説明

微粒子を含む組成物を処理する方法

微粒子を処理する方法であって、該方法は、複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程、非溶媒を用意する工程、および該組成物を該非溶媒に曝露して、少なくとも該微粒子を保持しながら、該組成物から該不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程を含む、方法。ここで、該不揮発性物質は、該微粒子より該非溶媒に可溶性であり、該非溶媒は、第一級直鎖アルコールおよびハロゲン化溶媒を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微粒子を含む組成物および製剤、ならびにこのような組成物および製剤を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で「微粒子」と総称して言及される微粒子、ミクロスフェア、およびマイクロカプセルは、1ミリメートル未満、より好ましくは100ミクロン未満の直径を有する固体または半固体であり、種々のポリマーおよびタンパク質(これらに限定されない)を含む種々の物質から形成することができる。微粒子は、様々な用途、主に分離、診断、および薬物送達において用いられてきた。
【0003】
分離技術で用いられる微粒子の最も周知な例は、ポリアクリルアミド、ヒドロキシアパタイト、またはアガロースなどの合成またはタンパク質起源のポリマーから形成されるものである。これらのポリマー微粒子は一般に、分子量および/またはイオン電荷に基づいて、あるいは微粒子に化学的に結合させた分子との相互作用によってタンパク質などの分子を分離するために用いられている。
【0004】
診断分野において、球形ビーズまたは粒子は、多年にわたって生化学者のための手段として市販されてきた。例えば、微粒子は、酵素、酵素に対する基質、または標識抗体で誘導体化され、次いで、分子と相互作用して、直接または間接に検出される。いくつかの誘導体化ビーズが市販されており、すべて様々な構成要素および大きさを有する。
【0005】
制御された薬物送達分野では、分子は、微粒子内に被包され、またはマトリックス中に取り込まれて、その分子の制御された放出を提供してきた。相分離、溶媒蒸発、乳化、およびスプレー乾燥を含めて、多くの種々の技術が、様々なポリマーからこのような微粒子を作製するために用いられてきた。一般に、ポリマーはミクロスフェアの支持構造を形成し、問題の薬物または分子は、その支持構造に取り込まれる。ミクロスフェアを形成するために用いられる例示的なポリマーには、乳酸およびグリコール酸のホモポリマーおよびコポリマー(PLGA)、ブロックコポリマー、ならびにポリホスファゼンが含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、微粒子を処理する方法は、複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程、少なくとも1種の非水性液体および少なくとも1種の水性液体を含む非溶媒を用意する工程、該組成物を該非溶媒に曝露し、1種または複数の液相および該固体微粒子を含む混合物を形成させる工程、ならびに少なくとも該微粒子を保持しながら、該得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、該組成物から該不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程を含み、ここで、該不揮発性物質は、該微粒子より非溶媒に可溶性であり、該非溶媒は第一級直鎖アルコール、およびハロゲン化溶媒を含まない。
【0007】
別の実施形態において、微粒子を処理する方法は、複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程、2−メチル−2−プロパノールを含む非溶媒を用意する工程、該組成物を該非溶媒に曝露し、1種または複数の液相および該固体微粒子を含む混合物を形成させる工程、ならびに少なくとも該微粒子を保持しながら、該得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、該組成物から該不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程を含み、ここで、該不揮発性物質は、該微粒子より該非溶媒に可溶性である。
【0008】
さらなる実施形態において、微粒子を処理する方法は、複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程、2−メチル−2−プロパノールを含む非溶媒を用意する工程、該組成物を該非溶媒に曝露し、1種または複数の液相および該固体微粒子を含む混合物を形成させる工程、ならびに少なくとも該微粒子を保持しながら、該得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、該組成物から該不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程を含み、ここで、該不揮発性物質は、該微粒子より該非溶媒に可溶性である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、微粒子を含む組成物および製剤、ならびにこのような組成物および製剤を処理する方法に関する。該方法によれば、微粒子は、反応/インキュベーション媒体から分離され、その結果、該微粒子は、収集され、ならびに/または薬物送達、診断、分離、および他の用途に適切な組成物および製剤中に取り込ませることができる。
【0010】
開示される方法は、得られた微粒子が、微粒子形成の間に添加される残留ポリマー(複数可)、溶媒(複数可)、および/または賦形剤(複数可)を実質的に含まないことができること(これに限定されない)を含むいくつかの理由のために有利である。したがって、開示される方法は、残留ポリマー(複数可)、溶媒(複数可)、および/または賦形剤(複数可)を実質的に含まない、実質的に100重量%の活性剤(複数可)および/または巨大分子担体(複数可)を含む微粒子の製造を容易にする。さらに、多相分散系の形態の組成物は、処理することができ;微粒子が分散系で形成され得るので、開示される方法は、製造効率向上を容易にすることができる。
【0011】
本明細書で別に規定されない限り、本開示で用いられる科学および技術用語は、当業者によって一般に理解され、および用いられている意味を有するものとする。文脈により別に必要とされない限り、単数形の用語はその同一物の複数形を含むものとし、複数形の用語は、その単数形を含むものとする。具体的には、本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つ(a)」および「1つ(an)」は、文脈が明確に別に示さない限り、複数形の言及を含む。したがって、例えば、微粒子への言及は、当業者に公知のそれらの均等物も含めて、1個のこのような微粒子または複数のこのような微粒子への言及である。また、本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語は、同じ意味を有し、1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含む。別に示されない限り、以下の用語は、本開示の文脈で用いられる場合、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0012】
「分散系」は、固体または非固体連続相(例えば、流体、液体、水、有機、気体の)中に存在する少なくとも1つの分散相または不連続相(場合によって、例えば、固体微粒子の形態におけるように、細かく分けられている)を有する物質の混合物を指す。本開示による分散系の代表的な例には、固体中固体、液体中固体、気体中固体などが含まれる。分散系は、実質的に均一または非均一であり得る。懸濁液は、不連続の固相(微粒子など)が、長期間(例えば、少なくとも5秒間、10秒間または30秒間、例えば、数分間、数時間、数日間、数週間、数カ月間、もしくはさらに1年間またはそれ以上)連続相中に安定的に懸濁したままで(実質的に沈殿なしに)あり得る特定の分散系である。この分散系は通常、水不混和性の液体を含まないが、多相分散系も可能である。「多相分散系」は、少なくとも2相、例えば、3相またはそれ以上の相を有する分散系である。一例では、このような分散系は、1つの分散相に加えて、2種の不混和性溶媒または溶媒系を含み得る。
【0013】
「微粒子」は、約1mm未満、例えば、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約10ミクロン未満、約1ミクロン未満、約100nm未満、約10nm未満、約0.1nm超、約1nm超、およびこれらの値の間の範囲の平均幾何粒径(直径と称されることもある)を有する固体微粒子(実質的に固体または半固体を含むが、ゲル、液体および気体は除く)を指す。したがって、平均幾何粒径の適切は範囲には、約0.1nmから約1mm、約1nmから約1mm、約10nmから約1mm、約100nmから約1mm、約1ミクロンから約1mm、約10ミクロンから約1mm、約100ミクロンから約1mm、約200ミクロンから約1mm、約0.1nmから約200ミクロン、約1nmから約200ミクロン、約10nmから約200ミクロン、約100nmから約200ミクロン、約1ミクロンから約200ミクロン、約10ミクロンから約200ミクロン、約100ミクロンから約200ミクロン、約0.1nmから約100ミクロン、約1nmから約100ミクロン、約10nmから約100ミクロン、約100nmから約100ミクロン、約1ミクロンから約100ミクロン、約10ミクロンから約100ミクロン、約0.1nmから約10ミクロン、約1nmから約10ミクロン、約10nmから約10ミクロン、約100nmから約10ミクロン、約1ミクロンから約10ミクロン、約0.1nmから約1ミクロン、約1nmから約1ミクロン、約10nmから約1ミクロン、約100nmから約1ミクロン、約0.1nmから約100nm、約1nmから約100nm、約10nmから約100nm、約0.1nmから約10nm、約1nmから約10nm、および/または約0.1nmから約1nmが含まれる。平均幾何粒径は、動的光散乱法(例えば、光相関分光法、レーザ回折法、低角レーザ光散乱法(LALLS)、中角レーザ光散乱法(MALLS)、光遮蔽法(コールター分析法など)、または他の方法(レオロジー、光または電子顕微鏡など))によって測定され得る。肺送達のための微粒子は、飛行時間測定値またはアンダーセンカスケードインパクタ測定値によって決定した空気力学的粒径を有する。球形を有する微粒子は、ときに、ミクロスフェアおよびナノスフェアと称される。カプセル化構造を有する微粒子は、マイクロカプセルおよびナノカプセルと称されることもある。微粒子は、多孔性であり得、例えば、1つまたは複数の内部空隙および/または空洞を有する。他の微粒子は、非多孔性であり、および/またはこのような空隙または空洞を含まない。微粒子は、限定されないが、活性剤、担体、ポリマー、錯化剤、安定剤、賦形剤、イオン、水分、残留溶媒、不純物、副生成物、および/または製造関連化合物を含む1種または複数の物質から、部分的または全体的に形成される。微粒子は、結晶性、非晶性、微結晶性、ナノ結晶性、またはそれらの組合せであり得る。
【0014】
「活性剤」は、インビトロおよび/またはインビボで1つまたは複数の物理的、化学的、および/または生物学的作用を直接または間接に引き出すことができる天然に存在する物質、組換え物質、合成物質、または半合成物質(例えば、化合物、発酵物、抽出物、細胞構造物)を指す。活性剤は、例えば、寄生生物を破壊する、または宿主もしくは寄生生物の生理機能を実質的に変えることにより疾患もしくは異常の作用を制限するなどによって生体の異常および/または病的状態を予防し、緩和し、治療し、および/または治癒させることができる。活性剤は、生理学的身体機能を維持し、増大させ、低下させ、制限し、または破壊することができる。活性剤は、インビトロおよび/またはインビボでの試験によって生理学的状況または状態を診断することができる。活性剤は、動物または微生物を誘引し、不能にさせ、阻害し、殺し、変性し、撃退しおよび/または遅延させることによって、環境または生体を制御または保護することができる。活性剤は、身体を別の方法で治療する(脱臭、保護、装飾、手入れするなど)ことができる。その作用および/または用途に依存して、活性剤はさらに、生物活性剤、薬剤(予防薬、治療剤など)、診断薬、栄養剤、および/または化粧剤と称することができ、限定なしに、プロドッグ、アフィニティー分子、合成有機分子、ポリマー、2kDa以下の分子量を有する分子(約1.5kDa未満または約1kDa未満の分子量を有するものなど)、巨大分子(約2kDaより大きい、例えば、約5kDaより大きいまたは約2kDaから約5kDaの分子量を有するものなど)、タンパク質様化合物、ペプチド、ビタミン、ステロイド、ステロイド類似体、脂質、核酸、炭水化物、それらの前駆体、およびそれらの誘導体を含む。活性剤は、イオン性または非イオン性であることができ、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であることができ、単独で用いても、それらの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。活性剤は、水不溶性または水溶性であることができる。活性剤は、7.0以上、または7.0未満の等電点をもつことができる。
【0015】
「タンパク質様化合物」は、タンパク質またはそれに構造的および/もしくは機能的に関連した天然、合成、半合成、もしくは組換え化合物、例えば、ペプチド結合を介して共有結合されたα−アミノ酸を含むまたはそれから本質的になるものなどを指す。非限定的なタンパク質様化合物には、球状タンパク質(例えば、アルブミン、グロブリン、ヒストン)、繊維状タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン)、化合物タンパク質(1つまたは複数の非ペプチド成分を含むもの、例えば、糖タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、金属タンパク質を含む)、治療用タンパク質、融合タンパク質、受容体、抗原(合成または組換え抗原など)、ウイルス表面タンパク質、ホルモンおよびホルモン類似体、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル抗体など)、酵素、Fabフラグメント、環状ペプチド、線状ペプチドなどが含まれる。非限定的な治療用タンパク質には、骨形成タンパク質、薬物耐性タンパク質、トキソイド、エリスロポエチン、血液凝固カスケードのタンパク質(例えば、第VII因子、第VIII因子、第IX因子など)、サブチリシン、オボアルブミン、アルファ−1−アンチトリプシン(AAT)、DNase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、ヒト成長ホルモン(hGH)、エリスロポエチン、インスリン、インスリン様成長因子、インターフェロン、グラチラマー、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、デスモプレシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、ブセレリン、ゴナドレリン、ヒストレリン、ナファレリン、デスロレリン、フェルチレリン、トリプトレリン)、LHRHアンタゴニスト、バソプレシン、シクロスポリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンペプチド、グルコゲン様ペプチド、およびそれらの類似体が含まれる。タンパク質様化合物は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いても、それらの2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0016】
「核酸」は、2つ以上の同じまたは異なるヌクレオチドから少なくとも部分的に形成された天然、合成、半合成、または組換え化合物を指し、単鎖または二本鎖であり得る。核酸の非限定的な例には、オリゴヌクレオチド(20以下の塩基対を有するもの、例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンスなど)、アプタマー、ポリヌクレオチド(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、DNA(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、RNA(例えば、センス、アンチセンス、またはミスセンス)、siRNA、ヌクレオチド酸構築物、それらの単鎖または二本鎖セグメント、ならびにそれらの前駆体および誘導体(例えば、糖化、過剰糖化、PEG化、FITC標識された、ヌクレオシド、それらの塩)が含まれる。核酸は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いても、それらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
「巨大分子」は、三次元(例えば、三次および/または四次の)構造を与えることができる物質を指し、担体および本開示のある種の活性剤を含む。巨大分子は通常、2kDa以上、例えば、約5kD超または2kDと5kDの間の分子量を有する。微粒子を形成するために用いられる非限定的な巨大分子には、とりわけ、ポリマー、コポリマー、タンパク質(例えば、酵素、組換えタンパク質、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、タンパク質様化合物)、ペプチド、脂質、炭水化物(例えば、単糖、二糖、多糖)、核酸、ベクター(例えば、ウイルス、ウイルス粒子)、ならびにそれらの複合体および結合体(例えば、2つの巨大分子間(例えば、炭水化物−タンパク質複合体もしくは結合体)の、または活性剤と巨大分子(例えば、ハプテン−タンパク質複合体もしくは結合体)との間の共有結合および/または非共有結合)が含まれる。巨大分子は、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であってもよく、単独で用いてもそれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
「担体」は、ミクロスフェアに三次元構造(三次および/または四次構造を含む)を与える主な機能を有する化合物(通常巨大分子)を指す。担体は、上に記載されたとおりの微粒子を形成する際に活性剤と会合していなくても、または会合していてもよい(その結合体または複合体など)。担体はさらに、例えば、活性剤である、微粒子からのその活性剤の放出プロファイルを変更する、そして/または微粒子に1つもしくは複数の特定の性質を付与する(正味の表面電荷に少なくとも部分的に寄与するなど)などの他の機能を与え得る。一例では、担体は、1,500ダルトン以上の分子量を有するタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン)である。
【0019】
「ポリマー」または「ポリマーの」は、少なくとも1つの主鎖、分岐、または環状構造中に2つ以上の繰返しモノマー単位を有する天然、組換え、合成または半合成分子を指す。ポリマーには広く、二量体、三量体、四量体、オリゴマー、高分子量ポリマー、付加体、ホモポリマー、ランダムコポリマー、擬コポリマー、統計コポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、二元重合体、三元重合体、四元重合体、コポリマーの他の形態、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物が含まれる。一態様において、ポリマーおよびポリマーのという用語は、10以上の繰返しモノマー単位を有する分子を指す。ポリマーは、線状、分岐、ブロック、グラフト、単分散、多分散、規則性、不規則性、タクチック、イソタクチック、シンジオタクチック、立体規則性、アタクチック、立体障害、単鎖、二本鎖、星形、櫛形、樹状、および/またはイオノマーであることができ、イオン性または非イオン性であることができ、中性、正に帯電、負に帯電、または双性であることができ、単独で用いてもそれらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
「球状の」は、少なくとも「実質的に球状」である幾何学的形状を指す。「実質的に球状の」は、幾何中心を通る任意の断面上の最長長さ(すなわち、外周上の2点間の1つで、その形状の幾何中心を通る)対最短長さの比が、約1.5未満、例えば、約1.33未満、または約1.25未満であることを意味する。したがって、球状は、対称線を必要としない。さらに、微粒子は、表面組織性(微粒子の全体の大きさと比較した場合、一定の割合で小さい連続または不連続の線、島、格子、くぼみ、溝開口、隆起など)を有することができ、なお球状と考えることができる。微粒子が球状である場合、微粒子間の表面接触は最小化され、したがって、微粒子の望ましくない集塊は通常最小化される。相対的に、非球状結晶または薄片である微粒子は通常、相対的に大きな平面におけるイオン性および/または非イオン性相互作用を介して観測可能な集塊を示す。
【0021】
「固体」は、少なくとも実質的な固体および/または半固体を含むが、液体および気体を除く状態を指す。
【0022】
「周囲温度」は、室温付近の、通常約20℃から約40℃、例えば、約20℃から約25℃の範囲の温度を指す。
【0023】
「から形成される(formed from)」および「から形成される(formed of)」は、オープンランゲージを意味する。したがって、列挙された成分のリストから形成される(formed from;formed of)組成物は、少なくともこれらの列挙された成分を含む組成物であり、該組成物の配合の間におよび/または最終の得られた生成物において他の列挙されていない成分をさらに含むことができることが意図される。
【0024】
別に明示的に断らない限り、物質の量、時間、温度、反応条件、量の比、分子量の値(数平均分子量Mか重量平均分子量Mにかかわらず)および本明細書で開示されるその他のものについてなどの数値範囲、量、値およびパーセンテージのすべては、「約」が本明細書における前記範囲、量、値、およびパーセンテージと組み合わせて明示的に用いられないとしても、「約」という用語によってすべての場合に修飾されていると理解されるべきである。したがって、特に断らない限り、本開示および添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、変わり得る近似値である。最低限でも、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字に照らして、および通常の四捨五入の技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0025】
本開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、そのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差のために、任意の数値は本質的にいくらか不確かである。さらに、様々な範囲の数値範囲が本明細書で示される場合、列挙された値を含むこれらの値の任意の組合せは、本開示の教示に従って用いることができることが企図される。
【0026】
「例えば、〜など(such as)」および「例えば(e.g.)」に続くものを含めて、本明細書で与えられる例は、本開示およびその実施形態の様々な態様および特徴の単に説明的なものと考えられ、したがって、言及される用語または語句のいずれの範囲も変更するものではない。当業者に公知のおよび/または入手できるそれらのいずれの適当な均等、変更、および修正(物質(material)、物質(substance)、構築物、組成物、製剤、手段、方法、条件などを含む)も本明細書で開示されるものの代わりに、またはそれと組み合わせて使用または実施することができ、本開示の範囲内であると考えられる。その全体で本開示を通して、「例」、「例(複数)」、「例えば、〜など」、「例えば」、およびそれらの同様のものに続く、本明細書で開示される1つ、2つ、またはそれ以上の特徴および態様のいずれもおよびすべては、明示的または暗示的に、当業者によって理解されて適切な場合はいつでもどこでも、それらの2つ、3つ、またはそれ以上の任意の組合せ(それらの均等、変更、および修正を含む)で実施され得る。したがって、本明細書で開示される具体的な詳細は、限定的ではなく、単に特許請求の範囲に対する根拠として、および当業者によって理解されるような実質的に任意の適当な仕方で本開示の態様および特徴を様々に用いるために当業者に教示するための典型的な根拠として解釈されるべきである。
【0027】
微粒子
非限定的な微粒子、微粒子を作製するための物質および方法、微粒子を含む組成物および製剤、ならびにこのような微粒子、組成物、および製剤の有用性は、それらの開示がそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,525,519号、同第5,554,730号、同第5,578,709号、同第5,599,719号、同第5.981,719号、同第6,090,925号、同第6,268,053号、および同第6,458,387号、米国特許出願公開第20030059474号、同第20030064033号、同第20040043077号、同第20050048127号、同第20050142201号、同第20050142205号、同第20050142206号、同第20050147687号、同第20050170005号、同第20050233945号、同第20060018971号、同第20060024240号、同第20060024379号、同第20060260777号、同第20070092452号、同第20070207210号、および同第20070281031号に開示されているものが含まれる。微粒子は、一般に、単分散サイズ分布または多分散サイズ分布などの均一なサイズ分布、および一般に、実質的に球状であるなどの均一な形状を有し得る。成分またはそれらの組合せの選択、種々の成分の濃度、反応温度、反応時間、および/またはpH(反応が水溶液で行われる場合)など(これらに限定されない)の1つまたは複数の可変要素を操作することによって、微粒子の1つまたは複数の特性は作製の間に調整され得る。
【0028】
微粒子は、1種の活性剤または2種以上の活性剤の組合せを急速および/または制御された放出プロファイルで、インビボ、エキソビボ、および/またはインビトロで送達するために適切であり、薬物送達、ワクチン接種、遺伝子治療、および組織病理学的またはインビボでの組織または腫瘍の画像化などの多種多様な治療、製薬、診断、医学、薬剤、化粧、栄養、殺生物、分離、工業、商業、および研究用途に有用である。微粒子は、対象への経口、非経口、粘膜、眼、静脈内、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、皮内、関節内、筋内、肺(経口および鼻孔吸入を含む)、および/または局所投与のために製剤化され得る。静脈内投与には、カテーテル法および血管形成術が含まれる。
【0029】
微粒子は通常、1種または複数の巨大分子を含む。1種または複数の巨大分子(通常、1種もしくは複数の生物活性巨大分子および/または1種もしくは複数の担体巨大分子)は、微粒子の重量および/または体積で少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは98%、および最大100%、または100%未満を含み得るか、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲で存在し得る。微粒子は、別のより大きな巨大分子の一部(例えば、フラグメント、セグメント、サブユニット)であり得ることが当業者に理解される。巨大分子が、例えば、受容体−リガンド相互作用の受容体またはリガンド部分であり得るアフィニティー分子を含むことがさらに理解される。リガンドの非限定的な例には、ウイルス、細菌、多糖、または動物に投与される場合免疫応答を生じる抗原として作用し、抗体の産生を引き起こす毒素が含まれる。
【0030】
ポリマー、錯化剤、安定剤、賦形剤、イオン、水分、残留溶媒、不純物、副生成物(これに限定されない)を含む、上に記載された巨大分子および下に記載される活性剤以外の1種または複数の成分は、微粒子中に微粒子の重量および/または体積で50%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、もしくは2%以下、または0%超の、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲の量で存在し得る。さらに、微粒子の形成の間に反応/インキュベーション媒体中に存在する任意の成分(例えば、不揮発性物質など)は、得られた微粒子から実質的に除去することができ、したがって、この得られた微粒子の中に不存在であり得る。それらの形成(インサイチュであってもそうでなくてもよい)に続いて直ちにまたはその後の段階で、微粒子は、連続固相(例えば、その分散系を含む凍結固体)または非固相(例えば、反応/インキュベーション媒体(微粒子がその中で形成される)などの流動性媒体、または洗浄媒体)中に分散され得る(例えば、コロイドまたは懸濁液として)。
【0031】
微粒子は、連続相と実質的に同じまたは異なる(より大きいまたはより小さいなど)密度を有し得る(同じ温度、例えば、周囲温度で測定して)。微粒子、および連続相の密度は、それぞれの重量を体積で除したものに等しい。微粒子は、0.5g/cm、0.8g/cm、0.95g/cm、1.0g/cm、1.05g/cm、1.1g/cm、1.3g/cm、1.35g/cm、1.5g/cm、および1.9g/cmなどの値未満の、それらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、1.0g/cmと1.5g/cmの間、もしくは1.2g/cmと1.5g/cmの間の範囲の密度を有し得る。微粒子の密度は、適当な勾配媒体(例えば、アルカリ金属の塩、例えば、NaCl、NaBr、NaI、KBr、CsF、CsCl、CsBr、硫酸セシウム、酢酸セシウム、トリフルオロ酢酸セシウム、RbCl、および酒石酸カリウムなど;中性水溶性分子、例えば、(ブドウ糖、グリセロール、または鉱油を場合によって添加した)ショ糖など;親水性巨大分子、例えば、デキストラン、ショ糖−エピクロロヒドリンコポリマー、およびウシ血清アルブミンなど;他の合成分子、例えば、トリヨード安息香酸のナトリウム塩またはメチルグルカミン塩、およびメトリゾ酸のナトリウム塩またはメチルグルカミン塩、ならびにメトリザミドなど)を用いて密度−勾配法(例えば、遠心分離または超遠心分離を用いて)および他の公知の方法によって、周囲温度でヘリウム比重瓶法によって測定され得る。密度−勾配法に関連する標準法には、ASTM D1505−03、ASTM D1505−98、およびISO1183−2が含まれる。
【0032】
活性剤
1つまたは複数の活性剤は通常、微粒子の少なくとも一部(例えば、中心またはコア部、1つまたは複数の特異的またはランダムに分布した区画、内面および/または外面)と共有結合的および/または非共有結合的に結合しており、ならびに/あるいはそれらによって取り込まれている。例えば、1種または複数の活性剤は、1種もしくは複数の巨大分子(例えば、生物活性巨大分子および/または担体巨大分子)および/または1種もしくは複数の他の成分(例えば、その複合体または結合体として、1種または複数のポリマーと一緒に)の、少なくとも一部または実質的にすべてと、共有結合および/または非共有結合的に結合していてもよく、ならびに/あるいはそれらによって取り込まれていてもよい。代わりに、巨大分子それ自体が、活性剤を含み得る。両方の場合に、微粒子は、その外面に生物活性巨大分子を含み得る。
【0033】
活性剤は、製剤であることができる。その作用および/または用途に依存して、製剤には、アジュバント、アドレナリン作用薬、アドレナリン遮断薬、アドレノコルチコイド、抗アドレナリン薬、アドレナリン作動薬、アルカロイド、アルキル化剤、アロステリック阻害剤、アナボリックステロイド、蘇生薬、鎮痛剤、麻酔薬、食欲抑制剤、制酸剤、抗アレルギー剤、抗血管新生剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗生物質、抗体、抗癌剤(例えば、パクリタクセルおよび誘導体化合物など)、抗コリン剤、抗コリンエステラーゼ、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗痴呆薬、抗うつ剤、抗糖尿病薬、下痢止め薬、解毒剤、抗てんかん薬、抗葉酸剤、抗真菌剤、抗原、駆虫薬(antihelmintics)、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、降圧剤、抗感染薬、抗炎症薬、抗マラリア薬、代謝拮抗剤、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗新生物薬、抗骨粗しょう剤、抗病原薬、抗原虫薬、接着分子、解熱薬、抗リウマチ剤、防腐剤、抗甲状腺薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、アストリンゼン、ベータ−アドレナリン受容体遮断薬、殺生剤、血液凝固因子、カルシトニン、強心剤、化学療法薬、コレステロール低下薬、補因子、コルチコステロイド、鎮咳剤、サイトカイン、利尿薬、ドーパミン作用薬、エストロゲン受容体調節剤、酵素およびその補因子、酵素阻害剤、増殖分化因子、増殖因子、血液系作用薬、造血薬、ヘモグロビン調整剤、止血薬、ホルモンおよびホルモン類似体、催眠薬、降圧利尿薬、免疫学的因子、免疫賦活薬、免疫抑制剤、阻害剤、リガンド、脂質調節剤、リンホカイン、ムスカリン作用薬、筋弛緩薬、神経遮断薬、向神経薬、副交感神経様作用薬、副甲状腺ホルモン、促進剤、プロスタグランジン、精神治療薬、向精神薬、放射性医薬品、受容体、鎮静剤、性ホルモン、滅菌剤、刺激剤、血小板新生剤、栄養因子、交感神経様作用薬、甲状腺薬、ワクチン、血管拡張薬、ビタミン、キサンチン、ならびにそれらの結合体、複合体、前駆体、および代謝産物が含まれるが、これらに限定されない。活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。一例では、活性剤は、ペプチド、炭水化物、核酸、他の化合物、それらの前駆体および誘導体、ならびにそれらの2種以上の組合せ(これらに限定されない)を含む予防薬および/または治療薬である。一態様において、活性剤は、従来小分子と称される薬剤である。
【0034】
活性剤は、生物活性剤、例えば、生物活性巨大分子、例えば、タンパク質(上に記載されたタンパク質様化合物を含む)、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、ベクター(例えば、ウイルスまたはウイルス粒子)、もしくは核酸、またはそれらの2種以上の組合せであり得る。巨大分子は、天然であっても合成であってもよい。例示的なタンパク質には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体が含まれる。タンパク質は、天然源から単離されたまたは合成もしくは組換え法によって製造された任意の公知の治療用タンパク質であることもできる。治療用タンパク質の例には、血液凝固カスケードのタンパク質(例えば、第VII因子、第VIII因子、第IX因子など)、サブチリシン、オボアルブミン、アルファ−1−アンチトリプシン(AAT)、DNase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、リゾチーム、リボヌクレアーゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン様成長因子またはそれらの類似体、インターフェロン、グラチラマー、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、抗体、PEG化タンパク質、グリコシル化または過剰グリコシル化タンパク質、デスモプレシン、LHRHアゴニスト(例えば:ロイプロリド、ゴセレリン、ナファレリン、ブセレリンなど)、LHRHアンタゴニスト、バソプレシン、シクロスポリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンペプチドおよびインスリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
活性剤は、化粧剤であり得る。化粧剤の非限定的な例には、エモリエント、保湿剤、フリーラジカル阻害剤、抗炎症薬、ビタミン、脱色剤、抗ざ瘡薬、抗脂漏薬、角質溶解薬、痩せ薬、皮膚着色剤、および日焼け防止剤が含まれる。化粧剤として有用な非限定的な化合物には、リノール酸、レチノール、レチノイン酸、アスコルビン酸のアルキルエステル、多価不飽和脂肪酸、ニコチン酸エステル、ニコチン酸トコフェノール、(米、大豆またはシアバターノキの)不けん化物、セラミド、ヒドロキシ酸(グリコール酸など)、セレン誘導体、酸化防止剤、ベータ−カロチン、ガンマ−オリザノール、およびグリセリン酸ステアリルが含まれる。化粧剤は、市販されているか、および/または公知の技術によって調製され得る。上記のように、様々な活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
活性剤は、栄養補助剤であり得る。栄養補助剤の非限定的な例には、タンパク質、炭水化物、水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB複合体など)、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、Kなど)、およびハーブ抽出物が含まれる。栄養補助剤は、市販されているか、および/または公知の技術によって調製され得る。上記のように、様々な活性剤は、個々にまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
活性剤は、2kDa以下の分子量を有する化合物であり得る。このような化合物の非限定的な例には、ステロイド、ベータ−アゴニスト、抗菌剤、抗真菌剤、タキサン(抗有糸分裂剤および微小管阻害薬)、アミノ酸、脂肪族化合物、芳香族化合物、および尿素化合物が含まれる。小分子(または小有機分子)として従来公知の活性剤は、2kDa以下の分子量を有する代表的な活性剤である。
【0038】
活性剤は、診断薬でもあり得る。非限定的な診断薬には、X線画像化剤および造影剤が含まれる。X線画像化剤の非限定的な例には、3,5−ジアセトアミド−2,4,6−トリヨード安息香酸エチル(WIN−8883、ジアトラゾ酸(diatrazoic acid)のエチルエステル);6−エトキシ−6−オキソヘキシル−3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾエート(WIN67722);エチル−2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)−ブチレート(WIN16318);エチルジアトリゾキシアセテート(WIN12901);2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)プロピオン酸エチル−(WIN16923);N−エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN65312);イソプロピル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN12855);ジエチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)マロネート(WIN67721);エチル2−(3,5−ビス(アセトアミド)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)フェニル−アセテート(WIN67585);プロパン二酸,[[3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,5−トリヨードベンゾイル]オキシ]ビス(1−メチル)エステル(WIN68165);および安息香酸,3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨード−4−(エチル−3−エトキシ−2−ブテノエート)エステル(WIN68209)が含まれる。造影剤は、望ましくは、生理学的条件下で比較的迅速に崩壊し、したがって、いずれの粒子関連炎症反応も最小化することが好ましい。崩壊は、酵素的加水分解、生理学的pHでのカルボン酸の可溶化、または他の機構から生じ得る。したがって、加水分解的に不安定なヨウ素処理した化学種(例えば、WIN67721、WIN12901、WIN68165、およびWIN68209など)とともに、難溶性のヨウ素処理したカルボン酸(例えば、ヨージパミド、ジアトリゾ酸、およびメトリゾ酸など)などが好まれ得る。
【0039】
具体的な一実施形態において、活性剤は、肺疾患の予防および/または治療のための治療薬であり得る。このような薬剤の非限定的な例には、ステロイド、ベータ−作動薬、抗真菌薬、抗菌化合物、気管支拡張薬、抗喘息薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、AAT、および嚢胞性線維症を治療するための薬剤が含まれる。肺疾患の予防および/または治療のためのステロイドの非限定的な例には、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾンなど)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾンなど)、ブデソニド、エストラジオール、フルドロコルチゾン、フルシノニド、トリアムシノロン(トリアムシノロンアセトニドなど)、フルニソリド、およびそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。肺疾患の予防および/または治療のためのベータ作動薬の非限定的な例には、キシナホ酸サルメテロール、フマル酸ホルモテロール、レバルブテロール(levoalbuterol)、バンブテロール、トロブテロール、およびそれらの塩が含まれる。肺疾患の予防および/または治療のための抗真菌薬の非限定的な例には、イトラコナゾール、フルコナゾール、アンホテリシンB、およびそれらの塩が含まれる。
【0040】
活性剤は、それらの2種以上を組み合わせて用いることができる。非限定的な例示的組合せには、ステロイドとベータ−作動薬、例えば、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロール、ブデソニドとホルモテロールなどが含まれる。多くの他の実行可能な治療的活性剤の組合せは、当業者に周知である。
【0041】
不揮発性物質
微粒子を含む組成物は、少なくとも1種の不揮発性物質を含むことができ、この少なくとも1種の不揮発性物質(複数可)は、それらの化学構造および/または組成物において、微粒子を形成する1種または複数の巨大分子のものと異なる。
【0042】
一般に、不揮発性物質は、約100℃超、約150℃超、および/または約200℃超の沸点および/または引火点を有する。不揮発性物質は、天然、合成、半合成、または組換えであり得る。1種または複数の不揮発性物質は通常、独立して、親水性、両親媒性、水溶性(aqueous−soluble)(例えば、水溶性(water−soluble))、および/または水混和性(aqueous−miscible)(例えば、水混和性(water−miscible))であり得る非イオン性ポリマー、またはこのような非イオン性ポリマーの塩である。1種または複数の不揮発性物質は、連続相中、またはその中の1種もしくは複数の流体中の1種または複数の巨大分子の溶解度を有益に独立してまたは集合的に低下させ得る。連続相中に存在する場合、1種または複数の不揮発性物質は通常、微粒子中の1種もしくは複数の巨大分子と共有結合的および/またはイオン結合的に相互作用しないか、あるいはそれらを変性しない。さらに、連続相中に存在する場合、1種または複数の不揮発性物質は通常、互いと複合体を形成、結合、凝集、および/または集塊しないか、またはそうでなれば、例えば、共有結合、イオン、および/または他の相互作用などを介して集まらない。さらに、連続相中の1種または複数の不揮発性物質は通常、それら自体によって、または連続相中に存在する他の成分とゲル化を起こさない(例えば、ヒドロゲルを形成しない)。1種または複数の不揮発性物質は、独立して一般に、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、600ダルトン、800ダルトン、1,000ダルトン、1,500ダルトン、2,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、3,500ダルトン、4,000ダルトン、5,000ダルトン、8,000ダルトン、および10,000ダルトン、もしくは最大約3,000キロダルトン(kd)などの値を超えるかもしくはそれらに等しい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、200ダルトンと10,000ダルトンの間、1,000ダルトンと1,500ダルトンの間、1,000ダルトンと2,000ダルトンの間、1,000ダルトンと2,500ダルトンの間、1,000ダルトンと3,000ダルトンの間、1,000ダルトンと3,500ダルトンの間、1,000ダルトンと4,000ダルトンの間、1,000ダルトンと5,000ダルトンの間、1,000ダルトンと8,000ダルトンの間、1,000ダルトンと10,000ダルトンの間、1,500ダルトンと2,000ダルトンの間、1,500ダルトンと2,500ダルトンの間、1,500ダルトンと3,000ダルトンの間、1,500ダルトンと3,500ダルトンの間、1,500ダルトンと4,000ダルトンの間、1,500ダルトンと5,000ダルトンの間、1,500ダルトンと8,000ダルトンの間、1,500ダルトンと10,000ダルトンの間、2,000ダルトンと2,500ダルトンの間、2,000ダルトンと3,000ダルトンの間、2,000ダルトンと3,500ダルトンの間、2,000ダルトンと4,000ダルトンの間、2,000ダルトンと5,000ダルトンの間、2,000ダルトンと8,000ダルトンの間、2,000ダルトンと10,000ダルトンの間などの範囲の分子量を有する。
【0043】
連続相のための不揮発性物質の非限定的な例には、それらの開示がそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,525,519号、同第5,554,730号、同第5,578,709号、同第5,599,719号、同第5,918、719号、同第6,090,925号、同第6,268、053号、および同第6,458,387号、米国特許出願公開第20030059474号、同第20030064033号、同第20040043077号、同第20050048127号、同第20050142201号、同第20050142205号、同第20050142206号、同第20050147687号、同第20050170005号、同第20050233945号、同第20060018971号、同第20060024240号、同第20060024379号、同第20060260777号、同第20070092452号、同第20070207210号、および同第20070281031号に開示されている非イオン性の水溶性および/または水混和性ポリマーが含まれる。不揮発性物質(複数可)は通常、非イオン性であり、親水性、両親媒性、水溶性、水混和性、および/または40℃以下の温度で水溶性もしくは水混和性流体に可溶性もしくは混和性であり得る。適切な不揮発性物質の非限定的な例は、直鎖、分岐、または環状であり得、非イオン性ポリエーテル、非イオン性コポリエーテル、非イオン性ポリエステル、非イオン性コポリエステル、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー、非イオン性ビニルポリマー、非イオン性ピロリドン含有ポリマー、非イオン性ポリマー炭水化物、それらの誘導体および塩、ならびにそれらの2種以上の組合せを含む。非イオン性ポリエーテルおよび非イオン性コポリエーテル(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ヒドロキシ末端ポリエーテル(例えば、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール以外のエチレンオキシド末端封止ポリエーテル)およびそれらのアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)末端封止誘導体、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなポリオキシ−1,2−アルキレングリコール、ならびにポリトリメチレンエーテルグリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール)、ヒドロキシ末端コポリエーテル(例えば、コポリエーテルアルコール、コポリエーテルポリオール、エチレンオキシド末端封止コポリエーテル)およびそれらのアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)末端封止誘導体、例えば、2種以上の異なる1,2−アルキレンオキシドのブロックコポリエーテル(例えば、ポロキサマーのようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー)ならびに1種または複数の1,2−アルキレンオキシドと、1種または複数のテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、および1,3−プロパンジオールとのコポリエーテル(例えば、(ポリエチレングリコール)−(ポリトリメチレンエーテルグリコール)コポリマー、(ポリエチレングリコール)−(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)コポリマー)が含まれるが、これらに限定されない。非イオン性ポリエステルおよび非イオン性コポリエステル(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ヒドロキシ末端ポリエステル(例えば、ポリエステルポリオール、コポリエステルポリオール、エチレンオキシド末端封止またはポリオキシエチレン末端ポリエステル)、およびある種のシリコーンポリエステル、例えば、ポリオキシエチレングリセリンジカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールジカルボン酸エステル、ポリオキシエチレングリコールジカルボン酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルエステルのようなものなどが含まれる。非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー(ターポリマーを含む)の非限定的な例には、1種または複数のラクトンおよび/またはジカルボン酸と1種または複数の1,2−アルキレンオキシドとのブロックコポリマー、本明細書で開示される非イオン性ポリエーテルおよび非イオン性コポリエーテルのエステル化誘導体、ならびに本明細書で開示される非イオン性ポリエステルおよび非イオン性コポリエステルのエステル化誘導体、例えば、(ポリエチレングリコール)−ポリカプロラクトンブロックコポリマーなどが含まれるが、これらに限定されない。非イオン性ビニルポリマー(コポリマーおよびターポリマーを含む)およびピロリドン含有非イオン性ポリマー(コポリマーおよびターポリマーを含む)の非限定的な例には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキル(アルク)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート)のホモポリマーおよびコポリマー(ターポリマーを含む)、オリゴ−オキシアルキレン(アルク)アクリレート(例えば、オリゴ−オキシエチレンアクリレート、オリゴ−オキシエチレンメタクリレート)、および/またはアルキル末端封止オリゴ−オキシアルキレン(アルク)アクリレート(例えば、メチル封止)、ポリビニルピロリドン、ならびに(アルケニルピロリドン)含有ホモポリマーおよびコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
非イオン性ポリマー(オリゴマーを含む)炭水化物(200ダルトンから5,000,000ダルトン、例えば、1,000ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、10,000ダルトン、30,000ダルトン、50,000ダルトン、100、000ダルトン、300,000ダルトン、500,000ダルトン、1,000,000ダルトン、もしくは3,000,000ダルトンなど、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の分子量を有する)およびその誘導体の非限定的な例には、デンプン、アミロペクチン(分岐多糖)、アミロース(線状多糖)、セルロース、グアールガム、グアール多糖、キサンタンガム、デキストリン(例えば、シクロデキストリン、マルトデキストリン)、デキストラン、ポリデキストロース、ゲランガム、プルラン、セロデキストリン、ベータ−グルカン、およびそれらの誘導体、例えば、エステル化によって形成された非イオン性エステル(安息香酸エステル、およびアルカン酸エステル、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびヘキサン酸エステルなどを含むがこれらに限定されない);またはエーテル化によって形成された非イオン性エーテル、例えば、非イオン性デンプンエーテル、非イオン性アミロペクチンエーテル、非イオン性アミロースエーテル、非イオン性セルロースエーテル、非イオン性グアールエーテル、非イオン性デンプンエステル、非イオン性アミロペクチンエステル、非イオン性アミロースエステル、非イオン性セルロースエステル、非イオン性デンプンエーテルエステル、非イオン性デンプンエステルエーテル、非イオン性セルロースエーテルエステル、および非イオン性セルロースエステルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。非イオン性デンプンエーテルの非限定的な例には、アルキルデンプン、例えば、メチルデンプン、エチルデンプン、プロピルデンプン、およびブチルデンプンなど;ヒドロキシアルキルデンプン、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(例えば、テトラデンプン、ペンタデンプン、ヘキサデンプン(hetastarch))、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシブチルデンプン、およびヒドロキシペンチルデンプンなど;ならびにアルキルヒドロキシアルキルデンプン、例えば、メチルヒドロキシエチルデンプン、メチルヒドロキシプロプルデンプン、およびエチルヒドロキシプロピルデンプンが含まれる。非イオン性アミロペクチンエーテルおよび非イオン性アミロースエーテルの非限定的な例には、ヒドロキシエチルアミロペクチン、ヒドロキシプロピルアミロペクチン、ヒドロキシエチルアミロース、およびヒドロキシプロピルアミロースが含まれる。非イオン性セルロースエーテルの非限定的な例には、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、イソプロピルセルロース、およびブチルセルロースなど;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、およびヒドロキシペンチルセルロースなど;ならびにアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、プロピルヒドロキシエチルセルロース、プロピルヒドロキシプロピルセルロース、イソプロピルヒドロキシプロピルセルロース、ブチルヒドロキシプロピルセルロース、ペンチルヒドロキシプロピルセルロース、およびヘキシルヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。非イオン性グアールエーテルの非限定的な例には、アルキルグアール多糖、例えば、メチルグアール多糖、エチルグアール多糖、プロピルグアール多糖、およびブチルグアール多糖など;ヒドロキシアルキルグアール多糖、例えば、ヒドロキシエチルグアール多糖、およびヒドロキシプロピルグアール多糖など;ならびにアルキルヒドロキシルアルキルグアール多糖、例えば、メチルヒドロキシエチルグアール多糖、メチルヒドロキシプロピルグアール多糖、エチルヒドロキシプロピルグアール多糖などが含まれる。他の非イオン性ポリマー炭水化物には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、ブチルグリシジルエーテルヒドロキシエチルセルロース、ラウリルグリシジルエーテルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ブチルグリシジルエーテル変性ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、デンプンエステル(例えば、アルキルコハク酸無水物変性デンプン、酢酸デンプン、およびアルケニルコハク酸デンプン)、セルロースエステル(モノ酪酸セルロースおよびモノプロピオン酸セルロース)、セルロースエーテルエステル(ヒドロキシアルキルセルロース−2−ヒドロシキカルボン酸エステル)、ポリ(3−ヒドロキシオキセタン)が含まれる。非イオン性ポリマー炭水化物エステルの非限定的な例は、0.5から1.0、例えば、0.7から0.9の範囲の置換度を有するものを含み、水溶性である。作製されることができれば、前述の物質のイオン塩も用いることができる。例えば、多糖の水溶性および/または水混和性の塩、例えば、硫酸デキストラン、硫酸デキストリン、およびアルギン酸ナトリウムも用いることができる。
【0045】
非溶媒
微粒子を含む本組成物の他の成分から、またはその少なくとも1種もしくは複数の不揮発性物質から微粒子を分離することを可能および/または容易にするために、1種または複数の非溶媒を、単独でまたはそれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。非溶媒成分は、本組成物の液体(複数可)(例えば、水)および/または不揮発性物質(複数可)(例えば、ポリマー)が、微粒子よりも、非溶媒に可溶性および/または混和性であるように選択される。したがって、1種または複数の非溶媒は、非限定的な技術、例えば、洗浄(例えば、遠心洗浄)、透析ろ過、ろ過、透析、電気泳動、またはそれらの組合せなどを用いて、微粒子からこのような成分を分離(例えば、抽出、洗浄、排除、置換、除去)するために分別溶解度系(differential solubility system)として適切であり得る。
【0046】
それらに限定されないが、1種または複数の非溶媒は、本明細書で記載される特性(例えば、組成、物理的および化学的特性、毒性)の1つまたは複数、またはそれらの2種以上の組合せを有し得るが、但し、それらが、互いに矛盾しないことを条件とする。非溶媒は、単成分系、または少なくとも1種もしくは複数の非水性液体および1種もしくは複数の水性液体を含む多成分系(例えば、二元、三元、四元など)であってもよい。非溶媒は通常、単相(単一の相を有する)であり、多相(例えば、乳濁液、懸濁液)ではない。
【0047】
一般に、微粒子は、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体に実質的に不溶性である。より具体的には、微粒子は、微粒子が非溶媒中に分散しているときに、微粒子の5重量%以下、例えば、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、またはこれらの値の2つの間、例えば、0.01重量%と5重量%の間、0.05重量%と5重量%の間、0.1重量%と5重量%の間、0.5重量%と5重量%の間、1重量%と5重量%の間、3重量%と5重量%の間、0.01重量%と3重量%の間、0.05重量%と3重量%の間、0.1重量%と3重量%の間、0.5重量%と3重量の間、1重量%と3重量の間、0.01重量%と1重量%の間、0.05重量%と1重量%の間、0.1重量%と1重量%の間、0.5重量%と1重量%の間、0.01重量%と0.5重量%の間、0.05重量%と0.5重量%の間、0.1重量%と0.5重量%の間、0.01重量%と0.1重量%の間、0.05重量%と0.1重量%の間、および/もしくは0.01重量%と0.5重量%の間の範囲が溶解するように、非溶媒中の溶解度を有する。
【0048】
不揮発性物質は、微粒子よりも非溶媒に可溶性であるべきである。例えば、不揮発性物質(複数可)は、非溶媒中10重量%以上、例えば、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%などの値未満の、もしくはそれらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の溶解度を有し得る。さらに、少なくとも1種の不揮発性物質は、非溶媒と完全に混和性であり得る。
【0049】
非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体は一般に、体重で1.6g/kgより大きい、例えば、1.7g/kg以上、1.8g/kg以上、2g/kg以上、2.5g/kg以上、3g/kg以上、4g/kg以上、5g/kg以上、またはこのような値の2つの間の範囲のラットにおける経口LD50を有する。非溶媒は通常、体重で1.6g/kg以下のラットにおける経口LD50を有するいずれの物質も含まない。さらにまたは代わりに、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体は、50mg/日以上のヒトに対する許容1日曝露量を有し得る。
【0050】
非溶媒は、例えば、0.8g/cm、0.85g/cm、0.9g/cm、0.95g/cm、1.0g/cm、1.05/cm、もしくは1.10g/cmなどの値未満のもしくはそれらに等しいか、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の、周囲温度での密度を有し得る。非溶媒の密度は、同じ温度で測定して、非溶媒の重量をその容積で除した値に等しい。分散相および連続相を含む多相分散系の処理に用いられる場合、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体は通常、連続相またはその中の1種もしくは複数の液体の密度未満のまたはそれに等しい密度を有するが、これはそうである必要はない。
【0051】
一態様において、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体は、好ましくは凍結乾燥可能である。例えば、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体は、100℃以下、例えば、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、5℃、1℃、0℃、−5℃、−10℃、−20℃未満であるかもしくはそれらに等しい、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の沸点を有し得る。好ましくは、非溶媒またはその中の少なくとも非水性液体の沸点は、ミクロスフェアを実質的な分解および/または変性を引き起こすことなく従来の蒸発技術を用いて乾燥させることができるように、微粒子の分解温度よりも低く、ならびに/または微粒子中の巨大分子および/もしくは生物活性剤(例えば、核酸、タンパク質様化合物を含むタンパク質など)の変性温度より低い。
【0052】
1種または複数の水性液体は、存在する場合、HO、DOなどの水性液体、(塩、他の溶質、および/または緩衝剤を含む)水溶液から選択され得る。塩の非限定的な例には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ならびに他のハロゲン化物およびナトリウム塩が含まれる。他の溶質の非限定的な例には、炭水化物(例えば、糖)、ポリオール、表面活性剤、および他の賦形剤が含まれる。緩衝塩の非限定的な例には、酢酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムが含まれる。
【0053】
1種または複数の非水性液体は、ミクロスフェアを容易に溶解させない(すなわち、ミクロスフェアを大部分損なわない状態に保つ)ために十分な量で非溶媒中に存在する。例えば、1種または複数の非水性液体は、(重量または容積で)40%以上から95%以下、例えば、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%などの値未満の、もしくはそれらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、40%と95%の間、40%と90%の間、40%と85%の間、40%と80%の間、40%と75%の間、40%と70%の間、40%と65%の間、40%と60%の間、40%と55%の間、40%と50%の間、40%と45%の間、45%と95%の間、45%と90%の間、45%と85%の間、45%と80%の間、45%と75%の間、45%と70%の間、45%と65%の間、45%と60%の間、45%と55%の間、45%と50%の間などの範囲の量で存在し得る。
【0054】
水性液体は、本組成物の不揮発性物質、塩、および賦形剤を溶媒和させるのに必要とされる特性を非溶媒に与えるために十分な量で非溶媒中に存在する。通常、水性液体は、不揮発性物質、塩、および賦形剤を溶媒和させるのを助けるために、(重量または容積で)少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%などの量で存在する。例えば、水性液体は、(重量または容積で)1%以上から50%以下、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%などの値未満の、もしくはそれらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、1%と45%の間、1%と40%の間、1%と35%の間、1%と30%の間、1%と25%の間、1%と20%の間、1%と15%の間、1%と10%の間、1%と5%の間、1%と15%の間、1%と10%の間、1%と5%の間、5%と50%の間、5%と45%の間、5%と40%の間、5%と35%の間、5%と30%の間、5%と25%の間、5%と20%の間、5%と15%の間、5%と10%の間などの範囲の量で存在し得る。一部の態様において、比較的少ない量の水溶液(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、少なくとも4%、または少なくとも5%)が一般に、非溶媒中の微粒子の溶解度を最小化するために好ましいが、微粒子が非溶媒中に実質的な溶解度を有しないことを条件に、さらなる量の水溶液を含ませることができる。
【0055】
1種または複数の非水性液体は、(重量または容積で)40%以上から95%以下、例えば、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%などの値未満の、もしくはそれらに等しい、もしくはそれらより大きい、またはこのような値の任意の2つの間、例えば、(重量または容積で)40%と95%の間、40%と90%の間、40%と85%の間、40%と80%の間、40%と75%の間、40%と70%の間、40%と65%の間、40%と60%の間、40%と55%の間、40%と50%の間、40%と45%の間などの範囲の量で非溶媒中に存在し得る。最も頻繁に、比較的少ない量の水性溶媒(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、少なくとも4%、または少なくとも5%)が、連続相の任意の水性成分を溶媒和させるのに必要とされる特性を非溶媒に与えるために十分である。
【0056】
水性液体(複数可)は、非溶媒の非水性液体(複数可)に部分的もしくは完全に可溶性、またはそれと混和性であり得る。さらに、多相分散系が処理される場合、その連続相またはその中の少なくとも1種の液体は有益には、分散系および非溶媒が混合される場合に単一相が形成されるように、非溶媒に可溶性、またはそれと部分的もしくは完全に混和性であり得る。
【0057】
非溶媒中少なくとも1種の非水性液体は通常、水混和性である。「水混和性非水性液体」という用語は、選択された操作環境の代表的な温度範囲(例えば、20℃から40℃)で、例えば、粘度の相当な増加(例えば、50%以上)をもたらすことなく(例えば、相分離によって)、水に部分的に(例えば、重量または容積で少なくとも5%)もしくは実質的に(全割合で)可溶性、および/またはそれと混和性である非水性液体を指す。水混和性非水性液体(複数可)は、その中に1種もしくは複数の溶質(例えば、塩、糖、ポリマーなど)および/または混和性非水性液体をさらに含み得る。非水性液体(複数可)は、無水、および/または低含水率(例えば、重量または容積で5%以下、例えば、3%以下、1%以下、0.5%以下または0.1%以下の含水率を有するもの)であり得る。
【0058】
非水性液体の非限定的な例には、極性非プロトン性または双極性非プロトン性であるもの、例えば、ケトン、ニトリル、エステル、アルデヒド、およびアミド;非極性非プロトン性であるもの、例えば、エーテル(例えば、メトキシル化エーテル、アルキル化エーテル、ジエーテル、トリエーテル、オリゴエーテル、ポリエーテル、環状エーテル、クラウンエーテル);第三級有機液体(例えば、第三級アルコール、第三級酸、第三級アミド);およびそれらの組合せ、例えば、ニトリル+ジメチルスルホキシド、ニトリル+エーテル、ニトリル+ケトン、第三級アルコール+(シクロ)アルカン、ケトン+第三級アルコール、ニトリル+第三級アルコール、ニトリル+ケトン+第三級アルコール、ニトリル+エーテル+第三級アルコールなどが含まれる。一態様において、非水性液体は、第一級の直鎖アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)およびハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタンなど)を含まない。
【0059】
非限定的な非水性液体の具体例には、2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール(t−アミルアルコール)、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、およびそれらの異性体)、環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、およびそれらの異性体)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エーテル、ジイソプロピルエーテル、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、4−メチル−2−ペンタノン(イソブチルメチルケトン)、2−プロパノン、メントール、チモール、カンファー、イミダゾール、クマリン、ジメチルスルホン、尿素、バニリン、カンフェン、サリチルアミド、ピリジン、2−アミノピリジン、ピリミジン、ピペリジン、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ベンジルアルコール、ブチロラクトン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、ジアセチン、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、ジメトキシエタン、ジメチルエチルアミド、1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレンオキシド、グリセロールホルマール、グリコフロール、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、シリコーン流体、テトラグリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリブチリン、クエン酸トリエチル、リン酸トリエチル、それらの同様物、およびそれらの2種以上の組合せが含まれる。
【0060】
通常、比較的高い水の溶解度、比較的高い非水性液体中不揮発性物質の溶解度、100℃未満の沸点および低毒性を有する非水性液体が選択される。代表的な溶媒には、前述のものが含まれ、好ましい溶媒には、テトラヒドロフラン、第三級アルコール、例えば、2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール(t−アミルアルコール)など、ならびにケトン、例えば、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、4−メチル−2−ペンタノン(イソブチルメチルケトン)、および2−プロパノンなどが含まれる。前述の溶媒と同様に、液体中水の溶解度が十分高い場合、非溶媒は、以下により詳細に記載されるように、残留水を本組成物から除去するために用いることもできる。この利点は、多相分散系の処理で用いられる場合、特に有用であり得る。意外なことに、ミクロスフェアが非溶媒と接触しているか、またはそれに曝露されている場合、いずれの生物活性分子の三次構造の崩壊も実質的に起こらない。この点で2−メチル−2−プロパノールが特に有用であることが見出され、および賦形剤(例えば、トレハロースなどの糖)の凍結乾燥を容易にし、実質的に微粒子のみを残すことが示された。
【0061】
ある種の非水性液体およびそれらの特性を以下の表1に記載する。
【0062】
【表1】

a 周囲温度(20〜25℃など)で測定した密度
b 沸点(BP)、℃
c 凝固点/融点(FP)、℃
d 周囲温度(20〜25℃など)でのg/100g、またはppm(重量で百万部当たりの部数)単位の液体中水の溶解度(Sol)
e LD50(g/kg体重)は、ラットに経口投与された場合に、突然(急性毒性)、試験されているラットの50%に死をもたらすと文献中に報告された液体の最小量である。
f 周囲温度(20〜25℃など)での蒸気圧(VP)(kPa単位)
l 水と混和性(M)。
【0063】
本組成物の非溶媒への曝露および不揮発性物質の除去
本組成物を非溶媒と混合、および/または、そうでなければ、それに曝露する場合、非溶媒の物理的および/または化学的特性により、微粒子を損なわないままに保ちながら、本組成物中の少なくとも1種または複数の不揮発性物質が非溶媒によって溶媒和されることが可能になる(微粒子は、不揮発性物質ほど非溶媒に可溶性でないので)。生じた液相を除去することによって、1種または複数の不揮発性物質から、および一部の場合には元の組成物の1種または複数の他の成分から、微粒子を効果的に分離することができる。液相の一部を除去、および/または、そうでなければ、本組成物もしくはその中の1種もしくは複数の成分から微粒子を分離するために有用な非限定的で代表的な技術には、洗浄、ろ過(限外ろ過を含む)、透析、透析ろ過、相分離(例えば、遠心分離)、電気泳動、および磁気抽出、ならびにそれらの2種以上の組合せが含まれる。遠心分離には、超遠心分離、連続フロー遠心分離および繰り返し遠心洗浄がさらに含まれ、場合によって、液体除去法(デカンテーションおよび吸引を含むがこれらに限定されない)と組み合わせて行うことができる。
【0064】
本組成物のある種の成分は、選択された技術で除去され得る。例えば、本組成物の1種または複数の不揮発性物質は、非溶媒を用いて1回、2回、またはそれ以上の繰り返し洗浄(例えば、繰り返し遠心洗浄または繰り返し透析ろ過)の後に実質的に除去され得、例えば、通常、不揮発性物質の少なくとも50%、例えば、80%、90%、95%、98%、99%、またはそれ以上(例えば、100%)が除去され得る。さらに、本組成物中の水および/または他の凍結乾燥可能な成分は、存在する場合、凍結乾燥を用いて部分的または完全に除去され得る。
【0065】
本組成物(またはその中の少なくとも一部の不揮発性物質)から微粒子を分離する処理は通常、本組成物またはその中の任意の成分(または分散系が処理される場合、連続相)の凍結温度を超え、微粒子またはその中の生物活性巨大分子の分解温度未満の、例えば、周囲温度でのもしくはそれ未満の、または例えば、40℃、37℃、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、2℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃などの温度を超える、もしくはそれらでの、もしくはそれら未満の、あるいはこのような温度の任意の2つの間の範囲の温度で行われる。
【0066】
一例では、周囲温度でのまたはそれ未満の温度(2〜8℃など)で、本組成物は分散系であり、交換すべき透析ろ過媒体として非溶媒を用いて透析ろ過に基づく濃縮処理にかけて、それにより、連続相の1種または複数の成分(不揮発性物質(複数可)および/または溶媒を含む)の少なくとも一部を除去する。したがって、連続相の容積は低下して、乾燥(例えば、凍結乾燥または空気乾燥による)が行われる前に微粒子が濃縮され、それにより処理時間および費用を減少させることができる。当業者に公知のとおりに、蠕動ポンプ、貯蔵容器、中空繊維カートリッジ、および管類を含む透析ろ過装置は、濃縮処理のために用いることができる。遠心洗浄も同様に用いることができる。
【0067】
連続相の1種または複数の成分の除去の非限定的な結果として、微粒子および非溶媒を含む中間分散系を、濃縮処理によって形成することができ、その中の微粒子の濃度は、1g/mL以上、例えば、10mg/mL以上に、元の分散系と比べて多数倍(例えば、2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、または40倍以上)高めることができる。元の連続相中の1種または複数の不揮発性物質(例えば、非イオン性ポリマー)は、この濃縮処理の間に部分的または完全に除去され得る。したがって、新たな分散系の連続相は、その中に1種または複数の不揮発性物質を少なくとも実質的に含まないという点で元の分散系のものと異なり得る。例えば、1つまたは複数の前述の工程を行った後、新たな分散系の連続相は、その中に、重量または容積で5%未満の、例えば、3%、2%、1%、0.5%などの値未満の、もしくはそれらに等しい、またはこのような値の任意の2つの間の範囲で存在し得る1種または複数の不揮発性物質を含み得る。微粒子は、新たな分散系において自由に懸濁され得るか、または1つまたは複数の再懸濁可能な凝集体(等密帯または固体ペレットなど)の形態であり得る。
【0068】
次いで、濃縮された中間分散系は、中間分散系を形成する同じ非溶媒または異なる非溶媒(本明細書に開示されるものなど)を用いて、希釈および/または繰り返し遠心洗浄などの技術を用いて処理され、1種または複数の不揮発性物質(例えば、非イオン性ポリマー)を、いずれかの残存物が存在する場合、さらに除去することができる。分離処理は、微粒子および分離処理の間に用いられた非溶媒を含む新たな分散系をもたらすことができ、微粒子の濃度は、1mg/mLから50g/mL、例えば、5g/mLから20g/mLなどの範囲、例えば、約10g/mLである。この新たな懸濁液は、貯蔵および/またはそのまま使用され得、もしくは場合によってさらに処理されて非溶媒が除去され得、乾燥粉末形態で微粒子が生成され得る。非溶媒を除去するための非限定的な技術には、様々な乾燥技術(例えば、空気乾燥、凍結乾燥(lyophilization)、凍結乾燥(freeze−drying)、液相乾燥、スプレー乾燥(コールドスプレー乾燥など)、低温乾燥、スプレー凍結乾燥、超臨界乾燥(超臨界流体乾燥、流動床乾燥など))、およびそれらの2種以上の組合せが含まれる。
【0069】
代わりに、または前述の乾燥技術の1つと組み合わせて、加湿窒素、加湿空気、または加湿希ガスなどの加湿ガスは、場合によって、得られた微粒子に向けられ得、またはその上を通過させられ得、その中の残存するいずれの残留溶媒の一部も水と有利に交換し、および/または該粒子を効果的に乾燥させることができる。具体的には、微粒子を支持部材(例えば、バイアル、トレー、パン、ディシュ)に入れ、そして次に、これを、加湿ガスの流れ下でチャンバー(例えば、乾燥箱、凍結乾燥機、デシケータ)内に入れる。25%から100%、例えば、30%から95%、40%から90%、または50%から80%などの相対湿度を有する加湿ガスと微粒子とを接触させることにより、微粒子からの残留溶媒の蒸発を容易にする。微粒子組成物の体積または重量に依存して、数時間(例えば、10、12、20時間)から数日間続け得る高湿度蒸発処理の後に、その中の残留溶媒含有量はさらに低下させることができる。残留溶媒が水混和性でない場合、湿気をほとんど乃至全く含まないガスを用いて同様の利益を得ることができる。
【0070】
一例では、複数の微粒子(固体ミクロスフェアなど)を含む流動性分散系(例えば、懸濁液)を、その中に可溶化された1種または複数の不揮発性物質(例えば、非イオン性ポリマー)を有する水または水溶液を含む連続相中(場合によって1種または複数の多価カチオンを有する緩衝溶液など)に分散させる。場合によって、分散系は、−20℃以下、好ましくは−40℃以下、例えば、約−60℃などの温度で凍結させ、および十分な期間(例えば、1日間以上、好ましくは3日間)かけて凍結乾燥させ、水および任意の他の凍結乾燥可能な物質の実質的にすべてを除去し、その中で微粒子を1種または複数の不揮発性物質の固体連続相に分散させ得る固体分散系(例えば、凍結乾燥ケーキ)を得ることができる。元の流動性分散系および固体分散系の両方は、例えば、非溶媒を含む(場合によって、元の流動性分散系の連続相の一部または全部をさらに含む)単一の液相に微粒子を分散させ得るように、微粒子を非溶媒と混合し、その後撹拌することによって、本開示の1種または複数の非溶媒に曝露し得る。微粒子を固相として分散させたままにしながら、1種または複数の不揮発性物質を非溶媒中に溶解させ得、または、そうでなければ、可溶化させ得る。新たな分散系は遠心分離にかけ、その上清を吸引またはデカンテーションして捨て、それにより、その中に可溶化させた1種または複数の非揮発性物質の少なくとも一部を微粒子から除去し得る。微粒子は場合によって、必要な場合、同じ非溶媒または1種もしくは複数の異なる非溶媒と一緒に2回以上遠心洗浄し得る。保持された微粒子中のいずれの残留非溶媒も、当業者に公知の1種または複数の乾燥手段を用いて(例えば、窒素流または真空下で)微粒子を乾燥させることによって除去し得る。
【0071】
前に記載したとおりに、1種または複数の非溶媒の物理的および/または化学的特性は、1種または複数の非溶媒の残留物を微粒子から除去し(例えば、凍結乾燥、透析ろ過、空気乾燥、またはそれらの組合せによって)、例えば、微粒子の乾燥粉末を得るために比較的簡単で、都合よく、および/または費用効果があるように選択され得る。代わりにまたはさらに、非溶媒は微粒子の意図された貯蔵および/または最終用途のための担体として好適であり得、したがって、除去を不必要にさせ得、または部分的除去のみを望ましくさせ得る。
【0072】
連続相
開示される方法によって処理される多相分散系の連続相は、例えば、1種の流体または2種以上の流体の混合物(例えば、少なくとも第1の液体が少なくとも第2の液体に可溶性またはそれと混和性であり得る2種以上の液体の均一混合物)を含む非固体であり得る。適切な流体の非限定的な例には、水性流体(例えば、水HO、DO、水性緩衝液、および他の水溶液)、非水性流体(例えば、有機流体、有機緩衝液)、および前述の2種以上の組合せが含まれる。一態様において、非固体連続相は、例えば、容積で10%超、例えば、25%以上、50%以上、もしくは75%、またはそれ以上の水を含み、実質的に水性であり得る。連続相は、部分的または完全に、水性もしくは水混和性、水不混和性、水溶性、または水不溶性であってもよい。
【0073】
同じ周囲温度、例えば、20℃または25℃などで測定した場合、連続相またはその中の少なくとも1種の液体は通常、分散相またはその中の微粒子の密度と同様もしくは等しいか、またはそれ未満の密度を有する。最も典型的には、連続相またはその中の少なくとも1種の液体は、微粒子の密度未満の密度を有する。例えば、連続相またはその中の少なくとも1種の液体は、周囲温度で、例えば、1.10g/cm、1.05g/cm、1.0g/cm、0.95g/cm、0.9g/cm、0.8g/cm、0.7g/cm、0.6g/cmなどの値未満のもしくはそれらに等しい、またはこのような値の任意の2つの間の範囲の密度を有し得る。
【0074】
連続相は、その中に可溶化された1種または複数の成分をさらに含むことができ、これらは、不揮発性物質(複数可)、塩、イオン、過剰試薬、賦形剤(例えば、糖、ポリオール、表面活性剤)、および/または製造関連化合物(これらに限定されない)を含めて、微粒子中に実質的に取り込まれないことが多い。しかし、不揮発性物質は、分散相の上/中に存在していてもよく、例えば、不揮発性物質は、微粒子の孔内に捕捉され、および/または、そうでなければ微粒子と結合していてもよい。さらに、これらの成分は、本明細書で記載される非溶媒中で用いることができる。塩の非限定的な例には、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、および当業者に公知の他の緩衝塩が含まれる。糖の非限定的な例には、トレハロース、ショ糖、乳糖、および当業者に公知の他の炭水化物が含まれる。ポリオールの非限定的な例には、マンニトールおよび当業者に公知の他の糖アルコールが含まれる。連続相の1種または複数の流体および/または溶質は、独立して、部分的または完全に水混和性、水不混和性、水溶性、および/または水不溶性であり得る。
【0075】
分散相
開示される方法によって処理される多相分散系の分散相は、固体微粒子を含み得る。通常、微粒子は、非溶媒、またはその中の少なくとも非水性液体に実質的に不溶性および/またはそれらと実質的に不混和性であり、例えば、周囲温度で10重量%未満、例えば、5重量%以下、3重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、またはこのような値の任意の2つの間の範囲のその中での溶解度を有することが好ましい。
【0076】
分散相は、固体微粒子と結合している他の物質、例えば、微粒子形成の間に添加される不揮発性物質、塩、または賦形剤をさらに含み得る。一般に、このような物質は、単離された微粒子中で望ましくなく、したがって、望ましくは分散系から除去される。したがって、このような物質が、上に記載された非溶媒中の比較的高い溶解度を有することが望ましい。
【0077】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、その範囲を限定することは意図されない。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
その全体で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20050142206号に開示さている方法に従って、16%(w/v)のPEG3350、0.02%(w/v)のPluronic(登録商標)F−68、10mMの酢酸アンモニウム、および2mg/mLのrAATを含む溶液をpH5.9で2℃に冷却することによって、組換えα−1−抗トリプシン(rAAT)ミクロスフェアを作製した。rAATミクロスフェア(直径で平均粒径約1〜3ミクロン)を含む得られた懸濁液を容積過剰(10ml、20ml、または40ml)の極性非プロトン液体(アセトン)と約2〜4℃または約−20℃で完全に混合した。予想外に、PEGは無水アセトンに不溶性であるが、水性アセトン(容積で4%超、例えば、4.5%もしくは4.8%またはそれ以上の含水率を有する)に非常に可溶性であることが見出された。この水性アセトン懸濁液を2〜4℃および2,000rpmで5〜10分間遠心分離し、上清を除去した。残存するミクロスフェアを同じ液体(水性アセトン)で2回さらに洗浄し、次いで、Nガスの流れ下で乾燥させた。水性アセトンと接触させた後、球形を保持した微粒子の含有率(パーセンテージ)を光学顕微鏡を用いて評価した。微粒子中の活性剤の収率(パーセンテージ)を、Bicinchoninic Acid(BCA)アッセイを用いてアッセイした。結果を以下の表2に記載する。−20℃超(2〜4℃など)の温度および液体対懸濁液の容積比40:1以下で、アセトン洗浄処理により、高い微粒子形態保持および高い特異的活性(より少ない変性)の最良の組合せを得た。
【0079】
(表2)
【0080】
【表2−1】

(実施例2)
第1の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中2.4mg/mlのIgG)および第2の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中24重量パーセントのポロキサマー188)を48℃に予備加熱し、1:1の容積比で混合した。透明溶液(1.2mg/mlのIgG、12%のポロキサマー188、100mMの酢酸アンモニウム、pH5.8)を48℃で平衡にさせ、次いで、約8℃に冷却し(しかし凍結させず)、1mg/mlのIgGミクロスフェア懸濁液を形成した。この懸濁液を2〜8℃の冷室で平衡にさせ(凍結させず)、次いで、透析ろ過を用いて40倍に濃縮した。次いで、濃縮懸濁液(40mg/mlのIgGミクロスフェア)を、透析ろ過を用いて2−メチル−2−プロパノール水溶液(60%v/vの2−メチル−2−プロパノール、40%v/vの脱イオン水)で約10mg/mlに希釈した。この希釈懸濁液を遠心分離し、上清を除去した。得られたミクロスフェアを60%の2−メチル−2−プロパノール水溶液で5回遠心洗浄し、急速冷凍し、次いで、30℃での加温段階を含む凍結乾燥サイクルを用いて凍結乾燥させ、賦形剤を実質的に含まない乾燥IgGミクロスフェア粉末を形成した。
【0081】
(実施例3)
第1の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中2.5mg/mlのIgG)および第2の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中25重量%のPEG8000)をそれぞれ、50℃および55℃に予備加熱した(温水浴)。第2の溶液を第1の溶液に、容積比1:1で加え、この混合物を穏やかに混合した(反転を用いて)。この透明溶液(1.25mg/mlのIgG、12.5%のPEG8000、100mMの酢酸アンモニウム)を約6℃に冷却し(しかし凍結させず)、1mg/mlのIgGミクロスフェア懸濁液100mlを形成した。この懸濁液を2〜8℃の冷室で平衡にさせ(凍結させず)、次いで、遠心分離し、上清を廃棄した。残存したペレットを2−メチル−2−プロパノール水溶液(60%v/vの2−メチル−2−プロパノール、40%v/vの脱イオン水)中に再懸濁させた。再懸濁液を急速冷凍し、次いで、凍結乾燥させて、乾燥IgGミクロスフェア粉末を形成した。
【0082】
(実施例4)
第1の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中2.3mg/mlのIgG)および第2の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中24重量%のポロキサマー188)を50℃に予備加熱した(温水浴)。第2の溶液を第1の溶液に、容積比1:1で加え、穏やかに混合した(反転を用いて)。透明溶液(1.15mg/mlのIgG、12%のポロキサマー188、100mMの酢酸アンモニウム、pH5.8)を50℃で平衡にし(温水浴)、次いで、約6℃に冷却し(しかし凍結させず)、1mg/mlのIgGミクロスフェア懸濁液1000mlを形成した。実施例2におけるように、懸濁液を濃縮し、60%の2−メチル−2−プロパノール水溶液を用いて緩衝液を交換し、急速冷凍し、次いで、凍結乾燥させて、乾燥IgGミクロスフェア粉末を形成した。
【0083】
(実施例5)
第1の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中2.3mg/mlのIgG)および第2の溶液(pH5.8で100mMの酢酸アンモニウム緩衝液中24重量%のポロキサマー188)を50℃に予備加熱した(温水浴)。第2の溶液を第1の溶液に容積比1:1で加え、穏やかに混合した(反転を用いて)。透明溶液(1.15mg/mlのIgG、12%のポロキサマー188、100mMの酢酸アンモニウム、pH5.8)を50℃で平衡にさせ(温水浴)、次いで、約6℃に冷却し(−20℃冷凍庫中約40分間、しかし、凍結させず)、1mg/mlのIgGミクロスフェア懸濁液2000mlを形成した。60%の2−メチル−2−プロパノール水溶液が10mMのヒスチジンおよび10mMの酢酸アンモニウムをさらに含むことを除いて、実施例2に記載されたとおりに、懸濁液を濃縮し、緩衝液を交換した。急速冷凍および凍結乾燥後に、乾燥IgGミクロスフェア粉末が形成された。
【0084】
(実施例6)
その全体がそれへの明示された参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第60/938,123号の開示に従って、核酸微粒子を形成した。微粒子の形成に続けて、懸濁液を遠心分離し、上清をデカンテーションし、微粒子のペレットを保持した。微粒子のペレットをそれぞれ、60%の2−メチル−2−プロパノール水溶液(60%v/vの2−メチル−2−プロパノール、40%v/vのヌクレアーゼを含まない脱イオン水)1ml中に4℃で再懸濁させ、遠心洗浄した(遠心分離し、上清をデカンテーションし、微粒子のペレットを保持した)。遠心洗浄をさらに2回繰り返した。微粒子のペレットをそれぞれ、60%の2−メチル−2−プロパノール水溶液0.5mlに再懸濁させ、−80℃に置き、再懸濁液を凍結させた。凍結試料を凍結乾燥させ、それぞれの核酸微粒子の乾燥粉末を得た。
【0085】
(実施例7)
例えば、実施例2に開示されたとおりに、抗体を含む微粒子を形成するための確立された方法に従って、IgIV微粒子を形成した。このミクロスフェア懸濁液を、2mlの充填量で10mlガラスバイアル中で凍結乾燥させた。用いた凍結乾燥サイクルは、表3に示すとおりに、懸濁液を凍結させること、懸濁液をアニーリング(annealing)すること、一次乾燥工程を行うために温度を徐々に変化(ramp)させること、一次乾燥工程を行うこと、および次いで、場合によって二次乾燥工程(5Aおよび/または5B)を行うことを含んだ。サイクルが終了したとき、空気の戻し充填を20℃で行った。
【0086】
(表2)
【0087】
【表2−2】

IgIV微粒子の化学的完全性を、HPLCアッセイ(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))を用いて凍結乾燥後に決定し、集塊生成物および分解生成物を定量した。結果により、凍結乾燥処理の間に集塊および他の関連物質の有意な蓄積はないことが実証された。
【0088】
ほぼ半分の試料を加湿窒素装置に接続したデシケータ内に置いた。加湿窒素は、約12時間相対湿度50%(20psi)であり、続いて、6時間相対湿度0%(20psi)であった。結果により、1.0重量%未満の不溶性抗体、0.5重量%未満の残留不揮発性物質を含む乾燥粉末が得られることが実証された。結果により、残留(非)溶媒含有率の有意な低下(2−メチル−2−プロパノール含有率の12%低下)がさらに実証されたが、凍結乾燥直後の乾燥粉末と比べて、残留水分(2%増加)および高分子量化学種(1.3%増加)のわずかな増加が認められた。それにもかかわらず、これらの結果により、微粒子からの不揮発性物質の成功裏の除去、およびタンパク質完全性を維持しながら粉末を乾燥させる能力が実証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を処理する方法であって、
複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程;
少なくとも1種の非水性液体および少なくとも1種の水性液体を含む非溶媒を用意する工程;
前記組成物を前記非溶媒に曝露して、1種または複数の液相および前記固体微粒子を含む混合物を形成する工程;および
少なくとも前記微粒子を保持しながら、前記得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、前記組成物から前記不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程
を含み、
前記不揮発性物質は、前記微粒子より前記非溶媒に可溶性であり、前記非溶媒は第一級直鎖アルコールおよびハロゲン化溶媒を含まない、方法。
【請求項2】
前記微粒子が、前記水性液体に可溶性であるが、前記非溶媒中5重量%未満の溶解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非水性液体が、前記水性液体に可溶性であるか、またはそれと混和性である、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記固体微粒子が、前記少なくとも1種の非水性液体に実質的に不溶性である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記曝露する工程および/または除去する工程が、洗浄、透析ろ過、ろ過、透析、電気泳動、またはそれらの組合せを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記微粒子を乾燥させて、粉末を形成する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記非溶媒が、1.6g/kg体重を超えるかまたはそれに等しいラットにおける経口LD50を有する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記非溶媒が、0.95g/ml未満またはそれに等しい密度を有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の不揮発性物質が水溶性である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記非溶媒が、容積で1%から95%の前記少なくとも1種の水性液体を含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の非水性液体が、2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール(t−アミルアルコール)、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、カーボネート、環状カーボネート、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エーテル、ジイソプロピルエーテル、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、4−メチル−2−ペンタノン(イソブチルメチルケトン)、2−プロパノン、メントール、チモール、カンファー、イミダゾール、クマリン、ジメチルスルホン、尿素、バニリン、カンフェン、サリチルアミド、ピリジン、2−アミノピリジン、ピリミジン、ピペリジン、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ベンジルアルコール、ブチロラクトン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、ジアセチン、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、ジメトキシエタン、ジメチルエチルアミド、1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレンオキシド、グリセロールホルマール、グリコフロール、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、シリコーン流体、テトラグリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリブチリン、クエン酸トリエチル、リン酸トリエチル、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記非溶媒が、水、ならびに2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール(t−アミルアルコール)、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、カーボネート、環状カーボネート、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エーテル、ジイソプロピルエーテル、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、4−メチル−2−ペンタノン(イソブチルメチルケトン)、2−プロパノン、メントール、チモール、カンファー、イミダゾール、クマリン、ジメチルスルホン、尿素、バニリン、カンフェン、サリチルアミド、ピリジン、2−アミノピリジン、ピリミジン、ピペリジン、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ベンジルアルコール、ブチロラクトン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、ジアセチン、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、ジメトキシエタン、ジメチルエチルアミド、1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレンオキシド、グリセロールホルマール、グリコフロール、プロピレングリコール、プロピレンオキシド、シリコーン流体、テトラグリコール、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリブチリン、クエン酸トリエチル、リン酸トリエチル、およびそれらの組合せからなる群より選択される第2の流体成分を含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記非溶媒が、容積で少なくとも40%の2−メチル−2−プロパノールを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記固体微粒子が活性剤を含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記固体微粒子が、前記固体微粒子の外面上に少なくとも1種の生物活性巨大分子を含む、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種の生物活性巨大分子が、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ベクター、核酸、それらの複合体、それらの結合体、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固体微粒子が、担体巨大分子を含む、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の不揮発性物質が、非イオン性ポリエーテル、非イオン性コポリエーテル、非イオン性ポリエステル、非イオン性コポリエステル、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマー、非イオン性ビニルポリマー、非イオン性ピロリドン含有ポリマー、非イオン性ポリマー炭水化物、前述の物質の誘導体および塩、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記微粒子が、非晶質、球状、または両方である、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記非溶媒が、少なくとも2種の液体を含む単相混合物である、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記微粒子を単離する工程をさらに含む、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記単離された微粒子を凍結乾燥させる工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
加湿窒素が前記単離された微粒子上を通過する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、分散相および連続相を含む多相分散系であり、前記分散系が、前記固体微粒子、前記少なくとも1種の不揮発性物質、および溶媒を含む、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒が、前記非溶媒に可溶性であるか、またはそれと混和性である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
微粒子を処理する方法であって、
複数の固体微粒子および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程;
2−メチル−2−プロパノールを含む非溶媒を用意する工程;
前記組成物を前記非溶媒に曝露して、1種または複数の液相および前記固体微粒子を含む混合物を形成する工程;および
少なくとも前記微粒子を保持しながら、前記得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、前記組成物から前記不揮発性物質の少なくとも一部を除去する工程
を含み、
前記不揮発性物質が、前記微粒子より前記非溶媒に可溶性である、方法。
【請求項27】
前記非溶媒が水をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記微粒子が、前記非溶媒中5重量%未満の溶解度を有する、請求項26および27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記固体微粒子が、2−メチル−2−プロパノールに実質的に不溶性である、請求項26から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、分散相および連続相を含む多相分散系であり、前記分散系が、前記固体微粒子、前記少なくとも1種の不揮発性物質、および溶媒を含む、請求項26から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記溶媒が、前記非溶媒に可溶性であるか、またはそれと混和性である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
微粒子を処理する方法であって、
複数の固体微粒子、水および少なくとも1種の不揮発性物質を含む組成物を用意する工程;
少なくとも1種の非水性液体および少なくとも1種の水性液体を含む非溶媒を用意する工程;
前記組成物を前記非溶媒に曝露して、1種または複数の液相および前記固体微粒子を含む混合物を形成する工程;および
少なくとも前記微粒子を保持しながら、前記得られた1種または複数の液相の少なくとも一部を除去し、それにより、前記組成物から前記不揮発性物質の少なくとも一部および前記水の少なくとも一部を除去する工程
を含み、
前記不揮発性物質が、前記微粒子より前記非溶媒に可溶性であり、
前記少なくとも1種の非水性液体が、テトラヒドロフラン、2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−プロパノン、およびそれらの組合せからなる群より選択される、方法。
【請求項33】
前記微粒子が、前記非溶媒中5重量%未満の溶解度を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記固体微粒子が、前記少なくとも1種の非水性液体に実質的に不溶性である、請求項32および33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、分散相および連続相を含む多相分散系であり、前記分散系が、前記固体微粒子、前記少なくとも1種の不揮発性物質、および溶媒を含む、請求項32から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒が、前記非溶媒に可溶性であるか、またはそれと混和性である、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2012−500118(P2012−500118A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523999(P2011−523999)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054504
【国際公開番号】WO2010/022261
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】