説明

微生物及び/又は感染体を処理する方法

本発明は、微生物及び/又は感染体を有効量のポリマー組成物と接触させて、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することを含む方法であって、ポリマー組成物が水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含む、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、35U.S.C.§119(e)に従って、2007年6月19日に出願された米国仮特許出願第60/944,838号の優先権を主張するものである。この先行出願を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、微生物及び/又は感染体を処理する方法に関する。より詳細には、本発明は、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
汚染物質を表面から除去する排除方法は、典型的には、汚染物質と接触した表面に液状組成物を塗布すること、液状組成物を固体状マトリックスに固化させ、汚染物質がマトリックスによって隔離されること、次いで固体状マトリックスを表面から除去することを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の排除方法に伴う問題は、微生物及び/又は感染体などの生体材料を除去するときに、生体材料が、隔離されていても、依然として生きており、又は活性であり、そのために問題を含んだままであり得ることである。本発明は、この問題に対する解決策を提供する。本発明は、微生物及び/又は感染体が、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するのに有効な時間、ポリマー組成物に接触する、方法に関する。すなわち、本発明の方法による処理の結果として、微生物及び/又は感染体を死滅又は不活性化させることができる。本発明の方法は、微生物及び/又は感染体を隔離することを含み得る。しかし、微生物及び/又は感染体は本発明の方法によって死滅又は不活性化させることができるので、隔離が不要な場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法は、微生物及び/又は感染体を有効量のポリマー組成物と接触させて、微生物及び/又は感染体の生殖能、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することを含み、ポリマー組成物は、水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含む。ポリマーは、ビニルアルコール及び/又は(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位(すなわち、アクリル酸、メタクリル酸又はその混合物から誘導される繰り返し単位)を含み得る。
【0006】
本発明は、一実施形態においては、微生物及び/又は感染体を有効量のポリマー組成物と接触させて、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することを含む方法であって、ポリマー組成物が水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含み、ポリマー組成物が、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝及び/又は増殖を低減又は排除するための有効量の添加殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤を含まないことを特徴とする、方法に関する。
【0007】
本発明は、一実施形態においては、水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含むポリマー組成物と基体を接触させること、ポリマー組成物を乾燥させて、基体に付着した高分子膜を形成すること、高分子膜を基体から分離させること、バイオフィルムを基体上に形成すること、及びバイオフィルムを基体から分離させることを含む、方法にも関する。バイオフィルムは、高分子膜によって基体に与えられる残留抗菌及び/又は殺菌活性の結果として、その生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性の低減又は排除を示し得る。
【0008】
本発明は、一実施形態においては、水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含むポリマー組成物と基体を接触させること、ポリマー組成物を乾燥させて、基体に付着した高分子膜を形成すること、バイオフィルムを高分子膜上に形成すること、及びバイオフィルムを高分子膜から分離させること、又はバイオフィルムと高分子膜を基体から分離させることを含む、方法に関する。
【0009】
本発明の方法は、殺胞子活性を含めた抗菌機能を提供するポリマー組成物を使用するものである。ポリマー組成物は、安全で使いやすいものとすることができる。ポリマー組成物は、ヒドロゲルの形態とすることができる。ポリマー組成物は、乾燥又は脱水して薄層の膜にすることができ、膜は、続いて剥離又は洗浄によって除去することができる。本発明の方法を使用して、汚染された表面に抗菌処理を施すことができる。乾燥又は脱水された膜は、DNA法医学分析及び生物剤(bio−agent)の同定のために再水和することができる。本発明の方法は、生物学的除染用途に使用することができる。本発明の方法は、炭そ菌B.アンスラシス(Anthracis)の代替であるバチルス サブチリス(Bacillus subtilis)を含めた胞子、並びにE.コリ(coli)O157:H7、処理の困難な院内感染源であるS.アウレウス(aureus)(MRSA)、及びイラク戦争の退役軍人に見られ、次第に増加している感染症の細菌病原体であるE.フェカーリス(faecalis)(VRE)及びA.バウマニ(Baumanii)を含めた多数の病原菌の死滅又は不活性化に使用することができる。本発明の方法は、バイオフィルム、ウイルス、真菌などの死滅又は不活性化に使用することができる。乾燥又は脱水された膜の剥離又は洗浄後に残る表面は、無菌であり得るものであり、残留抗菌及び/又は殺菌活性を特徴とし得る。本発明の方法に使用されるポリマー組成物は、ヒト細胞に対して、静菌洗口剤の約100分の1の毒性であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例20において試験された細菌の制限酵素断片パターンを示す図である。
【図2】図2と図3のグラフは、実施例23に記載のHeLa細胞に対する実施例1のポリマー組成物(図2)とグルコン酸クロルヘキシジン(図3)の比較を示す。
【図3】図2と図3のグラフは、実施例23に記載のHeLa細胞に対する実施例1のポリマー組成物(図2)とグルコン酸クロルヘキシジン(図3)の比較を示す。
【図4】実施例1のポリマー組成物の阻止効果を示す図であり、ポリマー組成物は実施例26に記載のように固体材料から浸出する。
【図5】実施例27に記載のように、固体支持体から浸出して未知の汚水細菌の増殖から周囲の領域を防御する実施例1のポリマーの結果を示す図である。
【図6】実施例28に記載のように、細菌胞子の死滅、及び発芽したB.サブチリス(subtilis)細菌の防止を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲に開示するすべての範囲及び比限界(ratio limits)は、任意の様式で組み合わせることができる。別段の記載がない限り、「a」、「an」及び/又は「the」という表記は、1又は1を超えるを含み得るものであり、単数の項目の表記は、複数の項目も含み得ることを理解されたい。特許請求の範囲に記載のすべての組合せは、任意の様式で組み合わせることができる。
【0012】
「微生物」という用語は、一般に、微視的な(小さすぎて裸眼では見えない)任意の生きている生物体を指す。微生物という用語は、裸眼で見ることができることから技術的に微視的ではないが、最高約1ミリメートル、一実施形態においては約0.1ミクロンから約1ミリメートルの範囲、一実施形態においては約0.1から約750ミクロンの範囲の寸法を有し得る、真菌などの生きている生物体なども含み得る。微生物は、単細胞でも多細胞でもよい。微生物としては、細菌、リケッチア、原生動物、真菌又はその2種類以上の混合物を挙げることができる。微生物は、溶解したときに潜在的に致死的な内毒素を分泌することがあり、又は可溶性外毒素を分泌することがある。微生物としては、プランクトン、プラナリア、アメーバ、その2種類以上の混合物などの微視的な植物及び動物を挙げることができる。微生物としては、チリダニ、ハダニなどの節足動物を挙げることができる。微生物は、感染体であり得る。
【0013】
「感染体」という用語は、その宿主に疾患又は疾病を引き起こす生体材料を指す。感染体は、病原体であり得る。感染体は、多剤耐性スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)などの薬剤耐性病原体を含み得る。感染体は、生活環の栄養型又は胞子型の病原体を含み得る。感染体は、微生物、ウイルス、プリオン又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0014】
「汚染物質」又は「汚染材料」という用語は、本発明の方法によって処理することができる微生物及び/又は感染体を指すのに本明細書では使用される。
【0015】
「胞子」という用語は、分散、及び好ましくない条件における長時間生存に適合した、分化型の発生上の構造を指す。胞子は、多数の植物、藻類、真菌及び原生動物の生活環の一部を形成する。胞子としては細菌胞子を挙げることができる。
【0016】
「細菌」という用語は、単細胞微生物を指す。細菌種は、真正細菌、ラン藻類又は古細菌であり得る。細菌は、典型的には最高約1ミクロンの長さの原核生物であり得る。個々の細菌は、球体、桿体かららせんまでを含めて広範な形状を有し得る。細菌は、グラム陽性でもグラム陰性でもよい。グラム陽性菌は、ペプチドグリカン及びタイコ酸の各層を含む厚い壁を有する。グラム陰性菌は、リポ多糖とリポタンパク質を含む第2の脂質膜によって囲まれたペプチドグリカンの少数の層からなる薄い細胞壁を有する。一部の細菌は複製のために真核生物宿主を必要とし、一部は胞子を形成し、一部は、バイオフィルムを形成することがあり、又はバイオフィルム形成に関与し得る。
【0017】
「バイオフィルム」という用語は、液体上に浮いた、又は表面に付着した、微生物の集合体を指す。これらの膜は、厚さ及び幅が数マイクロメートルから数メートルの範囲であり得、細菌、原生生物、古細菌などの複数の種を含み得る。バイオフィルム中で生きている細菌は、細胞及び防御性細胞外成分の複雑な配置を示すことがあり、(微小)コロニーなどの二次構造を形成し得る。この二次構造を通して、栄養素の拡散を改善することができるチャネルのネットワークが存在し得る。(主に炭水化物、タンパク質、デオキシリボ核酸(DNA)で構成されるが、組成がバイオフィルムごとに異なる)複雑な細胞外基質は、pH及び酸素レベルの劇的変化、脱水、せん断応力、酸化剤(例えば、Clorox)、抗生物質などの有毒化学物質などの環境変化及び攻撃から常在細菌を防御する。バイオフィルム細菌は、殺生物剤及び抗生物質に対する感受性が低いことがあり、場合によっては抗生物質又は殺生物剤に対して、プランクトン培養で増殖された同タイプの細菌の1000倍の耐性になり得る。バイオフィルムは、環境(例えば、温泉)中、家庭用備品(例えば、シャワーカーテン、台所の流し、熱交換器)、装置(例えば、ろ過膜)、医用計測手段(例えば、尿カテーテル)、コンタクトレンズ及び人工移植片(例えば、ペースメーカー、ステント、歯科及び乳房インプラント、心臓弁など)上、並びに人体上及び人体内に、広範に存在し得る。バイオフィルムは、ぼうこう感染症、結腸炎及び結膜炎を含めて、ヒト疾患の主原因であり得る。これらのバイオフィルムは、免疫系によるクリアランスと抗生物質治療の両方に高度な耐性がある。バイオフィルムは、連続したプランクトン細菌源として働き得る。プランクトン細菌は、バイオフィルムから遊離すると、新しいバイオフィルム形成の種を蒔く。常在細菌が病原体又は感染体である場合、バイオフィルムを抜け出した材料は、循環系及び周囲組織にプランクトン細菌又はバイオフィルム微小コロニーの種を蒔いて急性感染症を引き起こし得る。
【0018】
「真菌」という用語は、キチン性細胞壁を有することが多い従属栄養生物体を指す。種の大多数は、菌糸体を形成する菌糸と呼ばれる多細胞性糸状体として増殖する。一部の真菌種は、単細胞としても増殖する。真菌の有性及び無性生殖は、一般に、特殊構造上又は子実体中で生成されることが多い胞子を介する。一部の種は、特殊生殖構造を形成する能力を失い、栄養生長によって単独で増殖する。酵母及び糸状菌は、真菌の例である。真菌は、菌界の一メンバーである一真核生物である。
【0019】
「酵母」という用語は、菌界に分類される真核微生物の成長型を指し、約1500種が文献に記載されている。大部分は出芽によって無性生殖的に再生するが、少数は二分裂によって再生する。酵母は単細胞であるが、酵母形の一部の種は、細胞凝集によって多細胞性になり、糸状菌として知られる場合がある。酵母サイズは、種に応じて大きく変動し、典型的には直径3〜4μmであるが、一部の酵母は40μm以上に達することがある。酵母は、他の微生物を含み得るバイオフィルムを形成することもある。酵母バイオフィルムは、医学的移植片を含めて、多種多様な環境で形成され得る。酵母バイオフィルムは、病原性であり得る。
【0020】
「糸状菌」という用語は、菌糸と呼ばれる多細胞性糸状体の形で増殖する微視的な真菌の種を指す。それに対して、単細胞として増殖する微視的な真菌は酵母と呼ばれる。これらの管状枝分かれ菌糸の連結ネットワークは、複数の遺伝的に同一の核を有することがあり、単一の生物体とみなすことができる。
【0021】
「ウイルス」という用語は、宿主細胞外では増殖も再生もできない極微小の感染体を指す。各ウイルス粒子、すなわちビリオンは、キャプシドと呼ばれる防御タンパク質外被内の遺伝物質DNA又はリボ核酸(RNA)からなる。キャプシド形状は、簡単な幾何構造から尾部又はエンベロープを有するより複雑な構造まで変動し得る。ウイルスは、特定の細胞生物に感染することができ、感染する宿主細胞のタイプに応じて、動物、植物及び細菌タイプに分類される。
【0022】
「プリオン」という用語は、ある種のタンパク質で完全に構成される感染体を指す。このプリオンタンパク質は、正常な配座(形状)でも変化した異常な配座でも存在し得る。感染性であるのは、誤って折りたたまれた異常なプリオンタンパク質の形状である。この誤って折りたたまれた形状によって、プリオンタンパク質は、熱、pH、化学物質及び酵素による不活性化に対して高度に耐性化する。誤って折りたたまれたプリオンは、ウシにおける(「狂牛病」としても知られる)ウシ海綿状脳症(BSE)、及びヒトにおける後天性クロイツフェルト ヤコブ病(CJD)を含めて、種々のほ乳動物において幾つかの疾患を引き起こす。ほ乳動物においては、プリオン病は、脳及び/又は他の神経組織を冒し、プリオンに起因するすべての疾患は現在治療不能であり、致命的になり得る。一般的使用においては、プリオンという用語は、感染の理論的単位、又は感染性の配座状態にあるか否かにかかわらず感染体であると考えられる特定のタンパク質(例えば、PrP)を指すことがある。
【0023】
「リケッチア」という用語は、増殖及び複製を真核生物宿主細胞に依存するグラム陰性非胞子形成性細菌を指す。この細菌は、非運動性であると言うことができる。この細菌は、人工的な栄養環境中では生存することができない。リケッチアは、ベクター(例えば、ノミ、マダニ)の寄生体として宿主に運ばれる。リケッチアは、植物及び動物においてロッキー山紅斑熱、チフスなどの幾つかの疾患を引き起こすことが知られている。リケッチアは、ウイルスと細菌の間に位置する微生物であると言うことができる。
【0024】
「原生生物」という用語は、真菌、動物又は植物として他の真核生物界のいずれかに分類することができない真核生物を含む生物体の多様な1グループを指す。
【0025】
「水溶性」という用語は、水1リットル当たり少なくとも約5グラムの材料の程度に、温度20℃で水に可溶である材料を指す。「水溶性」という用語は、水中乳濁液を形成する材料を指すこともある。
【0026】
「水溶性膜形成性ポリマー」という用語は、水に溶解させることができ、水が蒸発すると膜又はコーティング層を形成するポリマーを指す。
【0027】
「生分解性」という用語は、分解して水とCOを形成する材料を指す。
【0028】
「脱水」と「乾燥」という用語は、区別なく使用することができる。
【0029】
本発明の方法によって処理することができる微生物及び/又は感染体は、汚染物質と称することができる。微生物及び/又は感染体は、細菌、バイオフィルム、後生動物又はその2種類以上の混合物を含み得る。微生物及び/又は感染体は、細菌、真菌、酵母、酵母バイオフィルム、糸状菌、原生生物又はその2種類以上の混合物を含み得る。微生物及び/又は感染体は、1種類以上の胞子を含み得る。処理することができる微生物及び/又は感染体は、病原体を含み得る。微生物及び/又は感染体は、ウイルス、プリオン、リケッチア又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0030】
微生物及び/又は感染体は、1種類以上の生物兵器剤を含み得る。微生物及び/又は感染体は、他のヒトとの接触、又は病院における汚染された表面などの汚染された表面との接触によって遭遇する任意の微生物及び/又は感染体を含み得る。微生物及び/又は感染体は、1種類以上の細菌胞子、栄養型細菌又はバイオフィルムを含み得る。微生物及び/又は感染体は、ほ乳動物、特にヒトに死をもたらす、又は重度の傷害を引き起こす能力を有し得る。これらの微生物及び/又は感染体としては、ウマ脳脊髄炎、天然痘などのウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因であるコロナウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルスなどを挙げることができる。これらの微生物及び/又は感染体としては、ペスト(エルシナ ペスチス(Yersina pestis))、炭そ(バチルス アンスラシス(Bacillus anthracis))、野兎病(フランシセラ ツラレンシス(Francisella tularensis))、創傷感染症又は肺感染症(例えば、(多剤耐性S.aureus(アウレウス)MRSA、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(潜在的バイオフィルム形成菌)を含めた)スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、汚染食品(エシェリキア コリ(Escherichia coli)(E.コリ(coli)O157−H7))をもたらす細菌、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)を含めたエンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)などの細菌を挙げることができる。微生物及び/又は感染体としては、真菌を挙げることができ、とりわけコクシジウム症を引き起こし得る二形性真菌コクシジオイデス(Coccidioides)、(特に免疫無防備状態の患者において、生命にかかわるおそれがある)広範なカンジダ症を引き起こし得るカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、又は広範なヒト疾患を引き起こし得るアスペルギルス(Aspergillus)が挙げられる。微生物及び/又は感染体としては、かかる微生物によって生成される有毒生成物、例えば、クロストリジウム ボツリニウム(Clostridium botulinium)菌によって発現されるボツリヌス毒素(BT)を挙げることができる。微生物及び/又は感染体としては、感冒(ライノウイルス)、癌の素因及びいぼ(パピローマウイルス)、インフルエンザ(オルソミクソウイルス)、皮膚膿よう、毒素性ショック症候群(スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus))、細菌性肺炎(ストレプトコッカス ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、腹痛(エシェリキア コリ(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella))などの原因である微生物及び/又は感染体を挙げることができる。処理することができる微生物及び/又は感染体は、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ブルクホルデリア セパシア(Burkholderia cepacia)、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)、エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、アシネトバクター バウマニ(Acinetobacter baumannii)又はカンジダ アルビカンス(Candida albicans)の1種類以上を含み得る。これらの微生物は、S.アウレウス(aureus)MRSA、MDR A.バウマニ(baumannii)、VRE E.フェカーリス(faecalis))などの抗生物質/薬剤耐性であり得、及び/又はバイオフィルム形成性生物体(例えば、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa))であり得、及び/又は胞子形成性生物体(例えば、B.サブチリス(subtilis)、B.アンスラシス(Anthracis)及びクロストリジウム(Clostridium)種)であり得る。
【0031】
処理することができる微生物及び/又は感染体は、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、エシェリキア コリ(Escherichia coli)O157−H7、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)バイオフィルム、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)MRSA、ブルクホルデリア セパシア(Burkholderia cepacia)、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)、エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)−VRE、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルム、ストレプトコッカス ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、アシネトバクター バウマニ(Acinetobacter baumannii)、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)又はカンジダ アルビカンス(Candida albicans)バイオフィルムの1種類以上を含み得る。
【0032】
ポリマー組成物は、水、少なくとも1種類の水溶性膜形成性ポリマー、少なくとも1種類のキレート化剤、及び少なくとも1種類の界面活性剤を含み得る。ポリマーは、ビニルアルコール及び/又は(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を含み得る。ポリマーは、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール共重合体又はその混合物を含み得る。「共重合体」という用語は、共重合体、三元共重合体などを含めて、2種類以上の異なる繰り返し単位を有するポリマーを指すのに本明細書では使用することができる。
【0033】
ポリマーは、アタクチックポリビニルアルコールを含み得る。これらのポリマーは、半結晶性と、分子間と分子内の両方の水素結合を示す強い傾向とを有し得る。
【0034】
ポリマーは、式−CH−CH(OH)−で表される繰り返し単位、及び式−CH−CH(OCOR)−で表される繰り返し単位を含み得る。式中、Rはアルキル基である。アルキル基は、1から約6個の炭素原子、一実施形態においては1から約2個の炭素原子を含み得る。式−CH−CH(OCOR)−で表される繰り返し単位の数は、ポリマー中の繰り返し単位の約0.5%から約25%、一実施形態においては繰り返し単位の約2から約15%の範囲であり得る。エステル基は、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドアセタールで置換し得る。
【0035】
ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)構造を含み得る。ポリマーは、1,2−ジヒドロキシエチレンに由来する共重合体単位などの1,2−グリコールの形のヒドロキシル基も含むビニルアルコール共重合体の形であり得る。共重合体は、かかる単位最高約20モル%、一実施形態においてはかかる単位最高約10モル%を含み得る。
【0036】
ポリマーは、ビニルアルコール及び/又は(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位と、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキセチルセルロース(hydroxethylcellulose)、アリルアルコールなどの1種類以上から誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を含み得る。共重合体は、ビニルアルコールの繰り返し単位以外の繰り返し単位最高約50モル%、一実施形態においてはビニルアルコール以外のかかる繰り返し単位約1から約20モル%を含み得る。
【0037】
使用することができるポリビニルアルコールとしては、CelaneseからCelvol 523(MW=85,000から124,000、87〜89%加水分解)、CelaneseからCelvol 508(MW=50,000から85,000、87〜89%加水分解)、CelaneseからCelvol 325(MW=85,000から130,000、98〜98.8%加水分解)、Air ProductsからVinol(登録商標)107(MW=22,000から31,000、98〜98.8%加水分解)、Polysciences 4397(MW=25,000、98.5%加水分解)、Chan ChunからBF 14、DuPontからElvanol(登録商標)90−50、及びユニチカからUF−120の各商品名で入手可能であるポリビニルアルコールが挙げられる。使用することができるポリマーの他の製造者としては、日本合成化学工業(Gohsenol(登録商標))、Monsanto(Gelvatol(登録商標))、Wacker(Polyviol(登録商標))、又は日本国製造者クラレ、Deriki及び信越化学工業を挙げることができる。
【0038】
ポリマーは、約70%から約100%の範囲、一実施形態においては約70%から約99.3%、一実施形態においては70%から約95%の範囲、一実施形態においては約70%から約90%、一実施形態においては約87%から約89%の加水分解レベルを有し得る。
【0039】
ポリマーは、1種類以上の(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸及び/又はメタクリル酸)から誘導される繰り返し単位を含み得る。これらのポリマーとしては、直鎖ポリマー、架橋ポリマー、軽く架橋されたポリマー、中和ポリマー、及び/又は部分的に中和されたポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、Hampton ResearchからPolyacrylic Acid 5100、Sigma Aldrichから入手可能な部分ナトリウム塩の軽く架橋されたポリマーであるポリ(アクリル酸)、Polysciences,Incからポリ(アクリル酸)(MW約90000g/mol)、及びPolysciences Incからポリ(アクリル酸)(MW約100000g/mol)の名称で入手可能であり得る。使用することができるポリメタクリル酸としては、Sigma Aldrichからポリ(メタクリル酸溶液塩)(MW約429,000から549,000g/mol)、及びPolysciences Incからポリメタクリル酸(25087−26−7)(MW約100,000g/mol)の各商品名で入手可能であるポリメタクリル酸を挙げることができる。
【0040】
ポリマーは、少なくとも約5,000g/molの重量平均分子量を有し得る。ポリマーは、最高約2,000,000g/molの重量平均分子量を有し得る。ポリマーは、約5000から約2,000,000の範囲、一実施形態においては約10,000から約1,000,000g/molの範囲、一実施形態においては約10,000から約600,000、一実施形態においては約10,000g/molから約250,000g/mol、一実施形態においては約10,000g/molから約190,000g/mol、一実施形態においては約10,000から約150,000g/molの範囲、一実施形態においては約50,000から約150,000gl/molの範囲、一実施形態においては約85,000から約125,000g/molの範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0041】
(乾燥又は脱水前の)ポリマー組成物のポリマー濃度は、約0.5から約50重量%の範囲、一実施形態においては約1から約25重量%、一実施形態においては約1から約20重量%の範囲、一実施形態においては約2から約10重量%の範囲であり得る。
【0042】
ポリマー組成物は、約40から約99重量%、一実施形態においては約60から約95重量%の範囲の(乾燥又は脱水前の)水濃度を有し得る。水は、任意の出所に由来し得る。水は、脱イオン又は蒸留水を含み得る。水は、水道水を含み得る。水は、無菌ナノ純水(nanopure water)を含み得る。
【0043】
キレート化剤又はキレート剤は、金属イオン又は他の荷電粒子と配位結合を形成する2個以上の電子供与体原子を含む1種類以上の有機又は無機化合物を含み得る。第1のかかる配位結合後、結合する次の各供与体原子は、金属又は荷電粒子を含む環を形成し得る。キレートの構造上の態様は、電子受容体として働き得る金属又は荷電粒子と、電子供与体として働き得る、キレート化剤の分子中の2個以上の原子、又は配位子との配位結合を含み得る。キレート化剤は、金属イオン又は荷電粒子と同時に複合体を形成する能力のある2、3、4、5個以上の供与体原子を含むかどうかによって、二座配位、三座配位、四座配位、五座配位などであり得る。
【0044】
キレート化剤は、炭化水素結合と2個以上の官能基とを含む有機化合物を含み得る。同じ又は異なる官能基を単一のキレート化剤中に使用することができる。官能基は、=O、−OR、−NR、−NO、=NR、=NOR及び/又は=N−R−ORを含み得る。式中、RはH又はアルキルであり、Rはアルキレンである。官能基は、リン酸基及び/又はホスホン酸基を含み得る。アルキル基は、1から約10個の炭素原子、一実施形態においては1から約4個の炭素原子を含み得る。アルキレン基は、2から約10個の炭素原子、一実施形態においては2から約4個の炭素原子を含み得る。キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プルシアンブルー、クエン酸、ペプチド、短鎖アミノ酸を含めたアミノ酸、アミノポリカルボン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、オルガノホスホナート、パミドロナートなどのビスホスホナート、無機ポリホスファートなどの1種類以上を含み得る。上記キレート化剤の1種類以上の塩を使用することができる。これらの塩としては、上記のナトリウム、カルシウム及び/又は亜鉛塩を挙げることができる。DTPAのナトリウム、カルシウム及び/又は亜鉛塩を使用することができる。上記キレート化剤の塩は、薬剤を例えば水酸化ナトリウムで中和したときに形成され得る。上記のいずれかの2種類以上の混合物を使用することができる。
【0045】
(乾燥又は脱水前の)ポリマー組成物のキレート化剤濃度は、約0.1から約5重量%、一実施形態においては約0.5から約2重量%の範囲であり得る。
【0046】
界面活性剤は、Griffinのシステムで0から約18、一実施形態においては約0.01から約18の範囲の親水性親油性バランス(HLB)を有する1種類以上のイオン及び/又は非イオン化合物を含み得る。イオン化合物は、陽イオン性又は両性化合物であり得る。例としては、McCutcheons Surfactants and Detergents,1998,North American&International Editionに記載のものを挙げることができる。North American Editionの1〜235ページ及びInternational Editionの1〜199ページを、かかる界面活性剤の開示に関して参照により本明細書に援用する。使用することができる界面活性剤は、1種類以上のポリシロキサン、アルカノールアミン、アルキルアリールスルホナート、アミンオキシド、アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体を含めたポリ(オキシアルキレン)化合物、カルボキシル化アルコールエトキシラート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化されたアミン及びアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化された脂肪酸エステル及び脂肪油、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、グリコールエステル、ソルビタンエステル、イミダゾリン誘導体、レシチン及び誘導体、リグニン及び誘導体、モノグリセリド及び誘導体、オレフィンスルホナート、リン酸エステル及び誘導体、プロポキシル化及びエトキシル化された脂肪酸若しくはアルコール若しくはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステル及び誘導体、スルファート若しくはアルコール若しくはエトキシル化アルコール若しくは脂肪酸エステル、ドデシル及びトリデシルベンゼン若しくは縮合ナフタレン若しくは石油のスルファート若しくはスルホナート、スルホサクシナート及び誘導体、トリデシル及び/又はドデシルベンゼンスルホン酸、及び/又はポリ(ジメチルシロキサン)を含み得る。上記の2種類以上の混合物を使用することができる。界面活性剤は、セントリモニウム(centrimonium)陽イオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム陽イオン(HDTMA)又はその混合物を含み得る。界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0047】
(乾燥又は脱水前の)ポリマー組成物の界面活性剤濃度は、組成物の約0.05から約10重量%の範囲、一実施形態においては約0.1から約5重量%の範囲、一実施形態においては約0.1から約2重量%であり得る。
【0048】
ポリマー組成物は、1種類以上の架橋剤、せっけん、洗浄剤、チキソトロピー添加剤、擬塑性添加剤、レオロジー調節剤、沈降防止剤、流れ止め剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、有機溶媒、可塑剤、粘度安定剤、殺生物剤、殺ウイルス剤、殺真菌剤、化学兵器剤中和剤、湿潤剤、又はその2種類以上の混合物を更に含み得る。
【0049】
架橋剤は、四ホウ酸ナトリウム(sodium tertraborate)、グリオキサール、Sunrez 700(環式尿素/グリオキサール/ポリオール縮合物であると同定されるSequa Chemicalsの製品)、Bacote−20(安定化アンモニウムジルコニウムカルボナートであると同定されるHopton Technologyの製品)、polycup−172(ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂であると同定されるHercules,Inc.の製品)、又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0050】
せっけんは、洗浄水又は清浄化水と一緒に使用することができる界面活性剤を含み得る。せっけんは、脂肪酸の塩であり得る。せっけんは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリと脂肪を反応させることによって製造することができる。この反応は、アルカリと水が脂肪を加水分解して、脂肪を遊離グリセロール/グリセリンと脂肪酸塩に転化する鹸化であり得る。
【0051】
洗浄剤は、清浄化を助けるのに使用することができる組成物を含み得る。洗浄剤は、1種類以上のせっけん、界面活性剤、研磨材、pH調整剤、硬水軟化剤、酸化剤、汚染物質を懸濁液中に維持する非界面活性剤材料、酵素、泡安定剤、光沢剤、織物柔軟剤、香料、腐食防止剤、防腐剤などの組合せを含み得る。
【0052】
チキソトロピー添加剤は、ポリマー組成物を静置すると比較的短時間で増粘又は剛化させるが、撹拌又は操作(例えば、はけ塗り、ローラー塗り、噴霧)すると自由に流動させることができる1種類以上の化合物を含み得る。チキソトロピー添加剤は、ヒュームドシリカ、処理されたヒュームドシリカ、クレイ、ヘクトライトクレイ、有機的に改変されたヘクトライトクレイ、チキソトロピーポリマー、擬塑性ポリマー、ポリウレタン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、改変尿素、尿素改変ポリウレタン、又はその2種類以上の混合物を含み得る。使用することができるチキソトロピー添加剤は、改変尿素であると同定されるChemieの製品であるByk−420である。
【0053】
レベリング剤は、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル改変ジメチルポリシロキサン、ポリエステル改変ジメチルポリシロキサン、ポリメチルアルキシロキサン(polymethylalkysiloxane)、アラルキル改変ポリメチルアルキルシロキサン、アルコールアルコキシラート、ポリアクリラート、重合体のフッ素系界面活性剤、フルオロ改変ポリアクリラート、又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0054】
着色剤は、1種類以上の色素、顔料などを含み得る。着色剤としては、McCormick and Company Inc.製Blue Food Color Formula#773389、及び/又はSpectra Colors Corp.製Spectrazurine Blue FND−C LIQを挙げることができる。着色剤は、乾燥すると、又はpH変化に応じて、蛍光性になる1種類以上の色素を含み得る。
【0055】
有機溶媒は、1種類以上のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1種類以上のケトン、例えば、アセトン、1種類以上の酢酸エステル、例えば、酢酸メチル、又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0056】
可塑剤は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリブチレングリコール、グリセリン又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0057】
粘度安定剤は、単官能又は多官能のヒドロキシル化合物を含み得る。粘度安定剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリブチレングリコール、グリセリン又はその2種類以上の混合物を挙げることができる。
【0058】
殺生物剤、殺ウイルス剤又は殺真菌剤は、一般的な生物学的汚染物質を死滅又は不活性化させる能力を有し得る。殺生物剤、殺ウイルス剤又は殺真菌剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、pH調整された次亜塩素酸ナトリウム、第四級塩化アンモニウム、pH調整された漂白剤(Clorox(登録商標))、CASCAD(商標)表面除染発泡剤(AllenVanguard)、DeconGreen(Edgewood Chemical Biological Center)、DioxiGuard(Frontier Pharmaceutical)、EasyDecon 200(Envirofoam Technologies)、Exterm−6(ClorDiSys Solutions)、HI−Clean 605(Howard Industries)、HM−4100(Biosafe)KlearWater(Disinfection Technology)、Peridox(Clean Earth Technologies)Selectrocide(BioProcess Associates)、EasyDECON(商標)200除染溶液、又はその2種類以上の混合物を含み得る。殺生物剤は、Kathon LX(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むRohm and Hass Companyの製品)又はDowacil 75(抗菌防御用防腐剤として有用であると記載された1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリドを含むDow Chemicalの製品)を含み得る。
【0059】
本発明の種々の実施形態では、1種類以上の殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤をポリマー組成物中に含むことが有利であり得るが、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するために、かかる殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤をポリマー組成物中に含むことは必ずしも必要ではない。これを下記実施例で示す。したがって、一実施形態においては、本発明の方法に使用されるポリマー組成物は、処理される微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するための有効量の添加殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤を含まないことを特徴とし得る。
【0060】
化学兵器剤中和剤は、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ一硫酸カリウム(Virkon S(登録商標))、モリブデン酸カリウム、過酸化水素、クロロイソシアヌル酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、pH調整された次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、酸化剤、求核剤、水酸化イオン、触媒酵素、オルガノ亜リン酸アンヒドロラーゼ、o−ヨードソベンゾアート、ヨードキシベンゾアート、過ホウ酸塩、過酢酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシカルボナートイオン、ポリオキシメタラート、第四級アンモニウム錯体、Sandia Foam(Sandia National Laboratories)、EasyDECON(商標)200 Decontamination Solution、Modec’s Decon Formula(Modec,Inc.)、又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0061】
湿潤剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸塩共重合体又はその2種類以上の混合物を含み得る。
【0062】
(乾燥又は脱水前の)ポリマー組成物中の上記添加剤の各々の濃度は、最高約25重量%、一実施形態においては最高約10重量%、一実施形態においては最高約5重量%、一実施形態においては最高約2重量%、一実施形態においては最高約1重量%であり得る。
【0063】
ポリマー組成物は、比較的深部の清浄化のためにポリマー組成物を基体(すなわち、清浄な基体、又は汚染された基体)中に拡散させることができ、はけ、ローラー又は噴霧装置による塗布を含めた種々の適用方法を可能にし、さらに、膜を剥離する、又ははぎ取ることによって除去するのに十分な強度の乾燥膜をもたらす、十分な厚みの湿潤膜を非水平表面に与えることができる、広範囲な粘度及び流体力学的性質を有し得る。界面活性剤を使用して、これらの流体力学的性質を調節し、又は向上させることができる。(乾燥又は脱水前の)ポリマー組成物のブルックフィールド粘度は、0.3〜60rpm及びスピンドル1〜4の範囲の試料に適切なrpm及びスピンドルで25℃で測定して、約100から約500,000センチポアズの範囲、一実施形態においては約200から約200,000センチポアズの範囲であり得る。ポリマー組成物は、水平及び/又は非水平基体上に湿潤膜を形成するのに十分な粘度を有し得るものであり、乾燥又は脱水後に固体マトリックス又は膜を形成し、続いて基体からはぎ取る、又は基体から洗浄除去することができる。
【0064】
ポリマー組成物は、微生物及び/又は感染体に塗布し、乾燥させることができる。微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することに加えて、乾燥後のポリマー組成物は、微生物及び/又は感染体を隔離する固体マトリックスを形成することができる。
【0065】
微生物及び/又は感染体は、基体上に位置し得るものであり、本発明の方法は、ポリマー組成物を微生物及び/又は感染体と接触した基体に塗布すること、ポリマー組成物を乾燥させて膜を形成すること、及び膜を基体から除去することを含み得る。膜は、基体から剥離することができる。膜は、水を含む組成物(例えば、せっけん又は洗浄剤と水を含む清浄化溶液)を膜に塗布し、次いで洗浄、こすり洗いなどの従来技術によって膜を基体から除去することによって、除去することができる。
【0066】
ポリマー組成物は、従来のコーティング技術、例えば、はけ塗り、ローラー塗り、噴霧、展延(spreading)、浸漬、塗沫(smearing)などによって、基体に塗布することができる。基体は、汚染された基体を含み得るものであり、膜は、汚染された基体に適用され、汚染材料は膜によって吸収される。或いは、膜を清浄な基体に適用することができ、基体はその後汚染され、汚染材料が膜上又は膜中に付着し、汚染材料は続いて膜と一緒に除去される。ポリマー組成物を基体に塗布後、ポリマー組成物を脱水又は乾燥させて、膜を形成することができる。脱水又は乾燥は、送風機、除湿器、熱源又はその組合せを用いて促進することができる。汚染材料は、死滅させることができ、又は無害にすることができる。汚染材料は、吸収させることができ、吸着させることができ、及び/又はポリマー組成物若しくはポリマー組成物の成分によって、又はポリマー組成物若しくはポリマー組成物の成分と、複合化させることができる。汚染材料は、膜表面に付着し得る。汚染材料が混入した膜を基体から分離させると、非汚染表面、又は低汚染レベルの表面を残すことができる。例えば、膜を基体からはぎ取ることができ、又は剥離させることができる。水を含む組成物、例えば、水とせっけん又は洗浄剤を含む清浄化溶液を用いて、膜を基体から洗浄除去することができる。
【0067】
膜は、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝及び/又は増殖を低減又は排除するために、基体からの除去を必要としないこともある。ポリマー組成物は、基体に塗布することができ、ポリマー組成物を乾燥又は脱水して、膜が形成されたときに、微生物及び/又は感染体を封入、捕捉、可溶化又は乳化することができ、微生物及び/又は感染体の生殖、代謝及び/又は増殖能力を低減又は排除することができる。
【0068】
乾燥又は脱水された膜は、最高約25重量%の範囲、一実施形態においては約1から約15重量%の範囲の水濃度を有し得る。ポリマー組成物は、脱水すると、ヒドロゲルと称することができる。膜は、はぎ取り可能又は剥離可能な膜とすることができる。膜は、基体からはぎ取る又は剥離するのに十分な厚さと引っ張り強さを有し得る。膜厚は、最高約50ミル、一実施形態においては約0.01から約50ミル、一実施形態においては約0.01から約25ミル、一実施形態においては約0.05から約5ミルの範囲であり得る。膜は、従来の洗浄及びこすり洗い技術によって基体から除去することができる。
【0069】
ポリマー組成物の利点は、基体に湿潤状態で塗布し、次いで乾燥又は脱水して、膜などの固体マトリックスを形成できることである。一実施形態においては、固体マトリックスの形成は、架橋反応を含まない。したがって、架橋剤の使用を含む2成分系の使用を回避することができる。これは、高分子膜を再水和し、下記で考察する分析に供することができる利点も提供する。
【0070】
ポリマー組成物は、商業的な再水和プロセスを必要としなくてもよい再水和可能な形で提供することができる。例としては、単回使用の用途に対して再水和することができる粉体を挙げることができる。水は、最低限の撹拌で、又は撹拌なしで、添加することができる。ナトリウム又はカリウムで中和されたポリ(メタ)アクリル酸は、使用前に乾燥粉末から調製することができるゲル又は溶液のための直接再水和に有用であり得る。
【0071】
ポリマー組成物は、少なくとも1つの実施形態においては、培養ヒトHeLa細胞に対してグルコン酸クロルヘキシジン(一般に使用される静菌洗口剤)の約1/100の毒性を示し得る。
【0072】
ポリマー組成物は、積層構造を利用して、基体に適用することができる。積層構造は、剥離ライナーの片側の一部又は全部の上に重なる1層の膜を含み得る。或いは、膜層は、2個の剥離ライナーの間に位置し得る。膜層は、従来技術(例えば、はけ塗り、ローラーコーティング、噴霧など)によって剥離ライナーの片側をポリマー組成物で被覆し、次いでポリマー組成物を脱水又は乾燥させて膜層を形成することによって形成することができる。積層構造が第2の剥離ライナーを含む場合、第2の剥離ライナーを第1の剥離ライナーの反対側の膜層上に配置することができる。膜層は、約1から約500ミル、一実施形態においては約5から約100ミルの範囲の厚さを有し得る。剥離ライナー(単数又は複数)は裏張りを含むことができ、裏張りには剥離コーティング層が施されている。剥離コーティング層は、膜層に接触し、膜層からの剥離ライナーの除去を容易にするために設けられる。裏張りは、紙、布、高分子膜又はその組合せで作製することができる。剥離コーティングは、当分野で公知の任意の剥離コーティングを含み得る。この剥離コーティングとしては、ポリジメチルシロキサンを含めたポリオルガノシロキサンなどのシリコーン剥離コーティングを挙げることができる。積層構造が膜層の片側に剥離ライナーを含むときには、積層構造は、ロールの形で提供することができる。膜層は、基体を膜層と接触させ、次いで剥離ライナーを膜層から除去することによって基体に適用することができる。膜層は、基体に付着するのに十分な粘着性を有し得る。積層構造が膜層の両側に剥離ライナーを含むときには、積層構造は、平坦なシートの形で提供することができる。膜層は、剥離ライナーの一方を積層構造から剥離し、基体を膜層と接触させ、膜層を基体上に配置し、次いで他方の剥離ライナーを膜層から除去することによって、基体に適用することができる。
【0073】
本発明の方法によって処理することができる基体としては、ヒトの皮膚及び創傷、並びに布、紙、木、金属、ガラス、コンクリート、塗装面、プラスチック表面などを挙げることができる。基体としては、表面の滅菌又は消毒を必要とする種子を挙げることができる。基体は、多孔質、透過性又は非多孔質材料を含み得る。基体は、床、カウンター上面、テーブル上面、運動医用設備、台車付き担架、心臓ストレス試験室表面、便座などの水平に調整された非多孔質基体、並びに蛇口、道具、他のタイプの設備又はインフラストラクチャーなどの複雑な3次元構造を含み得る。基体は、壁、ドア、窓などの非水平に調整された表面を含み得る。基体としては、タイル、Formica、磁器、クロム、ステンレススチール、ガラス、密封されたグラウト、密封されていないグラウト、ゴム、革、プラスチック、塗装面、コンクリート、木、反応器、貯蔵容器などを挙げることができる。基体としては、金属、ガラス、プラスチックなどでできた手術設備、及び計測手段を挙げることができる。本発明の方法を使用して、建造物、医療設備、製造物、解体予定の建造物及びインフラストラクチャー、軍の資産、飛行機、並びに軍又は民間の船舶の内装及び外装を除染することができる。
【0074】
本発明の方法を使用して、一般的な細菌及び真菌の混入などの通常の蔓延している微生物及び/又は感染体から、より危険な多剤耐性病原体、並びに炭そ、HIV、エボラウイルスなどの極めて危険な材料までの範囲の汚染から生物実験室及び生物兵器研究施設を滅菌、除染又は消毒することができる。
【0075】
(湿潤又は乾燥)膜は、基体から分離させる(すなわち、ふき取る、洗浄する、又は剥離する)ことができ、水などの液体に分散又は溶解させることができ、次いで微生物及び/又は感染体の存在について分析することができる。これは、膜を再水和させることを含む。剥離又は分離された膜は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、それに続くヌクレオチド配列分析及び/又はアミノ酸配列分析に供することができる。DNAを抽出して、リボソームDNAプライマーを用いたPCR増幅による法医学分析に供することができ、次いで、その生成物を制限断片長多型(RFLP)、DNAクローニング及び/又はDNA塩基配列決定法に供することができる。それを利用して、膜によって死滅又は不活性化されて、膜に含まれる、特定の微生物及び/又は感染体を同定することができる。
【0076】
微生物及び/又は感染体は、水などの液状媒体に分散させることができ、プロセスは、ポリマー組成物を液状媒体に添加することを含み得る。ポリマー組成物は、微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するのに十分な濃度で有効な時間添加することができる。
【0077】
ポリマー組成物の死滅又は阻害効果は、微生物及び/又は感染体と接触している間にポリマー組成物を乾燥又は脱水することによって、向上させることができる。すなわち、一実施形態においては、ポリマー組成物が接触した微生物及び/又は感染体は、乾燥若しくは脱水プロセスによって、又は乾燥若しくは脱水プロセス中に、又は乾燥若しくは脱水プロセス後に、その生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性が低減又は排除され得る。
【0078】
ポリマー組成物を基体に塗布して、膜を形成することができ、続いて微生物及び/又は感染体をポリマー組成物に接触させることができる。ポリマー組成物は、微生物及び/又は感染体が接触したときに、湿潤状態でも乾燥状態でもよい。次いで、膜並びに微生物及び/又は感染体を基体から除去することができる。膜を基体から剥離することによって、膜並びに微生物及び/又は感染体を除去することができる。膜並びに微生物及び/又は感染体は、水を含む組成物(例えば、せっけん又は洗浄剤と水を含む清浄化溶液)を膜並びに微生物及び/又は感染体に塗布し、次いで洗浄、こすり洗いなどの従来技術によって膜並びに微生物及び/又は感染体を基体から除去することによって、除去することができる。
【0079】
ポリマー組成物の死滅又は阻害効果は、ポリマー組成物と直接接触しないがその近くの領域ににじみ出ることがある。すなわち、一実施形態においては、ポリマー組成物が接触した微生物及び/又は感染体の近くの微生物及び/又は感染体は、その生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性が低減又は排除され得る。
【0080】
本発明の方法は、基体をポリマーと接触させて、又は基体をポリマーを用いてはぎ取って、ポリマー組成物を乾燥させて高分子膜を形成すること、微生物及び/又は感染体を乾燥高分子膜内に捕捉すること、及び乾燥高分子膜を基体から分離させることを含み得る。微生物及び/又は感染体は、膜を用いて基体から分離させることができる。後に残る表面は、微生物及び/又は感染体がなく、無菌にすることができる。分離された高分子膜をPCR/RFLP分析に供して、微生物及び/又は感染体を同定することができる。高分子膜を再水和し、高分子膜並びに現時点で不活性化された微生物及び/又は感染体を、伝統的な方法、例えば、せっけんと水を用いて、除去することができる。
【0081】
以下の実施例1から6は、本発明の方法で使用することができるポリマー組成物の調製例を提供するものである。これらの実施例において、さらに文章を通して、別段の記載がない限り、部及び百分率はすべて重量基準である。
【実施例1】
【0082】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水677.2グラム、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)8.0グラム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)8.0グラム、10N水酸化ナトリウム7.9グラム、Byk−028(ポリグリコール中の破泡性ポリシロキサンと疎水性固体の混合物であると同定されるBYK Chemieの製品)4.0グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 123.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。次いで、エタノール49.0グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420(チキソトロピー流動挙動及び流れ止め性を付与するのに有用であると記載されている改変尿素溶液であると同定されるChemieの製品)12.0グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345(湿潤剤として有用であると記載されているポリエーテル改変シロキサンであると同定されるChemieの製品)4.0グラム、Dowicil 75 1.0グラム、青色食品着色料2.0グラム、及び蒸留水83.0グラムを添加する。生成するポリマー組成物は、7.22のpHを有する。このポリマー組成物をポリマー組成物水溶液と称することができる。
【実施例2】
【0083】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水677.2グラム、DTPA8.0グラム、SDS8.0グラム、10N水酸化ナトリウム7.9グラム、Byk−028 4.0グラム、及びByk−080A(疎水性固体及びポリシロキサンであると同定されるBYK Chemieの製品)4.0グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 123.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。次いで、エタノール49.0グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420 12.0グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345 4.0グラム、Dowicil 75 1.0グラム、青色食品着色料2.0グラム、及び蒸留水83.0グラムを添加する。生成するポリマー組成物は、6.81のpHを有する。このポリマー組成物をポリマー組成物水溶液と称することができる。
【実施例3】
【0084】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水1708.3グラム、DTPA8.5グラム、SDS8.5グラム、10N水酸化ナトリウム8.5グラム、Byk−028 4.2グラム、及びByk−080A 4.2グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 125.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。次いで、エタノール50.0グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420 12.5グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345 4.2グラム、Dowicil 75 1.3グラム、青色食品着色料2.1グラム、及び蒸留水83.3グラムを添加する。10N NaOH 1.3グラムを添加する。生成するポリマー組成物は、7.96のpHを有する。このポリマー組成物をポリマー組成物水溶液と称することができる。
【実施例4】
【0085】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水645.5グラム、DTPA8.0グラム、Stanfax 1025(ラウリル硫酸ナトリウムであると同定されるPara Chem,Chemidex LLCの製品)28.5グラム、46%水酸化ナトリウム4.0グラム、Byk−028 4.0グラム、及びByk−080A 4.0グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 123.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。エタノールSDA 3C 190PF(変性アルコール)46.5グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420 12.5グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345 4.0グラム、(Spectra Color Corp.によって供給される)Spectrazurine Blue FGND−C LIQ 0.05グラム、及び蒸留水39.0グラムを添加する。Dowicil 75 1.5グラムと蒸留水63.0グラムのプレミックスを添加する。生成するポリマー組成物200.0グラムを蒸留水800.0グラムに添加して、ポリマー組成物を得る。このポリマー組成物を20重量%に希釈する。生成するポリマー組成物は、6.13のpHを有する。希釈されたポリマー組成物は、20重量%に希釈されたと言うことができる。
【実施例5】
【0086】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水645.5グラム、DTPA8.0グラム、(Stanfax 1025)28.5グラム、46%水酸化ナトリウム4.0グラム、Byk−028 4.0グラム、及びByk−080A 4.0グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 123.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。エタノールSDA 3C 190PF 46.5グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420 12.5グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345 4.0グラム、Spectrazurine Blue FGND−C LIQ 0.05グラム、及び蒸留水39.0グラムを添加する。Dowicil 75 1.5グラムと蒸留水63.0グラムのプレミックスを添加する。生成するポリマー組成物20.0グラムを蒸留水980グラムに添加して、ポリマー組成物を得る。このポリマー組成物を2重量%に希釈する。生成するポリマー組成物は、5.89のpHを有する。このポリマー組成物は、2重量%に希釈されたと言うことができる。
【実施例6】
【0087】
熱電対、凝縮器及び撹拌モーターを備えたジャケット付き1リットル反応器に、蒸留水645.5グラム、DTPA8.0グラム、Stanfax 1025 28.5グラム、46%水酸化ナトリウム4.0グラム、Byk−028 4.0グラム、及びByk−080A 4.0グラムを充填する。生成した組成物水溶液を塩が溶解するまで撹拌し、続いてCelvol 523 123.0グラムを添加する。混合物を85℃に加熱して30分間保持し、次いで70℃に冷却する。エタノールSDA 3C 190PF 46.5グラムを混合物に添加しながら、混合物を45℃に冷却する。BYK−420 12.5グラムを混合物に撹拌しながら1時間滴下する。BYK−345 4.0グラム、Spectrazurine Blue FGND−C LIQ 0.05グラム、及び蒸留水39.0グラムを添加する。Dowicil 75 1.5グラムと蒸留水63.0グラムのプレミックスを添加する。生成するポリマー組成物2.0グラムを蒸留水998グラムに添加して、ポリマー組成物を得る。このポリマー組成物を0.2重量%に希釈する。生成するポリマー組成物は、4.87のpHを有する。
【実施例7】
【0088】
実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、以下の希釈ポリマー組成物を調製する:50%、25%、10%、0%。希釈ポリマー組成物250μlは、種々の細菌(約10)の溶液10μlと混合され、又は種々の細菌(約10)の溶液10μl上に覆われる。生成する混合物の試料を覆い、室温で12又は20時間密封する。生成する混合物の別の試料を無菌フード中で室温で12又は20時間開放したままにする。Luria培地(LB)又はブイヨン(NB)1mlを各試料に添加する。試料を振とうせずに37℃で24又は37時間インキュベートする。各試料の一部200μl3つを96ウェルプレートに移す。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって595nmで測定する。
【0089】
LB又はNB 1mlをポリマー組成物と細菌溶液(約400μl)の残りの混合物に添加する。混合物を37℃で27又は23時間インキュベートする(総インキュベーション時間51又は60時間)。各試料の一部200μl3つを96ウェルプレートに移す。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって595nmで測定する。
【0090】
E.コリ(coli)、S.エピデルミディス(epidermidis)、S.アウレウス(aureus)(MRSA)及びB.セパシア(cepacia)の各々の試料を試験する。ポリマー組成物がすり込まれ、乾燥され、若しくは乾燥されなくても、又は単に覆われ、乾燥されても、若しくは乾燥されなくても、又は密封され、乾燥されなくても、各試料は阻害される。≧25%濃度の実施例3のポリマー組成物に12時間曝露することは、試験する種の各々の増殖を完全に阻止するのに十分である。
【実施例8】
【0091】
下表に示す細菌種の最小阻止濃度(MIC)を実施例3のポリマー組成物を用いて測定する。MICは、分光光度的に測定可能な細菌増殖を阻止する抗生物質の最小濃度である。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、25%ポリマー組成物を調製する。ブロスを希釈剤として用いた一連の2倍希釈によって、以下の希釈ポリマー組成物を得る:12.5%、6.25%、3.1%、1.6%、0.8%、0.4%、0.2%及び0%。これらの各々を用いて、実施例3のポリマー組成物を希釈して、所望の希釈ポリマー組成物を規定する。例えば、6.25%に希釈されたポリマー組成物は、実施例3の生成物の6.25%を含む。この実施例において、さらに文章を通して、別段の記載がない限り、濃度はすべて体積基準である。表に示す細菌の接種懸濁液は、細菌(約2×10)の終夜培養物溶液20μlを新しいブロス培地1mlに接種することによって得られる。試験試料は、細菌接種懸濁液100μlを希釈ポリマー組成物100μlと混合することによって調製される。結果は以下のとおりである。
【0092】
【表1】

【0093】
実施例8の上記結果は、実施例3のポリマー組成物のMICが試験細菌種に依存することを示している。それは以下のとおりである。
【0094】
【表2】

【実施例9】
【0095】
バイオフィルムを生成するS.エピデルミディス(epidermidis)及びP.エルジノーサ(aeruginosa)に対するMICを測定する。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、50%ポリマー組成物を調製する。ブロスを希釈剤として用いた一連の2倍希釈によって、以下の希釈ポリマー組成物を得る:25%、12.5%、6.25%、3.1%、1.6%、0.8%、0.4%、0.2%及び0%。細菌接種懸濁液は、細菌(約2×10)の終夜培養物溶液20μlを新しいブロス培地1mlに接種することによって得られる。試験試料は、細菌接種懸濁液500μlを希釈ポリマー組成物500μlと混合することによって調製される。試料を37℃で24時間静置インキュベートする。結果を以下に示す。
【0096】
【表3】

【実施例10】
【0097】
実施例3のポリマー組成物を使用して、個々の細菌種の前もって形成されたバイオフィルムを死滅させ、又は阻害する。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、以下の希釈ポリマー組成物を調製する:50%、25%、10%、0%。前もって形成されるバイオフィルムは、ウェル中の増殖培地1mlに終夜細菌増殖物10μl(約10)を接種し、混合物を37℃で24時間インキュベートすることによって調製される。バイオフィルムは、ウェルの底部及び側面に形成される。増殖培地を除去する。S.エピデルミディス(epidermidis)バイオフィルム又はP.エルジノーサ(aeruginosa)バイオフィルムを含むウェルに希釈ポリマー組成物0.2ml又は0.3mlをピペットで取り、乾燥するまで無菌フード中で室温で維持する。その結果、ウェルの各々において高分子膜が形成される。膜の半分を剥離し、無菌の空のウェルに移し、残りの半分をその場に残す。新しい増殖培地1mlを各ウェルに添加し、37℃で数時間又は24時間インキュベートする。各ウェルからの20μlをブロス1mlと一緒に新しいウェルにピペットで移し、37℃で48時間インキュベートする。前もって形成されたバイオフィルムが希釈ポリマー組成物によって完全に死滅していない場合、バイオフィルムがウェル中に形成される。バイオフィルムをクリスタルバイオレットで染色する。バイオフィルムの発生に関してウェルを視覚的に検査し、Kodak Image Analyzerによって写真を撮る。結果を以下に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
上表において、「Yes」は全試料におけるバイオフィルムの成長を表し、「No」は全試料において成長しないことを表し、「No(N/N)」は、N個の試料のうちN個が成長しないことを表す。細菌/ポリマーという用語は、細菌と希釈ポリマー組成物の混合物を指す。「表面」という用語は、乾燥ゲルを剥離した後のウェル表面を指す。「膜」という用語は、剥離された膜を指す。P.エルジノーサ(aeruginosa)0.3mlを0.2mlの代わりに使用する。というのは、そのバイオフィルムは、表面で流動し、気液界面に付着する傾向があるからである。バイオフィルム形成を阻止するポリマー組成物のMIC、及び前もって形成されたバイオフィルムを乾燥によって死滅させる一連の濃度のポリマー組成物の能力、すなわち、バイオフィルムを完全に死滅させる最小試験濃度(MTC)を下表に示す。
【0100】
【表5】

【実施例11】
【0101】
乾燥によって個々の細菌種又は胞子を死滅させる実施例3のポリマー組成物の能力を測定する。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、以下の希釈ポリマー組成物を調製する:50%、25%、10%、0%。細菌(約10)の終夜培養液試料10μlを希釈ポリマー組成物の各々0.2mlで覆い、無菌フード中で室温で12〜24時間放置する。その結果、高分子膜が形成される。膜の半分を剥離し、空の無菌ウェルに移し、残りの半分をその場に残す。ブロス1mlを各ウェルに添加する。37℃で1〜2時間インキュベーション後、混合物20μlを各ウェルからブロス1mlを含む新しいウェルにピペットで移す。全試料を37℃で約48時間インキュベートする。各試料の200μl一定分量3つを96ウェルプレートに移す。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって595nmで測定する。結果は以下のとおりである。
【0102】
【表6】

【0103】
上表において、「No」は全試料において成長しないことを表し、「No(N/N)」は、N個の試料のうちN個が成長しないことを表す。細菌/ポリマーという用語は、細菌と希釈ポリマー組成物の混合物を指す。「表面」という用語は、乾燥ゲルを剥離した後のウェル表面を指す。「膜」という用語は、ウェル中の剥離された膜を指す。
【実施例12】
【0104】
実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、以下の希釈ポリマー組成物を調製する:50%、25%、10%、0%。各希釈ポリマー組成物について、B.サブチリス(subtilis)胞子(約10)を含有する溶液10μlを希釈ポリマー組成物0.2mlで覆い、無菌フード中で室温で25時間放置する。膜の半分を剥離し、空の無菌ウェルに移し、残りの半分をその場に維持する。ブロス1mlを各ウェルに添加し、37℃で24時間インキュベートする。37℃で1時間インキュベーション後、混合物20μlを各ウェルからブロス1mlを含む新しいウェルにピペットで移す。全試料を37℃で約48時間インキュベートする。各試料の200μl一定分量3つを96ウェルプレートに移す。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって595nmで測定する。結果は以下のとおりである。
【0105】
【表7】

【0106】
上表において、「Yes」は全試料における成長を表し、「No」は全試料において成長しないことを表し、「No(N/N)」は、N個の試料のうちN個が成長しないことを表す。細菌/ポリマーという用語は、細菌と指定希釈ポリマー組成物の混合物を指す。「表面」という用語は、乾燥ゲルを剥離した後のウェル表面を指す。「膜」という用語は、ウェル中の剥離された膜を指す。
【0107】
実施例11及び12の結果によれば、乾燥によって、プランクトン細菌及び胞子を完全に死滅させる試験種の最小試験濃度(MTC)は、以下のとおりである。
【0108】
【表8】

【実施例13】
【0109】
個々の細菌種の最小殺菌濃度(MBC)を測定する。MBCは、細菌を完全に死滅させる材料の最小濃度である。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、25%又は50%ポリマー組成物を調製する。ブロスを希釈剤として用いた一連の2倍希釈によって、以下の希釈ポリマー組成物を得る:25%、12.5%、6.25%、3.1%、1.6%、0.8%、0.4%、0.2%、0.1%及び0%。細菌接種懸濁液は、細菌(約2×10)の終夜培養物溶液20μlを新しいブロス培地1mlに接種することによって得られる。試験試料は、細菌接種懸濁液100μlを希釈ポリマー組成物100μlと混合することによって調製される。試料を37℃で24時間静置インキュベートする。細菌増殖の見られない試料の場合、ポリマー及び細菌混合物を寒天板に蒔く。37℃で24時間及び48時間インキュベーション後、細菌増殖を調べる。結果を以下の表に示す。
【0110】
【表9】

【0111】
上記のことから、実施例3のポリマー組成物のMBCは以下のとおりである。
【0112】
【表10】

【実施例14】
【0113】
S.アウレウス(aureus)(MRSA)のMBCを測定する。実施例1のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、以下の希釈ポリマー組成物を調製する:10%、5%、1%、0.5%、0.1%及び0%。試験試料は、増殖培地1mlを希釈ポリマー組成物の各々0.2mlと混合することによって調製される。これらの試験試料に細菌(約10)10μlを24時間接種する。培地10μlをLBプレート上に筋状にこすりつけ、37℃で24時間インキュベートする。増殖を目視で測定する。結果は以下のとおりである。
【0114】
【表11】

【実施例15】
【0115】
実施例3のポリマー組成物の剥離膜の残留殺菌能力をある細菌種について測定する。実施例3のポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して調製し、以下の希釈ポリマー組成物と一緒に使用される:100%、50%、25%、10%及び0%。(100%試料は希釈されていない。)ポリマー組成物の各々の試料0.2mlをウェルに入れる。ポリマー組成物を無菌フード下でウェル中で室温で24時間維持する。ポリマー組成物は乾燥して膜層を形成する。膜層を剥離し、廃棄する。B.サブチリス(subtilis)胞子(約10)又はE.フェカーリス(faecalis)(約10又は10)を接種したブロス1mlをウェルに移し、37℃で48時間インキュベートする。各ウェルの試料200μl3つを96ウェルプレートに移す。吸光度を96ウェルプレートリーダーによって595nmで測定する。結果は以下のとおりである。
【0116】
【表12】

【実施例16】
【0117】
種固有のMBCにおける実施例3のポリマー組成物の殺菌効力を曝露時間の関数として測定する。
【0118】
約10個のS.アウレウス(aureus)(MRSA)、P.エルジノーサ(aeruginosa)及びE.コリ(coli)O157:H7を、12.5%に希釈された実施例3の組成物の非存在又は存在下で恒温器中で37℃で24時間静置インキュベートする。0時から開始して、試料0.1ml一定分量をコロニー計数平板培養(colony count plating)用に2時間ごとに12時間、さらに24時間目に取り出す。寒天板上のコロニー数を37℃で22〜26時間インキュベーション後に数え、36〜48時間後に再度調べる。12.5%に希釈された実施例3の組成物によって12時間及び24時間後に死滅した細菌(log減少/死滅割合)は以下のとおりである。
【0119】
【表13】

【実施例17】
【0120】
個々の真菌種の溶液のMICを測定する。酵母増殖培地(YM)にC.アルビカンス(albicans)の終夜増殖物の1:20希釈物を接種し、実施例1の以下の希釈ポリマー組成物の存在下で、1mlウェルに2つ組で等分し、37℃で24時間インキュベートする:10%、5%、2.5%、1.25%及び0%。これらの条件下で、C.アルビカンス(albicans)は、主にバイオフィルムとしてウェルの底部で増殖する。[4,4−ジメチルチアゾル−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)試薬を2時間添加し、培地を除去し、細胞を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化する。試料200μlを96ウェルプレートに等分し、分光光度プレートリーダーで読み取る。吸光度を495nmで測定する。C.アルビカンス(albicans)に対する実施例1の溶液のMICは2.5%と測定される。
【実施例18】
【0121】
ポリマー乾燥によって溶液状態の個々の真菌種を死滅させる実施例1の能力を測定する。終夜C.アルビカンス(albicans)増殖物10μlを1mlウェルの底部に配置し、実施例1の未希釈ポリマー組成物50μlで覆い、(2つ組で)終夜乾燥させる。乾燥剥離物を取り出し、新しいウェルに入れる。酵母増殖培地1mlを残ったウェル及び剥離物含有ウェルに添加する。ウェルを24時間インキュベートして、生存可能な残留酵母を増殖させる。MTT生存度アッセイによって評価して、どのウェルセットも増殖しない。実施例1のポリマー組成物は、乾燥によって、剥離物内に捕捉されたすべてのC.アルビカンス(albicans)生物体を死滅させ、無菌表面が残る。
【実施例19】
【0122】
実施例1のポリマー組成物で形成される剥離膜の残留殺菌能力を真菌について測定する。実施例1のポリマー組成物、及び無菌ナノ純水を用いた以下のその希釈物を使用する:50%、25%、12%、6%及び0%。ポリマー組成物の各々0.2mlをウェルに入れ、乾燥するまで無菌フード中で室温で24時間維持する。生成する膜を剥離し、廃棄する。C.アルビカンス(albicans)の1:20終夜培養物を接種した酵母増殖培地2mlを、ポリマーで前処理した各ウェルに添加し、18時間インキュベートする。増殖を定量化するために、MTT試薬を各ウェルに添加し、その中で3時間維持する。細胞を100%DMSOに可溶化する。試料を分光光度プレートリーダー上に配置する。吸光度を495nmで測定する。MTTによって測定されるC.アルビカンス(albicans)の生存度は以下のとおりである。
【0123】
【表14】

【実施例20】
【0124】
ポリマーによって不活性化された細菌を以下のように同定する。細菌(ON増殖10μl(約10))をウェルに入れ、実施例3のポリマー組成物で覆い、又は覆わず、次いで終夜乾燥させる。剥離物を除去し、無菌管に入れる。或いは、剥離物をその場で再水和する。どちらの場合でも、十分な水を添加して、約25%のゲルコンシステンシーを得る。流体をフェノール−クロロホルムで抽出する。DNAエタノールを沈殿させ、次いで水20μlに再懸濁させる。この試料0.5μlを、汎用rDNAプライマーを用いたPCR反応におけるテンプレートとして使用する。PCR完了後、1.5Kb産物5μlを10μl Hal制限酵素消化反応で消化する。消化物のサイズDNAパターンを1.5%アガロース電気泳動によって分析し、DNAバンドを臭化エチジウムによって検出する。対照(未処理)と処理細菌試料から得られるRFLPパターンを撮影し、比較して同定する。ポリマーによって不活性化された試料で見られる制限酵素断片パターンは、乾燥未処理のままにしておいた不活性化されない生存可能な細菌の制限パターンと同一である。制限酵素断片パターンは、各細菌特有であり、視覚的に識別することができる。これを図1に示す。
【0125】
種々の細菌の処理に関する実施例3のポリマー組成物の結果を以下の表に要約する。
【0126】
【表15】

【実施例21】
【0127】
S.エピデルミディス(epidermidis)に対するMICを、実施例3から改変される新しいポリマー組成物を用いて測定する。新しいポリマー組成物においては、等量のHDTMA(HDTMA=SDS)、又はHDTMAの1/10(HDTMA=SDSの1/10)をSDSの代わりに界面活性剤として使用する。改変ポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、12.5%ポリマー組成物を調製する。ブロスを希釈剤として用いた一連の2倍希釈によって、以下の希釈ポリマー組成物を得る:6.25%、3.1%、1.6%、0.8%、0.4%、0.2%、0.1%及び0%。細菌接種懸濁液は、細菌(約2×10)の終夜培養物溶液20μlを新しいブロス培地1mlに接種することによって得られる。試験試料は、細菌接種懸濁液100μlを希釈ポリマー組成物100μlと混合することによって調製される。試料を37℃で24時間静置インキュベートする。結果を以下に示す。
【0128】
【表16】

【0129】
S.エピデルミディス(epidermidis)に対する以下の最小阻止濃度(MIC)を測定する。
【0130】
【表17】

【実施例22】
【0131】
実施例21に記載のポリマー組成物について、個々の細菌種の最小殺菌濃度(MBC)を測定する。ポリマー組成物を無菌ナノ純水で希釈して、12.5%ポリマー組成物を調製する。ブロスを希釈剤として用いた一連の2倍希釈によって、以下の希釈ポリマー組成物を得る:6.2%、3.1%、1.6%、0.8%、0.4%、0.2%、0.1%及び0%。細菌接種懸濁液は、細菌(約2×10)の終夜培養物溶液20μlを新しいブロス培地1mlに接種することによって得られる。試験試料は、細菌接種懸濁液100μlを希釈ポリマー組成物100μlと混合することによって調製される。試料を37℃で24時間静置インキュベートする。細菌増殖の見られない試料の場合、ポリマー及び細菌混合物を寒天板に蒔く。37℃で24時間及び48時間インキュベーション後、細菌増殖を調べる。結果を以下の表に示す。
【0132】
【表18】

【0133】
上記のことから、S.エピデルミディス(epidermidis)に対する実施例21に記載のポリマー組成物のMBCは、以下のとおりである。
【0134】
【表19】

【実施例23】
【0135】
実施例1の毒性は、培養ヒトHeLa細胞に対するグルコン酸クロルヘキシジン(一般に使用される経口防腐剤)と比較されて決定される。HeLa細胞を96ウェルプレート組織培養プレートにサブコンフルエントの状態で蒔き、付着後、指定最終濃度の実施例1のポリマー又はグルコン酸クロルヘキシジンで3つ組で処理する。培養48時間後、MTT試薬を2時間添加して、生存度を示す色を生じさせる。1μM PAO(酸化フェニルヒ素)を正の(有効殺菌)対照として使用する。HeLa細胞に対する実施例1の致死量50(LD50)は約0.025%であり、グルコン酸クロルヘキシジンでは約0.0004%であることが判明する。さらに、実施例1のポリマーの最小阻止濃度は約10−3%であり、グルコン酸クロルヘキシジンでは6×10−5%であることが判明する。これは、実施例1のポリマーが培養HeLa細胞に対してグルコン酸クロルヘキシジンの約1/100の毒性であることを意味する。これを図2及び3に示す。これらの結果は、実施例1のポリマー組成物(図2)では、0.01%<LD50<0.05%及びMIC=1×10−3%であることを示す。グルコン酸クロルヘキシジン(図3)では、1.2×10−4%<LD50<6×10−4%、MIC=6×10−5%。これは、実施例1のポリマー組成物が、グルコン酸クロルヘキシジンの約1/100の毒性であることを示している。
【実施例24】
【0136】
ウイルス感染価に対するポリマーの阻止効果を測定する。実施例4のポリマー組成物100μlと、10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM−FCS)200μlとを混合し、ウェルに入れる。DMEM−FCSを用いてその3倍希釈物を調製し、平行な8列にして96ウェル組織培養プレートに添加する:20.0%、13.32%、8.87%、5.91%、3.93%、2.62%、1.75%、1.16%、0.77%、0.52%、0.34%及び(ポリマー組成物を含まない)0%。ポリマー組成物を無菌フード下でウェル中で室温で24時間維持する。ポリマー組成物は乾燥して膜層を形成する。膜層を剥離し、無菌ナノ純水100μlで再水和させる。
【0137】
ポックスウイルス(約10)100μlとLB 200μlをウェルに入れ、混合する。DMEM−FCSを用いてその3倍希釈物を調製し、平行な12列にして96ウェル組織培養プレートに添加する:10、6.66、4.44、2.95、1.97、1.31、8.72及び(ウイルスを含まない)0。
【0138】
HeLa細胞をあらかじめ蒔いた(約10/ウェル)、100μl(DMEM−FCS)と新しい組織培養物を含むウェル中に、希釈ポリマー組成物50μlをウイルス濃縮物50μlと混合して、試験試料を調製する。
【0139】
プレートを1〜4日間インキュベートし、培地をメチセルロース(methycellulose)含有DMEM−FCS100μlで置換し、インキュベーションを更に2〜6日間続ける。ウイルスの病理学的効果を縦横に視覚的に評価して、対照に比べたポリマーの防御効果倍率(fold protective effect)を測定する。
【0140】
ウイルスが細胞中で複製するにつれ、ウイルスは、膜が接触している近傍の細胞に広がる。感染細胞は死滅し、生細胞によって包囲されたプラーク形成単位(PFU)が生成する。生細胞中のプラークの形成は、ウイルスが生存し、細胞を死滅させていることを示している。別のウイルスは、最高1週間経過後にPFUを生じる。1プラーク形成単位は、ウイルスが病原性であることをポリマー組成物濃縮物が妨げなかったことを示している。
【実施例25】
【0141】
ポリマーの色又は蛍光の変化を乾燥度の指標として使用する可能性を判定する。(McCormick青色食品着色料を含む)実施例1のポリマー組成物、又は(Spectrazurine blue FGND−LIQを含む)実施例4のポリマー組成物をガラス表面で乾燥させる。徹底して乾燥させると、McCormick青色食品着色料を含むゲルは、UV光下で明赤色の蛍光を発する。ポリマー組成物が十分に乾燥したかどうかを確認するこの方法は、乾燥が殺菌効力に影響するときに重要である。
【実施例26】
【0142】
固体材料(例えば、半固体)アガロースから浸出するポリマーの阻止効果を測定する。10%、5%、1%又は0%の最終濃度に希釈された実施例1のポリマー組成物を含む1%アガロース1mlを硬化させる。次いで、これらの材料のセグメントを、約10個のS.エピデルミディス(epidermidis)細菌を接種したLBプレート上に配置し、条件が細胞生存率及び複製に資する場合に菌叢が形成するように、プレートを37℃で終夜インキュベートする。アガロース周囲の環状のクリアランスは、ポリマーがアガロースから浸出し、周囲の領域に細菌が集合するのを防御したことを示している。これを図4に示す。図4は、5%及び10%のポリマー組成物が半固体支持体(1%アガロース)から浸出し、S.表皮(epidermis)細菌の増殖から周囲の領域を防御することを示している。
【実施例27】
【0143】
固体材料から浸出する実施例1のポリマーの阻止効果を測定する。ある程度浄化されたSocorroの汚水から増殖された約10個の未知の細菌(多種多様な種の可能性がある。)を接種したLBプレートの表面に、一連の約3mm×3mmセルロースろ紙片(Whatmann)を配置する。実施例1の5%ポリマー希釈物(水溶液)1μl、又は水のみを、フィルター上に点在させる。条件が細胞生存率及び複製に資する場合に菌叢が形成するように、プレートを37℃で終夜インキュベートする。ろ紙周囲の環状のクリアランスは、ポリマーがろ紙から浸出し、多種多様な未知の環境細菌が周囲の領域に集合するのを防御したことを示している。ポリマーが点在した領域における細菌細胞増殖の欠如は、ポリマー1μlが接種表面に接触したところでポリマーが細菌の増殖を防止することを直接示すだけでなく、防御効果がにじみ出て、ポリマー流体1ulで覆われた領域よりも大きいことを直接示している。この実施例は、(プレートがインキュベーション期間を通して湿潤状態であるので)細菌増殖を効果的に阻止するのに実施例1のポリマーを乾燥させる必要がないことも示している。結果を図5に示す。5%のポリマー組成物は、固体支持体から浸出し、未知の汚水細菌からの増殖に対して周囲の領域を防御する。
【実施例28】
【0144】
B.サブチリス(subtilis)胞子の発芽に伝導性である湿潤表面に広がる実施例1のポリマー組成物の阻止効果を測定する。実施例1のポリマー50μlを、10個のB.サブチリス(subtilis)胞子を接種したLB上に点在させる。プレートを(覆い、湿潤状態で)37℃で終夜インキュベートする。条件が胞子発芽及び細菌複製を促す場合、菌叢が形成される。ポリマーで直接覆われた領域の直下だけでなくその周囲でも見られる大環状のクリアランスは、ポリマーがポリマー自体の下の表面を防御し、防御作用がポリマーからにじみ出て、B.サブチリス(subtilis)細菌が周囲の領域に集合するのをさらに防御したことを示している。これを図6に示す。この実施例は、プレートがインキュベーション期間を通して湿潤状態であるので、胞子発芽とそれに続く細菌増殖を阻止するのに実施例1のポリマー組成物を乾燥させる必要がないことを示している。図6は、細菌胞子の死滅、及び発芽したB.サブチリス(subtilis)細菌の防止を示す。領域Aはポリマーで覆われている。領域Bはポリマーで覆われていない。領域A及びBの少量(約5μl)の試料を栄養培地25ml又は150ml中に置いてポリマーを希釈し、37℃で48時間インキュベートして細菌増殖させる。増殖は認められない。検証するために、(48時間インキュベーション後)培地の各々10μlをLBプレート上に筋状にこすりつける。生存可能な胞子又はプランクトン細菌がクリアランス領域に残留している場合、コロニーが形成されるはずである。コロニーは形成されず、領域A及びBが無菌であることを示している。ポリマーに曝されなかった対照の細胞は、コロニーの太い線を生じる。
【0145】
本発明を種々の実施形態に関連して説明したが、本明細書を読むことによって、その種々の改変が当業者により明白になり得ることを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内であり得るかかる改変のすべてを含むことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物及び/又は感染体を有効量のポリマー組成物と接触させて、前記微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することを含む方法であって、前記ポリマー組成物が水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含む、方法。
【請求項2】
前記微生物が、細菌、リケッチア、原生動物、真菌、植物、動物又はその2種類以上の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物が、細菌、真菌、酵母、酵母バイオフィルム、糸状菌、原生生物又はその2種類以上の混合物を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が1種類以上の胞子を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記感染体が病原体を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記感染体が、ウイルス、プリオン、リケッチア又はその2種類以上の混合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが、ビニルアルコール及び/又は(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーが、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール共重合体又はその混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、式−CH−CH(OCOR)−で表される繰り返し単位を更に含み、式中、Rはアルキル基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーが、酢酸ビニルから誘導される繰り返し単位を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーが、ビニルアルコール及び/又は(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位と、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アリルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキセチルセルロース又はその2種類以上の混合物のうち1つ以上から誘導される繰り返し単位とを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーがポリビニルアルコールを含み、前記ポリマーが約10,000から約1,000,000の範囲、好ましくは約10,000から約150,000g/molの範囲の分子量、及び約70%から約100%の範囲、好ましくは約70%から約90%の範囲の加水分解レベルを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記キレート化剤が、炭化水素結合と2個以上の官能基とを含む有機化合物を含み、前記官能基が=O、−OR、−NR、−NO、=NR、=NOR又は=NRORの1個以上を含み、式中、RはH又はアルキルであり、Rはアルキレンである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キレート化剤が、炭化水素結合と2個以上の官能基とを含む有機化合物を含み、前記官能基が1個以上のリン酸基及び/又はホスホン酸基を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記キレート化剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、プルシアンブルー、クエン酸、ペプチド、アミノ酸、及びアミノポリカルボン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、オルガノホスホナート、ビスホスホナート、無機ポリホスファート、上記のいずれかの塩、又は上記の2種類以上の混合物を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記界面活性剤が、1種類以上のポリシロキサン、アルカノールアミン、アルキルアリールスルホナート、アミンオキシド、ポリ(オキシアルキレン)化合物、アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体、カルボキシル化アルコールエトキシラート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化されたアミン及びアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化された脂肪酸エステル及び脂肪油、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、グリコールエステル、ソルビタンエステル、イミダゾリン誘導体、レシチン及び誘導体、リグニン及び誘導体、モノグリセリド及び誘導体、オレフィンスルホナート、リン酸エステル及び誘導体、プロポキシル化及びエトキシル化された脂肪酸若しくはアルコール若しくはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステル及び誘導体、スルファート若しくはアルコール若しくはエトキシル化アルコール若しくは脂肪酸エステル、ドデシル及び/又はトリデシルベンゼン若しくは縮合ナフタレン若しくは石油のスルファート若しくはスルホナート、スルホサクシナート及び誘導体、トリデシル若しくはドデシルベンゼンスルホン酸、又はその2種類以上の混合物を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記界面活性剤が、セントリモニウム陽イオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム陽イオン又はその混合物を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又はその2種類以上の混合物を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー組成物が、1種類以上の架橋剤、せっけん、洗浄剤、チキソトロピー添加剤、擬塑性添加剤、レオロジー調節剤、流れ止め剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、有機溶媒、可塑剤、粘度安定剤、殺生物剤、殺ウイルス剤、殺真菌剤、化学兵器剤中和剤、湿潤剤、又はその2種類以上の混合物を更に含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー組成物が、水と、ポリビニルアルコールと、ジエチレントリアミン五酢酸及び/又はそのナトリウム塩と、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメトリルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又は塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの1種類以上とを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー組成物が、前記微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝及び/又は増殖を低減又は排除するための有効量の添加殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤を含まないことを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー組成物が前記微生物及び/又は感染体に塗布され、乾燥される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記微生物及び/又は感染体が基体上に存在し、前記プロセスが、前記ポリマー組成物を前記微生物及び/又は感染体と接触した前記基体に塗布すること、及び前記ポリマー組成物を乾燥させて膜を形成することを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記膜が前記基体から除去される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記膜が前記基体から剥離される、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
水を含む組成物が前記膜に塗布され、前記膜が前記基体から除去される、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記膜が、水を含む清浄化組成物を使用して前記基体から除去される、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記膜が液体中に分散され、分析される、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記膜が、ポリメラーゼ連鎖反応分析、制限酵素分析、クローニング及び/又はヌクレオチド配列分析、及び/又はアミノ酸配列分析を使用して分析される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記微生物及び/又は感染体が液状媒体中にあり、前記プロセスが、前記ポリマー組成物を前記液状媒体に添加することを含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリマー組成物が基体に塗布され、続いて前記微生物及び/又は感染体が前記ポリマー組成物に接触する、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー組成物が、前記微生物及び/又は感染体によって接触される前に、前記基体上で乾燥し、膜を形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマー組成物が乾燥して膜を形成し、前記微生物及び/又は感染体が、前記微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するのに有効な時間、前記膜と接触する、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記膜が前記基体から剥離される、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記膜が、水を含む組成物を使用して前記基体から除去される、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記微生物が、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、エシェリキア コリ(Escherichia coli)O157:H7、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)バイオフィルム、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)MRSA、ブルクホルデリア セパシア(Burkholderia cepacia)、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)、エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェカーリス(Enterococcus faecalis)−VRE、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルム、ストレプトコッカス ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、アシネトバクター バウマニ(Acinetobacter baumannii)、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)又はカンジダ アルビカンス(Candida albicans)バイオフィルムの1種類以上を含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマー組成物によって接触された前記微生物及び/又は感染体の近くの微生物及び/又は感染体が、その生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除される、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
微生物及び/又は感染体を有効量のポリマー組成物と接触させて、前記微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除することを含む方法であって、前記ポリマー組成物が水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含み、前記ポリマー組成物が、前記微生物及び/又は感染体の生殖能、代謝、増殖及び/又は病原性を低減又は排除するための有効量の添加殺生物剤、殺ウイルス剤及び/又は殺真菌剤を含まないことを特徴とする、方法。
【請求項39】
水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含むポリマー組成物と基体を接触させること、前記ポリマー組成物を乾燥させて、前記基体に付着した高分子膜を形成すること、前記高分子膜を前記基体から分離させること、バイオフィルムを前記基体上に形成すること、及び前記バイオフィルムを前記基体から分離させることを含む、方法。
【請求項40】
水、水溶性膜形成性ポリマー、キレート化剤及び界面活性剤を含むポリマー組成物と基体を接触させること、前記ポリマー組成物を乾燥させて、前記基体に付着した高分子膜を形成すること、バイオフィルムを前記高分子膜上に形成すること、及び前記バイオフィルムを前記高分子膜から分離させること、又は前記バイオフィルムと前記高分子膜を前記基体から分離させることを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−531168(P2010−531168A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513399(P2010−513399)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/067441
【国際公開番号】WO2008/157664
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506121560)セルラー・バイオエンジニアリング・インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】CELLULAR BIOENGINEERING, INC.
【Fターム(参考)】