説明

微小粒子を用いた生きた生物負荷の検出法

本発明は、細胞を微小粒子上に濃縮し、この微小粒子を濃縮し、更に細胞を検出するための方法を提供する。本発明には、上記方法に基づいて使用するための一体型の試料調製及び検出装置も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、いずれも本明細書に援用する2008年12月31日出願の米国仮特許出願第61/141,685号、及び2009年12月30日出願の米国仮特許出願第61/291,301号の恩典を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
試料(例えば、表面、水、空気など)中の生物学的検体の存在を評価するために使用することが可能な各種の試験が存在する。こうした試験としては、ホタルルシフェラーゼ反応を利用したATPの検出に基づく試験、比色計を用いたタンパク質の検出に基づく試験、微生物培養法を用いた微生物の検出に基づく試験、及び免疫化学的方法を用いた微生物の検出に基づく試験がある。スワブ装置を用いたり、あるいは寒天プレートなどの培養装置との直接的な接触によって表面の試料を採取することができる。この試料を、生きた細胞の存在、特に生きた微生物の存在について分析することができる。
【0003】
これらの試験の結果はしばしば、表面の清浄度について判定を行うために用いられる。例えば、こうした試験は、食品加工機器が生産に使用するうえで充分に洗浄されているか否かを判定するために用いることができる。上記の試験は、汚染された表面の検出に有用であるが、試験の実施に多くの工程を要しうるものであり、生きた細胞の存在を死細胞から迅速かつ/又は容易に区別できない場合があり、場合によっては、結果を判定できるまでに長い時間(例えば、数時間又は数日)を要しうる。
【0004】
これらの試験を用いて、生きた微生物の存在を示すことができる。こうした試験では、生きた細胞に付随する生物学的検体(例えば、ATP)を放出させるために、細胞抽出剤がしばしば使用される。細胞外物質(例えば、死んだ又はストレス下の動物細胞、植物細胞、及び/又は微生物から環境中に放出される非細胞性ATPなど)が存在すると、高い「バックグラウンド」濃度のATPを生じ、これが生きた細胞の検出を困難とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生きた細胞を検出するための多くの方法及び装置が存在するにも関わらず、生きた細胞、特に生きた微生物細胞の検出のための単純かつ信頼できる試験が依然求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は一般的には、試料中の生きた細胞を検出するための物品及び方法に関する。本物品及び方法により、表面上の細菌などの細胞の存在を迅速に検出する(例えば、蛍光、化学発光、又は色反応などにより)ことが可能になる。特定の実施形態では、本発明の物品は「すぐに試料測定が行える状態(sample-ready)」(すなわち、物品が、試料中の生きた細胞を検出するために必要なすべての要素を含んでいる)である。特定の態様では、本発明の物品及び方法は、真核細胞(例えば、植物細胞又は動物細胞)に関連する生物学的検体(例えば、ATP又は酵素)を原核細胞(例えば、細菌細胞)に関連する同様又は同一の生物学的検体から区別するための手段を提供する。更に、本発明の物品及び方法は、環境中に遊離している生物学的検体(すなわち、非細胞性の生物学的検体)を、生きた細胞に関連する同様又は同一の生物学的検体から区別するための手段を提供する。
【0007】
本開示の方法は、操作者が液体試料から細胞を濃縮し、細胞に関連した検体を検出することを可能とするものである。特定の実施形態では、検体の検出は、特に試料中の生きた微生物細胞を含む生きた細胞の指標となりうる。特定の実施形態では、本方法は、操作者が試料中の生物学的検体の量を測定することを可能とする。特定の実施形態では、本方法は、組成物から有効量の細胞抽出剤が液体混合物中に放出される所定の時間の後に操作者が生物学的検体の量を測定することにより、試料中の非細胞性物質に由来する生物学的検体の量と、生きた細胞に由来する生物学的検体の量を区別して求めることを可能とする。特定の実施形態では、本方法は、操作者が第1の所定の時間内に生物学的検体の量の第1の測定を行ない、更に組成物から有効量の細胞抽出剤が放出される第2の所定の時間内に生物学的検体の量の第2の測定を行なうことによって、試料中の生きた細胞の存在を検出することを可能とする。特定の実施形態では、本方法は、試料中の生物学的検体が生きた植物又は動物細胞から放出されたものであるか、あるいは生きた微生物細胞(例えば、細菌)から放出されたものであるかを操作者が区別することを可能とする。本発明は、食品調理サービス施設、医療環境などの比較的過酷な現場環境において、操作者が使用することが可能である。
【0008】
一態様において、本開示は、試料中の細胞を検出するための方法を提供する。本方法は、細胞濃縮剤、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、及び細胞を含むことが疑われる液体試料を提供する工程を含む。本方法は更に、液体試料と細胞濃縮剤とを所定の時間にわたって接触させる工程と、液体試料の少なくとも一部から細胞濃縮剤を分離する工程と、分離された細胞濃縮剤及びヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、細胞抽出剤が混合物中に放出される、工程と、生物学的検体を検出する工程と、を更に含む。必要に応じて、検体は2以上の別々の時点において検出することができる。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は生きた細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検出システムを使用することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検体の量を定量することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は細胞からのATPを検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は遺伝学的又は免疫学的方法によって細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、本方法は、体細胞抽出剤を提供する工程と、この体細胞抽出剤を試料からの細胞と接触させる工程と、を更に含む。
【0009】
別の態様において、本開示は試料中の細胞を検出するための方法を提供する。本方法は、細胞を含むことが疑われる試料;細胞濃縮剤;細胞抽出剤を含むヒドロゲル;2以上の貯留部を備えたハウジングと、試料を受容するように構成された開口部とを含む検出物品;細胞濃縮剤を分離して、ハウジングの上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段を提供する工程を含む。本方法は更に、液体媒質中で試料とハウジングの上側貯留部内の細胞濃縮剤とを接触させる工程を含む。本方法は更に、細胞濃縮剤をハウジングの下側貯留部に移動する工程を含む。本発明は更に、分離された細胞濃縮剤及びヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、細胞抽出剤が混合物中に放出される、工程を含む。本方法は更に、生物学的検体を検出する工程を含む。必要に応じて、検体は2以上の別々の時点において検出することができる。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は生きた細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検出システムを使用することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検体の量を定量することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は細胞からのATPを検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は遺伝学的又は免疫学的方法によって細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、本方法は、体細胞抽出剤を提供する工程と、この体細胞抽出剤を試料からの細胞と接触させる工程と、を更に含む。
【0010】
別の態様において、本開示は試料中の細胞を検出するための方法を提供する。本方法は、細胞を含むことが疑われる試料;試料を受容するように構成された開口部と、細胞濃縮剤が収容された上側貯留部と、細胞抽出剤を含むヒドロゲルが収容された下側貯留部とを備えるハウジングを含む検出物品;細胞濃縮剤を液体試料の少なくとも一部から分離するための手段;及び、細胞濃縮剤をハウジングの上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段を提供する工程を含む。本方法は更に、液体媒質中で試料と、ハウジングの上側貯留部内の細胞濃縮剤とを接触させる工程を含む。本方法は更に、細胞濃縮剤を分離して、ハウジングの下側貯留部に移動する工程を含む。本方法は更に、分離された細胞濃縮剤及びヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、細胞抽出剤が混合物中に放出される、工程を含む。本方法は更に、生物学的検体を検出する工程を含む。必要に応じて、検体は2以上の別々の時点において検出することができる。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は生きた細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検出システムを使用することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は検体の量を定量することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は細胞からのATPを検出することを含む。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は遺伝学的又は免疫学的方法によって細胞を検出することを含む。特定の実施形態では、本方法は、体細胞抽出剤を提供する工程と、この体細胞抽出剤を試料からの細胞と接触させる工程と、を更に含む。
【0011】
別の態様において、本開示は一体型試料調製及び検出装置を提供する。本装置は、その間に通路を有する少なくとも2個の貯留部を含むハウジングを備える。ハウジングの上側貯留部は、試料を受容するように構成された開口部、及び上側貯留部内に配置された細胞濃縮剤を含む。ハウジングの下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。本装置は更に、上側貯留部を下側貯留部から隔離するための手段を備える。本装置は更に、細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段を備える。特定の実施形態では、上側貯留部と下側貯留部とを隔離するための手段は、細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段である。特定の実施形態では、ハウジングは更に、2個の隔離された貯留部の間に破断可能なシールを含む。特定の実施形態では、上側貯留部はテーパ領域を含む。特定の実施形態では、本装置は更に、細胞抽出剤を含むヒドロゲルを備える。特定の実施形態では、ハウジングは更に、第3の貯留部を含む。特定の実施形態では、本装置は更に試料取得装置を備える。特定の実施形態では、検出試薬はATPを検出するための試薬を含む。特定の実施形態では、本装置は更に、検出試薬を含むヒドロゲルを備える。
【0012】
別の態様において、本開示は一体型試料調製及び検出装置を提供する。本装置は、少なくとも2個の隔離された貯留部を含み、その間に通路を有するハウジング、及び通路に嵌合するように構成されたピストンを備える。ハウジングの上側貯留部は、試料を受容するように構成された開口部、及び上側貯留部内に配置された細胞濃縮剤を含む。ハウジングの下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。特定の実施形態では、ハウジングは更に、2個の隔離された貯留部の間に破断可能なシールを含む。特定の実施形態では、上側貯留部はテーパ状の内壁を含む。特定の実施形態では、本装置は更に、細胞抽出剤を含むヒドロゲルを備える。特定の実施形態では、ハウジングは更に、第3の隔離された貯留部を含む。特定の実施形態では、本装置は更に試料取得装置を備える。特定の実施形態では、検出試薬はATPを検出するための試薬を含む。特定の実施形態では、本装置は更に、検出試薬を含む徐放性組成物を備える。
【0013】
別の態様において、本開示は一体型試料調製及び検出装置を提供する。本装置は、少なくとも2個の隔離された貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングを備える。ハウジングの上側貯留部は、試料を受容するように構成された開口部、及び上側貯留部内に配置された細胞濃縮剤を含む。下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。本装置は更に、上側貯留部から下側貯留部への物質の通過を制御するように構成された弁を備える。特定の実施形態では、上側貯留部はテーパ状の内壁を有する。特定の実施形態では、本装置は更に、細胞抽出剤を含むヒドロゲルを備える。特定の実施形態では、ハウジングは更に、第3の隔離された貯留部を有する。特定の実施形態では、本装置は更に試料取得装置を備える。特定の実施形態では、検出試薬はATPを検出するための試薬を含む。特定の実施形態では、本装置は更に、検出試薬を含む徐放性組成物を備える。
【0014】
別の態様では、本開示は、少なくとも2個の隔離された貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングと、細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段とを備えるキットを提供する。ハウジングの上側貯留部は、試料を受容するように構成された開口部を含む。下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。本キットは更に細胞濃縮剤を備える。特定の実施形態では、細胞濃縮剤はハウジングの上側貯留部内に配置される。特定の実施形態では、本キットは更に微生物細胞抽出剤を含むヒドロゲルを備える。特定の実施形態では、本キットは更に体細胞抽出剤を備える。特定の実施形態では、本キットは更に試料取得装置を備える。
【0015】
別の態様において、本開示は、少なくとも2個の隔離された貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングを備えるキットを提供する。ハウジングの上側貯留部は、試料を受容するように構成された開口部を含む。ハウジングの下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。本キットは更に、細胞濃縮剤、及びこの細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部へと移動するための手段を備える。特定の実施形態では、細胞濃縮剤はハウジングの上側貯留部内に配置される。特定の実施形態では、本キットは更に、微生物細胞抽出剤を含むヒドロゲルを備える。特定の実施形態では、本キットは更に体細胞抽出剤を備える。特定の実施形態では、本キットは更に試料取得装置を備える。
【0016】
用語集
本明細書で使用するところの「生物学的検体」とは、生物内に生ずる、又は生物によって生成される分子又はその誘導体のことを指して言う。例えば、生物学的検体としては、これらに限定されるものではないが、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれうる。生物学的検体の具体例としては、これらに限定されるものではないが、代謝産物(例えば、ATPなどの小分子、又はタンパク質Aなどのポリペプチド)、アレルゲン(例えば、落花生アレルゲン)、ホルモン、毒素(例えば、Bacillus属下痢毒素、アフラトキシンなど)、RNA(例えば、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例えば、プラスミドDNA、植物DNAなど)、タグ付きタンパク質、抗体、抗原、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用するところの「液体試料」とは、液体を含む試料物質のことを指して言う。試料は、その元々の形態では、例えば、水、母乳、分泌液、血液、傷口の滲出液などの液体を含むものでよい。また、液体試料は、液体懸濁媒質(例えば、水、水性緩衝液など)中に固体を懸濁した懸濁液であってもよい。例えば、固体、半固体、又はゼラチン状試料を試料取得装置によって採取して、液体に懸濁して液体試料とすることができる。
【0018】
「清澄化液体試料」とは、液体試料を細胞濃縮剤と接触させ、細胞濃縮剤を液体のバルクから分離した(例えば、沈降、濾過、遠心、又は沈殿により)後に残る液体試料のバルクのことを指して言う。
【0019】
「試料取得装置」とは、本明細書では最も広い意味で使用され、液体、半固体、又は固体の試料物質を採取するために使用される器具のことを指して言う。試料取得装置の非限定的な例としては、スワブ、ワイプ、スポンジ、ひしゃく、スパチュラ、ピペット、ピペット先端、及びサイフォンホースが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するところの「行き止まり弁」とは、検出装置のハウジング内の2以上の貯留部間の物質(例えば、液体、固体、又は液体中の固体の懸濁液)の移動を調節するために使用される弁の一種のことを指して言う。行き止まり弁は、物質の移動に使用される弁内のキャビティが、一度に1つの貯留部とのみ流体連通しうるような設計となっている。
【0021】
本明細書で使用するところの「ヒドロゲル」なる用語は、親水性であり、極性溶媒によって膨潤しているかあるいは膨潤させることが可能なポリマー材料を指す。このポリマー材料は、通常、極性溶媒と接触すると膨潤はするが溶解はしない。すなわち、ヒドロゲルは極性溶媒に不溶である。膨潤したヒドロゲルは、乾燥することで極性溶媒の少なくとも一部を除去することができる。
【0022】
本明細書で使用するところの「細胞抽出剤」とは、細胞膜又は細胞壁の透過性を変化させるか、あるいは細胞(例えば、体細胞若しくは微生物細胞)の細胞膜及び/又は細胞壁の完全性を乱す(すなわち、溶解又は孔を形成する)ことにより、生きた細胞に通常見られる生物学的検体を抽出又は放出させるような任意の化合物又は化合物の組み合わせのことを指して言う。
【0023】
本明細書で使用するところの「検出システム」とは、生物学的検体を検出するために使用される成分のことを指して言い、酵素、酵素基質、結合相手(例えば、抗体又は受容体)、標識、色素、並びに、吸光度若しくは反射率、蛍光及び/又は発光(例えば、生物発光若しくは化学発光)を検出するための装置が含まれる。
【0024】
「好ましい」及び「好ましくは」なる語は、特定の状況下で特定の効果をもたらしうる本発明の実施形態のことを指して言う。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1以上の好ましい実施形態の引用は他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを目的とするものではない。
【0025】
「含む」なる用語及びその変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合に限定的な意味を有さない。
【0026】
本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1以上の」は、互換可能に使用される。したがって、例えば、「a」検出試薬を含むハウジングとは、ハウジングが「1以上の」検出試薬を含みうることを意味するものとして解釈することができる。
【0027】
「及び/又は」なる用語は、列記される要素の1つ若しくはすべて、又は列記される要素のうちの任意の2以上の組み合わせを意味する。
【0028】
また、本明細書における端点による数の範囲の記載には、その範囲に含まれるすべての数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、などが含まれる)。
【0029】
上記の本発明の概要は、開示される実施形態のそれぞれ、又は本発明のすべての実施の態様を述べることを目的としたものではない。以下の説明文は、実例となる実施形態をより詳細に例示するものである。本出願の複数の箇所において一連の実施例によって指標が与えられるが、各実施例は異なる組み合わせとして使用することができる。それぞれの事例において、記載される一覧はあくまで代表的な群を表すものであり、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】2個の受容部を含むハウジングの一実施形態の断面図、及びハウジングと使用するために適合されたプランジャの断面図を示すものであり、これらはいずれも本開示に基づく試料調製及び検出装置の構成要素。
【図1B】プランジャがハウジング内の第1の位置に配置され、ハウジングの上側貯留部内に細胞濃縮剤を含む、組み立てられた状態の図1Aの装置の断面図を示す。
【図1C】プランジャがハウジング内の第2の位置に配置され、ハウジングの上側貯留部内に液体試料を含む、図1Bの装置の断面図を示す。
【図1D】プランジャが第1の位置にあり、細胞濃縮剤がハウジングの下側貯留部内にある、図1Cの装置の断面図を示す。
【図2A】破断可能なシールによって分離された3個の貯留部を含むハウジングの一実施形態の断面図、及び、ハウジングと使用するために適合されたプランジャの側面図を示すものであり、これらはいずれも本開示に基づく試料調製及び検出装置の構成要素。
【図2B】キャップが取り付けられ、ハウジングの上側貯留部内に液体試料が配置された、図2Aのハウジングの断面図を示す。
【図2C】キャップのない状態で、かつプランジャがハウジング内の第1の位置に配置された、図2Bのハウジングの断面図を示す。
【図2D】プランジャがハウジング内の第2の位置に配置され、細胞濃縮剤がハウジングの下側貯留部に移された、図2Cの装置の断面図を示す。
【図3A】本開示に基づく、ハウジング及び弁を含む試料調製及び検出装置の一実施形態の正面図を示す。
【図3B】図3Aの装置の側面図を示す。
【図3C】液体試料及び細胞濃縮剤がハウジングの上側貯留部内に配置され、弁が第1の位置にある、図3Aの装置の断面図を示す。
【図3D】弁が第2の位置にあり、細胞濃縮剤がハウジングの下側貯留部に移された、図3Cの装置の断面図を示す。
【図4A】2個の貯留部及びドレーン弁を含むハウジングの一実施形態の断面図、並びにプランジャの側面図を示すものであり、これらはいずれも試料調製及び検出装置の構成要素。
【図4B】ドレーン弁が開いた配置にあり、プランジャがハウジング内の第1の位置に配置された、組み立てられた状態の図4Aの装置の断面図を示す。
【図4C】プランジャがハウジング内の第2の位置に配置され、細胞濃縮剤がハウジングの第2の貯留部に移された、組み立てられた状態の図4Bの装置の断面図を示す。
【図4D】プランジャが破断可能なシールに穿孔して細胞濃縮剤を下側貯留部に移した、図4Cの装置の断面図を示す。
【図5A】ハウジングの一実施形態の断面図、及び部分的に断面にて示されたプランジャの側面図を示すものであり、これらはいずれも本開示に基づく試料調製及び検出装置の一実施形態の構成要素。
【図5B】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図5Aの装置の断面図を示す。
【図5C】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図5Aの装置の断面図を示す。
【図5D】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図5Aの装置の断面図を示す。
【図6A】図5Aのプランジャの先端部の、部分的に断面にて示された分解側面図を示す。
【図6B】組み立てられた状態の図6Aの先端部の、部分的に断面にて示された側面図を示す。
【図7A】ハウジングの一実施形態の断面図、及び部分的に断面にて示された中空のプランジャの側面図を示すものであり、これらはいずれも本開示に基づく試料調製及び検出装置の一実施形態の構成要素。
【図7B】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図7Aの装置の側面図を示す。
【図7C】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図7Aの装置の側面図を示す。
【図7D】プランジャがハウジングの異なる深さに挿入された、組み立てられた状態の図7Aの装置の側面図を示す。
【図8A】図7Aのプランジャの先端部の、部分的に断面にて示された分解側面図を示す。
【図8B】組み立てられた状態の図8Aの先端部の、部分的に断面にて示された側面図を示す。
【図9】本開示に基づく細胞濃縮剤回収要素の一実施形態を示す。
【図10A】ハウジングの一実施形態の断面図、及び部分的に断面にて示されたプランジャの側面図を示すものであり、これらはいずれも本開示に基づく試料調製及び検出装置の一実施形態の構成要素。
【図10B】組み立てられた状態の図10Aの装置の、部分的に断面にて示された側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に引用する特許、特許出願、政府刊行物、政府規制、及び参照文献はすべて、その全容を本明細書に援用するものとする。記載の不一致の場合には、定義を含めた本明細書の記載内容が優先するものとする。
【0032】
本発明は、試料中の微生物を検出するための物品及び方法に一般的に関するものである。特定の好ましい実施形態では、本発明は試料中の生きた微生物の検出に関するものである。試料からの細胞を濃縮するための方法及び装置が、いずれも本明細書にその全容を援用する2008年12月31日出願の発明の名称が「微生物を濃縮するための試料採取装置及び方法」(SAMPLING DEVICES AND METHODS FOR CONCENTRATING MICROORGANISMS)である米国特許出願第61/141,900号、及び2008年12月31日出願の発明の名称が「試料を処理するための方法、キット、及びシステム」(METHODS, KITS AND SYSTEMS FOR PROCESSING SAMPLES)である米国特許出願第61/141,813号に述べられている。本明細書で開示する本発明の装置及び方法は、試料中に存在する少数の微生物を検出するための高い感度を与えるものである。
【0033】
生物学的検体を使用して、試料中の生きた細胞などの生物学的物質の存在を検出することができる。生物学的検体は、検体が関与しうる様々な反応によって検出することができる(例えば、結合反応、触媒反応など)。
【0034】
様々な形態の化学発光反応を利用して、液体中及び加工処理された材料中の細菌細胞などの細胞を検出することができる。本開示の特定の実施形態では、酵素ルシフェラーゼの存在下でのアデノシン三リン酸(ATP)とルシフェリンとの反応に基づく化学発光反応による光の発生が、生物学的検体としてのATPを検出するためのシグナルの発生の化学的基礎を与える。ATPはすべての微生物細胞を含む、すべての生きた細胞中に存在することから、この方法は、試料中の生きた細胞の数を定量的又は準定量的に推定するための迅速なアッセイを提供しうるものである。基礎となる反応の性質、その発見の経緯、及びその一般的な応用分野に関する初期の論説が、E.N.Harvey(1957)、A History of Luminescence:From the Earliest Times Until 1900、Amer.Phil.Soc.、Philadelphia、Pa.及びW.D.McElroy及びB.L.Strehler(1949)、Arch.Biochem.Biophys.22:420〜433に述べられている。
【0035】
細菌及びその他の微生物種はある程度のATPを含んでいるため、ATP検出は細菌及びその他の微生物種を検出するうえで信頼性の高い手段である。ATPから得られる化学結合エネルギーは、北米産ホタル(Photinus pyralis)の尾部で起こる生物発光反応に利用されている。この反応の生化学的成分はATPを含まずに単離することができ、その後これを他の供給源のATPを検出するために使用することができる。このホタルの生物発光反応の機構はよく特徴付けられている(DeLuca,M.ら、1979 Anal.Biochem.95:194〜198)。
【0036】
試料及び試料取得装置:
本開示の物品及び方法は、試料中の生物学的検体の検出法を提供する。特定の実施形態では、本物品及び方法は、試料中の生きた細胞からの生物学的検体の検出法を提供する。特定の実施形態では、本物品及び方法は、試料中の生きた微生物細胞の検出法を提供する。特定の好ましい実施形態では、本物品及び方法は、試料中の生きた細菌細胞の検出法を提供する。
【0037】
本明細書で使用するところの「試料」なる用語は、その最も広い意味で使用される。試料は、本発明の使用により分析される生物学的検体(例えば、ATP)を含むことが疑われる組成物である。生物学的検体は、試料中の細胞(例えば、細菌)内に存在しうる。試料はしばしば、場合により培地又は細胞溶解物中に、細胞又は細胞集団を含むことが知られているかあるいは含むことが疑われるものであるが、試料はまた、細胞又は細胞集団が付着していることが疑われる固体表面(例えば、スワブ、膜、フィルター、粒子)であってもよい。こうした固体試料では、本発明に基づく細胞濃縮剤と混合することが可能な液体(例えば、水溶液)と固体を接触させることによって水性試料を調製することが考えられる。
【0038】
好適な試料としては、固体物質(例えば、粒子、フィルター)、半固体物質(例えば、ゲル、固体の懸濁液、又はスラリー)、液体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なサンプルとしては更に、固体、液体、又はこれらの組み合わせを含む表面残留物が挙げられる。表面残留物の非限定的な例としては、環境表面(例えば、床、壁、天井、媒介物、機器、水、及び水容器、エアフィルター)、食品表面(例えば、野菜、果物、及び肉の表面)、食品加工表面(例えば、食品加工装置及びまな板)、並びに臨床表面(例えば、組織試料、皮膚、及び粘膜)からの残留物が挙げられる。試料には、原油若しくは粗精製油、ガソリン、又は塗料などの混合物が更に含まれる。
【0039】
生物学的検体の検出のための試料物質(表面残留物を含む)の採取法は、当該技術分野では周知のものである。ピペット、スパチュラ、スポンジ、スワブなどを含む各種の試料取得装置がこれまでに述べられており、本発明の方法において使用することができる。
【0040】
細胞濃縮剤:
本開示の方法では、液体試料中に存在する細胞と結合する細胞濃縮剤を使用する。細胞濃縮剤は、細胞を含むことが疑われる液体試料と所定の時間接触させる。細胞は、共有結合又は非共有結合(例えば、疎水性又はイオン性相互作用)によって、あるいは共有結合と非共有結合との組み合わせによって細胞濃縮剤と結合しうる。細胞が細胞濃縮剤と結合した後、例えば沈降、凝集、遠心、濾過、又はこれらの任意の組み合わせによって細胞濃縮剤を液体試料から除去することができる。
【0041】
「細胞濃縮剤」とは、液体に懸濁可能であることによって液体中に存在する微生物を捕捉かつ保持することができる物質(例えば、粒子、繊維)を含む広い意味で使用される。細胞濃縮剤は濾過処理によって回収することができるが、微生物を捕捉するうえで必ずしも濾過処理を必要としない。
【0042】
特定の細胞濃縮剤が当該技術分野において知られており、本開示の方法における使用に適している。好適な細胞濃縮剤の非限定的な例としては、ヒドロキシアパタイト(Berryら、Appl.Environ.Microbiol.;63:4069〜4074;1997)、磁気ビーズ(Osterら、J.Magnetism and Magnetic Mat.;225:145〜150;2001)、フェリ磁性鉱物、マグネタイト、キトサン、及び親和性支持物質が挙げられる。試料から微生物を捕捉又は濃縮するための固定化金属支持物質を含む組成物の使用について、本明細書にその全容を援用する発明の名称が「生物学的物質を単離するための組成物、方法、及び装置」(COMPOSITIONS, METHODS, AND DEVICES FOR ISOLATING BIOLOGICAL MATERIALS)である、2007年4月25日出願の米国特許出願第60/913,812号に述べられている。
【0043】
濃縮剤の例示的な種類の1つとしては、珪藻土及び表面処理した珪藻土が挙げられる。こうした濃縮剤の具体例は、その開示内容を本明細書に援用する、発明の名称が「微生物の濃縮プロセス及び微生物濃縮剤」(MICROORGANISMS CONCENTRATION PROCESS AND AGENT)である、2007年10月3日出願の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第60/977,200号に見ることができる。無機物は、水系に分散又は懸濁されると、その物質及び水系のpHに特徴的な表面電荷を示す。物質−水の界面の両側の電位は「ゼータ電位」と呼ばれ、電気泳動における移動度から(すなわち、水系中に置かれた帯電電極間を物質の粒子が移動する速度から)計算することができる。一実施形態では、濃縮剤は、非処理の珪藻土のゼータ電位よりも少なくともある程度正のゼータ電位を有してよく、こうした濃縮剤は、その表面が一般的に負に帯電する傾向を有する細菌などの微生物を濃縮するうえで非処理の珪藻土と比較して驚くほど顕著に効果的となりうる。
【0044】
濃縮剤の代表的な種類の1つとして珪藻土がある。濃縮剤の別の代表的な種類として、表面処理した珪藻土がある。代表的な表面処理としては、二酸化チタンなどの表面改質剤、微細なナノスケールの金若しくは白金、又はこれらの組み合わせがある。こうした表面処理は、微生物を濃縮するうえで非処理の珪藻土と比較して驚くほど顕著に効果的となりうる。表面処理としては更に、酸化第二鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせから選択される金属酸化物が挙げられる。一実施形態では、酸化第二鉄が使用される。金などの貴金属は抗微生物特性を示すことが知られているが、金含有濃縮剤は、微生物を結合するうえで有効であるばかりでなく、検出又はアッセイ用に微生物を生存状態に維持するうえでも有効である。
【0045】
有用な表面改質剤としては、微細なナノスケールの金、微細なナノスケールの白金、少なくとも1つの金属酸化物(例えば、二酸化チタン、酸化第二鉄、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせた微細なナノスケール金、二酸化チタン、少なくとも1つの他の(すなわち、二酸化チタン以外)金属酸化物と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、微細なナノスケール金、微細なナノスケール白金、少なくとも酸化第二鉄若しくは二酸化チタンと組み合わせた微細なナノスケール金、二酸化チタン、少なくとも酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、又はこれらの組み合わせのような表面改質剤を使用することができる。
【0046】
一実施形態では、以下のような表面改質剤を使用することができる。すなわち、微細なナノスケール金、微細なナノスケール白金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細なナノスケール金、二酸化チタン、酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらの組み合わせ。一実施形態では、微細なナノスケール金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細なナノスケール金、酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらの組み合わせを使用することができる。一実施形態では、微細なナノスケール金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細なナノスケール金、及びこれらの組み合わせを使用することができる。
【0047】
濃縮剤の別の代表的な種類として、γ−FeO(OH)(レピドクロサイトとしても知られる)がある。こうした濃縮剤の具体例は、その開示内容を本明細書に援用する、発明の名称が「微生物の濃縮プロセス」(MICROORGANISM CONCENTRATION PROCESS)である、2007年10月3日出願の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第60/977,188号に見ることができる。こうした濃縮剤は、食品及び水によって媒介される疾患及びヒトの細菌感染において重大な問題となりうるグラム陰性菌を捕捉するうえで他の鉄含有濃縮剤と比較して、驚くほど効果的であることが見出されている。濃縮剤は、他の成分(例えば、ベーマイト(α−AlO(OH))、粘土、酸化鉄、及び酸化ケイ素など)を(γ−FeO(OH)以外に)更に含んでもよい。このような他の成分が含まれる実施形態では、他の成分は試料と濃縮剤との密接な接触を一般的に大きく妨げない。
【0048】
γ−FeO(OH)は既知の物質であり、公知の方法によって化学的に合成することができる(例えば、米国特許第4,729,846号(マツイ(Matsui)ら)(この記載内容を本明細書に援用する)に磁気テープ製造を目的として述べられているように、中性又は弱酸性pHで水酸化第一鉄の酸化によって)。γ−FeO(OH)は市販もされている(例えば、ジョンソン・マッセイ社(Johnson Matthey Company)(マサチューセッツ州ウォードヒル)グループの一企業であるアルファ・エイサー社(Alfa Aesar)及びシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corporation)(ミズーリ州セントルイス)より)。
【0049】
γ−FeO(OH)を濃縮剤として使用する一実施形態では、γ−FeO(OH)は一般的に微粒子の形態である。一実施形態では、γ−FeO(OH)は、約3マイクロメートル(他の実施形態では、約5マイクロメートル、又は約10マイクロメートル)〜約100マイクロメートル(他の実施形態では、約80マイクロメートル、又は約50マイクロメートル、又は約35マイクロメートル、ただし任意の下限値を範囲の任意の上限値と組み合わせることができる)の範囲の粒径(最大の寸法)を有する微粒子の形態である。一実施形態では、粒子はより小さな粒子の凝集体である。粒子は、粒径約1マイクロメートル未満(一実施形態では粒径約0.5マイクロメートル未満)の微結晶を含みうる。微結晶は、針状微結晶として、針状微結晶を含むいかだ状構造として、又は針状微結晶といかだ状構造との組み合わせとして存在しうる。
【0050】
一実施形態では、濃縮剤は、BET(ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller))法(窒素ガス分子の物理的吸着による固体の表面積計算)によって測定される表面積が、1グラム当たり約25平方メートル(m/g)よりも大きく、一実施形態では約50m/gよりも大きく、更に別の実施形態では約75m/gよりも大きい。
【0051】
粒子の凝集形態は、微粒子にしばしばともなう取扱い及びその他の危険性をともなわずに、微粒子システムの吸着能を与えうるものである。更に、そのような凝集体粒子は液体中で容易に沈殿しうるものであり、このため液相から微生物を速やかに分離することが可能となる(同時に、濾過時の背圧が低くて済む)。
【0052】
濃縮剤の別の代表的な種類として金属ケイ酸塩がある。こうした濃縮剤の具体例は、その開示内容を本明細書に援用する、発明の名称が「微生物の濃縮プロセス」(MICROORGANISM CONCENTRATION PROCESS)である、2007年10月3日出願の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第60/977,188号に見ることができる。代表的な金属ケイ酸塩は、X線光電子分光法(XPS)によって測定した場合にケイ素原子に対する金属原子の比が約0.5以下(一実施形態では約0.4以下、別の実施形態では約0.3以下、更に別の実施形態では約0.2以下)である表面組成を有しうる。一実施形態では、表面組成は、X線光電子分光法(XPS)によって測定した場合に少なくとも約10平均原子%の炭素(一実施形態では少なくとも約12平均原子%の炭素、更なる別の実施形態では少なくとも約14平均原子%の炭素)を更に含む。XPSは、試料表面の最も外側の約3〜10ナノメートル(nm)の元素組成を測定できる方法であり、水素及びヘリウムを除く周期表のすべての元素に対する感度を有する。XPSは、ほとんどの元素に対して0.1〜1原子パーセントの濃度範囲の検出限界を有する定量的測定法である。XPSの代表的な表面組成の評価条件としては、受光立体角±10°で試料表面に対して測定される取り出し角90°がある。
【0053】
金属ケイ酸塩などの無機材料は、水系中に分散又は懸濁されると、材料及び水系のpHに特徴的な表面電荷を示す。物質−水の界面の両側の電位は「ゼータ電位」と呼ばれ、電気泳動における移動度から(すなわち、水系中に置かれた帯電電極間を物質の粒子が移動する速度から)計算することができる。代表的な濃縮剤は、例えば、普通のタルクなどの一般的な金属ケイ酸塩のゼータ電位よりも負のゼータ電位を有しうる。それにも関わらず、こうした濃縮剤は、表面が一般的に負に帯電する傾向を有する細菌などの微生物を濃縮するうえでタルクと比較して驚くほど効果的である。一実施形態では、濃縮剤はpH約7において負のゼータ電位(一実施形態では、pH約7において約−9ミリボルト〜約−25ミリボルトの範囲のスモルコフスキー(Smoluchowski)ゼータ電位、別の実施形態では、pH約7において約−10ミリボルト〜約−20ミリボルトの範囲のスモルコフスキーゼータ電位、更に別の実施形態では、pH約7において約−11ミリボルト〜約−15ミリボルトの範囲のスモルコフスキーゼータ電位)を有する。
【0054】
有用な金属ケイ酸塩としては、これらに限定されるものではないが、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、チタン、及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせなどの金属の非晶質ケイ酸塩が挙げられる。一実施形態では、マグネシウム、亜鉛、鉄、チタン、又はこれらの組み合わせを使用することができる。更に別の実施形態では、マグネシウムを使用することができる。一実施形態では、少なくとも部分的に融合した粒子の形態の非晶質金属ケイ酸塩を使用することができる。一実施形態では、非晶質の長球化された金属ケイ酸塩を使用することができる。更に別の実施形態では、長球化された非晶質ケイ酸マグネシウムを使用することができる。金属ケイ酸塩は公知のものであり、公知の方法によって化学的に合成するか、あるいは天然に生じる未加工鉱石の採鉱及び処理によって得ることができる。
【0055】
一部の非晶質金属ケイ酸塩は市販されている。例えば長球化された非晶質ケイ酸マグネシウムは、化粧料における使用を目的として市販されている(例えば、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売されるCosmetic Microspheres CM−111として)。
【0056】
濃縮剤は、非晶質金属ケイ酸塩以外に、濃縮剤が上記の表面組成を有するかぎりにおいて、金属(例えば、鉄又はチタン)の酸化物、結晶性金属ケイ酸塩、他の結晶性物質、及びこれらに類するものを含む他の物質を更に含んでもよい。一実施形態では、濃縮剤は結晶性シリカを基本的に含まない。
【0057】
濃縮剤は試料の接触及び微生物の捕捉に適した任意の形態で使用することができる。一実施形態では、濃縮剤は粒子の形態で使用される。一実施形態では、濃縮剤は微粒子の形態である。一実施形態では、濃縮剤は約1マイクロメートル(一実施形態では約2マイクロメートル)〜約100マイクロメートル(一実施形態では約50マイクロメートル、別の実施形態では約25マイクロメートル、更に別の実施形態では約15マイクロメートル、ただし任意の下限値を範囲の任意の上限値と組み合わせることができる)の範囲の粒径を有する微粒子の形態である。
【0058】
濃縮剤を使用した微生物の濃縮又は捕捉は、微生物の特定の株、種又はタイプに特異的なものではなく、したがって試料中の一般的な微生物の集団を濃縮するものである。次いで、株特異的なプローブによる任意の公知の検出方法を用いて、捕捉された微生物の集団から微生物の特定の株を検出することができる。したがってこの濃縮剤は、臨床試料、食品試料、環境試料、又は他の試料中の汚染微生物又は病原体(特に細菌などの食品によって媒介される病原体)の検出に使用することができる。
【0059】
本発明のプロセスを実施するうえで、濃縮剤は試料との接触及び微生物の捕捉に適した任意の形態で使用することができる(例えば、粒子の形態で使用するか、あるいは微小流体装置のディップスティック、フィルム、フィルター、チューブ、ウェル、プレート、ビーズ、膜、若しくはチャネル、又はこれらに類するものなどの支持体に塗布して)。好ましくは、濃縮剤は粒子の形態で使用される。
【0060】
必要に応じて、細胞濃縮剤は微生物と結合することが可能な結合相手(例えば、抗体、抗体フラグメント、抗原結合ドメイン、レクチン(例えば、コンカナバリンA)、受容体、ファージ受容体、又はこれらに類するもの)を含んでもよい。結合は直接的なものであっても、間接的なものであってもよい。結合は特定の微生物の種類に対して選択的であってもよく、あるいは非選択的あってもよい。
【0061】
試料から微生物を捕捉するために使用される濃縮剤の量は、使用される濃縮剤の種類、試料のサイズ、貯留部の種類及びサイズ、試料の混合、特定の用途、本明細書では詳細に考察されない他の因子、又はこれらの組み合わせに少なくとも一部よって決まる。捕捉効率(濃縮剤と結合した試料中の微生物の比率)は、微生物を濃縮剤と長時間かけて接触させることによって一般的に高めることができる。捕捉効率は、濃縮剤の濃度を高くすることによって高めることもできる。高濃度の濃縮剤は、微生物が捕捉されるまでに移動する平均拡散距離を小さくすることから、インキュベーション時間が短縮される。したがって、一般論として、より多くの濃縮剤を加えるほど、同じ量の微生物を捕捉するために必要とされるインキュベーション時間は短くなる。
【0062】
一実施形態では、濃縮剤の適切な量は、微生物が濃縮剤に結合するのを待つのに要する時間(「捕捉時間」と呼ぶ)に応じて変わりうる。例えば、1分間の捕捉時間では、試料10mL当たり1000mgの濃縮剤が適切であり、10分間の捕捉時間では、試料10mL当たり100mgの濃縮剤が適切であり、60分間の捕捉時間では、試料10mL当たり10mgの濃縮剤が適当でありうる。一実施形態では、試料10mL当たり約1mg〜約100mgの濃縮剤を使用することができる。一実施形態では、試料10mL当たり約1mg〜約50mgの濃縮剤を使用することができる。一実施形態では、試料10mL当たり約10mg〜約25mgの濃縮剤を使用することができる。例えば、金属ケイ酸塩濃縮剤を使用する一実施形態では、試料10mL当たり約10mgの金属ケイ酸塩濃縮剤を使用することができる。例えば、金属ケイ酸塩濃縮剤を使用する一実施形態では、試料10mL当たり約25mgの金属ケイ酸塩濃縮剤を使用することができる。
【0063】
検出装置:
本開示は、試料中の微生物を検出するために使用することができる装置を提供する。装置は、少なくとも2個の貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングと、ハウジングの上側貯留部内に配置された必要に応じて用いられる細胞濃縮剤と、ハウジング内の少なくとも2個の貯留部を隔離するための手段と、ハウジングの上側貯留部から下側貯留部へと細胞濃縮剤を移動するための手段とを含みうる。特定の実施形態では、ハウジングは2個の貯留部を隔離するための手段(例えば、破断可能なシール)を含みうる。特定の実施形態では、ハウジングは、細胞濃縮剤をハウジングの上側貯留部から下側貯留部へと移動するための手段(例えば、弁)を含みうる。特定の実施形態では、装置は微生物を検出するための試薬を更に含みうる。特定の実施形態では、装置は細胞抽出剤を含むヒドロゲルを更に含みうる。細胞抽出剤は、微生物からの生物学的検体の検出を促進することができる。
【0064】
ここで図1Aを参照すると、本開示に基づく検出装置100の一実施形態の構成要素の断面図が示されている。検出装置の構成要素は、ハウジング110とプランジャ150とを含んでいる。ハウジング110は、下側部分114に隣接した上側部分112を含んでいる。上側部分112と下側部分114とは、型成形などの当該技術分野では周知の方法によって、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリマー材料から別々に形成することができる。各部分は、実質的に液密な結合を与えるように一体に圧入されるような寸法とするか、あるいは当該技術分野において知られる手段(例えば、接着剤、超音波溶接など)によって一体に結合することができる。また、ハウジングは、例えば、中空体を押し出し成形し、通路を型成形し、熱を用いたプロセスによってハウジングの底をシールするなど、当該技術分野において知られるプロセスによって単一のユニットとして形成することもできる。他の実施形態では、狭い通路を有する挿入部材を一体のハウジング内に配置することによって上側及び下側貯留部(それぞれ120及び124)を形成することができる。
【0065】
上側部分112の、下側部分114からみて遠位となる端部には、プランジャ150を受容するような寸法の開口部113が形成されている。上側部分112の反対側の端部には、ハウジング110の下側部分114内に開口する通路116が形成されている。図に示される実施形態では、上側貯留部120の断面積よりも小さい断面積を有する通路116が、上側部分112を形成する壁の内側の延長部として示されている。また、通路116は、上側部分112の壁の内側にハウジング110の下側部分114に隣接して嵌まる挿入要素によって形成されてもよい(図に示されていない)。挿入要素は、ハウジング110の下側部分114に隣接した通路116を形成することができる。図1Aの上側部分112、下側部分114、及び通路116の相対的比率はあくまで例示的なものであって、試料の体積及び/又は器具の制限条件などの異なるパラメータに対応するうえで必要に応じて適合させることができる。
【0066】
プランジャ150は、一端にハンドル152を、他端に複数のシール(第1の下側シール156及び第2の下側シール157)を有するシャフト151を含んでいる。必要に応じて、プランジャ150は1以上の上側シール154及び/又はインデックスマーク153を含んでもよい。ハンドル152、第1の下側シール156、及び第2の下側シール157間の相対的な距離については後述する。図1Aには更に、必要に応じて用いられる検出試薬165及び必要に応じて用いられるヒドロゲル162が示されている。
【0067】
「検出試薬」とは、本明細書ではその最も広い意味で使用される。検出試薬とは、生物学的検体を検出するために反応中で使用することのできる試薬である。検出反応の非限定的な例としては、結合相手間の相互作用(例えば、抗原−抗体、受容体−リガンド、プローブ−標的分子、及びハイブリダイゼーション結合相互作用など)、及び/又は酵素反応(例えば、蛍光発生反応、色素生成反応、光発生反応、又は重合反応などの酵素媒介反応)が挙げられる。検出試薬は検出反応に関与する(例えば、結合相手、酵素、酵素基質、又は指示薬として)ものでもよく、かつ/又は検出反応を促進する(例えば、緩衝剤、補因子、又は共役反応の成分として)ものでもよい。検出試薬の例としては、例えば、ルシフェラーゼ、アデニル酸キナーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、アピラーゼなどの酵素、例えば、ルシフェリン、リン酸メチルウンベリフェリル、o−ニトロフェニルリン酸、p−ニトロフェニルリン酸、及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−リン酸塩などの酵素基質、例えば、リン酸緩衝液、TRIS緩衝液、及びHEPES緩衝液などの緩衝液、並びに、FADH、NADH、補酵素Aなどの補因子が挙げられる。
【0068】
検出試薬は、様々な形態でハウジング110内に含まれうる。例えば、検出試薬165は、図1Aに示されるような乾燥した又は部分的に乾燥したコーティングからなるものでよい。検出試薬165に適した別の形態(図に示されていない)は当該技術分野では周知のものであり、例えば、液体試薬(必要に応じて、アンプルのような破断可能な区画内に入った)、粉末、ゲル、錠剤、凍結乾燥試薬、コーティングされたフィルム、ケーキ、及び、完全乾燥試薬(dried-down reagent)などが挙げられる。
【0069】
図1Bは、図1Aのプランジャ150を有するハウジング110を含む検出装置100の断面図を示す。この図は、装置100を使用前に保管することができるような形態を示している。プランジャ150は、ハウジング110内に完全に挿入されている。この位置では、ハンドル152の下縁部がハウジング110の上側部分112の開口部113を封鎖することによって、ハウジング110への物質の出入りが防止されている。必要に応じて用いられる上側シール154も、ハウジング110への物質の出入りを防止するうえで機能しうる。上側シール154はハウジング110の上側部分112の壁の内表面と接触するような寸法に構成され、バリア、好ましくは液密バリアを形成するのに適した材料(例えば、ポリプロピレン、ブチルゴムなど)で形成される。
【0070】
プランジャ150が図1Bに示される位置にある場合、第1の下側シール156が通路116を封鎖することにより、ハウジング110の上側貯留部120が下側貯留部124から隔離される。プランジャ150が図1Bに示される位置にある場合、プランジャ150の第2の下側シール157を含む部分が下側貯留部124内に延びており、この部分はハウジング110の下側部分114の壁と接触していない。第1の下側シール156及び第2の下側シール157は通路116の壁と接触するような寸法となっており、上側貯留部120と下側貯留部124との間において通路116内にバリア、好ましくは液密バリアを形成するのに適した材料(例えば、ポリプロピレン、ブチルゴムなど)で形成される。図1Bには更に、上側貯留部120内に配置された、必要に応じて用いられる濃縮剤130が示されている。
【0071】
図1Cは、プランジャ150が第2の位置にある図1Bの装置100の断面図を示す。このプランジャ150は、例えばハウジング110内に試料を装填するために使用することができる。プランジャ150は、ハンドル152を把持して、第2の下側シール157が通路116の上端に近くなる位置にまで引き出すことができる。必要に応じて用いられるプランジャシャフト151上のインデックスマーク153を用いて(例えば、インデックスマーク153が開口部113と整列した時点で)、この位置に達するためのプランジャ150の適切な位置を示すことができる。図1Cは更に、上側貯留部120内の濃縮剤130と接触している液体試料140を含んでいる。使用時には、装置100を例えばボルテックスにかける又は振動させることによって濃縮剤130と液体試料140とを混合することができる。所定の時間の後、濃縮剤130は図1Cに示されるように上側貯留部120の底に沈殿しうる。特定の実施形態では、必要に応じて用いられるテーパ領域118が通路116に隣接して配置される。テーパ領域118は、ハウジング110の上側部分112及び/又は通路116と同じ材料及び/又はプロセスによって形成することができる。使用時には、テーパ領域118は、ハウジング110の内部において通路116の方向に沈降する、液体に懸濁された粒子(例えば、細胞濃縮剤130)を通路116の方向に向かわせることができる。
【0072】
図1Dは、図1Bに示される第1の位置にプランジャ150が戻された、図1Cの装置100の断面図を示す。ハンドル152の下縁部は開口部113に近い位置にあり、液体試料の、濃縮剤130を含む部分142が下側貯留部124に移され、そこで部分142は検出試薬165(図1Aに示される)が存在する場合に試薬165と相互作用することができる。部分142と検出試薬165との間の相互作用の非限定的な例としては、検出試薬の溶解及び/又は懸濁、検出試薬と部分中に存在する生物学的検体との間の結合相互作用、及び/又は酵素反応が挙げられる。図1Dは更に、液体試料の部分142が下側貯留部124内のヒドロゲル162と接触している状態を示しており、これによりヒドロゲル162から細胞抽出剤が放出されうる。
【0073】
図1に示される実施形態では、下側貯留部124から上側貯留部120を隔離するための手段は、プランジャ150の第1の下側シール156及び/又は第2の下側シール157と通路116との組み合わせからなっている。図1に示される実施形態では、濃縮剤130を上側貯留部120から下側貯留部124に移動するための手段は、通路116、並びにプランジャ150の第1の下側シール156及び第2の下側シール157を含んでいる。
【0074】
図2Aは、本発明に基づく検出装置200の一実施形態の構成要素であるプランジャ250の断面図、及びハウジング210の部分分解断面図である。ハウジング210は、下側部分214に隣接した上側部分212を含んでいる。上側部分212及び下側部分214は上記に述べたように形成することができる。
【0075】
上側部分212の、下側部分214からみて遠位となる端部には、プランジャ250を受容するような寸法の開口部213が形成されている。上側部分212の反対側の端部には、上記に述べたような通路216が形成されている。必要に応じて用いられる上記に述べたようなテーパ領域218が、通路216に隣接して形成されている。破断可能なシール260a及び260bによって、ハウジングが上側貯留部220、下側貯留部224、及び第3の貯留部226に分割されている。破断可能なシール260a及び260bは耐水性材料(例えば、薄いポリマーフィルム、ポリマーコーティングされた紙、薄い箔など)で形成されることが好ましく、当該技術分野では周知の材料及び/又はプロセス(例えば、接着剤、熱シール、超音波接着)を用いて耐水性の破断可能なバリアを形成するようにハウジング210の壁に固定することができる。
【0076】
第3の貯留部226内には、細胞抽出剤を含むハイドロゲル262が配置されている。細胞抽出剤を含む好適なヒドロゲルについては、本明細書にその全容を援用する、発明の名称が「生体検出用物品」(BIODETECTION ARTICLES)である、2008年9月30日出願の米国特許出願第61/101,546号に述べられている。
【0077】
図2Aの3個の貯留部の相対的比率はあくまで例示的なものであって、試料の体積及び/又は器具の制限条件などの異なるパラメータに対応するうえで必要に応じて適合させることができる。図2Aには更に、必要に応じて用いられる濃縮剤230、本明細書で述べるような必要に応じて用いられる検出試薬265、及び必要に応じて用いられる着脱式キャップ278が示されている。キャップ278は、当該技術分野では周知のプロセス(例えば、型成形)を用いてポリマー材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)から形成することができ、ハウジング210の液密カバーを形成するような寸法とすることができる。
【0078】
プランジャ250は、一方の端部にハンドル252を、反対側の端部に下側シール256及び穿孔端259を有するシャフト251を含んでいる。好ましくは、下側シール256は通路216の壁と接触するような寸法となっており、通路216内にバリア、好ましくは液密バリアを形成するのに適した材料(例えば、ポリプロピレン、ブチルゴムなど)で形成される。必要に応じて、プランジャ250は上記に述べたような1以上の上側シール254を含んでよい。ハンドル252、下側シール256、及び穿孔端259間の相対距離については後述する。
【0079】
図2Bは、図2Aの装置200の断面図を示す。この図では、ハウジング210は上側貯留部220内に液体試料240を更に含んでいる。キャップ278はハウジング210上にしっかりと着座しているため、ハウジング210をボルテックス、振動、振盪、又は反転するなど、当該技術分野では周知のプロセスによって液体試料240を細胞濃縮剤230と混合することができる。混合の後、細胞濃縮剤230を通路216内の破断可能なシール260a上に沈殿させることができる。
【0080】
図2Cは、プランジャ250が部分的に挿入された図2Bのハウジング210を含む装置200の断面図を示す。この位置では、プランジャ250の下側シール256が通路216の壁と接触することにより、通路216内において少なくとも部分242を液体試料240の残りの部分から隔離している。通路216内には細胞濃縮剤230が更に隔離されている。
【0081】
図2Dは、プランジャ250が完全に挿入された図2Cの装置200の断面図を示す。プランジャ250の下側シール256が通路216の壁に接触し、穿孔端259が破断可能なシール260a及び260bに穿孔していることにより、液体試料の部分242、細胞濃縮剤230、及びヒドロゲル262が下側貯留部224内に移され、そこで必要に応じて用いられる検出試薬265(図2Aに示される)が存在する場合に部分242が検出試薬265と相互作用することができる。部分242と検出試薬265との間の相互作用の非限定的な例としては、検出試薬の溶解及び/又は懸濁、検出試薬と部分中に存在する生物学的検体との間の結合相互作用、及び/又は酵素反応が挙げられる。
【0082】
図2に示される実施形態では、下側貯留部224から上側貯留部220を隔離するための手段には、破断可能なシート260a及び260bが含まれる。下側貯留部224から上側貯留部220を隔離するための手段には、プランジャ250の下側シール256と通路216との組み合わせが更に含まれる。図2に示される実施形態では、上側貯留部220から下側貯留部224に細胞濃縮剤230を移動させるための手段には、プランジャ250の穿孔端259及び下側シール256、並びに通路216が含まれる。
【0083】
図3Aは、本開示に基づく検出装置300の一実施形態の正面図を示す。装置300は、ハウジング310及び必要に応じて用いられるキャップ378を含んでいる。ハウジング310は、上記に述べたように上側部分312、通路316、及び下側部分314を有するように構成することができる。必要に応じて用いられるキャップ378は、上記に述べたように構成することができる。装置300は、図3Aの第1の位置に示される弁アクチュエータ372を有する行き止まり弁370を更に含んでいる。図3Bは、図3Aの装置300及び弁アクチュエータ372の側面図である。
【0084】
図3Cは、図3Aに示される装置300の断面図を示す。装置300は、キャップ378及びハウジング310を含んでいる。ハウジング310は、上側部分312及び下側部分314を含んでいる。上側部分312は、内部に行き止まり弁370が配置された通路316を含んでいる。行き止まり弁370は、弁がこの第1の位置にある場合に上側貯留部320と流体連通する弁キャビティ374を含んでいる。弁キャビティ374は、上側貯留部320内の液体試料340と接触する、必要に応じて用いられる細胞濃縮剤330を含んでいる。下側貯留部324には、いずれも本明細書で述べるような、必要に応じて用いられるヒドロゲル362及び/又は必要に応じて用いられる検出試薬365が入っている。図3Cには更に、本明細書で述べるような必要に応じて用いられるテーパ領域318が示されている。
【0085】
図3Dは、弁370が第2の位置にある図3Cの装置300の断面図が示されている。弁370が第2の位置にある場合、液体試料の、細胞濃縮剤330を含む部分342は隔離されて下側貯留部324に移され、そこで部分342は、本明細書で述べるようなヒドロゲル362が存在する場合にはヒドロゲル362と接触し、検出試薬365が存在する場合には検出試薬365と相互作用することができる。
【0086】
弁キャビティ374の寸法が既知の所定用量を与え、そのため弁370を1回以上使用して所定量の液体試料340を上側貯留部320から下側貯留部324に移すことが可能である点は認識される。更に、液体試料の部分342が上側貯留部320から下側貯留部324に移された後、上側貯留部320内の液体試料340の残部を捨て、異なる物質(例えば、希釈剤、緩衝剤、液体及び/又は粉末試薬)を上側貯留部320内に入れ、その後弁370を使用して所定量を下側貯留部324に移すことが可能である点も認識される(図には示されていない)。
【0087】
図3に示される実施形態では、ハウジングの上側貯留部320と下側貯留部324とを隔離するための手段には弁370が含まれる。図3に示される実施形態では、上側貯留部320から下側貯留部324に細胞濃縮剤330を移動するための手段には、通路316及び弁370が含まれる。
【0088】
図4Aは、いずれも本開示に基づく検出装置400の構成要素である、プランジャ450の側面図及びハウジング410の断面図を示す。プランジャは、シャフト451、必要に応じて用いられるOリング455、及び穿孔端459を含んでいる。Oリングは、ハウジング410との液密なシールを与えるように柔軟性のある材料(例えば、ブチルゴム)で形成することができる。ハウジング410は、上記に述べたように上側部分412及び下側部分414を有するように構成することができる。必要に応じて用いられるキャップ478は、上記に述べたように構成することができる。破断可能なシール460が、ハウジング410を3個の貯留部(上側貯留部420、下側貯留部424、及び第3の貯留部426)に分割している。この図では、破断可能なシール460は上側貯留部420の下側貯留部424に近い方の端部に配置されている。破断可能なシール460間の空間によって第3の貯留部426が画定されている。第3の貯留部426内には、細胞抽出剤を含むハイドロゲル462が配置されている。別の構成(図に示されていない)では、下側貯留部424の近くに1個のみの破断可能なシール460を有し、図3Cに示されるようにヒドロゲル462が下側貯留部424内に配置されていてもよい。
【0089】
上側貯留部420内の破断可能なシール460の近くには、閉位置で示されている弁ゲート482を有するドレーン弁480が配置されている。上側貯留部420内には、液体試料440及び必要に応じて用いられる細胞濃縮剤430が更に配置されている。必要に応じて用いられる検出試薬465が下側貯留部424内に示されている。
【0090】
図4Bは、図4Aのハウジング410及びプランジャ450を含む組み立てられた状態の検出装置400の断面図を示す。細胞濃縮剤430は上側貯留部420の底に沈殿している。ドレーン弁480の弁ゲート482は開位置にあり、矢印によって示される方向に力が作用する(例えば、指又は手からの圧力によって)と、清澄化した液体試料445がドレーン弁480から排出される。図4Bには更に、下側貯留部424の壁にコーティングされた検出試薬465が示されている。
【0091】
図4Cは、図4Bの検出装置400の断面図を示す。この図では、プランジャ450のOリング455及び穿孔端459が、ドレーン弁480の、最も近くの破断可能なシール460に近い方の側でハウジング410内に挿入されている。この位置では、プランジャ450によって、液体試料の細胞濃縮剤430を含む部分442がプランジャ450と最も近くの破断可能なシール460との間に閉じ込められる。
【0092】
図4Dは、図4Cの検出装置400の断面図を示す。この図では、プランジャ450の穿孔端459が破断可能なシール460の両方を貫通しており、液体試料の部分442が下側貯留部424へと移動しており、下側貯留部424において部分442が検出試薬(図4Cに示される)を溶解し、細胞抽出剤を含むヒドロゲル462と接触している。
【0093】
図5Aは、いずれも検出装置500の構成要素であるプランジャ550及びハウジング510の断面図を示す。プランジャ550は、必要に応じて用いられるハンドル552及び先端部590を備えるシャフト551を含んでいる。任意の実施形態において、ハンドル552は必要に応じて用いられるOリング555を更に含んでもよい。
【0094】
ハウジング510は、上記に述べたように上側部分512及び下側部分514を有するように構成することができる。破断可能なシール560a及び560bが、ハウジング510を3個の貯留部(上側貯留部520、下側貯留部524、及び第3の貯留部526)に分割している。この図では、破断可能なシール560a及び560bは上側貯留部520の、下側貯留部524に近い方の端部に配置されている。破断可能なシール560aと560bとの間の空間によって、第3の貯留部526が画定されている。第3の貯留部526内には、本明細書で述べるような細胞抽出剤を含むヒドロゲル562が配置されている。図に示される実施形態では、下側貯留部524は必要に応じて用いられる検出試薬565を含んでいる。別の構成(図に示されていない)では、下側貯留部の近くに1個のみの破断可能なシールを有し、図3Cに示されるようにヒドロゲルが下側貯留部内に配置されてもよい。
【0095】
ハンドル552は、例えば、プラスチック、木材、金属、及びこれらの組み合わせなどの各種の材料から、当該技術分野では周知のプロセスを用いて作製することができる。必要に応じて用いられるOリング555は、ハンドル552の切り欠き554内に配置されている。ハンドル552は、プランジャ550がハウジング510に完全に挿入される際に、ハンドル552の少なくとも一部がハウジング510に挿入されうるような形状及び寸法とすることができる。一実施形態では、ハンドル552は、ハウジング510の開口部と係合して、ハンドル552がハウジング510に完全に挿入されることを防止するリム554を更に含む。
【0096】
プランジャ550のシャフト551は、例えば、プラスチック、木材、金属、及びこれらの組み合わせなどの各種の材料で形成することができる。シャフト551の一端は、例えば、凹部(図5に示される)に圧入することにより、超音波溶接により、又は接着剤を使用することによりハンドル552に対して結合される。シャフト551の他端は、例えば、圧入により、超音波溶接により、又は接着剤を使用することにより先端部590に対して結合される。
【0097】
プランジャ550の先端部590の細部が図6A及び6Bに示されている。
【0098】
図6Aは、部分的に断面にて示された図5Aの先端部590の部分分解側面図を示す。先端部690は、本体691、一方向弁697、及びフィルター696を含んでいる。
【0099】
本体691は、第1の端部691a、第2の端部691b、及び第1の端部691aから第2の端部691bへと本体691を通じて延びる導管692を含んでいる。第1の端部691aにおいて、導管692はプランジャのシャフト651によってシールされている。第2の端部691bにおいて、導管692は陥凹した開口部694内に開口する。2本のドレーン通路695が、本体691の第1の端部691aから導管692へと延びている。したがって、各ドレーン通路は導管692及び陥凹開口部694に流体接続されている。一実施形態(図に示されていない)では、先端部690は1本のみのドレーン通路695を含んでもよい。複数のドレーン通路695によれば背圧が低くなりうるために、先端部690を通じた流体の輸送速度が大きくなり有利である。
【0100】
本体691は、例えば、型成形することなどによりプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなど)から作製することができる。本体691は、ハウジング(例えば、図5Aのハウジング510)内に嵌合するような形状及び寸法に構成される。任意の実施形態において、本体691又はOリング686は、本体691がハウジングに挿入される際に、ハウジングの壁と実質的に液密なシールを形成することができる。Oリング686を含む任意の実施形態では、Oリング686は液密なシールを形成することと、Oリング686がハウジングの壁に対して動かされる際に、ハウジングの壁から粒子状物質(例えば、細胞濃縮剤)を拭い取ることとの両方の機能を有しうる。シャフト651は、当該技術分野では周知の手段によって(例えば、接着剤、圧入などにより)導管692と連結することができる。必要に応じて用いられるOリング686は、本体691の切り欠き689内に配置される。
【0101】
先端部690はフィルター696を更に含んでいる。フィルター696は、本体691に対して結合されている。図に示される実施形態では、フィルター696は、陥凹開口部694に圧入及び/又は接着剤により結合することが可能な多孔質材料で形成されている。特定の実施形態では、多孔質材料は半剛性の多孔質材料(例えば、ポレックス社(Porex Corporation)(ジョージア州フェアバーン)により部品番号X6854として販売されるPOREX濾過媒質)であってよい。フィルター696は、比較的角張った、あるいは尖った端部を有するように構成することにより、端部が破断可能なシールを容易に貫通することができる。代替的な実施形態(図に示されていない)では、フィルターは、本体に対して結合された膜フィルターからなるものでよい。膜フィルターは本体と結合されると、導管及びドレーン通路を含む流体経路の一部を形成する。
【0102】
特定の実施形態では、フィルター696の多孔度は、フィルター696が比較的大きな粒子(例えば、>1μm、>5μm、又は>10μm)の通過のみを防止するように選択することができる。比較的大きな粒子には、例えば、本明細書で述べるような細胞濃縮剤が含まれる。これらの実施形態では、細菌、酵母、及び/又は真菌類(カビ)の糸状体などの微生物はフィルター696を通過することができる。
【0103】
特定の実施形態では、フィルター696の多孔度は、フィルター696が比較的小さな粒子(例えば、<1μm、<0.45μm、又は<0.2μm)の通過のみを防止するように選択することができる。これらの実施形態では、細菌、酵母、及び/又は真菌類(カビ)の糸状体などの微生物はフィルター696によって保持されうる。
【0104】
先端部690は、陥凹開口部694内においてフィルター696と導管692との間に配置される一方向弁697を更に含む。必要に応じて用いられる、一方向弁697を定位置に保持する機能を有する保持ワッシャ698も更に示されている。一方向弁697はプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなど)又はゴムで形成することができ、例えば、ダックビル弁として構成することができる。使用時には、一方向弁697は、フィルター696を通過した液体の流れがフィルター696を通じて逆方向に戻ることを実質的に防止する。
【0105】
図6Bは、組み立てられた状態の図6Aの先端部690の、部分的に断面にて示された側面図を示す。一方向弁697、必要に応じて用いられる保持ワッシャ698、及びフィルター696が陥凹した開口部内に配置され、導管692及びドレーン通路695と流体接続している。シャフト651は、先端部690の本体691に対して結合されている。
【0106】
図5Aを再び参照すると、ハウジング510及びプランジャ550を含む検出装置500は、微生物、特に生きた微生物を検出するための方法において使用される。
【0107】
使用時には、液体試料はハウジング510の上側貯留部520内に移され、そこで細胞濃縮剤530と接触させられる。液体試料540がハウジング510に加えられた後、プランジャ550の先端部がハウジング510に挿入され、図5Bに示されるようにハウジング510の下側貯留部524の方向に押される(例えば、手動により、又は機械的に)。プランジャ550の先端部591が液体試料540と接触すると、図5Bに示されるように液体は先端部590を通過してハウジング510内に戻る。このプロセスでは、細胞濃縮剤530、及び特定の実施形態では遊離微生物が、液体試料の第3の貯留部526に近い部分542内に保持される。
【0108】
プランジャ550の先端部590が図に示されていない破断可能なシール560aを貫通すると、液体試料の細胞濃縮剤530を含む部分542がヒドロゲル562と接触する。プランジャ550が更に動く(図5Dに示されるように)と破断可能なシール560bを貫通し、これにより液体試料の部分542及びヒドロゲル562が下側貯留部524に移動し、そこで検出試薬565と接触する。
【0109】
図7Aは、本開示に基づく検出装置700の別の実施形態の側断面図を示す。検出装置700はプランジャ750及びハウジング610を含んでいる。
【0110】
ハウジング710は、上記に述べたようにして上側部分712及び下側部分714を有するように構成することができる。破断可能なシール760a及び760bが、ハウジング710を3個の貯留部(上側貯留部720、下側貯留部724、及び第3の貯留部726)に分割している。この図では、破断可能なシール760a及び760bは、上側貯留部720の下側貯留部724に近い方の端部に配置されている。破断可能なシール760aと760bとの間の空間によって第3の貯留部726が画定されている。第3の貯留部726内には、細胞抽出剤を含むヒドロゲル762が配置されている。図に示される実施形態では、下側貯留部724は必要に応じて用いられる検出試薬765を含んでいる。別の構成(図に示されていない)では、下側貯留部724の近くに1個のみの破断可能なシール760を有し、図3Cに示されるようにヒドロゲル762が下側貯留部724内に配置されてもよい。
【0111】
プランジャ750は、ハンドル752及び先端部790に連結されたシャフト751を含んでいる。この実施形態では、シャフト751は中空であり、ハンドルはシャフト751の内部と外部との間で圧力を等しくするための通気口748を含んでいる。プランジャは、必要に応じて用いられるドレーン管753を更に含んでいる。ドレーン管753は先端部790から液体濾液を受けて、この濾液をシャフト751の内部に分配する。ドレーン管753は更に、オーバーフロー弁として機能することによって逆方向に先端部790を通じて逆流する濾液の量を低減させる。
【0112】
プランジャ750の先端部790の細部が図8に示されている。
【0113】
図8Aは、部分的に断面にて示された図7Aの先端部790の部分分解側面図を示す。先端部890は、本体891、必要に応じて用いられる一方向弁897、及びフィルター896を含んでいる。図8Aには更には、プランジャ850の、中空シャフト851及びドレーン管853を含む部分も示されている。
【0114】
本体891は、第1の端部891a、第2の端部891b、及び第1の端部891aから第2の端部891bへと本体891を通じて延びる導管892を含んでいる。第1の端部891aにおいて、導管892はプランジャのドレーン管853と連結されている(例えば、圧入、及び接着剤、又はネジによる連結により)。第2の端部891bにおいて、導管892は陥凹した開口部894内に開口している。したがって、陥凹開口部894は導管892及びドレーン管853と流体連結されている。
【0115】
本体891は、例えば、型成形することなどによりプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなど)から作製することができる。本体891は、ハウジング(例えば、図7Aのハウジング710)内に嵌合するような形状及び寸法に構成される。任意の実施形態において、本体891又はOリング886は、本体891がハウジングに挿入される際に、ハウジングの壁と実質的に液密なシールを形成することができる。Oリング886を含む任意の実施形態では、Oリング886は液密なシールを形成することと、Oリング886がハウジングの壁に対して動かされる際に、ハウジングの壁から粒子状物質(例えば、細胞濃縮剤)を拭い取ることとの両方の機能を有しうる。シャフト851は、当該技術分野では周知の手段によって(例えば、接着剤、圧入などにより)導管892と連結することができる。必要に応じて用いられるOリング886は、本体891の切り欠き889内に配置される。
【0116】
先端部890はフィルター896を更に含んでいる。フィルター896は、陥凹開口部894において本体891に対して結合されている。図に示される実施形態では、フィルター896は、陥凹開口部894に圧入及び/又は接着剤により結合することが可能な多孔質材料で形成されている。特定の実施形態では、多孔質材料は半剛性の多孔質材料(例えば、ポレックス社(Porex Corporation)(ジョージア州フェアバーン)により部品番号X6854として販売されるPOREX濾過媒質)であってよい。フィルター896は、比較的角張った、あるいは尖った端部を有するように構成することにより、端部が破断可能なシールを容易に貫通することができる。代替的な実施形態(図に示されていない)では、フィルターは、本体に対して結合された膜フィルターからなるものでよい。膜フィルターは本体と結合されると、導管及びドレーン通路を含む流体経路の一部を形成する。
【0117】
特定の実施形態では、フィルター896の多孔度は、フィルター896が比較的大きな粒子(例えば、>1μm,>5μm、又は>10μm)の通過のみを防止するように選択することができる。比較的大きな粒子には、例えば、本明細書で述べるような細胞濃縮剤が含まれる。これらの実施形態では、細菌、酵母、及び/又は真菌類(カビ)の糸状体などの微生物はフィルター896を通過することができる。
【0118】
特定の実施形態では、フィルター896の多孔度は、フィルター896が比較的小さな粒子(例えば、<1μm、<0.45μm、又は<0.2μm)の通過のみを防止するように選択することができる。これらの実施形態では、細菌、酵母、及び/又は真菌類(カビ)の糸状体などの微生物はフィルター896によって保持されうる。
【0119】
先端部890は、陥凹開口部894内においてフィルター896と導管892との間に配置される、必要に応じて用いられる一方向弁897を更に含みうる。必要に応じて用いられる、一方向弁897を定位置に保持する機能を有する保持ワッシャ898も示されている。一方向弁897は、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなど)又はゴムで形成することができ、例えば、ダックビル弁として構成することができる。使用時には、一方向弁897は、フィルター896を通過した液体の流れがフィルター896を通じて逆方向に戻ることを実質的に防止する。
【0120】
図8Bは、組み立てられた状態の図7Aの先端部790の、部分的に断面にて示された側面図を示す。一方向弁897、必要に応じて用いられる保持ワッシャ898、及びフィルター896が陥凹した開口部内に配置され、導管892及びドレーン管853と流体接続している。シャフト851は、先端部890の本体891に対して結合されている。
【0121】
図7Aを再び参照すると、ハウジング710及びプランジャ750を含む検出装置700は、微生物、特に生きた微生物を検出するための方法において使用される。
【0122】
使用時には、液体試料はハウジング710の上側貯留部720内に移され、そこで細胞濃縮剤730と接触させられる。液体試料740がハウジング710に加えられた後、プランジャ750の先端部790がハウジング710に挿入され、図7Bに示されるようにハウジング710の下側貯留部724の方向に押される(例えば、手動により、又は機械的に)。プランジャ750の先端部791が液体試料740と接触すると、図7Bに示されるように液体は先端部790を通過して、ドレーン管753を通過して、プランジャ750の中空シャフト内に戻る。このプロセスでは、細胞濃縮剤730、及び特定の実施形態では、遊離微生物が、液体試料の第3の貯留部726に近い部分742内に保持される。
【0123】
プランジャ750の先端部790が図に示されていない破断可能なシール760aを貫通すると、液体試料の細胞濃縮剤730を含む部分742がヒドロゲル762と接触する。プランジャ750が更に動く(図7Dに示されるように)と破断可能なシール760bを貫通し、これにより液体試料の部分742及びヒドロゲル762が下側貯留部724に移動し、そこで検出試薬765と接触する。
【0124】
本開示の装置は、ハウジング内に破断可能なシールを含んでいる。破断可能なシールが穿孔されることによって、装置の1つの区画から別の区画へと細胞濃縮剤が輸送される。特定の実施形態では、このプロセスで移動させられる細胞濃縮剤の量を、破断可能なシールの比較的面積に細胞濃縮剤を集めることによって大きくすることができる。図9は、細胞濃縮剤の回収率を高めるための回収要素967の一実施形態を示す。回収要素967は、本開示に基づく検出装置のハウジング内に嵌合するような寸法に構成されている。回収要素967は、細胞濃縮剤(図に示されていない)を含む試料の方向に向けられる面取りされた縁部968を含んでいる。通常、面取りされた縁部968は、重力によって沈降する粒子を回収するように上側を向いている。また、面取りされた縁部968を、例えば遠心力又は流体力の方向に向けることによって、重力以外の力が作用する粒子を回収することもできる。回収要素967は、必要に応じて用いられる破断可能なシール969を更に含む。
【0125】
回収要素967は、例えば、ポリマー(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、並びにこれらの組み合わせ及び誘導体)、ガラス、及び金属などの各種の材料で形成することができる。回収要素967は、その表面に対する粒子の接着を阻止するための潤滑性コーティングを更に含んでもよい。面取りされた縁部968は、その斜面に沿った粒子の運動を促進するために角度(例えば、45°の角度、45°よりも大きな角度)が付けられていてもよい。破断可能なシール969は本明細書に述べられるようにして作製し、本明細書に述べられるような手段によって回収要素967に結合することができる。
【0126】
図10Aは、回収要素1067を含む検出装置1000の一実施形態を示す。装置1000は、ハウジング1010及びプランジャ1050を含んでいる。ハウジング1010は、上側部分1012及び下側部分1014を含んでいる。上側部分1012の内部かつ下側部分1014の近くに、破断可能なシール1069が結合された回収要素1067が配置されている。破断可能なシール1069は、回収要素1067の下側部分1014に面した側面に結合されている。したがって破断可能なシール1069は、ハウジング1010を上側貯留部1020及び下側貯留部1024の2個の隔離された貯留部に分割する。
【0127】
プランジャ1050は、ハンドル1052、シャフト1051、及び先端部1090を含む。ハンドル1052は上記に述べたように形成することができ、プランジャ1050がハンドル1010内に過度に深く挿入されることを防止するための、ハウジング1010と係合する、必要に応じて用いられるリム1054を含んでよい。ハンドル1052は、ネジ嵌め又は他の連結手段(例えば、圧入、接着剤)によってシャフト1051に対して連結することができる。先端部1090は、本明細書で述べる他の先端部の実施形態について述べられるプロセス及び材料を用いて作製することができる。先端部1090は1以上のガイド1083を含んでもよい。各ガイドはハウジング1010の内部にゆるく嵌まるような寸法に構成され、先端部1090がハウジング1010を通じて長手方向に動く際に、先端部1090の横方向の運動を低減させる機能を有する。
【0128】
先端部1090は、先端部1090上の固定位置に保持されたスクレーパー1086を更に含んでいる。図の実施形態では、スクレーパー1086は保持部材1087によって固定位置に保持されている。保持部材1087は先端部1090の一部として成形又は機械加工するか、あるいは先端部1090に結合されたブラケット又は複数のブラケットからなるものでよい。また、スクレーパー1086を先端部1090に直接結合する(例えば、接着剤により結合する)こともできる。
【0129】
スクレーパー1086はディスク形状をしており、ハウジング1010の内部に比較的緊密な嵌合を形成するような寸法となっている。特定の実施形態では、スクレーパーはOリングを含みうる。スクレーパー1086は、水性の液体に浸漬される際に、その形状をほぼ維持する必要がある。スクレーパーはハウジングの内部に比較的緊密な嵌合を形成するような寸法でなければならないが、スクレーパーは、プランジャがハウジング1010内の液体試料を通じて押されるに従って液体がその縁部を回り込んで流れることができるように比較的可撓性のものでなければならない。スクレーパー1086を作製するのに適した材料としては、例えば、ポリウレタンゴムが挙げられる。
【0130】
使用時には、図10Bに示されるように液体試料1040と細胞濃縮剤1030とは、装置のハウジング1010内で接触させられる。プランジャ1050がハウジング1010内に挿入され、プランジャ1050の先端部1090がハウジング1010の底の方向に押される。先端部1090が液体試料1040を通過するに従って、スクレーパー1086によって細胞濃縮剤1030がハウジング1010の底の方向に押されるのと同時に、液体試料1040がスクレーパー1086の縁部を回り込んで流れる。有利な点として、この装置によって使用者は、細胞濃縮剤1030が重力によってハウジング1010の底へと沈降させられる場合に、可能であるよりも大幅に短い時間で細胞濃縮剤1030を回収かつ濃縮することができる。更に、可撓性のスクレーパーによって、スクレーパーがなければハウジングの壁に接着しうる細胞濃縮剤1030の部分の回収が容易となる。したがって、本発明の装置1000は細胞濃縮剤の回収率を高め、これにより微生物を濃縮するために細胞濃縮剤を使用する方法の感度を高めるものである。
【0131】
細胞濃縮剤が強磁性材料(例えば、粒子)を含む試料調製及び検出装置では、磁石又は電磁石を装置の近傍に配置することによって粒子(及び粒子に結合した微生物)を、粒子を回収し、かつ/又は粒子を別の貯留部に移すための所望の位置に引き寄せることができる点は認識されるはずである。特定の実施形態では、細胞濃縮剤が液体試料中の微生物のほぼすべてを結合するだけの充分な時間の後に、磁石を装置の近傍(例えば、装置の底の近傍)に配置することができる。
【0132】
生きた細胞からの生物学的検体の検出方法:
本開示の方法には、有効量の細胞抽出剤への曝露後に、例えば生きた微生物などの、生きた細胞から放出される生物学的検体を検出するための方法が含まれる。
【0133】
本開示の方法には、生きた細胞を含むことが疑われる試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物を形成することが含まれる。本開示の方法は、生物学的検体を検出する工程を更に含む。生物学的検体を検出する工程は、試料中の生物学的検体の量を定量することを更に含みうる。
【0134】
一態様では、本開示は試料中の細胞を検出する方法を提供する。本方法は、細胞濃縮剤、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、及び細胞を含むことが疑われる液体試料を提供する工程を含む。好適な細胞濃縮剤が、本明細書にその全容を援用する、2007年10月3日出願の発明の名称が「微生物の濃縮プロセス」(MICROORGANISM CONCENTRATION PROCESS)である米国特許出願第60/977,180号に述べられている。
【0135】
本方法は、液体試料を細胞濃縮剤と所定の時間にわたって接触させる工程を更に含む。細胞濃縮剤は、粒子、繊維、粒子を含むマトリクス(例えば、繊維状マトリクス)、又は上記の2以上のものの任意の組み合わせを含みうる。細胞濃縮剤は、接触時間の間に液体試料に懸濁することができる。懸濁液は試験管、試験管、フラスコ、ビーカー又は本明細書で述べる検出装置のいずれかのような容器に入れることができる。特定の好ましい実施形態では、液体試料は、例えば、懸濁液を攪拌、ボルテックス、又は振動することによって、所定の時間にわたって細胞濃縮剤と混合される。細胞濃縮剤が液体試料と接触させられている間に、液体試料からの細胞が細胞濃縮剤と結合する。
【0136】
本方法は、液体試料の少なくとも一部から細胞濃縮剤を分離する工程を更に含む。このプロセスにおいて、細胞濃縮剤を最初の液体試料よりも小さな体積に濃縮することができる。細胞濃縮剤は、様々な手段によって液体試料の少なくとも一部から分離することができる。例えば、細胞濃縮剤が液体試料よりも大きな比重を有する場合、細胞濃縮剤は懸濁液の底に沈降しうる。液体試料の少なくとも一部を除去する(例えば、ピペッティング又はデカンテーションにより)ことができる。これに代えるか又はこれに加えて、液体試料の少なくとも一部を遠心分離又は濾過によって除去することもできる。
【0137】
フィルターはその孔径によって(例えば、その泡立ち点の孔径によって)定義することができる。フィルターの泡立ち点の孔径は、一般的にフィルターの孔の最大径の平均である。特定の実施形態では、フィルターは細胞濃縮剤の平均径よりも小さい平均孔径を有しうる。これらの比較的大きな孔径を有するフィルターを利用することができるために、本明細書で開示される方法は、水試料などの試料から微生物を分離するための他の方法と比較した場合に大きな利点を有する。
【0138】
一実施形態では、フィルターは少なくとも約1マイクロメートル(μm)以上の平均孔径を有しうる。一実施形態では、フィルターは少なくとも約1.5μm以上の平均孔径を有しうる。一実施形態では、フィルターは少なくとも約5μm以上の平均孔径を有しうる。一実施形態では、フィルターは少なくとも約10μm以上の平均孔径を有しうる。より大きな孔径のフィルターを利用すると、孔径が大きくなるにつれて背圧が低くなるために、試料はより容易かつ迅速に濾過される。
【0139】
試料の濾過は公知の方法によって行うことができる。一実施形態では、選択される濾過方法は、その方法の特定の用途の少なくとも一部によって決定されうる。例えば、試料は、重力によって陽圧を作用させることにより、負の真空を用いて濾過することができる。試料を濾過するために使用される特定の方法は、本方法を実行するために利用される装置の種類の少なくとも一部によって決定されうる。例えば、負の真空を利用するためには、装置を真空源に取り付ける、あるいは逆向きに取り付けることができるポートを有するように構成することが可能であり、陽圧を作用させるためには、使用者が手で力を加えることによって陽圧を作用させることができるように装置を構成することが可能である。一実施形態では、試料は陽圧を作用させることによって濾過することができる。陽圧を利用した(又は重力を利用した)濾過によれば、真空ポンプなどの更なる機器を一切使用することなく、現場で本方法を容易に行うことができるという利点が与えられる。
【0140】
特定の実施形態では、遠心分離工程において、細胞濃縮剤は液体から分離する(例えば、沈降によって)が、細胞濃縮剤に結合していない微生物(例えば、細菌、酵母カビ、胞子)は液体中に浮遊したままとなるような比較的低速の遠心分離を使用することができる。
【0141】
必要に応じて、細胞濃縮剤を洗浄液(例えば、水又は緩衝溶液)に再懸濁し、洗浄液の少なくとも一部から細胞濃縮剤を分離することができる。洗浄工程は、増殖及び/又は検出プロセスを妨害しうる夾雑物を液体試料から除去する機能を有しうる点は認識されるであろう。
【0142】
本方法は、分離された細胞濃縮剤及びヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程を更に含み、この工程においてヒドロゲルから細胞抽出剤が放出される。特定の実施形態では、細胞濃縮剤が液体試料の少なくとも一部から分離される際に、細胞濃縮剤が液体の残部に残る。必要に応じて更なる液体(例えば、水又は緩衝溶液)を細胞濃縮剤に加えることができる。細胞濃縮剤が液体試料から濾過される実施形態では、細胞濃縮剤を所定の体積の液体(例えば、水又は緩衝溶液)に再懸濁することができる。細胞濃縮剤を含む液体懸濁液をヒドロゲルと接触させることにより、細胞抽出剤を液体混合物中に放出させる。細胞濃縮剤を回収するためにフィルターを使用する方法では、細胞濃縮剤を含む液体懸濁液がフィルターを含んでもよい。混合物中に細胞が存在する場合に、細胞から生物学的検体を放出させるうえで有効量の細胞抽出剤をヒドロゲルから放出させることができる。有効量の細胞抽出剤の放出は、所定の時間にわたって起こりうる(例えば、最大で数秒間、最大で数分間、最大で数時間、又はそれよりも長時間)。
【0143】
本方法は、検体を検出する工程を更に含む。生物学的検体の検出では、検出システムを使用することができる。ヌクレオチド(例えば、ATP、NADH、NAD)、ポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)又は酵素(例えば、NADHデヒドロゲナーゼ、又はアデニル酸キナーゼ)などの特定の生物学的検体の検出システムは当該技術分野では周知のものであり、本開示に従って使用することができる。本開示の方法には、生物学的検体を検出するための公知の検出システムが含まれる。この検出システムの精度及び感度は、細胞抽出剤によって大きく低減されないことが好ましい。検出システムは均一アッセイを含むことがより好ましい。
【0144】
特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は、容器(例えば、試験管、多穴プレート、及び本明細書で述べる検出装置)中の検体を直接検出することを含んでよく、この工程では試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成される。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程は、液体混合物の少なくとも一部を、試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成される容器以外の容器に移すことを含んでよい。特定の実施形態では、生物学的検体を検出する工程には、例えばpH調整、希釈、濾過、遠心分離、抽出などの1以上の試料調製プロセスが含まれうる。
【0145】
特定の実施形態では、検出システムは検出試薬を含む。検出試薬としては、例えば、色素、酵素、酵素基質、結合相手(例えば、抗体、モノクローナル抗体、レクチン、受容体など)、標識された結合相手、及び/又は、補因子が挙げられる。特定の実施形態では、検出試薬は、2008年9月30日出願の発明の名称が「生体検出物品」(BIODETECTION ARTICLES)である米国特許出願第61/101,546号に述べられるような酵素又は酵素基質を含むヒドロゲルなどのヒドロゲルを含む。特定の実施形態では、検出システムは器具を含む。検出器具の非限定的な例としては、分光光度計、ルミノメーター、プレートリーダー、サーモサイクラー、インキュベーターが挙げられる。
【0146】
検出システムは検出器具を含んでよい。検出器具は当該技術分野では周知のものであり、比色測定法(すなわち、光の吸光度及び/又は散乱により)、蛍光測定法、又は光量測定法によって生物学的検体を検出するために使用することができる。発光による生体分子検出の例は、F.Gorus及び、E.Schram(Applications of bio−and chemiluminescence in the clinical laboratory、1979、Clin.Chem.25:512〜519)に述べられている。
【0147】
生物学的検体の検出システムの一例としては、ATP検出システムがある。ATP検出システムは、酵素(例えば、ルシフェラーゼ)及び酵素基質(例えば、ルシフェリン)を含んだものでよい。ATP検出システムは、ルミノメーターを更に含んでもよい。特定の実施形態では、ルミノメーターには、例えば、FB−12シングルチューブ型ルミノメーター(バートホールド・ディテクション・システムズ・ユー・エス・エー社(Berthold Detection Systems USA)、テネシー州オークリッジ)のようなベンチトップ型のルミノメーターが含まれる。特定の実施形態では、ルミノメーターには、例えば、NGルミノメーターUNG2(スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))のような手持ち式のルミノメーターが含まれる。
【0148】
特定の実施形態では、生物学的検体は単一の時点において検出される。特定の実施形態では、生物学的検体は2以上の時点において検出される。2以上の時点で生物学的検体が検出される場合、第1の時点(例えば、試料の少なくとも一部の生きた細胞から生物学的検体を放出させるうえで有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから放出される前)において検出された生物学的検体の量を、第2の時点(例えば、試料の少なくとも一部の生きた細胞から生物学的検体を放出させるうえで有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから放出された後)において検出された生物学的検体の量と比較することができる。特定の実施形態では、1以上の時点における生物学的検体の測定は、処理装置を備えた器具によって行われる。特定の好ましい実施形態では、第1の時点における生物学的検体の量と、第2の時点における生物学的検体の量との比較は処理装置によって行われる。
【0149】
例えば、操作者は、試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成された後に、試料中の生物学的検体の量を測定する。この第1の測定における生物学的検体の量(T)は、「遊離した」(すなわち、非細胞性)生物学的検体、及び/又は、試料中の非生存細胞からの生物学的検体の存在を示しうる。特定の実施形態では、第1の測定は、試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成された直後(例えば、約1秒後)に行うことができる。特定の実施形態では、第1の測定は、試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成された少なくとも約5秒後、少なくとも約10秒後、少なくとも約20秒後、少なくとも約30秒後、少なくとも約40秒後、少なくとも約60秒後、少なくとも約80秒後、少なくとも約100秒後、少なくとも約120秒後、少なくとも約150秒後、少なくとも約180秒後、少なくとも約240秒後、少なくとも約5分後、少なくとも約10分後、少なくとも約20分後に行うことができる。これらの時間は例示的なものであり、生物学的検体の検出が開始されるまでの時間のみを挙げたものである。生物学的検体の検出を開始することには、試料を希釈すること、及び/又は細胞抽出剤の活性を阻害する試薬を添加することが含まれる。特定の検出システム(例えば、核酸の増幅又はELISA)は、通常、完了までに数分〜数時間を要する点は認識されるであろう。
【0150】
操作者は、生物学的検体の第1の測定を行った後、細胞抽出剤を含むヒドロゲルに試料を所定の時間にわたって接触させる。試料を所定の時間にわたってヒドロゲルと接触させた後、生物学的検体の第2の測定を行う。特定の実施形態では、第2の測定は、生物学的検体の第1の測定後の約0.5秒以内、約1秒以内、約5秒以内、約10秒以内、約20秒以内、約30秒以内、約40秒以内、約60秒以内、約90秒以内、約120秒以内、約180秒以内、約300秒、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約60分以内、又はそれ以降に行うことができる。これらの時間は例示的なものであり、生物学的検体を検出するための第1の測定が開始されてから生物学的検体を検出するための第2の測定が開始されるまでの時間間隔のみを挙げたものである。生物学的検体の検出を開始することには、試料を希釈すること、及び/又は、細胞抽出剤の活性を阻害する試薬を添加することが含まれる。
【0151】
好ましくは、生物学的検体の第1の測定は、試料、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物が形成された約1秒後〜約240秒後に行われ、第1の測定の後に行われる第2の測定は、液体混合物が形成された約1.5秒後〜約540秒後に行われる。より好ましくは、生物学的検体の第1の測定は、液体混合物が形成されてから約1秒後〜約180秒後に行われ、第1の測定の後に行われる第2の測定は、液体混合物が形成されてから約1.5秒後〜約120秒後に行われる。最も好ましくは、生物学的検体の第1の測定は、液体混合物が形成されてから約1秒後〜約5秒後に行われ、第1の測定の後に行われる第2の測定は、液体混合物が形成されてから約1.5秒後〜約10秒後に行われる。
【0152】
操作者は、第1の測定において検出された生物学的検体の量を、第2の測定において検出された生物学的検体の量と比較する。第2の測定において検出された生物学的検体の量が増加している場合、試料中に1以上の生きた細胞が存在することを示す。
【0153】
特定の方法では、生きた体細胞(例えば、非微生物細胞)の存在を検出することが望ましい場合がある。これらの実施形態では、ヒドロゲルには、体細胞から生物学的検体を選択的に放出させる細胞抽出剤が含まれる。体細胞の抽出剤の非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、エトキシル化オクチルフェノールであるTriton X−100(TX−100)及びその他のエトキシル化アルキルフェノールを含む非イオン性エトキシル化アルキルフェノールなどの非イオン性洗剤;例えば、カルボキシプロピルベタイン(CB−18)、NP−40、TWEEN、タージトール、イゲパール、市販のM−NRS(セルシス社(Celsis)(イリノイ州シカゴ))、M−PER(ピアース社(Pierce)(イリノイ州ロックフォード))、CelLytic M(シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich))などのベタイン洗剤が挙げられる。細胞抽出剤は、検体及びその検出試薬を不活性化しないように選択されることが好ましい。
【0154】
特定の方法では、生きた微生物細胞の存在を検出することが望ましい場合がある。これらの実施形態では、ヒドロゲルには、微生物細胞から生物学的検体を選択的に放出させる細胞抽出剤が含まれる。微生物細胞抽出剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、「セトリミド」(ドデシル−、テトラデシル−、及びヘキサデシル−臭化トリメチルアンモニウムの混合物)、塩化セチルピリジウムなどの四級アンモニウム化合物;トリエチルアミン(TEA)及びトリエタノールアミン(TeolA)などのアミン;クロルヘキシジン、アレキシジン及びポリヘキサメチレンビグアニドなどのビス−ビグアニド;N−(n−ドデシル)−ジエタノールアミンなどのジアルキルアンモニウム塩;ポリミキシンB(例えば、ポリミキシンB1及びポリミキシンB2)、ポリミキシン−β−ノナペプチド(PMBN)などの抗生物質;オクチル−β−D−1−チオグルコピラノシド(本明細書にその全容を援用する米国特許第6,174,704号を参照)などのアルキルグルコシド又はアルキルチオグルコシド;エトキシル化オクチルフェノールであるTriton X−100(TX−100)及びその他のエトキシル化アルキルフェノール類を含むがこれらに限定されない非イオン性エトキシル化アルキルフェノールなどの非イオン性洗剤;カルボキシプロピルベタイン(CB−18)などのベタイン洗剤;並びに、ポリリシン、ナイシン、マガイニン、メリチン、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼA活性化ペプチド(PLAP)などのカチオン性、抗細菌性、孔形成性、膜活性、及び/又は細胞壁活性であるポリマー;バクテリオファージ;並びにこれらに類するものが挙げられる。例えば本明細書にそれらの全容を援用する、イオン性界面活性化合物を開示するMorbeら、Microbiol.Res.(1997)vol.152、pp.385〜394ページ、及び米国特許第4,303,752号を参照されたい。細胞抽出剤は、生物学的検体、及び/又は生物学的検体を検出するために使用される検出試薬を不活性化しないように選択されることが好ましい。
【0155】
試料中の生きた微生物細胞の存在を検出するための特定の代替的方法では、試料を所定の時間にわたって体細胞抽出剤で前処理することができる(例えば、試料、及び微生物細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物を形成する前に、体細胞を抽出するうえで充分な時間にわたって試料を体細胞抽出剤と接触させる)。この代替的な実施形態では、第1の測定において検出される生物学的検体の量には、体細胞から放出されたすべての生物学的検体が含まれ、第2の測定で検出される更なる生物学的検体(検出される場合)の量には、試料中の生きた微生物細胞からの生物学的検体が含まれることになる。
【0156】
試料中の微生物の存在を検出するための方法では、本明細書で開示される検出装置を使用することができる。特定の実施形態では、本方法は、i)細胞を含むことが疑われる試料、ii)2以上の貯留部及び試料を受容するように構成された開口部を備えるハウジングを含む検出物品、iii)細胞濃縮剤、及び、iv)細胞濃縮剤を隔離して、ハウジングの上側貯留部から下側貯留部へと移動させるための手段、及び、v)細胞抽出剤を含むヒドロゲルを提供する工程を含む。これらの実施形態では、検出装置は図1〜4に示される検出装置100、200、300、又は400のいずれか1つのものを含みうる。必要に応じて、検出装置は細胞濃縮剤及び/又はヒドロゲルを含んでもよい。
【0157】
本方法は、ハウジングの上側貯留部内に試料を移動させる工程を更に含み、この工程では液体媒質中で試料物質を細胞濃縮剤と接触させる。試料には、ハウジングの上側貯留部に移動させられる液体、固体、半固体又はこれらの組み合わせが含まれうる。試料が液体媒質を含んでいない場合には、液体媒質(例えば、水又は緩衝溶液など)を上側貯留部に加えることができる。細胞濃縮剤を液体試料に加える。細胞濃縮剤を、所定の時間にわたって液体試料と接触させる。必要に応じて、ハウジングを例えば振盪、攪拌、ボルテックス、及び/又は振動することによって、接触時間の間に混合物を混合することができる。試料及び/又は細胞濃縮剤の損失を防止するために、ハウジングは接触時間の間、閉鎖される(例えば必要に応じて用いられるキャップによって)ことが好ましい。
【0158】
方法は、液体媒質の少なくとも一部から細胞濃縮剤を隔離する更に工程を含み、細胞濃縮剤を隔離する工程は、細胞濃縮剤をハウジングの下側貯留部に移動させることを含む。本明細書で述べるように、細胞濃縮剤を隔離するための各種の手段がある。細胞濃縮剤を隔離及び移動するための手段の非限定的な例には、プランジャを用いて通路を通じて細胞濃縮剤を分割及び移動すること(図1及び2を参照)、一方向弁のキャビティ内に細胞濃縮剤を回収及び移動すること(図3を参照)、並びに、ドレーン弁及びプランジャを用いて細胞濃縮剤を濃縮及び移動すること(図4を参照)が含まれる。
【0159】
本方法は、隔離された細胞濃縮剤及びヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程を更に含み、この工程では細胞抽出剤が混合物中に放出される。細胞濃縮剤を含む液体混合物は、細胞抽出剤を含むヒドロゲルと接触させられる。ヒドロゲル(例えば、ヒドロゲルビーズ)は、ハウジングの上側貯留部及び/又は下側貯留部内で液体混合物と接触させることができる。特定の実施形態では、ハウジングの下側貯留部がヒドロゲルを含み(図1及び3を参照)、液体混合物は下側貯留部に混合物が移される際に、ヒドロゲルと接触する。特定の実施形態では、ヒドロゲルは第3の貯留部内に配置され(図2及び4を参照)、液体試料が上側貯留部から下側貯留部に移される際に、第3の貯留部を液体試料が通過する(これにより液体試料がヒドロゲルと接触する)。
【0160】
図2及び4では、破断可能なシールに穿孔して細胞濃縮剤を下側貯留部に移すためのプランジャの使用が示されているが、プランジャの代わりに代替的な器具(例えば、スワブ、ピペット、フィルターなど)を使用することも可能である。このような代替的な器具が使用される方法では、破断可能なシールが代替的器具によって穿孔される際に液体試料の全体が第2の貯留部に移されないように、液体試料の少なくとも一部を除去する(例えば、デカンテーション、ピペッティング、濾過により又はドレーン弁が設けられている場合にはドレーン弁を開放することにより)ことが好ましい。
【0161】
本方法は、生物学的検体を検出する工程を更に含む。生物学的検体は、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤が細胞濃縮剤を含む液体混合物中に放出される前に、検出装置の下側貯留部内で本明細書で述べるようにして検出することができる。生物学的検体は、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤が細胞濃縮剤を含む液体混合物中に放出された後で、検出装置の下側貯留部内で本明細書で述べるようにして検出することもできる。生物学的検体は、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤が細胞濃縮剤を含む液体混合物中に放出される前及び後に、検出装置の下側貯留部内で本明細書で述べるようにして検出することもできる。
【0162】
本明細書で開示される方法のいずれも、生物学的な増殖工程を更に含みうることは予想されることである。増殖工程は、微生物の増殖を支持する栄養培地を与えることによって促進される。栄養培地は、細胞濃縮剤による微生物の濃縮の前、その間、又はその後に試料と混合することができる。特定の実施形態では、生物学的増殖工程は、細胞濃縮剤によって微生物が濃縮された後であるが、生物学的検体が検出される前に行われる。特定の実施形態では、栄養培地は、試料中に存在しうる他の微生物よりも特定の種類の微生物の増殖にとって有利な栄養素及び/又は選択物質(例えば、塩類、抗生物質)を含有してよい。
【0163】
粒子状細胞濃縮剤を濃縮する方法:
本開示は粒子状の細胞濃縮剤を濃縮するための装置を提供する。本方法は、液体試料の一部を液体試料中への粒子状物質の懸濁液から分離する装置を提供する工程を含む。好適な装置としては、例えば、図2A、図3A、図4A、図5A、図7A、及び図10Aに図示及び説明される装置が挙げられる。各装置は、粒子状の細胞濃縮剤を含む液体試料を収容するためのハウジングと、粒子状細胞濃縮剤を液体試料の少なくとも一部から分離するための手段とを含んでいる。
【0164】
図2Aでは、粒子状細胞濃縮剤を分離するための手段には、テーパ領域218、及び下側シール256を含むプランジャが含まれる。図3Aでは、粒子状細胞濃縮剤を分離するための手段には、行き止まり弁370及び弁アクチュエータ372が含まれる。図4Aでは、粒子状細胞濃縮剤を分離するための手段には、ドレーン弁480及び弁ゲート482が含まれる。図5A及び7Aでは、粒子状細胞濃縮剤を分離するための手段には、フィルター596が内部に配置された流体経路を含むプランジャが含まれる。図10Aでは、粒子状細胞濃縮剤を分離するための手段には、スクレーパーの縁部とハウジングとの間で液体を通過させるように構成されたスクレーパーを備えるプランジャが含まれる。
【0165】
本方法は、液体試料中への粒子状細胞濃縮剤の懸濁液を形成する工程を更に含む。懸濁液はハウジング内において形成するか、あるいはハウジングの外部で形成することができる。懸濁液がハウジングの外部で形成される場合、本方法はハウジング内に懸濁液を移動する工程を更に含む。本方法は、微生物を捕捉するだけの充分な時間にわたって、粒子状細胞濃縮剤を液体試料と接触させる工程を更に含む。接触はハウジング内で起こってもよい。接触はハウジングの外部で起こってもよい。接触はハウジングの外部及び内部の両方で起こってもよい。本方法は、図2A、3A、4A、5A、7A及び10Aの装置について上記に述べたように、液体試料中への粒子状物質の懸濁液から液体試料の一部を分離する工程を更に含む。
【0166】
試料の調製及び検出キット:
本開示の構成要素及び/又は装置は、使用説明書及び必要に応じて付属物品又は試薬とともにパッケージングすることによって、試料の調製及び検出キットとすることができる。したがって、一態様において本開示は、i)少なくとも2個の貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングと、ii)ハウジングの上側貯留部を下側貯留部から隔離するための手段と、iii)細胞濃縮剤と、iv)細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段とを備えるキットを提供する。上側貯留部は試料を受容するように構成された開口部を含む。下側貯留部はその内部に配置された検出試薬を含む。特定の実施形態では、ハウジングは、本明細書で述べたように上側貯留部を下側貯留部から隔離するための手段を更に含みうる。特定の実施形態では、ハウジングは、細胞濃縮剤を上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段を更に含みうる。特定の実施形態では、細胞濃縮剤はハウジングの上側貯留部内に配置される。
【0167】
特定の実施形態では、本開示のキットには、試料調製及び検出装置とともに使用することができる付属物品及び試薬が含まれる。付属物品の非限定的な例としては、試料取得装置、フィルター、グローブ、培養装置(例えば、ペトリ皿、培養試験管、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))より入手されるPETRIFILMプレートなど)、核酸の単離又は増幅試薬、ラテラルフロー装置、ELISAプレート及び試薬などの免疫アッセイ装置、又は上記の物品の2以上のものの任意の組み合わせが挙げられる。付属試薬の非限定的な例としては、水、緩衝剤、指示薬(例えばpH指示薬)、色素、体細胞抽出剤、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、本明細書で述べるような結合相手、酵素、酵素基質、オリゴヌクレオチド、対照試料、又は上記の試薬の2以上のものの任意の組み合わせが挙げられる。
【実施例】
【0168】
以上、本発明を、その実施を可能とする説明文が与えられた、発明者によって予見される複数の具体的な実施形態を参照して説明した。しかしながら、現時点において予見されえない改変を含む、本発明の実体的でない改変は、これらの実施形態の均等物を構成しうるものである。したがって本発明の範囲は、本明細書に記載された詳細及び構造によって限定されるべきものではなく、以下の請求項及びその均等物によってのみ限定されるべきである。
【0169】
材料:
細菌培養は、特に断らないかぎり、すべてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、バージニア州マナッサス)より入手した。
【0170】
水はすべて、特に断らないかぎり、ミリポア社(Millipore Corporation)(マサチューセッツ州ベッドフォード)より販売されるMilli−Q(商標)勾配脱イオンシステムを使用して18メガオームの滅菌脱イオン水として得た。
【0171】
CM−111:長球化された非晶質ケイ酸マグネシウム:マイクロスフェアをスリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売される3M(商標)Cosmetic Microspheres CM−111として得た。粒子は2.3g/ccの粒子密度を有する中実の球として成形したものであり、約3.3m/gの表面積を有していた。粒子の99%は約11マイクロメートル未満であった。粒子の50%は約5マイクロメートル未満であった。粒子の10%は約2マイクロメートル未満であった。CM−111マイクロスフェアは、本明細書にその全容を援用する2009年12月22日出願の発明の名称が「微生物の濃縮プロセス及び該プロセスで使用するための濃縮剤」(MICROORGANISM CONCENTRATION PROCESS AND CONCENTRATION AGENT FOR USE THEREIN)である米国特許出願第61/289,213号に述べられるようにして調製した。
【0172】
500mMのKCl、100mMのCaCl、10mMのMgCl、及び100mMのKHPOを含むpH 7.2の100倍の吸着緩衝液を調製し、使用前にフィルター滅菌した。
【0173】
表面を滅菌した各構成要素を、70%イソプロピルアルコールと接触させた(イソプロピルアルコールで拭くか又はイソプロピルアルコールに浸漬した)。余分なアルコールを流れ落とし、各構成要素を使用前に少なくとも30分間風乾した。
【0174】
化学物質はすべて、特に断らないかぎり、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー)より入手した。
【0175】
(実施例1)
ヒドロゲルの重合後のヒドロゲルビーズへの細胞抽出剤の取り込み。
【0176】
国際特許出願公開第2007/146722号の実施例1に述べられるようにしてヒドロゲルビーズを調製した。国際特許出願公開第2007/146722号の実施例19に述べられるようにして乾燥させた後、実施例23に述べられるようにして活性溶液中に浸漬することによって活性ビーズを調製した。1gのビーズを60℃で2時間乾燥させて、ビーズから水を除去した。乾燥したビーズを2gのBARDAC 205M(ロンザ・グループ(Lonza Group Ltd.)、スイス、バライス)の50%(w/v)水溶液中に少なくとも3時間〜一晩、室温で浸漬した。浸漬後、ビーズをブフナー漏斗に注いでビーズの水分を切り、次いで10〜20mLの蒸留水ですすいだ。ペーパータオルを押し付けることによって余分な水をビーズ表面から除去した。使用する前に、ビーズを室温で少なくとも2週間、ジャーに保存した。
【0177】
(実施例2)
微小粒子の使用による細胞濃縮、並びに細胞抽出剤を充填したヒドロゲル及びATP生物発光を利用した検出
3M(商標)CLEAN−TRACE表面ATPシステムをスリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より入手した。大腸菌ATCC 51183の純粋培養物をトリプシン処理した大豆ブロス中に接種して、37℃で一晩増殖させた。細菌培養物をButterfield緩衝液(pH 7.2±0.2、一塩基性リン酸カリウム緩衝溶液、ブイ・ダブリュー・アール社(VWR)(ペンシルベニア州ウェストチェスター))中で約10又は10CFU/mLに希釈し、100マイクロリットルの希釈懸濁液を10mLの脱イオン水(Milli−Q Biocel System、ミリポア社(Millipore)(マサチューセッツ州))試料の入った個々の試験管に直接加えることによってそれぞれ10mL中、約10CFU又は10CFUを得た。10mgのオートクレーブしたCM−111 3M(商標)Cosmetic Microspheres(か焼した非晶質の長球化ケイ酸マグネシウム粉末、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))を細胞の入った試験管に加え、室温で約15分間混合した。粒子を沈降させ、上清を除去した。粒子を100μLのButterfield緩衝液に懸濁し、1.5mLの微量遠心管に移した。400マイクロリットルのCLEAN−TRACE表面ATPシステムからのルシフェラーゼ/ルシフェリン液体試薬溶液を遠心管に加えた。コントロール(非濃縮)反応として、100μLの約10又は10CFU/mLの細胞懸濁液を1.5mLの微小遠心管に加え、400μLのClean−Trace表面ATPシステムからのルシフェラーゼ/ルシフェリン液体試薬溶液を遠心管に加えた。試薬を加えた直後に、細胞抽出剤を含むヒドロゲルビーズ(約11mg)を個々の遠心管に加え、相対発光量(RLU)の測定値をベンチトップ型ルミノメーター(ターナー・バイオシステムズ社(Turner Biosystems)(カリフォルニア州サニーベール)より販売される20/20nシングルチューブ型ルミノメーター)で10秒間隔で記録した。発光量の測定値は、ルミノメーターとともに提供される20/20n SISソフトウェアを使用してルミノメーターから得た。光信号を1秒間にわたって積分し、RLUで表される結果を表1に示した。
【0178】
これらのデータは、本明細書で述べるプロトコールを使用することにより、微小粒子が微生物細胞を濃縮することができ、更にヒドロゲルビーズから放出された細胞抽出剤が大腸菌からATPを抽出することができたことを示している。この結果は、細胞から放出されたATPがATP検出試薬と反応し、測定可能な生物発光を生じたことを更に示している。
【0179】
【表1】

【0180】
(実施例3)
ATP生物発光検出システムを利用した一体型試料調製及び検出装置による微生物細胞の検出
この実施例では、図2に示されるような一体型の試料調製及び検出装置200を使用する。装置の上側貯留部220には約10mgのオートクレーブしたCM−111 3M Cosmetic Microspheresが入っている。下側貯留部224には、約0.6ミリリットルのCLEAN−TRACE表面ATPシステムからのルシフェラーゼ/ルシフェリン液体試薬溶液からなる液体検出試薬265が入っている。第3の貯留部226には、2008年9月30日出願の米国特許出願第61/101,546号の調製例5に従って調製された2個のBARDAC 205Mビーズが入っている。10ミリリットルの滅菌脱イオン水を、使用直前に一体型装置200の上側貯留部220に加える。
【0181】
大腸菌の一晩培養物を実施例2で述べたようにして調製する。この細菌培養物を、Butterfield緩衝液中で約10又は10CFU/mLに希釈する。100マイクロリットルの希釈懸濁液を一体型装置200の上側貯留部220に直接ピペットで加えることによって、それぞれ10ミリリットル中約10CFU又は10CFUの懸濁液を得る。キャップ278を使用してハウジング210を閉鎖し、細菌懸濁液を室温でマイクロスフェア(細胞濃縮剤230)と混合して通路216内に沈降させる。キャップ278を外して、プランジャ250を挿入することにより沈降したマイクロスフェアを含む液体試料の部分及びヒドロゲルビーズをATP検出試薬の入った下側貯留部224内に移す。一体型装置を直ちにルミノメーター(例えば、NGルミノメーターUNG2)の読み取りチャンバに挿入し、UNGルミノメーターの非計画試験モードを用いてRLU測定値を10秒間隔で記録する。RLU測定値をRLUの数がプラトーに達するまで収集する。データをNGルミノミーターとともに提供されるソフトウェアを使用してダウンロードする。このデータは、微生物細胞がマイクロスフェアによって濃縮され、ヒドロゲルによって細胞抽出剤が放出され、この細胞抽出剤が細胞からのATPの放出を引き起こし、かつ細胞から放出されたATPがATP検出システムによって検出されることを示すものである。
【0182】
(実施例4)
ATP生物発光検出システムを利用した一体型試料調製及び検出装置による微生物細胞の検出
この実施例では、図3に示されるような一体型試料調製及び検出装置300を使用する。弁アクチュエータ372は、使用に先だって、弁キャビティ374が上側貯留部320と流体連通するように配置されている。装置の上側貯留部320には、約10mgのオートクレーブしたCM−111 3M Cosmetic Microspheresが入っている。下側貯留部324には、約0.6ミリリットルのClean−Trace表面ATPシステムからのルシフェラーゼ/ルシフェリン液体試薬溶液からなる液体検出試薬365が入っている。BARDAC 205Mビーズは、2008年9月30日出願の米国特許出願第61/101,546号の調製例5に従って調製されたものである。10ミリリットルの滅菌脱イオン水を、使用直前に一体型装置300の上側貯留部320に加える。
【0183】
大腸菌の一晩培養物を実施例2で述べたようにして調製する。この細菌培養物をButterfield緩衝液中で約10又は10CFU/mLに希釈する。100マイクロリットルの希釈懸濁液を一体型装置300の上側貯留部320に直接ピペットで加えることによって、それぞれ10ミリリットル中約10CFU又は10CFUの懸濁液を得る。キャップ378を使用してハウジング310を閉鎖し、細菌懸濁液を室温でマイクロスフェア(細胞濃縮剤330)と混合して弁キャビティ374内に沈降させる。キャップ378を外して、2個のBARDAC 205Mビーズ(ヒドロゲル362)をハウジング310の中に落とす。ビーズが弁キャビティ374内に沈降した直後に、弁アクチュエータ372を回して弁キャビティ内の液体試料の部分(細胞濃縮剤330及びヒドロゲル362を含む)をATP検出試薬の入った下側貯留部324内に移す。一体型装置を直ちにルミノメーター(例えば、NGルミノメーター、UNG2)の読み取りチャンバに挿入し、UNGルミノメーターの非計画試験モードを用いてRLU測定値を10秒間隔で記録する。RLU測定値をRLUの数がプラトーに達するまで収集する。データをNGルミノミーターとともに提供されるソフトウェアを使用してダウンロードする。このデータは、微生物細胞がマイクロスフェアによって濃縮され、ヒドロゲルによって細胞抽出剤が放出され、この細胞抽出剤が細胞からのATPの放出を引き起こし、かつ細胞から放出されたATPがATP検出システムによって検出されることを示すものである。
【0184】
(実施例5)
検出装置の調製:
I型の装置:これらの検出装置では、以下に述べる相違点を有する以外は図10Aのハウジングと同様のハウジングを構成した。以下の参照符合は図10Aの対応する部材を示す。ハウジング1100の上側部分1012及び下側部分1014は、3M Clean−Trace(商標)表面ATP試験(スリー・エム社(3M Company)(英国、ブリジェンド))から同様の構成要素を使用して得た。破断可能なシール1068が結合された回収要素1067を、下側部分1014の上側部分に、破断可能なシール1068がハウジング1100の下側部分1014に面するようにして圧入した。上側部分1012は、ヒートガン(マスター・アプライアンス社(Master Appliances Corp)、ウィスコンシン州ラシーン)を使用してbuyheatshrink.comより入手した、3:1ポリオレフィン2重壁の接着剤でライニングされた熱収縮フィルム(部品番号_HSC3A−050−cc、直径1.5cm)の2cmの切片を用いて下側部分1014と連結した。
【0185】
これらの検出装置では、図2Aのプランジャと同様のプランジャを構成した。以下の参照符合は図2Aの対応する部材を示す。3M Clean−Trace(商標)表面ATP試験からのポリオレフィン製プラスチックハンドル(252)の一部、真鍮製金属シャフト(251)及びアセタール製穿孔部材259を用いてプランジャ(250)を組み立てた。ハンドル252及び穿孔部材259は、ネジによる連結によって真鍮シャフトの両端に取り付けた。真鍮製金属シャフトは長さ11.5cm及び直径3.9mmであった。旋盤を使用してシャフトの両端に6mmの6〜23のネジ山を切った。穿孔部材259は、10インチ(25.4cm)のサウスベンド旋盤を使用して1/2インチ(12.7mm)のアセタールコポリマーロッド(部品番号8497K211、マクマスター・カー社(McMASTER-CARR)カリフォルニア州サンタフェスプリングスより入手)から作製した。下側シール256としてOリング(マクマスター・カー社(McMASTER-CARR)より入手したBuna N AS568A−010)を使用し、プランジャ250の穿孔端259の約11.5mm上に取り付けた。プランジャは1回の使用毎に表面を滅菌した。
【0186】
II型の装置:これらの検出装置は、図6Aに示されるものと同様の先端部を有する図5Aで図示及び説明したものと同様のプランジャを使用して組み立てた。ハウジングはI型の装置について述べたのと同様に構成した。プランジャの先端部は、10インチ(25.4cm)のサウスベンド旋盤を使用して1/2インチ(12.7mm)のアセタールコポリマー製ロッド(部品番号8497K211、マクマスター・カー社(McMASTER-CARR)(カリフォルニア州サンタフェスプリングス)より入手)から作製した。ダックビル型一方向弁及びプラスチック製保持ワッシャを、プランジャの先端部の本体の陥凹した開口部内に圧入した。フィルターは、POREXフィルター(ポレックス社(Porex Corporation)(ジョージア州フェアバーン)より入手される部品番号X6854)を図6Aに示される形状に機械加工し、一端を先端部の陥凹した開口部に圧入し、弁及び保持ワッシャを定位置に保持するような寸法に形成することによって作製した。プランジャは1回の使用毎に表面を滅菌した。
【0187】
III型の装置:以下に述べる相違点を有する以外は図10Aに示されるものと同様の検出装置を構成した。以下の参照符合は図10Aの対応する部材を示す。ハウジング1100の上側部分1012及び下側部分1014は、3M Clean−Trace(商標)表面ATP試験(スリー・エム社(3M Company)(英国、ブリジェンド))から同様の構成要素を使用して得た。破断可能なシール1068が結合された回収要素1067を、下側部分1014の上側部分に、破断可能なシール1068がハウジング1100の下側部分1014に面するようにして圧入した。上側部分1012は、ヒートガン(マスター・アプライアンス社(Master Appliances Corp)、ウィスコンシン州ラシー上側部分)を使用してbuyheatshrink.comより入手した、3:1ポリオレフィン2重壁の接着剤でライニングされた熱収縮フィルム(部品番号_HSC3A−050−cc、直径1.5cm)の2cmの切片を用いて下側部分1014と連結した。
【0188】
3M Clean−Trace(商標)表面ATP試験からのポリオレフィン製プラスチックハンドル(1052)の一部、真鍮製金属シャフト(1051)及び先端部1090を用いてプランジャ(1050)を組み立てた。ハンドル1052及び先端部1090は、ネジによる連結によって真鍮シャフトの両端に取り付けた。真鍮製金属シャフトは長さ11.5cm及び直径3.9mmであった。旋盤を使用してシャフトの両端に6mmの6〜23のネジ山を切った。先端部1090は、10インチ(25.4cm)のサウスベンド旋盤を使用して1/2インチ(12.7mm)のアセタールコポリマー製ロッド(部品番号8497K211、マクマスター・カー社(McMASTER-CARR)(カリフォルニア州サンタフェスプリングス)より入手)から作製した。Oリング1086を先端部1090に取り付けた。先端部は、図10に示されるような保持部材1087を含むように機械加工した。厚さ1mmのポリウレタンゴムの小片を打抜き、これを保持部材1087内に滑り込ませることによってスクレーパーを構成した。スクレーパー1086の外径は、ハウジング1010の内側に緊密に嵌合するような寸法に構成した。プランジャは1回の使用毎に表面を滅菌した。
【0189】
(実施例6)
I型装置を使用した、スパイク水からの粒子状濃縮剤による大腸菌の捕捉
トリプシン処理大豆寒天(Tryptic Soy Agar)プレート(ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)メリーランド州スパークス)から単離した大腸菌(ATCC 51813)のコロニーを使用して5mLのトリプシン処理大豆ブロス(Tryptic Soy Broth)(ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)メリーランド州スパークス)に接種し、37℃のインキュベーター内で一晩インキュベートした。約10個のコロニー形成単位/mL(CFU/mL)を含む一晩培養物をフィルター滅菌した18メガオームの水で1:10,000に希釈した(約10CFU/mLにまで、以後、「初期希釈懸濁液」と呼ぶ)。500マイクロリットルの希釈培養液を50mLのフィルター滅菌した18メガオームの水に移し、約1000個/mLの最終濃度とした。
【0190】
100倍の吸着緩衝液(pH 7.2)の一定分量(0.5mL)を、上記の50mLの希釈した大腸菌懸濁液に加えた(以後、「スパイク水試料」と呼ぶ)。内容物を約1分間、手動で混合した。
【0191】
10mgの蒸気滅菌したCM−111を秤量し、実施例5で述べたようにして調製したI型装置に加えた。体積10mLのスパイク水試料を各装置に加え、表面滅菌したパラフィルムで装置をキャップした。内容物を室温(25℃)で約30秒間、手で振ることによって混合した。
【0192】
混合後、各装置を、Thermolyne Vari Mix(商標)ロッキングプラットフォーム(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)アイオワ州、14サイクル/分)上で異なる時間(それぞれ1、5、10及び20分間)にわたってインキュベートした。インキュベート後、各管をベンチトップに10分間置いて粒子状の濃縮剤CM−111を沈降させた。沈降後、パラフィルムのラッピングを外し、予め滅菌したプランジャ装置を使用して箔シールに穿孔し、沈降したCM−111剤を装置の下側部分内に堆積させた。ピペットを用いて上清を除去し、カミソリ刃を用いて装置の下側部分(細胞濃縮剤が入った)を装置の上側部分から分離した。沈降したCM−111濃縮剤(約100マイクロリットルの水中)を装置から取り出し、滅菌水で1:100に希釈し、希釈した濃縮剤の1ミリリットルの一定分量を、製造者の指示に従って3M(商標)Petrifilm(商標)Aerobic Countプレート(スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))上にプレートした。
【0193】
コントロールとして、初期希釈懸濁液を滅菌水で1:1000の希釈度で更に希釈し、製造者の指示に従って3M(商標)Petrifilm(商標)Aerobic Countプレート(スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))上にプレートした。滅菌性のコントロールとして、粒子状物質も3M(商標)Petrifilm(商標)Aerobic Countプレート上にプレートした。各プレートを37℃のインキュベーター(VWR Orbital Shakerインキュベーター、ブイ・ダブリュー・アール社(VWR)(ペンシルベニア州ウェストチェスター))内で一晩インキュベートした。
【0194】
すべてのプレートを、製造者の指示に従って3M(商標)Petrifilm(商標)プレートリーダー(スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール))により分析し、コロニーのカウントを得た。結果を表2に示す。結果は下式によって計算した。
【0195】
捕捉効率=(濃縮剤上のコロニー数)/(スパイクコントロール中の全コロニー数)×100
【0196】
【表2】

【0197】
(実施例7)
III型装置を使用したCM−111による大腸菌の濃縮
単離した大腸菌(ATCC5 1813)のコロニーをストリークプレートから5mLのトリプシン処理大豆ブロス(Tryptic Soy Broth)(TSB、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)メリーランド州スパークス)に接種し、37℃で18〜20時間インキュベートした。約10個のコロニー形成単位/mLのこの一晩培養物をフィルター滅菌した脱イオン水(MilliQ、ミリポア社(Millipore)マサチューセッツ州)中で希釈し、10mLのフィルター滅菌した脱イオン水中でスパイクして1×10個/mL及び1×10個/mL(全体で約1×10/mL cfu〜1×10/mL cfu)の最終濃度を得た。スパイクした水を、10mgの予め滅菌した(121℃、15分)CM−111(Cosmetic Microspheres−111、スリー・エム社(3M Company)、セントポール)の粉末及び100マイクロリットルの100倍吸着緩衝液(pH 7.2)の入ったIII型装置のハウジングに加えた。ハウジングを表面滅菌したパラフィルムで密封し、ロッキングプラットフォーム上に置いた。次いで、キャップした装置を、Thermolyne Vari Mix(商標)ロッキングプラットフォーム(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)アイオワ州、14サイクル/分)上で5分間の接触時間にわたって室温(25℃)でインキュベートした。次いで装置を振盪させずに(重力によって粒子を沈降させるため)5分間静置し(ロッキング及び沈降の全経過時間=10分間)、パラフィルムを取り外して、II型装置のプランジャをハウジングに挿入し、ハウジングの底の方向に押し込むことによってバルク試料からCM−111粒子を分離した。プランジャが破断可能なシールを破ると、約0.1mLの液体試料に懸濁されたCM−111粒子はハウジングの下側貯留部に移された。CM−111粒子を下側貯留部から回収して、1.5mLの滅菌した微小遠心管に移した。体積100マイクロリットルのBacTiter−Glo(商標)試薬(プロメガ社(Promega)、ウィスコンシン州マディソン)をペレットに加え、VWR Fixed Speed Vortexミキサー上で5秒間(3200rpmで5秒)ボルテックスして混合し、卓上型ルミノメーター(FB12シングルチューブ型ルミノメーター、バートホールド・ディテクション・システムズ・ユー・エス・エー社(Berthold Detection Systems USA)、テネシー州オークリッジ)上で読み取った。大腸菌細胞の1×10個/mL及び1×10個/mLの懸濁液から100マイクロリットルの体積を試験することにより、ポジティブコントロール(「100%シグナル」)を調製した。結果は下式によって計算し、下記表2にまとめた。
【0198】
ATPシグナル捕捉効率(%)=(CM−111ペレットのRLU/100%シグナルからのRLU)×100
RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
【0199】
【表3】

【0200】
N=2、標準偏差<10%。データは、大腸菌コントロールについては水のみ(16,464 RLU)のバックグラウンドに対して標準化し、細菌と接触させたCM−111ペレットについては未反応のCM−111(41,424 RLU)のバックグラウンドに対して標準化した。
【0201】
上記実施例から、粒子状の捕捉剤を使用して水性試料から細菌を濃縮できることが分かる。
【0202】
(実施例8)
II型装置を使用したCM−111による大腸菌の濃縮
単離した大腸菌(ATCC 33090)のコロニーをストリークプレートから5mLのトリプシン処理大豆ブロス(Tryptic Soy Broth)(TSB、ベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson)メリーランド州スパークス)に接種し、37℃で18〜20時間インキュベートした。約10個のコロニー形成単位/mLのこの一晩培養物をフィルター滅菌した脱イオン水(MilliQ、ミリポア社(Millipore)マサチューセッツ州)中で希釈し、10mLのフィルター滅菌した脱イオン水中でスパイクして1×10個/mL(全体で約10cfu)の最終濃度を得た。スパイクした水を、10mgの予め滅菌した(121℃、15分)CM−111(Cosmetic Microspheres−111、スリー・エム社(3M Company)、セントポール)の粉末及び100マイクロリットルの100倍吸着緩衝液が既に入っている装置に加えた。装置を表面滅菌したパラフィルムで密封し、ロッキングプラットフォーム上に置いた。次いで、キャップした装置を、Thermolyne Vari Mix(商標)ロッキングプラットフォーム(バーンステッド・インターナショナル社(Barnstead International)アイオワ州、14サイクル/分)上で1及び9分間(全経過=時間2分間及び10分間)、室温(25℃)でインキュベートした。
【0203】
インキュベートの後、パラフィルムを取り外し、プランジャを破断可能なシールと接触するまでハウジング内に挿入した。プランジャを更に挿入して破断可能なシールを破ることにより、大腸菌が結合したCM−111が約100マイクロリットルの液体試料とともにハウジングの下側貯留部に移された。微小粒子なしの大腸菌が入ったコントロールの管を同様に処理した。
【0204】
下側貯留部を切り開いてCM−111ペレットを回収し、粒子を1.5mLの滅菌した微小遠心管に移した。体積100mLのBacTiter−Glo(商標)試薬(プロメガ社(Promega)、ウィスコンシン州マディソン)をペレットに加え、VWR Fixed Speed Vortexミキサー上で5秒間(3200rpmで5秒)ボルテックスして混合し、卓上型ルミノメーター(FB12シングルチューブ型ルミノメーター、バートホールド・ディテクション・システムズ・ユー・エス・エー社(Berthold Detection Systems USA)、テネシー州オークリッジ)上で読み取った。100%シグナルについては、10個/mLの希釈液から体積100マイクロリットルを使用した。結果は下式によって計算し、下記表3にまとめた。
【0205】
ATPシグナル捕捉効率(%)=(CM−111ペレットのRLU/約10個の全大腸菌からのRLU)×100
RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
【0206】
【表4】

【0207】
N=2、標準偏差<10%。データは、大腸菌コントロールについては水のみ(27,938 RLU)のバックグラウンドに対して標準化し、細菌と接触させたCM−111ペレットについては未反応のCM−111(30,611 RLU)のバックグラウンドに対して標準化した。
【0208】
(実施例9)
II型装置を使用したAB−CM−111による大腸菌の濃縮
実施例8において述べた手順を用い、AB−CM(吸着緩衝液で処理したCM−111)の10mgの一定分量についても、10mLの水からの大腸菌の濃縮について試験を行った。接触時間を9分、1分として、POREXプランジャを使用してAB−CMを沈降させた。データを表4にまとめた。
【0209】
【表5】

【0210】
N=2、標準偏差<10%。データは、大腸菌コントロールについては水のみ(20,281 RLU)のバックグラウンドに対して標準化し、細菌と接触させたCM−111ペレットについては未反応のAB−CM(44,488 RLU)のバックグラウンドに対して標準化した。
【0211】
上記実施例から、粒子状の捕捉剤を使用して水性試料から細菌を濃縮できることが分かる。
【0212】
(実施例10)
比較例−非濃縮試料における大腸菌の検出
現時点の技術水準における水試験法として、標準的なATP生物発光アッセイ(例えば、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より入手可能な3M CLEANTRACE Water−Free ATP、カタログ番号AQF100)を用いて100マイクロリットルの水をATPについて試験する方法がある。
【0213】
トリプシン処理大豆ブロス(tryptic soy broth)中での大腸菌の一晩培養物(ATCC 33090)を、滅菌水で希釈して2つの懸濁液を得た。懸濁液Aは約10CFU/mLを含み、懸濁液Bは約10CFU/mLを含んでいた。
【0214】
各懸濁液の100マイクロリットルの一定分量を体積100マイクロリットルのBacTiter−Glo(商標)試薬(プロメガ社(Promega)、ウィスコンシン州マディソン)と混合し、生じた生物発光を実施例8で述べたようにしてルミノメーターで測定した。結果を表5に示す。
【0215】
【表6】

【0216】
N=2、標準偏差<10%
本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び公開公報、並びに電子的に入手可能な資料の開示内容の全体を援用する。本出願の開示内容と本明細書に援用されるいずれかの文書の開示内容との間になんらかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。本発明は、図示及び説明された厳密な詳細に限定されるものではなく、当業者には明らかな変形例は特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるものとする。
【0217】
特に断らないかぎり、明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される各成分の量、分子量などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という語によって修飾されたものとして理解されるべきである。したがって、特に断らないかぎり、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」に記載される数値パラメータは、本発明が実現しようとする所望の性質に応じて変わりうる近似値である。少なくとも、また、均等論を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは少なくとも報告される有効数字の数を考慮し、更に通常の数値の端数処理を適用して解釈されるべきである。
【0218】
本発明の広義の範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値ではあるが、具体例に記載される数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、数値はすべて、それぞれの試験測定値における標準偏差から必然的に生じる一定の範囲を本質的に含むものである。
【0219】
すべての見出しは読者の便宜のためのものであって、特に断らないかぎり、見出しの後に続く文面の意味を限定するために使用されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の細胞を検出するための方法であって、
細胞濃縮剤、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、及び細胞を含むことが疑われる液体試料を提供する工程と、
前記液体試料と前記細胞濃縮剤とを所定の時間にわたって接触させる工程と、
前記液体試料の少なくとも一部から前記細胞濃縮剤を分離する工程と、
前記分離された細胞濃縮剤及び前記ヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、前記細胞抽出剤が前記混合物中に放出される、工程と、
生物学的検体を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
試料中の細胞を検出するための方法であって、
細胞を含むことが疑われる試料;細胞濃縮剤;細胞抽出剤を含むヒドロゲル;2以上の貯留部を備えるハウジングと、前記試料を受容するように構成された開口部とを含む検出物品;及び、前記細胞濃縮剤を分離して、前記ハウジングの上側貯留部から下側貯留部に移動するための手段を提供する工程と、
液体媒質中で前記試料を、前記ハウジングの前記上側貯留部内の前記細胞濃縮剤と接触させる工程と、
前記細胞濃縮剤を分離して、前記ハウジングの前記下側貯留部に移動する工程と、
前記分離された細胞濃縮剤及び前記ヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、前記細胞抽出剤が前記混合物中に放出される、工程と、
生物学的検体を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項3】
試料中の細胞を検出するための方法であって、
細胞を含むことが疑われる試料;前記試料を受容するように構成された開口部と、細胞濃縮剤が収容された上側貯留部と、細胞抽出剤を含むヒドロゲルが収容された下側貯留部とを備えるハウジングを含む検出物品;前記細胞濃縮剤を前記液体試料の少なくとも一部から分離するための手段;及び、前記細胞濃縮剤を前記ハウジングの前記上側貯留部から前記下側貯留部に移動するための手段を提供する工程と、
液体媒質中で前記試料と、前記ハウジングの前記上側貯留部内の前記細胞濃縮剤とを接触させる工程と、
前記細胞濃縮剤を分離して、前記ハウジングの前記下側貯留部に移動する工程と、
前記分離された細胞濃縮剤及び前記ヒドロゲルを含む液体混合物を形成する工程であって、前記細胞抽出剤が前記混合物中に放出される、工程と、
生物学的検体を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項4】
前記生物学的検体を検出する工程が、生きた細胞の存在を検出することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的検体を検出する工程が、検出システムを使用することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的検体を検出する工程が、微生物細胞に関連する生物学的検体を検出することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
体細胞抽出剤を提供する工程と、該体細胞抽出剤を前記試料からの細胞と接触させる工程と、を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記生物学的検体を検出する工程が、前記生物学的検体の量を定量することを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的検体の量が2回以上定量される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の時点において検出される前記生物学的検体の量が、第2の時点において検出される前記生物学的検体の量と比較される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記生物学的検体を検出する工程が、細胞からのATPを検出することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞からのATPを検出する工程が、微生物細胞からのATPを検出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ATPを検出する工程が、細菌細胞からのATPを検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞からのATPを検出する工程が、ルシフェリン及びルシフェラーゼが関与する反応においてATPを検出することを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ATPを加水分解することが可能な酵素を提供する工程と、該酵素を前記試料の少なくとも一部と接触させる工程と、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的検体を検出する工程が、前記生物学的検体を免疫学的に検出することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的検体を検出する工程が、前記生物学的検体を遺伝学的に検出することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記生物学的検体を検出する工程が、前記試料中の生きた細胞から放出される酵素を検出することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記酵素がアデニル酸キナーゼの酵素活性を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生物学的検体を検出する工程が、比色測定法により、蛍光測定法により、電気化学的方法により、又は光量測定法により検出することを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
一体型試料調製及び検出装置であって、
少なくとも2個の貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングであって、
上側貯留部が、試料を受容するように構成された開口部、及び上側貯留部内に配置された細胞濃縮剤を含み、
下側貯留部が、その内部に配置された検出試薬を含む、ハウジングと、
前記上側貯留部を前記下側貯留部から隔離するための手段と、
前記細胞濃縮剤を前記上側貯留部から前記下側貯留部に移動するための手段と、を備える、装置。
【請求項22】
前記細胞濃縮剤が、粒子状又は分散された細胞濃縮剤を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ハウジングの前記上側貯留部と前記下側貯留部とを隔離するための前記手段が、プランジャ、弁、又は破断可能なシールを含む、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記細胞濃縮剤を前記ハウジングの前記上側貯留部から前記下側貯留部に移動するための前記手段が、プランジャ、スワブ、又は弁を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
テーパ状の内壁を備える、請求項21〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルを更に含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ヒドロゲルが、ビーズ、繊維、リボン、又はシートである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記ヒドロゲルが固体基材上にコーティングされる、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記ハウジングが第3の貯留部を更に含む、請求項21〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記ヒドロゲルが前記第3の貯留部内に配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
体細胞抽出剤を更に含む、請求項21〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
プランジャを更に備える、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
前記プランジャが流体経路を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記流体経路がフィルターを含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記フィルターが微多孔性フィルターを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記プランジャがスクレーパーを更に含む、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記スクレーパーが、前記スクレーパーの縁部と前記ハウジングとの間に液体を通過させるように構成されている、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
少なくとも2個の貯留部を含み、その間に通路を有するハウジングであって、
上側貯留部が、試料を受容するように構成された開口部を含み、
下側貯留部が、その内部に配置された検出試薬を含む、ハウジングと、
前記上側貯留部を前記下側貯留部から隔離するための手段と、
細胞濃縮剤と、
前記細胞濃縮剤を前記上側貯留部から前記下側貯留部に移動するための手段と、を備える、キット。
【請求項39】
前記ハウジングが、前記上側貯留部を前記下側貯留部から隔離するための前記手段を含む、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記ハウジングが、前記細胞濃縮剤を前記上側貯留部から前記下側貯留部に移動するための前記手段を含む、請求項38又は請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記細胞濃縮剤が、前記ハウジングの前記上側貯留部内に配置される、請求項38〜40のいずれか一項に記載のキット。
【請求項42】
前記細胞濃縮剤が、粒子状又は分散された細胞濃縮剤を含む、請求項38〜41のいずれか一項に記載のキット。
【請求項43】
微生物細胞抽出剤を含むヒドロゲルを更に含む、請求項38〜42のいずれか一項に記載のキット。
【請求項44】
体細胞抽出剤を更に含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
試料取得装置を更に備える、請求項38〜44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
プランジャを更に備える、請求項38〜45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
前記プランジャが流体経路を含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記流体経路がフィルターを含む、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
前記フィルターが微多孔性フィルターを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記プランジャがスクレーパーを更に含む、請求項46に記載のキット。
【請求項51】
前記スクレーパーが、前記スクレーパーの縁部と前記ハウジングとの間に液体を通過させるように構成されている、請求項50に記載のキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2012−513773(P2012−513773A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544620(P2011−544620)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/069898
【国際公開番号】WO2010/078482
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】