説明

微生物からの代謝副産物の存在を検出するための指標

有害な、または潜在的に有害な微生物由来の代謝副産物の存在を視覚的にモニターする、検出する、および/または決定するために、ポリマー性指標フィルムおよびpH表示ラップが提供される。そのポリマー性指標フィルムの使用および調製の方法も提供される。1つの局面において、本発明は、透明および無色の1つのポリマー層または複数のポリマー層および複数のpH表示部分を含む、ポリマー性指標フィルムに関連し、ここでそのpH表示部分は、ポリマー層内に、または2つもしくはそれより多くのポリマー層の間に閉じ込められており、そしてさらにここでそのpH表示部分は、中性pHにおいてそのポリマーフィルムの透明度および色の欠如を保持するが、酸性pHと接触した場合に、フィルムの少なくとも一部に色を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法§119(e)の下、2009年1月26日に出願された米国仮特許出願第61/147,450号、2009年11月5日に出願された同第61/258,515号、および2010年1月21日に出願された同第61/297,234号に対する利益を主張する。これらのすべてはその全体が本明細書において参照として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は一般的に、例えばpH表示食品用ラップおよび創傷被覆材において有用な、ポリマー性指標フィルムに関連する。本発明はまた、細菌増殖の副産物によって測定される、細菌増殖の存在を検出するためにこれらのフィルムを使用することに関する。そのような副産物は、フィルムと接触している水性組成物のpHを変化させる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
消費を意図される食品における、望ましくない細菌の混入の存在は、製造会社、農家、包装業者、食品販売業者、卸売業者、小売業者、消費者にとって、および世界の公衆衛生にとって重大な問題である。特に心配な問題は、ヒト消費のための食品を含む包装中の細菌混入である。米国は、世界で最も安全な食品を誇るが、毎年約4人に1人の個人が、飲食に起因する健康被害にかかり、そして約5,000人が、彼らが食べたもので死亡している。疾病管理予防センターによれば、毎年米国において、7600万人の人々が何らかの種類の飲食に起因する健康被害にかかり、325,000人が入院し、そして5,000人が消費した食品の汚染によって死亡する。第三世界の国々では、細菌が混入した食品および水によって、毎年200万人以上の小児が死亡していると推定された。それらの数にも関わらず、ほとんどの飲食に起因する感染は診断されず、そして報告されない。
【0004】
腐敗しやすい、そして食用の食品の包装は、収穫から消費までの食物連鎖の各段階において、望ましくない、そして検出不能な細菌増殖の影響を受けやすくあり得る。食品の最低レベルの細菌混入(細菌量)は、消費者の使用する食品において許容可能であると見なされる。実際、FDAのような規制当局は、食品において許容される細菌量の限界を設定した。それにも関わらず、食品中の細菌増殖が、食品の細菌レベルを許容できないレベルまで変化させるかどうかを決定するのは非常に困難である。最初は消費のために安全であった食品が、へたな操作、不適切な保存および他の因子に起因した、検出不能な細菌増殖によって変化し得る。食物連鎖の全ての時点で、許容できない細菌増殖が食品で起こったことを検出するための明白な手段が存在するなら、それは非常に有用である。
【0005】
またさらに、創傷の細菌混入は、重症の感染、疾病、およびもしその混入が気付かれず、そして比較的短い時間でさえも未治療であるなら、死亡さえも引き起こし得る。多くの場合、細菌感染は、創傷部位の周りの炎症性の赤い皮膚の存在によって最初に検出される。皮膚の赤さによる創傷の可視化は、多くの場合、感染が病気の患者においてかなり進行した時点である。
【0006】
そのような創傷の例は、皮膚を通して挿入および維持される、中心静脈カテーテル、カニューレ、および関連する医学的装置(今後「カテーテル」)の使用によって生じるものである。明白であるように、カテーテルは、通常病院の設定で、様々な患者に使用される。これらのカテーテルは、例えば患者の血管への確実なアクセスを提供し、そして患者への流体および薬剤の安全な投与、または体からの流体の除去を可能にする。
【0007】
全ての性質の創傷は、細菌感染の固有の危険性を有する。上記で記載したような、故意に産生した創傷に加えて、感染しやすい他の創傷は、擦過傷、熱傷、外科的切開、注射部位等を含む。
【0008】
例えば、体へのカテーテル挿入は、重症の合併症を引き起こし得る。具体的には、カテーテル関連血流感染(CR−BSI)は、血管内腔へのカテーテルの挿入部位が細菌性微生物に感染した場合、重症のおよび生命を危うくする可能性のある合併症である。この分野の従来のケアは現在、そのような感染に対する予防的処置として、これらの挿入部位を創傷被覆材で覆うことを必要とする。
【0009】
多くの因子が、そのような挿入部位を特に細菌感染しやすくする。具体的には、カテーテルは実質的に皮膚の天然の保護バリアを損ない、体の免疫系の第一線を回避する直接的な経路を提供する。それに加えて、宿主への挿入時に、カテーテルの外側表面は迅速に宿主のタンパク質で覆われ、それは細菌の付着および増殖を促進する。植え込まれた非生物的材料自体が、抗菌免疫反応の局所的な減弱を引き起こし、それによって細菌バイオフィルム形成に対する正常な免疫反応を阻害するという証拠も存在する。最後に、カテーテル留置が最も必要である患者は、多くの場合免疫学的に易感染性であり、そして従って細菌感染をより受けやすい。
【0010】
カテーテル自体は一般的に、典型的にはカテーテル挿入部位の周囲の天然細菌叢を損なう微生物によって、2つの一般的な経路のうち1つによって感染する。例えば、細菌はその外側表面に沿ってカテーテルを汚染し得、そしてこの型の感染は多くの場合、皮膚を通したカテーテルの最初の挿入の間に起こると考えられる。カテーテルはまた、汚染された注入液溶液から流体が流れる、その管腔区画において汚染され得る。細菌性敗血症の原因であることが見出された、最も蔓延している細菌は、挿入部位の周囲の外部細菌叢由来である。
【0011】
カテーテル関連血流感染は、従来の抗生物質治療で治療することが困難であることが有名であり、12%から25%の範囲の関連する死亡率を有する。カテーテル関連血流感染は、全てのカテーテル留置の3%から7%に起こる、カテーテルの感染によって見られる最もよくある重症の合併症であり、毎年米国の病院で250,000人以上の患者が発症すると推定される。それに加えて、これらの感染合併症は、入院を延長し、一部のヘルスケア職員の大変なアクティブな介入を必要とし、そしてこれらのカテーテル関連感染から起こる合併症に関連する推定年間国内ヘルスケアコストを90億ドルより多くにすることを引き起こす。
【0012】
カテーテルと組み合わせた創傷被覆物(「包帯材」または「創傷被覆材」と呼ばれることもある)の使用は、慣習的であるが、上記の統計によって明らかであるように、根底にある感染リスクを完全に除去するわけではない。そのような創傷被覆材は、典型的にはカテーテル挿入部位に近接して置かれ、そしてその部位から浸出する流体と接触する。
【0013】
またさらに、熱傷、擦過傷、外科的切開等のような他の創傷は、感染が特にかかりやすい。病院の設定において、Staphylococcusのような抗生物質耐性細菌によって引き起こされる感染は、主要な問題であり、そして疾病状態の原因である。
【0014】
従って、感染が、皮膚の発赤によってそれ自身明らかになる時点まで進行するずっと前に、微生物の存在を容易に検出および表示し得る、創傷における、またはその周囲の細菌増殖汚染を検出するための方法および医学的装置および創傷被覆物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの局面において、本発明は、透明および無色の1つのポリマー層または複数のポリマー層(layer or layers)および複数のpH表示部分を含む、ポリマー性指標フィルムに関連し、ここでそのpH表示部分は、ポリマー層内に、または2つもしくはそれより多くのポリマー層の間に閉じ込められており、そしてさらにここでそのpH表示部分は、中性pHにおいてそのポリマーフィルムの透明度および色の欠如を保持するが、酸性pHと接触した場合に、フィルムの少なくとも一部に色を与える。
【0016】
別の局面において、本発明は、以下を含む「サンドイッチ」型のポリマー性指標フィルムを提供する:
a)1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む第1の層;
b)1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を含む第2の層;および
c)第1の層および第2の層の間に位置するpH指標層。
【0017】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、食品中の細菌増殖の存在を検出するためのものである。いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、創傷内またはその周辺の細菌増殖の存在を検出するためのものである。
【0018】
いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、ヘプタメトキシレッドおよびヘキサメトキシレッドまたはその組み合わせから選択される。これらの指標は、食品または体液のいずれかにおけるpH変化を検出する量で使用した場合に、中性pHにおいてポリマー性指標フィルムの透明および無色の性質を保持するので、特に有用である。しかし、pHが酸性になった場合(細菌増殖の副産物のために)、指標フィルムの色は赤色になる。これは、細菌増殖が起こったことの容易な決定を可能にする。
【0019】
別の局面において、第1の親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層および第2の疎水性水不透過性透明層を含む、ポリマー性指標フィルムを調製するためのプロセスを提供し、そのプロセスは以下を含む:
a)ポリマー性フィルムの第1の層として、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を選択し、ここでその第1の層は前および後ろの表面を有する工程;
b)ポリマー性フィルムの第2の層として、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を選択し、ここでその第2の層は、前および後ろの表面を有する工程;
c)pH指標層を、第2の層の1つの表面の少なくとも一部に適用する工程;そして
d)pH指標層が、第1の層および第2の層の間に位置するように、第1の層および第2の層を結合させる工程であって、
ここでそのpH指標層は、ヘキサメトキシレッドおよび/またはヘプタメトキシレッドまたはその誘導体を含む、工程。
【0020】
本発明の他の実施態様がさらに、以下の詳細な説明において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明のポリマー性指標フィルムの1つの例を図示する。
【図2】図2は、本発明の実施態様による創傷被覆材の、分解した側面を図示する。
【図3】図3は、本発明の実施態様によるシートライナー102および110の上面を図示する。
【図4】図4は、図1のポリマー性指標フィルムを調製するプロセスの第1の例を図示する。
【図5】図5は、図1のポリマー性指標フィルムを調製するプロセスの第2の例を図示する。
【0022】
同様の参照の数字が、1つもしくはそれより多くの図で図示された同様の要素を同定するために使用されることが認識されるべきである。その図は必ずしも一定の縮尺で描かれないかもしれないことも認識されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願を通じて、本文は化合物、組成物、および方法に関連する様々な実施態様に言及する。記載された様々な実施態様は、様々な例示的実施例を提供することを意味し、そして代替の種の説明として解釈されるべきではない。むしろ、本明細書中で提供される様々な実施態様の説明は、重複する範囲であり得ることに注意するべきである。本明細書中で議論される実施態様は単なる例示であり、そして本発明の範囲を制限することを意味しない。
【0024】
定義
本明細書中で使用される場合、特定の用語は以下の定義された意味を有し得る。明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を指示しなければ、単数および複数の言及を含む。
【0025】
「含む」という用語は、その化合物および方法が、引用された要素を含むが、他を除外しないことを意味することが意図される。「本質的に〜から成る」は、組成物および方法を定義するために使用する場合、その化合物および方法に本質的に重要である他の要素を除外することを意味する。「〜から成る」は、請求された化合物および実質的な方法工程に関する他の成分の微量元素より大きいものを除外することを意味する。これらの過渡的な用語のそれぞれによって定義される実施態様は、本発明の範囲内である。よって、そのプロセスおよび組成物は、さらなるプロセスおよび成分を含み得る(含む)、またはあるいは重要でないさらなる工程および化合物を含み得る(本質的に〜から成る)ことを意図する、またはあるいは記載した方法工程または化合物のみを意図する(〜から成る)。
【0026】
「ポリマー性指標フィルム」という用語は、その中に組み込まれた1つもしくはそれより多くのpH指標部分を含むポリマー性フィルムを指し、それは目に見える色の変化によって、細菌副産物の閾値レベルの存在を表示し得る。いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、親水性ヒドロニウムイオン透過性層および疎水性水不透過性層を含む。いくつかの実施態様において、その親水性ヒドロニウムイオン透過性層は、その中に埋め込まれた複数のpH指標部分を含む。いくつかの実施態様において、そのpH指標部分は、任意で接着剤の使用によって、疎水性水不透過性層および親水性ヒドロニウムイオン透過性層の間に位置する。
【0027】
中性pHは7.0の値を有する。本明細書中で使用される場合、「中性pH」という用語はまた、約5から7より下までの弱酸性pHおよび約7から約8までの弱塩基性pHを含む。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「酸性」という用語は、一般的に細菌増殖の副産物によって生じる酸性pH範囲を指す。そのような酸性pHは一般的に、約1から約5までの範囲であり、そして好ましくは、2から約5までのpH範囲である。強酸性は2.0より下のpHを有する。
【0029】
「透明層」という用語は、観察者が層を通して容易に見ることができるように十分可視光に対して透明であるポリマー層を指す。好ましくは、その透明層は無色である(その用語を下記で定義する)。
【0030】
「疎水性水不透過性層」という用語は、透明なポリマー層を指し、ここでそのポリマーは疎水性であり、そして水、水蒸気、細菌またはプロトン(ヒドロニウムイオン)を層中へ、または層を通して容易に通過させない。特に好ましい疎水性水不透過性層は、食品等級および/または医療等級ポリマーとして認定されるものである。いくつかの実施態様において、その疎水性水不透過性ポリマーは、ポリエチレン(PE)である。いくつかの実施態様において、そのポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリプロピレン、フェノキシ樹脂、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/メチルスチレンコポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)、ポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)、アクリロニトリルスチレンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸メチル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリ−1−ビニルナフタレン、ポリビニルフェニルケトン、ポリ−p−キシレンドデカンジオエート、ポリ−テトラメチレンオクテンジアミド、ポリ−テトラメチレンテレフタレン(terephthalene)、ポリ−トリメチレン−3,3’−ジベンゾエート、ポリ−テレフタル酸無水物、ポリ−4−メチル−ジアミン、ポリビニレンカーボネート、ポリビニレンラウレート、ポリイソプロペニルアセテート、ポリアリルベンゼン、ポリビニルブチルエーテル、ギ酸ポリビニル、ポリビニルフェニルエーテル、ポリノルボルナジエン(polynorbornadine)、ポリカーボネート、疎水性ポリエステルおよびポリウレタン、またはその混合物を含むがこれに限らない。
【0031】
「バリア膜」という用語は、「疎水性水不透過性層」と同義であり、そして時々水または水蒸気または細菌が、環境からその層を通して浸透し、そして創傷部位と接触することを防止するための、創傷被覆材の上のポリマー層と関連して本明細書中で使用される。
【0032】
本明細書中で「親水性ヒドロニウムイオン透過性層」と呼ばれることもある、「親水性ヒドロニウムイオン浸透層」という用語は、透明なポリマー層を指し、ここでそのポリマーは親水性であり、そして水、水蒸気、ガスおよびプロトン(ヒドロニウムイオン)がこのポリマー性層へ、またはそれを通して拡散することを可能にし、それがヒドロニウムイオン濃度の増加およびpHの減少を引き起こす。プロトンの透過を、多くの測定によって決定し得るが、色の変化によって十分な数のプロトンの存在を検出する、pH指標の使用によって最も容易に測定される。親水性ヒドロニウムイオン浸透透明層の例は、ポリエーテルブロックアミドコポリマー(例えばPebax(登録商標))のような、高い水蒸気透過率を有する、市販で入手可能な材料であるいくつかを含む。好ましい親水性ヒドロニウムイオン浸透ポリマー層は、食品等級および/または医療等級ポリマーとして認定されるものである。いくつかの実施態様において、その親水性ヒドロニウムイオン浸透無色透明層は、ポリエーテルブロックアミド(例えばPebax(登録商標))、(ポリ)ヒドロキシエチルメタクリレート、(ポリ)ヒドロキシプロピルメタクリレート、または(ポリ)グリセロールメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはグリセロールメタクリレートとメタクリル酸、アミノアクリル酸およびアミノメタクリル酸とのコポリマー、(ポリ)ビニルピロリドン、(ポリ)ビニルピリジン、極性ポリアミド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルおよび塩化ビニルのヒドロキシル修飾コポリマー、ポリエステル、少なくとも約10重量%のポリエチレンオキシドを含むポリウレタン、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、エチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、エチルメタクリレート/メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、ポリテトラフルオロエチレンおよび親水性セルロースコポリマーから成る群から選択されるポリマーを含む。
【0033】
「透過性膜」という用語は、上記で定義したような「親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層」と同義であり、そして例えば創傷被覆材またはその部位において体液と接触するカテーテル挿入部位においてカテーテルを覆うシースのポリマー層を説明するために使用されることもある。透過性ガスは、中でも酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、硫化水素、水素、二酸化硫黄、およびアンモニアを含むがこれに限らない。透過性膜の透過性は、pHを十分変化させ、そして指標によって目に見える比色定量反応を生じるために、十分な濃度のpH変化ガスが、このポリマー層へまたはこれを通して拡散することを可能にするようなものである。いくつかの実施態様において、その透過性膜は上記で説明した、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層を含む。
【0034】
「結合」という用語は、従来の技術によって2つもしくはそれより多くの別の層を、単一のフィルムへ接着することによる、単一のポリマー性フィルムの形成を指す。
【0035】
「無色」という用語は、視覚的にまたは計測手段によって、透明および澄んでいるとみなされるのに十分な色の欠如を指す。視覚的に評価した場合、「無色」という用語は、色が存在しないことを意味せず、むしろ観察者が透明なフィルムを見るように、その色が視覚的に検出不能である、または最低限検出可能であるかのいずれかである。
【0036】
「有色」という用語は、色が視覚的な観察によって検出され得るような、十分な色を指す。
【0037】
「細菌副産物の閾値レベル」という用語は、そのpHが指標の色を無色から有色へ変化させるために十分影響を与えるような、細菌によって産生される副産物の量を指す。好ましくは、細菌副産物の閾値レベルは、食品、または創傷、またはカテーテル挿入部位に存在する場合懸念を引き起こす、最小限の細菌増殖の量によって産生されるレベルまたはそれより下のレベルである。
【0038】
「指標」という用語は、細菌副産物の閾値量が産生された場合に引き起こされるpHの変化と共に色を変え得る物質を指す。1つの実施態様において、その指標はpH指標である。そのようなpH指標は、本明細書中で「pH表示部分」と呼ばれることもある。細菌副産物は、ガス状二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素、アンモニウム、ラクテート、およびその混合物を含むがこれに限らない。これらの副産物と水分の混合物は、炭酸、硫酸、水酸化アンモニウム、乳酸、またはその混合物のような酸の形成を引き起こす。十分な量の酸が産生された場合、その指標は無色から有色への変化を生じ、それは未熟な観察者によってさえ容易に識別可能である。
【0039】
pH指標の例は、キシレノールブルー(p−キシレノールスルホンフタレイン)、ブロモクレゾールパープル(5’,5”−ジブロモ−o−クレゾールスルホンフタレイン)、ブロモクレゾールグリーン(テトラブロモ−m−クレゾールスルホンフタレイン)、クレゾールレッド(o−クレゾールスルホンフタレイン)、フェノールフタレイン、ブロモチモールブルー(3’,3”−ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p−ナフトールベンゼイン(4−[アルファ−(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)ベンジリデン]−1(4H)−ナフタレノン)、ニュートラルレッド(3−アミノ−7−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジン塩化物)、ヘキサメトキシレッドおよびヘプタメトキシレッド、ならびにその組み合わせを含む。好ましい実施態様において、そのpH指標はヘキサメトキシレッドおよび/またはヘプタメトキシレッドまたはその誘導体である。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「細菌」という用語は、起源に関わらず食品または創傷部位に存在し得る、およびさらに潜在的な健康上の危険であり得るあらゆる細菌を指す。本明細書中で提供されるポリマー性指標フィルムによって検出可能な細菌は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Enterococcus faecalis、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumonia、Salmonella、Candida albicans、グラム陰性桿菌、またはその組み合わせを含む。
【0041】
「カテーテル」という用語は、皮膚を穿刺し、そして流体、薬物等を体へ送達して、体からの流体の排泄を補助するために、および/または診断的目的のために使用されるあらゆる、そして全ての公知のカテーテルを含む。そのようなカテーテルは、中心静脈カテーテル、診断カテーテル、ドレナージカテーテル等を含む。流体の送達または除去のために、皮膚を通した穿刺によって体へ挿入された、従来の、周知のチューブであるカニューレも、「カテーテル」という用語に含まれる。カニューレは、通常体の穿刺を可能にする外套針を有する。
【0042】
「食品腐敗」という用語は、食品における、細菌のような微生物の増殖を指す。本明細書中で使用される場合、タンパク質変性(denaturization)プロセスおよび組織の細胞外スペースへのタンパク質(酵素)の放出による、組織または肉の細胞基質の分解である酸敗は、本発明によって検出されない。
【0043】
ポリマー性指標フィルム
本発明は、透明および無色の1つのポリマー層または複数のポリマー層(layer or layers)および複数のpH表示部分を含む、ポリマー性指標フィルムを提供し、ここでそのpH表示部分は、ポリマー層内に、または1つもしくはそれより多くのポリマー層の間に閉じ込められている、そしてさらにここで、そのpH表示部分は、中性pHにおいて無色ポリマーフィルムの透明度を保持するが、酸性pHに曝露した場合に、少なくともフィルムの一部に色を与える。
【0044】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、食品において細菌増殖の存在を検出するためのものである。いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、創傷またはカテーテル挿入部位における、またはその周囲の細菌増殖を検出するためのものである。特に、本発明の1つもしくはそれより多くの実施態様は、細菌増殖の閾値レベルの非存在下では無色であり、そして細菌増殖がそのような閾値を超えた場合には有色であり、それらはどちらも指標フィルムの色を変化させる細菌増殖の副産物の産生によって決定される、ポリマー性指標フィルムを提供する。
【0045】
別の局面において、本発明は、細菌の増殖を視覚的に検出するためのポリマー性指標フィルムを提供し、当該ポリマー性指標フィルムは、親水性ヒドロニウムイオン透過性ポリマー層、ならびにヘプタメトキシレッドおよびヘキサメトキシレッドまたはその組み合わせから選択される複数のpH表示部分を含み、ここでそのpH表示部分は、ポリマー層内に閉じ込められている。これらのポリマー性指標フィルムを、食品または医療設定のような、細菌増殖のモニタリングが望ましい状況において使用し得る。
【0046】
ヘプタメトキシレッドは、下記の式(I)を有する化学物質2,4,6,2’,4’,2”,4”−ヘプタメトキシトリフェニルカルビノール、およびその化合物のpHの変化を検出する能力を変化させない、その誘導体を指す。ヘキサメトキシレッドは、下記の式(II)を有する化学物質2,4,2’,4’,2”,4”−ヘキサメトキシトリフェニルカルビノール、およびその化合物のpHの変化を検出する能力を変化させない、その誘導体を指す。
【0047】
【化1】

【0048】
ヘプタメトキシレッドは、約pH7およびpH5の間の動的範囲を示し、そしてヘキサメトキシレッドは、約pH4.5およびpH2.6の間の動的範囲を示す。色の変化を引き起こすために必要なレベルまでpHを低下させるために、十分な量の酸に曝露された場合、どちらも無色から有色(赤みがかった/バイオレットレッド)へ、視覚的に知覚できる色の変化を示す。ヘキサメトキシレッドまたはヘプタメトキシレッドいずれかの誘導体は、そのような置換がその化合物のpHの変化を検出する能力を変化させないなら、1つもしくはそれより多くのメトキシ基の、C−Cアルコキシ基による置換を含むよう企図される。
【0049】
いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、気体および液体の両方で、細菌副産物およびそれから産生される酸と連通している。
【0050】
いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、ポリマー性フィルム内に、および典型的にはポリマー性フィルムの親水性ヒドロニウムイオン透過性層内に閉じ込められている。閉じ込めるための一般的な方法は、米国特許第5,629,360号において記載されたものを含む。そのpH表示部分をまた、親水性ヒドロニウムイオン透過性層の孔内に閉じ込め得る。珪藻土(DE)、TiO、およびSiOまたはその組み合わせのような適当な添加物を、そのような孔を生成するために層に加え得る。いくつかの実施態様において、珪藻土は約10%w/wまでの量である。いくつかの実施態様において、それは約4%w/wである。いくつかの実施態様において、それは約3%w/wである。孔をまた、レーザー穿孔によって生成し得る。重量パーセントは、親水性ヒドロニウムイオン透過性層の重量に対する添加物の重量に基づく。
【0051】
ポリマー性指標フィルムのpH表示部分は、色の変化を検出し、それによってpHの変化を証明するために有効な量で使用される。本明細書中で使用される場合、「検出」という用語は、通常の視力を有するヒトの目によって見える色の変化を意味する。計測手段も使用し得る。pH表示部分が親水性ヒドロニウムイオン透過性層に埋め込まれた、いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、その層の重量に対して約0.01%w/wから約10%w/wの量で使用される。いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、約1%w/wから約3%w/wの量で使用される。
【0052】
他の実施態様において、以下を含む「サンドイッチ」型のポリマー性指標フィルムが提供される:
a)1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む第1の層;
b)1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を含む第2の層;および
c)第1の層および第2の層の間に位置するpH指標層。
【0053】
いくつかの実施態様において、そのpH指標層は、細菌増殖副産物との接触時に、ポリマー性pH指標フィルムの少なくとも一部において目に見える色の変化を提供するために十分な量のpH指標部分を含む。
【0054】
いくつかの実施態様において、そのpH指標層は、200オングストロームから5ミクロンの厚さを有する。
【0055】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムはさらに、第1の疎水性水不透過性層およびpH指標層の間に位置する接着剤層を含む。
【0056】
その接着剤層は、1つもしくは複数のpH指標をその表面に接着し、その1つもしくは複数のpH指標が接着剤の上に別の層を形成するために適当なあらゆる接着剤であり得る。好ましくは、その接着剤は、乾燥した場合に無毒性(より好ましくは食品等級で安全)であり、そして中性またはわずかに塩基性のpH、例えば適用したpH指標のpKaより有意に上ではないpHを有し、pH指標の細菌増殖の存在下で色を変化させる能力に干渉しない。いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標が医療用適用のためである場合は、その接着剤は、医療等級の接着剤である。いくつかの実施態様において、その接着剤は、食品との接触および/または食品添加物のためにFDAによって発表された全ての基準を満たす接着剤である。いくつかの実施態様において、その接着剤を、できたポリマー性フィルムが、中性pHにおいて無色、透明な性質を保持するような量で使用する。
【0057】
図1は、本発明の「サンドイッチ」型ポリマー性指標フィルムの例を図示する。特に、ポリマー性指標フィルム1は、本明細書中で記載されたような疎水性水不透過性ポリマーである外側バリア層ポリマー3を含む。 外側層3は、第1および第2の表面、それぞれ3aおよび3bを含む。1つの実施態様において、接着剤層5は、外側バリア層3の第2の表面3bに適用される。接着剤層5の適用を、当該分野で公知のあらゆる方法で行い得、そしてそのような層を適用するための特定の手段は、本発明の一部ではない。1つの実施態様において、接着剤層5を、接着剤溶媒システムを第2の表面3bにスプレーすることによって適用し得る。別の実施態様において、接着剤層5を、溶媒キャストによって適用し得、ここでその接着剤の溶液および溶媒を表面3bに適用し(上向きに)、そして従来の延展器を用いて均一な厚さの溶液をその表面に広げ、続いて溶媒を部分的または完全に乾燥する。各層を同じまたは異なる方式において適用し得るとしても、指標層7を、接着剤層5のものと同様の方式で適用する。例えば、指標層7を、溶媒キャストによって適用し得、そして接着剤層5をスプレーによって適用し得る。内側(inner)または内部(inside)バリア層9を次いで、粘着性の積層したポリマー指標フィルム1が形成されるような方式で、指標層7に接着する。本明細書中で使用される場合、「粘着性」は、視覚的に、積層したポリマー性層状フィルムが、容易に分離せず、そして単一のフィルムとして見られることを意味する。そのようなポリマー性指標フィルムを、下記で詳細に述べるプロセスによって調製し得る。「内側」および「外側」という用語は、単に2つの層を区別するために使用されることが理解される。1つの実施態様において、肉からの流体が、フィルムの親水性ヒドロニウムイオン透過性層と接触するように、「内側」層が、生肉のような食品と隣接して位置し得、一方「外側」層は、その肉が保存されている環境と接し、そして外側層は水不透過性であるので、それは水のフィルムを通した浸透を遅らせる。カテーテルのシースとして使用される場合のような別の実施態様において、「外側」層はカテーテル表面と接し、一方「内側層」は体液と接する。
【0058】
1つの実施態様において、そのpH指標は、ヘキサメトキシレッドおよびヘプタメトキシレッド、およびその組み合わせから成る群から選択される。
【0059】
そのpH表示部分は、細菌増殖の副産物と関連するpHの変化を検出する。これらの副産物は、特に、ガス状二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素、アンモニウム、ラクテート、およびその混合物を含む。副産物と水分との混合物は、炭酸、硫酸、水酸化アンモニウム、乳酸、またはその混合物のような酸の形成を引き起こし、それが指標と反応して色の変化を生じる。細菌に関して「副産物」という用語は、多数の集団の自然な増殖のために細菌から放出される気体を指す。そのような気体は、蒸気の状態であり得る、または水と組み合わせ得る、または加水分解されて硫酸、炭酸、硫化水素または他のガス状または水蒸気状態のような酸を形成し得、それが気体蒸気または水蒸気の組み合わせの濃度の増加と共に直近の環境のpHを下げる。
【0060】
いくつかの実施態様において、その酸は、細菌から産生される、または細菌副産物と水との反応によって形成され、当該細菌副産物は、二酸化炭素および二酸化硫黄から成る群から選択される。
【0061】
細菌に加えて、その包装材料によって検出可能な微生物は、とりわけ、ウイルス微生物および真菌微生物を含む。食品中のその増殖が、本明細書中で記載された方法によって検出され得る細菌は、Bacillus、Brucella、Campylobacter、Clostridium、Escherichia coli、Listeria monocytogenes、Salmonella、Streptococcus、Pseudomonas、Staphylococcus、Shigella spp.、Vibrio spp.、Yersinia spp.,大腸菌または芽胞形成細菌および食品汚染に関与していることが公知である他の食品由来の病原体またはそのような微生物の混合物を含むがこれに限らない。新鮮野菜と関連するとして特定の系統が同定された。例えば、Escherichia(Escheria) coli O157:H7は、包装済みホウレンソウと関連していた:「Investigation of an Escherichia(Escheria) coli O157:H7 Outbreak Associated with Dole Pre−Packaged Spinach」、California Food Emergency Response Team Final Report、2007年3月21日(California Department of Health Services、Food and Drug Branch、P.O.Box997435、MS7602、Sacramento、CA95899−7435から入手可能、およびまた米国食品医薬品局San Francisco District、1431 Harbor Bay Parkway、Alameda、CA94502からも入手可能)。
【0062】
食品腐敗への適合
本発明のポリマー性指標フィルムを、細菌由来の代謝副産物の存在を検出するために、食品に対して、または食品を入れる袋または容器において使用し得る。
【0063】
よって、本発明の別の局面において、本発明のポリマー性指標フィルムを含む食品保存容器が提供される。いくつかの実施態様において、その食品保存容器は、密封可能な袋である。他の実施態様において、その食品保存容器は、液体を保存するためのジャグまたは瓶である。
【0064】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは積層している。本発明のこの局面において、積層フィルムを生成するための一般的なアプローチは、容易に認識され、そして当業者によって周知である。当業者は、本明細書の教示を容易に変更して、多数の層から成る積層物を生成し得、それは本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
いくつかの実施態様において、外側の疎水性水不透過性層、指標層、および内側の親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む柔軟なラップが提供され、ここでその指標層は本明細書中で記載されたとおりである。いくつかの実施態様において、外側の層は、本明細書中で記載されたような、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を含む。いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムの疎水性水不透過性の外側の層は、酸素、水素、窒素、水または他の要素のような、環境および周囲のガス状化合物の通過に対して抵抗性である。
【0066】
いくつかの実施態様において、外側の疎水性水不透過性層および微生物副産物およびその酸に対して透過性の内側の親水性層を含むpH指標フィルムまたは柔軟なラップが提供され、ここで外側の層および内側の層の間に、ヘプタメトキシレッドおよびヘキサメトキシレッドまたはその組み合わせから選択される、複数のpH表示部分がサンドイッチされ、そしてここでそのpH表示部分は、ポリマー中に閉じ込められる、または接着剤に接着しており、当該pH表示部分および任意で接着剤は、外側の層および内側の層の間に位置する。
【0067】
いくつかの実施態様において、その内側の層は、微生物副産物に対して透過性であるが、約200ダルトンまたはそれより多くの分子量を有する分子に対しては不透過性である。適当な内側バリア層は、TegadermTM(3M、St.Paul Minn.)において見出されるもののような、ポリマー性フィルムを含む。いくつかの実施態様において、その内側バリア層は、本明細書中で記載された、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、外側の層は、本明細書中で記載された、疎水性水不透過性層を含む。いくつかの実施態様において、接着剤層は、外側バリア層の1つの表面に存在し、そしてポリマー性指標が、その接着剤の表面に固定化されている。他の局面において、その接着剤は透明、無色(使用された量で)、食品安全な接着剤である。適当な接着剤は、Elmer’sスプレー接着剤を含む。
【0069】
適当な外側の層は、ポリエチレンフィルム、例えばGlad(登録商標)ラップまたはSaranTMラップを含む。
【0070】
適当な外側の層は、ポリウレタンフィルムおよびTegadermTMにおいて使用されているもののようなフィルムを含む。
【0071】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムまたは柔軟なラップは、バーコードまたはRFID(無線周波数認識)タグのような、機械で認識可能なコードが組み込まれている、それに結合している、またはそれに印刷されている。
【0072】
食品または食糧は、肉、魚、野菜、牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズ、アイスクリーム等のような乳製品、果物等のような、固体および液体を含むあらゆる食用物質を指す。好ましくは、本発明のポリマー性指標と組み合わせて使用される食品は、微生物によって汚染された場合に、食品または微生物のいずれか由来の検出可能な副産物を提供し、それが検出可能な方式で食品のpHを変化させるものである。
【0073】
接着剤層の代替として、そのpH指標を、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、ギャップコーティング(ナイフオーバーロール(knife over roll)、ナイフオーバーブランケット(knife over blanket)、フローティングナイフ(floating knife)等)、グラビアコーティング(彫刻ロール、オフセット彫刻ロール)、液浸(浸漬)コーティング、メイヤーバー(mayer bar)(メイヤーバー(meyer bar)、計量ロッド(metering rod)、ワイヤ巻きロッド)、リバースロールコーティング(L−ヘッド(L−head)、ニップ供給式(nip−fed)、パン供給式(pan−fed))、ロータリースクリーン、またはスロットダイ(スロット、押出)を含む、多くの異なるコーティング技術を用いて、疎水性水不透過性層および/または親水性ヒドロニウムイオン透過性層に鋳造し得る。フィルムを作製するためにどのコーティング技術を選択し得るかという選択は、部分的には、できたフィルムの望ましい特徴(すなわちフィルムの厚さ)によって決定される。粘性、表面張力、乾燥速度、産生コスト等のような他の因子も、フィルムを作製するためにどのコーティング技術を選択し得るかの選択に関連を有し得る。
【0074】
いくつかの実施態様において、そのpH表示部分は、親水性ヒドロニウムイオン透過性層および疎水性水不透過性層の間に別の層として位置する。これらの実施態様のいくつかの局面において、pH表示部分の層は、(例えば)pHの変化によって産生される警告(食べるな)の形式で、フィルムの一部にのみ位置する。
【0075】
商業的な実用性のために、メイヤーバー(meyer bar)コーティング技術を使用し得、ここで2から5ミルの湿潤フィルム厚さ、そして好ましくは4.0ミルの湿潤フィルム厚さの接着剤溶液を、ポリエチレンフィルムに適用する。
【0076】
様々な外形のポリマー性指標フィルムおよび柔軟なpH表示ラップが提供される。1つの実施態様において、その包装材料は、切断縁上部を有し、そして様々な長さのシートを分配することを可能にする、厚紙の箱から分配され得、そして特定の製品を覆うために使用し得る、フィルムのロールの形式であり得る。他の実施態様において、その包装材料は、熱シール性を有する大きなロールから分配される。さらに他の実施態様において、その包装材料は、再密封可能な側面または上部を有する容器または「袋(baggie)」の形式であり得、そして特定の食品の保存のために使用される。その包装材料の別の外形、そのポリマー性指標を含む一片またはポリマーシートまたはカードを、容器の中に挿入する。
【0077】
食品腐敗に関して、提供された指標の使用は、細菌代謝副産物の存在によって生じるpH変化の構想に基づく。そのpH変化は、気体、電解質を含む液体、イオンおよび乳酸、クエン酸、およびアンモニアのようなpHに影響する分子を含む、多くの原因から生じ得る。pHの定義は、溶液の酸性またはアルカリ性を表すために使用される、水素イオン濃度のマイナスの対数であるので、このイオン濃度の変化に影響を与える部分が検出可能であり得る。
【0078】
本発明のいくつかの実施態様は、その包装中で保存中に起こる潜在的な微生物増殖の早期の警告を提供するための、包装された食品における混入細菌増殖の副産物の検出に関連する。これらの食品は、肉、家禽、乳製品、シーフード等を含む、通常低酸性食品として公知である群内であり得る。これらの低酸性食品は、中性またはpH7付近またはpH7.4と6.2との間の固有のpHを有する。中酸性食品と呼ばれるクラスに含まれることが公知である食品はスープおよびパスタであり、そして4.5から5.0の固有のpHを有する。酸性食品と呼ばれるクラスに含まれることが公知である食品は、果物および野菜であり、3.7と4.5との間の固有のpHを有する。高酸性食品と呼ばれるクラスに含まれることが公知である食品は、レモンおよび漬物を含み、2.3と3.7との間の固有のpHを有する。ある実施態様において、より酸性の特徴を有する低酸性の範囲内のもの以外の食品は、その食品のより低い固有のpH値が、その包装材料のpH指標との反応を引き起こし、そして偽陽性の結果を示す場合、本発明の特定の実施態様によって使用するための適用可能な食品包装に含まれないかもしれない。
【0079】
ヘキサメトキシレッドおよびヘプタメトキシレッドは、有意に異なるpKaを有する(それらは異なるpHで色を変化させる)ので、本発明のポリマー性指標ラップ内に保存する食品の酸性に対して適当な指標を選択することは、当該分野の技術の範囲内である。
【0080】
よって、いくつかの実施態様において、食品が腐敗しているか、または細菌増殖によって汚染されていて当該食品が食べられないかどうかを検出する方法が提供され、当該方法は以下を含む:
a)当該食品の一部を、ポリマー性指標フィルムまたはpH表示ラップの近くに置く工程;
b)ポリマー性指標フィルムまたはpH表示ラップの比色定量変化の存在または非存在を検出する工程;および
c)ポリマー性指標またはpH表示ラップの比色定量変化の存在または非存在を、その食品が食べられないかまたは食べられるかということと相関させる工程。
【0081】
医療用装置への適応
別の局面において、例えば創傷被覆材またはカテーテル挿入部位に関連する、医療設定における細菌の増殖を視覚的に検出するための、ポリマー性指標フィルムおよびpH表示ラップが提供される。細菌代謝副産物の存在を、創傷の部位またはカテーテル挿入部位に、またはその近くに位置するポリマー性指標フィルムまたはpH表示ラップの色の変化によって検出する。
【0082】
1つの局面において、本発明は、細菌増殖によって産生される副産物の検出における、創傷被覆材およびその使用の方法に関連する。いくつかの実施態様において、その創傷被覆材は、本明細書中で記載したポリマー性指標を含む。
【0083】
1つの実施態様において、その創傷被覆材は、その包帯材からの指標の浸出を防止するための方式で、包帯材に付随した指標を含む。
【0084】
1つの実施態様において、その指標が創傷被覆材から浸出しないような方式で、創傷被覆材に埋め込まれる。例えば、その指標は、親水性ヒドロニウムイオン透過性ポリマー層および疎水性水不透過性ポリマー層の間にサンドイッチされた層として位置し得る。
【0085】
皮膚は、ヒトの体の最も大きな臓器である。皮膚が行う重要な機能の1つは、体の「外側」および「内側」の間のバリアおよび/またはフィルターとして作用することによって、体の「内側」を、外部環境から保護することである。皮膚は、体温の調節およびいくつかの選択された体の老廃物および毒素の排出を可能にすることのような、他の機能を有する。
【0086】
酸/塩基バランスは、代謝の健康に非常に重要であり、そしてヒトの生理機能において非常に重要な役割を果たす。酸および塩基の測定を、pHレベルを決定することによって行い、それは水素イオン濃度の逆対数である。pHのスケールまたは範囲は、0と14との間であり、7が中性である。酸はpH0からpH7より低い間の範囲であり、そして塩基はpH7より上からpH14までである。pH7は、中性−酸性でも塩基性でもないとして定義される。弱酸は、pH5.5およびpH7より下の間であり、そして弱塩基はpH7より上およびpH8.5の間である。
【0087】
ヒト皮膚のpHは、水分、汗の濃度、皮脂、遺伝的素因および年齢のような、多くの内因性因子によって影響される。皮膚は孔を有し、それは油および汗の腺(皮脂腺および汗腺)の組み合わせであり、それは皮膚を健康に維持することを補助する。皮膚の分泌は、汗および皮脂の分泌の結果である。青年期において、性ホルモンによって刺激された、皮脂分泌のレベルの増加がしばしば存在する。一般的に、皮膚の孔からの脂および汗の正常な分泌は、約pH5.5のわずかに酸性の状態を維持する。正常で健康な皮膚表面のpHは、pH4.5とpH6との間である。幾人かの研究者らは、正常で健康な皮膚のpHはpH4の低さおよびpH6の高さであると報告した。従って、文献は正常で健康な皮膚pHの値のためにある範囲を提供する。
【0088】
皮膚は、体の保護的外套(mantel)として作用し、そして「酸外套(acid mantel)」と呼ばれることもある。酸性の皮膚状態が、細菌増殖に好ましくない環境を提供するので、皮膚は、細菌に対する最初の防御メカニズムである。この酸性の防御は、年齢によって変動する。典型的には、新生児は中性(pH7)に近い皮膚pHを有し、それは皮膚を細菌増殖から保護するために、迅速にわずかに酸性になる。10代後半および20代前半において、酸外套がよく発達し、そして潜在的に有害な、外部環境因子に対して、さらにより良い、およびより酸性の防御を提供する。老齢期の開始と共に、ヒト皮膚はそのpHがより中性になり、そして細菌増殖に対してより感受性になり得る。
【0089】
皮膚pHの値の差異を、異なる人種および性別で評価した。男性および女性の間で有意な差異は報告されなかったが、女性は男性よりわずかに低い皮膚pHを有することが見出された。アフリカ系アメリカ人は、年齢に関するその白人の対応物よりもわずかにより酸性の角質層(表面層)を有することが見出された。体の1つの部位から別の部位への皮膚表面pHにほとんど変動はない。
【0090】
本明細書中で記載されたポリマー性指標フィルムを含む創傷被覆材が提供され、それは皮膚pHにおいて使用可能であり、そして色の変化、例えば無色から有色への移行を提供し、それは微生物の混入の容易な視覚的検出を可能にする。
【0091】
1つの実施態様において、以下を含む創傷被覆材が提供される:
a)上部および下部表面を有するポリマー性フィルムであって、当該下部表面は細菌混入を受けやすい創傷部位に面し、そのフィルムは、親水性ヒドロニウムイオン透過性層、細菌増殖副産物の存在を示すための複数のpH表示部分を含み、当該部分は、親水性ヒドロニウムイオン透過性層に付随している、または埋め込まれており、そして当該部分は閾値レベルの細菌副産物の非存在下での無色から、閾値レベルの細菌副産物の存在下での有色へ変化する、ポリマー性フィルム;および
b)当該ポリマー性フィルムの上部表面に隣接する疎水性水不透過性層。
【0092】
別の実施態様において、その表示部分はpH指標であり、そして好ましくはヘキサメトキシレッドまたはヘプタメトキシレッドのいずれか、より好ましくはヘキサメトキシレッドである。
【0093】
別の実施態様において、その表示部分は、親水性ヒドロニウムイオン透過性層の上に別の層を形成することによって、当該ポリマー性フィルムに付随する。
【0094】
別の実施態様において、その表示部分は、当該部分がそれから浸出できないように、当該部分を当該層に埋め込むことによって、当該親水性ヒドロニウムイオン透過性層に付随する。
【0095】
1つの実施態様において、そのpH表示部分は、親水性ヒドロニウムイオン透過性層に共有結合している。
【0096】
そのpH表示部分は、例えば親水性ヒドロニウムイオン透過性フィルムに、pH指標の官能基を結合させることによって共有結合し得る、または望ましい結合の形成に適当な反応条件下で、フィルムに存在する相補的な官能基に対して指標に導入し得る。そのpH指標をまた、アルデヒドまたはアシル基のような、ポリマーへの結合に望ましい官能基を示すように、合成的に修飾し得る。同様に、ポリマー性表面をまた、pH指標との結合のために望ましい官能基を提示するように修飾し得る。別のアプローチは、pH指標部分を、ポリマー性フィルムのマトリックス中に隔離するが、pH指標の官能性をそのままに維持することを可能にし得る。
【0097】
いくつかの実施態様において、以下を含む創傷被覆材が提供される:
a)1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む内側層;
b)1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を含む外側層;および
c)内側層と外側層との間に位置するpH指標層。
【0098】
本明細書中で提供される創傷被覆材の使用は、親水性ヒドロニウムイオン透過性層が、体液と接触し得る方式で、細菌の混入を受けやすい創傷部位の近くに配置することを含む。
【0099】
微生物による混入を受けやすい創傷部位は、皮膚の創傷、擦過傷、熱傷、開口、外科的切開部位、穿刺部位、および例えば中心静脈カテーテルまたは動脈または静脈の内腔に挿入するために使用される他のカテーテルを含む、カテーテル挿入部位を含む。
【0100】
1つの実施態様において、その部位を本明細書中で開示される創傷被覆材で覆うこと、および包帯材を色の変化に関してモニターすることを含む、細菌混入を受けやすい部位における、混入細菌の存在を検出するための方法が提供される。
【0101】
経験的データによって、コントロールされた条件下での特定の細菌の増殖は、pHと関連し得、本明細書中で記載された創傷被覆材は、異なる感受性に関して(例えばより早期に比色定量の変化を示すために)、または異なる型の細菌に関して較正し得る。
【0102】
バリア膜114および任意で透過性膜118の間に指標層120を有する、創傷被覆材の例を、図2および3に示す。接着剤116がバリア膜114の外周に提供される。任意で、その創傷被覆材の成分をまた、その皮膚への適用を促進するために、シートライナー102および110の間に包装し得る。
【0103】
1つの実施例において、バリア膜114は、外側環境に対するバリアとして作用する、透明な疎水性ポリマー性バリア膜である。水、水蒸気、および/または細菌増殖は、バリア膜114によって、環境から創傷またはカテーテル挿入部位へ浸透することを防止される。バリア膜114は、創傷被覆材の下またはカテーテル挿入部位から環境への水蒸気および酸素の受動拡散を許容する。バリア膜114はさらに、環境からバリア膜を通した皮膚への酸素の受動拡散を許容し、そして下にある組織からの水蒸気の喪失を制限しながら、皮膚および創傷またはカテーテル挿入部位の表面において、湿潤環境を作る。
【0104】
バリア膜114は、皮膚と接触し、そして実質的にバリア膜114の縁にそった接着の周囲長である確実な結合を作るために使用される接着剤116を含む。接着剤116は、バリア膜114の外周/境界に沿った医療用接着剤であり、そして創傷被覆材が皮膚からはずれる、または不注意に除去されるのを防止する。
【0105】
透過性膜118は、バリア膜114の下であり(すなわち、創傷またはカテーテル挿入部位または皮膚により近い)、そして、1つの実施例において、透明親水性ポリマー性膜である。透過性膜118は、バリア膜114の縁まで完全に延長しないが、創傷被覆材および指標を皮膚に固定するために使用される接着剤116によってその場所に維持される。透過性膜118は、1つの実施例において、気体、水蒸気、および水蒸気に溶解した気体に対して透過性である。さらに別の実施態様において、透過性膜118は、中でも酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、硫化水素、水素、二酸化硫黄、乳酸およびアンモニアを含む気体に対して透過性であり、ポリマー性組成物を通して最終的に拡散し得る気体の濃度が、指標層120による視覚的な比色定量反応を生じるのに十分であり、それはバリア膜114を通して容易に見え、それによって付き添う医療専門家のような使用者に、カテーテル挿入部位における創傷被覆材の下の潜在的に有害な細菌増殖を警告する。
【0106】
本明細書中で開示される創傷被覆材のポリマーは、それと結合した極性基を有するかなりの量のモノマーを含み得、全体的なポリマー性組成物を親水性にする。好ましくは、そのポリマー性組成物は、例えばヒドロキシル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、またはカルボキシレート基を含むモノマーから成る。理論によって制限されないが、極性基を含むことは、水がより容易にポリマーを透過し、そして従って、溶解した気体を2つの膜内に含まれる指標の近くに持ってきて、そして目に見える色の変化反応を誘起することを可能にすると考えられる。
【0107】
膜114および118は、化学的/物理的に官能基化されて(例えば異なるバックボーンを有する異なる交換官能基を含むために)、膜を通した通過に対して選択的なコントロールを可能にし得る(例えば特定の分子を通過させるために、および/または分子を特定の方向に通過させるために(例えば創傷部位から遠くへ、または創傷部位へ向かって))。
【0108】
創傷被覆材を、様々な方法で包装し得、そして1つの実施態様において、St.Paul、Minn.の3M Health Care Ltd.から入手可能なTegadermTMの商標をつけた包帯材と同様に包装する。任意で、バリア膜114、指標層120、および透過性膜118を、シートライナー102と110との間に包装して、創傷被覆材および指標の、留置した中心静脈または他のカテーテルの部位の上の皮膚の表面への適用を促進し得る。
【0109】
1つの実施例において、シートライナー102は、バリア膜114のバリア側または上側の、薄いカードの薄くかつ強固なシートであり、各末端に「ウィング」104を有する。シートライナー102は、プレカットしたウィンドウ106を含み得、ウィンドウ106をはがしてその下のバリア膜114をあらわにし、バリア膜114、指標層120、および透過性膜118がシートライナー102のフレームにつながったまま残り得、それはフィルムの正確な配置を促進し、そしてしわを軽減する。よって、フィルムの皮膚への適用の直前にウィンドウ106をはがし、そして除去し得、そして2つの透明膜114および118および指標層120を通して、カテーテル挿入部位の可視化を可能にする。シートライナー102はまた、カテーテル挿入部位において創傷被覆材を皮膚にしっかり適用した後に、縁をはがすことを可能にするために、シートライナー102の縁の1つの側にそってスリット108を含み得る。
【0110】
さらなる実施態様において、シートライナー110は、透過性膜118に隣接する接着剤116と結合した、印刷された剥離紙のシートである。シートライナー110はまた、皮膚への適用を補助するために、シートライナー102のウィング104を超えて延長するウィング112を有し得る。シートライナー110を、シートライナー102のウィンドウ106を除去したすぐ後に除去し、そして創傷被覆材をカテーテル部位の上の皮膚に適用する。
【0111】
バリア膜、接着剤、および透過性膜を含むがこれに限らない、皮膚に接触する包帯材の要素は、医療等級の材料から成り、そして1つの実施例において、米国食品医薬品局によって制定された、長期の皮膚接触に関する必要条件を満たすことが明らかである。
【0112】
指標の調製
ヘプタメトキシレッドまたはヘキサメトキシレッドの合成およびポリマー性指標の予言的(prophetic)調製を、実施例に示す。
【0113】
ポリマー性指標フィルムの調製
別の局面において、本明細書中で開示された手順によってpH表示部分を調製する改善された方法が、本明細書中で提供される。
【0114】
いくつかの実施態様において、内側の親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層および外側の疎水性水不透過性透明層を含むポリマー性指標フィルムを調製するためのプロセスが提供され、そのプロセスは以下を含む:
ポリマー性フィルムの内側層として、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を選択する工程であって、ここでその内側層は第1および第2の表面を有する、工程;
ポリマー性フィルムの外側層として、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を選択する工程であって、ここでその外側層は第1および第2の表面を有する、工程;
pH指標層を、外側層の1つの表面の少なくとも一部に適用する工程;および
pH指標層が内側層と外側層との間に位置するように、内側および外側表面を結合する工程。
【0115】
いくつかの実施態様において、そのプロセスはさらに、接着剤層を、pH指標層が適用される外側層の1つの表面に適用することを含み、その工程をpH指標層の適用の前に行う。
【0116】
いくつかの実施態様において、内側の親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層および外側の疎水性水不透過性透明層を含むポリマー性指標フィルムを調製するためのプロセスが提供され、そのプロセスは以下を含む:
a)ポリマー性フィルムの内側層として、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を選択する工程であって、ここでその内側層は第1および第2の表面を有する、工程;
b)ポリマー性フィルムの外側層として、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を選択する工程であって、ここでその外側層は第1および第2の表面を有する、工程;
c)接着剤層を、外側層の1つの表面に適用する工程;
d)接着剤層の少なくとも一部にpH指標のコーティングを適用する工程;および
e)pH指標でコーティングされた接着剤層が内側層と外側層との間に位置するように内側および外側層を結合し、それによってポリマー性指標フィルムを形成する工程。
【0117】
いくつかの実施態様において、pH指標のコーティングを適用する前に、その接着剤を部分的に乾燥する。いくつかの実施態様において、指標を適用した外側層を、外側層と内側層の結合の前に乾燥する。
【0118】
いくつかの実施態様において、そのpH指標層は、微生物の増殖と接触した時に、ポリマー性pH指標フィルムの少なくとも一部において目に見える色の変化を提供するために十分な量のpH指標部分を含む。
【0119】
いくつかの実施態様において、そのpH指標層は、約200オングストローム(Å)から約5ミクロンの厚さを有する。
【0120】
製造プロセスにおいて、図4および5において図示するように、その外側または内側層、好ましくは外側層は、ローリングストック製造アセンブリー(rolling stock production assemble)の基礎となり、そしてラインを通して送り、そこで接着剤のスプレーをフィルム膜の1つの側に適用する。次いで接着剤スプレーを、接着剤溶媒担体の一部、好ましくは大部分を蒸発させるために、調節した温度および時間で乾燥し、その時間に、指標溶媒担体中の指標(ヘキサメトキシレッドまたはヘプタメトキシレッド)を、その指標を接着剤に固定化するための時間、温度、および濃度で、乾燥中の接着剤の表面にスプレーする。アセンブリーは次いで、指標溶媒担体の蒸発を促進するために、第2の調節された温度および時間のプロセスに進む。一旦適当な乾燥時間および温度が達成されたら、外側または内側層を次いで、しわのない完全な積層を確実にするために、アセンブリーローラーによって適用されたわずかな圧力によって、固定化された指標および接着剤に積層する。最終的に、積層フィルムおよびサンドイッチアセンブリーの完全性を維持するために、リリース(release)を製品に適用し得る。最終的なフィルムサンドイッチ製品を、さらなる包装または創傷被覆材アセンブリーのために用意し得る。
【0121】
いくつかの実施態様において、そのポリマー性指標フィルムは、食品用ラップとして適用するためのものである。食品用ラップ適用のいくつかの実施態様において、供給源のロールおよび完成したフィルムロールの幅は、約12インチから約84インチまでであり得る。いくつかの実施態様において、完成したポリマー性指標フィルムを集め、そして図4で見られるように、上側または内側を、回収ロールの外側にして、回収ロールの周りに巻きつけ得る。いくつかの実施態様において、フィルムの完成した製品のロールを、図5で見られるように、上側または内側を回収の内側にして、回収ロールに集め、そしてその周りに巻きつけ得る。
【0122】
いくつかの実施態様において、ラインを完成したフィルムロールへ巻きつける直前に、第2の積層プロセスとして、剥離ライナーを導入し得る。いくつかの実施態様において、それをコレクションロールに巻きつけるので、フィルムのさらなる分離のために、剥離ライナーを使用し得る。
【0123】
本明細書中で開示された実施態様の、前述のおよび他の局面は、以下の実施例と関連してより良く理解され得る。
【実施例】
【0124】
下記の実施例においておよび本出願を通して、以下の略語は以下の意味を有する。もし定義されなければ、その用語は一般的に受け入れられた意味を有する。
【0125】
℃=摂氏度
DE=珪藻土
°F=華氏度
g=グラム
IPA=イソプロピルアルコール
kg=キログラム
L=リットル
M=モル濃度
℃=摂氏度
mbar=ミリバール
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
MW=分子量
m/z=質量/電荷
PE=ポリエチレン
PVOH=ポリビニルアルコール
RT=室温
w/w=重量/重量
実施例1
グラムスケールにおけるヘプタメトキシレッドの調製
工程1:2,4,6−トリメトキシ安息香酸メチル(CAS29723−28−2)の合成
2,4,6−トリメトキシ安息香酸(CAS570−02−5)(5.61g、26.42mmol)を、20mLのメタノール(CAS67−56−1)に懸濁させた。濃硫酸(CAS7664−93−9)(1mL)を混合物に加え、そして反応物を24時間加熱還流した。その反応物を室温へ冷却し、そしてメタノール(CAS67−56−1)を減圧中で除去した。残渣を50mLの5%NaHCO(CAS144−55−8)に溶解し、そして全ての固体が溶解するまで、ヘキサン(CAS110−54−3)で抽出した。ヘキサン抽出物を無水NaSO(CAS7757−82−6)上で乾燥し、ろ過し、そして回転蒸発(ratovap)させて乾燥し、望ましい生成物である、2,4,6−トリメトキシ安息香酸メチル(CAS29723−28−2)を白色の結晶性固体として得た。
【0126】
工程2:ヘプタメトキシレッドの合成
1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼン(CAS17715−69−4)(4.23g、19.47mmol)を、丸底フラスコに加え、そしてそのフラスコを窒素で10分間流した。無水エーテル(CAS60−29−7)(80mL)を加え、続いてヘキサン(CAS110−54−3)中のn−ブチルリチウム(CAS109−72−8)(1.6M、12.2mL)を滴下して加えた。濁った混合物を室温で10分間撹拌した。2,4,6−トリメトキシ安息香酸メチル(CAS29723−28−2)(2.20g、9.74mmol)をエーテル(CAS60−29−7)に溶解し、そして反応混合物に滴下して加えた。加え終わった後、その反応物を3分長く撹拌した。その反応物を次いで5%NHCl(CAS12125−02−9)(50mL)を含む分液漏斗に注ぎ、そして色の変化が観察されるまで振った。層を分離し、そしてエーテル層を無水NaSO(CAS7757−82−6)上で乾燥し、ろ過し、そして回転蒸発させて乾燥した。粗製油を冷凍庫に置いた(6.02g、不純物のため132%)。
【0127】
実施例2
ヘプタメトキシレッドの1工程の調製
1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼン(CAS17715−69−4)(4.23g、19.47mmol)を、適切な大きさの丸底フラスコに加える。フラスコを密封するためにゴムのセプタムをつける。
【0128】
通気孔として針をセプタムに挿入し、そして丸底フラスコに窒素を約10分間流した。
【0129】
無水エーテル(CAS60−29−7)(80mL)を加え、続いてヘキサン(CAS110−54−3)中のn−ブチルリチウム(CAS109−72−8)(1.6M、12.2mL)を滴下して加える。
【0130】
濁った混合物を10分間撹拌し、そして丸底フラスコを氷上に維持する。
【0131】
2,4,6−トリメトキシ安息香酸メチル(CAS29723−28−2)(2.20g、9.74mmol)を約20mLの無水エーテル(CAS60−29−7)(もし必要なら約20mLより多く使用し得る)に溶解し、そして次いでこれを反応混合物に滴下して加える。
【0132】
加え終わった後、反応混合物を約3分間長く撹拌する。
【0133】
反応混合物を、5%のNHCl(aq)(CAS12125−02−9)(50mL)を含む分液漏斗に注ぎ、そして色の変化が観察されるまで振る(薄橙色)。
【0134】
層を分離させ、そして上部のエーテル層を、約5gの無水NaSO(CAS7757−82−6)で乾燥し、ろ過し、そして400mbar下、35−40℃で、回転蒸発させて乾燥する。
【0135】
ヘプタメトキシレッドの粗製油(黄色−橙色)を、冷凍庫に置く。
【0136】
収量は約3.1gである。
【0137】
実施例3
グラムスケールにおけるヘキサメトキシレッドの調製
1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼン(CAS#17715−69−4)(4.23g、19.47mmol)を、適切な大きさの丸底フラスコに加える。
【0138】
フラスコを密封するために、ゴムのセプタムをつける。
【0139】
通気孔として針をセプタムに挿入し、そして丸底フラスコに窒素を約10分間流した。
【0140】
無水エーテル(CAS#60−29−7)(80mL)を加え、続いてヘキサン(CAS#110−54−3)中のn−ブチルリチウム(CAS#109−72−8)(1.6M、12.2mL)を滴下して加える。
【0141】
濁った混合物を10分間撹拌し、そして丸底フラスコを氷上に維持する。
【0142】
2,4−ジメトキシ安息香酸メチル(CAS#2150−41−6)(2.20g、9.74mmol)を約20mLの無水エーテル(CAS#60−29−7)(もし必要なら約20mLより多く使用し得る)に溶解し、そして次いでこれを反応混合物に滴下して加える。
【0143】
加え終わった後、反応混合物を約3分間長く撹拌する。
【0144】
反応混合物を、5%のNHCl(aq)(CAS#12125−02−9)(50mL)を含む分液漏斗に注ぎ、そして色の変化が観察されるまで振る(薄橙色)。
【0145】
層を分離させ、そして上部のエーテル層を、約5gの無水NaSO(CAS#7757−82−6)で乾燥し、ろ過し、そして400mbar下、35−40℃で、回転蒸発させて乾燥する。
【0146】
ヘキサメトキシレッドの粗製油(黄色−橙色)を、冷凍庫に置く。
【0147】
収量は約3.1gである。
【0148】
実施例4
ブロー押出ポリエチレンフィルムに加えるためのDE中のヘプタメトキシレッド
以下の手順は、3%のDE(DE=PEペレット中の珪藻土)投入によって、1%のヘプタメトキシレッド(HMR)を、約200フィートのブロー押出PE(ポリエチレン)フィルムへ組み込む工程を説明する。
【0149】
押出PEフィルムは、この実施例において3%までのDE投入および約1%のヘプタメトキシレッドを有する、厚さ約1ミル(0.001インチ(”))×幅48インチである。
【0150】
工程1:20gのHMRを、40gのエタノールで希釈して、エタノール中33%のHMR溶液を得る(20gHMR+40gエタノール=60gのエタノール中33%HMR溶液)。
【0151】
工程2:60gのエタノール中33%のヘプタメトキシレッド溶液を取り、そしてそれを撹拌子および撹拌プレートを用いて、非常に低温のホットプレート上のビーカー中で、60gのDEに加える。40gのエタノールが蒸発して60gのDEおよび20gのヘプタメトキシレッドを残すまで、混合およびわずかに加熱する(従って、80gのDE中25%濃度のヘプタメトキシレッドを得る)。
【0152】
工程3:80gのDE(25%濃度のヘプタメトキシレッドを含む)を、4%(w/w)の割合で、重量分析フィラー(gravimetric filler)によって、ブロー押出PEフィルムラインに加え、それは最終的なブローPEフィルムにおいて1%のHMRおよび3%のDEを提供する。重量分析フィラーを「オン」にスイッチし、それは4%(w/w)のDEをPEに導入し、そして3分以内に、ブロー押出機の末端から出てくる、ブロー押出PEフィルムは、1%のHMRおよび3%のDEが組み込まれている。
【0153】
実施例5
食品保存袋への適応
この実施例は、細菌代謝副産物の存在を検出するための食品保存袋を説明する。
【0154】
袋製品の製造および材料:本発明のポリマー性指標を、袋または袋の一部として製造し得る。
【0155】
閉鎖のための袋製品の形態:その袋は、ジップロック型であり得る、または食品の水分を保存するために、水分を袋内に閉じ込めることを可能にする、別の閉鎖システムを有する。
【0156】
袋製品のサイズ:あらゆる袋のサイズを使用し得るが、この実施例は、消費者の使用のための特定の形態を説明する。消費者用袋詰めホウレンソウに関して、任意で再密封可能な、48オンスの袋を製造する。その袋は、もし消費者がその製品全体を一度に使用しないなら、内側の体積を減らすために、任意の留め金を有し得る。これは、存在し得る、または袋をも最初に開けた後に生じたあらゆる微生物副産物を濃縮する効果を有する。微生物副産物の局所的な集中は、イオン飽和のために発色団がより容易に利用可能であり得るので、最終的により強い視覚的シグナルを生じる効果を有し得る。
【0157】
実施例6
ポリエチレン/ポリウレタン積層物
この実施例は、pH表示部分を含む接着剤によって結合したポリエチレン/ポリウレタン積層物を説明する。
【0158】
ポリエチレンシート(Glad(登録商標) Wrap)に、Elmer’s Multi−Purpose Spray Adhesive、4オンス、No E452をスプレーした。そのスプレー接着剤は、適用後約5分で乾燥し、そしてGlad(登録商標) Wrapにスプレーの薄い透明なフィルムを残した。その接着剤は、乾燥後は透明であり、そしてGlad(登録商標) Wrapフィルムの柔軟性に負の影響を有さなかった。エタノール(5mL)中のヘプタメトキシレッド指標を、スプレーボトルを用いて接着剤層の上に軽くスプレーし、指標を接着剤の表面に固定化した。その複合物を一晩乾燥させた。
【0159】
ポリウレタンフィルムTegaderm(3M)および1ミルのDT1001 84 Shore A ポリエーテルポリウレタンフィルム(American Polyfilm Inc.,Banford、CT)を試験において使用した。そのポリウレタンフィルムを、麺棒を用いてポリエチレン/接着剤/指標のアセンブリーに適用した。希釈HClをポリウレタンフィルムに適用し、12から16時間の期間をかけてゆっくり起こる、無色からバイオレットレッドへの鮮やかな色の変化を引き起こした。
【0160】
実施例7
ヘキサメトキシレッドを含むポリエチレンフィルムの合成
以下の実施例は、ポリエチレンフィルムに結合したヘキサメトキシレッドを含むポリエチレンフィルムをどのように調製するかを示す。
【0161】
この実施例において、ペレット形式の1−3%(w/w)のPE/DEを、厚さ0プロセス.001インチ×幅48インチのPEフィルムを作製するブロー押出ラインに加える。そのプロセスの前方の端にある加熱したオーガに入る、重力測定的(gravimetrically)に投入されたPE/DEペレットが、PEと完全に混合し、そしてそのプロセスの後方の端から出て来る0.001インチのブローPEフィルムを生じるために約10分かかるよう、そのブロー押出プロセスを調整する。
【0162】
ライン速度を、1分あたり120フィートのPEフィルム(厚さ0.001インチ×幅48インチで)を生成するよう調整および設定する。
【0163】
ライン速度、フィルム厚さおよびフィルム幅に関して上記の仕様に従う場合、この生成の間に使用されるPEの量は、1分あたり約1.0kg(または120フィートの押出フィルムあたり約1.0kg)である。オーガにおける10分間の滞留温度は≦420°F(215℃)であり、そしてヘキサメトキシレッドはこの温度においてこの時間の間は熱安定性である。
【0164】
PEブロー押出プロセスは、その正常なPEの供給を開始する(重力測定的フィラーが「オフ」の位置で)。次いで重力測定的フィーダーに、最終的な濃度が1%(w/w)であるように十分な量のヘキサメトキシレッドを含む、700gのPE/DEを供給し、ブロー押出されるPEに1%(w/w)のPE/DEを加えるよう設定する。
【0165】
一旦ブロー押出プロセスが正常化し、そして許容可能なPEフィルムを生成したら、重力測定的フィラーのスイッチを「オン」の位置にし、それは1%(w/w)のPE/DEをPEフィルムに導入し始め、そして約10分以内にパイロットラインの端から出てくる、ブロー押出PEフィルムは、1%(w/w)のPE/DEの追加によりそれに組み込まれる。
【0166】
2%(w/w)および3%(w/w)の組成物も同様に調製する。
【0167】
実施例8
ヘキサメトキシレッドを含むポリウレタンまたはポリスチレンフィルムの合成
PEをポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)または多くの異なるポリマーの1つまたは組み合わせで置き換える以外は、実施例7のプロセスを繰り返し、ここでそれぞれのポリマーは、望ましい官能性を提供し得る。
【0168】
実施例9
食品用ラップとしてのポリマー性指標フィルムの調製
図4に示すように、食品用ラップ製造プロセスは、疎水性水不透過性フィルム3、例えばGlad(登録商標)ラップのようなポリエチレンフィルムから始まり、それはポリマー性指標フィルムの外側層である。疎水性水不透過性フィルム3の特徴は、酸素、水素、窒素、水分、または他の要素のような、環境および周囲のガス状化合物の通過に対するその抵抗性である。フィルム3を、例えば第1のスピンドル20の動きによって、接着剤スプレープロセス12に運び、ここで好ましくは軽いスプレーまたはミスト形式で、このフィルムに接着剤をスプレーする。その接着剤は、1つもしくはそれより多くの化合物を、エアロゾル中に含み得る。次いでそのフィルムを、接着剤スプレープロセス12を通して、第1の蒸発プロセス13まで移動し、ここで接着剤の第1の乾燥プロセスを開始する。その接着剤は、周囲温度および通常の湿度条件で、約5分の乾燥時間を有し得る。その乾燥プロセスを、熱および/または強制気流の追加によって加速し得る。乾燥の量を、第1の蒸発プロセス13を通るフィルムの速度、適用する熱の温度、および/または表面を移動する強制気流の量によって調節し得る。その目的は、残った接着剤が食品用ラップ適用のために使用されるその指標、例えば希釈したヘプタメトキシレッドを受容することを可能にしながら、アセトンのような、接着剤の担体の蒸発を開始することである。適用される熱および/または強制気流は、その外側層および/または接着剤に有害な影響を与えないように制限されるべきである。安全な方式で担体の蒸気を回収し、そして環境規制の基準に従ってこの蒸気を処分するために、換気フードを提供し得る。
【0169】
フィルムが第1の蒸発プロセス13を通過した後、それは指標スプレープロセス14に進み、ここで接着剤に指標、例えば95%エタノール中のヘプタメトキシレッドのような、担体中の希釈したヘプタメトキシレッドを適用する。その指標は、好ましくは軽いスプレーまたはミストの形式で適用される。エタノール中の指標ヘプタメトキシレッドを、指標が乾燥中の接着剤の表面に固定化されるような方式で、乾燥中の接着剤の表面に適用する。次いでそのフィルムが、指標の担体の蒸発のために、第2の蒸発プロセス15を通過する。その蒸発を補助するために、熱および/または強制気流を適用し得る。適用される熱および/または強制気流は、外側層、接着剤および/または指標に有害な影響を与えないように制限されるべきである。再び、安全な方式で担体の蒸気を回収し、そして環境規制の基準に従ってこの蒸気を処分するために、換気フードを提供し得る。接着剤および指標はどちらも、プロセスが積層プロセス16に移動するときに乾燥状態である。積層プロセス16において、ポリマー性指標フィルムの内側層であり、そして第2のスピンドル21によって供給され得る、親水性ヒドロニウムイオン透過性フィルム9を、例えばローラー22の操作によって、2つの層を注意深く、そして静かに圧迫して合わせる従来の方法に適用する。その親水性ヒドロニウムイオン透過性フィルム9は、Pebax(登録商標) MV3000フィルムのような、比較的高い水蒸気透過率(MVTR)を有するフィルムであり得る。残留接着剤が、フィルムにさらなる積層品質を提供し、そして内側層と外側層との間に接着剤および固定化された指標を含む「サンドイッチ」としてそのアセンブリーを含むために十分である。図4には示していない剥離ライナーを用いた第2の積層プロセスを、第3のスピンドル23による完成したポリマー性指標フィルム1への回収の直前に、フィルム(単数もしくは複数)へ適用し得る。
【0170】
実施例10
医療用適用のためのポリマー性指標フィルムの調製
図5に示すように、医療用適用のためのポリマー性指標フィルムの製造プロセスは、疎水性水不透過性フィルム3から始まる。好ましくは、医療用適用において使用される疎水性水不透過性フィルム3は、酸素、水素、および窒素のような、「バリア」を通した環境および周囲のガス状化合物の通過によって特徴付けられる。フィルム3の多孔性によって、水のような双極分子の通過に抵抗性である。例えば、フィルム3は、TegadermTM製品において3MTMによって使用されるものと同様のポリウレタンフィルムであり得る。例えば第1のスピンドル20の動きによって、フィルム3を接着剤スプレープロセス12に運び、ここでまず、好ましくは軽いミストまたはスプレーの形式で、接着剤をスプレーする。その接着剤は、エアロゾル中に1つもしくはそれより多くの化合物を含み得る。次いでそのフィルムを、接着剤スプレープロセス12を通して、そして第1の蒸発プロセス13まで移動し、ここで接着剤の第1の乾燥プロセスを開始する。その接着剤は、周囲温度および通常の湿度条件で、約5分の乾燥時間を有し得る。その乾燥プロセスを、熱および/または強制気流の追加によって加速し得る。乾燥の量を、第1の蒸発プロセス13を通るフィルムの速度、適用する熱の温度、および/または表面を移動する強制気流の量によって調節し得る。その目的は、残った接着剤がその指標、例えば医療用適用のために使用される希釈したヘキサメトキシレッドを受容することを可能にしながら、担体の蒸発を開始することである。適用される熱は、その外側層および/または接着剤に有害な影響を与えないように制限されるべきである。安全な方式で担体の蒸気を回収し、そして環境規制の基準に従ってこの蒸気を処分するために、換気フードを提供し得る。
【0171】
フィルムが第1の蒸発プロセス13を通過した後、それは指標スプレープロセス14に進み、ここで接着剤に指標、例えばエタノールのような担体中の希釈したヘキサメトキシレッドを適用する。その指標は、好ましくは軽いスプレーまたはミストの形式で適用される。エタノール中の指標ヘキサメトキシレッドを、指標が乾燥中の接着剤の表面に固定化されるような方式で、乾燥中の接着剤の表面に適用する。次いでそのフィルムが、指標の担体の蒸発を助けるために、第2の蒸発プロセス15を通過する。その蒸発を補助するために、熱および/または強制気流を適用し得る。適用される熱および/または強制気流は、外側層、接着剤および/または指標に有害な影響を与えないように制限されるべきである。再び、安全な方式で担体の蒸気を回収し、そして環境規制の基準に従ってこの蒸気を処分するために、換気フードを提供し得る。接着剤および指標はどちらも、プロセスが積層プロセス16に移動するときに乾燥状態である。積層プロセス16の間に、ポリマー性指標フィルムの内側層であり、そして第2のスピンドル21によって供給され得る、親水性ヒドロニウムイオン透過性フィルム9を、例えばローラー22の操作によって、2つのフィルムを注意深く、そして静かに圧迫して合わせる従来の方法に適用する。そのフィルム9は、Pebax(登録商標) MV3000フィルムまたは高いMVTRを有するポリウレタンフィルムのような、比較的高い水蒸気透過率(MVTR)を有するフィルムであり得る。残留接着剤が、フィルムにさらなる積層品質を提供し、そして内側層と外側層との間に接着剤および固定化された指標を含む「サンドイッチ」としてそのアセンブリーを含むために十分である。図5には示していない剥離ライナーを用いた第2の積層プロセスを、第3のスピンドル23による完成したポリマー性指標フィルム1への回収の直前に、フィルム(単数もしくは複数)へ適用し得る。
【0172】
図4および5には示していないさらなるローラーを、連続した一連の適用を移動するときに、上および/または下からフィルムを支持するために使用し得る。これらのローラーを、上および/または下からフィルムを支持するだけでなく、製造プロセスの間のフィルムのあらゆるしわを軽減するために使用し得る。
【0173】
実施例11
食品に対するポリマー性指標フィルムの適用
ポリマー性指標フィルムを、周囲条件において、100コロニー形成単位(CFU)より少ないEscherichia coli(E.coli)が混入した牛ひき肉のサンプル、および100コロニー形成単位(CFU)より少ないSalmonellaが混入した鶏肉のサンプルにそれぞれ適用した。18時間以内に、ポリマー性指標フィルムの有意な部分に赤色が出現した。以下の表は結果をまとめた。
【0174】
【表1】

【0175】
上記で記載した実施態様および実施例は、本発明を限定することを意図しない。本発明の原理に従って、多くの変更およびバリエーションが可能であることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な1つのポリマー層または複数のポリマー層と、複数のpH表示部分とを含むポリマー性指標フィルムであって、該pH表示部分は、該ポリマー層内に、または2つもしくはそれより多くのポリマー層間に閉じ込められており、そしてさらに該pH表示部分は、中性pHにおいて該ポリマーフィルムの透明性を保持するが、酸性pHに曝露された場合に該フィルムの少なくとも一部に色を与える、ポリマー性指標フィルム。
【請求項2】
ポリマーと、ヘプタメトキシレッドおよびヘキサメトキシレッドまたはその組み合わせから選択される複数のpH表示部分とを含むポリマー性指標フィルムであって、該pH表示部分は該ポリマー内に閉じ込められている、ポリマー性指標フィルム。
【請求項3】
a)1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を含む第1の層;
b)1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を含む第2の層;および
c)該第1の層と該第2の層との間に位置するpH指標層
を含む、ポリマー性指標フィルム。
【請求項4】
前記ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリプロピレン、フェノキシ樹脂、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/メチルスチレンコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)、ポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)、アクリロニトリルスチレンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸メチル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリ−1−ビニルナフタレン、ポリビニルフェニルケトン、ポリ−p−キシレンドデカンジオエート、ポリ−テトラメチレンオクテンジアミド、ポリ−テトラメチレンテレフタレン、ポリ−トリメチレン−3,3’−ジベンゾエート、ポリ−テレフタル酸無水物、ポリ−4−メチル−ジアミン、ポリビニレンカーボネート、ポリビニレンラウレート、ポリイソプロペニルアセテート、ポリアリルベンゼン、ポリビニルブチルエーテル、ポリギ酸ビニル、ポリビニルフェニルエーテル、ポリノルボルナジエン、ポリカーボネート、疎水性ポリエステルおよびポリウレタン、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項5】
前記ポリマーがポリエチレンである、請求項1または2に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項6】
透明である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項7】
酸の存在下で検出可能な比色定量変化が起こる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項8】
前記酸が、炭酸、硫酸、および硫化水素からなる群より選択される、請求項7に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項9】
前記酸が、微生物副産物であるか、または微生物副産物と水との反応によって形成され、該微生物副産物は、二酸化炭素および二酸化硫黄からなる群より選択される、請求項7に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項10】
前記微生物副産物は、Bacillus、Brucella、Campylobacter、Clostridium、Escherichia coli、Listeria monocytogenes、Salmonella、Streptococcus、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Shigella spp.、Vibri spp.、Yersini spp.、またはこれらの2つもしくはそれより多くの微生物の混合物からなる群より選択される微生物によって生成される、請求項9に記載のポリマー性指標フィルム。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー性指標フィルムを含む、食品保存容器。
【請求項12】
密封可能な袋である、請求項11に記載の食品保存容器。
【請求項13】
液体を保存するためのジャグまたは瓶である、請求項11に記載の食品保存容器。
【請求項14】
外側の疎水性バリア層と指標層とを含む柔軟なpH表示ラップであって、該指標層は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー性指標フィルムである、柔軟なpH表示ラップ。
【請求項15】
外側の疎水性バリア層と、微生物副産物およびその酸に対して透過性の内側バリア層とを含む柔軟なpH表示ラップであって、ヘプタメトキシレッドおよびヘキサメトキシレッドまたはその組み合わせから選択される複数のpH表示部分が、該外側層と該内側層との間にサンドイッチされており、該pH表示部分はポリマー内に閉じ込められているか、または接着剤に接着しており、該ポリマーまたは該接着剤は該外側層と該内側層との間に位置する、柔軟なpH表示ラップ。
【請求項16】
前記外側層および内側層が、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、フェノキシ樹脂、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/メチルスチレンコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)、ポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)、アクリロニトリルスチレンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸メチル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリ−1−ビニルナフタレン、ポリビニルフェニルケトン、ポリ−p−キシレンドデカンジオエート、ポリ−テトラメチレンオクテンジアミド、ポリ−テトラメチレンテレフタレン、ポリ−トリメチレン−3,3’−ジベンゾエート、ポリ−テレフタル酸無水物、ポリ−4−メチル−ジアミン、ポリビニレンカーボネート、ポリビニレンラウレート、ポリイソプロペニルアセテート、ポリアリルベンゼン、ポリビニルブチルエーテル、ポリギ酸ビニル、ポリビニルフェニルエーテル、ポリノルボルナジエン、ポリカーボネート、疎水性ポリエステルおよびポリウレタン、またはそれらの混合物からなる群より独立して選択される、請求項15に記載の柔軟なpH表示ラップ。
【請求項17】
請求項14または15に記載の柔軟なpH表示ラップであって、該ラップに機械で認識可能なコードが貼り付けられているか、または該ラップ上に機械で認識可能なコードが印刷されている、柔軟なpH表示ラップ。
【請求項18】
前記コードがバーコードである、請求項17に記載の柔軟なpH表示ラップ。
【請求項19】
前記コードが、RFID(無線周波数認識)タグである、請求項18に記載の柔軟なpH表示ラップ。
【請求項20】
食品が微生物で腐敗していて、その結果該食品が食べられないか否か、または、食品に微生物が混入していて、その結果該食品が食べられないか否かを検出する方法であって、該方法は、
a)該食品の一部を、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー性指標フィルムまたは請求項14もしくは15に記載のpH表示ラップの近くに置く工程、
b)該ポリマー性指標フィルムまたはpH表示ラップにおける比色定量変化の存在または非存在を検出する工程、および
c)該ポリマー性指標フィルムまたはpH表示ラップにおける比色定量変化の該存在または非存在を、該食品が食べられないかまたは食べられるかということと相関させる工程
を包含する、方法。
【請求項21】
創傷被覆材であって、
a)上部表面および下部表面を有するポリマー性フィルムであって、該下部表面は、微生物による混入を受けやすい創傷部位に面するためのものである、ポリマー性フィルム、
b)該ポリマー性フィルムの該上部表面に隣接するバリア膜、および
c)混入した微生物由来の増殖副産物の存在を表示するための複数の表示部分であって、該部分は、該ポリマー性フィルムに結合しており、そして、該部分は、細菌副産物の閾値レベルの非存在下での無色から、細菌副産物の閾値レベルの存在下での有色へ変化する、表示部分
を含む、創傷被覆材。
【請求項22】
前記表示部分がpH指標である、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項23】
前記pH指標が、ヘキサメトキシレッドおよびヘプタメトキシレッドからなる群より選択される、請求項22に記載の創傷被覆材。
【請求項24】
前記表示部分が、該部分の前記ポリマー性フィルムへの共有結合によって、該ポリマー性フィルムに結合している、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項25】
前記表示部分が前記ポリマー性フィルムから浸出することができないように、該ポリマー性フィルム内に該部分を埋め込むことによって、該表示部分が該ポリマー性フィルムに結合している、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項26】
前記ポリマー性フィルムの前記下部表面に隣接する透過性膜をさらに含む、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項27】
前記ポリマー性フィルムは、ポリマーまたはその混合物を含み、該ポリマーまたはその混合物は、該ポリマーまたはその混合物上に共有結合された複数のpH表示部分を有する、請求項22に記載の創傷被覆材。
【請求項28】
前記ポリマーまたはその混合物が、ポリ塩化ビニリデン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリグリセロールメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートのコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、メタクリル酸、アミノアクリレート、アミノメタクリレート、ポリビニルピリジン、ポリアミド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルとポリビニルアルコールとのコポリマー、酢酸ビニルおよび塩化ビニルのヒドロキシ修飾コポリマー、少なくとも10重量%のポリエチレンオキシドを含むポリエステルおよびポリウレタン、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、エチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、エチルメタクリレート/メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ならびに親水性セルロースコポリマーからなる群より選択され、該ポリマーまたはその混合物は、該ポリマーまたはその混合物上に共有結合された複数のpH表示部分を有する、請求項27に記載の創傷被覆材。
【請求項29】
前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリウレタン、もしくはポリ塩化ビニル、またはそれらの混合物から選択され、該ポリマーが、該ポリマー上に共有結合された複数のpH表示部分を有する、請求項28に記載の創傷被覆材。
【請求項30】
前記バリア膜は、透明なポリマー性膜である、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項31】
前記バリア膜は、アクリロニトリルスチレンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸メチル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン/メチルスチレンコポリマー、ブタジエン/スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、フェノキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)、ポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4[1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)、ポリ−1−ビニルナフタレン、ポリ−4−メチル−ジアミン、ポリアリルベンゼン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリイソプロペニルアセテート、ポリ−p−キシレンドデカンジオエート、ポリ−テレフタル酸無水物、ポリ−テトラメチレンオクテンジアミド、ポリ−テトラメチレンテレフタレン、ポリ−トリメチレン−3,3’−ジベンゾエート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリノルボルナジン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリギ酸ビニル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルフェニルエーテル、ポリビニレンカーボネート、ポリビニレンラウレート、ポリ塩化ビニリデン、フッ化ポリビニリデン、ポリビニルフェニルケトン、またはそれらの混合物から選択されるポリマーを含む、請求項21に記載の創傷被覆材。
【請求項32】
前記透過性膜は、親水性ヒドロニウムイオン透過性透明ポリマー性膜である、請求項26に記載の創傷被覆材。
【請求項33】
前記透過性膜が、アミノアクリレート、アミノメタクリレート、カルボキシメチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシエチルメタクリレートのコポリマー、ポリ酢酸ビニルとポリビニルアルコールとのコポリマー、エチルメタクリレート/メチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、エチルメタクリレート/スチレン/メタクリル酸コポリマー、エチルヒドロキシエチルセルロース、メタクリル酸グリセロール、親水性セルロースコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸ビニルおよび塩化ビニルのヒドロキシ修飾コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸、メチルセルロース、メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、ポリアミド、少なくとも10重量%のポリエチレンオキシドを含むポリエステルおよびポリウレタン、ポリグリセロールメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルピロリジン、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマーからなる群より選択されるポリマーを含み、該ポリマーまたはその混合物は、該ポリマーまたはその混合物上に共有結合した複数のpH表示部分を有する、請求項32に記載の創傷被覆材。
【請求項34】
前記被覆材は、前記ポリマー性フィルムまたは前記透過性膜の前記下部表面に隣接した吸収性パッドをさらに含む、請求項26に記載の創傷被覆材。
【請求項35】
前記pH表示部分は、ガス状二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、水素、アンモニウム、ラクテート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、細菌増殖の副産物に付随するpH変化を検出する、請求項22に記載の創傷被覆材。
【請求項36】
前記pH表示部分は、炭酸、硫酸、水酸化アンモニウム、乳酸、またはそれらの混合物のうちの1つもしくはそれより多くの形成によるpH変化を検出する、請求項22に記載の創傷被覆材。
【請求項37】
前記pH表示部分は、色の変化によって、細菌増殖副産物の存在を表示する、請求項22に記載の創傷被覆材。
【請求項38】
前記細菌は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus mitis、Streptococcus sanguis、Enterococcus faecium、Escherichia coli、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Enterococcus faecalis、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumonia、Candida albicans、グラム陰性桿菌、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項21または22に記載の創傷被覆材。
【請求項39】
内側の親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層と、外側の疎水性水不透過性透明層とを含む、ポリマー性指標フィルムを調製するプロセスであって、
a)該ポリマー性フィルムの該内側層として、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を選択する工程であって、該内側層は、第1の表面および第2の表面を有する、工程、
b)該ポリマー性フィルムの該外側層として、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を選択する工程であって、該外側層は、第1の表面および第2の表面を有する、工程、
c)少なくとも、該外側層の1つの表面の一部に、pH指標層を適用する工程、および
d)該pH指標層が該内側層と外側層との間に位置するように、該内側および外側の表面を一緒に結合させる工程
を包含する、プロセス。
【請求項40】
内側の親水性ヒドロニウムイオン透過性透明層と、外側の疎水性水不透過性透明層とを含むポリマー性指標フィルムを調製するプロセスであって、
a)該ポリマー性フィルムの該内側層として、1つもしくはそれより多くの親水性ヒドロニウムイオン透過性層を選択する工程であって、該内側層は第1の表面および第2の表面を有する、工程、
b)該ポリマー性フィルムの該外側層として、1つもしくはそれより多くの疎水性水不透過性層を選択する工程であって、該外側層は、第1の表面および第2の表面を有する、工程、
c)該外側層の1つの表面に接着剤層を適用する工程、
d)該接着剤層の少なくとも一部に、pH指標のコーティングを適用する工程、および
e)該pH指標でコーティングされた該接着剤層が該内側層と外側層との間に位置するように、該内側の表面と外側の表面とを一緒に結合する工程
を包含する、プロセス。
【請求項41】
前記接着剤が、前記pH指標のコーティングが適用される前に部分的に乾燥される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記指標が適用された前記外側層が、該外側層と該内側層との結合の前に乾燥される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項43】
前記pH指標は、キシレノールブルー(p−キシレノールスルホンフタレイン)、ブロモクレゾールパープル(5’,5”−ジブロモ−o−クレゾールスルホンフタレイン)、ブロモクレゾールグリーン(テトラブロモ−m−クレゾールスルホンフタレイン)、クレゾールレッド(o−クレゾールスルホンフタレイン)、フェノールフタレイン、ブロモチモールブルー(3’,3”−ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p−ナフトールベンゼイン(4−[アルファ−(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)ベンジリデン]−1(4H)−ナフタレノン)、ニュートラルレッド(3−アミノ−7−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジン塩化物)、ヘキサメトキシレッドおよびヘプタメトキシレッド、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項39または40に記載のプロセス。
【請求項44】
前記pH指標がヘキサメトキシレッドを含む、請求項39または40に記載のプロセス。
【請求項45】
前記pH指標がヘプタメトキシレッドを含む、請求項39または40に記載のプロセス。
【請求項46】
前記ポリマー性指標フィルムが、食品用ラップとして使用される、請求項39または40に記載のプロセス。
【請求項47】
前記ポリマー性指標フィルムが、医学的設定において使用される、請求項39または40に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515929(P2012−515929A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548192(P2011−548192)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/021997
【国際公開番号】WO2010/085755
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511177606)インディケーター システムズ インターナショナル, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】