説明

微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法

本発明は代謝フラックス分析を用いて微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法に係り、さらに詳しくは、対象微生物を選定し、選定された微生物の代謝回路モデルを構築した後、前記構築された代謝回路モデルにおいて各代謝産物の消費反応式を不活性化させ、代謝フラックスを分析して、微生物の成長に必須の代謝産物を選定した後、フラックスサム(Φ)として定義した各代謝産物の活用度を用いて前記選定された代謝産物を確認して微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法に関する。本発明によれば、微生物の成長に必須の代謝産物代謝産物及び前記必須代謝産物に関与する遺伝子を簡単にスクリーニングすることができ、前記必須代謝産物の代謝活用度(フラックスサム:Φ)の減少による細胞成長を予測することができることから、前記方法によりスクリーニングされた代謝産物と関連する遺伝子を欠失させることにより病原性微生物の薬物標的遺伝子を予測するのに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝フラックス分析を用いて微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法に関し、さらに詳しくは、対象微生物を選定し、選定された微生物の代謝回路モデルを構築した後、前記構築された代謝回路モデルにおいて各代謝産物の消費反応式を不活性化させ、代謝フラックスを分析して、微生物の成長に必須の代謝産物を選定した後、フラックスサム(Φ)として定義した各代謝産物の活用度を用いて前記選定された代謝産物を確認して、微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系が弱化された者が病原性微生物に感染する場合には、治療が極めて困難であり、致命的な結果が招かれることがある。このため、病原性微生物のゲノム情報を活用してより効果的な抗病原性薬物を開発するための標的を見出す努力が盛んになされている。しかしながら、どのような遺伝子産物が理想的な薬物標的となって病原性微生物を死滅できるかを確認することは困難であり、病原性微生物の全ての単一遺伝子を欠失させていきながら当該遺伝子の致死性を確認することには技術的な困難がある。また、多くの場合、薬物標的は一つの遺伝子ではなく、複雑な細胞構成要素間の相互作用により決定され、それぞれの遺伝子が致死性を持たない場合にも複数の遺伝子欠失において致死性が現れるなどその組み合わせは極めて複雑である。
【0003】
このため、病原性微生物を標的とする効果的な薬物を開発するために微生物細胞構成要素間の細胞機構および相互作用を理解することが極めて重要である。この理由から、ゲノム情報と機能遺伝学の発展を通じての代謝産物と代謝回路の構築は、細胞構成要素を構成するための遺伝子とタンパク質との相互作用を理解し、代謝回路を構成して効果的な薬物を開発する上でその重要性を増している。
【0004】
実際に、ゲノム情報を通じての代謝回路情報を用いて、哺乳動物の細胞において発見されない新たな代謝経路が病原性微生物において同定される場合、このような代謝特性を標的とする治療法を開発して人体細胞には副作用を誘発せずに、病原性細胞だけを特異的に攻撃することが可能になる。一方、病原性微生物が生存するのに特定の代謝経路が必須であるということが判明した場合、当該代謝経路を抑制する薬物を開発することが可能である。一旦、病原性微生物に対する薬物が開発されれば、これと類似する化合物を活用して他の類似する病原性微生物を抑制する薬物が容易に得られると見込まれる。
【0005】
代謝回路を通じての分析及び予測技術は、最近急増しつつあるゲノム情報と一緒にその可能性を示している。特に、各微生物の代謝回路モデルが、数学的モデル及び最適化技術などと組み合わせられて、特定の遺伝子の除去または追加後に起こる代謝回路の反応を予測することが可能になっている(Lee et al., Trends Biotechnol., 23:349, 2005)。また、周知の如く、代謝回路を用いた代謝フラックスの分析(MFA)技法は動的情報を必要としないにも拘わらず、細胞の理想的な代謝フラックスを示し、実際的に細胞の行動を正確に模似し且つ予測することができる(Papin, J. et al., Nature Reviews Molecular Cell Biology, 6:99, 2005)。代謝フラックス分析は、代謝反応式の係数と種々の代謝産物の産生及び消耗量を測定することにより、内部の代謝フラックスの変化を把握する技術であり、準定常状態の仮定に基づいている。
【0006】
代謝フラックス分析は、生化学反応式の質量収支と細胞組成情報だけを用いて細胞が到達可能な理想的な代謝フラックス空間を求め、特定の目的関数を、最適化方法を通じて最大化させたり最小化させることを目的とする(細胞成長速度の最大化または特定の摂動(perturbation)による代謝調節の最小化など)。その他に、代謝フラックス分析は、一般に、菌株改良を通じて所望の代謝産物の特定の遺伝子の致死性を確認するために使用することができ、これを用いて菌株内部の代謝経路特性を把握することができる。なお、遺伝子の除去または追加により起こる代謝回路の流れ変化などを予測するために、代謝フラックスの分析方法を応用した種々の研究が報告されている。
【0007】
本発明者らは、特定の代謝産物と有用物質産生との関係を予測することができ、特定の代謝産物と関連する酵素を発現する遺伝子を導入または増幅させて、有用物質の産生性が増大された生物を開発可能な代謝産物のフラックスサムを用いたインシリコ生物の改良方法を開示している(韓国登録特許第10−655495号公報)。
【0008】
特に、米国特許出願公開第US2002/0168654号明細書には、特定の制約を通じて流動平衡分析(flux balance analysis;FBA)モデルを向上可能な細胞代謝のインシリコモデリング方法を開示している。前記特許は、細胞成長に影響を与える制約を通じて、細胞の成長速度を維持するための最小の代謝反応を確認しようとするものであり、前記確認された最小の代謝反応に関与する遺伝子のうち、細胞成長の低下に影響を与えながら、互いに密接な関係にある遺伝子は確認し難いという問題点がある。
【0009】
そこで、当業界においては、代謝フラックスの分析技法を用いて、部分的な代謝情報を用いた菌株操作ではなく、全体的な観点から複雑な微生物の代謝を考察し、特定の遺伝子に対する操作が全体の代謝フラックスに及ぼす影響を把握して病原性微生物の標的遺伝子を正確に予測可能な方法の開発が切望されている。
【0010】
そこで、本発明者らは効率的に病原性を含む微生物の標的遺伝子を予測可能な方法を見出すために鋭意努力した結果、代謝回路モデルにおいて各代謝産物の消費反応式を不活性化させて代謝フラックスを分析し、不活性化させなかった場合に比べて細胞成長速度が減少する場合の代謝産物を選定し、前記選定された各代謝産物の微生物の成長に必須の標的遺伝子を発見できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明の主たる目的は、代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物をスクリーニングする方法を提供するところにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記スクリーニングされた代謝産物と関連する代謝回路から、微生物の成長に必須の代謝産物に関与する遺伝子を選別することを特徴とする、微生物の成長に必須の遺伝子のスクリーニング方法を提供するところにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記スクリーニングされた遺伝子を用いて病原性微生物の成長を抑制する物質のスクリーニング方法を提供するところにある。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、(a)対象微生物を選定し、選定された微生物の代謝回路モデルを構築するステップと、(b)前記構築された代謝回路モデルにおいて各代謝産物の消費反応式を不活性化させて代謝フラックスを分析し、下記式2を用いて、元の細胞成長速度に比べて細胞成長速度が50%未満に減少する場合の代謝産物を、微生物の成長に必須の代謝産物として選定するステップと、を含む代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法を提供する。
【0015】
【数1】

ここで、rwildは元の細胞成長速度を示し、rlossは当該代謝産物の消費反応式を不活性化させたときに減少する細胞成長速度を示す。
【0016】
本発明において、前記代謝産物の消費反応式を不活性化させる方法は、当該消費反応式の代謝フラックス値を0に固定して計算することを特徴とする。
【0017】
本発明において、前記(b)ステップ後に、(c)前記(b)ステップにおいて選定された代謝産物の活用度を下記式3で表されるフラックスサム(Φ)として定義し、各代謝産物のΦ値を計算するステップと、(d)選定された各代謝産物のΦ値を減少させる場合、細胞成長が減少または停止する場合の代謝産物を微生物の成長に必須の代謝産物として確認するステップと、をさらに含むことを特徴とする、代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法を提供する。
【0018】
【数2】

ここで、Φはi番目の代謝産物のフラックスサム(Φ)を示し、Sijはi番目の代謝産物とj番目の代謝反応の化学量論係数を示し、νはj番目の代謝反応の代謝フラックスを示す。また、Pはi番目の代謝産物を産生する代謝反応の集合であり、Cはi番目の代謝産物を消費する代謝反応の集合である。
【0019】
本発明において、前記必須代謝産物は、H、HO、ATP、ホスファート、ADP、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、CO、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ピルバート、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、L−グルタメート、コエンザイムA、アンモニウム、AMP、アセチル−CoA、2−オキソグルタラート、アシルキャリアタンパク質、ホスホエノールピルバート、L−アスパルタート、L−グルタミン、グリセルアルデヒド−3−ホスファート、CMP、グリセロール−3−ホスファート、GTP、5−ホスホ−α−D−リボース−1−ジホスファート、ジヒドロキシアセトンホスファート、L−アラニン、L−セリン、D−フルクトース−6−ホスファート、マロニル−[アシルキャリアタンパク質]、D−グルコース−1−ホスファート、GDP、オキサロアセタート、還元チオレドキシン、FAD、D−グルコース−6−ホスファート、酸化チオレドキシン、UMP、CTP、S−アデノシル−L−メチオニン、L−システイン、α−D−リボース−5−ホスファート、UDP−グルコース、5,6,7,8−テトラヒドロホラート、アセトアセチル−ACP、UDP、UTP、スクシニル−CoA、L−トレオニン、プトレッシン、グリシン、GMP、スペルミジン、IMP、ホスファチジルグリセロール、L−アルギニン、L−リシン、5,10−メチレンテトラヒドロホラート、コリスメート、D−アラニン、L−プロリン、L−アスパラギン、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン、D−グルコサミン−6−ホスファート、ニコチナート−D−リボヌクレオチド、dGTP、イミノアスパルタート、D−リブロース−5−ホスファート、ミリストイル−ACP(n−C14:0ACP)、3−メチル−2−オキソブタノアート、L−メチオニン、L−トリプトファン、dTMP、ホスファチジン酸塩、L−バリン、バイカーボネート、dCTP、dUMP、L−グルタメート−5−セミアルデヒド、メソ−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、CMP−3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート、ウンデカプレニルジホスファート、L−イソロイシン、ホスファチジルエタノールアミン、L−ロイシン、L−ヒスチジン、ヘキサデセノイル−ACP(n−C16:1ACP)、1−ピロリン−5−カルボキシラート、スルフィット、カルバモイルホスファート、D−エリトロース−4−ホスファート、3−ホスホ−D−グリセラート、CDP−ジアシルグリセロール、キサントシン−5’−ホスファート、dTTP、L−チロシン、L−ホモシステイン、dATP、10−ホルミルテトラヒドロホラート、R−3−ヒドロキシ−ミリストイル−ACP、オクタデセノイル−ACP(n−C18:1ACP)、パルミトイル−ACP(n−C16:0ACP)、(S)−ジヒドロオロタート、テトラデセノイル−ACP(n−C14:1ACP)、2−オキソブタノアート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、L−フェニルアラニン、ホスファチジルセリン、UDP−2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)グルコサミン、L−ホモセリン、ウンデカプレニルホスファート、(R)−パントテナート、オロタート、L−アスパルタート−4−セミアルデヒド、セドヘプツロース−7−ホスファート、N2−ホルミル−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−メチルテトラヒドロホラート、硫化水素、7,8−ジヒドロホラート、dTDP、グリコーゲン、ドデカノイル−ACP(n−C12:0ACP)、4−(1−D−リビチルアミノ)−5−アミノウラシル、プレフェナート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール、KDO(2)−脂質IV(A)、N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−[(5−ホスホ−1−デオキシリブロース−1−イルアミノ)メチリデンアミノ]−1−(5−ホスホリボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、ホスファチジルグリセロホスファート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニン、N−スクシニル−LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、2−デヒドロ−3−デオキシ−D−アラビノ−ヘプタナート−7−ホスファート、O−ホスホ−L−セリン、UDP−N−アセチルムラマート、(S)−2−[5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド]スクシナート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−γ−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメラート、3−カルボキシ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−β−D−グルコサミニル−1−ホスファート、3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート−8−ホスファート、N−((R)−4−ホスホパントテノイル)−L−システイン、大腸菌のペプチドグリカンサブユニット、アデノシン−5’−ホスホスルファート、ジヒドロプテロアート、3−デヒドロシキマート、1−(5−ホスホリボシル)−AMP、4−メチル−2−オキソペンタノアート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−7−ホスファート、2,3,4,5−テトラヒドロジピコリナート、3−ホスホヒドロキシピルバート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1−ホスファート、D−エリトロ−1−(イミダゾール−4−イル)グリセロール−3−ホスファート、スルファート、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−N−アセチルグルコサミン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(D−エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)−7,8−ジヒドロプテリジン、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−D−グルコサミン、オロチジン−5’−ホスファート、UDP−N−アセチル−3−O−(1−カルボキシビニル)−D−グルコサミン、6−ヒドロキシメチルジヒドロプテリン、O−アセチル−L−セリン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタメート、カルジオリピン、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブタノアート、(S)−2−アセトラクタート、3’−ホスホアデニリルスルファート、1−(5−ホスホリボシル)−ATP、2,3,2’3’−テトラキス(β−ヒドロキシミリストイル)−D−グルコサミニル−1,6−β−D−グルコサミン−1,4’−ビスホスファート、シキマート−5−ホスファート、(R)−パントアート、2−デヒドロパントアート、CDPエタノールアミン、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキシラート、5−ホスホ−β−D−リボシルアミン、N−スクシニル−2−L−アミノ−6−オキソヘプタンジオアート、D−4’−ホスホパントテナート、3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソナート、ADP−L−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、β−アラニン、D−アラニル−D−アラニン、O−スクシニル−L−ホモセリン、キノリナート、2−(ホルムアミド)−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)アセトアミジン、D−アラビノース−5−ホスファート、1−(5−ホスホリボシル)−5−[(5−ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール−4−カルボキサアミド、リポ多糖体、6−ヒドロキシメチル−ジヒドロプテリンピロフォスファート、シキマート、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−(N−アセチルグルコサミン)−L−ala−D−glu−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−ala−D−ala、5−ホスホリボシル−5−カルボキシアミノイミダゾール、3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、N−アセチル−D−グルコサミン−1−ホスファート、L−シスタチオニン、(S)−3−メチル−2−オキソペンタノアート、5−O−(1−カルボキシビニル)−3−ホスホシキマート、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)ジヒドロプテリジントリフォスファート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1,7−ビスホスファート、3−(イミダゾール−4−イル)−2−オキソプロピルフォスファート、3,4−ジヒドロキシ−2−ブタノン−4−ホスファート、ラウリン酸を有するKDO(2)−脂質IV(A)、2−イソプロピルマレアート、KDO−脂質IV(A)、ADP−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、KDO(2)−脂質(A)、N6−(1,2−ジカルボキシエチル)−AMP、5−ホルムアミド−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、脂質A二糖、2,3−ジヒドロジピコリナート、3−デヒドロキナート、4−ホスホ−L−アスパルタート、S−アデノシルメチオニンアミン、3−カルボキシ−4−メチル−2−オキソペンタノアート、フェニルピルバート、D−グルコサミン−1−ホスファート、デホスホ−CoA、ADP−グルコース、4−アミノベンゾアート、L−ヒスチジノールホスファート、LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、ジヒドロネオプテリンモノホスファート、パンテテイン−4’−ホスファート、N−カルバモイル−L−アスパルタート、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルペンタノアート、マロニル−CoA、4−アミノ−4−デオキシコリスメート、D−グルタメート、3−(4−ヒドロキシフェニル)ピルバート、L−ヒスチジノール、デアミノ−NADおよび(S)−2−アセト−2−ヒドロキシブタノアートよりなる群から選ばれることを特徴とする。
【0020】
本発明において、フラックスサム(Φ)の減少による細胞成長の減少類型は、線形的に減少する類型、臨界値未満に減少する類型、及び非線形的に減少してフラックスサム(Φ)が0に達する前に細胞成長が停止する類型よりなる群から選ばれることを特徴とし、前記細胞成長の減少類型によってフラックスサム(Φ)の摂動量を変化させることを特徴とする。
【0021】
本発明はまた、前記方法によりスクリーニングされた微生物の成長に必須の代謝産物に関与する遺伝子を選別することを特徴とする、微生物の成長に必須の遺伝子のスクリーニング方法を提供する。本発明において、前記対象微生物は大腸菌または病原性微生物であることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明は、前記方法によりスクリーニングされた大腸菌または病原性微生物の成長に必須の遺伝子でモデル微生物を形質転換することを特徴とする、形質転換された微生物の製造方法を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、前記方法により製造され、大腸菌または病原性微生物の成長に必須の遺伝子で形質転換された微生物を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、(a)病原性微生物の成長抑制候補物質の存在下で前記形質転換微生物を培養するステップと、(b)前記成長抑制候補物質なしに培養する場合と比較して、前記形質転換微生物の成長が抑制される場合の候補物質を病原性微生物の成長を抑制する物質として選定するステップと、を含む病原性微生物の成長を抑制する物質のスクリーニング方法を提供する。
【0025】
本発明の他の特徴及び具現例は下記の詳細な説明及び特許請求の範囲から一層明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】必須代謝産物の確認のための概念図であり、当該代謝産物を消費する代謝反応を不活性化させたときの細胞成長速度の減少比率(f)を確認して0.5未満である場合に、必須代謝産物と分類し、0.5以上の場合に非必須代謝産物と分類した。
【図2】フラックスサム(Φ)の摂動による細胞成長速度の変化を予測したものである(A:フラックスサム(Φ)が減少するにつれて線形的に減少する場合、B:フラックスサム(Φ)が減少するにつれて臨界値を有していて臨界値未満に減少する場合、C:フラックスサム(Φ)が減少するにつれて非線形的に減少してフラックスサム(Φ)が0の値を有する前に細胞成長速度が0に達する場合)。
【図3】必須代謝産物及び非必須代謝産物が除去された細胞の成長速度を示すものである(縦軸:遺伝子除去後に細胞の成長速度を正常細胞の成長速度に対する比率で表示したもの、横軸:除去された遺伝子(P:purN、L:lpdA、G:glyA、PL:purN/lpdA、PLG:purN/lpdA/glyA、及びDX:dxs/xylB)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明において、摂動とは、あらゆる代謝産物の集団に特定の外部要因を加えて乱すことにより所望の特性の代謝産物を見出す措置を意味する。
【0028】
本発明において、遺伝子「欠失」とは、遺伝子の塩基配列のうち全体または一部を生物内において、除去したり変更するなど生物内において特定の遺伝子が発現されないようにする操作をいずれも包括する。
【0029】
本発明において、「培養」とは、バクテリア、酵母、カビ、動植物細胞など微生物の培養だけではなく、植物の栽培及び動物の飼育も包括するものと定義する。
【0030】
本発明において、「対象微生物」とは、成長に必須の代謝産物をスクリーニングするための微生物を意味する。
【0031】
本発明において、「代謝回路モデル」とは、対象微生物において起こるあらゆる生化学反応を含む物質代謝の経路を意味する。
【0032】
本発明において、「代謝産物の消費反応式」とは、代謝回路に存在する代謝産物が消費される方向に進行する反応を示す式である。
【0033】
1.代謝回路の構築
本発明においては、細胞成長を抑制するための対象菌株として大腸菌変異菌株を用いて新たな代謝フラックス分析システムを構築した。このシステムは、大腸菌の代謝回路をほとんど含んでいる。
【0034】
2.必須代謝産物の定義及び必須代謝産物の選定
2−1:必須代謝産物の定義
構築された代謝回路を数学的に表現するために、あらゆる代謝産物、前記代謝産物の代謝経路及び前記代謝経路における化学量論マトリックス(Sij:j番目の反応におけるi番目の代謝産物の時間による化学量論係数)を用いて、代謝フラックスベクトル(ν:j番目の代謝反応の代謝フラックス)を計算することができるが、代謝産物濃度Xの経時変化はあらゆる代謝反応の流れの総和で表すことができる。
【0035】
また、Xの経時変化量が一定であるとしたとき、すなわち、準定常状態の仮定下において、代謝産物濃度Xの経時変化量は下記式1のように定義することができる。
【0036】
【数3】

ここで、S・ν:Xの経時変化量、X:代謝産物濃度、t:時間。
【0037】
また、代謝フラックス分析を通じて、各代謝産物に対して、細胞がその代謝産物を代謝反応を通じて消費しないときに細胞の成長に及ぼす影響を調べることにより、代謝産物の必須性を決定することができる。代謝産物の不可欠性は代謝フラックス分析過程中に各代謝産物を消費するあらゆる代謝反応を不活性化させた状態で細胞の成長速度を計算して、これが正常的な細胞成長速度においていかに異なっているかを計算する。
【0038】
【数4】

ここで、rwildは元の細胞成長速度を示し、rlossは当該代謝産物の消費反応式を不活性化させたときに減少する細胞成長速度を示す。
【0039】
2−2:必須代謝産物の選定
前記不可欠性を選定するための分析過程中に、与えられた代謝産物を消費せずに産生する代謝反応を不活性化させない理由は、もし代謝産物が必須ではないとしても、その代謝産物を産生する代謝反応は他の必須代謝産物も産生する可能性があるため、前記代謝反応の不活性化に起因して細胞成長が抑制されるならば、それはそもそもは非必須の代謝産物が必須の代謝産物として誤解される可能性があるためである。上記の点に留意して、結果的に、代謝産物を、計算した細胞の成長速度が正常細胞の成長速度の半分に達しなければ必須代謝産物と分類し、そうでなければ非必須代謝産物と分類することができる(図1)。図1は、必須代謝産物確認のための概念図であり、当該代謝産物を消費する代謝反応を不活性化させたときの細胞成長速度の減少の比率(f)を確認して、0.5未満である場合には必須代謝産物と分類し、0.5以上である場合には非必須代謝産物と分類した。
【0040】
3.フラックスサムの定義と摂動
各代謝産物が1時間当たりに産生されたり消費される総量、すなわち、フラックスサム(Φ)を下記式3のように定義して、この量が正常レベルから外れたときに細胞の成長に及ぼす影響を体系的に分析した。
【0041】
【数5】

式中、Φはi番目の代謝産物のフラックスサム(Φ)を示し、Sijはi番目の代謝産物とj番目の代謝反応の化学量論係数を示し、νはj番目の代謝反応の代謝フラックスを示す。また、Pはi番目の代謝産物を産生する代謝反応の集合であり、Cはi番目の代謝産物を消費する代謝反応の集合である。
【0042】
フラックスサム(Φ)は、既存の代謝フラックスの分析方法においては表示できなかった代謝産物の活用度を示すために新たに定義された量であり、当該代謝産物の利用量が増加するにつれてΦ値は大きくなり、当該代謝産物の利用量が減少するにつれてΦの値は小さくなる。
【0043】
もし、代謝回路に摂動が加えられるとき、細胞の成長速度が正常レベルからあまり変化しないならば、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)も非必須代謝産物よりは正常レベルからあまり外れていないということを確認することができる。すなわち、細胞に必須の代謝産物は、その産生比率または消費比率をできる限り一定に維持することにより、細胞の成長速度を安定化させる傾向があると言える。このため、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)が正常数値から減少する場合、これは細胞の成長に大きな打撃を負わせる恐れがある。すなわち、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)が半分に減少する場合、ほとんどの場合(約85%)に全体細胞の成長速度は半分やそれ以下に減少し、そして、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)を0近くに低減することにより、細胞の成長そのものを止める効果を予測することができる。
【0044】
通常の代謝フラックス分析においては、特定の遺伝子欠失による細胞成長速度を確認するために、各当該反応式を不活性化させる方法を利用する。しかしながら、このような方法を利用する場合、2以上の遺伝子欠失による細胞成長低下現象を確認するためには、実際に2以上の組み合わせによる場合をいずれも計算しなければならないという欠点がある。これに対し、各代謝産物の不可欠性を定義し、その活用度を定義して各代謝産物の特性を調べてみる場合、2以上の遺伝子欠失による細胞成長低下現象を容易に確認することができるというメリットがある。
【0045】
実施例
以下、本発明を、実施例を参照しながら詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業界において通常の知識を持った者にとって自明である。
【0046】
特に、下記の実施例には、大腸菌をモデルシステムとして用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法についてのみ例示されているが、当業者であれば、大腸菌以外の他のバクテリア、酵母、カビ及び動植物をモデルとして用いる場合にも適用されるということは本明細書に開示された内容から理解できるであろう。
【0047】
実施例1:モデルシステムの構築
微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニングのための対象菌株として大腸菌の変異菌株を用いて、新たな代謝フラックス分析システムを構築した。このシステムは、大腸菌の代謝回路をほとんど含んでいる。大腸菌の場合、新たな代謝回路は979個の生化学反応から構成されており、814個の代謝産物が代謝回路において考慮される(Lee et al., Biotechnol. Bioproc. Eng., 10: 425-431, 2005)。
【0048】
実施例2:必須代謝産物の選定方法
実施例1において構築した代謝フラックスシステムにおいて、大腸菌の814個の代謝産物を対象として代謝フラックス分析を行った。代謝産物の不可欠性は、代謝フラックス分析過程中に各代謝産物を消費するあらゆる代謝反応を不活性化させた状態で、すなわち、当該消費反応式の代謝フラックス値を0に固定した状態で、細胞の成長速度を計算してこれが正常的な細胞成長速度においていかに異なっているかを、下記式2を用いて計算した。
【0049】
【数6】

(式中、rwildは元の細胞成長速度を示し、rlossは当該代謝産物の消費反応式を不活性化させたときに減少する細胞成長速度を示す。)
【0050】
代謝産物を消費する代謝反応を不活性化させたときの細胞成長速度の減少比率(f)を確認して、0.5未満である場合に必須代謝産物と分類した。また、細胞の様々な成長条件、すなわち、表1に示すように、細胞の19種類の成長条件に対して大腸菌において考慮される下記の814個の代謝産物を対象として不可欠性を調査した。
【0051】
、HO、ATP、ホスファート、ADP、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、CO、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ピルバート、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、L−グルタメート、コエンザイムA、アンモニウム、AMP、アセチル−CoA、2−オキソグルタラート、アシルキャリアタンパク質、ホスホエノールピルバート、L−アスパルタート、L−グルタミン、グリセルアルデヒド−3−ホスファート、CMP、グリセロール−3−ホスファート、GTP、5−ホスホ−α−D−リボース−1−ジホスファート、ジヒドロキシアセトンホスファート、L−アラニン、L−セリン、D−フルクトース−6−ホスファート、マロニル−[アシルキャリアタンパク質]、D−グルコース−1−ホスファート、GDP、オキサロアセタート、還元チオレドキシン、FAD、D−グルコース−6−ホスファート、酸化チオレドキシン、UMP、CTP、S−アデノシル−L−メチオニン、L−システイン、α−D−リボース−5−ホスファート、UDP−グルコース、5,6,7,8−テトラヒドロホラート、アセトアセチル−ACP、UDP、UTP、スクシニル−CoA、L−トレオニン、プトレッシン、グリシン、GMP、スペルミジン、IMP、ホスファチジルグリセロール、L−アルギニン、L−リシン、5,10−メチレンテトラヒドロホラート、コリスメート、D−アラニン、L−プロリン、L−アスパラギン、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン、D−グルコサミン−6−ホスファート、ニコチナート−D−リボヌクレオチド、dGTP、イミノアスパルタート、D−リブロース−5−ホスファート、ミリストイル−ACP(n−C14:0ACP)、3−メチル−2−オキソブタノアート、L−メチオニン、L−トリプトファン、dTMP、ホスファチジン酸塩、L−バリン、バイカーボネート、dCTP、dUMP、L−グルタメート−5−セミアルデヒド、メソ−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、CMP−3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート、ウンデカプレニルジホスファート、L−イソロイシン、ホスファチジルエタノールアミン、L−ロイシン、L−ヒスチジン、ヘキサデセノイル−ACP(n−C16:1ACP)、1−ピロリン−5−カルボキシラート、スルフィット、カルバモイルホスファート、D−エリトロース−4−ホスファート、3−ホスホ−D−グリセラート、CDP−ジアシルグリセロール、キサントシン−5’−ホスファート、dTTP、L−チロシン、L−ホモシステイン、dATP、10−ホルミルテトラヒドロホラート、R−3−ヒドロキシ−ミリストイル−ACP、オクタデセノイル−ACP(n−C18:1ACP)、パルミトイル−ACP(n−C16:0ACP)、(S)−ジヒドロオロタート、テトラデセノイル−ACP(n−C14:1ACP)、2−オキソブタノアート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、L−フェニルアラニン、ホスファチジルセリン、UDP−2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)グルコサミン、L−ホモセリン、ウンデカプレニルホスファート、(R)−パントテナート、オロタート、L−アスパルタート−4−セミアルデヒド、セドヘプツロース−7−ホスファート、N2−ホルミル−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−メチルテトラヒドロホラート、硫化水素、7,8−ジヒドロホラート、dTDP、グリコーゲン、ドデカノイル−ACP(n−C12:0ACP)、4−(1−D−リビチルアミノ)−5−アミノウラシル、プレフェナート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール、KDO(2)−脂質IV(A)、N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−[(5−ホスホ−1−デオキシリブロース−1−イルアミノ)メチリデンアミノ]−1−(5−ホスホリボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、ホスファチジルグリセロホスファート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニン、N−スクシニル−LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、2−デヒドロ−3−デオキシ−D−アラビノ−ヘプタナート−7−ホスファート、O−ホスホ−L−セリン、UDP−N−アセチルムラマート、(S)−2−[5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド]スクシナート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−γ−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメラート、3−カルボキシ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−β−D−グルコサミニル−1−ホスファート、3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート−8−ホスファート、N−((R)−4−ホスホパントテノイル)−L−システイン、大腸菌のペプチドグリカンサブユニット、アデノシン−5’−ホスホスルファート、ジヒドロプテロアート、3−デヒドロシキマート、1−(5−ホスホリボシル)−AMP、4−メチル−2−オキソペンタノアート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−7−ホスファート、2,3,4,5−テトラヒドロジピコリナート、3−ホスホヒドロキシピルバート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1−ホスファート、D−エリトロ−1−(イミダゾール−4−イル)グリセロール−3−ホスファート、スルファート、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−N−アセチルグルコサミン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(D−エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)−7,8−ジヒドロプテリジン、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−D−グルコサミン、オロチジン−5’−ホスファート、UDP−N−アセチル−3−O−(1−カルボキシビニル)−D−グルコサミン、6−ヒドロキシメチルジヒドロプテリン、O−アセチル−L−セリン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタメート、カルジオリピン、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブタノアート、(S)−2−アセトラクタート、3’−ホスホアデニリルスルファート、1−(5−ホスホリボシル)−ATP、2,3,2’3’−テトラキス(β−ヒドロキシミリストイル)−D−グルコサミニル−1,6−β−D−グルコサミン−1,4’−ビスホスファート、シキマート−5−ホスファート、(R)−パントアート、2−デヒドロパントアート、CDPエタノールアミン、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキシラート、5−ホスホ−β−D−リボシルアミン、N−スクシニル−2−L−アミノ−6−オキソヘプタンジオアート、D−4’−ホスホパントテナート、3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソナート、ADP−L−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、β−アラニン、D−アラニル−D−アラニン、O−スクシニル−L−ホモセリン、キノリナート、2−(ホルムアミド)−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)アセトアミジン、D−アラビノース−5−ホスファート、1−(5−ホスホリボシル)−5−[(5−ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール−4−カルボキサアミド、リポ多糖体、6−ヒドロキシメチル−ジヒドロプテリンピロフォスファート、シキマート、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−(N−アセチルグルコサミン)−L−ala−D−glu−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−ala−D−ala、5−ホスホリボシル−5−カルボキシアミノイミダゾール、3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、N−アセチル−D−グルコサミン−1−ホスファート、L−シスタチオニン、(S)−3−メチル−2−オキソペンタノアート、5−O−(1−カルボキシビニル)−3−ホスホシキマート、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)ジヒドロプテリジントリフォスファート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1,7−ビスホスファート、3−(イミダゾール−4−イル)−2−オキソプロピルフォスファート、3,4−ジヒドロキシ−2−ブタノン−4−ホスファート、ラウリン酸を有するKDO(2)−脂質IV(A)、2−イソプロピルマレアート、KDO−脂質IV(A)、ADP−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、KDO(2)−脂質(A)、N6−(1,2−ジカルボキシエチル)−AMP、5−ホルムアミド−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、脂質A二糖、2,3−ジヒドロジピコリナート、3−デヒドロキナート、4−ホスホ−L−アスパルタート、S−アデノシルメチオニンアミン、3−カルボキシ−4−メチル−2−オキソペンタノアート、フェニルピルバート、D−グルコサミン−1−ホスファート、デホスホ−CoA、ADP−グルコース、4−アミノベンゾアート、L−ヒスチジノールホスファート、LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、ジヒドロネオプテリンモノホスファート、パンテテイン−4’−ホスファート、N−カルバモイル−L−アスパルタート、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルペンタノアート、マロニル−CoA、4−アミノ−4−デオキシコリスメート、D−グルタメート、3−(4−ヒドロキシフェニル)ピルバート、L−ヒスチジノール、デアミノ−NAD、(S)−2−アセト−2−ヒドロキシブタノアート。
【0052】
【表1】

【0053】
その結果、全体の必須代謝産物の約87.8%が全ての19種類の成長条件に対して共通的に必須であるということが判明した。逆に、12.2%は19種類の成長条件によって一部は必須であり、一部は必須ではないことが判明した。さらに、他の代謝産物に比べて比較的にあまり研究されていなかった代謝産物であるヘキサデセノイル−ACP、ホスファチジルグリセロール及び2−イソプロピルマレアートはいずれも細胞成長に必須のものと判明した。
【0054】
実施例3:フラックスサム減少法を通じての必須代謝産物のスクリーニング
実施例2において選定された必須代謝産物を対象としてフラックスサムを計算して、微生物の成長に必須の代謝産物であることを確証した。すなわち、前記実施例2において選定された231個の代謝産物が1時間あたりに産生または消費される総量、すなわち、フラックスサム(Φ)を下記式3のように定義して、この量が正常レベルから外れたときに細胞の成長に及ぼす影響を体系的に分析した。
【0055】
【数7】

式中、Φはi番目の代謝産物のフラックスサム(Φ)を示し、Sijはi番目の代謝産物とj番目の代謝反応の化学量論係数を示し、νはj番目の代謝反応の代謝フラックスを示す。また、Pはi番目の代謝産物を産生する代謝反応の集合であり、Cはi番目の代謝産物を消費する代謝反応の集合である。
【0056】
フラックスサム(Φ)は、既存の代謝フラックスの分析方法では表示できなかった代謝産物の活用度を示すために新たに定義された量である。すなわち、当該代謝産物の利用量が増大するにつれてΦ値は大きくなり、当該代謝産物の利用量が減少するにつれてΦの値は小さくなる。
【0057】
代謝回路に摂動が加えられるとき、細胞の成長速度が正常レベルからあまり変化しないならば、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)も非必須代謝産物よりは正常レベルから容易に外れないということを確認することができる。すなわち、細胞に必須の代謝産物は、その産生比率または消費比率をできる限り一定に維持することにより細胞の成長速度を安定化させる傾向があると言える。
【0058】
もし、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)が正常数値から減少する場合、これは細胞の成長に大きな打撃を負わせる恐れがある。例えば、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)を半分に減らせば、ほとんどの場合(約85%)に全体細胞の成長速度は半分やそれ以下に減少する。これは、非必須代謝産物の少数(約28.9%)だけがそのような効果を示すことと極めて対比される。すなわち、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)を0近くに減らすことにより、細胞の成長そのものと止める効果を予測することができる。このような変化は、図2に示す類型別に分類されることが分かる。
【0059】
図2において、A群はフラックスサム(Φ)が減少するにつれて線形的に減少する場合、B群はフラックスサム(Φ)が減少するにつれて臨界値を有していて臨界値未満に減少する場合、C群はフラックスサム(Φ)が減少するにつれて非線形的に減少してフラックスサム(Φ)が0に達する前に細胞成長が止まる場合である。
【0060】
これらのA群からC群は、同じ代謝産物に対しても各成長条件によって異なってくる傾向を示し、その結果は表2に示す通りである。すなわち、表2は、表1に示す条件のうち、フラックスサム(Φ)値を減少させる場合、大腸菌の成長が抑制される条件を記載したものである。表2に示すように、細胞の成長を実際に抑制するためには各成長条件における群の特性に応じてフラックスサム(Φ)の摂動量を変化させる必要があるということが分かる。
【0061】
【表2】





【0062】
一般的に、既存の代謝フラックスの分析に際して特定の遺伝子欠失による細胞成長速度を確認する方法としては、各当該反応式を不活性化させる方法を利用する。しかしながら、上記の場合、2以上の遺伝子欠失による細胞成長の低下現象を確認するためには、実際に2以上の組み合わせによる場合をいずれも計算しなければならないという欠点がある。これに対し、各代謝産物の不可欠性を定義し、その活用度を定義して各代謝産物の特性を調べてみる場合、2以上の遺伝子欠失による細胞成長の低下現象を容易に確認することができるというメリットがある。
【0063】
したがって、本発明においては、代謝産物の活用度としてフラックスサム(Φ)を定義することにより、この量が減少するにつれて細胞成長に及ぼす影響を定量的に評価してどれ位の摂動量が各代謝産物に加えられるべきであるかを体系的に決定可能な根拠を提供する。
【0064】
実施例4:細胞成長抑制のための実験的分析−当該代謝産物と関連する遺伝子の欠失
必須代謝産物のフラックスサム(Φ)を0に減らしたとき、すなわち、その代謝産物が最初から産生や消費されないようにしたとき、細胞の成長に及ぼす影響を実験により検証した。すなわち、必須代謝産物の産生や消費に関与する遺伝子多数を細胞から除去したとき、細胞の成長速度にいかなる変化がもたらされるかを調べてみた。
【0065】
それぞれの遺伝子除去については、細胞が成長を続けられるとしても、遺伝子を一括して除去すれば、相当する代謝産物を産生または消費する経路そのものを遮断してしまい、細胞の成長を止めることができる。必須であり、且つ、フラックスサム(Φ)を0に減らしたときに、細胞成長に影響を与えるものと分類されたテトラヒドロホラート代謝産物を実験対象とし、前記代謝産物と関連する8個の代謝反応のうち3個の代謝反応に関与する遺伝子(purN、lpdA、glyA)を同時に欠失させる場合、必須のテトラヒドロホラート代謝産物の消費が遮断されて結果的に細胞の成長が止まることが予測された。
【0066】
前記結果を基に大腸菌変異菌株を製作するために、DNA操作標準プロトコールを使用し(Sambrooket al., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 3rd edition, 2001)、大腸菌K−12W3110に表3のプライマー配列を用いてワンステップ不活性化方法(Warner et al., PNAS, 6;97(12):6640-6645, 2000)を用いて相同組み換え方法により標的遺伝子により抗生剤耐性遺伝子を置き換えて最終的に抗生剤耐性を除去した。表3において、Cmはクロラムフェニコール抵抗性を意味し、Kmはカナマイシン抵抗性を意味する。
【0067】
【表3】

【0068】
上記の結果から、遺伝子をそれぞれ別々に除去した場合、あるいは、2つの遺伝子(purN、lpdA)を一括して除去した場合には細胞が成長を続けていたが、遺伝子3個をいずれも同時に除去した場合には細胞成長が止まることが分かった(表4及び図3)。
【0069】
【表4】

【0070】
これとは対照的に、理論的に必須ではないと分類した代謝産物である1−デオキシ−D−キシルロース−5−ホスファートに対しては、それを産生する遺伝子(dxs、xylB)をいずれも除去しても細胞は正常状態と大差ないことを確認した(図3)。図3において、PはpurNを、LはlpdAを、GはglyAを、PLはpurN/lpdAを、PLGはpurN/lpdA/glyAを、そしてDXはdxs/xylB遺伝子を意味する。このような実験結果は、必須代謝産物のフラックスサム(Φ)の欠損があるとき、細胞は大きな打撃を負うことがあるが、非必須代謝産物のフラックスサム(Φ)の欠損はあまり影響を及ぼさないことを実証している。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上、詳述したように、本発明によれば、微生物の成長に必須の代謝産物代謝産物及び前記必須代謝産物に関与する遺伝子を簡単にスクリーニングすることができ、前記必須代謝産物の代謝活用度(フラックスサム:Φ)の減少による細胞成長を予測することができることから、前記方法によりスクリーニングされた代謝産物と関連する遺伝子を欠失させることにより病原性微生物の薬物標的遺伝子を予測するのに使用することができる。
【0072】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含む、代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法:
(a)対象微生物を選定し、選定された微生物の代謝回路モデルを構築するステップと、(b)前記構築された代謝回路モデルにおいて各代謝産物の消費反応式を不活性化させて代謝フラックスを分析し、下記式2を用いて、元の細胞成長速度に比べて細胞成長速度が50%未満に減少する場合の代謝産物を、微生物の成長に必須の代謝産物として選定するステップ。
【数1】

ここで、rwildは元の細胞成長速度を示し、rlossは当該代謝産物の消費反応式を不活性化させたときに減少する細胞成長速度を示す。
【請求項2】
前記代謝産物の消費反応式を不活性化させる方法を、当該消費反応式の代謝フラックス値を0に固定して計算することを特徴とする、請求項1に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項3】
前記(b)ステップ後に、次のステップをさらに含むことを特徴とする、代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法:
(c)前記(b)ステップにおいて選定された代謝産物の活用度を下記式3で表されるフラックスサム(Φ)として定義し、各代謝産物のΦ値を計算するステップと、
【数2】

ここで、Φはi番目の代謝産物のフラックスサム(Φ)を示し、Sijはi番目の代謝産物とj番目の代謝反応の化学量論係数を示し、νはj番目の代謝反応の代謝フラックスを示す。また、Pはi番目の代謝産物を産生する代謝反応の集合であり、Cはi番目の代謝産物を消費する代謝反応の集合である、
(d)選定された各代謝産物のΦ値を減少させる場合、細胞成長が減少または停止する場合の代謝産物を微生物の成長に必須の代謝産物として確認するステップ。
【請求項4】
前記必須代謝産物が、H、HO、ATP、ホスファート、ADP、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、CO、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ピルバート、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、L−グルタメート、コエンザイムA、アンモニウム、AMP、アセチル−CoA、2−オキソグルタラート、アシルキャリアタンパク質、ホスホエノールピルバート、L−アスパルタート、L−グルタミン、グリセルアルデヒド−3−ホスファート、CMP、グリセロール−3−ホスファート、GTP、5−ホスホ−α−D−リボース−1−ジホスファート、ジヒドロキシアセトンホスファート、L−アラニン、L−セリン、D−フルクトース−6−ホスファート、マロニル−[アシルキャリアタンパク質]、D−グルコース−1−ホスファート、GDP、オキサロアセタート、還元チオレドキシン、FAD、D−グルコース−6−ホスファート、酸化チオレドキシン、UMP、CTP、S−アデノシル−L−メチオニン、L−システイン、α−D−リボース−5−ホスファート、UDP−グルコース、5,6,7,8−テトラヒドロホラート、アセトアセチル−ACP、UDP、UTP、スクシニル−CoA、L−トレオニン、プトレッシン、グリシン、GMP、スペルミジン、IMP、ホスファチジルグリセロール、L−アルギニン、L−リシン、5,10−メチレンテトラヒドロホラート、コリスメート、D−アラニン、L−プロリン、L−アスパラギン、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン、D−グルコサミン−6−ホスファート、ニコチナート−D−リボヌクレオチド、dGTP、イミノアスパルタート、D−リブロース−5−ホスファート、ミリストイル−ACP(n−C14:0ACP)、3−メチル−2−オキソブタノアート、L−メチオニン、L−トリプトファン、dTMP、ホスファチジン酸塩、L−バリン、バイカーボネート、dCTP、dUMP、L−グルタメート−5−セミアルデヒド、メソ−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、CMP−3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート、ウンデカプレニルジホスファート、L−イソロイシン、ホスファチジルエタノールアミン、L−ロイシン、L−ヒスチジン、ヘキサデセノイル−ACP(n−C16:1ACP)、1−ピロリン−5−カルボキシラート、スルフィット、カルバモイルホスファート、D−エリトロース−4−ホスファート、3−ホスホ−D−グリセラート、CDP−ジアシルグリセロール、キサントシン−5’−ホスファート、dTTP、L−チロシン、L−ホモシステイン、dATP、10−ホルミルテトラヒドロホラート、R−3−ヒドロキシ−ミリストイル−ACP、オクタデセノイル−ACP(n−C18:1ACP)、パルミトイル−ACP(n−C16:0ACP)、(S)−ジヒドロオロタート、テトラデセノイル−ACP(n−C14:1ACP)、2−オキソブタノアート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、L−フェニルアラニン、ホスファチジルセリン、UDP−2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)グルコサミン、L−ホモセリン、ウンデカプレニルホスファート、(R)−パントテナート、オロタート、L−アスパルタート−4−セミアルデヒド、セドヘプツロース−7−ホスファート、N2−ホルミル−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−メチルテトラヒドロホラート、硫化水素、7,8−ジヒドロホラート、dTDP、グリコーゲン、ドデカノイル−ACP(n−C12:0ACP)、4−(1−D−リビチルアミノ)−5−アミノウラシル、プレフェナート、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール、KDO(2)−脂質IV(A)、N1−(5−ホスホ−D−リボシル)グリシンアミド、5−[(5−ホスホ−1−デオキシリブロース−1−イルアミノ)メチリデンアミノ]−1−(5−ホスホリボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、ホスファチジルグリセロホスファート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニン、N−スクシニル−LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、2−デヒドロ−3−デオキシ−D−アラビノ−ヘプタナート−7−ホスファート、O−ホスホ−L−セリン、UDP−N−アセチルムラマート、(S)−2−[5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド]スクシナート、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−γ−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメラート、3−カルボキシ−3−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、2,3−ビス(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−β−D−グルコサミニル−1−ホスファート、3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソナート−8−ホスファート、N−((R)−4−ホスホパントテノイル)−L−システイン、大腸菌のペプチドグリカンサブユニット、アデノシン−5’−ホスホスルファート、ジヒドロプテロアート、3−デヒドロシキマート、1−(5−ホスホリボシル)−AMP、4−メチル−2−オキソペンタノアート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−7−ホスファート、2,3,4,5−テトラヒドロジピコリナート、3−ホスホヒドロキシピルバート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1−ホスファート、D−エリトロ−1−(イミダゾール−4−イル)グリセロール−3−ホスファート、スルファート、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−N−アセチルグルコサミン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(D−エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)−7,8−ジヒドロプテリジン、UDP−3−O−(3−ヒドロキシテトラデカノイル)−D−グルコサミン、オロチジン−5’−ホスファート、UDP−N−アセチル−3−O−(1−カルボキシビニル)−D−グルコサミン、6−ヒドロキシメチルジヒドロプテリン、O−アセチル−L−セリン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、UDP−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタメート、カルジオリピン、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブタノアート、(S)−2−アセトラクタート、3’−ホスホアデニリルスルファート、1−(5−ホスホリボシル)−ATP、2,3,2’3’−テトラキス(β−ヒドロキシミリストイル)−D−グルコサミニル−1,6−β−D−グルコサミン−1,4’−ビスホスファート、シキマート−5−ホスファート、(R)−パントアート、2−デヒドロパントアート、CDPエタノールアミン、5−アミノ−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキシラート、5−ホスホ−β−D−リボシルアミン、N−スクシニル−2−L−アミノ−6−オキソヘプタンジオアート、D−4’−ホスホパントテナート、3−デオキシ−D−マンノ−2−オクツロソナート、ADP−L−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、β−アラニン、D−アラニル−D−アラニン、O−スクシニル−L−ホモセリン、キノリナート、2−(ホルムアミド)−N1−(5−ホスホ−D−リボシル)アセトアミジン、D−アラビノース−5−ホスファート、1−(5−ホスホリボシル)−5−[(5−ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール−4−カルボキサアミド、リポ多糖体、6−ヒドロキシメチル−ジヒドロプテリンピロフォスファート、シキマート、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−L−アラニル−D−グルタミル−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−アラニル−D−アラニン、ウンデカプレニル−ジホスホ−N−アセチルムラモイル−(N−アセチルグルコサミン)−L−ala−D−glu−メソ−2,6−ジアミノピメロイル−D−ala−D−ala、5−ホスホリボシル−5−カルボキシアミノイミダゾール、3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタノアート、N−アセチル−D−グルコサミン−1−ホスファート、L−シスタチオニン、(S)−3−メチル−2−オキソペンタノアート、5−O−(1−カルボキシビニル)−3−ホスホシキマート、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−(エリトロ−1,2,3−トリヒドロキシプロピル)ジヒドロプテリジントリフォスファート、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース−1,7−ビスホスファート、3−(イミダゾール−4−イル)−2−オキソプロピルフォスファート、3,4−ジヒドロキシ−2−ブタノン−4−ホスファート、ラウリン酸を有するKDO(2)−脂質IV(A)、2−イソプロピルマレアート、KDO−脂質IV(A)、ADP−D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、KDO(2)−脂質(A)、N6−(1,2−ジカルボキシエチル)−AMP、5−ホルムアミド−1−(5−ホスホ−D−リボシル)イミダゾール−4−カルボキサアミド、脂質A二糖、2,3−ジヒドロジピコリナート、3−デヒドロキナート、4−ホスホ−L−アスパルタート、S−アデノシルメチオニンアミン、3−カルボキシ−4−メチル−2−オキソペンタノアート、フェニルピルバート、D−グルコサミン−1−ホスファート、デホスホ−CoA、ADP−グルコース、4−アミノベンゾアート、L−ヒスチジノールホスファート、LL−2,6−ジアミノヘプタンジオアート、ジヒドロネオプテリンモノホスファート、パンテテイン−4’−ホスファート、N−カルバモイル−L−アスパルタート、(R)−2,3−ジヒドロキシ−3−メチルペンタノアート、マロニル−CoA、4−アミノ−4−デオキシコリスメート、D−グルタメート、3−(4−ヒドロキシフェニル)ピルバート、L−ヒスチジノール、デアミノ−NADおよび(S)−2−アセト−2−ヒドロキシブタノアートよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項5】
フラックスサム(Φ)の減少による細胞成長の減少類型は、線形的に減少する類型、臨界値未満に減少する類型、及び非線形的に減少してフラックスサム(Φ)が0に達する前に細胞成長が停止する類型よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項6】
前記細胞成長の減少類型によってフラックスサム(Φ)の摂動量を変化させることを特徴とする、請求項5に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項7】
前記対象微生物が大腸菌であることを特徴とする、請求項1に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項8】
前記対象微生物が病原性微生物であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の代謝フラックス分析を用いた微生物の成長に必須の代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項9】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法によりスクリーニングされた微生物の成長に必須の代謝産物に関与する遺伝子を選別することを特徴とする、微生物の成長に必須の遺伝子のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記対象微生物が大腸菌であることを特徴とする、請求項9に記載の微生物の成長に必須の遺伝子のスクリーニング方法。
【請求項11】
前記対象微生物が病原性微生物であることを特徴とする、請求項9に記載の微生物の成長に必須の遺伝子のスクリーニング方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によりスクリーニングされた大腸菌の成長に必須の遺伝子でモデル微生物を形質転換することを特徴とする、形質転換された微生物の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法によりスクリーニングされた病原性微生物の成長に必須の遺伝子でモデル微生物を形質転換することを特徴とする、形質転換された微生物の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法により製造され、大腸菌の成長に必須の遺伝子で形質転換された微生物。
【請求項15】
請求項13に記載の方法により製造され、病原性微生物の成長に必須の遺伝子で形質転換された微生物。
【請求項16】
次のステップを含む病原性微生物の成長を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a)病原性微生物の成長抑制候補物質の存在下で請求項15に記載の形質転換微生物を培養するステップと、
(b)前記成長抑制候補物質なしに培養する場合と比較して、前記形質転換微生物の成長が抑制される場合の候補物質を、病原性微生物の成長を抑制する物質として選定するステップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−512783(P2010−512783A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542652(P2009−542652)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006708
【国際公開番号】WO2008/078911
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(502318478)コリア アドバンスド インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジィ (27)
【Fターム(参考)】