説明

微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂、それからなる食品配合剤、それを含有する食品およびアラキドン酸含有食用油脂の製造方法

【課題】 アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物から得られるアラキドン酸含有油脂であって、不ケン化物含量が少なく、その中でも特に食経験のないシクロプロパン環を有するステロールを極力、含有せず、食品、特に乳幼児用調製乳の製造に適したアラキドン酸含有食用油脂の提供。
【解決手段】 不ケン化物含量が0.8重量%以下、好ましくは0.6重量%以下で、かつ、アラキドン酸含量が20重量%以上である微生物由来のアラキドン酸含有油脂からなる食品配合剤。さらに上記食用油脂は、24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オールが0.3重量%以下、好ましくは0.15重量%以下である。微生物がアラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物である。上記モルティエレラ亜属に属する微生物はモルティエレラ属アルピナ種に属する微生物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不ケン化物の少ない、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂、微生物由来のアラキドン酸含有油脂からなる食品配合剤及びこれを配合した食品、特に乳幼児用調製乳およびアラキドン酸含有食用油脂の製造方法に関する。
本発明において、「不ケン化物」とは、微生物由来のものをいう。従って本発明で不ケン化物という用語は、後から添加したものを含まない微生物由来のものを指している。
【背景技術】
【0002】
アラキドン酸は、子宮筋収縮、弛緩作用、血管拡張、血圧降下作用等、強力かつ多彩な生理活性を有するプロスタグランジン、トロンボキサン、プロスタサイクリン、ロイコトリエン等の前駆物質といわれ、近年注目されているが、特に乳児の発育に必要な成分として、DHA(ドコサヘキサエン酸)とともに急速に研究が進められている。すなわちLantingらは生後3週間以上母乳で育てた乳児と育児用粉乳で育てた乳児を9歳まで追跡調査し、行動面などから脳神経の小さな障害の発生率を検討した結果、育児粉乳で育った子供の脳障害発生率は母乳で育った子供の2倍であると報告した(非特許文献1)。このショッキングな結果は母乳には存在するが育児用粉乳にはほとんど存在しないDHAおよびアラキドン酸などの長鎖不飽和脂肪酸が脳の発達に関係したためだろうと推測されている。育児用粉乳を、乳児にとって理想の栄養とされる母乳に近づける研究が以前より行われてきたが、今までそれら母乳の基本的な栄養素、ビタミン、ミネラルなどと感染防御作用の解明に重点が置かれてきた。しかしながら最近では、長鎖多価不飽和脂肪酸の脳への影響にも関心が向けられつつある。このほかにも近年、長鎖不飽和脂肪酸が新生児の脳および網膜の発達に関係しているだろうとする結果が相ついで報告されるようになり、未熟児および新生児栄養の領域においてホットな話題として注目されている。アラキドン酸を大量に含有し、しかも食品、特に乳幼児用調製乳に安全に使用できる油脂の開発が望まれている。
【0003】
このようなアラキドン酸は、動物界に広く分布しており、従来、動物の副腎腺や肝臓から抽出した脂質から分離されている。しかしながらアラキドン酸の含有量は少なく、また原材料の大量入手が困難であることなどから、アラキドン酸の供給方法としては不十分であった。一方、アラキドン酸生産能を有する種々の微生物を培養してアラキドン酸を得る方法が提案されている。この中でも、特にモルティエレラ属の微生物を用いることによって、アラキドン酸高含有油脂が得られることが知られている(特許文献1,2)。しかしこれらの油脂は安全性が高いと言われながらも微生物起源という問題により、世間に十分浸透しているわけではない。モルティエレラ属アルピナ種の微生物を培養して得られる油脂は、その大部分がトリグリセリド(約70重量%以上)及びリン脂質であり、この他にデスモステロール等の不ケン化物が含まれている。この不ケン化物の中には、それまで天然に存在することが知られていなかったシクロプロパン環を有するステロール、具体的には24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール(24,25−methylenecholest−5−en−3β−ol)が存在することが確認されている(非特許文献2)が、不ケン化物を構成する成分についての解明は十分ではない。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−44891
【特許文献2】特開昭63−12290
【非特許文献1】LANCET、Vol.344,1319−1322(1994)
【非特許文献2】LIPIDS、Vol.27,No.6,481−483(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者等は、現段階では、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物の培養物から得られるアラキドン酸含有油脂においては、食経験の知られていない物質あるいは構造が解明されていない物質は極力、取り除くことが望ましいと考えた。従って本発明は、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物から得られるアラキドン酸含有油脂であって、不ケン化物含量が少なく、その中でも特に食経験のないシクロプロパン環を有するステロールを極力、含有せず、食品、特に乳幼児用調製乳の製造に適したアラキドン酸含有食用油脂を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属に属する微生物の培養物から得られるアラキドン酸含有油脂においては、培養条件によって24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール組成比を少なくすることができることを発見し、その発見により、食経験の知られていない物質あるいは構造が解明されていない物質が極力、取り除かれたアラキドン酸含有油脂製造しようという方向性、すなわち新しい課題に思い至った。そこで、本発明者等は、上記の課題を達成するため、種々研究の結果、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物を栄養培地で常法により培養したのち集菌し、該菌体からアラキドン酸高含有油脂を回収し、該油脂を通常の食用油脂の精製工程の脱ガム、アルカリ精製、脱色、脱臭などの操作を適宜組み合わせることによって、アラキドン酸含量に影響を与えず、不ケン化物量を低下させ、シクロプロパン環を有するステロール等の食経験の知られていない物質あるいは構造が解明されていない物質を減少できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】
従って本発明は、不ケン化物含量が0.8重量%以下で、しかもアラキドン酸を20重量%以上含有する微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂に関する。また、本発明は、不ケン化物含量が0.6重量%以下で、しかもアラキドン酸を20重量%以上含有する微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂に関する。また、本発明は、不ケン化物含量が0.8重量%好ましくは0.6重量%以下で、しかもアラキドン酸を20重量%以上含有し、24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.3重量%以下好ましくは0.15重量%以下であるアラキドン酸含有食用油脂に関する。さらにまた、本発明はこれらの油脂を配合してなる、未熟児用調製乳、幼児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品等の食品に関する。
【発明の効果】
【0008】
アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物を栄養培地で常法により培養したのち集菌し、該菌体からアラキドン酸高含有油脂を回収し、該油脂を通常の食用油脂の精製工程の脱ガム、アルカリ精製、脱色、脱臭などの操作を適宜組み合わせることによって、アラキドン酸含量に影響を与えず、不ケン化物量を低下させ、シクロプロパン環を有するステロール等の食経験の知られていない物質あるいは構造が解明されていない物質を減少できる。
すなわち、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物から得られるアラキドン酸含有油脂であって、不ケン化物含量が少なく、その中でも特に食経験のないシクロプロパン環を有するステロールを極力、含有しないアラキドン酸含有食用油脂からなる食品、特に乳幼児用調製乳の配合に適したものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の油脂はアラキドン酸生産能を有するモルティエレラ(Mortierella)属のモルティエレラ亜属に属する微生物を培養しその培養物から得られる微生物油であって、油脂に対し不ケン化物含量が0.8重量%以下、好ましくは0.6重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であり、しかも油脂中の総脂肪酸に対しアラキドン酸を20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上含有する。
【0010】
さらに本発明の油脂は、24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.3重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.04重量%以下であることが望ましい。また本発明の油脂は、油脂中トリグリセリドを70%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは92重量%以上含有することが望ましい。
【0011】
また本発明の油脂は、水分が0.1%以下、酸価が0.5以下、過酸化物価が5以下であり、色は、ロビボンド法133.4mmセルにおいて黄が50以下、赤が10以下であり、アラキドン酸以外の脂肪酸を、ミリスチン酸が0.2〜0.7%、パルミチン酸が10〜16%、ステアリン酸が4〜10%、オレイン酸が5〜15%、リノール酸が5〜15%、γ−リノレン酸が1〜5%、α−リノレン酸が0.1〜2%、ジホモ−γ−リノレン酸が1〜6%、エイコサペンタエン酸が0〜1%、リグノセレン酸が2〜7%含有することが望ましい。
【0012】
本発明の食用油脂の製造に使用する微生物は、モルティエレラ(Mortierella)属のモルティエレラ亜属に属し、アラキドン酸生産能を有する微生物であれば、すべて使用することができる。このような微生物としては、例えばモルティエレラ・エロンガタ(Mortierellaelongata)IFO 8570、モルティエレラ・エキシグア(Mortierella exigua)IFO 8571、モルティエレラ・フィグロフィラ(Mortierella hygrophila)IFO5941、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)IFO 8568、ATCC 16266、ATCC 32221、ATCC42430、CBS 219.35、CBS 224.37、CBS 250.53、CBS 343.66、CBS 527.72、CBS 529.72、CBS 528.72、CBS 608.70、CBS 754.68等を挙げることができる。これらの菌株はいずれも、大阪市の財団法人醗酵研究所(IFO)、及び米国アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション〔American Type Culture Collection(ATCC)〕及びCentraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)からなんら制限なく入手することができる。また、本発明者らが土壌から分離した菌株ルティエレラ・エロンガタSAM 0219(微工研菌寄第8703号)(微工研条寄第1239号)を使用することもできる。これらのタイプカルチャーに属する菌株、あるいは自然界から分離した菌株は、そのまま用いることができるが、増殖及び/又は単離を1回以上行うことによって得られる元の菌株とは性質の異なる自然変異株を用いることもできる。
【0013】
また、本発明に用いる微生物は、モルティエレラ(Mortierella)属のモルティエレラ亜属に属し、アラキドン酸生産能を有する微生物(野性株)の変異株又は組換え株、即ち、同じ基質を用いて培養したときに、元の野性株が産生する量と比べて、油脂中のアラキドン酸含量が多くなるように、または総油脂量が多くなるように、あるいはその両方を意図して設計されたものが含まれる。さらに費用効果の優れた基質を効率よく用いて、対応する野性株と同量のアラキドン酸を産生するように設計された微生物も含まれる。
【0014】
アラキドン酸生産能を有する微生物は、常法に従って培養することができる。例えば、その菌株の胞子、菌糸又は予め培養して得られた前培養液を、通常の液体培地又は固体培地に接種し培養することができる。液体培地の場合に、炭素源としてはグルコース、フラクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、グリセロール、マンニトール、クエン酸、コーンスターチ等の一般的に使用されているものがいずれも使用できるが、特にグルコース、フラクトース、マルトース、グリセロール、クエン酸、コーンスターチが好ましい。窒素源としてはペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、カゼミノ酸、コーンスティブリカー、尿素等の有機窒素源、ならびに硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を用いることができる。
【0015】
また窒素源として大豆から得られる栄養源を用いることにより、油脂中の24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール組成比(油脂中の総ステロールに対する割合)を少なくすることができる。本発明で使用することができる大豆から得られる窒素源は、水分を除く成分あたりの窒素含量が2%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であることが望ましい。また大豆から得られる窒素源としては、脱脂大豆又はこれに熱処理;酸処理;アルカリ処理;酵素処理;化学修飾;熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、化学修飾等を含む化学的及び/又は物理的処理による変性及び/又は再生;水及び/又は有機溶媒を用いた一部成分の除去;濾過及び/又は遠心分離による一部成分の除去;凍結;粉砕;乾燥;篩分け等の加工を施したもの、あるいは未脱脂大豆に同様の加工を施したものを単独で又は複数組み合わせて使用することができ、一般的なものとしては大豆、脱脂大豆、大豆フレーク、食用大豆タンパク、おから、豆乳、きな粉等が挙げられるが、特に脱脂大豆に熱変性を施したもの、より好ましくは脱脂大豆に熱変性を施しさらにエタノール可溶性成分を除去したものが好ましい。
【0016】
この他必要に応じリン酸塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム等の無機塩及びビタミン等も微量栄養源として使用できる。この培地成分は微生物の生育を害しない濃度であれば特に制限はない。実用上一般に、炭素源は0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜15重量%の濃度とし、窒素源は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の濃度とすることが望ましい。また培養温度は、5〜40℃、好ましくは20〜30℃とし、培地のpHは4〜10、好ましくは5〜8として通気攪拌培養、振盪培養、又は静置培養を行う。培養は通常2〜20日間行う。
【0017】
固体培地で培養する場合は、固形物重量に対して50〜100重量%の水を加えたふすま、もみがら、米ぬか等を用い、5〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度において3〜20日間培養を行う。この場合に必要に応じて培地中に窒素源、無機塩類、微量栄養源を加えることができる。
【0018】
アラキドン酸の生産量を増加せしめるために、アラキドン酸の前駆体として、例えば、ヘキサデカンもしくはオクタデカンのごとき炭化水素;オレイン酸もしくはリノール酸のごとき脂肪酸又はその塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩、又は脂肪酸エステル、例えばエチルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル;又はオリーブ油、綿実油もしくはヤシ油のごとき油脂類を単独で、又は組み合わせて添加することができる。これらの添加物は一度に添加することもでき、又は連続的に、もしくは複数回に分けて経時的に添加することもできる。培養開始前においては炭化水素、脂肪酸もしくはその塩、又は油脂類の添加が好ましく、培養中においては脂肪酸もしくはその塩又は脂肪酸エステル、又は油脂類の添加が好ましい。
【0019】
このように培養して、菌体内に、アラキドン酸を含有する脂質が生成蓄積される。液体培地を使用した場合には、培養菌体から次のようにしてアラキドン酸含有脂質の回収を行う。
【0020】
培養終了後、培養液より遠心分離及び/又は濾過等の常用の固液分離手段により培養菌体を得る。培養菌体は好ましくは、水洗、破砕、乾燥する。乾燥は、凍結乾燥、風乾等によって行うことができる。乾燥菌体は、好ましくは窒素気流下で有機溶媒によって抽出処理する。有機溶媒としてはエーテル、ヘキサン、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、石油エーテル等を用いることができ、またメタノールと石油エーテルの交互抽出やクロロホルム−メタノール−水の一層系の溶媒を用いた抽出によっても良好な結果を得ることができる。抽出物から減圧下で有機溶媒を留去することにより、高濃度のアラキドン酸含有油脂を得ることができる。
【0021】
また、上記の方法に代えて湿菌体を用いて抽出を行うことができる。この場合にはメタノール、エタノール等の水に対して相溶性の溶媒、又はこれらと水及び/又は他の溶媒とからなる水に対して相溶性の混合溶媒を使用する。その他の手順は上記と同様である。
上記のようにして得られたアラキドン酸含有脂質は、その大部分がトリグリセリド(約70重量%以上)及びリン脂質(約30重量%以下)であり、この他にデスモステロール等の不ケン化物が含まれている。そして該不ケン化物の中には構造が解明されていない物質や食経験が知られていない物質、例えば食経験が知られていないシクロプロパン環を有するステロールが存在しており、具体的には24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オールが存在している。
【0022】
本発明の油脂は、上記アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属の微生物を培養して得られたアラキドン酸含有油脂に以下の精製処理を施すことにより製造することができる。すなわち、どのような油脂を対象とし、何を取り除こうとしているかが決まった後は、通常の食用油脂の精製工程の脱ガム、アルカリ精製、脱色、脱臭などの操作を適宜組み合わせることによって上記アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属の微生物を培養して得られたアラキドン酸含有油脂から、アラキドン酸含量に影響を与えず、シクロプロパン環を有するステロールや構造が解明されていない物質を含んでいる不ケン化物を除去することができる。
【0023】
本発明は精製手段としてカラムクロマト法を採用する。本発明は活性アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブズ、シリカゲル、活性白土、ケイソウ土、銀担持シリカゲルおよび/またはイオン交換樹脂を使用する。このゲルを充填剤として用いることにより、上記アラキドン酸含有油脂を精製する。すなわちこれらのゲルを充填したカラムに、上記アラキドン酸含有油脂と、展開溶媒としてヘキサン、エタノール、超臨界流体等の有機溶媒を別々に、または混合して一定の流速で流すことによって、不ケン化物と精製されたものを展開溶出させる。クロマト法としては疑似移動床法を用いることもできる。
有機溶媒を蒸留などの方法により除去した後、さらに水蒸気蒸留で処理する。すなわち、水蒸気蒸留で微量の臭いの成分や低沸点の不ケン化物まで除去することができる。またクロマト法を用いた残存する微量の有機溶媒も併せて除去することができる。アラキドン酸を含有し不ケン化物を実質的に含有しない食用油脂組成物が得られる。なおカラムクロマト法と水蒸気蒸留、超臨界流体での分別蒸留の他に、公知の精製手段を併用することができる。
【0024】
本発明のアラキドン酸含有油脂は、食経験の知られていない24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が少ないため、食品成分として使用することができる。食品の種類は特に限定されないが、例えば油脂を含む食品が挙げられ、例えば、肉、魚、ナッツ等の油脂を含む天然食品、中華料理、ラーメン、スープ等の調理時に油脂を加える食品、天ぷら、フライ、油揚げ、チャーハン、ドーナッツ、カリン糖等の熱媒体として油脂を用いた食品、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート、即席ラーメン、キャラメル、ビスケット、アイスクリーム等の油脂食品又は加工時に油脂を加えた加工食品、おかき、ハードビスケット、あんパン等の加工仕上げ時に油脂を噴霧又は塗布した食品等をあげることができる。しかし、油脂を含む食品に限定しているわけではなく、例えばパン、めん類、ごはん、菓子類、豆腐およびその加工食品などの農産食品、清酒、薬用酒などの醗酵食品、みりん、食酢、醤油、味噌、ドレッシング、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ、マヨネーズなどの畜産食品、かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品、果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶などの飲料等も挙げることができる。
【0025】
また本発明の油脂は、食経験の知られていない24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が少なく、しかもアラキドン酸をトリグリセリドの形で豊富に含有し、エイコサペンタエン酸を含有しないか、含有しても極微量であるため、特に未熟児用調製乳、乳児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品の原料として好ましい。
【0026】
さらに本発明の油脂は、特定用保健食品を含む機能性食品(あるいは健康食品)に用いることができ、食品の形態は、一般の食品形態であっても、またカプセル、顆粒、錠剤、ドリンク剤、経腸栄養剤等の形態であってもよい。
【0027】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
アラキドン酸生産菌としてモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)CBS754.68を用い、グルコース2%、酵母エキス1%、大豆油0.2%を含む培地1400lを2000l培養槽に入れ、温度28℃、通気量1.0vvm、攪拌80rpm、槽内圧1.0kg/cm2Gの条件で、通気攪拌培養を開始した。流加法によりグルコース濃度を1.5%に維持し、7日間の培養後、濾過により菌体を回収し、25kgの乾燥菌体を得た。このようにして得られた乾燥菌体の1kgにヘキサン5lを加え、穏やかに30分間攪拌した。その後、吸引濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで溶媒留去し、抽出粗油脂590gを得た。オープンカラムにシリカゲル450gを充填した。得られた抽出粗油脂590gをヘキサンで5倍に希釈し、カラムで精製後、ヘキサンを留去し、450gのカラム処理油脂を得た。該油脂をさらに水蒸気蒸溜で脱臭し、抗酸化剤としてトコフェロール0.04%を加え、精製油脂を得た。
【0029】
[比較例1]
実施例1と同様に抽出し、カラムにはかけず、水蒸気蒸溜で脱臭し、これにトコフェロール0.04%を添加し、精製油脂を得た。
【0030】
[不ケン化物含量の測定]
実施例1と比較例1で得られた精製油脂について、不ケン化物含量を下記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。本発明において、不ケン化物含量とは、日本油化学協会の基準油脂分析試験法の不ケン化物の定量に記載された規定の方法に基づき、油脂をケン化したのち、定量に使用する溶剤にて抽出される物質より混入脂肪酸量を削除し試料に対する百分率として表したものをいう。但し、精製後に添加した例えばトコフェロールのような不ケン化物量は差し引くものとする。上記規定の方法の概略は以下の通りである(油化学、13、489(1996)参照)。
【0031】
フラスコに試料約5gを取り、1N−エタノールカリ50mlを加え、穏やかに1時間沸騰しケン化させる。ケン化が終われば加熱をやめ、温水100mlでケン化用フラスコを洗いながら、ケン化液を分液漏斗に移しこれに水50mlを加えて室温になるまで冷却する。次にエチルエーテル100mlをケン化用フラスコを洗いながら分液漏斗に加え、分液漏斗に密栓して1分間激しく振り混ぜた後、明らかに2層に分かれるまで静置する。分かれた下層を第2の分液漏斗に移し、これにエチルエーテル50mlを加え、第1の分液漏斗と同様に振り混ぜた後、静置し、2層に分かれたならば、下層は第3の分液漏斗に移し、同様にエチルエーテル50mlで抽出を行う。第2、第3の分液漏斗中のエチルエーテル層は、各分液漏斗を少量のエチルエーテルで洗浄しつつ第1の分液漏斗に移し、これに水30mlを加えて振り混ぜたのち静置して2層に分け下層を除く。さらに毎回水30mlを振り混ぜては静置分別を繰り返して、分別した水がフェノールフタレイン指示薬で着色しなくなるまで洗浄する。洗浄したエチルエーテル抽出液は必要に応じて硫酸ナトリウム(無水)で脱水処理した後、乾燥した濾紙で濾過して蒸留フラスコに移し、なお抽出液の諸容器、濾紙などはすべて少量のエチルエーテルで洗浄してこれも蒸留フラスコに加える。蒸留フラスコのエチルエーテルを蒸留除去してその液量が50ml程度となったならば冷却し、少量のエチルエーテルでフラスコを洗いながら濃縮されたエチルエーテル抽出液をあらかじめ正しく重量のはかられた100ml丸底フラスコに移す。丸底フラスコのエチルエーテルをほとんど蒸留除去し、次にアセトン3mlを加えて前同様その大部分を蒸留除去した後、軽い減圧下(200mmHg程度)、70〜80℃に30分加熱してから丸底フラスコを真空デシケーター中に移し、30分放置冷却する。丸底フラスコの重量を正しくはかり抽出物の重量を求めておく。丸底フラスコにエチルエーテル2mlと中性エタノール10mlとを加えてよく振り混ぜ、抽出物を溶解した後、フェノールフタレイン指示薬を用いN/10−エタノールカリ標準液で、混入する脂肪酸を滴定指示薬の微紅色が30秒続いたとき終点とする。
不ケン化物含量(%)=A−(B×F×0.0282)/C×100
混入する脂肪酸(オレイン酸として、g)=B×F×0.0282
ただし、A=抽出物の重量(g)
B=N/10−エタノールカリ標準液の使用量(ml)
C=試料採取量(g)
F=N/10−エタノールカリ標準液の力価
【0032】
[アラキドン酸含量の測定]
実施例1と比較例1で得られた精製油脂について、下記の方法に従って脂肪酸メチルを調製し、アラキドン酸含量をガスクロマトグラフィーで測定した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
メチルエステルの調製サンプル15mgを精秤し、無水エタノール−塩酸(95:5)を用いて、50℃で3時間処理することによって、メチルエステル化し、脂肪酸メチルをヘキサンで完全に抽出し、ガスクロマトグラフィーで分析した。ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
使用カラム
液相 Advance−DS5%
担体 Chromosorb W(AW−DMCS)
粒度 80−100メッシュ
サイズ 内径3mm×2.1m
キャリアガス 窒素60mL/m
検出器 FID
カラム温度 190℃
検出器温度 250℃
注入口温度 240℃
【0035】
[24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量の測定]
実施例1と比較例1で得られた精製油脂について、下記の方法に従って24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量を測定した。結果を表1に示す。
まず、ステロール組成分析法を説明する。原料油脂を30〜80mg、栓付き試験管内に秤量し、メタノール4ml及び33%水酸化カリウム水溶液1mlを添加し栓をする。これで80℃で緩く攪拌しながら1時間反応させた後、放冷し、脂溶成分をヘキサンで抽出する。得られたヘキサン溶液をフェノールフタレイン指示薬が水層に着色しなくなるまで水洗し、減圧濃縮により分析サンプルを得る。分析サンプルを少量のヘキサンに溶解し、以下に示す条件のガスクロマトグラフィーに供する。市販のコレステロールを内部標準に用い、FID検出面積/検出重量比が全てのステロールで同じとの前提に基づいて、原料油脂に対する重量比を求めた値を24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量とする。
ガスクロマトグラフィーの分析条件
使用カラム ULBON HR−1(内径0.25mm、長さ25m)
カラム温度 280℃
注入口及び検出器温度 300℃
キャリアガス及びゲージ圧力 ヘリウム 1.2kg/cm2
メイクアップガス及び流量 窒素 70ml/min
検出器 FID
スプリット比:20
【実施例2】
【0036】
アラキドン酸生産菌としてモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)CBS527.72、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)ATCC42430、モルティエレラ・ヒグロフィラ(Mortierella hygrophila)IFO5941、モルティエレラ・エロンガタ(Mortierellaelongata)IFO8570を用い、それぞれ培養を行った。グルコース4%、酵母エキス1%、大豆油0.2%を含む培地600lを1000l培養槽に入れ、温度28℃、通気量1.0vvm、攪拌100rpm、槽内圧0.5kg/cm2Gの条件で、7日間の通気攪拌培養を行い、濾過、乾燥により乾燥菌体を回収した。得られた乾燥菌体に対して、実施例1及び比較例1と同様の処理を行い、得られた精製油脂の不ケン化物含量、24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量、アラキドン酸含量を測定した。結果を表2に示す。
カラム処理を行うことによって、アラキドン酸含量に影響を及ぼすことなく、不ケン化物含量及び24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量の少ない精製品を得ることができた。
【0037】
【表2】

【実施例3】
【0038】
アラキドン酸生産菌としてモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)CBS754.68を用い、グルコース2%、酵母エキス1%、大豆油0.1%を含む培地1400lを2000l培養槽に入れ、温度24℃、通気量0.5vvm、攪拌100rpm、槽内圧1.0kg/cm2Gの条件で、通気攪拌培養を開始した。流加法によりグルコース濃度を1.5%に維持し、9日間の培養後、濾過により菌体を回収し、20kgの乾燥菌体を得た。このようにして得られた乾燥菌体の3kgにヘキサン15lを加え、穏やかに30分間攪拌した。その後、吸引濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで溶媒留去し、抽出粗油脂1800gを得た。得られた抽出粗油脂1000gに対して実施例1と同様のカラム処理を行い、900gのカラム処理油脂を得た。得られたカラム処理油脂の500g、及び抽出粗油脂800gに対しては、不ケン化物を蒸留処理した。このようにして得られたカラム処理油脂、蒸留処理油脂、カラム及び蒸留処理油脂を、それぞれ水蒸気蒸留で脱臭し、抗酸化剤としてトコフェノール0.04%を加えた。得られた精製油脂の不ケン化物含量、24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量、アラキドン酸含量を測定した。結果を表3に示す。カラム処理及び/又は蒸留処理を行うことによって、アラキドン酸含量に影響を及ぼすことなく、不ケン化物含量及び24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量の少ない精製品を得ることができた。
【0039】
【表3】

【実施例4】
【0040】
大豆タンパク(商品名:エスサンミート、味の素(株)製)1%を酵母エキスに代わる培地成分として用いて実施例1、比較例1と同様の方法で培養し、得られた菌体より、実施例1、比較例1と同様の処理を行い、得られた油脂について、不ケン化物含量、24、25メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量、アラキドン酸含量を測定した。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】

【実施例5】
【0042】
アラキドン酸生産菌としてモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)ATCC 32221を用い培養を行った。グルコース4%、脱脂大豆粉1.2%、リン酸水素カリウム0.2%、大豆油0.1%を含む培地25Lを50L培養槽に入れ、温度28℃、通気量1.0vvm、攪拌300rpm、槽内圧1.0kg/cm2Gの条件で5日間の通気攪拌培養を行い、濾過、乾燥によりアラキドン酸含有菌体を回収した。得られた菌体により、実施例1、比較例1と同様の処理を行い、得られた油脂について、不ケン化物含量、24、25メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量、アラキドン酸含量を測定した。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不ケン化物含量が0.8重量%以下で、かつ、アラキドン酸含量が20重量%以上である微生物由来のアラキドン酸含有油脂からなる食品配合剤。
【請求項2】
不ケン化物含量が0.6重量%以下である請求項1の食品配合剤。
【請求項3】
さらに24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オールが0.3重量%以下である請求項1又は2の食品配合剤。
【請求項4】
24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.15重量%以下である請求項3の食品配合剤。
【請求項5】
前記微生物がアラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物である請求項1ないし4のいずれかの食品配合剤。
【請求項6】
前記モルティエレラ亜属に属する微生物が、モルティエレラ属アルピナ種に属する微生物である請求項5の食品配合剤。
【請求項7】
未熟児用調製乳、幼児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品の配合剤である請求項1ないし6のいずれかの食品配合剤。
【請求項8】
アラキドン酸生産能を有する微生物の培養物から得られるアラキドン酸含有油脂原料を、カラムクロマト法及び/又は蒸留により、不ケン化物含量が0.8重量%以下で、かつ、アラキドン酸含量が20重量%以上である精製アラキドン酸含有油脂に精製することを特徴とする微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項9】
前記精製アラキドン酸含有油脂の不ケン化物含量が0.6重量%以下である請求項8の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項10】
さらに前記精製アラキドン酸含有油脂の24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.3重量%以下である請求項8又は9の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項11】
24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.15重量%以下である請求項10の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項12】
前記微生物が、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物である請求項8ないし11のいずれかの微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項13】
前記モルティエレラ亜属に属する微生物が、モルティエレラ属アルピナ種に属する微生物である請求項12の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂の製造方法。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれかの方法で製造したアラキドン酸含有食用油脂を配合することを特徴とする、食品の製造方法。
【請求項15】
請求項8ないし13のいずれかの方法で製造したアラキドン酸含有食用油脂を配合することを特徴とする、未熟児用調製乳、幼児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品の製造方法。
【請求項16】
請求項8ないし13のいずれかの方法により製造されるアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項17】
請求項8ないし13のいずれかの方法により製造されるアラキドン酸含有食用油脂を配合してなる食品。
【請求項18】
請求項8ないし13のいずれかの方法により製造されるアラキドン酸含有食用油脂を配合してなる、未熟児用調製乳、幼児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品。
【請求項19】
不ケン化物含量が0.8重量%以下で、かつ、アラキドン酸含量が20重量%以上である、微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項20】
不ケン化物含量が0.6重量%以下である請求項19のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項21】
さらに24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.3重量%以下である請求項19または20の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項22】
24,25−メチレンコレスト−5−エン−3β−オール含量が0.15重量%以下である請求項21のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項23】
前記微生物が、アラキドン酸生産能を有するモルティエレラ属のモルティエレラ亜属に属する微生物である請求項19ないし22のいずれかの微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項24】
前記モルティエレラ亜属に属する微生物が、モルティエレラ属アルピナ種に属する微生物である請求項23の微生物由来のアラキドン酸含有食用油脂。
【請求項25】
請求項19ないし24のいずれかのアラキドン酸含有油脂を配してなる食品。
【請求項26】
請求項19ないし24のいずれかのアラキドン酸含有油脂を配してなる未熟児用調製乳、幼児用調製乳、幼児用食品、又は妊産婦用食品。

【公開番号】特開2008−113671(P2008−113671A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24423(P2008−24423)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【分割の表示】特願平8−289172の分割
【原出願日】平成8年10月11日(1996.10.11)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】