説明

微生物捕捉用組成物及び微生物を捕捉する方法

本発明は、細菌細胞を非特異的に分離するための組成物、方法、装置、及びキットに関する。それら組成物は、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている固体支持体と、1)その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞と、又は2)ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体とを含む。それら方法、装置及びキットは、これらの組成物の少なくとも1種類を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、参考として本明細書に組み込まれる2007年12月31日に出願された米国仮出願シリアル第61/018011号に対する優先権を主張する。
【0002】
(政府の権利)
米国政府は、米国国防総省によって付与された協定第DAAD−13−03−C−0047号(プログラム第2640号)及びW81XWH−07−01−0354(プログラム第2750号)の条件の下、本発明に関するいくつかの権利を有することができる。
【背景技術】
【0003】
食品試料、臨床試料、環境試料及び実験試料を包含する様々な試料の中に、微生物が存在することを決定するための分析は、重要性が増大している。そのような分析は、微生物負荷の表示、及び/又は存在する微生物の同定を提供することができる。
【0004】
微生物の存在を定性的にかつ定量的に決定する最新技術には、典型的には、病原体のような特異的微生物を同定することが包含される。試料中の細菌のような特定の微生物の存在の検出の成功性は、試料中の細菌の濃度によって決まる。一般に、細菌試料は、培養されて、生存度が評価され、かつ試料中の細菌数を増大して、検出のための十分な濃度が確保される。培養工程はかなりの時間を必要とし、そのことによって、検出結果を得るのが遅れる。
【0005】
試料中の細菌を濃縮することによって、より短い培養工程を用いて、又は培養工程を用いなくても、検出を実施することができる。細菌株に特異的な抗体を用いることによって特異な細菌株を分離し、そうすることによって濃縮する方法が開発された。
【0006】
菌株非特異性である他の濃縮方法であって、存在微生物のより一般的な試料採集を提供すると思われる方法が提案されてきた。菌株混合物内の1種類以上の特異的菌株は、ひとたび分離されると直ちに、既知の検出方法(例えば、核酸増幅方法を包含するもの)を用いて、同定及び/又は定量が行われ得る。
【0007】
炭水化物とレクチンタンパク質との相互作用を用いた、微生物の非特異的分離が提案されている。細菌の表面に存在するレクチンは、ポリアクリルアミドに付着したある種の炭水化物に対する捕捉標的として提案された。微生物のための栄養素として役立つ物質であって、微生物を非特異的に捕捉するための配位子として用いられる物質もまた、提案されている。そのような栄養素配位子には、炭水化物、ビタミン、鉄キレート化合物及びシデロホア(sidorophores)が包含された。微生物をより容易にかつより迅速に分析するのを可能にする非菌株特異的なやり方で、微生物を濃縮するためのキトサン支持体も提案された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
微生物を分離するためのいくつかの方法が記述されてきたが、微生物を分離するための改善された材料及び方法への関心と、それら材料及び方法に対する必要性とは、存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
炭水化物を経由して固体支持体に付着したビオチン結合タンパク質の組み合わせは、細菌細胞を非特異的に結合するのに有効であることが、今回見出だされた。固体支持体上に炭水化物を有するが、ビオチン結合タンパク質を有さない組成物は、細菌細胞を非特異的に結合するのにはあまり有効でないことが見出だされた。更に、固体支持体上にビオチン結合タンパク質を含有するが、炭水化物を有さない組成物もまた、細菌細胞を非特異的に結合するのにはあまり有効でないことが見出だされた。いくつかの実施形態において、炭水化物を経由して固体支持体に付着したビオチン結合タンパク質は、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体の存在下では、細菌細胞を非特異的に結合するのに、なおさら効果的である。
【0010】
したがって、本発明は、細菌細胞を非特異的に結合するための新規組成物を提供する。
【0011】
1つの実施形態において、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている固体支持体と、1)その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞、又は2)ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物が提供される。
【0012】
別の実施形態では、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、
その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞と、を含む、組成物が提供される。
【0013】
別の実施形態では、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている固体支持体と、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物が提供される。
【0014】
別の態様では、細菌細胞を分離する方法であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体を提供する工程であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体を提供する工程と、
複数の細菌細胞を有する疑いのある試料を提供する工程と、
その炭水化物とそのビオチン結合タンパク質とのその組み合わせを有するその表面を持つその固体支持体を、その試料と接触させる工程であって、その試料由来の複数の細菌細胞の少なくとも一部分が、その固体支持体のその表面に非特異的に結合される、固体支持体を試料に接触させる工程と、
その試料由来のその複数の細菌細胞のその少なくとも一部分が、その固体支持体のその表面に非特異的に結合された後、その固体支持体を、その試料の残部から分離する工程と、を含む、方法が提供される。
【0015】
別の態様では、細菌細胞を検出するための装置であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、
その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞と、を含む組成物と、
それらの細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置が提供される。
【0016】
別の態様では、細菌細胞を検出するための装置であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物と、
それらの細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置が提供される。
【0017】
別の態様では、キットであって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物が提供される。
【0018】
定義
用語「ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体」は、グリコシド結合によって糖質に接合されたステロイド又はトリテルペンを指し、結果として得られる材料は、両親媒性(即ち、界面活性剤特性)を有し、その材料は、親水性と親油性との両方である。
【0019】
用語「ビオチン結合タンパク質」は、高い親和性とビオチンを結合するための選択性とを有するタンパク質を指す。本明細書で用いられるとき、「ビオチン結合タンパク質」は、結合ビオチンを包含しない。
【0020】
用語「磁性粒子」は、強磁性粒子、常磁性粒子若しくは超常磁性粒子を含有する粒子、粒子集合体、又はビーズを意味し、ポリマービーズ中におけるそれら粒子の分散系を包含する。
【0021】
本明細書で用いられるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互いに交換できるように用いられる。
【0022】
用語「含む(comprises)」及びこの変形は、説明及び請求項において、これらの用語が現れる箇所で制限する意味を持たない。
【0023】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示するそれぞれの実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより詳細に例示する。以下の説明の全体にわたるいくつかの箇所において、複数の実施例の一覧表を通して、ガイダンスが提供されており、それら実施例は、様々な組み合わせで用いられ得る。それぞれの事例において、列挙された一覧表は、代表的な群としてのみ役立ち、排他的な一覧表と解釈されるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、細菌細胞を非特異的に結合するための新規組成物を提供する。細菌細胞を「非特異的に結合する」は、結合することが、いずれのタイプの細菌細胞にも特異的でないことを意味する。したがって、試料中の全ての細菌は、例えば、細菌の1つの菌株を標的にするのではなく、その試料中の他の構成成分から分離され得る。グラム陽性細菌とグラム陰性細菌との両方が、結合され得る。結果として得られた分離済み細菌には、次いで、細菌負荷検出のような既知の検出方法が適用され得る。
【0025】
1つの実施形態において、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞と、を含む、組成物が提供される。
【0026】
別の実施形態において、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物が提供される。ある実施形態に関し、本組成物は、その炭水化物とそのビオチン結合タンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞を更に含む。
【0027】
それら組成物は、上述の炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する固体支持体を、複数の細菌細胞の少なくとも1種類と、又はステロイド若しくはトリテルペンの両親媒性配糖体と組み合わせることによって調製され得る。炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する固体支持体は、下述のように提供され得る。固体支持体を細菌細胞及び/又は両親媒性配糖体と組み合わせる工程は、固体支持体を緩衝液に懸濁させるか又は浸漬し、次いで、緩衝液に懸濁されている細菌細胞、及び/又は緩衝液に溶解されている両親媒性配糖体を添加することによって都合よく実施することができる。両親媒性配糖体の緩衝溶液は、好ましくは両親媒性配糖体を約0.2〜約10重量/容量%(%w/v)、より好ましくは約0.5〜約5%w/v含有する。
【0028】
別の実施形態において、細菌細胞を分離する方法であって、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体を提供する工程であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている工程と、複数の細菌細胞を有する疑いのある試料を提供する工程と、その炭水化物とそのビオチン結合タンパク質とのその組み合わせを有するその表面を持つその固体支持体を、その試料と接触させる工程であって、その試料由来の複数の細菌細胞の少なくとも一部分が、その固体支持体のその表面に非特異的に結合される工程と、その試料由来の複数の細菌細胞の少なくとも一部分が、その固体支持体のその表面に非特異的に結合された後、その固体支持体を、その試料の残部から分離する工程と、を含む、方法が提供される。
【0029】
複数の細菌細胞を有する疑いのある試料は、既知の方法を用いて、様々な供給源から提供され得る。供給源の例には、生理的流体(例えば、血液、唾液、眼用レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿、汗、滲出液、尿、粘液)、粘膜組織(例えば、頬、歯肉、鼻粘膜、眼球膜、気管膜、気管支膜、胃腸膜、直腸膜、尿道膜、尿管膜、膣膜、頸管膜及び子宮粘膜)、泌乳、等が包含される。試料供給源の更なる例には、身体部位(例えば、創傷、皮膚、鼻咽頭腔、鼻孔、前部鼻前庭、頭皮、爪、外耳、中耳、口、直腸、又は他の部位)から得られるものが包含される。試料供給源の追加的例には、プロセス流、水、食品、土壌、植物、空気(例えば、汚染空気)、表面(例えば、食品調理用表面)、等が包含される。
【0030】
既知の試料採集法を用いて、供給源から試料を集めることができる。例えば、供給源から多量の液体試料を取り出すことができるか、又は綿棒若しくはワイプを用いて、生理学的表面若しくは環境表面から試料を採取することができる。様々な綿棒又は他の試料採集手段が市販されている。
【0031】
上記方法で用いられる試料は、例えば水溶液の場合、試料採集手段によってそのまま直接提供され得る。代替的に、試料は、例えば、水、生理食塩水、pH緩衝液、又は他のあらゆる溶液若しくは諸溶液の組み合わせであって、試料採集手段から試料を取り除くことができ、かつその試料を懸濁液にすることのできるものを用いて、試料採集手段からその試料を溶出するか、放出するか、又は洗浄することによって提供され得る。溶出用緩衝液の例は、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、又はポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロック共重合体)と組み合わせて用いることのできるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。他の抽出溶液は、試料採集部位から試料分析部位まで輸送する間、標本の安定性を保持する働きをすることができる。これらのタイプの抽出溶液の例には、アミーズ及びスチュアートの輸送媒体(Amies' and Stuart's transport media.)が包含される。
【0032】
その試料は、固体支持体と接触する前に、例えば、粘液の希釈、天然要素の濃縮、濾過、蒸留、透析、希釈、不活性化、試薬の添加、化学処理等の処理が行われてもよい。
【0033】
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つその固体支持体を、複数種類の細菌細胞を含有する疑いのある試料と接触させる工程は、緩衝液に固体支持体を懸濁させるか又は浸漬し、次いで、緩衝液に懸濁させることもできる試料を添加することによって、都合よく実施され得る。適切な緩衝液には、PBS及び非イオン性界面活性剤を含有するPBSが包含される。その混合物は、それら細菌細胞が、固体支持体上の炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせに結合されるのを可能にするのに十分な時間の間、攪拌され得る。その結合工程は、室温で都合よく実施され得る。
【0034】
試料の残部から固体支持体を分離する工程は、周知の方法を用いて実施され得る。例えば、試料の残部は、固体支持体の排出が行われるか、デカンテーションが行われるか、汲み出されるか、遠心分離機で分離されるか、ピペットで取られるか、かつ/又は濾過して取り除かれるかすることが可能である。固体支持体が磁性粒子である場合、その固体支持体は、試料の残部を、例えば、デカンテーションを行うか、ピペットで取るか、又は圧力差若しくは重力を用いて懸濁物を容器から強制的に外に出すことによって、都合よく除去するための磁石を備えた容器の1つの領域にまとめられてもよい。加えて、固体支持体は、例えば緩衝液で洗浄されて、残存するあらゆる非結合試料物質を除去することができる。
【0035】
ある実施形態に関し、細菌細胞を分離するための方法は、複数の細菌細胞の少なくとも一部分を検出する工程を更に含むことができる。これらの実施形態のいくつかに関し、検出工程は、生物発光によるアデノシン三リン酸(ATP)検出、ポリジアセチレン(PDA)比色検出、核酸検出、免疫学的検出、増殖に基づく検出、及び表面弾性波検出、等からなる群から選択された検出方法によって行われる。
【0036】
ATP検出は、細菌負荷の非特異的表示として用いられ得る。細菌細胞が非特異的に結合されている固体支持体を、(過剰の細胞ATPのような妨害要素を含有することのある)試料の残部から分離した後、それらの細胞を溶解し、ルシフェリン及びルシフェラーゼと接触させる。次いで、結果として得られる生物発光であって、捕捉された細菌細胞の数に比例する強度のものである生物発光は、例えば照度計を用いて、測定される。
【0037】
比色センサーを細菌に接触させることによって、特異的細菌又は細菌のスペクトルを検出するために、PDA比色検出を利用することができる。比色センサーは、受容体と、ジアセチレン化合物又はポリジアセチレンを含有する重合組成物とを含む。細菌細胞が受容体によって結合されるとき、結果として得られる、比色センサーに対する構造変化は、測定可能な色変化を引き起こす。色変化は、例えば、視覚に、又は比色計を用いて測定され得る。受容体に結合し得るプローブを用いて、細菌細胞を間接的に検出することもまた、利用することができる。そのような比色センサーを用いるPDA比色検出は既知であり、例えば、米国特許出願公開第2006/0134796A1号、国際公開第WO2004/057331A1号、及びWO2007/016633A1号、並びに譲受人の同時係属米国特許出願シリアル番号第60/989298号に記述されている。
【0038】
DNA及びRNAを包含する核酸を検出する方法は、しばしば、それら核酸を増幅する工程、又はそれら核酸のハイブリッド形成を行う工程を含む。捕捉された細菌細胞は、溶解されて、検出に使用可能である細胞核酸を作る。溶解工程は、酵素的に、化学的に及び/又は機械的に実施され得る。分解に用いられる酵素には、例えば、リゾスタフィン、リゾチーム、ムタノリジン(mutanolysin)、等が包含される。化学的溶解は、界面活性剤、アルカリ、加熱、又は他の手段を用いて実施され得る。溶解のためにアルカリが用いられるとき、中和剤を用いて、溶解後の溶液又は混合物を中和することができる。機械的溶解は、例えばビーズ若しくはマイクロビーズの固体粒子又は微小粒子を用いた混合工程又は剪断工程によって達成され得る。溶解のためには、音波処理をも用いることができる。溶解用試薬には、必要に応じて緩衝される界面活性剤又は洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸リチウム(LLS)、TRITON系、TWEEN系、BRIJ系、NP系、CHAPS、N−メチル−N−(1−オキソドデシル)グリシン、ナトリウム塩等)、カオトロープ(例えば、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアナート、ヨウ化ナトリウム、等)、溶解酵素(例えば、リゾチーム、リゾスタフィン、ムタノリジン(mutanolysin)、プロテイナーゼ、プロナーゼ、セルラーゼ、市販の他の分解酵素のあらゆるもの)、アルカリ溶解試薬、固体粒子(例えば、ビーズ)、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0039】
増幅方法の例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、標的ポリヌクレチド増幅法(例えば、自家持続配列複製法(self-sustained sequence replication)(3SR))及びストランド転移増幅(strand-displacement amplification)(SDA))、標的ポリヌクレオチドに付着したシグナルの増幅に基づく方法(例えば、「枝分れ鎖」DNA増幅)、プローブDNAの増幅に基づく方法(例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR)及びQBレプリカーゼ増幅法(QBR))、転写ベース法(transcription-based methods)(例えば、結紮活性化転写(ligation activated transcription)(LAT)、核酸配列ベース増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)、商標名INVADERという名称での増幅法、及び転写媒介増幅法(transcription-mediated amplification)(TMA))、並びに他の様々な増幅方法(例えば、修復連鎖反応(repair chain reaction)(RCR)及びサイクリングプローブ反応(cycling probe reaction)(CPR))が包含される。
【0040】
細菌のスペクトルから、核酸をハイブリダイズすることのできるプライマーを選択することによって、細菌のスペクトルを都合よく検出するために、プライマー指向性(primer-directed)核酸増幅法であって、例えば、熱サイクル法(例えば、PCR、LCR及びSDA)を包含する増幅法を用いることができる。
【0041】
核酸ハイブリッド形成検出方法もまた、周知である。ここに、一本鎖核酸プローブは、それら細菌細胞由来の1種類以上の一本鎖核酸にハイブリッド形成されて、プローブ鎖を含む二本鎖核酸を提供する。後で定量され、次いで検出され得る核酸プローブ(プローブの標識)(蛍光標識、化学発光標識及び放射性標識のようなもの)が、既知である。更に、種特異性プローブ、又は種特異性プローブの組み合わせを用いて、特異性細菌又は多数種類の異なる細菌を検出することができる。
【0042】
免疫学的検出には、例えばタンパク質、プロテオグリカン、又は抗原活性を有し、細菌の表面でマーカーとして作用する他の物質などの生体分子の検出が包含される。抗原物質の検出は、典型的には、抗体か、ファージ提示法のようなプロセスから選択されるポリペプチドか、又はスクリーニングプロセスからのアプタマーによる。免疫学的検出法が既知であり、それら検出法の例には、免疫沈降分析、及び酵素免疫測定法(ELISA)が包含される。抗体結合は、一次抗体又は二次抗体を、蛍光色素で、量子ドットで、又は化学発光若しくは色変化を生じ得る酵素で標識化することによる方法を包含するいくつかの方法で検出され得る。プレートリーダー及び側方流動装置を用いて、結合事象を検出し定量化した。
【0043】
増殖に基づく検出法が周知であり、一般に、細菌を平板培養する工程と、細菌を培養して、一定条件下でそれら細菌細胞の数を増大させる工程と、それら細菌細胞を数える工程と、を包含する。この目的について、PETRIFILM Aerobic Count Plates(3M Company,St.Paul,MN)を用いることができる。
【0044】
細菌細胞を検出するための表面弾性波検出(surface acoustic wave detection)、例えば、国際公開第WO2005/071416号に記述されるものも知られている。例えば、バルク音波インピーダンスセンサーを用いて、固体培地表面の細菌細胞の増殖及び数が検出されている。この方法によって検出し得る細菌の濃度範囲は、3.4×10〜6.7×10細胞/mLであった。LeDeng等,J.Microbiological Methods,Vol.26,Iss.10〜2,197〜203(1997)を参照されたい。
【0045】
細菌細胞を分離するための方法の上記諸実施形態のいずれか1つを包含するある実施形態に関し、固体支持体を試料と接触させる工程は、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体の存在下で行われる。
【0046】
前述のとおり、固体支持体を試料に接触させる工程は、細菌細胞を固体支持体に効果的に結合させるのに適した培地を提供し得る緩衝液の存在下でも行うことができる。固体支持体に接触させる前、固体支持体に接触させるのと同時に又は固体支持体に接触させた後に、適切な分量、オスモル濃度、又は他の特性の緩衝液を、試料に添加することができる。PBS及びPBS−L64緩衝液は、そのような細胞結合性緩衝液の例である。
【0047】
別の実施形態において、細菌細胞を検出するための装置であって、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体及びその炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞、を含む組成物と、それら複数の細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置が提供される。
【0048】
別の実施形態では、細菌細胞を検出するための装置であって、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体及びステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体、を含む、組成物と、それら複数の細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置が提供される。いくつかの実施形態に関し、その組成物は、その炭水化物とそのタンパク質とのその組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞を更に含む。
【0049】
本装置は、組成物と、細菌細胞を検出するための手段とを含む1つ以上の構造的特徴を有することがある。本装置は、固体支持体によって細菌細胞を捕捉し、残部試料を固体支持体から分離し、次いで、細菌細胞を検出するための1つ以上の場所と条件とを提供することができる。試料は、1つ以上の場所又は容器の中に置くことができる。本装置は、それらの場所又は容器の均一かつ精確な温度制御を提供することができる。本装置は、例えば、細菌細胞の結合が、1つ以上の場所又は容器の中で起こり、かつ細菌細胞の検出が、1つ以上の他の場所又は容器の中で行われ得るような具合に、場所又は容器の間にチャネルを提供することができる。細菌細胞を検出するための装置を含む、上述の諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、その装置は、側方流動装置、垂直流動装置、又はそれらの組み合わせである。そのような装置のいくつかの例は、譲受人の同時継続米国特許出願シリアル第60/989291号に記述されている。いくつかの実施形態に関し、本装置は、マイクロ流体デバイスである。マイクロ流体デバイスのいくつかの例は、米国特許出願公開第2002/0064885号(Bedingham等)、米国特許出願公開第2002/0048533(Bedingham等)、米国特許出願公開第2002/0047003号(Bedingham等)、及び米国特許出願公開第2003/138779号(Parthasarathy等)、米国特許第6,627,159号、同第6,720,187号、同第6,734,401号、同第6,814,935号、同第6,987,253号、同第7,026,168号、及び同第7,164,107号、及び国際公開WO2005/061084A1号(Bedingham等)に記述されている。
【0050】
複数の細菌細胞を含む組成物、方法又は装置にかかる上記実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、それら複数の細菌細胞は、2種類以上の異なる種類の細菌を含む。1つの種類の細菌、又は1つの種類の細菌細胞は、細菌又は細菌細胞の菌株、種類、属、族、目、又は部分である。
【0051】
複数の細菌細胞を含む組成物、方法又は装置にかかる上記実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、それら細菌は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌からなる群から選択される。これらの実施形態のいくつかに関し、それら細菌は、バチルス属、ボルデテラ属、ボレリア属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、エンテロコッカス属、エシェリキア属、ヘリコバクター属、レジオネラ属、リステリア菌、マイコバクテリア属、ナイセリア属、シュードモナス属、サルモネラ菌、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される。いくつかの実施形態に関し、それら細菌は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、表皮ブドウ球菌、大腸レンサ球菌、ストレプトコッカスアガラクチア(Strep agalatiae)、ストレプトコッカスジスガラクチア(Strep dysgalatiae)、大腸菌、サルモネラ菌、及びB群レンサ球菌からなる群から選択される。
【0052】
別の実施形態では、炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、そのタンパク質は、その炭水化物に共有結合的に結合されており、かつそのタンパク質は、その炭水化物を経由してその固体支持体に連結されている、固体支持体と、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を有する、キットが提供される。これらの実施形態のいくつかに関し、キットは、細菌細胞を検出するための手段を更に有する。
【0053】
装置又はキットにかかる上記の諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、細菌細胞を検出するための手段は、生物発光によるアデノシン三リン酸(ATP)を検出するための試薬、PDA比色センサー、核酸検出用試薬、免疫学的検出用試薬、細菌細胞を平板培養しかつ数えるための培地、表面弾性波センサー、等からなる群から選択される。
【0054】
ATPを検出するための試薬には、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、及び所望により溶解剤が包含される。核酸検出用試薬には、例えば、プライマー、プローブ、プライマーを伸長するための酵素、又はそれらの組み合わせが包含される。免疫学的検出用試薬には、例えば、少なくとも1種類の抗体が包含される。
【0055】
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体を含む組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体は、サポニンである。サポニンは、グリコシド結合によって糖質に接合されている27個の炭素原子のステロイド、又は30個の炭素原子のトリテルペンである。いくつかの実施形態に関し、その糖質は、ヘキソース、ペントース、糖酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。サポニンは、中性洗剤として、及び赤血球を溶解するために用いられてきた。しかし、意外にも、この種の物質は、細菌細胞を非特異的に結合するための有効性を損失することなく、ビオチン結合タンパク質と、炭水化物を経由して固体支持体に付着しているその炭水化物との組み合わせと一緒に存在し得ることが今回見出だされた。更に、いくつかの実施形態に関し、ビオチン結合タンパク質と、炭水化物を経由して固体支持体に付着したその炭水化物との組み合わせであって、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と組み合わされたもの、又は上述のそれらの実施形態は、細菌細胞を非特異的に結合することに対して更にいっそう効果的である。
【0056】
組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、ビオチン結合タンパク質は、ビオチンがそのタンパク質と一緒に存在する場合、1個のタンパク質分子当り4個のビオチン分子を結合するタンパク質である。本発明のそれら実施形態は、ビオチン結合タンパク質を含むが、そのビオチン結合タンパク質は、ビオチン(又は、別の物質に付着されたビオチン)がそのビオチン結合タンパク質に結合されることなく含まれる。これらの実施形態のいくつかでは、ビオチン結合タンパク質は、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、及び選択的にニトロ化されたアビジンからなる群から選択される。アビジンは、約66kDaの質量と、10〜10.5の等電点とを有する糖タンパク質である。アビジンの全質量の約10%は、炭水化物である。アビジンは、例えば、Sigma−Aldrichから市販されている。ストレプトアビジンは、約60kDaの質量と、約5の等電点とを有する四量体タンパク質である。アビジンに見出だされる炭水化物成分を欠いているストレプトアビジンは、例えば、Pierceより市販されている。脱グリコシル化されたアビジンであるニュートラアビジンは、約60kDaの質量と約6.3の等電点とを有する。ニュートラアビジンは、Pierceより市販されている。選択的にニトロ化されたアビジンは、CAPTAVIDINという商標名でMolecular Probes,Inc.より入手でき、ニトロ化されたアビジンの4つのビオチン結合部位にチロシン残基を有する。いくつかの実施形態に関し、ビオチン結合タンパク質は、ストレプトアビジンである。
【0057】
組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、炭水化物は、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。適切な単糖には、例えば、マンノース、ガラクトース、ブドウ糖、フルクトース、フコース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラムノース、ガラクトサミン、グルコサミン、ガラクツロン酸、グルクロン酸、N−アセチルノイラミン酸、メチルD−マンノピラノシド、α−メチルグルコシド、ガラクトシド、リボース、キシロース、アラビノース、サッカラート、マニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、これらの単糖のいずれか1種類の誘導体、及びそれらの組み合わせが包含される。適切なオリゴ糖には、同一種類又は異なる種類であってもよい、2〜12個の単糖単位を有するものが包含される。例には、2〜6個の単位を有するオリゴマンノース、麦芽糖、スクロース、トレハロース、セロビオース、サリシン、これらのオリゴ糖のいすれか1種類の誘導体、及びそれらの組み合わせが包含される。適切な多糖には、同一種類又は異なる種類であってもよい、12個以上の単糖単位を有するものが包含される。例には、多糖(例えば、アラビアゴム(アカシアゴム))であって、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、並びにカルシウム塩、マグネシウム塩、及びカリウム塩としてのグルクロン酸の分枝ポリマーであると思われるものと、ガラクトマンナン多糖(ローカストビーンガム)であって、マンノースの直鎖ポリマー、及びマンノース4つ毎の上の1つのガラクトース枝であると思われるものと、グアーガムであって、ガラクトース、ラムノース及びグルクロン酸の部分的にアセチル化されてたポリマーを含むと思われるものと、が包含される。これらの実施形態のいくつかに関し、炭水化物には少なくとも1種類のカルボキシ基が包含される。少なくとも1種類のカルボキシ基を含有する、上述の単糖、オリゴ糖、多糖、及びそれらの組み合わせのいずれか1種類を用いてもよい。更に、上述の単糖、オリゴ糖、多糖、及びそれらの組み合わせのいずれか1種類であって、少なくとも1つのカルボキシ基を含むように誘導されるものを用いることができる。これらの実施形態のいくつかに関し、炭水化物は、多糖である。
【0058】
これらの実施形態のいくつかに関し、炭水化物はアラビン酸を含有する。
【0059】
ビオチン結合タンパク質は、ビオチン結合タンパク質上の官能基と炭水化物上の官能基との間の1種類以上の反応によって、その炭水化物に共有結合的に結合され得る。組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、炭水化物は少なくとも1つのカルボキシ基を含み、かつビオチン結合タンパク質は、そのタンパク質とその炭水化物の少なくとも1つのカルボキシ基との反応生成物である連結基によって、その炭水化物に非特異的に結合される。ビオチン結合タンパク質は、周知の相互作用によって、炭水化物に非特異的に結合される。例えば、ビオチン結合タンパク質のアミノ基は、炭水化物のカルボキシ基と反応して、連結基(この場合、アミド基)を提供する。別の実施例において、ビオチン結合タンパク質のヒドロキシ基は、炭水化物のカルボキシ基と反応して、連結基(この場合、エステル基)を提供する。これらの連結基の一方又は両方は、タンパク質と炭水化物との間に化学結合を提供することができるが、他の既知の結合経路及び連結基が、追加的に又は代替的に用いられることもある。
【0060】
固体支持体は、部分的に又は完全に炭水化物で構成されることがある。固体支持体は、炭水化物がビオチン結合タンパク質と反応するのに利用できるような具合に、固体支持体の表面でその炭水化物と構造化される。ビオチン結合タンパク質は、その後、炭水化物に結合され、引き続いて、固体支持体に付着されるか、又は固体支持体になる。
【0061】
固体支持体は、現在、分離又は固定化のために用いられている既知の支持体又はマトリックスである。組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、固体支持体は、ビーズ、ゲル、フィルム、シート、粒子、濾過材、膜、プレート、ストリップ、チューブ、ウェル、繊維、毛細管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。固体支持体は、ガラス、シリカ、セラミックス、金属、ポリマー、又はそれらの組み合わせを含有することができる。適切なポリマーには、例えば、ラテックス、セルロース、多糖、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリ(4−メチルブテン))、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンアイオノマー、ポリオレフィン配合物、ポリスチレン、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリ(ビニルブチラート)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアルコール)、並びにポリカーボネートが包含される。いくつかの実施形態に関し、固体支持体は、多糖を含有する。
【0062】
固体支持体は、炭水化物(例えば、上述の諸炭水化物の1種類以上)で被覆されることがある。被覆された炭水化物は、既知の結合方法及び構造体によって、固体支持体に結合され得る。例えば、固体支持体の表面は、イソシアネート基で官能基化され、次いで、炭水化物で被覆されることがある。炭水化物上のヒドロキシ基(及び、存在すれば、アミノ基)は、イソシアネート基と反応して、炭水化物を固体支持体に結合させる。
【0063】
組成物、方法、装置又はキットにかかる上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、固体支持体は、磁性粒子である。例えば、ポリ(ビニルアルコール)を主成分とするポリマー粒子であって、その中に磁性コロイドがカプセル化されているポリマー粒子(Chemagen AG,ドイツ)と、マグヘマイト(γ−Fe)とマグネタイト(Fe)との混合物の分散系を含むポリスチレン球体と、ポリスチレンシェル(Dynal Biotech ASA,Oslo,ノルウェー)、多糖マトリックスを有する磁性粒子(Chemicell GmbH,Berlin,ドイツ)、及び多糖コアを有する磁性粒子であって、ストレプトアビジンデバイス被覆されている磁性粒子(Chemicell GmbH)とを包含する様々な磁性粒子が市販されている。それらの磁性ビーズ又は磁性粒子であって、ビオチン結合タンパク質と結合するために利用可能な炭水化物を含まないものは、例えば、上述のように変性されて、ビオチン結合タンパク質が後で結合され得る炭水化物を付着させることができる。多糖コア又はマトリックスを含有する磁性粒子は、ビオチン結合タンパク質と反応して、上述の、炭水化物とタンパク質との組み合わせを提供することができる。多糖コア又はマトリックスを含有する磁性粒子であって、ストレプトアビジンで既に被覆されたものは、変性なしで用いられ得る。
【0064】
磁性のビーズ又は粒子を含む上記諸実施形態のいずれか1つを包含するいくつかの実施形態に関し、それら磁性のビーズ又は粒子は、約0.02〜約5μmの直径を有する。球形でないビーズ又は粒子に関し、この直径はビーズ又は粒子の少なくとも1つの寸法である。この直径範囲によって、細菌細胞の効果的な非特異的捕捉を行うための適切な表面積が提供される。
【0065】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0066】
特段の指摘がない限り、実施例における部、百分率、比、等は、全てモルによる。供給者が指定されていない溶媒及び試薬は全て、Aldrich Chemical、Milwaukee,WIから購入された。水は、U−V Milli−Q浄水器(Millipore,Bedford MA)を用いて精製され、抵抗率は18.2Mオーム/cmであった。
【0067】
【表1】

【0068】
調製の実施例1−PLURONIC L64(PBS−L64緩衝液)を含有するリン酸緩衝生理食塩水の調製
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液は、10x PBS原液(EMD Biosciences,San Diego CA)を10倍希釈することによって、調製された。このことによって、10mMリン酸ナトリウム、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウムの塩組成を有するPBS緩衝溶液が得られた。PBS緩衝溶液は、25℃で7.5のpHを有した。PLURONIC L64界面活性剤が、0.2%(w/v)の量で、PBS緩衝溶液に添加されて、25℃で7.5のpHを有する、PLURONIC L64(PBS−L64緩衝液)を含有するリン酸緩衝生理食塩水が提供された。
【0069】
調製の実施例2−抗体官能基化された磁性ビーズの調製
製造者の指示によって、抗体製剤は全て、EZ−Link NHS−PEO4−ビオチン(Pierce,Rockford,ILからの製造番号21330)でビオチン化された。ストレプトアビジンで被覆された磁性粒子(Chemicell GmbH,Berlin,ドイツからの100nm FLUIDMAGビーズ)を用いた。特段の記述がない限り、反応及び洗浄は全て、PBS L−64緩衝液中で行われた。洗浄工程は、他に規定されない限り、3回の連続洗浄を含んだ。洗浄プロセスは、磁石に近位の管側に、粒子を引き込むための管に隣接して磁石を設置する工程と、隣接した磁石で管から液体を除去する工程と、除去された液体を交換するために等量の新しい緩衝液を添加する工程からなる。磁石を取り外して、それら粒子の再懸濁及び混合を可能にした。
【0070】
2.5ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)の濃度の、ストレプトアビジンで被覆された磁性粒子は、500μl PBS L−64緩衝液に入れたビオチン化抗体製剤と混合された。結合のための抗体対粒子の質量比は、抗体40μg/粒子1mgであった。得られた混合物は、37℃で1時間(hr)の間、培養された。続いて、それら粒子は、PBS L−64緩衝液中で洗浄し、結合しなかった抗体を除去した。最終洗浄の後、それら粒子は、2.5mg/mLの粒子濃度まで再懸濁された。
【0071】
調製の実施例3−表面にカルボキシル官能基を有する多糖ビーズ又はポリスチレンビーズへのストレプトアビジン又はニュートラアビジンの付着
ストレプトアビジンの原液は、先ず、ImmunoPureストレプトアビジン(Pierce,Rockford,IL)5mgを水0.5mLに溶解し(最終溶液濃度は10mg/mL)、その後、結果として得られる溶液75μlを、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液425μlに添加して、1.5mg/mLの最終ストレプトアビジン溶液濃度を得ることによって調製された。
【0072】
ニュートラアビジンの原液は、先ず、ニュートラアビジン(Pierce,Rockford,IL)10mgを、水1.0mLに溶解し(最終溶液濃度は10mg/mL)、その後、結果として得られる溶液75μlを、MES緩衝液425μlに添加して、1.5mg/mLの最終ニュートラアビジン溶液濃度を得ることによって調製された。
【0073】
EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)の原液は、それらビーズを官能基化する直前に、EDC 20mgをMES緩衝液0.5mLに添加して、40mg/mLの最終EDC溶液濃度を生じさせることによって調製された。
【0074】
(Chemicell GmbH,Berlin,Germanyから100nmの)FLUIDMAG ARAビーズは、次の手順を用いて、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンで官能基化された。
【0075】
1.ストックビーズ溶液100μlを、MES緩衝液1mLで2回洗浄し、次いで、上澄みを除去した。
【0076】
2.それらビーズを、上記で調製されたEDC溶液0.2mLに再懸濁した。
【0077】
3.懸濁液を、室温で10分間混合した。
【0078】
4.それらビーズを、MES緩衝液1mLで2回洗浄した。
【0079】
5.それらビーズを、上記で調製されたストレプトアビジン又はニュートラアビジンの原液を含有するMES緩衝液0.2mLに再懸濁し、次いで、結果として得られた混合物を、室温で撹拌しながら2時間の間定温放置した。
【0080】
6.結果として得られたビーズを、PBS L−64緩衝液中で3回洗浄した。
【0081】
7.それらビーズを、PBS L−64緩衝液1.2mLに再懸濁し、2.5mg/mLの最終ビーズ溶液濃度を提供した。
【0082】
(Invitrogen Inc.,Carlsbad,CAからの)DYNAL C1ビーズは、上記のように100μlではなくビーズ原液300μlで開始したことを除き、上記に概説された手順と同一の手順を用いて、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンで官能基化された。
【0083】
黄色ブドウ球菌(S.aureus,ATCCC 25923)細胞及び緑膿菌(P.aeruginosa,ATCCC 10662)細胞のための捕捉手順並びに検出手順
細菌懸濁液は、トリプシン大豆ブロス中で37℃で一晩培養して調製された。それら培養液は、細胞を接種するために遠心分離機にかけ、次いで、細胞ペレットを、無菌のリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、約5×10cfu/mLの最終濃度にした。実験を行う前、細菌は、PBS L−64緩衝液中で3回洗浄し、約5×10〜5×10cfu/mLに希釈した。次いで、所望により、その溶液にヒト血清アルブミン(HSA)を添加して、タンパク質の目標濃度(典型的には、300μg/mL)を得た。ストレプトアビジンで被覆された粒子の懸濁液の所望量(10mg/mL)(Chemicell GmbH,Berlin,GermanyからのFLUIDMAGビーズ)を、細菌の懸濁液と混合して、2mL入りポリプロピレンバイアル瓶の中で500マイクロリットル(μl)の全容量にした。バイアル瓶は、手動で30秒間振盪し、細菌とそれら粒子とを混合し、次いで、振盪台(約0.3サイクル/秒に設定された(Reciprocating BARNSTEAD/THERMOLYNE VARIMIX(Dubuque,Iowa)))上で15分間撹拌した。それら粒子は、5分間磁石を用いてバイアル瓶の片側に引き出した。それら粒子によって吸着されなかった細菌細胞を含有する上澄み液を、取り除いて、無菌のPBS L−64緩衝液で10倍に希釈した。次いで、磁石からバイアル瓶を取り外し、500μlの無菌PBS L−64緩衝液を添加し、次いで、バイアル瓶を手動で30秒間撹拌して、それら粒子を再懸濁させることによって、任意的洗浄工程を行った。バイアル瓶は、5分間磁石に隣接して配置し、次いで、洗浄溶液を吸引し、PBS L−64緩衝液で10倍に希釈した。バイアル瓶を磁石から取り外し、500μlの緩衝液を添加し、次いで、バイアル瓶を、手動で30秒間撹拌して、粒子を再懸濁した。
【0084】
各々の溶液(上澄み液、洗浄液、及び再懸濁された粒子)の各々の生菌の数は、各々の懸濁液の階段希釈物をPETRIFILM Aerobic Count Plates(3M Company,St.Paul,MN)で平板培養することによって決定した。
【0085】
(実施例1)
黄色ぶどう球菌(S. aureus)(ATCCC 25923)の捕捉
(Chemicell GmbH,Berlin,Germanyからの100nm)FLUIDMAG粒子であって、多糖コアを有し、かつストレプトアビジンで官能基化された粒子を用い、上記のCapture and Detection Procedureを用いて、黄色ぶどう球菌を非特異的に捕捉した。粒子10μlを、約5×10cfu/mLの細菌490μlと組み合わせた。洗浄工程は、本実験に含まれた。
【0086】
それら粒子は、細菌の高捕捉%を実証した。同一粒子が、細胞表面に存在するいかなる抗原にも特異的ではない抗体(調製の実施例2によって調製されたような)で被覆され、かつ同一実験が繰り返された場合、捕捉率は乏しかった。このように、抗体の存在は、非特異的細菌の捕捉率を著しく低下させた。結果を表1に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
PBP2A抗体に関し、譲受人の同時係属米国特許出願シリアル第60/867089号を参照されたい。
【0089】
(実施例2)
ストレプトアビジンで官能基化されたビーズと、ストレプトアビジンを含有しない、カルボキシ基で官能基化されたビーズとの間の比較
多糖コアを有するFLUIDMAG磁性粒子であって、ストレプトアビジンで官能基化された磁性粒子(100nm、Chemicell GmbH)を用いて、上記の捕捉及び検出の手順に従って、細菌を非特異的に捕捉した。加えて、多糖コアと表面のカルボキシ表面基とを有するFLUIDMAG ARA磁性粒子(100nm、Chemicell GmbH)もまた、試験された。緑膿菌(ATCCC 10662)(表2)と黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)(表3)との両方について、捕捉を行った。ヒト血清アルブミン300μg/mLが存在する場合と、存在しない場合との捕捉を試験した。実験の全てについて、粒子(30μl)を、約5×10cfu/mLの細菌470μlと組み合わせた(粒子濃度0.6mg/mL)。表2及び表3に、結果を示す。
【0090】
【表3】

【0091】
表2に示されるように、ストレプトアビジンビーズは、血清アルブミンの存在下で、僅かにより低い捕捉率で緑膿菌を捕捉した。しかし、カルボキシル基ビーズは、特に、血清アルブミンの存在下で、著しくより低い捕捉率を示した。両方の粒子が、同一の多糖コアの化学的性質を有したとしても、ストレプトアビジンを有する粒子は、カルボキシル基で官能基化されているがストレプトアビジンを含有しない粒子表面と比較して、遥かに優れた捕捉率を実証した。
【0092】
【表4】

【0093】
表3に示されるように、ストレプトアビジン/多糖のビーズは、血清アルブミンの存在下と非存在下との両方において、黄色ブドウ球菌の優れた捕捉率を示した。しかし、ストレプトアビジンを含有しないカルボキシルビーズは、両方の場合で乏しい捕捉率を示した。両方の粒子が、同一の多糖コアを有したとしても、表面上にストレプトアビジンを有する粒子は、著しく良好に作動した。
【0094】
(実施例3)
赤血球及びタンパク質の存在下での多糖上のストレプトアビジンによる捕捉
多糖コアを有するFLUIDMAG磁性粒子(100nm、Chemicell GmbH)であって、ストレプトアビジンで官能基化された磁性粒子を用いて、上記の捕捉及び検出の手順に従って、細菌を非特異的に捕捉した。緑膿菌(ATCCC 10662)(表4)と黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)(表5)との両方について捕捉を行った。試料中に血液が様々な濃度(全血液の1:1000、1:10000及び1:100000の希釈)で存在する状態で、捕捉を行った。血液を含有しない対照試料をも試験した。それら実験の全てについて、粒子(30μl)を、約5×10cfu/mLの細菌(0.6mg/mLの粒子濃度)470μlと結合させた。表4及び表5に、それらの結果を示す。
【0095】
【表5】

【0096】
対照試料において、緑膿菌の優れた捕捉率が見られた。血液濃度が増加するにつれて、捕捉率は減少したが、試験された血液の最大濃度(1:1000希釈)でさえ、捕捉レベルは満足できるものであった。
【0097】
【表6】

【0098】
黄色ブドウ球菌に関し、対照試料に、優れた捕捉率が見られた。血液濃度が増加するにつれて、捕捉率は減少したが、試験された血液の最大濃度(1:1000希釈)でさえ、捕捉レベルは満足できるものであった。
【0099】
(実施例4)
ポリスチレン−カルボキシル基のビーズ上のストレプトアビジンによる黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)捕捉と比較した、多糖ビーズ上のストレプトアビジンによる黄色ブドウ球菌の捕捉
調製の実施例3のように、ポリスチレン−カルボキシル基のビーズ(DYNAL C1)、及び多糖−カルボキシル基のビーズ(FLUIDMAG ARA,Chemicell GmbH,Berlin,Germany)にストレプトアビジンが付着され、次いで、上記の捕捉と検出の手順に従って、黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)が捕捉された(調製の実施例3で調製されたストックビーズ溶液の32μlを、細菌のストック試料468μlに添加して、0.16mg/mLの最終ビーズ溶液濃度を得た)。加えて、非変性のポリスチレン−カルボキシル基(DYNAL C1)ビーズ及び多糖−カルボキシル基(FLUIDMAG ARA)ビーズを用いて、捕捉実験を行った。結果を表6に示す。
【0100】
【表7】

【0101】
表6に関し、ストレプトアビジンで官能基化されたポリスチレンビーズの捕捉効率は、非変性のポリスチレンビーズよりも約5倍低かった。一方、ストレプトアビジンで変性された多糖ビーズの捕捉効率は、非変性多糖ビーズ、又はストレプトアビジンで官能基化されたポリスチレンビーズのいずれよりも、約10倍優れた。
【0102】
(実施例5)
ポリスチレン−カルボキシルビーズ上のストレプトアビジンによる緑膿菌(ATCCC 35032)の捕捉と比較した、多糖ビーズ上のストレプトアビジンによる緑膿菌(ATCCC 35032)の捕捉
黄色ブドウ球菌に代えて緑膿菌(ATCCC 35032)を用いて、実施例4を実質的に繰り返し、結果は、下の表7にまとめられた。全体的に見て、ストレプトアビジンで変性された多糖ビーズは、最良の非特異的細菌捕捉性能を提供した。
【0103】
【表8】

【0104】
(実施例6)
ポリスチレン−カルボキシルビーズ上のニュートラアビジンによる黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)の捕捉と比較した、多糖ビーズ上のニュートラアビジンによる黄色ブドウ球菌の捕捉
調製の実施例3のように、ポリスチレン−カルボキシル基(DYNAL C1)ビーズ、及び多糖−カルボキシル基(FLUIDMAG ARA,Chemicell GmbH)ビーズにニュートラアビジンを付着し、次いで、上記の捕捉及び検出の手順に従って、黄色ブドウ球菌(ATCCC 25923)を捕捉した(調製の実施例3で調製されたストックビーズ溶液の32μlを、細菌のストック試料468μlに添加して、0.16mg/mLの最終ビーズ溶液濃度を得た)。結果は、表8に示される。
【0105】
【表9】

【0106】
表8に関し、ニュートラアビジンで変性された多糖ビーズは、ニュートラアビジンで官能基化されたポリスチレンビーズに比べて10倍の捕捉効率を示した。
【0107】
(実施例7)
ポリスチレン−カルボキシルビーズ上のニュートラアビジンによる緑膿菌(ATCCC 35032)の捕捉と比較した、多糖ビーズ上のニュートラアビジンによる緑膿菌の捕捉
黄色ブドウ球菌に代えて緑膿菌(ATCCC 35032)を用いて、実施例6を本質的に繰り返した。結果は、下の表9にまとめられる。ニュートラアビジンを有する多糖ビーズは、ニュートラアビジンを有するポリスチレンビーズに比べて、著しくより大きい非特異的細菌捕捉率を提供した。
【0108】
【表10】

【0109】
(実施例8)
ストレプトアビジンで官能基化された多糖ビーズを用いた、様々な細菌の非特異的捕捉
調製の実施例3のように、多糖−カルボキシルビーズ(FLUIDMAG ARA,Chemicell GmbH)にストレプトアビジンを付着させた。次いで、上記の捕捉及び検出の手順に従って、(臨床分離株由来の)様々な細菌株を捕捉した(調製の実施例3で調製されたストックビーズ溶液の32μlを、細菌のストック試料468μlに添加して、0.16mg/mLの最終ビーズ溶液濃度を得た)。結果は、下の表10にまとめられる。
【0110】
【表11】

【0111】
表10の結果は、多糖−ストレプトアビジンビーズを用いて、様々な微生物を非特異的に捕捉することができることを示す。
【0112】
(実施例9)
ストレプトアビジンで官能基化された多糖ビーズを用いた、連鎖球菌株の非特異的捕捉
多糖コアを有するFLUIDMAG磁性粒子(100nm,Chemicell GmbH)であって、ストレプトアビジンで官能基化された磁性粒子を用いて、ストレプトコッカスアガラクチア(Strep agalatiae)39Bと、ストレプトコッカスジスガラクチア1E(臨床分離株)とを非特異的に捕捉した。0.6mg/mlのビーズ溶液濃度を用いて、上記の捕捉及び検出の手順に従った。(表11に示される)結果は、ストレプトコッカスアガラクチアとストレプトコッカスジスガラクチアとの両方が効率的に捕捉されることを実証する。
【0113】
【表12】

【0114】
(実施例10)
ストレプトアビジンで官能基化された多糖ビーズを用いた、細菌の非特異的捕捉に及ぼすサポニンの影響
大腸菌、サルモネラ菌、及びB群レンサ球菌の溶液は、これらの細菌を、血液寒天プレート上で一晩増殖させることによって調製された。次いで、細菌の懸濁液は、約1×10cfu/mLの濃度に対するマクファーランド濁度基準(MacFarland turbidity standards)によって、PBS L−64緩衝液で調製された。それら懸濁液は、PBS L−64緩衝液で、約1×10cfu/mLの作業濃度まで希釈された。
【0115】
(調製の実施例3におけるFLUIDMAG ARAビーズを用いて作られた)ストレプトアビジンで官能基化された多糖−カルボキシルビーズ(2.5mg/mL)32μlを、細菌試料の234μlに添加することによって、捕捉の実験を行った。PBS緩衝液に入れたサポニン(製品番号47036,Sigma−Aldrich)の2%原液を調製した。サポニンの存在下での捕捉実験に関し、サポニンの原液234μlを、ビーズ−細菌の混合物に添加し、結果として、捕捉の間のサポニン濃度は0.9%になった。サポニンを用いない捕捉実験に関し、PBS L−64緩衝液234μlを、ビーズ−細菌の混合物に添加した。ビーズ濃度は、捕捉実験の間0.16mg/mlであった。捕捉実験は、上記の捕捉及び検出の手順に記述されるように、この点から前方に実施された。表12に示される結果は、サポニンの存在が、試験された細菌全てに対して細菌の捕捉率を増大させたことを示す。
【0116】
【表13】

【0117】
(実施例11〜22及び比較実施例1〜4)
細菌の捕捉及びATP検出
多糖コアを有する(Chemicell GmbH,Berlin,Germanyからの100nm)FLUIDMAG ARAビーズであって、(調製の実施例3のように調製された)ストレプトアビジン又はニュートラアビジンで官能基化されたビーズを用い、上記の捕捉及び検出の手順を用いて、黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)及び大腸菌(ATCC 25922)を非特異的に捕捉した。各々の実施例に関し、ビーズ懸濁液の10μlは、(VWR Scientific,West Chester,PAから入手可能な)ポリプロピレン微小遠心管を用いて、約1×10cfu/ml及び約1×10cfu/mlの2つの濃度の細菌懸濁液490μlと組み合わされた。上記の捕捉及び検出の手順を用いて、0cfu/mlを有する試料、及び(細菌は、1×10cfu/ml又は1×10cfu/mlであり、いかなる捕捉用ビーズをも用いない)陽性対照試料をも調製した。
【0118】
次いで、それらビーズは、分離され、次いで、(Invitrogen,Inc.Carlsbad,CAから入手可能な)DYNAL磁性の材料固定具の中に微小遠心管を少なくとも5分間配置することによって濃縮された。上澄み液は、凝塊形成したビーズを崩壊させることなく、マイクロピペットを用いて廃棄された。
【0119】
次いで、それらビーズは、微小遠心管にPBS−L64緩衝液を0.5mL添加し、次いで、5分間、揺動運動を用いることによって洗浄された。それらビーズは、次いで、再び分離され、次いで、DYNAL磁性の材料固定具の中に微小遠心管を少なくとも5分間配置することによって、濃縮された。洗浄溶液は、凝塊形成したビーズを崩壊させることなく、マイクロピペットを用いて廃棄された。この洗浄工程は、2回繰り返された。
【0120】
DEPC(Aldrich Chemicals,Milwaukee WIから入手できるピロ炭酸ジエチル)処理水100μlと、(Biotrace International BioProducts Inc.,Bothell,WAから入手可能な)抽出溶剤XMの100μlとを、それらビーズに添加した。バイアル瓶は、磁性の材料固定具から取り外され、次いで、手動で撹拌されて、それら粒子を再懸濁させた。それら粒子が、可視のいかなる凝集をも生じることなく確実に懸濁するように、渦動(vortexing)をも用いられた。それら懸濁粒子は、DEPC処理水及び抽出溶剤XMと一緒に、少なくとも60秒間培養された。
【0121】
次いで、それらビーズは、再び分離され、次いで、DYNAL磁性の材料固定具の中に微小遠心管を少なくとも5分間配置することによって濃縮された。次いで、スワブと、ペレット化した形態の溶解剤の入っている、ホイルで密封された室とを取り外した後、上澄み液は、マイクロピペットで吸い上げられて(Biotrace International BioProducts Inc.,Bothell,WAから入手できる)Biotrace AQUA−TRACE試験装置の底部室に放出された。Biotrace装置の底部室には、ルシフェラーゼ生物発光によってATPの存在を決定するのに必要な乾燥試薬の全てが入った。試料は、10秒間渦動され、次いで、Biotrace AQUA−TRACE試験装置の底部室に上澄み液を添加した後、30秒以内に、(Biotrace照度計(Biotrace International BioProducts Inc.,Bothell,WAから入手できる)UNI−LITE NG)の中に配置された。各々の試料からの生物発光応答は、相対発光量(RLUs)で表13に記載される。3回繰り返しによる平均RLUsは、表13に記載される。記載されたRLUs値に基づく1σ標準偏差も、表13に示される。
【0122】
【表14】

【0123】
C1、C2、C3、及びC4は、比較例1、2、3、4である。
【0124】
黄色ブドウ球菌は、試験された両方の濃度で検出されたが、大腸菌は、試験された最大濃度でのみ検出された。陽性対照のシグナル強度(C1〜C4)を、常磁性ビーズを用いて捕捉された試料のそれと比較した場合、捕捉された試料に対して見出だされたより低い強度は、試料配合物の100%未満の捕捉効率から生じたが、分析の間、ビーズ上の抽出されたATPの非特異的結合に起因する、試料のATPの損失もまたそうである。
【0125】
(実施例23〜27)
溶解血液細胞の存在下での黄色ブドウ球菌及び大腸菌の捕捉、並びにATP検出
細菌を検出するための分析は、0、1×10、又は1×10cfu/mlの細菌を含有するPBS緩衝液234μl、及び、(100nm,ドイツ国ベルリン、Chemicell GmbHからの)FLUIDMAG粒子であって、多糖コアを有し、かつ、ストレプトアビジンで官能基化されている粒子32μlと一緒に、(PBS緩衝液を用いて)1:10,000に希釈され、かつ、(0.9%サポニン生成物#47036,Sigma−Aldrichを用いて)溶解されたヒト全血試料234μlを含有する初期の試料組成物は別にして、実施例11〜22に記述されるように、厳密に繰り返しされた。各々の試料からの生物発光反応は、相対発光量(RLUs)で表14に記載される。3回繰り返しによる平均RLUsは、表14に記載される。記載されるRLUs値の1σ標準偏差も、表14に示される。表14に示されるデータは、両方の細菌の検出が、試験された両方の濃度で観察されたことを実証する。
【0126】
【表15】

【0127】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体と、
前記炭水化物とタンパク質との組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞と、を含む、組成物。
【請求項2】
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体と、
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を含む、組成物。
【請求項3】
前記炭水化物とタンパク質との組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞を更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記複数の細菌細胞が、2種類以上の異なる種類の細菌を包含する、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記細菌が、バチルス属、ボルデテラ属、ボレリア属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、エンテロコッカス属、エシェリキア属、ヘリコバクター属、レジオネラ属、リステリア菌、マイコバクテリア属、ナイセリア属、シュードモナス属、サルモネラ菌、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記のステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体が、サポニンである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の又は請求項3に従属する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビオチン結合タンパク質が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン及び選択的にニトロ化されたアビジンからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記炭水化物が、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記炭水化物が、少なくとも1つのカルボキシ基を含有し、かつ前記ビオチン結合タンパク質が、前記タンパク質と前記炭水化物の少なくとも1つのカルボキシ基との反応生成物である連結基を介して、前記炭水化物に共有結合的に結合されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記固体支持体が、ビーズ、ゲル、フィルム、シート、粒子、濾過材、膜、プレート、ストリップ、チューブ、ウェル、繊維、毛細管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記固体支持体が、磁性粒子である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記磁性粒子が、約0.02〜約5マイクロメートルの直径を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
細菌細胞を分離する方法であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体を提供する工程であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体を提供する工程と、
複数の細菌細胞を有する疑いのある試料を提供する工程と、
前記炭水化物と前記ビオチン結合タンパク質との前記組み合わせを有する前記表面を持つ前記固体支持体を、前記試料と接触させる工程であって、前記試料由来の前記複数の細菌細胞の少なくとも一部分が、前記固体支持体の前記表面に非特異的に結合される、固体支持体を試料に接触させる工程と、
前記試料由来の前記複数の細菌細胞の前記少なくとも一部分が、前記固体支持体の前記表面に非特異的に結合された後、前記固体支持体を、前記試料の残部から分離する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記複数の細菌細胞の前記少なくとも一部分を検出する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出工程が、生物発光によるアデノシン三リン酸(ATP)検出、ポリジアセチレン(PDA)比色検出、核酸検出、免疫学的検出、増殖に基づく検出、及び表面弾性波検出からなる群から選択される検出方法によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記固体支持体を前記試料と接触させる工程が、ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体の存在下で行われる、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体が、サポニンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ビオチン結合タンパク質が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、及び選択的にニトロ化されたアビジンからなる群から選択される、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記炭水化物が、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記炭水化物が、少なくとも1つのカルボキシ基を含有し、かつ前記ビオチン結合タンパク質が、前記タンパク質と前記炭水化物の少なくとも1つのカルボキシ基との反応生成物である連結基を介して、前記炭水化物に共有結合的に結合されている、請求項13〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記固体支持体が、ビーズ、ゲル、フィルム、シート、粒子、濾過材、膜、プレート、ストリップ、チューブ、ウェル、繊維、毛細管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記固体支持体が、磁性粒子である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記磁性粒子が、約0.02〜約5マイクロメートルの直径を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の細菌細胞が、2種類以上の異なる種類の細菌を包含する、請求項13〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記細菌が、バチルス属、ボルデテラ属、ボレリア属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、エンテロコッカス属、エシェリキア属、ヘリコバクター属、レジオネラ菌、リステリア菌、マイコバクテリア属、ナイセリア属、シュードモナス属、サルモネラ菌、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される、請求項13から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
細菌細胞を検出するための装置であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体、及び
前記炭水化物と前記タンパク質との前記組み合わせに非特異的に結合されている複数の細菌細胞、を含む組成物と、
前記複数の細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置。
【請求項27】
細菌細胞を検出するための装置であって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体、及び
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体、を含む、組成物と、
前記複数の細菌細胞を検出するための手段と、を備えた装置。
【請求項28】
前記組成物が、前記炭水化物と前記タンパク質との前記組み合わせに非特異的に結合された複数の細菌細胞を更に含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記複数の細菌細胞が、2種類以上の異なる種類の細菌を包含する、請求項26又は28に記載の装置。
【請求項30】
前記細菌が、バチルス属、ボルデテラ属、ボレリア属、カンピロバクター菌、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、エンテロコッカス属、エシェリキア属、ヘリコバクター属、レジオネラ菌、リステリア菌、マイコバクテリア属、ナイセリア属、シュードモナス属、サルモネラ菌、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される、請求項26、28又は29に記載の装置。
【請求項31】
前記細菌細胞を検出するための前記手段が、生物発光によるアデノシン三リン酸(ATP)を検出するための試薬、PDA比色センサー、核酸検出用試薬、免疫学的検出用試薬、細菌細胞を平板培養しかつ数えるための培地、及び表面弾性波センサーからなる群から選択される、請求項26〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体が、サポニンである、請求項27、請求項28、請求項28に従属する請求項29、請求項28に従属する請求項30、又は請求項28に従属する請求項29、及び請求項27に従属する請求項31、請求項28、請求項28に従属する請求項29、又は請求項28に従属する請求項30、請求項28に従属する請求項29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記ビオチン結合タンパク質が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、及び選択的にニトロ化されたアビジンからなる群から選択されている、請求項26〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記炭水化物が、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの組み合わせからなる群から選択されている、請求項26〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記炭水化物が、少なくとも1つのカルボキシ基を含有し、かつ前記ビオチン結合タンパク質が、前記タンパク質と前記炭水化物の前記少なくとも1つのカルボキシ基との反応生成物である連結基を介して、前記炭水化物に共有結合的に結合されている、請求項26〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記固体支持体が、ビーズ、ゲル、フィルム、シート、粒子、濾過材、膜、プレート、ストリップ、チューブ、ウェル、繊維、毛細管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記固体支持体が、磁性粒子である、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記磁性粒子が、約0.02〜約5マイクロメートルの直径を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
キットであって、
炭水化物とビオチン結合タンパク質との組み合わせを有する表面を持つ固体支持体であって、前記タンパク質は、前記炭水化物に共有結合的に結合されており、かつ前記タンパク質は、前記炭水化物を経由して前記固体支持体に連結されている、固体支持体と、
ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体と、を有するキット。
【請求項40】
細菌細胞を検出するための手段を更に有する、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記細菌細胞を検出するための手段が、生物発光によるアデノシン三リン酸(ATP)を検出するための試薬、PDA比色センサー、核酸検出用試薬、免疫学的検出用試薬、細菌細胞を平板培養しかつ数えるための培地、及び表面弾性波センサーからなる群から選択される、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記ステロイド又はトリテルペンの両親媒性配糖体が、サポニンである、請求項39〜41のいずれか一項に記載のキット。
【請求項43】
前記ビオチン結合タンパク質が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、及び選択的にニトロ化されたアビジンからなる群から選択されている、請求項39〜42のいずれか一項に記載のキット。
【請求項44】
前記炭水化物は、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの組み合わせからなる群から選択されている、請求項39〜43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項45】
前記炭水化物が、少なくとも1つのカルボキシ基を含有し、かつ前記タンパク質が、前記タンパク質と前記炭水化物の前記少なくとも1つのカルボキシ基との反応生成物である連結基を介して、前記炭水化物に共有結合的に結合されている、請求項39〜44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
前記固体支持体が、ビーズ、ゲル、フィルム、シート、粒子、濾過材、膜、プレート、ストリップ、チューブ、ウェル、繊維、毛細管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されている、請求項39〜45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
前記固体支持体が、磁性粒子である、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記磁性粒子が、約0.02〜約5マイクロメートルの直径を有する、請求項47に記載のキット。

【公表番号】特表2011−509083(P2011−509083A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541491(P2010−541491)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088099
【国際公開番号】WO2009/086343
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】