説明

微小試料捕集具

【課題】誰でも容易、且つ確実にしかも微小試料を損傷することなく捕集し、そのまま試料を効率よく冷凍でき、X線構造解析などに悪影響を及ぼすことがない、構造が簡単な捕集具を提供すること。
【解決手段】グリップの先端部にループを設けた微小試料捕集具であって、ループ内に、エレクトロンスピニング法により、100〜200nmの微細径の合成繊維からなる網状物を形成した微小試料捕集具、その製造方法および該微小試料捕集具を用いた微小結晶構造解析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中のタンパク質結晶、生物細胞、菌株など微小な試料を捕集して、結晶のX線構造解析をしたり、試料を分析機器や顕微鏡に配置したり、移動させるための捕集具、その製造方法、及びその捕集具を使用する結晶構造解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線構造解析の一種であるX線回折法は、結晶などの原子の配列に関する情報を得る分析法で、有機、無機、金属材料の合成、物性、結晶構造などを研究する上で基本的な分析方法である。X線回折法では、試料に単色(波長λ)の細いX線束を当てると、試料中のある結晶粒子で面間隔dの格子面(hkl)が、入射X線に対してブラッグの式(2dsinΘ=nλ)を満足する角Θだけ傾いていたとすると、入射X線はこの格子面によって回折される。この面間隔dは一般に物質に固有の値で、1つの物質の持つ数個のdとそれに対応する回折X線の位相強度が観測できれば、その物質を同定することができる。
【0003】
タンパク質結晶などのX線構造解析には、以下の4つのステップがある。(1)試料の調製、(2)良質な結晶の作製、(3)データ処理(回折強度解析・位相決定)、(4)構造決定、である。後者の2つはハードウェア(検出器、コンピュータ)およびソフトウェア(各種プログラム)の普及により容易になった。したがって、今日ではタンパク質試料の調製、結晶化が重要な課題となっている。また高分解能結晶の条件は、結晶が大粒であること(ただし0.5mm以下)、構造が均一であることの2点である。
【0004】
タンパク質の結晶化には基本的には蒸気拡散が用いられる。タンパク質を含む沈殿剤(徐々に脱水していく試薬)の濃度が低いドロップを、沈殿剤の濃度が高い溶液(リザバー)と密閉空間に混在させる。すると蒸気拡散によって水がドロップからリザバーに移り、ドロップ内のタンパク質からは徐々に水が除かれつつ濃縮される。その結果、タンパク質は沈殿あるいは結晶になる。このような原理を利用する蒸気拡散法は、ドロップの保持する位置によってハンギングドロップ蒸気拡散法とシッティングドロップ蒸気拡散法に分けられる。
【0005】
タンパク質結晶のX線回折では、試料のX線損傷による測定データの劣化が問題となっている。これは、X線の照射によって試料中の水分子がイオン化し、これによって生成する水和ラジカルによってタンパク質分子が構造変化を起こすためである。その対策として試料を液体窒素温度付近で凍結する結晶試料凍結法が開発された。この方法によれば、試料は瞬時に凍結するので、試料中でのラジカル拡散を抑えることができ、試料の損傷を劇的に低減することが可能となった。試料である結晶の凍結を迅速且つ効果的に行うには、結晶が冷却ガスと直接接触すること、冷却された結晶への熱伝導がないこと、冷却ガス流に乱れがないこと、が要求される。そこで、溶液から成長させて調製した結晶を捕集する道具として、冷却ガスが結晶と直接接触し、結晶への熱伝導が小さくなるよう、タンパク質結晶が露出した状態で保持されるものが好ましい。
【0006】
従来、被測定試料を捕集するためのものとして、液面上に浮遊する厚さ100μ以下の超薄切片を電子顕微鏡用のグリッド面にしわが生じないように貼るため、支軸の先端に孔を明けた輪を有する用具(特許文献1)や、同じく液面上に浮遊する薄膜をすくい取り、そのまま透過型電子顕微鏡観察に供する治具(特許文献2)が知られている。しかしながらこの前者の用具はモリブデン鋼ないしステンレスからなり、後者の治具も金や銅のメッシュからなるもので、上記のX線構造解析用の試料の捕集には使用できない。
【0007】
液中で育成した粒径0.5mm以下の微小たんぱく質結晶をX線構造解析する場合には、図1に示されるようなナイロン樹脂製のループ(商品名「クライオループ」、Hampton Research社製)が用いられていた。操作者は、顕微鏡で観察しながら該ループに液体の膜を形成すると共に、形成した液膜の表面張力を利用して微小結晶をループに形成した液膜に捕集し、捕集された微小結晶はX線の解析精度を上げるため冷却ガスを接触させてループごと瞬間凍結する。ループの素材はループからのX線の散乱が少なく、しかも熱伝導が小さいナイロンなどの高分子が用いられている。この器具を使用すれば、タンパク質結晶に損傷を与えることなくX線解析に供することができ、精度の高い解析が可能となる。
【特許文献1】実全昭62−191058号
【特許文献2】特開2002−122524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような捕集具は構造が簡単であり、微小な結晶を損傷することなく捕集することができ、効率よく結晶を冷凍できる点で優れているが、ループに形成した液膜に微小結晶を捕集するには操作者の熟練した技術を必要とし、またせっかく捕集しても液膜は非常に破壊しやすいので、凍結の際、寒冷ガスのわずかな乱れによっても液膜が破壊し、結晶が落下してしまうという問題があり、この器具を利用する結晶の捕集は収率が悪かった。
また、微小結晶の捕集効率を上げるため、ループに換えてろ紙などを使用することが考えられるが、X線の散乱が生じるため、X線回折時のノイズが増加してしまうという問題があり、また微小結晶周囲に十分通気させることができず急速に結晶を冷却できないという問題があった。
本発明は、上記のような問題にかんがみ、誰でも容易、且つ確実にしかも微小結晶を損傷することなく捕集し、そのまま結晶を効率よく冷凍でき、X線構造解析に悪影響を及ぼすことがない構造が簡単な捕集具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、結晶の冷却効率を維持し且つ結晶の落下を防止するためには、冷却ガスを速やかに通し、しかもタンパク質結晶を通さないような網状物をループ内に作製すればよい点に着目し、ループ内に高分子のナノオーダー径の極細繊維網状物を形成させれば、微小な結晶を確実の捕集できるとともに、冷却ガスの通気性がよく熱伝導も小さいので、冷却効率の低下がほとんど見られず、しかも高分子の膜であれば低散乱でありX線解析精度を損なわないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
以上、蛋白質の微小結晶の捕集について説明したが、本発明の試料捕集具は、これに限られることなく、蛋白質結晶と同様に損傷しやすい生物細胞、菌株などの微小な試料を捕集し、分析機器や顕微鏡に配置したり、移動させるための捕集具として使用できることはいうまでもない。
【0011】
本発明の微小試料捕集具を図面で説明する。図2において本発明の微小試料捕集具1は、使用者が把持するグリップ2の先端部にループ3を形成し、該ループ3内に100〜200nmの微細径の合成繊維からなる網状物4を形成したものである。
本発明は、以下の構成からなる。
(1)グリップの先端部にループを設けた微小試料捕集具であって、ループ内に、100〜200nmの微細径の合成繊維からなる網状物を形成した微小試料捕集具。
(2)合成繊維がナイロンである(1)の微小試料捕集具。
(3)グリップおよびループが、合成樹脂の一体成型体である(1)の微小試料捕集具。
(4)グリップの先端部にループを設けた微小試料捕集具のループ部に、エレクトロスピニング法により100〜200nmの微細径の合成繊維からなる網状膜を形成する微小試料捕集具の製造方法。
(5)合成繊維がナイロンである(4)の微小試料捕集具の製造方法。
(6)(1)ないし(4)のいずれかの微小試料捕集具により溶液中のタンパク質の微小結晶を捕集し、X線構造解析装置で該タンパク質の結晶構造を解析することを特徴とする、タンパク質の結晶構造解析方法。
(7)解析するに先立ち、予めタンパク質の微小結晶を冷凍することを特徴とする、(6)の結晶構造解析方法。
(8)X線構造解析がX線回折である、(6)または(7)の結晶構造解析方法。
【0012】
ループ内に高分子のナノオーダー径の極細繊維網状膜を形成させるには種々のナノ紡糸技術が適用可能であるが、特にエレクトロスピニング法により形成することが好ましい。エレクトロスピニング法とは、電解中で高分子ナノファイバを作製するナノ紡糸法であり、この方法によれば、常温・常圧下で、直径数十ナノメートルから数マイクロメートルのファイバを、基板を選ばずにどこでも作製することが可能であり、しかも繊維層の厚さ、繊維の太さを簡単に制御できる。
【0013】
エレクトロスピニング法では、シリンジに入れた高分子溶液に10kV以上の高電圧を印加して、電界中に溶液を飛散させてナノファイバを作製することができる。
エレクトロンスピニング法の略図を図3に示す。電界の無いとき、高分子は溶液中でランダムに分散しているが、電圧が印加された電解中にスプレーされた高分子は溶液中で高分子鎖が配向し、互いに凝集する。スプレー中に溶媒は蒸発し高分子鎖はさらに凝集してファイバを形成される。一方、電界中にスプレーされて細かい霧となった溶液は、溶媒の揮発により急速に表面積が大きくなり、霧同士が互いに反発し、らせん状に飛散する。
エレクトロスピニング法の詳細は、「ナノファイバーテクノロジーを用いた高度産業発掘戦略」(2004.2.29,株式会社シーエムシー出版発行)を参照されたい。
【0014】
この方法によれば、高分子の種類や分子量、溶液の濃度、溶液飛散距離によって、ファイバ径、ファイバ形状が変化し、上述したように数十ナノメートルから数マイクロメートル径のファイバを作製することが可能である。
このようにエレクトロスピニング法は、紡糸工程が簡単であること、繊維の厚さが薄膜から不織布まで制御できるという利点を有し、製造された繊維状物品はこれまで微生物の培地や止血材としての用途が知られているが、微小試料の捕集具への適用は知られていない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エレクトロスピニング法によりループ内の網の空隙を自在に制御できるので、あらゆるサイズの微小試料を効率よく捕集できる試料捕集具を簡単に作成することができる。
また、従来法では、捕集すべき試料の大きさにより、種々の大きさのループを用意しなければならなかったが、本発明の微小試料捕集具では、ループ内に空隙が試料より細かい網状物を形成すればよく、異なる大きさのループを用意する必要がない。
さらに、本発明の微小試料捕集具を使用すれば、ループ内に形成した極細繊維の網状物によって、特別な技術を必要としないで誰にでも簡単に収率よく微小試料を捕集することができ、さらに捕集された結晶は極細繊維の網状物によって保持されているので、冷却ガスが結晶体全体と接触し、効率よく結晶体を冷凍することができ、しかも網は高分子で作製されているので、X線の分散が少なく、そのまま精度よく結晶構造を解析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の微小試料捕集具は、保持部の先端に1〜5mm径のループ状枠体を有し、該枠体内にエレクトロスピニング法により高分子のナノファイバからなる網状物を形成したものである。枠体および保持部は、結晶構造解析にそのまま使用する場合は高分子の樹脂から一体成型することが好ましく、特にナイロンが好ましい。また、単に試料の捕集だけに使用されるのであれば、金属その他の材料で作製することも可能である。
【0017】
枠体にエレクトロスピニング法により高分子のナノファイバからなる網状物を形成するには、以下のように行う。
5〜30cm離間させて電極とシリンジを配置し、これらの間に5〜30kVの電圧原を接続する。
高分子を溶媒に溶解し5〜25wt%のファイバ材料溶液を用意してシリンジ内に収容し、シリンジに対向する電極面近接して前記枠体を配設した状態でシリンジと電極間に5〜30kVの電圧を印加すると、シリンジからファイバ材料溶液が導出飛散し、枠体内に100〜200nm径の極細繊維が交差するように接合した網状物が形成される。
【0018】
ファイバ材料としては、汎用の高分子材料の中から適宜選択され、フィブロアスベスト混合絹様高分子(SLPF)、絹(N.Clavipes絹,B.Mori絹,絹フィブロイン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリピロリドン(アイソタチック、アタクチック)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリベンゾニトリル(PBI)、ポリカプロラクタム(PCL)、ポリε−カプロラクタム、l−ラクチド−ε−カプロラクタム共重合体、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ナイロン6、PA−66、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート(PVAc)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(PEVA)、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリアクリルアミド(PAAm)、PLGA、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、コラーゲン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェロセニルジメチルシラン(PFDMS)などが使用し得るが、その中でも強度や低X線散乱性の点からナイロンが好ましい。
【0019】
ファイバ材料を溶解する溶媒としては、上記の高分子を溶解するものであれば種類を問わないが、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、CaCl/エタノール/水、DMAA、TFA/MC、DMF、THF、THF/DMF、DMAc、DMF/THF/イソプロパノール、クロロホルム/メタノール、アセトン、ジメチルホルムアルデヒド、メチレンクロライド、ジクロロメタン、ギ産、IPA/水(7:3)、エタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、DMF/ジメチルアセトンなどが挙げられる。
【0020】
シリンジと電極の間隔は5〜30cm離間させるが、5cm未満では液滴が充分分散されないまま付着してしまい好ましくなく、30cmを超えると繊維が届かず収率が低下する。
【0021】
シリンジと電極間に5〜30kVの電圧を印加するが、電圧が5kV未満では繊維が届かず収率が低下し、30kVを超えると所望の網目構造が形成されない。
【0022】
ファイバ材料溶液の濃度は5〜25wt%で使用されるが、5wt%未満の濃度では液滴が大きくなりすぎ液滴が充分分散されないまま付着してしまい好ましくなく、25wt%を超えると粘度が高くなりすぎ収率が低下する。
【実施例】
【0023】
リゾチウム結晶の調製
リゾチウムは純度の良いタンパク質が安価に手に入れられ、かつ比較的簡単に質の良い結晶が得られるので、結晶化の練習やX線回折実験装置のテスト用のサンプルとして広く用いられている。
ハンギングドロップ蒸気拡散法によるリゾチウムの結晶化手順は以下のとおりである。
1)pH=4.7の酢酸ナトリウム緩衝溶液を調整。
I.純水50mlに1.361gの酢酸ナトリウムを溶解する。
II.0.572mlの氷酢酸を50mlの水に溶かす。
III.IおよびII液を0.22μmのミクロフィルタでろ過する。II液をI液に加えてpH=4.7に調製する。
2)NaCl溶液の調製:1)のIで調製した酢酸ナトリウム緩衝溶液にNaClを加えて、30mlの
10%(w/v)NaCl溶液を調製する。
3)市販の卵白リゾチウムの溶解:リゾチウム10mgを200μlの酢酸緩衝溶液に溶解する
(タンパク質濃度は50mg/mlになる)。不溶性の不純物を取り除くために、4℃、
10000rpmで10分程遠沈する。
4)蛋白質結晶化用プレートを用いて、ハンギングドロップの調製処理を行う。
5)2)で調製したNaCl溶液を適宜希釈し、2,3,4,5,6%の沈殿剤溶液を作製
し、リザーバー部に入れる。
6)10μlのリゾチウム溶液と各リザーバー溶液10μlを混合してドロップを作る。
7)出来あがったハンギングドロップは18℃程度の静かな部屋に放置する。1日から数日
で正方晶の結晶が得られる。
【0024】
微小試料捕集具の作製
微小試料捕集具のループ内に、エレクトロスピニング法によりナイロンナノファイバの網状物を形成する方法を以下に示す。
(ファイバ材料)
・ ナイロン6 (Polycaprolactam)
・ ギ酸(Formic acid 98%)
ナイロン6試薬を15wt%でギ酸溶媒に、室温で攪拌して溶解させる。これをファイバ材料溶液とした。
(ファイバの作製)
以下のエレクトロスピニング条件で、ループ内にファイバを作製した(図4)。
・ 電圧:25kV
・ スプレー距離:15cm
・ スプレー時間:5min
形成されたナイロン6ファイバは100〜200nm径であり、ファイバがランダムな方向で重なり合い、それぞれの交点で繊維が接合している網状物が形成された。
【0025】
リゾチウム結晶の捕集
上記のごとく作製した捕集具を用い、上記のごとく調製した蛋白質結晶化用プレート内のリゾチウム結晶を捕集した。捕集の様子を光学顕微鏡で観察した写真を図5に示す。
【0026】
リゾチウム結晶の構造解析
X線回折装置のゴニオメータヘッドに対向して、低温装置からの低温窒素ガスのノズルを配置する。ノズルの出口をブロックした状態で、リゾチウム結晶を捕集した本発明の微小試料捕集具をそのままゴニオメータヘッドにマウントし、前記ノズルのブロックをすばやく引き抜き、ノズルから噴出される低温窒素ガスにより、本発明の微小試料捕集具に捕集したままリゾチウム結晶を急速冷凍させる。次いで、結晶のセンタリングを行った後、X線回折を行った。
【0027】
本方法によれば、蛋白質の微小結晶をナノオーダーのナイロン製網状物で捕集するので、誰でも確実に捕集することができ、また、従来法のように液膜が存在しないのでX線の吸収がなく、さらに本発明の捕集具は非晶質のナイロン製なので、従来法と同等かそれ以上の精度で構造解析をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
現在、遺伝子工学分野におけるタンパク質立体構造情報や、生物細胞、菌株の解析や観察の需要拡大に伴い、効率的な微小試料の捕集具の需要が拡大している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来から使用されているループを有する微小試料捕集具の写真
【図2】本発明の微小試料捕集具
【図3】エレクトロスピニング法の概略図
【図4】本発明の微小試料捕集具の製造工程
【図5】本発明の微小試料捕集具でリゾチウム結晶を捕集した写真
【符号の説明】
【0030】
1:微小試料捕集具
2:グリップ
3:ループ
4:網状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップの先端部にループを設けた微小試料捕集具であって、ループ内に、直径100〜200nmの合成繊維からなる網状物を形成した微小試料捕集具。
【請求項2】
合成繊維がナイロンである請求項1記載の微小試料捕集具。
【請求項3】
グリップおよびループが、合成樹脂の一体成型体である請求項1記載の微小試料捕集具。
【請求項4】
合成樹脂がナイロンである請求項3記載の微小試料捕集具。
【請求項5】
グリップの先端部に設けたループ部に、エレクトロスピニング法により100〜200nmの微細径の合成繊維からなる網状物を形成する微小試料捕集具の製造方法。
【請求項6】
合成繊維がナイロンである請求項5記載の微小試料捕集具の製造方法。
【請求項7】
X線構造解析装置でタンパク質の結晶構造を解析する方法において、請求項1ないし4のいずれかに記載の微小試料捕集具を使用して溶液中のタンパク質の微小結晶を捕集することを特徴とする、タンパク質の結晶構造解析方法。
【請求項8】
解析するに先立ち、予めタンパク質の微小結晶を冷凍することを特徴とする、請求項7記載の結晶構造解析方法。
【請求項9】
X線構造解析がX線回折である、請求項7または8記載の結晶構造解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−234386(P2006−234386A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44950(P2005−44950)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(502435454)株式会社SNT (33)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】