説明

微粒子で安定化された流体−流体界面の修飾

本発明は、流体-流体界面によって分離された少なくとも2種の非混和性流体相を含み、該界面が、界面に吸着されたバイオポリマー微粒子の集合によって安定化されている組成物であって、界面の性質が、バイオポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート)の少なくとも1種の官能基と少なくとも1種のリガンド(例えばエオシン)との会合を介して修飾されていることを特徴とする前記組成物を提供する。これは、例えば、着色したエマルジョン、特に着色したフォームおよびバブルの生成を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体-流体界面によって分離された少なくとも2種の非混和性流体相を含み、該流体-流体界面が固体微粒子(solid particulate)によって安定化されている組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
流体-流体界面は、工業用および消費者用製品に、至る所に存在する。例えば、市場で入手できる大部分の個人用ケア製品は、様々な非混和性流体相のエマルジョン、懸濁液または分散体を含む。
【0003】
フォーム(foam)は、洗浄剤、食品および化粧品産業を含めて、広範な分野において、最終製品として、または製品の使用中に出現する。それらは、気相が、流体の連続相中のバブル(bubble)として分散している非混和性流体の混合物である。
【0004】
フォームの崩壊を防ぐために、界面活性剤が通常、添加され、それらの分子が流体/蒸気界面を覆う。また、ナノシリカのような特定の小さい固体粒子は、界面に吸着し、エマルジョンにおける液滴、およびフォームにおけるバブルを安定化するように作用することによって、界面活性剤分子といくつかの類似性を示すことが示されている。
【0005】
W02007/068344において、繊維は、それらに表面活性を付与するために修飾される。修飾された粒子は、エマルジョンの安定化に使用され得る。修飾は、エチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのような疎水性材料により繊維を被覆することによって実施され得る。被覆物は別のプロセスステップにおいて繊維上に付着される。例示されるプロセスは、エチルセルロースを用い、被覆された繊維粒子は、分離され、乾燥され、その後、それらはフォームの安定化に使用できる。前記ポリマーで被覆された粒子は、数十ミクロンの長さを有すると記載されている。繊維も、付着した被覆物も、小さな分子またはリガンドであるとは見なし得ない。
【0006】
W02008/046732は、W02007/068344に開示されているタイプの表面活性繊維を含む冷凍空気含有製品(frozen aerated product)を記載する。エチルセロースが、通常、アセトン溶液中で調製される。より以前の特許の場合の様に、そのプロセスは、被覆された棒の前もっての生成を必要とし、前と同様に被覆物も棒/繊維材料も本明細書に定義されるような小さな分子またはリガンドであると見なし得ない。
【0007】
最近、スマートまたはインテリジェント材料と名付けられたものが、大きな注目を集めている。このような材料は、それらの環境の変化を感じ取り、その変化に、予めプログラムされ明白な仕方で応答する能力を有する。例えば、スマートポリマーは、媒体の性質(pH、温度、イオン強度、特異な化学物質の存在、光、電場もしくは磁場)の僅かな変化によって引き起こされる、速く可逆的な微細構造変化を受ける。ポリマーの微細構造におけるこれらの微視的変化は、例えば、溶液における沈殿物の生成のような巨視的レベルで現れ得る。その変化は可逆的である。本特許明細書において、用語「バイオポリマー」は、天然(生物)供給源に由来するスマートポリマーを表すために用いられる。このようなバイオポリマーのよく知られた1つの種類(class)は、腸溶性ポリマーであり、これらは、pHの変化で溶け、摂取されたカプセル(腸溶性ポリマーにより被覆されている)からの薬剤の放出を、カプセルが胃の酸性環境を通過した後まで、遅らせることができる。このようなポリマーの別のよく知られた使用法は、ポリマーがpHの変化で沈殿する際のポリマーへのリガンドの結合と、それに続く、溶媒から分離した後のポリマーからのリガンドの放出による、生体材料(リガンド)の精製である。
【0008】
1つの腸溶性ポリマーが、フォームの安定化のために研究された。Drug Development and Industrial Pharmacy、33:141-146、2007 Vol. 33、No. 2、2006年12月:1〜16頁「Study of the Effect of Stirring on Foam Formation from Various Aqueous Acrylic Dispersions」は、ポリマーの水溶液の高速撹拌およびpH調整によって製造されるフォームを安定化させるための、Eudragitタイプのバイオポリマーの使用を記載する。
【0009】
着色したフォームは、長年の間、望ましい製品形態として考えられてきた。エアロゾル製品との関連におけるそれらの開発の歴史が、「coloured foams for children」、Spray technology and Marketing、2003年3月、49〜53頁に記載されている。
【0010】
US 2006/0004110は、着色バブルを製造するための組成物および方法を記載する。実施例のいくつかは酸性染料を用いる。バブルを製造するプロセスは、グリセリンを染色するために高温を用い、次いで、そのグリセリンが組成物に組み入れられる。グリセリンは、固体微粒子安定化系ではないので、それは、バブルを安定化し得る別の添加物と共に用いられなければならい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】W02007/068344
【特許文献2】W02008/046732
【特許文献3】US 2006/0004110
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Drug Development and Industrial Pharmacy、33:141-146、2007 Vol. 33、No. 2、2006年12月:1〜16頁「Study of the Effect of Stirring on Foam Formation from Various Aqueous Acrylic Dispersions」
【非特許文献2】「coloured foams for children」、Spray technology and Marketing、2003年3月、49〜53頁
【非特許文献3】Arch. Biochem. Biophy.、1992 294、322〜325頁
【非特許文献4】Colour Index International、第4版オンライン
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、特定のバイオポリマー界面安定剤が、染料のような小さな分子と会合することによって、流体-流体界面を修飾できることを見出した。これは、例えば、着色したエマルジョン、特に着色フォームおよびバブルの製造を可能にする。その結果、本発明は、化粧品および個人のケアのような、製品の目に見える魅力が1つの重要な面である製品部門に特に適用可能である。
【0014】
本発明は、流体-流体界面によって分離された少なくとも2種の非混和性流体相を含み、該界面が、界面に吸着されたバイオポリマーの微粒子(microparticle)によって修飾されている組成物であって、微粒子が、バイオポリマーの少なくとも1種の官能基を介して、少なくとも1種のリガンドと会合していることを特徴とする前記組成物を提供する。
【0015】
本発明は、さらに、修飾された界面を含む組成物を生成する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
バイオポリマー微粒子
本発明の組成物において、界面は、界面に吸着されたバイオポリマー微粒子の集合によって安定化される。
【0017】
前記微粒子は異方性であり得る。このような微粒子は、通常、1を超えるアスペクト比を有し、その場合、好ましくは、棒または繊維である。
【0018】
微粒子を生成するのに用いられる適切なバイオポリマーは、疎水性を有し、染料または他の小さな分子(例えば、香料、タンパク質、および架橋剤)にアフィニティを有する表面官能基を有する。本明細書では、このような分子はリガンドと呼ばれている。
【0019】
このようなバイオポリマーの例には、溶解性がpHおよび/または温度の関数であり、溶液から沈殿させられる際に前記の異方性微粒子を生成する、疎水性置換された多糖が含まれる。
【0020】
このようなバイオポリマーの好ましい種類には、少なくとも1種のエステル-および/またはエーテル-結合した置換基を有するセルロース系ポリマー(親のセルロース系ポリマーは、少なくとも0.1の、少なくとも1種の疎水性基の置換度を有する)が含まれる。「置換度」は、置換された、セルロース鎖の糖繰返し単位当たりの3つのヒドロキシル基の平均数を表す。「疎水性置換基」は、十分に高いレベルもしくは置換度に置換された場合、セルロースポリマーを本質的に水不溶性にできる任意の置換基であり得る。疎水性置換基の例には、エーテル結合したアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピルもしくはブチル)、エステル結合したアルキル基(例えば、アセタート、プロピオナートおよびブチラート)、ならびにエーテル結合および/またはエステル結合したアリール基(例えば、フェニル、ベンゾアートおよびフェニラート(phenylate))が含まれる。
【0021】
より好ましくは、上で定義されたセルロース系ポリマーは、また、少なくとも部分的にイオン化可能であり、また、少なくとも1種のイオン化可能置換基を含み、この置換基は、エーテル結合しているか、またはエステル結合しているかのいずれかであり得る。エーテル結合したイオン化可能置換基の例には、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸およびサリチル酸)、アルコキシ安息香酸(例えば、エトキシ安息香酸およびプロポキシ安息香酸)、アルコキシフタル酸の様々な異性体(例えば、エトキシフタル酸およびエトキシイソフタル酸)、アルコキシニコチン酸の様々な異性体(例えば、エトキシニコチン酸)、ピコリン酸の様々な異性体(例えば、エトキシピコリン酸)、チオカルボン酸(例えば、チオ酢酸)、置換されたフェノキシ基(例えば、ヒドロキシフェノキシ)、アミン(例えば、アミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシおよびトリメチルアミノエトキシ)、ホスファート(例えば、ホスファートエトキシ)、ならびにスルホナート(例えば、スルホナートエトキシ)が含まれる。エステル結合したイオン化可能置換基の例には、カルボン酸(例えば、スクシナート、シトラート、フタラート、テレフタラート、イソフタラートおよびトリメリタート)、ピリジンジカルボン酸の様々な異性体、チオカルボン酸(例えば、チオスクシナート)、置換されたフェノキシ基(例えば、アミノサリチル酸)、アミン(例えば、天然もしくは合成のアミノ酸、例えば、アラニンもしくはフェニルアラニン)、ホスファート(例えば、アセチルホスファート)、ならびにスルホナート(例えば、アセチルスルホナート)が含まれる。
【0022】
このような好ましいセルロース系ポリマーの具体例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナート、ヒドロキシプロピルセルロースアセタートスクシナート、ヒドロキシエチルメチルセルローススクシナート、ヒドロキシエチルセルロースアセタートスクシナート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセタートスクシナート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセタートフタラート、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタートフタラート、メチルセルロースアセタートフタラート、エチルセルロースアセタートフタラート、ヒドロキシプロピルセルロースアセタートフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートフタラート、ヒドロキシプロピルセルロースアセタートフタラートスクシナート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナートフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナートフタラート、セルロースプロピオナートフタラート、ヒドロキシプロピルセルロースブチラートフタラート、セルロースアセタートトリメリタート、メチルセルロースアセタートトリメリタート、エチルセルロースアセタートトリメリタート、ヒドロキシプロピルセルロースアセタートトリメリタート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートトリメリタート、ヒドロキシプロピルセルロースアセタートトリメリタートスクシナート、セルロースプロピオナートトリメリタート、セルロースブチラートトリメリタート、セルロースアセタートテレフタラート、セルロースアセタートイソフタラート、セルロースアセタートピリジンジカルボキシラート、サリチル酸セルロースアセタート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセタート、エチル安息香酸セルロースアセタート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセタート、エチルフタル酸セルロースアセタート、エチルニコチン酸セルロースアセタート、およびエチルピコリン酸セルロースアセタートが含まれる。
【0023】
特に好ましいのは、それらの非イオン化状態では水不溶性であるが、それらのイオン化した状態では水溶性であるセルロース系ポリマーである。このようなポリマーの特別な下位区分種(subclass)は、いわゆる「腸溶性」ポリマーであり、これらは、pH 5.0以下で水不溶性であるが、この閾値を超えるpH値で水溶性になる。したがって、これらの材料は、pH 5.0以下で異方性微粒子(前記のような)を生成でき、これらの微粒子は、溶液のpHが増加するにつれて、溶ける、または崩壊するであろう。
【0024】
このような腸溶性ポリマーの具体例には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、セルロースアセタートトリメリタート(CAT)、およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)が含まれる。さらに、このようなポリマーの非腸溶性グレード、さらには密接に関連するセルロース系ポリマーもまた、物理的性質における類似性のために、適切であり得る。
【0025】
前記材料のいずれかの混合物もまた用いることができ、特定の材料の異なる分子量の混合物も同様である。このような混合物の使用は、弾性のような界面の機械的性質の調整を可能にする。これは、安定性の向上したフォームの製造にとって有利であり得る。高分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートをこのような混合物に含めることは、フォームの安定性を向上させることが見出された。このような混合物の例には、この材料と、(i)より低分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、または(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナートのいずれかとの混合物が含まれ、高分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートと、(i)または(ii)との重量比は、少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1である。「高分子量」とは、少なくとも100,000g/mol、より好ましくは130,000g/mol以上を意味する。「より低分子量」とは、95,000g/mol未満、より好ましくは85,000g/mol以下を意味する。
【0026】
リガンド
本発明の組成物において、界面の性質は、バイオポリマーの少なくとも1種の官能基と少なくとも1種のリガンドとの会合を介して修飾される。
【0027】
適切なリガンドは、バイオポリマー(例えば、前記のセルロースポリマー)の表面官能基に対するアフィニティを有する。
【0028】
適切なリガンドは、バイオポリマーとのそれらの会合を介して、界面の光学的および/または機能的性質を修飾でき、これらには、染料、香料、タンパク質、架橋剤などのような小さな分子が含まれる。このような分子は、本明細書において、リガンドと呼ばれている。小さな分子とは、好ましくは500Da未満、より好ましくは350Da未満の分子量を有するものを意味する。本発明により包含される安定化されたフォームを生成するのに好ましい高剪断条件下で、官能化されたバイオポリマーに特によく結合することが見出されたリガンドは、1つまたは複数の芳香族環を含む。このような化合物の中には、芳香族の香料、例えば、ベンジルアセタートがある。
【0029】
リガンドという表現のこの使用は、生化学命名法についての合同委員会によって1992年に公開された[Arch. Biochem. Biophy.、1992 294、322〜325頁]、生化学におけるリガンドの定義:「存在する多原子分子の一部を中心と見なすことが可能である、または便利である場合、その部分に結合する原子、基もしくは分子はリガンドと呼ばれる」の拡張である。
【0030】
適切なリガンドの例には、酸性染料が含まれる。「酸性染料」(acidic dyeまたはacid dye)は、通常、溶液中で、全体として負の電荷を有する、有色の芳香族化合物を意味する。通常、酸性染料は、ヒドロキシル、カルボキシルもしくはスルホン基のような酸性置換基を含むアゾ、トリフェニルメタンまたはアントラキノンのような官能基を有する。
【0031】
本発明において用いられるリガンドの好ましい種類には、前記の「腸溶性」ポリマーのようなバイオポリマーに対する、pH依存性アフィニティを示す酸性染料が含まれる。
【0032】
これらの材料の使用は、通常の外部流体相に置かれた際に安定である修飾された界面(例えば、着色されたフォーム)の生成が、バイオポリマーに対する染料の強い吸着アフィニティにより可能となるので好ましい。驚くべきことに、このような修飾された界面は、また、界面活性剤の存在下でも安定であり、これは、毛髪および身体の洗浄剤のように、かなりのレベルの界面活性剤を含む製品を配合する際に、特に利点がある。
【0033】
好ましい酸性染料の例は、pH 5.0以下で、すなわち、腸溶性ポリマーが水不溶性であり、前記の微粒子を形成できるpH値で、プロトンを得ることになる材料である。
【0034】
したがって、好ましい酸性染料は、染料構造に、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基のような弱酸性基を含む。
【0035】
構造上の用語では、好ましい種類の酸性染料には、酸性キサンテン染料が含まれる。
【0036】
キサンテン染料類は、下に式(I)に示されるキサンテン核を含み、この核が様々な位置で置換されている。キサンテン染料類は、カラーインデックス中45000から45999までのインデックスによって網羅される。
【0037】
【化1】

【0038】
本発明において用いるのに好ましい酸性キサンテン染料は、染料構造内にヒドロキシルおよび/またはカルボキシル置換基を、より好ましくは、染料構造内にヒドロキシルおよびカルボキシル置換基を含む。
【0039】
前記酸性キサンテン染料の特に好ましい下位区分種は、下に式(II)に示されるフルオロン核を含み、この核は、通常、ハロゲンのような置換基により、様々な位置でさらに置換されている。
【0040】
【化2】

【0041】
好ましい酸性染料の具体例は、下の表に列挙されている。カラーインデックス番号(C.I.)は、米国繊維化学技術染色技術協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)との共同で英国染料染色学会(Society of Dyers and Colourists)によって公開されている、Colour Index International、第4版オンラインから引用している。
【0042】
【表1】

【0043】
前記材料のいずれかの混合物もまた用いられ得る。
【0044】
修飾された界面の生成
本発明による修飾された界面を生成するための好ましい方法では、バイオポリマーの溶液を高剪断条件下で沈殿する沈殿プロセスによって、バイオポリマー微粒子を調製する。粘性のない水性組成物に対する、このような高剪断条件は、7000から20000rpmの間の範囲の回転速度で運転される高剪断の機械的混合装置、例えばローター-ステーター型の装置を用いて、適切に生み出すことができる。超音波分散機、ホモジナイザーおよび他の強力剪断装置もまた、バイオポリマー微粒子を調製するために用いることができると思われる。
【0045】
一旦、バイオポリマー微粒子が生成されると、それらは、リガンドと会合するように用いることができる(例えば、腸溶性ポリマーおよび特定の酸性染料について上で記載されたpH依存性アフィニティ機構を介して)。そのようにして生成される、会合したポリマー-リガンド複合体は、次いで、本発明による修飾された流体-流体界面を生じるように、低剪断装置または泡立て装置に結び付けて使用され得る。
【0046】
本発明による修飾された界面を生成するための特に好ましいプロセスでは、5.0を超えるpHの腸溶性ポリマー溶液が、腸溶性ポリマーに対するpH依存性アフィニティを有し、またpH 5.0以下でプロトンを得る酸性染料(例えば、前記の酸性キサンテン染料)の存在下で、高剪断条件の下での溶液の酸性化によって沈殿させられる。次いで、得られる混合物は、安定化するように放置されて、着色フォームが得られ、そのフォームでは、空気-液体界面が、酸性染料と会合した腸溶性ポリマー微粒子によって安定化されている。
【0047】
代わりに、あるいは追加として、腸溶性ポリマーの粒子は、分散した香料の存在下で、沈殿させられてもよく、同じ様に、このような香料リガンドに結合できる。
【0048】
当業者は、任意の適切なリガンドが、特に高剪断条件下で、その近傍で沈殿させられ得る任意のバイオポリマーと会合した状態になり得ること、および、このような系が、流体-流体界面に優先的に位置する状態になる、会合したバイオポリマーおよびリガンドを生成できることを、直ちに理解するであろう。こうして、染料がリガンドとして用いられる際、それらは、フォームの下の液体中に染料を全く残さないで、強く着色した安定なフォームを作ることができる。溶液から安定化されたフォームもしくはエマルジョンへのリガンドのこの移動は、広範な組成物および製品に、明らかに役立てることができる、特に関心を引く効果である。
【0049】
製品形態
本発明による修飾された界面(例えば、着色フォーム)は、界面活性剤の存在下で、安定である。したがって、本発明による組成物は、1種または複数の界面活性剤を含む家庭用もしくは個人用ケア組成物として、有利に配合され得る。
【0050】
適切な製品形態の例は、毛髪および/または身体の洗浄剤のような個人用洗浄組成物である。このような個人用洗浄組成物は、化粧品に許容され、皮膚および/または毛髪への局所適用に適する1種または複数の洗浄用界面活性剤を含むことになる。
【0051】
適切な洗浄用界面活性剤(これらは、単独でまたは組み合わせて使用され得る)は、陰イオン性、両性および双性界面活性剤、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0052】
陰イオン界面活性剤の例は、アルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルカリールスルホナート、アルカノイルイセチオナート、アルキルスクシナート、アルキルスルホスクシナート、N-アルキルサルコシナート、アルキルホスファート、アルキルエーテルホスファート、アルキルエーテルカルボキシラート、およびα-オレフィンスルホナート、特に、これらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩である。アルキルおよびアシル基は、通常、8から18個の炭素原子を含み、不飽和であり得る。アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルホスファートおよびアルキルエーテルカルボキシラートは、1分子当たり1から10個のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド単位を含み得る。
【0053】
本発明の個人用洗浄組成物に使用される典型的な陰イオン界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウムおよびN-ラウリルサルコシンナトリウムが含まれる。最も好ましい陰イオン界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、1EO、2EOおよび3EOラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ならびに1EO、2EOおよび3EOラウリルエーテル硫酸アンモニウムである。
【0054】
両性および双性界面活性剤の例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン(sultaine))、アルキルグリシナート、アルキルカルボキシグリシナート、アルキルアンホプロピオナート、アルキルアンホグリシナート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウラートおよびアシルグルタマートが含まれ、ここで、アルキルおよびアシル基は8から19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプーに用いられる典型的な両性および双性界面活性剤には、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、好ましくは、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、およびココアンホプロピオン酸ナトリウムが含まれる。
【0055】
組成物は、また、美的、物理的もしくは洗浄特性を組成物に付与するのを助けるために、補助界面活性剤(co-surfactant)を含み得る。このような補助界面活性剤の好ましい例は、非イオン界面活性剤であり、これは、全組成物の0%から約5重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0056】
例えば、本発明の個人用洗浄組成物に含められ得る代表的な非イオン界面活性剤には、線状もしくは分岐状鎖の脂肪族(C8〜C18)第1級もしくは第2級アルコールまたはフェノールと、アルキレンオキシド(通常はエチレンオキシドで、通常6から30個のエチレンオキシド基を有する)との縮合生成物が含まれる。
【0057】
他の代表的な非イオン剤には、モノ-もしくはジ-アルキルアルカノールアミドが含まれる。例には、ココモノ-もしくはジエタノールアミドおよびココモノ-イソプロパノールアミドが含まれる。
【0058】
本発明の個人用洗浄組成物に含まれ得るさらなる非イオン界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。通常、APGは、1つまたは複数のグリコシル基のブロックに結合した(任意選択で、橋かけ基を介して)アルキル基を含むものである。好ましいAPGは、次の式によって定義される。
RO-(G)n
式中、Rは分岐鎖もしくは直鎖アルキル基であり、これは、飽和であっても不飽和であってもよく、Gは、サッカリド基である。Rは、約C5から約C20までの平均アルキル鎖長を表し得る。好ましくは、Rは、約C8から約C12の平均アルキル鎖長を表す。最も好ましくは、Rの値は、約9.5から約10.5の間にある。Gは、C5もしくはC6のモノサッカリド残基から選択でき、好ましくは、グルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびこれらの誘導体を含む群から選択され得る。好ましくは、Gはグルコースである。重合度(n)は、約1から約10まで、またはこれを超える値を有し得る。好ましくは、nの値は、約1.1から約2の範囲にある。最も好ましくは、nの値は、約1.3から約1.5の範囲にある。
【0059】
前記材料のいずれかの混合物もまた用いることができる。
【0060】
本発明の個人用洗浄組成物における界面活性剤の全量は、組成物の全重量に対する界面活性剤の全重量として、通常、0.1から50%、好ましくは5から30%、より好ましくは10%から25%である。
【0061】
本発明による修飾された界面(例えば、着色フォーム)は、また、外部流体相(例えば、周囲の流体相)の存在の下でも安定である。
【0062】
したがって、有利には、本発明の組成物は、懸濁基剤(suspending base)に分散して、懸濁基剤内の着色した明瞭なエアーポケットまたは包含体を形成する着色フォームとして配合され得る。
【0063】
通常、懸濁基剤は、懸濁基剤に分散した状態で着色フォームを懸濁させるために、または懸濁基剤の粘度を調整するために、1種または複数の懸濁剤を含むことになる。
【0064】
適切な懸濁剤には、有機ポリマー材料が含まれ、これらは、合成または天然由来であり得る。このような材料の具体例には、ビニルポリマー(例えば、架橋したアクリル酸および架橋した無水マレイン酸-メチルビニルエーテルコポリマー)、CarbomerのCTFA名を有するポリマー、セルロース誘導体および変性セルロースポリマー(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロースおよびセルロース粉末)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、イナゴマメ(carob)ガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、マルメロ(quince)種子(Cydonia oblonga Mill.)、デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦)、藻類コロイド(藻類エキス)、微生物ポリマー(例えば、デキストラン、スクシノグルカンおよびプルラン)、デンプン系ポリマー(例えば、カルボキシメチルデンプンおよびメチルヒドロキシプロピルデンプン)、アルギン酸系ポリマー(例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸)、プロピレングリコールエステル、アクリラートポリマー(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリラート、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミン)が含まれる。
【0065】
他の適切な懸濁剤には、水溶性無機材料が含まれる。このような材料の具体例には、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト、および無水ケイ酸が含まれる。
【0066】
他の適切な懸濁剤には、結晶性脂肪材料が含まれる。このような材料の具体例には、約16から約22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステル(例えば、エチレングリコールステアラート、モノおよびジステアラートの両方)、約16から約22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド(例えば、ステアリック(stearic)モノエタノールアミド、ステアリックジエタノールアミド、ステアリックモノイソプロパノールアミドおよびステアリックモノエタノールアミドステアラート)、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリルステアラートおよびセチルパルミタート)、長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアルアミドジエタノールアミドジステアラートおよびステアルアミドモノエタノールアミドステアラート)、グルセリルエステル(例えば、グリセリルジステアラート、トリヒドロキシステアリンおよびトリベヘニン)、N,N-ジヒドロカルビル(dihydrocarbyl)アミド安息香酸およびこの可溶性の塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルキルジメチルアミンオキシド(例えば、ステアリルジメチルアミンオキシド)、少なくとも約16個の炭素原子を有する脂肪アルキル部分を有する第1級アミン(例えば、パルミタミンおよびステアラミン)、各々が少なくとも約12個の炭素原子を有する2つの脂肪アルキル部分を有する第2級アミン(例えば、ジパルミトイルアミンおよびジ(水添タロー)アミン)ならびにジ(水添タロー)フタル酸アミドが含まれる。
【0067】
前記材料のいずれかの混合物もまた用いることができる。
【0068】
効果のある濃度での懸濁基剤における懸濁剤の全量として、このような濃度は、組成物の全重量に対する懸濁剤の全重量として、一般的に、約0.1%から約10%、好ましくは約0.3%から約5.0%の範囲にある。
【0069】
好ましくは、懸濁基剤は、また、家庭用または個人用ケア組成物に適する他の成分も含むことになる。例えば、懸濁基剤は、また、前記のもののような界面活性剤を、個人用洗浄組成物に関連して上で記載された量で含み得る。
【0070】
任意選択事項
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を向上させるために、下に記載されるさらなる成分を含み得る。
【0071】
例えば、皮膚もしくは毛髪ケア活性剤が、洗浄に加えて、皮膚もしくは毛髪に利点をもたらすために含められ得る。このような利点の例には、水和、栄養補給、ソフトさ、保護および再生が含まれる。
【0072】
皮膚または毛髪の典型的な活性剤の例には、グリセリン、ソルビトール、ビタミン、植物エキス、果実エキス、糖誘導体、αヒドロキシ酸、イソプロピルミリスタート、UVフィルター、脂肪酸とそれらのエステル、シリコーン、アミノ酸、加水分解されたタンパク質、陽イオン界面活性剤、エッセンシャルオイル、植物オイル、ミネラルオイル、ステロール、陽イオンポリマー、剥脱剤(exfoliating agent)および殺菌剤が含まれる。
【0073】
他の任意選択の成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調節剤、真珠光沢剤(pearlescer)もしくは不透明化剤、粘度調節剤および保存剤が含まれる。
【0074】
上の任意選択の成分は、通常、個々に、組成物の全重量に対する個々の成分の重量として、0から5%の範囲の量で存在することになる。
【0075】
本発明を、以下の非限定的実施例を参照して、さらに例示する。
【0076】
(実施例)
(実施例1)
着色フォームの生成
腸溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(Shin Etsu Chemical Co.、HP 55グレード)の溶液を、10gのこの材料を70mlの脱イオン水に混合し、その後、21mlの水酸化ナトリウム溶液(1N)を加えることによって調製した。この溶液を、12時間、ゆっくりと撹拌して、均質な透明溶液を得た。この後、脱イオン水を加えることによって、全体の体積を100mlに調節した。
【0077】
次いで、10mlの上の溶液を、0.1mlの染料溶液(1% w/v、エリスロシンB、C.I. 45430)と混合し、140mlの塩酸溶液(1N)を入れた、回転しているフードブレンダー(food blender)に、ゆっくりした速度で注いだ。
【0078】
腸溶性ポリマーが酸の溶液に行き当たると、ポリマー分子は溶解性を失い、懸濁粒子を生成するように相互作用し始める。連続剪断(約15000rpm)の下で、粒子はかなり小さくなり、終には、それらはミクロンサイズの領域に達する。同時に、染料はプロトンを得て、腸溶性ポリマーと相互作用する。
【0079】
60秒のブレンド工程後に、全内容物を、250mlのメスシリンダーに移した。数分後に、2つの別個の相:下側の透明な液体の相;および、上側のピンクに着色したフォームの相を認めることができた。透明な液相の最終pHはほぼ3.4であった。
【0080】
前記結果は、着色がフォームに限定されているので、フォームの空気-液体界面が、染料と会合した腸溶性ポリマーの微粒子によって安定化されることを示す。
(実施例2)
pHの関数としての着色フォームの性質
【0081】
様々な4種の着色フォーム(試料AからD)を、実施例1に記載の方法を用い、同じ量および濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートおよびエリスロシンB染料を用いるが、液体環境における様々な最終pH条件を生じるように、塩酸溶液の濃度を僅かに変えて、調製した。最終の液体のpH範囲は3.3から4.6であった。
【0082】
全ての場合において、着色フォーム相が、液相と平衡して生成した。フォームの色は、全ての実験で似ていた(薄いピンク)が、フォームの下の液相は、低いpH値での完全に透明な状態から、より高いpHでの濁っていて僅かに赤い状態まで変化した。下のTable 1(表2)は、観察された挙動を要約する。
【0083】
【表2】

【0084】
これは、比較的高いpH値(試料AおよびB)で、着色フォームは認められるが、染料はフォームだけに専ら限定されないという理由で、腸溶性ポリマーに対する染料のアフィニティが、pHに依存することを示す。
【0085】
(実施例3)
染料濃度の関数としての着色フォームの性質
様々な4種の着色フォームを、実施例1に記載の方法を用い、同じpH条件ならびに同じ量および濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートを用いるが、異なる着色強度を有する様々なフォームを生じるように、染料濃度を僅かに変えて、調製した(エリスロシンB(0.1% w/v):0.3ml;0.6ml;2.0ml;および4.0ml)。
【0086】
4種の全ての場合において、透明な液相と平衡状態にある着色フォームが認められた。添加される染料の量が増加するにつれて、フォームの着色強度もまた増加した:薄いピンクから、濃い明るい赤へと変化。
【0087】
積分球付属品を付けたUV-可視分光計(Jasco、ISV型)を用い、光学的に修飾された界面の着色強度を測定するための方法を開発した。吸収測定範囲は400と700nmの間に設定し、染料の吸収域(450〜580nm)を、染料の量による吸収強度を追跡するために用いた。吸収ピークの強度は、染料の量が増すにつれて増加し、用いた染料溶液の量が1mlに近づいた際に、一定になった。
【0088】
このデータから、この系には飽和値があり、その値を超えると、界面の光学的性質はそれ以上変化しないと結論することができる。
【0089】
比較的高濃度の染料でさえ、フォームと液体との間の染料の分布に変化はないことが認められた。染料の量が、界面を着色するために必要とされる最大レベルの4倍(すなわち、4ml)であった時でさえ、染料は液相に移動しなかった。これは、用いたpH条件での、腸溶性ポリマーに対する染料のアフィニティの強さを示す。
【0090】
(実施例4)
界面活性剤の存在下における着色フォームの性質
様々な4種の着色フォームを、実施例1に記載の方法を用いて調製した。3種のフォームでは、界面活性剤の存在の影響を調べるために、一定量の界面活性剤(0.05% w/v)を、フォームの調製の前に、酸性水性相に添加した。3種の異なる界面活性剤:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB);および、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート(Tween 20)を試験した。下のTable 2(表3)は、主な観察結果を要約する。
【0091】
【表3】

【0092】
データは、界面活性剤の存在下で調製された着色フォームについて測定された、初期の規格化フォーム体積は、HPだけを用いて生成したフォームの体積よりかなり大きいことを示す。しかし、時間の経過とともに、フォーム体積は、HPだけで安定化されたフォームの平衡体積値に近い平衡値に近づく。これは、本発明による着色フォームの安定性は、様々な種類の界面活性剤の存在にもかかわらず、それ程影響されないことを示す。
【0093】
(実施例5)
様々な腸溶性ポリマーおよび染料による着色フォームの生成
着色フォームの生成および品質について、様々な腸溶性ポリマーを、様々な染料と共に評価した。
【0094】
着色フォームは、次のように生成させた。2.0gのHCl(1N)を、276.4gの脱イオン水に加えて、約2.3のpHの溶液を得た。別の容器で、1.2gの染料溶液(1% w/v)および20.2gの腸溶性ポリマーの溶液を十分に混合した。10000rpmでのローター-ステーター高剪断ミキサー(Silverson L4RT)を備えるビーカーに、前記水性相を入れた。非常にゆっくりと、染料/腸溶性ポリマーの溶液を水性相に加え、同時に、1.5と4.0mlの間のHCl(1N)を、最終の液体pHを2.8から4.0の範囲にするように加えた。2から5分の撹拌剪断を停止した後、着色フォームが直ちに生成した。結果は、下のTable 4(表4)に示す。
【0095】
【表4】

【0096】
(実施例6)
1種類の染料(エオシンB)で様々な腸溶性ポリマーの安定化特性を調べるために、さらなる試験を実施した。HP-55、HP-55SおよびAS-HFの様々な比率の混合物を調製し、実施例5において上に記載の方法に従って、フォームを生成させた。
【0097】
長時間(24時間)に渡る向上したフォームの安定性が、下のTable 5(表5)に示す混合物で認められた。
【0098】
【表5】

【0099】
(実施例7)
外部流体相の存在下における着色フォームの安定性
実施例1に記載の方法を用いて、着色フォームを調製し、pH 6.0のシャワーゲル懸濁基剤と接触させた。そうして得られた系で、浸透スキャン(penetration scan)実験を実施した。これらは、着色フォームからシャワーゲル懸濁基剤へ染料が移動することなく、系が、数週間完全に安定であることを示した。これは、本発明による着色フォームの安定性が、外部流体相の存在にもかかわらず、それ程影響されないことを示す。
【0100】
しかし、腸溶性ポリマーに対する染料の強い吸着アフィニティは、周囲の媒体のpHが増すにつれて、崩壊し得る。上の系のpHが、pH=6.5を超えて上昇した際、染料は脱着され、拡散移動が起こり始める。
【0101】
(実施例8)
香りのあるフォーム
ヒプロメロースフタラート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、グレードHP-55、Shin Etsu Chemical Co., Ltd.(東京、日本)から入手)を、10gのHP-55を70mLのDI水に混合し、その後、pH 5.6に調節するために1NのNaOH溶液を加えることによって、保存溶液(水中、10 w/v%、pH 5.6)として調製した。この混合物は、12時間撹拌して、均質な透明溶液を得て、次に、DI水を加えることによって最終の全体積を100mLに調節した。
【0102】
LH-22(低置換ヒドロキシプロピルセルロース、Shin Etsu Chemical Co., Ltd.(東京、日本)から入手)を、5gのLH-22粉末を約90mlのNaOH溶液(10 w/v %溶液)に混合することによって、保存溶液(5 w/v%、pH>12)として調製した。この溶液は、磁気撹拌子を用いて撹拌して(1〜2日間)、均質な透明溶液を得た。透明な溶液が得られた際、NaOHの10%溶液を加えることによって、最終の全体積を100mLに調節した。
【0103】
セルロース粒子で安定化されたフォームを、高速ブレンダー(Oster Model 4242、Sunbeam Products, Inc.、Boca Raton、フロリダ州)を用いて、in situに調製した。様々な量のHP-55もしくはLH-22保存溶液およびベンジルアセタート(香料)を予め混合した溶液を、DI水が入った15,000rpmで運転されるブレンダーに、ゆっくりと注入し、最終のフォーム懸濁液のpHを調節するために塩酸を添加した。60秒間のブレンド工程の間に直ちにフォームが生成し、次いで、250mLのメスシリンダーに移した。
【0104】
フォーム試料からの香料化合物の揮発性を定量的に評価するために、ガスクロマトグラフ分析を実施した。フォーム試料(10mL)が生成したらすぐに、それらを、シリコーンセプタムによりシールされる空気を漏らさないバイアル(20ml)に入れ、室温で少なくとも2日間、経過させた。温度の調査では、ガスクロマトグラフに注入する前に、試料バイアルを、30分間、水浴中で平衡状態に置いた。フォーム試料の上の約200μLの蒸気を、バイアルから、ガスを漏らさない注射器で抜き取った。次いで、それを、DB5カラムを装備したガスクロマトグラフ装置(Agilent Technologies 6890N Network GC装置)に注入した(温度プロフィール:100℃から235℃、昇温速度20℃/分)。
【0105】
BA(ベンジルアセタート)の放出へのHP-55の量の影響を、Table 6(表6)に示す。ガスクロマトグラフにおけるBAピークの強度は、HP-55の量が増すにつれて徐々に減少する。これらの結果は、HP-55粒子が、香料(すなわち、BA)の持続放出にとって非常に有効であることを示す。LH-22粒子の効果は、BAの放出を抑制することにおいて、HP-55によるより一層顕著である。
【0106】
【表6】

【0107】
BA香料の放出量を、様々な温度で分析した(Table 7(表7))。一般に、BAの放出は、どの配合であっても、温度が上昇するにつれて、BAの蒸気圧が増加するために、増加する。Table 7(表7)は、HP-55粒子の添加が、HP-55のない配合に比べて、所定の温度条件(25〜75℃)でのBAの放出を効果的に抑制することを示す。たった2%のHP-55を配合に添加することによって、所定の温度条件でのBAの放出を50〜70%抑制できる。
【0108】
【表7】

【0109】
(実施例9)
水/オイルの界面での香料の蓄積
BAの存在を検出するために、染料で染色されたBAを含むHP-55により安定化されたエマルジョンを調製した。用いた染料は、Aldrichのナイルレッド(親油性蛍光)染料であった。蛍光画像は、ほとんどのBAが、液滴/周辺媒体の界面に位置していたことを示した。粒子の生成の間に、BAは、HP-55粒子内に組み入れられるようであり、次には、これらの粒子が、液滴/媒体の界面に配置される。
【0110】
(実施例10)
注入される着色し香りのあるフォームにより製造される組成物
前記方法に従って調製される、着色し香りのあるフォームは、良好な機械的性質を示し、それら自体で(すなわち、下にある液相から分離されて)変わらないままであることができる。フォームを、注射器、または他の容積形(positive displacement)デバイスに取り込み、次いで、フォームを、降伏応力を示す別の構造化液相に注入することが可能である。この注入は、自然に広く見出されるフラクタルパターン(fractal pattern)を思い出させる、視覚に訴えるモチーフを生じる。これらのパターンは、着色したもしくは香りのあるフォーム;様々な大きさの自由で透明な空気のバブル;さらには、ウェットなフォームによる液体からなると考えられる。理論に拘束されることなく、このようなフラクタルモチーフ(motive)の生成は、注入されたフォームと構造化液体媒体との間の、流動レオロジーにおけるミスマッチによって生み出されると考えられる。このような視覚を引き付けるモチーフは、家庭用および個人用ケア製品、食品などに組み入れられた際に、興味を引くと思われる。
【0111】
一例として、2種の着色フォームを、前記の標準的手順に従って調製した。それぞれの着色フォームを、5mlのプラスチック製注射器に取り込み、次いで、ゲル組成物内に、逐次、注入した。用いた透明なゲル材料は、ポリアクリル系Aqua CC Carbopolゲル(Sasol advanced materials)であり、これは、製造業者によれば、約90Paで降伏応力に達し、pH 3.5で最大の透明度に達する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子によって修飾された流体-流体界面によって分離された少なくとも2種の非混和性流体相を含み、該界面が、界面に吸着されたバイオポリマー微粒子によって安定化されている組成物であって、界面の性質が、バイオポリマーの少なくとも1種の官能基と少なくとも1種のリガンドとの会合を介してさらに修飾されていることを特徴とする組成物。
【請求項2】
バイオポリマー微粒子が異方性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
微粒子を生成するために用いられるバイオポリマーが、溶解性がpHおよび/または温度の関数であり、溶液から沈殿させられる際に微粒子を生成する、疎水性置換された多糖である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
バイオポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、セルロースアセタートトリメリタート(CAT)、およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ならびにこれらの混合物から選択される腸溶性ポリマーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
リガンドが、pH 5.0以下でプロトン化することになる酸性染料である、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
酸性染料が、染料構造中にヒドロキシルおよび/またはカルボキシル置換基を含む酸性キサンテン染料である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
酸性キサンテン染料が、ハロゲンにより様々な位置でさらに置換されているフルオロン核を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
リガンドが香料である、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
1種または複数の界面活性剤を含む家庭用または個人用ケア組成物として配合される、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
1種または複数の懸濁剤を含む懸濁基剤に分散している、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ゲル中に分散した着色フォームを含む、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
溶液を7000rpmを超えて撹拌する高剪断条件下で、バイオポリマーの溶液を沈殿させられる沈殿プロセスによって、バイオポリマー微粒子を調製する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2011−516414(P2011−516414A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550128(P2010−550128)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052293
【国際公開番号】WO2009/112375
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】