説明

微生物数測定装置

【課題】本発明は、微生物数測定装置に関するもので、菌の測定範囲を広げることを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、検体を収容する容器6と、この容器内6に設けた液体11と、この容器6内で前記液体6の水面下に設けた測定電極3とを備え、前記測定電極3に測定部4と、電源27とを接続し、この電源27は交流の第1の電圧と、この第1の電圧の周波数よりも低い周波数の交流の第2の電圧を選択的に前記測定電極3に印加する構成とし、前記測定部4における測定は、前記測定電極3への電源印加を第1の電圧から第2の電圧に切り換えた後、この第2の電圧印加中に、第1の時間における第1の測定値と、この第1の時間から所定時間経過後の第2の時間における第2の測定値から、容器6内に存在する菌の個数を算出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口腔内の被検査物(細菌)を測定するための微生物数測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口の中を管理する口腔ケアは、歯周病等の口腔疾患の予防、誤嚥性肺炎の予防等を目的に行われており、日常的にはうがいや歯磨きから始まって、本格的な病院の口腔ケアにいたるまで、様々な場所で活用されており、近年注目されつつある技術である。
【0003】
さらに、近年の研究では、病院で患者の手術前後に口腔ケアを行うと、例えばガンの手術後の患者の在院日数が減少したり、手術後の発熱の頻度が減少したりする等、患者にとって手術後の負担が大きく軽減されることが判明してきており、口の中の細菌を減らすことと手術後の各種症状の予防軽減との関連が指摘されている。
【0004】
つまり、口の中の細菌の数を減らすことは、病院における手術においても効果が大きいとして、口腔ケアの重要性がさらに認識されつつある。
【0005】
しかしながら、これらの口腔ケアが好ましい物であると徐々に認識されてきたにも関わらず、それらが、未だ十分に継続的に行われない理由の一つとして、口腔ケアにより細菌を減らすことができることが、数値として明確にされていないことが上げられる。そこで、近年これらの細菌の数を数値化するものが提案されている(たとえば、下記特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−125846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例における機器は、口の中の細菌の総菌数を測定し数値化できるという点において、画期的な機器であり、口腔ケアを実施する際には非常に利便性の高いものであった。
【0007】
一方、口腔内ケアの重要性が認識されるにつれて、口腔内の菌数が少ない段階から菌数を把握したいという要望が高まってきており、これまでよりも菌濃度の低い状態での測定が望まれるようになってきた。
【0008】
しかし従来の測定機器は、菌数が多い高濃度の菌測定では十分な精度な精度できるのであるが、菌数の少ない低濃度の菌測定に関しては若干の課題を残しているものであった。
【0009】
すなわち、従来の機器では、まず綿棒などで口腔内の細菌を採取し、容器内の液体に挿入して攪拌する。つぎに、この液体内に設けた測定電極に集菌用の高周波の交流電圧を印加し、菌の誘電泳動を発生させ、測定電極に菌を集める一方で、この集まってくる菌の静電容量の変化量を測定し、この変化量から菌数を算出することになる。
【0010】
そして、前記測定は、集菌用の高周波の交流電圧による悪影響を排除するため、高周波を切断した直後に測定し、測定後は、菌の静電容量の変化量を求めるために再び集菌のため高周波の印加する。これを10秒程度の間に数十回繰り返し行い、その結果から菌の静電容量の変化量を求め菌数を算出する構成となっていた。
【0011】
しかし、高周波の交流電圧を切断しても、菌濃度が低いときには、菌の静電容量自体が小さいために、高周波の切断直後はその影響を完全に排除することができず、さらに、10秒程度の間に数十回の高周波の印加、切断が繰り返されるので、さらに悪影響をうけることになっていた。結果として、菌濃度が低いときには測定が難しくなる。しかしながら、菌濃度が低いとはいえ、菌が存在すること自体が課題となることも多くあり、このことから菌濃度が低いときも含め、適切な測定をすることが望まれていた。
【0012】
そこで、本発明は、菌濃度が低いときでも菌の測定を適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そしてこの目的を達成するために本発明は、検体を収容する容器と、この容器内に設けた液体と、この容器内で前記液体の水面下に設けた測定電極とを備え、前記測定電極に測定部と、電源とを接続し、この電源は交流の第1の電圧と、この第1の電圧の周波数よりも低い周波数の交流の第2の電圧を選択的に前記測定電極に印加する構成とし、前記測定部における測定は、前記測定電極への電源印加を第1の電圧から第2の電圧に切り換えた後、この第2の電圧印加中に、第1の時間における第1の測定値と、この第1の時間から所定時間経過後の第2の時間における第2の測定値から、容器内に存在する被検査物の個数を算出する構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明は、検体を収容する容器と、この容器内に設けた液体と、この容器内で前記液体の水面下に設けた測定電極とを備え、前記測定電極に測定部と、電源とを接続し、この電源は交流の第1の電圧と、この第1の電圧の周波数よりも低い周波数の交流の第2の電圧を選択的に前記測定電極に印加する構成とし、前記測定部における測定は、前記測定電極への電源印加を第1の電圧から第2の電圧に切り換えた後、この第2の電圧印加中に、第1の時間における第1の測定値と、この第1の時間から所定時間経過後の第2の時間における第2の測定値から、容器内に存在する被検査物の個数を算出する構成としたものであるので、被検査物濃度が低いときでも被検査物の測定を適切に行えるようにすることができる。
【0015】
すなわち本発明の微生物数測定装置は、例えば被検査物として口腔内の菌を測定した場合には、液体に含まれる菌を集めるために高周波の交流電圧を測定電極に印加し集菌し、その後、菌数の測定を行うための低周波の交流電圧に切り換え、この低周波の交流電圧を印加したまま測定を行う構成としたものであり、前記切り替え以降は測定電極には集菌力がなくなり、菌は徐々に測定電極から離れていくことになり、この菌の減少具合を測定することで、たとえ菌濃度が低い場合でも総菌数を算出するものである。
【0016】
従って、高周波の交流電圧と低周波の交流電圧を1度だけ切り換えれば、菌数の測定が出来るようになったので、低濃度の菌も、高周波の交流電圧の影響をうけることが全く無くなり、測定ができるようになった。
【0017】
その結果として、菌濃度が低い場合でも適切に菌の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、口腔内の被検査物(細菌)を測定するための微生物数測定装置を示し、その上面には、図3に示す細菌測定用セル1を装着する装着部2と、図3に示す細菌測定用セル1の測定電極3に接続される図7に示す測定部4とを備えた構成となっている。
【0020】
前記装着部2は、上面が開口部5となった円筒状の構成となっており、この開口部5から図2のごとく細菌測定用セル1が、その下部から挿入される。
【0021】
図3は、細菌測定用セル1の断面図である。
【0022】
まずこの細菌測定用セル1は、上面が開口したポリカーボネート製の有底筒状の容器6と、この容器6内を、下方の測定空間7と上方の液体収納空間8に仕切る第1の薄膜9と、この容器6の前記液体収納空間8上を覆った第2の薄膜10とを備え、前記測定空間7には、上述した測定電極3を設け、前記液体収納空間8内には、測定用の液体として純水11を設けた構成となっている。
【0023】
図3において、容器6に、第1の薄膜9の外周を固定し、次に、この第1の薄膜9上の液体収納空間8に測定用の純水11を入れ、その後、この容器6の液体収納空間8上に第2の薄膜10の外周を固定することにより、細菌測定用セル1を形成する。
【0024】
なお、これら第1の薄膜9、第2の薄膜10は、金属箔、具体的にはアルミニウム箔によって構成したものである。
【0025】
そこで、この第1の薄膜9、第2の薄膜10の外周部の固定強度を高めるために、まず、容器6の測定空間7の開口は、液体収納空間8の開口よりも小さくすべく、容器6の液体収納空間8の下部の開口を、この液体収納空間8の上部の開口よりも小さく絞って、この下部の開口絞り部に段部12を形成し、この段部12に第1の薄膜9の外周を固定している。具体的には、ポリカーボネート製の容器6の一部である段部12と、アルミニウム箔製の第1の薄膜9を熱溶着している。
【0026】
また、容器6の液体収納空間8の上部開口部には、外方に広がるフランジ13を形成し、このフランジ13に第2の薄膜10の外周を固定している。これも、具体的には、ポリカーボネート製の容器6の一部であるフランジ13と、アルミニウム箔製の第2の薄膜10を熱溶着している。
【0027】
このため、第1の薄膜9および第2の薄膜10は、容器6に対して、強固に固定(溶着)されることとなり、この容器6から剥がれることなどはない。
【0028】
ここで、測定電極3について図4、図5を用いて説明する。
【0029】
図4において、14、15は、端子で、これらの端子14、15間には、図5で示す櫛歯状の電極16、17が接続されている。
【0030】
櫛歯状の電極16、17は、図5に示すごとく、長い経路に渡って、両者が極めて接近した対向状態となっており、これにより、両者間で静電容量が発生することになっている。
【0031】
そして、細菌の数が多いとこれら電極16、17間の静電容量も大きくなり、この静電容量から細菌数を測定するようになっている。
【0032】
図6は、装着部2に図3に示す細菌測定用セル1を装着後に、キャップ18を被せたものであり、このキャップ18には、検体採取用担体19を構成する棒体20が貫通する貫通孔21Aを設けている。
【0033】
検体採取用担体19は、図7に示すごとく、その下端に綿を丸めた採取部21を設けたものであり、本実施形態においては、まず、この検体採取用担体19の棒体20を持って、採取部21により、口腔内をなぞり、これにより口腔内から細菌を採取部21によって採取する。
【0034】
次に、この検体採取用担体19の採取部21を、装着部2に装着された図3に示す細菌測定用セル1の第2の薄膜10の中央部上にのせ、その後、この検体採取用担体19の棒体20を、キャップ18の貫通孔21Aに下から上方へと貫通させ、この状態で、キャップ18を装着部2の所定部分にセットする。
【0035】
この状態で、次に図7のごとく、検体採取用担体19の棒体20をキャップ18の貫通孔21Aに沿って、真下に突き降ろすこととなる。
【0036】
すなわち、検体採取用担体19の採取部21で、第2の薄膜10が突き破られ、次に、図7のごとく、検体採取用担体19の採取部21で、第1の薄膜9が突き破られ、この結果として、液体収納空間8内の純水11は、採取部21と共に測定空間7へと流れ込むこととなり、測定電極3は、純粋11の水面下に配置されることになる。
【0037】
また、この純水11の上方への飛び出しは、キャップ18によっても防ぐことができ、これら両方の飛び出し防止は、衛生面における効果も奏するものとなる。
【0038】
さて、図7は、電気的なブロック図を示し、容器6の底面下方には、ロータ22が配置され、このロータ22には、磁石23、24が配置されている。
【0039】
すなわち、ロータ22を、モータ25で回転させれば、図7に示した容器6の底部に可動自在に配置した、攪拌体(金属棒)26が、回転し、これにより測定空間7内の純水11は、大きく攪拌され、また、攪拌体26により、採取部21は、叩きつけるような衝撃を受け、これによって、採取部21で採取した口腔内の細菌は、純水11内へと流出されることとなる。
【0040】
そして、この取り出された細菌の数は、図7の測定部4にて測定されることになる。
【0041】
さて、この測定について図7を用いて説明を続けると、純水11内へと取り出された細菌を集めるために、電源部27によって交流電圧が測定電極3の端子14、15(図4)に印加される。すると、純水11内の細菌は、電圧印加による誘電泳動力により、プラスとマイナスに分極され、その結果として、その細菌は図5に示す櫛歯状の電極16、17部分に吸引されることになる。この時、電極16、17間に集まる細菌の数が多ければ、静電容量が大きくなる。
【0042】
なお、攪拌体26は高速回転(たとえば1秒間に20回転)しており、純水11を勢いよく攪拌することで、より多くの細菌を電極16、17間に集めるようにしている。
【0043】
この集菌と測定については、後で詳細に説明する。
【0044】
図7の測定部4は、制御部28の指示により、この静電容量の大きさを測定してその結果を演算部29に送る。この演算部29では、測定部4の測定結果をもとに静電容量の変化率を求め、従来と同じ手法で細菌数に換算して、制御部28を介して表示部30へと表示をすることになる。
【0045】
図7の操作部31は、以上の一連の動作に対する指示入力をするためのものである。
【0046】
以上の構成において基本的な構成と動作が理解された所で、本実施形態の最も特徴となる集菌と測定ついて図7、図8を用いて説明する。
【0047】
図8は、図7の櫛歯状の電極16、17で測定される測定結果を表した物で、縦軸32は電極16、17で測定される静電容量を表し、横軸33は時間経過を表す。
【0048】
ここで、図8を用いて、図8の時間経過に沿って、詳細な説明をおこなう。まず、図8の時間34a(ta)は集菌を開始する時間であり、集菌のために図7の制御部28がモータ25を高速回転させ、結果として攪拌体26が回転(たとえば、1秒間に20回転)を開始する。
【0049】
これと同時に、電源部27から集菌のための第1の高周波の交流電圧が端子14、15を介して電極16、17に印加される。すると、菌は攪拌体26が起こした攪拌水流にのって電極16、17付近に移動し、電極16、17に印加された高周波の交流電圧による誘電泳動によって捕らえられ、電極16、17に集菌される。
【0050】
図8の線35は、電極16、17に集菌され、静電容量が大きくなっている様子を示している。
【0051】
さて、次の時間34b(tb)は攪拌停止時間であり、つまりモータ25への通電を停止し、ロータ22および攪拌体26の回転を徐々に遅くし、やがては停止させる。
【0052】
すなわち、電極16、17に十分集菌した後に、攪拌体26が起こした攪拌水流の流速をこの時間34b以降は弱めていくのである。
【0053】
その結果、攪拌体26は、やがて磁石23、24によって容器6の底部に固定され、攪拌水流を弱める障害物となる。したがって、激しく攪拌されていた純水11の攪拌水流は、徐々に弱まっていくことになる(次の時間34cには攪拌水流は、かなり弱くなった状態となっている)。
【0054】
再び図8に戻って説明を続けると、次の時間34c(tc)は電圧切替時間であり、図7の電極16、17に十分な集菌ができた状態の時間である。ここで、制御部28の指示により電源部27が、電極16、17にかかる電圧を、集菌のための高周波の交流電圧から、菌数の測定(静電容量の測定)を行うための前記高周波よりも低い周波数の第2の交流電圧に切り換える。このとき、電圧も集菌電圧から、測定のためのより低い測定電圧に切り換える。
【0055】
すなわち、周波数と電圧を低いものに切り換えることで、静電容量測定における、高周波と高電圧の影響を排除できる物となるのである。
【0056】
また、周波数と電圧を切り換えた電圧切替時間34c以降は、攪拌水流が弱くなったとはいえ、まだ存在する攪拌水流に乗って、菌は電極16、17から離れていくことになる。従って、図8の線36に示すように、時間経過とともに、静電容量が小さくなっていく。本実施形態の微生物数測定装置は、この菌の減少具合を測定することで総菌数を算出していくことが最も大きな特徴点である。
【0057】
この時、攪拌体26が容器6の底部に固定され純水11の攪拌水流を弱めているため、この攪拌水流は、電圧切替時間34cでは十分弱まっており、たとえ集菌の交流電圧がなくなったとしても、菌が水流により電極16、17から一度に離れていくことはなく、菌は徐々に離れていくことになり測定に好適な状態になるのである。
【0058】
さらに説明を続けると、時間34d(td)は、測定の開始時間であり、前記低周波の第2の交流電圧を櫛歯状の図7の電極16、17に印加した状態で、第1の静電容量の測定を行う。なおこの測定後も、そのまま低周波の第2の交流電圧の印加を続ける。
【0059】
そして、この第1の測定時間34dから所定時間経過後の時間34e(te)は測定終了時間であり、低周波の交流電圧を印加したままの状態で、測定開始時間34dから測定終了時間34eまでの間に数十回の静電容量を測定し、測定は終了となる。そして、この測定による菌の減少具合から総菌数を算出していくことになる。
【0060】
その後、第1の静電容量測定から数十回の測定がされた所で、この静電容量の測定結果を、図7の測定部4が演算部29に送り、この静電容量の変化量から菌の個数を算出する。
【0061】
この時、菌の個数の算出は、予め静電容量の変化量に対応する菌の個数を実測しテーブル化して保持しておき(図示せず)、前記演算部29がこのテーブルと計測した静電容量の変化量を比較することによって、菌の個数を算出するのである。つまり、本実施形態で行おうとしている測定は、菌の減少具合から総菌数を算定しようとしているものであり、たとえば、菌の数が多い場合(高濃度の菌状態)では、初期の静電容量から大きく静電容量が低下する状態となり、逆に菌の数が少ない場合(低濃度の菌状態)では、初期の静電容量から小さく静電容量が低下する状態となる。
【0062】
このような静電容量の減少傾斜を見て、予め登録しているテーブルと比較し、それにより、菌の数が多い場合(高濃度の菌状態)と菌の数が少ない場合(低濃度の菌状態)の総菌数を算出しようとしているものである。
【0063】
また、図8の測定時間34dから34eにおける静電容量の測定は、菌を集めるための高周波の交流電圧から、菌数の測定(静電容量の測定)を行うための、より低周波の交流電圧に切り換えた後に、攪拌水流を弱めながら菌数の計測を行う構成にしたので、菌が電極16、17から徐々に離れていく時に安定的に測定を行うことができるとともに、従来は高周波の交流電圧の影響が大きいために測定できなかった低濃度の菌も、高周波の交流電圧の影響をうけることが全く無くなり、測定できるようになるのである。
【0064】
その結果として、菌濃度が低いときでも菌の測定を適切に行えるようになるのである。
【0065】
なお、本実施形態は、口腔ケアの微生物数測定装置を一例として説明したが、歯科診療所の口腔内洗浄用水のバクテリア汚染も問題となってきており、この溜め置き洗浄水についても、低濃度の細菌測定が重要視されてきている。菌濃度が低いときでも菌の測定を適切に行えるようにすることは、洗浄水の品質確認にも応用が期待されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように本発明は、検体を収容する容器と、この容器内に設けた液体と、この容器内で前記液体の水面下に設けた測定電極とを備え、前記測定電極に測定部と、電源とを接続し、この電源は交流の第1の電圧と、この第1の電圧の周波数よりも低い周波数の交流の第2の電圧を選択的に前記測定電極に印加する構成とし、前記測定部における測定は、前記測定電極への電源印加を第1の電圧から第2の電圧に切り換えた後、この第2の電圧印加中に、第1の時間における第1の測定値と、この第1の時間から所定時間経過後の第2の時間における第2の測定値から、容器内に存在する被検査物の個数を算出する構成としたものであるので、被検査物濃度が低いときでも被検査物の測定を適切に行えるようにすることができる。
【0067】
すなわち本発明の微生物数測定装置は、例えば被検査物として口腔内の菌を測定した場合には、液体に含まれる菌を集めるために高周波の交流電圧を測定電極に印加し集菌し、その後、菌数の測定を行うための低周波の交流電圧に切り換え、この低周波の交流電圧を印加したまま測定を行う構成としたものであり、前記切り替え以降は測定電極には集菌力がなくなり、菌は徐々に測定電極から離れていくことになり、この菌の減少具合を測定することで、たとえ菌濃度が低い場合でも総菌数を算出するものである。
【0068】
従って、高周波の交流電圧と低周波の交流電圧を1度だけ切り換えれば、菌数の測定が出来るようになったので、低濃度の菌も、高周波の交流電圧の影響をうけることが全く無くなり、測定ができるようになった。
【0069】
その結果として、菌濃度が低い場合でも適切に菌の測定を行うことができる。
【0070】
従って、口腔内空間の衛生管理に大きく貢献するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図2】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図3】それに用いる細菌測定用セルの断面図
【図4】その測定電極3の正面図
【図5】その測定電極3の拡大正面図
【図6】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図7】その電気的なブロック図
【図8】その測定における静電容量と時間経過を示す図
【符号の説明】
【0072】
1 細菌測定用セル
2 装着部
3 測定電極
4 測定部
5 開口部
6 容器
7 測定空間
8 液体収納空間
9 第1の薄膜
10 第2の薄膜
11 純水
12 段部
13 フランジ
14 端子
15 端子
16 電極
17 電極
18 キャップ
19 検体採取用担体
20 棒体
21A 貫通孔
21 採取部
22 ロータ
23 磁石
24 磁石
25 モータ
26 攪拌体(金属棒)
27 電源部
28 制御部
29 演算部
30 表示部
31 操作部
32 静電容量
33 時間経過
34a 時間
34b 時間
34c 時間
34d 時間
34e 時間
35 線
36 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する容器と、この容器内に設けた液体と、この容器内で前記液体の水面下に設けた測定電極とを備え、
前記測定電極に測定部と、電源とを接続し、この電源は交流の第1の電圧と、この第1の電圧の周波数よりも低い周波数の交流の第2の電圧を選択的に前記測定電極に印加する構成とし、
前記測定部における測定は、前記測定電極への電源印加を第1の電圧から第2の電圧に切り換えた後、この第2の電圧印加中に、第1の時間における第1の測定値と、この第1の時間から所定時間経過後の第2の時間における第2の測定値から、容器内に存在する被検査物の個数を算出する構成とした微生物数測定装置。
【請求項2】
容器内の液体を攪拌させる攪拌体を設け、この攪拌体は、測定部における測定前に攪拌動力を停止する構成とした請求項1に記載の微生物数測定装置。
【請求項3】
第2の電圧は、第1の電圧よりも電圧値を低くした請求項1または2に記載の微生物数測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−223657(P2010−223657A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69478(P2009−69478)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】