子を指し、PVPは、ポリビニルピロリドン(PVP)の吸着単層をともなう微小回転楕円状粒子を指す。
【0150】
データから明白なように、QDラベル化微小回転楕円状粒子は、それらの表面への化合物の結合に対して感度が良い。さらに、観測されるWGMプロファイルシフトも、表面に結合する化合物の性質に対して感度が良く見える。
【0151】
実施例5
サンプルにおける推定結合パートナーの検出
官能表面スルフヒドリル基をともなうシリカ微小球は、5'アクリダイト分子によって、以前に蛍光色素でラベルされている、一本鎖オリゴヌクレオチドへ結合される。
【0152】
次いで、結合されかつラベルされたオリゴヌクレオチドをともなう微小球は、相補的もしくは無関係なオリゴヌクレオチドまたはPCR産物にハイブリダイズされる。
【0153】
ハイブリダイズされる、およびハイブリダイズされない微小球は、Milli Q水において広範囲に洗浄され、顕微鏡カバースリップ上にスポットされ、風乾を可能にされる。
【0154】
次いで、乾燥された微小球は、使用される蛍光色素に適当な、レーザーおよび波長フィルターをともなう共焦点顕微鏡上で調査される。生成されるウィスパリングギャラリーモードは、微小球表面上にハイブリダイズされた付加的なDNAをともなう微小球とラベル化オリゴヌクレオチドが結合されるだけの微小球との間の、ウィスパリングギャラリーモードパターンにおける波長シフトを決定するために、記録されかつ比較される。
【0155】
ウィスパリングギャラリーモードの波長パターンにおける結果として生じるシフトは、検査サンプルにおける相補的DNA配列の存在または非存在を決定するために、潜在的に使用され得る。
【0156】
実施例6
検査化合物のスクリーニング
微小回転楕円体状粒子は、本明細書において記載されるプロトコールを使用して生産される。異なるビーズが、WGMプロファイルによって同定可能である。特定のタイプのビーズの間である程度の変動があるものの、与えられたサイズのビーズ上の与えられた蛍光放出体をともなう与えられた標的に対するWGMプロファイルは、だいたい等価であると思われる。少なくとも50の異なるQ-Sandビーズが、同時に検査され得る。
【0157】
微小回転楕円体状粒子は、反応担体に配列される。これらの担体は、異なる化合物に対する領域をともなうグリッド入りガラススライドである。グリッドはスキャンされ、WGMは計算されかつ保存される。このリーディングは、プレコンパウンド対照WGMである。
【0158】
各々の反応担体は、検査分子の一つまたは複数とともに検査される。
【0159】
非特異的結合は、洗浄段階によって軽減される。
【0160】
洗浄の後、反応担体は再スキャンされる。陽性は、検査前分子対照WGMと比較されたWGMシフトによって同定される。
【0161】
実施例7
微小球合成プロトコール
材料:
(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APS 99%)、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS、95%)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)、ポリビニルピロリドン(PVP、MW 40,000)、水酸化アンモニウム(29.1% wt %NH3水)(Sigma-Aldrich)。5μmシリカ粒子(Bangs Laboratories, Inc.)クロロホルム(CH3Cl3)および2-プロパノール(AnalaR, Merck, Kilsyth, Victoria)。
【0162】
機器:
Olympus蛍光顕微鏡(Olympus, Bonn, Germany)、電動回転ホイール、Shake and Stack(Thermohybaid, Glochester UK)、超音波洗浄器(Cole-Parmer Instrument Company, Illinois, USA)。
【0163】
一般的に重要な注意:
*すべてのガラスバイアルおよび磁気攪拌棒をエタノールで滅菌し、完全に乾燥することを可能にする。
*すべてのピペッティングに、フィルターチップを使用する。
*すべてのガラスバイアルは、1.5〜5ml容積の間で、平底かつスクリューキャップでなければならない。
*反応がオーバーナイトでの攪拌を必要とする場合は、すべてのガラススクリューキャップ反応バイアルをパラフィルムする。
*シリカビーズの表面官能化は、Brendan Tooheyによって規定されるように調製された。
*洗浄段階およびPVPの溶解の間の超音波処理は、必須ではない。
【0164】
表面官能化シリカビーズ
1. アセトンで1回および2-プロパノールで2回、徹底的に丸底フラスコをきれいにする。
2. 20mlの2-プロパノールをきれいにされた丸底フラスコに添加し、加熱マントルにセットアップし、任意のふたを締めるためにプラスチックふたクリップを使用し、シュレンクラインを介して水を押し込み始める。
3. 2-プロパノールは、反応が最適に起こるために持続的な攪拌下で80℃に加熱される必要があり、したがって、それが温度に到達するまで、温度計によって2-プロパノールの温度を持続的にモニターし、温度計は、各々の温度チェックの前にエタノールで拭かれることを確認する。
4. 一度温度が到達したら、20μlのAPSおよび1mlの製造業者のビーズスラリーと同じである0.1gの未処理のBang's Beadsを添加し、持続的な攪拌下で2時間加熱する。
5. 加熱後、洗浄のために、フラスコの内容物を適当なフラスコに移動する。
6. 2-プロパノールにおいて2回洗浄し、次いで、10ml Milli-Q水に再懸濁し、パラフィルムでバイアルを密封する。
【0165】
パートA:PVPの調製

【0166】
パートB:官能化5μmシリカビーズへのナノ結晶の不動態化

【0167】
パートC:PVPキャップ化ナノ結晶ドープ化微小球のTEOSコーティング

【0168】
当業者は、本明細書において記載される発明が、具体的に記載されるもの以外のバリエーションおよび改変を受けやすいということを高く評価すると思われる。本発明が、すべてのそのようなバリエーションおよび改変を含むということが理解されるべきである。本発明は、個々にまたは集合的に、この明細書において言及される、または示される段階、特徴、組成物、および化合物のすべて、ならびに該段階または特徴の任意の二つ以上の任意およびすべての組み合わせも含む。
【0169】
文献



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物を検出する方法であって、微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットを、推定上該分析物を含むサンプルに接触させる段階を含み、微小回転楕円状粒子のセット内の各々の粒子が、光学的検出可能ラベルおよび該分析物の固定化推定結合パートナーを含み、各々の粒子セットが定義されるウィスパリングギャラリーモード(WGM)プロファイルを有し、該固定化結合パートナーへの該分析物の結合が、該微小回転楕円状粒子の少なくとも一つのセットの該WGMプロファイルにおける変化を引き起こし、該分析物の存在を示す、方法。
【請求項2】
光学的検出可能ラベルが、フルオロクロムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粒子の各々の微小回転楕円状セットが、異なるフルオロクロムでラベルされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
各々の微小回転楕円状セットが、分析物の異なる固定化推定結合パートナーでラベルされる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
粒子の各々の微小回転楕円状セットが、異なるサイズである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
粒子の各々の微小回転楕円状セットが、
a. 異なる光学的検出可能ラベル;
b. 異なるサイズ;および/または
c. 分析物の異なる固定化結合パートナー
の2つ以上を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
微小回転楕円状粒子が、シリカ、ラテックス、チタニア、二酸化スズ、イットリア、アルミナ、その他の二元酸化金属、ペロブスカイト、およびその他の圧電酸化金属、スクロース、アガロース、およびその他のポリマーからなるリストより選択される物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
粒子がシリカを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
粒子が、実質的には球状または回転楕円状粒子である、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
粒子が、約300 nm〜約30μmの直径を含む、請求項5記載の方法。
【請求項11】
光学的検出可能ラベルが、蛍光を放出する分子、原子、またはイオンである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
光学的検出可能ラベルが、リン光を放出する分子、原子、またはイオンである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
光学的検出可能ラベルが、白熱光を放出する分子、原子、またはイオンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
光学的検出可能ラベルが、紫外線、可視、近赤外線(NIR)、および/または赤外線(IR)波長領域の任意の一つまたは複数において検出可能である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
光学的検出可能ラベルが、可視光波長領域において検出可能である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
光学的検出可能ラベルが、フルオロフォア、半導体粒子、リン光体粒子、ドープ粒子、またはナノ結晶もしくは量子ドットからなるリストより選択されるラベルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
光学的検出可能ラベルが、フルオロフォアである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
光学的検出可能ラベルが、量子ドットである、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
固定化結合粒子が、核酸分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
核酸分子が、DNAを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
核酸分子が、RNAを含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
固定化結合粒子が、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が、酵素である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が、抗体である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
固定化結合粒子が、炭水化物分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
炭水化物が、グリコサミノグリカン分子である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
WGMプロファイルの変調が、該プロファイルにおける一つまたは複数のピークの赤シフトを含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
WGMプロファイルの変調が、プロファイルにおける一つまたは複数のピークの青シフトを含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
赤シフトまたは青シフトが、1と100 nmとの間のピークまたは複数のピークの波長変化を含む、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
赤シフトまたは青シフトが、1と20 nmとの間のピークまたは複数のピークの波長変化を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
WGMプロファイルの変調が、該WGMプロファイルの一つまたは複数における一つまたは複数のピークの出現を含む、請求項1記載の方法。
【請求項32】
WGMプロファイルの変調が、該WGMプロファイルの一つまたは複数における一つまたは複数のピークの消滅を含む、請求項1記載の方法。
【請求項33】
WGMプロファイルが、共焦点顕微鏡を分光計と結合して用いることによって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項34】
WGMプロファイルが、アレイスキャナを分光計と結合して用いて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項35】
WGMプロファイルが、分光計と結合して個々の粒子からの光を測定するデバイスによって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項36】
デバイスが、フローサイトメーターである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
請求項1記載の方法によって検出される分析物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137490(P2012−137490A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23728(P2012−23728)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2007−513605(P2007−513605)の分割
【原出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(507192585)ジェネラ バイオシステムズ リミテッド (6)
【出願人】(506393662)
【Fターム(参考)】