微粒子及びその製造方法
【課題】均一な形状を有し、寸法ばらつきの小さい均質性の高い微粒子、及び寸法、形状、融合状態等の制御が可能である今までにない微粒子の製造方法の提供。
【解決手段】基材の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程とを含む微粒子の製造方法である。
【解決手段】基材の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程とを含む微粒子の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種分野への幅広い応用展開が可能な均質性の高い微粒子、及び該微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、微粒子は、液相や気相の反応により作製されており、その反応を制御することで任意形状及び組成を実現しているが、利用する反応によって、その形状及び組成は限られていた。例えば特許文献1には、凹凸構造に斜め蒸着でワイヤーグリッド偏光子を形成する方法が提案されている。この提案の方法によれば、比較的簡単な工程で、安価な材料からワイヤーグリッド型の偏光子を作製することができる。
しかし、前記特許文献1の方法では、ライン状のワイヤーは作製できるが、微粒子状には形成できず、微粒子として取り出すことは困難である。
また、特許文献2には、凹凸構造上で熱処理により微粒子を作製する方法が提案されている。この提案の方法によれば、所望の粒径の導電性微粒子を安価にバラツキなく製造することができる。
しかし、前記特許文献2では、等方性成膜を行い、得られた膜を熱により離散化しており、球形微粒子しか形成できず、微粒子を基板上に形成することはできるが、微粒子として取り出すことは困難である。
【0003】
したがって形状や融合状態等の制御が可能であると共に、均質性の高い微粒子を効率よく作製できる微粒子の製造方法については、未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−220728号公報
【特許文献2】特開平6−28933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、均一な形状を有し、寸法ばらつきの小さい均質性の高い微粒子、及び寸法、形状、融合状態等の制御が可能である今までにない微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、寸法、形状、及び組成を物理的に直接制御することができるため、反応の限界により作製不可能だった寸法、形状、及び組成についても実現でき、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子などが容易に作製可能となり、偏光子、複屈折材料等の各種分野への幅広い応用展開が可能になることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、
形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程と、を含むことを特徴とする微粒子の製造方法である。
<2> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<3> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<4> インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される前記<3>に記載の微粒子の製造方法である。
<5> 微粒子の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<6> 少なくとも2種の微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行うことにより、積層構造の微粒子を形成する前記<5>に記載の微粒子の製造方法である。
<7> 少なくとも2種の微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行うことにより、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成する前記<5>に記載の微粒子の製造方法である。
<8> 微粒子の取り出しが、粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかで行われる前記<1>から<7>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<9> 粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかが、溶剤による凹凸部の溶解により行われる前記<8>に記載の微粒子の製造方法である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、均一な形状を有し、寸法ばらつきの小さい均質性の高い微粒子、及び寸法、形状、融合状態等の制御が可能である今までにない微粒子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の粒子の製造方法における凹凸部形成工程を示す模式図である。
【図1B】図1Bは、本発明の粒子の製造方法における微粒子形成工程を示す模式図である。
【図1C】図1Cは、本発明の粒子の製造方法における微粒子取出工程を示す模式図である。
【図2A】図2Aは、有機層の表面を平面的に見た一例を示す図である。
【図2B】図2Bは、有機層の表面を平面的に見た他の一例を示す図である。
【図2C】図2Cは、凹部が形成された有機層及び基材の一例を示す断面図である。
【図3】インプリント法により凹凸部を形成する工程を示す図である。
【図4A】実施例1で有機層に形成された凹凸部を示す模式図である。
【図4B】図4Aの凹凸部の一部にアルミニウム微粒子が形成された状態を示す模式図である。
【図5A】実施例2で有機層に形成された凹凸部を示す模式図である。
【図5B】図5Aの凹凸部の一部に銀微粒子が形成された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(微粒子の製造方法及び微粒子)
本発明の微粒子の製造方法は、凹凸部形成工程と、微粒子形成工程と、微粒子取出工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の微粒子は、本発明の前記微粒子の製造方法により製造される。
以下、本発明の微粒子の製造方法の説明を通じて、本発明の微粒子の詳細についても明らかにする。
【0011】
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する工程である。
【0012】
−基材−
前記基材としては、その材質、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材質としては、金属、無機物、有機物などが挙げられ、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、遷移金属が好ましい。該遷移金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金、などが挙げられる。
前記無機物としては、例えばガラス、シリコン(Si)、石英(SiO2)などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、トリアセテートセルロース(TAC)、などが挙げられる。これらの中でも、PET、PC、TACが特に好ましい。
【0013】
−凹凸部の形成−
前記凹凸部は、珪酸土からなる基材のように最初から凹凸部を有するものであっても構わないが、フォトリソグラフィやインプリンティングなどの方法で任意に凹凸部を形成することにより、最終的な微粒子形状を制御することが好ましい。即ち、前記凹凸部は、粒子形成後、除去可能であることが好ましい。したがって、粒子形成で形状がある程度残っている必要があり、また溶剤等で除去可能であることが好ましい。
ここで、図2Cに示すように、基板1の一方の表面1aに、複数の凸部13及び凹部15が一定のピッチで形成されている。この場合、凸部13と、複数の凸部13間に形成された凹部15とを総称して凹凸部とする。
前記凹凸部の断面形状は、直線的な形状に限られず、曲線的であっても構わない。
【0014】
前記凹凸部の形成においては、基材そのものをサンドブラスト加工して凹凸部を形成しても構わないが、基材上に凹凸部を形成可能な層(有機層、インプリント層)を設けて、微粒子取出しの際に、凹凸部を除去する方法が好ましい。具体的には、(1)基材の一の表面に、ヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、(2)基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する方法、などがある。
【0015】
−−前記(1)の凹凸部の形成方法−−
前記ヒートモードの形状変化が可能な有機層は、強い光の照射により光が熱に変換されてこの熱により材料が形状変化して凹部を形成することが可能な層であり、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などを用いることができる。
好適な例としては、例えばメチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。これらの中でも、メチン色素、アゾ色素が特に好ましい。
【0016】
なお、有機層は、レーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
更に、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0017】
以下、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合に対し、有機層として好ましい化合物の例を挙げる。下記III−1〜III−14で表される化合物は、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物である。また、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合の好ましい化合物は、特開2008−252056号公報の段落〔0024〕〜〔0028〕に記載されている化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらの化合物を用いた場合に限定されるものではない。
【0018】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化1】
【0019】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化2】
【0020】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0021】
このような色素型の有機層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃〜40℃の範囲であることが好ましい。下限値が、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが更に好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一にすることができる。なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、有機層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましく、テトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが特に好ましい。
【0022】
塗布液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールが特に好ましい。
前記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0023】
前記塗布方法としては、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用するのが好ましい。
有機層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。
また、色素は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23℃〜50℃であることが好ましく、24℃〜40℃であることがより好ましく、25℃〜30℃であることが更に好ましい。
【0024】
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。
前記有機層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)が好ましく、0.1倍量〜5倍量(質量比)がより好ましい。
【0025】
また、有機層には、有機層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
前記褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜45質量%の範囲がより好ましく、3質量%〜40質量%の範囲が更に好ましく、5質量%〜25質量%の範囲が特に好ましい。
【0026】
以上、有機層の溶剤塗布法について述べたが、有機層は、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0027】
なお、色素は、後述する凹部の加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
この色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0028】
レーザで凹部を形成する波長λwは、λa<λwの関係であることが好ましい。このような関係にあれば、色素の光吸収量が適切で記録効率が高まるし、きれいな凹凸形状が形成できる場合がある。また、λw<λcの関係であることが好ましい。λwは、色素が吸収する波長であるべきなので、このλwの波長よりも長波長側に発光素子の中心波長λcがあることで、発光素子の発する光が色素に吸収されず透過率が向上し、結果として発光効率が向上できるからである。
以上のような観点から、λa<λw<λcの関係にあることが最も好ましいといえる。
【0029】
なお、凹部を形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、有機層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1,000nm以下が好ましい。
【0030】
また、レーザ光の種類としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど、どのようなレーザであってもよい。ただし、光学系を簡単にするために、固体レーザや半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0031】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光で有機層を走査する速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wが更に好ましく、1Wが特に好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWが更に好ましい。
【0032】
更に、レーザ光は、発信波長幅及びコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。また、凹部を適正に形成するための光パルス照射条件は、光ディスクで使われているようなストラテジを採用するのが好ましい。即ち、光ディスクで使われているような、記録速度や照射するレーザ光の波高値、パルス幅などの条件を採用するのが好ましい。
【0033】
前記有機層の厚さは、後述する凹部15の深さに対応させるのがよい。
この厚みは、例えば、1nm〜10,000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。前記厚さが薄すぎると、凹部15が浅く形成されるため、光学的な効果が得られなくなることがある。また、厚さの上限は、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。前記厚さが厚すぎると、大きなレーザパワーが必要になるとともに、深い穴を形成することが困難になることがあり、更には、加工速度が低下することがある。
【0034】
また、前記有機層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。即ち、前記有機層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのが更に好ましい。また、有機層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのが更に好ましい。このように凹部の直径dとの関係で有機層の厚さtの上限値及び下限値を設定する理由は、前記した理由と同様である。
【0035】
前記有機層を形成するときは、色素を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基材の表面に塗布することにより形成することができる。
【0036】
前記有機層には、周期的に複数の凹部が形成されている。凹部は、有機層に集光した光を照射することで、該照射部分を変形(消失による変形を含む)させて形成されたものである。
【0037】
なお、凹部が形成される原理は、以下の通りとなっている。
前記有機層に、材料の光吸収がある波長(材料で吸収される波長)のレーザ光を照射すると、有機層によってレーザ光が吸収され、この吸収された光が熱に変換され、光の照射部分の温度が上昇する。これにより、有機層が、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学又は/及び物理変化を起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動又は/及び消失することで、凹部が形成される。
【0038】
なお、凹部の形成方法としては、例えば、ライトワンス光ディスクや追記型光ディスクなどで公知となっているピットの形成方法を適用することができる。具体的には、例えば、ピットサイズによって変化するレーザの反射光の強度を検出し、この反射光の強度が一定となるようにレーザの出力を補正することで、均一なピットを形成するといった、公知のランニングOPC技術(特許第3096239号公報)を適用することができる。
【0039】
また、前記したような有機層の気化、昇華又は分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少率は、5%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少の傾き(昇温1℃あたりの質量減少率が0.1%/℃以上であることが好ましく、0.2%/℃以上がより好ましく、0.4%/℃以上が更に好ましい。
【0040】
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学又は/及び物理変化の転移温度は、その上限値が、2,000℃以下であることが好ましく、1,000℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることが更に好ましい。前記転移温度が高すぎると、大きなレーザパワーが必要となることがある。また、転移温度の下限値は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。前記転移温度が低すぎると、周囲との温度勾配が少ないため、明瞭な穴エッジ形状を形成することができなくなる場合がある。
【0041】
図2Aは、有機層を平面的に見た一例の図であり、図2Bは、有機層を平面的に見た他の一例の図であり、図2Cは、基材及び有機層の断面図である。図2Aに示すように、凹部15は、ドット状に形成され、このドットが格子状に配列されたものを採用することができる。また、図2Bに示すように、凹部15は、細長い溝状に形成され、これが断続的につながったものでもよい。更に、図示は省略するが、連続した溝形状として形成することもできる。
【0042】
隣接する凹部15同士のピッチPは、発光体であるLED素子10が発光する光の中心波長λcの0.01〜100倍である。
【0043】
凹部15のピッチPは、中心波長λcの0.05〜20倍が好ましく、0.1〜5倍がより好ましく、0.5〜2倍が更に好ましい。具体的には、ピッチPの下限値は、中心波長λcの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上が更に好ましく、0.2倍以上が特に好ましい。また、ピッチPの上限値は、中心波長λcの100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましく、5倍以下が特に好ましい。
【0044】
凹部15の直径又は溝の幅は、中心波長λcの0.005〜25倍が好ましく、0.025〜10倍がより好ましく、0.05〜2.5倍が更に好ましく、0.25〜2倍が特に好ましい。
ここでいう直径又は溝の幅は、凹部15の半分の深さにおける大きさ、いわゆる半値幅である。
【0045】
凹部15の直径又は溝の幅は、上記の範囲で適宜設定することができるが、発光面18から離れるにつれ、巨視的に徐々に屈折率が小さくなるように、ピッチPの大きさに応じて調整するのが好ましい。即ち、ピッチPが大きい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も大きくし、ピッチPが小さい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も小さくするのが好ましい。この観点から、直径又は溝の幅は、ピッチPに対して2分の1程度の大きさであるのが好ましく、例えば、ピッチPの20%〜80%が好ましく、30%〜70%がより好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0046】
凹部15の深さは、中心波長λcの0.01〜20倍が好ましく、0.05〜10倍がより好ましく、0.1〜5倍が更に好ましく、0.2〜2倍が特に好ましい。
【0047】
−−前記(2)の凹凸部の形成方法(インプリント法)−−
前記インプリント方法としては、熱ナノインプリント方式と、光ナノインプリント方式とがある。
前記熱ナノインプリント方式は、基体の表面に形成されたインプリント層にインプリントモールドの複数の凸部を押し当てて凹凸パターンを形成する。ここでは、系を前記インプリント層のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。インプリントモールドを剥離すると、インプリント層に凹凸パターンが形成される。
【0048】
前記光インプリント方式は、光透過性を有し、インプリントモールドとして機能する強度を有する材料(例えば、石英(SiO2)、有機樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等)からなるインプリントモールドを用いてレジスト凹凸パターンを形成する。
その後、少なくとも光硬化性樹脂を含むインプリント組成物からなるインプリント層に紫外線等を照射して転写されたパターンを硬化させる。なお、パターニング後であってモールドモールドと基体とを剥離した後に紫外線を照射して硬化してもよい。
【0049】
前記インプリントモールドとしては、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成されたものが好ましい。
【0050】
ここで、図3は、インプリント方法により凹凸部を形成する方法を示す工程図である。
図3のAに示すように、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、又はシリコン等の基板40上に、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるインプリント層24を有する基板に対して、表面に凹凸パターンが形成されたインプリントモールド1を押し当てる。
【0051】
次に、図3のBに示すように、インプリント層24にインプリントモールド1を押し当てた際には、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層24が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。また、必要に応じて加熱又はUV照射により硬化処理を行ってもよい。これにより、インプリントモールド1上に形成された凹凸パターンがインプリント層24に転写される。
【0052】
次に、図3のCに示すように、インプリントモールド1を剥離すると、インプリント層24に凹凸パターンが形成される。
【0053】
<微粒子形成工程>
前記微粒子形成工程は、前記凹凸部形成工程により基材の表面に形成された凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する工程である。
【0054】
前記凹凸部の一部に微粒子を形成することが好ましく、その形成方法としては、凹凸部の場所によって成膜速度の異なる方法であれば、特に制限はない。例えば、凹凸部上に斜め方向から蒸着することにより、凹部の蒸着源に面した箇所のみに成膜を行うことができる。
前記微粒子形成方法としては、凹凸部の一部を選択して微粒子形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着、スパッタリング、CVD、めっき、溶液中析出、スプレー法などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着、低圧力スパッタリング、スプレー法が好ましく、真空蒸着が特に好ましい。
【0055】
前記真空蒸着としては、電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられる。
前記スパッタリングとしては、低圧力成膜:成膜時圧力を下げると、被成膜面に到達する微粒子の進行方向分布が狭くなり、異方性が高まるので好ましい。被成膜面圧力が0.1Pa以下が好ましく、0.01Pa以下がより好ましく、0.001Pa以下が更に好ましい。被成膜面エリアのみを圧力下げるか、イオンビームスパッタのような方法により実現できる。高圧力成膜:成膜時圧力を上げ、凸部へ選択的に成膜される方法も好ましい。前記被成膜面圧力は、0.5Pa以上が好ましく、5Pa以上がより好ましい。
【0056】
−真空蒸着−
真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行うことが好ましい。
前記真空蒸着を行うときの角度の下限は、1度以上が好ましく、5度以上がより好ましく、10度以上が更に好ましい。前記角度があまり小さすぎると、蒸着効率が低下する場合がある。
前記角度の上限は、80度以下が好ましく、70度以下がより好ましく、60度以下が更に好ましく、50度以下が特に好ましい。あまり大きすぎると微粒子がつながってしまう可能性がある。
ただし、凹部深さが、真空蒸着厚さより大きくて、凹部の斜面が急な場合は、90度(角度を設けない)でなくても構わない。
真空蒸着時の圧力は、上限は1×10-3Torrが好ましく、5×10-4Torrがより好ましく、1×10-4Torrが更に好ましい。下限は、1×10-8Torrが好ましく、5×10-7Torrがより好ましく、1×10-6Torrが更に好ましい。前記蒸着速度は、上限は、100nm/sが好ましく、20nm/sがより好ましく、5nm/sが更に好ましい。下限は、0.001nm/sが好ましく、0.01nm/sがより好ましく、0.1nm/sが更に好ましい。
【0057】
少なくとも2種の微粒子材料を用い、該微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行い、積層構造の微粒子を形成することができる。
また、少なくとも2種の微粒子材料を用い、微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行い、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成することができる。
前記微粒子材料としては、蒸着可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ni、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることが好適である。
【0058】
<微粒子取出工程>
前記微粒子取出工程は、形成された微粒子を凹凸部から取り出す工程である。
前記凹凸部の一部に形成された微粒子は、該微粒子の下部分である凹凸部を除去することにより、微粒子として取出すことができる。
【0059】
前記微粒子の取り出し方法としては、粒子が形成されている凹凸部の除去、凹凸部からの微粒子の剥離、粒子の物理的剥離、凹凸部のドライエッチング除去、などが挙げられる。これらの中でも、凹凸部の溶剤除去が特に好ましい。
前記凹凸部の溶剤除去は、凹凸部を溶剤可溶性とし、微粒子を非可溶性としておき、溶剤に浸漬することにより微粒子を取出すことができる。なお、溶剤で取り出すとき、凝集を避けるために、分散剤を添加してもよい。
前記取り出し方法としては、溶剤槽中に本基板を浸漬し、液を攪拌したり、超音波を照射したり、温度を上げることにより取り出すことができる。これらの中でも、超音波を照射することが特に好ましい。
前記凹凸部の物理的剥離としては、ブラシなどによって、掻き落とす。この場合、凹凸部も一部含まれてしまうが、簡便である。
前記凹凸部のドライエッチング除去としては、凹凸部のドライエッチング耐性を低め、微粒子のドライエッチング耐性を高めておき、ドライエッチングを行う。
なお、微粒子形成工程において、微粒子間がわずかにつながってしまう場合がある。これを切断し、微粒子を切り離すために、ドライエッチングなどにより微粒子膜を均一に少し削ることも好ましい。
【0060】
ここで、本発明の微粒子の製造方法の一例について、図1A〜1Cを参照して説明する。
図1Aは、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程を示す図である。凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、ナノインプリント方法などが挙げられる。
図1Bは、前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程を示す図である。表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着装置4に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度に傾けて真空蒸着することにより、凹凸部の一部に微粒子を形成できる。
図1Cは、形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程を示す図である。微粒子が形成された凹凸部を有する基材を溶剤中に浸漬することにより、凹凸部を有する有機層2が溶解して、微粒子を取り出すことができる。
【0061】
本発明の微粒子の製造方法により製造される微粒子サイズの下限は、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、5nm以上が更に好ましく、10nm以上が特に好ましい。前記微粒子のサイズが、小さすぎると、凝集してしまい、微粒子としての性質を発揮しにくい。
微粒子サイズの上限は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、5μm以下が特に好ましい。前記微粒子のサイズが、大きすぎると、蒸着時に、成膜量が多く必要となり、回り込みにより微粒子がつながってしまうことがある。
前記微粒子のサイズ分布は、レーザ加工時のサイズ分布でコントロールすることが可能である。
前記微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、楕円円盤状、ラグビーボール状、円弧状、三角柱状、三角柱状などが好適である。前記微粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。なお、液相や気相から形成する通常の微粒子の形成方法では、周りに規制するものがないため、球、楕円、針状といった軸対象になるのが一般的であり、特に一軸回転対象体になることが多い。本発明の方法によると、微細穴の形状によって規制された形状の微粒子が形成される。これは三次元的に複雑な形状をしていることが特徴である。この違いは、SEMによる観察で区別することができる。本発明においては、このような複雑な形状に起因して様々な特性を得られる可能性がある。
【0062】
−用途−
本発明の微粒子は、粒子寸法の自由な制御、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子を作製可能であり、各種用途に用いることができ、例えばナノメータサイズとなると、光特性、電気・磁気特性、熱特性、機械的特性が特異的な性質を示し、発光素子、ディスプレイ、記録材料、エンプラ、携帯電話、磁気ディスクなど様々な応用可能性がある。
また、高屈折率分散材料、発光素子光取出し用散乱微粒子、高密度磁気材料、化粧品、ドラッグデリバリなどにも応用可能である。
更に、形状異方性微粒子が、機能を高めるために有用である。例えば、形状異方性により磁気異方性をより高め、磁気安定性を高めることができる。特に、光学的異方性も発現できるので、偏光子、複屈折材料などに好適である。
例えば、円盤状の高屈折率粒子を低屈折率バインダに分散し、円盤が膜内にその円盤の中心軸が垂直になるような配向で、塗布した場合、薄膜への光の入射角度によって複屈折を生じさせることができる。また、針状の金属粒子をバインダに分散し、その長軸が面内で特定方向を向くように膜状に配向できた場合、膜への偏光方向によって透過率を制御することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
50mm×50mm×0.5mmのガラス基板を用い、該ガラス基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化3】
【0065】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、円周方向及び半径方向とも0.5μmピッチで、レーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。図4Aに、有機層に形成された凹部100の模式図を示した。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹凸部の一部にアルミニウムを30nmの厚さに成膜した。図4Bに示すように、凹部100の一部にアルミニウム微粒子101が形成されていた。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ約200nmm、短辺長さ約100nm、厚さ約30nmの楕円円盤状微粒子であった。長辺長さの寸法ばらつきは標準偏差で10%であった。
【0066】
作製した実施例1の楕円円盤状高屈折率粒子を低屈折率バインダ中に分散し、円盤が膜内にその円盤の中心軸が垂直になるような配向で塗布した薄膜を作製すると、該薄膜への光の入射角度によって複屈折を生じさせることができた。
【0067】
(実施例2)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソノール有機物を、下記構造式で表されるオキソノール有機物に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成した。
【化4】
【0068】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、半径方向は0.5μmピッチ、円周方向は1.0μmピッチでレーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。図5Aに、有機層に形成された凹部100の模式図を示した。
次に、微粒子材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹凸部の一部に銀を40nmの厚さに成膜した。図5Bに示すように、凹部100の一部に銀微粒子101が形成されていた。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中に銀微粒子を得た。
得られた銀微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ約500nmm、短辺長さ約100nm、厚さ約40nmの楕円円盤状微粒子であった。
【0069】
(実施例3)
実施例1において、真空蒸着時に、アルミニウムを厚み15nmに蒸着後、金を厚み15nmに蒸着した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムと金の積層成膜を行った。
これにより、アルミニウムと金の2層構造の楕円円盤微粒子が得られた。
【0070】
(実施例4)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソール有機物を、フタロシアニン有機物〔(ZnPc(α-SO2Bu−sec)4〕に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成し、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を行い、アセトンを用いて表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、実施例1と同様のサイズの楕円円盤状微粒子であった。
【0071】
(実施例5)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソノール有機物を、下記構造式で表されるアゾ有機物に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成した。
【化5】
【0072】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、半径方向は1μmピッチ、円周方向は2μmピッチでレーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹部の一部にアルミニウムを100nmの厚さに成膜した。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ1μm、短辺長さ0.5μm、厚さ0.1μmの楕円円盤微粒子であった。
【0073】
(実施例6)
−ナノインプリント法−
実施例1において、ガラス基板をシリコン基板に代えた以外は、実施例1と同様にして、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。
その後、凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ100nmの凹部を形成した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150Wの反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
【0074】
次に、ガラス基板上に、SD640(大日本インキ化学工業株式会社製)を塗布し、UV硬化させて、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ガラス基板上のインプリント層に押し付けインプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでガラス基板上に凹凸部を形成した(ナノインプリント法)。
更に、ガラス基板上の凹凸部に、実施例1と同じオキソノール有機物を厚み150nmとなるようにスピンコートした。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹部の一部にアルミニウムを100nmの厚さに成膜した。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長さ約200nm、短辺長さ約100nm、厚さ約20nmの楕円円盤微粒子であった。長辺長さの寸法ばらつきは実施例1と同じ程度であった。
【0075】
(参考例1)
実施例1において、蒸着角度を90度とした以外は、実施例1と同様として、アルミニウム微粒子の形成を行った。その結果、一部の微粒子がつながってしまった。
【0076】
(参考例2)
特開平6−28933号公報の実施例と同様にして、熱による加工を行い、微粒子を作製した。その結果、熱流動によって粒子を丸めるので、複数の凹凸部からの材料がまとまって2倍以上のサイズになってしまった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の微粒子の製造方法により製造された微粒子は、粒子寸法の自由な制御、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子を作製可能であり、各種分野幅広く用いることができるが、特に偏光子、複屈折材料などとして好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 基材
2 有機層
3 微粒子
4 真空蒸着装置
12 有機層
13 凸部
15 凹部
100 凹部
101 微粒子
P ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種分野への幅広い応用展開が可能な均質性の高い微粒子、及び該微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、微粒子は、液相や気相の反応により作製されており、その反応を制御することで任意形状及び組成を実現しているが、利用する反応によって、その形状及び組成は限られていた。例えば特許文献1には、凹凸構造に斜め蒸着でワイヤーグリッド偏光子を形成する方法が提案されている。この提案の方法によれば、比較的簡単な工程で、安価な材料からワイヤーグリッド型の偏光子を作製することができる。
しかし、前記特許文献1の方法では、ライン状のワイヤーは作製できるが、微粒子状には形成できず、微粒子として取り出すことは困難である。
また、特許文献2には、凹凸構造上で熱処理により微粒子を作製する方法が提案されている。この提案の方法によれば、所望の粒径の導電性微粒子を安価にバラツキなく製造することができる。
しかし、前記特許文献2では、等方性成膜を行い、得られた膜を熱により離散化しており、球形微粒子しか形成できず、微粒子を基板上に形成することはできるが、微粒子として取り出すことは困難である。
【0003】
したがって形状や融合状態等の制御が可能であると共に、均質性の高い微粒子を効率よく作製できる微粒子の製造方法については、未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−220728号公報
【特許文献2】特開平6−28933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、均一な形状を有し、寸法ばらつきの小さい均質性の高い微粒子、及び寸法、形状、融合状態等の制御が可能である今までにない微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、寸法、形状、及び組成を物理的に直接制御することができるため、反応の限界により作製不可能だった寸法、形状、及び組成についても実現でき、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子などが容易に作製可能となり、偏光子、複屈折材料等の各種分野への幅広い応用展開が可能になることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、
形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程と、を含むことを特徴とする微粒子の製造方法である。
<2> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<3> 凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<4> インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される前記<3>に記載の微粒子の製造方法である。
<5> 微粒子の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<6> 少なくとも2種の微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行うことにより、積層構造の微粒子を形成する前記<5>に記載の微粒子の製造方法である。
<7> 少なくとも2種の微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行うことにより、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成する前記<5>に記載の微粒子の製造方法である。
<8> 微粒子の取り出しが、粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかで行われる前記<1>から<7>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<9> 粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかが、溶剤による凹凸部の溶解により行われる前記<8>に記載の微粒子の製造方法である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、均一な形状を有し、寸法ばらつきの小さい均質性の高い微粒子、及び寸法、形状、融合状態等の制御が可能である今までにない微粒子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、本発明の粒子の製造方法における凹凸部形成工程を示す模式図である。
【図1B】図1Bは、本発明の粒子の製造方法における微粒子形成工程を示す模式図である。
【図1C】図1Cは、本発明の粒子の製造方法における微粒子取出工程を示す模式図である。
【図2A】図2Aは、有機層の表面を平面的に見た一例を示す図である。
【図2B】図2Bは、有機層の表面を平面的に見た他の一例を示す図である。
【図2C】図2Cは、凹部が形成された有機層及び基材の一例を示す断面図である。
【図3】インプリント法により凹凸部を形成する工程を示す図である。
【図4A】実施例1で有機層に形成された凹凸部を示す模式図である。
【図4B】図4Aの凹凸部の一部にアルミニウム微粒子が形成された状態を示す模式図である。
【図5A】実施例2で有機層に形成された凹凸部を示す模式図である。
【図5B】図5Aの凹凸部の一部に銀微粒子が形成された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(微粒子の製造方法及び微粒子)
本発明の微粒子の製造方法は、凹凸部形成工程と、微粒子形成工程と、微粒子取出工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の微粒子は、本発明の前記微粒子の製造方法により製造される。
以下、本発明の微粒子の製造方法の説明を通じて、本発明の微粒子の詳細についても明らかにする。
【0011】
<凹凸部形成工程>
前記凹凸部形成工程は、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する工程である。
【0012】
−基材−
前記基材としては、その材質、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材質としては、金属、無機物、有機物などが挙げられ、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、遷移金属が好ましい。該遷移金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金、などが挙げられる。
前記無機物としては、例えばガラス、シリコン(Si)、石英(SiO2)などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、トリアセテートセルロース(TAC)、などが挙げられる。これらの中でも、PET、PC、TACが特に好ましい。
【0013】
−凹凸部の形成−
前記凹凸部は、珪酸土からなる基材のように最初から凹凸部を有するものであっても構わないが、フォトリソグラフィやインプリンティングなどの方法で任意に凹凸部を形成することにより、最終的な微粒子形状を制御することが好ましい。即ち、前記凹凸部は、粒子形成後、除去可能であることが好ましい。したがって、粒子形成で形状がある程度残っている必要があり、また溶剤等で除去可能であることが好ましい。
ここで、図2Cに示すように、基板1の一方の表面1aに、複数の凸部13及び凹部15が一定のピッチで形成されている。この場合、凸部13と、複数の凸部13間に形成された凹部15とを総称して凹凸部とする。
前記凹凸部の断面形状は、直線的な形状に限られず、曲線的であっても構わない。
【0014】
前記凹凸部の形成においては、基材そのものをサンドブラスト加工して凹凸部を形成しても構わないが、基材上に凹凸部を形成可能な層(有機層、インプリント層)を設けて、微粒子取出しの際に、凹凸部を除去する方法が好ましい。具体的には、(1)基材の一の表面に、ヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、(2)基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する方法、などがある。
【0015】
−−前記(1)の凹凸部の形成方法−−
前記ヒートモードの形状変化が可能な有機層は、強い光の照射により光が熱に変換されてこの熱により材料が形状変化して凹部を形成することが可能な層であり、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などを用いることができる。
好適な例としては、例えばメチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。これらの中でも、メチン色素、アゾ色素が特に好ましい。
【0016】
なお、有機層は、レーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
更に、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
【0017】
以下、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合に対し、有機層として好ましい化合物の例を挙げる。下記III−1〜III−14で表される化合物は、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物である。また、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合の好ましい化合物は、特開2008−252056号公報の段落〔0024〕〜〔0028〕に記載されている化合物が挙げられる。なお、本発明は、これらの化合物を用いた場合に限定されるものではない。
【0018】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化1】
【0019】
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物例>
【化2】
【0020】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0021】
このような色素型の有機層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃〜40℃の範囲であることが好ましい。下限値が、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが更に好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一にすることができる。なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、有機層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましく、テトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが特に好ましい。
【0022】
塗布液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールが特に好ましい。
前記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0023】
前記塗布方法としては、例えばスプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用するのが好ましい。
有機層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。
また、色素は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23℃〜50℃であることが好ましく、24℃〜40℃であることがより好ましく、25℃〜30℃であることが更に好ましい。
【0024】
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。
前記有機層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)が好ましく、0.1倍量〜5倍量(質量比)がより好ましい。
【0025】
また、有機層には、有機層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
前記褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、0.1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、0.5質量%〜45質量%の範囲がより好ましく、3質量%〜40質量%の範囲が更に好ましく、5質量%〜25質量%の範囲が特に好ましい。
【0026】
以上、有機層の溶剤塗布法について述べたが、有機層は、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
【0027】
なお、色素は、後述する凹部の加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。
この色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
【0028】
レーザで凹部を形成する波長λwは、λa<λwの関係であることが好ましい。このような関係にあれば、色素の光吸収量が適切で記録効率が高まるし、きれいな凹凸形状が形成できる場合がある。また、λw<λcの関係であることが好ましい。λwは、色素が吸収する波長であるべきなので、このλwの波長よりも長波長側に発光素子の中心波長λcがあることで、発光素子の発する光が色素に吸収されず透過率が向上し、結果として発光効率が向上できるからである。
以上のような観点から、λa<λw<λcの関係にあることが最も好ましいといえる。
【0029】
なお、凹部を形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、有機層に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1,000nm以下が好ましい。
【0030】
また、レーザ光の種類としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど、どのようなレーザであってもよい。ただし、光学系を簡単にするために、固体レーザや半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
【0031】
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光で有機層を走査する速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wが更に好ましく、1Wが特に好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWが更に好ましい。
【0032】
更に、レーザ光は、発信波長幅及びコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。また、凹部を適正に形成するための光パルス照射条件は、光ディスクで使われているようなストラテジを採用するのが好ましい。即ち、光ディスクで使われているような、記録速度や照射するレーザ光の波高値、パルス幅などの条件を採用するのが好ましい。
【0033】
前記有機層の厚さは、後述する凹部15の深さに対応させるのがよい。
この厚みは、例えば、1nm〜10,000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。前記厚さが薄すぎると、凹部15が浅く形成されるため、光学的な効果が得られなくなることがある。また、厚さの上限は、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。前記厚さが厚すぎると、大きなレーザパワーが必要になるとともに、深い穴を形成することが困難になることがあり、更には、加工速度が低下することがある。
【0034】
また、前記有機層の厚さtと、凹部の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。即ち、前記有機層の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのが更に好ましい。また、有機層の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのが更に好ましい。このように凹部の直径dとの関係で有機層の厚さtの上限値及び下限値を設定する理由は、前記した理由と同様である。
【0035】
前記有機層を形成するときは、色素を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基材の表面に塗布することにより形成することができる。
【0036】
前記有機層には、周期的に複数の凹部が形成されている。凹部は、有機層に集光した光を照射することで、該照射部分を変形(消失による変形を含む)させて形成されたものである。
【0037】
なお、凹部が形成される原理は、以下の通りとなっている。
前記有機層に、材料の光吸収がある波長(材料で吸収される波長)のレーザ光を照射すると、有機層によってレーザ光が吸収され、この吸収された光が熱に変換され、光の照射部分の温度が上昇する。これにより、有機層が、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学又は/及び物理変化を起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動又は/及び消失することで、凹部が形成される。
【0038】
なお、凹部の形成方法としては、例えば、ライトワンス光ディスクや追記型光ディスクなどで公知となっているピットの形成方法を適用することができる。具体的には、例えば、ピットサイズによって変化するレーザの反射光の強度を検出し、この反射光の強度が一定となるようにレーザの出力を補正することで、均一なピットを形成するといった、公知のランニングOPC技術(特許第3096239号公報)を適用することができる。
【0039】
また、前記したような有機層の気化、昇華又は分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少率は、5%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、色素の気化、昇華又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による質量減少の傾き(昇温1℃あたりの質量減少率が0.1%/℃以上であることが好ましく、0.2%/℃以上がより好ましく、0.4%/℃以上が更に好ましい。
【0040】
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学又は/及び物理変化の転移温度は、その上限値が、2,000℃以下であることが好ましく、1,000℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることが更に好ましい。前記転移温度が高すぎると、大きなレーザパワーが必要となることがある。また、転移温度の下限値は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。前記転移温度が低すぎると、周囲との温度勾配が少ないため、明瞭な穴エッジ形状を形成することができなくなる場合がある。
【0041】
図2Aは、有機層を平面的に見た一例の図であり、図2Bは、有機層を平面的に見た他の一例の図であり、図2Cは、基材及び有機層の断面図である。図2Aに示すように、凹部15は、ドット状に形成され、このドットが格子状に配列されたものを採用することができる。また、図2Bに示すように、凹部15は、細長い溝状に形成され、これが断続的につながったものでもよい。更に、図示は省略するが、連続した溝形状として形成することもできる。
【0042】
隣接する凹部15同士のピッチPは、発光体であるLED素子10が発光する光の中心波長λcの0.01〜100倍である。
【0043】
凹部15のピッチPは、中心波長λcの0.05〜20倍が好ましく、0.1〜5倍がより好ましく、0.5〜2倍が更に好ましい。具体的には、ピッチPの下限値は、中心波長λcの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上が更に好ましく、0.2倍以上が特に好ましい。また、ピッチPの上限値は、中心波長λcの100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましく、5倍以下が特に好ましい。
【0044】
凹部15の直径又は溝の幅は、中心波長λcの0.005〜25倍が好ましく、0.025〜10倍がより好ましく、0.05〜2.5倍が更に好ましく、0.25〜2倍が特に好ましい。
ここでいう直径又は溝の幅は、凹部15の半分の深さにおける大きさ、いわゆる半値幅である。
【0045】
凹部15の直径又は溝の幅は、上記の範囲で適宜設定することができるが、発光面18から離れるにつれ、巨視的に徐々に屈折率が小さくなるように、ピッチPの大きさに応じて調整するのが好ましい。即ち、ピッチPが大きい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も大きくし、ピッチPが小さい場合には、凹部15の直径又は溝の幅も小さくするのが好ましい。この観点から、直径又は溝の幅は、ピッチPに対して2分の1程度の大きさであるのが好ましく、例えば、ピッチPの20%〜80%が好ましく、30%〜70%がより好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0046】
凹部15の深さは、中心波長λcの0.01〜20倍が好ましく、0.05〜10倍がより好ましく、0.1〜5倍が更に好ましく、0.2〜2倍が特に好ましい。
【0047】
−−前記(2)の凹凸部の形成方法(インプリント法)−−
前記インプリント方法としては、熱ナノインプリント方式と、光ナノインプリント方式とがある。
前記熱ナノインプリント方式は、基体の表面に形成されたインプリント層にインプリントモールドの複数の凸部を押し当てて凹凸パターンを形成する。ここでは、系を前記インプリント層のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。インプリントモールドを剥離すると、インプリント層に凹凸パターンが形成される。
【0048】
前記光インプリント方式は、光透過性を有し、インプリントモールドとして機能する強度を有する材料(例えば、石英(SiO2)、有機樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等)からなるインプリントモールドを用いてレジスト凹凸パターンを形成する。
その後、少なくとも光硬化性樹脂を含むインプリント組成物からなるインプリント層に紫外線等を照射して転写されたパターンを硬化させる。なお、パターニング後であってモールドモールドと基体とを剥離した後に紫外線を照射して硬化してもよい。
【0049】
前記インプリントモールドとしては、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成されたものが好ましい。
【0050】
ここで、図3は、インプリント方法により凹凸部を形成する方法を示す工程図である。
図3のAに示すように、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、又はシリコン等の基板40上に、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるインプリント層24を有する基板に対して、表面に凹凸パターンが形成されたインプリントモールド1を押し当てる。
【0051】
次に、図3のBに示すように、インプリント層24にインプリントモールド1を押し当てた際には、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリント層24が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。また、必要に応じて加熱又はUV照射により硬化処理を行ってもよい。これにより、インプリントモールド1上に形成された凹凸パターンがインプリント層24に転写される。
【0052】
次に、図3のCに示すように、インプリントモールド1を剥離すると、インプリント層24に凹凸パターンが形成される。
【0053】
<微粒子形成工程>
前記微粒子形成工程は、前記凹凸部形成工程により基材の表面に形成された凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する工程である。
【0054】
前記凹凸部の一部に微粒子を形成することが好ましく、その形成方法としては、凹凸部の場所によって成膜速度の異なる方法であれば、特に制限はない。例えば、凹凸部上に斜め方向から蒸着することにより、凹部の蒸着源に面した箇所のみに成膜を行うことができる。
前記微粒子形成方法としては、凹凸部の一部を選択して微粒子形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着、スパッタリング、CVD、めっき、溶液中析出、スプレー法などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着、低圧力スパッタリング、スプレー法が好ましく、真空蒸着が特に好ましい。
【0055】
前記真空蒸着としては、電子ビーム蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられる。
前記スパッタリングとしては、低圧力成膜:成膜時圧力を下げると、被成膜面に到達する微粒子の進行方向分布が狭くなり、異方性が高まるので好ましい。被成膜面圧力が0.1Pa以下が好ましく、0.01Pa以下がより好ましく、0.001Pa以下が更に好ましい。被成膜面エリアのみを圧力下げるか、イオンビームスパッタのような方法により実現できる。高圧力成膜:成膜時圧力を上げ、凸部へ選択的に成膜される方法も好ましい。前記被成膜面圧力は、0.5Pa以上が好ましく、5Pa以上がより好ましい。
【0056】
−真空蒸着−
真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行うことが好ましい。
前記真空蒸着を行うときの角度の下限は、1度以上が好ましく、5度以上がより好ましく、10度以上が更に好ましい。前記角度があまり小さすぎると、蒸着効率が低下する場合がある。
前記角度の上限は、80度以下が好ましく、70度以下がより好ましく、60度以下が更に好ましく、50度以下が特に好ましい。あまり大きすぎると微粒子がつながってしまう可能性がある。
ただし、凹部深さが、真空蒸着厚さより大きくて、凹部の斜面が急な場合は、90度(角度を設けない)でなくても構わない。
真空蒸着時の圧力は、上限は1×10-3Torrが好ましく、5×10-4Torrがより好ましく、1×10-4Torrが更に好ましい。下限は、1×10-8Torrが好ましく、5×10-7Torrがより好ましく、1×10-6Torrが更に好ましい。前記蒸着速度は、上限は、100nm/sが好ましく、20nm/sがより好ましく、5nm/sが更に好ましい。下限は、0.001nm/sが好ましく、0.01nm/sがより好ましく、0.1nm/sが更に好ましい。
【0057】
少なくとも2種の微粒子材料を用い、該微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行い、積層構造の微粒子を形成することができる。
また、少なくとも2種の微粒子材料を用い、微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行い、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成することができる。
前記微粒子材料としては、蒸着可能な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ni、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることが好適である。
【0058】
<微粒子取出工程>
前記微粒子取出工程は、形成された微粒子を凹凸部から取り出す工程である。
前記凹凸部の一部に形成された微粒子は、該微粒子の下部分である凹凸部を除去することにより、微粒子として取出すことができる。
【0059】
前記微粒子の取り出し方法としては、粒子が形成されている凹凸部の除去、凹凸部からの微粒子の剥離、粒子の物理的剥離、凹凸部のドライエッチング除去、などが挙げられる。これらの中でも、凹凸部の溶剤除去が特に好ましい。
前記凹凸部の溶剤除去は、凹凸部を溶剤可溶性とし、微粒子を非可溶性としておき、溶剤に浸漬することにより微粒子を取出すことができる。なお、溶剤で取り出すとき、凝集を避けるために、分散剤を添加してもよい。
前記取り出し方法としては、溶剤槽中に本基板を浸漬し、液を攪拌したり、超音波を照射したり、温度を上げることにより取り出すことができる。これらの中でも、超音波を照射することが特に好ましい。
前記凹凸部の物理的剥離としては、ブラシなどによって、掻き落とす。この場合、凹凸部も一部含まれてしまうが、簡便である。
前記凹凸部のドライエッチング除去としては、凹凸部のドライエッチング耐性を低め、微粒子のドライエッチング耐性を高めておき、ドライエッチングを行う。
なお、微粒子形成工程において、微粒子間がわずかにつながってしまう場合がある。これを切断し、微粒子を切り離すために、ドライエッチングなどにより微粒子膜を均一に少し削ることも好ましい。
【0060】
ここで、本発明の微粒子の製造方法の一例について、図1A〜1Cを参照して説明する。
図1Aは、基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程を示す図である。凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する方法、ナノインプリント方法などが挙げられる。
図1Bは、前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程を示す図である。表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着装置4に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度に傾けて真空蒸着することにより、凹凸部の一部に微粒子を形成できる。
図1Cは、形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程を示す図である。微粒子が形成された凹凸部を有する基材を溶剤中に浸漬することにより、凹凸部を有する有機層2が溶解して、微粒子を取り出すことができる。
【0061】
本発明の微粒子の製造方法により製造される微粒子サイズの下限は、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、5nm以上が更に好ましく、10nm以上が特に好ましい。前記微粒子のサイズが、小さすぎると、凝集してしまい、微粒子としての性質を発揮しにくい。
微粒子サイズの上限は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、5μm以下が特に好ましい。前記微粒子のサイズが、大きすぎると、蒸着時に、成膜量が多く必要となり、回り込みにより微粒子がつながってしまうことがある。
前記微粒子のサイズ分布は、レーザ加工時のサイズ分布でコントロールすることが可能である。
前記微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、楕円円盤状、ラグビーボール状、円弧状、三角柱状、三角柱状などが好適である。前記微粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。なお、液相や気相から形成する通常の微粒子の形成方法では、周りに規制するものがないため、球、楕円、針状といった軸対象になるのが一般的であり、特に一軸回転対象体になることが多い。本発明の方法によると、微細穴の形状によって規制された形状の微粒子が形成される。これは三次元的に複雑な形状をしていることが特徴である。この違いは、SEMによる観察で区別することができる。本発明においては、このような複雑な形状に起因して様々な特性を得られる可能性がある。
【0062】
−用途−
本発明の微粒子は、粒子寸法の自由な制御、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子を作製可能であり、各種用途に用いることができ、例えばナノメータサイズとなると、光特性、電気・磁気特性、熱特性、機械的特性が特異的な性質を示し、発光素子、ディスプレイ、記録材料、エンプラ、携帯電話、磁気ディスクなど様々な応用可能性がある。
また、高屈折率分散材料、発光素子光取出し用散乱微粒子、高密度磁気材料、化粧品、ドラッグデリバリなどにも応用可能である。
更に、形状異方性微粒子が、機能を高めるために有用である。例えば、形状異方性により磁気異方性をより高め、磁気安定性を高めることができる。特に、光学的異方性も発現できるので、偏光子、複屈折材料などに好適である。
例えば、円盤状の高屈折率粒子を低屈折率バインダに分散し、円盤が膜内にその円盤の中心軸が垂直になるような配向で、塗布した場合、薄膜への光の入射角度によって複屈折を生じさせることができる。また、針状の金属粒子をバインダに分散し、その長軸が面内で特定方向を向くように膜状に配向できた場合、膜への偏光方向によって透過率を制御することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
50mm×50mm×0.5mmのガラス基板を用い、該ガラス基板上に、下記構造式で表されるオキソノール有機物15mgを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール1mlに溶解した溶液を、スピンコーターを用いて回転数300rpmで塗布し、その後回転数1,000rpmで乾燥させ、厚さ70nmの有機層を形成した。
【化3】
【0065】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、円周方向及び半径方向とも0.5μmピッチで、レーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。図4Aに、有機層に形成された凹部100の模式図を示した。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹凸部の一部にアルミニウムを30nmの厚さに成膜した。図4Bに示すように、凹部100の一部にアルミニウム微粒子101が形成されていた。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ約200nmm、短辺長さ約100nm、厚さ約30nmの楕円円盤状微粒子であった。長辺長さの寸法ばらつきは標準偏差で10%であった。
【0066】
作製した実施例1の楕円円盤状高屈折率粒子を低屈折率バインダ中に分散し、円盤が膜内にその円盤の中心軸が垂直になるような配向で塗布した薄膜を作製すると、該薄膜への光の入射角度によって複屈折を生じさせることができた。
【0067】
(実施例2)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソノール有機物を、下記構造式で表されるオキソノール有機物に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成した。
【化4】
【0068】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、半径方向は0.5μmピッチ、円周方向は1.0μmピッチでレーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。図5Aに、有機層に形成された凹部100の模式図を示した。
次に、微粒子材料として銀を用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹凸部の一部に銀を40nmの厚さに成膜した。図5Bに示すように、凹部100の一部に銀微粒子101が形成されていた。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中に銀微粒子を得た。
得られた銀微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ約500nmm、短辺長さ約100nm、厚さ約40nmの楕円円盤状微粒子であった。
【0069】
(実施例3)
実施例1において、真空蒸着時に、アルミニウムを厚み15nmに蒸着後、金を厚み15nmに蒸着した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムと金の積層成膜を行った。
これにより、アルミニウムと金の2層構造の楕円円盤微粒子が得られた。
【0070】
(実施例4)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソール有機物を、フタロシアニン有機物〔(ZnPc(α-SO2Bu−sec)4〕に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成し、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を行い、アセトンを用いて表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、実施例1と同様のサイズの楕円円盤状微粒子であった。
【0071】
(実施例5)
実施例1において、上記構造式で表されるオキソノール有機物を、下記構造式で表されるアゾ有機物に代えた以外は、実施例1と同様にして、有機層を形成した。
【化5】
【0072】
次に、基板上の有機層にNEO1000(パルステック工業株式会社製)にて、5m/s、8mW、半径方向は1μmピッチ、円周方向は2μmピッチでレーザー照射を行った。これにより、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹部の一部にアルミニウムを100nmの厚さに成膜した。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長辺長さ1μm、短辺長さ0.5μm、厚さ0.1μmの楕円円盤微粒子であった。
【0073】
(実施例6)
−ナノインプリント法−
実施例1において、ガラス基板をシリコン基板に代えた以外は、実施例1と同様にして、表面に凹凸部が形成された基板が得られた。
その後、凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてシリコン基板をドライエッチングして、シリコン基板上に深さ100nmの凹部を形成した。なお、ドライエッチング条件は、ガスSF6、出力150Wの反応性イオンエッチング(RIE)で行った。以上により、インプリントモールドを作製した。
【0074】
次に、ガラス基板上に、SD640(大日本インキ化学工業株式会社製)を塗布し、UV硬化させて、厚み10μmのインプリント層を形成した。
作製したインプリントモールドを、ガラス基板上のインプリント層に押し付けインプリントモールドの凹凸パターンを転写し、インプリントモールドを剥離することでガラス基板上に凹凸部を形成した(ナノインプリント法)。
更に、ガラス基板上の凹凸部に、実施例1と同じオキソノール有機物を厚み150nmとなるようにスピンコートした。
次に、微粒子材料としてアルミニウムを用いた真空蒸着を、表面に凹凸部が形成された基板の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基板の鉛直方向に対する角度を30度にして行い、凹部の一部にアルミニウムを100nmの厚さに成膜した。
その後、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に表面に凹凸部を有する基板を浸漬して凹凸部を溶解し、溶液中にアルミニウム微粒子を得た。
得られたアルミニウム微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、長さ約200nm、短辺長さ約100nm、厚さ約20nmの楕円円盤微粒子であった。長辺長さの寸法ばらつきは実施例1と同じ程度であった。
【0075】
(参考例1)
実施例1において、蒸着角度を90度とした以外は、実施例1と同様として、アルミニウム微粒子の形成を行った。その結果、一部の微粒子がつながってしまった。
【0076】
(参考例2)
特開平6−28933号公報の実施例と同様にして、熱による加工を行い、微粒子を作製した。その結果、熱流動によって粒子を丸めるので、複数の凹凸部からの材料がまとまって2倍以上のサイズになってしまった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の微粒子の製造方法により製造された微粒子は、粒子寸法の自由な制御、均質性の高い粒子、部分的に異なる組成の微粒子、積層構造の微粒子を作製可能であり、各種分野幅広く用いることができるが、特に偏光子、複屈折材料などとして好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 基材
2 有機層
3 微粒子
4 真空蒸着装置
12 有機層
13 凸部
15 凹部
100 凹部
101 微粒子
P ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、
形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程と、を含むことを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項3】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項4】
インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される請求項3に記載の微粒子の製造方法。
【請求項5】
微粒子の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる請求項1から4のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項6】
少なくとも2種の微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行うことにより、積層構造の微粒子を形成する請求項5に記載の微粒子の製造方法。
【請求項7】
少なくとも2種の微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行うことにより、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成する請求項5に記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
微粒子の取り出しが、粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかで行われる請求項1から7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項9】
粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかが、溶剤による凹凸部の溶解により行われる請求項8に記載の微粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子。
【請求項1】
基材の一の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を形成する凹凸部形成工程と、
前記凹凸部の少なくとも一部に微粒子材料からなる微粒子を形成する微粒子形成工程と、
形成された微粒子を前記凹凸部から取り出す微粒子取出工程と、を含むことを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にヒートモードの形状変化が可能な有機層を設け、該有機層に集光した光を照射することで凹凸部を形成する請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項3】
凹凸部形成工程において、基材の一の表面にインプリント層を設け、該インプリント層にインプリントモールドを押し付けるインプリント法により凹凸部を形成する請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項4】
インプリントモールドが、ヒートモードの形状変化が可能な有機層に集光した光を照射して凹凸部を形成した該有機層をマスクとしてエッチングにより形成される請求項3に記載の微粒子の製造方法。
【請求項5】
微粒子の形成が真空蒸着で行われ、該真空蒸着が、表面に凹凸部が形成された基材の該凹凸部側を真空蒸着方向に向けて、該基材の鉛直方向に対する角度を1度〜80度にして行われる請求項1から4のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項6】
少なくとも2種の微粒子材料の種類を変えて真空蒸着を行うことにより、積層構造の微粒子を形成する請求項5に記載の微粒子の製造方法。
【請求項7】
少なくとも2種の微粒子材料の混合比を変えて真空蒸着を行うことにより、厚さ方向に組成の異なる微粒子を形成する請求項5に記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
微粒子の取り出しが、粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかで行われる請求項1から7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項9】
粒子が形成されている凹凸部の除去、及び凹凸部からの微粒子の剥離のいずれかが、溶剤による凹凸部の溶解により行われる請求項8に記載の微粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2010−180442(P2010−180442A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23613(P2009−23613)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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