説明

微生物、遺伝的に改変された植物種子および海洋生物由来のω−3および/またはω−6高度不飽和脂肪酸を含有する極性脂質の豊富な画分の生成および使用

【課題】微生物、遺伝的に改変された植物種子および海洋生物由来のω-3および/またはω-6高度不飽和脂肪酸を含有する極性脂質の豊富な画分の生成および使用法を提供する。
【解決手段】生物、遺伝的に改変された種子および海洋生物(魚およびイカを含む)由来の、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA(n-3)またはDPA(n-6))、アラキドン酸(ARA)、およびエイコサテトラエン酸(C20:4n-3)を含有する極性脂質の豊富な画分の生成および使用、特に抽出、分離、合成および回収、ならびにヒトの食品適用、動物飼料、医薬品適用および化粧品適用におけるそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、微生物、遺伝的に改変された種子および海洋生物(魚類およびイカを含む)由来の、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA(n-3)またはDPA(n-6))、アラキドン酸(ARA)、およびエイコサテトラエン酸(C20:4n-3)を含有する極性脂質の豊富な画分の生成および使用、特に抽出、分離、合成および回収の分野、ならびにそれらのヒト食品適用、動物飼料、医薬品適用、および化粧品適用における使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ω-6およびω-3シリーズの高度不飽和脂肪酸は、生体の膜において構造的に重要であるが、更にエイコサノイド経路を通じ、およびこれらの脂肪酸の遺伝子発現に対する影響により、細胞間連絡に直接および間接的に関与している点で、生物活性脂質の特別なクラスを表わしている。6種のこれらの脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA(n-3)またはDPA(n-6))、アラキドン酸(ARA)、およびエイコサテトラエン酸(C20:4n-3)は、心臓血管系疾患、炎症疾患、免疫機能不均衡、不妊の予防/治療において効果があり、かつこれらの脂肪酸の一部(ARA、DHA、DPA(n-6))は、脳および神経系において構造的に重要であることが示されている。最近の証拠は、一部の高度不飽和脂肪酸は、トリグリセリド型よりもリン脂質型で供給された場合に、より生物利用能があり得ることを示している。EPA、DHAおよびARAは歴史的には、藻類または魚類から抽出された油分の形状で栄養補助剤市場に供給されてきた。しかし、最近の証拠は、一部の多価不飽和脂肪酸は、トリグリセリド型よりもリン脂質型のほうがより生物利用能があることを示している。これは、リン脂質の双極性の性質が、腸内においてそれらをより可溶性とし、かつ消化および吸収され易くするためであり得る。これと同じリン脂質の双極性特性は、それらの乳化過程への関与能のために、これらの脂肪酸を、クリームおよびローションのような局所適用においてより機能的に、もしくは飲料物のような水性ベースの適用においてより可溶性にすると考えられる。本発明者らは、これらのω-3およびω-6 HUFAのリン脂質型での供給に重要な利点があり、かつこれらの脂肪酸において強化された極性脂質の回収の、改良プロセスも必要とされていることを提唱する。
【0003】
極性脂質の例は、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール)、セファリン、スフィンゴ脂質(スフィンゴミエリンおよびスフィンゴ糖脂質)、およびグリセロ糖脂質を含む。リン脂質は、下記の主要構造単位からなる:脂肪酸、グリセロール、リン酸およびアミノアルコール。これらは一般に、植物、微生物および動物の膜の構造において重要な役割を果たす、構造脂質であるとみなされている。極性脂質は、それらの化学構造のために、双極性の性質を示し、極性および非極性溶媒の両方における溶解度または部分溶解度を示す。本明細書の説明における用語「極性脂質」は、天然の極性脂質に限定されるものではなく、化学修飾された極性脂質も含む。用語「油」は様々な意味を有するが、本明細書において使用される場合は、これはトリアシルグリセロール画分を意味すると考えられる。
【0004】
極性脂質、特にリン脂質の重要な特性の一つは、これらは一般に多価不飽和脂肪酸(PUFA:2個またはそれ以上の不飽和結合を有する脂肪酸)を含むことである。多くの植物、微生物および動物の系において、これらは特に、ω-3およびω-6シリーズの高度不飽和脂肪酸(HUFA:4個またはそれよりも多い不飽和結合伴う脂肪酸)において強化される。これらの高度不飽和脂肪酸はトリアシルグリセロール型では不安定であると考えられるが、これらは、リン脂質に組込まれた場合は安定性の増強を示す。
【0005】
市販のPUFAの豊富なリン脂質の主要な供給源は、ダイズおよびキャノーラ種子である。これらの生物材料は、これらが遺伝的に改変されない限りは、認知可能な量の高度不飽和脂肪酸は含まない。これらのリン脂質(通常レシチンと称される)は、これらの油料種子から、植物油抽出プロセスの副産物として日常的に回収される。例えば、ダイズまたはキャノーラ油の製造において、マメ(種子)は最初に熱処理され、その後圧搾、粉砕、および/または片状化(flake)され、その後ヘキサンのような非極性溶媒で抽出される。ヘキサンは、種子からトリアシルグリセロールの豊富な画分を、可変量の極性脂質(レシチン)と共に除去する。抽出された油は、その後通常の油精製プロセスの一部として、物理的または化学的のいずれかにより脱ガムし(レシチン除去)、かつ沈殿したレシチンが回収される。しかしこのプロセスにはふたつの欠点がある:(1)種子は、ヘキサンによる抽出前に熱処理されなければならず、この加工処理の経費を増大し、かつ望ましくない酸化反応を増大しかつタンパク質画分を変性させ、これにより副産物としてのその価値を低くする点;ならびに、(2)ヘキサンのような非極性溶媒の使用は、対処すべき毒性および引火性の問題を呈する点。
【0006】
「脱ガム」プロセスにおいて抽出された粗レシチンは、ステロールおよびグルコシドと共に最大約33%の油(トリアシルグリセロール)を含有し得る。この油を粗レシチンから分離する一つの好ましい方法は、アセトンによる抽出である。この油(トリアシルグリセロール)は、アセトンに可溶性であり、かつレシチンは可溶性ではない。このアセトン溶液は、沈殿物(レシチン)から遠心により分離され、かつこの沈殿物は、最初に流動床乾燥機および次に真空乾燥炉の下で乾燥され、残留アセトンを回収し、生成物が乾燥される。乾燥温度50℃〜70℃が通常使用される。得られる乾燥レシチンは、およそ2〜4重量%の油(トリアシルグリセロール)を含有する。70℃よりも高い処理温度は、リン脂質の熱的分解につながり得る。しかし、例え70℃より低い温度であっても、アセトンの存在は、リン脂質の感覚受容性品質を損なう生成物の形成につながる。これらの副産物は、生成物にカビ臭、および辛味の後味(pungent aftertaste)を与える。
【0007】
これらの脂肪酸の、食品、栄養補助剤、医薬品および化粧品適用における使用を可能にする、生物材料由来のω-3およびω-6 HUFAが豊富な極性脂質およびリン脂質を、効率的に回収するための改良プロセスが、必要とされている。更にこれらの画分は、伴侶動物(companion animal)および水産養殖のための飼料中の成分として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明に従い、種子および微生物のような天然の生物材料からω-3および/またはω-6 HUFAにおいて強化された極性脂質を回収するための改良プロセス、ならびにそれらの使用が提供される。
【0009】
本発明の一つの態様において、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(n-3)(DPAn-3)、エイコサテトラエン酸(n-3)、ドコサペンタエン酸(n-6)(DPAn-6)またはアラキドン酸(ARA)の少なくとも一つで強化されたヒト、動物または水産養殖生物の補助食品(diet supplement)を提供するための方法が提供される。この方法は、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;ならびにヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形で、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を提供する段階を含む。好ましくは、動物は伴侶動物である。
【0010】
別の本発明の態様において、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、またはARAの少なくとも一つの欠乏症を治療するための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;ならびに、欠乏症を治療するために、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を提供する段階を含む。この欠乏症は、炎症状態、免疫系不均衡、心臓血管系疾患、神経系発達に関連した発達不良、女性の健康状態または乳児の健康状態につながり得る。
【0011】
別の本発明の態様において、肺の慢性炎症疾患を治療するための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来の少なくとも一つのEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAで強化されたリン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに、病態の治療のための、配合物を含むエアロゾルを製造する段階を含む。肺の慢性炎症疾患状態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息または嚢胞性線維症を生じ得る。
【0012】
別の本発明の態様において、火傷、UV-照射または他の皮膚障害により引き起こされた皮膚病変の治療のための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化されたリン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに、皮膚病変の治療のためのローションまたはクリームを製造する段階を含む。
【0013】
別の本発明の態様において、悪液質または重度の脂肪吸収不良を治療するための方法が提供される。この方法は、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された精製リン脂質画分を、他の精製リン脂質の少なくとも一つと配合する段階;EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を、DHA、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに、病態の治療のための、液体または乾燥した食餌製品(dietetic product)を製造する段階を含む。悪液質または重度の脂肪吸収不良は、癌またはクローン病の結果であり得る。好ましくは、少なくとも一つの他の精製リン脂質が、ダイズ、ナタネ、マツヨイグサ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、ピーナッツ、卵およびそれらの混合物からなる群より得られる。
【0014】
別の本発明の態様において、胃腸管のH.ピロリ(H. pylori)感染症の治療のための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化されたリン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに、疾患の治療のための、脂肪乳剤または食餌製品を製造する段階を含む。
【0015】
別の本発明の態様において、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された、脂肪配合物を提供するための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;ならびに、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された極性脂質の豊富な画分を、別の油と混合する段階を含む。好ましくは別の油は、魚油、微生物油、植物油、GLA-含有油、SDA-含有油またはそれらの混合物からなる群より選択される。
【0016】
本発明の別の態様において、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の配合物を提供するための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;ならびに、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された極性脂質の豊富な画分を、別の極性脂質と混合する段階を含む。好ましくは、この別の極性脂質は、ダイズ極性脂質、ナタネ極性脂質、ヒマワリ極性脂質、ベニバナ極性脂質、キャノーラ極性脂質、ピーナッツ極性脂質または卵黄極性脂質およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0017】
本発明の別の態様において、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された、脂肪配合物が提供される。この脂肪配合物は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分;ならびに別の油を含有する。好ましくはこの別の油は、魚油、微生物油、植物油、GLA-含有油、SDA-含有油およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0018】
本発明の別の態様において、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の配合物を生成するための方法が提供される。この方法は、微生物、種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化された極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;ならびに、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化された極性脂質の豊富な画分を、別の極性脂質と混合する段階を含む。好ましくは別の極性脂質は、ダイズ極性脂質、ナタネ極性脂質、ヒマワリ極性脂質、ベニバナ極性脂質、キャノーラ極性脂質、ピーナッツ極性脂質または卵黄極性脂質およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0019】
本発明の別の態様において、遺伝的に改変された種子または海洋動物から抽出された極性脂質の豊富な画分由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された精製リン脂質が提供される。好ましくは、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化されたリン脂質画分は、ヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形である。
【0020】
本発明の別の態様において、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(n-3)(DPAn-3)、エイコサテトラエン酸(n-3)またはドコサペンタエン酸(n-6)(DPAn-6)の少なくとも一つで強化されたヒト、動物または水産養殖生物の補助食品を提供するための方法が提供される。この方法は、微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物から、EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)およびエイコサテトラエン酸の少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;ならびに、EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)およびエイコサテトラエン酸の少なくとも一つで強化された極性脂質の豊富な画分を、ヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形で提供する段階を含む。
【0021】
この方法または製品の極性脂質の豊富な画分は、規定食、医薬品および化粧品適用の成分として提供され得る。
【0022】
本発明の方法または製品の脂肪配合物は、規定食、医薬品および化粧品適用の成分として提供することができる。
【0023】
本発明の方法または製品の極性脂質配合物は、規定食、医薬品および化粧品適用の成分として提供することができる。
【0024】
本発明の方法または製品の精製リン脂質は、規定食、医薬品および化粧品適用の成分として提供することができる。
【0025】
好ましくは、本発明の方法または製品の海洋動物は、魚、イカ、軟体動物またはエビである。好ましくは、海洋動物は、サケ、マグロ、タラ、イワシ、サバ、またはメンハーデンからなる群より選択される魚または魚卵である。
【0026】
好ましくは、本発明の方法および製品の微生物は、真菌、微小藻類、原生動物または細菌から選択される。より好ましくは、微生物は、ストラメノパイル類(Stramenopiles)、ヤブレツボカビ類(Thraustochytriales)、黄金藻類(Chrysophyceae)、黄緑藻類(Xanthophyceae)、珪藻類(Bacillariophyceae)、渦鞭毛藻類(Dinophyceae)、褐藻類(Phaeophyceae)、紅藻類(Rhodophyceae)、緑藻類(Chlorophyceae)、ミドリムシ藻類(Euglenophyceae)、クリプト藻類(Cryptophyceae)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridomycetes)、または接合菌類(Zygomycetes)からなる群より選択される。より好ましくは、微生物は、モルティエラ(Mortierella)、ケカビ(Mucor)、ヒゲカビ(Phycomyces)、クモノスカビ(Rhizopus)、フハイカビ(Pythium)、オクロモナス(Ochromonas)、ササノハケイソウ(Nitzschia)、ケイソウ(Phaeodactylum)、スケレトネマ(Skeletonema)、ヒバマタ(Fucus)、コンブ(Laminaria)、プラチモナス(Platymonas)、アキラ(Achyla)、フィトフェラ(Phytophera)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)、ヤブレツボカビ(Thraustochytrium)、またはクリプテコジニウム(Crypthecodinium)からなる属の群より選択される。
【0027】
好ましくは、本発明の方法および製品において利用されるEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、ARAまたはそれらの混合物は、極性脂質画分の総脂肪酸の少なくとも2重量%を構成する。
【0028】
好ましくは、本発明の方法または製品において利用されるEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、ARAまたはそれらの混合物は、極性脂質画分の総脂肪酸の少なくとも5重量%を構成する。
【0029】
好ましくは、本発明の方法および製品において使用される植物種子または微生物は、それらのn-3またはn-6 HUFA含量を増大するように遺伝的に改変されている。
【0030】
好ましくは、本発明の方法および製品において使用される種子または微生物は、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つの生成を増大するように遺伝的に改変されている。
【0031】
好ましくは、本発明の方法および製品で使用される種子は、キャノーラ、ナタネ、亜麻仁、亜麻子、ヒマワリ、ベニバナ、ピーナッツ、ダイズまたはトウモロコシからなる群より選択される。好ましくは極性脂質豊富な画分は、種子および微生物から、アルコールを用いて抽出される。
【0032】
別の本発明の態様において、極性脂質の豊富な画分は、ヘキサンおよび他の非極性溶媒を用いる、種子からの油分抽出の副産物として(例えば、脱ガムにより)誘導される。
【0033】
好ましくは、本発明の方法および製品において使用される極性脂質の豊富な画分は、種子および微生物から、重力または遠心分離抽出技術を用いて抽出される。
【0034】
発明の詳細な説明
極性脂質(リン脂質を含む)は、それらの双極性の性質により、湿潤剤および乳化剤として、重要な商業的関心対象である。これらの特性は、リン脂質中のHUFAをより生物学的に利用可能とし、更にはそれらの安定性を増強することも補助する。これらの特性は、リン脂質を、栄養補助剤、食品、特殊調製粉乳(infant formula)、医薬品、および化粧品の適用における使用のための成分にとって理想的な形にしている。リン脂質の規定食の恩恵は、吸収の改善および取込みの改善の両方を含む。リン脂質はまた、重要な細胞膜構成要素であり、良好な乳化剤であり、小腸の界面活性剤として作用することができ、コリン源およびHUFA源として利用され得る点で、生体において広範な機能性を有する。
【0035】
EPA、DHA、およびARAは、メンハーデン、マグロまたはサケのような魚の(調理による)抽出(EPAおよびDHA)、またはモルティエラ属由来の真菌バイオマスのヘキサン抽出(ARA)により、通常栄養補助剤市場および食品適用のために製造される。両方のプロセスにおいてリン脂質は、後の脱ガム段階において除去され、中性脂肪、ステロール、グルコシドおよびリン脂質の複合混合物を含有する廃棄物を生成する。この物質は通常、処分するために、家畜動物飼料業者に販売されている。
【0036】
魚および真菌バイオマスに加えて、DHAおよびDPA(n-6)の微生物源が存在する。本発明に関して、有用な微生物は、真菌、微小藻類、原生動物または細菌から選択され得る。これらの生物は、ストラメノパイル類、スラウストキトリアル類、黄金藻類、黄緑藻類、珪藻類、渦鞭毛藻類、褐藻類、紅藻類、緑藻類、ミドリムシ藻類、クリプト藻類、卵菌類、キトリドマイセテス類、またはジゴマイセテス類からなる群より選択することができる。有用な微生物はまた、モルティエラ、ケカビ、ヒゲカビ、クモノスカビ、フハイカビ、オクロモナス、ササノハケイソウ、ケイソウ、スケレトネマ、ヒバマタ、プラチモナス、アキラ、フィトフェラ、スキゾキトリウム、ヤブレツボカビ、またはクリプテコジニウムからなる属の群から選択することもできる。微生物は、リン脂質生成を最適化し、かつトリグリセリド(油)を生成を最小化する様式で、培地において増殖させることができるため、リン脂質の良好な供給源である。他方では、本発明において使用される方法は、油およびリン脂質の両方が、食品、飼料、栄養補助剤、化粧品または医薬品の適用において直接使用することができる形で、個別に回収されることを可能にする。
【0037】
DHA、EPAおよびARAリン脂質は、魚、微小藻類、または真菌から、前述の脱ガムプロセスにより回収することができる。しかしこれは、注記したように、中性脂質、ステロール、グルコシドなどを含む、多くの他の化合物を含有する複合物質を生成する。
【0038】
本発明の好ましい態様は、ω-3および/またはω-6 HUFAの豊富なリン脂質を回収するために、アルコールおよび遠心を使用する。この回収にとって好ましい方法は、下記参考文献に記されており、これらはその全体が本明細書に参照として組み入れられる:
i. PCT出願第PCT/IB01/00841号、国際公開公報第01/76715号、名称「油および極性脂質を含有する天然粗材料の分画法」、2001年4月12日出願;
ii. PCT出願第PCT/IB01/00963号、国際公開公報第01/76385号、名称「水溶性有機溶媒および遠心分離を使用する、油および極性脂質を含有する天然粗材料の分画法」、2001年4月12日出願。
【0039】
一旦これらの好ましいプロセスにより、ω-3および/ω-6豊富なリン脂質画分が抽出されると、これらは、成分として直接使用することができるか、またはこれらは更に精製され、様々な形のクロマトグラフィー、分子蒸留、および特別な精製技術のような周知の技術により、リン脂質のクラスに分離され得る。極性脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴ脂質の群である。このリン脂質の豊富な極性脂質もしくは精製リン脂質豊富な画分は、別の脂質もしくは油、例えば魚の脂質、微生物脂質、植物脂質、GLA-含有脂質、SDA-含有脂質、およびそれらの混合物と混合することもでき、または栄養補助剤、飼料または食品の成分として使用する前に、ダイズまたは卵黄レシチン、ヒマワリレシチン、ピーナッツレシチンまたはそれらの混合物のような、別のリン脂質画分(レシチン)と混合することもできる。これらのリン脂質の混合物も、局所適用(例えば、皮膚状態の治療)のため、または火傷、UV-照射もしくは他の皮膚損傷プロセスにより引き起こされる皮膚病変のために、クリームまたはローションに組み入れることができる。これらの混合物は、悪液質および重度の脂肪吸収不良の治療、または胃腸管のH.ピロリ感染症の治療のために、液体もしくは噴霧乾燥した食餌製品または脂肪乳剤を製造するように処理することもできるか、もしくは肺の慢性炎症病態(例えば、COPD、喘息、嚢胞性線維症)を治療するためにエアロゾルスプレーに組み入れることができる。
【0040】
本発明の利点は、トリグリセリド型よりも、より生物活性がありかつ機能的な型(リン脂質)でω-3および/またはω-6 HUFAを提供することを含み、かつこれらのリン脂質を、油料種子および微生物から回収するための、より良いプロセス(例えば、a)熱処理を必要としない;b)毒性溶媒(ヘキサンなど)を使用しない;およびc)アセトンの使用による人工産物および香味低下(off-flavor)がない)を含む。極性脂質画分の総脂肪酸のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸および/またはARA含量は、極性脂質画分の総脂肪酸の少なくとも2重量%、より好ましくは5重量%より多く、より好ましくは10重量%より多くを含み、最も好ましくは、極性脂質画分の総脂肪酸の20重量%より多くを含む。
【0041】
実施例
実施例1
リン脂質を、サケ、サケ卵、ブラックタイガーエビ、イカ、スキゾキトリウム種から抽出し、リン脂質の総脂肪酸含量を、ガスクロマトグラフィーにより決定した。結果を表1に示した。認められるように、これらの生体物質のリン脂質画分は、ω-3および/またはω-6 HUFAを送達するために使用することができ、この形でこれらの生物活性脂肪酸は、より安定で、より生物学的に利用可能であり、かつより機能的であった。
【0042】
(表1)4種の海洋動物産物および微生物源から抽出されたリン脂質の総脂肪酸含量

【0043】
本発明は、様々な態様において、実質的に本明細書において描写および説明されたような、成分、方法、プロセス、系および/または装置を含み、それらの様々な態様、部分組合せおよび部分集合を含んでいる。当業者は、本発明の開示を理解した後には、いかにして本発明を実行しかつ使用するかを理解すると考えられる。本発明は、様々な態様において、本明細書またはその様々な態様において描写および/もしくは説明されない項目が存在しない装置およびプロセスを提供することを含み、例えば性能を改善し、容易さを達成し、かつ/または遂行の経費を削減するために、先の装置またはプロセスにおいて使用され得たような項目が存在しない装置およびプロセスを含む。
【0044】
上記の本発明の考察は、例証および説明を目的として提示されている。上記は、本明細書において明示された一つまたは複数の形に本明細書を制限することを意図するものではない。本発明の説明は、一つまたは複数の態様の説明ならびにある種の変形および改変を含んでいるが、他の変形および改変は、本開示を理解した後には、当技術分野内および当業者の知識内であり得るように、本発明の範囲内である。主張されたものの代替物、互換物および/または同等の構造、機能、範囲もしくは段階が、本明細書において開示されるか否かに関わらず、かつあらゆる特許性のある対象を公にささげることを意図することなく、このような代替物、互換物および/または同等の構造、機能、範囲または段階を含む、別の態様を許容される程度にまで含む権利を得ることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(n-3)(DPAn-3)、エイコサテトラエン酸(n-3)、ドコサペンタエン酸(n-6)(DPAn-6)またはアラキドン酸(ARA)の少なくとも一つで強化された、ヒト、動物または水産養殖生物の補助食品を提供するための方法であって:
(a)遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;および
(b)ヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形で、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、該極性脂質の豊富な画分を提供する段階
を含む方法。
【請求項2】
動物が、伴侶動物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つの欠乏症を治療するための方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;および
(b)該欠乏症を治療するための、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、該極性脂質の豊富な画分を提供する段階
を含む方法。
【請求項4】
欠乏症が、炎症状態、免疫系不均衡、心臓血管系疾患、神経系の発達に関連した発達不良、女性の健康状態または乳児の健康状態を生じる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
肺の慢性炎症病態を治療するための方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された該リン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに
(c)該病態の治療のために段階(b)の配合物を含むエアロゾルを生成する段階
を含む方法。
【請求項6】
肺の慢性炎症病態が、COPD、喘息または嚢胞性線維症である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
火傷、UV-照射または他の皮膚障害により引き起こされる皮膚病変を治療する方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された該リン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに
(c)該皮膚病変の治療のためのローションまたはクリームを製造する段階
を含む方法。
【請求項8】
悪液質または脂肪吸収不良を治療するための方法であって:
(a)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された該精製リン脂質画分を、他の精製リン脂質の少なくとも一つと配合する段階;
(c)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、該精製リン脂質を、DHA、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに
(d)該病態の治療のために、液体または乾燥した食餌製品を製造する段階
を含む方法。
【請求項9】
悪液質または脂肪吸収不良が、癌またはクローン病の結果である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの他の精製リン脂質が、ダイズ、ナタネ、マツヨイグサ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、ピーナッツ、卵およびそれらの混合物からなる群より得られる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
胃腸管のH.ピロリ感染症の治療のための方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、精製リン脂質画分を生成する段階;
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された該リン脂質画分を、EPA、GLAまたはSDAの豊富な油の少なくとも一つと配合する段階;ならびに
(c)該疾患の治療のために、脂肪乳剤または食餌製品を製造する段階
を含む方法。
【請求項12】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された脂肪配合物を提供するための方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;および
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された該極性脂質の豊富な画分を、別の油と混合する段階
を含む方法。
【請求項13】
別の油が、魚油、微生物油、植物油、GLA含有油、SDA含有油またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の配合物を提供するための方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;および
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸およびARAの少なくとも一つで強化された、該極性脂質の豊富な画分を、別の極性脂質と混合する段階
を含む方法。
【請求項15】
別の極性脂質が、ダイズ極性脂質、ナタネ極性脂質、ヒマワリ極性脂質、ベニバナ極性脂質、キャノーラ極性脂質、ピーナッツ極性脂質または卵黄極性脂質およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された脂肪配合物であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された極性脂質の豊富な画分;および
(b)別の油
を含む配合物。
【請求項17】
別の油が、魚油、微生物油、植物油、GLA含有油、SDA含有油およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項16記載の油。
【請求項18】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された極性脂質の配合物であって:
(a)微生物、種子または海洋動物由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化された極性脂質の豊富な画分を抽出する段階;および
(b)EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化された該極性脂質の豊富な画分を、別の極性脂質と混合する段階
を含む配合物。
【請求項19】
別の極性脂質が、ダイズ極性脂質、ナタネ極性脂質、ヒマワリ極性脂質、ベニバナ極性脂質、キャノーラ極性脂質、ピーナッツ極性脂質または卵黄極性脂質およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
遺伝的に改変された種子または海洋動物から抽出された、極性脂質の豊富な画分由来のEPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つで強化された精製リン脂質。
【請求項21】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAで強化されたリン脂質画分が、ヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形である、請求項20記載の精製リン脂質。
【請求項22】
エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(n-3)(DPAn-3)、エイコサテトラエン酸(n-3)またはドコサペンタエン酸(n-6)(DPAn-6)の少なくとも一つで強化された、ヒト、動物または水産養殖生物の補助食品を提供する方法であって:
(a)微生物、遺伝的に改変された種子または海洋動物由来の、EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)およびエイコサテトラエン酸の少なくとも一つで強化された、極性脂質の豊富な画分を生成する段階;および
(b)EPA、DPA(n-3)、DPA(n-6)およびエイコサテトラエン酸の少なくとも一つで強化された極性脂質の豊富な画分を、ヒトまたは動物により消費可能、または使用可能な形で提供する段階
を含む方法。
【請求項23】
食餌、医薬品または化粧品適用の成分としての、請求項1から22のいずれか一項記載の方法または製品の極性脂質の豊富な画分。
【請求項24】
食餌、医薬品または化粧品適用の成分としての、請求項1から23のいずれか一項記載の方法または製品の脂肪配合物。
【請求項25】
食餌、医薬品または化粧品適用の成分としての、請求項1から24のいずれか一項記載の方法または製品の極性脂質配合物。
【請求項26】
食餌、医薬品または化粧品適用の成分としての、請求項1から25のいずれか一項記載の方法または製品の精製リン脂質。
【請求項27】
海洋動物が、魚、イカ、軟体動物またはエビである、請求項1から26のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項28】
海洋動物が、サケ、マグロ、タラ、イワシ、サバ、またはメンハーデンを含む群からの魚または魚卵である、請求項1から27のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項29】
微生物が、真菌、微小藻類、原生動物または細菌から選択される、請求項1から28のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項30】
微生物が、ストラメノパイル類、ヤブレツボカビ類、黄金藻類、黄緑藻類、珪藻類、渦鞭毛藻類、褐藻類、紅藻類、緑藻類、ミドリムシ藻類、クリプト藻類、卵菌類、ツボカビ類、または接合菌類から選択される、請求項1から29のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項31】
微生物が、モルティエラ、ケカビ、ヒゲカビ、クモノスカビ、フハイカビ、オクロモナス、ササノハケイソウ、ケイソウ、スケレトネマ、ヒバマタ、コンブ、プラチモナス、アキラ、フィトフェラ、スキゾキトリウム、ヤブレツボカビ、またはクリプテコジニウムからなる属の群より選択される、請求項1から30のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項32】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、ARAまたはそれらの混合物が、極性脂質画分の総脂肪酸の少なくとも2重量%を含む、請求項1から31のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項33】
EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸、ARAまたはそれらの混合物が、極性脂質画分の総脂肪酸の少なくとも5重量%を含む、請求項1から32のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項34】
植物種子または微生物が、それらのn-3またはn-6 HUFA含量を増大するように遺伝的に改変されている、請求項1から33のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項35】
種子または微生物が、EPA、DHA、DPA(n-3)、DPA(n-6)、エイコサテトラエン酸またはARAの少なくとも一つの生成を増大するように遺伝的に改変されている、請求項1から34のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項36】
種子が、キャノーラ、ナタネ、亜麻子、亜麻仁、ヒマワリ、ベニバナ、ピーナッツ、ダイズまたはトウモロコシからなる群より選択される、請求項1から35のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項37】
極性脂質の豊富な画分が、種子および微生物から、アルコールを用いて抽出される、請求項1から36のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項38】
極性脂質の豊富な画分が、ヘキサンまたは他の非極性溶媒を用いる、種子からの油分抽出の副産物として誘導される、請求項1から37のいずれか一項記載の方法または製品。
【請求項39】
極性脂質の豊富な画分が、種子および微生物から、重力または遠心分離抽出技術を用いて抽出される、請求項1から38のいずれか一項記載の方法または製品。

【公開番号】特開2010−65048(P2010−65048A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254931(P2009−254931)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願2002−589427(P2002−589427)の分割
【原出願日】平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願人】(503166090)マーテック・バイオサイエンシズ・コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】