説明

微生物採取方法

【課題】 採取ピンを培地に突き刺して微生物を採取する場合に、培地の厚みが変化しても常に同じ深さから微生物を採取する。
【解決手段】 下端に形成された先端部が培養地に抜き挿し自在に保持された採取ピンと、採取ピンを垂直軸方向滑動自在に支持するとともにフリー状態では採取ピンを滑動行程最下位に保持しながら採取ピンを垂直軸方向に昇降駆動する採取ピン駆動機構とを備え、採取ピンを採取ピン駆動機構により下降させ、培養器の培養地に採取ピンをその自重荷重で突き刺した後、採取ピンを採取ピン駆動機構により上昇させて培養地から採取ピンを抜き取ることにより培養地から微生物を採取する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養地からの微生物採取方法に関し、詳しくは培養器の培養地からXYZ駆動機構を用いて微生物を採取する際のZ軸の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の培養地から順次微生物を採取する場合は、特許文献1に記載されているようなXYZテーブルを用いることがある。XYZテーブルを用いた場合に、XY位置(平面位置)を変えながら複数の培養器から微生物を採取するには、異なる培養器ごとにZ軸(垂直軸)方向に採取ピンを昇降させて採取ピンを培養地に突き刺して微生物を採取していた。このとき採取ピンの下端位置は、通常毎回同じであるため、培養器ごとの培養地の上面レベルが毎回同じであれば常に同一条件つまり同一深さまで採取ピンを突き刺して微生物のサンプリングが行える。
【0003】
【特許文献1】 特開2000−232873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、培養器ごとに培養地の上面レベルにばらつきがある場合は、そのレベルの高低に応じて突き刺される採取ピンの深さが変化して同一条件でのサンプリングにはならないという問題があった。
そこで、本発明は、XY位置(平面位置)を変えながらZ軸(垂直軸)方向に採取ピンを昇降させて複数の培養器から順番に微生物を採取する場合に、培養器ごとに培養地の表面レベルが変化しても、常に同一圧力で採取ピンを培養地に突き刺すことにより、ほぼ毎回一定深さまで採取ピンを突き刺してサンプリングすることができる微生物採取方法を提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、下端に形成された先端部が培養地に抜き挿し自在に保持された採取ピンと、該採取ピンを垂直軸方向滑動自在に支持するとともにフリー状態では採取ピンを滑動行程最下位に保持しながら採取ピンを垂直軸方向に昇降駆動する採取ピン駆動機構とを備え、前記採取ピンを前記採取ピン駆動機構により下降させ、培養器の培養地に前記採取ピンをその自重荷重で突き刺した後、前記採取ピンを前記採取ピン駆動機構により上昇させて前記培養地から前記採取ピンを抜き取ることにより培養地から微生物を採取することを特徴とした。
【0006】
また、本発明は、上記の微生物採取方法において、前記採取ピンと前記採取ピン駆動機構との間に螺旋溝機構を形成して、前記採取ピンが前記採取ピン駆動機構に対して相対的に上昇する際に前記採取ピンに回転運動を発生させることを特徴とした。
【0007】
さらに、本発明は、上記の微生物採取方法において、前記採取ピンに着脱自在に錘を取り付けたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明によれば、採取ピンが垂直軸方向滑動自在に支持されたことにより、採取ピンはその自重により培養地に突き刺されることになり、培養器ごとに培養地の表面レベルが変化しても、常に同一圧力で採取ピンが培養地に突き刺ささり、ほぼ毎回一定深さまで採取ピンを突き刺してサンプリングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係る微生物採取方法に用いられる採取ピンの構成を示す説明図であり、左側が待機時を、右側が接地時を示している。図2は本発明に係る微生物採取方法に用いられる採取ピンの他の構成を示す説明図である。
【0010】
図1の左側では、採取ピンであるところのピンが矯正板1、2に水平方向の移動を規制されて支持されるとともに昇降可能に支えられている。図1の右側の接地時はピンが培地に接触している。ピンは矯正板1、2により水平方向のみ支えられていて上下方向の抜き差しが可能であるため、取り替えが簡単に出来る。又ピンが上下すると回転機構によりピンは回転する。図1では、回転機構として、ピン側にリードの大きい螺旋溝または螺旋凸条を形成するとともに、矯正板2側に該螺旋溝または該螺旋凸条に嵌合する突起または溝を形成している。それにより、ピンが下降して下端が培地に突き当たると、ピンが矯正板2に対して相対的に上昇しながら回転駆動されて、ピン下端が捻じれながら培地に突き刺される。
【0011】
これらの構成により、接地時すなわちピンが培地に当接しているときは培地にかかる荷重はピンの自重のみとなる。すなわち、培地の厚みが変化しても、ピンの培地への喰い込み深さが毎回略一定となり、常に同じ深さで培地から菌等の微生物が採取できる。
【0012】
図2では、筒状の収納体に上下方向抜き差し自在にピンが収納されているとともに、ピンの上端に追加可能な錘がネジ固定されている。これはピンを深く突き刺したい場合や、培地が固い場合に、錘を追加可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る微生物採取方法に用いられる採取ピンの構成を示す説明図であり、左側が待機時を、右側が接地時を示している。
【図2】本発明に係る微生物採取方法に用いられる採取ピンの他の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 矯正板
2 矯正板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に形成された先端部が培養地に抜き挿し自在に保持された採取ピンと、該採取ピンを垂直軸方向滑動自在に支持するとともにフリー状態では採取ピンを滑動行程最下位に保持しながら採取ピンを垂直軸方向に昇降駆動する採取ピン駆動機構とを備え、
前記採取ピンを前記採取ピン駆動機構により下降させ、培養器の培養地に前記採取ピンをその自重荷重で突き刺した後、前記採取ピンを前記採取ピン駆動機構により上昇させて前記培養地から前記採取ピンを抜き取ることにより培養地から微生物を採取することを特徴とした微生物採取方法。
【請求項2】
請求項1に記載の微生物採取方法において、
前記採取ピンと前記採取ピン駆動機構との間に螺旋溝機構を形成して、前記採取ピンが前記採取ピン駆動機構に対して相対的に上昇する際に前記採取ピンに回転運動を発生させることを特徴とした微生物採取方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の微生物採取方法において、
前記採取ピンに着脱自在に錘を取り付けたことを特徴とした微生物採取方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−254065(P2012−254065A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141168(P2011−141168)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(593205440)株式会社ケイアンドエー (1)
【Fターム(参考)】