説明

微粒子検出装置

【課題】本発明は、微粒子検出装置に係り、捕集部材への微粒子の捕集を簡素な構成で効率的に行うことにある。
【解決手段】微粒子検出装置は、排気ガスに晒され、排気ガスとの接触部分において排気ガスを分岐させる形状に形成され、排気ガス中に含まれる微粒子を捕集する捕集部材と、捕集部材に捕集される微粒子に基づいて、微粒子の漏れが生じたこと又は微粒子の堆積が生じたことを検知する検知手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子検出装置に係り、特に排気ガス中に含まれる微粒子の漏れが生じたこと又は排気ガス中に含まれる微粒子の堆積が生じたことを検知する微粒子検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンから排出されるC(炭素)を主とする微粒子(PM)を捕捉するのに、多孔質セラミックより構成される微粒子捕捉フィルタ(DPF:diesel particulate filter)を用いた排気ガス浄化装置が知られている。このような排気ガス浄化装置においては、ディーゼルエンジンの継続的な使用に伴って徐々にDPFにPMが堆積する。このため、ディーゼルエンジン側から大気へPMが放出されるのを防止することができ、排気ガスを浄化することが可能である。
【0003】
DPFの使用中に、DPFにクラック等が生ずると、DPF下流側の排気ラインへPMが漏れ出す。DPFへのクラック等を防止する方策としては、適切なタイミングでDPFに堆積したPMを燃焼させて酸化除去することが有効である。そこで、DPFへのPM堆積量を測定してそのPMの燃焼タイミングを適切なものとするために、DPF上流側の排気ライン上に微粒子センサを設けることが考えられる。また、DPF下流側の排気ラインへのPM漏れが生じたか否かを判別する方策としては、DPF下流側の排気ライン上に微粒子センサを設けることが考えられる。
【0004】
このような微粒子センサとしては、排気ライン上にPMを捕集する捕集部材を設け、その捕集部材に対となる電極を配設することで、DPFへのPM堆積量の推定又はDPF下流側へのPM漏れの診断を、電極間のPM捕集に伴うショートに起因した抵抗変化に基づいて行う抵抗方式のセンサ(例えば、特許文献1及び2参照)などが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−123757号公報
【特許文献2】特表2008−512661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1及び2には、PMを捕集する捕集部材を平板状に形成し、その平板状の捕集部材をその平板面が排気ガスの流れに対して直交するように管状の排気ライン内に配置して排気ガスに晒すことが記載されている。しかし、このように管状の排気ライン内に平板状の捕集部材を配置する従来の構成では、排気ガスが排気ライン内で平板状の捕集部材が配設された部位を上流側から下流側へ通過する際に、その平板状の捕集部材を避けるような排気ガスの流れが発生する。このため、捕集部材の前面中央付近において、捕集部材に排気ガスに含まれるPMを効率的に捕集することが困難となる。尚、平板状の捕集部材にPMを効率的に捕集するうえで、排気ガスの流れを制御する部品を導入することが考えられるが、かかる構成では、装置の複雑化及び高コスト化を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、捕集部材へのPMの捕集を簡素な構成で効率的に行うことが可能な微粒子検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の微粒子検出装置は、排気ガスに晒され、排気ガスとの接触部分において排気ガスを分岐させる形状に形成され、排気ガス中に含まれる微粒子を捕集する捕集部材と、前記捕集部材に捕集される前記微粒子に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知する検知手段と、を備える。
【0009】
尚、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材は、排気ガスとの接触部分において排気ガスのよどみ点が直線をなすような形状に形成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の前記形状は、円柱形状、又は、半円部が排気ガスの流れに対向するように配置された半円柱形状であることが好ましい。
【0011】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の前記形状は、一つの角部が排気ガスが二等分されて分岐される向きに配置された多角柱形状であることが好ましい。
【0012】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の表面上に配設され、先端側が排気ガスとの接触部分に晒された互いに種類の異なる対となる電極を備え、前記検知手段は、前記対となる電極の後端側に生じる電位差に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0013】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の表面上に配設された対となる電極を備え、前記検知手段は、前記対となる電極間の抵抗変化に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0014】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材に捕集される前記微粒子を加熱する加熱手段を備え、前記捕集部材に捕集される前記微粒子は、前記検知手段による検知が行われる前に、前記加熱手段により加熱されることが好ましい。
【0015】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材に捕集される前記微粒子を燃焼する燃焼手段を備え、前記検知手段は、前記燃焼手段により前記捕集部材に捕集される前記微粒子が燃焼されるときに生じる温度変化量に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0016】
更に、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材は、排気ガスを外部に放出する排気管上に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、捕集部材への微粒子の捕集を簡素な構成で効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である微粒子検出装置を備えるシステムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である微粒子検出装置が備える微粒子センサの構成図である。
【図3】図2に示す微粒子センサの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態である微粒子検出装置において実行される微粒子を検出する手順の一例のフローチャートである。
【図5】本発明の一変形例である微粒子検出装置が備える微粒子センサの斜視図である。
【図6】図5に示す微粒子センサの上面図である。
【図7】本発明の一変形例である微粒子検出装置が備える微粒子センサの斜視図である。
【図8】本発明の一変形例である微粒子検出装置において実行される微粒子を検出する手順の一例のフローチャートである。
【図9】本発明の一変形例である微粒子検出装置を備えるシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態の微粒子検出装置は、排気ガスに晒され、排気ガスとの接触部分において排気ガスを分岐させる形状に形成され、排気ガス中に含まれる微粒子を捕集する捕集部材と、前記捕集部材に捕集される前記微粒子に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知する検知手段と、を備える微粒子検出装置である。
【0020】
本実施形態の微粒子検出装置において、排気ガスは、排気ライン上の捕集部材が配置された部位を通過する際に、捕集部材の両側に分岐される。かかる構成によれば、捕集部材により排気ガスの流れが妨げられないため、排気ガス中の微粒子が捕集部材に捕集され易くなる。また、かかる捕集部材の構造によれば、捕集部材に微粒子を効率的に捕集することができるため、排気ガスの流れを制御する専用の部品(例えば、ポンプや分流構造体等)を配置することなく微粒子を捕集することができ、その結果として、装置の簡素化及び低コスト化が図られる。
【0021】
尚、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材は、排気ガスとの接触部分において排気ガスのよどみ点が直線をなすような形状に形成されていることが好ましい。
【0022】
本実施形態の微粒子検出装置において、微粒子を捕集する捕集部材は、捕集部材上における排気ガスのよどみ点が直線をなすような形状に形成されている。この場合、排気ガスは、排気ライン上の捕集部材が配置された部位を通過する際に、流れを妨げられることなく分岐されるので、排気ガス中の微粒子が捕集部材に捕集され易くなる。
【0023】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の前記形状は、円柱形状、又は、半円部が排気ガスの流れに対向するように配置された半円柱形状であることが好ましい。
【0024】
本実施形態の微粒子検出装置において、微粒子を捕集する捕集部材は、円柱形状、又は、半円部が排気ガスの流れに対向するように配置された半円柱形状に形成されている。この場合、捕集部材の円弧部位が排気ガスとの接触部分となるので、排気ガスは、排気ライン上の捕集部材が配置された部位を通過する際に、流れを妨げられることなく分岐される。従って、かかる構造によれば、排気ガス中の微粒子が捕集部材に捕集され易くなる。
【0025】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の前記形状は、一つの角部が排気ガスが二等分されて分岐される向きに配置された多角柱形状であることが好ましい。
【0026】
本実施形態の微粒子検出装置において、微粒子を捕集する捕集部材は、一つの角部が排気ガスが二等分されて分岐される向きに配置された多角柱形状に形成されている。この場合、排気ガスは、排気ライン上の捕集部材が配置された部位を通過する際に、流れを妨げられることなく二等分されて分岐されるので、排気ガス中の微粒子が捕集部材に捕集され易くなる。
【0027】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の表面上に配設され、先端側が排気ガスとの接触部分に設けられた、種類の異なる金属により構成された対となる電極を備え、前記検知手段は、前記対となる電極の後端側の間に生じる電位差に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0028】
本実施形態の微粒子検出装置において、捕集部材の表面上に配設された種類の異なる金属により構成された対となる電極の先端側は、排気ガスとの接触部分に設けられている。この場合、電極の先端側は排気ガスに温められるので、電極の先端側と後端側とで温度差が発生することで、電極の先端側と後端側とで温度差に応じた熱起電力が発生する。対となる電極は種類の異なる金属により構成されるので、上記した熱起電力は、電極ごとに異なるものとなる。捕集部材に排気ガス中の微粒子が堆積すると、その堆積した微粒子を介して先端側で種類の異なる金属による電極同士がショートする。このため、捕集部材に微粒子が堆積した場合、種類の異なる金属による電極の後端側の間に上記の温度差に基づく電位差が発生する。一方、捕集部材に微粒子が堆積していない場合は、種類の異なる金属による電極同士がショートしないので、種類の異なる金属による電極の後端側の間で電位差が定まらない。
【0029】
そのため、この微粒子検出装置においては、種類の異なる金属による対となる電極の後端側の間に生じる電位差に基づいて、排気ガス中の微粒子の漏れが生じたこと又は排気ガス中の微粒子の堆積が生じたことが検知される。かかる構成においては、微粒子の漏れ又は微粒子の堆積を検知するうえで、種類の異なる金属による電極にバッテリなどから電源供給を行うことは不要である。従って、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中の微粒子の堆積を簡易な構成で精度良く検知することができる。
【0030】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材の表面上に配設された対となる電極を備え、前記検知手段は、前記対となる電極間の抵抗変化に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0031】
本実施形態の微粒子検出装置において、捕集部材に排気ガス中の微粒子が堆積していない場合は、種類の異なる金属による電極同士がショートしない一方、捕集部材に排気ガス中の微粒子が堆積すると、その堆積した微粒子を介して種類の異なる金属による電極同士がショートする。このため、捕集部材に微粒子が堆積していない状況から堆積する状況へ移行すると、種類の異なる金属による電極間の抵抗が変化する。
【0032】
この微粒子検出装置においては、種類の異なる金属による対となる電極間の抵抗変化に基づいて、排気ガス中の微粒子の漏れが生じたこと又は排気ガス中の微粒子の堆積が生じたことが検知される。従って、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中の微粒子の堆積を精度良く検知することができる。
【0033】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材に捕集される前記微粒子を加熱する加熱手段を備え、前記捕集部材に捕集される前記微粒子は、前記検知手段による検知が行われる前に、前記加熱手段により加熱されることが好ましい。
【0034】
本実施形態の微粒子検出装置において、捕集部材に捕集された微粒子が加熱手段により加熱されると、その微粒子に付着し或いはその微粒子の周囲に存在する水分が除去される。このため、捕集部材に捕集された微粒子が、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中の微粒子の堆積の検知前に加熱されれば、捕集部材に配設された対となる電極間の結露を防止することができると共に、微粒子の漏れ又は微粒子の堆積の検知精度を向上させることができる。
【0035】
また、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材に捕集される前記微粒子を燃焼する燃焼手段を備え、前記検知手段は、前記燃焼手段により前記捕集部材に捕集される前記微粒子が燃焼されるときに生じる温度変化量に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することが好ましい。
【0036】
本実施形態の微粒子検出装置において、捕集部材に排気ガス中の微粒子が堆積していない場合は、捕集部材に捕集される微粒子が燃焼手段により燃焼されても、その燃焼の前後であまり大きな温度変化は生じない。一方、捕集部材に排気ガス中の微粒子が堆積している場合は、捕集部材に捕集される微粒子が燃焼手段により燃焼されると、その燃焼の前後で大きな温度変化が生じる。
【0037】
この微粒子検出装置においては、燃焼手段により捕集部材に捕集される微粒子が燃焼されるときに生じる温度変化量に基づいて、排気ガス中の微粒子の漏れが生じたこと又は排気ガス中の微粒子の堆積が生じたことが検知される。従って、排気ガス中に含まれる微粒子の漏れ又は排気ガス中の微粒子の堆積を精度良く検知することができる。
【0038】
更に、上記した微粒子検出装置において、前記捕集部材は、排気ガスを外部に放出する排気管上に配置されていることが好ましい。
【0039】
本実施形態の微粒子検出装置において、捕集部材は、排気ガスを外部に放出する排気管上に配置されているので、排気管での微粒子の漏れ又は微粒子の堆積を検知することができる。
【0040】
以下、図面を用いて、本発明に係る微粒子検出装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0041】
図1に、本発明の一実施形態である微粒子検出装置10を備えるシステムの全体構成図を示す。本実施形態のシステムは、内燃機関12から大気へ排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置14に適用されるシステムである。
【0042】
図1に示す如く、排気ガス浄化装置14は、内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)12に接続する排気ライン16上に設けられた、ディーゼル用酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)18及び主微粒子捕捉フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)20を備えている。DOC18は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる酸化され易い一酸化炭素及び炭化水素などを除去するための触媒である。また、DPF20は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる微粒子(PM:Particulate Matter)を捕捉可能なフィルタである。排気ガス浄化装置14は、DPF20の使用中にDPF20に故障が発生し、所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出した場合に、この故障を検出して、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等を行う機能を有している。
【0043】
排気ガス浄化装置14は、DPF20の故障を検出するための微粒子検出装置10を備えている。微粒子検出装置10は、排気ガス浄化用センサとしての微粒子センサ22を備えている。微粒子センサ22は、排気ライン16内のDPF20の下流側に晒されるように配設されている。微粒子センサ22は、排気ライン16上でDPF20の下流側に漏れ出したPMの量に応じて信号を出力することができる。
【0044】
排気ガス浄化装置14は、マイクロコンピュータを主体に構成される演算部26を備えている。演算部26には、微粒子センサ22が配線28を介して電気的に接続されている。微粒子センサ22の出力は、配線28を介して演算部26に送られる。演算部26は、微粒子センサ22の出力信号に基づいて排気ライン16上で微粒子センサ22にPMが堆積したか否かを判別し、その判別結果に基づいて所定以上の量のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したか否かを判別することができる。そして、DPF20からPMが漏れていると判別した場合に運転者又は使用者にアラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等により警告を行う。
【0045】
図2に、本発明の一実施形態である微粒子検出装置10が備える微粒子センサ22の構成図を示す。また、図3に、本発明の一実施形態である微粒子検出装置10が備える微粒子センサ22の断面図を示す。尚、図3には、図2に示す微粒子センサ22をIII−IIIで切断した際の断面図を示す。
【0046】
微粒子センサ22は、排気ライン16内のDPF20下流側に流れる排気ガス中に含まれるPMを捕集する捕集部材30を有している。捕集部材30は、円柱状に形成された絶縁基材(例えばセラミック基材など)からなる。捕集部材30は、排気ライン16に取り付け固定されている。捕集部材30は、排気ライン16内における排気ガスの流れに対して直交する方向に延びている。捕集部材30は排気ライン16を塞いでおらず、捕集部材30の外壁と排気ライン16の内壁との間には排気ガスが流れ得る空間が形成されている。
【0047】
微粒子センサ22は、その先端側が排気ライン16内に晒され、かつ、その後端側が排気ライン16外に位置するように設置されている。すなわち、捕集部材30は、その先端側が排気ライン16内に晒され、かつ、その後端側が排気ライン16外に位置するように設置されている。微粒子センサ22の捕集部材30の先端側には、排気ガス中に含まれるPMが堆積し得る(図2において破線で示す領域)。
【0048】
捕集部材30の表面には、2つの電極32,34が配設されている。2つの電極32,34は、捕集部材30の表面上に捕集部材30の軸に沿って平行に設けられている。2つの電極32,34は、排気ガス中のPMが堆積していないときは電気的に絶縁されている。2つの電極32,34は、排気ライン16中における排気ガスの流れに対して直交する面側に設けられている。
【0049】
2つの電極32,34は、異なる種類の金属(例えば、ニッケルと白金等)により構成されており、捕集部材30の表面に厚膜プロセス(例えばペースト印刷及び焼成)又は薄膜プロセス(例えばスパッタ等)などにより形成されている。2つの電極32,34の先端側は排気ライン16内に晒されており、また、電極32,34の後端側は排気ライン16外に位置している。電極32の後端側には配線28aの一端が、また、電極34の後端側には配線28bの一端が、それぞれ接続されている。配線28a,28bの他端はそれぞれ、演算部26に接続されている。
【0050】
捕集部材30には、電熱ヒータなどのヒータ36が内蔵されている。ヒータ36には、配線38を介して演算部26が電気的に接続されている。ヒータ36は、演算部26から配線38を介して電力が供給されることにより捕集部材30の先端側(特に、PMが捕集される電極32,34が配設された面)を温めることが可能である。ヒータ36は、捕集部材30の先端側を温めることにより、捕集部材30の先端側表面に捕集されたPMを燃焼除去する機能、及び、排気ガス中に含まれる水分を除去する機能を有している。
【0051】
次に、図4を用いて、本実施形態の微粒子検出装置10の動作について説明する。図4に、本発明の一実施形態である微粒子検出装置10において演算部26が実行するPMを検出する手順の一例のフローチャートを示す。
【0052】
本実施形態において、排気ガスは高温(例えば200℃〜500℃)であるので、微粒子センサ22の先端側はその排気ガスにより温められ、その微粒子センサ22の先端側と後端側とで温度差が発生する(ステップ100)。この場合、捕集部材30上の2つの電極32,34において、先端側と後端側とでゼーベック効果によりその温度差に応じた熱起電力が発生する。これら2つの電極32,34は互いに種類の異なる金属により構成されるので、電極32に発生する熱起電力と電極34に発生する熱起電力と、は互いに異なるものとなる。尚、「ゼーベック効果」とは、物体の温度差が電圧に変換される現象のことをいう。
【0053】
排気ライン16上においてDPF20下流側にPMが漏れ出さない場合は、微粒子センサ22の捕集部材30の先端側表面に排気ガス中のPMは堆積しない。捕集部材30の先端側表面(すなわち微粒子センサ22の先端側表面)に排気ガス中のPMが堆積していない場合は、2つの電極32,34同士が捕集部材30の先端側でPMを介してショートする事態は生じない。2つの電極32,34同士が捕集部材30の先端側でショートしていない場合は、2つの電極32,34間に電流が流れないので、2つの電極32,34間で電位差自体が定まらない。
【0054】
一方、排気ライン16上においてDPF20下流側にPMが漏れ出す場合は、微粒子センサ22の捕集部材30の先端側表面に徐々に排気ガス中のPMが堆積する。捕集部材30の先端側表面に所定量以上のPMが堆積すると、2つの電極32,34同士が捕集部材30の先端側でその堆積したPMを介してショートする。2つの電極32,34同士がショートする場合は、2つの電極32,34間でPMを介して電流が流れ得るので、捕集部材30の後端側(すなわち微粒子センサ22の後端側)で電極32,34間に、先端側と後端側との温度差(すなわち、熱起電力の差)に基づく電位差が発生する。
【0055】
本実施形態において、演算部26は、微粒子センサ22から配線28a,28bを介して入力される電極32の後端側の電位及び電極34の後端側の電位を検出すると共に、その検出した両電位に基づいて、捕集部材30の後端側で2つの電極32,34間に生じる電位差を検出する。
【0056】
演算部26は、その検出した電極32,34間の電位差が定まらず、電極32,34間に所定電位差が発生していないと判定する場合(すなわち、電極32,34間に生じる電位差を検出することができない場合;ステップ102における否定判定時)は、捕集部材30の先端側表面にPMが堆積していないと判定し、所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出していないと判定する(ステップ104)。
【0057】
また、演算部26は、上記の検出した電極32,34間の電位差が所定電位差となり、電極32,34間に所定電位差が発生すると判定する場合(すなわち、電極32,34間に生じる電位差を検出することができた場合;ステップ102における肯定判定時)は、捕集部材30の先端側表面に所定量以上のPMが堆積していると判定し、所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する(ステップ106)。演算部26は、DPF20からのPM漏れが生じていることを判定すると、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等を行う。
【0058】
このように、本実施形態においては、微粒子センサ22の捕集部材30における一定以上のPM堆積の有無を判別してDPF20からのPM漏れを診断することができ、そして、PM漏れが生じていると判定される時は、排気ガス浄化装置14を搭載する車両の運転者などにそのPM漏れを知らせることが可能である。
【0059】
また、本実施形態においては、演算部26がDPF20下流側へのPM漏れを診断するのに、配線28a,28bを介して入力される2つの電極32,34に生じる電位を比較することが必要であるが、微粒子センサ22は捕集部材30上に異なる種類の電極32,34を有するため、演算部26が上記の電位比較を行ううえで微粒子センサ22の2つの電極32,34にバッテリなどから電源供給を行うことは不要である。このため、微粒子測定装置10の構成を簡素なものとすることができる。また、演算部26が検出する電極32,34間の電位差は微量であるため、周辺機器などの外部ノイズの影響を受け易くなるが、本実施形態においては、PM漏れの診断をバッテリ電圧などの周辺機器を用いることなく行うことができるので、バッテリ電圧の変動や周辺機器による外部ノイズなどの影響を低減することができ、その結果として、PM漏れの診断を精度よく行うことができる。
【0060】
従って、本実施形態の微粒子測定装置10によれば、排気ライン16のDPF20下流側へ所定量以上のPMが漏れ出したか否かを簡素な構成でかつ精度よく診断することが可能である。
【0061】
また、本実施形態の微粒子センサ22の構造において、排気ライン16のDPF20下流側を流れる排気ガスは、図3に示す如く、排気ライン16上の捕集部材30が配置された部位を通過する際に、まず、円柱状の捕集部材30の上流側表面に当接する。そしてその当接後、捕集部材30の両側に分岐されてその円周面に沿って流れ、捕集部材30の下流側へ至る。捕集部材30の形状では、表面上における排気ガスのよどみ点が捕集部材30の軸方向に沿って直線をなす。
【0062】
尚、「よどみ点」とは、流体内に置かれた物体の表面に存在し、流れの中の流速がゼロとなる点のことであり、また流線が分岐する点のことである。また、排気ガスが分岐する点付近における排気ガスの流速は、捕集部材30周辺における排気ガスの流速に比べて遅くなる。このため、排気ガスが捕集部材30の両側に分岐されて円周面に沿って流れる際に、排気ガス中に含まれるPMは捕集部材30の表面上に堆積し易くなる。
【0063】
PMを捕集する捕集部材が平板状に形成された構造(対比構造)では、排気ガスはその捕集部材を避けるように流れるため、捕集部材の表面に排気ガス中のPMを効果的に捕集することは困難である。これに対して、本実施形態の如くPMを捕集する捕集部材30が円柱状に形成された構造によれば、排気ガスの流れを妨げることなく、捕集部材30の表面に排気ガス中のPMを効果的に捕集することが可能となる。
【0064】
また、かかる微粒子センサ22の構造によれば、排気ガスの流れを制御する専用の部品(例えば、ポンプ又は分流構造体など)を用いることなく、捕集部材30の先端側表面に効率的にPMを捕集することができる。このため、微粒子センサ22の簡素化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。従って、本実施形態の微粒子検出装置10によれば、微粒子センサ22の捕集部材30へのPMの捕集を簡素な構成で効率的に行うことが可能となる。
【0065】
尚、本実施形態において、演算部26は、上記の如く微粒子センサ22から配線28a,28bを介して入力される電極32,34間の電位差を検出する際、ヒータ36へ配線38を介して電源供給を行ってヒータ36を作動させることとしてもよい。微粒子センサ22の先端側は、排気ライン16内に晒されるので、微粒子センサ22の後端側に比べて高温となるが、ヒータ36が作動されると、その微粒子センサ22の先端側が更に高温となる。このため、ヒータ36の作動により、微粒子センサ22の先端側にある電極32,34の先端側とその電極32,34の後端側とで発生させる温度差をより大きくすることができ、両電極32,34に発生するゼーベック効果による熱起電力の差をより大きくすることができる。従って、かかる構成によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を昇温させることで、DPF下流側へのPM漏れの診断精度を向上させることが可能である。
【0066】
また、ヒータ36の作動により、微粒子センサ22を加熱(例えば、100℃〜500℃)することにより、排気ガス中に含まれる水分を除去することができるため、微粒子センサ22の電極32,34間での結露を防止することができる。電極32,34間の結露が防止されれば、電極32,34間の電位差がその結露に起因して誤って検出される事態は生じない。従って、上記の構成によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を加熱することで、DPF下流側へのPM漏れの診断精度を向上させることが可能である。
【0067】
また、本実施形態において、演算部26は、DPF20下流側へPM漏れが生じたと判定した場合、その後、ヒータ36へ配線38を介して電源供給を行ってヒータ36を作動させる。ヒータ36が作動されると、微粒子センサ22の先端側が加熱(例えば、600℃程度)されるので、その微粒子センサ22の先端側に堆積するPMを燃焼させることができ、そのPMを除去することができる。従って、本実施形態によれば、ヒータ36により微粒子センサ22の先端側を加熱させることで、その微粒子センサ22の先端側に堆積したPMを燃焼除去することができるため、微粒子センサ22を繰り返し利用することが可能である。
【0068】
ところで、上記の実施形態においては、ヒータ36が特許請求の範囲に記載した「加熱手段」に、演算部26が電極32,34の後端側の間に生じる電位差に基づいてDPF20下流側へのPM漏れを診断することが特許請求の範囲に記載した「検知手段」に、それぞれ相当している。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形又は変更が可能である。
【0070】
例えば、上記の実施形態においては、排気ガス中のPMを捕集する捕集部材30を円柱形状に形成することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、捕集部材30として排気ガスの流れに対向する部位が弧状に形成されていればよく、捕集部材30を、半円部が排気ガスの流れに対向するように配置された半円柱形状に形成することとしてもよい。また、捕集部材30の断面形状を真円状に形成することに限らず、楕円状に形成することとしてもよい。これらの変形例においても、排気ガスの流れを妨げることはなく、排気ガス中のPMを捕集部材30に捕集し易くなっており、これにより、微粒子センサ22の捕集部材30へのPMの捕集を簡素な構成で効率的に行うことが可能である。
【0071】
図5に、本発明の一変形例である微粒子検出装置が備える微粒子センサの斜視図を示す。また、図6に、図5に示す微粒子センサの上面図を示す。捕集部材30の外面が弧状に形成されていることに限らず、図5に示す如く、捕集部材30が三角柱や四角柱などの多角柱形状に形成されていてもよい。但し、捕集部材30が多角柱形状に形成される場合は、その捕集部材30の一つの角部(具体的には、軸方向から見て180°未満となる角部)を排気ガスが二等分されて分岐される向きに配置することが好ましい。かかる構成によれば、上記の実施形態と同様に、排気ライン16のDPF20下流側を流れる排気ガスは、図6に示す如く、排気ライン16上の捕集部材30が配置された部位を通過する際に、まず、多角柱状の捕集部材30の上流側表面に当接し、そして、捕集部材30の両側に分岐されてその外面に沿って流れ、捕集部材30の下流側へ至る。この場合、捕集部材30の表面上における排気ガスのよどみ点は、多角柱状の捕集部材30の角部に沿って直線をなす。このため、かかる変形例の構造においても、排気ガスの流れを妨げることはなく、排気ガス中のPMを捕集部材30に捕集し易くなっており、これにより、微粒子センサ22の捕集部材30へのPMの捕集を簡素な構成で効率的に行うことが可能である。
【0072】
また、上記の実施形態においては、排気ライン16上においてDPF20下流側へ所定量以上のPMが漏れ出したか否かを診断するうえで、捕集部材30に2つの電極32,34が配設され、演算部26が、2つの電極32,34の後端側の間に生じる、電極32,34の先端側と後端側との間の温度差に基づく電位差を検出する熱起電力方式の微粒子センサ22を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7に示す如きいわゆる抵抗方式の微粒子センサ100を用いることとしてもよい。
【0073】
図7に、本発明の変形例である微粒子検出装置が備える微粒子センサ100の構成図を示す。尚、図7に示す微粒子センサ100おいて、上記図2に示す微粒子センサ22の構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0074】
微粒子センサ100は、捕集部材30を有している。捕集部材30の表面には、2つの電極102,104が配設されている。電極102,104は、例えばニッケル又は白金などの金属により構成されている。電極102,104はそれぞれ、捕集部材30の軸方向に略平行に延びる支持部102a,104aと、その支持部102a,104aから周方向に延びる櫛歯部102b,104bと、からなる。電極102の櫛歯部102bと電極104の櫛歯部104bとは、互いに所定距離だけ離間しており、捕集部材30の軸方向において対向するように配置されている。尚、電極102の櫛歯部102bと電極104の櫛歯部104bとの離間距離は、捕集部材30に所定量以上のPMが堆積した場合に互いに導通し得る程度の距離に設定されていればよい。
【0075】
電極102,104は、排気ライン16内に晒されている。捕集部材30において、電極102,104は、排気ライン16内における排気ガスの流れに対して直交する面側に設けられている。電極102,104の櫛歯部102a,104aが対向する面部位は、排気ライン16内における排気ガスの流れ方向に向いた法線を有している。すなわち、電極102,104の櫛歯部102a,104aは、排気ライン16内において正面から排気ガスが当接するように配置されている。
【0076】
電極102,104は、排気ガス中のPMが捕集部材30に捕集されていないときは電気的に絶縁される一方、排気ガス中のPMが捕集部材30に捕集されているときは電気的に導通される。電極102,104にはそれぞれ、配線28を介して上記の演算部26が接続されている。
【0077】
捕集部材30には、電熱ヒータなどのヒータ36が内蔵されている。ヒータ36には、配線38を介して演算部26が電気的に接続されている。ヒータ36は、演算部26から配線38を介して電力が供給されることにより捕集部材30(特に、PMが捕集される電極102,104が配設された面)を温めることが可能である。ヒータ36は、捕集部材30を温めることにより、捕集部材30に捕集されたPMを燃焼除去する機能、及び、排気ガス中に含まれる水分を除去する機能を有している。
【0078】
次に、図8を用いて、本変形例である微粒子検出装置の動作について説明する。図8に、本変形例の微粒子検出装置において演算部26が実行する微粒子を検出する手順の一例のフローチャートを示す。
【0079】
排気ライン16上においてDPF20下流側にPMが漏れ出さない場合は、微粒子センサ100の捕集部材30に排気ガス中のPMは堆積しない。捕集部材30に排気ガス中のPMが堆積していない場合は、2つの電極102,104同士がPMを介してショートする事態は生じない。2つの電極102,104同士がショートしていない場合は、2つの電極102,104間の電気抵抗は極めて大きい。
【0080】
一方、排気ライン16上においてDPF20下流側にPMが漏れ出す場合は、微粒子センサ100の捕集部材30に徐々に排気ガス中のPMが堆積する。捕集部材30に所定量以上のPMが堆積すると、2つの電極102,104同士がその堆積したPMを介してショートする。2つの電極102,104同士がPMを介してショートする場合は、2つの電極102,104間でPMを介して電流が流れ得るので、2つの電極102,104間の電気抵抗は極めて小さい。
【0081】
従って、捕集部材30に所定量以上のPMが堆積する前と堆積した後とで、電極102,104間において大きな電気抵抗変化(具体的には、電気抵抗減少)が生じる。このため、電極102,104間に一定の所定電圧が印加される場合は、捕集部材30へのPM堆積前とPM堆積後とで、電極102,104間に流れる電流値に、電極102,104間の電気抵抗の変化量に応じた変化が生じる。
【0082】
本変形例の微粒子検出装置において、演算部26は、2つの電極102,104間に一定の所定電圧を印加する(ステップ200)。そして、かかる一定電圧の印加状態で、2つの電極102,104間に流れる電流値に時間的な変化(具体的には、増加)が生じるか否かを判別する(ステップ202)。
【0083】
演算部26は、上記の処理の結果、2つの電極102,104間の電流値に変化が生じていないと判別した場合は、両電極102,104間の電気抵抗に変化が生じていないとして、捕集部材30にPMが堆積していないと判定し、所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出していないと判定する(ステップ204)。一方、上記の処理の結果、2つの電極102,104間の電流値に変化が生じていると判別した場合は、両電極102,104間の電気抵抗に変化が生じているとして、捕集部材30に所定量以上のPMが堆積していると判定し、所定量以上のPMが排気ライン16上でDPF20下流側へ漏れ出したと判定する(ステップ206)。演算部26は、DPF20からのPM漏れが生じていることを判定すると、アラーム、ランプの点滅又はランプの点灯等を行う。
【0084】
このように、本変形例においては、微粒子センサ100の捕集部材30の表面における一定以上のPM堆積の有無を判別してDPF20からのPM漏れを診断することができる。そして、PM漏れが生じていると判定される時は、排気ガス浄化装置14を搭載する車両の運転者などにそのPM漏れを知らせることが可能である。
【0085】
また、本変形例においては、演算部26がDPF20下流側へのPM漏れを診断するうえで、DPF20下流側へ漏れ出したPMを捕集する捕集部材30を有する微粒子センサ100が用いられる。捕集部材30は、円柱状に形成されており、排気ライン16内における排気ガスの流れに対して直交する方向に延びている。そして、捕集部材30の表面に設けられた電極102,104の櫛歯部102a,104aは、排気ライン16内において正面から排気ガスが当接するように配置されている。
【0086】
また、かかる微粒子センサ100の構造によれば、排気ガスの流れを制御する専用の部品(例えば、ポンプ又は分流構造体等)を配置することなく、捕集部材30に排ガス中のPMを捕集することができる。このため、微粒子センサ100の簡素化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。従って、本変形例の微粒子検出装置によれば、微粒子センサ100の捕集部材30へのPMの捕集を簡素な構成で効率的に行うことが可能となる。
【0087】
また、上記の実施形態においては、排気ライン16上においてDPF20下流側へ所定量以上のPMが漏れ出したか否かを診断するうえで、いわゆる熱起電力方式の微粒子センサ22を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆる燃焼方式の微粒子センサを用いることとしてもよい。
【0088】
捕集部材30の表面に捕集されるPMが燃焼されると、燃焼されたPMに応じた発熱が生じる。この発熱量(温度上昇度合い)は、燃焼されたPMの量に比例するので、捕集部材30の表面に捕集されているPMの量が多いほど大きくなる。そこで、かかる変形例において、微粒子センサは、捕集部材30と、捕集部材30に内蔵されたヒータ36と、PMが捕集される捕集部材30の周辺などの温度を測定する温度計と、を有する。演算部は、所定のタイミングで、ヒータ36へ配線38を介して電源供給を行ってヒータ36の作動を開始すると共に、ヒータ36の作動直前における温度計の出力に基づく温度(作動前温度)を検出する。そして、演算部は、ヒータ36の作動を所定時間継続した後、温度計の出力に基づく温度(作動後温度)を検出することで、作動後温度と作動前温度との差を検出する。演算部は、その検出した作動後温度と作動前温度との差に基づいて、予め定められたデータを参照して、捕集部材30に捕集されていたPMの量を推定することで、排気ライン16のDPF20下流側へ所定量以上のPMが漏れ出したか否かを診断する。
【0089】
このように、本変形例においては、捕集部材30に捕集されるPMを燃焼させることにより、捕集部材30に捕集されるPMの量を測定することができる。
【0090】
更に、上記の実施形態は、排気ライン16内のDPF20の下流側に微粒子センサ22を配設して、DPF20からのPM漏れを判定する排気ガス浄化装置14のシステムであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、図9に示す如く、排気ライン16内のDPF20の上流側に微粒子センサ22を配設して、DPF20にPMが堆積したことを判定し或いは排気ライン16に流れる排気ガス中のPMの濃度を測定する排気ガス浄化装置のシステムに適用することができる。かかる変形例においても、上記した実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
10 微粒子検出装置
14 排気ガス浄化装置
16 排気ライン
20 DPF
22,100 微粒子センサ
26 演算部
30 捕集部材
32,34,102,104 電極
36 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスに晒され、排気ガスとの接触部分において排気ガスを分岐させる形状に形成され、排気ガス中に含まれる微粒子を捕集する捕集部材と、
前記捕集部材に捕集される前記微粒子に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知する検知手段と、
を備えることを特徴とする微粒子検出装置。
【請求項2】
前記捕集部材は、排気ガスとの接触部分において排気ガスのよどみ点が直線をなすような形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の微粒子検出装置。
【請求項3】
前記捕集部材の前記形状は、円柱形状、又は、半円部が排気ガスの流れに対向するように配置された半円柱形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載された微粒子検出装置。
【請求項4】
前記捕集部材の前記形状は、一つの角部が排気ガスが二等分されて分岐される向きに配置された多角柱形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載された微粒子検出装置。
【請求項5】
前記捕集部材の表面上に配設され、先端側が排気ガスとの接触部分に設けられた、種類の異なる金属により構成された対となる電極を備え、
前記検知手段は、前記対となる電極の後端側の間に生じる電位差に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載された微粒子検出装置。
【請求項6】
前記捕集部材の表面上に配設された対となる電極を備え、
前記検知手段は、前記対となる電極間の抵抗変化に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載された微粒子検出装置。
【請求項7】
前記捕集部材に捕集される前記微粒子を加熱する加熱手段を備え、
前記捕集部材に捕集される前記微粒子は、前記検知手段による検知が行われる前に、前記加熱手段により加熱されることを特徴とする請求項5又は6に記載された微粒子検出装置。
【請求項8】
前記捕集部材に捕集される前記微粒子を燃焼する燃焼手段を備え、
前記検知手段は、前記燃焼手段により前記捕集部材に捕集される前記微粒子が燃焼されるときに生じる温度変化量に基づいて、前記微粒子の漏れが生じたこと又は前記微粒子の堆積が生じたことを検知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載された微粒子検出装置。
【請求項9】
前記捕集部材は、排気ガスを外部に放出する排気管上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載された微粒子検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−127702(P2012−127702A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277470(P2010−277470)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】