説明

微小試料採取装置

【課題】
本発明の目的は、半導体ウェハ等の表面や内部にある異物や欠陥などをTEMもしくはSTEMで観察や分析など解析するために加工された薄片試料を迅速に採取することに関する。
【解決手段】
本発明は、TEM/STEM試料作製の全体工程を、FIBを利用した微小試料の加工作業と、微小試料の採取及び試料ホルダへの移設作業と、を別の装置で行い、微小試料の加工作業と、微小試料の採取作業と、を並行して行うことに関する。好ましくは、キャリアにおいて微小試料を設置する箇所を液体とすると、採取具に付着した微小試料を確実、且つ迅速にキャリアに移設できる。本発明によれば、事前に集束イオンビーム装置で試料上に作製された微小試料を迅速に採取し、キャリアに設置することができるため、1個の試料を加工するためのFIB装置の占有時間が短縮し、試料作製効率が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小試料採取装置に係る。例えば、透過電子顕微鏡(以下、「TEM」)又は走査型透過電子顕微鏡(以下、「STEM」)で解析するために、ウェハや半導体チップなどの試料上に、集束イオンビーム加工により形成された薄片の微小試料を採取して、微小試料キャリアに設置する微小試料採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(以下、「TEM/STEM」)用の試料作製方法として、リフトアウト法が知られている。この方法は、集束イオンビーム装置の試料室内で、試料の一部に薄片状の微小試料を加工し、その試料を集束イオンビーム(以下、「FIB」)装置から搬出し、光学顕微鏡下で、先鋭化したガラス棒によって微小試料を静電吸着によって拾い上げて、炭素系の乾燥薄膜を張ったキャリアに付着させる。リフトアウト法のうち、ウェハなどの試料上に微小試料を作成する方法について、図2で説明する。図2(a)は上面図であり、試料を上方から見た図であり、FIBは紙面に垂直に照射される。図2(b)は、図2(a)の領域を側面の斜め上から見た図である。図2(c)は図2(a)の横断面図である。
【0003】
FIB試料加工装置の真空試料室内に設置した試料2に対して、異物や欠陥などの解析すべき箇所を挟んで両側の領域にFIB61を走査させる。図2(a)において、試料2上の隣接した領域62A,62BにFIBを照射して加工すると、領域62A,62Bに挟まれた狭い部分が、その後に採取される微小試料5となる。照射領域62A,62Bに挟まれた部分は、厚さ100nm程度、もしくはそれ以下の薄さである。なお、図2のFIB61に重ね描きした両矢印はFIBを走査している様子を示している。この時の横断面を見た図2(c)において、FIB61は領域62A,62Bに照射されるが、その時に発生するスパッタ粒子が照射領域の一部に堆積して底部が傾斜し、微小試料5となる部分はほぼ垂直に立つ薄片となる。ここで、試料を傾斜させるか、照射方向を傾斜させたFIB61Bで微小試料5の底部を照射して溝64を形成する。同様に、図2(b)のように斜め方向(FIB61B照射方向)からFIB61Bを微小試料5の両側に照射して、試料2との間に溝63,65を形成する。
【0004】
このような加工により、微小試料5は、支持部66を残して3辺の溝63,64,65によって試料2と分離された状態になり、リフトアウト法で摘出される微小試料ができる。その後、FIB試料加工装置の真空試料室から試料を取り出し、大気中の光学式顕微鏡の下に試料を置く。光学式顕微鏡で観察しながら先鋭化したガラス棒(図示略)で微小試料5を押し付けると支持部66は破損し、試料から分離すると共に、静電気力によって薄片試料はガラス棒に吸着する。
【0005】
この薄片の透過電子顕微鏡試料を貼り付け、観察に供していた。リフトアウト法は、これら多数の矩形孔や円形孔にコロジオンなど高分子有機薄膜を塗布し、乾燥した高分子有機薄膜上に付着して観察試料が完成する。これが従来のリフトアウト法である。
【0006】
この方法は、例えば、エル・エー・ジアヌジー(L. A. Giannuzzi)らが、マテリアルズ・リサーチ・ソサイティー・シンポジウム予稿集,480巻,1997年(Materials Research Society Symposium Proceeding, Vol.480, 1997)の第19頁から27頁に、“Focused Ion Beam Milling and Micromanipulation Lift-out for site Specific Cross-Section TEM Specimen Preparation.”(非特許文献1)と題した論文で説明している。
【0007】
キャリアに張られた乾燥薄膜上に吸着した微小試料は、TEMもしくはSTEMで透過顕微鏡像として微細部分を拡大観察できる。
【0008】
TEMもしくはSTEMの試料作製方法で、別の方法としてマイクロサンプリング法が知られている。マイクロサンプリング法は、微小試料をFIBで加工し、同じ試料室内で摘出から試料ホルダへの固定、TEM観察用の薄片試料加工まで一貫して、真空試料室内で行っている。マイクロサンプリング法に関しては、例えば、梅村らが1999年の日本電子顕微鏡学会第55回学術講演会発表要旨集(1999年5月18日から21日開催)の82頁に『TEM試料作製のためのマイクロンサンプリング法』(非特許文献2)と題して発表している。また、再公表特許WO99/05506号(特許文献1)には上記マイクロサンプリング法の基となる試料作製方法と装置についての基本的な考え方,方法,装置について開示されている。
【0009】
【特許文献1】再公表特許WO99/05506号
【特許文献2】国際公開公報WO2007−083756号公報
【非特許文献1】Materials Research Society Symposium Proceeding, Vol.480, 1997, p.19-27. “Focused Ion Beam Milling and Micromanipulation Lift-out for site Specific Cross-Section TEM Specimen Preparation”.
【非特許文献2】日本電子顕微鏡学会第55回学術講演会発表要旨集、1999年、82頁 『TEM試料作製のためのマイクロンサンプリング法』
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のリフトアウト法では、薄片状の微小試料を高分子有機薄膜上に貼り付ける際に、ガラス棒先端に吸着した微小試料が容易に高分子有機薄膜上に貼り付かないという課題を有していた。このため、微小試料を高分子有機薄膜上に貼り付けるために長時間を要したり、高分子有機薄膜がプローブによって突き破られたり、高分子有機薄膜の弾力性のために微小試料が弾き飛ばされたりし、TEMやSTEMによる解析が満足に行える成功率が低かった。
【0011】
一方、マイクロサンプリング法は、試料から微小試料の摘出,試料ホルダへの固定,TEM/STEM観察用の薄片加工まで、FIBの装置内で一貫して加工する方法である。本方法では、微小試料の摘出と、微小試料の試料ホルダへの固定とを同じFIB装置の真空試料室内で行うため、微小試料固定時には、微小試料の摘出作業ができず、FIBを効率的に使えていなかった。つまり、1個のTEM/STEM試料を作製するためにFIB装置を占有する時間が長いという問題があった。
【0012】
本願発明者が現状を鋭意検討した結果、FIB装置の占有時間を短縮しつつ、TEM/STEM試料の作製成功率が高いTEM/STEM試料の作製方法、及び装置というシーズを見出した。
【0013】
本発明の目的は、半導体ウェハ等の表面や内部にある異物や欠陥などをTEMもしくはSTEMで観察や分析など解析するために加工された薄片試料を迅速に採取することに関する。
【0014】
また、本発明の別の目的は、半導体ウェハ等の表面や内部にある異物や欠陥などを迅速に検査解析できる検査解析システムを提供することに関する。尚、TEM/STEMによる解析とは、観察や元素分析,計測などである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、TEM/STEM試料作製の全体工程を、FIBを利用した微小試料の加工作業と、微小試料の採取及び試料ホルダへの移設作業と、を別の装置で行い、微小試料の加工作業と、微小試料の採取作業と、を並行して行うことに関する。好ましくは、キャリアにおいて微小試料を設置する箇所を液体とすると、採取具に付着した微小試料を確実、且つ迅速にキャリアに移設できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事前に集束イオンビーム装置で試料上に作製された微小試料を迅速に採取し、キャリアに設置することができるため、1個の試料を加工するためのFIB装置の占有時間が短縮し、試料作製効率が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施例では、ウェハを含む試料を載置する試料ステージを内蔵する試料室と、この試料に加工された微小試料を採取する採取具を試料室内で動作させる採取具移動機構と、採取された微小試料を載置するキャリアと、少なくとも試料や採取具,キャリアを拡大して見る光学式顕微鏡と、少なくとも採取具や採取具移動機構,キャリア,光学式顕微鏡を搭載して採取具が上記試料面の任意の位置に面内移動できる顕微鏡移動機構と、少なくとも採取具移動機構と上記移動機構を制御する計算処理機とを少なくとも有する微小試料採取装置を開示する。
【0018】
また、実施例では、試料を載置する試料ステージと、試料に形成された微小試料を採取する採取具と、採取した微小試料を載置して透過電子顕微鏡もしくは走査透過電子顕微鏡に導入するキャリアと、試料,微小試料,採取具、及びキャリアを拡大して見る顕微鏡と、試料ステージ,採取具、及びキャリアを内蔵する試料室と、を備え、試料室内にて試料から採取した微小試料をキャリアに移設する微小試料採取装置であって、キャリアは、液体を保持する開口を有し、試料から採取した微小試料を液体に保持するように構成された装置を開示する。
【0019】
また、実施例では、微小試料を液体の表面に吸着させて微小試料をキャリアに保持することを開示する。
【0020】
また、微小試料を液体に浸漬させて微小試料をキャリアに保持することを開示する。
【0021】
また、キャリアが、透過電子顕微鏡または走査型透過電子顕微鏡に搭載可能な試料ホルダに着脱可能なキャリアホルダ上に載置でき、当該キャリアホルダは試料室内のキャリアホルダ移動機構に着脱可能であることを開示する。
【0022】
また、液体が、イオン液体であることを開示する。
【0023】
また、イオン液体が、室温の真空環境にて実質蒸発しない液体であることを開示する。
【0024】
また、イオン液体の融点が10℃以下であることを開示する。
【0025】
また、イオン液体のアニオンまたはカチオン部位のいずれかが有機イオンであることを開示する。
【0026】
また、イオン液体が、テトラフルオロホウ酸ブチルメチルイミダゾリウム、又はブチルエチルメチルイミダゾリウムであることを開示する。
【0027】
また、顕微鏡が、光学式顕微鏡,走査電子顕微鏡又は走査イオン顕微鏡であることを開示する。
【0028】
また、顕微鏡が、液体金属イオン源もしくは電界電離ガスイオン源を用いた集束イオンビームによる走査イオン顕微鏡であることを開示する。
【0029】
また、顕微鏡が光学式顕微鏡であり、試料室が、乾燥空気,窒素、又は不活性ガスで実質的に満たされていることを開示する。
【0030】
また、採取具は、採取される微小試料と面接触する平面部を有し、平面部が、ガラス,金属、又はシリコンで形成されていることを開示する。
【0031】
また、試料を拡大して観察する第1の顕微鏡と、キャリアを拡大して見る第2の顕微鏡と、採取具,キャリア、及び第2の顕微鏡を搭載し、採取具を試料面の任意の位置に移動できる顕微鏡移動機構と、顕微鏡移動機構を制御する計算処理機と、を有することを開示する。
【0032】
また、試料は、集束イオンビームにより微小試料が当該試料から離脱する直前まで加工されていることを開示する。
【0033】
また、キャリアは略矩形板であり、当該略矩形板の直交する2辺に平行な2辺に沿って複数個の開口が配列されていることを開示する。
【0034】
また、開口のそれぞれには互いの開口を区別する認識アドレスと、キャリアを所定位置に移動させるキャリアホルダ移動機構と、認識アドレスの指定に基づいて、指定された開口が顕微鏡の視野内となるようにキャリアホルダ移動機構を動作させる計算処理機と、を備えることを開示する。
【0035】
また、計算処理機が、試料に予め形成された微小試料のうち指定された微小試料の座標に基づいて試料ステージを移動させ、微小試料を顕微鏡の視野内に移動させる微小試料位置出しを行うことを開示する。
【0036】
また、キャリアの顕微鏡画像にキャリアにある開口を特定するアドレスを表示するディスプレイを備えることを開示する。
【0037】
また、ウェハの表面もしくは内部の異物や欠陥を検査するウェハ検査装置と、ウェハに集束イオンビームを照射して、ウェハの異物や欠陥を含む微小試料をウェハに形成する集束イオンビーム試料作製装置と、ウェハに形成された微小試料を採取してキャリアに載置する微小試料採取装置と、キャリアに載置した微小試料を解析する透過電子顕微鏡又は走査型透過電子顕微鏡と、を含む検査解析システムにおいて、ウェハ検査装置,イオンビーム試料作製装置,微小試料採取装置、及び透過電子顕微鏡もしくは走査型透過電子顕微鏡が、ウェハの異物や欠陥の少なくともウェハ上の存在位置を共有することを開示する。
【0038】
また、ウェハの表面もしくは内部の異物や欠陥を検査するウェハ検査工程と、ウェハに集束イオンビームを照射して、ウェハの異物や欠陥を含む微小試料をウェハに形成する試料作製工程と、ウェハに加工された微小試料を採取してキャリアに載置する微小試料採取工程と、微小試料を載置したキャリアを透過電子顕微鏡、又は走査型透過電子顕微鏡に搭載して観察を行う解析工程と、を含む検査解析方法を開示する。
【0039】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。なお、本発明の技術的範囲は実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。特に、各実施例は、適宜組合せることができる。
【実施例1】
【0040】
図1は、微小試料採取装置の一実施例であって、装置断面の概略構成図である。
【0041】
微小試料採取装置1Aは、ウェハなどの試料2を載置する試料ステージ3,少なくとも試料ステージ3を内蔵する試料室4,試料2からTEM/STEMの観察試料である微小試料5を採取する採取具6,この採取具6を微動させる採取具移動機構7,試料2から採取した微小試料5を載置してTEM/STEM装置内に導入されるキャリア8,少なくとも試料2や微小試料5やキャリア8を拡大して見る顕微鏡11,この顕微鏡11やキャリア8や採取具移動機構7が一体となって、顕微鏡11で試料面全体を観察できる範囲に移動できる顕微鏡移動機構12,少なくとも採取具移動機構7や顕微鏡移動機構12を制御すると共に顕微鏡画像を保存する計算処理機13等から構成されている。
【0042】
試料ステージ3は、事前に集束イオンビーム装置(図示せず)などで分離直前もしくは分離された状態まで加工された微小試料5を有するウェハなど、採取を受ける試料2が載置される。本実施例の場合、試料ステージは移動機構を有せず固定されていて、後で示すように、採取具6が顕微鏡11と共に水平面内に移動でき、ウェハの任意に位置にアクセスできる。
【0043】
試料室4は、試料ステージ3や採取具6,キャリア8を内蔵する。観察手段が光学顕微鏡であるため、電子顕微鏡のように試料室4の内部を必ず真空状態にする必要はない。勿論、真空であってもよいが、別に真空排気設備が必要になる。本実施例では、試料室内を異物や微細塵をフィルタ除去した乾燥空気,窒素、もしくはアルゴン,ネオンなどの不活性ガスで充満させ、試料や微小試料への異物付着,酸化や変質を防いだ。
【0044】
採取具6は、微小試料採取装置1Aへの導入前に事前に形成された微小試料5を試料2から採取してキャリア8に移設する道具である。微小試料5と接する部分は面接触するように平面に加工されている。接触して採取された微小試料の保持姿勢が安定となり、キャリア8への移設が容易となるためである。また、採取具6と微小試料5とを静電力もしくは原子間力で吸着させると、両者を接着するための特別な接着剤を用いる必要はない。採取具6の先端部は、採取具移動機構7によって、サブμmオーダーで微細に3次元方向に移動でき、採取具移動機構7を搭載した顕微鏡移動機構12によって、300mmウェハ全面の任意の位置にある微小試料5に接触できる。
【0045】
キャリア8は、試料2から採取した微小試料5を移設する部材で、詳細は以下の別項にて説明する。キャリア8はキャリアホルダ9に搭載し、試料室4のキャリアホルダ搬入出口17を通じて顕微鏡移動機構12に装着でき、キャリア8は顕微鏡11の視野範囲に入る。キャリア8に移設された採取後の微小試料5は、キャリアホルダ9に搭載されて試料室4から排出,回収され、TEMやSTEMの試料ホルダ(図示略)の先端部に装着され、TEMやSTEMに導入できる。このため、採取された微小試料5は容易に迅速にTEMやSTEMで解析できる。顕微鏡11は、試料2表面や微小試料5の採取状況を観察するための道具で、光学式顕微鏡である。光学式顕微鏡には、レーザ顕微鏡や共焦点顕微鏡なども含まれる。また、微小試料採取の全工程をリアルタイムで監視する必要はなく、共焦点顕微鏡を利用して、必要に応じて焦点深度の深い三次元画像を得て、試料,採取具,微小試料,キャリアなどの位置関係を正確に把握するように構成してもよい。なお、顕微鏡11の光検出器で受光した観察画像信号は計算処理機13に送られ、ディスプレイ14に表示されるため、操作者が顕微鏡本体を覗き込む必要はない。
【0046】
顕微鏡移動機構12は、採取具6,採取具移動機構7,キャリア8,顕微鏡11が一体化され、試料ステージ3に対して相対的に移動する機構である。つまり、試料ステージ3が固定されていて移動しないため、採取具6や顕微鏡11などが一体で試料表面に平行に移動できる。また、顕微鏡は少なくとも高さと位置の異なる試料とキャリアと見なければならないので、観察位置の制御,焦点制御もこの顕微鏡移動機構で行える。このような装置構成によって、顕微鏡が固定され試料ステージが移動する構成よりも試料室を小さくすることができる。
【0047】
計算処理機13は所謂コンピュータであって、試料ステージの制御,顕微鏡の移動や焦点合わせ制御,採取具移動機構7,顕微鏡移動機構12の制御を司るとともに、顕微鏡11からの画像情報を収集,記憶し、ディスプレイ14に試料などの画像を表示するなどの処理を行う。顕微鏡移動機構12の移動に際しは、別の検査装置や試料作製装置において、対象ウェハの欠陥位置(座標情報)や微小試料の加工位置などの情報を記録した欠陥ファイルを読み取ることができ、必要に応じてディスプレイ14に表示できるため、試料作製装置で作製された微小試料の存在箇所を迅速に顕微鏡下に移動できる。なお、計算処理機にはキーボード,マウス,ジョイスティックなど一般に知られた入力装置が付属してもよい。
【0048】
次に、本発明による微小試料採取装置の構成部品のうち特徴的な部品について詳述する。
【0049】
[1]採取具
図1に示した微小試料採取装置1Aにおける採取具6による微小試料の採取の様子を図3に示す。
【0050】
図3(a)において、採取具6は微小試料5と面接触するように先端に接触平面6Aを有する。先端の接触平面6Aの面積は5μm2程度で、採取に際しては、この接触面が、微小試料の加工面が平行になるように試料ステージを回転調整させる。先端部の面加工は、別装置である集束イオンビームで加工できる。素材はタングステンやモリブデンなどの金属,シリコンのような半導体,ガラスのような絶縁物でもよい。
【0051】
採取具6は、図3(b)のように徐々に試料2に接近させ、採取される微小試料5に接触させ、やや微小試料を押すように採取具6を少し前進させると支持部が破断して微小試料5は試料から完全に分離する。次に、図3(c)のように、分離後、採取具6を徐々に上昇させるか、試料ステージを徐々に降下させて試料2と微小試料5を完全に離間させることにより、所望の微小試料5を採取することができる。
【0052】
予め採取具6の移動距離を設定しておくことにより、採取具移動機構7を動作させると、採取具6先端の接触面を微小試料5の加工面の直近まで高速で移動でき、その後、微速で容易に接触できる。
【0053】
なお、採取具6は、上記のプローブ形状に限定される必要はなく、微細なピンセット機構でもよい。
【0054】
[2]採取具移動機構
採取具移動機構7は、採取具6を微小試料5に接近させたり、微小試料5をキャリア8に移設させたりするために、採取具6を微小に動作させる装置である。顕微鏡画像を基に、所望の位置に採取具6を微調整する。具体的には、試料表面(水平面)のXY移動とその垂直方向のZ移動を1μm以下の移動分解能で移動できる。また、採取具を使用しない時には、試料や他の構成部品に不意の接触をしないようにmm単位で退避動作も行える。
【0055】
[3]キャリア
キャリア8は、ウェハなどの試料2から採取した微小試料5を載置する部材である。図4を用いて説明する。ここでは、キャリア8の基板となる部分を基板51,予め設けられた貫通穴を開口52と呼ぶ。基部は従来のキャリア同様厚さ20μm程度で、金属もしくは炭素などで作成されている。開口は円形,矩形,長円などの貫通孔で、直径もしくは1辺の長さが数μmから数100μmの大きさである。
【0056】
TEM/STEMにおけるキャリアの外形は、従来、直径3mmの円形と規格化されていたが、本発明の微小試料採取装置においては、後に続くTEM/STEMに、キャリアホルダが共通して導入できるため、キャリアホルダに載置されるキャリアの外形状は規格の円形である必要はない。図3に示す本実施例では、キャリア8を3mm×5mm、厚さは10μmの矩形形状とし、中央の2mm×2mmの領域に一辺50μmの正方形の開口52を格子状に配置した。なお、素材は炭素である。キャリア8の全体形状を矩形とすることで、キャリアホルダに設置する際に、面内回転することがない。さらには、キャリア8の一部にノッチ53を設けておくことで、キャリア8のキャリアホルダ9への設置時の回転ズレが殆ど無くなり、キャリアホルダ9のX,Y微動方向と、開口の配列が一致し、特定の開口の位置出しを回転補正する必要がなくなり、迅速に正確に位置出しできる。なお、図4における、符号54は、開口群の原点(左下隅)であることをTEM/STEMで認識するための原点マークであり、この原点マーク54の直上にある中央マーク55のアドレスが(1,1)と定義される。また、符号55,56は、開口群の中央であることをTEM/STEM観察中に認識する中央マークである。たとえTEM/STEMに開口のカウント機能がなくても、原点マーク54や中央マーク55,56を頼りにすることで目的の開口に辿りつくことができる。
【0057】
本実施例のキャリア8における別の大きな特徴を図5で説明する。図5はキャリア8の一部分の断面であり、図5(a)は従来のキャリアの断面で、キャリア8は基板51と貫通孔である開口52から成る。本実施例の特徴は、図5(b)のように、開口52にイオン液体57が充填されていることである。従来のリフトアウト法では、キャリアにコロジオンやポリアクリルなどの有機薄膜を塗付し乾燥させ、開口を覆う乾燥した有機薄膜に静電気力で微小試料を吸着させていた。この従来法では、採取した微小試料を有機薄膜に吸着させる時に、有機薄膜の破れや、有機薄膜と微小試料の互いの静電気反発力による微小試料の飛散など、微小試料の移設への信頼性(成功率)が低かった。しかし、本実施例では開口52にイオン液体57を貯留しており、図(c)のように、採取した微小試料5はイオン液体57の表面に吸着した状態であっても、図(d)のようにイオン液体57中に浸漬していても観察上問題は無い。
【0058】
図6は、採取した微小試料をイオン液体に吸着させる手順を示す。採取具6に付着した微小試料5がキャリア基板51の表面、つまりイオン液体57の表面に平行になるように採取具6を調整して、イオン液体57に接近させる(図6(a))。次に、採取具6の位置を調整して徐々に微小試料5の面がイオン液体57に接触させる(図6(b))。採取具6と微小試料5の吸着力よりも、イオン液体57の表面張力による微小試料5の吸着力の方が強いため、微小試料5をイオン液体57に接触した瞬間に、微小試料5は確実に採取具6からイオン液体57、つまりキャリアに移設できる。その後、採取具6を退避させる(図6(c))。
【0059】
このような微小試料の保持形態であるため、微小試料を開口に接触させる際に採取具が膜を突き破ることは無く、イオン液体57の表面張力で微小試料5を吸着することと、イオン液体57が導電性であるために互いの静電反発力で微小試料5が飛散することが無いことなどの理由により、微小試料5はほぼ100%の成功率でキャリア8に移設でき、信頼性が向上する。なお、イオン液体57は少し多めに貯留されている様子を示しており、開口に保持されるイオン液体の量が多少増減していても、微小試料を保持する役割は果たす。
【0060】
なお、開口へのイオン液体の貯留方法は、キャリアを吸水紙の上に置き、キャリア面に精密注射器でイオン液体を極微量滴下することにより、粘性が低いイオン液体はキャリア全体に広がり、特に開口には毛細管現象により全ての開口にイオン液体が膜状に保持される。キャリア8の通常の取り扱いでは、保持されたイオン液体は表面張力によって流出することはない。開口52に貯留されるイオン液体57の液面は保持される液量の多少により、図5(c)のように凸状の場合や逆に凹状の場合があるが、微小試料の吸着や浸漬にとって大きな問題ではない。
【0061】
また、開口52に充填したイオン液体57はカチオンとアニオンから構成されているもので、本実施例では、テトラフルオロホウ酸ブチルメチルイミダゾリウムを用いた。また、イオン液体はブチルエチルメチルイミダゾリウムであっても同様の効果を有する。
【0062】
上述したキャリアの寸法や材質,イオン液体の成分は一例に過ぎず、これらの数値,元素に限定されない。
【0063】
以下に、開口にイオン液体を充填して、採取した微小試料を、そのイオン液体に吸着させるか浸漬させたキャリアをTEM/STEM観察する場合に生まれる利点を示す。従来のリフトアウト法に用いるキャリアには無い新たな効果が生まれることが判る。
(イ)イオン液体は導電性であるため液体面が帯電することがない。このため、微小試料 をキャリアに移設させようとして接近させても、微小試料と開口貯留したイオン液 体や基部との静電反発力で微小試料が飛散する事故は起こらない。また、TEM/ STEMで微小試料を観察する場合、長時間の電子ビーム照射であっても液体面が 帯電しないため、観察に不都合を発生しない。また、照射による発生熱はイオン液 体を通じて基部に熱放散するため、微小試料の熱変質がない。
(ロ)イオン液体は真空中で殆ど蒸発しないため、微小試料を付着状態が長期間保持され る。特に、イオン液体に吸着した微小試料は、必ずしも液体面に浮遊しているだけ でなく、液体膜内部に取り込まれる場合もあり、微小試料がイオン液体内部で保持 されると、キャリアを大気中で保管しても、微小試料が酸化,変質することがない 。また、融点が10℃以下のイオン液体を選択することで、微小試料の採取作業や 、TEM/STEM観察中においても微小試料は液体に保持されている。
(ハ)電子ビーム照射による微小試料の観察において、液中または液表面に在る微小試料 は流動しないために、長時間のTEM/STEM観察でも位置ズレせずに観察や分 析ができる。
(二)微小試料を保持部に付着させる際、採取部と微小試料の吸着力よりも、イオン液体 の表面張力による微小試料の吸着力の方が強いため、微小試料を保持部に接近させ たとき、微小試料は確実に採取具からキャリアに移設できる。
【0064】
[4]顕微鏡
図1における顕微鏡11は少なくとも試料2,試料2に加工された微小試料5,採取具6での微小試料5を採取する様子や、キャリア8を拡大して採取した微小試料5を載置する様子を観察するためのものである。この顕微鏡で観察した観察像は電気信号にして計算処理機13に送られ、保存,編集,画像処理,ディスプレイ14への表示などが行われる。また、観察位置の変更や焦点調整は顕微鏡11が有するそれぞれの駆動部を、ディスプレイ14を見ながら操作者がジョイスティックなどの入力装置で調整しても良いし、計算処理機13が有する画像処理機能で自動調整もできる。
【0065】
顕微鏡は、図1のように1台で試料やキャリアを見ること全てを観察してもよいし、以下の実施例で示す2台設置して観察箇所を分担してもよい。2台設置では装置の実装面で煩雑だが、観察位置の調整が手間取らないため便利である。ディスプレイでは第1顕微鏡画像と第2顕微鏡画像が切り替えられる。もしくは、採取の一連作業において、微小試料を採取具に吸着させて試料から離間したタイミングで、第1顕微鏡画像は第2顕微鏡画像に自動的に切り替わる。
【0066】
また、顕微鏡は走査電子顕微鏡や走査イオン顕微鏡でもよく、走査電子顕微鏡は二次電子像や放出されるX線分析が可能で、走査イオン顕微鏡は液体金属イオン源や電界電離ガスイオン源を用いた集束イオンビームによる二次電子像、二次イオン像表示が可能である。これらの顕微鏡を用いる場合は、試料室内を真空にする必要があり、排気系統を設置する。さらには、走査電子顕微鏡や走査イオン顕微鏡を複数設置してもよい。
【0067】
[5]顕微鏡移動機構
図1の顕微鏡移動機構12は、固定された試料(ウェハ)に対して顕微鏡を水平面内移動させる機構であって、試料が直径300mmや450mmのウェハであっても、ウェハ面の任意の位置を顕微鏡観察できるように水平面内を直交座標系で移動できる。この顕微鏡移動機構12は顕微鏡11の他に、少なくとも採取具6,採取具移動機構7,キャリア8を一体化して移動でき、採取具移動機構7は顕微鏡移動機構12の動作と独立して動作できる。顕微鏡の移動先は、例えば、検査装置や試料作製装置で得たウェハ上の微細欠陥や異物の存在位置,FIB加工を行った微小試料の存在位置を示す座標リストを計算処理機で読み取り、所望の箇所をディスプレイ14で指定することで、顕微鏡移動機構12が動作し、対象とする微細欠陥や異物を含む微小試料5が顕微鏡11の視野に入る。
【実施例2】
【0068】
本実施例は、微小試料採取装置の別の例であり、概略構成図を図7に示す。
【0069】
微小試料採取装置1Bにおける試料2を載置する試料ステージ3は、ステージ移動機構3Aによって水平(X,Y面)移動と回転動作が可能である。キャリア8は、TEM/STEMの試料ホルダ(図示略)の先端部に着脱可能なキャリアホルダ9に装填され、キャリアホルダ9はキャリアホルダ移動機構10によって、試料室4の容器壁にあるキャリアホルダ搬入出口17から出し入れできる。顕微鏡11を含む採取具6,採取具移動機構7,キャリア8,キャリアホルダ9は一体で試料室4の壁に固定され、移動しない装置構成である。但し、キャリアホルダ9を試料室4の容器壁にあるキャリアホルダ搬入出口17から顕微鏡直下まで移動できるキャリアホルダ移動機構10を有していて、キャリアホルダ9を顕微鏡11の視野内に移動できる。これにより、顕微鏡11は実施例1のように水平移動しないが、ウェハ全面の任意の箇所と、採取した微小試料5をキャリア8に所望の箇所に移設する様子を同じ顕微鏡11で観察方向をその都度変えることなく即座に観察できる。
【0070】
ここで、キャリアホルダ移動機構10について図7と図8を用いて詳述する。キャリアホルダ移動機構10は、顕微鏡視野内でキャリア開口52のうち微小試料を載置すべき所望の開口を顕微鏡の視野中心に位置出しできる機構である。キャリアホルダはキャリア8を搭載して、TEM/STEMに導入できる試料ホルダの先端部に着脱でき、微小試料採取装置の試料室内ではキャリアホルダ移動機構に装填される。キャリアホルダ移動機構は、顕微鏡移動機構もしくは顕微鏡支持部(図示せず)に設置され、顕微鏡微動機構の動作とは独立に微動できる。所望の開口をさらに正確に顕微鏡の視野中心に移動させるために微動部には圧電素子による微動機構を有している。
【0071】
キャリア8における開口のアドレスの定め方について説明する。図4に示したキャリアの一例において、原点マーク54直上の開口を原点とし、横並びをx座標、縦並びをy座標とし、x軸とy軸の開口の総数,開口の縦横1辺の長さ,開口の間隔を事前に計算処理機に登録する。このキャリアの基部は、エッチングもしくは電鋳で形成されているためサブミクロンの精度があり、バラツキは小さい。任意の開口のアドレスをディスプレイで入力すると、まず、キャリアホルダ移動機構10により原点マークが画像内に位置出しされ、画像認識により原点マークであることを認識し、開口の原点を基準にxとy方向に指定のアドレスによる各個数分だけ圧電素子の動作し、所望の開口が視野中心に位置出しされる。
【0072】
図8はディスプレイに表示されたキャリアであって、画像70には、キャリア8の顕微鏡画像と71と、x方向のアドレス(開口の個数)72とy方向のアドレス73が表示される。図8は、入力した所望の開口が顕微鏡視野中心に位置し、×マーク74で示され、アドレス(7,20)であることが確認できる。
【0073】
なお、微動機構を動作させて、x、y方向に微動させると、連動して各アドレス表示が変わる。
【0074】
また、その微小試料のウェハ上での採取座標、もしくはチップの認識番号もしくは、チップ上の座標などと対応付けて計算処理機に記録しておこくことで、TEMやSTEMで解析する際にウェハ位置と観察画像との対応が簡単に付くという利点がある。
【実施例3】
【0075】
本実施例は、微小試料採取装置の別の例であり、概略構成図を図9に示す。
【0076】
本実施例の微小試料採取装置1Cは、顕微鏡を2台構成にした点で上記実施例1,2と異なる。試料2の表面や試料2に加工された微小試料5を観察する試料面観察専用として第1の顕微鏡21と、キャリア8そのものや採取した微小試料5をキャリア8面に搭載する様子を観察するキャリア観察専用として第2の顕微鏡22の2台で構成したことが特徴である。このように顕微鏡の観察対象を分担させる装置構成としたことで、顕微鏡の観察向きをその都度変えることなく、微小試料の採取からキャリア8への移設までの一連作業を途切れることなく顕微鏡で監視できる。なお、試料ステージ3はX,Y,Z方向移動および回転動作が可能である。本実施例の微小試料採取装置1Cにおける顕微鏡以外の試料室4,微小試料5,採取具6,採取具移動機構7,キャリア8,キャリアホルダ9,キャリアホルダ移動機構10の役割は図1もしくは図2と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
図9における第1の顕微鏡21と第2の顕微鏡22の配置関係は、第1の顕微鏡21,第2の顕微鏡22の両光軸は試料2面に垂直(鉛直方向)で、若干離間して配置している。キャリア8は第2の顕微鏡22の直下にあり、キャリア8面は第2の顕微鏡22の光軸に垂直の関係にある。つまり、キャリア面は試料面と平行になるように水平配置されている。試料2から微小試料5を採取した後、採取具6を軸回転させ、微小試料の観察面がキャリアと平行になるように調整して、キャリアの開口のイオン液体面に接触させる。この実施例では、第1の顕微鏡21,第2の顕微鏡22による観察対象が限定されているため、観察方向の調整や焦点を大きく変更する必要はなく、予め設定しておけば微調整で済む。この微調整を第1の顕微鏡微動機構23,第2の顕微鏡微動機構24で行い、その微調整の指令は計算処理機13で行う。また、計算処理機13が上記2台の顕微鏡に関する画像の切り替えタイミングが制御でき、採取具6で微小試料5を採取する場面から、微小試料5をキャリア8へ設置する場面を、途切れることなく連続して違和感なく観察,監視することができる。
【0078】
上記実施例では、キャリア8を搭載しているキャリアホルダ9の設置向きについて、水平方向の場合について説明したが、さらに、顕微鏡11や採取具6などとの関係から次のような位置関係を考慮して、以下のようにキャリアホルダを配置すればよい。図10を用いて説明する。
【0079】
採取具6の軸は試料表面に対して傾斜角α(0°<α<90°)を成し、断面TEM/STEM試料の作製を想定して、採取する微小試料は試料表面に垂直関係にあるとする。また、試料やウェハの表面は通常、水平面にあるとする。
【0080】
ウェハなどの試料表面や、採取具で微小試料が採取される様子を観察する第1の顕微鏡は、その光軸が微小試料の観察面を含む面上にあり、試料表面に対して角度β(0°<β≦90°)を成すように配置する。上記の実施例2ではβ=90°であった。採取具は先端の平面は、加工された微小試料に面接触するように鉛直面に加工されているので、第1の顕微鏡の観察像では、微小試料の厚み(断面)が画面中心に見え、採取具は画面横から予め薄片に加工された箇所に採取具が接近し、接触する様子が観察できる。
【0081】
採取具先端に付着した微小試料が、試料表面から離間するように採取具を上方に移動させ、離間した後に、採取具を90°軸回転させる。この時、微小試料面は試料表面に対して角度αを成している。90°回転した微小試料を簡便にキャリアに設置するには、キャリア面を90°回転した試料表面と成す角度αと同じにしておくと、採取具移動機構に複雑な動作を強いることなく、採取した微小試料をキャリアに設置することができる。例えば、α=45°とすると、キャリアは水平に対して45°傾斜させて設置すればよいことになる。
【0082】
微小試料をキャリアに接触させる際の監視や、キャリア上での所望の開口の位置出し、キャリアに移設した微小試料の確認などを行う第2の顕微鏡は、その光軸がキャリア面に垂直の位置関係にあればキャリア面を直視できる。つまり、第2の顕微鏡の光軸が試料表面と成す角度γは(π/2−α)で示せる。例えば、前出のα=45°の場合、γ=45°の位置に配置すれば良い。
【0083】
2台の顕微鏡の設置方法に関する別の例を図11で説明する。図11は、本実施例での微小試料採取装置でキーポイントとなる採取される微小試料5,採取具6,キャリア8,キャリアホルダ9の関係を模式的に示す断面図である。この場合では、キャリア8面が試料2表面に対して垂直の関係に配置している。第1の顕微鏡21は、前例と同様、光軸が鉛直方向になるように配置しているが、第2の顕微鏡22は水平方向に観察が可能なように途中で光路を曲げている。これにより、第2の顕微鏡22がキャリア8面を垂直視できる。この装置構成により、試料2表面に対してほぼ垂直の関係にある微小試料を採取した後、キャリアに移設する際に、微小試料5の向きを変えることなくキャリア8面に載置できる。採取具6の動作は、微小試料の採取後、鉛直方向上向きに動作させ、キャリアとおおよそ同一高さになった時に水平方向に移動させることで、採取した微小試料5をキャリアのイオン液体面に面接触できる。つまり、採取具6に軸回転など複雑な動作をさせる必要が無くなる。この装置構成では、採取した微小試料を容易に所望箇所に迅速にキャリアに載置できる効果を有する。
【0084】
このように顕微鏡の個数,配置,向きの違う実施例を示したが、これらに限られることはなく、種々の変更を加えることが可能である。このような装置構成によって、採取した微小試料の観察面は、採取具の最も簡便な動作でキャリアの開口にあるイオン液体面に容易に移設することができる。なお、イオン液体を有するキャリアを傾斜もしくは垂直配置させても、開口に貯留したイオン液体は、表面張力のため、開口から流出や落下することはない。
【実施例4】
【0085】
本実施例は、微小試料採取装置のさらに別の例であり、概略構成図を図12に示す。
【0086】
本実施例の微小試料採取装置1Eは、試料2がウェハの場合であって、特にウェハへの異物付着を好まない半導体デバイス製造エリアで用いる装置構成である。
【0087】
本実施例は、図9で示した微小試料採取装置1Cを基本形態とし、更に、ウェハ30を収納するウェハ容器31の搭載部とクリーンスペース32とを付加して、ウェハ容器31内のウェハに対して、自動的に微小試料を採取できる装置構成としている。図12において、試料ステージ3,採取具6,採取具移動機構7,キャリア8,顕微鏡11,計算処理機13の役割は、図9と同様であるので詳細な説明は省略し、新たな構成部品について詳述する。
【0088】
ウェハ容器31は、いわゆるフープ(FOUP:Front Opening Unified Pod)であって、複数枚のウェハ30が収納でき、密封して清浄な環境を維持しながら半導体製造装置や半導体検査装置の間を搬送する容器である。ウェハ容器31を装置に設置して、計算処理機からの指示でウェハ容器の開閉扉を開けることで収納されたウェハを取り出し、収納することができる容器である。
【0089】
ウェハ搬送機構33は、ウェハ容器31から試料ステージ3上にウェハ30を移動させる機構である。このウェハの搬送領域でのウェハ表面への異物や塵の付着を避けるためにクリーンスペース(クリーンルーム)になっている。
【0090】
計算処理機12では、ウェハ容器31内の特定のウェハ30を指定し、そのウェハについて事前にFIB装置で加工した箇所の座標情報を計算機から呼び出し、所望の位置の微小試料を顕微鏡下に位置付けでき、所望の微小試料を採取しやすくされている。上記の構成によって、ウェハ検査装置からFIB装置、及び、本微小試料採取装置に、同一のFOUPでウェハを搬送し、ウェハ検査装置で検出された注目部を、FIB装置で薄片加工を行い、同一箇所を本発明による微小試料採取装置で採取し、TEMもしくはSTEMの試料ホルダに迅速に搭載することができる。
【0091】
なお、本実施例では試料ステージを固定し、顕微鏡や採取具を面内移動とした。この形態は、顕微鏡や採取具を固定して、試料ステージを移動させる形態より、装置の床面積が小さくでき、装置全体を小型化できる利点を有する。
【実施例5】
【0092】
次に、本発明による微小試料採取装置において、ディスプレイに表示される微小試料の採取に関わる操作画面100について図13から図16を用いて説明する。
【0093】
微小試料の採取作業は計算処理機に繋がるディスプレイの操作画面100から指示を下す。この指示は計算処理機を通じて、試料ステージの制御部(図示せず),採取具の制御部(図示せず),顕微鏡微動制御部(図示せず),キャリア微動装置の制御部(図示せず)などへ伝わり、各制御部をコントロールするとともに、各検出器(図示せず)からの信号を受取り、試料や採取具の表面状態を画像化してディスプレイに表示できる。図13はディスプレイにおける操作画面100の一例である。
【0094】
微小試料の採取に関わる操作画面100は、大別して顕微鏡画像101,採取画面102,顕微鏡操作画面103と試料ステージ操作画面104などがあり、これらのいずれか、もしくは、複数の画面を表示して操作できる。
【0095】
採取画面102には採取具操作頁105とキャリアホルダ操作頁106,キャリアホルダ操作頁107がある。
【0096】
採取具操作頁105は、採取具の顕微鏡視野内への採取具呼び出しボタン108,退避位置へ移動させる採取具退避ボタン109,採取具のXYZ3軸の移動方向指示ボタン110,移動速度選択ボタン111などがある。顕微鏡画像を見ながら、採取具を移動操作できるが、試料面高さ,採取具の初期高さ,対象とする微小試料の位置を事前登録しておくことで、採取具移動ボタン112を押すことで、微小試料から50μm程度まで自動で接近できる。採取具の移動速度を微速モードにして、微小試料に接触させる。微小試料の接触が確認できれば微小試料の試料などへの不意の接触を避けるために採取具退避ボタン109を押して、採取具を試料から退避位置に退避できる。
【0097】
キャリアホルダ操作頁106は、採取した微小試料を移設する際に用いる画面で、キャリアに設けられた開口の個数換算での位置を示すX方向スケール113x,Y方向スケール113yが表示される。顕微鏡画像中心に表示された開口のアドレスを示すアドレス表示部114,アドレスを指定すると顕微鏡視野中心に所望の開口を移動させるために、所望のX,Y方向の個数に相当するアドレス入力部115,キャリアをX方向移動させるためのX移動ボタン116x,Y方向移動させるためのY移動ボタン116yなどが配置されている。
【0098】
キャリアホルダ操作頁107は、キャリアホルダを顕微鏡中心に移動させるための画面で、キャリアホルダは、搬入搬出位置,顕微鏡直下のキャリアホルダ移動機構部の2箇所を1軸往復するため、搬入出位置ボタン117,顕微鏡直下ボタン118が配置されている。それぞれのボタンを押すことで、キャリアホルダはその位置に1軸移動する。キャリア操作はキャリアホルダが顕微鏡直下にある時のみ動作し、顕微鏡直下の近傍にキャリアホルダ移動機構がある。
【0099】
図14は、顕微鏡操作画面103を開いた状態の画面を示す。顕微鏡操作画面103には顕微鏡位置調整120,焦点調整スライダ121,顕微鏡像保存ボタン122が配置されている。顕微鏡が第1顕微鏡,第2顕微鏡の2台ある構成の装置では、各顕微鏡について独立して操作できる操作画面を有する。
【0100】
図15は、試料ステージ操作画面104を開いた状態の画面を示す。試料ステージ操作画面104は、試料ステージが可動の場合に使用可能である。所望の座標をリストから選択するかX座標123x,Y座標123yを数値入力するか、またはチップアドレスのx個数124x,y個数124yを入力して、所望座標が顕微鏡の視野内に入るよう試料ステージを移動させる試料ステージ移動ボタン125がある。
【0101】
これらの操作画面のほかに、図16に示す自動採取画面119がある。事前にウェハ上の微小試料のウェハ座標132の表示欄に対して、採取すべきと判断した場合は、チェック欄131にチェックマークを入力するとともに、その微小試料をキャリア上に移設すべきキャリアアドレス133の関係を予め入力する。入力後、自動採取ボタン134を押すことで、キャリアホルダの移動,微小試料の採取作業,移設作業を自動で行える。操作者は、キャリアホルダの設置と回収,微小試料の座標入力,対応するキャリアの開口アドレスの入力作業で、技量を要する採取作業は人手で行う必要はない。
【0102】
さらに、操作画面100には上記以外にウェハ操作画面があり、ウェハ容器内に収納されたウェハの枚数,収納箇所が示される。試料室内に導入すべき所望のウェハを指定して、試料室内に導入するよう指示するウェハロードボタン124、逆に、試料室からウェハ容器に戻す試料ステージ移動ボタン125がある。また、ウェハ容器の着脱の指示も、この操作画面から行う。
【実施例6】
【0103】
微小試料採取方法の手順の実施例を、図17にフローチャートを示して説明する。
【0104】
ここでは装置形態として、図12で示したウェハ容器を有する微小試料採取装置を想定し、採取する微小試料がウェハ上に複数個在る場合として説明する。
【0105】
微小試料採取手順の以下の工程は、各工程を手動で行うことも、事前に計算処理機に登録した諸条件を利用して連続処理もできる。
【0106】
まず、微小試料採取に関わるアプリケーションを起動するなど作業を開始する(301)。引き続き、以下の作業を行う。
1.電子顕微鏡試料ホルダの先端部であるキャリアホルダにキャリアを搭載するキャリア搭載工程(302)。
2.キャリアホルダを本発明による微動試料片採取装置のキャリアホルダ移動機構に装填するキャリアホルダ装填工程(302)。
3.ウェハが収納されたウェハ容器を微動試料片採取装置に装填するウェハ容器装填工程(303)。
【0107】
これらの工程より、微小試料を採取する準備が完了したとする。
【0108】
次に、微小試料採取装置のディスプレイで行う作業工程は以下のとおりである。
4.ウェハ容器内のウェハをウェハ搬送装置で、試料室内に搬入するウェハ搬入工程(304)。
5.ディスプレイにおいて、採取すべき微小試料があるウェハの座標、採取した微小試料を載置するキャリア上の設置位置を指定する諸条件入力工程(305)。
6.ディスプレイで指定した微小試料の座標に基づいて試料ステージを移動し、ウェハに事前に形成された微小試料が顕微鏡視野に来るように位置出しするステージ移動工程(306)。
7.顕微鏡で観ながらウェハに加工された微小試料を採取具で採取し、採取具を上昇させて試料と微小試料が離間したことを確認する微小試料採取工程(307)。
8.採取具に付着した微小試料を、キャリアの所定の位置に移設する微小試料移設工程(308)。
【0109】
ここで、採取すべき微小試料の残数を判定する(310)。登録した採取すべき微小試料の残数が無い場合には次の工程に進み、残数がある場合には、ステージ移動工程(306)に戻り、残数が無くなるまでステージ移動工程(306)から残数を判定する工程(310)までを繰り返す。
9.キャリアホルダを試料室から搬出するキャリアホルダ搬出工程。キャリアホルダが顕微鏡から遠ざかった時点で、キャリアホルダを試料室から搬出する(310)。
10.ウェハを試料室からウェハ容器に搬出するウェハ搬出工程(311)。
【0110】
これらの工程を経て、ウェハの所望位置から解析用の微小試料作業が終了する(312)。
【0111】
次に、上記の各工程を実行する場合に装置の操作画面と合わせて説明する。
【0112】
事前作業のキャリア搭載工程,キャリアホルダ装填工程,ウェハ容器装填工程は人手で行い、ディスプレイでの操作はない。但し、キャリアホルダとウェハ容器が正しく装置に設置されたこと、ウェハ容器に収納されているウェハの位置,枚数はディスプレイに表示されるので確認できる。
【0113】
ウェハ搬入工程では、ウェハ操作画面で所望のウェハを指定して、そのウェハを試料室へ導入させる指示をするウェハロードボタン124を押す。
【0114】
諸条件入力工程は、採取すべき微小試料の試料上の座標、採取した微小試料を移設すべきキャリア上の載置位置(アドレス)を入力する。座標やアドレスは数値入力でも良いし、モデル図上にクリックするだけでもよい。
【0115】
ステージ移動工程では、先に入力した微小試料が顕微鏡の視野内に移動させるために試料ステージ移動ボタン126を押す。採取すべき微小試料の座標は、別の装置である微小試料加工装置で取得した微小試料の位置座標データを読み込んで数値入力しても良いし、直接データリストから選択してもよい。
【0116】
微小試料採取工程では、採取具を視野に入れるために、採取具呼び出しボタン108を押す。採取具移動機構を操作して微小試料に面接触させる。接触したことを確認した後に、採取具移動機構を少し上方に移動させて、微小試料を試料から離間させる。次に、観察している顕微鏡をキャリアが見えるように第1顕微鏡から第2顕微鏡に切り替える。
【0117】
微小試料載置工程では、キャリアホルダ操作頁106でキャリアを顕微鏡の視野内に入るように顕微鏡直下ボタン118を押す。採取した微小試料を載置するキャリアアドレスが事前登録されていれば、キャリア移動ボタンを押すことで所望のキャリア開口が顕微鏡画像中心に移動される。未登録の場合は、X方向スケール113xとY方向スケール113yを見ながらキャリアホルダ移動機構を操作して好ましい箇所で停止する。次に、採取具微動機構を操作して、微小試料を所望のキャリアアドレス箇所に移設する。移設完了を確認して、採取具の退避ボタン109を押す。
【0118】
キャリアホルダ搬出工程では、キャリアホルダの搬入出位置ボタン117を押して、キャリアホルダが顕微鏡から遠ざける。キャリアホルダ移動機構からキャリアホルダを外す。
【0119】
ウェハをウェハ容器に戻すために、ウェハロードボタン124を押す。ウェハが回収、収納されたウェハ容器を微小試料採取装置から外す。
【0120】
以上の動作で、特定のウェハについて特定の位置にある微小試料の採取作業が終了する。
【0121】
また、これらの手順は、装置の操作者が逐次に行っても良いし、予め計算処理機にシーケンス,座標情報等を記憶させておき、開始の指令を下すことで、上記第1の工程から終了まで一連の各ボタンの動作作業を自動的に行うようにプログラム化しておくと、操作者の負担軽減となる。
【実施例7】
【0122】
微小試料採取装置を他の装置と連係した検査解析システムについて説明する。
【0123】
図18は、本検査解析システム200の全体構成であり、プロセス装置201,ウェハ検査装置202,FIB微小試料作製装置203,微小試料採取装置204,TEM/STEM205から構成される。プロセス装置201は、半導体デバイスの製造において、エッチング装置や成膜装置などウェハに加工を施す装置である。ウェハ検査装置202は、各プロセスでウェハに施された加工が仕様通りの形状や寸法に出来ているか、ウェハ表面に異物が付着していなか、などを検査する装置で、光や電子ビーム,イオンビームなどを用いる。FIB微小試料作製装置203は、ウェハ検査装置202で得た欠陥部,異物箇所など解析すべき座標を受け取り、その座標に従って、欠陥部や異物を含むTEM/STEM解析用の微小試料にFIBで加工する装置である。微小試料採取装置203は、これまでに実施例として説明したいずれかである。また、TEM/STEM205は、走査型透過電子顕微鏡,STEM機能を有する走査電子顕微鏡も含む。
【0124】
あるプロセスを経たウェハをウェハ検査装置202とFIB微小試料加工装置203と微小試料採取装置204を経てTEM/STEM解析用の微小試料を作製し、TEM/STEMホルダに装着できるキャリアホルダに微小試料が搭載された状態で微小試料採取装置から取り出せるため、TEM/STEM205への移行を素早くすることができる。このように、微小試料採取装置203を、他の装置と連携させることにより、ウェハ上で検出した欠陥や異物などの注目部を、迅速にTEM/STEM解析でき、特に、解析すべき個所は複数あって、作製すべき微小試料が多くあると、効果が大きい。なお、これらプロセス装置201,ウェハ検査装置202,FIB微小試料作製装置203,微小試料採取装置204,TEM/STEM205は、計算処理機206につながれ、欠陥情報や各装置の稼動,作業進捗状況などが把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】微小試料採取装置の全体構成を説明する断面概略構成図。
【図2】FIBによる微小試料の作製方法を説明する図。
【図3】微小試料採取装置における微細試料を採取する手順を説明する断面図。
【図4】微小試料採取装置において用いたキャリアの実施例を説明する図。
【図5】微小試料採取装置におけるキャリアと移設された微小試料の関係を説明する断面図。
【図6】微小試料採取装置において、採取した微小試料をキャリアに移設する工程を説明する図。
【図7】微小試料採取装置の別の全体構成を説明する断面概略構成図。
【図8】微小試料採取装置におけるキャリアホルダ微動装置の動作を説明する図。
【図9】微小試料採取装置の別の全体構成を説明する断面概略構成図。
【図10】微小試料採取装置において、顕微鏡とキャリアの関係を説明する図。
【図11】微小試料採取装置における第2顕微鏡とキャリアの別の関係を説明する図。
【図12】微小試料採取装置の別の全体構成を説明する断面概略構成図。
【図13】微小試料採取装置の操作画面を説明するための図。
【図14】微小試料採取装置の操作画面を説明するための図。
【図15】微小試料採取装置の操作画面の一例。
【図16】微小試料採取装置の操作画面の一例。
【図17】微小試料を採取する流れを説明するフローチャート。
【図18】検査解析システムを説明する図。
【符号の説明】
【0126】
1A,1B,1C 微小試料採取装置
2 試料
3 試料ステージ
4 試料室
5 微小試料
6 採取具
6A 接触平面
7 採取具移動機構
8 キャリア
9 キャリアホルダ
10 キャリアホルダ移動機構
11 顕微鏡
12 顕微鏡移動機構
13,206 計算処理機
14 ディスプレイ
15 入力部
16 試料搬入出口
17 キャリアホルダ搬入出口
21 第1の顕微鏡
22 第2の顕微鏡
23 第1の顕微鏡微動機構
24 第2の顕微鏡微動機構
30 ウェハ
31 ウェハ容器
32 クリーンスペース
33 ウェハ搬送機構
41 基部
42,52 開口
43,57 イオン液体
51 基板
53 ノッチ
54 原点マーク
55,56 中央マーク
61 FIB(集束イオンビーム)
62 加工穴
63,64,65 溝
66 支持部
101 顕微鏡画像
102 採取画面
103 顕微鏡操作画面
104 試料ステージ操作画面
105 採取具操作頁
106,107 キャリアホルダ操作頁
108 採取具呼び出しボタン
109 採取具退避ボタン
110 移動方向指示ボタン
111 移動速度選択ボタン
112 採取具移動ボタン
113x X方向スケール
113y Y方向スケール
114 アドレス表示部
115 アドレス入力部
116x X移動ボタン
116y Y移動ボタン
117 搬入出位置ボタン
118 顕微鏡直下ボタン
119 自動採取画面
120 顕微鏡位置調整
121 焦点調整スライダ
122 顕微鏡像保存ボタン
123 ウェハ操作画面
124 ウェハロードボタン
125,126 試料ステージ移動ボタン
127 第1顕微鏡画像表示ボタン
128 第2顕微鏡画像表示ボタン
201 プロセス装置
202 ウェハ検査装置
203 微小試料作製装置
204 微小試料採取装置
205 TEM/STEM
301 微小試料採取作業の開始
302 キャリア搭載・キャリアホルダ搬入
303 ウェハ容器装填
304 ウェハ搬入
305 ウェハ座標,キャリアアドレス入力
306 ステージ移動
307 微小試料の採取
308 微小試料のキャリアへの移設
309 予定採取数の判定
310 キャリアホルダ搬出
311 ウェハ搬出
312 微小試料採取作業の終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置する試料ステージと、
試料に形成された微小試料を採取する採取具と、
採取した微小試料を載置して透過電子顕微鏡もしくは走査透過電子顕微鏡に導入するキャリアと、
試料,微小試料,採取具、及びキャリアを拡大して見る顕微鏡と、
試料ステージ,採取具、及びキャリアを内蔵する試料室と、を備え、
試料室内にて試料から採取した微小試料をキャリアに移設する微小試料採取装置であって、
キャリアは、液体を保持する開口を有し、
試料から採取した微小試料を液体に保持するように構成された装置。
【請求項2】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
微小試料を液体の表面に吸着させて微小試料をキャリアに保持することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
微小試料を液体に浸漬させて微小試料をキャリアに保持することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
キャリアが、透過電子顕微鏡または走査型透過電子顕微鏡に搭載可能な試料ホルダに着脱可能なキャリアホルダ上に載置でき、当該キャリアホルダは前記試料室内のキャリアホルダ移動機構に着脱可能であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
前記液体が、イオン液体であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
前記イオン液体が、室温の真空環境にて実質蒸発しない液体であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
イオン液体の融点が10℃以下であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
イオン液体のアニオンまたはカチオン部位のいずれかが有機イオンであることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
前記イオン液体が、テトラフルオロホウ酸ブチルメチルイミダゾリウム、又はブチルエチルメチルイミダゾリウムであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
前記顕微鏡が、光学式顕微鏡,走査電子顕微鏡又は走査イオン顕微鏡であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項5記載の微小試料採取装置において、
顕微鏡が、液体金属イオン源もしくは電界電離ガスイオン源を用いた集束イオンビームによる走査イオン顕微鏡であることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
顕微鏡が光学式顕微鏡であり、
前記試料室が、乾燥空気,窒素、又は不活性ガスで実質的に満たされていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
採取具は、採取される微小試料と面接触する平面部を有し、平面部が、ガラス、金属、又はシリコンで形成されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
試料を拡大して観察する第1の顕微鏡と、
キャリアを拡大して見る第2の顕微鏡と、
採取具,キャリア、及び第2の顕微鏡を搭載し、採取具を試料面の任意の位置に移動できる顕微鏡移動機構と、
前記顕微鏡移動機構を制御する計算処理機と、を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
試料は、集束イオンビームにより微小試料が当該試料から離脱する直前まで加工されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
前記キャリアは略矩形板であり、当該略矩形板の直交する2辺に平行2辺に沿って複数個の開口が配列されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
開口のそれぞれには互いの開口を区別する認識アドレスと、
キャリアを所定位置に移動させるキャリアホルダ移動機構と、
認識アドレスの指定に基づいて、指定された開口が顕微鏡の視野内となるようにキャリアホルダ移動機構を動作させる計算処理機と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項17記載の微小試料採取装置において、
計算処理機が、
試料に予め形成された微小試料のうち指定された微小試料の座標に基づいて試料ステージを移動させ、微小試料を顕微鏡の視野内に移動させる微小試料位置出しを行うことを特徴とする微小試料採取装置。
【請求項19】
請求項1記載の微小試料採取装置において、
キャリアの顕微鏡画像にキャリアにある開口を特定するアドレスを表示するディスプレイを備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
ウェハの表面もしくは内部の異物や欠陥を検査するウェハ検査装置と、
ウェハに集束イオンビームを照射して、ウェハの異物や欠陥を含む微小試料をウェハに形成する集束イオンビーム試料作製装置と、
ウェハに形成された微小試料を採取してキャリアに載置する微小試料採取装置と、
キャリアに載置した微小試料を解析する透過電子顕微鏡又は走査型透過電子顕微鏡と、を含む検査解析システムにおいて、
ウェハ検査装置,イオンビーム試料作製装置,微小試料採取装置、及び透過電子顕微鏡もしくは走査型透過電子顕微鏡が、ウェハの異物や欠陥の少なくともウェハ上の存在位置を共有することを特徴とするシステム。
【請求項21】
ウェハの表面もしくは内部の異物や欠陥を検査するウェハ検査工程と、
ウェハに集束イオンビームを照射して、ウェハの異物や欠陥を含む微小試料をウェハに形成する試料作製工程と、
ウェハに加工された微小試料を採取してキャリアに載置する微小試料採取工程と、
微小試料を載置したキャリアを透過電子顕微鏡、又は走査型透過電子顕微鏡に搭載して観察を行う解析工程と、を含む検査解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−133710(P2010−133710A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306951(P2008−306951)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】