説明

微生物検出方法および微生物計量装置

【課題】豆乳中の微生物を効率良く採取し、微生物を正確に検出し計量することを目的とする。
【解決手段】サンプル調製において、豆乳に試薬Aを添加し試薬Aと豆乳を反応させるため攪拌を行う。次に試薬Bを添加し反応させるため攪拌を行う。更に試薬Cを添加し攪拌、インキュベートを行ってサンプル調整完了となる。検体染色において、微生物採取用フィルタ7でサンプル調製後の液体を全量ろ過しフィルタ表面の微生物以外の残留成分をろ過滅菌水にて洗浄を行う。微生物を染色する試薬Dを、微生物採取用フィルタ7に滴下し微生物採取用フィルタ7全面に試薬Dを広げて染色を行い染色完了後、試薬Dの余剰試薬を洗浄し計測検体染色が完了する。計測においては、微生物採取用フィルタ7を計測装置の検査台6にセットし、微生物の計測が行われ計測完了となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳中の微生物検査を行うための微生物検出方法および微生物計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の微生物検査方法は、栄養成分が含まれる寒天培地に検体を0.1ml滴下しコンラージ棒にて塗抹する塗抹寒天培養法、寒天培地が固まらない状態で検体1mlを混釈する混釈培養法、液体培地にて検体を0.1mlもしくは1ml添加する液体培養法などで微生物を培養し、その増殖活性を検出する培養法が用いられている。培養法での検査は、現在最も広く利用されている微生物検出手段であるが、培養に24〜48時間かかること、培養条件(温度、時間、培地栄養成分)が一致しない微生物を培養することができないことなどが課題として挙げられる。
【0003】
また、メンブレンフィルターを使用して微生物を計量する方法として、アデノシン三リン酸(以下ATP)分解酵素を含む溶液をメンブレンフィルターに施した後、乾燥処理をしたメンブレンフィルターに検体中の微生物をろ過捕集し、必要であれば所要時間培養した後、ATPを抽出するための液体抽出試薬と発光試薬であるルシフェリン・ルシフェラーゼを霧状に噴霧することにより、ルシフェリンとルシフェラーゼがATPと反応して、1分子のルシフェリンの酸化によって1フォトンの発光をし、その発光を高感度CCDカメラで撮り込み微生物を計量していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表平9−512713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の微生物検査法である培養法は、検査の結果が得られるまでに24〜48時間またはそれ以上の培養時間が必要となり、生鮮食品などの製造あるいは製品出荷の段階で検査結果待ちを要し、時間的、経済的に大きなデメリットとなっており、場合によっては検査結果が判る前に出荷せざるをえないという課題があり、検体中の微生物数を計量するのに要する時間を短時間にすることが要求されている。
【0005】
また、検体中に微生物と同じように発光する蛍光異物等が含まれる検体の検査においては、微生物と同じように発光する蛍光異物等と微生物の蛍光との明確な差が得られず、正確な微生物数の計量ができないという課題があり、正確な微生物数を計量することが要求されている。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するものであり、検体中の微生物数を計量するのに要する時間を短時間に、また、メンブレンフィルターに捕集した微生物と異物を判別し、検体中の正確な微生物数を検出する微生物検出方法および微生物計量装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微生物迅速検出方法および微生物計量装置は上記目的を達成するために、豆乳成分と微生物を含みうる検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも微粒子化することにより微生物を検出できるようにしたことを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0008】
また、微生物をろ過抽出して検出する微生物検出方法としたものである。
【0009】
また、豆乳成分を0.2μm以下の微粒子化する微生物検出方法としたものである。
【0010】
また、豆乳成分を微粒子化した後に凝集を防止する微生物検出方法としたものである。
【0011】
また、凝集を防止するためにキレート剤を添加する微生物検出方法としたものである。
【0012】
また、キレート剤はヘキサメタリン酸水溶液である微生物検出方法としたものである。
【0013】
また、ヘキサメタリン酸の濃度を豆乳成分と微生物を含みうる検体に対して0.01〜10%を添加する微生物検出方法としたものである。
【0014】
また、アミド系非イオン性界面活性剤を添加した微生物検出方法としたものである。
【0015】
また、アミド系非イオン性界面活性剤の溶媒として分散性を高める有機系の溶剤を用いたとする微生物検出方法としたものである。
【0016】
また、豆乳成分と微生物を含みうる検体の粘度を低下させる温度を与えることを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0017】
また、タンパク分解酵素を添加したことを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0018】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を混合して添加する微生物検出方法としたものである。
【0019】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を添加後に、分解を促進する加温手段を用いることを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0020】
また、前記加温手段の温度を50〜60℃にすることを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0021】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素に1種類あるいは複数種類の粘性を下げるイオン系界面活性剤を添加する微生物検出方法としたものである。
【0022】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とイオン系界面活性剤の溶媒として水分を低減した脂肪酸エステル類の溶媒としたことを特徴とする微生物検出方法としたものである。
【0023】
また、微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、フィルタ表面上で微生物の性質が変化しないように、pHを調整する手段を備える微生物検出方法としたものである。
【0024】
また、微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、前記フィルタが表面形状の変形しないフィルタである微生物検出方法としたものである。
【0025】
また、微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、微生物採取用フィルタが色落ちしないフィルタである微生物検出方法としたものである。
【0026】
また、微生物採取フィルタ上に顔料を担持した微生物検出方法としたものである。
【0027】
また、微生物をろ過抽出する微生物採取用フィルタを備え、微生物採取用フィルタが暗色のフィルタである微生物検出方法としたものである。
【0028】
また、微生物採取フィルタ上に金、銅、クロム、白金、パラジウムから選ばれる少なくとも1種類の金属成分を含む薄膜が形成された微生物検出方法としたものである。
【0029】
また、微生物採取フィルタに上に捕捉した微生物を染色法で検知あるいはカウントする微生物検出方法としたものである。
【0030】
また、前記染色法が蛍光染色法である微生物検出方法としたものである。
【0031】
また、前記染色法が生細胞とのみ反応して生細胞のみを発色させる第1の試薬と、死細胞のみと反応して死細胞のみを前記発色と異なる波長で発色させる第2の試薬と、生死細胞のいずれとも反応して生死細胞のいずれも前記発色と異なる波長で発色させる第3の試薬と、微生物由来物質のその微生物に固有の物質と反応することで前記発色と異なる波長で発色する少なくとも1種類以上の第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を用いた微生物検出方法としたものである。
【0032】
また、前記第1の試薬と、第2の試薬と、第3の試薬と、第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を用いて微生物を染色した後、予め定められた波長域で励起光を照射する光源と、前記励起光によって照射されて発光する予め定めたれた波長域の光を前記微生物採取フィルタの設定した一定面積を受光する受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲で、かつ設定した面積の範囲であるものを微生物と判断する微生物判断手段と、前記微生物採取フィルタの1部あるいは全面積の発光点を確認するために、前記微生物採取フィルタあるいは受光手段を移動させる移動手段と、微生物判断手段によって微生物と判断した発光点1個と微生物1個と判断して、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有する微生物検出方法としたものである。
【0033】
また、受光手段が少なくとも、微生物の大きさが認識できる面積を有した複数個の光電変換素子である微生物計量装置としたものである。
【0034】
また、前記光源を1種類あるいは複数種類であり、予め定められた波長域を1種類あるいは複数種類であり、その1種類あるいは複数種類の波長域で照射された発光する光を予め定められた、複数種類の波長域の光を各々受光する受光手段と、各々の波長域での光量の比から発光した点あるいは面積を微生物と判断する微生物判断を有する微生物計量装置としたものである。
【0035】
また、前記複数種類の光源と複数の波長域を受光する受光手段を1種類あるいは設定した種類の前記光源および受光手段を切替て、設定した種類のみ波長域の光源と受光手段で微生物を検知する微生物計量装置としたものである。
【0036】
また、前記微生物判断手段によって、設定した面積以上のため微生物以外と認識された発光点の面積を順次積算あるいはその面積を1つと認識して順次個数を積算し、その総面積あるいは総個数が、設定した面積あるいは個数以上のときに注意を表わす注意手段を有した微生物計量装置としたものである。
【0037】
また、前記微生物判断手段によって微生物と判断した発光点1個の大きさから、微生物の固まりと判断して、固まりの大きさにおける微生物の数量を換算し、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有する微生物計量装置としたものである。
【0038】
また、前記微生物判断手段によって微生物と微生物の固まりを判断し、微生物数と、微生物換算数を表示する手段を備える微生物計量装置としたものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、豆乳成分を含む検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも微粒子化することができるようになり、フィルタろ過が可能になることで、微生物採取フィルタ上で微生物を捕集することが可能となり、短時間で微生物の検出および計量ができる。
【0040】
また、メンブレンフィルターに捕集した微生物と異物を判別し、検体中の正確な微生物数を検出および計量ができる。
【0041】
また、検体に界面活性剤を添加してもフィルタ形状を変形や脱色しないフィルタであるため、染色法あるいは蛍光染色法での測定であっても、微生物の検出および計量に影響を与えず精度良く微生物検出および計量ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の請求項1記載の微生物検出方法および微生物計量装置は、豆乳成分を含む検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも小さく微粒子化することにより、豆乳成分を濾液中に濾出し、排出し、豆乳成分中に含まれる微生物をフィルタ上で捕集し、微生物を検出することを特徴とする微生物検出方法としたものであり、効率良く簡単な構成で微生物を検出するという作用を有する。豆乳成分を微生物の大きさよりも小さく微粒子化するということは、豆乳成分を微生物の大きさよりも大きい微粒子を分離、溶解し、豆乳成分を微生物の大きさよりも小さく微粒子化することをいい、微粒子の周囲を溶かして微粒子を小さくしたり、凝集した微粒子を分散させ微粒子の固まりを小さくしたり、再凝集による豆乳成分が微生物の大きさよりも大きくなるのを防止する等、豆乳成分を微生物の大きさよりも小さくすれば良く、液化でも良い。
【0043】
また、微生物をろ過抽出して検出する微生物検出方法としたものであり、ろ過することで、検体量中の微生物の個数を計測することができるという作用を有する。
【0044】
また、豆乳成分を0.2μm以下の微粒子化にして微生物をろ過抽出する微生物検出方法としたものであり、夾雑物を除去し精度良く検体量中の微生物の個数を計測することができるという作用を有する。
【0045】
また、豆乳成分を微粒子化した後に凝集を防止する微生物検出方法としたものであり、微粒子化した測定検体を長時間放置しても計測することができるという作用を有する。
【0046】
また、凝集を防止するためにキレート剤を添加する微生物検出方法としたものであり、微粒子化した測定検体に性状を変化させず、長時間放置しても計測することができるという作用を有する。
【0047】
また、キレート剤はヘキサメタリン酸水溶液を添加することを特徴とする微生物検出方法としたものであり、微粒子化した測定検体に性状を変化させず、さらに検体中のカルシウムを特定してキレート化することで検体に含まれる微生物の形状の変化も抑え、長時間放置しても計測するという作用を有する。
【0048】
また、ヘキサメタリン酸の濃度を豆乳成分と微生物を含みうる検体に対して0.01〜10%を添加する微生物検出方法としたものであり、生乳中のカルシウムを特定してキレート化することで生乳検体に含まれる微生物の形状の変化も抑え、長時間放置しても計測するという作用を有する。
【0049】
また、アミド系非イオン性界面活性剤を添加したものであり、豆乳中の微生物以外の成分を微粒子化させるという作用を有する。
【0050】
また、アミド系非イオン性界面活性剤の溶媒として分散性を高める有機系の溶剤を用いた微生物検出方法としたものであり、検体との反応性を高め、微粒子化する時間を短縮できるという作用を有する。
【0051】
また、豆乳成分と微生物を含みうる検体の粘度を低下させる温度を与えることを特徴とする微生物検出方法としたものであり、検体との反応性を更に高め、短時間で処理できるという作用を有する。
【0052】
また、タンパク分解酵素を添加する微生物検出方法としたものであり、微生物以外のタンパク質を分解し、更に微生物のみを選別することができるという作用を有する。
【0053】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を混合して添加する微生物検出方法であり、検体と混合回数を減少させ、作業性を高めるという作用を有する。
【0054】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を添加後に、分解を促進する加温手段を用いることを特徴とする微生物検出方法としたものであり、検体との反応性を高め、微粒子化は勿論、微生物以外のタンパク質の分解を促進し、短時間で計測状態にするという作用を有する。
【0055】
また、加温手段の温度を50〜60℃にすることを特徴とする微生物検出方法としたものであり、酵素反応を高め、タンパク質の分解および溶解を促進し、計測検体の粘度を低下させ、ハンドリングを含め、検体の取扱いを容易にするという作用を有する。
【0056】
また、界面活性剤と1種類あるいは複数種類の粘性を下げるイオン系界面活性剤を添加した微生物検出方法であり、前記検体の粘性を下げるという作用を有する。
【0057】
また、アミド系非イオン性界面活性剤とイオン系界面活性剤の溶媒として水分を低減した脂肪酸エステル類の溶媒としたことを特徴とする微生物検出方法としたものであり、検体中の水分との反応を低下させ、様々な検体に対応することができるという作用を有する。
【0058】
また、微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、フィルタ表面上で微生物の性質が変化しないように、pHを調整する手段を備える微生物検出方法としたものであり、検出時の染色性を高め、感度良く微生物を検出することができるという作用を有する。
【0059】
また、微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、前記フィルタが表面形状の変形しないフィルタである微生物検出方法としたものであり、フィルタ表面の平面性を高め、微生物の検出位置を明確にし、検出・計測時の装置構成を簡略にすることができるという作用を有する。
【0060】
また、微生物採取用フィルタが、色落ちしない暗色のフィルタとした微生物検出方法であり、蛍光検出時バックグランドの輝度を抑え、感度を高くするという作用を有する。
【0061】
また、微生物採取用フィルタ上に、金、銅、クロム、白金、パラジウムから選ばれる少なくとも1種類の金属成分を含む薄膜が形成されたものである微生物検出方法であり、微
生物検出時に励起光を照射した際の光の反射を防止することができ、微生物の検出および計量を妨害することなく、正確に微生物の検出および計量するという作用を有する。
【0062】
また、微生物採取用フィルタ上に捕捉した、微生物を染色法あるいは蛍光染色法で検知あるいはカウントする微生物検出方法であり、発光した微生物を光学的に計量するという作用を有する。
【0063】
また、染色法が生細胞とのみ反応して生細胞のみを発色させる第1の試薬と、死細胞のみと反応して死細胞のみを前記発色と異なる波長で発色させる第2の試薬と、生死細胞のいずれとも反応して生死細胞のいずれも前記発色と異なる波長で発色させる第3の試薬と、微生物由来物質のその微生物に固有の物質と反応することで前記発色と異なる波長で発色する少なくとも1種類以上の第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を検体に接触させ、その波長差および発色量から生細胞と死細胞の両方またはいずれか一方を検出するという作用を有する。
【0064】
また、第1の試薬と、第2の試薬と、第3の試薬と、第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を用いて微生物を染色した後、予め定められた波長域で励起光を照射する光源と、前記励起光によって照射されて発光する予め定めたれた波長域の光を前記微生物採取フィルタの設定した一定面積を受光する受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲で、かつ設定した面積の範囲であるものを微生物と判断する微生物判断手段と、前記微生物採取フィルタの1部あるいは全面積の発光点を確認するために、前記微生物採取フィルタあるいは受光手段を移動させる移動手段と、微生物判断手段によって微生物と判断した発光点1個と微生物1個と判断して、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有するものであり、発光した物質と微生物を差別化し計量するという作用を有する。
【0065】
また、光源を1種類あるいは複数種類であり、予め定められた波長域を1種類あるいは複数種類であり、その1種類あるいは複数種類の波長域で照射された発光する光を予め定められた、複数種類の波長域の光を各々受光する受光手段と、各々の波長域での光量の比から発光した点あるいは面積を微生物と判断し検知するという作用を有する。
【0066】
また、複数種類の光源と複数の波長域を受光する受光手段を1種類あるいは設定した種類の前記光源および受光手段を切替て、設定した種類のみ波長域の光源と受光手段で微生物を検知するという作用を有する。
【0067】
また、微生物判断手段によって、設定した面積以上のため微生物以外と認識された発光点の面積を順次積算あるいは、その面積を1つと認識して順次個数を積算し、その総面積あるいは総個数が、設定した面積あるいは個数以上のときに検知し、注意を表わす手段を有する。
【0068】
また、微生物と判断した発光点1個の大きさから、微生物の固まりと判断して、固まりの大きさにおける微生物の数量を換算し、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有するものであり、検体中の微生物濃度を正確に計測することができるという作用を有する。
【0069】
また、微生物判断手段によって微生物と微生物の固まりを判断し、各項目に表示する手段を有するものであり、豆乳中の微生物濃度を正確に計測することができるという作用を有する。
【0070】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0071】
(実施の形態1)
例えば豆乳やまた、それを原料に含む各種食品があるが、豆乳に含まれる成分がフィルタでのろ過を行う場合にフィルタ細孔をふさぎろ過を阻害している。また、タンパク質などはそれ自体が蛍光物質となり、顕微鏡で観察する場合も、微生物との区別が難しく、また微生物を観察する上でも妨害をする。通常、微生物をメンブレンフィルタ法で測定するためには、0.2〜0.4μmのフィルタでろ過を行い、フィルタ上に捕集された微生物を顕微鏡で観察、あるいは、そのフィルタを培地上に載せて培養する。また、食品分野においては、目的とする微生物を捕集でき、且つ、ろ過に影響が少ない0.4μmの孔径を持つフィルタを用いられることが多い。つまり、豆乳をろ過するためには、豆乳に含まれる成分を細分化し0.4μm以下の微細な粒子あるいは、完全に溶かし(イオン状)微生物をろ過抽出することが必要になってくる。
【0072】
0.4μmのフィルタでろ過を行う場合、豆乳の成分を0.4μm以下にする必要があり、少なくとも0.2μm以下で、好ましくは0.1μm以下にする必要がある。もちろん、実際には粒子が一様に0.2μmになるわけでなく、ある正規分布を持って細かくなるため、少なくとも粒子の中心値が、0.2μm程度になることが望ましい。最大の粒径が0.2μm以下になれば、ほとんどのフィルタに対応できるため、中心値が0.1μm程度であれば、より望ましい。
【0073】
また、フィルタの種類はPP(Polypropylene)、PVC(Polyvinyl chloride) PC(Polycarbonate)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PVDF(Polyvinylidiene fluoride)、MCE(Mixed cellulose esters)、PES(Polyether sulfone)、NYL(Nylon)などがあり、これらのフィルタによっては、必ず0.4μm以下にしなければろ過ができないという訳でもなく、例えばMCEなどは細孔に柔軟性があるため、ろ過性能を良くするためにある種の界面活性剤だけを予めフィルタに滴下してろ過を行い、その後で加温(55℃)した豆乳をろ過することで、ろ過が可能になる。しかし、この方法の場合MCEの表面は凹凸していたり、細孔に微生物が埋まっていたりするため顕微鏡で観察する場合に正確さに欠ける。
【0074】
例えばPCの材質のように表面がフラット(±2μm以下、好ましくは±1μ以下)で、しかも、放射線を用いて穴をあけており、非常に均一な細孔があいているために、微生物がフィルタ上の表面に埋まることなく捕集されるため、通常用いられている。このようなフィルタは、細孔の柔軟性も悪く、かつ開口率も低いために、細孔以上の粒径の粒子があると、ろ過が困難である。但し、微生物以外の物質や成分を細孔以下の粒径の粒子にすればろ過が可能になり、表面の凹凸も少なく細孔に微生物が埋まることが無い為、その後の顕微鏡観察や特に自動化して機械的に測定する場合においても望ましい。
【0075】
また、豆乳の成分には、染色試薬や蛍光染色試薬と反応しやすい成分も含まれており、顕微鏡などで観察する場合、非常に難しく、熟練を要する。これらの成分も0.2μm以下にすることで、微生物との区別が可能になる。一般的な大腸菌や黄色ブドウ球菌などは0.5μm程度の大きさであるため、豆乳の成分を0.2μm以下にすることで、それらの粒子が染色されても大きさで区別が可能になる。0.1μmにすれば更に簡単に区別することが可能になる。但し、0.1μm以下にしても、それらの成分がフィルタ上に覆ってしまうとフィルタ全体が染色されたようになり、染色された微生物を探すのが難しい場合もあり、より正確に測定するためには、それらの成分を分解することが望ましい。
【0076】
また、0.4μmのフィルタを使用することで大腸菌や黄色ブドウ球菌が採取されることを顕微鏡観察にて確認した。その他セルチア菌のような小さな菌が存在する場合においては孔径0.2μmのフィルタを用いることで捕集が可能となる。
【0077】
そこで、豆乳成分を微粒子化するために各種界面活性剤を生乳と混合しPCフィルタの孔径0.4μmを用いて、ろ過性能および微粒子化の確認と各種界面活性剤に関して、計測を妨害するような成分が残存するかを確認した。その確認した結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
Tween20、Tween80、Triton X−100においては、反応処理後の液が有色透明な液になる場合と、ならない場合があることから安定した処理が行えない、また十分な反応が得られない場合においては、ろ過も困難になり処理液についても白濁した液となり大きな粒子が存在していると推測される。MEGA8、リポラン、RDA、SDS、においては、反応処理後の液が白濁し、ろ過も困難な状態であり成分の残留影響が大きく、計測に大きく影響してしまうことを確認した。アミド系非イオン界面活性剤においては安定して、ろ過が可能で、反応処理後の液も安定して透明な液に処理され、かつ計測を阻害するような物質がなくなることを確認し、豆乳成分を微粒子化するための界面活性剤として有効であることを見出した。通常、豆乳は白濁しているが、アミド系非イオン性界面活性剤と混合すると目視では透明になった。一般的にタンパク粒子が混在している場合、その粒子が小さくなるほど透明になる。粒子の量によっても変わるが、少なくとも0.2μm以下になっていると判断され、目視ではかなり透明になっているために、0.1μm程度まで微粒子されていると思われる。豆乳に含まれる成分は、エマルジョンになっていることが多く、本発明では、タンパク粒子を破壊したり、小さくする方法として界面活性剤を用いたが、ホモジナイズ、超音波などの物理的手段やpH変化などをさせる各種化学的な手法であっても、微生物を溶かしたり溶菌しない方法であれば良い。溶菌すると核酸が細胞膜や細胞壁より溶出し、検出することはできないことが有るためである。もちろん、微生物を損傷させない、影響を与えない方法が最良の方法であれば、染色あるいは蛍光染色する方法は、微生物の生死を判別する染め分けができるため、微生物の形を保持でき微生物表面を溶かしたり、溶菌しない方法であれば、測定することが可能である。
【0080】
また、アミド系非イオン界面活性剤は計測を妨害する成分はなく、且つ、微生物表面が溶けたり、溶菌しないことも確認できた。これは、粒子径が0.2μm以下になっており、顕微鏡下の目視で確認しても微生物とそれ以外の粒子と区別がつきやすいためである。
【0081】
また、アミド系イオン界面活性剤と反応した後に放置していると豆乳成分内の脂肪酸がカルシウムと再結合し、カルシウムを核として再凝集し、半透明に変化する場合があり、アミド系イオン界面活性剤と生乳が反応させると共にもしくは反応前後にカルシウムをキレートするキレート剤を添加することで、反応後も透明を維持することができる。キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸系(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、アミノエチルエチレングルコール(GEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHAヘキサメタリン酸)等があり、豆乳中の微生物に影響を与えない濃度として生乳液量の0.01〜10%程度の濃度を使用すると良い。
【0082】
但し、豆乳とキレート剤を反応した後にアミド系イオン界面活性剤と反応させても、豆乳中のタンパク質が多い場合は、タンパク質が残存し、計測するための微生物採取フィルタ上を覆う場合があり、蛍光染色を行うとタンパク質に蛍光試薬が残存し薄くではあるが発光する。微生物採取フィルタ上を覆う場合には、さらに酵素などでタンパク質を分解する手段を用いる場合もある。分解することでより精度良く測定することが可能である。
【0083】
タンパク分解酵素としては、プロテナーゼ、ペプチターゼ、トリプシノーゲン 、キモトリプシノーゲン等があり、活性点は異なるが、温度を与えタンパク質を分解することができる。
【0084】
また、豆乳にTritton X−100やその他の界面活性剤を使用した場合は、顕微鏡で形状判断すると微生物以外と思われる発光物が多数見られ、微生物との区別がつきにくく正確に微生物を検出計量することが難しいこともある。
【0085】
また、アミド系非イオン性界面活性剤の種類によっては、粘度が高いために豆乳の成分を微粒子にしてもろ過に時間がかかることがある。水では粘度が小さくならず、かえって白濁してろ過を困難にすることがある。その場合は、イオン系界面活性剤を更に加えることで粘性が低下してろ過性能が向上する。イオン系界面活性剤としては、5つに系別され、1)脂肪酸系(陰イオン)として、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、2)直鎖アルキルベンゼン系として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3)高級アルコール系(陰イオン)として、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、4)アルファオレフィン系として、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、5)ノルマルパラフィン系としてアルキルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられるが、アミド系非イオン性界面活性剤と化学反応などを起こさず、微生物を溶かしたり溶菌しない試薬であれば良い。
【0086】
また、豆乳内の水分の量により、アミド系非界面活性剤とイオン系界面活性剤の水溶液を混合すると再凝集を促進し白濁する場合があり、アミド系非界面活性剤とイオン系界面活性剤の水溶液量を低下させる必要がある。水溶液の代わりに脂肪酸エステルのグリセリンやプロピレングルコール等を用いることで、水分影響を低減し、再凝集を防止し白濁を防止することができる。
【0087】
ろ過した後、染色あるいは蛍光染色した微生物を顕微鏡で観察、自動化した装置で測定する場合、色落ちしない暗色のフィルタを用いることで、精度良く測定することが可能である。暗色とは、黒色あるいはそれに近い色であるが、顕微鏡で観察するときに白色光あるいは紫外光など試薬の特性に応じた特定の波長の光を照射した際に照射した光を吸収しない色であることを示している。上記に示したフィルタの材質は、白または白に近いものが多く、特に紫外線を照射したときに反射あるいは自家蛍光して測定が困難になることがある。フィルタは、水に濡れることで、反射は起こしにくくなるが、水に濡れた状態で反射が防止できていることが、フィルタの色としては重要である。通常フィルタの材料は、暗色であることが少ないため、黒または黒に近い灰色で着色が必要で、その方法としては、色落ちがしにくい顔料や墨汁などが望ましい。
【0088】
タンパク粒子を微粒子化する際に界面活性剤を用いると、界面活性剤の影響で色が落ちやすくなり、結果、フィルタの材料部分が露出して測定できなくなる。金、銅、クロム、白金、パラジウムなどから選ばれた金属の薄膜をフィルタ表面に蒸着などで被覆することで、反射を防止することができる。特に金は紫外線の反射率が低い。つまり、暗色とは、黒に近い色を示すとともに光の反射が少ないことを示す。また、界面活性剤のように溶かすような溶剤を用いても、上記金属が溶けてフィルタの材料が露出することもなく、従って、計測を妨害することがない。
【0089】
微生物を染色する方法としては、細胞若しくは微生物が付着した検体に第1の試薬である4´,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩と第2の試薬であるプロピュームイオダイドと第3の試薬である6−カルボキシフルオレセインジアセテートと第4の試薬である4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシドをそれぞれ混合した試薬を接触させる。生死細胞の核酸と結合した4´,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩は、励起波長359nmの時に励起波長を吸収して461nmの蛍光波長を発し生死細胞の発色させる。また死細胞の核酸と結合したプロピデュームイオダイドは、励起波長535nmの時、励起波長の光量を吸収して617nmの蛍光波長に変え死細胞のみを発色させる。
【0090】
また、他の蛍光試薬として生死細胞用蛍光発光試薬では、例えばYTO11〜SYTO16、SYTO20〜SYTO25、SYTO40〜SYTO45、SYTO17、SYTO59〜SYTO64、SYTO80〜SYTO85、DAPI、SYBRGreen、Hoechst33342、Hoechst33258、SYTO9とがある。また、死細胞細胞用蛍光発光試薬では例えばPropidium Iodide、SYTOXGreen、BOBO−1、YOYO−1、YO−PRO−1、TOTO−1、POPO−3、TO−PRO3、SYTOXBlue、SYTOXOrangeとがある。蛍光試薬によって、それぞれ励起光の波長を設定することで、試薬と反応した生死細胞、死細胞を蛍光発光することができる。
【0091】
また、生菌だけが有しているエステラーゼと反応するものや呼吸活性を検知できる試薬を用いて生菌だけを染色するもの、細胞膜を透過しないために細胞膜が損傷を受けて死んだ場合に、そこから透過してDNAなどの核酸と結合して染色することで死菌だけを染色するもの、同様にDNAなどの核酸と結合するもので、細胞膜を透過する性質であるため、生菌と死菌の両方を染色するもの、特定の微生物だけが代謝する特定微生物由来物質と反応することや特定の微生物とのみ反応する蛍光ラベルを有した抗体やマイクロファージで特定の微生物のみを染色するものなどがある。
【0092】
乳製品などの微生物検査を行う場合、サンプル量は多いほど良い。従来のブリード法では、0.01mlが最大であるため、ろ過ができることでサンプル量を0.1mlあるいは1ml以上が可能になり、菌濃度は1ml当たりの個数として測定するため、サンプル量が多ければ多いほど感度、精度が向上する。
【0093】
(実施の形態2)
図1は微生物計量装置の一態様を示す構成図である。この微生物計量装置は、光源集光手段としてのレンズ1、受光部2を含む。光源3から発せられた励起光から目的の波長を取り出すために励起光分光フィルタ4で分光する。分光された励起光はプリズム5を経て、光路を変化させられる。光路を変化させられた励起光はレンズ1を経て検査台6に設置された微生物採取用フィルタ7を含む部位、即ち、微生物採取用フィルタ7と台座8からなる組合せ体の微生物採取用フィルタ7の表面に集光される。そこで励起光によって励起された微生物が有する蛍光は、再びプリズム5を透過し、受光部2に到達する。受光部2に到達した蛍光は、目的の蛍光のみを取り出すために蛍光分光フィルタ9を経て、受光部に内蔵された光電変換素子10に到達し、信号化され、認識される。また、図に示していないが、この微生物計量装置は検査台6を移動する手段を備えており、微生物採取用フィルタ7の表面の蛍光発光を全て、若しくは一部を受光することができる。
【0094】
光電変換素子10に到達した461nmと617nmの蛍光において、生菌と死菌は461nmの蛍光発光しており、更に死菌は617nmでも蛍光発光しているので、微生物判断手段11により、微生物若しくは異物と光の波長の違いを蛍光分光フィルタ9で分光後目的の蛍光波長のみが取り出され光電変換素子10に到達し、励起波長359nmを吸収し励起されて461nmで蛍光発光しているものは生菌と死菌を含む微生物と判断され、励起波長535nmを吸収し励起され617nmで蛍光発光しているものは死菌と判断され、461nmと617nmの両方で蛍光発光してないものは異物と判断され、微生物と判断された蛍光は積算されて、その数量が計量される。微生物判断手段11としては、上記判断手順をプログラミングされたマイコン等がある。
【0095】
光源3より発生した励起光は、レンズ1によって集光されるが、その際レンズ1によって励起光を照射する範囲は微小な一定面積に集光される。この場合、微小な一定面積とは微生物の大きさに基づいて設定した場合、一辺0.2μm乃至7.0μm程度の範囲を指し示す。また、現在最も利用されている微生物検出手段の一つである寒天培地拡散法との比較に基づいた場合、寒天培地拡散法によって培養、増殖した微生物の集団によって形成されるコロニーは、その距離が近接している場合、コロニー同士が重なり合う場合があり、最終的に目視で確認した場合、一つのコロニーとして認識してしまう事例が生ずる場合がある。そこで、この場合の微小な一定面積とは、コロニー同士が重なり合わない距離に基づいた場合、一辺100μm乃至500μm程度の範囲を指し示す。つまり微小な一定面積とは、微生物判断手段11にて大きさで微生物と認識できる大きさである。受光部2は、複数の光電変換素子10でフィルタ全体を一度で画像として撮影しても良いし、微小(一辺が10μm以下)で1個の光電変換素子10で撮影後、ひとつひとつの画像を組合わせて、最終的に微生物の大きさを認識しても良い。
【0096】
レンズ1によって集光された励起光の照射時間は、蛍光を発する試薬の消光時間と励起光強度に依存する。試薬の種類によっては、自然界に存在する紫外光によっても分解する場合があり、2秒乃至300秒前後の範囲内で励起光を照射することが望ましい。
【0097】
発光を検出する際、光源3の波長の幅が広いものである場合は、励起光分光フィルタ4によって励起波長を調整、分光することが可能となる。励起光分光フィルタ4は、目的の検出対象に応じて変えられるため、様々な蛍光を発する試薬に対応できる。
【0098】
また、同時に、発光した蛍光波長の幅が広いものである場合は、目的の発光を検出するために蛍光分光フィルタ9を目的の検出対象に応じて変えることで様々な蛍光を発する試薬に対応できる。
【0099】
光源3としては、各種ダイオード、ハロゲンランプ、キセノンランプ、冷陰極管、レーザー、ブラックライト、水銀ランプなどが挙げられる。これらの光源のうち、最大励起波長が比較的限定されているダイオード、冷陰極管、ブラックライトなどは、前記励起光分光フィルタ4および蛍光分光フィルタ9を使用することなく実施できる場合がある。また、ハロゲンランプ、水銀ランプなどについては、励起光分光フィルタ4および蛍光分光フィルタ9を使用する必要がある場合がある。
【0100】
プリズム5およびレンズ1は、必要に応じてそれぞれ紫外光を透過する性質を有する。紫外光を透過する性質を有するものとしては石英ガラスなどが挙げられる。これにより紫外光で励起される試薬などにも対応できる。微生物採取用フィルタ7を含む部位を設置する検査台6は回転能を有する。レンズ1により集光された励起光は、微生物採取用フィルタ7の外周部より中心部へ、若しくは、中心部より外周部へ、半径分の距離を移動する。その際、レンズ1により集光された励起光の位置が外周部に存在するときと中心部に存在するときで検査台6の回転速度を変化させることによって、レンズ1により集光された励起光が外周部に存在するときと中心部に存在するときで励起された試薬が発した蛍光のずれ、残像および残光の発生を防止することができる。
【0101】
図1に示したように検査台6は微生物採取用フィルタ7を含む部位を嵌合させるための陥没部分(装置溝)を有し、ここに微生物採取用フィルタ7を含む部位をそのまま組み込むことができる形状としてある。なお、この際、例えば、検査台6に、微生物採取用フィルタ7がその上に位置するように金属平板を設け、微生物採取用フィルタ7が金属平板に押し付けられるような状態で組み込まれるようにすることで、検査台6上で微生物採取用フィルタ7が凹凸なく平滑に保持されるようにすれば、微生物採取用フィルタ7に捕集された微生物の定量をより確実なものにすることができる。
【0102】
なお、集光した位置を認識する手段を設けることでレンズ1によって集光された励起光の位置を認識し、集光が軌道から逸れないように、また、逸れた場合は再び軌道に戻すように設定されるものである。
【0103】
なお、励起光を照射する微小な一定面積は、正方形を含む多角形に限らず、円形、楕円形などでも可能であり、検体を照射できるものであればよい。
【0104】
なお、励起光もしくは蛍光を分光する手段として回折格子などを利用することも可能である。
【0105】
なお、検査台6の回転速度を調整することで蛍光の残像および残光を防ぐこととしたが、励起光を照射するレンズ1の移動速度を調整することで残像および残光を防ぐことも可能である。
【0106】
なお、集光した位置を認識する手段は、必ずしも励起光の集光位置を直接認識する必要は無く、微生物採取用フィルタ7上の軌道を把握するものであればよい。
【実施例1】
【0107】
図2は、本発明の豆乳成分と微生物を含みうる検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも微粒子化するためのフローチャートである。豆乳成分と微生物を含みうる検体として豆乳を用いた。
【0108】
豆乳成分を微粒子化する方法として、ステップ1にて豆乳を1ml採取し反応容器に抽入する。更に試薬Aを0.1ml添加する。ステップ2として液中で豆乳と試薬Aの接触が十分に行なわれるように液全体を撹拌器にて混合状態にする。試薬Aはヘキサメタリン酸を用いた。
【0109】
ステップ3として、ステップ2の混合液を0.1ml採取し試薬Bを0.8ml添加する。試薬Bはアミド系非イオン性界面活性剤のアミゾールを用いた。アミゾールの試薬は、豆乳に対して3%程度を混合した。ステップ4として液中で生乳とアミゾールの接触が十分に行なわれるように液全体を撹拌器にて混合状態にする。ステップ5により、豆乳中の成分が微粒子化され白濁していた液体が透明に近い液体となる。ステップ5として、更に微粒子化するための試薬Cを前記処理液に1ml添加する。試薬Cはタンパク分解酵素のプロテアーゼ(Bacillus licheniformis Protease)を用いた。プロテアーゼ濃度は、10%水溶液を用いる。ステップ6として、前記処理液(ステップ4処理液)とプロテアーゼの接触が十分に行われるように液全体を撹拌器にて混合状態にする。ステップ7として、プロテアーゼによる反応を活性させるためインキュベートを一定温度、時間にて行う。この時の温度は50℃〜60℃とするが、55℃前後が好ましい。また、処理時間においては3〜10分とするが3分前後が好ましい。ステップ8として、前記処理液を撹拌器にて混合し微粒子化処理完了となる。また、前記構成により白濁していた液体は黄色透明な液となり、豆乳成分が微粒子化されたこととなる。
【0110】
検体染色においては、ステップ9にて微生物採取用フィルタ7で前記処理液1.9mlを全量ろ過する。ステップ10にて微生物採取用フィルタ7表面の微生物以外の残留成分を生理食塩水3mlにて洗浄除去する。ステップ11にて、微生物採取用フィルタ7にて捕集された微生物を染色する蛍光染色試薬である試薬Dを0.1ml滴下し微生物採取用フィルタ7全面に試薬Dを広げて2分間染色を行う。試薬Dは微生物のDNAに結合し染色される試薬を用いた。ステップ12にて試薬Dの余剰試薬を生理食塩水にて0.1ml洗浄を行い検体染色完了となる。
【0111】
測定においては、ステップ13で微生物採取用フィルタ7を計測装置の台にセットする。この台については、微生物採取用フィルタ7を計測面にセットすることで平面になる状態に構成されており、それにより安定した計測が可能とすることができる。ステップ14にて微生物計量装置により、採取された豆乳中の微生物の計量が行われ計量完了となる。
【0112】
前処理完了後に蛍光染色して蛍光発光した画像を図5に示す。図に示すように、蛍光発光点の大きさは様々あり、微小な大きさは、顕微鏡にて観察した結果、菌体が1つのものであることが確認できた。微小な発光物以外の大きさの蛍光発光点は、菌体の固まった連鎖菌であることも確認できた。前処理完了後に微生物採取用フィルタで捕捉したものが、豆乳中の汚染を指標できることが、明確になった。
【0113】
図3に図1の微生物検査装置で撮影した1視野の画像について、微生物を計量するフロー図を示す。多数の視野を計測する場合には、このフローを繰り返し、フィルタ全体の面積と測定した面積(視野面積×視野数)の比に計測した微生物数を乗じることでフィルタ全体の微生物と算出することができる。
【0114】
本実施例の結果を図4に示す。従来法と本発明法との間に相関性があることが認められた。
【0115】
なお、実施例ではアミゾールと豆乳を混ぜた濃度を3%にしたが、0.03%から6%の範囲で使用しても、同様効果が得られる。
【0116】
なお、インキュベートについての加温方法については、本実施例では、記載していないが、恒温器、ヒータ、超音波や電子線等により、試薬と豆乳を加温できるものであれば、特に問題なく使用できる。
【0117】
なお、処理時間は3分程度が望ましいと記載したが、長時間処理しても特に混合物との性状を変化させることはない。
【0118】
なお、透明に近い液と記載したが、目視レベルにて青白いもしくは透き通ったものであり、0.2μm以下の微粒子となったものを示す。
【0119】
なお、実施例では、プロテアーゼの濃度を10%の水溶液を用いたが、1%〜15%の濃度を用いることでもよい。
【0120】
なお、実施例では、プロテアーゼの水溶液を用いたが、pHを5〜8にした溶液に溶かした溶媒を用いてよい。
【0121】
なお、実施例では、プロテアーゼの水溶液を用いたが、有機系溶媒として、プロピレングリコールや、グリセリンを用いても、性能に差異は与えない。
【0122】
なお、実施例では、ステップ10で洗浄除去を実施したが、特に微生物の計測の精度を低く設定する場合には、洗浄除去工程を省くことができる。
【0123】
なお、試薬Dは、微生物のDNAに結合し染色される試薬を用いたが、抗体反応や代謝酵素反応や呼吸器系の反応試薬を用いてもよい。
【0124】
なお、実施例では、試薬Dとして、単一の染色を実施したが、二重染色することもできる。
【0125】
なお、実施例では、余剰試薬の洗浄工程を記載したが、計測時のバックグランドに影響がなければ、余剰試薬を洗浄する工程を除くことができる。
【0126】
なお、実施例では、検体に豆乳を用いたが、豆乳成分を含む水溶液にも使用することができる。
【0127】
なお、混合時に撹拌器を用いて撹拌したが、試薬と検体が撹拌できれば特に差異はない。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の、豆乳成分と微生物を含みうる検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも微粒子化して微生物の検出を行う、微生物検出方法および微生物計量装置は、熟練した技能の必要がなく、誰でも容易に計測ができるため、より生産現場に近い所での品質管理に適用できる。また、近年、食品の品質レベルが向上しており、低い菌数レベルを、より迅速・高精度・簡単に微生物数を計量できる装置が求められており、従来の検査にかわる方法としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】微生物検出方法および微生物軽量装置の一態様を示す構成図
【図2】微生物検出方法および微生物軽量装置の反応構成を示すフローチャート
【図3】微生物検出方法および微生物軽量装置の計測フローチャート
【図4】微生物検出方法および微生物軽量装置の従来法との相関性を示すグラフ
【図5】微生物検出方法および微生物軽量装置の実施例1の蛍光発光画像の顕微鏡写真
【符号の説明】
【0130】
1 レンズ
2 受光部
3 光源
4 励起光分光フィルタ
5 プリズム
6 検査台
7 微生物採取用フィルタ
8 台座
9 蛍光分光フィルタ
10 光電変換素子
11 微生物判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳成分と微生物を含みうる検体において、豆乳成分を微生物の大きさよりも微粒子化することにより微生物を検出できるようにしたことを特徴とする微生物検出方法。
【請求項2】
微生物をろ過抽出して検出する請求項1記載の微生物検出方法。
【請求項3】
豆乳成分を0.2μm以下の微粒子化する請求項1または2記載の微生物検出方法。
【請求項4】
豆乳成分を微粒子化した後に凝集を防止する請求項1乃至3のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項5】
凝集を防止するためにキレート剤を添加する請求項4に記載の微生物検出方法。
【請求項6】
キレート剤はヘキタメタリン酸水溶液である請求項5記載の微生物検出方法。
【請求項7】
ヘキサメタリン酸の濃度を豆乳成分と微生物を含みうる検体に対して0.01〜10%を添加する請求項6記載の微生物検出方法。
【請求項8】
アミド系非イオン性界面活性剤を添加した請求項1乃至7のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項9】
アミド系非イオン性界面活性剤の溶媒として分散性を高める有機系の溶剤を用いた請求項8記載の微生物検出方法。
【請求項10】
豆乳成分と微生物を含みうる検体の粘度を低下させる温度を与えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項11】
タンパク分解酵素を添加する請求項1乃至10のいずれか記載の微生物検出方法。
【請求項12】
アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を混合して添加する請求項1乃至11のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項13】
アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素を添加後に、分解を促進する加温手段を用いることを特徴とする請求項12記載の微生物検出方法。
【請求項14】
加温手段の温度を50〜60℃にすることを特徴とする請求項13記載の微生物検出方法。
【請求項15】
アミド系非イオン性界面活性剤とタンパク分解酵素に1種類あるいは複数種類の粘性を下げるイオン系界面活性剤を添加する請求項1乃至14のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項16】
アミド系非イオン性界面活性剤とイオン系界面活性剤の溶媒として水分を低減した脂肪酸エステル類の溶媒としたことを特徴とする請求項15記載の微生物検出方法。
【請求項17】
微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、フィルタ表面上で微生物の性質が変化しないように、pHを調整する手段を備える請求項1乃至16のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項18】
微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、前記フィルタが表面形状の変形しないフィルタである請求項17記載の微生物検出方法。
【請求項19】
微生物をろ過抽出するため微生物採取用フィルタを備え、前記フィルタが色落ちしないフィルタである請求項17または18記載の微生物検出方法。
【請求項20】
微生物採取フィルタ上に顔料を担持した請求項18または19記載の微生物検出方法。
【請求項21】
微生物をろ過抽出する微生物採取用フィルタを備え、前記フィルタが暗色のフィルタである請求項18乃至20のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項22】
微生物採取フィルタ上に金、銅、クロム、白金、パラジウムから選ばれる少なくとも1種類の金属成分を含む薄膜が形成された請求項18乃至21のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項23】
微生物採取フィルタ上に捕捉した微生物を染色法で検知あるいはカウントする請求項17乃至22のいずれかに記載の微生物検出方法。
【請求項24】
染色法が蛍光染色法である請求項23記載の微生物検出方法。
【請求項25】
染色法が生細胞とのみ反応して生細胞のみを発色させる第1の試薬と、死細胞のみと反応して死細胞のみを前記発色と異なる波長で発色させる第2の試薬と、生死細胞のいずれとも反応して生死細胞のいずれも前記発色と異なる波長で発色させる第3の試薬と、微生物由来物質のその微生物に固有の物質と反応することで前記発色と異なる波長で発色する少なくとも1種類以上の第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を用いた請求項23または24記載の微生物検出方法。
【請求項26】
第1の試薬と、第2の試薬と、第3の試薬と、第4の試薬の中でいずれか1種類あるいは複数種類の試薬を用いて微生物を染色した後、予め定められた波長域で励起光を照射する光源と、前記励起光によって照射されて発光する予め定めたれた波長域の光を前記微生物採取フィルタの設定した一定面積を受光する受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲で、かつ設定した面積の範囲であるものを微生物と判断する微生物判断手段と、前記微生物採取フィルタの1部あるいは全面積の発光点を確認するために、前記微生物採取フィルタあるいは受光手段を移動させる移動手段と、微生物判断手段によって微生物と判断した発光点1個と微生物1個と判断して、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有する請求項25記載の微生物検出方法を行うための微生物計量装置。
【請求項27】
受光手段が、少なくとも微生物の大きさが認識できる面積を有した複数個の光電変換素子である請求項26記載の微生物計量装置。
【請求項28】
光源を1種類あるいは複数種類であり、予め定められた波長域を1種類あるいは複数種類であり、その1種類あるいは複数種類の波長域で照射された発光する光を予め定められた、複数種類の波長域の光を各々受光する受光手段と、各々の波長域での光量の比から発光した点あるいは面積を微生物と判断する微生物判断を有する請求項26または27記載の微生物計量装置。
【請求項29】
複数種類の光源と複数の波長域を受光する受光手段を1種類あるいは設定した種類の前記光源および受光手段を切替て、設定した種類のみ波長域の光源と受光手段で微生物を検知する請求項26乃至28のいずれかに記載の微生物計量装置。
【請求項30】
微生物判断手段によって、設定した面積以上のため微生物以外と認識された発光点の面積を順次積算あるいはその面積を1つと認識して順次個数を積算し、その総面積あるいは総個数が、設定した面積あるいは個数以上のときに注意を表わす注意手段を有した請求項26乃至29のいずれかに記載の微生物計量装置。
【請求項31】
微生物判断手段によって微生物と判断した発光点1個の大きさから、微生物の固まりと判断して、固まりの大きさにおける微生物の数量を換算し、順次積算することで、微生物の数量を積算する手段を有する請求項26乃至30のいずれかに記載の微生物検出方法を行うための微生物計量装置。
【請求項32】
微生物判断手段によって微生物と微生物の固まりと体細胞と判断し、微生物数と、微生物換算数と体細胞数を表示する手段を備える請求項26乃至32のいずれに記載の微生物検出方法を行うための微生物計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−247331(P2009−247331A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103337(P2008−103337)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】