説明

微生物燃料電池からの電力を刺激および管理するための方法および装置

本開示の進歩的な側面は、一般的に燃料電池および、特に燃料を酸化するために微小生物(微生物)を使用することができる燃料電池に関する。ある側面は、比較的上昇した温度で稼働する燃料電池に向けられている。例えば、かかる温度は燃料電池内の微生物の代謝によって増大し得る。上昇した温度は、例えば、真空ジャケットなどの断熱材を使用することによって、達成し得る。微生物代謝はまた、本発明のいくつかの側面において、微生物を、育成剤、窒素源、バイオマスなどの成長促進剤に曝露することによって、増大し得る。本発明のいくつかの態様において、微生物は嫌気性または微好気性であり、例えば土壌、たい肥、泥炭、下水、湿原、廃水、または他の有機物豊富な基質から得ることができる。他の進歩的側面は、微生物燃料電池などの燃料電池で使用される、新規な電極に関する。いくつかの場合において、電極は柔軟および/または多孔質であってよい。ある態様において、性能を増大するため、電極は、例えば酸および/またはバイオマスによって処理されてよい。かかる処理は微生物の代謝を促進する。さらに他の進歩的な側面は、微生物燃料電池などの燃料電池の、アノードとカソードとの間のプロトン交換インターフェースに関する。プロトン交換インターフェースはプロトンおよび/または気体が通過することを許容するが、いくつかの場合において、アノードとカソードとの間の混合を最小化または排除することができるように、デザインされてよい。さらに他の進歩的な側面は、一般的に、微生物燃料電池を含む、かかる燃料電池を利用するためのエネルギー管理システムに関する。さらに他の側面は、複数の燃料電池(一つの容器または別々の容器に入れられていてよい)が、継続的な負荷下における個別の微生物燃料電池の合計よりも大きな、正味の電力出力を持続することができる、スイッチングシステムに関する。いくつかの場合において、エネルギー管理システムは、通常の稼働電圧が、様々な瞬間および平均の電力要求を有する様々な負荷へ提供され得るように、燃料電池からのエネルギーを貯蓄および管理することができる。他の進歩的な側面は、かかる燃料電池および燃料電池構成部を形成する技術、かかる燃料電池を使用する技術、かかる燃料電池を伴うシステムなどに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、Girguisらによる米国仮出願第60/845,921号、出願日2006年8月20日、発明の名称「高性能な好熱性微生物燃料電池」、Girguisらによる米国仮出願第60/914,025号、出願日2007年4月25日、発明の名称「微生物燃料電池からの電力供給のための方法および装置」、およびGirguisらによる米国仮出願第60/914,108号、出願日2007年4月26日、発明の名称「微生物燃料電池からの電力活性化および維持のための方法および装置」の利益を主張する。これらの各出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に燃料電池、特に微生物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0003】
微生物燃料電池は、微生物代謝の力を役立てて電気を発生するデバイスである。今日まで、微生物燃料電池は、研究室培地、下水処理場、および陸成層ならびに海底堆積物を含む様々な環境において試験され、電力を産生することが示されてきた。ほとんど全てのこれらの先行システムは、同等の電力、典型的には30mW/m〜150mW/電極表面mを継続的に(つまり、一定の負荷の下で稼働させた場合)産生する。ほぼ全てのこれらのシステムにおいて、アノードとカソードとの間の電位差は、100mVから700mVである。これは、これらの微生物燃料電池において利用されている化学的状態、通常は酸素の豊富なカソード環境および酸素の豊富なアノード環境、に起因する。
【0004】
本発明者らは、利用可能な有機炭素を増大すること、微生物とアノードとの間の電子の往復を助ける天然の電子伝達物質の産生を刺激すること、異化の副生成物として発生する熱を保持すること、または基質の利用可能性を増大するためにアノードおよびカソードの周りに流体を循環させることによって、電流を増大させることに主に焦点を合わせた。したがって、微生物燃料電池デザインにおける改良が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般的に、微生物燃料電池を含む、燃料電池に関する。本開示の主題は、場合によっては、相関のある産生物、特有の問題への代替案、ならびに/あるいは1または2以上のシステムおよび/もしくは物品の、多数の使用を伴う。
【0006】
1つの側面において、本開示は物品である。第一の態様のセットにおいて、物品は、燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池、および燃料電池を少なくとも部分的に取り囲む断熱材を含む。他の態様のセットにおいて、物品は、アノード、カソードおよび電解質を含有する燃料電池であって、少なくとも燃料電池が約30℃の作動温度を有し、燃料電池が受動的におよび/または能動的にその作動温度を操作するように構築および配置されたものを含む。他の態様のセットにおいて、物品は、燃料を酸化することができる微生物を含有するチャンバーを含有する燃料電池であって、微生物を含有するチャンバーの温度が少なくとも約30℃であるように、微生物が燃料を酸化する際に微生物が産生する熱を受動的に保持するように構築および配置されたものを含む。
【0007】
1つの態様のセットにおいて、物品は、微生物が少なくとも約50℃の温度に曝露された際に、燃料を酸化できる微生物を含有する燃料電池を含む。他の態様のセットにおいて、物品は、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池であって、その微生物が電極を含有する区画に含有され、燃料電池が電極表面に対して少なくとも約0.5W/mまたは少なくとも約1W/mの電力を産生可能なものを含む。
1つの態様において、物品は、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池であって、燃料電池が実質的に球形の形状を有しているものを含む。
【0008】
さらに他の態様のセットにおいて、物品は、粒子、例えば石英および/またはジルコニウムなどの無機物粒子など、を含有するプロトン交換インターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含有する燃料電池を含む。さらにまた他の態様のセットにおいて、物品は、約500マイクロメートル未満の平均粒子径を有する粒子、例えば約50マイクロメートルおよび約500マイクロメートルの間の平均粒子径を有する粒子を含有するインターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含有する燃料電池を含む。粒子は天然および/または合成に由来するものであってよい。
【0009】
他の態様のセットにおいて、物品は、非重合性および/または非一体的なプロトン交換インターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含有する燃料電池を含む。さらに他の態様のセットにおいて、物品は、それを通じた気体の伝達を許すがそれ自体は伝導性でないインターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含有する燃料電池を含む。さらに他の態様のセットにおいて、物品は、1または2以上のメッシュスクリーンによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含有する燃料電池を含む。
【0010】
1つの態様のセットにおいて、物品は、インターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を有し、アノード区画が、例えばカソード区画から、密閉されているものを含む。いくつかの場合において、連続性は、いくつかの場合において調節し得る1または2以上のポートを通して維持することができる。いくつかの場合において、アノード区画は導管を通して大気と気体の連絡を有し、インターフェースを通してカソード区画と気体の連絡を有する。
【0011】
1つの態様のセットにおいて、物品は、土壌の種菌を含有する燃料電池を含む。他の態様のセットにおいて、物品は、嫌気性微生物の集団を含有する燃料電池を含む。さらに他の態様のセットにおいて、物品は、Oではない末端電子受容体に電子を伝達することができる微生物を含有する燃料電池を含む。
【0012】
さらに他の態様のセットによれば、物品は、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池を含み、その燃料電池は、グラファイト、炭素繊維、または他の伝導性構成成分または材料を含有する柔軟性のある電極を含有してもよい。
【0013】
他の態様のセットにおいて、物品は、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池であって、非伝導性材料、および該非伝導性材料を少なくとも部分的に取り囲む伝導性被覆を含有する電極を含有するものを含む。物品は、さらに他の態様のセットによれば、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池を含み、いくつかの場合において、燃料電池は柔軟性のある多孔質の電極を含有する。1つの態様のセットにおいて、物品は、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池であって、複数のメッシュスクリーンを含有する電極を含有するものを含む。
【0014】
物品は、さらに他の態様のセットによれば、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池であって、金属、およびグラファイトを含有する伝導性被膜を含有する電極を含み、その伝導性被膜が少なくとも部分的に金属を取り囲んでいるものを含む。
【0015】
1つの態様のセットにおいて、物品は、アノードおよびカソードを含有する燃料電池であって、そのアノードが酵母を含有し、そのカソードが貴金属を含有するものを含む。物品は、他の態様のセットによれば、アノードおよびカソードを含有する燃料電池であって、そのアノードが硝酸塩を含有し、そのカソードが貴金属を含有するものを含む。さらに他の態様のセットにおいて、物品は、アノードおよびカソードを含有する燃料電池であって、そのアノードが酵母および電力産生に貢献できる他の微生物に曝露され、そのカソードは貴金属を含有するものを含む。物品は、さらに他の態様のセットによれば、アノードおよびカソードを含有する燃料電池であって、そのアノードが、電力産生に貢献するための他の微生物のための複合炭素分解を刺激するために硝酸塩などの少量の他の酸化体に曝露される電極を含有し、そのカソードが貴金属を含有するものを含む。
【0016】
さらに他の態様のセットにおいて、物品は、アノードを含む区画を含有する燃料電池であって、その区画が、微生物、および少なくともいくつかの微生物とアノードとの間の電気的連絡を形成するナノワイヤーを含むものを含む。いくつかの場合において、区画内の電極はナノワイヤーの成長を促進し得る。
【0017】
1つの態様のセットにおいて、物品は、アノードを含む第1の区画およびカソードを含む第2の区画を含有する燃料電池を含む。第1の区画は、バイオマスを含む燃料を酸化することができる嫌気性微生物の集団を含む土壌の種菌を含んでもよい。いくつかの場合において、最初と第2の区画は非重合性プロトン交換インターフェースによって分離されており、アノード区画は密封されていてもよく、導管を通して大気と気体の連絡を有していてもよく、非重合性プロトン交換インターフェースを通してカソード区画と気体の連絡を有していてもよい。
【0018】
本開示の他の側面は方法に向けられている。1つの態様のセットにおいて、方法は、バイオマスを直接酸化するために微生物を利用する燃料電池から電力を取り出す方法である。
方法は、1つの態様のセットによれば、少なくとも約50℃の温度に燃料電池を熱するために、燃料電池内でバイオマスを酸化する活動を含む。他の態様のセットにおいて、方法は、肥料、石灰、木炭、および/または1または2以上の遊離アミノ酸を、燃料を酸化するために微生物を利用する燃料電池に供給する活動を含む。
【0019】
1つの態様のセットにおいて、方法は、グラファイト含有材料を電極状に塗布および/またはスプレーする活動、および電極を燃料電池内に設置する活動を含む。方法は、他の態様のセットによれば、電極をリン酸および/または硫酸に曝露する活動、酸から電極を取り除く活動、燃料電池内に電極を設置する活動、および燃料電池から電流を取り出す活動を含む。さらに他の態様のセットにおいて、方法は電極を少なくとも約8時間の間酸に曝露する活動、電極を酸から取り除く活動、電極を燃料電池内に設置する活動、および燃料電池から電流を取り出す活動を含む。
【0020】
方法は、さらに他の態様のセットによれば、電極を第1のバイオマスに曝露する活動、および電極を、第2のバイオマスを酸化するように構築および配置された燃料電池内に設置する活動を含む。他の態様のセットにおいて、方法は、微生物を利用してバイオマスを少なくとも部分的に酸化する活動、少なくとも部分的に酸化されたバイオマスを電極に曝露する活動、および電極を燃料電池内に設置する活動を含む。方法は、さらに他の態様のセットによれば、電極を硝酸塩および/またはメチルアミンに曝露する活動、電極を貴金属に曝露する活動、および電極を燃料電池内に設置する活動を含む。
【0021】
1つの態様のセットにおいて、方法は、燃料電池内に含まれる微生物に繊毛または生物学的ナノワイヤーの形成を起こさせるまたは刺激する活動を含む。他の態様のセットにおいて、方法は、電極および微生物を含む区画を含有する燃料電池を供給する活動、および複数の微生物と電極との間の直接的な電気的接続を形成する活動を含む。
【0022】
他の側面において、本開示は、本明細書に記載の1または2以上の態様、例えば微生物燃料電池、を作成する方法に向けられている。他の側面において、本開示は、本明細書に記載の1または2以上の態様、例えば微生物燃料電池、を使用する方法に向けられている。
【0023】
他の態様は、少なくとも1つの微生物燃料電池のための電力変換装置に向けられており、該電力変換装置は、少なくとも1つの微生物燃料電池のカソードおよびアノードからエネルギーを受け取るための入力エネルギー貯蓄デバイス、少なくとも1つの微生物燃料電池のアノードおよびカソードの少なくとも1つと、前記少なくとも1つの微生物燃料電池のアノードとカソードとの間の電位差に少なくとも部分的に基づいて変圧器の一次巻線とを連結するスイッチング回路を含む。さらに他の態様は、1つの微生物燃料電池のアノードおよびカソードの少なくとも1つと、1つの微生物燃料電池の別のアノードおよびカソードとの間を、正味の電力出力を少なくとも25%から500%以上まで増大させるのに十分な比率(rate)で循環するスイッチング回路に向けられている。
【0024】
他の態様は、少なくとも1つの微生物燃料電池のためのエネルギー管理装置に向けられており、この装置は、以下:少なくとも1つの微生物燃料電池から供給される第1のエネルギーを貯蓄するための、少なくとも1つの第1のエネルギー貯蓄部;少なくとも1つの第1のエネルギー貯蓄部を通る第1の電圧と第1の設定点とを比較するための、少なくとも1つの第1のエネルギー貯蓄部に連結されるコンパレータ回路であって、コンパレータ回路の出力が、第1の電圧が第1の所定のレベルであるかまたはそれ以上であるときに、第1の論理状態から第2の論理状態に変化し、コンパレータ回路の出力が、第1の電圧が第2の所定のレベルであるかまたはそれ以下であるときに、第2の論理状態から第1の論理状態に変化するような、第1の設定点以上の第1の所定のレベルおよび第1の設定点以下の第2の所定のレベルによって定義されるヒステリシスウィンドウを実装するように構成された前記コンパレータ回路;前記コンパレータ回路に繋がり、第1の電圧を、第1の電圧より高い第2の電圧に変化するための電圧変換回路であって、第2の論理状態に応答して活性化し、第1の論理状態に応答して不活性化する前記電圧変換回路;および、前記電圧変換回路に繋がる、第2の電圧によって供給される第2のエネルギーを貯蓄するための少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部であって、負荷(load)の電力を出力する前記蓄電部、を含む。
【0025】
他の態様は、少なくとも1つの微生物燃料電池を、少なくとも1つの微生物燃料電池からかなりの電流を取り出す負荷と断続的に繋げることを含む、少なくとも1つの微生物燃料電池のための電力管理方法に向けられている。
【0026】
他の態様は、少なくとも1つの微生物燃料電池のための電力管理装置に向けられており、該装置は、カソードおよびアノードからの第1のエネルギーを受け取る少なくとも1つの入力エネルギー貯蓄デバイス、少なくとも1つの微生物燃料電池のアノードとカソードとの間の電位差に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの微生物燃料電池のアノードおよび/またはカソードと負荷とを断続的に連結させるスイッチング回路を含む。
【0027】
本開示の他の優れたおよび新規な特徴は、付随する図と併せて考慮したときに、以下の、本開示の様々な限定されない態様の詳細な説明によって明示される。本明細書および参照によって組み込まれた文書が競合するおよび/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が制御するものとする。参照によって組み込まれた2または3以上の文書が、お互いについて競合するおよび/または矛盾する開示を含む場合、後の効果日を有する文書が制御するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の限定されない態様は、図式的であって、縮小されたものを意図しない付随する図を参照して、実施例として記載されている。図中において、描かれた各同一のまたはほぼ同一の部分は、典型的に1つの番号によって表されている。明確化の目的で、全ての部分が全ての図においてラベルされているわけではなく、当業者が開示を理解するのに図示が必要ではない場合には、本開示の各態様の全ての部分が示されているわけではない。図中において:
【0029】
【図1】図1は、本開示の1つの態様の燃料電池の反応を示す図式的ダイアグラムである。
【図2】図2は、本開示の他の態様による、微生物燃料電池を示す。
【図3】図3は、本開示の他の態様による、他の微生物燃料電池を示す。
【図4】図4は、本開示のさらに他の態様による、他の微生物燃料電池を示す。
【0030】
【図5】図5は、本開示の1つの態様による、エネルギー管理装置を描いたブロック図である。
【図6】図6は、本開示の1つの態様による、マイクロプロセッサとともに使用するためのエネルギー管理装置を描いたブロック図である。
【図7】図7は、本開示の他の態様による、図6に示されたものと類似のエネルギー管理装置の詳細な回路略図である。
【0031】
【図8A】図8Aは、本開示の1つの態様による、自動スタート電源回路を含むエネルギー管理装置の詳細な回路略図である。
【図8B】図8Bは、本開示の1つの態様による、自動スタート電源回路を含むエネルギー管理装置の詳細な回路略図である。
【図9】図9は、本開示の1つの態様による、時間にわたる微生物燃料電池の電力出力のプロット、および十分な電力が燃料電池から取り出される典型的な期間を評価するための1または2以上のエネルギー蓄電部の充電率を描いたグラフである。
【0032】
【図10】図10は、本開示の1つの態様による、多数の微生物燃料電池の負荷バランシングまたは順次的なローディング(loading)の有効性を実証する比較プロットを示したグラフである。
【図11】図11は、本開示の1つの態様による、多数の微生物燃料電池の負荷バランシングを実行するタイミング回路の詳細な回路略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、一般的に、燃料電池および、特に燃料を酸化するために微生物を利用することができる燃料電池に関する。本開示のある側面は、比較的高い温度で作動する燃料電池に向けられている。かかる温度は、例えば、燃料電池内の微生物の代謝を増大することができる。高い温度は、例えば、真空ジャケットなどの断熱材を使用することによって達成され得る。微生物の代謝は、本開示のいくつかの側面において、微生物を肥料、窒素源、バイオマスなどの成長促進剤に曝露することによって向上され得る。微生物は、本開示のある態様において、嫌気性または微好気性であってよく、例えば土壌、たい肥、ピート、下水、沼地、廃水、または他の有機物に富む材料から獲得することができる。1つの態様において、システムは、例えば繊毛または生物学的ナノワイヤーを形成することによって、電極と直接的な電気的接続を形成することができる微生物を刺激および/または維持する。電極は、いくつかのケースにおいて、柔軟性があるおよび/または多孔質であってよい。ある態様において、電極は、性能を向上するために例えば酸および/またはバイオマスなどで処理されてよい。かかる処理は、微生物の代謝を促進し得る。
【0034】
本開示のさらに別の側面は、例えば微生物燃料電池などの、燃料電池内におけるアノード及びカソードの間のプロトン交換インターフェースに関する。プロトン交換インターフェースは、プロトンおよび/または気体が通過できるが、いくつかのケースにおいて、アノード及びカソードの間の混合を最小化または排除できるようにデザインされてよい。1つの態様のセットにおいて、プロトン交換インターフェースは、任意にメッシュフィルターによって保持されている、粒子(例えば砂などの無機物粒子、ポリマー性粒子、または他の電気的に絶縁された粒子)を含んでいる。いくつかのケースにおいて、プロトン交換インターフェースは、例えば約500マイクロメートルの平均粒子径を有するポリマー性またはガラスまたはジルコニウムビーズなど、合成材料または粒子を含む。ある事例において、かかる粒子は、比較的高密度のビーズベッド(bead bed)内に容易に充填することができる。
【0035】
本開示のさらに別の側面は、一般的に、微生物燃料電池を含む燃料電池とともに利用される電力変換器に関する。さらに他の側面は、複数の燃料電池(1つの容器の中または別個の容器に収納されてよい)が、一定の負荷下で個別の微生物燃料電池の合計よりも大きな正味の電力出力を持続することができるようにするための、スイッチングシステムに関する。いくつかの場合において、電力変換器は、最初に低い電力が燃料電池から産生される態様においてであっても、必要に応じて比較的高い電力を産生できるように、エネルギーを蓄電することができる。本開示の他の側面は、かかる燃料電池及び燃料電池部品を形成するための技術、かかる燃料電池を使用する技術、かかる燃料電池を伴うシステム、などに関する。
【0036】
本開示の様々な側面は、一般的に、燃料電池または同様の稼働原理を使用する他の電気化学的デバイス、例えば電子を産生するために燃料を酸化することが可能な他の電気化学的デバイス、に向けられている。燃料電池は、燃料の燃焼なしで燃料を電気的エネルギーに変換するデバイス(たとえ燃料電池が、同一の燃料の燃焼によってエネルギーを導き出すデバイスと連動して使用可能であっても;殆どの燃料電池はそうではない)である。典型的な燃料電池は、二つの電極、アノードおよびカソード、アノードおよびカソード両方に接触する電解質、デバイスで作り出された電力が取り出される、アノードとカソードとを連結させる電気的回路を含む。アノードおよびカソードは、典型的には、分離した区画に含まれ、それはインターフェースまたはバリアによって分離されてよい。いくつかの場合において、燃料電池は、例えば同一のまたは異なる区画中に、複数のアノードおよび/またはカソードであって、順次及び/または平行して稼働され得るもの、を含んでもよい。
【0037】
典型的な稼働において、酸化剤(例えば酸素、または大気中の酸素)が、燃料電池のカソードに供給され、還元されて例えば水を形成し、一方、アノード内の燃料は酸化され、例えばCO、Hおよび/または電子を産生する。電子は、電流コレクタ、または他の電気的回路の部品によってアノードから取り除かれてもよく、それが電流をもたらす。全体の反応はエネルギー的に有益である、つまり反応は、電子を駆動するエネルギーまたは電力という形態で、アノードから電気的回路を通して、カソードへとエネルギーを差し出す。このエネルギーは、本質的にあらゆる目的で、例えば即時の使用および/または後の使用のための貯蓄のために、捕捉できる。
【0038】
燃料電池はあらゆる適した材料から作られてよい。例えば、1つの態様のセットにおいて、燃料電池、または、アノード区画など燃料電池の一部は、非伝導性材料から、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタラートなどのあらゆるポリマーから、作ることができる。他の態様のセットにおいて、燃料電池(またはその一部)は、セラミック、ガラス、木材および/または、例えばテフロン(登録商標)コートされたアルミニウム、ポリマーコートされた鋼鉄、グラスライニングステンレス鋼などの金属(これは断熱材または電気絶縁体でされていてもされていなくてもよい)など、断熱性および/または非伝導性の材料から形成されてよい。下記で詳説するように、本開示のいくつかの態様において、断熱材は、燃料電池内での熱の管理または保持に有用であり、これは、微生物による代謝またはその効率をより高くし、および/または高い電力出力をもたらし得る。
【0039】
本開示のいくつかの側面において、燃料電池は微生物燃料電池(または「MFC」)、つまり、典型的には酸化プロセスを経由して、燃料の燃焼無しで燃料を電気的エネルギーに変換するために、微生物を使用する燃料電池である。1つの態様のセットにおいて、微生物燃料電池は、それぞれ異なる区画に内在するアノードおよびカソードを含む。カソードは酸素が潤沢な(つまり好気的環境の)、および/または、硝酸塩、硫酸塩、酸化鉄または酸化マグネシウムなどの水溶性酸化剤の存在する区画に置かれてよく、同時にアノードは、酸素の欠乏した(つまり嫌気的環境の)、および/または、これに限定するものではないが、硝酸塩、硫酸塩、酸化鉄、酸化マグネシウムなどの水溶性酸化剤を含む他の酸化剤の欠乏した、第2の区画に置かれてもよい。
【0040】
1つの態様において、アノードは、大気中の酸素よりも低い、つまり全体積中約21%未満の比率の酸素を含む。例えば、酸素は、全体積中約18%未満、約15%未満、または約10%未満の比率で、第2の区画中に存在してよい。他の態様において、アノードは、アノード区画内に存在するあらゆる燃料を完全に酸化するのに十分な酸素、例えばアノード区画内の燃料を化学量論的に燃焼して、CO、HO、NO、SOなどの完全に酸化された種を形成するのに十分な酸素、を含まない。例えば、アノード区画は、利用可能な燃料を酸化するのに必要な化学量論的量未満の酸素を含んでよい。
【0041】
典型的には、微生物燃料電池中の燃料は、炭素を含む燃料であり、しばしば有機物をベースとするるものである。例えば、燃料は糖、脂肪、結合または構造組織、および/またはタンパク質などの生物学的な化合物を含んでよい。いくつかの場合において、燃料はバイオマス、つまり生きた生物学的有機体に由来する物質、を含有する。本明細書で使用される「バイオマス」は、植物または動物から派生したものであってよい。例えば、スイッチグラス、麻、トウモロコシ、ポプラ、柳、サトウキビなどの植物が、本開示の燃料電池の燃料源として使用される。植物のタイプ次第で、植物全体、または植物の一部、が燃料源として使用されてよい。
【0042】
他の実施例のように、バイオマスは、例えば動物の廃棄物、ヒトの下水(未加工であっても、またはいくつかの処理の後で使用されてもよい)を含む動物の排泄物など、動物由来であってもよい。バイオマスの、さらに他の限定されない例は、生ゴミ、芝生および園芸で刈ったもの(garden clippings)、犬の排泄物、鳥の排泄物、たい肥化された畜産廃棄物、未処理の家禽廃棄物などを含む。バイオマスは正確に定義する必要はない。いくつかの場合において、バイオマスは、油、石油、石炭などの化石燃料、最近まで生きていた生物学的有機体由来ではないもの、や、灯油やガソリンなどの精製されたまたは処理された材料を排除する必要はない。例えば、本開示の様々な燃料電池において燃料として使用されるバイオマスは、たい肥パイル(compost pile)、肥料パイル(manure pile)、浄化槽、下水処理施設など由来のもの、および/または河口、泥炭湿原、メタン湿原、川床、植物リターなど天然の有機物が豊富な環境に由来するものであってよい。
【0043】
本開示の1つの燃料電池の概略図は、図1に示されている。この例において、燃料電池10は、インターフェース40で分離されたアノード区画20およびカソード区画30を含有する。アノード区画20内にはアノード25が、カソード区画30内にはカソード35がある。それから、それぞれの電極からの電気的接続52および54は、負荷50、例えばライト、モーター、エネルギー蓄電デバイス、スイッチング回路など、に接続する。アノード25とカソード35間の電位差は、負荷を通してカソード35へと向かう正味の電子流の結果となる。電荷バランスおよび連続性は、カソードチャンバー30からアノードチャンバー20へのプロトン拡散および/または輸送によって維持されることができる。アノード区画20は、水素および/または電子を産生するためにバイオマスまたは他の炭素を含む燃料を直接的に酸化することができる(C→CO+H+eで図式的に表される:式中Cは明確に定義される必要はないが、バイオマス又は他の炭素を含む燃料を表す)微生物を含み得る。いくつかのケースにおいて、アノード区画20は、酸素ガスまたは硫酸塩または硝酸塩など他の溶解酸化剤が欠乏した嫌気的環境であり、微生物による燃料の酸化反応を通して産生した電子が、最終電子受容体として酸素または他の内因性酸化剤に受け渡されず、代わりにアノード25に電気として集められることができる。
【0044】
燃料は、燃料電池が電気産生に使用される前にアノード区画内に存在しても(「閉鎖型」燃料電池)、または電気を産生する燃料電池の稼働の間に添加されてもよい(「開放型」燃料電池)。図2は、固定された体積または濃度の燃料がアノードおよび/またはカソード区画に添加される閉鎖型燃料電池の例を示し、微生物が燃料を様々な程度の完了に酸化するにつれて、電子はアノード25に集められる。アノード25によって役立てられた(harness)電子は、前述したように、カソード35に向けて、負荷を通って、移動することができる。図3は、燃料が注入口60を通して燃料電池に添加され、任意に廃棄物が排出口65を通して取り除かれる、開放型燃料電池の例を示す。微生物が燃料(残余および/または新鮮なもの)を酸化するにつれてアノード25に集められた電子は、上述したように、電力を産生するのに役立てられる。
【0045】
燃料電池の中で微生物によるバイオマスまたは他の炭素を含む燃料の酸化を通して産生される水素(プロトン、H、および/または水素ガス、Hとして存在する)は、インターフェース40を横切って、水素が産生されるアノード区画20から、カソード区画30へ輸送され得る(図2参照)。いくつかの場合において、インターフェース40は、水素が横切って輸送されることができるが、他の溶解化合物の実質的な輸送は起こり得ない、例えばインターフェースは、燃料電池の性能上有害な効果を有し得る、アノード区画20およびカソード区画30間での還元されたまたは酸化された化学的化合物の拡散を制限することができる、プロトン交換インターフェースである。いくつかの場合において、プロトン交換バリアは、水素の区画間の移動を許容しながら、酸素ガスがアノード区画に拡散していくのを妨害または少なくとも阻害し得、その結果、燃料電池の稼働の間、アノード区画が嫌気的(酸素の欠乏状態)である原因となる。1つの態様において、プロトン交換バリアは、二つの区画を分離する合成ポリマー膜を含む。しかしながら他の態様において、プロトン交換インターフェースは、、(例えば砂の)粒子を含んでもよく、これは例えば、以下で論じるものなどの、任意にメッシュフィルターで支持された粒子ベッドを形成する。
【0046】
カソード区画30内へ、アノード区画20からの水素がインターフェース40から入り、例えば、カソード35からの電子および例えば空気からの酸素と組み合わされて(その結果アノード区画20との電子回路が完了する、図2参照)、つまりO+H+e→HO、水を形成するように酸化される。カソード区画30はしたがって、好気的環境を含んでよく、いくつかの場合において、カソード区画30は大気に開放されており、および/または、例えば1または2以上の導管を通して、大気と流体の連絡を有するにある。いくつかの態様において、水素はまた、カソード区画30を覆う気体捕集器(gas collector)へと(例えば拡散を通して)捕捉されてもよい。
【0047】
図1で示されている化学反応は、説明を目的とするためのみであり、化学量論的にバランスがとれていないことに留意すべきであり、実際の反応は、もちろん、使用した燃料のタイプ、稼働温度、利用された微生物のタイプなどの要因に依存する。例えば、以下で論じるように、本開示のいくつかの態様において、微生物は、電子を金属、無機物、アンモニア、硝酸塩などのあらゆる適した非酸素種へと移送することのできる燃料電池内で使用されてよい。
【0048】
1つのまたは両方の区画内に存在する微生物は、それぞれの電極を成長させることができてよい。例えば、(嫌気的状態で実行されてもよい)アノード区画20内の微生物はバイオマスまたは他の炭素含有燃料を代謝し、このプロセスを通して産生された電子をアノード25に移送してもよい。アノード区画とカソード区画との間の電位の違いから、電子は負荷50を通してカソード35へと移動する。アノード区画内の微生物はしたがって、アノードを最終電子受容体として利用可能であり、その結果電流を産生する。いくつかの場合において、アノード区画およびカソード区画の間に生成した電位差は、約0.1V〜約1Vの間、または約0.2V〜約0.7Vの間であってよい。
【0049】
本開示の他の燃料電池例は図2に示されている。この図において、燃料電池10は、断熱材としてはたらく真空チャンバー70によって取り囲まれている。真空チャンバー70は、例えば、ガラス張りであってよい。真空チャンバーは完全に燃料電池を取り囲んでいても、または図2に示されているものなどのいくつかの場合において、燃料電池10を部分的に取り囲んでいるだけでもよい。図2に示されているように、燃料電池は、例えばゴアテックスなどの空気透過性膜80でキャップされており、それはプラスチック枠で支持されていてもよい。いくつかの場合において、膜は防水性である。かかる「キャップ」は、例えば、いくつかの場合、酸素がカソード区画30内へと拡散することを許容しつつ、例えば維持を目的として燃料電池への接触を許容するために有用であってよい。
【0050】
燃料電池内に存在するのは、インターフェース40で分離されたアノード区画20およびカソード区画30である。多孔質伝導性シートなど、アノード25は、アノード区画20内に存在しており、同時に、やはり多孔質伝導性シートであってよいカソード35は、カソード区画30内に存在する。アノードは負の電極であり、カソードは正の電極である。アノード区画20は、水素および/または電子を産生するためにアノード区画20内の微生物によって酸化されることができる、例えば有機物の豊富な燃料またはバイオマスなどの燃料を含んでいてよい。図3に示されているように、燃料は注入口60を通してアノード区画20に添加することができ、廃棄物は排出口65を通して取り除くことができる。インターフェース40は、この実施例では、不活性な多孔性のフリットでキャップされている、粒子(例えば砂など)を含んでいる。インターフェースは、それを通して起こるプロトンおよび/または気体の輸送を許容することができるが(例えばH、COなど)、アノードとカソードと間の混合を最小化または排除し得、例えば、還元されたまたは酸化された化合物の輸送を減少または排除する。代わりに、電子がアノードおよびカソードを通して流れ、例えば蓄電するまたは仕事を実践するために利用されることができる、回路を完了する。
【0051】
同様の燃料電池は図3に示されている。この例において、アノード区画20は嫌気的環境を含み得る。燃料が酸化されるにつれてアノード区画内で微生物によって産生された電子は、アノード25に集められ、同時に微生物によって産生されたHまたはCOなどの気体は、図3に「気泡」41として示されているように、インターフェース40を通過可能である。気泡は説明を目的とするためのみであり、実際は、気体は充填された砂のベッドを通して、個々の気泡にならずに進んでよい。対照的に、電子はアノードを通り、それから(カソード区画30から隔絶された)ワイヤー52経由で負荷50へ至り、それからワイヤー54経由でカソード35へと流れる。
【0052】
本開示のさらに他の燃料電池の例は、図4に示されている。この図において、燃料電池10は、インターフェース40で分離されたアノード区画20(アノード25を含む)およびカソード区画30(カソード35を含む)を含み、燃料、例えばバイオマスまたは他の炭素含有燃料、を含んでよい。コレクター45は、アノード区画20に隣接し、インターフェース40内に含まれており、アノード区画20において産生された気体(例えばHOまたはCOなど)を捕集し、その気体をプロトン交換インターフェースを通して、導管47経由で燃料電池10から排出する。ワイヤー52および54は、アノード25およびカソード35を、それぞれ、電気的エネルギーを後の利用のために蓄電できるキャパシタアレイ90に接続する。例えば、以下で論じるように、電気エネルギーは、DC−DC変換機100経由で、電圧および/または電流を調節するために変換されてよく、および/または、最初に燃料電池から少量の電力が産生される場合であっても、必要に応じて電力を蓄えてよい。
【0053】
述べたように、本開示の様々な実施例は、電力を産生するために燃料を酸化できる微生物を使用する。かかる微生物は好気性および/または嫌気性であってよく、細菌、糸状菌、古細菌、原生生物などを含んでよい。典型的には、微生物は単細胞であるが、いくつかの場合において、微生物は多細胞低級生物を含んでよい。微生物は通常、必ずではないが、顕微鏡的次元であり、つまり小さすぎて人の目では見ることができない。いくつかの場合において、微生物は中温菌、好熱性菌、または極限性微生物であり、すなわち、微生物が、暖かい温度から熱い温度、それぞれ約30℃から約50℃、約50℃から約90℃、または90℃以上において最大増殖速度を有する。
【0054】
燃料電池に使用される微生物は、モノカルチャー、またはいくつかの場合において、多種カルチャーまたはファイロタイプの集団であってよい。本明細書で使用される語「ファイロタイプ」は、その遺伝子配列が、知られた種のものとその塩基対において約2%以下または約1%以下で異なる生物を記載するのに使用する。例えば、燃料電池内に含まれる、電気を産生するために燃料を酸化することができる微生物は、少なくとも10ファイロタイプ、少なくとも30ファイロタイプ、少なくとも100ファイロタイプ、少なくとも300ファイロタイプ、少なくとも1000ファイロタイプなどの様々な微生物を含有してよく、燃料電池の稼働のためにそのすべてが常に特定される必要はなくてもよい。微生物は自然発生的なもの、遺伝子工学的なもの、および/または自然選択プロセスを経由して選択されたものであってよい。例えば、ひとつの実施例において、本開示の燃料電池内で種菌として使用される微生物の集団は、本開示の微生物燃料電池であってもよい他の微生物燃料電池から持ってきたものであってよく、このプロセスの繰り返しが、特定のタイプの燃料を速やかに酸化する能力などの、望ましい特性を有する微生物集団の自然選択をもたらしてもよい。
【0055】
微生物は、本開示の様々な態様において、電気を産生するために燃料を直接酸化するために使用されてよく、つまり、燃料電池内で燃料を酸化する微生物が、酸化のプロセスの間に電子を産生し、電子は、電気を産生するために(例えばアノードによって)直接集められる。それに対して、多くの従来技術の燃料電池において、微生物は電子および燃料電池によって究極的に産生される電気を直接的には産生せず、代わりに、微生物は、第1のチャンバー内で中間体物質を産生するのに使用され、中間物質が、第2のチャンバーに移動され、参加されて電子を産生す。したがって、本開示は、1または2以上の微生物(例えば、自然発生的なおよび/または遺伝子工学的なファイロタイプなど)を利用する燃料電池に、電気を産生するためにバイオマスまたは他の炭素含有燃料を直接酸化することを許容し、例えばそれが、燃料が酸化される単位毎の電力産生の正味の高い効率をもたらす。いくつかの場合において、微生物は微生物の群生(community)であってよく、ある例において、全ての微生物の群生が個別に決定される必要はない。
【0056】
いくつかの態様において、バイオマスを含むことができる全てのチャンバーが、事実上燃料電池として使用可能である。例えば、本開示の1つの態様において、アノード区画は、例えば住宅用浄化槽などの浄化槽である。本明細書に記載されているような電極は、(しばしば浄化槽としてのその機能を邪魔せずに)浄化槽が燃料電池のアノード区画として機能できるように、浄化槽の中に挿入されてよい。カソード区画もまた、浄化槽に添加されてもよく、以下に述べるようにインターフェースによって分離されてよく、アノードとカソード区画とは、好適な電気的接続を経由して接続されてよく、その結果燃料電池を産生する。他の例のように、下水処理施設、またはかかる施設の一部(例えば、沈殿槽)は、本開示の燃料電池のアノード区画として使用し得る。
【0057】
いくつかの態様において、燃料電池は「開放型」燃料電池であり、つまり、電気を産生するための燃料電池の稼働の間、燃料が燃料電池に添加される(図3参照)。例えば、燃料電池は、燃料を導入するための注入口、および任意に排出口を含むアノード区画を含んでよい。いくつかの場合において、燃料は、燃料電池の稼働の間中継続的にアノード区画に供給されてよい。当業者は、継続的プロセスとしてのバイオリアクターの稼働のための技術、例えばポンプ、バルブ、センサー、導管などの利用、について既知である。しかしながら、他の態様において、燃料電池は「閉鎖型」燃料電池であり、つまり、燃料電池の稼働の間燃料が添加されない。しかしながら、いくつかの例において、燃料は燃料電池の稼働の前、および/または燃料電池を使用した電気産生実行の合間に添加されてよい。例えば、燃料は燃料電池の組立の間に添加されることができ、いくつかの場合において、燃料電池の稼働の前にアノード区画内に密閉して封印される。いくつかの場合において、閉鎖型燃料電池は他の容器内に含まれてよい。いくつかの場合において、閉鎖系は相対的に携行可能および/または拡張可能である。閉鎖系は自己不動態化、例えば、燃料電池の働きによって電子が捕集されることができなくなるような、アノードおよびカソードが実質的に同じ電位を有する時、が起こるまで実行されてよい。かかる不動態化は、例えば、アノード区画からの還元された流体または気体が、例えば漏出、拡散などを経由して、カソード区画内にも入ったときなどに起こり得る。しかしながら、いくつかの場合において、閉鎖系は、例えばさらなる燃料により停止および再充填され得、および/または、系は、稼働再開前の燃料、基質、および/または電極などの電気的なまたは機械的な取扱いにより、リフレッシュされ得る。
【0058】
いくつかの場合において、本開示の燃料電池内の微生物集団は、よく定義されたまたは特徴付けられたものではない。対照的に、多くの先行技術の微生物燃料電池は、稼働の鍵となる微生物種に依存している。いくつかの態様において、様々な微生物の集団が、電気を産生するためにバイオマスまたは他の炭素含有燃料を酸化可能な燃料電池内に含まれてよく、かかる集団を形成する多種の微生物は、明確に同定または特定される必要はない。電気を産生するためにバイオマスまたは他の炭素含有燃料を、全体または一部において、直接的に酸化可能である本開示の燃料電池の中には、少なくとも10種、少なくとも30種、少なくとも100種、少なくとも300種、少なくとも1000種などの様々な微生物が存在してよい。例えば、いくつの場合において、2種または3種以上の微生物が一緒に、電気を産生するためにバイオマスまたは他の炭素含有燃料が酸化される反応経路を定義する。述べたように、微生物は自然発生的なもの、遺伝子工学的なもの、および/または自然選択プロセスを経由して選択されたものであってよい。
【0059】
特定の、限定されない例として、微生物集団は土壌サンプルから生じるものであってよく、微生物集団を同定または特定されずに、例えば種菌として燃料電池に使用されてよい。したがって、例えば、本開示の燃料電池の稼働前に、土壌の種菌が、例えばアノード区画に添加されてよい。あらゆる土壌サンプルが利用され得、いくつかの場合において土壌サンプルは精製または改変されずに利用されてよい。例えば、土壌サンプルはあらゆる深度からの土壌(例えば表層土壌、または例えば少なくとも3インチ、6インチ、9インチ、1フィートの深さからなどの心土領域からのものなど)であってよく、あらゆる適した場所、例えばマサチューセッツまたはカリフォルニア、または他の適した地理的場所などから採取されてよい。
【0060】
いくつかの場合において、(例えよく特定されていなくても)微生物集団は燃料電池の稼働の間に変化してよい。例えば微生物の集団および/またはその相対比率が、例えば燃料電池に配される燃料のタイプ、燃料電池の稼働温度、燃料電池内の酸素濃度、微生物の様々な生育速度、微生物を取り巻く環境における育成因子などの要因に起因して、変化してもよい。いくつかの場合において、微生物はバイオマスとともに燃料電池に持ち込まれてよい。例として、下水、たい肥、肥料などのバイオマスは、本開示の燃料電池の稼働に適した微生物を含み得る。
【0061】
1つの態様のセットにおいて、電気を産生するためにバイオマスまたは他の炭素含有燃料を酸化可能な燃料電池内の少なくともいくつかの微生物は、嫌気的であり、つまりいくつかの場合において、微生物が酸素の存在に耐えられる(耐気性)か、または、酸素が存在するときには育成に酸素を利用するとしても、育成のために酸素を要求しない微生物(通性嫌気性)である。当業者は、微生物を、例えば微生物を酸素の存在下および非存在下(または周辺酸素濃度の低下した中)で培養することで、好気性または嫌気性として同定することができる。かかる嫌気性微生物はしばしば土壌の深い領域(少ない量の酸素が存在する場所)で見出され、一般的には酸素を最終電子受容体として利用しないで、燃料を酸化または代謝することができる。最終電子受容体は、一般的には、酸素(O)などの、電子を受け取ることにより還元されて、電子の受容によってそれ以上還元されない種を産生する化学種であり、例えばOは還元されてHOを形成し得る。
【0062】
特定の例において、微生物は電子を、最終電子受容体として活動できる非酸素(O)種へと輸送可能であってよい。例えば最終電子受容体は、鉄またはマンガンなどの金属、アンモニア、硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄、硫酸塩、セレン酸塩、ヒ酸塩などであってよい。最終電子受容体は、いくつかの場合において結合酸素を含有してよい(例えば硫酸塩または硝酸塩内など)が、最終電子受容体は酸素、つまりOではないことに留意する。以下で論じるように、本開示のある態様において、電極が最終電子受容体として機能してよく、電極で集められた電子は、電気として集められてよい。いくつかの場合において、電極は酸化可能なおよび/または伝導性の種を含んでよく、それは電子捕集を促進し得る。
【0063】
燃料電池のための燃料は、前述したように、あらゆる適した炭素含有燃料であってよく、しばしば有機物をベースとするものである。例えば燃料はバイオマスであってよい。燃料は固体、半固体、液体、流体などであってよい。微生物は燃料を酸化してCOおよび/または水素(例えばプロトンおよび/または水素ガス)を産生し、プロセスにおいて電子を放出する。いくつかの態様において、電子の授受者(または最終電子受容体)は電極の構成成分である、つまり、微生物の燃料の酸化を通して産生された電子は、直接的にあるいは非直接的に、細胞内部から電極へと排出され、そして例えば電力として役立てられる。例えば嫌気性微生物は、バイオマスまたは他の炭素含有燃料(式Cで表される)を酸化して、COおよび/または他の種(例えば、HO、NO、SOなどの完全に酸化された種)を形成し得、酸化プロセスの間に電子を放出し、次いで電子は最終電子受容体と反応する。いくつかの場合において、最終電子受容体は、例えば電子の電気的回路内への捕集を促進するために、電極上に存在してよい。
【0064】
本開示のある態様において、電極の構成成分は、微生物と電極との間の電気伝導を活性化する働きをしてよい。これは、微生物と電極を含む区画において、線毛、と電極の間のまたは微生物と電極との間の他の直接的な接続を通して、少なくとも一部で起こりうる。いくつかの場合において、ある微生物は、例えばデバイスのアノード環境および/または反応(例えばデバイス内の電子機器)によって、線毛などの様々な細胞特性の形成を誘発されてよい。これらの線毛は、本開示のいくつかの態様において、微生物および電極の間の直接的な電気的連絡を形成することができる(いくつかの場合において、かかる直接的な電気的連絡は多数の線毛によって起こり得る)。理論に束縛されるものではないが、いくつかの場合において、デバイスは、微生物からの電子輸送を増強するかかる線毛および/またはナノワイヤーを産生する微生物の生育を推進し得、したがって、デバイスは微生物の代謝および/または正味の電力産生を増強し得る。いくつかの場合において、微生物は、電極の適切な処理、例えば以下で論じるような化学的処理、を経由して線毛の形成を誘発されてよい。
【0065】
他の態様のセットにおいて、アノード区画の電気的状態は、タンパク質、リポタンパク質、金属、金属イオン、またはアノード区画内に存在するかまたは存在する微生物によって合成される有機および/または無機化合物を含む他のあらゆる構成成分から、伝導経路、例えば生物学的ナノワイヤー、が形成され得るようになっている。いくつかの場合において、これらの伝導性ナノワイヤーは、約1マイクロメートル未満の直径を有していてよい。理論に束縛されるものではないが、かかる伝導経路は、アノード区画内においてアノードによって生成される電場勾配、アノード処理(例えば本明細書に記載されているように)、および/またはデバイス全体に起因して生成されてよい。アノード区画内におけるかかる経路形成は、電池の電極内での樹状突起形性に類似していてよく、および/またはアノードへの電子輸送を促進してよく、それはデバイスによる正味の電力産生を増大し得る。
【0066】
本開示の1つの側面において、本開示の燃料電池内での微生物の生育は、燃料電池への、肥料または他の窒素源などの適切な育成剤の添加によって増大され得る。育成剤は燃料電池に、あらゆる適したとき、例えば燃料電池への燃料の添加に連続しておよび/または添加と同時に添加されてよい。育成剤は、燃料電池の稼働の間微生物による燃料の代謝を増大できるあらゆる種であってよく、育成剤は1つのまたは多数の化合物を含んでよい。育成剤は正確に定義される必要はない。例えばいくつかの場合において、育成剤は、例えば動物の廃棄物または動物糞尿(例えば、馬糞、家禽など)などのバイオマスに由来するものであってよい。
【0067】
例として、1つの態様のセットにおいて、農業用肥料を燃料電池に添加する。肥料は、微生物の生育を推進しうる、窒素、リン、および/またはカリウム(あらゆる適した化合物において)などの要素を含み得る。肥料の中に含まれ得る他の要素の例は、これに限定されるものではないが、カルシウム、硫黄、マグネシウム、ホウ素、塩素、マンガン、鉄、亜鉛、銅、モリブデンなどを含む。いくつかの場合において、肥料は市販で入手可能な肥料である。例えば燃料電池に使用される肥料は植物肥料であってよく、それはしばしば、肥料内に存在する窒素、リン、およびカリウムのパーセンテージ量を記載した「グレード(grade)」を有する。例えば、肥料は少なくとも3−3−2のグレードを有してよい、つまり、少なくとも3%の窒素、少なくとも3%のリン、および少なくとも2%のカリウムを含む。1つの態様において、肥料は窒素、リンおよびカリウムの実質的に同等な部分を含む。しかしながら、肥料は窒素、リン、およびカリウムの3つ全てを有することは要求されない。
【0068】
育成剤の他の例として、アンモニア、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)、または亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなど)などの窒素源が燃料電池に育成剤として供されてよく、窒素源は、燃料電池内に含まれる微生物によって代謝される窒素のあらゆる給源である。窒素それ自身(つまりN)は、微生物が嫌気性であり、適切な経路および酵素(例えばニトロゲナーゼなど)を、窒素を育成剤として有用にするのに十分な量で含有する場合、窒素源であり得る。いくつかの態様において、記述したように、肥料は窒素源を含んでよい。他の態様において、1または2以上の遊離アミノ酸が燃料電池内に供される。燃料電池に提供されるアミノ酸の例は、これに限定するものではないが、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリン、アルギニン、システイン、グリシン、グルタミン、またはチロシンを含む。かかる遊離アミノ酸もまた、窒素源であってよい。
【0069】
例えば育成剤として、または例えば微生物の燃料酸化の発生にとって良い状態を作り出すためなど、燃料電池内の状態を制御するために、他の材料もまた、燃料電池に供されてよい。例えば微生物と電極の間の電気伝導性を増大するために、例えば導電性の基質が供給されてもよく、または例えばアルカリ剤および、または酸性化剤など、pHを制御することができる種が供給されてよい。これらの限定されない例は、木炭(例えば活性炭)または石灰を含むが、これらに限定するものではない。
【0070】
これらおよび/または他の材料との組合せもまた、企図される。例えば、1つの態様において、1部の燃料であって、同等に近い部の窒素、リンおよびカリウム、0.1部の石灰などのアルカリ剤、および0.1部の活性炭などの導電性物質を有するものを本開示の燃料電池に使用してよい。
【0071】
いくつかの場合において、育成剤またはpHを制御することができる種などの他の材料の導入は、制御システムを使用して調節されてよい。例えば、本開示の燃料電池の温度、pH、電気的出力などは、適切なセンサーを使用して決定することができ、かかる材料の燃料電池への導入の制御に使用されてよい。例えば、アノード区画のpHを計測することができ、低すぎる場合、石灰などのアルカリ剤をアノード区画に添加することができる。
【0072】
本開示の他の側面は、一般的に燃料電池内の熱の管理に関する。いくつかの場合において、微生物の代謝率は一般的に温度に比例する、つまり微生物を熱すれば、高い代謝率および高い燃料酸化率が得られ、それは高い電力出力をもたらす。代謝率と温度の関係は、しばしばQ10と表され、それは各10℃の温度上昇で増加する率を計測したものである。例えば率が各10℃の上昇で3倍になる場合、Q10値は3となる。いくつかの場合において、本開示の燃料電池内に含まれる微生物の代謝率は、少なくとも10℃の温度上昇によって、5、10または16倍増大してよく、いくつかの場合において、70℃までである。いくつかの場合において、実質的な加熱は、燃料電池の稼働の間、微生物によって発生してよい。例えば、電池を含む区画の稼働温度は、少なくとも30℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃上昇してよい。
【0073】
加えて、いくつかの態様において、区画の温度は、極めて狭い温度範囲内に維持することができる。例えば、少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、または少なくとも約12週間の間、区画の温度を約±1℃、約±3℃、または約±5℃の間に分布させることができる。温度は、例えばセンサー制御システム、発熱体などを使用して、積極的に制御することができ、他の場合において、区画の温度は受動的に調節されてもよい、つまり、温度はデバイス内で、センサーまたは温度を制御する作動装置の存在無しで制御されてもよい。以下で論じるように、温度は、主にデバイスの保温を制御することで制御することができる。デバイス内の温度はまた、いくつかの場合において、デバイスに入った燃料の量を制御することで、制御することができる。例えば、より多くの燃料を添加すること(またはより素早く燃料を添加すること)で温度を上げることができ、燃料を添加しないこと(またはよりゆっくりと燃料を添加すること)によって下げることができる。さらに他の態様において、温度は、燃料電池に導入される肥料、育成剤、窒素源、導電体、アルカリ剤および/または酸性化剤などの量を制御することで制御されてもよい。さらに他の態様において、これらおよび/または他の技術の組み合わせが使用されてよい。
【0074】
さらに、いくつかの場合において、相対的に高い電力出力を、本開示の燃料電池によって産生することができる。例えば、燃料電池は、少なくとも約1W/m電極表面、少なくとも約1.6W/m電極表面、少なくとも約2.7W/m電極表面または少なくとも約4.3W/m電極表面などの電力を産生することができる。いくつかの場合において、燃料電池は、例えば微生物を含む区画の内部または外部を、加熱されてもよい。しかしながら、いくつかの場合においては、燃料電池の積極的な加熱が無くてもよい、つまり燃料電池はその稼働温度を受動的に制御するように構築および配置されている。代わりに、燃料の酸化の間、微生物が熱を産生することができ、かかる熱は微生物を含む区画を加熱するために保持されることができる。例えば、1つの態様において、開放型燃料電池における燃料電池の温度は、約57℃で約3ヶ月間受動的に維持される。さらに他の態様において、積極的および受動的加熱の組み合わせを使用されてよい。
【0075】
例えば、1つの態様のセットにおいて、燃料電池および/または微生物を含む区画など燃料電池の一部は、少なくとも部分的に断熱材によって取り囲まれていてよい。実質的にあらゆる断熱材、例えば泡体(例えばポリウレタン、ポリイソシアヌレートによって形成されたもの)、アスベスト、セラミック、ファイバーグラスなど、を使用してよい。1つの態様のセットにおいて、真空断熱材が使用されてよい。例えば燃料電池は燃料電池は真空フラスコ、例えば二重壁フラスコなど、によって取り囲まれていてよい。真空フラスコのある燃料電池の例は、図2および3に示されている。いくつかの場合において、断熱材は、燃料電池の稼働温度である50℃において、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の断熱効果を有しており、断熱効果はデバイスからの熱放射による熱喪失の量として定義される。
【0076】
いくつかの態様において、燃料電池は燃料電池内に熱を保持するのを補助するための形状を有していてよい。例えば、燃料電池は、実質的に球形の形状を有するように構築されてもよく、これは、微生物によって産生された熱の受動的な保持および利用、および/または燃料の酸化の刺激を外的に導入することを補助するであろう。球形の形状は、最大の体積および最小の曝露表面領域を有する。例えば円筒状の形状など、他の形状もまた、本開示の他の態様において可能である。
【0077】
本開示の他の側面は、一般的に、燃料電池におけるアノード区画およびカソード区画を分離するインターフェースに向けられている。1つの態様のセットにおいて、インターフェースはプロトン交換インターフェース、つまりプロトンおよび/または気体(つまりH)が通り抜けることを許容するが、化学的化合物が通り抜けることは実質的に許容しない、つまりプロトン交換バリアが絶縁体であり、および/または相対的に高い電気的抵抗性を有している。例えば、インターフェースは少なくとも約10オームm(Ωm)、少なくとも約10オームm、少なくとも約10オームm、少なくとも約10オームm、少なくとも約1010オームm、少なくとも約1011オームm、少なくとも約1012オームm、少なくとも約1013オームm、少なくとも約1014オームmなどの抵抗を有する材料から形成されてよい。したがって、プロトン交換バリアは、電子が電極に捕集されて蓄電されるかまたは仕事を実施するために使用される間、気体(例えば燃料を酸化する微生物によって産生されたもの)がそこを通り抜けることを許容する。
【0078】
1つの態様のセットにおいて、プロトン交換インターフェースはポリマー膜である。適したプロトン交換膜の例は、これに限定されるものではないが、イオン性ポリマーまたはポリマー電解質を含む。当業者は、燃料電池プロトン交換膜に使用されるようなプロトン交換膜になじみがある。しかしながら、他の態様において、プロトン交換インターフェースは非ポリマー性であってよい。いくつかの場合において、プロトン交換インターフェースは非一体的(non-integral)である、つまり、ポリマー膜などの、材料の単一シートによって形成されていない。かかる非一体的インターフェースは、例えば、燃料電池の稼働の間、アノード区画からHまたはCOなどの気体を逃がすためなどに有用である。いくつかの場合において、小さな粒子が利用されてもよい。なぜならば、小さな粒子は、還元された化学物質と酸化された化学物質とをより良好に分離しつつも、より速くプロトンを平衡化または移動させることによって、より薄い(thinner)プロトン交換インターフェースを可能にし、これがしたがって電力出力を増大し得るからである。
【0079】
例えば、1つの態様のセットにおいて、プロトン交換インターフェースは、石英、シリカ、ポリマービーズ、ジルコンビーズ、砂などの、絶縁材料の粒子を含有している。絶縁材料は製造したものおよび/または自然発生的なものであってよい。かかる材料は、それを通して起こる気体拡散を許容し得るが、その絶縁的または非導電的性質によって電気的輸送を妨害または少なくとも阻害し得る。粒子は充填層を形成するように詰められてよく、粒子は、例えば約500マイクロメートル未満、または約150から約300マイクロメートルの間など、あらゆる適した平均粒子径を有してよい。粒子の平均粒子径は、例えばメッシュスクリーンを使用するなどして決定することができ、ここで、平均粒子径は、約50%の粒子がメッシュスクリーンを通過することができるメッシュスクリーンの間隔である。
【0080】
いくつかの場合において、粒子は1、2または3以上のメッシュスクリーンを含んでよく、それはアノード区画およびカソード区画を分離し得る。いくつかの場合において、スクリーンは、実質的にスクリーンに含まれる粒子が出て行くのを防ぐメッシュであってよい。例えば、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%などの粒子がスクリーンによって捕捉されてよい。メッシュは、例えばガラス、ファイバーガラス、またはポリマーなどの非伝導性材料など、あらゆる好適な材料を含有してよい。いくつかの場合において、メッシュは約10mm未満、例えば約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約150マイクロメートル未満、約100マイクロメートルおよび約5mmの間など、の平均間隔を有してよい。
【0081】
プロトン交換インターフェースは、あらゆる好適な厚みを有していてよく、厚みはアノードおよびカソード区画のサイズに依存してよい。例えば、プロトン交換インターフェースは、約1cmと約50cmの間、または約1cmから約10cmの間の厚みを有していてよい。厚みは、例えばアノード区画を十分に嫌気的または無酸素的に保つ間に十分なプロトン交換が起こるのを許容するために、例えば、燃料の性質または質および/またはデバイス内に含まれる微生物に基づいて選択することができる。
【0082】
1つの態様のセットにおいて、アノード区画は、アノード区画がアノードおよびカソードの間のインターフェースを経由して、および/または大気に曝露された導管を経由して、流体または気体の連絡を有するように、密封されてよい。1つの態様において、導管はカソード区画および/またはアノード区画およびカソード区画の間のインターフェースを通っている。導管は、例えば、チューブであってよい。いくつかの場合において、導管中の気体の流れは、例えば当業者に知られたあらゆる技術、例えば送風機、ファンなどの使用など、を使用して、制御されてよい。
【0083】
例として図4を参照して、いくつかの場合において、アノード区画20とカソード区画30を分離するプロトン交換インターフェース40は、気体除去システムを含んでよい。この例において、アノード区画30に隣接してプロトン交換インターフェース40に含まれる捕集器45は、アノード区画30で産生された気体を捕集することができ、気体を、プロトン交換インターフェース40を通過させて、導管47を経由して燃料電池10から排出することができる。捕集器45は、あらゆる気体の捕集に適した形状、例えば図4に示されているような「逆じょうご状」形状、を有していてよい。当業者は、導管47を通した気体の流れを制御するのに適したポンプ、バルブ、センサー、導管などを使用することができる。例えば、1つの態様において、周辺環境から導管47への大気の導入または逆流を減少させながら、アノード区画30から気体を逃がすことを許容する、非常に低いクラッキング圧チェックバルブを導管47に使用してよい。
【0084】
本開示のさらに他の側面は、例えば、燃料の酸化のために微生物を使用できる燃料電池などの、燃料電池に有用な電極に向いている。電極は比較的大きな表面領域を有するように設計されてよく、例えば、電極は多孔質またはワイヤーまたはメッシュ、または複数のワイヤーまたはメッシュを含有してよい。ある態様において、かかる材料の複数の層が使用されてよい。いくつかの場合において、電極は、例えばHまたはCOなどの気体の捕捉を避けるために、気体透過性であってもよい。いくつかの態様において、電極は最終電子受容体を含んでもよく、燃料が燃料電池内の微生物によって酸化された時に電極によって捕集された電子は、電気として捕集され得る。いくつかの場合において、電極は、グラファイトなどの伝導性種を含んでよく、それは電子捕集を促進しうる。
【0085】
1つの態様のセットにおいて、電極は柔軟性がありおよび/または所定の形状を有さない。例えば、電極は布または繊維を含んでよく、いくつかの場合においてそれは伝導性であってよい。かかる電極は、例えば、浄化槽または下水処理プラントなどの、現在存在するシステムを燃料電池として利用するために変換するのに有用であり得る。かかる電極はまた、ある場合において、効果的な反応性表面領域を、重量または費用を増大させることなく、増大するのにもまた有用であり得る。さらに、いくつかの場合において、かかる電極は、燃料電池の区画内の反応に利用可能な電極表面領域の量を増大させるのに有用である。柔軟な電極における使用に適した柔軟性のある材料の例は、これに限定されるものではないが、グラファイト布、炭素繊維布、炭素繊維含浸布、グラファイト紙などを含む。
【0086】
他の態様のセットにおいて、電極は、伝導性被膜によって非伝導性材料の周辺を少なくとも一部覆われた、非伝導性材料を含んでよい。例えば、伝導性被膜は、グラファイト含有塗料またはグラファイト含有スプレーなど、グラファイトであってよく、それぞれ、塗布されまたはスプレーされてよい。非伝導性ジア量はセラミックまたは、ポリ塩化ビニルまたはガラスなどの非伝導性ポリマーであってよい。1つの態様において、非伝導性材料は、電極を含む区画そのものの筐体であってよい。したがって、例えば、デバイスの電極は、区画の壁に塗布され、スプレーされ、または他の方法で適用されてよい。しかしながら、他の態様において、電極は、任意に伝導性被膜で覆われた、伝導性材料を含んでよい。例えば、電極は、アルミニウムまたは鉛などの金属を含んでよい。
【0087】
したがって、例えば、電極は伝導性被膜または塗料を使用して形成されてよい。例えば、揮発性溶媒(例えばメチルエチルケトン)中の約10%から約60%のグラファイト、または約20%から約60%のグラファイトの粘着剤(例えばフルオロエラストマー)入り懸濁液が、グラファイト塗料として使用され得、金属、非伝導性ポリマー、またはセラミックなどの非伝導性材料を塗装するのに用いられ得る。グラファイト塗料は、市販で容易に入手可能であり、いくつかの場合において、塗料は、その濃度を増大するためにさらなるグラファイトを添加してもよい。いくつかの場合において、被覆の前にワイヤーが表面に添加されてよく、および、本明細書に記載されているような電気的負荷に接続されてもよい。いくつかの場合において、ワイヤーは、組立部分が浸された場合であっても、ワイヤーおよび伝導性電極の間の継続点を乾燥状態に維持することを許容し得る、例えばマリンエポキシなどの高温耐水性粘着剤とともにポットに入れることができる。
【0088】
さらに他の態様のセットにおいて、電極は多孔質材料を含有する。かかる電極は電子輸送のための広い表面領域を有し得、および/またはかかる電極は、例えばHまたはCOなどの気体の捕捉を避けるためなどの、電極を通した質量およびエネルギー流のための適したチャンネルを提供しうる。材料の平均間隙率(porosity)は、例えば、約100マイクロメートル〜約10mmの間、約10mm未満、約1mm未満などであってよい。平均孔サイズは、例えば、密度計測から、光学および/または電子顕微鏡イメージから、または例えば非湿潤性液体(しばしば水銀)の高圧下における材料への浸入など、ポロシメトリー(porosimetry)から決定され得、通常材料中に存在する孔の平均サイズ値として受け取られる。サンプルの間隙率を決定するためのかかる技術は、当業者に知られている。例えば、ポロシメトリー計測は、サンプルの孔内に液体を強制的に入れるのに必要な圧に基づいて、平均孔サイズを決定するのに利用可能である。多孔質材料の限定されない例は、例えばメッシュまたは複数のメッシュとして形成された、不活性な材料の積層板シート(例え炭素繊維、チタン金網(woven titanium))である。例えば、1つのまたは1以上のメッシュの間隙は、約100マイクロメートル〜約10mmの間、約10mm未満、約1mm未満などであってよい。
【0089】
いくつかの態様において、電極はグラファイトを含有する。かかる電極の限定されない例は、グラファイト布、炭素繊維布、グラファイト紙、グラファイト含有被膜、グラファイト含有塗料、またはグラファイト含有粉末を含む。グラファイトは例えば伝導性非金属材料(いくつかの場合において、金属電極は金属イオンの放出の原因となり得、それは比較的高濃度においては微生物にとって毒性であり得る)として有用であり得る。電極はグラファイト(例えばグラファイト板またはグラファイト棒)から形成されてよく、またグラファイトが添加されたおよび/またはグラファイトが上に付着した他の材料から形成されてよい。
【0090】
これらおよび/または他の特性の組合せもまた企図される。例えば、本開示の電極は、多孔性および柔軟、または柔軟およびグラファイトで被膜されていてよい。
【0091】
本開示の1つの側面において、上記のような電極は燃料電池に入れられる前に前処理をされてもよい。かかる前処理は、例えば燃料電池内の微生物の育成を推進するために、および/または線毛または他の細胞的プロセスの育成を推進するために使用することができる。1つの態様のセットにおいて、上記のようなアノードは、リン酸または硫酸(例えば約0.01M〜約0.1Mで)などの酸(任意に脱気および/または加熱される)に曝露されてよく、そして洗浄(例えば蒸留水、これはいくつかの場合において脱気されてもよい、などにより)されてよい。酸処理は、高い温度で、例えば約37℃で、および/または、少なくとも約8時間など、比較的長い時間起こってもよい。いくつかの場合において、アノードは有機炭素補給剤(例えば、粉末酵母抽出物または他の有機補給剤のドライバス(dry bath))および/または硝酸塩(例えば硝酸アンモニウムまたは硝酸ナトリウムなど)に曝露されてもよい。酵母エキスは市販で入手可能である。例えば、電極が曝露される酵母と硝酸アンモニウムの比率は、本開示の1つの態様において、10:1であってよい。
【0092】
アノードはまた、バイオマス、例えば、たい肥など、燃料電池内で使用されるバイオマス、に曝露されてもよい。いくつかの場合において、バイオマスは少なくとも部分的に酸化されていてよい。かかる処理は電極上の微生物の生育を刺激し得る。理論に束縛されるものではないが、これらのアプローチは、電極表面での酸化を減少することおよび/または微生物ならびに燃料からの種菌の育成に容易に利用可能な基質を供給することで、アノード上のエネルギーを発生する微生物の生物膜の素早い育成を促進すると信じられており、これらの処理は、微生物が、より良好な電子輸送を可能にする、電子の往復(shuttle)(または生物学的伝達物質)を産生することを刺激し、および/または、ある微生物においては、線毛または他の細胞的プロセスの育成を推進すると考えられる。
【0093】
他の態様のセットにおいて、カソードは硝酸塩(例えば0.5mMの硝酸ナトリウム)および/または貴金属(例えば、白金粉塵または蒸着白金などの白金など)に曝露されてもよく、それらは電極表面を被膜してよい。かかる処理は、カソード上でのOのHOへの変換を促進し得、および/またはデバイスの電位または正味の電力産生を改善し得る。
【0094】
図5〜11に関係して以下に非常に詳しく論じてある、本開示に従うさらに他の進歩的な態様は、一般的に、上で論じたMFCsの様々な例を含む、1または2以上の微生物燃料電池(MFCs)に関係して採用され得るエネルギー管理方法および装置に関する。いくつかの例示的態様において、エネルギー管理方法および装置は、1または2以上のMFCsからの第1の比較的低い出力電圧を、一般的に様々な負荷(load)(例えば、照明、ファン、家庭用電化製品、携帯電話、ラジオ、コンピュータ、センサー、作動装置、警報などの電気的デバイスなど)に出力を供給するのにより適した、第2のより高い電圧に変換するための電圧変換器を伴い得る。
【0095】
いくつかの実装において、模範的なMFC電圧は、約50mAから1000mAの電流において、約0.1ボルトから0.8ボルトの範囲(つまり、約5mWから1Wの範囲のMFC電力出力)であり得る。MFCから典型的に供給される比較的低い電圧は、多くの慣習的な固体素子デバイスが0.7V未満の電圧においては典型的には機能しないという事実に一部起因して、一般的に、より高いより有用な電圧に変換することは難しい。この課題にもかかわらず、さらなる詳細を以下に論じる様々な進歩的態様に従ったエネルギー管理方法および装置の1つの側面において、MFCから期待される比較的低い電圧に基づいた稼働のために特に設定されており、MFC(s)から利用可能な電力によって決定される、関係する最大負荷電流およびエネルギー管理方法および装置の効率(あらゆる要求される回路による電力消費を含む、MFC(s)から負荷へのエネルギー移送におけるあらゆる追加の電力消費/損失にによって占められる)によって、負荷のための事実上あらゆる出力電圧を提供し得る。
【0096】
以下に論じるいくつかの典型的な実装において、エネルギー管理方法および装置は、約3Vから4ボルトの負荷電圧および約10mAから20mAの負荷電流を提供するための、約0.3ボルトから0.4ボルトのMFC電圧および約100mAから200mAのMFC電流に基づいた稼働のために、特に設定されている。しかしながら、前述の典型的なパラメータは、説明を目的として主に提供されること、およびエネルギー管理方法および装置に関係する開示は上で示した稼働範囲に限定されないことは、正しく評価されるべきである。
【0097】
本開示に従ったエネルギー管理方法および装置の他の側面において、出願人は、1または2以上のMFCsからの継続的な電力の取り出しは、攪拌、すぐに消化される炭素の急激増加などによって刺激され得る正味の電力産生をもたらすことを認識および評価している。しかしながら、出願人はまた、負荷に電量を提供する期間に、与えられたMFCに定期的に「休息」を許容することで、正味の電力産生を増大できることも認識および評価している。前述の観点から、本開示のいくつかの進歩的な態様にしたがったエネルギー管理装置および方法は、MFCからの電力取り出しおよびMFC休息または「復帰」の交互の期間を提供するために、1または2以上のMFCsとあらゆる顕著な負荷(例えば、適切な負荷電圧を提供するために要求される実負荷ならびにあらゆる電圧変換回路)の断続的な(例えば定期的な)連結を伴う。
【0098】
図5は、上記で論じたMFCsの様々な例を含む、1または2以上の微生物燃料電池(MFCs)から負荷250への電力の供給を促進するための、本開示の進歩的な態様の1つに従ったエネルギー管理装置200のブロック図を描いたものである。一般的にいえば、エネルギー管理装置200は、スイッチング電力供給(関連のある文献においては「チョッパー」または「スイッチングコンバータ」として通例言及される)に関する概念に一部基づいており、さらに特に、エネルギー管理装置200の様々な実装は、1または2以上のスイッチングデバイス(例えば電界効果トランジスタ、またはFETs)、昇圧器(step up transformer)、および変換出力の整流作用を採用したブーストコンバータの概念に基づいている。様々な実装において、エネルギー管理装置200は、特に、広範な様々なMFCsにとって負荷への効率的なエネルギー移送を可能にするように、それ自体が約0.15mW未満の稼働電力を要求するように設計することができる。
【0099】
図5のエネルギー管理装置200は、MFC電圧203が蓄電部202と連結されたときに、1または2以上のMFCsから提供される第1のエネルギーを蓄電するための、1または2以上の第1のエネルギー蓄電部202(図5において一般的にキャパシタとして描かれる)を含む。本論の目的において、MFC電圧203は、第1のエネルギー蓄電部202に連結された1または2以上のMFCsのアノード電位とカソード電位との間の差であり、ここにおいてアノード電位は「グラウンド」電位または少なくとも装置200の一部に共通の回路としての役割を果たす。装置200は、MFC電圧203を、エネルギー(つまり「電荷」)を第2のエネルギー蓄電部216へと提供する第2の高電圧215に変換するための電圧変換回路213を含む。
【0100】
1つの側面において、第1のエネルギー蓄電部202は、MFC(s)から提供されるエネルギーの比較的早い貯蓄ができるように選択され、そのエネルギーは、次いで、MFC(s)それ自体が少ないエネルギーを提供し得る期間の間、電圧変換回路に提供され得る。このやり方において、第1のエネルギー蓄電部202によって提供されるエネルギー貯蓄は、エネルギー管理装置に、ほぼ一定のMFC電圧203を管理しながら、大きな短期間の負荷電流の急上昇に順応することを許容し、その結果電流損失または高い負荷電力需要の期間の「ブラウンアウト」を防ぐ。他の側面において、第1のエネルギー蓄電部202によって提供されるエネルギー蓄電はまた、効果的な微生物の働きを促進するための、最適なMFC電圧203の維持を助ける。
【0101】
他の側面において、第1のエネルギー蓄電部202は、一般的に、電力損失を低減させ、装置200の比較的高い効率を促進するために、低いインピーダンス(例えば約0.03オームまたはそれ以下)を有するべきである。1つの典型的な実装において、約0.015オームのインピーダンスを有する、Nichicon Corporationから入手可能な10000μFのアルミニウム電解キャパシタ(型番UHE1A103MHD)が、高いエネルギー蓄電を促進するために、第1のエネルギー蓄電部202として採用され得る。スーパーキャパシタは、慣習的なキャパシタと比較したとき、著しく高いエネルギー密度を有する電気化学的キャパシタである。スーパーキャパシタは一般的に非常に高い充放電速度を有し、何百何千のサイクルを経ても劣化が少なく、およびサイクル効果が高い(95%またはそれ以上)。例示の手段として、第1のエネルギー蓄電部202として採用される60Fスーパーキャパシタは、MFC電圧203による0.7Vで充電されたとき、約15ジュールのエネルギー蓄電を提供する。
【0102】
図5に示された態様のさらに他の側面において、顕著な電力が第1のエネルギー蓄電部202(および同様にそれに連結される1または2以上のMFCs)から連続的に取り出されないように、電圧変換回路213は継続的に稼働されず、代わりに断続的に(例えば定期的に)活性化される。上述したように、1または2以上のMFCsから継続的に電力を取り出さず、代わりに休息/復帰に後続される電力取り出しの断続的期間を許容することにより、MFC(s)による正味の電力産生は顕著に増大する。この目的を達成するため、装置200は、MFC電圧203を監視するおよび同様に異なるMFC電圧に基づく電圧変換回路213の活性化および不活性化するコンパレータ回路206をさらに含む。
【0103】
さらに具体的に、図5に示されたコンパレータ回路206は、MFC電圧203(第1のエネルギー蓄電部202を横切る電圧)と第1の設定点204とを比較する。1つの側面において、コンパレータ回路は、第1の設定点204以上の第1の所定のレベルおよび第1の設定点204以下の第2の所定のレベルによって定義されるヒステリシスウィンドウを実行するように設定される。特に、ヒステリシスウィンドウに基づいて、MFC電圧203が第1の所定のレベルまたはそれ以上になったとき、コンパレータ回路の出力207が第1の論理状態から第2の論理状態に変化し、MFC電圧203が第2の所定のレベルまたはそれ以下になったとき、コンパレータ回路の出力207が第2の論理状態から第1の論理状態に変化する。次いで、電圧変換回路213は、第2の論理状態に応答して活性化され、第1の論理状態に応答して不活性化される。
【0104】
図5に示されたブロック図において、MFC電圧203はコンパレータ回路206の反転入力に提供され、第1の設定点204は(例えば基準電位Vrefに連結された電位差計を通して)コンパレータ回路の非反転入力として供される。1つの典型的な実装において(図7に示された詳細な図式に描かれており、さらに下で論じる)、第1の設定点204は0.35ボルトであり、第1の設定点以上である第1の所定のレベルが約0.36ボルトであり、第1の設定点以下である第2の所定のレベルが約0.34ボルトであるように、コンパレータ回路は第1の設定点の約3%上および下のヒステリシスウィンドウを実装するように設計されている。したがって、MFC電圧が0.36ボルトまたはそれ以上に上昇したとき、コンパレータ回路は、電圧変換回路213を活性化するための出力シグナルを提供する。もしMFC電圧が0.34ボルト(またはそれ以下)に落ち込んだ場合、コンパレータ回路は、電圧変換回路を不活性化するために、出力シグナルの状態を変化させる。コンパレータ回路は、MFC電圧が0.36ボルト(またはそれ以上)まで上昇して戻るまで、電圧変換回路を再活性化するために、出力シグナル状態を変化させない。
【0105】
前述の論において、典型的な第1の設定点の0.35ボルトおよびヒステリシスウィンドウの約3%は、主に説明を目的とするために提供されており、本開示に従ったコンパレータ回路は上記の点に関して限定されず、異なる設定点および異なる程度のヒステリシスが(例えば採用されたMFCsの数とタイプに依存して)本出願に適用し得ると評価されるべきである。例えば、1つの実装において、さらに広いヒステリシスウィンドウを採用することは、1または2以上のMFC(s)に、電圧変換回路の活性化前の高い電圧(および低い電流取り出し)においてさらなる「休息」時間を費やすことを許容し、それは上述のように、いくつかの場合において正味の電力産生を改善し得る。
【0106】
電圧変換回路が不活性化している期間、MFC(s)/第1のエネルギー蓄電部202上に顕著な負荷はなく(顕著な電力取り出しはなく)、MFC(s)は、第1のエネルギー蓄電部202を自由に再充電できる。いくつかの実装において、活性化任務サイクルを約10%までもの低さにすることができる。このやり方において、電圧変換回路の断続的な稼動はまた、電圧変換回路の継続的な稼動と比較して、装置200にとって一般的に高い効率を提供する。例として、以下でさらに論じるように、電圧変換回路は、非活性化時には40μAの電流のみしか要求しない(休止状態)のに対して、活性化時には300μAから400μAの稼動電流を要求し得る。稼動電圧が約3ボルトの回路において、電圧変換回路は、その結果活性化時には約1mW、非活性化/休止状態ではほんの約0.1mWの電力を消費する。したがって、1または2以上の低電力MFC(s)(例えば約5mWから100mWの程度の電力産生が可能な)にとって、電圧変換回路の断続的な稼動は効率の顕著な増加を提供する。もちろん、高電力産生が可能なMFCs(例えば500mW以上)にとって、電圧変換回路による電力消費はあまり問題にならないことが理解される。
【0107】
電圧変換回路213のさらなる詳細について、図5に示されているように、回路213は、発振器及びスイッチングロジック208、FETスイッチ210、昇圧器212、および整流器214を含んでもよい。発振器及びスイッチングロジック208はコンパレータ206の出力207を受け取り、次いで、MFCアノード電位を変圧器212に連結するのに機能する2つのFETスイッチ210を稼動する。図5に示されているように、MFCアノード電位がFETスイッチ210の稼動を経由して一次巻線のそれぞれの終末タップに連結しているのに対し、MFCカソード電位は変圧器212の一次巻線の中央タップに直接連結している。発振器およびスイッチングロジック208は、お互いに180度の位相のずれを伝導するために、FETsを制御し、その結果、一次巻線上にAC信号を提供するために、MFCアノード電位が1または他の一次巻線の終末に交互に連結する。1つの典型的な実装において、コンパレータ回路206の出力207上の論理低シグナルは、発振器およびスイッチングロジック208が交互にFETsを駆動に起因し、それゆえにエネルギー管理装置の稼動を切り替える、逆に言えば、コンパレータ回路206の出力207上の論理高シグナルは、発振器およびスイッチングロジック208がFETs210を不活性化させ、両FETsのオフ(非伝導)状態を維持させる。
【0108】
上で論じたように、エネルギー管理装置200にとって、0.1ボルトと同程度低い(またはいくつかの場合においてそれより低い)、0.8ボルトまでのMFC電圧で効果的に及び効率的に稼動することが望ましい。かかる一般的に低い電圧は、電流通過の際のおよび「浪費」電力による効率の低下の結果となる熱(IR)損失を回避するために、非常に低インピーダンスなスイッチング機器(FETs210)および低抵抗の変圧器212中の一次巻線を要求する。1つの典型的な実装において、連結された一次巻線およびFETスイッチングの抵抗が約0.01オーム以下となり、0.35ボルトのMFC電圧および約0.1から1.0アンペアのMFC電流において80%以上の効率の結果となるように、FETsは特別に選択される及び変圧器は特注設計される。1つの典型的な実装において、発振器及びスイッチングロジック208がFETs210を活性化する周波数は、FETsに付随する容量性スイッチング損失を顕著に低減するために、約1kHzより低くなるように選択される。
【0109】
昇圧器212のデザインについて、変圧器の二次巻線および一次巻線の巻数比は、概ね変圧器に望まれる出力電圧を最小の有用なMFC電圧で割ったものに対応する。1つの態様において、図5に示されているように、変圧器の二次巻線は、二次巻線上の増加されたACシグナルに基づいて整流された電圧215を出力として提供する整流器214に連結している。第2のエネルギー蓄電部216は、整流された電圧215を経由して充電エネルギーを受け取り、次に負荷250、およびさまざまな装置200の回路に出力電力を提供するために、整流器214に連結されている。
【0110】
1つの典型的な実装において、第2のエネルギー充電部216として役目を果たすリチウムイオン電池は、負荷250に約3.5Vの名目上の電圧を提供し得、約4.2Vの充電電圧(整流された電圧215)を要求し得る。例えば約0.3Vの最小MFC電圧をとれば、リチウムイオン電池のふさわしい充電に適した変圧器の入力/出力電圧比は、0.3/4.2または1/14である。整流器214のダイオードによる少量の電圧降下もまた考慮すれば(それは二次巻線電圧に、リチウムイオン電池の4.2Vの充電電圧よりもいくらか高い電圧を要求する)、この例の変圧器の巻数比(一次/二次)は1/14よりもいくらか高くあるべきである(例えば1/15または1/16)。
【0111】
他の側面において、図5に示されている変圧器212は、フェライト磁心材のもので許容されるよりも低い周波数での稼動を許容する、高浸透性SiFe心材を利用していてよい。変圧器鉄心のサイズ、同じく巻線のワイヤーサイズは、MFCから期待される電力、およびある程度は望まれる出力電圧に依存して変化してよい。1つの典型的な実装において、低周波数稼動(例えば1kHz未満)および変圧器鉄心損失が低いことは、電圧変換回路213が、0.1mA未満の活性化の間の電流引き込み(current draw)(例えば300から400μA)で稼動することを許容する。
【0112】
第2のエネルギー蓄電部216について、リチウムイオン電池などの化学的充蓄電デバイス(電池)は、充電が非効率または中断となる電流より低い最小充電電流を、典型的に有している。したがって、十分な充電電流が、整流器214から一気に来ることを許容することは、1または2以上のMFCsによって提供されるエネルギーを電池に入れる効率を、顕著に増大する。これは、エネルギー管理装置の、MFC電圧の範囲に基づく断続的なスイッチング稼働の制御の、継続的な稼働に対するさらに他の有利点である。加えて、第2のエネルギー蓄電部216は、整流器214からの電流突発を取り除くフィルターとして働く。
【0113】
負荷250へ出力電力を提供する第2のエネルギー蓄電部216として、リチウムイオン電池の特定の例を上で論じたが、本明細書で論じた概念に従ったエネルギー管理装置の他の実装は、他のタイプの出力エネルギー蓄電デバイスを採用してもよいことが理解されるべきである。例えば、第2のエネルギー蓄電部216は、長期蓄電のためのリチウムイオン電池以外の電池タイプ、または代替的に、よりしっかりとした短期蓄電のための1または2以上の慣習的なキャパシタまたはスーパーキャパシタを含み得る。
【0114】
図5に描かれているブロック図の態様のさらに他の側面において、エネルギー管理装置200は、電圧変換回路213の活性化および不活性化(例えばスイッチング稼働)をまた制御するための、出力電圧フィードバック回路220を任意に含んでよい。例えば、整流器214によって出力される第2の電圧215が、「セットチャージ電圧」設定点222で表される所定の値であるとき(例えば、電池が充電されたときまたはキャパシタがプリセット最大電圧に近づいたとき)、出力電圧フィードバック回路220は、FETs210と関係してスイッチング稼働を不活性化するシグナルを(例えば発信器およびスイッチングロジック208に)提供する。したがって、1つの側面において、出力電力フィードバック回路220は、第2のエネルギー蓄電部216の役割を果たす電池またはキャパシタの過充電を防ぐ。他の側面において、出力電圧フィードバック回路の働きは、MFC電圧203に関わりなく電圧変換回路213の不活性化することによって、コンパレータ回路206の働きに勝り("trump")、その結果、第2のエネルギー蓄電部216が十分に充電される限りはMFCの休息を許容する。さらに他の側面において、フィードバック回路220は、コンパレータ回路に関係して上述したものと同様の、電圧変換回路の活性化および不活性化が起こり得る電圧の範囲を提供するための、ヒステリシスウィンドウを実装してよい。ヒステリシスウィンドウ付き電圧フィードバック回路220のさらなる詳細は図7の詳細図式に示されている。
【0115】
図5に示されている態様のさらに他の側面において、第2のエネルギー蓄電部216はまた、電圧215が「低電圧カットアウト」設定点224より低いとき、負荷250から第2のエネルギー蓄電部216を断線し、結果として過放電による損傷を防ぐ(過放電は特にリチウムイオン電池にとって問題となり得る)、任意のカットアウト制御回路218によって守られていてよい。コンパレータ回路206および電圧フィードバック回路220のように、カットアウト制御回路218はヒステリシスウィンドウを実装していてよい。ブロック図5において、設定充電電圧設定点222および低電圧カットアウト設定点224と同様コンパレータ回路206用の第1の設定点204は、(基準電圧に連結したそれぞれの電位差計が図5に示されているように)手動で設定されてよい。
【0116】
図6は、本開示の他の進歩的な態様に従ったエネルギー管理装置200を図示したブロック図であり、装置は、マイクロプロセッサ600、およびマイクロプロセッサ600からの様々なシグナルの交換を促進するマルチプレクサー650をさらに含む。例えば、本態様の様々な側面において、装置は、マイクロプロセッサ600が、装置に関係する1または2以上のシグナル/電圧レベルを監視し、監視したシグナル/電圧レベルに少なくとも一部基づいて、1または2以上の設定点204、222および224を順に制御するように設定されてよい。マイクロプロセッサ600に監視され得るシグナル/電圧レベルの例は、これに限定されるものではないが、MFCカソード電圧、MFCアノード電圧、第2のエネルギー蓄電部216を通過する第2の電圧215(図6において「VCC」と標示されている)、MFC電流に関するシグナル(図6において「IMFC」と標示されている)、第2のエネルギー蓄電部216の充電電流に関するシグナル(図6において「ICH」と標示されている)、および塩化銀(AgCl)基準電極を含み、さらなる詳細は以下に論じる。
【0117】
図6に描いたように、電流検出を促進するために、0.01オームというかなり小さい抵抗を有する第1の電流検出抵抗610、ならびにMFC電流IMFCの検出を促進するための増幅器620が使用される。装置200のための共通(「グラウンド」)電位が実質的にMFCアノード電位と同一となるように(後述の議論を目的として、電流検出抵抗が採用されたとき、MFC電圧203が第1のエネルギー蓄電部202を通した電圧と解釈される)、非常に小さな抵抗が、検出抵抗610のために選択される。充電電流ICHの検出を促進するために、第2の電流検出抵抗630が、整流器214と第2のエネルギー蓄電部216との間に連結される。
【0118】
一つの側面において、図6に示されている装置200のマイクロプロセッサ600は、電力効率を増大または最適化するために、エネルギー管理装置が継続的に回路パラメタ(例えばコンパレータ設定点204、任意の電圧フィードバックおよびカットアウト回路に関連する設定点222および224、あらゆる1または2以上の設定点204、222および224についてのヒステリシスウィンドウの幅など)を調整すること、および電力産生を促進するためにMFC(s)の微生物のための増大されたまたは最適化された電気化学的環境を提供することを許容する。マイクロプロセッサの制御下、電圧変換回路213は、MFCの休息/復帰を促進するために、第2のエネルギー蓄電部216の充電/放電サイクルの間の実質的にあらゆる時にオンオフを切り替えることができる。さらに以下で図11について論じるように、一つの典型的な実装において、休息期間の継続的循環および複数のMFCsに対する負荷のバランシングを許容するために、マイクロプロセッサ600をまた、複数のMFCsを使用するために使用して、MFCsを第1のエネルギー蓄電部に連続して連結するための連結回路を制御することができる。
【0119】
上述したように、図6のマイクロプロセッサ600は、参照AgCl電極に対して独立して一方または両方のアノードまたはカソードの電圧を順次設定するために、塩化銀(AgCl)基準電極に対するそれぞれのMFC(s)のアノードおよびカソード電位を監視することができる。AgCl電極は、電気化学において基準電位としてよく使用される(つまり正確に知られ、あまり変化しないものである)。AgCl電極に対して別の電極を計測することにより、計測された電極の電気化学的電位が本質的に定義される。エネルギー管理装置200は、二つの未定義の電極(つまりMFCカソードおよびアノード)間の電位差を本質的に制御するので、いくつかの実装において、MFCにおけるあらゆる弱点を評価するために、MFCアノードおよびカソードそれぞれの絶対電位は何なのかを知ることは有用であり得る。例えば、MFCアノードおよびカソードの電位のいずれかがMFCの電力産生効率に顕著な効果を有することが、与えられた実装において決定されている場合、MFCアノードまたはカソードのAgCl基準電極に対する絶対電位は、マイクロプロセッサ600を経由して制御されてよい。
【0120】
図7は、図6に関係して上述したものと同様のマイクロプロセッサ/マイクロコントローラーとともに使用するように設定された、さらに他の態様に従ったエネルギー管理装置200の詳細な図式を描いている。図7の図式において、マイクロプロセッサそのものは示されておらず、むしろ、さらなる詳細を以下で論じるように、マイクロプロセッサへのおよびマイクロプロセッサからの様々なシグナル/電圧レベルを伝えるための、マイクロプロセッサとの接続を提供する、コネクタP3が右上の隅に示されている。図7の図式で表される態様において、コンパレータ回路206の関連した設定点204の制御は手動またはマイクロプロセッサの制御下どちらであってもよいのに対して、電圧フィードバック回路220およびカットアウト回路218に関連した設定点222および224それぞれの制御は手動である(つまりマイクロプロセッサの制御下ではない)。しかしながら、上述したように、あらゆる1または2以上の設定点204、222および224はマイクロプロセッサ/マイクロコントローラーによって制御され得ると評価されるべきである。
【0121】
図7Aの左側において、任意のAgCl基準電極と同様に、MFCのそれぞれのカソードおよびアノードとの接続を促進する電極コネクタP1(「MFC Input」と標示されている)が示されている。使用できる増幅器IC5は、AgClのための緩衝増幅器としての役割を果たし、演算増幅器IC4はMFCアノード電流検出増幅器620としての役割を果たす。IC4およびIC5の出力は、コネクタP3のピン9上のマイクロプロセッサからのENABLEシグナルを経由して有効となる、1または2以上のマルチプレクサー650(IC6)に連結される。マルチプレクサーIC6を通して、IC4およびIC5の出力は、それぞれI−BAT(MFCアノード電流監視)およびAGCL(基準電極監視)シグナルとして、監視のためにマイクロプロセッサへと渡される。
【0122】
図5に関連して上で論じたように、図7において、演算増幅器U1はヒステリシス付きコンパレータ206を実装する回路の一部を形成する。図5で示されているMFC電圧設定点204は、VSETとして図7に示されており、また、監視のためにシグナルVSET_BUFFをマイクロプロセッサに渡すマルチプレクサーIC7に連結された、緩衝増幅器U3に提供される。図7BにおいてコネクタP3の直下に示されているように、電位差計R5を経由して手動でVSETを決定するよりむしろ、D/A変換器を経由して、マイクロプロセッサはまた電圧VSETを演算増幅器U1に直接提供し得る。
【0123】
図7の図式において、IC1A、IC1C、IC1DおよびIC2は、図5および6に示された発振器およびスイッチングロジック208を構成し、トランジスタQ1およびQ2は、図5および図6で示されたFETスイッチ210を構築する。図7中の変圧器T1(図5および6で示されている要素212)は、1:15の一次および二次の巻数比を有するように示されている(ここで一次は中心タップのどちらの巻線でもよいと考えられる)。出力電圧フィードバック回路220は、演算増幅器U5によって実装され、低電圧カットアウト制御回路218は、演算増幅器U4およびトランジスタQ3によって実装される。整流器214(ダイオードD2、D5、D6およびD7)の出力によって提供される充電電流は、増幅器U2(入力シグナルI−OUT)およびマルチプレクサーIC6を経由して、シグナルI−CHG(コネクタP3のピン5)としてマイクロプロセッサによって監視することができる。
【0124】
図7において、全てのエネルギー管理装置のロジックは、整流器214の出力から獲得される電圧VCCによって供給される。図7の左下に示されているように、第2のエネルギー蓄電部216が顕著にまたは完全に消耗された場合(例えば、第2のエネルギー蓄電部216の役割を果たすリチウムイオン電池が完全に死んでしまうなどの極端な場合)にエネルギー管理装置のロジックの稼動電力を提供するために、小さなブートストラップリチウム電池もまた、「ブートストラップ電池」660として採用し得る。図7の左下にまた示されているように、電圧供給変換器662は、監視/センス増幅器IC4、IC5、U2およびU3のための負の稼動電圧(例えば−3.0V)を提供する。電圧供給変換器662への入力電圧VINVはVCC由来であるが、マルチプレクサーIC6およびIC7が、コネクタP3上のマイクロプロセッサのENABLEシグナルを経由して無効となったときに、マルチプレクサーIC7を経由して変換器662から断線する。
【0125】
図8は、本開示に従ったエネルギー管理装置200のさらに他の進歩的な態様を描いたものである。図8の態様は、第1のエネルギー蓄電部202に連結し、少なくともコンパレータ回路206および電圧変換回路213に稼動電力を、MFC電圧203にのみ基づいて提供する、電力供給回路700を含む。さらに具体的には、電力供給回路700は、整流器214によって提供される出力電圧215(VCC)が、少なくともコンパレータ回路および電圧変換回路のための稼動電圧を提供するのに不十分である場合(例えば、電圧変換回路が不活性化され、第2のエネルギー蓄電部216が顕著にまたは完全に放電/消耗された場合など)、装置200の「自己起動」を提供する。図8の図式において、電圧出力フィードバック回路または低出力電圧カットアウト回路は採用されておらず、コンパレータ206のための設定点204は手動で設定され、第2のエネルギー蓄電部216は慣習的なキャパシタC5によって与えられる。しかしながら、図8に描かれた電力供給回路700は、エネルギー管理装置の他の態様に関連した上記の特徴(例えば、任意の電圧変換およびカットアウト回路、マイクロプロセッサ監視/制御、1または2以上の第2のエネルギー蓄電部としての充電池またはスーパーキャパシタなど)とともに使用され得ることが理解されるべきである。
【0126】
電力供給回路700は、ゼロ閾値(ゼロバイアス)FETデバイス(IC3)および変換器T2のペアを、約1KHzの周波数を有する自励ハートレー発振器として採用する。電力供給回路はMFC電圧の約0.2Vで発振を開始し、MFC電圧が0.3V以上であるときに、変換器T2の出力はキャパシタC4を通る約3Vの電圧を提供する。電力供給回路700は、キャパシタC4を通る電圧が3.6V以上に上昇したとき、ダイオードD7を経由して出力電圧VCCを提供する。電力供給回路は0.4VのMFC電圧から約60μAのみの電流を取り出す。
【0127】
さらに具体的には、1つの典型的な実装において、電力供給回路700のゼロ閾値デバイスIC3は、Advanced Linear Devices, Inc.から入手可能なゼロバイアスMOSFET(型番ALD110900)に適合する対であってよい。変換器T2は、(1)IC3のゲートへのフィードバックエレメント、(2)共振回路(変換器中の巻線の寄生容量と並列のキャパシタC7と一次巻線のインダクタンスL)、および(3)電圧乗算器として採用される。変換器の二次巻線は、電圧を上げるために、自動変換器(非絶縁二次巻線)として配線される。約1:6の巻数比(6X)およびLC共鳴の両方によって提供される電圧増幅は、組み合わさって、入力電圧の約10倍の、出力電圧変換器二次巻線上の出力電圧を与える(これは変換器の巻数比を変化させることで当然変化し得る)。
【0128】
図8に示された電力供給回路700において、演算増幅器IC4、トランジスタQ3、および電圧レギュレータVR3は、キャパシタC4を通るDC電圧が、コンパレータ回路206および電圧変換回路213に、始動電圧として電圧VCCを供給する(ダイオードD7を経由して)前に3.5V以上に上昇することを許容するように設定され、これがすばやい起動を許容する。演算増幅器IC4と関係する抵抗R9およびR11は、始動電圧内に約10%のヒステリシスウィンドウを提供する。電圧レギュレータVR3は、供給電圧VCCを3.3Vに維持し、ダイオードD7は、電圧変換回路213を、電圧レギュレータVR3への逆流電流(back-feeding current)から防ぐ(電力を節約するために)。
【0129】
さらに他の態様において、図8に示されている電力供給回路700は、発振器およびスイッチングロジック208内のIC2(ICM7555)と置き換えて、発振器として採用されてもよい。しかしながら、電力供給回路700の回路によって提供される発振器の波形は非対称であり、この非対称性に対処するため、電圧変換回路213のトランジスタ210の駆動のために、これを対称にするために発振器の出力を分周器(1/2)に通してもよい。
【0130】
さまざまな実装において、負荷に電力を供給するために、図5〜8のいずれかに関係した上記のエネルギー管理装置に、複数のMFCsが採用され得ることを理解すべきである。例えば、複数のMFCsを、より高い電圧を提供するために、エネルギー管理装置に入力として連続的に接続してもよい(それぞれのMFCが独立し、それらを連続的に接続するコネクタ以外の道で接続されない限り)。しかしながら、複数のMFCのかかる連続的接続は、実際面では、効率に関して顕著な課題を提起し得る。特に、かかる連続的接続において、連続的に接続されたMFCsの配置から利用可能な電流は、それぞれのMFCsのエネルギー産生能力の正味の結果であり、実際それは同じではない可能性がある。別の言い方をすれば、連続的に接続されたMFC全ての間で電流産生をバランスする/最適化することは実質的には不可能であり、したがって、MFCごとの効率は、ほとんどの場合、連続的接続に起因して顕著に低下する。しかしながら、他の実装において、それにもかかわらず、複数のMFCsが、本開示の1つの態様にしたがった「負荷バランシング」実装に準じて、MFCsを負荷に連続的に連結することによって、負荷に電力を提供するために採用され得る。
【0131】
以前に論じたように、出願人は、MFCを、MFCからの顕著な電力取り出しの期間の間休息させることを許容することで、正味の電力産生を増大することができることを認識し、評価している。さらに、出願人は、MFCに休息を許容する前に所与のMFCからかなりの電力を取り出すことが許容される典型的な期間は、MFCが典型的な負荷(例えば第2のエネルギー蓄電部としてリチウムイオン電池を含むエネルギー管理装置)に継続的に連結されるいくつかの期間での、典型的なMFCによる瞬間電力出力および第1のエネルギー蓄電部の充電状態の比較に基づいてよいことを認識し、評価している。
【0132】
例えば、1つの実験において、MFCsの瞬間電力出力を計算するために、2つの異なる温度(摂氏25度および摂氏10度)で稼動する2つの異なる微生物燃料電池(0.5m)それぞれについてMFC電圧および電流を計測した。図9を参照して、瞬間電力出力が時間に関連してプロットされ、図中プロット302は25度CのMFCに対応し、プロット304は10度CのMFCに対応する(電力は左の縦軸に対数目盛で示されており、電圧は右の縦軸に均等目盛で示されている)。典型的な第1のエネルギー蓄電部202の役割を果たす60Fスーパーキャパシタの充電状態もまた、プロット300として、図9にプロットされている。MFCから電力が取り出されることを許容するための典型的な期間は、MFCの瞬間電力出力とスーパーキャパシタの充電状態のプロットの交点として求められ、図9においては約2〜4分と示されている。この交点後にMFCを断線すること、およびその後それにいくつかの期間の間休息/復帰を許容することによって、MFCは、顕著に低い安定状態の電力産生(図9において60分後に0.001W未満として示されている)よりもむしろ、そのピーク電力出力を再び提供することが許容される(図9において約1W)。1つの側面において、MFCの瞬間継続電力流出および第1のエネルギー蓄電部の充電速度の交点によって表される期間は、コンパレータ回路206のための第1の設定点204を選択する基準を提供し得る。
【0133】
図10は、負荷に順番に連結された9つの典型的なMFCsの、時間による電力出力の他のプロット308を示しており、各MFCは負荷に約2分間連結され、そこで残りの順番サイクルの間(約15から16分)休息することを許容した。別の言い方をすれば、9つのMFCは、「持ち回り」式(”round-robin” fashion)で負荷に連続的に接続された。図10はまた、9つ全てのMFCと同等の表面よりもわずかに大きい表面領域を有し、同一の負荷に継続的に接続された、単一のMFCの時間による電力出力のプロット310を示す。図10から、継続的に負荷に接続されるのと対照的に複数のMFCsがサイクルされたとき、瞬間電力出力は劇的に増大し(例えばいくつかの場合においては900%ほど)、結果として顕著に正味の電力出力が増加する(例えばいくつかの場合においては約40〜120%まで)と、容易に評価することができる。出願人は、かかる「持ち回り」サイクルは、アノード表面への多くの電子の移送を得られる化学的および生物学的プロセスを刺激および持続することを観察した。例えば、これは、これに限定されるものではないが、アノードに形成されるバイオフィルム内への拡散を介した有機炭素の補充(これは微小電極プロファイリングを介して定義される)、アノード上の酸−塩基バランスの再構築(これもやはり微小電極プロファイリングを介して定義される)、電子往復の再生(カソード上で起こるものとして、蛍光および分光イメージングによって決定される)、および微生物代謝における電位増加(これは、同位体トレーサー研究によって観察される)などを含む。約15分の典型的な休息期間は図10において与えられた例によって提供され、適したまたは最適な休息期間の持続は、MFCに使用された電極のサイズ、稼働温度、有機炭素荷重、微生物集団微生物、密度および分配、およびMFCの他の側面およびその環境に少なくとも一部依存してよい。
【0134】
エネルギー管理装置200と連結して使用される、図10に関連して上述したサイクリングまたは「負荷バランシング」技術を実装するための、本開示の一つの態様に従うタイマー回路400および連結回路450。負荷バランシング技術の実装についてのタイマー回路および連結回路の一般的な機能を描写する目的のため、9つのMFCsよりむしろ4つのMFCsが考慮される。しかしながら、様々な実装に従いあらゆる数のMFsを採用し得ることが理解されるべきである。
【0135】
図11において、4つの異なるMFCsのそれぞれのアノードは、連結回路450のFETsQ5〜Q8に連結され(図11Dの右上に示されている)、4つのMFCsのカソードは、エネルギー管理装置200の第1のエネルギー蓄電部202に一緒に連結される(図5〜8で示されているように)。タイマー回路400は、アノードスイッチングサイクル時間を約1分から99時間/アノードで設定できる複数の非常に低電力のプログラム可能なタイマーを含み、ASW_1からASW_4の4つのFET有効化シグナルを、タイマー回路のIC9を経由して、FETQ5〜Q8のそれぞれのゲートに提供する。タイマー回路400を構成する全ての統合された回路は、稼働電力を、図5〜8の整流器214から提供されたVCC電圧から取り出す。さらに他の態様において、図11に示されたプログラム可能なタイマーを採用するよりも、FETsQ5〜Q8を配列的に駆動するためのFET有効化シグナルASW_1からASW_4を発生し、その結果それぞれのアノードを、順次エネルギー蓄電装置の第1のエネルギー蓄電部202に連結するために、図6に示されたマイクロプロセッサ600を採用してもよい。このやりかたで、電力が与えられたMFCから取り出される間および対応するMFCの休息期間の間のそれぞれの期間は、マイクロプロセッサ制御下にあってよく、あらゆる数のパラメータに基づいてよい(例えばマイクロプロセッサによって監視されるシグナル/電圧レベル)。
【0136】
図11Dの回路において、連結回路450のFETsQ5〜Q8はN型デバイスであり、ゆえにそのドレイン(アノードに接続した末端)がソース(抵抗R15および最終的に接地する末端)に対して常に正となるように設計されている。しかしながら、いくつかの場合における浮動アノードは、ソース電圧よりも負にドリフトし、ゆえにFETsは「逆方向」("backwards")にバイアスし得る(つまり非在来型のやりかたで)。ドレイン電圧がソース電圧に対して−0.6ボルトを上回ることを防ぐ、各FETのドレインとソースと間に固有のダイオードがある。出願人らは、ドレインがソースよりも負となったときに、FETsが実際には効果的にオンとなるが、固有のドレイン体ダイオードが、最大の使用可能な逆方向のバイアスを0.6ボルト未満に保つことを認識し、評価している。前述のことを考慮して、連結回路450の1つの態様において、1.2ボルトの合計最大逆方向バイアスに到達するように、2つのFETsがMFCごとに連続して使用される。MFCアノードのカソードに対する電圧は、典型的には依然として−0.8Vより小さいので、2つのFETsの組合せは不注意な逆行バイアス伝導を妨げるのに十分である。代替的な実装において、MFC電圧が典型的に0.6ボルト未満であることが期待される場合、MFCごとに単一のFETで十分であり得る(しかし、2つのFETsの組み合わせは、堅調な稼働を確かにするために、依然として採用し得る)。1つの側面において、FETsQ5〜Q8は、オンまたはオフ状態を維持するのに電流を要しない「ゼロ電力」デバイスであり、0.003オーム未満の「オン」抵抗を有する。図11Dにまた示されているように、抵抗R15は、図6および7に示されている抵抗610と似た、電流感知抵抗の役割を果たしてよく、したがって、複数のMFCsのサイクリングを促進するために連結回路450がエネルギー蓄電装置200に採用された場合、図6および7に示された装置において抵抗610は必要ではなく、入力電流感知が必要である。
【0137】
本開示の燃料電池は、電気的な力を必要とする実質的にあらゆるアプリケーションを含む、広範で様々なアプリケーションに使用し得る。かかるアプリケーションの限定されない例は、照明;携帯電話、ラジオ、コンピュータなどの電力電気デバイス;電力ウォーターポンプ;セキュリティアプリケーション(例えばセンサーの制御);または配電網に依存して生活する人々のための電力デバイス(例えば発展途上国において)などを含む。さらに他の限定されない例は、家屋および庭用アプリケーション(例えば湿度検出、照明など)、携帯用トイレ(例えば照明、ファン、例えば充満検出器などの電気シグナル伝送器など)、ホームセキュリティ(例えばモーションセンサー、警報機、電気シグナル伝送器など)、軍事アプリケーション(例えば国境センサー、戦場電力、照明など)、公共高速道路(例えば路面標識、道路標識、速度検出器など)、ブイまたは海洋学的アプリケーション(例えばブイ用照明、電気シグナル伝送器など)、キャンプまたはハイキング用アプリケーション(例えば照明など)、公園(歩道、壁用照明など、または装飾用照明など)、または農業用アプリケーション(例えばpHセンサー、湿度センサーなど)を含む。
【0138】
次の文書は参照により本明細書に組み込まれる:Girguis et al.による2006年8月20日出願、タイトル「High-performance Termophilic Microbial Fuel Cell」、米国仮出願第60/845,921号;Girguis et al.による2007年4月25日出願、タイトル「Methods and Apparatus for Providing Power from Microbial Fuel Cells」、米国仮出願第60/914,025号;およびGirguis et al.による2007年4月26日出願、タイトル「Methods and Apparatus for Stimulating and Managing Pwer from Microbial Fuel Cells」、米国仮出願第60/914,108号。
【0139】
次の例は、本開示のある態様を描写する目的であり、本開示の全範囲を例示するものではない。
【実施例1】
【0140】
この例は、本開示の1つの態様に従う、従来の微生物燃料電池よりも6から16倍大きな電力出力を産生するために設計された、およびそれが可能な、新規な高性能好熱性微生物燃料電池を説明する。
【0141】
代謝は、生命の維持に必要な、生きている細胞内で起こる化学的プロセスと定義され得る。一般的に、代謝反応は二つのグループに分類される:成長および維持のための新たな生物学的構成物を合成するための、「食料」を化学的化合物に解体する反応、およびこれらの成長および維持を補佐するエネルギーを発生する反応。
【0142】
エネルギー代謝は、「還元−酸化」化学反応が中心となり、それは生物が、糖などの電子豊富な化学物質から酸素などの電子不足の化学物質に電子を移送する際に放出されるエネルギーを利用するものである。例えば、動物は、典型的に酸素をそれらの電子の最終受容体としている。したがって、酸素が最終電子受容体(terminal electron acceptor)と称され得る。しかしながら、いくつかの微生物は、酸素の代わりの最終電子受容体として他の材料(例えば土壌、金属、鉱物など)を使用することができる。かかる微生物は、典型的には、嫌気性環境において同定され、ここでは、低濃度の酸素または酸素の欠乏が代謝における酸素の使用を阻害する。したがって、これら嫌気性微生物は、それらの電子を、金属または鉱物などの土壌材料へと移送する。
【0143】
一般的に、生物は、その質にかかわらず、食物中に見出されるエネルギーの10%から40%のみ保持することができる。多くの保持されたエネルギーは、熱として環境中に消失する(熱力学第2法則に従って)。これは、さらなる仕事をするために十分な熱をその体内に保持できない微生物などの小さな生物にとって特に関連がある。
【0144】
微生物を含む、多くの生物が熱を仕事に利用することができないにもかかわらず、それらの代謝速度はしばしば温度に比例する(生物の温度限界まで)。代謝速度および温度のこの関係は、しばしばQ10として表現され、これは各10℃の温度上昇による速度上昇を計測したものである。例えば、速度が各10℃の上昇によって3倍になった場合、Q10値は3となる。代謝速度は、一般的には、しばしば2付近のQ10を有する。0℃における動物の代謝速度がXである場合、10℃では速度が2X、20℃では4Xなどとなる。典型的には、速度は、温度が増大するよりも、より素早く増大する。このように、熱が環境に保持された場合(例えば自然または人工的な方法によって)、生物の代謝速度は、例えば摂氏10度〜摂氏70度の間で16倍まで増大し得る。
【0145】
いくつかの動物が55℃までの温度に耐えられるが、微生物は今日知られた生物の中で明らかにもっとも好熱性(または高温を好む)の生物である。例えば、暖かいから熱い温度(それぞれ約30℃から約50℃、および約50℃から約90℃)で生活することを好むいくつかの微生物は、それぞれ中温菌または好熱性菌と呼ばれる。いくつかの微生物は、121℃までもの温度で生活すると見られている。これらの微生物の活動は、深海の熱水噴出口など変わった環境、たい肥パイルまたは泥炭湿原などのよりありふれた環境、沈殿池、汚水消化槽、嫌気性消化槽などの人工的環境において観察することができる。確かに、微生物の代謝はたい肥から環境へ放射される熱に応答性がある。前に述べたように、これらの中温性および好熱性微生物はまた、温度と代謝の間の前述の関係に従属し、それが、これらの高い温度環境において、一般的に好熱性微生物が高い代謝速度を有する理由である。
【0146】
この例は、微生物代謝の力を利用して電気を発生することができるデバイスである微生物燃料電池を描写する。微生物燃料電池(またはMFCs)は、2つの異なる環境に置かれた2つの電極を含む(しかしながら、いくつかの場合において、複数の電極が使用し得、例えば複数のアノードおよび/またはカソードが、例えば異なる区画にあってよく、それらは組み合わせておよび/または平行して稼働し得る)。例えば1つの電極は酸素が豊富な(つまり好気的環境の)区画に置かれてよく、同時に他の電極は酸素を欠乏するる(または少なくとも量が不十分である)(つまり嫌気的環境の)が、例えば糖またはタンパク質など有機豊富な材料、バイオマスなどの燃料がある、第2の区画に置かれてよい。好気的区画と嫌気的区画との間に存在する電位を維持するために、区画は、典型的には、酸素が嫌気的区画に拡散することを防ぐまたは少なくとも阻害し、電気的導通を維持するためにプロトンまたはHが区画間を移動することを許容する障害物によって分離されている。このプロトン交換インターフェースは、例えば、2つの区画を分離する合成気密性ポリマー膜、または電気的導通を許容するが大部分の材料の混合を最小化する充填されたベッドを含み得る。
【0147】
各電極にはワイヤーが取り付けられてよい。例えば、金属ワイヤー(例えばチタニウム)が布の長さに沿って織り込まれていてもよく、防水性であるが導電性のエポキシ樹脂を介して、電気分解を可能にすることなく、最大の電気的伝導性を保証するように保持することができる。各電極からのワイヤーは、そこで、負荷、例えば照明またはモーターなど、に接続される。各区画内に存在する微生物は、電極上で生育することができる。例えば、嫌気的区画内の微生物は、有機的基質を代謝し、電子をその基質から電極に移送することができる。これら2つの区画間の電位の相違により、電子は第2の電極に向かって移動する。したがって、嫌気的環境下の電極をアノードと称することができ、同時に好気的(酸素豊富な)環境下の電極をカソードと称することができる。一旦アノード上の微生物集団がアノードを最終電子受容体として利用し始めると、電流が産生され、仕事が遂行される。
【0148】
この例は、本開示の1つの態様に従った、高い微生物電力産生を刺激し持続する、好熱性(または「高温を好む」)微生物燃料電池を描写する。この例の好熱性微生物燃料電池のデザインは、典型的に熱として失われるエネルギーを利用して微生物代謝を刺激することによって、電力産生の効率を増大し得る。従来のシステムとは異なり、この好熱性燃料電池は、その生育および代謝により高い温度を要求する嫌気性好熱性微生物(例えば細菌または古細菌)の生育を進める。好温において生育するその能力により、これらの微生物は高い代謝速度を見せ、好熱性燃料電池による高い電力出力を持続する。プロトン交換インターフェースもまた、電位を乱すことなく、代謝老廃産生物として形成される気体(二酸化炭素および窒素など)の早い排出を許容する。この例の好熱性燃料電池の電極デザインはまた、効率的なエネルギー産生および移送を可能にし、同時にまた微生物代謝老廃産生物の排除を許容する。例えば、プロトタイプテストの間、好熱性微生物燃料電池のアノード区画内部の温度は、136°Fまたは57℃に達した。1つの実験において、この温度は、4ヶ月以上の間ほぼ一定を維持し、最小限の低下の兆候を示した。好熱性微生物燃料電池の電力産生はまた、現行のシステムよりも6〜9倍大きいことが示され、特定の燃料組成物を使用したとき、以前に計測されたものよりも12〜16倍高いピーク電力産生を達成した。
【0149】
微生物はとてつもない代謝容量を有し、エネルギーおよび生育のために広範で様々な化合物を解体することができる。しかしながら、代謝能力を持続するためには、微生物の栄養素が豊富でよくバランスがとれていること(例えば豊富な炭素、窒素、リンおよび微量のミネラル)、理にかなった範囲のpHを有すること、および/または老廃産生物が十分に排除されることが要求され得る。この例において、好熱性微生物活性にとって十分にバランスがとれた栄養を提供する燃料を使用した。この好熱性燃料は、有機炭素豊富な有機豊富な材料1部およびほぼ同一な量の窒素、リンおよびカリウム(家禽または馬の糞尿、グレード3−3−2の育成剤など)、石灰などのアルカリ剤0.1部、および活性炭などの電気伝導性の基質0.1部からなる。これらを一緒に混合し、アノード区画に使用したとき、上記燃料は、燃料電池内の好熱性微生物の代謝および育成を刺激および持続した。
【0150】
前述したように、微生物代謝速度は環境温度に関係している。たい肥パイル、下水処理施設、および微生物燃料電池を含む、微生物活動が熱を産生しやすい多くのシステムにおいて、システムの構造的完全性を守るため(例えばプロトン交換膜を守るため)に、熱を消散すること、または微生物代謝活性の速度を減少させることが推奨される(下水処理施設においてなど)。反対に、このことがかかるシステムを、例えば中温性または好熱性微生物にとって最大の代謝速度を達成する準最適な温度で稼働することに留めている。この例において、燃料電池は、利用可能な燃料の微生物代謝分解によって発生する熱を保持することができる。このことは、この例において、化学的に不活性な、最小の表面積対体積比を有する二重壁断熱燃料電池区画、例えば球形のガラス真空フラスコ、を使用することによって達成された。かかる真空断熱区画は、95%までの断熱効率を有し(たった5%の熱が放射によって損失することを意味する)、熱の保持に効果的である。このデザインは、従来の燃料電池デザインに対して熱損失を減少し、好熱性微生物による高い微生物代謝活性を進めた。不活性な材料もまた、燃料電池体からの毒性物質の浸出の可能性を減少し得る。この燃料電池は、アノード区画内で固体または半固体燃料を、およびカソード区画内で液体または固体燃料を使用可能である。例えば、利用者が、必要に応じて、一つのポートを通して消費された燃料を排出し、もう一つのポートを通して燃料電池を新鮮な燃料で再充填することを可能にする、2つの気密ポート(互いに向かい合って備えられたもの)を通して、アノード区画燃料のリフレッシュが起こってよい。前述したように、本燃料電池において、好熱性微生物の代謝および生育を刺激および持続するために特定の燃料混合を使用することができ、このことは、さらに微生物代謝を刺激可能な高い熱産生を導き得る。したがって、微生物燃料電池の効率は、熱として損失するエネルギーを利用してさらなる仕事をすることによって、増大し得る。
【0151】
前述のように、燃料電池のアノードおよびカソード区画を分離するためにプロトン交換膜を使用したときには、ある制限がある。好熱性燃料電池に関してもまた、代謝活動は、気体老廃産生物の産生を導く。この例の燃料電池では、充填ベッドプロトン交換インターフェースを用いて、これに対処している。このインターフェースは、2つのファイバーグラスメッシュスクリーンに挟まれた、例えば150〜300ミクロンの公称直径を有する石英砂などの絶縁性材料のベッドを含む。2つのファイバーグラスメッシュスクリーンに挟まれた100ミクロンのジルコニウムビーズを有する、1センチメートルの厚さの均一な充填ビーズベッドがまた試験され、プロトン交換インターフェースとして非常に効果的であることが証明された。集合体全体の厚さは1から数センチメートル程度であった(燃料電池区画のサイズは未決)。このインターフェースは、アノードチャンバーを適度に無酸素状態に保ち、電位を維持すると同時に、より早いプロトン交換(電荷バランスを維持するために)を可能にする。これはまた、アノードチャンバー内の気体産生物の漏れ出しを許す。
【0152】
この燃料電池で使用されている電極は、より高い稼働温度に耐えられるようにデザインされていた。電極はまた、電子移送を維持するため、および拡散距離を減少するため、比較的広い表面領域を有し、捕捉された微生物代謝に由来する気体老廃産生物を回避するため、気体透過性であった。電極は、電極表面への代謝産物の大量輸送の妨げにならないメッシュサイズ(例えば数百マイクロメートルからミリメートル)を有する不活性材料の積層板シート(炭素繊維またはチタニウム布など)からなっていた。ワイヤーは、抵抗損失を減少するために、耐腐食性の留め具を経由して電極の複数箇所に取り付けられ、または防水伝導性エポキシ樹脂によって電極の全長に固定されていた。複数の層がアノードチャンバー内に水平に設置され、燃料中に挟まれていた。これらの電極は電流を伝導するのに効果的なだけでなく、電子移送のための表面領域を増大するよう、アノード燃料チャンバー内の死角を減少させるかまたはなくすることを保証するために水平方向のマス(mass)およびエネルギーの流れを促進するチャンネルとして働くよう、および代謝老廃物の気体を逃がし得るために気体透過性であるように、デザインされた。
【0153】
結論として、この好熱性微生物燃料電池は、微生物代謝速度を刺激するために微生物の熱を使用することにより、電力産生を最適化するようにデザインされた。さらに、これは高い微生物代謝速度、および結果として、高いエネルギー産生を、例えば栄養物または最終産生物の集積による制限に起因する制限を減少するなどにより、維持することができた。このシステムは、様々な産業において多くの潜在的な用途を有する。例えば、好熱性燃料電池デザインは、ほとんど全ての今日の微生物燃料電池アプリケーションにおける電力出力を引き上げるために使用することができる。例えば、好熱性微生物燃料電池デザインは、セキュリティ照明またはウォーターポンプのための十分な電力を獲得する肥料パイルからの電力出力を増大するために、畜産場によって採用され得る。好熱性部生物燃料電池のデザインは、離れた場所におけるセキュリティまたは環境センサーのための十分な電力を提供するために使用し得る。さらにそれらは、発展途上国において、配電網に依存して生活する人々のための電力を発生するために使用し得る。例えば、好熱性燃料電池は、いくつかの部屋を照明する、携帯電話を再充電する、またはラジオおよび低電力コンピューターに動力を与えるために十分な電力を産生することができる。
【実施例2】
【0154】
この例は、様々な基質(これに限定されるものではないが、農業施設老廃物、畜産老廃物、生ゴミ、自然の落ち葉、および様々な土壌を含む)内の有機化合物を異化する、(自然発生の微生物の)微生物代謝を刺激および持続する、微生物エネルギー発生器を記載する。このプロセスの副産物は電気であり、アノードとして使用し得る不活性で伝導性の板または布によって利用される。このシステムは、利用者の要求に依存して、開放型または閉鎖型の形状におけるこのエネルギー発生器の継続的な稼働を許容し、不動および移動の間エネルギー産生を可能とする。
【0155】
このシステムはまた、様々な態様において、無酸素性または嫌気性堆積物からの様々なおよび先に同定されていない微生物の集団の生育を刺激し、これは、それら自体の電子伝達物質および/または導電体(例えばナノワイヤーまたは線毛)を産生することによって電力産生に貢献し;広範な天候状態における、このデバイスの持続稼働、およびそれぞれの燃料タイプについてのアノードとカソードとの間の最適な電位を決定することにより、およびいくつかの場合においては、負荷と配列した微生物燃料電池の開放型回路状態との間を周回(つまり「負荷バランシング」)することにより、様々な燃料の使用を可能にし;エネルギー蓄電および管理システムを通して、微生物エネルギーの効果的な利用および貯蓄を可能にし;および/または、微生物燃料電池を携帯型アプリケーションで利用可能にすることにより、利用者に開放型または閉鎖型システムにおける微生物燃料電池の稼働を許容する。
【0156】
この例のデバイスはモジュール式であり、それぞれのデバイスは約0.1kW年〜5kW年まで産生するように設定することができる。これは、微生物燃料電池のエネルギーから離れて直接稼働することができるデバイス、または要求するピーク電力が、この例のエネルギー蓄電および管理システムの使用を通して利用可能となるものを含む、様々なアプリケーションのための電力を提供するのに十分であり得る。ここで示されたデバイスはまた拡張可能であり、それぞれのシステムは様々な形態において統合を許容される。
【0157】
この例は、微生物代謝の電力を利用することで電気を発生することができるデバイスである、微生物燃料電池を描写する。微生物燃料電池(またはMFCs)は、二つの異なる環境に置かれた2つの電極を含み得る(しかし、いくつかの場合において、複数の電極が使用し得、例えば複数のアノードおよび/またはカソードが、例えば異なる区画内にあってよく、それらは組み合わせておよび/または平行して稼働しうる)。例えば、1つの電極は酸素豊富な区画(つまり好気的環境)に置かれてよく、同時に他の電極は、酸素が欠乏している(または少なくとも不十分な量である)(つまり嫌気的環境)が燃料、例えば糖またはタンパク質などの有機豊富な材料、バイオマスなど、のある第2の区画に置かれてよい。好気的区画と嫌気的区画との間に存在する電位を維持するために、区画は典型的には、酸素が嫌気的区画に拡散することを妨げるまたは少なくとも阻害し、電気的導通を維持するために、プロトンまたはHが区画間を移動することを許容する、障害物によって分離されている。このプロトン交換インターフェースは、例えば2つの区画を分離する合成気密性ポリマー膜を含んでよい。
【0158】
それぞれの電極からのワイヤーは負荷、例えば照明またはモーター、に連結される。各区画内に存在する微生物は、電極上で生育してよい。例えば、嫌気的区画内の微生物は、有機的基質を代謝し得、それらの基質から電極に電子を移送し得る。これら2つの区画間の電気的電位が異なるため、電子は第2の電極へ移動する。したがって、嫌気的環境にある電極は、アノードと称することができ、同時に好気的(酸素豊富な)環境にある電極をカソードと称することができる。一旦アノード上の微生物集団がアノードを最終電子受容体として使用を開始すれば、電流が産生され、仕事が達成できる。
【0159】
微生物燃料電池の1つの側面は、アノードおよびカソードとしての不活性伝導性柔軟性表面(例えばグラファイト布、炭素繊維布、炭素繊維含浸布、グラファイト紙など)の使用、または例えば燃料電池筺体などの構造要素上への、不活性伝導性電極を作製するための伝導性被膜(粉末被膜または「グラファイト塗料」など)の使用を含む。グラファイトは、微生物代謝エネルギーを利用するのに使用し得る。炭素繊維布またはグラファイト紙などの、不活性伝導性柔軟性表面の使用は、重量や費用を増大することなく、反応性電極表面領域を増大することを許容する。いくつかの場合において、これらの柔軟性電極は、典型的には数百ミクロンからミリメートルのメッシュサイズを有する積層板シートから形成されるため、比較的多孔性である。このデザインは、固体電極よりも、電極表面への代謝物の大量輸送の妨げにならず、これらの柔軟性伝導物質はまた、燃料電池を比較的軽くすることができる。
【0160】
いくつかの場合において、この例の燃料電池は、伝導性被膜または塗料の使用を通してエネルギーを利用することに効果的であることが示されている。燃料電池のアノードおよびカソードは、様々な材料(これに限定されるものではないが、金属のほかに非伝導性ポリマーおよびセラミック)を、グラファイト塗料(例えば20から60%のグラファイトを揮発性溶媒と接着剤に懸濁したもの)で被覆することにより調製されてよい。ワイヤーは、リードワイヤーと電極表面との間の適正な伝導性のために、被覆の前に表面に貼られてよい。いくつかの試験において、アルミニウム、PVC、およびガラスが、グラファイト塗料で被覆された。この試験における単位表面領域当たりの継続的な電力産生は、グラファイトと実質的に同一であった。したがって、グラファイトで塗装され得るあらゆる材料が大表面領域電極(large surface area electrode)としての役割を果たすことができる。加えて、いくつかの場合において、燃料電池の構成要素上、例えば、MFC筐体などの開放型または閉鎖型の微生物燃料電池、下水濾過場所の下部のプレートなど、に不活性伝導性電極を作成することができる。
【0161】
加えて、この例はまた、電極(例えば柔軟性伝導性またはグラファイト被膜表面)の前処理が、アノード上の複合有機炭素を分解可能な集団を含む天然の微生物集団の生育を促進し得ることも示す。例えば、電力産生に貢献することが予め分かっていない、大きな、または多様な微生物集団が生育し得る。例えば、いくつかの実験において、アノードを0.01Mのリン酸に37℃で一晩浸すことによって処理した。アノードを酸浴から取り除き、蒸留水で簡単に洗い流して、酵母エキスおよび硝酸アンモニウム(10:1の比率)のドライバス中に置き、その後燃料電池に使用される可能性がある燃料(例えば畜産老廃物)に曝露した。いくつかの場合において、粉末たい肥が容易にこの処理のために置換可能である。このアプローチは、グラファイト表面の酸化を減じることによって、アノード上でのエネルギー発生バイオフィルムの急速な生育を促進すると考えられており、生育のためにすぐに利用可能な基質、ならびに目的の燃料からの種菌を提供する。
【0162】
さらに電力産生を刺激するために、カソードを0.5mMの硝酸ナトリウムに一晩浸し、使用の前にカソードを白金で真空蒸着した。これらの処理は、1年までの間にわたり、34%までものより高い電力出力を燃料電池から産生することが示された。特に、これらの処理は、微生物を刺激して、難溶性有機炭素の細胞外異化、またはアノードへ電子をシャトルするなどの目的のためにより良好な電子の移送を可能にする、微生物自体の電子シャトル(または生物学的媒介体)を産生させるように見受けられた。
【0163】
加えて、これらの処理は、アノードに直接電子を伝導する細胞外付属器の形成を刺激することが観察された。これらの付属器、線毛または「ナノワイヤー」は、3種の実験室微生物(特に、微生物集団の中の多くのファイロタイプ)において既に記載されている。しかしながら、この処理は、これらの電子伝達性付属器を産生するとは知られていなかった微生物中における、それらの成長を刺激するように見受けられた。
【0164】
電極材料および処理、およびエネルギー管理および蓄電システムに関する上記の実装は、電力産生を増大するのに効果的であることが見出され、広範で様々なデバイスにおいて開放型燃料電池、つまり封じ込めることなく自然に展開する燃料電池、の使用を可能にする。しかしながら、他の実験において、容器内にに封じ込められた、閉鎖型システムを使用した。閉鎖型システムは携行可能または拡張可能であってよく、閉鎖型システムは組み合わせておよび平行に稼働するように設計することができる。
【0165】
この例において、アノード区画は、これに限定されるものではないが、PVC、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびPETE、または、セラミック、吹きガラス、または木材などのより絶縁性の材料を含む、非伝導性で軽量な材料から形成した。これらの材料はアノードチャンバー内の熱保持を推進し(実施例1参照)、硫化水素などの代謝副産物と非反応性であり得る。閉鎖型システム燃料電池をより効果的に稼働可能にするため、システムは自己不動態化の効果を減じるようにデザインした。特に、気体開放システムを通じた2つの区画間の導電性を依然として許容しながら、気体性副産物がカソード区画を通り抜けるように、気体除去システムをデザインした。インターフェースはまた、プロトン交換障害物として働いた。
【0166】
いくつかの場合において、システムは、アノード区画への大気の導入を減じながら、アノード区画から気体を逃がすことを許容する、非常に低いクラッキング圧チェックバルブを装備していてよい。この例における気体除去システムは、充填ベッドプロトン交換インターフェース内にネスト(nested)されていてよい。インターフェースは、2つのファイバーグラスメッシュスクリーンの間に挟まれた150から300ミクロンの公称直径を有する石英砂、または100ミクロンの粒子径を有するジルコニウム粒子ベッドから作られた、絶縁性材料ベッドを含む。組み合わせ全体の厚さは、数センチメートル程度である(燃料電池チャンバーのサイズに基づく)。このインターフェースは、アノードチャンバーを比較的無酸素状態に保ち、電位を維持しながら、より早いプロトン交換(電荷バランスを維持するための)を可能にする。
【0167】
微生物は非常に大きな代謝容量を有し、エネルギーおよび生育のために広範で様々な化合物を分解することができる。しかしながら、代謝能力を持続するためには、微生物の栄養素が豊富で良好にバランスがとれていること(例えば豊富な炭素、窒素、リンおよび微量のミネラル)、理にかなった範囲のpHを有すること、および/または老廃産生物が十分に排除されることが要求され得る。この例において、燃料は、アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、および/または遊離アミノ酸を含む窒素源を補われ、それは燃料電池による電力産生を刺激または持続し得る。これは、これに限定するものではないが、細胞外ポリ多糖、線毛、または「ナノワイヤー」を含む、分子の生合成における窒素化合物の役割に起因するものであろう。いくつかの実験において、窒素化合物の添加に起因して、経時的に12%〜16%の増加が見られた。
【0168】
燃料電池はまた、アノードとカソードとの間の経験的に導かれた電位を維持するように設計されてよい。特に、異なる気象型に位置する都市部および郊外地域(例えばカリフォルニアおよびマサチューセッツ)両方からの土壌を含む、様々な燃料が試験された。様々な実験において、生ゴミ、芝生および園芸で刈ったもの、犬の排泄物、鳥の排泄物、たい肥化された畜産廃棄物、未処理の家禽廃棄物もまた試験された。それぞれの燃料は、所与の電位において最適化された電力出力を産生することが見出された。例えば、上記に列挙したいくつかの燃料について、電位は、経験的に、約0.23V〜約0.65Vであると決定された。したがって、この例のエネルギー管理および蓄電システムは、特定の燃料についてのアノードとカソードとの間の最適化された電位を設定する能力を含むように設計された。
【0169】
燃料電池の正味の電力産生は、攪拌、炭素の激増などによってもまた刺激することができる。いくつかの場合において、正味の電力産生はまた、燃料電池に相当な期間の「休息」を許容することによっても増大する。時間量は、温度の機能、燃料の拡散性、アノードのサイズなどによって変化し得る。したがって、いくつかの場合において、複数の燃料電池間を切り替えるのに、予め決められた時間のインターバルを使用する、単純なタイミング回路が使用し得る。これらの燃料電池は開放型または閉鎖型システム、またはそれらの組み合わせであってよい。燃料電池は、他の燃料電池がエネルギー管理および蓄電システムに電力を提供している間、休息を許容されてよい。MFCsがこのやり方でサイクルまたは「負荷バランス」されるとき、瞬間電力出力は900%程度増大し得、正味の電力出力が約40%〜120%増加する結果となる。
【0170】
本開示のいくつかの態様が本明細書に記載および描写されているが、当業者はすぐに、本明細書に記載された機能および/または結果を得ることおよび/または1または2以上の利点を実践するための、様々な他の方法および/または構造を想像し、かかるバリエーションおよび/または改変のそれぞれは、本開示の範囲内にあると考える。より一般的には、当業者はすぐに、本明細書に記載された全てのパラメータ、容量、材料、および設定は、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、容量、材料、および/または設定は、特定のアプリケーションまたは本開示の教示が使用するためのアプリケーションに依存することを理解する。当業者は、ただの慣習的な実験を使用して、本明細書に記載された本開示の特定の態様と等価な多くのものを認識する、または確認できる。したがって、前記の態様は例示の目的のみに提示されたものであり、添付の請求項およびそれに等価なものの範囲内であり、本開示は特に記載および請求されたもの以外も実践しうることが理解できる。本開示は、本明細書に記載された、各独立した特性、システム、物品、材料、キットおよび/または方法に向けられている。加えて、かかる特性、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2または3以上のかかる特性、システム、物品、材料、キット、および/または方法のあらゆる組み合わせが本開示の範囲内に含まれる。
【0171】
本明細書で定義および使用されている全ての定義は、辞書的な定義、参照により組み込まれた文書の定義、および/または定義語の通常の意味の制御と理解されるべきである。
【0172】
本明細書および請求項において使用された不定冠詞「a」および「an」は、正反対の明確な示唆がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0173】
本明細書および請求項において使用された「および/または」という語は、連結した要素の「いずれかまたは両方」を意味する、つまり、いくつかの場合においては結合して存在し、他の場合においては分離して存在する、と解されるべきである。「および/または」とともに列挙されている複数の要素は、同様に、つまり、「1または2以上の」要素が連結していると、解釈されるべきである。「および/または」節で特に同定された要素以外の他の要素は、それら特に同定された要素と関係するかしないかにかかわらず、任意に存在してよい。したがって、非制限的例示として、「含む」などの無制限の言葉と組み合わせて使用されたとき、「Aおよび/またはB」の言及は、一つの態様においてはAのみ(B以外の要素を任意に含む)、他の態様においてはBのみ(A以外の要素を任意に含む)、さらに他の態様においてはAとBの両方(他の要素を任意に含む)などを言及し得る。
【0174】
本明細書および請求項において使用された「または」という語は、上記で定義された「および/または」と同一の意味を有すると解されるべきである。例えば、列挙中の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包括的に、すなわち、多数の要素または列挙された要素の少なくとも1つを含むが2以上もまた含み、必要に応じてさらなる列挙されない項目も含むものと解釈されるべきである。「の1つのみ」または「厳密に1つ」または、請求の範囲において「からなる」が使用されているときなど、矛盾が明確に示唆される語のみが、多数の要素または列挙された要素の厳密に一つの要素を含むことに言及する。一般的に、用語「または」は、本明細書において使用される場合、「いずれか」、「の一方」、「の一方のみ」、または「の厳密に一方のみ」などの排他的な用語が先行する場合のみ、排他的な代替(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとして解釈されるべきである。「から本質的になる」は、請求の範囲において使用されている場合、特許法の分野において用いられる通常の意味を有するべきである。
【0175】
本明細書および請求項において使用された、1または2以上の要素の列挙に言及した「少なくとも1つ」という語は、要素の列挙中の、あらゆる1または2以上の要素から選択された、少なくとも1つの要素であるが、少なくとも1つの、リスト中の要素内に特に列挙されたそれぞれおよび全ての要素を含む必要はなく、要素のリスト中の要素のあらゆる組み合わせを排除しない、を意味すると解されるべきである。この低語はまた、「少なくとも1つ」という語が言及した要素のリスト内で、特に同定された要素以外の要素が、特に同定されたそれらの要素に関係する、しないにかかわらず、任意に存在してよいことを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または等価なものとして「AまたはBの少なくとも1つ」、またはとうかなものとして「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一つの態様において、Bの非存在下で、任意に1以上を含んで、少なくとも一つのA(および任意にB以外の要素を含む)、他の態様において、Aの非存在下で、任意に1以上を含んで、少なくとも一つのB(および任意にA以外の要素を含む)、さらに他の態様において、任意に1以上を含んで、少なくとも一つのA、さらに任意に1以上を含んで、少なくとも一つのB(および任意に他の要素を含む)、などを言及することができる。
【0176】
矛盾する明確な示唆がない限り、2以上のステップまたは働きを含む、本明細書で請求されたあらゆる方法において、方法のステップまたは働きの順番は、方法のステップまたは働きを参照する順番に限定される必要はない。
【0177】
上記明細書中と同様、請求項中において、「含有する」、「含む」、「有する」、「有する」、「含む」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」などの全ての移行句は、オープンエンドであると解される、つまり、含むがこれに制限されない、を意味する。移行句「からなる」および「実質的に〜からなる」のみが、米国特許庁審査基準(Manual of Patent Examining Procedures)、§2111.03で説明されているように、それぞれクローズドまたはセミクローズドな移行句である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を含む物品であって、該燃料電池が、アノードを含む第1の区画およびカソードを含む第2の区画を含み、第1の区画がさらに、バイオマスを含む燃料を酸化することができる嫌気性微生物の集団を含む土壌の種菌を含み、第1および第2の区画が非ポリマー性プロトン交換インターフェースによって分離されており、アノード区画が、密封されており、導管を経由して大気と気体の連絡を有し、および非ポリマー性プロトン交換インターフェースを経由してカソード区画と気体の連絡を有する、前記物品。
【請求項2】
微生物が、少なくとも約50℃の温度に曝露されたときに、燃料を酸化することができる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
非ポリマー性プロトン交換インターフェースが、約500マイクロメートル未満の平均粒子径を有する粒子を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
粒子が、石英および/またはシリカを含む、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
アノードが、非伝導性材料および、該非伝導性材料を少なくとも部分的に取り囲む伝導性被膜を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
伝導性被膜が、グラファイトを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
非伝導性材料が、布を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
燃料電池を少なくとも部分的に取り囲む断熱材をさらに含み、該断熱材が50℃の温度において少なくとも約80%の断熱効率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池、および該燃料電池を少なくとも部分的に取り囲む断熱材を含む、物品。
【請求項10】
断熱材が、真空フラスコを含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
燃料電池が、燃料としてバイオマスを使用する、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
燃料電池が、実質的に球形である、請求項9に記載に物品。
【請求項13】
断熱材が、少なくとも50℃の燃料電池の稼働温度において、少なくとも約80%の断熱効率を有する、請求項9に記載の物品。
【請求項14】
断熱効率が、少なくとも90%である、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
断熱効率が、少なくとも95%である、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
燃料電池が、少なくとも約30℃の稼働温度を有し、燃料電池が、その稼働温度を受動的に制御するように構築および配置されている、請求項9に記載の物品。
【請求項17】
燃料電池が、少なくとも約50℃の稼働温度を有する、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
燃料電池が、少なくとも約70℃の稼働温度を有する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
燃料電池が、稼働温度を±5℃の範囲内で少なくとも4週間維持するように構築および配置されている、請求項9に記載の物品。
【請求項20】
燃料電池が、微生物が燃料を酸化する際に微生物によって産生される熱を受動的に保持するように構築および配置されている、請求項9に記載の物品。
【請求項21】
少なくとも約50℃の温度に曝露された時に燃料を酸化することができる微生物を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項22】
温度が、少なくとも約70℃である、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
燃料電池が、少なくとも約0.5W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
燃料電池が、少なくとも約0.9W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
燃料電池が、少なくとも約1W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
燃料電池が、少なくとも約1.2W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
燃料電池が、少なくとも約1.6W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
燃料電池が、少なくとも約1.7W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
燃料電池が、少なくとも約2.7W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
燃料電池が、少なくとも約4.3W/アノード表面mの電力を産生することができる、請求項29に記載の物品。
【請求項31】
微生物が、土壌の種菌から生じるものである、請求項21に記載の物品。
【請求項32】
土壌の種菌が、少なくとも約15cmの深さから取られたものである、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
微生物が、嫌気性である、請求項21に記載の物品。
【請求項34】
微生物が、浮遊性である、請求項21に記載の物品。
【請求項35】
微生物が、コンソーシア内で生活する、請求項21に記載の物品。
【請求項36】
燃料電池が、耐気性微生物を含む、請求項21に記載の物品。
【請求項37】
燃料電池が、通性嫌気性菌を含む、請求項21に記載の物品。
【請求項38】
燃料電池が、1種以上の嫌気性微生物を含む、請求項21に記載の物品。
【請求項39】
燃料電池が、少なくとも10種の嫌気性微生物を含む、請求項38に記載の物品。
【請求項40】
燃料電池が、少なくともいくつかの微生物が、燃料電池内で線毛を形成する、請求項21に記載の物品。
【請求項41】
微生物が、アノードを含む区画内に含まれ、該区画が少なくともいくつかの微生物とアノードとの間の電気的接続を含む、請求項21に記載の物品。
【請求項42】
電気的接続が、ナノワイヤーを含む、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
電気的接続が、金属デンドリマーを含む、請求項41に記載の物品。
【請求項44】
燃料が、バイオマスを含む、請求項21に記載の物品。
【請求項45】
バイオマスが、動物の廃棄物を含む、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
燃料電池が、浄化槽を含む、請求項44に記載の物品。
【請求項47】
バイオマスが、燃料電池内に継続的に供給される、請求項44に記載の物品。
【請求項48】
バイオマスが、たい肥パイルから生じるものである、請求項44に記載の物品。
【請求項49】
バイオマスが、肥料パイルから生じるものである、請求項44に記載の物品。
【請求項50】
微生物を含む燃料電池内の区画内に育成剤をさらに含む、請求項21に記載の物品。
【請求項51】
育成剤が、窒素、リンおよびカリウムを含む、請求項50に記載の物品。
【請求項52】
育成剤が、少なくとも3−3−2のグレードを有する、請求項50に記載の物品。
【請求項53】
育成剤が、石灰を含む、請求項50に記載の物品。
【請求項54】
育成剤が、実質的に等しい割合の窒素、リンおよびカリウムを含む、請求項50に記載の物品。
【請求項55】
育成剤が、電気伝導性物質を含む、請求項50に記載の物品。
【請求項56】
育成剤が、木炭を含む、請求項50に記載の物品。
【請求項57】
育成剤が、活性炭を含む、請求項50に記載の物品。
【請求項58】
微生物を含む燃料電池内の区画内に1または2以上の遊離アミノ酸をさらに含む、請求項21に記載の物品。
【請求項59】
微生物を含む燃料電池内の区画内に窒素源をさらに含む、請求項21に記載の物品。
【請求項60】
窒素源が、アンモニアを含む、請求項59に記載の物品。
【請求項61】
窒素源が、硝酸塩を含む、請求項59に記載の物品。
【請求項62】
窒素源が、亜硝酸塩を含む、請求項59に記載の物品。
【請求項63】
少なくともいくつかの微生物が、Oではない最終電子受容体に電子を移送可能である、請求項21に記載の物品。
【請求項64】
最終電子受容体が、金属である、請求項63に記載の物品。
【請求項65】
非ポリマー性プロトン交換インターフェースによって分離された、アノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項66】
非ポリマー性プロトン交換インターフェースが、約500マイクロメートル未満の平均粒子径を有する粒子を含む、請求項65に記載の物品。
【請求項67】
平均粒子径が、約150〜約300マイクロメートルである、請求項66に記載の物品。
【請求項68】
粒子が、石英を含む、請求項66に記載の物品。
【請求項69】
粒子が、シリカを含む、請求項66に記載の物品。
【請求項70】
平均粒子径が、メッシュスクリーンを使用して決定され、平均粒子径は、50%のシリカ粒子が前記メッシュスクリーンを通過することができるメッシュスクリーンの間隔である、請求項66に記載の物品。
【請求項71】
インターフェースが、間にシリカ粒子を含む第1のメッシュスクリーンおよび第2のメッシュスクリーンを含む、請求項65に記載の物品。
【請求項72】
プロトン交換インターフェースが、非一体的である、請求項65に記載の物品。
【請求項73】
プロトン交換インターフェースが、充填されたベッドである、請求項65の記載の物品。
【請求項74】
プロトン交換インターフェースが、それを通した気体伝送が起こることを許容するが、電気的伝達は起こさない、請求項65に記載の物品。
【請求項75】
プロトン交換インターフェースが、1または2以上のメッシュスクリーンを含む、請求項65に記載の物品。
【請求項76】
1または2以上のメッシュスクリーンが、ガラスを含む、請求項75に記載の物品。
【請求項77】
1または2以上のメッシュスクリーンが、ファイバーガラスを含む、請求項75に記載の物品。
【請求項78】
複数のメッシュスクリーンの実質的に全てが、それぞれ、約10mm未満の平均間隔を有する、請求項75に記載の物品。
【請求項79】
1または2以上のメッシュスクリーンの少なくとも1つが、約100マイクロメートル〜約5mmの平均間隔を有する、請求項75に記載の物品。
【請求項80】
1または2以上のメッシュスクリーンの少なくとも1つが、約300マイクロメートル未満の平均間隔を有する、請求項75に記載の物品。
【請求項81】
1または2以上のメッシュスクリーンの少なくとも1つが、約200マイクロメートル未満の平均間隔を有する、請求項80に記載の物品。
【請求項82】
1または2以上のメッシュスクリーンの少なくとも1つが、約150マイクロメートル未満の平均間隔を有する、請求項81に記載の物品。
【請求項83】
燃料電池が、燃料を酸化するために微生物を使用する、請求項65に記載の物品。
【請求項84】
アノード区画が密封されており、導管を経由して大気と気体の連絡を有し、および非ポリマー性プロトン交換インターフェースを経由してカソード区画と気体の連絡を有する、請求項65に記載の物品。
【請求項85】
導管が、カソード区画を通る、請求項84に記載の物品。
【請求項86】
導管が、インターフェースを通る、請求項84に記載の物品。
【請求項87】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、非伝導性材料および該非伝導性材料を少なくとも部分的に取り巻く伝導性被膜を含む電極を含む、前記物品。
【請求項88】
伝導性被膜が、グラファイトを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項89】
伝導性被膜が、グラファイト含有塗料を含む、請求項88に記載の物品。
【請求項90】
伝導性被膜が、グラファイト含有粉末を含む、請求項88に記載の物品。
【請求項91】
伝導性被膜が、電極上にスプレーされる、請求項87に記載の物品。
【請求項92】
非伝導性材料が、布を含む、請求項87に記載の物品。
【請求項93】
非伝導性材料が、セラミックを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項94】
非伝導性材料が、非伝導性ポリマーを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項95】
非伝導性材料が、ポリ塩化ビニルを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項96】
非伝導性材料が、ガラスを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項97】
電極が、柔軟である、請求項87に記載の物品。
【請求項98】
電極が、所定の形状を有さない、請求項87に記載の物品。
【請求項99】
電極が、多孔質である、請求項87に記載の物品。
【請求項100】
電極が、約10mm未満の平均空隙を有する、請求項99に記載の物品。
【請求項101】
電極が、約100マイクロメートル〜約5mmの平均空隙を有する、請求項99に記載の物品。
【請求項102】
電極が、約300マイクロメートル未満の平均空隙を有する、請求項99に記載の物品。
【請求項103】
電極が、複数のメッシュスクリーンを含む、請求項87に記載の物品。
【請求項104】
少なくとも1つのメッシュスクリーンが、約10mm未満の平均間隔を有する、請求項103に記載の物品。
【請求項105】
複数のメッシュスクリーンの実質的に全てが、それぞれ、約10mm未満の平均間隔を有する、請求項103に記載の物品。
【請求項106】
少なくとも1つのメッシュスクリーンが、約1mm未満の平均間隔を有する、請求項103に記載の物品。
【請求項107】
アノード、カソードおよび電解質を含む燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、少なくとも約30℃の稼働温度を有し、その燃料電池はその稼働温度を受動的に制御するように構築および配置されている、燃料電池を含む、物品。
【請求項108】
燃料を酸化することができる微生物を含むチャンバーを含む燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池は、微生物を含むチャンバーの温度が少なくとも約30℃であるように、微生物が燃料を酸化するときに微生物によって産生される熱を受動的に保持するように構築および配置されている、燃料電池を含む、物品。
【請求項109】
燃料電池内のバイオマスを酸化して少なくとも約50℃の温度まで燃料電池を加熱することを含む、方法。
【請求項110】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記微生物は電極を含む区画内に含まれ、前記燃料電池は、少なくとも約0.5W/電極表面mの電力を産生することができる、物品。
【請求項111】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池であって、実質的に球状の形状を有する燃料電池を含む、物品。
【請求項112】
石英を含むプロトン交換インターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項113】
約500マイクロメートル未満の平均粒子径を有する粒子を含むインターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項114】
非一体的なプロトン交換インターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項115】
それを通した気体伝送が起こることは許容するが電気伝導性ではないインターフェースによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項116】
1または2以上のメッシュスクリーンによって分離されているアノード区画およびカソード区画を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項117】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池内へ、育成剤を供することを含む、方法。
【請求項118】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池内へ、石灰を供することを含む、方法。
【請求項119】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池内へ、木炭を供することを含む、方法。
【請求項120】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池内へ、1または2以上の遊離アミノ酸を供することを含む、方法。
【請求項121】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池内へ、窒素源を供することを含む、方法。
【請求項122】
インターフェースによって分離されたアノード区画およびカソード区画を含む物品であって、前記アノード区画が、密封されており、導管を経由して大気と気体の連絡を有し、およびインターフェースを経由してカソード区画と気体の連絡を有する、前記物品。
【請求項123】
土壌の種菌を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項124】
嫌気性微生物の集団を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項125】
ではない最終電子受容体へ電子を移送することができる微生物を含む燃料電池を含む、物品。
【請求項126】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、グラファイトを含む柔軟な電極を含む、前記物品。
【請求項127】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、柔軟な多孔質の電極を含む、前記物品。
【請求項128】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、複数のメッシュスクリーンを含む電極を含む、前記物品。
【請求項129】
燃料を酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む物品であって、前記燃料電池が、金属およびグラファイトを含む伝導性被膜を含む電極を含み、前記伝導性被膜が前記金属を少なくとも部分的に取り囲んでいる、前記物品。
【請求項130】
グラファイト含有材料を電極上に塗布すること、および燃料電池内に電極を設置することを含む、方法。
【請求項131】
グラファイト含有材料を電極上にスプレーすること、および燃料電池内に電極を設置することを含む、方法。
【請求項132】
電極をリン酸および/または硫酸に曝露すること、電極を酸から取り除くこと、電極を燃料電池内に設置すること、および燃料電池から電流を取り出すことを含む、方法。
【請求項133】
電極を酸に少なくとも約8時間曝露すること、電極を酸から取り除くこと、電極を燃料電池内に設置すること、および燃料電池から電流を取り出すことを含む、方法。
【請求項134】
電極を第1のバイオマスに曝露すること、および第2のバイオマスを酸化するように構築および配置された燃料電池内に電極を設置することを含む、方法。
【請求項135】
微生物を使用して、バイオマスを少なくとも部分的に酸化すること、少なくとも部分的に酸化されたバイオマスを電極に曝露すること、および燃料電池内に電極を設置することを含む、方法。
【請求項136】
電極を硝酸塩に曝露すること、電極を貴金属に曝露すること、および燃料電池内に電極を設置すること、を含む、方法。
【請求項137】
アノードおよびカソードを含む燃料電池であって、アノードが酵母を含み、カソードが貴金属を含む、燃料電池を含む、物品。
【請求項138】
アノードおよびカソードを含む燃料電池であって、アノードが硝酸塩を含み、カソードが貴金属を含む、燃料電池を含む、物品。
【請求項139】
バイオマスを直接的に酸化するために微生物を使用する燃料電池を含む、物品。
【請求項140】
バイオマスを直接的に酸化するために微生物を使用する燃料電池から電力を取り出すことを含む、方法。
【請求項141】
アノードを含む区画を含む燃料電池を含む物品であって、前記区画が、微生物、および少なくともいくつかの微生物とアノードとの間の電気的接続を形成するナノワイヤーを含む、前記物品。
【請求項142】
燃料電池内に含まれる微生物に線毛を形成させることを含む、方法。
【請求項143】
電極および微生物を含む区画を含む燃料電池を提供すること、および複数の微生物と電極との間の直接的な電気的接続を形成することを含む、方法。
【請求項144】
少なくとも1つの微生物燃料電池のためのエネルギー管理装置であって、該装置が、
少なくとも1つの微生物燃料電池によって提供される第1のエネルギーを蓄える少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部、
前記少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部を通り抜ける第1の電圧と第1の設定点とを比較するための、前記少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部に連結するコンパレータ回路であって、第1の電圧が第1の所定のレベル以上であるときにコンパレータ回路の出力が第1の論理状態から第2の論理状態に変化し、第1の電圧が第1の所定のレベル以下であるときにコンパレータ回路の出力が第2の論理状態から第1の論理状態に変化するように、第1の設定点より大きい第1の所定のレベルおよび第1の設定点より小さい第2の所定のレベルによって定義されるヒステリシスウィンドウを実装するように構成された、前記コンパレータ回路、
前記コンパレータ回路に連結する、第1の電圧を第1の電圧より高い第2の電圧に変換する電圧変換回路であって、第2の論理状態に応答して活性化され、第1の論理状態に応答して不活性化される前記電圧変換回路、および
前記電圧変換回路に連結する、第2の電圧によって提供される第2のエネルギーを蓄える、少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部
を含み、前記少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部が負荷に電力を供給する、前記エネルギー管理装置。
【請求項145】
第2の電圧が少なくともコンパレータ回路および電圧変換回路のための稼働電力を提供するのに不十分であるとき、第1の電圧のみに基づいて、少なくともコンパレータ回路および電圧変換回路のための稼働電力を提供する、少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部に連結した電源回路をさらに含む、請求項144に記載の装置。
【請求項146】
電源回路が、少なくとも1つのゼロ閾値部を含む、請求項145に記載の装置。
【請求項147】
第2の電圧が、少なくともコンパレータ回路および電圧変換回路のための稼働電力を提供するのに不十分であるとき、少なくともコンパレータ回路および電圧変換回路のための稼働電力を提供する少なくとも1つのバッテリーをさらに含む、請求項144に記載の装置。
【請求項148】
少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部が、少なくとも1つの第1のスーパーキャパシタを含む、請求項144〜147のいずれかに記載の装置。
【請求項149】
少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部が、少なくとも1つの第2のスーパーキャパシタを含む、請求項144〜148のいずれかに記載の装置。
【請求項150】
少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部が、充電池を含む、請求項144〜149のいずれかに記載の装置。
【請求項151】
電圧変換回路が、
一次巻線および二次巻線を含む昇圧器、
前記二次巻線に連結した整流器入力および第2の電圧を提供する整流器出力を有する整流器、
電圧変換回路を活性化するために、第2の論理状態に応答してのみ発振シグナルを提供する、コンパレータ回路に連結した発振器回路、および、
前記発振器回路、少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部、および昇圧器の一次巻線に連結したスイッチング回路であって、発振シグナルに応答して一次巻線に電圧を加え、少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部を通過する第1の電圧の極性を交流化する、前記スイッチング回路
を含む、請求項144〜150のいずれかに記載の装置。
【請求項152】
第2の電圧が第2の設定点以下であるとき、少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部を負荷から断路するための、少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部に連結した電圧カットアウト回路をさらに含む、請求項144〜151のいずれかに記載の装置。
【請求項153】
第2の電圧が三番目の設定点以上であるとき、電圧変換回路を不活性化するための、少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部に連結した電圧フィードバック回路をさらに含む、請求項144〜152のいずれかに記載の装置。
【請求項154】
少なくとも1つの微生物燃料電池が、複数の微生物燃料電池を含み、装置が、複数の微生物燃料電池を少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部に順次連結するためのタイミング回路をさらに含む、請求項144〜153のいずれかに記載の装置。
【請求項155】
タイミング回路が、複数の微生物燃料電池のそれぞれの微生物燃料電池を少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部に第1の期間の間連結する、請求項154に記載の装置。
【請求項156】
第1の期間が、典型的な負荷に継続的な電力を提供する典型的な微生物燃料電池の瞬間電力出力、および少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部の充電速度に、少なくとも一部基づく、請求項155に記載の装置。
【請求項157】
第1の電圧および/または第2の電圧を監視するためのマイクロプロセッサをさらに含む、請求項144〜156のいずれかに記載の装置。
【請求項158】
マイクロプロセッサが、第1の電圧および/または第2の電圧に少なくとも一部基づいて、コンパレータ回路に第1の設定点をさらに提供する、請求項157に記載の装置。
【請求項159】
マイクロプロセッサが、少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部への第1の電流および/または少なくとも1つの第2のエネルギー蓄電部への第2の電流をさらに監視し、マイクロプロセッサが、第1の電圧、第1の電流、第2の電圧および第2の電流の1または2以上に少なくとも一部基づいて、第1の設定点を提供する、請求項157または158に記載の装置。
【請求項160】
マイクロプロセッサが、塩化銀基準電極によって提供される基準電圧をさらに監視し、さらに、該基準電圧と、第1の電圧と関連するアノード電位および/またはカソード電位との比較を行い、その比較に少なくとも一部基づいて、アノード電位および/またはカソード電位を制御する、請求項157〜159のいずれかに記載の装置。
【請求項161】
少なくとも1つの微生物燃料電池が、複数の微生物燃料電池を含み、装置が、複数の微生物燃料電池を少なくとも1つのエネルギー蓄電部に連結するための連結回路をさらに含み、マイクロプロセッサが、複数の微生物燃料電池を少なくとも1つのエネルギー蓄電部に順次連結するために、前記連結回路を制御する、請求項157〜160のいずれかに記載の装置。
【請求項162】
マイクロプロセッサが連結回路を制御して、第1の期間の間、複数の微生物燃料電池のそれぞれの微生物燃料電池を、少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部に連結する、請求項161に記載の装置。
【請求項163】
A)少なくとも1つの微生物燃料電池を、少なくとも1つの微生物燃料電池からかなりの電流を取り出す負荷と断続的に連結すること、
を含む、少なくとも1つの微生物燃料電池のための電力管理方法。
【請求項164】
A)が、
B)第1の期間の間、少なくとも1つの微生物燃料電池を、負荷に連結すること、および
C)第2の期間の間、前記少なくとも1つの微生物燃料電池を、前記負荷から分断すること、
を含む、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
B)が、
少なくとも1つの微生物燃料電池の瞬間電力出力および、B)において前記少なくとも1つの微生物燃料電池が連結された負荷の少なくとも1つの第1のエネルギー蓄電部の充電速度に少なくとも一部基づいて、第1の期間を決定すること、
を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
少なくとも1つの微生物燃料電池が、少なくとも第1の微生物燃料電池および第2の微生物燃料電池を含み、A)が、第1の微生物燃料電池および第2の微生物燃料電池を、負荷に順次連結することを含む、請求項164または165に記載の方法。
【請求項167】
B)が、第1の微生物燃料電池を、第1の時点で、第1の期間の間負荷に連結することを含み、
C)が、前記第1の微生物燃料電池を、第2の期間の間前記負荷から断線することを含み、さらに、
D)第2の微生物燃料電池を、第1の時点とは異なる第2の時点で、第1の期間の間負荷に連結すること、および
E)第2の微生物燃料電池を、第2の期間の間負荷から断線すること
を含む、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
少なくとも1つの微生物燃料電池のための電力管理装置であって、装置が、
少なくとも1つの微生物燃料電池のカソードおよびアノードからの第1のエネルギーを受け取る、少なくとも1つの入力エネルギー貯蓄デバイス、および
前記少なくとも1つの微生物燃料電池の前アノードおよび/または前記カソードを、前記少なくとも1つの微生物燃料電池のアノードとカソードとの間の電位差に少なくとも一部基づいて、負荷に断続的に連結する、スイッチング回路、
を含む、前記電力管理装置。
【請求項169】
スイッチング回路の出力からの第2のエネルギーを受け取るための、少なくとも1つの出力エネルギー貯蓄デバイスをさらに含み、少なくとも1つの出力エネルギー貯蓄デバイスが、負荷に出力電力を提供する、請求項168に記載の電力管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−504616(P2010−504616A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529234(P2009−529234)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/020357
【国際公開番号】WO2008/036347
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College