説明

微生物の回収方法

【課題】微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から高い回収率で微生物を安全に回収する方法を提供する。
【解決手段】微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から微生物を回収する方法であって、前記培養物と炭化水素油、脂肪酸エステル油、シリコーン油等の非水系液体とを混合する工程、および、前記工程で得られた混合液から培養物残渣を除去し微生物懸濁液を得る工程、を含む方法等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の回収等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から微生物を回収する方法としては培養物を解砕した後、ふるいにかけ微生物を分画する方法(例えば、特許文献1)や、サイクロンを用いて培養物から微生物を分離、回収する方法等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−277214
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ふるいを用いて微生物を回収する場合、培養物の乾燥が不十分であると、目詰まりが生じ微生物の回収率が著しく低下することがあり、また、乾燥を過度に行うと乾燥過程において微生物が死滅してしまうことがある。さらに、ふるいを用いた微生物の回収作業中に微生物を含む粉塵が発生する場合があり作業者に健康被害を及ぼす危険があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下において、本発明者らは鋭意検討した結果、微生物を固体培養して得られた培養物と非水系液体とを混合した後、培養物の残渣を除去することによって、高い回収率で微生物を安全に回収できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から微生物を回収する方法であって、(1)前記培養物と非水系液体とを混合する工程、および、(2)(1)で得られた混合液から培養物残渣を除去し微生物懸濁液を得る工程、を含む方法;
2.非水系液体が、炭化水素油、脂肪酸エステル油およびシリコーン油からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する前記1.に記載の方法;
3.非水系液体が、さらに界面活性剤を含むことを特徴とする前記1.又は2.に記載の方法;
4.微生物が、糸状菌である前記1.〜3.のいずれかに記載の方法;
5.微生物が、ペーシロマイセス属、ボーベリア属、メタリジウム属、ノムラエア属、バーティシリウム属、ヒルステラ属、クリシノミセス属、ソロスポレラ属、トリポクラディウム属、フザリウム属、トリコデルマ属、タラロマイセス属またはエキセロハイラム属に属する微生物であること請求項1〜4のいずれかに記載の方法;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から高い回収率で微生物を安全に回収することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、詳細に本発明を説明する。
【0008】
本発明において用いられる培養物は、微生物を固体培養法により培養することによって調製される。固体培養法とは、固体培地に微生物を増殖させる培養のことを指し、静置培養、堆積培養(通気培養)、流動培養等の方法が知られている。前記固体培地としては、例えば、米、大麦、フスマ、トウモロコシ等の穀物類、オガ粉、オカラ、コーン・スティープ・リカー(乾燥物)、大豆ミール、小麦粉、グルコース、マルトエキス等を一種又は二種以上混合したものを挙げることができる。これに必要に応じて、酵母粉末、ミネラル類(例えば、リン酸一カリウム、炭酸石灰、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等)、ビタミン類(チアミン等)、アミノ酸類等を配合したもの、粘土鉱物等の多孔物質、寒天、ゼラチン等の天然高分子等を混合したものであってもよい。
【0009】
本発明方法において、得られた培養物と混合する「非水系液体」は、「水でなくかつ20℃において液体であるもの」であればよく、微生物の生存への影響の小さいものが好ましく、また取扱いの面から粘度の低いものが好ましい。
【0010】
本発明方法に使用される非水系液体としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテン、スピンドル油、ホワイトオイル、ミネラルスピリット、ナフテン油、農薬用マシン油、水素化処理パラフィン系石油蒸留物等の炭化水素油類;
ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油、乳酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、オクタン酸セチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ( カプリル・カプリン酸) グリセリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ジグリセリル等の脂肪酸エステル類;
ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、カチオン変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン、糖変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類;
等を挙げることができる。好ましくは、ホワイトオイル、農薬用マシン油、大豆油、オリーブ油、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ジグリセリルがよい。
【0011】
また、前記非水系液体に溶解させることが可能なワックス等の成分をさらに添加してもよい。具体的には、ワセリン、固型パラフィン、みつろう、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。
【0012】
また、本発明方法において用いられる非水系液体に、さらに界面活性剤が添加されてもよい。界面活性剤の界面活性作用によって微生物の回収効率が向上する場合がある。使用される界面活性剤は、使用する非水系液体に溶解可能なものであれば特に限定されないが、非水系液体の乳化に適するもの、微生物の水系への懸濁や分散に適するもの、または微生物の生存への影響が小さいものが好ましく例示できる。具体的には、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン製界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0013】
前記培養物と前記非水系液体との混合比率(混合比率=非水系液体重量÷培養物重量)は、1以上がよく、好ましくは5以上、さらに好ましくは9以上がよい。混合比率は、高いほど微生物の回収率が向上する点で好ましく、低いほど回収の容積効率の点で好ましいので、適宜両方の点を考慮して適当な混合比率を決定することができる。
【0014】
前記培養物と前記非水系液体との混合には、通常使用される攪拌機、例えばマグネティックスターラ−、試験管用ミキサー、卓上フラスコ振盪機、卓上遠沈管振盪機、スリーワンモーター、ドラムミキサー、ジューサーミキサー等を用いることができる。また、一般的に利用されている種々の攪拌羽根を備えた大型の混合槽を用いて混合することもできる。混合(振盪もしくは攪拌)時間や混合(振盪もしくは攪拌)速度等は使用する装置の形状や容量、装置に投入する非水系液体重量、培養物重量または前記混合比によって適した条件を選択することができるが、通常、混合速度は5〜500往復/分もしくは5〜500回転/分程度を例示できる。また、混合時間としては0.01〜100時間程度を例示できるが、経時的に混合液中の微生物濃度と生存率を測定し、微生物濃度が最大に達したと判断した時点で混合を終了するのが好ましい。
【0015】
前記培養物と前記非水系液体との混合液から培養物残渣を除去し微生物懸濁液を得る場合は、前記混合液を静置して培養物残渣を自然沈降させることにより除去し微生物懸濁液を得ることもできるが、濾紙、濾布、金網(金属メッシュ等)、中空糸膜等を用いて分画することによって培養物残渣を除去し微生物懸濁液を得ることもできる。なお、50〜100μm程度の目開きの金属メッシュを用いて濾過すると、当該濾液をさらに濾過することなく例えば農薬のフロアブル製剤として用いることができる粒度分布とすることができる点で好ましい。
【0016】
本発明方法によって得られる微生物懸濁液の微生物濃度は、前記培養物の微生物含量、前記培養物と非水系液体との混合比、混合条件等によって決まる。具体的な微生物懸濁液の微生物濃度としては、農薬のフロアブル製剤として用いる場合には、1×10cfu/ml〜1×1015cfu/mlが例示される。一旦得られた微生物懸濁液中の微生物濃度は、必要に応じて、遠心分離等の通常用いられる濃縮方法によって高めることもできるし、また、いったん得られた微生物懸濁液にさらに培養物を混合し再度培養物残渣を除去することによって微生物濃度を高めることもできる。逆に、得られた微生物懸濁液に前記非水系液体等を添加することによって微生物濃度を低下させることもできる。これらによって、所望の微生物濃度を有する微生物懸濁液を調製することが可能である。
【0017】
本明細書において、培養物残渣は、培養物と非水系液体との混合物から除去されたものであり、前記培養物から微生物が回収された残渣であるため、多くの場合、固体培養に使用した固体培地が主要成分である。しかし、依然として微生物が含まれている場合がある。よって、当該培養物残渣と非水系液体とを混合した後、再度培養物残渣を除去することによってさらに微生物を回収することができる。
【0018】
固体培養で得られた培養物に由来する水分、または本発明方法を行う過程で空気中から微生物懸濁液中に混入する水分は、前記培養物と前記非水系液体との混合液中又は培養物残渣を除去して得られた微生物懸濁液中に乾燥剤を添加することによって、除去することができる。例えば、粉末状の乾燥剤を前記混合液または前記微生物懸濁液に添加する方法、乾燥剤が充填された不織布などからなる袋を混合液中に沈める方法、乾燥剤が充填された金網などからなるケージを前記混合液中または前記微生物懸濁液中に沈める方法、等が挙げられる。また、前記混合液または前記微生物懸濁液を乾燥剤が充填された筒状容器に通過させることによっても除去することができる。
前記乾燥剤としては、例えば、二酸化珪素、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブスなどの酸化ケイ素化合物、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどのカルシウム化合物、クレー(粘土)などが挙げられる。また、乾燥剤は、1種類のものを単独で使用してもよいし、複数種の乾燥剤を混合して使用することもできる。
【0019】
本発明において用いられる微生物としては、病害虫防除効果(本発明における「病害虫防除効果」とは、病害防除効果、害虫防除効果およびこれら両防除効果を纏めて記載した表記であり、当該両防除効果のみを意味するものでない。)を有する微生物、雑草防除効果を有する微生物、植物生長調節効果を有する微生物等を好ましく挙げることができる。中でも、病害虫防除効果を有する糸状菌をさらに好ましく挙げることができる。
例えば、ペーシロマイセス(Paecilomyces)属、ボーベリア(Beauveria)属、メタリジウム(Metarhizium)属、ノムラエア(Nomuraea)属、バーティシリウム(Verticillium)属、ヒルステラ(Hirsutella)属、クリシノミセス(Culicinomyces)属、ソロスポレラ(Sorosporella)属、トリポクラディウム(Tolypocladium)属、フザリウム(Fusarium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、タラロマイセス属(Talaromyces)及びエキセロハイラム(Exserohilum)属に属する微生物を挙げることができる。
【0020】
ペーシロマイセス属に属する微生物としては、ペーシロマイセス・テヌイペス(Paecilomyces tenuipes)、ペーシロマイセス・フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)、ペーシロマイセス・ファリノーサス(Paecilomyces farinosus)に属する微生物等を挙げることができる。具体的には、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7861として寄託されているペーシロマイセス・テヌイペス(Paecilomyces tenuipes)T1菌株、ペーシロマイセス・テヌイペス ATCC44818、ペーシロマイセス・フモソロセウス IFO8555、ペーシロマイセス・フモソロセウス IFO7072等を挙げることができる。ボーベリア属に属する微生物としては、例えば、ボーベリア・バッシアナ(Beauveria bassiana)、ボーベリア・ブロングニアティー(Beauveria brongniartii)に属する微生物等を挙げることができる。メタリジウム属に属する微生物としては、例えば、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)、メタリジウム・フラボビリデ(Metarhizium flavoviride)、メタリジウム・シリンドロスポラエ(Metarhizium cylindrosporae)に属する微生物等を挙げることができる。ノムラエア属に属する微生物としては、例えば、ノムラエア・リレイ(Nomuraea rileyi)に属する微生物等を挙げることができる。バーティシリウム属に属する微生物としては、例えば、バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)に属する微生物等を挙げることができる。フザリウム属に属する微生物としては、例えば、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)に属する微生物等を挙げることができる。トリコデルマ属に属する微生物としては、例えば、トリコデルマ・アウレオビリディー(Trichoderma aureoviride)に属する微生物等を挙げることができる。タラロマイセス属に属する微生物としては、例えばタラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)に属する微生物等を挙げることができる。エキセロハイラム属に属する微生物としては、例えば、エキセロハイラム・モノセラス(Exserohilum monoceras)に属する微生物等を挙げることができる。
【0021】
本発明方法に用いられる微生物の形態は特に限定されないが、非水系液体に親和性を有する細胞表層、例えば疎水性の高い細胞表層を有する形態が好ましい。微生物が糸状菌である場合には、分生子等が好ましい場合がある。
【実施例】
【0022】
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
製造例1 (微生物の固体培養による培養物の製造)
500ml容フラスコに入れた100mlのポテトデキストロース培地(Difco Laboratories製)に予めポテトデキストロース寒天培地(Difco Laboratories製)で培養されたペーシロマイセス・テヌイペス(Paecilomyces tenuipes)T1菌株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター寄託番号FERM BP−7861)の菌体を接種し、25℃で3日間振とう培養することにより、培養液を得た。滅菌水160mlが添加された滅菌済み大麦80gに、前記培養液20mlを接種し、25℃、湿度90%の条件下で、光(200ルクス)を連続照射しながら14日間培養した。培養後、微生物が増殖した大麦を水分含量が5〜8%となるように乾燥させ、培養物とした。本操作を反復して行い、合計1100gの培養物を得た。
得られた培養物から2gをとり、これに20mlの滅菌希釈水を加え、レシプロシェイカー(大洋科学工業 SR-I、速度目盛り7)で1時間振とうした。振とう後、二重にしたガーゼ(大和工場製)で培養物残渣を除去した。得られた濾液を滅菌希釈水により適当な濃度に希釈して、得られた希釈液をポテトデキストロース寒天培地に100μl滴下し塗り広げ、25℃で3日間培養した。培養後、生育したコロニー数を計測することにより、微生物濃度を求めた結果、培養物中の微生物濃度は3.7×10(cfu/g)であった。なお、滅菌希釈水としては0.85%(w/v)塩化ナトリウム水溶液に新リノー(日本農薬株式会社製)及びSilwet L−77(日本ユニカ製)を各々0.1%(w/v)濃度で添加し、滅菌したものを使用した。
【0024】
実施例1
製造例1で得られた培養物2gに、オリーブ油(ナカライテスク製)18gを加え、レシプロシェイカー(大洋科学工業 SR-I、速度目盛り7)で1時間振盪により混合した。混合後、二重にしたガーゼ(大和工場製)で培養物残渣を除去し、微生物懸濁液を得た。得られた微生物懸濁液重量、微生物懸濁液の微生物濃度および微生物懸濁液中微生物数を測定し、回収率を算出した。結果を表1に示す。なお、回収率は、製造例1で求めた培養物濃度を用いて算出した。
【0025】
実施例2
製造例1で得られた培養物2gに、ノルマルパラフィンM(新日本石油製)18gを加え、レシプロシェイカー(大洋科学工業 SR-I、速度目盛り7)で1時間振盪により混合した。混合後、二重にしたガーゼ(大和工場製)で培養物残渣を除去し、微生物懸濁液を得た。得られた微生物懸濁液重量、微生物懸濁液の微生物濃度および微生物懸濁液中微生物数を測定し、回収率を算出した。結果を表1に示す。なお、回収率は、製造例1で求めた培養物濃度を用いて算出した。
【0026】
実施例3
製造例1で得られた培養物2gに、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット(商品名サラコス5408、日清オイリオグループ製)18gを加え、レシプロシェイカー(大洋科学工業 SR-I、速度目盛り7)で1時間振盪により混合した。混合後、二重にしたガーゼ(大和工場製)で培養物残渣を除去し、微生物懸濁液を得た。得られた微生物懸濁液重量、微生物懸濁液の微生物濃度および微生物懸濁液中微生物数を測定し、回収率を算出した。結果を表1に示す。なお、回収率は、製造例1で求めた培養物濃度を用いて算出した。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から高い回収率で微生物を安全に回収する方法等を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を固体培養法により培養して得られる培養物から微生物を回収する方法であって、
(1)前記培養物と非水系液体とを混合する工程、および
(2)(1)で得られた混合液から培養物残渣を除去し微生物懸濁液を得る工程、
を含む方法。
【請求項2】
非水系液体が、炭化水素油、脂肪酸エステル油およびシリコーン油からなる群から選ばれる少なくともひとつを含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
非水系液体が、さらに界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
微生物が、糸状菌である請求項1〜3記載のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
微生物が、ペーシロマイセス属、ボーベリア属、メタリジウム属、ノムラエア属、バーティシリウム属、ヒルステラ属、クリシノミセス属、ソロスポレラ属、トリポクラディウム属、フザリウム属、トリコデルマ属、タラロマイセス属またはエキセロハイラム属に属する微生物であること請求項1〜4記載のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2010−81832(P2010−81832A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252803(P2008−252803)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】