説明

微粒子分級装置および微粒子分級方法

【課題】微粒子を沈降速度法により精密に分級することができる微粒子分級装置および方法を提供すること
【解決手段】微粒子分級装置1は、遠心ローター30内にてキャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収が時間連続的に行われる分離流路3で、微粒子試料から分離対象とする微粒子Pをキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いたものであり、分離流路3の動径方向外側に位置する流路外壁3bと動径方向内側に位置する流路内壁3aの少なくとも一方に、微粒子Pを収容可能なポケット35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径がミクロンからナノ領域の微粒子を分級する微粒子分級装置および微粒子分級方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子の分級方法としては、気相(または真空)中で分級する方法と、液相中で分級する方法がある。このうち、気相中で分級する方法は、処理容量が小さく、また微粒子が会合しやすいため、真の粒径による分級にはなかなかならないという問題があった。
【0003】
一方、液相中で分級する場合は、気相中の場合と異なり、微粒子は会合しにくく、また微粒子が分散媒中を移動する際に大きな抵抗が発生し、その抵抗は粒径に鋭敏に依存することから、真の粒径により微粒子を容易に分級することが可能となる。そこで、これらの観点から液相中で分級する方法が着目されている。
【0004】
液相中の微粒子を分級する方法としては、遠心分離を利用する方法が代表的で、遠心分離法には沈降平衡法や沈降速度法などがある。沈降平衡法は、微粒子をその浮游密度の差で分級する方法であり、沈降速度法は、微粒子をその沈降速度の差で分級する方法である。
【0005】
沈降速度法では各試料粒子は、その粒子固有の沈降速度係数に応じた沈降速度により液相内を沈降し、沈降開始後ある時間だけ経過すると、その沈降速度係数に応じて異なる沈降位置に存在する。試料粒子の沈降速度係数は、試料粒子の密度と実効粒径により決まるが、もし試料密度が同じであれば、試料粒子を実効粒径により分級することが出来ることになる。製造工程や実験室での調製操作においては、同一密度の試料を粒径により分けたいことが多い。
【0006】
そして、微粒子を回収する方式としては、回分(バッチ)方式と、半連続方式と、完全連続方式の3つの方式がある。回分方式は、チューブやその他の形状の処理容器を用いて、一回の運転毎の対象微粒子を分級処理する方式である。回分方式では、少量ずつの処理しか行えず、かつ(回転開始から加速、一定回転、回転減速そして停止という)一回の運転ごとに条件が微妙に異なってしまうことから、バッチ間で粒径が微妙に異なってしまうという問題がある。
【0007】
これに対して、半連続方式および完全連続方式では、連続的な運転をすることにより、回分方式よりも試料処理量を増大させることができ、また運転条件を安定させることにより、終始一定の粒径を回収することが可能である。
【0008】
本願発明者は、遠心ローター内の分離流路にてキャリア液相中の微粒子試料を沈降速度法により、連続的にかつ高分解能で分離する遠心分離方式を用いた微粒子分級方法および装置を開発して提案している(特許文献1を参照)。
【0009】
特許文献1の微粒子分級方法および装置では、分離流路の入口に、密度勾配材を用いた連続密度勾配形成器を設けて、分離流路内にキャリア液相の溶液密度が遠心ローターの動径方向外側に向かって連続的に増大する連続密度勾配を形成し、原材料の供給および分級した微粒子の回収を完全連続方式により行っている。
【0010】
特許文献1の方法および装置は、密度勾配材の分子等が分子運動によって拡散するという「自然の摂理」を利用しているもので確実性が高く、密度勾配材の拡散により形成される密度勾配プロファイルを数値シミュレーション等で求めることも難しくない。
【0011】
この方法および装置に用いられる連続密度勾配形成器は、キャリア液相をローター動径方向に大幅圧縮し、下流側でその動径方向の圧縮を元に戻す構成(密度勾配材の静的拡散促進方式)により、速やかな連続密度勾配(階段状のように、ギクシャクしていない密度勾配)形成を実現するものである。キャリア液相上にこの連続密度勾配が存在することにより、分離流路内における乱流生成が抑えられる(空間的整序性が確保される)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4247390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明者は、さらなる鋭意研究の結果、特許文献1の微粒子分級装置と同等もしくはそれ以上の作用効果と実用性を有する微粒子分級装置および微粒子分級方法を見出した。
【0014】
本発明の目的は、微粒子を沈降速度法により、時間連続的に、かつ効率よく高分解能で分級できる微粒子分級装置および微粒子分級方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の微粒子分級装置は、遠心ローター内にてキャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収が時間連続的に行われる分離流路で、微粒子試料から分離対象とする微粒子をキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いた微粒子分級装置であって、前記分離流路の動径方向外側に位置する流路外壁と前記分離流路の動径方向内側に位置する流路内壁の少なくとも一方に、前記微粒子を収容可能なポケットを設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の微粒子分級装置によれば、分離流路の動径方向外側に位置する流路外壁と前記分離流路の動径方向内側に位置する流路内壁の少なくとも一方に、微粒子試料から分離された微粒子を収容可能なポケットが設けられているので、粒径に応じて異なる流路外壁位置あるいは流路内壁位置に到達した微粒子をそのままポケットに収容する形でその位置に留まらせ、流路方向等に移動するのを防ぐことができる。したがって、一定時間連続運転した後で運転を停止(半連続運転と呼ばれる)、連続運転の間にポケットに蓄積した微粒子を回収するという方式により、精密に分級された所望の粒径を有する微粒子を容易に取得することができる。
【0017】
本発明の微粒子分級装置は、ポケットが分離流路の流れの方向に所定のピッチをもって複数配設されてポケット列を形成している構成を有することが好ましい。
【0018】
本発明によれば、ポケットが分離流路の流路方向の流れの方向に所定のピッチをもって複数配設されてポケット列を形成しているので、精密に分級された所望の粒径を有する微粒子をポケット列の各ポケットに粒径別に収容することができる。このように、複数のポケットを分離流路の流れの方向に並べたポケット列を配置することによって、粒径により分離展開された多くの分画を同時並行的に受け止めて回収することが可能となる。したがって、分解能を落とすことなく、少ない試料損失で、かつ一度に、粒径値が少しずつ異なる(しかし分画同士の重なりは少ないシャープな)多数の分画を得ることが可能となる。したがって、微粒子試料を効率よく大量に精密分級でき、試料処理容量が大きく、回収率が高い。
【0019】
本発明の微粒子分級装置は、ポケット列が分離流路の上流部から下流部まで連続して配置されている構成を有することが好ましい。
【0020】
このような連続型の分離装置の注意点は、分離流路途中での沈殿物である。もし沈殿物が存在すると、その堆積進行に伴い、分離流路の実効断面積が小さくなるのでその分、分離流路内の流速が上昇して試料粒子の分離流路内滞在時間が減少、分離条件が変化してしまうことになる。本発明によれば、ポケット列が分離流路の上流部から下流部まで連続して配置されているので、例え分離流路の途中で沈積物が発生しても、それはポケットに落とし込まれ、分離流路の実効断面積は変化しない。また、沈積物が発生した場合、そのことによりキャリア液相から固相が失われることになるが、それと交換に、失われた固相の体積とちょうど等しい体積の液相がポケットの内部から涌き出てくるので、沈積物発生による移動相全体の体積変化(結果として、流速の微妙な変化)もない。以上のようにして、例え沈積物が存在しても、連続運転の間に分離条件が変化するのを防ぐことができ、精密分級を行うことができる。
【0021】
本発明の微粒子分級装置は、遠心ローターのローター本体に着脱可能に取り付けられて分離流路の流路外壁の一部を構成するブロックを有し、ブロックの表面にポケットが設けられている構成を有することが好ましい。
【0022】
本発明によれば、遠心ローターのローター本体に着脱可能に取り付けられて分離流路の流路外壁の一部または流路内壁の一部を構成するブロックの表面にポケットが設けられているので、ブロックの交換によって、各ポケットの大きさや形状等の仕様を容易に変更できる。したがって、ローター本体を変更することなく、回収分画の刻みの細かさをなど容易に調整できる。また、ブロックごとローター本体から取り外すことができるので、試料の回収やポケットのクリーニング、装置のメンテナンスなどが容易になる。したがって、多数の試料分画を同時に扱うことになる場合の、試料のハンドリングを含めたトータルとしての操作性を向上させることができる。
【0023】
本発明の微粒子分級装置は、ポケットが遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に延在する溝形状を有する構成としてもよく、また、ポケットが遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に所定間隔をおいて複数設けられている構成としてもよい。
【0024】
本発明の微粒子分級装置は、ポケットの表面に取り外し可能に被せられるデスポ容器を有することが好ましい。
【0025】
本発明によれば、ブロックの表面に取り外し可能に被せられるデスポ容器を有するので、試料の回収や整理・保存、ブロックのクリーニング、装置のメンテナンスなどの操作性などを格段に向上させることができる。
【0026】
本発明の微粒子分級装置は、デスポ容器が、ポケット内を遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に区画して複数の収容室を形成する形状を有していることが好ましい。
【0027】
本発明によれば、デスポ容器が、ポケット内を遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に区画して複数の収容室を形成する形状を有しているので、分離流路内のローター回転軸方向位置により微粒子試料の分級条件に差異が生じたとしても、また、その差異の発生状況が試料粒子や分離条件により異なるとしても、差異に応じた微粒子を各収容室に収容でき、容易に対応出来る。また、分離流路と各収容室との間での液相運動のデカップリングをより確実に行うことができる。
【0028】
本発明の微粒子分級方法は、遠心ローター内の分離流路にて、微粒子試料から分離対象とする微粒子をキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いた微粒子分級方法であって、分離流路の上流部に設けた連続密度勾配形成器により、キャリア液相の動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態である連続密度勾配を形成し、分離流路内で、キャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収を時間連続的に行い、微粒子の回収は、分離流路の流路外壁に到達した微粒子を流路外壁に設けられたポケットに収容し、遠心ローターの回転停止後にポケットから回収する半連続方式とすることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、粒径に応じて異なる流路外壁位置あるいは流路内壁位置に到達した微粒子をそのままポケットに収容する形でその位置に留まらせ、流路方向等に移動するのを防ぐことができ、精密に分級された所望の粒径を有する微粒子を容易に取得することができる。
【0030】
本発明の微粒子分級方法は、上記した微粒子分級装置を2台用いて、第1の微粒子分級装置で微粒子の分離を行う第1分級処理と、第2の微粒子分級装置で微粒子の分離を行う第2分級処理とを交互に行うことを特徴とする。本発明によれば、時間的に完全連続モードで運転することができる。
【0031】
本発明の微粒子分級方法は、第1分級処理中に、第2の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、第2の微粒子分級装置を、遠心ローターが一定回転数で回転され、かつ、キャリア液相が一定流速で供給されるスタンバイ状態とする工程と、微粒子試料の供給先を第1の微粒子分級装置から第2の微粒子分級装置に切り替えて、第2分級処理を行う工程と、第2分級処理中に、第1の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、第1の微粒子分級装置をスタンバイ状態とする工程と、微粒子試料の供給先を第2の微粒子分級装置から第1の微粒子分級装置に切り替えて、第1分級処理を行う工程とを、順番に繰り返し行うことを特徴とする。本発明によれば、時間的に完全連続モードで運転でき、かつ、微粒子の高い分離精度を維持することができる。
【発明の効果】
【0032】
上記構成を有する微粒子分級装置によれば、分離流路の動径方向外側に位置する流路外壁と前記分離流路の動径方向内側に位置する流路内壁の少なくとも一方に、微粒子試料から分離された微粒子を収容可能なポケットが設けられているので、粒径別に流路外壁あるいは流路内壁に到達した微粒子をそのままポケットに収容して、その場所に留まらせることができ、流路方向等に移動するのを防ぐことができる。したがって、遠心ローターの回転停止後にポケットから微粒子を回収することによって、精密に分級された所望の粒径を有する微粒子を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】微粒子分級装置の分離流路と連続密度勾配形成器の斜視図。
【図2】分離流路と連続密度勾配形成器を遠心ローターに配置した様子を示した図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】微粒子の大きさによる流路外壁への移動の相異を説明する図。
【図5】連続密度勾配形成器の実施例1を説明する図。
【図6】連続密度勾配形成器の実施例2を説明する図。
【図7】図6の一部拡大図。
【図8】連続密度勾配形成器の実施例3を説明する図。
【図9】図8の一部拡大図。
【図10】連続密度勾配形成器の実施例4を説明する図。
【図11】図10の一部拡大図。
【図12】実施例4の連続密度勾配形成器をローター回転軸方向の上方から見た図。
【図13】スリットによるキャリア液相の攪拌作用を説明する図。
【図14】スリットの構成を説明する正面図。
【図15】動径方向位置と密度勾配との関係を示すグラフ。
【図16】本実施の形態における遠心ローターの一例を示す斜視図。
【図17】ポケット列の一具体例を示す斜視図。
【図18】図18は、ポケット列の平面図。
【図19】ポケット列の他の具体例を示す斜視図。
【図20】デスポ容器が被せられたブロックの他の一例を断面で示す図
【図21】図20のデスポ容器をブロックから取り外して専用スタンドに保持させた状態を断面で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施の形態>
次に、本実施の形態について以下に図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態における微粒子分級装置の分離流路と連続密度勾配形成器を示す斜視図、図2は、分離流路と連続密度勾配形成器を遠心ローターに配置した様子を示した図、図3は、図2のA−A線断面図である。
【0035】
本発明の微粒子分級装置及び方法は、遠心ローター2内にてキャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収が時間的に連続で行われる分離流路で、微粒子試料から分離対象とする微粒子をキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いたものである。
【0036】
本実施の形態における微粒子分級装置1は、上下を回転自在に支持された遠心ローター2と、遠心ローター2を高速で回転駆動させる駆動モータ(図示せず)を有している。
【0037】
遠心ローター2は、回転軸に沿って回転軸両端から回転シールなどにより複数の流路が接続されており、これら複数の流路を介して、キャリア液相や微粒子試料の供給と、分級後のキャリア液相や微粒子の回収が行われる。
【0038】
遠心ローター2内には、図1及び図2に示すように、遠心ローター2の周方向に沿って円弧状に延在する分離流路3が設けられており、その分離流路3の上流部に連続密度勾配形成器4が連結された構造を有している。
【0039】
分離流路3は、図2に示すように、上流側から下流側に向かってキャリア液相を流すことができるようになっている。例えば、図3に示すように、閉断面形状を有しており、所定の高さ幅を有して回転中心を中心として湾曲する流路内壁(分離流路3の動径方向内側の流路壁)3aと、該流路内壁3aの径方向外側に対向する流路外壁(分離流路3の動径方向外側の流路壁)3bと、流路内壁3aの上端部と流路外壁3bの上端部との間に亘って平面状に延在する上面壁3cと、流路内壁3aの下端部と流路外壁3bの下端部との間に亘って平面状に延在する下面壁3dを有する。
【0040】
連続密度勾配形成器4は、分離流路3の上流部に連結されており、キャリア液相に溶解している溶質(密度勾配材と呼ばれる)の濃度を変えることにより、液相密度の制御を行う。連続密度勾配形成器4の上流部(入口)には、例えば図2に示すように2本またはそれ以上の液相供給チューブが接続され、これらの液相供給チューブを通して、異なるバルク密度を持つ少なくとも2以上の密度勾配材溶液が連続的に供給される(キャリア液相供給手段)。例えば、動径方向内側にバルク密度の低いキャリア液相が供給され、動径方向外側にバルク密度の高いキャリア液相が供給される。バルク密度は2種類に限定されるものではなく、3種類以上であってもよい。
【0041】
連続密度勾配形成器4の下流部からは、遠心ローター2の動径方向rの変化方向、すなわち、動径方向外側に向かって連続的に増大する密度勾配(連続密度勾配)を持つキャリア液相が出てくることになる。連続密度勾配形成器4は、キャリア液相の連続密度勾配を形成する(不連続な密度変化を必要なだけ滑らかにする)のに必要な長さをローター円周方向(流れの方向)に有する。
【0042】
連続密度勾配形成器4は、連続密度勾配形成器4の上流部から、密度の異なる二種類のキャリア液相が連続的に供給されると、連続密度勾配形成器4を通過する間に、これら二種類のキャリア液相を互いにマージして、動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態に転換して連続密度勾配を形成し、その連続密度勾配を有するキャリア液相を分離流路3の上流部に時間連続で供給する。連続密度勾配形成器4の内部構成については、後述する。
【0043】
分離流路3の上流部には、分離流路3内に微粒子試料を注入する試料注入ポート5が設けられている。試料注入ポート5は、分離流路3の上流部で且つ流路内壁3aの近傍に配置されている。
【0044】
試料注入ポート5は、本実施の形態のように微粒子Pがキャリア液相より重い沈降モードでは分離流路3の流路内壁3aに近い位置に配置されるが、微粒子Pがキャリア液相より軽い浮上モードでは分離流路3の流路外壁3bに近い位置に配置される。試料注入ポート5は、試料供給チューブを介して試料ポンプ(図示せず)に接続されており、微粒子Pを含む試料液からなる微粒子試料を分離流路3の上流部に連続的に供給するようになっている。
【0045】
分離流路3の上流部から時間連続で供給されたキャリア液相と微粒子試料は、高速回転している遠心ローター2の分離流路3内を上流側から下流側に向かって数分から数十分かけて移動する。
【0046】
図4は、図2と同じ方向から遠心ローター2内の分離流路3を眺めた原理説明図であり、簡単のために直交座標系により表示したものである。図の上方にローター回転軸が位置し、縦軸方向上方から下方に向かう方向である動径方向外側に向かって遠心力が作用している。
【0047】
キャリア液相は、連続密度勾配形成器4によって動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態に転換されて連続密度勾配とされた状態で分離流路3内を上流から下流に時間連続で流れており、試料注入ポート5から微粒子試料が時間連続で供給される。
【0048】
試料注入ポート5から分離流路3内に注入された微粒子試料の微粒子Pは、分離流路3内を流れるキャリア液相と共に上流から下流に移動し、かつ、遠心力によって分離流路3内を動径方向に移動する。そして、分離流路3を移動する間に、粒径の大きい微粒子Pほど外方へ速やかに沈降して分離流路3の流路外壁3bに到達する。
【0049】
微粒子Pの回収は、時間連続的に行われ、例えば、分離流路3に設けられた目的試料回収ポート6から目的の大きさを有する微粒子を回収する完全連続方式としてもよく、また、分離流路3の下流部に設けられた液相(及び微粒子のその他の画分)回収ポートからキャリア液相を回収しながら流路外壁3bに沈積させた微粒子Pを遠心ローター2の回転停止後に回収する半連続方式としてもよく、また、完全連続方式と半連続方式の両方を採用してもよい。
【0050】
目的試料回収ポート6は、例えば図4に示すように、1カ所で済ませる方式も可能であり、また、複数箇所に設けることもできる。試料注入ポート5と目的試料回収ポート6は、沈降(又は浮上)距離に関する微粒子P毎の差異を小さくするために、動径方向に狭い幅(小さいΔr)を有している。
【0051】
次に、連続密度勾配形成器4の構成について図5から図15を用いて説明する。
連続密度勾配形成器4は、図5等に示すように、上流側から下流側に向かってキャリア液相が流れる流路部11と、流路部11内を流れるキャリアを攪拌させる攪拌手段12を有する。攪拌手段12は、流路部11内を流れるキャリア液相の流れエネルギーの一部を攪拌エネルギーに変換して、密度勾配材の拡散を能動的に促進させることで、キャリア液相の動径方向の密度勾配を階段状のもの(キャリア液相の動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在する様態)から連続状のもの(キャリア液相の動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態)に速やかに転換する構成を有している。
【0052】
攪拌手段12は、流路部11をキャリア液相が流れる方向に対して垂直な平面で切った流路断面内において、キャリア液相の流れをブロックする部分と、キャリア液相が通過可能な部分とを有し、通過しようとするキャリア液相に不均一な作用を及ぼす不均一構造を有する。この不均一構造によって、キャリア液相は、流路断面内に構造物が何も存在しない場合と比較して、流路断面内のどの位置を通過しようとするかに依存して、ブロックされたり、あるいは通過を許されたりという具合に、攪拌手段12によって顕著に異なる作用を受ける。
【0053】
例えば、攪拌手段12は、流路部11内を上流側と下流側に仕切る仕切部と、仕切部に動径方向に所定間隔をおいて設けられたキャリア液相が通過可能な通過部とを有しており、通過部を通過する際にキャリア液相の流れが乱れるのを利用してキャリア液相を攪拌させるように構成されている。
【0054】
このような不均一構造について、仕切部でキャリア液相の流れを完全にブロックし、通過部でキャリア液相を自由に通過させるという構造は同じでも、例えば、仕切部に対する通過部の流路断面に占める面積比(開口率に相当)を小さくすることで、不均一性をさらに大きくすることができる。それは、仕切部では流速が0となるのに対して、通過部での流速は、開口率が小さくなるほど大きくなる、すなわち、それだけ、仕切部と通過部との間のコントラストが大きくなる結果として理解できる。
【0055】
図5は、連続密度勾配形成器の実施例1を示す図である。連続密度勾配形成器4の流路部11は、分離流路3とほぼ同一の断面形状を有しており、説明の便宜上、図5では、上面壁を省略して示している。
【0056】
例えば、図5に示す実施例1の連続密度勾配形成器4は、流路部11内において、複数の棒状部材である丸棒(円柱)13を動径方向に所定間隔をおいて並べて、その動径方向に並べられた複数本の丸棒13を一組とし、複数の組がキャリア液相の流れ方向に所定間隔をおいて連続するように設けられている。そして、上流側と下流側に対向する各組の丸棒13同士の位置が、キャリア液相の流れ方向に重ならないように、動径方向に互い違いに配置されている。
【0057】
したがって、これらの動径方向に並べられた複数本の丸棒13によって流路部11内が上流側と下流側に仕切られて仕切部が形成され、各丸棒13の間に形成された間隙によって通過部が形成される。この連続密度勾配形成器4によれば、各丸棒13の間にキャリア液相を通過させることによって、丸棒13の軸方向に直交する方向に選択的に攪拌を引き起こさせることができる。
【0058】
したがって、流路部11の流路方向の長さが短くても、流路部11内を流れるキャリア液相を動径方向に十分に攪拌することができ、動径方向の密度勾配を階段状のものから連続状のものに速やかに転換して連続密度勾配を形成することができる。
【0059】
図6は、連続密度勾配形成器の実施例2を示す図であり、流路部内をローター回転軸方向の上方から見たものである。そして、図7は、図6の一部を拡大して示す図である。
【0060】
図6に示す実施例2の連続密度勾配形成器4は、複数の丸棒13を図5に示すものよりも密に並べた構成を有している。複数の丸棒13を密に並べた構造の方が、図7に示すように、各丸棒13の間を通過する際のキャリア液相の攪拌が、動径方向においてより多く行われ、動径方向の混合を積極的に促進させることができる。なお、各丸棒13は、流路部11のカーブに対応するために、動径方向外側に向かって移行するにしたがって、丸棒13の径が太くなるように形成されている。なお、実施例1、2では、棒状部材の例として丸棒の場合を例に説明したが、丸棒に限定されるものではなく、断面が正四角形、正六角形、正八角形等の角棒など、他の棒形状でもよい。
【0061】
図8は、連続密度勾配形成器の実施例3を示す図、図9は、図8の一部拡大図である。図8に示す実施例3の連続密度勾配形成器4は、流路部11内を上流側と下流側に仕切る仕切板21を有しており、その仕切板21には、動径方向に所定間隔をおいて円形孔(穴部)22が設けられている。
【0062】
円形孔22は、流路部11の流路幅W及び流路高さHの方向に所定間隔をあけて複数個が設けられている。仕切板21は、動径方向に沿って延在するように配置されており、流路部11の流れ方向に所定間隔をあけて複数枚が設けられている。
【0063】
上記構成を有する実施例3の連続密度勾配形成器4によれば、円形孔22にキャリア液相を通過させることによって、図9に示すように、円形孔22から孔径方向外側に向かって全方向に均等に攪拌を引き起こさせることができる。したがって、流路部11の流路方向の長さが短くても、流路部11内を流れるキャリア液相を動径方向に十分に攪拌することができ、動径方向の密度勾配を階段状のものから連続状のものに速やかに転換して連続密度勾配を形成することができる。
【0064】
したがって、連続密度勾配形成器4の長手方向の長さを短くすることができ、その分だけ分離流路3の長さを長く取ることができるなど、ローター寸法上の制約を緩和することができる。また、図5〜図7に示す丸棒13を用いた攪拌方法(実施例1、2)と比較して、流路部11の空隙部分の実体積が減少する割合が少なく、流路部11内における流れの線速度の上昇を抑制することができる。そして、丸棒13よりも、シンプル且つ頑丈な構造(耐遠心力性)とすることができる。
【0065】
図10は、連続密度勾配形成器の実施例4を示す図、図11は、図10の一部拡大図、図12は、実施例4の連続密度勾配形成器をローター回転軸方向の上方からみた図である。そして、図13は、スリットによるキャリア液相の攪拌作用を説明する図、図14は、スリットの構成を説明する図である。
【0066】
図10に示す実施例4の連続密度勾配形成器4は、図8および図9に示す円形孔22の代わりに、仕切板21にスリット(穴部)23を設けたものである。スリット23は、図10および図14に示すように、動径方向に直交する方向(ローター回転軸方向と平行)に延在する形状を有し、複数本が動径方向に所定間隔をあけて配置されている。スリット23は、キャリア液相を通過させることによって、図11および図13に示すように、スリット23からスリット23の長手方向と垂直な方向に攪拌を引き起こさせることができる。
【0067】
したがって、攪拌が求められている動径方向(遠心力方向)に選択的に攪拌を引き起こさせることができ、実施例3の円形孔22と比較して、より少ない流通抵抗で攪拌させることができる。したがって、仕切板21により発生する流通抵抗を抑えつつ、動径方向に十分な攪拌力を発生させることができる。
【0068】
キャリア液相は、図13に示すように、動径方向に隣り合う2つのスリット23、23を通過すると、動径方向に沿って互いに接近する方向に流れて、スリット23の長手方向と垂直な方向に攪拌を引き起こさせる。したがって、キャリア液相の動径方向の攪拌を更に促進させることができる(キャリア液相の運動に対するコリオリ力による)。
【0069】
仕切板21の外形寸法は、主として、分離流路3の断面寸法で決まる。流れの線速度(システム全体としての運動方針で決まる)と、図14に示す各パラメータa〜d(特定寸法)等により、仕切板1枚当たりの攪拌(液相マージ)効率、流通抵抗、構造強度などが決まる。
【0070】
例えば、全長90cmの分離流路3を30分という時間をかけてキャリア液相がゆっくりと流れる場合、分離流路3での流速は0.5mm/秒である。したがって、仮に、連続密度勾配形成器4が、幅0.2mmのスリット23を動径方向に4mm間隔で並べた仕切板21を有する場合、開孔率は(孔面積の合計/仕切板面積)は5%以下になり、キャリア液相がスリット23を通過する際の流速は、10mm/秒以上になる。もしこれで、連続密度勾配形成器4による擾乱の起き方が足りないという場合には、動径方向のスリット間隔dを更に大きくするか、スリット幅bを狭くすることにより、更に擾乱させることができる。
【0071】
なお、実施例4では、図14に示すように、スリット23がローター回転軸方向に3段に分けられた場合を例に説明したが、この実施例に限定されるものではなく、例えば、遠心力が作用する下でのスリットの歪みが所定範囲内に収まる構造強度が得られるのであれば、2段に分ける構成や、上下に分けることなく上端と下端との間に亘って延在する構成としてもよい。
【0072】
このように、実施例4の連続密度勾配形成器4によれば、流路部11の流路方向の長さが短くても、流路部11内を流れるキャリア液相を動径方向に十分に攪拌することができ、動径方向の密度勾配を階段状のものから連続状のものに速やかに転換して連続密度勾配を形成することができる。
【0073】
したがって、実施例3と比較して、キャリア液相のマージをより効果的に実現でき、連続密度勾配形成器4の長手方向の長さを更に短くすることができる。また、図4及び図5に示す丸棒13を用いた攪拌方法と比較して、流路部11の空隙部分の実体積が減少する割合が少なく、流路部11内における流れの線速度の上昇を抑制することができる。そして、丸棒13よりも、シンプル且つ頑丈な構造(耐遠心力性)とすることができる。
【0074】
なお、実施例3、4の仕切板21は、流路部11内に着脱自在に設けられており、例えば仕切板21の抜き差しにより、仕切板21の枚数、円形孔22やスリット23の大きさ、幅、数、分布などのパラメータを自由に調整できる。このパラメータ調整機能により、密度勾配の深さなど、分離条件の最適化を容易に行うことができる。
【0075】
また、上述の各実施例において、丸棒13の太さ、形状、本数、動径方向における配置間隔、あるいは、仕切板21の円形孔22やスリット23の大きさ、幅、数、分布の少なくとも一つを、流路部11内の流れ方向における配置位置に応じて変更することができる。
【0076】
例えば、連続密度勾配形成器4に供給されるキャリア液相が2種類の場合を例に説明すると、連続密度勾配形成器4の上流部分(2つのキャリア液相のマージ過程が始まって間もなくの部分)においては、流路部内の動径方向中間位置に急峻な液相密度の勾配が存在する。このような液相密度の勾配が急峻な部位で拡散促進を図るには、一般に強い攪拌力が要求される。
【0077】
一方、動径方向外側の流路外壁3b付近及び動径方向内側の流路内壁3a付近では、液相密度は、ほとんどフラットであり、このような部位でキャリア液相を攪拌しても拡散を促進することにならないので意味がない。
【0078】
そこで、連続密度勾配形成器4の上流部分においては、仕切板21の穴部(円形孔22やスリット23)などの攪拌力発生部位を、キャリア液相の密度勾配が急峻となる位置である流路部の動径方向中間位置などにしかるべく集中して設けることによって、効率よく連続密度勾配を形成することができる。
【0079】
本発明は、流れのエネルギーの一部を攪拌のエネルギーに変換して利用するという原理に基づくものであり、攪拌エネルギーには限りがある。したがって、上記したように攪拌エネルギーが必要なところに攪拌力発生部位を集中して配置することによって、連続密度勾配を形成する効率を上げることができる。
【0080】
次に、粒径分布の広い微粒子試料からシャープな粒径分画を高い回収率で回収する方法について説明する。
連続密度勾配形成器4の下流部には、図6、図12に示すように、流路部11内を動径方向内側と外側に仕切る隔壁部24が設けられている。隔壁部24は、試料注入ポート5から上流側に向かって、連続密度勾配形成器4の流路部11の途中位置まで空間的に連続しており、流路部11のローター回転軸方向に亘って隙間なく仕切っており、この区間における動径方向の物質移動を遮断している。
【0081】
したがって、隔壁部24を間に介して径方向内側と径方向外側との間に亘る流路部11内のキャリア液相の攪拌が隔壁部24の上流端から下流端(試料注入ポートの位置)まで遮断され、試料注入位置において密度勾配の段差を生じさせることができる。
【0082】
図15は、動径方向位置と密度勾配との関係を示すグラフであり、図15に実線で示す密度勾配プロファイルは、隔壁部24が設けられている場合に生じる密度勾配を示し、図15に点線で示した密度勾配プロファイルは、隔壁部24が設けられていない場合に生じる密度勾配を示している。
【0083】
この隔壁部24を設けることによって、図15に実線で示すように、試料注入位置におけるキャリア液相のバルク密度の許容範囲を広げることができる。したがって、微粒子試料のバルク密度と試料注入位置におけるキャリア液相のバルク密度を容易に一致させることができ、微粒子試料のバンド幅の幅広化を防ぐことができる。したがって、試料注入ポートの動径方向幅を沈降距離に比して十分に狭くすることができ、粒径分布の広い原試料から、非常にシャープな粒径画分を高い回収率で回収することができる。
【0084】
上記構成を有する連続密度勾配形成器4によれば、微粒子試料を分散担持しているキャリア液相の流れのエネルギーを密度勾配材の能動的拡散過程に転換・利用することができ、より短い距離で連続密度勾配を形成することができる。したがって、外形寸法をコンパクトに保つことができ、装置全体のデザインの融通性を大幅に向上させることができる。
【0085】
次に、本実施の形態における微粒子Pの回収方法について説明する。
微粒子Pの回収は、分離流路3に設けられた目的試料回収ポート6から目的の大きさを有する微粒子Pを回収する完全連続方式と、分離流路3の下流部に設けられた液相回収ポートからキャリア液相を回収しながら流路外壁3bに沈積させた微粒子Pを遠心ローター2の回転停止後に回収する半連続方式の両方を採用している。
【0086】
そして、半連続方式として、分離流路3の流路外壁3bに、窪みであるポケットを凹設して、流路外壁3bに到達した微粒子Pをポケットに収容し、回収する方式を採用している。
【0087】
図16は、本実施の形態における遠心ローターの一例を示す斜視図である。上述の実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0088】
遠心ローター30は、ローター本体31と蓋体41を有している。ローター本体31は、例えばアルミニウム合金等の金属製材料によって構成された所定の厚みを有する円盤形状を有しており、その上面には、凹溝32が凹設されている。凹溝32は、遠心ローター30の回転中心を中心として周状に形成されている。
【0089】
蓋体41は、例えばアクリルあるいはガラスなどの透明の板材であって所定の板厚を有する円板からなり、ローター本体31の上面に重ね合わせることで凹溝32の上方を閉塞し、本体と協働して遠心ローター30内に分離流路3を形成する構成を有している。
【0090】
ローター本体31の上面には、凹溝32よりも外周側と内周側にそれぞれシール溝が凹設されて、小径のOリング33と大径のOリング34が装着されており、蓋体41と密接してシールするようになっている。
【0091】
凹溝32の上流部には、上述の実施例4に対応する連続密度勾配形成器4が設けられており、その連続密度勾配形成器4の下流側に分離流路3が形成されている。特に図示しないが、蓋体41には、凹溝32の上流部で連続密度勾配形成器4の上流側にキャリア液相を供給するための供給口と、凹溝32の下流部でキャリア液相を回収するための回収口が設けられている。
【0092】
連続密度勾配形成器4は、実施例4の構成に限定されるものではなく、実施例1〜3の構成や、動的拡散促進型の他、静的拡散促進型のものを採用してもよい。
【0093】
分離流路3は、上流部に試料注入ポート5が取り付けられ、下流部に目的試料回収ポート6が取り付けられている。そして、分離流路3の流路外壁3bには、本発明の特徴的な構成であるポケット列35Aが設けられている。
【0094】
ポケット列35Aは、複数のポケット35を、流路方向に所定間隔をおいて並ぶように配設することによって形成されている。ポケット35は、流路外壁3bから動径方向に所定深さだけ窪んだ井戸形状を有しており、流路外壁3bに到達した微粒子を収容可能な大きさを有している。
【0095】
図17は、ポケット列の一具体例を示す斜視図であり、図18は、ポケット列の平面図、図19は、ポケット列の他の具体例を示す斜視図である。
【0096】
分離流路3は、凹溝32の動径方向外側の溝壁面に円弧状のブロック36を嵌め込むことができるように構成されている。ブロック36は、ローター本体31に着脱可能に取り付けられて、分離流路3の流路外壁3bの一部を構成する。ブロック36には、複数のポケット35が設けられている。各ポケット35は、ブロック36をローター本体31に取り付けた状態で、分離流路3の流れ方向に所定ピッチをもって配設されてポケット列35Aを形成するように、ブロック36の表面に形成されている。ポケット列35Aは、分離流路3の上流部から下流部まで連続して配置されている。
【0097】
図17に示すポケット35は、遠心ローター30の回転中心軸線に沿った方向(凹溝32の深さ方向)に延在する溝形状を有しており、一つのブロックに9列設けられている。そして、図19に示すポケット35は、その溝内をさらに回転中心軸線に沿った方向に区画した複数の収容室35aを形成する形状を有しており、一つのブロックに9列7段の合計36個の収容室35aが設けられている。
【0098】
各ポケット35は、図18に示すように、流路外壁3bに到達した微粒子Pをポケット35内に沈降させて収容し、その場所に留まらせることができ、流路方向等に移動するのを防ぐことができる。
【0099】
このように、複数のポケット35を分離流路3の流路方向に並べたポケット列35Aを配置することによって、粒径に応じて分離展開された多くの分画を同時並行的に受け止めて回収する多数分画同時回収が可能となる。したがって、分解能を落とすことなく、少ない試料損失で、かつ一度に、粒径値が少しずつ異なる(しかし分画同士の重なりは少ないシャープな)多数の分画を得ることが可能となる。
【0100】
そして、図19に示すポケット35によれば、遠心ローター30の回転中心軸線に沿った方向に区画した複数の収容室35aを有しているので、分離流路3内で遠心ローター30の回転中心軸線に沿った方向の位置(凹溝32の深さ方向位置)により微粒子Pの分級条件に差異が生じたとしても、また、その差異の発生状況が試料粒子や分離条件により異なるとしても、差異に応じた微粒子Pを各収容室35aに収容でき、容易に対応出来る。また、分離流路3と各収容室35aとの間での液相運動のデカップリングがより確実になる。
【0101】
また、ポケット35が設けられているブロック36を凹溝32の溝壁面に嵌め込む構造を有するので、ブロック36の交換によって、各ポケット35の大きさや形状等の仕様を容易に変更できる。したがって、ローター本体31を変更することなく、回収分画の刻みの細かさを容易に調整できる。また、試料の回収やポケット35のクリーニング、装置のメンテナンスが容易になる。したがって、多数の試料分画を同時に扱うことになる場合の、試料のハンドリングを含めたトータルとしての操作性を向上させることができる。
【0102】
なお、複数のポケット35によりポケット列35Aを形成することによって流路外壁3bが滑らかな曲面ではなくなるが、沈降が起こる分離場の整序性は、連続密度勾配により守られているので、ポケット列35Aによって分離流路3内に擾乱が発生したとしても沈降過程にまで影響することはない。
【0103】
ポケット35を設ける箇所は、分離流路3の流路外壁3bに限定されず、流路外壁3bの代わりに流路内壁3aに設ける、あるいは流路外壁3bと流路内壁3aの両方に設けてもよい。例えば、キャリア液相よりも密度が小さい微粒子を含む微粒子試料を遠心分離すると、その微粒子は沈降せず浮上する(浮上分離という)。原理的には、沈降分離と全く同じである。したがって、流路内壁3aにポケットを設けて、浮上分離により流路内壁3aに到達した微粒子を、そのポケット内に収容することもできる。
【0104】
また、ポケット35の表面に樹脂製などのデスポ容器を取り外し可能に被せて、試料の回収や整理・保存、ブロック36のクリーニング、装置のメンテナンスなどの操作性をさらに向上させてもよい。デスポ容器を使用することによって、ポケット35からの試料の掻き出しや器壁のクリーニング等の作業を不要にでき、作業効率を向上させることができる。また、ブロック36やデスポ容器の形状を自由に設定することができ、成型等が容易になる。そして、製造上の都合によるブロック36の切れ目に対応でき、クロスコンタミを防止できる。
【0105】
デスポ容器37は、例えば図17や図19に示すポケット35の表面形状に一致する形状の他に、例えば図17に示す溝形状を有するポケット35の表面に被せた場合に、ポケット35内を、遠心ローター30の回転中心軸線に沿った方向(凹溝32の溝深さ方向)に区画して複数の収容室を形成する形状としてもよい。
【0106】
図20は、デスポ容器が被せられたブロックの他の一例を断面で示す図、図21は、図20のデスポ容器をブロックから取り外して専用スタンドに保持させた状態を断面で示す図である。
【0107】
この実施例では、ポケット35の溝幅が底方向(動径方向)に移行するにしたがって漸次狭くなる形状を有している。そして、ポケット35の入口部において、液相流れ方向F上流側に位置する一部壁面36aが平面状に面取りされた形状を有しており、上流側から流れてきた微粒子Pを入口部からポケット35内に積極的に導き入れるようになっている。デスポ容器37は、ポケット35の表面に隙間なく被せられている。
【0108】
そして、図21に示すように、デスポ容器37をブロック36から取り外して専用スタンド38に保持させることで、各収容室37aに収容した微粒子Pの回収を容易なものにすることができる。また、フッ素ゴムなどで裏打ちした蓋で抑えることで、収容室37a内の気密性を保持でき、デスポ容器37が遠心で変形しても収容できる。
【0109】
なお、ポケット35やデスポ容器37の収容室37aからの試料の回収は、専用治具で掻き取る、あるいは、スポイトで液相を噴入して、液相に試料を懸濁させて吸入するなどの方法により行われる。
【0110】
遠心ローター30は、分離流路3の流路外壁3bに設けられたポケット列35Aにより、試料の回収を集積的に行うので、回収試料の粒径分布を精密評価できる。遠心ローター30は、図16に示すように、複数のブロック36が、試料注入ポート5の近傍位置から目的試料回収ポート6の近傍位置に亘って連続して配置されており、分離流路3における分離条件が安定化されている。
【0111】
完全連続方式あるいは半連続方式の場合、粗大粒子が分離流路3の流路外壁3bに沈積するので、分離流路3の実効流路幅が次第に狭くなるという問題があった。試料を乗せたキャリア液相が流れる線速度は、分離流路3に注入する体積流速で制御することから、実効流路幅が狭くなるということは流れの線速度の増大を意味し、連続運転の間に分離条件が変化することになる。流路外壁3bへの沈積は、特に、分離流路3の流路幅が狭い場合に影響が大きく、粒径分布の精密評価に影響を与えるおそれがある。
【0112】
これに対して、本装置では、分離流路3の上流部から下流部に亘ってポケット列35Aを設けているので、分離流路3に沈積物が発生しても、それは各ポケット35に落とし込まれ、分離流路3の実効断面積は変化しない。そして、沈積物が発生した場合、そのことによりキャリア液相から固相が失われることになるが、それと交換に、失われた固相の体積とちょうど等しい体積の液相がポケット35の内部から涌き出てくるので、移動相全体の体積は変らない。
【0113】
したがって、分離流路3の実効流路幅が常に一定に保たれて、分離流路3における分離条件が安定化されており、連続運転の間に分離条件が変化するのを防ぐことができ、精密分級を行うことができる。
【0114】
なお、上記した実施の形態では、ポケット列35Aを微粒子Pの回収に用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えばポケット列35Aを試料の回収には用いず、上記した分離条件の安定化のためだけに用いてもよい。また、完全連続型の試料回収方式において、ポケット列35Aを分離条件の安定化と微粒子の回収の両方に使用することもできる。
【0115】
本実施の形態における微粒子分級装置によれば、分離流路3の動径方向外側に位置する流路外壁3bに、微粒子試料から分離された微粒子Pを収容可能なポケット35が設けられているので、粒径別に流路外壁3bに到達した微粒子Pをそのままポケット35に収容して、その場所に留まらせることができ、流路方向等に移動するのを防ぐことができる。したがって、遠心ローター30の回転停止後にポケット35から微粒子Pを回収することによって、精密に分級された所望の粒径を有する微粒子Pを取得することができる。
【0116】
また、上記した実施の形態では、1台の微粒子分級装置を用いた微粒子分級方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば微粒子分級装置を2台用いて、第1の微粒子分級装置で微粒子の分離を行う第1分級処理と、第2の微粒子分級装置で微粒子の分離を行う第2分級処理とを交互に行う方法を採用してもよい。
【0117】
例えば、第1分級処理中に、第2の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、第2の微粒子分級装置を、遠心ローターが一定回転数で回転され、かつ、キャリア液相が一定流速で供給されるスタンバイ状態とする工程と、微粒子試料の供給先を第1の微粒子分級装置から第2の微粒子分級装置に切り替えて、第2分級処理を行う工程と、第2分級処理中に、第1の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、第1の微粒子分級装置をスタンバイ状態とする工程と、微粒子試料の供給先を第2の微粒子分級装置から第1の微粒子分級装置に切り替えて、第1分級処理を行う工程とを、順番に繰り返し行う。これにより、時間的に完全連続モードで運転でき、かつ、微粒子の高い分離精度を維持することができる。
【0118】
例えば、バッチ運転の場合、運転始めに遠心ローターの加速過程、運転終わりに遠心ローターの減速過程が存在し、これらの部分での遠心条件を厳密に再現することが困難であった。しかし、整定(定速)回転の部分だけであれば、回転速度を検出してフィードバックする機構内の計時機能の精度が極めて高いことから、高い精度で回転数の再現が可能である。また、第1の微粒子分級装置と第2の微粒子分級装置との間で、遠心ローターの幾何学的寸法を高い精度で揃えることや、第1の微粒子分級装置用のキャリア液相送液ポンプの流速と第2の微粒子分級装置用のキャリア液相送液ポンプの流速を事前に相互校正しておくことも可能である。また、一つのキャリア液相ポンプを切り替えて第1の微粒子分級装置と第2の微粒子分級装置で使用することも可能である。このように、第1の微粒子分級装置と第2の微粒子分級装置の間の分離条件を高い精度で揃えることが可能である。あるいは、第1の微粒子分級装置の試料と第2の微粒子分級装置の試料を別々に回収してもよい。以上のやり方により、第1の微粒子分級装置と第2の微粒子分級装置との間の試料分離条件を厳密に揃える必要もなくなる。
【0119】
<第2実施の形態>
次に、第2実施の形態について説明する。
上記した第1実施の形態は、キャリア液相に溶解している密度勾配材の濃度を変えることにより、キャリア液相中に密度勾配を形成するものであるが、本実施の形態では、キャリア液相中に温度勾配を形成することによって、キャリア液相中に密度勾配を形成することを特徴としている。具体的には、連続密度勾配形成器の上流側、あるいは、入口部(上流部)において、第1実施の形態における異なる濃度の密度勾配材の代わりに、温度の異なる少なくとも2以上のキャリア液相を供給して、動径方向への熱拡散を促進させる構成とする。第1実施の形態では、密度勾配材の輸送が液相分子の移動と並行して起こるのに対して、本実施の形態では、熱輸送が液相分子の移動と並行して起こる。
【0120】
例えば、連続密度勾配形成器4の上流部(入口)に接続された2本またはそれ以上の液相供給チューブを通して、互いに温度の異なる少なくとも2以上のキャリア液相を連続的に供給する(キャリア液相供給手段)。本実施の形態では、遠心ローター2の回転中心側、すなわち、動径方向内側には高温のキャリア液相を供給し、遠心ローター2の回転外側、すなわち、動径方向外側には、低温のキャリア液相を供給する。
【0121】
連続密度勾配形成器4は、攪拌手段12により、流路部11内を流れるキャリア液相の流れを利用してキャリア液相の能動的攪拌を行う。攪拌手段12は、キャリア液相との流れエネルギーの一部を攪拌エネルギーに変換して、キャリア液相の動径方向への熱拡散を能動的に促進させる動的拡散促進方式により連続密度勾配を形成する。
【0122】
したがって、連続密度勾配形成器4の下流部からは、遠心ローター2の動径方向外側に向かって連続的に増大する密度勾配(連続密度勾配)を持つキャリア液相が出てくることになる。
【0123】
このように、連続密度勾配形成器4は、連続密度勾配形成器4の上流部から、動径方向に温度の異なる二種類のキャリア液相が連続的に供給されると、連続密度勾配形成器4を通過する間に、これら高温と低温の二種類のキャリア液相を互いにマージして、キャリア液相の動径方向に温度勾配を形成し、動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない連続密度勾配を形成し、その連続密度勾配を有するキャリア液相を分離流路3の上流部に時間連続で供給することができる。
【0124】
本実施の形態によれば、密度勾配材を用いる必要がないので、試料の分級後に密度勾配材を除去する作業を省略でき、試料処理工程の簡素化を図ることができる。そして、経済性、および、環境への優しさを向上させることができる。
【0125】
上述の第1実施の形態では、バルク密度の異なる2種類のキャリア液相を連続密度勾配形成器4の上流部分に供給する場合を例に説明し、第2実施の形態では、高温と低温の2種類のキャリア液相を連続密度勾配形成器4の上流部分に供給する場合を例に説明したが、キャリア液相の種類は、2種類に限定されず、3以上であってもよい。
【0126】
また、上述の第1の実施の形態では、動径方向内側にバルク密度の低いキャリア液相を供給し、動径方向外側にバルク密度の高いキャリア液相を供給する場合を例に説明し、上述の第2の実施の形態では、動径方向内側に高温のキャリア液相を供給し、動径方向外側に低温のキャリア液相を供給する場合を例に説明したが、各キャリア液相を供給する場所は、連続密度勾配形成器4の上流部分であればよく、特に限定されるものではない。
【0127】
機械的にどのような位置に供給しても、強大な遠心力によって密度の高いものは動径方向外側に自動的に移動して連続密度勾配が形成される。また、動径方向内側にバルク密度の低いキャリア液相あるいは低温のキャリア液相を供給し、動径方向外側にバルク密度の高いキャリア液相あるいは高温のキャリア液相を供給して、動径方向の位置を交換するように移動させて連続密度勾配を形成することもできる。
【符号の説明】
【0128】
1 微粒子分級装置
2 遠心ローター
3 分離流路
4 連続密度勾配形成器
11 流路部
12 攪拌手段
13 丸棒
21 仕切板
22 円形孔(穴部)
23 スリット(穴部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ローター内にてキャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収が時間連続的に行われる分離流路で、前記微粒子試料から分離対象とする微粒子をキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いた微粒子分級装置であって、
前記分離流路の動径方向外側に位置する流路外壁と前記分離流路の動径方向内側に位置する流路内壁の少なくとも一方に、前記微粒子を収容可能なポケットを設けたことを特徴とする微粒子分級装置。
【請求項2】
前記ポケットが前記分離流路の流れの方向に所定ピッチをもって複数配設されてポケット列を形成していることを特徴とする請求項1に記載の微粒子分級装置。
【請求項3】
前記ポケット列が前記分離流路の上流部から下流部まで連続して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子分級装置。
【請求項4】
前記遠心ローターのローター本体に着脱可能に取り付けられて前記分離流路の流路外壁の一部または流路内壁の一部を構成するブロックを有し、
該ブロックの表面に前記ポケットが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の微粒子分級装置。
【請求項5】
前記ポケットは、前記遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に延在する溝形状を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の微粒子分級装置。
【請求項6】
前記ポケットは、前記遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の微粒子分級装置。
【請求項7】
前記ポケットの表面に取り外し可能に被せられるデスポ容器を有することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の微粒子分級装置。
【請求項8】
前記デスポ容器は、前記ポケット内を前記遠心ローターの回転中心軸線に沿った方向に区画して複数の収容室を形成する形状を有していることを特徴とする請求項7に記載の微粒子分級装置。
【請求項9】
前記分離流路の上流部に連結されてキャリア液相の動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態である連続密度勾配を形成する連続密度勾配形成器を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の微粒子分級装置。
【請求項10】
前記連続密度勾配形成器は、上流側から下流側に向かってキャリア液相が流れる流路部と、該流路部内を流れるキャリア液相を少なくとも動径方向に攪拌させる攪拌手段を有し、該攪拌手段により、前記流路部内を流れるキャリア液相の流れエネルギーの一部を攪拌エネルギーに変換して、キャリア液相の密度勾配材の拡散を能動的に促進させる能動的拡散促進方式により前記連続密度勾配を形成することを特徴とする請求項9に記載の微粒子分級装置。
【請求項11】
遠心ローター内の分離流路にて、微粒子試料から分離対象とする微粒子をキャリア液相中において沈降速度法により分離する遠心分離方式を用いた微粒子分級方法であって、
分離流路の上流部に設けた連続密度勾配形成器により、キャリア液相の動径方向の密度勾配について平坦な部分が存在しない様態である連続密度勾配を形成し、
前記分離流路内で、前記キャリア液相の供給と回収、及び微粒子試料の供給と回収を時間連続的に行い、
前記微粒子の回収は、前記分離流路の流路外壁に到達した微粒子を前記流路外壁に設けられたポケットに収容し、遠心ローターの回転停止後に該ポケットから回収する半連続方式とすることを特徴とする微粒子分級方法。
【請求項12】
請求項1に記載の微粒子分級装置を2台用いて、第1の微粒子分級装置で前記微粒子の分離を行う第1分級処理と、第2の微粒子分級装置で前記微粒子の分離を行う第2分級処理とを交互に行うことを特徴とする微粒子分級方法。
【請求項13】
前記第1分級処理中に、前記第2の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、前記第2の微粒子分級装置を、前記遠心ローターが一定回転数で回転され、かつ、前記キャリア液相が一定流速で供給されるスタンバイ状態とする工程と、
前記微粒子試料の供給先を前記第1の微粒子分級装置から前記第2の微粒子分級装置に切り替えて、前記第2分級処理を行う工程と、
前記第2分級処理中に、前記第1の微粒子分級装置のポケットから微粒子を回収して、前記第1の微粒子分級装置を前記スタンバイ状態とする工程と、
前記微粒子試料の供給先を前記第2の微粒子分級装置から前記第1の微粒子分級装置に切り替えて、前記第1分級処理を行う工程とを、順番に繰り返し行うことを特徴とする請求項12に記載の微粒子分級方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−223689(P2012−223689A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92381(P2011−92381)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】