説明

微生物数測定装置

【課題】本発明は、微生物数測定装置に関するもので、使い勝手を向上させることを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、棒状の検体採取用担体19の下端部に設けた採取部21が、その上面開口部から挿入される容器6と、この容器6内の底面から上方に順次設けた測定空間7、および液体収納空間8と、前記測定空間7の底面上に設けた攪拌体26と、この測定空間7の攪拌体26上に設けた測定電極16、17と、前記容器6の測定空間7外に設けられ、前記攪拌体26を駆動するモータ25と、前記液体収納空間7内に設けた純水11とを備え、前記容器6の上面開口部の上方には、前記棒状の検体採取用担体19の外周を可動自在に支持する貫通孔21Aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口腔内の被検査物(細菌)を測定するための微生物数測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口の中を管理する口腔ケアは、歯周病等の口腔疾患の予防、誤嚥性肺炎の予防等を目的に行われており、日常的にはうがいや歯磨きから始まって、本格的な病院の口腔ケアにいたるまで、様々な場所で活用されており、近年注目されつつある技術である。
【0003】
さらに、近年の研究では、病院で患者の手術前後に口腔ケアを行うと、例えばガンの手術後の患者の在院日数が減少したり、手術後の発熱の頻度が減少したりする等、患者にとって手術後の負担が大きく軽減されることが判明してきており、口の中の細菌を減らすことと手術後の各種症状の予防軽減との関連が指摘されている。
【0004】
つまり、口の中の細菌の数を減らすことは、病院における手術においても効果が大きいとして、口腔ケアの重要性がさらに認識されつつある。
【0005】
しかしながら、これらの口腔ケアが好ましい物であると徐々に認識されてきたにも関わらず、それらが、未だ十分に継続的に行われない理由の一つとして、口腔ケアにより細菌を減らすことができることが、数値として明確にされていないことが上げられる。そこで、近年これらの細菌の数を数値化するものが提案されている(たとえば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−125846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例における機器は、口の中の細菌の総菌数を測定し数値化できるという点において、画期的な機器であり、口腔ケアを実施する際には非常に利便性の高いものであった。
【0008】
一方、口腔内ケアの重要性が認識されるにつれて、さらに容易に菌数を把握したいという要望が高まってきた。
【0009】
そこで、本発明は、使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そしてこの目的を達成するために本発明は、棒状の検体採取用担体の下端部に設けた採取部が、その上面開口部から挿入される容器と、この容器内の底面から上方に順次設けた測定空間、および液体収納空間と、前記測定空間の底面上に設けた攪拌体と、この測定空間の攪拌体上に設けた測定電極と、前記容器の測定空間外に設けられ、前記攪拌体を駆動する駆動部と、前記液体収納空間内に設けた液体とを備え、前記容器の上面開口部の上方には、前記棒状の検体採取用担体の外周を可動自在に支持する支持部を設けた構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、棒状の検体採取用担体の下端部に設けた採取部が、その上面開口部から挿入される容器と、この容器内の底面から上方に順次設けた測定空間、および液体収納空間と、前記測定空間の底面上に設けた攪拌体と、この測定空間の攪拌体上に設けた測定電極と、前記容器の測定空間外に設けられ、前記攪拌体を駆動する駆動部と、前記液体収納空間内に設けた液体とを備え、前記容器の上面開口部の上方には、前記棒状の検体採取用担体の外周を可動自在に支持する支持部を設けた構成としたものであるので、使い勝手を向上させることができる。
【0012】
すなわち本発明の微生物数測定装置は、下端部に採取部を有した棒体の検体採取用担体(例えば綿棒)を、例えば口腔内に差し込み、口腔内をなぞり、これにより口腔内の細菌(微生物)を綿棒の採取部によって採取し、この綿棒を容器の液体収納空間を貫通して測定空間に挿入する。また、この綿棒の容器上方部分は支持部で可動自在に支持するようにしている。
【0013】
そして、前記容器の底面上に設けた攪拌体を駆動部で駆動すれば、この攪拌体によって綿棒の採取部は、叩きつけるような衝撃を受け、これによって、採取部で採取した口腔内の細菌は、容易に容器内の液体へと流出されることとなるので、この測定空間に設けた測定電極によって、細菌の数を測定することができる。
【0014】
したがって、簡単に菌数を測定できるものとなり、その結果として、使い勝手を向上させることができる。
【0015】
また、本発明においては、綿棒の外周を可動自在に支持する支持部を設けた構成としたものであるので、この支持部を支点として、それより下方の綿棒部分は、採取部と同様に回動することになる。
【0016】
このため、測定空間において、液体は十分に攪拌されることとなり、よって、駆動部による攪拌体の攪拌速度を高くしなくても、細菌を含んだ液体が、測定電極に適切に回流することとなり、この結果として、測定精度を高めることができる。
【0017】
また、駆動部による攪拌速度を高くして、細菌を含んだ液体の回流を促進した場合には、測定電極に集めた細菌を放出し、その結果として、測定値が変動することがあるが、本発明においては、上述のごとく、支持部を支点として、それより下方の綿棒部分を、採取部と同様に回動させるので、駆動部による攪拌体の攪拌速度を高くしなくても、細菌を含んだ液体が、測定電極に適切に回流することとなり、このようになれば、測定電極に集めた細菌が放出されることはなく、この点からも、測定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図2】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図3】それに用いる細菌測定用セルの断面図
【図4】その測定電極3の正面図
【図5】その測定電極3の拡大正面図
【図6】本発明の一実施形態の微生物数測定装置の斜視図
【図7】その電気的なブロック図
【図8】その断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、口腔内の被検査物(細菌)を測定するための微生物数測定装置を示し、その上面には、図3に示す細菌測定用セル1を装着する装着部2と、図3に示す細菌測定用セル1の測定電極3に接続される図7に示す測定部4とを備えた構成となっている。
【0021】
前記装着部2は、上面が開口部5となった円筒状の構成となっており、この開口部5から図2のごとく細菌測定用セル1の下部が挿入される。
【0022】
図3は、細菌測定用セル1の断面図である。
【0023】
まずこの細菌測定用セル1は、上面が開口したポリカーボネート製の有底筒状の容器6と、この容器6内を、下方の測定空間7と上方の液体収納空間8に仕切る第1の薄膜9と、この容器6の前記液体収納空間8上を覆った第2の薄膜10とを備え、前記測定空間7には、上述した測定電極3を設け、前記液体収納空間8内には、測定用の液体として純水11を設けた構成となっている。
【0024】
すなわち、容器6の底面から上方に順次、測定空間7、および液体収納空間8を設けた構成となっている。
【0025】
そして、図3において、容器6に、第1の薄膜9の外周を固定し、次に、この第1の薄膜9上の液体収納空間8に測定用の純水11を入れ、その後、この容器6の液体収納空間8上に第2の薄膜10の外周を固定することにより、細菌測定用セル1を形成しているのである。
【0026】
なお、これら第1の薄膜9、第2の薄膜10は、金属箔、具体的にはアルミニウム箔によって構成したものである。
【0027】
また、この第1の薄膜9、第2の薄膜10の外周部の固定強度を高めるために、まず、容器6の測定空間7の開口は、液体収納空間8の開口よりも小さくすべく、容器6の液体収納空間8の下部の開口を、この液体収納空間8の上部の開口よりも小さく絞って、この下部の開口絞り部に段部12を形成し、この段部12に第1の薄膜9の外周を固定している。具体的には、ポリカーボネート製の容器6の一部である段部12と、アルミニウム箔製の第1の薄膜9を熱溶着している。
【0028】
また、容器6の液体収納空間8の上部開口部には、外方に広がるフランジ13を形成し、このフランジ13に第2の薄膜10の外周を固定している。これも、具体的には、ポリカーボネート製の容器6の一部であるフランジ13と、アルミニウム箔製の第2の薄膜10を熱溶着している。
【0029】
このため、第1の薄膜9および第2の薄膜10は、容器6に対して、強固に固定(溶着)されることとなり、この容器6から剥がれることなどはない。
【0030】
ここで、測定電極3について図4、図5を用いて説明する。
【0031】
図4において、14、15は、端子で、これらの端子14、15間には、図5で示す櫛歯状の電極16、17が接続されている。
【0032】
櫛歯状の電極16、17は、図5に示すごとく、長い経路に渡って、両者が極めて接近した対向状態となっており、これにより、両者間で静電容量が発生することになっている。
【0033】
そして、細菌の数が多いと、これら電極16、17間の静電容量も大きくなり、この静電容量から細菌数を測定するようになっている。
【0034】
図6は、装着部2に図4に示す細菌測定用セル1を装着後に、この細菌測定用セル1の容器蓋として、たとえばキャップ18を被せたものであり、このキャップ18のほぼ中央部には、棒状の検体採取用担体19(例えば綿棒)を構成する棒体20が貫通する貫通孔21Aを設けている。
【0035】
検体採取用担体19は、図7に示すごとく、その下端部に綿を丸めた採取部21を設けたものであり、本実施形態においては、まず、この検体採取用担体19の棒体20を持って、採取部21により、口腔内をなぞり、これにより口腔内から細菌を採取部21によって採取する。
【0036】
次に、この検体採取用担体19の上端部(採取部21の設けられていない端部)を、装着部2に装着された図3に示す細菌測定用セル1の第2の薄膜10の中央部上にのせ、その後、検体採取用担体19の棒体20を持って、検体採取用担体19の上端部を真下に突き降ろすこととなる。すなわち、検体採取用担体19の上端部で、第2の薄膜10が突き破られ、つづいて、第1の薄膜9が突き破られるのである。
【0037】
そして、この状態から、検体採取用担体19の棒体20を、同心円を描くように回動させながら外周方向に向けて手動させることにより、棒体20によって第2の薄膜10、および第1の薄膜9にあけられた穴が大きく広がっていき、この結果として、液体収納空間8内の純水11は、測定空間7へと流れ込むこととなり、測定電極3は、純水11の水面下に配置された状態になる。
【0038】
つぎに、検体採取用担体19を、細菌測定用セル1から一旦引き抜き、検体採取用担体19の採取部21が下になるように持ち替え、図7に示すごとく、この採取部21を細菌測定用セル1の測定空間7へと差し込み、最後に、検体採取用担体19の棒体20の上端を、キャップ18の貫通孔21Aに下から上方へと貫通させ、キャップ18を装着部2の所定部分に、図6のごとくセットする。すると、採取部21は、図7に示すごとく、測定空間7において純水11の水面下に配置された状態になる。
【0039】
この状態では、図8に示すごとく、細菌測定用セル1の容器6の上方で、キャップ18の貫通孔21Aが検体採取用担体19の棒体20の上部を可動自在に支持する支持部となっている。つまり、貫通孔21Aが棒体20の上部を略一点において可動自在に支持した結果として、この支持部より下方の棒体20、および採取部21は、前記支持部を緩やかな軸として、水平方向に回転するようになる。
【0040】
さて、図7は、電気的なブロック図を示し、容器6の底面下方には、ロータ22が配置され、このロータ22には、磁石23、24が配置されている。
【0041】
すなわち、ロータ22を、その駆動部であるモータ25で回転させれば、磁石23、24の回転に伴い、容器6内の底部に可動自在に配置した棒状の攪拌体26が回転し、これにより、攪拌体26は、検体採取用担体19の採取部21を、衝打することになる。
【0042】
そのため、採取部21は、叩きつけられるような衝撃を受け、これによって、採取部21で採取した口腔内の細菌は、純水11内へと流出されることとなる(この細菌の純水11への流出時は、ロータ22を3000rpmの速度で1分間継続駆動する)。
【0043】
この時、採取部21は、叩きつけられた衝撃で上方に跳ね上げられることになるが、棒体20を支持する貫通孔21Aとの摩擦と、それ自体の自重によって、大きく上方に飛び出すことはなく、再び下方へと下がり、攪拌体26による回転駆動力が伝達されることになる。
【0044】
なお、この時、棒体20は、棒体20を支持する貫通孔21Aを頂点とした円錐を描くように運動することになる。その結果、採取部21は、攪拌体26による跳ね上げ力と、その後の自重による降下を繰り返しながら、容器6内の底面で円運動することになる。
【0045】
その結果として、採取部21で採取した口腔内の細菌を、純水11内へと、効率よく流出させられるものとなっている。
【0046】
また、棒体20は、この棒体20を支持する貫通孔21Aを頂点とした円錐を描くように運動することになるので、測定空間7内においては、採取部21の回転力のみならず、この採取部21に隣接する棒体20の回転力も、純水11を攪拌する力となり、この結果として、図8に示すごとく、測定空間7内における純水11は、上方の測定電極16、17にも十分到達する大きな攪拌作用が与えられた状態となる。
【0047】
そして、この流出動作の1分間が経過すると、ロータ22の回転速度を1200rpmに低下させた後に、測定電極16、17を用いた細菌の検出が行われる。
【0048】
本実施形態においては、この細菌の検出時には、測定電極16、17に集められた細菌が、この測定電極16、17から放出されないように、上述のごとく、ロータ22の回転速度を低下させている。
【0049】
しかし、このときでも、上述のごとく、棒体20は、この棒体20を支持する貫通孔21Aを頂点とした円錐を描くように運動することになるので、測定空間7内においては、採取部21の回転力のみならず、この採取部21に隣接する棒体20の回転力も、純水11を攪拌する力となり、この結果として、図8に示すごとく、測定空間7内における純水11は、上方の測定電極16、17にも十分到達する大きな攪拌作用が与えられた状態となる。
【0050】
したがって、純水11中に存在する細菌は、測定電極16、17に十分に回流し、そこに集められて、適切な測定が行われる。
【0051】
さて、この測定について図7を用いて説明を続けると、純水11内へと取り出された細菌を集めるために、電源部27によって交流電圧が測定電極3の端子14、15(図4)に印加される。すると、純水11内の細菌は、電圧印加による誘電泳動力により、プラスとマイナスに分極され、その結果として、その細菌は図5に示す櫛歯状の電極16、17部分に吸引されることになる。この時、電極16、17間に集まる細菌の数が多ければ、静電容量が大きくなる。
【0052】
図7の測定部4は、制御部28の指示により、この静電容量の大きさを測定してその結果を演算部29に送る。この演算部29では、測定部4の測定結果をもとに静電容量の変化率を求め、従来と同じ手法で細菌数に換算して、制御部28を介して表示部30へと表示をすることになる。
【0053】
なお、図7の操作部31は、以上の一連の動作に対する指示入力をするためのものである。
【0054】
以上のように、本実施形態における微生物数測定装置によれば、検体採取用担体19(例えば綿棒)で口腔内の細菌(微生物)を採取した後、この検体採取用担体19を容器6に収納すれば、後は、操作部31の操作によって容易に菌数を測定できるようになる。
【0055】
その結果として、使い勝手を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、上述のごとく、容器6の上面開口部を覆うキャップ18を設け、このキャップ18に形成した貫通孔21Aで支持部を構成しているが、このキャップ18は、その上面を、図8に示すごとく、その中央部が上方に突出する湾曲面で形成している。
【0057】
さらに、このキャップ18は、透明体により形成している。
【0058】
このため、キャップ18の下方から、棒体20を、その貫通孔21Aに貫通させる時には、この貫通作業がきわめて行いやすく、しかも、棒体20が、折れ曲がることもない。
【0059】
この点を、いま少し説明すると、この貫通作業時には、棒体20の上端は、キャップ18の湾曲面に当接しても、その湾曲面で、スムーズに貫通孔21Aに導かれることとなり、また、そのときの状態は、キャップ18が、透明体で形成されていることにより、目視確認でき、この結果として、貫通作業がきわめて行いやすく、しかも、棒体20が、折れ曲がることもない。
【0060】
このため、棒体20は、貫通孔21Aを頂点とした円錐を描くように滑らかに運動することになるので、測定空間7内においては、採取部21の回転力のみならず、この採取部21に隣接する棒体20の回転力も、純水11を攪拌する力となり、この結果として、図8に示すごとく、測定空間7内における純水11は、上方の測定電極16、17にも十分到達する大きな攪拌作用が与えられた状態となる。
【0061】
また、このキャップ18は、その上面を、図8に示すごとく、その中央部が上方に突出する湾曲面で形成しているので、棒体20の回転動作、および測定空間7の純水11上面の状態を目視確認するときに、その目視点と確認者の目を結ぶ面に、たとえば室内の照明器具が映らず、その結果として、この目視確認は、きわめて行い易いものとなる。
【0062】
さらに、本実施形態におけるキャップ18の貫通孔21Aの直径は、検体採取用担体19の下端部に設けた採取部21の直径よりも小さくしているので、つまり、採取部21の回転軸が小さいので、その回転動作が安定したものとなる。
【0063】
なお、このように、キャップ18の貫通孔21Aの直径は、検体採取用担体19の下端部に設けた採取部21の直径よりも小さくしているので、キャップ18の装着後に、その貫通孔21Aから、採取部21を無理やり挿入する誤使用により、細菌の測定が適切に行われなくなるのを防止することができる。
【0064】
すなわち、このように、キャップ18の装着後に、その貫通孔21Aから、採取部21を無理やり挿入すると、採取部21が貫通孔21Aに強くこすり着けられ、ここに採取した細菌が放出されてしまうので、このときには、細菌の測定が適切に行われなくなるのであるが、本実施形態のごとく、キャップ18の貫通孔21Aの直径を、検体採取用担体19の下端部に設けた採取部21の直径よりも小さくすれば、キャップ18の装着後に、その貫通孔21Aから、採取部21を無理やり挿入する誤使用は起こりにくく、その結果として、細菌の測定が適切に行われなくなるのを防止することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように本発明は、棒状の検体採取用担体の下端部に設けた採取部が、その上面開口部から挿入される容器と、この容器内の底面から上方に順次設けた測定空間、および液体収納空間と、前記測定空間の底面上に設けた攪拌体と、この測定空間の攪拌体上に設けた測定電極と、前記容器の測定空間外に設けられ、前記攪拌体を駆動する駆動部と、前記液体収納空間内に設けた液体とを備え、前記容器の上面開口部の上方には、前記棒状の検体採取用担体の外周を可動自在に支持する支持部を設けた構成としたものであるので、使い勝手を向上させることができる。
【0066】
すなわち本発明の微生物数測定装置は、下端部に採取部を有した棒体の検体採取用担体(例えば綿棒)を、例えば口腔内に差し込み、口腔内をなぞり、これにより口腔内の細菌(微生物)を綿棒の採取部によって採取し、この綿棒を容器の液体収納空間を貫通して測定空間に挿入する。また、この綿棒の容器上方部分は支持部で可動自在に支持するようにしている。
【0067】
そして、前記容器の底面上に設けた攪拌体を駆動部で駆動すれば、この攪拌体によって綿棒の採取部は、叩きつけるような衝撃を受け、これによって、採取部で採取した口腔内の細菌は、容易に容器内の液体へと流出されることとなるので、この測定空間に設けた測定電極によって、細菌の数を測定することができる。
【0068】
したがって、簡単に菌数を測定できるものとなり、その結果として、使い勝手を向上させることができる。
また、本発明においては、綿棒の外周を可動自在に支持する支持部を設けた構成としたものであるので、この支持部を支点として、それより下方の綿棒部分は、採取部と同様に回動することになる。
【0069】
このため、測定空間において、液体は十分に攪拌されることとなり、よって、駆動部による攪拌体の攪拌速度を高くしなくても、細菌を含んだ液体が、測定電極に適切に回流することとなり、この結果として、測定精度を高めることができる。
【0070】
また、駆動部による攪拌速度を高くして、細菌を含んだ液体の回流を促進した場合には、測定電極に集めた細菌を放出し、その結果として、測定値が変動することがあるが、本発明においては、上述のごとく、支持部を支点として、それより下方の綿棒部分を、採取部と同様に回動させるので、駆動部による攪拌体の攪拌速度を高くしなくても、細菌を含んだ液体が、測定電極に適切に回流することとなり、このようになれば、測定電極に集めた細菌が放出されることはなく、この点からも、測定精度を高めることができる。
【0071】
従って、口腔内空間の衛生管理に大きく貢献するものとなる。
【符号の説明】
【0072】
1 細菌測定用セル
2 装着部
3 測定電極
4 測定部
5 開口部
6 容器
7 測定空間
8 液体収納空間
9 第1の薄膜
10 第2の薄膜
11 純水
12 段部
13 フランジ
14 端子
15 端子
16 電極
17 電極
18 キャップ
19 検体採取用担体
20 棒体
21A 貫通孔
21 採取部
22 ロータ
23 磁石
24 磁石
25 モータ
26 攪拌体(金属棒)
27 電源部
28 制御部
29 演算部
30 表示部
31 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の検体採取用担体の下端部に設けた採取部が、その上面開口部から挿入される容器と、
この容器内の底面から上方に順次設けた測定空間、および液体収納空間と、
前記測定空間の底面上に設けた攪拌体と、
この測定空間の攪拌体上に設けた測定電極と、
前記容器の測定空間外に設けられ、前記攪拌体を駆動する駆動部と、
前記液体収納空間内に設けた液体とを備え、
前記容器の上面開口部の上方には、前記棒状の検体採取用担体の外周を可動自在に支持する支持部を設けた微生物数測定装置。
【請求項2】
容器の上面開口部を覆うキャップを設け、このキャップに形成した貫通孔で支持部を構成した請求項1に記載の微生物数測定装置。
【請求項3】
キャップは、下面開口部を有する筒状体とし、この筒状体の上面に貫通孔を形成した請求項2に記載の微生物数測定装置。
【請求項4】
キャップの上面をその中央部が上方に突出する湾曲面で形成し、この上面中央部に貫通孔を形成した請求項3に記載の微生物数測定装置。
【請求項5】
キャップの貫通孔の直径は、検体採取用担体の下端部に設けた採取部の直径よりも小さくした請求項1から4のいずれか一つに記載の微生物数測定装置。
【請求項6】
キャップを透明体により、形成した請求項1から5のいずれか一つに記載の微生物数測定装置。
【請求項7】
前記攪拌体は、前記検体採取用担体の採取部を衝打する構成とした請求項1から6のいずれか一つに記載の微生物数測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−103804(P2011−103804A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261537(P2009−261537)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】