説明

微生物電極、およびこれを用いた燃料電池、センサ

【課題】微生物を電極触媒として用いる微生物電極において、微生物の増殖を担保した上
で、微生物の構成物質である酵素への基質の拡散律速を解消することを目的とする。
【解決手段】細胞膜又は細胞壁の表層に酵素が発現している微生物を用いて微生物電極を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物電極とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電極触媒として生体物質を使用した電極が盛んに研究されている。なかでも酵素を電極触媒として使用した酵素電極は、その高い基質選択性と触媒能によって、バイオセンサとして広く用いられている。最近では、酵素電極を用いることで、安全性が高い燃料を用いることができる、生物燃料電池が報告されている。この生物燃料電池は、簡素な構成で、小型の電子デバイスを動作させるのに充分な出力を出すことができるという特長をもつ。一方で、酵素電極を長期にわたって使用する場合、電極触媒として、たんぱく質の酵素を使用しているために、その安定性には限界がある。
【0003】
また、微生物そのものを電極触媒として利用した微生物電極についての研究も行われている。微生物電極は、酵素電極と比較して、以下の2つの特長がある。
1.その調製に微生物中の酵素を単離、精製する工程が必要ないこと。
2.適切な環境下におくことで、微生物の増殖による長期使用が可能であること。
【0004】
特許文献1では、電極に電子メディエータを固定化し、微生物を電極触媒として用いる発電方法が開示されている。また、特許文献2では、微生物、もしくは、破砕した微生物を電子供与体として使用した光電池が開示されている。
【特許文献1】特開2000−133297号公報
【特許文献2】特開2006−85911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、または2の一態様として示されているように、微生物を触媒として用いる場合、電極反応の基質が微生物中の酵素に到達するためには、微生物の細胞膜または、細胞壁を透過する必要がある。このため、微生物電極では一般的に、基質の拡散が触媒反応の律速段階となっている。その結果、酵素を触媒として使用する電極では基質が細胞膜を通ることなく酵素に到達するのと比較して、微生物の触媒活性は低いものとなっている。このために更なる改良が望まれている。また、特許文献2のように微生物を破砕した場合には、基質の拡散は改善されるものの、微生物電極の特長である微生物の増殖が困難になるため、更なる改良が望まれている。
【0006】
そこで、本発明では、微生物を電極触媒として用いる微生物電極において、微生物の増殖を担保した上で、微生物の構成物質である酵素への基質の拡散律速を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一は、導電性部材と微生物とを有し、
該微生物が、電極触媒として働く酵素を発現している微生物電極において、
該酵素が該微生物の細胞膜又は細胞壁の細胞外側の表層に発現していることを特徴とする微生物電極である。
【0008】
本発明の第二は、本発明にかかる微生物電極とこの微生物電極に接触する電解質溶液とを含むデバイスであって、該電解質溶液が微生物電極の微生物の増殖に必要な物質を含むことを特徴とするデバイスである。
【0009】
本発明の第三は、アノード及びカソードの少なくとも一方の電極として、本発明にかかる微生物電極を使用した燃料電池である。
【0010】
本発明の第四は、本発明にかかる微生物電極と該微生物に電圧あるいは電位を印加するための手段を有することを特徴とするセンサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来は、微生物電極の触媒反応の律速段階であった基質の拡散を、微生物の増殖を担保した上で、改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態:微生物電極)
本発明に係る微生物電極の概念図を図1に示す。同図において、1000は微生物、1010は酵素、1020は該導電性部材を示している。
【0013】
本実施形態に係る発明においては、細胞膜または細胞壁の細胞外側の表層に酵素を発現させた微生物を使用する。細胞膜または細胞壁は、細胞内部と外部環境とを隔てる境界であるため、細胞内部に面する側の表層と細胞外部に面する側の表層を有している。本発明に係る微生物は、細胞膜または細胞壁の細胞外部に面する側の表層(細胞外側の表層)に酵素を発現している。この微生物では、触媒として機能する酵素が、細胞の表層に存在するため、基質は細胞膜や細胞壁を透過することなく酵素に到達することができる。その結果、触媒反応の律速段階であった基質の拡散を改善することができる。
【0014】
1)細胞膜または細胞壁の表層に酵素を発現させた微生物について
近年、たんぱく質におけるシグナル説を基盤にし、細胞内外のたんぱく質が機能発現する場所を指定する遺伝子情報を利用して目的となる外来たんぱく質を宿主細胞表層に発現提示することが可能となっている。本発明に用いる微生物は、その細胞膜または細胞壁の細胞外側の表層に酵素を発現させたものをもちいるが、その元となる微生物としては、その表層に酵素を発現させることのできるものであれば限定なく用いることができる。具体的には、酵母細胞、大腸菌細胞、乳酸菌細胞を挙げることができる。なかでも、取扱の容易性から酵母細胞であることが望ましく、例としては、パン酵母のSaccharomyces cerevisiaeを挙げることができる。このSaccharomyces cerevisiaeでは、細胞の接合時に誘導発現する性凝集細胞間接着たんぱく質で、細胞表層最外殻に位置するアグルチニンの分子情報を活用することで、種々のたんぱく質を細胞表層に提示可能なことが知られている。
【0015】
本発明に用いられる微生物では、微生物の細胞外側の細胞膜表面または細胞壁表面に酵素を提示することを目的として、細胞膜または細胞壁の細胞外側の表層に酵素を保持する機能を備えるポリペプチドと融合させた酵素又は酵素の一部を発現させる。このような機能を有するポリペプチドとして、例えば、膜結合たんぱく質(アンカリングタンパク質)を好適に用いることができる。この方法の例として、まず宿主に応じて選んだベクターに、目的とする酵素もしくは酵素の一部をコードするDNAと、膜結合たんぱく質(アンカリングタンパク質)をコードするDNAとを、読み枠を合わせて連結し導入することによって発現ベクターを作製する。次に作製した発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。発現ベクターには、プラスミド、ファージ、ウィルスなどの一般的に知られるベクターを用いることができる。
【0016】
酵素または酵素の一部を細胞膜または細胞壁の細胞外側の表層に発現させるための発現ベクターは、アンカリングタンパク質を融合した酵素を細胞膜もしくは細胞壁へ移動させる機能を備える配列を構成要素に含む。そのような配列は、翻訳されたポリペプチドがシグナル配列や細胞内輸送に関わる機能を有するものであってもよいし、DNA配列のまま機能するものであってもよく、この分野の当業者であれば思いつく方法を適用することができる。
【0017】
よって、酵素を細胞表層に移動させ、細胞外に提示して保持するための発現ベクターの構成要素の例としては、下記に記す配列をそれぞれ挙げることができる。
・分泌シグナル配列をコードするDNA(sig1と略す)。
・目的とする酵素または酵素の一部をコードするDNA(enz1と略す)。
・細胞表層に酵素または酵素の一部を固定するためのアンカリングタンパク質をコードするDNA(anch1と略す)。
【0018】
これらの構成要素をそれぞれ読み枠を合わせてsig1−enz1−anch1若しくはsig1−anch1−enz1の順に連結した構成で、プロモーター、選択マーカー、ターミネーター等の発現ベクターの構成要素に連結して発現させることができる。
【0019】
本発明の酵素がダイマーを含むオリゴマーの場合、酵素のサブユニットの一つに細胞の表層に結合するたんぱく質を融合させたペプチドと、残りの融合していないサブユニットを共発現することによって、機能を有する酵素を細胞の表層に提示することができる。
【0020】
微生物の細胞膜または細胞壁表面に提示する酵素の機能単位がダイマーを含むオリゴマーである場合には前記発現ベクター(第一の発現ベクターと呼ぶ)の更なる構成要素として次のものを含む。即ちプロモーター、選択マーカー、ターミネーター及び分泌シグナル配列をコードするDNA(sig2)と目的とする酵素サブユニット又はその一部をコードするDNA(enz2)が読み枠を合わせて連結されたDNA(sig2−enz2)を含む。
【0021】
前記更なる構成要素は第一の発現ベクターにシスに連結することも、第二のベクターに導入することで第二の発現ベクターとすることもできる。第二の発現ベクターとした場合には、宿主細胞に第一及び第二の発現ベクターを二重に形質転換する。
【0022】
この発現ベクターに用いられるプロモーター、分泌シグナル配列、選択マーカー、ターミネーター、アンカリングタンパク質は、用いる宿主において一般的に用いられるものであれば、特に限定されない。このベクターを宿主に導入する方法は、例えば、エレクトロポレーション法、酢酸リチウム法の既知の方法を用いることができる。
【0023】
また、細胞表面に酵素を発現する微生物の作製は、発現ベクターを細胞に導入して発現させるものだけに限らず、直線型のDNAをトランスフェクションしてゲノムに組み込んで安定的に発現させる態様であってもよい。
【0024】
本発明の微生物電極に用いる微生物としては、微生物電極に用いる導電性部材に対して接着性を有する微生物が好ましく用いられる。微生物が導電性部材接着性であることにより、電解質溶液中への微生物の漏出を防止する機構(保持膜)等が不要となり、この機構によって、基質の酵素への供給が低下するといった可能性を排除することができる。
【0025】
本実施形態にかかる酵素は、酸化還元反応を触媒する酵素(酸化還元酵素)である。酸化還元酵素の例としては、脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)、還元酵素(レダクターゼ)、酸化酵素(オキシダーゼ)、オキシゲナーゼ(酸素添加酵素)、ヒドロペルオキシダーゼ等が挙げられるがいずれの種類の酵素も用いることができる。例えば、グルコースオキシダーゼや西洋ワサビペルオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ、チオレドキシンレダクターゼを含む他の酸化還元酵素全般が適用することができる。また、これらの酵素は、他の酵素と組み合わせて使用しても良い。この組合せの例としては、α−グリコシダーゼとグルコースオキシダーゼの組合せが挙げられる。
【0026】
酵素を外部から導入して微生物に発現させる場合は、本発明の酵素は遺伝子工学的手法に利用できるものが望ましく、酵素の遺伝子がクローニングされているものや、酵素をコードする領域の配列がわかっている生物種の酵素を好適に用いることができる。
【0027】
酵素の遺伝子の由来については、微生物の細胞膜又は細胞壁の細胞外表層に発現できれば、何れの生物種から選択してもよい。例えば、酵母細胞表層に発現させる場合、グルコースオキシダーゼ遺伝子としては、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger, ATCC 9029)由来のcDNA(配列番号16)やペニシリウム アマガサキエンス(Penicillium Amagasakiense, ATCC 28686)由来のcDNA(配列番号17)を選択することができる。西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子としては、Armoracia Rusticana由来のcDNA(配列番号18)を選択することができる。グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis, ATCC 27370)由来のcDNA(配列番号19)を選択することができる。アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、サッカロマイセス セレビシエ S288C(Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)由来のcDNA(配列番号20)を選択することができる。
【0028】
本発明の細胞表層に発現させた酵素が、その触媒活性を発揮するために、フラビン化合物、金属原子(Fe、Cu、Moなど)、ヘム等などの補欠分子族を必要とする場合にはこれを補う工夫を施すことができる。この例としては、必要な種類に応じて、補欠分子族を予め培地中に添加しておく事が挙げられる。これにより、細胞表層に提示されたアポ酵素を、ホロ酵素として再構成することができる。この酵素と補欠分子族の組合せの例としては、グルコースオキシダーゼとフラビンアデニンジヌクレオチド、西洋ワサビペルオキシダーゼとヘム、ビリルビンオキシダーゼとCu、ラッカーゼとCuの組合せが挙げられる。
【0029】
本発明の酵素の基質としては、それぞれの酵素に対応する化合物が挙げられ、有機物、酸素、過酸化水素、水、硝酸イオンが挙げられる。また、この有機物の例としては、糖類、アルコール類、カルボン酸類、キノン類、ニコチンアミド誘導体、フラビン誘導体が挙げられる。この糖類には、セルロース、デンプン等の多糖も含まれてよい。
【0030】
2)導電性部材について
本発明において導電性部材は、金属材料、炭素材料、金属酸化物、導電性高分子などを適用できる。金属材料として金、白金など、炭素材料としてグラファイト、カーボンブラックなど、金属酸化物としてインジウムスズ酸化物(ITO)電極など、導電性高分子としてポリアセチレン類、ポリアリーレン類などがそれぞれ挙げられる。中でも、炭素材料、金属酸化物が好ましく用いられる。
【0031】
導電性部材への微生物の接着性は、導電性部材と微生物の組合せ、あるいは周囲の環境などに依存する。よって、微生物が微生物電極に用いる導電性部材に対して接着性を有するとは、導電性材料としての共通の特性に対する接着能だけでなく、実際に用いる導電性部材の個別の特性と微生物との組み合わせに限って接着性を有することも含む。さらに導電性部材に微生物接着能を付与するために、導電性部材表面に微生物と接着性を有する材料を塗布することで微生物が導電性材料表面に接着する態様も含まれる。微生物と接着性を有する材料の例として、ポリスチレン、糖鎖ポリマー等のポリマー、チオール化合物、シラン化合物、フィブロネクチンやコラーゲンなどのタンパク質等の有機材料やアルミナ、シリカ等の無機材料などが挙げられ、これらの材料を導電性部材表面に塗布することで微生物を導電性部材に接着させることができる。この導電性部材接着性となる微生物と導電性部材の組合せの例としては、Saccharomyces cerevisiaeとアルミナの組合せ(pH条件3.0 − 9.5)が挙げられる。また、微生物が電極(導電性部材)への接着性を持たない場合には、保持膜等で微生物を電極触媒として機能可能な範囲で保持しても良い。この保持膜の例としては、透析膜が挙げられる。
【0032】
3)電解質溶液(電解液)について
本発明における電解質溶液(電解液)が備えていることが好ましい条件として、電極反応に充分な伝導度、電気化学的な安定性、微生物の生存、増殖に良好であることを挙げることができる。また、微生物の生存、増殖に必要な環境は、用いる微生物によって大きく異なるが、制御すべき項目の例としては、溶媒(通常は水を主成分とする)、温度、pH、溶存ガス濃度、塩濃度、各種栄養素濃度が挙げられる。この電解質溶液中に含まれる電解質は、有機物質、無機物質のいずれであっても良く、液体、固体あるいはゲル状のいずれであっても良い。たとえば、KCl、NaCl、MgCl2、NH4Cl、Na2HPO4等の金属塩、NH4OH、KOH、NaOH等のアルカリ、H3PO4、H2SO4等の酸を溶解した水溶液などを挙げることができる。
【0033】
また、この電解質溶液中に微生物の増殖に必要な物質が含まれたものが好ましく用いられる。この微生物の増殖に必要な物質は、微生物の種類に大きく依存するが、例としては、一般的な微生物培地に含まれる成分が挙げられる。
【0034】
4)メディエータについて
本発明の微生物電極または微生物電極に接触する電解質溶液中には、必要に応じて微生物の表層に提示した酵素の活性中心から導電性部材への電荷の輸送を媒介するメディエータを含んでいることが好ましい。
【0035】
本発明においてメディエータは、微生物表層に発現する酵酵素と導電性部材との間の電子の受け渡しを推進させるものであって、生物電気化学の分野で用いられる一般的な酸化還元物質を用いることができる。メディエータの例としては、キノン類、金属錯体、複素環式化合物、ニコチンアミド誘導体、フラビン誘導体などが挙げられる。メディエータは、電解質溶液中への漏出を防止する目的等で導電性部材に固定化されていても良いし、電解質溶液中に含まれていても良い。また、この微生物電極をデバイスとして使用する場合、このデバイスに効果的な酸化還元電位をもつメディエータを選択すると良い。この選択によって、例えば、電圧の高い生物燃料電池や妨害物質の影響を受けにくい基質センサを作製することができる。メディエータの導電性部材への固定化の方法としては、既知の方法が適用でき、例えば、ポリマー、チオール化合物、シラン化合物等の有機材料を用いる方法が挙げられる。
【0036】
(第2の実施形態:燃料電池)
本発明の好ましいひとつの実施形態である燃料電池は、本発明に係る微生物電極を用いて構成される燃料電池について、図2を用いて説明する。同図において、2000はアノード、2010はカソードであり、微生物電極は、これらのうち少なくとも一方として用いられる。これらは、リード線2020を通して2030の負荷に接続されている。アノードとカソードは、2040の電解質溶液に接触して配置されている。また、必要に応じて、さらに電解質溶液を保持する機構を用いてもよい。電解質溶液中に酵素の基質である燃料が存在するときにアノードとカソードの間に生じる起電力によって、負荷に電流を流し仕事を行わせることができる。本発明にかかる微生物電極は、正極活物質と反応して電子を供与する正極としての電極反応を担うか、あるいは、負極活物質と反応して電子を受け取る負極としての電極反応を担うかは、発現する酵素の種類によって決まる。
【0037】
ここで、アノードとして微生物電極をもちいる場合には、アノード反応の基質となる物質(通常は燃料)を酸化する反応を触媒する酵素を発現させた微生物を用いることとなる。この酵素とこの酵素に対応する基質の具体例としては、グルコースオキシダーゼとグルコース、グルコースデヒドロゲナーゼとグルコース、アルコールデヒドロゲナーゼとエタノール等を挙げることができる。一方、カソードとして微生物電極をもちいる場合には、カソード反応の基質となる物質(通常は酸素)を還元する反応を触媒する酵素を発現させた微生物を用いることとなる。この酸素を基質とする酵素の具体例としては、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等を挙げることができる。
【0038】
代表的な構成としては、燃料となる物質を含む電解質溶液を貯留し得る反応槽と、反応槽中に所定の間隔で配置されたアノードとカソードとを有し、このアノード及びカソードの少なくとも一方に本発明にかかる微生物電極を用いる。
【0039】
ここでいう、負荷とは、例えば薬剤を供給するためのポンプであり、電極から得られる電気信号を外部に発信するための発信機、像を撮影するためのカメラである。
【0040】
(第3の実施形態:センサ)
本発明の好ましいひとつの実施形態であるセンサは、本発明にかかる微生物電極を用いて構成されるセンサについて、図3を用いて説明する。同図において、3000は微生物電極、3010は対電極であり、これらは、3020のリード線を通して外部装置3030に接続されている。また、微生物電極と対電極とは、電解質溶液3040に接触して配置されている。また必要に応じて、参照電極や電解質溶液を保持する機構を適用することもできる。
【0041】
このデバイスでは、微生物電極を介して外部装置3030で取得される電気信号によって、電解質溶液中に存在する被検物質の有無、濃度を調べることができる。こうして、微生物電極を利用したセンサが実現できる。なお、電気信号としては、電流、電荷量、電圧、電位、インピーダンスが含まれる。また、外部装置から微生物電極に、電位、電圧等を印加しておくこともできる。予め、電気信号と特定の基質濃度等の関係をデータベースに記憶しておき、取得される信号と、当該データベース内の情報とを比較することも可能である。
【0042】
デバイスをセンサとして用いる構成では、微生物電極を、物質を検知するための検知部位として用いる。よって微生物電極での検知が可能であるものであれば特に限定なく検知することができ、電極の微生物表層に発現させた酵素の基質となる物質を選択的に検知することができる。その用途としては、グルコースセンサ、フルクトースセンサ、ガラクトースセンサ、アミノ酸センサ、アミンセンサ、コレステロールセンサ、アルコールセンサ、乳酸センサ、酸素センサ、過酸化水素センサ等が挙げられる。より具体的な応用例としては、血中のグルコース濃度や、乳酸濃度を測定するセンサ、果物の糖度を測定するセンサ、呼吸気中のアルコール濃度を測定するセンサ等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
本実施例で形成される微生物電極の概念図を図4に示す。同図において、4000はITO導電性ガラス基板、4010はアルミナ粒子であり、これらは導電性部材を構成している。この導電性部材の表層に酵素であるグルコースオキシダーゼ4020が提示された微生物である酵母Saccharomyces cerevisiae(4030)が接着している。
【0045】
このSaccharomyces cerevisiaeには、グルコースオキシダーゼが細胞膜の表層に提示されているために、基質であるグルコースが細胞膜を透過することなくグルコースオキシダーゼに到達することが可能となる。その結果、基質の拡散の遅延による電流低下の影響を低減することができる。
【0046】
本実施例では、この酵素電極の調製および生物燃料電池としての使用例を順に説明する。
【0047】
1.細胞表層にグルコースオキシダーゼを提示したSaccharomyces cerevisiaeの調製
以下に説明する手順で図11に示す構成のプラスミドを作製する。
【0048】
サッカロマイセス セレビシエ S288C(Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号1及び2の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーに用いてPCR増幅反応を行う。これにより、約1054塩基対の増幅産物(GAPDHpro)を得る。このDNA断片は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼのプロモーターを含む。なお、微生物名(以下ベクター等も含む)に寄託番号を併記したものは、米国のATCC(American Type Culture Collection)などの公的機関より入手可能である。
【0049】
次にサッカロマイセス セレビシエ S288C(Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号3及び4の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーとして、PCR増幅反応を行う。これにより、約255塩基対の増幅産物(alpha−sig)を得る。このDNA断片は、α−ファクターの分泌シグナルを含む。
【0050】
二つのDNA断片GAPDHproおよびalpha−sigを制限酵素KpnIで切断後、ライゲーションして、約1340塩基対のDNA断片(GAPDHpro::alpha−sig)を得る。
【0051】
次にアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger, ATCC 9029)の培養細胞から常法にしたがいcDNAを調製する。このcDNAを鋳型として用い、配列番号5および配列番号6の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーとして、PCR増幅反応を行い、約1749塩基対の増幅産物(GOX)を得る。このDNA断片は、グルコースオキシダーゼをコードする。二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sigおよびGOXを制限酵素PvuIで切断後、ライゲーションして、約3076塩基対のDNA断片(GAPDHpro::alpha−sig::GOX)を得る。
【0052】
次にサッカロマイセス セレビシエ S288C (Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号7及び8の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーとして、PCR増幅反応を行う。これにより、約1406塩基対の増幅産物(C−SAG1)を得る。このDNA断片は、α−アグルチニン(α−agglutinin)遺伝子の3’側320個のアミノ酸と446塩基対の3’−flanking regionを含む。
【0053】
二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sig::GOXおよびC−SAG1を制限酵素BglIIで切断後、ライゲーションして、約4491塩基対のDNA断片(GAPDHpro::alpha−sig::GOX::C−SAG1)を得る。
【0054】
次にサッカロマイセス セレビシエ S288C (Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号9及び10の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーとしてPCR増幅反応を行う。これにより、約600塩基対の増幅産物(GAPDHterm)を得る。このDNA断片は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼのターミネーターを含む。
【0055】
二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sig::GOX::C−SAG1およびGAPDHtermを制限酵素SphIで切断後、ライゲーションする。これにより、約5093塩基対のDNA断片(GAPDHpro::alpha−sig::GOX::C−SAG1:: GAPDHterm)を得る。
【0056】
次にサッカロマイセス セレビシエ S288C(Saccharomyces cerevisiae S288C, ATCC 26108)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号11及び10の合成オリゴヌクレオチド(表1)をプライマーとしてPCR増幅反応を行う。これにより、約600塩基対の増幅産物(GAPDHterm2)を得る。このDNA断片は、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼのターミネーターを含む。
【0057】
二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sig::GOXおよびGAPDHterm2を制限酵素BglIIで切断後、ライゲーションする。これにより、約3696塩基対のDNA断片(GAPDHpro::alpha−sig::GOX::GAPDHterm2)を得る。
【0058】
次にプラスミドpRS426(ATCC 77107)を鋳型として用い、配列番号12および配列番号13の合成オリゴヌクレオチド(表1参照)をプライマーとして用い、PCR増幅反応を行い、約4785塩基対の増幅産物(RS426)を得る。
【0059】
二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sig::GOX::C−SAG1::GAPDHtermおよびRS426を制限酵素KasIおよびMluIで切断後、ライゲーションして、発現ベクター(pRSGoxAg)を得る。
【0060】
次にプラスミドYrp7(ATCC 37060)を鋳型として用い、配列番号14および配列番号15の合成オリゴヌクレオチド(表1参照)をプライマーとして用い、PCR増幅反応を行い、約4622塩基対の増幅産物(YR7)を得る。
【0061】
【表1】

【0062】
二つのDNA断片GAPDHpro::alpha−sig::GOX::GAPDHterm2およびYR7を制限酵素KasIおよびMluIで切断後、ライゲーションして、発現ベクター(pYRGox)を得る。
【0063】
2種類の発現ベクターpRSGoxAgおよびpYRGoxをサッカロマイセス セレビシエPTY33(Saccharomyces cerevisiae PTY33, ATCC MYA−1747)に酢酸リチウム法を用いて導入する。二重形質転換酵母をFlavin adenine dinucleotideを含むuracil−,tryptophan−ドッロップアウトSDC培地で30℃、96時間培養する。
【0064】
グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼのプロモーターは、構成的な発現プロモーターであるので、細胞の増殖フェーズに関わらず、酵素を細胞表層に発現する。
【0065】
グルコースオキシダーゼの機能的な単位はダイマーであるので、C−SAG1配列を含んでいるペプチドと、C−SAG1配列を含んでいないペプチドとを、共発現させることにより、機能的な酵素を細胞表層に提示させることができる。
【0066】
2.微生物電極の調製
市販のITO導電性ガラス(例えば倉元製作所製 ITO ガラス)に市販のアルミナ微粒子(例えば株式会社マイクロン製)薄懸濁液をスピンコート法で塗布し、乾燥、焼結、UV−オゾン処理することで、親水性のアルミナ粒子付着導電性部材を調製する。
【0067】
酵母培地溶液、例えばグルコース、酵母窒素ベース、硫酸アデニン、L−ヒスチジン塩酸塩、L−ロイシン、ウラシルを含む溶液、中に先に調製した導電性基板を設置し、その上に微生物を播くことで、微生物接着導電性部材を調製する。
【0068】
3.生物燃料電池の調製
図5に本実施例の生物燃料電池の模式図を示す。本実施例の生物燃料電池は電解質溶液中にメディエータを含む態様である。5000は、アノードである微生物電極を示し、5010は、カソードとして使用する白金線である。これらは、リード線(5020)を通して負荷(5030)、例えば、液晶表示装置に接続される。セパレーター(5040)でアノード槽、カソード槽が隔離(電気的には接続)された容器(5050)に、酵母培地溶液に電解質(例えば塩化アンモニウム)、燃料であるグルコース、酸素を含んだ電解液(5060)を導入する。このアノード槽にメディエータとして市販のN−methylphenazonium methyl sulfateを例えば0.5mMの濃度で溶解させることで、起電力を発生し、液晶表示装置を駆動させる。
【0069】
(実施例2)
本実施例で形成される微生物電極の概念図を図6に示す。本実施例の微生物電極はメディエータとして金属錯体ポリマーを導電性部材表面に有する態様である。同図において、6000はグラッシーカーボン、6010はグラッシーカーボンを包埋している樹脂である。このグラッシーカーボンに金属錯体ポリマー6020が固定化されている。そして、表層にグルコースオキシダーゼ6030が提示された酵母Saccharomyces cerevisiae(6040)が透析膜(6050)と固定用ゴムリング(6060)によって保持されている。
【0070】
このSaccharomyces cerevisiaeには、グルコースオキシダーゼが細胞膜の表層に提示されているために、基質であるグルコースが細胞膜を透過することなくグルコースオキシダーゼに到達することが可能となる。その結果、基質の拡散の遅延による電流低下の影響を低減することができる。
【0071】
以下にこの酵素電極の調製およびグルコースセンサ、生物燃料電池としての使用例を順に説明する。
【0072】
1.金属錯体ポリマーの合成
以下の式(1)に示す錯体の合成法を記述する。
【0073】
【化1】

【0074】
エチレングリコール溶媒中、1当量の(NH42[OsCl6]、2当量の4,4’−dimethyl−2,2’−bipyridineをスターラ攪拌し、窒素気流下マイクロ波合成器(Milestone microsynth)で還流した。溶液を空冷後、Na224水溶液を加え攪拌、生じた黒紫沈殿をろ過した。ろ過物を水洗、ジエチルエーテル洗、乾燥して、Os(4,4’−dimethyl−2,2’−bipyridine)2Cl2を得た。水溶媒中、8当量のアクリルアミド、1当量の1−ビニルイミダゾール、N,N,N’,N’−tetramethylethylnediamineを加えた。窒素気流下、過硫酸アンモニウムを加え40℃で反応させ、空冷した。生成液体を強攪拌下のメタノールで再沈殿、乾燥し、ポリアクリルアミドーポリビニルイミダゾールの7.49/1共重合体を得た。分子の生成(共重合体の分子構造)及びユニット比は、1HNMR測定(D2O)によって決定した。
【0075】
エチレングリコール、エタノールの混合溶媒にOs(4,4’−dimethyl−2,2’−bipyridine)2Cl2,ポリアクリルアミドーポリビニルイミダゾールの共重合体を、窒素気流下マイクロ波合成器で還流した。得られた溶液を空冷後、ジエチルエーテル溶液で再沈殿、乾燥し、目的とする式(1)に記載の錯体ポリマーを得た。
【0076】
2.微生物電極の調製
市販の樹脂に包埋されたグラッシーカーボン電極(例えばビー・エー・エス製)上に、先に調製した錯体ポリマーとポリエチレングリコールジグリシデルエーテルの水溶液を滴下し、一晩乾燥させる。その後、実施例1に調製例を示す細胞膜表層にグルコースオキシダーゼを提示した酵母Saccharomyces cerevisiae懸濁液を滴下し、市販の透析膜、O リングを用いて保持機構とする。
【0077】
3.グルコース濃度の測定
図7に本実施例のグルコースセンサの模式図を示す。調製した微生物電極を作用電極(7000)とし、白金線を対電極(7010)、銀/塩化銀電極を参照電極(7020)として3電極セルを構成し、ポテンショスタット(7030)に接続する。電解質溶液(7040)として、グルコースを含まない酵母培地溶液、(例えば酵母窒素ベース、硫酸アデニン、L−ヒスチジン塩酸塩、L−ロイシン、ウラシルを含む溶液)を使用する。測定前に、既知濃度のグルコースを添加し、作用電極に500mV vs Ag/AgClの電位を印加して定常電流(触媒電流)を観測、検量線を作成する。その上で、新たに導入した電解液に未知濃度のグルコースを含む物質を添加し、同様の電位を印加して定常電流を観測することで濃度を測定する。
【0078】
4.生物燃料電池の調製
図8に本実施例の生物燃料電池の模式図を示す。8000は、アノードである微生物電極を示し、8010は、カソードとして使用する白金線である。これらは、リード線(8020)を通して負荷(8030)、例えば、液晶表示装置に接続される。容器(8040)に、酵母培地溶液に電解質(例えば塩化アンモニウム)、燃料であるグルコース、酸素を含んだ電解液(8050)を導入することで、起電力を発生し、液晶表示装置を駆動させる。
【0079】
(実施例の効果)
本発明の微生物電極においては、遺伝子工学的手法を用いて微生物の細胞膜または細胞壁に酵素を提示した微生物を電極触媒として使用する。その結果、従来の微生物を使用した微生物電極と比較して、酵素への基質の拡散過程に、細胞膜または細胞壁の透過という過程が含まれないために、酵素への基質の拡散が増大する。
【0080】
これによって、本微生物電極では、従来の微生物電極において、反応の律速段階となっていた基質の拡散が増大されることによって、従来よりも高い電流値を示す微生物電極を調製することができる。
【0081】
またこの微生物は、適切な環境に置くことによって増殖するために、本発明の微生物電極は、従来の酵素電極と比較して長寿命の生体触媒電極となる。
【0082】
この特性は、具体的には、以下の(1)乃至(4)のように利用することが可能である。
(1)本発明の微生物電極は、従来の微生物電極と比較して、一定の基質濃度に対し、高い電流を与えることができる。この特性を利用して、この電極を例えばセンサに応用した場合には、測定下限の低いセンサを提供することができる。また、燃料電池に応用した場合には、電流密度およびそれに比例して向上する出力密度の高い燃料電池を提供することができる。
(2)本発明の微生物電極は、従来の微生物電極と比較して、微生物1個体あたりの電流値を高くすることができる。すなわち、少ない微生物量で必要とされる電流値を与えることができるため、微生物の使用量を低下させ、電極の製造に必要な資源、コストの削減に寄与する。
(3)本発明の微生物電極は、従来の微生物電極と比較して、微生物1個体あたりの電流値を高くすることができる。すなわち、少ない微生物量で必要とされる電流値を与えることができる。このため、微生物電極において、従来の電極と、同じ微生物密度の電極の場合には、一定の出力電流値、電荷量を維持したまま電極面積を低減することができる。これを利用して、電極面積を低減することで、バックグラウンド電流を減少させ、シグナル/ノイズ比を向上させることができる。また、デバイスを小型化することができる。これによって、低ノイズのセンサや小型のセンサ、燃料電池を提供することができる。
(4)本発明の微生物電極をもちいることで、従来の酵素電極を用いた場合と比較して長寿命の生体触媒電極デバイスを調製することができる。これによって、長寿命のセンサ、燃料電池を提供することができる。
【0083】
図9Aには、これらの特長を利用した基質センサの基質濃度−電流特性の傾向を示す。9000に示す本発明の微生物電極を用いた基質センサは、9010に示す従来の微生物電極を用いた基質センサと比較して高い電流値を示し、低い測定下限を示す。
【0084】
図9Bには、これらの特長を利用した基質センサの電流/初期電流比の経時変化の傾向を示す。9020に示す本発明の微生物電極を用いた基質センサは、適切な環境に保持することで微生物の増減に起因すると考えられる電流値/初期電流値比の大きなブレ幅が確認されるものの、9030に示す従来の酵素電極を用いた基質センサと比較して長い寿命を示す。
【0085】
図10Aには、これらの特長を利用した燃料電池の電流−電圧特性の傾向を示す。10000に示す本発明の微生物電極を用いた基質センサは、10010に示す従来の微生物電極を用いた燃料電池と比較して高い電流値、高い最大出力を示す。
【0086】
図10Bには、これらの特長を利用した燃料電池の出力/初期出力比の経時変化の傾向を示す。10020に示す本発明の微生物電極を用いた燃料電池は、適切な環境に保持することで、微生物の増減に起因すると考えられる出力/初期出力比の大きなブレ幅が確認されるものの、10030に示す従来の酵素電極を用いた燃料電池と比較して長い寿命を示す。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る微生物電極の概念図である。
【図2】本発明に係る微生物電極を用いて構成される燃料電池の模式図である。
【図3】本発明に係る微生物電極を用いて構成されるセンサの模式図である。
【図4】実施例1で形成される微生物電極の概念図である。
【図5】実施例1の生物燃料電池の模式図である。
【図6】実施例2で形成される微生物電極の概念図である。
【図7】実施例2のグルコースセンサの模式図である。
【図8】実施例2の生物燃料電池の模式図である。
【図9】本発明の微生物電極を用いた基質センサの特徴を従来の微生物電極を用いた基質センサと比較するグラフである。(A)基質濃度−電流特性の傾向。(B)電流/初期電流比の経時変化の傾向。
【図10】本発明の微生物電極を用いた燃料電池の特徴を従来の酵素電極を用いた燃料電池と比較するグラフである。(A)電流−電圧特性の傾向。(B)出力/初期出力比の経時変化の傾向。
【図11】実施例1で作製した発現ベクターのコンストラクションを示す図である。(A)組換えプラスミドpRSGoxAg。(B)組換えプラスミドpYRGox。
【符号の説明】
【0088】
1000 微生物
1010 酵素
1020 導電性部材
2000 アノード
2010 カソード
2020 リード線
2030 負荷
2040 電解質溶液
3000 微生物電極
3010 対電極
3020 リード線
3030 外部装置
3040 電解質溶液
4000 ITO導電性ガラス基板
4010 アルミナ粒子
4020 グルコースオキシダーゼ
4030 酵母Saccharomyces cerevisiae
5000 アノード(微生物電極)
5010 カソード(白金線)
5020 リード線
5030 負荷
5040 セパレーター
5050 容器
5060 電解液
6000 グラッシーカーボン
6010 樹脂
6020 金属錯体ポリマー
6030 グルコースオキシダーゼ
6040 酵母Saccharomyces cerevisiae
6050 透析膜
6060 固定用ゴムリング
7000 作用電極
7010 対電極
7020 参照電極
7030 ポテンショスタット
7040 電解質溶液
8000 アノード(微生物電極)
8010 カソード(白金線)
8020 リード線
8030 負荷
8040 容器
8050 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性部材と微生物とを有し、
該微生物が電極触媒として働く酵素を発現している微生物電極において、
該酵素が該微生物の細胞膜又は細胞壁の細胞外側の表層に発現していることを特徴とする微生物電極。
【請求項2】
前記微生物は前記導電性部材との接着性を有することにより該部材表面に保持されてい
る請求項1に記載の微生物電極。
【請求項3】
請求項1または2に記載の微生物電極と該微生物電極に接触する電解質溶液とを含むデバイスであって、該電解質溶液中に前記微生物電極の微生物の増殖に必要な物質を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項4】
前記微生物電極の導電性部材表面および前記電解質溶液中の少なくともいずれかに、更にメディエータを含むことを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
アノードおよびカソードの少なくとも一方の電極として、請求項1または2に記載の微
生物電極を使用した燃料電池。
【請求項6】
請求項1または2に記載の微生物電極と、該微生物電極に電圧あるいは電位を印加する
ための手段とを有することを特徴とするセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−117321(P2009−117321A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313479(P2007−313479)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】